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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024016866
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】実装装置および半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/52 20060101AFI20240201BHJP
【FI】
H01L21/52 F
H01L21/52 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022119131
(22)【出願日】2022-07-27
(71)【出願人】
【識別番号】515085901
【氏名又は名称】ファスフォードテクノロジ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】小橋 英晴
(72)【発明者】
【氏名】山本 啓太
【テーマコード(参考)】
5F047
【Fターム(参考)】
5F047BB03
5F047BB19
5F047FA02
5F047FA08
5F047FA14
5F047FA72
5F047FA75
(57)【要約】
【課題】素子の側面における異常検査の精度を向上することが可能な技術を提供することにある。
【解決手段】実装装置は、少なくとも一対が対向するように設置されるミラーと、ダイおよび前記ミラーの反射面が視野内に位置するように設けられる撮像装置と、前記撮像装置の光学軸に沿って照明光を照射する照明装置と、前記一対のミラーの一方の反射面で反射する光のうち、前記ダイの周りを通過する光が前記撮像装置に届かないようにする回り込み光抑止手段と、を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一対が対向するように設置されるミラーと、
ダイおよび前記ミラーの反射面が視野内に位置するように設けられる撮像装置と、
前記撮像装置の光学軸に沿って照明光を照射する照明装置と、
前記一対のミラーの一方の反射面で反射する光のうち、前記ダイの周りを通過する光が前記撮像装置に届かないようにする回り込み光抑止手段と、
を備える実装装置。
【請求項2】
請求項1の実装装置において、
前記回り込み光抑止手段は、前記反射面が前記撮像装置の前記光学軸に対し45度よりも大きい所定角度傾いて設置される、前記一対のミラーであり、
前記所定角度は、前記ダイの側面が撮影可能な角度であって、前記ダイの周りを通過する光が前記撮像装置に届かない角度である実装装置。
【請求項3】
請求項1の実装装置において、
前記回り込み光抑止手段は、前記反射面が前記撮像装置の前記光学軸に対し45度よりも小さい所定角度傾いて設置される、前記一対のミラーであり、
前記所定角度は、前記ダイの側面が撮影可能な角度であって、前記ダイの周りを通過する光が前記撮像装置に届かない角度である実装装置。
【請求項4】
請求項1の実装装置において、
前記回り込み光抑止手段は、前記一対のミラーの一方の上に設けられる第一の偏光フィルタおよび前記一対のミラーの他方の上に設けられる第二の偏光フィルタであり、
前記第一の偏光フィルタの偏光方向は第二の偏光フィルタの偏光方向と90度異なる実装装置。
【請求項5】
請求項1の実装装置において、
さらに、ステージを備え、
前記ステージの上面に前記一対のミラーが設置され、
前記撮像装置は前記ステージの上方に設けられ、
前記ステージは前記回り込み光抑止手段を有する実装装置。
【請求項6】
少なくとも一対が対向するように設置されるミラーと、
ダイおよび前記ミラーの反射面が視野内に位置するように設けられる撮像装置と、
前記撮像装置の光学軸に沿って照明光を照射する照明装置と、
を備え、
前記照明装置は、前記一対のミラーの一方の反射面に照射する光を抑止する照射抑止手段を有する実装装置。
【請求項7】
請求項6の実装装置において、
前記照明装置は、面発光照明を備え、
前記照射抑止手段は、前記面発光照明の照射領域を複数に分割し、前記面発光照明の複数の前記照射領域の内、一つの照射領域から前記ダイの一つの側面に照射し、他の照射領域から前記ダイの他の側面に照射しないよう構成される実装装置。
【請求項8】
請求項7の実装装置において、
前記照射抑止手段は遮光板であり、前記遮光板を動かすことにより前記面発光照明の照射領域を切替えるよう構成される実装装置。
【請求項9】
請求項7の実装装置において、
前記照射抑止手段は前記面発光照明の消灯領域であり、前記面発光照明の点灯領域および消灯領域を変えることにより照射領域を切替えるよう構成される実装装置。
【請求項10】
請求項6の実装装置において、
さらに、ステージを備え、
前記ステージの上面に前記一対のミラーが設置され、
前記撮像装置は前記ステージの上方に設けられ、
前記ステージは前記照射抑止手段を有する実装装置。
【請求項11】
少なくとも一対が対向するように設置されるミラーと、ダイおよび前記ミラーの反射面が視野内に位置するように設けられる撮像装置と、前記撮像装置の光学軸に沿って照明光を照射する照明装置と、前記一対のミラーの一方の反射面で反射する光のうち、前記ダイの周りを通過する光が前記撮像装置に届かないようにする回り込み光抑止手段と、を備える実装装置にウエハを搬入する工程と、
前記撮像装置により前記ダイの側面を撮影する工程と、
を有する半導体装置の製造方法。
【請求項12】
少なくとも一対が対向するように設置されるミラーと、ダイおよび前記ミラーの反射面が視野内に位置するように設けられる撮像装置と、前記撮像装置の光学軸に沿って照明光を照射する照明装置と、を備え、前記照明装置は、前記一対のミラーの一方の反射面に照射する光を抑止する照射抑止手段を有する実装装置にウエハを搬入する工程と、
前記撮像装置により前記ダイの側面を撮影する工程と、
を有する半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は実装装置に関し、例えば、ダイの側面を検査するダイボンダに適用可能である。
【背景技術】
【0002】
ダイボンダ等の実装装置は、接合材料を用いて、例えば、素子を基板または素子の上にアタッチする(取り付ける)装置である。接合材料は、例えば、液状またはフィルム状の樹脂やはんだ等である。素子は、例えば、半導体チップやMEMS(Micro Electro Mechanical System)、ガラスチップ等のダイ、または電子部品である。基板は、例えば、配線基板や金属薄板で形成されるリードフレーム、ガラス基板等である。
【0003】
ダイボンダにおいては、例えば、カメラを用いて取得した画像に基づいて、素子の位置決めが行われたり、素子の側面検査が行われたりする(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-179558号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示の課題は素子の側面における異常検査の精度を向上することが可能な技術を提供することにある。その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のうち代表的なものの概要を簡単に説明すれば下記の通りである。
すなわち、実装装置は、少なくとも一対が対向するように設置されるミラーと、ダイおよび前記ミラーの反射面が視野内に位置するように設けられる撮像装置と、前記撮像装置の光学軸に沿って照明光を照射する照明装置と、前記一対のミラーの一方の反射面で反射する光のうち、前記ダイの周りを通過する光が前記撮像装置に届かないようにする回り込み光抑止手段と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、素子の側面における異常検査の精度を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は実施形態におけるダイボンダの概略上面図である。
図2図2図1に示すダイボンダの概略側面図である。
図3図3図1に示すダイボンダによる半導体装置の製造方法を示すフローチャートである。
図4図4は実施形態におけるステージ認識カメラ、同軸照明および中間ステージを示す模式図である。
図5図5は比較例の中間ステージにおける同軸照明の照明光を示す模式図である。
図6図6図5に示す同軸照明光を用いたダイの側面画像を示す図である。
図7図7は理想的な照明におけるダイの側面画像を示す図である。
図8図8は実施形態の一態様における中間ステージを示す図である。
図9図9は実施形態の他態様における中間ステージを示す図である。
図10図10は三種類のミラーの反射面の角度におけるダイの撮影画像である。
図11図11は第一変形例における中間ステージの構成および透過光の光路を示す図である。
図12図12図11に示す中間ステージの上面図である。
図13図13図11に示す中間ステージにおける反射光の光路を示す図である。
図14図14は第二変形例における、ステージ認識カメラ、照明装置および中間ステージを示す図である。
図15図15図14に示す面発光照明の照射領域を説明する図である。
図16図16図15に示す面発光照明の照明光が照射される領域を示す図である。
図17図17は第三変形例における面発光照明の照射領域を説明する図である。
図18図18図17に示す面発光照明の照明光が照射される領域を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態および変形例について、図面を用いて説明する。ただし、以下の説明において、同一構成要素には同一符号を付し繰り返しの説明を省略することがある。なお、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合がある。また、複数の図面の相互間においても、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は必ずしも一致していない。
【0010】
まず、実施形態のダイボンダの構成について図1および図2を用いて説明する。図1は実施形態におけるダイボンダの概略上面図である。図2図1に示すダイボンダの概略側面図である。
【0011】
ダイボンダ1は、大別して、ダイ供給部10と、ピックアップ部20と、中間ステージ部30と、ボンディング部40と、搬送部50と、各部の動作を監視し制御する制御部(制御装置)80と、を有する。Y軸方向がダイボンダ1の前後方向であり、X軸方向が左右方向である。ダイ供給部10がダイボンダ1の前側に配置され、ボンディング部40が後側に配置される。
【0012】
ダイ供給部10は、ウエハWを保持するウエハ保持台(不図示)と、ウエハWからダイDを剥離する剥離ユニット13と、を有する。ウエハ保持台は図示しない駆動手段によってXY方向に動かされ、ピックアップするダイDが剥離ユニット13の位置に動かされる。剥離ユニット13は図示しない駆動手段によって上下方向に動かされる。ウエハWはダイシングテープDT上に接着されており、複数のダイDに分割されている。ウエハWが貼付されたダイシングテープDTは図示しないウエハリングに保持されている。ウエハWとダイシングテープDTとの間にダイアタッチフィルム(DAF)と呼ばれるフィルム状の接着材料を貼り付けている。ダイアタッチフィルムは加熱することで硬化する。
【0013】
ピックアップ部20は、ピックアップヘッド21と、ウエハ認識カメラ24と、照明装置25と、を有する。ピックアップヘッド21は、剥離されたダイDを先端に吸着保持するコレット22を有し、ダイ供給部10からダイDをピックアップし、中間ステージ31に載置する。ウエハ認識カメラ24はウエハWからピックアップするダイDのピックアップ位置を把握する。なお、ピックアップ部20は、図示しない、ピックアップヘッド21を昇降、回転、X方向およびY方向に動かす各駆動部を有する。
【0014】
中間ステージ部30は、中間ステージ31と、ステージ認識カメラ34と、照明装置35と、を有する。中間ステージ31は、ミラー311a~311dと、ダイDが一時的に載置される台座312と、ベース313と、を有する。ミラー311a~311dはミラー311と総称される場合がある。ステージ認識カメラ34は中間ステージ31の上方に設置され、中間ステージ31上のダイDを撮影する。照明装置35は、例えば、ステージ認識カメラ34と中間ステージ31との間に設置される同軸照明である。
【0015】
また、ミラー311は、ステージ認識カメラ34の光学軸に対して所定角度傾いた反射面を有し、ベース313の上に四つ設置されている。なお、ミラー311は四つに限定されるものではなく、ダイDの特定の二側面のみを認識する場合は、二つであってもよい。ダイDの一側面に対向する一つのミラー311は複数のミラーで構成されていてもよい。
【0016】
ミラー311は、例えば、対向する側面が直角二等辺三角形状であり、他の側面、底面および反射面を有する斜面が矩形状である三角柱で構成されている。すなわち、反射面は平面状である。ミラー311は鏡の他にプリズムで構成してもよい。
【0017】
所定角度は、ダイDの側面に対して垂直に近い角度で照明装置35の照明光が照射されると共に、ダイDの側面を垂直に近い角度で撮像が可能となる角度である。ミラー311の反射面にダイDの側面像を反射させ、中間ステージ31上方に設置してあるステージ認識カメラ34にてダイDの上面および四つの側面を同時に(一回の露光で)撮像し検査することが可能である。
【0018】
台座312にはダイDが一時的に載置される。台座312のダイDが載置される載置面はミラー311が設置される面(ベース313の上面)よりも高い。また、台座312は例えば柱状であり、その上面である載置面はダイDよりも小さい。この場合、ダイDが載置面に吸着されている状態においてダイDの外周端部が撓んで変形しない大きさである。これにより、ミラー311をダイDに近づけて設けることが可能となる。また、ダイDの下端部の撮影が容易になる。また、載置するダイのサイズが変わった場合の対応も可能となる。このため、台座312を設けるのが好ましいが、設けなくてもよい。
【0019】
ステージ認識カメラ34は、例えば、中間ステージ31の直上に設置され、かつ中間ステージ31の中心軸とステージ認識カメラ34の光軸が一致するように垂直下方に視野角を向けて設置される。ステージ認識カメラ34は、ダイDおよび四つのミラー311の反射面が視野内に位置するように設置される。照明装置35は、中間ステージ31に載置されるダイDをステージ認識カメラ34が撮影可能な明るさにするため、光を照射する。照射された光の反射光は、四つのミラー311に入射する。この構成によって、ステージ認識カメラ34は、ダイDの側面から上面まで撮影することができる。
【0020】
四つのミラー311に入射した光像は、四つのミラー311の上方に設置されたステージ認識カメラ34の光軸に沿って入射する。ステージ認識カメラ34は、ダイDの上面および四つのミラー311からそれぞれ反射された被写体像を撮影する。ステージ認識カメラ34が撮影した画像は、制御部80に出力され、画像処理され、また、表示画面(図示しない)にも表示され得る。
【0021】
ボンディング部40は、ボンドヘッド41と、基板認識カメラ44と、ボンドステージ46と、を有する。ボンドヘッド41はピックアップヘッド21と同様にダイDを先端に吸着保持するコレット42を有する。基板認識カメラ44は基板Sの位置認識マーク(図示せず)を撮像し、ボンド位置を認識する。ここで、基板Sには、最終的に一つのパッケージとなる、複数の製品エリア(以下、パッケージエリアPという。)が形成されている。位置認識マークはパッケージエリアPごとに設けられる。ボンドステージ46は、基板SにダイDが載置される際、上方向に動かされ、基板Sを下方から支える。ボンドステージ46は基板Sを真空吸着するための吸引口(不図示)を有し、基板Sを固定することが可能である。ボンドステージ46は基板Sを加熱する加熱部(不図示)を有する。なお、ボンディング部40は、図示しない、ボンドヘッド41を昇降、回転、X方向およびY方向に動かす各駆動部を有する。
【0022】
このような構成によって、ボンドヘッド41は、ステージ認識カメラ34の撮像データに基づいてピックアップ位置・姿勢を補正し、中間ステージ31からダイDをピックアップする。そして、ボンドヘッド41は、基板認識カメラ44の撮像データに基づいて基板SのパッケージエリアP上にボンドし、又は既に基板SのパッケージエリアPの上にボンドされたダイの上に積層する形でボンドする。
【0023】
搬送部50は基板Sが移動する搬送レーン52を有する。搬送レーン52は基板SをX軸方向に搬送する。このような構成によって、基板Sは、図示しない基板供給部から搬送レーン52に沿ってボンド位置(実装位置)まで移動し、ボンド後、図示しない基板搬出部まで移動したり、基板供給部まで戻ったりする。
【0024】
制御部80は、ダイボンダ1の上述した各部の動作を監視し制御するプログラム(ソフトウェア)を格納するメモリと、メモリに格納されたプログラムを実行する中央処理装置(CPU)と、を備える。
【0025】
ダイボンダ1を用いた半導体装置の製造工程の一工程であるボンド工程(製造方法)について図3を用いて説明する。図3図1に示すダイボンダによる半導体装置の製造方法を示すフローチャートである。以下の説明において、ダイボンダ1を構成する各部の動作は制御部80により制御される。
【0026】
(ウエハ搬入工程:工程S1)
ウエハリング(不図示)がダイボンダ1のウエハカセット(不図示)に供給される。供給されたウエハリングがダイ供給部10に供給されてダイボンダ1に搬入される。ここで、ウエハリングにはウエハWから分割されたダイDが貼付されたダイシングテープDTが保持されている。
【0027】
(基板搬入工程:工程S2)
基板Sが格納された基板搬送治具が基板供給部に供給されてダイボンダ1に搬入される。基板供給部で基板Sが基板搬送治具から取り出されて不図示の搬送爪に固定される。
【0028】
(ピックアップ工程:工程S3)
工程S1後、所望するダイDをダイシングテープDTからピックアップできるようにウエハ保持台が動かされる。ウエハ認識カメラ24によりダイDが撮影され、撮影により取得された画像データに基づいてダイDの位置決めおよび表面検査が行われる。
【0029】
位置決めされたダイDは剥離ユニット13およびピックアップヘッド21によりダイシングテープDTから剥離される。ダイシングテープDTから剥離されたダイDは、ピックアップヘッド21に設けられたコレット22に吸着、保持されて、中間ステージ31に搬送されて載置される。
【0030】
ステージ認識カメラ34により中間ステージ31の上のダイDが撮影され、撮影により取得された画像データに基づいてダイDの位置決めおよび表面検査が行われる。画像データを画像処理することによって、ダイボンダのダイ位置基準点からの中間ステージ31上のダイDのずれ量(X、Y、θ方向)が算出されて位置決めが行われる。なお、ダイ位置基準点は、予め、中間ステージ31の所定の位置を装置の初期設定として保持されている。画像データを画像処理することによって、ダイDの表面検査が行われる。
【0031】
ダイDを中間ステージ31に搬送したピックアップヘッド21はダイ供給部10に戻される。上述した手順に従って、次のダイDがダイシングテープDTから剥離され、以後同様の手順に従ってダイシングテープDTから1個ずつダイDが剥離される。
【0032】
(ボンド工程:工程S4)
搬送部50により基板Sがボンドステージ46に搬送される。ボンドステージ46上に載置された基板Sが基板認識カメラ44により撮像され、撮影によって画像データが取得される。画像データが画像処理されることによって、ダイボンダ1の基板位置基準点からの基板Sのずれ量(X、Y、θ方向)が算出される。なお、基板位置基準点は、予め、ボンディング部40の所定の位置を装置の初期設定として保持されている。
【0033】
工程S3において算出された中間ステージ31上のダイDのずれ量からボンドヘッド41の吸着位置が補正されてダイDがコレット42により吸着される。中間ステージ31からダイDを吸着したボンドヘッド41によりボンドステージ46に支持された基板Sの所定箇所にダイDがボンドされる。ここで、基板Sの所定箇所は、基板SのパッケージエリアP、または、すでに素子が載置されており、それに加える形で素子をボンドする際の領域、または、積層ボンドする素子のボンド領域である。基板認識カメラ44により基板SにボンドされたダイDが撮影され、撮影により取得された画像データに基づいてダイDが所望の位置にボンドされたかどうか等の検査が行われる。検査されたダイDが不良の場合、ボンドヘッド41によりダイDを捨て置き領域へ搬送される。
【0034】
ダイDを基板Sにボンドしたボンドヘッド41は中間ステージ31に戻される。上述した手順に従って、次のダイDが中間ステージ31からピックアップされ、基板Sにボンドされる。これが繰り返されて基板Sのすべての所定箇所にダイDがボンドされる。
【0035】
(基板搬出工程:工程S5)
ダイDがボンドされた基板Sが基板搬出部に搬送される。基板搬出部で基板搬送爪から基板Sが取り出されて基板搬送治具に格納される。ダイボンダ1から基板搬送治具に格納された基板Sが搬出される。
【0036】
工程S5後、ダイDがボンドされた基板Sがワイヤボンディング工程に搬送され、ダイDの電極はAuワイヤ等を介して基板Sの電極と電気的に接続される。例えば、積層ボンドする場合は、続いて、ダイDがボンドされた基板Sがダイボンダに搬入されて基板S上にボンドされたダイDの上にダイDが積層され、ダイボンダから搬出された後、ワイヤボンディング工程でAuワイヤを介して基板Sの電極と電気的に接続される。第二段目より上のダイDは、上述した方法でダイシングテープDTから剥離された後、ボンディング部40に搬送されてダイDの上に積層される。上記工程が所定回数繰り返された後、基板Sをモールド工程に搬送し、複数個のダイDとAuワイヤとをモールド樹脂(図示せず)で封止することによって、積層パッケージが完成する。
【0037】
次に、照明装置35について説明する。図4は実施形態におけるステージ認識カメラ、同軸照明および中間ステージを示す模式図である。
【0038】
図4に示すように、照明装置35はステージ認識カメラ34と中間ステージ31との間に配置されている。照明装置35は、面発光照明(光源)351、ハーフミラー(半透過鏡)352を備えている。面発光照明351からの照射光は、ハーフミラー352によってステージ認識カメラ34と同じ光軸方向へ反射され、中間ステージ31のダイDに照射される。ステージ認識カメラ34と同じ光軸でダイDに照射されたその照明光は、ダイDで反射し、その反射光がハーフミラー352を透過してステージ認識カメラ34に達し、ダイDの映像を形成する。照明装置35は同軸落射照明(同軸照明)装置である。
【0039】
中間ステージ31の上にステージ認識カメラ34の光学軸に対して略45度傾いた反射面を持つミラー311を設置すると、同軸照明による照明光(同軸照明光)がミラー311において反射し、反射後の照明光がダイDの側面に対して略垂直に照射される。そして、ダイDの側面で反射した光がミラー311で反射され、その反射光はステージ認識カメラ34に達する。すなわち、ダイDの四側面に対して、略垂直照明および略垂直撮影が可能になる。
【0040】
次に、実施形態をより明確にするため側面撮像の問題点について図5から図7を用いて説明する。
【0041】
図5は比較例の中間ステージにおける同軸照明光を示す模式図である。図6図5に示す同軸照明光を用いたダイの側面画像を示す図である。図7は理想的な照明におけるダイの側面画像を示す図である。
【0042】
図5に示すように、ミラー311a,311bの反射面の傾き(θ)が中間ステージ31のベース313の上面に対して45度であると、ミラー311aで反射された同軸照明光のうち、点線で示される一部の光はダイDの側面DSaに当たらず、ダイDの周囲を抜け、対面側にあるミラー311bの反射面に水平方向から当たる。ダイDの側面DSaに当たらなかった光の一部はミラー311bの反射面に再度45度で反射し、ステージ認識カメラ34の方向へ向かう。なお、ベース313の上面はステージ認識カメラ34の光学軸に垂直な面である。
【0043】
ダイDの側面DSaに当たらなかった光の一部は、側面DSaの反対側の側面DSbを観測するときは周囲を明るくする回り込み光(透過光または背面照明)となってしまう。ダイDの表面(側面)をはっきり撮影するために十分な光量の光が回り込み光として作用した場合、回り込み光の明るさは、ダイDの表面(側面)の表面反射光の明るさに対し、その反射率の逆数倍に従って明るくなる。よって基本的には光量過多の状態となる。
【0044】
この状態で撮影すると図6に示すように、ダイDの輪郭に対し光の回り込みが発生し、輪郭部分を滲ませてしまう。ダイDの側面検査は、側面の傷や異物の検査を行うが、ダイシング時に発生するチッピングを検査する目的もある。チッピングはその発生プロセスからダイ側面の輪郭部分に主として発生する。このとき、回り込み光が輪郭のにじみを発生させると、微細なチッピングを検出することが難しくなる。例えば、図6に示す円C内にチッピングがあるが認識が容易ではない。本来チッピングの検出を同軸照明で行う場合、図7に示すように、ダイDの側面の輪郭部分まで均一な明るさで見えることが望ましい。その状態であれば、円C内にある凹部となるチッピングは暗部として撮影することができる。
【0045】
実施形態における中間ステージの構成について図8および図9を用いて説明する。図8は実施形態の一態様における中間ステージを示す図である。図9は実施形態の他態様における中間ステージを示す図である。
【0046】
図8に示すように、実施形態における中間ステージ31においては、ミラー311の反射面の傾き(θ)を所定角度(θp)にする。すなわち、反射面の傾き(θ)を45度(°)から僅かにずらす(例えば、θp=45°-Δ)。ここで、Δを変位角度という。これにより、ミラー311により2回反射してステージ認識カメラ34に向かう反射光は「45度に対してのミラー311の変位角度(Δ)の4倍の傾き」を生じ、ステージ認識カメラ34に写らなくなる。なお、ミラー311の反射面の光学軸に対する傾きは(90°-θ)である。よって、光学軸に対する所定角度は(45°+Δ)である。
【0047】
なお、ミラー311の反射面の傾きは角度が45度からずれればよいので、図9に示すように、図8とは反対側にずらしてもよい(θp=45°+δ)。また、対向するミラーの像が写っていても、その向こうにある同軸照明の発光面が見えなくなる角度でもよい。
【0048】
図8に示すように、反射面の傾き(θ)を45度から小さくする場合の撮像画像について図10を用いて説明する。図10は三種類のミラーの反射面の角度におけるダイの撮影画像である。図10においては、ミラー311は対向する一組のミラー311a,311bのみが設けられる場合が示されている。ダイDの上面と、ダイDの二つの側面DSa,DSbおよび台座312の二つの側面と、が写っている。
【0049】
ミラー311a,311bの反射面の傾き(θ)が45度である場合(θ=45°)、ダイDに隠れる箇所を除いて対向するミラー311a,311bが白く写る。
【0050】
ミラー311a,311bの反射面の傾き(θ)が45度から適切な角度より小さい角度に傾いた場合(例えばθ=45°-Δ/2)、ダイDの上方およびダイDに隠れる箇所を除いて対向するミラー311a,311bが白く写る。
【0051】
ミラー311a,311bの反射面の傾き(θ)が45度から適切に傾いた場合(θ=45°-Δ=θp)、ダイDの側面は写るが、対向するミラー311a,311bは写らない(黒く写る)。
【0052】
このように、ミラー311の反射面の傾きを小さくしていくと、対向するミラーが写らなくなる。なお、この状態では、ダイDが斜めに写り、これによりダイDの底面が僅かに見える。
【0053】
ミラー311aとそれに対面するミラー311bとの距離「ミラー間距離」と、ミラー311a,311bとそれに対面するダイDの側面との距離「ミラーと側面間距離」ではミラー間距離のほうが大きい。このため、ミラー311の反射面の傾きを徐々に小さくするとダイDの側面を見えるようにしたまま、対向するミラーを見えなくすることは可能である。すなわち、所定角度(θp)は、ダイDの側面が撮影可能な角度であって、ダイDの周りを通過する光がステージ認識カメラ34に届かない角度である。ミラー311の反射面の傾きが回り込み光抑止手段である。
【0054】
実施形態によれば、一つまたは複数の下記の効果を有する。
【0055】
(1)ダイ周辺の回り込み光による画像内のダイ側面輪郭に生じる滲みの低減が可能である。
【0056】
(2)ダイ側面のチッピングの検出精度の安定化および高精度化が可能である。
【0057】
(3)ダイボンダが組み立てる製品の精度、歩留まり向上が可能である。
【0058】
<変形例>
以下、実施形態の代表的な変形例について、幾つか例示する。以下の変形例の説明において、上述の実施形態にて説明されているものと同様の構成および機能を有する部分に対しては、上述の実施形態と同様の符号が用いられ得るものとする。そして、かかる部分の説明については、技術的に矛盾しない範囲内において、上述の実施形態における説明が適宜援用され得るものとする。また、上述の実施例の一部、および、複数の変形例の全部または一部が、技術的に矛盾しない範囲内において、適宜、複合的に適用され得る。
【0059】
(第一変形例)
第一変形例における中間ステージ31について図11から図13を用いて説明する。図11は第一変形例における中間ステージの構成および透過光の光路を示す図である。図12図11に示す中間ステージの上面図である。図13図11に示す中間ステージにおける反射光の光路を示す図である。
【0060】
図11に示すように、第一変形例における中間ステージ31は、実施形態における中間ステージ31に対して、さらに、偏光フィルタ314a~314dを有する。偏光フィルタ314a~314dはそれぞれミラー311a~311dの上に水平に設けられる。偏光フィルタ314a~314dは偏光フィルタ314と総称される場合がある。対向する偏光フィルタ314は偏光方向が90°異なる。ミラー311は無偏光のものを用いるのが好ましい。
【0061】
図11に示すように、偏光フィルタ314aと偏光フィルタ314bは偏光方向が90°異なるので、偏光フィルタ314a、ミラー311a、ミラー311bを通過した透過光は偏光フィルタ314bを通過することはできない。同様に、偏光フィルタ314b、ミラー311b、ミラー311aを通過した透過光は偏光フィルタ314aを通過することはできない。すなわち、照明光は偏光フィルタ314aと偏光フィルタ314bの両方を通ることができなくなる。これにより、ダイDの周辺の回り込み光による画像内のダイ側面輪郭に生じる滲みを防止することができる。偏光フィルタ314が回り込み光抑止手段である。
【0062】
なお、図13に示すように、偏光フィルタ314aおよびミラー311aを通過して、ダイDの右側の側面で反射した反射光は、ミラー311aを介して偏光フィルタ314aを通過することができる。同様に、偏光フィルタ314bおよびミラー311bを通過して、ダイDの左側の側面で反射した反射光は、ミラー311bを介して偏光フィルタ314bを通過することができる。
【0063】
なお、ミラー311はプリズムで構成するのが好ましい。これにより、偏光フィルタ314が設置しやすくなる。
【0064】
(第二変形例)
第二変形例における照明装置35について図14から図16を用いて説明する。図14は第二変形例における、ステージ認識カメラ、照明装置および中間ステージを示す図である。図15図14に示す面発光照明の照射領域を説明する図である。図16図15に示す面発光照明の照明光が照射される領域を示す図である。
【0065】
第二変形例における中間ステージ31は図5に示す比較例における中間ステージと同様の構成である。第二変形例におけるステージ認識カメラ34は実施形態におけるステージ認識カメラ34と同様の構成である。第二変形例における照明装置35は遮光板を有することを除き、実施形態における照明装置35と同様の構成である。
【0066】
撮影するダイDの側面ごとに面発光照明351の照射領域を切り分ける。例えば、図15に示すように、面発光照明351は「田の字」状に四分割され、四つの領域351a~351dのうちの隣接する二つの照射領域のみから照明光がダイDに照射される。そして、図16に示すように、領域351a~351dのうち照明光が照射される領域を切り替える。
【0067】
領域351a~351dのうち照明光が照射される領域は面発光照明351のハーフミラー352側に遮光板353を設けて、その遮光板353が動かされることにより切り替えられる。遮光板353が照射抑止手段である。なお、面発光照明351をアレイ状に配置されたLEDで構成し、LEDの点灯/消灯により照射領域が切り替えられてもよいし、面発光照明351を液晶や有機EL(Electro Luminescence)の表示装置で構成し、点灯/消灯により照射領域が切り替えられてもよい。面発光照明351の消灯領域が照射抑止手段である。
【0068】
ミラー311aに対向するダイDの側面を撮影する場合は、図16のUPRに示すように、領域351a,351dから照明光が照射される。
【0069】
ミラー311bに対向するダイDの側面を撮影する場合は、図16のLWRに示すように、領域351b,351cから照明光が照射される。
【0070】
ミラー311cに対向するダイDの側面を撮影する場合は、図16のLFTに示すように、領域351c,351dから照明光が照射される。
【0071】
ミラー311dに対向するダイDの側面を撮影する場合は、図16のRGTに示すように、領域351a,351bから照明光が照射される。
【0072】
よって、ダイDの四つの側面は四回の撮影により行われる。なお、ダイDの上面を撮影する場合は、領域351a~351dのすべての領域から照明光が照射される。
【0073】
(第三変形例)
第二変形例では、面発光照明351の照射領域を均等に四分割する例を説明したが、領域351a~351dの分割は必要領域があれば均等割りでなくてもよい。
【0074】
第三変形例における照明装置35について図17を用いて説明する。図17は第三変形例における面発光照明の照射領域を説明する図である。図18図17に示す面発光照明の照明光が照射される領域を示す図である。
【0075】
第三変形例における照明装置35は面発光照明351を除き、実施形態における照明装置35と同様の構成である。
【0076】
撮影するダイDの側面ごとに面発光照明351の照射領域を切り分ける。例えば、図17に示すように、面発光照明351はミラー311a~311d毎に対応した領域に四分割され、領域351e~351hは、それぞれミラー311a~311dに照明光を照射する。そして、図18に示すように、領域351e~351hのうち照明光が照射される領域を切り替える。なお、領域351e,351fは側面撮影時には照明光が照射されないが、上面撮影時には照明光が照射される。
【0077】
ミラー311aに対向するダイDの側面を撮影する場合は、図18のUPRに示すように、領域351eから照明光が照射される。
【0078】
ミラー311bに対向するダイDの側面を撮影する場合は、図18のLWRに示すように、領域351fから照明光が照射される。
【0079】
ミラー311cに対向するダイDの側面を撮影する場合は、図18のLFTに示すように、領域351gから照明光が照射される。
【0080】
ミラー311dに対向するダイDの側面を撮影する場合は、図18のRGTに示すように、領域351hから照明光が照射される。
【0081】
よって、ダイDの四つの側面は四回の撮影により行われる。なお、ダイDの上面を撮影する場合は、領域351e~351hのすべての領域から照明光が照射される。
【0082】
以上、本開示者によってなされた開示を実施形態および変形例に基づき具体的に説明したが、本開示は、上記実施形態および変形例に限定されるものではなく、種々変更可能であることはいうまでもない。
【0083】
例えば、実施形態では、ミラーを中間ステージの上に設けてミラーの間にダイを載置する例を説明したが、中間ステージ等のステージは必ずしも必要はない。ミラーはダイの側面に対向する位置に設ければよい。例えば、支柱等でミラーを固定し、ピックアップヘッドまたはボンドヘッドのコレットにより固定されたダイをそのミラーの間に搬送して側面検査を行うようにしてもよい。
【0084】
実施形態では、ダイ供給部からダイをピックアップヘッドによりピックアップして中間ステージに載置し、中間ステージに載置されたダイをボンディングヘッドによりピックアップして基板にボンディングするダイボンダについて説明したが、ピックアップヘッドがなく、ダイ供給部のダイをボンディングヘッドによりピックアップして中間ステージに載置し、中間ステージに載置されたダイをボンディングヘッドによりピックアップして基板にボンディングするようにしてもよい。
【0085】
実施形態ではウエハの裏面にDAFが貼付されているが、DAFはなくてもよい。
【0086】
実施形態ではダイの表面を上にしてボンディングされるが、ダイをピックアップ後ダイの表裏を反転させて、ダイの裏面を上にしてボンディングしてもよい。この装置はフリップチップボンダという。
【0087】
実施形態では、ダイ供給部のウエハからダイをピックアップする例を説明したが、トレイからダイをピッアップしてもよい。
【0088】
実施形態では、ダイボンダを例に説明したが、電子部品や半導体チップを配線基板に配置するチップマウンタ(表面実装機)にも適用できる。
【符号の説明】
【0089】
1・・・ダイボンダ(実装装置)
311・・・ミラー
34・・・ステージ認識カメラ(撮像装置)
35・・・照明装置
D・・・ダイ
図1
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