(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168654
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】シート積載装置及び印刷装置
(51)【国際特許分類】
B65H 29/52 20060101AFI20241128BHJP
B65H 31/26 20060101ALI20241128BHJP
B65H 5/08 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
B65H29/52
B65H31/26
B65H5/08 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023085515
(22)【出願日】2023-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 壽
(72)【発明者】
【氏名】風間 郁海
【テーマコード(参考)】
3F054
3F101
【Fターム(参考)】
3F054AA01
3F054AC01
3F054BA02
3F054BB01
3F054BB12
3F054BG07
3F054BH02
3F054DA14
3F101CA17
3F101FA06
3F101FB12
3F101FC03
3F101FC11
3F101FE01
3F101FE11
3F101FE17
3F101LA01
3F101LB01
(57)【要約】
【課題】シートの搬送不良を抑制できるシート積載装置を提供する。
【解決手段】シート束が積載される積載部(401)と、積載部の上方へ向けて搬送されるシートの先端部を受けてシート搬送方向において下流側に案内する案内手段(423)と、案内手段による案内経路より上方に配置されシートに向けて空気を吹出す吹出し手段(450)とを備えるシート積載装置(400)において、案内手段による案内経路より上方にシート搬送方向に延在する線状部材(450)を複数配置した。これによれば、上部構造にシート先端エッジが引っかかることによる搬送不良を防止する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート束が積載される積載部と、
前記積載部の上方へ向けて搬送されるシートの先端部を受けてシート搬送方向において下流側に案内する案内手段と、
前記案内手段による案内経路より上方に配置され前記シートに向けて空気を吹出す吹出し手段とを備えるシート積載装置において、
前記案内手段による案内経路より上方にシート搬送方向に延在する線状部材を複数配置したことを特徴とするシート積載装置。
【請求項2】
請求項1に記載のシート積載装置において、
前記複数の配置した線状部材は、シート搬送方向に交差する幅方向で間隔を置いて配置され、前記間隔はシート搬送方向に下流側ほど大きいことを特徴とするシート積載装置。
【請求項3】
請求項1に記載のシート積載装置において、
前記複数の配置した線状部材は、シート搬送方向に交差する幅方向で間隔を置いて配置され、前記間隔はシートの幅方向の長さよりも短いことを特徴とするシート積載装置。
【請求項4】
請求項1に記載のシート積載装置において、
前記複数の配置した線状部材は、シート搬送方向に交差する幅方向で間隔を置いて配置され、かつ、幅方向の位置が段階的に変更可能であることを特徴とするシート積載装置。
【請求項5】
請求項1に記載のシート積載装置において、
前記複数の配置した線状部材は、シート搬送方向に交差する幅方向で間隔を置いて配置され、かつ、幅方向の位置を変更する位置変更手段を有することを特徴とするシート積載装置。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか一に記載のシート積載装置を備えた印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート積載装置及び印刷装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、シート束が積載される積載部と、積載部の上方へ向けて搬送されるシートの先端部を受けてシート搬送方向において下流側に案内する案内手段と、案内手段による案内経路により上方に配置されシートに向けて空気を吹出す吹き出し手段とを備えるシート積載装置が知られている。例えば特許文献1には、係るシート積載装置であって、吹き出し手段は、案内手段がシートの先端部から離れるときに空気の吹き出しを開始するものが記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、生産性向上のため積載部の上方へ向けてのシートの搬送速度を増大させていった場合に搬送不良が発生してしまうことが判明した。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述した課題を解決するために、本発明は、シート束が積載される積載部と、前記積載部の上方へ向けて搬送されるシートの先端部を受けてシート搬送方向において下流側に案内する案内手段と、前記案内手段による案内経路により上方に配置され前記シートに向けて空気を吹出す吹出し手段とを備えるシート積載装置において、前記案内手段による案内経路により上方にシート搬送方向に延在する線状部材を複数配置したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、シートの搬送不良を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。まず、本発明に係る印刷装置の一例について
図1を参照して説明する。
図1(a)は同印刷装置の概略説明図、
図1(b)は部分拡大図である。
【0008】
印刷装置1は、搬入部10と、印刷部20と、乾燥部30と、本発明に係るシート積載装置である搬出部40とを備えている。印刷装置1は、搬入部10から搬入されるシートPに対し、印刷部20で液体を付与して所要の印刷を行い、乾燥部30でシートPに付着した液体を乾燥させた後、シートPを搬出部40に排出する。
【0009】
搬入部10は、複数のシートPが積載される搬入トレイ11と、搬入トレイ11からシートPを1枚ずつ分離して送り出す給送装置12と、シートPを印刷部20へ送り込むレジストローラ対13とを備えている。
【0010】
給送装置12には、ローラやコロを用いた装置や、エアー吸引を利用した装置など、あらゆる給送装置を用いることが可能である。給送装置12により搬入トレイ11から送り出されたシートPは、その先端がレジストローラ対13に到達した後、レジストローラ対13が所定のタイミングで駆動することにより、印刷部20へ送り出される。
【0011】
印刷部20は、シートPを搬送するシート搬送装置21を備えている。シート搬送装置21は、シートPを周面に担持して回転する担持部材(回転部材)であるドラム51及びドラム51の周面に吸引力を生じさせる吸引手段である吸引装置52などを有している。また、印刷部20は、シート搬送装置21のドラム51に担持されたシートPに向けて液体を吐出する液体吐出部22を備えている。
【0012】
また、印刷部20は、送り込まれたシートPを受け取ってドラム51との間でシートPを渡す渡し胴24と、ドラム51によって搬送されたシートPを乾燥部30へ受け渡す受け渡し胴25を備えている。
【0013】
搬入部10から印刷部20へ搬送されてきたシートPは、渡し胴24に設けられた把持手段(シートグリッパ)によって先端が把持され、渡し胴24の回転に伴って搬送される。渡し胴24により搬送されたシートPは、ドラム51との対向位置でドラム51へ受け渡される。
【0014】
ドラム51の表面にも把持手段(シートグリッパ)が設けられており、シートPの先端が把持手段(シートグリッパ)によって把持される。ドラム51の表面には、複数の吸引穴が分散して形成されている。吸引手段である吸引装置52によってドラム51の所要の吸引穴から内側へ向かう吸い込み気流を発生させる。
【0015】
そして、渡し胴24からドラム51へ受け渡されたシートPは、シートグリッパ106によって先端が把持されるとともに、吸引装置52による吸い込み気流によってドラム51上に吸着担持され、ドラム51の回転に伴って搬送される。
【0016】
液体吐出部22は、液体吐出手段である吐出ユニット23(23A~23F)を備えている。例えば、吐出ユニット23Aはシアン(C)の液体を、吐出ユニット23Bはマゼンタ(M)の液体を、吐出ユニット23Cはイエロー(Y)の液体を、吐出ユニット23Dはブラック(K)の液体を、それぞれ吐出する。また、吐出ユニット23E,23Fは、YMCKのいずれか、或いは、白色、金色(銀色)などの特殊な液体の吐出に使用する。さらに、表面コート液などの処理液を吐出する吐出ユニットを設けることもできる。
【0017】
吐出ユニット23は、例えば、複数のノズルを配列したノズル列を有する複数の液体吐出ヘッドをベース部材に配置したフルライン型ヘッドである。
【0018】
液体吐出部22の各吐出ユニット23は、印刷情報に応じた駆動信号によりそれぞれ吐出動作が制御される。ドラムに担持されたシートPが液体吐出部22との対向領域を通過するときに、吐出ユニット23から各色の液体が吐出され、当該印刷情報に応じた画像が印刷される。
【0019】
乾燥部30は、印刷部20でシートP上に付着した液体を乾燥させるための乾燥機構部31と、印刷部20から搬送されてくるシートPを吸引した状態で搬送する(吸引搬送する)吸引搬送機構部32とを備えている。
【0020】
印刷部20から搬送されてきたシートPは、吸引搬送機構部32に受け取られた後、乾燥機構部31を通過するように搬送され、搬出部40へ受け渡される。
【0021】
乾燥機構部31を通過するとき、シートP上の液体には乾燥処理が施される。これにより液体中の水分等の液分が蒸発し、シートP上に液体中に含まれる着色剤が定着し、また、シートPのカールが抑制される。
【0022】
搬出部40は、本発明に係るシート積載装置で構成され、シート束PBが積載される積載部であるスタック部401を備えている。乾燥部30から搬送されてくるシートPは、スタック部401上に順次積み重ねられて保持される。
【0023】
なお、印刷装置1には、例えば、シートPに対して前処理を行う前処理部を印刷部20の上流側に配置したり、液体が付着したシートPに対して後処理を行う後処理部を乾燥部30と搬出部40との間に配置したりすることもできる。
【0024】
前処理部としては、例えば、液体と反応して滲みを抑制するための処理液をシートPに塗布する先塗り処理を行うものが挙げられる。また、後処理部としては、例えば、印刷部20で印刷されたシートを反転させて再び印刷部20へ送ってシートPの両面に印刷するためのシート反転搬送処理や、複数枚のシートを綴じる処理などを行うものが挙げられる。
【0025】
なお、本実施形態では、印刷装置を、インクジェット記録装置の例で説明しているが、「印刷装置」は、シート材の被乾燥面に向けて液体を吐出する液体吐出ヘッドを備え、吐出された液体によって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではなく、例えば、それ自体意味を持たないパターン等を形成するものも含まれる。シート材は、材質を限定されるものではなく、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックスなど、液体が一時的でも付着可能なものであればよく、例えば、フィルム製品、衣料用等の布製品、壁紙や床材等の建材、皮革製品などに使用されるものであってもよい。また、「印刷装置」は、液体が付着可能なものの給送、搬送、排紙に係わる手段、その他、前処理装置、後処理装置なども含むことができる。
また、「液体」は、ヘッドから吐出可能な粘度や表面張力を有するものであればよく、特に限定されないが、常温、常圧下において、または加熱、冷却により粘度が30mPa・s以下となるものであることが好ましい。より具体的には、水や有機溶媒等の溶媒、染料や顔料等の着色剤、重合性化合物、樹脂、界面活性剤等の機能性付与材料、DNA、アミノ酸やたんぱく質、カルシウム等の生体適合材料、天然色素等の可食材料、などを含む溶液、懸濁液、エマルジョンなどであり、これらは例えば、インクジェット用インク、表面処理液等の用途で用いることができる。
さらに、印刷部として液体吐出手段を備える例で説明しているが、液体吐出以外の手段で印刷を行うこともできる。
【0026】
次に、本発明の実施形態に係るシート案内装置、シート搬送装置を含むシート積載装置について
図1(b)を参照して説明する。
図1(b)は同シート積載装置の説明図である。
【0027】
シート積載装置400は、シート束PBが積載される積載部であるスタック部401と、シートPをスタック部401に向けて搬送するシート搬送装置402とを備えている。
【0028】
スタック部401は、シート束PBが積載されるテーブル411と、先端フェンス(ジョガー)412と、後端フェンス413と、両サイドのフェンスなどを有している。
【0029】
シート搬送装置402は、乾燥部30から送り込まれるシートPを搬送する搬送コロ421、422と、本発明に係るシート案内手段としてのシート案内装置423を備えている。
【0030】
シート案内装置423は、搬送コロ422から送り出されてスタック部401に向けて搬送されるシートPの先端部(下流端部)を受けてシート搬送方向において下流側に案内する。
【0031】
シート案内装置423は、駆動ローラ431と従動ローラ432との間に掛け回された無端状のベルト430と、ベルト430に取り付けたガイド部440とを備えている。ガイド部440はガイド部材441と取付け部442とによってシートPの下流側端部を保持する。ガイド部440はベルト430に複数の箇所(図示の例では2箇所)で取り付けることができる。
【0032】
シート案内装置423は、搬送コロ422の上流側でシートPが検知されると、一定時間経過後にベルト430が周回移動し、ガイド部材441の線速と搬送コロ422の線速の差によって、ガイド部材441にシートPの先端部が挿し込まれる。
【0033】
そして、ベルト430が周回移動することで、ガイド部材441がシートPの先端部を保持したままシート搬送方向下流側に移動して案内する。
【0034】
ここで、ガイド部材441は、シートPの厚みより大きい隙間を有し、シートPの先端部が挿し込まれるだけで、シートPを把持するなどの把持力を有していない。ガイド部材441は、シートPの先端部をガイドする役割を有し、シートPの先端部から中腹部までのばたつきを抑える機能を有している。なお、ガイド部材441は、シートPの先端部を把持する把持力を有するクリップを用いる構成でもよい。
【0035】
ガイド部材441が案内終了位置に到達したときには、ガイド部材441の線速を搬送コロ422の線速よりも高くする。これにより、シートPの先端部はガイド部材441から離脱し、スタック部401に落下して積載される。
【0036】
そして、シートPに向けて空気を吹出す吹き出し手段としての送風器450を備えている。送風器450は、積載部であるスタック部401の上方であって、かつ、ガイド部440のガイド部材441がシートPの先端部を受ける位置よりもシート搬送方向において下流側でシートPに向けて空気を吹出す。
【0037】
図2(a)は以上の構成で、生産性を向上させるべく搬送コロ422による搬送速度やガイド部440による案内速度を向上させた場合の不具合の説明図である。この不具合はシートのシート搬送路での搬送不良(いわゆるジャム)である。搬送不良の原因を追求したところ、次のことが判明した。シート先端高さを保持するガイド部材441を、シートが積載装置に到達する直前で加速することでシート先端から離間しシートを積載位置に着地させる。シートを高速で搬送するとき、ガイド部材441から離間したシート先端が空気抵抗によって浮き、上部構造にシート先端エッジが引っかかることで搬送不良が発生することが判明した。特に剛性の低いシートで搬送不良が発生しやすかった。
【0038】
本実施形態では、シート先端の浮きに起因する搬送不良を防ぐべく、ガイド部440のガイド部材441による案内経路より上方にシート搬送方向に延在する線状部材を複数配置した。
図2(b)はその一例の説明図である。線状部材ユニット500の線状部材としてのワイヤがガイド部材441による案内経路より上方に延在している。線状部材ユニット500により、ガイド部材441から離間したシート先端が空気抵抗によって浮きあがる高さを規制する。つまり、線状部材ユニット500はシート先端の浮き抑制機能を発揮する。この浮き抑制により、上部構造にシート先端エッジが引っかかることによる搬送不良を防止する。
【0039】
図2では、ガイド部440をベルト430に1つ設けた例であるが、
図1に示すように複数設けてもよい。
【0040】
図3は線状部材ユニット500の説明図である。
図3(a)は下面図、
図3(b)は広幅のシートの先端浮上を規制した状態を示す左側面図、画3(c)は幅が狭いシートの先端浮上を規制した状態を示す左側面図である。線状部材ユニット500は、シート搬送方向に延在する線状部材としてのワイヤ513を複数有する。図示の例では4本のワイヤ513を有する。白抜きの矢印Bはシート搬送方向(案内方向)を示す。
【0041】
線状部材ユニット500はワイヤ513のシート搬送方向上流端部と下流端部に、上流側ワイヤ位置調整板510と下流側ワイヤ位置調整板511を備える。これらの位置調整板は、
図3(b)や
図3(c)に示すようにワイヤ保持部としての凹部521~528を備えている。各ワイヤは位置調整番自体に端部を係止してもよいし、他の箇所に係止し、位置調整板は幅方向におけるワイヤの位置決め機能のみ持たせてもよい。
【0042】
図3には、線状部材ユニット500に加え、4本のベルト430及びガイド部440も描いている。
図3(a)にはテーブル411と搬送コロ422も描いている。送風器450の送風を妨げないよう、ベルト430は幅方向に間隔を置いて複数配置している。ワイヤ513も同様の理由で幅方向に間隔を置いて配置している。送風器450から白抜きの矢印Aで締めすように下向きに空気を吹き出し、装置の生産性を稼ぎ、あるいはシートの着地姿勢を安定させる。図示のように紙面に垂直に送風する場合に最も効果が大きい。
【0043】
図3(c)に示すように、複数の配置したワイヤ513の幅方向の間隔は使用するシートのうち、幅が最も狭いものの幅方向の長さよりも短い。これにより、シート先端が浮き上がったときにシート姿勢を制御するのに2本以上のワイヤを用いることができる。また、ワイヤ513は、シート搬送方向に交差する幅方向で間隔を置いて配置し、間隔はシート搬送方向に下流側ほど大きい。これにより、シート先端が浮きワイヤ513に接触したときに引っかかりにくくなる。
【0044】
図3(b)や
図3(c)に示すように、凹部521~528により幅方向の位置が段階的に変更可能である。人の手で複数シートサイズに応じてワイヤ間隔を変更する(対応する)簡易な構成を提供できる。なお、
図3の例では各ワイヤ513の下流側端部を一つ中央よりの空いている凹部に移動すれば、全体として全てのワイヤが平行になる。
【0045】
〔変形例〕
図4は変形例の説明図である。
4本のワイヤ513の中央よりの二本のワイヤ513の紙搬送方向下流側端の位置を幅方向で変更可能に構成している。具体的には位置変更可能にするワイヤ513の下流側端部を軸部材550に移動自在に支持されたフロントスライダー552とリヤスライダー553とに固定している。幅方向外側の二本のワイヤ513の下流側端部は軸部材550に対して固定されたフロント取付部551とリヤ取付部554に固定されている。
【0046】
これらの両スライダーは移動用モータ630のピニオン562でスライド駆動されるフロントラック560とリアラック561に係合している。これにより、フロントスライダー552とリヤスライダー553とは移動用モータ613によって回転駆動されるピニオン562の回転で中央寄りの二本のワイヤ513の間隔が変化するように移動駆動できる。
【0047】
移動用モータ613のモータ駆動回路612は、制御部611に接続されこの制御部611に操作パネル610が接続されている。移動用モータ613の制御よる中央側の二本のワイヤ513の下流側端部の位置変更は、操作パネル610の操作情報から紙の種別、例えばサイズなどの情報を取得し、これらの紙の種別情報と関連付けて記憶しておいたピニオンの回転操作位置情報に基づいて制御する。サイズ情報を用いれば、紙のサイズ〔特に幅サイズ〕に応じ、紙先端の空気抵抗による浮きを抑制するの適した幅方向位置に自動的に移動させることができる。
【0048】
この例では中央よりの二本のワイヤの下流側端部の位置を変更可能としたが、これに代え、外側のワイヤについても同様に位置変更可能としてもよい。さらに、紙搬送方向下流側に代え、または、加え、紙搬送方向上流側端部のワイヤ位置についても、位置変更可能としてもよい。さらに、位置変更可能にする機構としてはピニオンラック機構にかぎらすボール・ナット方式やソレノイド方式など他の方式の機構を用いてもよい。
【0049】
以上、本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、上述の説明で特に限定していない限り、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
本発明の実施の形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
【0050】
以上に説明したものは一例であり、本発明は、次の態様毎に特有の効果を奏する。態様の記載において構成名の後の括弧書きの符号は対応する部材の一例のものでありこの部材例に限られるものではない。
(態様1)
シート束が積載される積載部(401)と、積載部の上方へ向けて搬送されるシートの先端部を受けてシート搬送方向において下流側に案内する案内手段(423)と、案内手段による案内経路より上方に配置されシートに向けて空気を吹出す吹出し手段(450)とを備えるシート積載装置(400)において、案内手段による案内経路より上方にシート搬送方向に延在する線状部材(450)を複数配置したことを特徴とする。これによれば、上部構造にシート先端エッジが引っかかることによる搬送不良を防止する。
(態様2)
態様1に記載のシート積載装置において、複数の配置した線状部材(450、513)は、シート搬送方向に交差する幅方向で間隔を置いて配置され、間隔はシート搬送方向に下流側ほど大きいことを特徴とする。これによれば、シート先端が浮き抑制部材に接触したときに引っかからない。
(態様3)
態様1又は2に記載のシート積載装置において、複数の配置した線状部材(450、513)は、シート搬送方向に交差する幅方向で間隔を置いて配置され、間隔はシートの幅方向の長さよりも短いことを特徴とする。これによれば、シート先端が浮き上がったときにシート姿勢を制御することができる。
(態様4)
態様1乃至3の何れか一に記載のシート積載装置において、複数の配置した線状部材(450、513)は、シート搬送方向に交差する幅方向で間隔を置いて配置され、かつ、幅方向の位置が段階的に変更可能であることを特徴とする。これよれば、複数シートサイズに簡易な構成で対応できる。
(態様5)
態様1乃至4の何れか一に記載のシート積載装置において、複数の配置した線状部材(450、513)は、シート搬送方向に交差する幅方向で間隔を置いて配置され、かつ、幅方向の位置を変更する位置変更手段(600)を有することを特徴とする。これによれば、複数のシートサイズに人の手を加えることなく、対応できる。
(態様6)
態様1乃至の何れか一に記載のシート積載装置を備えた印刷装置(1)。これよれば、上部構造にシート先端エッジが引っかかることによる搬送不良を防止でき、シート搬送速度の向上で生産性を高めることができる。
【符号の説明】
【0051】
1 :印刷装置
3 :画
10 :搬入部
11 :搬入トレイ
12 :給送装置
13 :レジストローラ対
20 :印刷部
21 :シート搬送装置
22 :液体吐出部
23 :吐出ユニット
24 :渡し胴
25 :受け渡し胴
30 :乾燥部
31 :乾燥機構部
32 :吸引搬送機構部
40 :搬出部
51 :ドラム
52 :吸引装置
106 :シートグリッパ
400 :シート積載装置
401 :スタック部
402 :シート搬送装置
411 :テーブル
413 :後端フェンス
421 :搬送コロ
422 :搬送コロ
423 :シート案内装置
430 :ベルト
431 :駆動ローラ
432 :従動ローラ
440 :ガイド部
441 :ガイド部材
442 :取付け部
450 :送風器
500 :線状部材ユニット
510 :上流側ワイヤ位置調整板
511 :下流側ワイヤ位置調整板
513 :ワイヤ
521 :凹部
522 :凹部
523 :凹部
524 :凹部
525 :凹部
526 :凹部
527 :凹部
528 :凹部
550 :軸部材
551 :フロント取付部
552 :フロントスライダー
553 :リヤスライダー
554 :リヤ取付部
560 :フロントラック
561 :リアラック
562 :ピニオン
610 :操作パネル
611 :制御部
612 :モータ駆動回路
613 :移動用モータ
630 :移動用モータ
A :矢印
P :シート
PB :シート束
【先行技術文献】
【特許文献】
【0052】