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特開2024-168533光加入者線端局装置、光通信システム及びスリープ方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168533
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】光加入者線端局装置、光通信システム及びスリープ方法
(51)【国際特許分類】
   H04L 12/44 20060101AFI20241128BHJP
   H04L 41/0833 20220101ALI20241128BHJP
   H04B 10/272 20130101ALI20241128BHJP
【FI】
H04L12/44 200
H04L12/44 Z
H04L41/0833
H04B10/272
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023085288
(22)【出願日】2023-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上原 荘子
(72)【発明者】
【氏名】嶌津 聡志
(72)【発明者】
【氏名】関口 真良
(72)【発明者】
【氏名】吉田 智暁
(72)【発明者】
【氏名】嶋田 善行
【テーマコード(参考)】
5K033
5K102
【Fターム(参考)】
5K033AA04
5K033DA01
5K033DA15
5K033DB17
5K033DB22
5K102AA20
5K102AL08
5K102PD13
5K102PH49
5K102PH50
(57)【要約】
【課題】光加入者線端局装置の消費電力を低減させることが可能である光加入者線端局装置、光通信システム及びスリープ方法を提供する。
【解決手段】光加入者線端局装置は、少なくとも第1ポートを用いて第1光加入者線終端装置と通信する第1通信部と、少なくとも第2ポートを用いて第2光加入者線終端装置と通信する第2通信部と、第2通信部のスリープが可であるか否かを判定する判定部と、第2通信部のスリープが可であると判定された場合、第1光加入者線終端装置から出力された第1上り信号と第2光加入者線終端装置から出力された第2上り信号とが第1通信部に入力され、第1通信部から出力された第1下り信号が第1光加入者線終端装置に入力され、且つ、第1通信部から出力された第2下り信号が第2光加入者線終端装置に入力されるように、信号経路を変更し、第2通信部をスリープさせる制御部とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも第1ポートを用いて第1光加入者線終端装置と通信する第1通信部と、
少なくとも第2ポートを用いて第2光加入者線終端装置と通信する第2通信部と、
前記第2通信部のスリープが可であるか否かを判定する判定部と、
前記第2通信部のスリープが可であると判定された場合、前記第1光加入者線終端装置から出力された第1上り信号と前記第2光加入者線終端装置から出力された第2上り信号とが前記第1通信部に入力され、前記第1通信部から出力された第1下り信号が前記第1光加入者線終端装置に入力され、且つ、前記第1通信部から出力された第2下り信号が前記第2光加入者線終端装置に入力されるように、信号経路を変更し、前記第2通信部をスリープさせる制御部と
を備える光加入者線端局装置。
【請求項2】
前記判定部は、前記第1通信部の配下の第1光加入者線端局装置と前記第2通信部の配下の第2光加入者線端局装置とを前記第1通信部が収容することが可能である場合、前記第2通信部のスリープが可であると判定する、請求項1に記載の光加入者線端局装置。
【請求項3】
前記判定部は、前記第1上り信号の帯域の計測値の平均値が第1閾値以下であり、且つ、前記第1下り信号の帯域の計測値の平均値が第2閾値以下である場合、前記第1光加入者線端局装置と前記第2光加入者線端局装置とを前記第1通信部が収容することが可能であると判定する、請求項2に記載の光加入者線端局装置。
【請求項4】
前記判定部は、前記第1上り信号の帯域の割当値と前記第2上り信号の帯域の割当値との合計が第3閾値以下であり、且つ、前記第1下り信号の帯域の計測値と前記第2下り信号の帯域の計測値との合計が第4閾値以下である場合、前記第1光加入者線端局装置と前記第2光加入者線端局装置とを前記第1通信部が収容することが可能であると判定する、請求項2に記載の光加入者線端局装置。
【請求項5】
光加入者線端局装置と、第1光加入者線終端装置と、第2光加入者線終端装置とを備える光通信システムであって、
前記光加入者線端局装置は、
少なくとも第1ポートを用いて第1光加入者線終端装置と通信する第1通信部と、
少なくとも第2ポートを用いて第2光加入者線終端装置と通信する第2通信部と、
前記第2通信部のスリープが可であるか否かを判定する判定部と、
前記第2通信部のスリープが可であると判定された場合、前記第1光加入者線終端装置から出力された第1上り信号と前記第2光加入者線終端装置から出力された第2上り信号とが前記第1通信部に入力され、前記第1通信部から出力された第1下り信号が前記第1光加入者線終端装置に入力され、且つ、前記第1通信部から出力された第2下り信号が前記第2光加入者線終端装置に入力されるように、信号経路を変更し、前記第2通信部をスリープさせる制御部とを備え、
前記第1光加入者線終端装置は、前記第1通信部と通信し、
前記第2光加入者線終端装置は、前記信号経路の変更前に前記第2通信部と通信し、前記信号経路の変更後に前記第1通信部と通信する、
光通信システム。
【請求項6】
光加入者線端局装置が実行するスリープ方法であって、
第1通信部が、少なくとも第1ポートを用いて第1光加入者線終端装置と通信するステップと、
第2通信部が、少なくとも第2ポートを用いて第2光加入者線終端装置と通信するステップと、
判定部が、前記第2通信部のスリープが可であるか否かを判定するステップと、
制御部が、前記第2通信部のスリープが可であると判定された場合、前記第1光加入者線終端装置から出力された第1上り信号と前記第2光加入者線終端装置から出力された第2上り信号とが前記第1通信部に入力され、前記第1通信部から出力された第1下り信号が前記第1光加入者線終端装置に入力され、且つ、前記第1通信部から出力された第2下り信号が前記第2光加入者線終端装置に入力されるように、信号経路を変更し、前記第2通信部をスリープさせるステップと
を含むスリープ方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光加入者線端局装置、光通信システム及びスリープ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光通信システムの一例として、受動光網(PON: Passive Optical Network)システムがある。図17は、光通信システム10の構成例を示す図である。光通信システム10は、受動光網システムである。光通信システム10は、上位装置と、光加入者線端局装置(OLT: Optical Line Terminal)と、複数の光加入者線終端装置(ONU: Optical Network Unit)とを備える。光加入者線端局装置は、複数の受動光網装置(PONパッケージ)を備える。受動光網装置は、複数のMAC(Media Access Control)処理部と、ポート(PONポート)とを備える。ここで、受動光網装置は、1個のポートごとに、1個のMAC処理部(MACチップ)を備える。すなわち、受動光網装置において、MAC処理部とポートとは1対1で接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-205290号公報
【特許文献2】特開2020-110016号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
光加入者線端局装置の消費電力を低減させる目的で、MAC処理部(MACチップ)をスリープさせる必要がある。しかしながら、MAC処理部がポートごとに備えられているので、MAC処理部がスリープした場合、そのMAC処理部の配下の光加入者線終端装置と、光加入者線端局装置との間の通信ができなくなる。したがって、MAC処理部は常に起動している必要がある。このため、光加入者線端局装置の消費電力を低減させることができないという問題がある。
【0005】
上記事情に鑑み、本発明は、光加入者線端局装置の消費電力を低減させることが可能である光加入者線端局装置、光通信システム及びスリープ方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、少なくとも第1ポートを用いて第1光加入者線終端装置と通信する第1通信部と、少なくとも第2ポートを用いて第2光加入者線終端装置と通信する第2通信部と、前記第2通信部のスリープが可であるか否かを判定する判定部と、前記第2通信部のスリープが可であると判定された場合、前記第1光加入者線終端装置から出力された第1上り信号と前記第2光加入者線終端装置から出力された第2上り信号とが前記第1通信部に入力され、前記第1通信部から出力された第1下り信号が前記第1光加入者線終端装置に入力され、且つ、前記第1通信部から出力された第2下り信号が前記第2光加入者線終端装置に入力されるように、信号経路を変更し、前記第2通信部をスリープさせる制御部とを備える光加入者線端局装置である。
【0007】
本発明の一態様は、光加入者線端局装置と、第1光加入者線終端装置と、第2光加入者線終端装置とを備える光通信システムであって、前記光加入者線端局装置は、少なくとも第1ポートを用いて第1光加入者線終端装置と通信する第1通信部と、少なくとも第2ポートを用いて第2光加入者線終端装置と通信する第2通信部と、前記第2通信部のスリープが可であるか否かを判定する判定部と、前記第2通信部のスリープが可であると判定された場合、前記第1光加入者線終端装置から出力された第1上り信号と前記第2光加入者線終端装置から出力された第2上り信号とが前記第1通信部に入力され、前記第1通信部から出力された第1下り信号が前記第1光加入者線終端装置に入力され、且つ、前記第1通信部から出力された第2下り信号が前記第2光加入者線終端装置に入力されるように、信号経路を変更し、前記第2通信部をスリープさせる制御部とを備え、前記第1光加入者線終端装置は、前記第1通信部と通信し、前記第2光加入者線終端装置は、前記信号経路の変更前に前記第2通信部と通信し、前記信号経路の変更後に前記第1通信部と通信する、光通信システムである。
【0008】
本発明の一態様は、光加入者線端局装置が実行するスリープ方法であって、第1通信部が、少なくとも第1ポートを用いて第1光加入者線終端装置と通信するステップと、第2通信部が、少なくとも第2ポートを用いて第2光加入者線終端装置と通信するステップと、判定部が、前記第2通信部のスリープが可であるか否かを判定するステップと、制御部が、前記第2通信部のスリープが可であると判定された場合、前記第1光加入者線終端装置から出力された第1上り信号と前記第2光加入者線終端装置から出力された第2上り信号とが前記第1通信部に入力され、前記第1通信部から出力された第1下り信号が前記第1光加入者線終端装置に入力され、且つ、前記第1通信部から出力された第2下り信号が前記第2光加入者線終端装置に入力されるように、信号経路を変更し、前記第2通信部をスリープさせるステップとを含むスリープ方法である。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、光加入者線端局装置の消費電力を低減させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態における、光通信システムの構成例を示す図である。
図2】第1実施形態における、スリープの可否の判定動作例を示すフローチャートである。
図3】第1実施形態における、スリープの設定又は解除の指示動作例を示すフローチャートである。
図4】第1実施形態における、光加入者線端局装置によるスリープ設定動作の例を示すシーケンス図である。
図5】第1実施形態における、光加入者線端局装置によるスリープ解除動作の例を示すシーケンス図である。
図6】第1実施形態の変形例における、スリープの可否の判定動作例を示すフローチャートである。
図7】第2実施形態における、光通信システムの構成例を示す図である。
図8】第2実施形態における、光加入者線端局装置によるスリープ設定動作の例を示すシーケンス図である。
図9】第2実施形態における、光加入者線端局装置によるスリープ解除動作の例を示すシーケンス図である。
図10】第3実施形態における、光通信システムの構成例を示す図である。
図11】第3実施形態における、光加入者線端局装置によるスリープ設定動作の例を示すシーケンス図である。
図12】第3実施形態における、光加入者線端局装置によるスリープ解除動作の例を示すシーケンス図である。
図13】第4実施形態における、光通信システムの構成例を示す図である。
図14】第4実施形態における、光加入者線端局装置によるスリープ設定動作の例を示すシーケンス図である。
図15】第4実施形態における、光加入者線端局装置によるスリープ解除動作の例を示すシーケンス図である。
図16】各実施形態における、光加入者線端局装置のハードウェア構成例を示す図である。
図17】光通信システムの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態における、光通信システム1aの構成例を示す図である。光通信システム1aは、光信号を用いて通信するシステムである。光通信システム1aは、上位装置2と、光加入者線端局装置3a(局側の通信装置)(OLT)と、複数の光加入者線終端装置4(ユーザ端末側の通信装置)(ONU)とを備える。図1において、主信号線は実線で表される。制御信号線は破線で表される。
【0012】
上位装置2は、例えばサーバ装置である。上位装置2は、中継装置でもよい。光加入者線端局装置3aは、M(Mは、1以上の整数)個の受動光網装置31aを備える。受動光網装置31a(PONパッケージ)は、光加入者線装置(OSU: Optical Subscriber Unit)である。
【0013】
受動光網装置31aは、集約部311と、判定部312と、制御部313と、N(Nは、2以上の整数)個のMAC処理部314と、N個のL1スイッチ315(レイヤ1スイッチ)と、N個のポート316とを備える。ここで、MAC処理部314は、ポート316ごとに備えられる。すなわち、MAC処理部314とポート316とは、1対1で備えられる。
【0014】
MAC処理部314-1からMAC処理部314-NまでのN個のMAC処理部314のうち、奇数番のMAC処理部314は、第1グループに予め分類される。また、N個のMAC処理部314のうち、偶数番のMAC処理部314は、第2グループに予め分類される。
【0015】
L1スイッチ315(経路変更部)は、ポート316ごとに備えられる。すなわち、L1スイッチ315とポート316とは、1対1で備えられる。各L1スイッチ315は、第1グループに属するMAC処理部314と、第2グループに属するMAC処理部314との計2個のMAC処理部314に接続される。例えば、L1スイッチ315-1は、MAC処理部314-1だけでなく、MAC処理部314-2にも接続される。また、L1スイッチ315-2は、MAC処理部314-2だけでなく、MAC処理部314-1にも接続される。
【0016】
ポート316(PONポート)は、伝送路を用いて、1台以上の光加入者線終端装置4と接続されている。伝送路は、光ファイバと、光スプリッタとを有する。光加入者線終端装置4-n(nは、1からNまでの整数)は、光信号を用いて、下りの主信号(以下「下り信号」という。)を、ポート316-nから取得する。光加入者線終端装置4-nは、光信号を用いて、上りの主信号(以下「上り信号」という。)を、ポート316-nに送信する。
【0017】
光加入者線端局装置3aについて説明する。
光加入者線端局装置3aは、上位装置2から送信された下り信号(下りフレーム)を、光信号を用いて各光加入者線終端装置4に送信する。光加入者線端局装置3aは、光信号を用いて各光加入者線終端装置4から送信された上り信号(上りフレーム)を、上位装置2に送信する。
【0018】
集約部311(集線機能部)は、制御部313によって選択された経路に基づいて、受動光網装置31aにおいて選択された経路のMAC処理部314に、下り信号を出力する。集約部311は、各MAC処理部314から出力された上り信号を、上位装置2に送信する。
【0019】
判定部312(検出部)は、MAC処理部314の状態を検出する。判定部312は、MAC処理部314の状態をスリープ(低消費電力モード)に遷移させることが可能であるか否かを、MAC処理部314ごとに判定する。すなわち、判定部312は、スリープの設定が可能であるか否かを、MAC処理部314ごとに判定する。判定部312は、MAC処理部314の状態をスリープから遷移させること(MAC処理部314の再起動)が必要であるか否かを、MAC処理部314ごとに判定する。すなわち、判定部312は、スリープの解除が必要であるか否かを、MAC処理部314ごとに判定する。
【0020】
制御部313は、判定部312による判定結果に基づいて、受動光網装置31aにおける主信号の経路を選択する。制御部313は、選択された経路のMAC処理部314がスリープしている場合、そのMAC処理部314のスリープを解除する。制御部313は、選択されていない経路のMAC処理部314の状態をスリープに設定する。
【0021】
制御部313は、共通のL1スイッチ315に接続された2個のMAC処理部314について、第1グループのMAC処理部314(第1のMAC処理部)の配下の光加入者線終端装置4の論理リンク識別子(LLID: Logical Link identifier)と、第2グループのMAC処理部314(第2のMAC処理部)の配下の光加入者線終端装置4の論理リンク識別子とが重複しないように、論理リンク識別子の割当を制御する。
【0022】
例えば、制御部313は、L1スイッチ315-1に接続されたMAC処理部314-1及びMAC処理部314-2について、MAC処理部314-1の配下の光加入者線終端装置4-1の論理リンク識別子と、MAC処理部314-2の配下の光加入者線終端装置4-1の論理リンク識別子とが重複しないように、光加入者線終端装置4-1の論理リンク識別子の割当を制御する。
【0023】
MAC処理部314(MACチップ)は、通信部である。MAC処理部314は、メディアアクセス制御等の通信に関する処理を、MAC処理部314に入力された信号に対して実行する。例えば、MAC処理部314は、制御部313による制御に基づいて、論理リンクの状態を管理する。例えば、MAC処理部314は、下り信号を複製する。MAC処理部314は、複製された下り信号を、自MAC処理部に接続された2個のL1スイッチ315にそれぞれ出力する。例えば、MAC処理部314-1は、ポート316-1のL1スイッチ315-1から出力された上り信号と、ポート316-2のL1スイッチ315-2から出力された上り信号とのうちのいずれの上り信号を取得するかを、時分割多重アクセスのタイミングで選択する。
【0024】
制御部313による制御によってMAC処理部314-2がスリープした場合、MAC処理部314-1は、ポート316-1の配下の各光加入者線終端装置4-1と、ポート316-2の配下の各光加入者線終端装置4-2とを収容する。制御部313による制御によってMAC処理部314-1がスリープした場合、MAC処理部314-2は、ポート316-1の配下の各光加入者線終端装置4-1と、ポート316-2の配下の各光加入者線終端装置4-2とを収容する。
【0025】
このように、グループが異なる2個のMAC処理部314に対して1個のL1スイッチ315が接続されているので、これら2個のMAC処理部314のうちのいずれかをスリープさせることができる場合がある。
【0026】
L1スイッチ315は、第1レイヤ(物理層)のレベルで、主信号の経路の切り替えを実行する。L1スイッチ315-nは、前段の2個のMAC処理部314からそれぞれ出力された下り信号を、ポート316-nに出力する。L1スイッチ315は、制御部313によって選択された経路のMAC処理部314に、上り信号を振り分ける。例えば、L1スイッチ315-1は、MAC処理部314-1の経路とMAC処理部314-2の経路とのうちから選択された経路のMAC処理部314-1に、上り信号を振り分ける。ここで、選択された経路のMAC処理部314-1は、スリープしておらず、起動している。なお、L1スイッチ315は、信号を複数の経路から同時に受信しなくてもよい。
【0027】
ポート316-n(PONポート)は、配下の各光加入者線終端装置4-nから送信された上り信号(上りの光信号)を、L1スイッチ315-nに出力する。ポート316-nは、L1スイッチ315-nから出力された下り信号を、下りの光信号を用いて、配下の各光加入者線終端装置4-nに送信する。
【0028】
次に、光通信システム1aの動作例を説明する。
図2は、第1実施形態における、スリープの可否の判定動作例を示すフローチャートである。判定部312(検出部)は、スリープ設定の判定動作を、第1周期(例えば、1分周期)で実行する。以下では、スリープの可否の判定対象とされたMAC処理部314は、一例として、MAC処理部314-2(第2のMAC処理部)である。
【0029】
判定部312は、MAC処理部314-1(第1のMAC処理部)の上り信号の帯域(リンク速度)の計測値を、MAC処理部314-1から取得する(ステップS101)。判定部312は、MAC処理部314-1の下り信号の帯域の計測値を、集約部311から取得する(ステップS102)。
【0030】
判定部312は、MAC処理部314-1の上り信号の帯域の計測値の平均値(平均計測値)が第1閾値以下であるか否かを判定する。第1閾値は、上り信号の最低保証帯域に基づいて予め定められる。MAC処理部314-1の上り信号の帯域の計測値の平均値は、例えば、「MAC処理部314-1の上り信号の帯域の計測値/(MAC処理部314-1の配下の光加入者線終端装置4の台数 + MAC処理部314-2の配下の光加入者線終端装置4の台数)」と表される(ステップS103)。
【0031】
MAC処理部314-1の上り信号の帯域の計測値の平均値が第1閾値以下であると判定された場合(ステップS103:YES)、判定部312は、MAC処理部314-1の下り信号の帯域の計測値の平均値が第2閾値以下であるか否かを判定する。第2閾値は、下り信号の最低保証帯域に基づいて予め定められる。MAC処理部314-1の下り信号の帯域の計測値の平均値は、例えば、「MAC処理部314-1の上りの帯域の計測値/(MAC処理部314-1の配下の光加入者線終端装置4の台数 + MAC処理部314-2の配下の光加入者線終端装置4の台数)」と表される(ステップS104)。
【0032】
MAC処理部314-1の下り信号の帯域の計測値の平均値が第2閾値以下であると判定された場合(ステップS104:YES)、MAC処理部314-1における最低保証帯域の条件が満たされるので、判定部312は、MAC処理部314-2のスリープが可であることを、制御部313に通知する(ステップS105)。
【0033】
MAC処理部314-1の上り信号の帯域の計測値の平均値が第1閾値未満であると判定された場合(ステップS103:NO)、又は、MAC処理部314-1の下り信号の帯域の計測値の平均値が第2閾値未満であると判定された場合(ステップS104:NO)、MAC処理部314-1における最低保証帯域の条件が満たされないので、判定部312は、MAC処理部314-2のスリープが不可であることを、制御部313に通知する(ステップS106)。
【0034】
図3は、第1実施形態における、スリープの設定又は解除の指示動作例を示すフローチャートである。判定部312は、スリープ解除の判定動作を、第1周期よりも短い第2周期で実行する。制御部313は、MAC処理部314-2(第2のMAC処理部)のスリープが可であることを判定部312から通知されたか否かを判定する(ステップS201)。MAC処理部314-2のスリープが可であることを判定部312から通知された場合(ステップS201:YES)、制御部313は、MAC処理部314-2がスリープ中であるか否かを判定する(ステップS202)。
【0035】
MAC処理部314-2がスリープ中であると判定された場合(ステップS202:YES)、制御部313は、ステップS201に処理を戻す。MAC処理部314-2が起動中であると判定された場合(ステップS202:NO)、制御部313は、スリープへの遷移(スリープの設定)を、MAC処理部314-2に指示する(ステップS203)。制御部313は、ステップS201に処理を戻す。
【0036】
MAC処理部314-2のスリープが不可であることを判定部312から通知された場合(ステップS201:NO)、制御部313は、MAC処理部314-2がスリープ中であるか否かを判定する(ステップS204)。MAC処理部314-2が起動中であると判定された場合(ステップS204:NO)、制御部313は、ステップS201に処理を戻す。MAC処理部314-2がスリープ中であると判定された場合(ステップS202:YES)、制御部313は、スリープからの遷移(スリープの解除)を、MAC処理部314-2に指示する(ステップS205)。制御部313は、ステップS201に処理を戻す。
【0037】
図4は、第1実施形態における、光加入者線端局装置3aによるスリープ設定動作の例を示すシーケンス図である。判定部312は、MAC処理部314-1(第1のMAC処理部)の上り信号の帯域の計測値を、MAC処理部314-1から取得する。判定部312は、MAC処理部314-1の配下の光加入者線終端装置4の台数の情報を、MAC処理部314-1から取得する(ステップS301)。
【0038】
判定部312は、MAC処理部314-2(第2のMAC処理部)の上り信号の帯域の計測値を、MAC処理部314-2から取得する。判定部312は、MAC処理部314-2の配下の光加入者線終端装置4の台数の情報を、MAC処理部314-2から取得する(ステップS302)。
【0039】
判定部312は、MAC処理部314-1の下り信号の帯域の計測値を、集約部311から取得する。判定部312は、MAC処理部314-1の下り信号の帯域の計測値を、集約部311から取得する(ステップS303)。判定部312は、MAC処理部314-2のスリープが可であるか否かを判定する。判定部312は、MAC処理部314-2のスリープが可であるとの判定結果を、制御部313に通知する(ステップS304)。
【0040】
制御部313は、下り信号の送信を停止させる指示を、集約部311に送信する。集約部311は、下り信号を保管する(ステップS305)。制御部313は、上り信号の送信を停止させる指示を、MAC処理部314-2に送信する。MAC処理部314-2は、上り信号を保管する(ステップS306)。集約部311は、MAC処理部314-2の配下の光加入者線終端装置4の情報(例えば、論理リンク識別子)を、MAC処理部314-1に通知する(ステップS307)。
【0041】
制御部313は、MAC処理部314-1に主信号が入力されるように、主信号の経路(信号経路)の切替指示をL1スイッチ315-1に出力する。L1スイッチ315-1は、主信号の経路を切り替える(ステップS308)。
【0042】
制御部313は、MAC処理部314-1の配下の光加入者線終端装置4と、MAC処理部314-2の配下の光加入者線終端装置4とについて、上り信号の帯域の割当指示を、MAC処理部314-1に出力する(ステップS309)。制御部313は、下り信号の送信(転送)を開始させる指示を、集約部311に送信する。集約部311は、下り信号をMAC処理部314-1に出力する(ステップS310)。制御部313は、スリープへの遷移を、MAC処理部314-2に指示する。MAC処理部314-2は、スリープする(ステップS311)。
【0043】
図5は、第1実施形態における、光加入者線端局装置3aによるスリープ解除動作の例を示すシーケンス図である。判定部312は、MAC処理部314-1の上り信号の帯域の計測値を、MAC処理部314-1から取得する。判定部312は、MAC処理部314-1の配下の光加入者線終端装置4の台数の情報を、MAC処理部314-1から取得する(ステップS401)。
【0044】
判定部312は、MAC処理部314-1の下り信号の帯域の計測値を、集約部311から取得する。判定部312は、MAC処理部314-1の下り信号の帯域の計測値を、集約部311から取得する(ステップS402)。判定部312は、MAC処理部314-2のスリープが可であるか否かを判定する。判定部312は、MAC処理部314-2のスリープが不可であるとの判定結果を、制御部313に通知する(ステップS403)。
【0045】
制御部313は、スリープからの遷移を、MAC処理部314-2に指示する。MAC処理部314-2は起動する(ステップS404)。制御部313は、下り信号の送信を停止させる指示を、集約部311に出力する。集約部311は、下り信号を保管する(ステップS405)。制御部313は、上り信号の送信を停止させる指示を、MAC処理部314-1に送信する。MAC処理部314-1は、上り信号を保管する(ステップS406)。
【0046】
制御部313は、MAC処理部314-1に主信号が入力されるように、主信号の経路の切戻指示をL1スイッチ315-1に出力する。L1スイッチ315-1は、主信号の経路を切り戻す。制御部313は、MAC処理部314-2に主信号が入力されるように、主信号の経路の切戻指示をL1スイッチ315-2に出力する。L1スイッチ315-2は、主信号の経路を切り戻す(ステップS407)。
【0047】
制御部313は、MAC処理部314-2の配下の光加入者線終端装置4について、上り信号の帯域の割当指示を、MAC処理部314-2に出力する。MAC処理部314-2は、上り信号を集約部311に出力する(ステップS408)。制御部313は、MAC処理部314-1の配下の光加入者線終端装置4について、上り信号の帯域の割当指示を、MAC処理部314-1に出力する。MAC処理部314-1は、上り信号を集約部311に出力する(ステップS409)。制御部313は、下り信号の送信を開始させる指示を、集約部311に出力する。集約部311は、MAC処理部314-1及びMAC処理部314-2に、下り信号を出力する(ステップS410)。
【0048】
以上のように、MAC処理部314-1(第1通信部)は、少なくともポート316-1(第1ポート)を用いて、MAC処理部314-1の配下の光加入者線終端装置4-1(第1光加入者線終端装置)と通信する。MAC処理部314-2(第2通信部)は、少なくともポート316-2(第2ポート)を用いて、MAC処理部314-2の配下の光加入者線終端装置4-2(第2光加入者線終端装置)と通信する。
【0049】
判定部312は、MAC処理部314-2のスリープが可であるか否かを判定する。例えば、MAC処理部314-1の配下の光加入者線終端装置4-1とMAC処理部314-2の配下の光加入者線終端装置4-2とをMAC処理部314-1が収容することが可能である場合、判定部312は、MAC処理部314-2のスリープが可であると判定する。例えば、第1上り信号の帯域の計測値の平均値が第1閾値以下であり、且つ、第1下り信号の帯域の計測値の平均値が第2閾値以下である場合、判定部312は、光加入者線終端装置4-1と光加入者線終端装置4-2とをMAC処理部314-1が収容することが可能であると判定する。
【0050】
制御部313は、MAC処理部314-2のスリープが可であると判定された場合、光加入者線終端装置4-1から出力された第1上り信号と光加入者線終端装置4-2から出力された第2上り信号とがMAC処理部314-1に入力されるように、L1スイッチ315を用いて、信号経路を変更する。制御部313は、MAC処理部314-2のスリープが可であると判定された場合、MAC処理部314-1から出力された第1下り信号が光加入者線終端装置4-1に入力され、且つ、MAC処理部314-1から出力された第2下り信号が光加入者線終端装置4-2に入力されるように、L1スイッチ315を用いて、信号経路を変更する。制御部313は、MAC処理部314-2をスリープさせる。
【0051】
光加入者線終端装置4-1は、MAC処理部314-1と通信する。光加入者線終端装置4-2は、信号経路の変更前に、MAC処理部314-2と通信する。光加入者線終端装置4-2は、信号経路の変更後に、MAC処理部314-1と通信する。
【0052】
このように、複数のMAC処理部314のうちの一方のMAC処理部314がスリープしても、他方のMAC処理部314が信号を次段に転送する。これによって、光加入者線端局装置3aの消費電力を低減させることが可能である。MAC処理部314とポート316とが1対1で備えられていても、複数のポート316に対して、1個のMAC処理部314を用いて運用可能であるため、消費電力を低減させることが可能である。
【0053】
(第1実施形態の変形例)
第1実施形態の変形例では、帯域の割当値の合計に基づいてスリープの可否が判定される点が、第1実施形態との主な差分である。第1実施形態の変形例では、第1実施形態との差分を中心に説明する。
【0054】
図6は、第1実施形態の変形例における、スリープの可否の判定動作例を示すフローチャートである。判定部312は、MAC処理部314-1(第1のMAC処理部)の上り信号の帯域の計測値を、MAC処理部314-1から取得する(ステップS501)。判定部312は、MAC処理部314-2(第2のMAC処理部)の上り信号の帯域の計測値を、MAC処理部314-2から取得する(ステップS502)。判定部312は、MAC処理部314-1の下り信号の帯域の計測値と、MAC処理部314-2の下り信号の帯域の計測値とを、集約部311から取得する(ステップS503)。
【0055】
判定部312は、2個のMAC処理部314の上り信号の帯域の割当値の合計が第3閾値以下であるか否かを判定する。第3閾値は、MAC処理部314-1の上り信号の帯域の設計値に係数(例えば、0.8)が乗算された結果である。2個のMAC処理部314の上り信号の帯域の割当値の合計は、「MAC処理部314-1の上り信号の帯域の割当値 + MAC処理部314-2の上り信号の帯域の割当値」と表される(ステップS504)。
【0056】
2個のMAC処理部314の上り信号の帯域の割当値の合計が第3閾値以下であると判定された場合(ステップS504:YES)、判定部312は、2個のMAC処理部314の下り信号の帯域の計測値の合計が第4閾値以下であるか否かを判定する。第4閾値は、MAC処理部314-1の下り信号の帯域の設計値に係数(例えば、0.8)が乗算された結果である。2個のMAC処理部314の下り信号の帯域の計測値の合計は、「MAC処理部314-1の下り信号の帯域の計測値 + MAC処理部314-2の下り信号の帯域の計測値」と表される(ステップS505)。
【0057】
2個のMAC処理部314の下り信号の帯域の計測値の合計が第4閾値以下であると判定された場合(ステップS505:YES)、判定部312は、MAC処理部314-2のスリープが可であることを、制御部313に通知する(ステップS506)。判定部312は、ステップS501に処理を戻す。
【0058】
2個のMAC処理部314の上り信号の帯域の割当値の合計が第3閾値を超えていると判定された場合(ステップS504:NO)、又は、2個のMAC処理部314の下り信号の帯域の計測値の合計が第4閾値を超えていると判定された場合(ステップS505:NO)、判定部312は、MAC処理部314-2のスリープが不可であることを、制御部313に通知する(ステップS507)。判定部312は、ステップS501に処理を戻す。
【0059】
以上のように、第1上り信号の帯域の割当値と第2上り信号の帯域の割当値との合計が第3閾値以下であり、且つ、第1下り信号の帯域の計測値と第2下り信号の帯域の計測値との合計が第4閾値以下である場合、判定部312は、光加入者線終端装置4-1と光加入者線終端装置4-2とをMAC処理部314-1が収容することが可能である、と判定する。これによって、光加入者線端局装置3aの消費電力を低減させることが可能である。
【0060】
(第2実施形態)
第2実施形態では、L2スイッチが信号を振り分ける点が、第1実施形態との主な差分である。第2実施形態では、第1実施形態との差分を中心に説明する。
【0061】
図7は、第2実施形態における、光通信システム1bの構成例を示す図である。光通信システム1bは、光信号を用いて通信するシステムである。光通信システム1aは、上位装置2と、光加入者線端局装置3b(OLT)と、複数の光加入者線終端装置4(ONU)とを備える。光加入者線端局装置3bは、M個の受動光網装置31bを備える。受動光網装置31b(PONパッケージ)は、光加入者線装置(OSU)である。
【0062】
受動光網装置31bは、集約部311と、判定部312と、制御部313と、N個のMAC処理部314と、L2スイッチ317(レイヤ2スイッチ)と、N個のポート316とを備える。ここで、MAC処理部314は、ポート316ごとに備えられる。すなわち、MAC処理部314とポート316とは、1対1で備えられる。L2スイッチ317は、N個のMAC処理部314と、N個のポート316とに接続される。
【0063】
L2スイッチ317(経路変更部)は、第2レイヤ(データリンク層)のレベルで、主信号の経路の切り替えを実行する。L2スイッチ317には、複数の経路から、主信号が入力されてもよい。L2スイッチ317は、前段の複数のMAC処理部314からそれぞれ出力された下り信号を、選択された経路のポート316に出力する。L2スイッチ317は、制御部313によって選択された経路のMAC処理部314に、上り信号を振り分ける。例えば、L2スイッチ317は、複数のMAC処理部314の経路のうちから選択された経路のMAC処理部314-1に、上り信号を振り分ける。
【0064】
次に、光通信システム1bの動作例を説明する。
図8は、第2実施形態における、光加入者線端局装置3bによるスリープ設定動作の例を示すシーケンス図である。ステップS601からステップS607までの各動作は、図4に例示されたステップS301からステップS307までの各動作と同様である。制御部313は、MAC処理部314-1に主信号が入力されるように、主信号の経路の切替指示をL2スイッチ315に出力する。L2スイッチ315は、主信号の経路を切り替える(ステップS608)。ステップS609からステップS611までの各動作は、図4に例示されたステップS309からステップS311までの各動作と同様である。
【0065】
図9は、第2実施形態における、光加入者線端局装置3bによるスリープ解除動作の例を示すシーケンス図である。ステップS701からステップS705までの各動作は、図5に例示されたステップS401からステップS405までの各動作と同様である。制御部313は、MAC処理部314-2の配下の光加入者線終端装置4について、上り信号の帯域の割当指示を、MAC処理部314-2に出力する。MAC処理部314-2は、上り信号を集約部311に出力する(ステップS706)。
【0066】
制御部313は、MAC処理部314-1に主信号が入力されるように、主信号の経路の切戻指示をL2スイッチ317に出力する。L2スイッチ317は、主信号の経路を切り戻す。制御部313は、MAC処理部314-2に主信号が入力されるように、主信号の経路の切戻指示をL2スイッチ317に出力する。L2スイッチ317は、主信号の経路を切り戻す(ステップS707)。
【0067】
制御部313は、MAC処理部314-1の配下の光加入者線終端装置4について、上り信号の帯域の割当指示を、MAC処理部314-1に出力する。MAC処理部314-1は、上り信号を集約部311に出力する(ステップS708)。制御部313は、下り信号の送信を開始させる指示を、集約部311に出力する。集約部311は、MAC処理部314-1及びMAC処理部314-2に、下り信号を出力する(ステップS709)。
【0068】
以上のように、制御部313は、MAC処理部314-2のスリープが可であると判定された場合、光加入者線終端装置4-1から出力された第1上り信号と光加入者線終端装置4-2から出力された第2上り信号とがMAC処理部314-1に入力されるように、L2スイッチ317を用いて、信号経路を変更する。制御部313は、MAC処理部314-2のスリープが可であると判定された場合、MAC処理部314-1から出力された第1下り信号が光加入者線終端装置4-1に入力され、且つ、MAC処理部314-1から出力された第2下り信号が光加入者線終端装置4-2に入力されるように、L2スイッチ317を用いて、信号経路を変更する。制御部313は、MAC処理部314-2をスリープさせる。これによって、光加入者線端局装置3bの消費電力を低減させることが可能である。
【0069】
(第3実施形態)
第3実施形態では、光加入者線端局装置と光加入者線終端装置との間に備えられた選択装置(光セレクタ)が経路を切り替える点が、第1実施形態との主な差分である。第3実施形態では、第1実施形態との差分を中心に説明する。
【0070】
図10は、第3実施形態における、光通信システム1cの構成例を示す図である。光通信システム1cは、光信号を用いて通信するシステムである。光通信システム1cは、上位装置2と、光加入者線端局装置3c(OLT)と、複数の光加入者線終端装置4(ONU)と、選択装置5(経路変更部)とを備える。光加入者線端局装置3cは、M個の受動光網装置31cを備える。受動光網装置31c(PONパッケージ)は、光加入者線装置(OSU)である。
【0071】
受動光網装置31cは、集約部311と、判定部312と、制御部313と、N個のMAC処理部314と、N個のポート316とを備える。ここで、MAC処理部314は、ポート316ごとに備えられる。すなわち、MAC処理部314とポート316とは、1対1で備えられる。選択装置5は、N個のカプラ51と、N個の光スイッチ52とを備える。
【0072】
MAC処理部314-nは、集約部311から出力された下り信号を、ポート316-nに出力する。MAC処理部314-nは、ポート316-nから出力された上り信号を、集約部311に出力する。ポート316-nは、MAC処理部314-nから出力された上り信号を、光信号を用いて、配下のカプラ51に出力する。ポート316-nは、配下のカプラ51から出力された上り信号を、MAC処理部314-nに出力する。
【0073】
カプラ51(2分岐カプラ)は、光信号の分岐及び結合する。カプラ51は、下り信号を分岐し、自カプラに接続された各光スイッチに下り信号を送信する。カプラ51は、上り信号を分岐し、自カプラに接続された各ポート316に上り信号を送信する。カプラ51は、光スイッチ52による制御に基づいて、主信号の経路を切り替える。光スイッチ52(カプラ制御部)は、制御部313による制御に基づいて、カプラ51における主信号の経路を切り替える。なお、光スイッチ52は、信号を複数の経路から同時に受信しなくてもよい。
【0074】
MAC処理部314-nがスリープする場合、光スイッチ52-nが経路を切り替える。例えば、MAC処理部314-2がスリープする場合、は、MAC処理部314-1は、下り信号をポート316-1に出力する。カプラ51-1は、下り信号を光スイッチ52-2に出力する。光スイッチ52-2は、下り信号を光加入者線終端装置4-2に出力する。光加入者線終端装置4-2は、上り信号を光スイッチ52-2に出力する。光スイッチ52-2は、上り信号をカプラ51-1に出力する。カプラ51-1は、上り信号をポート316-1に出力する。
【0075】
次に、光通信システム1cの動作例を説明する。
図11は、第3実施形態における、光加入者線端局装置3cによるスリープ設定動作の例を示すシーケンス図である。ステップS801からステップS807までの各動作は、図4に例示されたステップS301からステップS307までの各動作と同様である。制御部313は、MAC処理部314-1に主信号が入力されるように、主信号の経路の切替指示を光スイッチ52-2に出力する(ステップS808)。光スイッチ52-2は、主信号の経路の切替指示をカプラ51-1に出力する。カプラ51-1は、主信号の経路を切り替える(ステップS809)。光スイッチ52-2は、主信号の経路の切替が完了したことを、制御部313に通知する(ステップS810)。
【0076】
制御部313は、MAC処理部314-1の配下の光加入者線終端装置4と、MAC処理部314-2の配下の光加入者線終端装置4とについて、上り信号の帯域の割当指示を、MAC処理部314-1に出力する(ステップS811)。制御部313は、下り信号の送信(転送)を開始させる指示を、集約部311に送信する。集約部311は、下り信号をMAC処理部314-1に出力する(ステップS812)。制御部313は、スリープへの遷移を、MAC処理部314-2に指示する。MAC処理部314-2は、スリープする(ステップS813)。
【0077】
図12は、第3実施形態における、光加入者線端局装置3cによるスリープ解除動作の例を示すシーケンス図である。ステップS901からステップS906までの各動作は、図5に例示されたステップS401からステップS406までの各動作と同様である。制御部313は、MAC処理部314-1及びMAC処理部314-2に主信号が入力されるように、主信号の経路の切替指示を光スイッチ52-2に出力する(ステップS907)。光スイッチ52-2は、主信号の経路の切戻指示をカプラ51-1に出力する。カプラ51-1は、主信号の経路を切り戻す(ステップS908)。光スイッチ52-2は、主信号の経路の切替が完了したことを、制御部313に通知する(ステップS909)。ステップS910からステップS912までの各動作は、図5に例示されたステップS408からステップS419までの各動作と同様である。
【0078】
以上のように、制御部313は、MAC処理部314-2のスリープが可であると判定された場合、光加入者線終端装置4-1から出力された第1上り信号と光加入者線終端装置4-2から出力された第2上り信号とがMAC処理部314-1に入力されるように、選択装置5(カプラ51-1及び光スイッチ52-2)を用いて、信号経路を変更する。制御部313は、MAC処理部314-2のスリープが可であると判定された場合、MAC処理部314-1から出力された第1下り信号が光加入者線終端装置4-1に入力され、且つ、MAC処理部314-1から出力された第2下り信号が光加入者線終端装置4-2に入力されるように、選択装置5(カプラ51-1及び光スイッチ52-2)を用いて、信号経路を変更する。制御部313は、MAC処理部314-2をスリープさせる。これによって、光加入者線端局装置3cの消費電力を低減させることが可能である。
【0079】
(第4実施形態)
第4実施形態では、光スイッチの個数がカプラの個数の半分である点が、第3実施形態との主な差分である。第4実施形態では、第3実施形態との差分を中心に説明する。
【0080】
図13は、第4実施形態における、光通信システム1dの構成の例を示す図である。光通信システム1dは、光信号を用いて通信するシステムである。光通信システム1dは、上位装置2と、光加入者線端局装置3d(OLT)と、複数の光加入者線終端装置4(ONU)と、選択装置5(経路変更部)とを備える。光加入者線端局装置3dは、M個の受動光網装置31dを備える。受動光網装置31d(PONパッケージ)は、光加入者線装置(OSU)である。
【0081】
受動光網装置31dは、集約部311と、判定部312と、制御部313と、N個のMAC処理部314と、N個のポート316とを備える。ここで、MAC処理部314は、ポート316ごとに備えられる。すなわち、MAC処理部314とポート316とは、1対1で備えられる。選択装置5は、N個のカプラ51と、「N/2」個の光スイッチ52とを備える。
【0082】
MAC処理部314-nは、集約部311から出力された下り信号を、ポート316-nに出力する。MAC処理部314-nは、ポート316-nから出力された上り信号を、集約部311に出力する。ポート316-nは、MAC処理部314-nから出力された上り信号を、光信号を用いて、配下のカプラ51に出力する。ポート316-nは、配下のカプラ51から出力された上り信号を、MAC処理部314-nに出力する。
【0083】
カプラ51(2分岐カプラ)は、光信号の分岐及び結合する。カプラ51は、下り信号を分岐し、自カプラに接続された各光スイッチに下り信号を送信する。カプラ51は、上り信号を分岐し、自カプラに接続された各ポート316に上り信号を送信する。カプラ51は、光スイッチ52による制御に基づいて、主信号の経路を切り替える。光スイッチ52(カプラ制御部)は、制御部313による制御に基づいて、カプラ51における主信号の経路を切り替える。なお、光スイッチ52は、信号を複数の経路から同時に受信しなくてもよい。
【0084】
MAC処理部314-2がスリープする場合、MAC処理部314-1は、下り信号をポート316-1に出力する。カプラ51-1は、下り信号を光スイッチ52-1に出力する。光スイッチ52-1は、下り信号を光加入者線終端装置4-2に出力する。光加入者線終端装置4-2は、上り信号をカプラ51-2に出力する。カプラ51-2は、上り信号を光スイッチ52-1に出力する。光スイッチ52-1は、上り信号をカプラ51-1に出力する。カプラ51-1は、上り信号をポート316-1に出力する。
【0085】
次に、光通信システム1dの動作例を説明する。
図14は、第4実施形態における、光加入者線端局装置3dによるスリープ設定動作の例を示すシーケンス図である。ステップS801からステップS807までの各動作は、図4に例示されたステップS301からステップS307までの各動作と同様である。制御部313は、MAC処理部314-1に主信号が入力されるように、主信号の経路の切替指示を光スイッチ52-1に出力する(ステップS808)。光スイッチ52-1は、主信号の経路の切替指示を、カプラ51-1に出力する。カプラ51-1は、主信号の経路を切り替える(ステップS809-1)。光スイッチ52-1は、主信号の経路の切替指示を、カプラ51-2に出力する。カプラ51-2は、主信号の経路を切り替える(ステップS809-2)。光スイッチ52-1は、主信号の経路の切替が完了したことを、制御部313に通知する(ステップS810)。
【0086】
制御部313は、MAC処理部314-1の配下の光加入者線終端装置4と、MAC処理部314-2の配下の光加入者線終端装置4とについて、上り信号の帯域の割当指示を、MAC処理部314-1に出力する(ステップS811)。制御部313は、下り信号の送信(転送)を開始させる指示を、集約部311に送信する。集約部311は、下り信号をMAC処理部314-1に出力する(ステップS812)。制御部313は、スリープへの遷移を、MAC処理部314-2に指示する。MAC処理部314-2は、スリープする(ステップS813)。
【0087】
図15は、第4実施形態における、光加入者線端局装置3cによるスリープ解除動作の例を示すシーケンス図である。ステップS901からステップS906までの各動作は、図5に例示されたステップS401からステップS406までの各動作と同様である。制御部313は、MAC処理部314-1及びMAC処理部314-2に主信号が入力されるように、主信号の経路の切替指示を光スイッチ52-1に出力する(ステップS907)。光スイッチ52-1は、主信号の経路の切戻指示をカプラ51-1に出力する。カプラ51-1は、主信号の経路を切り戻す(ステップS908-1)。光スイッチ52-1は、主信号の経路の切戻指示をカプラ51-2に出力する。カプラ51-2は、主信号の経路を切り戻す(ステップS908-2)。光スイッチ52-1は、主信号の経路の切替が完了したことを、制御部313に通知する(ステップS909)。ステップS910からステップS912までの各動作は、図5に例示されたステップS408からステップS419までの各動作と同様である。
【0088】
以上のように、制御部313は、MAC処理部314-2のスリープが可であると判定された場合、光加入者線終端装置4-1から出力された第1上り信号と光加入者線終端装置4-2から出力された第2上り信号とがMAC処理部314-1に入力されるように、選択装置5(カプラ51-1、カプラ51-2及び光スイッチ52-1)を用いて、信号経路を変更する。制御部313は、MAC処理部314-2のスリープが可であると判定された場合、MAC処理部314-1から出力された第1下り信号が光加入者線終端装置4-1に入力され、且つ、MAC処理部314-1から出力された第2下り信号が光加入者線終端装置4-2に入力されるように、選択装置5(カプラ51-1、カプラ51-2及び光スイッチ52-1)を用いて、信号経路を変更する。制御部313は、MAC処理部314-2をスリープさせる。これによって、光加入者線端局装置3cの消費電力を低減させることが可能である。
【0089】
(ハードウェア構成例)
図16は、各実施形態における、光加入者線端局装置3のハードウェア構成例を示す図である。光加入者線端局装置3は、光加入者線端局装置3aと、光加入者線端局装置3bと、光加入者線端局装置3cとのそれぞれに相当する。光加入者線端局装置3の各機能部のうちの一部又は全部は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ101が、不揮発性の記録媒体(非一時的な記録媒体)を有するメモリ102に記憶されたプログラムを実行することにより、ソフトウェアとして実現される。プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM(Read Only Memory)、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置103などの非一時的な記録媒体である。通信部104は、他の通信装置(例えば、光加入者線終端装置)との間の通信を実行する。
【0090】
光加入者線端局装置3の各機能部のうちの一部又は全部は、例えば、LSI(Large Scale Integrated circuit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)又はFPGA(Field Programmable Gate Array)等を用いた電子回路(electronic circuit又はcircuitry)を含むハードウェアを用いて実現されてもよい。
【0091】
なお、上述した実施形態において、上記のような形態で実施されるプログラムは、単一の装置に依存するものでもよいし、プログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませて実行することによって所定の処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)を備えたWWWシステムも含むものとする。「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0092】
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に記憶したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0093】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0094】
本発明は、光通信装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0095】
1a,1b,1c,1d…光通信システム、2…上位装置、3,3a,3b,3c,3d…光加入者線端局装置、4…光加入者線終端装置、5…選択装置、10…光通信システム、31a,31b,31c,31d…受動光網装置、51…カプラ、52…光スイッチ、101…プロセッサ、102…メモリ、103…記憶装置、104…通信部、311…集約部、312…判定部、313…制御部、314…MAC処理部、315…L1スイッチ、316…ポート、317…L2スイッチ
図1
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