(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168571
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】画像処理装置、画像処理方法、及び画像処理プログラム
(51)【国際特許分類】
A61B 6/03 20060101AFI20241128BHJP
【FI】
A61B6/03 360J
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023085372
(22)【出願日】2023-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504150450
【氏名又は名称】国立大学法人神戸大学
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】武井 瑞希
(72)【発明者】
【氏名】児玉 裕三
(72)【発明者】
【氏名】増田 充弘
(72)【発明者】
【氏名】村上 卓道
(72)【発明者】
【氏名】祖父江 慶太郎
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093AA22
4C093AA26
4C093CA15
4C093FB11
4C093FD03
4C093FF16
4C093FF17
(57)【要約】
【課題】医用画像から高精度に異常を検出することができる画像処理装置、画像処理方法、及び画像処理プログラムを得る。
【解決手段】画像処理装置は、医用画像に基づいて、対象臓器の形状情報を抽出し、形状情報に基づいて、対象臓器の形状正常度を導出し、医用画像、形状情報、及び形状正常度に基づいて、医用画像に対して異常検出処理を実行する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つのプロセッサを備える画像処理装置であって、
前記プロセッサは、
医用画像に基づいて、対象臓器の形状情報を抽出し、
前記形状情報に基づいて、前記対象臓器の形状正常度を導出し、
前記医用画像、前記形状情報、及び前記形状正常度に基づいて、前記医用画像に対して異常検出処理を実行する
画像処理装置。
【請求項2】
前記形状正常度は、前記対象臓器の形状の正常度を表す下限値以上上限値以下の数値である
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記形状正常度は、前記形状情報の抽出結果の分類を表す分類情報である
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、
前記医用画像、前記形状情報、及び前記形状正常度を入力とし、前記対象臓器の異常に関する異常情報を出力とする学習済みモデルであって、複数組の前記医用画像、前記形状情報、前記形状正常度、及び前記異常情報を学習用データとして用いて学習された学習済みモデルに対し、診断対象の医用画像、その医用画像の前記形状情報、及び前記形状正常度を入力することによって前記異常検出処理を実行する
請求項1から請求項3の何れか1項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、
前記医用画像及び前記形状情報を入力とし、前記対象臓器の異常に関する異常情報を出力とする学習済みモデルであって、複数組の前記医用画像、前記形状情報、及び前記異常情報を学習用データとして用いて前記形状正常度毎に学習された複数の学習済みモデルのうち、診断対象の医用画像について導出された前記形状正常度に対応する学習済みモデルに対し、前記診断対象の医用画像、及びその医用画像の前記形状情報を入力することによって前記異常検出処理を実行する
請求項1から請求項3の何れか1項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記プロセッサは、
前記形状正常度が、対象臓器の形状が正常であること以外を表す場合、前記異常検出処理が実行不可能であることを表示する制御を行う
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記プロセッサは、
前記異常検出処理の実行結果、及び前記形状正常度を表示する制御を行う
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項8】
医用画像に基づいて、対象臓器の形状情報を抽出し、
前記形状情報に基づいて、前記対象臓器の形状正常度を導出し、
前記医用画像、前記形状情報、及び前記形状正常度に基づいて、前記医用画像に対して異常検出処理を実行する
処理を画像処理装置が備えるプロセッサが実行する画像処理方法。
【請求項9】
医用画像に基づいて、対象臓器の形状情報を抽出し、
前記形状情報に基づいて、前記対象臓器の形状正常度を導出し、
前記医用画像、前記形状情報、及び前記形状正常度に基づいて、前記医用画像に対して異常検出処理を実行する
処理を画像処理装置が備えるプロセッサに実行させるための画像処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像処理装置、画像処理方法、及び画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、医用画像から血管領域を抽出し、血管領域を血管要素毎に分割し、血管要素それぞれの3次元形状を計測して形状データを生成する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
医用画像に対して異常検出処理を行う場合、対象臓器の形状情報を用いることによって、高精度に異常を検出することができる。しかしながら、対象臓器の形状を正しく抽出できなかった場合、及び対象臓器の形状を正しく抽出できたとしても対象臓器の形状が特殊な形状である場合、異常検出の精度が低下してしまう場合がある。
【0005】
本開示は、以上の事情を鑑みてなされたものであり、医用画像から高精度に異常を検出することができる画像処理装置、画像処理方法、及び画像処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様の画像処理装置は、少なくとも一つのプロセッサを備える画像処理装置であって、プロセッサは、医用画像に基づいて、対象臓器の形状情報を抽出し、形状情報に基づいて、対象臓器の形状正常度を導出し、医用画像、形状情報、及び形状正常度に基づいて、医用画像に対して異常検出処理を実行する。
【0007】
第2の態様の画像処理装置は、第1の態様の画像処理装置において、形状正常度は、対象臓器の形状の正常度を表す下限値以上上限値以下の数値である。
【0008】
第3の態様の画像処理装置は、第1の態様の画像処理装置において、形状正常度は、形状情報の抽出結果の分類を表す分類情報である。
【0009】
第4の態様の画像処理装置は、第1の態様から第3の態様の何れか1態様の画像処理装置において、プロセッサは、医用画像、形状情報、及び形状正常度を入力とし、対象臓器の異常に関する異常情報を出力とする学習済みモデルであって、複数組の医用画像、形状情報、形状正常度、及び異常情報を学習用データとして用いて学習された学習済みモデルに対し、診断対象の医用画像、その医用画像の形状情報、及び形状正常度を入力することによって異常検出処理を実行する。
【0010】
第5の態様の画像処理装置は、第1の態様から第3の態様の何れか1態様の画像処理装置において、プロセッサは、医用画像及び形状情報を入力とし、対象臓器の異常に関する異常情報を出力とする学習済みモデルであって、複数組の医用画像、形状情報、及び異常情報を学習用データとして用いて形状正常度毎に学習された複数の学習済みモデルのうち、診断対象の医用画像について導出された形状正常度に対応する学習済みモデルに対し、診断対象の医用画像、及びその医用画像の形状情報を入力することによって異常検出処理を実行する。
【0011】
第6の態様の画像処理装置は、第1の態様から第5の態様の何れか1態様の画像処理装置において、プロセッサは、形状正常度が、対象臓器の形状が正常であること以外を表す場合、異常検出処理が実行不可能であることを表示する制御を行う。
【0012】
第7の態様の画像処理装置は、第1の態様から第6の態様の何れか1態様の画像処理装置において、プロセッサは、異常検出処理の実行結果、及び形状正常度を表示する制御を行う。
【0013】
第8の態様の画像処理方法は、医用画像に基づいて、対象臓器の形状情報を抽出し、形状情報に基づいて、対象臓器の形状正常度を導出し、医用画像、形状情報、及び形状正常度に基づいて、医用画像に対して異常検出処理を実行する処理を画像処理装置が備えるプロセッサが実行するものである。
【0014】
第9の態様の画像処理プログラムは、医用画像に基づいて、対象臓器の形状情報を抽出し、形状情報に基づいて、対象臓器の形状正常度を導出し、医用画像、形状情報、及び形状正常度に基づいて、医用画像に対して異常検出処理を実行する処理を画像処理装置が備えるプロセッサに実行させるためのものである。
【発明の効果】
【0015】
本開示によれば、医用画像から高精度に異常を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】医療情報システムの概略構成を示すブロック図である。
【
図2】画像処理装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】画像処理装置の機能的な構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】第1の学習済みモデルを説明するための図である。
【
図5】第2の学習済みモデルを説明するための図である。
【
図6】第3の学習済みモデルを説明するための図である。
【
図11】診断支援処理の一例を示すフローチャートである。
【
図12】変形例に係る第2の学習済みモデルを説明するための図である。
【
図13】変形例に係る第3の学習済みモデルを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本開示の技術を実施するための形態例を詳細に説明する。
【0018】
まず、
図1を参照して、本実施形態に係る医療情報システム1の構成を説明する。
図1に示すように、医療情報システム1は、画像処理装置10、撮影装置12、及び画像保管サーバ14を含む。画像処理装置10、撮影装置12、及び画像保管サーバ14は、有線又は無線のネットワーク18を介して互いに通信可能な状態で接続される。画像処理装置10は、例えば、パーソナルコンピュータ又はサーバコンピュータ等のコンピュータである。
【0019】
撮影装置12は、被検体の診断対象とする部位を撮影することにより、その部位を表す医用画像を生成する装置である。撮影装置12の例としては、単純X線撮影装置、内視鏡装置、CT(Computed Tomography)装置、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置、及びPET(Positron Emission Tomography)装置等が挙げられる。本実施形態では、撮影装置12がCT装置であり、診断対象とする部位が腹部である例を説明する。すなわち、本実施形態に係る撮影装置12は、被検体の腹部のCT画像を、複数の断層画像からなる3次元の医用画像として生成する。撮影装置12により生成された医用画像は、ネットワーク18を介して画像保管サーバ14に送信され、画像保管サーバ14により保存される。
【0020】
画像保管サーバ14は、各種データを保存して管理するコンピュータであり、大容量の外部記憶装置及びデータベース管理用ソフトウェアを備える。画像保管サーバ14は、撮影装置12により生成された医用画像を、ネットワーク18を介して受信し、受信した医用画像を保存して管理する。画像保管サーバ14による画像データの格納形式及びネットワーク18を介した他の装置との通信は、DICOM(Digital Imaging and Communication in Medicine)等のプロトコルに基づいている。
【0021】
次に、
図2を参照して、本実施形態に係る画像処理装置10のハードウェア構成を説明する。
図2に示すように、画像処理装置10は、CPU(Central Processing Unit)20、一時記憶領域としてのメモリ21、及び不揮発性の記憶部22を含む。また、画像処理装置10は、液晶ディスプレイ等のディスプレイ23、キーボードとマウス等の入力装置24、及びネットワーク18に接続されるネットワークI/F(InterFace)25を含む。CPU20、メモリ21、記憶部22、ディスプレイ23、入力装置24、及びネットワークI/F25は、バス27に接続される。CPU20は、開示の技術に係るプロセッサの一例である。
【0022】
記憶部22は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、又はフラッシュメモリ等によって実現される。記憶媒体としての記憶部22には、画像処理プログラム30が記憶される。CPU20は、記憶部22から画像処理プログラム30を読み出してからメモリ21に展開し、展開した画像処理プログラム30を実行する。
【0023】
また、記憶部22には、学習済みモデル32、学習済みモデル34、及び学習済みモデル36が記憶される。学習済みモデル32、学習済みモデル34、及び学習済みモデル36の詳細については後述する。
【0024】
ところで、医用画像から対象臓器を抽出する場合、対象臓器の形状を正しく抽出できなかったり、対象臓器の形状を正しく抽出できたとしても対象臓器の形状が特殊な形状であったりする場合がある。この場合、その対象臓器に対して異常検出処理を実行すると、異常検出の精度が低下してしまう場合がある。なお、対象臓器の形状が特殊な形状である場合とは、例えば、手術による切除によって対象臓器の一部が欠損している場合等が該当する。
【0025】
そこで、本実施形態に係る画像処理装置10は、医用画像からの対象臓器の抽出結果に基づいて、異常検出の精度の低下を抑制する機能を有する。以下では、対象臓器として膵臓を適用した例を説明する。
【0026】
次に、
図3を参照して、本実施形態に係る画像処理装置10の機能的な構成について説明する。
図3に示すように、画像処理装置10は、取得部40、抽出部42、導出部44、検出部46、及び表示制御部48を含む。CPU20が画像処理プログラム30を実行することにより、取得部40、抽出部42、導出部44、検出部46、及び表示制御部48として機能する。
【0027】
取得部40は、診断対象の医用画像(以下、「診断対象画像」という)を、ネットワークI/F25を介して、画像保管サーバ14から取得する。
【0028】
抽出部42は、取得部40により取得された診断対象画像と学習済みモデル32とに基づいて、対象臓器の形状情報を抽出する。学習済みモデル32は、医用画像を入力とし、対象臓器の形状情報を出力とする学習済みモデルであって、複数組の医用画像及びその医用画像における対象臓器の形状情報を学習用データ(教師データと称されることもある)として用いて学習された学習済みモデルである。学習済みモデル32は、例えば、CNN(Convolutional Neural Network)によって構成される。本実施形態に係る学習済みモデル32は、対象臓器の形状情報として、入力の医用画像における対象臓器の領域を特定した情報を出力する。この情報は、対象臓器の形状を特定可能な情報であればよく、例えば、医用画像における対象臓器の領域のボクセル位置を表す情報でもよいし、医用画像における対象臓器の領域が予め設定された色で塗りつぶされた画像でもよい。
【0029】
図4に示すように、抽出部42は、学習済みモデル32に対し、取得部40により取得された診断対象画像を入力する。学習済みモデル32は、入力された診断対象画像に対応する対象臓器の形状情報を出力する。これにより、抽出部42は、診断対象画像から対象臓器の形状情報を抽出する。
図4の例では、対象臓器の形状情報が表す膵臓の領域が斜線で塗りつぶされている。なお、対象臓器の抽出には、テンプレートマッチング又はCT値に対する閾値処理等の学習済みモデル32を用いる手法以外の公知の手法を適用してもよい。
【0030】
導出部44は、抽出部42により抽出された形状情報と学習済みモデル34とに基づいて、対象臓器の形状正常度を導出する。学習済みモデル34は、対象臓器の形状情報を入力とし、対象臓器の形状正常度を出力とする学習済みモデルであって、複数組の形状情報及びその形状情報が表す対象臓器の形状正常度を学習用データとして用いて学習された学習済みモデルである。学習済みモデル34は、例えば、CNNによって構成される。本実施形態に係る学習済みモデル34は、対象臓器の形状正常度として、対象臓器の形状の正常度を表す下限値以上上限値以下の数値を出力する。本実施形態では、形状正常度は0以上1以下の数値であり、値が1に近いほど形状が正常に近いことを表している。
【0031】
図5に示すように、導出部44は、学習済みモデル34に対し、抽出部42により抽出された形状情報を入力する。学習済みモデル34は、入力された形状情報に対応する対象臓器の形状正常度を出力する。これにより、導出部44は、対象臓器の形状正常度を導出する。
【0032】
検出部46は、取得部40により取得された診断対象画像と、抽出部42により抽出された形状情報と、導出部44により導出された形状正常度と、学習済みモデル36とに基づいて、診断対象画像に対して異常検出処理を実行する。本実施形態における異常検出処理とは、診断対象画像に含まれる対象臓器内の異常を検出する処理である。本実施形態における異常検出処理によって検出対象とされる異常は、がん、嚢胞、及び炎症等の直接的に治療を行う対象となる病変を含む。また、検出対象とされる異常は、病変に加えて、病変の周辺に発生する形状及び性状の少なくとも一方が異常な部分も含む。この異常な部分は、間接所見とも呼ばれる。例えば、膵がんを疑う間接所見の例としては、膵臓における部分的な萎縮及び腫大等の形状異常等が挙げられる。
【0033】
学習済みモデル36は、医用画像、その医用画像に含まれる対象臓器の形状情報、及びその形状情報が表す対象臓器の形状正常度を入力とし、対象臓器の異常に関する情報(以下、「異常情報」という)を出力とする学習済みモデルである。また、学習済みモデル36は、複数組の医用画像、形状情報、形状正常度、及び異常情報を学習用データとして用いて学習された学習済みモデルである。学習済みモデル36は、例えば、CNNによって構成される。本実施形態に係る学習済みモデル36は、異常情報として、入力の医用画像の対象臓器内の異常を含む領域(以下、「異常領域」という)を特定した情報、及びその異常の確信度を出力する。異常領域を特定した情報は、異常領域を特定可能な情報であればよく、例えば、医用画像における異常領域のボクセル位置を表す情報でもよいし、医用画像における異常領域が予め設定された色で塗りつぶされた画像でもよい。
【0034】
図6に示すように、検出部46は、学習済みモデル36に対し、取得部40により取得された診断対象画像、抽出部42により抽出された形状情報、及び導出部44により導出された形状正常度を入力する。学習済みモデル36は、入力された診断対象画像、形状情報、及び形状正常度に対応する異常情報を出力する。これにより、検出部46は、診断対象画像に対して異常検出処理を実行する。
【0035】
表示制御部48は、検出部46による異常検出処理の実行結果をディスプレイ23に表示する制御を行う。一例として
図7に示すように、表示制御部48は、異常情報に確信度が閾値(例えば、0.5)以上の異常が含まれる場合、異常検出処理の実行結果として、診断対象画像と、異常領域を表す情報と、異常が存在する旨のメッセージとをディスプレイ23に表示する制御を行う。
図7では、異常検出処理により破線の内側の領域が異常領域として検出された例を示している。
【0036】
また、一例として
図8に示すように、表示制御部48は、異常情報に確信度が閾値以上の異常が含まれない場合、異常検出処理の実行結果として、診断対象画像と、異常が検出されなかった旨のメッセージとをディスプレイ23に表示する制御を行う。
【0037】
なお、
図9に示すように、表示制御部48は、異常検出処理の実行結果に加えて、更に、導出部44により導出された形状正常度をディスプレイ23に表示する制御を行ってもよい。
【0038】
また、
図10に示すように、表示制御部48は、導出部44により導出された形状正常度が、対象臓器の形状が正常であること以外を表す場合、異常検出処理が実行不可能であることを表示する制御を行ってもよい。
図10の例では、対象臓器が正しく抽出できなかったために、異常検出処理が実行できなかった旨のメッセージが表示されている。形状正常度が、対象臓器の形状が正常であること以外を表す場合とは、例えば、形状正常度が閾値(例えば、0.5)以下の場合等である。
【0039】
次に、
図11を参照して、本実施形態に係る画像処理装置10の作用を説明する。CPU20が画像処理プログラム30を実行することによって、
図11に示す診断支援処理が実行される。
図11に示す診断支援処理は、例えば、ユーザにより実行開始の指示が入力された場合に実行される。
【0040】
図11のステップS10で、取得部40は、診断対象画像を、ネットワークI/F25を介して、画像保管サーバ14から取得する。ステップS12で、抽出部42は、前述したように、ステップS10で取得された診断対象画像と学習済みモデル32とに基づいて、対象臓器の形状情報を抽出する。ステップS14で、導出部44は、前述したように、ステップS12で抽出された形状情報と学習済みモデル34とに基づいて、対象臓器の形状正常度を導出する。
【0041】
ステップS16で、検出部46は、前述したように、ステップS10で取得された診断対象画像と、ステップS12で抽出された形状情報と、ステップS14で導出された形状正常度と、学習済みモデル36とに基づいて、診断対象画像に対して異常検出処理を実行する。ステップS18で、表示制御部48は、前述したように、ステップS16での異常検出処理の実行結果をディスプレイ23に表示する制御を行う。ステップS18の処理が終了すると、診断支援処理が終了する。
【0042】
以上説明したように、本実施形態によれば、医用画像から高精度に異常を検出することができる。
【0043】
なお、上記実施形態では、学習済みモデル34は、対象臓器の形状正常度として、対象臓器の形状の正常度を表す下限値以上上限値以下の数値を出力する場合について説明したが、これに限定されない。例えば、
図12に示すように、学習済みモデル34は、対象臓器の形状正常度として、抽出部42による形状情報の抽出結果の分類を表す分類情報を出力する形態としてもよい。この場合の分類情報の例としては、抽出部42により正常な対象臓器の形状情報を抽出できたことを表す「正常」、抽出部42による形状情報の抽出が失敗したことを表す「抽出失敗」、又は抽出部42により対象臓器の形状情報が抽出されたが、その対象臓器の形状が特殊な形状であったことを表す「特殊形状」等が挙げられる。この形態例では、形状正常度が「抽出失敗」又は「特殊形状」である場合に、対象臓器の形状が正常であること以外を表すと判断される。
【0044】
また、
図13に示すように、学習済みモデル36は、形状正常度毎に学習された複数の学習済みモデルであってもよい。
図13の例では、学習済みモデル36Aは、形状正常度が「正常」である医用画像、形状情報、及び異常情報の複数の組を用いて学習された形状正常度が「正常」用の学習済みモデルである。また、
図13の例では、学習済みモデル36Bは、形状正常度が「抽出失敗」である医用画像及び異常情報の複数の組を用いて学習された形状正常度が「抽出失敗」用の学習済みモデルである。また、
図13の例では、学習済みモデル36Cは、形状正常度が「特殊形状」である医用画像、形状情報、及び異常情報の複数の組を用いて学習された形状正常度が「特殊形状」用の学習済みモデルである。
【0045】
この形態例では、検出部46は、複数の学習済みモデル36のうち、導出部44により導出された形状正常度に対応する学習済みモデル36に対し、診断対象画像及び形状情報を入力することによって異常検出処理を実行する。なお、形状正常度が数値の場合、学習済みモデル36は、0以上1/3未満、1/3以上2/3未満、及び2/3以上1以下のように、異なる数値範囲の形状正常度毎に学習された複数の学習済みモデルであってもよい。
【0046】
また、上記実施形態では、学習済みモデル32、34、36がCNNによって構成される場合について説明したが、これに限定されない。学習済みモデル32、34、36は、CNN以外の機械学習の手法によって構成されてもよい。
【0047】
また、上記実施形態では、診断対象画像として、CT画像を適用した場合について説明したが、これに限定されない。診断対象画像として、単純X線撮影装置により撮影された放射線画像、及びMRI装置により撮影されたMRI画像等のCT画像以外の医用画像を適用してもよい。
【0048】
また、上記実施形態に係る診断支援処理のステップS10~S16の処理は、ユーザにより実行開始の指示が入力される前に実行されてもよい。この場合、ユーザにより実行開始の指示が入力されると、ステップS18が実行され、画面表示が行われる。
【0049】
また、上記実施形態において、例えば、取得部40、抽出部42、導出部44、検出部46、及び表示制御部48といった各種の処理を実行する処理部(processing unit)のハードウェア的な構造としては、次に示す各種のプロセッサ(processor)を用いることができる。上記各種のプロセッサには、前述したように、ソフトウェア(プログラム)を実行して各種の処理部として機能する汎用的なプロセッサであるCPUに加えて、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なプロセッサであるプログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device:PLD)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が含まれる。
【0050】
1つの処理部は、これらの各種のプロセッサのうちの1つで構成されてもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGAの組み合わせや、CPUとFPGAとの組み合わせ)で構成されてもよい。また、複数の処理部を1つのプロセッサで構成してもよい。
【0051】
複数の処理部を1つのプロセッサで構成する例としては、第1に、クライアント及びサーバ等のコンピュータに代表されるように、1つ以上のCPUとソフトウェアの組み合わせで1つのプロセッサを構成し、このプロセッサが複数の処理部として機能する形態がある。第2に、システムオンチップ(System on Chip:SoC)等に代表されるように、複数の処理部を含むシステム全体の機能を1つのIC(Integrated Circuit)チップで実現するプロセッサを使用する形態がある。このように、各種の処理部は、ハードウェア的な構造として、上記各種のプロセッサの1つ以上を用いて構成される。
【0052】
更に、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造としては、より具体的には、半導体素子などの回路素子を組み合わせた電気回路(circuitry)を用いることができる。
【0053】
また、上記実施形態では、画像処理プログラム30が記憶部22に予め記憶(インストール)されている態様を説明したが、これに限定されない。画像処理プログラム30は、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、及びUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の記録媒体に記録された形態で提供されてもよい。また、画像処理プログラム30は、ネットワークを介して外部装置からダウンロードされる形態としてもよい。
【符号の説明】
【0054】
1 医療情報システム
10 画像処理装置
12 撮影装置
14 画像保管サーバ
18 ネットワーク
20 CPU
21 メモリ
22 記憶部
23 ディスプレイ
24 入力装置
25 ネットワークI/F
27 バス
30 画像処理プログラム
32、34、36、36A、36B、36C 学習済みモデル
40 取得部
42 抽出部
44 導出部
46 検出部
48 表示制御部