(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168452
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】基板処理装置および搬送位置調整方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/677 20060101AFI20241128BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
H01L21/68 A
H01L21/304 648A
H01L21/304 651Z
H01L21/304 648G
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023085154
(22)【出願日】2023-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】梅▲崎▼ 翔太
(72)【発明者】
【氏名】木本 晃司
(72)【発明者】
【氏名】大関 雅人
(72)【発明者】
【氏名】検崎 亮介
【テーマコード(参考)】
5F131
5F157
【Fターム(参考)】
5F131AA02
5F131BA37
5F131CA09
5F131CA18
5F131DA22
5F131DA42
5F131DB22
5F131DB51
5F131DD03
5F131KA40
5F131KB16
5F131KB32
5F157AB02
5F157AB13
5F157AB14
5F157AB33
5F157AB45
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5F157CB27
5F157CD11
5F157CE23
5F157CE83
5F157CF22
5F157CF42
5F157CF44
5F157DC21
(57)【要約】
【課題】処理容器の内部および外部での相対的な基板の位置ずれを抑制すること。
【解決手段】基板処理装置は、基板を処理する処理ユニットを備える。処理ユニットは、基板を収容する処理容器と、処理容器の内部において基板を水平に支持する第1支持部と、処理容器の外部において基板を水平に支持する第2支持部とを有する。第1支持部および第2支持部は、少なくとも処理容器へ基板を搬入出する方向から見て、処理容器の内部および外部における基板の中心軸どうしが一致するように基板を支持する。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理する処理ユニットを備え、
前記処理ユニットは、
前記基板を収容する処理容器と、
前記処理容器の内部において前記基板を水平に支持する第1支持部と、
前記処理容器の外部において前記基板を水平に支持する第2支持部と
を有し、
前記第1支持部および前記第2支持部は、
少なくとも前記処理容器へ前記基板を搬入出する方向から見て、前記処理容器の内部および外部における前記基板の中心軸どうしが一致するように前記基板を支持する、基板処理装置。
【請求項2】
前記基板を保持し、前記処理ユニットとの間で前記基板の受け渡しを行うために移動自在な基板保持部を有する搬送装置と、
前記基板保持部に保持された前記基板の位置を検出する検出部と
制御部と
をさらに備え、
前記制御部は、
前記第2支持部に前記基板を受け渡した後に前記検出部で検出される前記基板の位置と、規定の基準位置とのずれ量に基づき、前記基板保持部の位置を補正し、
前記処理ユニットへの前記基板の搬送時に、補正後の前記基板保持部の位置に基づき、前記基板保持部から前記第1支持部に前記基板を受け渡すように前記搬送装置を制御する
請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記処理容器の外部において前記基板の重量を測定する測定ユニットをさらに備え、
前記測定ユニットは、
前記基板を水平に支持して前記基板の重量を測定する第3支持部を有し、
前記基板保持部は、
前記測定ユニットとの間で前記基板の受け渡しを行うために移動自在であり、
前記制御部は、
前記測定ユニットへの前記基板の搬送時に、補正後の前記基板保持部の位置に基づき、前記基板保持部から前記第3支持部に前記基板を受け渡すように前記搬送装置を制御する
請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記測定ユニットから前記処理ユニットへの前記基板の搬送時に、前記基板保持部を水平方向に旋回させることなく前記基板保持部を用いて前記第3支持部から前記第1支持部へ前記基板を受け渡すように前記搬送装置を制御する
請求項3に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記第1支持部は、
前記処理容器の内部における底面に設けられる
請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記処理ユニットは、
上部または下部が開放された前記処理容器を開閉可能な蓋体を有し、
前記第1支持部は、
前記蓋体に設けられる
請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記第2支持部は、
前記処理容器の鉛直方向における外面に設けられる
請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項8】
複数の前記処理ユニットを備え、
前記第2支持部は、
複数の前記処理ユニットにおける各前記処理容器に対して、個別に設けられる
請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記第2支持部は、
前記処理容器の鉛直方向における外面から立ち上がる複数の支柱と、
前記複数の支柱の各々に設けられた支持台と、
前記支持台上に設けられ、前記基板保持部から受け渡される前記基板を前記支持台に向けて案内することにより、前記基板の位置を前記基準位置に近づけるガイド部材と
を有する
請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項10】
複数の前記処理ユニットを備え、
前記第3支持部は、
複数の前記処理ユニットにおける各前記処理容器に対して、個別に設けられる
請求項3に記載の基板処理装置。
【請求項11】
前記測定ユニットは、
前記基板が前記処理容器に収容される前に、液膜が形成された前記基板の重量を測定する
請求項3に記載の基板処理装置。
【請求項12】
前記測定ユニットは、
前記処理容器の内部において前記液膜の乾燥処理が行われた後の前記基板の重量をさらに測定する
請求項11に記載の基板処理装置。
【請求項13】
前記搬送装置が配置される搬送ブロックに隣接して配置され、前記基板が載置される受渡部をさらに備え、
前記搬送装置は、
液膜を形成する液処理ユニットおよび前記処理ユニットが配置される処理ブロックと、前記受渡部との間で前記基板保持部を用いて前記基板の搬送を行い、
前記受渡部は、
前記液処理ユニットによって前記液膜が形成される前の前記基板の重量、または前記処理容器の内部において前記液膜の乾燥処理が行われた後の前記基板の重量を測定する
請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項14】
基板を処理する処理ユニットと、
前記基板を保持し、前記処理ユニットとの間で前記基板の受け渡しを行うために移動自在な基板保持部を有する搬送装置と、
前記基板保持部に保持された前記基板の位置を検出する検出部と
を備え、
前記処理ユニットは、
前記基板を収容する処理容器と、
前記処理容器の内部において前記基板を水平に支持する第1支持部と、
前記処理容器の外部において前記基板を水平に支持する第2支持部と
を有する基板処理装置において、
前記第2支持部に前記基板を受け渡した後に前記検出部で検出される前記基板の位置と、規定の基準位置とのずれ量に基づき、前記基板保持部の位置を補正することと、
前記処理ユニットへの前記基板の搬送時に、補正後の前記基板保持部の位置に基づき、前記基板保持部から前記第1支持部に前記基板を受け渡すように前記搬送装置を制御することと
を含む、搬送位置調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板処理装置および搬送位置調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基板の表面に乾燥防止用の液膜を形成した後、液膜が形成された基板を超臨界流体と接触させて基板を乾燥させる超臨界乾燥処理が知られている。
【0003】
超臨界乾燥処理を行う基板処理装置として、特許文献1には、液膜が形成された基板に対して超臨界乾燥処理を行う乾燥ユニットと、液膜による基板の被覆状態を検査する検査ユニットとが鉛直方向に重ねて配置された基板処理装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、処理容器の内部および外部での相対的な基板の位置ずれを抑制することができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様による基板処理装置は、基板を処理する処理ユニットを備える。処理ユニットは、基板を収容する処理容器と、処理容器の内部において基板を水平に支持する第1支持部と、処理容器の外部において基板を水平に支持する第2支持部とを有する。第1支持部および第2支持部は、少なくとも処理容器へ基板を搬入出する方向から見て、処理容器の内部および外部における基板の中心軸どうしが一致するように基板を支持する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、処理容器の内部および外部での相対的な基板の位置ずれを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係る基板処理システムを上方から見た模式的な断面図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る基板処理システムを側方から見た模式的な断面図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る基板処理システムにおいて実行される一連の基板処理の手順を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、実施形態に係る液処理ユニットの構成例を示す図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る測定ユニットおよび乾燥ユニットの構成を示す模式断面図である。
【
図7】
図7は、乾燥ユニットの処理容器の内部にウェハが収容された状態の一例を示す模式断面図である。
【
図8】
図8は、乾燥ユニットの処理容器を開口部側から見た模式的な側断面図である。
【
図9】
図9は、実施形態に係る基板処理システムにより実行される一連の動作の手順を示すフローチャートである。
【
図10A】
図10Aは、実施形態に係る基板処理システムにより実行される搬送位置調整処理の他の一例を示す動作説明図である。
【
図10B】
図10Bは、実施形態に係る基板処理システムにより実行される搬送位置調整処理の他の一例を示す動作説明図である。
【
図10C】
図10Cは、実施形態に係る基板処理システムにより実行される搬送位置調整処理の他の一例を示す動作説明図である。
【
図10D】
図10Dは、実施形態に係る基板処理システムにより実行される搬送位置調整処理の他の一例を示す動作説明図である。
【
図10E】
図10Eは、実施形態に係る基板処理システムにより実行される搬送位置調整処理の他の一例を示す動作説明図である。
【
図10F】
図10Fは、実施形態に係る基板処理システムにより実行される搬送位置調整処理の他の一例を示す動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本開示による基板処理装置および搬送位置調整方法を実施するための形態(以下、「実施形態」と記載する)について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態により本開示が限定されるものではない。また、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実と異なる場合があることに留意する必要がある。さらに、図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
【0010】
また、以下の各実施形態において同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略される。また、以下参照する各図面では、説明を分かりやすくするために、互いに直交するX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向を規定し、Z軸正方向を鉛直上向き方向とする直交座標系を示す場合がある。
【0011】
従来、基板の表面に乾燥防止用の液膜を形成した後、液膜が形成された基板を超臨界流体と接触させて基板を乾燥させる超臨界乾燥処理が知られている。
【0012】
超臨界乾燥処理を行う基板処理装置として、特許文献1には、液膜が形成された基板に対して超臨界乾燥処理を行う乾燥ユニットと、液膜による基板の被覆状態を検査する検査ユニットとが鉛直方向に重ねて配置された基板処理装置が開示されている。
【0013】
しかしながら、上述した従来技術には、処理容器の内部および外部での相対的な基板の位置ずれを抑制するという点で更なる改善の余地がある。
【0014】
たとえば、特許文献1に記載の基板処理装置では、液膜が形成された基板は、検査ユニットおよび乾燥ユニットに、この順番で搬送される。このとき、たとえば乾燥ユニットの処理容器内外において基板の位置が相対的にずれると、液膜が形成された基板が乾燥ユニットの処理容器内に適切に搬送されないおそれがあり、超臨界乾燥処理に影響が生じる可能性がある。
【0015】
そこで、処理容器の内部および外部での相対的な基板の位置ずれを抑制することができる技術が期待されている。
【0016】
<基板処理システムの構成>
まず、実施形態に係る基板処理システム(基板処理装置の一例)の構成について
図1および
図2を参照して説明する。
図1は、実施形態に係る基板処理システムを上方から見た模式的な断面図である。また、
図2は、実施形態に係る基板処理システムを側方から見た模式的な断面図である。
【0017】
図1に示すように、基板処理システム1は、搬入出ステーション2と、処理ステーション3とを備える。搬入出ステーション2と処理ステーション3とは隣接して設けられる。
【0018】
搬入出ステーション2は、キャリア載置部11と、搬送部12とを備える。キャリア載置部11には、複数枚の半導体ウェハW(以下、「ウェハW」と記載する)を水平状態で収容する複数のキャリアCが載置される。
【0019】
搬送部12は、キャリア載置部11に隣接して設けられる。搬送部12の内部には、搬送装置13と受渡部14とが配置される。
【0020】
搬送装置13は、ウェハWを保持するウェハ保持機構を備える。また、搬送装置13は、水平方向および鉛直方向への移動ならびに鉛直軸を中心とする旋回が可能であり、ウェハ保持機構を用いてキャリアCと受渡部14との間でウェハWの搬送を行う。受渡部14は、後述の液処理ユニット17によって液膜が形成される前のウェハWの重量を測定することができる。または、受渡部14は、後述の乾燥ユニット19によって液膜の乾燥処理が行われた後のウェハWの重量を測定することができる。
【0021】
処理ステーション3は、搬送部12に隣接して設けられる。処理ステーション3は、搬送ブロック4と、第1処理ブロック5と、第2処理ブロック6とを備える。
【0022】
搬送ブロック4は、搬送エリア15と、搬送装置16とを備える。搬送エリア15は、たとえば、搬入出ステーション2および処理ステーション3の並び方向(X軸方向)に沿って延在する直方体状の領域である。搬送エリア15には、搬送装置16が配置される。
【0023】
搬送装置16は、ウェハWを保持するウェハ保持機構(基板保持部の一例)16aを備える。また、搬送装置16は、水平方向および鉛直方向への移動ならびに鉛直軸を中心とする旋回が可能であり、ウェハ保持機構16aを用いて受渡部14、第1処理ブロック5および第2処理ブロック6の間でウェハWの搬送を行う。
【0024】
第1処理ブロック5および第2処理ブロック6は、搬送エリア15の両側において搬送エリア15に隣接して配置される。一例として、第1処理ブロック5は、搬入出ステーション2および処理ステーション3の並び方向(X軸方向)に直交する方向(Y軸方向)における搬送エリア15の一方側(Y軸正方向側)に配置される。また、第2処理ブロック6は、搬入出ステーション2および処理ステーション3の並び方向(X軸方向)に直交する方向(Y軸方向)における搬送エリア15の他方側(Y軸負方向側)に配置される。
【0025】
また、
図2に示すように、複数の第1処理ブロック5および複数の第2処理ブロック6が、鉛直方向に沿って多段に配置されてもよい。本実施形態において、複数の第1処理ブロック5および複数の第2処理ブロック6の段数は3段であるが、複数の第1処理ブロック5および複数の第2処理ブロック6の段数は3段に限定されない。
【0026】
このように、実施形態に係る基板処理システム1において、複数の第1処理ブロック5および複数の第2処理ブロック6は、搬送ブロック4の両側において多段に配置されてもよい。そして、各段に配置された第1処理ブロック5および第2処理ブロック6と受渡部14との間のウェハWの搬送は、搬送ブロック4に配置された1台の搬送装置16によって行われてもよい。
【0027】
第1処理ブロック5は、液処理ユニット17を備える。
【0028】
液処理ユニット17は、ウェハWのパターン形成面である上面を洗浄する洗浄処理を行う。また、液処理ユニット17は、洗浄処理後のウェハWの上面に液膜を形成する液膜形成処理を行う。液処理ユニット17の構成については後述する。
【0029】
第2処理ブロック6は、測定ユニット18と、乾燥ユニット(処理ユニットの一例)19と、供給ユニット20とを備える。
【0030】
測定ユニット18は、液膜形成処理前後のウェハWの重量を測定する。測定ユニット18の構成については後述する。
【0031】
乾燥ユニット19は、液膜形成処理後のウェハWに対して超臨界乾燥処理を行う。具体的には、乾燥ユニット19は、液膜形成処理後のウェハWを超臨界状態の処理流体と接触させることによって同ウェハWを乾燥させる。乾燥ユニット19の構成については後述する。
【0032】
供給ユニット20は、乾燥ユニット19に対して処理流体を供給する。具体的には、供給ユニット20は、流量計、流量調整器、背圧弁、ヒータなどを含む供給機器群と、供給機器群を収容する筐体とを備える。本実施形態において、供給ユニット20は、処理流体としてCO2を乾燥ユニット19に供給する。
【0033】
また、
図2に示すように、測定ユニット18および乾燥ユニット19は、鉛直方向に重ねて配置される。一例として、測定ユニット18が、乾燥ユニット19の上に重ねて配置される。測定ユニット18は、乾燥ユニット19の下に重ねて配置されてもよい。測定ユニット18および乾燥ユニット19が鉛直方向に重ねて配置されることにより、第2処理ブロック6の設置面積が低減される。
【0034】
基板処理システム1は、制御装置7を備える。制御装置7は、たとえばコンピュータであり、制御部71と記憶部72とを備える。
【0035】
制御部71は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、入出力ポートなどを有するマイクロコンピュータや各種の回路を含む。かかるマイクロコンピュータのCPUは、ROMに記憶されているプログラムを読み出して実行することにより、搬送装置13,16、液処理ユニット17、乾燥ユニット19および供給ユニット20等の制御を実現する。
【0036】
なお、かかるプログラムは、コンピュータによって読み取り可能な記録媒体に記録されていたものであって、その記録媒体から制御装置7の記憶部72にインストールされたものであってもよい。コンピュータによって読み取り可能な記録媒体としては、たとえばハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルディスク(MO)、メモリカードなどがある。
【0037】
記憶部72は、たとえば、RAM、フラッシュメモリ(Flash Memory)などの半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスクなどの記憶装置によって実現される。
【0038】
<搬送フロー>
次に、上述した基板処理システム1におけるウェハWの搬送フローについて
図3および
図4を参照して説明する。
図3は、実施形態に係る基板処理システム1において実行される一連の基板処理の手順を示すフローチャートである。また、
図4は、ウェハWの搬送手順を示す図である。なお、
図3に示す一連の基板処理は、制御部71の制御に従って実行される。また、
図3に示す一連の基板処理の前に、搬送装置16によるウェハWの搬送位置を調整する搬送位置調整処理が実行される。搬送位置調整処理ついては、後述する。
【0039】
図3に示すように、基板処理システム1では、まず、搬入処理が行われる(ステップS101)。搬入処理では、搬送装置13(
図1参照)がキャリアCからウェハWを取り出して受渡部14へ載置する(
図4の手順S1参照)。受渡部14は、たとえばロードセル等の重量計を有する。受渡部14は、重量計を用いて、液処理ユニット17によって液膜が形成される前のウェハWの重量を測定する。つづいて、搬送装置16(
図1参照)が受渡部14からウェハWを取り出して液処理ユニット17に搬入する(
図4の手順S2参照)。
【0040】
つづいて、基板処理システム1では、液処理ユニット17において洗浄処理が行われる(ステップS102)。液処理ユニット17は、ウェハWのパターン形成面である上面に各種の処理液を供給することにより、ウェハWの上面からパーティクルや自然酸化膜等を除去する。
【0041】
つづいて、基板処理システム1では、液処理ユニット17において液膜形成処理が行われる(ステップS103)。液処理ユニット17は、洗浄処理後のウェハWの上面に液体状態のIPA(以下、「IPA液体」と記載する)を供給することにより、ウェハWの上面にIPA液体による液膜を形成する。
【0042】
液膜形成処理後のウェハWは、搬送装置16により、液処理ユニット17から測定ユニット18に搬送される(
図4の手順S3)。
【0043】
つづいて、基板処理システム1では、測定ユニット18を用いて液量検出処理が行われる(ステップS104)。測定ユニット18は、液膜形成処理後のウェハWの重量を測定する。そして、制御部71は、受渡部14によって測定された液膜形成処理前のウェハWの重量と、測定ユニット18によって測定された液膜形成処理後のウェハWの重量との差を算出し、算出した差に基づいて、ウェハWに形成された液膜の液量を検出する。
【0044】
そして、基板処理システム1では、ウェハWに形成された液膜の液量が正常であるか否かを判定する判定処理が行われる。判定処理において、制御部71は、ウェハWに形成された液膜の液量が規定の許容範囲内であるか否かを判定する。許容範囲は、超臨界乾燥処理後のウェハWに、不良ウェハとなるパターン倒れや、パーティクル等の不具合が発生しない範囲である。そして、制御部71は、ウェハWに形成された液膜の液量が規定の許容範囲内である場合に、超臨界乾燥処理の実行を許容する。制御部71は、ウェハWに形成された液膜の液量が規定の許容範囲内である場合に、超臨界乾燥処理の実行を停止するとともにアラートを出力してもよい。
【0045】
超臨界乾燥処理の実行が許容されると、測定ユニット18へ搬送された液膜形成処理後のウェハWは、測定ユニット18から乾燥ユニット19へ搬送される(
図4の手順S4)。そして、基板処理システム1では、乾燥ユニット19において超臨界乾燥処理が行われる(ステップS105)。超臨界乾燥処理において、乾燥ユニット19は、液膜形成処理後のウェハWを超臨界状態の処理流体と接触させることによって液膜形成処理後のウェハWを乾燥させる。
【0046】
つづいて、基板処理システム1では、搬出処理が行われる(ステップS106)。搬出処理では、搬送装置16が、超臨界乾燥処理後のウェハWを乾燥ユニット19から取り出して受渡部14へ搬送する(
図4の手順S5参照)。その後、搬送装置13が超臨界乾燥処理後のウェハWを受渡部14から取り出してキャリアCへ搬送する(
図4の手順S6参照)。搬出処理を終えると、1枚のウェハWについての一連の基板処理が終了する。
【0047】
<液処理ユニットの構成>
次に、液処理ユニット17の構成について
図5を参照して説明する。
図5は、実施形態に係る液処理ユニット17の構成例を示す図である。液処理ユニット17は、たとえば、スピン洗浄によりウェハWを1枚ずつ洗浄する枚葉式の洗浄装置として構成される。
【0048】
図5に示すように、液処理ユニット17は、処理空間を形成するアウターチャンバー33内に配置されたウェハ保持機構35にてウェハWをほぼ水平に保持し、このウェハ保持機構35を鉛直軸周りに回転させることによりウェハWを回転させる。そして、液処理ユニット17は、回転するウェハWの上方にノズルアーム36を進入させ、かかるノズルアーム36の先端部に設けられる薬液ノズル36aから薬液やリンス液を予め定められた順に供給することにより、ウェハWの上面の洗浄処理を行う。
【0049】
また、液処理ユニット17には、ウェハ保持機構35の内部にも薬液供給路35aが形成されている。そして、かかる薬液供給路35aから供給された薬液やリンス液によって、ウェハWの下面も洗浄される。
【0050】
洗浄処理は、たとえば、最初にアルカリ性の薬液であるSC1液(アンモニアと過酸化水素水の混合液)によるパーティクルや有機性の汚染物質の除去が行われ、次に、リンス液である脱イオン水(DeIonized Water:以下、「DIW」と記載する)によるリンス洗浄が行われる。次に、酸性薬液である希フッ酸水溶液(Diluted HydroFluoric acid:以下、「DHF」と記載する)による自然酸化膜の除去が行われ、次に、DIWによるリンス洗浄が行われる。
【0051】
上述の各種薬液は、アウターチャンバー33や、アウターチャンバー33内に配置されるインナーカップ34に受け止められて、アウターチャンバー33の底部に設けられる排液口33aや、インナーカップ34の底部に設けられる排液口34aから排出される。さらに、アウターチャンバー33内の雰囲気は、アウターチャンバー33の底部に設けられる排気口33bから排気される。
【0052】
液膜形成処理は、洗浄処理におけるリンス処理の後に行われる。具体的には、液処理ユニット17は、ウェハ保持機構35を回転させながら、ウェハWの上面および下面にIPA液体を供給する。これにより、ウェハWの両面に残存するDIWがIPAに置換される。その後、液処理ユニット17は、ウェハ保持機構35の回転を緩やかに停止する。
【0053】
液膜形成処理を終えたウェハWは、その上面にIPA液体の液膜が形成された状態のまま、ウェハ保持機構35に設けられた不図示の受け渡し機構により搬送装置16に受け渡され、液処理ユニット17から搬出される。ウェハW上に形成された液膜は、液処理ユニット17から測定ユニット18へのウェハWの搬送中や、測定ユニット18への搬入動作中に、ウェハW上面の液体が蒸発(気化)することによってパターン倒れが発生することを防止する。また、ウェハW上に形成された液膜は、測定ユニット18から乾燥ユニット19へのウェハWの搬送中や、乾燥ユニット19への搬入動作中に、ウェハW上面の液体が蒸発(気化)することによってパターン倒れが発生することを防止する。
【0054】
<測定ユニットおよび乾燥ユニットの構成>
つづいて、測定ユニット18および乾燥ユニット19の構成について
図6~
図8を参照して説明する。
図6は、実施形態に係る測定ユニット18および乾燥ユニット19の構成を示す模式断面図である。また、
図7は、乾燥ユニット19の処理容器51の内部にウェハWが収容された状態の一例を示す模式断面図である。また、
図8は、乾燥ユニット19の処理容器51を開口部51a側から見た模式的な側断面図である。
【0055】
まず、乾燥ユニット19の構成を説明する。
図6および
図7に示すように、乾燥ユニット19は、処理容器51と、蓋体52と、第1支持部53と、第2支持部54とを備える。
【0056】
処理容器51は、たとえば16~20MPa程度の高圧環境を形成することのできる圧力容器である。処理容器51は、搬送エリア15(
図1参照)のY軸負方向側に配置され、超臨界乾燥処理は、処理容器51内部の処理空間511にて行われる。処理容器51は、平面視矩形状を有しており、複数(ここでは、4つ)の側面のうち搬送エリア15に面する側面に、ウェハWの搬入出に用いられる開口部51aを有する。
【0057】
蓋体52は、図示しない移動機構および回動機構に接続されており、これらの移動機構および回動機構によって閉塞位置および待機位置との間で移動および回動することができる。閉塞位置は、蓋体52が開口部51aを閉塞する位置である。待機位置は、蓋体52が開口部51aを開放する位置であって、開口部51aへのウェハWの搬入出経路とは干渉しない位置である。
【0058】
第1支持部53は、処理容器51の内部においてウェハWを水平に支持する。第1支持部53は、ウェハWを下方から支持する支持ピンであり、処理容器51の内部における底面に設けられる。
【0059】
第2支持部54は、処理容器51の外部においてウェハWを水平に支持する。第2支持部54は、搬送装置16によるウェハWの搬送位置を調整する搬送位置調整処理に用いられる。第2支持部54は、処理容器51の鉛直方向における外面(ここでは、処理容器51の上面)に設けられる。第2支持部54は、処理容器51の下面に設けられてもよい。第2支持部54の一部は、測定ユニット18内に位置している。
【0060】
実施形態では、第1支持部53および第2支持部54が、
図8に示すように、少なくとも処理容器51へウェハWを搬入出する方向から見て、処理容器51の内部および外部におけるウェハWの中心軸どうしが一致するようにウェハWを支持する。換言すれば、第1支持部53および第2支持部54は、少なくとも処理容器51の開口部51a側からの側面視において、処理容器51の内部および外部におけるウェハWの中心軸どうしが一致するようにウェハWを支持する。このように、第1支持部53に支持されるウェハWの中心軸と、第2支持部54に支持されるウェハWの中心軸とが一致するため、処理容器51の内部および外部での相対的なウェハWの位置ずれを抑制することができる。仮に、処理容器51の内部および外部におけるウェハWの中心軸どうしが一致していない場合、搬送装置16は、液膜形成処理後のウェハWを測定ユニット18から乾燥ユニット19へ搬送する際に、鉛直軸を中心とする旋回動作を行う必要が生じる。これに対し、実施形態では、かかる旋回動作を行う必要がない。したがって、鉛直軸を中心とする旋回動作に伴って、ウェハWの上面に形成された液膜がウェハWから振り切られる可能性を低減することができる。
【0061】
また、実施形態では、第1支持部53が処理容器51の内部における底面に設けられるため、第1支持部53が蓋体52に対して設けられる場合と比べて、第1支持部53の振動を抑制することができる。したがって、実施形態によれば、第1支持部53の振動に伴って、ウェハWの上面に形成された液膜がウェハWから滴下する可能性を低減することができる。
【0062】
また、実施形態では、第2支持部54が処理容器51の鉛直方向における外面に設けられるため、乾燥ユニット19の近傍において搬送装置16によるウェハWの搬送位置を調整することができる。したがって、実施形態によれば、処理容器51の内部および外部での相対的なウェハWの位置ずれをより抑制することができる。
【0063】
また、実施形態では、第2支持部54が、複数の乾燥ユニット19における各処理容器51に対して、個別に設けられる。したがって、実施形態によれば、複数の乾燥ユニット19における各処理容器51の内部および外部での相対的なウェハWの位置ずれを抑制することができる。
【0064】
第2支持部54は、複数(ここでは、4つ)の支柱61と、支持台62と、ガイド部材63とを有する。複数の支柱61は、処理容器51の鉛直方向における外面(ここでは、処理容器51の上面)から立ち上がるように設けられる。支持台62は、扁平な円形状を有する台座であり、複数の支柱61の各々に設けられる。
【0065】
ガイド部材63は、支持台62上に設けられる。ガイド部材63は、平面視で円形状を有し、側面視で下方に向かうにつれて幅が広がるテーパ状を有する。ガイド部材63の上面からは、支柱61の先端が突出している。ガイド部材63の底部周縁は、支持台62の周縁よりも内側に位置している。これにより、支持台62の上面の一部が露出し、支持台62がウェハWの周縁を下方から支持することが可能となる。ガイド部材63は、搬送装置16のウェハ保持機構16aから受け渡されるウェハWを側面において受け取り、受け取ったウェハWを支持台62に向けて案内する。これにより、ガイド部材63は、ウェハWの位置を規定の基準位置に近づけることができる。基準位置は、たとえば、処理容器51の内部および外部におけるウェハWの中心軸どうしが一致するように予め設定された位置である。
【0066】
処理容器51には、供給部55と排出部56とが設けられる。供給部55は、供給ユニット20(
図1参照)の供給機器群に接続されており、供給ユニット20から供給される処理流体を処理空間511に供給する。排出部56は、処理空間511から処理流体を排出する。
【0067】
供給部55は、処理容器51における処理空間511の開口部51aが形成される側とは反対側の側面に設けられる。供給部55は、側方に向かって開口する供給口から処理空間511に対して処理流体を水平方向に供給する。
【0068】
排出部56は、処理容器51における処理空間511の底面に設けられる。排出部56は、上方に向かって開口する排出口から処理流体を排出する。
【0069】
乾燥ユニット19は、供給部55から処理空間511に処理流体を供給しつつ、排出部56を介して処理空間511内の処理流体を排出する。処理流体の排出路には、処理空間511からの処理流体の排出量を調整するダンパが設けられており、処理空間511内の圧力が所望の圧力に調整されるようにダンパによって処理流体の排出量が調整される。これにより、処理空間511において処理流体の超臨界状態が維持される。以下では、超臨界状態の処理流体を「超臨界流体」と記載する場合がある。
【0070】
処理容器51は、開口部51aよりも開口部51aの開蓋方向側に突出した第1突出部313および第2突出部314を備える。第1突出部313は、開口部51aの下部からY軸正方向に向かって突出し、第2突出部314は、開口部51aの上部からY軸正方向に向かって突出する。
【0071】
第1突出部313には、第1突出部313の上面と下面とを連通する第1挿通孔315が形成されている。また、第2突出部314には、第1挿通孔315と鉛直方向において対向する位置(すなわち第1挿通孔315の上方)に、第2突出部314の上面と下面とを連通する第2挿通孔316が形成されている。
【0072】
また、乾燥ユニット19は、ロック部材57を備える。ロック部材57は、第1突出部313に形成された第1挿通孔315に挿通されている。ロック部材57には、ロック部材57を鉛直方向に沿って移動させる昇降機構58が接続される。
【0073】
かかる乾燥ユニット19では、まず、ウェハWの搬入処理が行われる。搬入処理において、搬送装置16が、ウェハ保持機構16aに保持されたウェハWを第1支持部53に請け渡す。そして、乾燥ユニット19は、待機位置に配置された蓋体52を開閉位置まで移動および回動させる。これにより、第1支持部53に支持されたウェハWが処理容器51の処理空間511に収容されるとともに、蓋体52によって処理空間511が密閉された状態となる。
【0074】
また、乾燥ユニット19は、ロック部材57を昇降機構58によって上昇させることにより、ロック部材57を第2突出部314に形成された第2挿通孔316に挿通させる。
【0075】
ロック部材57は、処理空間511に供給された処理流体によってもたらされる内圧に抗して、処理空間511に向けて蓋体52を押し付ける。これにより、蓋体52によって処理空間511が密閉された状態を維持することができる。
【0076】
つづいて、乾燥ユニット19では、昇圧処理が行われる。昇圧処理において、乾燥ユニット19は、供給部55から処理容器51の処理空間511に処理流体を供給することにより、処理空間511の圧力を上昇させる。これにより、処理空間511の圧力は、大気圧から処理圧力まで上昇する。処理圧力は、処理流体であるCO2が超臨界状態となる臨界圧力(約7.2MPa)を超える圧力であり、たとえば、16MPa程度である。かかる昇圧処理により、処理空間511内の処理流体が超臨界状態に相変化して、ウェハWの表面に液盛りされたIPA液体が超臨界状態の処理流体に溶け込み始める。なお、供給ユニット20から供給される処理流体は、超臨界状態であってもよいし、液体状態であってもよい。
【0077】
つづいて、乾燥ユニット19では、流通処理が行われる。流通処理において、乾燥ユニット19は、処理空間511の圧力を処理圧力に保ったまま、供給部55から処理空間511に処理流体を供給しつつ、処理空間511に供給された処理流体を排出部56から処理空間511の外部へ排出する。これにより、処理空間511には、ウェハWの周囲で所定の向きに流動する処理流体の層流が形成される。
【0078】
ウェハWのパターン形成面(上面)に存在するIPA液体は、高圧状態(たとえば、16MPa)である超臨界流体と接触することで、徐々に超臨界流体に溶解していき、最終的には、超臨界流体に置き換わる。これにより、パターンの間の隙間は、超臨界流体によって満たされた状態となる。
【0079】
つづいて、乾燥ユニット19では、減圧処理が行われる。減圧処理において、乾燥ユニット19は、処理空間511の圧力を高圧状態から大気圧まで減圧する。これにより、パターン間の隙間を満たしていた超臨界流体が通常のすなわち気体状態の処理流体に変化する。このようにしてパターンの間のIPA液体は除去され、ウェハWの乾燥処理が完了する。
【0080】
ここでは、乾燥防止用の液体としてIPA液体を用い、処理流体としてCO2を用いることとしたが、IPA以外の液体を乾燥防止用の液体として用いてもよいし、CO2以外の流体を処理流体として用いてもよい。
【0081】
つづいて、測定ユニット18の構成を説明する。
図6および
図7に示すように、測定ユニット18は、ケース41と、第3支持部42と、ベース部材43と、支持部材44とを備える。ケース41には、搬送装置16によってウェハWを搬入出するための開口部41aが形成される。
【0082】
第3支持部42は、たとえばロードセルであり、ウェハWを水平に支持してウェハWの重量を測定する。具体的には、第3支持部42は、液処理ユニット17によって液膜が形成された後、且つ、処理容器51に収容される前のウェハWの重量を測定する。第3支持部42は、測定したウェハWの重量に関する信号を制御部71に出力する。
【0083】
ベース部材43は、第3支持部42の下部に設けられる。ベース部材43は、ケース41の底部を貫通して位置する第2支持部54の上方に配置される。ベース部材43は、第2支持部54よりも開口部41a側に突出する突出部43aを有している。突出部43aは、第2支持部54を用いた搬送位置調整処理に用いられる。
【0084】
支持部材44は、ケース41の底部から第2支持部54よりも高い位置まで立ち上がるように設けられ、ベース部材43を下方から支持する。
【0085】
第3支持部42は、複数の乾燥ユニット19における各処理容器51に対して、ベース部材43および支持部材44を介して個別に設けられる。したがって、実施形態によれば、複数の乾燥ユニット19における各処理容器51に関して、各処理容器51に収容される前のウェハWの重量を個別に測定することができる。
【0086】
<搬送位置調整処理>
次に、実施形態に係る基板処理システム1により実行される搬送位置調整処理を含む一連の動作について
図9を参照して説明する。
図9は、実施形態に係る基板処理システム1により実行される一連の動作の手順を示すフローチャートである。
【0087】
図9に示すように、制御部71は、搬送装置13、16を用いて、ウェハWをキャリアCから受渡部14を経由して乾燥ユニット19に搬送し、搬送装置16のウェハ保持機構16aから第2支持部54にウェハWを受け渡す(ステップS201)。これにより、ウェハWの周縁と第2支持部54のガイド部材63とが当接し、ウェハWがガイド部材63によって支持台62に向けて案内される。このため、ウェハWの位置が規定の基準位置に近づく。
【0088】
制御部71は、ウェハ保持機構16aを上昇させ、第2支持部54からウェハWを持ち上げる。ここで、ウェハ保持機構16aには、ウェハ保持機構16aに保持されたウェハWの位置を検出する位置センサ(検出部の一例、不図示)が設けられている。
【0089】
制御部71は、ウェハ保持機構16aの位置センサを用いて、ウェハWの位置を検出する(ステップS202)。
【0090】
制御部71は、検出されたウェハWの位置と基準位置とのずれ量を算出する(ステップS203)。
【0091】
制御部71は、ずれ量が予め定められた許容範囲内であるか否かを判定する(ステップS204)。ずれ量が許容範囲内である場合(ステップS204Yes)、制御部71は、ウェハ保持機構16aの位置を補正することなく、基板処理を実行する(ステップS206)。ステップS206の基板処理は、
図3に示した基板処理に相当する。
【0092】
一方、ずれ量が許容範囲内ではない場合(ステップS204No)、制御部71は、ずれ量に基づき、ウェハ保持機構16aの位置を補正し(ステップS205)、その後、基板処理を実行する(ステップS206)。
【0093】
実施形態では、制御部71は、乾燥ユニット19へのウェハWの搬送時に、補正後のウェハ保持機構16aの位置に基づき、ウェハ保持機構16aから第1支持部53にウェハWを受け渡すように搬送装置16を制御する。たとえば、制御部71は、液膜形成処理後のウェハWを測定ユニット18から乾燥ユニット19へ搬送する際に(
図4の手順S4)、補正後のウェハ保持機構16aの位置に基づき、搬送装置16を制御する。これにより、実施形態によれば、乾燥ユニット19へのウェハWの搬送位置が適切に調整された状態で、測定ユニット18から乾燥ユニット19へのウェハの搬送を実行することができる。
【0094】
また、制御部71は、測定ユニット18へのウェハWの搬送時に、補正後のウェハ保持機構16aの位置に基づき、ウェハ保持機構16aから第3支持部42にウェハWを受け渡すように搬送装置16を制御する。たとえば、制御部71は、液膜形成処理後のウェハWを液処理ユニット17から測定ユニット18へ搬送する際に(
図4の手順S3)、補正後のウェハ保持機構16aの位置に基づき、搬送装置16を制御する。これにより、実施形態によれば、測定ユニット18へのウェハWの搬送位置が適切に調整された状態で、液処理ユニット17から測定ユニット18へのウェハの搬送を実行することができる。
【0095】
また、制御部71は、測定ユニット18から乾燥ユニット19へのウェハWの搬送時に、ウェハ保持機構16aを水平方向に旋回させることなくウェハ保持機構16aを用いて第3支持部42から第1支持部53へウェハWを受け渡すように搬送装置16を制御する。これにより、実施形態によれば、鉛直軸を中心とする旋回動作に伴って、ウェハWの上面に形成された液膜がウェハWから振り切られる可能性を低減することができる。
【0096】
<搬送位置調整処理の他の一例>
なお、
図9の例では、ウェハWの位置と基準位置とのずれ量に基づきウェハ保持機構16aの位置を補正する場合を例示したが、開示技術はこれに限られない。たとえば、各種の調整部材を用いてウェハ保持機構16aの位置をより精度良く補正するようにしてもよい。以下、実施形態に係る基板処理システム1により実行される搬送位置調整処理の他の一例について
図10A~
図10Fを参照して説明する。
図10A~
図10Fは、実施形態に係る基板処理システム1により実行される搬送位置調整処理の他の一例を示す動作説明図である。
【0097】
搬送装置16は、ウェハ保持機構16aを用いて、搬送部12内のストッカ(不図示)に格納された真空吸着部材101を保持する。真空吸着部材101は、ウェハWが載置された場合に、ウェハWの下面を真空吸着してウェハ保持機構16aに固定することができる。真空吸着部材101は、真空吸着に関する圧力を検出する圧力センサを備え、圧力センサによる検出結果を示す信号を制御部71へ出力する。制御部71は、真空吸着部材101上にウェハWを載置し且つ固定する。
【0098】
制御部71は、ウェハ保持機構16aによって、真空吸着部材101上に載置されたウェハWを測定ユニット18のケース41内に進入させる(
図10A参照)。
【0099】
制御部71は、ウェハ保持機構16aを降下させる(
図10B参照)。これにより、真空吸着部材101上に載置されたウェハWがベース部材43の突出部43aに当接して、真空吸着部材101から離脱する。ウェハWが真空吸着部材101から離脱すると、真空吸着部材101の圧力センサによる検出結果が変化する。制御部71は、真空吸着部材101の圧力センサによる検出結果が変化する高さ位置に基づき、Z軸方向におけるウェハ保持機構16aの位置を、ウェハWとベース部材43との干渉を発生させない高さ位置に補正する。
【0100】
制御部71は、ウェハ保持機構16aを上昇させることにより、真空吸着部材101上にウェハWを載置し且つ固定する。制御部71は、ウェハ保持機構16aによって、真空吸着部材101上に載置されたウェハWを測定ユニット18のケース41外に退避させる。
【0101】
制御部71は、補正後のウェハ保持機構16aの位置に基づき、真空吸着部材101上に載置されたウェハWを測定ユニット18のケース41内に進入させる(
図10C参照)。
【0102】
制御部71は、ウェハ保持機構16aを降下させる(
図10D参照)。これにより、真空吸着部材101上に載置されたウェハWが第2支持部54のガイド部材63に当接して、真空吸着部材101から離脱する。ウェハWが真空吸着部材101から離脱すると、真空吸着部材101の圧力センサによる検出結果が変化する。制御部71は、真空吸着部材101の圧力センサによる検出結果が変化する高さ位置に基づき、Z軸方向におけるウェハ保持機構16aの位置を、ウェハWを第2支持部54に受け渡すことができる高さ位置に補正する。また、真空吸着部材101から離脱したウェハWは、ガイド部材63によって支持台62に向けて案内される。このため、ウェハWの位置が規定の基準位置に近づく。
【0103】
制御部71は、ウェハ保持機構16aを上昇させ、第2支持部54からウェハWを持ち上げる。ここで、ウェハ保持機構16aには、ウェハ保持機構16aに保持されたウェハWの位置を検出する位置センサ(検出部の一例、不図示)が設けられている。
【0104】
制御部71は、ウェハ保持機構16aの位置センサを用いて、X軸方向およびY軸方向におけるウェハWの位置を検出する。制御部71は、検出されたウェハWの位置と基準位置とのずれ量を算出する。制御部71は、ずれ量に基づき、ウェハ保持機構16aの位置を補正する。
【0105】
搬送装置16は、ウェハ保持機構16aを用いて、搬送部12内のストッカ(不図示)に格納された調整基板102を保持する。調整基板102は、第2支持部54の複数(ここでは、4つ)の支柱61に対応する複数(ここでは、4つ)の位置に、ガイド溝102aを有する。ガイド溝102aは、テーパ面である内面を有し、かかる内面と支柱61の先端とを当接させることにより、調整基板102を内面に沿って移動させる。これにより、ガイド溝102aは、調整基板102の位置を規定の基準位置に近づけることができる。
【0106】
制御部71は、補正後のウェハ保持機構16aの位置に基づき、ウェハ保持機構16aに保持された調整基板102を測定ユニット18のケース41内に進入させる(
図10E参照)。
【0107】
制御部71は、ウェハ保持機構16aを降下させる(
図10F参照)。これにより、調整基板102がガイド溝102aの内面において支柱61の先端に当接して、ウェハ保持機構16aから離脱する。ウェハ保持機構16aから離脱した調整基板102は、ガイド溝102aの内面に沿って移動する。このため、調整基板102の位置が規定の基準位置に近づく。
【0108】
制御部71は、ウェハ保持機構16aを上昇させ、第2支持部54からウェハWを持ち上げる。ここで、ウェハ保持機構16aには、ウェハ保持機構16aに保持されたウェハWの位置を検出する位置センサ(検出部の一例、不図示)が設けられている。
【0109】
制御部71は、ウェハ保持機構16aの位置センサを用いて、X軸方向およびY軸方向におけるウェハWの位置を検出する。制御部71は、検出されたウェハWの位置と基準位置とのずれ量を算出する。制御部71は、ずれ量に基づき、ウェハ保持機構16aの位置を補正する。
【0110】
このように、実施形態に係る基板処理システム1は、調整部材(つまり、真空吸着部材101および調整基板102)を用いてウェハ保持機構16aの位置を2段階で補正する。これにより、ウェハ保持機構16aの位置をより精度良く補正することができる。
【0111】
以上のように、実施形態に係る基板処理装置(一例として、基板処理システム1)は、基板(一例として、ウェハW)を処理する処理ユニット(一例として、乾燥ユニット19)を備える。処理ユニットは、基板を収容する処理容器(一例として、処理容器51)と、処理容器の内部において基板を水平に支持する第1支持部(一例として、第1支持部53)と、処理容器の外部において基板を水平に支持する第2支持部(一例として、第2支持部54)とを有する。第1支持部および第2支持部は、少なくとも処理容器へ基板を搬入出する方向から見て、処理容器の内部および外部における基板の中心軸どうしが一致するように基板を支持する。これにより、実施形態によれば、処理容器の内部および外部での相対的な基板の位置ずれを抑制することができる。
【0112】
<変形例>
変形例に係る基板処理システム1では、乾燥ユニット19が、上部または下部が開放された処理容器を開閉可能な蓋体を有してもよい。そして、第1支持部53は、かかる蓋体に設けられてもよい。これにより、処理容器のメンテナンスを容易化することができる。
【0113】
変形例に係る基板処理システム1では、測定ユニット18が、処理容器51の内部において液膜の乾燥処理が行われた後のウェハW、つまり、超臨界乾燥処理後のウェハWの重量をさらに測定してもよい。受渡部14が、超臨界乾燥処理後のウェハWの重量をさらに測定してもよい。かかる場合、制御部71は、測定ユニット18によって測定された液膜形成処理後のウェハWの重量と、測定ユニット18または受渡部14によって測定された超臨界乾燥処理後のウェハWの重量との差に基づいて、ウェハWに形成された液膜の液量を検出してもよい。
【0114】
今回開示された実施形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。実に、上記した実施形態は多様な形態で具現され得る。また、上記の実施形態は、添付の請求の範囲およびその趣旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【符号の説明】
【0115】
1 基板処理システム
4 搬送ブロック
5 第1処理ブロック
6 第2処理ブロック
7 制御装置
14 受渡部
16 搬送装置
16a ウェハ保持機構
17 液処理ユニット
18 測定ユニット
19 乾燥ユニット
41 ケース
41a 開口部
42 第3支持部
51 処理容器
51a 開口部
53 第1支持部
54 第2支持部
61 支柱
62 支持台
63 ガイド部材
71 制御部
72 記憶部
511 処理空間
W ウェハ