IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社SUMCOの特許一覧

<>
  • 特開-半導体ウェーハの洗浄方法 図1
  • 特開-半導体ウェーハの洗浄方法 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168718
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】半導体ウェーハの洗浄方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20241128BHJP
【FI】
H01L21/304 648G
H01L21/304 651B
H01L21/304 647Z
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023085618
(22)【出願日】2023-05-24
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-07-17
(71)【出願人】
【識別番号】302006854
【氏名又は名称】株式会社SUMCO
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100165696
【弁理士】
【氏名又は名称】川原 敬祐
(74)【代理人】
【識別番号】100179903
【弁理士】
【氏名又は名称】福井 敏夫
(72)【発明者】
【氏名】山中 百華
【テーマコード(参考)】
5F157
【Fターム(参考)】
5F157AA70
5F157AA82
5F157BD33
5F157BE12
5F157BE46
5F157CE07
5F157CE08
5F157CE33
5F157CE82
5F157DB02
5F157DB03
5F157DB18
(57)【要約】
【課題】半導体ウェーハの表面の付着系パーティクルを減少させることができる半導体ウェーハの洗浄方法を提案する。
【解決手段】本発明の半導体ウェーハの洗浄方法は、半導体ウェーハを回転させながら、前記半導体ウェーハを洗浄する第1洗浄工程と、前記第1洗浄工程後の前記半導体ウェーハを乾燥する第1乾燥工程と、前記第1乾燥工程後の前記半導体ウェーハを洗浄する第2洗浄工程と、前記第2洗浄工程後の前記半導体ウェーハを乾燥する第2乾燥工程と、を含み、前記第2洗浄工程は前記第1の乾燥工程後の前記半導体ウェーハの表面に純水を供給する純水供給工程と、前記半導体ウェーハの表面にオゾン液を供給して洗浄する第2初期オゾン洗浄工程と、前記半導体ウェーハの表面をフッ酸水溶液で洗浄する第2フッ酸洗浄と、前記第2フッ酸洗浄に引き続くオゾン液で洗浄する第2オゾン洗浄により交互に洗浄する工程と、をこの順に含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体ウェーハを回転させながら、
前記半導体ウェーハを洗浄する第1洗浄工程と、
前記第1洗浄工程後の前記半導体ウェーハを乾燥する第1乾燥工程と、
前記第1乾燥工程後の前記半導体ウェーハを洗浄する第2洗浄工程と、
前記第2洗浄工程後の前記半導体ウェーハを乾燥する第2乾燥工程と、を含み、
前記第1洗浄工程は、
前記半導体ウェーハの表面にオゾン液を供給して洗浄する第1初期オゾン洗浄工程と、
前記半導体ウェーハの表面をフッ酸水溶液で洗浄する第1フッ酸洗浄と、前記第1フッ酸洗浄に引き続くオゾン液で洗浄する第1オゾン洗浄により交互に洗浄する工程と、
をこの順に含み
前記第2洗浄工程は
前記第1の乾燥工程後の前記半導体ウェーハの表面に純水を供給する純水供給工程と、
前記半導体ウェーハの表面にオゾン液を供給して洗浄する第2初期オゾン洗浄工程と、
前記半導体ウェーハの表面をフッ酸水溶液で洗浄する第2フッ酸洗浄と、前記第2フッ酸洗浄に引き続くオゾン液で洗浄する第2オゾン洗浄により交互に洗浄する工程と、
をこの順に含む、
半導体ウェーハの洗浄方法。
【請求項2】
前記第1洗浄工程において交互に洗浄する工程を追加実施する回数が1回以上4回以下の範囲である、請求項1に記載の半導体ウェーハの洗浄方法。
【請求項3】
前記第1洗浄工程において交互に洗浄する工程を追加実施する回数が1回以上2回以下の範囲である、請求項1に記載の半導体ウェーハの洗浄方法。
【請求項4】
前記第2洗浄工程において交互に洗浄する工程を追加実施する回数が1回である、請求項1に記載の半導体ウェーハの洗浄方法。
【請求項5】
前記純水供給工程における前記半導体ウェーハの回転速度は25rpm以上100rpm以下である、請求項1に記載の半導体ウェーハの洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウェーハの洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体デバイスの基板として、シリコンウェーハなどの半導体ウェーハが使用されている。半導体ウェーハは、チョクラルスキー(Czochralski、CZ)法などによって育成した単結晶インゴットに対して、ウェーハ加工処理を施すことによって得られる。上記加工処理の際、半導体ウェーハの表面には、研磨粉などのパーティクルが付着するため、加工処理後に半導体ウェーハに対して洗浄処理を行ってパーティクルを除去している。
【0003】
そして、この半導体ウェーハの洗浄処理には、洗浄面に対し、種々の洗浄液を用いて洗浄することで半導体ウェーハの表面に付着したパーティクルを効率よく洗浄、除去ができることが知られている。例えば、特許文献1では、半導体ウェーハ表面にオゾン水を供給してオゾン洗浄した後、半導体ウェーハ表面にフッ酸を供給してフッ酸洗浄を行い、半導体ウェーハを乾燥処理することが報告されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8-181137号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような洗浄方法で洗浄された基板では、乾燥させた基板の表面に洗浄工程において除去しきれなかった研磨粉などの付着系パーティクルが残存してしまい、洗浄が不十分であった。本発明は、半導体ウェーハの表面の残存パーティクル数をより減少させることができる半導体ウェーハの洗浄方法を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決すべく本発明者は鋭意検討した。従来技術の洗浄方法によって半導体ウェーハを洗浄すると、乾燥後に基板表面に付着系パーティクルが残存し、その結果、表面検査装置(例えば、KLA corporation社製、Surfscan SP5以降の装置)によって洗浄後の半導体ウェーハの表面を検査すると、付着系パーティクルに起因すると思われるLPD(Light Point Defect)が多数検出される。そこで本発明者らは、様々な半導体ウェーハの洗浄方法を詳細に検討し、洗浄後の半導体ウェーハの表面に検出されるLPDの個数との関係を詳細に調査した。その結果、半導体ウェーハの付着系パーティクルを効率よく除去するためには、半導体ウェーハに対して洗浄液を用いて複数回の洗浄処理を行う過程で、一旦、洗浄処理を中止し、半導体ウェーハに対して乾燥処理を行い、その後、純水を供給した後、再度、洗浄処理を再開することで、付着系パーティクルに起因するLPDの個数を可及的に低減できるとの知見を見出した。上記知見に基づき完成した本発明の要旨構成は以下のとおりである。
【0007】
(1)半導体ウェーハを回転させながら、
前記半導体ウェーハを洗浄する第1洗浄工程と、
前記第1洗浄工程後の前記半導体ウェーハを乾燥する第1乾燥工程と、
前記第1乾燥工程後の前記半導体ウェーハを洗浄する第2洗浄工程と、
前記第2洗浄工程後の前記半導体ウェーハを乾燥する第2乾燥工程と、を含み、
前記第1洗浄工程は、
前記半導体ウェーハの表面にオゾン液を供給して洗浄する第1初期オゾン洗浄工程と、
前記半導体ウェーハの表面をフッ酸水溶液で洗浄する第1フッ酸洗浄と、前記第1フッ酸洗浄に引き続くオゾン液で洗浄する第1オゾン洗浄により交互に洗浄する工程と、
をこの順に含み
前記第2洗浄工程は
前記第1の乾燥工程後の前記半導体ウェーハの表面に純水を供給する純水供給工程と、
前記半導体ウェーハの表面にオゾン液を供給して洗浄する第2初期オゾン洗浄工程と、
前記半導体ウェーハの表面をフッ酸水溶液で洗浄する第2フッ酸洗浄と、前記第2フッ酸洗浄に引き続くオゾン液で洗浄する第2オゾン洗浄により交互に洗浄する工程と、
をこの順に含む、
半導体ウェーハの洗浄方法。
【0008】
(2)前記第1洗浄工程において交互に洗浄する工程を繰り返し実施する回数が1回以上4回以下の範囲である、(1)に記載の半導体ウェーハの洗浄方法。
【0009】
(3)前記第1洗浄工程において交互に洗浄する工程を繰り返し実施する回数が1回以上2回以下の範囲である、(1)又は(2)に記載の半導体ウェーハの洗浄方法。
【0010】
(4)前記第2洗浄工程において交互に洗浄する工程を繰り返し実施する回数が1回である、(1)又は(3)に記載の半導体ウェーハの洗浄方法。
【0011】
(5)前記純水供給工程における前記半導体ウェーハの回転速度は25rpm以上100rpm以下である、(1)~(4)のいずれかに記載の半導体ウェーハの洗浄方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、半導体ウェーハの表面の付着系パーティクルを減少させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明による半導体ウェーハの洗浄方法のフローの要部を示す図である。
図2】比較例及び発明例に対するLPDの個数を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(半導体ウェーハの洗浄方法)
以下、図1を参照して、本発明の実施形態について説明する。本発明による半導体ウェーハの洗浄方法は、半導体ウェーハを回転させながら、半導体ウェーハを洗浄する第1洗浄工程と、第1洗浄工程後の半導体ウェーハを乾燥する第1乾燥工程と、第1乾燥工程後の前記半導体ウェーハを洗浄する第2洗浄工程と、第2洗浄工程後の半導体ウェーハを乾燥する第2乾燥工程とを少なくとも含む。なお、第1洗浄工程において、最初にオゾン洗浄を実施することを特に第1「初期」オゾン洗浄工程と称し、その後に繰り返し実施する第1フッ酸洗浄工程及び第1オゾン洗浄工程と区別する。同様に、第2洗浄工程において、最初にオゾン洗浄を実施することを特に第2「初期」オゾン洗浄工程と称し、その後に繰り返し実施する第2フッ酸洗浄工程及び第2オゾン洗浄工程と区別する。各工程の詳細は以下のとおりである。
【0015】
<第1洗浄工程>
第1洗浄工程は、半導体ウェーハをオゾン液で洗浄する第1初期オゾン洗浄工程と、半導体ウェーハの表面をフッ酸水溶液で洗浄する第1フッ酸洗浄と、第1フッ酸洗浄に引き続くオゾン液で洗浄する第1オゾン洗浄により交互に洗浄する工程と、をこの順に含む。以下、順次各工程について説明する。
【0016】
<<第1初期オゾン洗浄工程>>
第1初期オゾン洗浄工程では、半導体ウェーハを回転させながら、半導体ウェーハの表面にオゾン液を供給して半導体ウェーハ表面をオゾン洗浄する。第1初期オゾン洗浄工程では、半導体ウェーハ表面に付着した金属や有機物を酸化して除去するとともに、半導体ウェーハ表面に付着したその他の付着系パーティクルの下方に酸化膜を形成することができる。また、第1初期オゾン洗浄工程の前には、半導体ウェーハの表面に予め純水が供給され、ウェット状態であることが好ましい。
【0017】
<<第1フッ酸洗浄及び第1オゾン洗浄>>
本工程では、半導体ウェーハの表面をフッ酸水溶液で洗浄する第1フッ酸洗浄と、前記第1フッ酸洗浄に引き続くオゾン液で洗浄する第1オゾン洗浄により交互に洗浄する。第1フッ酸洗浄及び第1オゾン洗浄では、まず、第1初期オゾン洗浄工程に続く第1フッ酸洗浄において、オゾン洗浄された半導体ウェーハを回転させながら、半導体ウェーハの表面にフッ酸(フッ化水素:HF)水溶液を供給して半導体ウェーハ表面をフッ酸洗浄し、引き続く第1オゾン洗浄において、フッ酸洗浄された半導体ウェーハを回転させながら、半導体ウェーハの表面にオゾン液を供給して半導体ウェーハ表面をオゾン洗浄する。第1フッ酸洗浄及び第1オゾン洗浄では、第1初期オゾン洗浄工程において形成された酸化膜を除去して、その際に半導体ウェーハ表面に付着したメタルやパーティクルを除去することができる。
【0018】
この第1フッ酸洗浄及び第1オゾン洗浄により交互に洗浄する工程では、上記第1フッ酸洗浄及び第1オゾン洗浄を交互に所定の回数追加実施することが好ましい。第1洗浄工程において交互に洗浄する工程を追加実施する回数は1回以上4回以下の範囲内に設定することが好ましく、1回以上2回以下の範囲内とすることがさらに好ましい。なお、本明細書において「追加実施する」とは、必須の1回に加えて実施する回数をいうものとする。すなわち、第1洗浄工程において交互に洗浄する工程を合計2回以上5回以下の範囲内に設定することが好ましく、合計2回以上3回以下の範囲内とすることがさらに好ましい。
【0019】
<<第1乾燥工程>>
そして、第1乾燥工程では、第1洗浄工程における第1オゾン洗浄後の半導体ウェーハを回転させながら、半導体ウェーハを高速で回転させて、半導体ウェーハをスピン乾燥する。この第1乾燥工程では、半導体ウェーハの回転数を、例えば1000rpm以上2000rpm以下とすることができる。この第1乾燥工程を行うことにより、第1洗浄工程において除去できなかった付着系パーティクルと半導体ウェーハとの間の粘着力を低下させ、剥離しやすい状態にすることができる。
【0020】
<第2洗浄工程>
第2洗浄工程は、第1の乾燥工程後の前記半導体ウェーハの表面に純水を供給する純水供給工程と、半導体ウェーハの表面にオゾン液を供給して洗浄する第2初期オゾン洗浄工程と、半導体ウェーハの表面をフッ酸水溶液で洗浄する第2フッ酸洗浄と、前記第2フッ酸洗浄に引き続くオゾン液で洗浄する第2オゾン洗浄により交互に洗浄する工程と、をこの順に含む。以下、順次各工程について説明する。
【0021】
<<純水供給工程>>
まず、第2洗浄工程のはじめに純水供給工程を実施する。純水供給工程では半導体ウェーハを低速回転の状態で、純水を低流量かつ垂直ノズルで供給することが好ましい。純水供給工程を行うことにより、洗浄対象の半導体ウェーハを回転させつつ、半導体ウェーハの表面の中心部に純水を供給することが好ましく、回転する半導体ウェーハの中心部に純水を供給することによって、遠心力により、純水が半導体ウェーハの中心部から外周部に向かってウェーハ全体に均一に拡散し、半導体ウェーハの表面の上に純水の膜を形成することができる。
【0022】
半導体ウェーハの表面上に純水の膜を形成した状態とすることで、純水の供給から洗浄液の供給に切り替えたときに、半導体ウェーハの表面に存在する純水により洗浄液が薄められることで、その反応性を低下させ、洗浄液の供給開始直後の段階の高濃度の洗浄液の乱流を抑制することができる。半導体ウェーハの表面全体に均一な濃度の洗浄液が行きわたり、半導体ウェーハの表面を均一に洗浄することができるためである。
【0023】
純水の供給は、少なくとも半導体ウェーハの表面全体に純水の膜が形成されるまで行うことが好ましい。そして、本発明では、後段の第2初期オゾン洗浄においてオゾン液の供給に切り替えるまで、半導体ウェーハの表面に純水を供給し続けることが好ましい。
【0024】
半導体ウェーハの表面に供給する純水の純度は、製品品質を達成できる純度を有していれば特に限定されない。純水の純度は、いわゆる純水レベル(例えば、抵抗率:0.1MΩ・cm以上15MΩ・cm以下)とすることができ、超純水レベル(例えば、抵抗率:15MΩ・cm超え)とすることもできる。
【0025】
純水供給工程における上記純水の供給は、半導体ウェーハを25rpm以上100rpm以下の回転数で回転させた状態で行うことが好ましい。これにより、跳水現象による純水の乱流が生じるのを防止することができ、引き続く第2洗浄工程においてフッ酸洗浄液を供給しても、フッ酸洗浄液の乱流が生じるのを防止して、半導体ウェーハの表面をより均一に洗浄することができる。
【0026】
<<第2初期オゾン洗浄工程>>
第2初期オゾン洗浄工程では、純水供給された半導体ウェーハを回転させながら、半導体ウェーハの表面にオゾン液を供給して半導体ウェーハ表面をオゾン洗浄する。第1洗浄工程の第1初期オゾン洗浄工程と同様、半導体ウェーハ表面に付着した金属や有機物を酸化して除去するとともに、半導体ウェーハ表面に付着したその他の付着系パーティクルの下方に酸化膜を形成することができる。
【0027】
<<第2フッ酸洗浄及び第2オゾン洗浄>>
本工程では、半導体ウェーハの表面をフッ酸水溶液で洗浄する第2フッ酸洗浄と、前記第2フッ酸洗浄に引き続くオゾン液で洗浄する第2オゾン洗浄により交互に洗浄する。第2フッ酸洗浄及び第2オゾン洗浄では、まず、純水供給工程に続く第2初期オゾン洗浄工程後の半導体ウェーハを回転させながら、半導体ウェーハの表面にフッ酸水溶液を供給して半導体ウェーハ表面をフッ酸洗浄し、引き続く第2オゾン洗浄において、フッ酸洗浄された半導体ウェーハを回転させながら、半導体ウェーハの表面にオゾン液を供給して半導体ウェーハ表面をオゾン洗浄する。
【0028】
なお、第2初期オゾン洗浄工程以降における半導体ウェーハの回転数が純水供給工程における半導体ウェーハの回転数よりも高い設定とする場合には、純水の供給からオゾン液の供給に切り替えた後、半導体ウェーハ上の純水がオゾン液に全て入れ替わった段階以降で、半導体ウェーハの回転数を上昇させることが好ましい。
【0029】
半導体ウェーハの表面のパーティクルは、第1洗浄工程により大部分が洗浄除去されるが、一部のパーティクルが付着系パーティクルとして残存している。そして、これらの付着系パーティクルも、半導体ウェーハの表面に強固に固着しているのではなく、第1洗浄工程の後の第1乾燥工程により剥離しやすい状態になっているものと考えられる。そのため、第1乾燥工程後の半導体ウェーハの表面に対して第2洗浄工程を実施することにより、さらに半導体ウェーハ上の付着系パーティクルの下面に薬液が入り込み、これらのパーティクルを除去することが出来る。
【0030】
この第2フッ酸洗浄及び第2オゾン洗浄により交互に洗浄する工程は、上記第2フッ酸洗浄及び第2オゾン洗浄を交互に所定の回数繰り返すように構成することができる。フッ酸水溶液供給時の半導体ウェーハの回転速度は50rpm以上800rpm以下であることが好ましく、300rpm以上500rpm以下であることが更に好ましい。また、フッ酸水溶液は0.5L/min以上1.5L/min以下の流量で供給することが好ましい。また、フッ酸水溶液は0.5wt%以上3.0wt%以下の濃度であることが好ましい。また、オゾン水供給時の半導体ウェーハの回転速度は50rpm以上800rpm以下であることが好ましく、300rpm以上500rpm以下であることが更に好ましい。オゾン水は0.5L/min以上2.0L/min以下の流量で供給することが好ましく、1.0L/min以上2.0L/min以下の流量で供給することが更に好ましい。また、オゾン濃度は20mg/L以上30mg/L以下であることが好ましい。この条件範囲内に設定することにより、半導体ウェーハの表面を均一に洗浄することができる。
【0031】
この第2フッ酸洗浄及び第2オゾン洗浄により交互に洗浄する工程では、上記第2フッ酸洗浄及び第2オゾン洗浄を交互に所定の回数追加実施することが好ましい。第2洗浄工程において交互に洗浄する工程を追加実施する回数は1回とすることが好ましい。すなわち、第2洗浄工程において交互に洗浄する工程を合計2回実施することが好ましい。
【0032】
<<第2乾燥工程>>
最後に、第2フッ酸洗浄及び第2オゾン洗浄により交互に洗浄する工程を経た半導体ウェーハを高速で回転させて、半導体ウェーハをスピン乾燥する。第2乾燥工程での乾燥条件は特に限定されないが、半導体ウェーハの回転数は、1000rpm以上2000rpm以下とすることが好ましく、乾燥時間は25秒間以上40秒間以下とすることが好ましい。なお、第2乾燥工程前に、回転させた半導体ウェーハ表面に純水を供給してリンス処理してもよい。
【0033】
こうして、本実施形態に係る半導体ウェーハの洗浄方法を用いることにより半導体ウェーハの表面の付着系パーティクルを減少させることができる。なお、本発明の洗浄対象の半導体ウェーハとしては、シリコンウェーハ、ゲルマニウムウェーハ、ヒ化ガリウムウェーハなど、任意の半導体ウェーハとすることができるが、本発明により、特にシリコンウェーハを好適に洗浄することができる。また、半導体ウェーハは単結晶ウェーハ、多結晶ウェーハとすることができる。さらに、半導体ウェーハは、エピタキシャルウェーハやアニールウェーハとすることができる。半導体ウェーハの直径、導電型、抵抗率なども限定されない。
【実施例0034】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は実施例に限定されない。
【0035】
(比較例1)
比較例1として、直径300mmのシリコンウェーハを8枚用意し、スピン洗浄機を用いてそれぞれのシリコンウェーハに対して洗浄処理を行った。具体的には、まず、シリコンウェーハを回転させつつ、シリコンウェーハの表面にオゾン水を供給してオゾン洗浄処理を行った。次いで、シリコンウェーハの表面にフッ酸水溶液を供給してフッ酸洗浄処理を行った後、シリコンウェーハの表面にオゾン水を供給してオゾン洗浄処理を行う処理を交互に実施する洗浄操作を合計3回(すなわち、追加実施した回数が2回)実施した。各オゾン洗浄処理条件(ウェーハ回転速度、オゾン濃度、流量、時間)は同一条件であり、各フッ酸洗浄処理条件(ウェーハ回転速度、フッ酸濃度、流量、時間)も同一条件とした。最終のオゾン洗浄処理後のシリコンウェーハを高速で回転させながら乾燥処理を行った。こうして、比較例1のシリコンウェーハを得た。
【0036】
(比較例2)
比較例2として、直径300mmのシリコンウェーハを8枚用意し、スピン洗浄機を用いてそれぞれのシリコンウェーハに対して洗浄処理を行った。フッ酸洗浄処理とその後に行うオゾン洗浄処理を交互に実施する洗浄操作を合計5回(すなわち、追加実施した回数が4回)とした以外は、比較例1と同条件で各処理を行った。こうして、比較例2のシリコンウェーハを得た。
【0037】
(発明例)
発明例として、直径300mmのシリコンウェーハを8枚用意し、スピン洗浄機を用いてそれぞれのシリコンウェーハに対して洗浄処理を行った。具体的には、まず、シリコンウェーハを回転させつつ、シリコンウェーハの表面にオゾン水を供給してオゾン洗浄処理を行った。次いで、オゾン洗浄を行ったシリコンウェーハの表面にフッ酸水溶液を供給してフッ酸洗浄処理を行い、引き続き、シリコンウェーハの表面にオゾン水を供給してオゾン洗浄処理を交互に実施する洗浄操作を合計3回(すなわち、追加実施した回数が2回)実施した。次に、最終のオゾン洗浄処理後のシリコンウェーハを高速で回転させながら乾燥処理を行った後、乾燥処理を行ったシリコンウェーハを50rpmの回転速度でゆっくりと回転させながら、ウェーハ表面に純水を供給してリンス処理を行った。次いで、純水供給処理を行ったシリコンウェーハの表面にオゾン水を供給してオゾン洗浄処理を行った。シリコンウェーハの表面にフッ酸水溶液を供給してフッ酸洗浄処理を行った後、オゾン水を供給してオゾン洗浄処理を行う処理を交互に実施する洗浄操作を合計2回(すなわち、追加実施した回数が1回)実施した。
【0038】
こうして、発明例のシリコンウェーハを得た。なお、各回で実施するオゾン洗浄処理条件(ウェーハ回転速度、オゾン濃度、流量、時間)は比較例1および比較例2と同一条件であり、フッ酸洗浄処理条件(ウェーハ回転速度、フッ酸濃度、流量、時間)も比較例1および比較例2と同一条件とした。
【0039】
比較例1、2及び発明例について、洗浄したシリコンウェーハ8枚のそれぞれについて、表面検査装置(KLA corporation社製、Surfscan SP7)を用いて、シリコンウェーハの表面を検査した。その際、シリコンウェーハの表面に入射する入射光としては、斜め入射光(ウェーハ表面垂直方向に対して70度の方向から入射)を用い、検出チャネルとしてはDCOチャネルを用い、15nm以上のサイズのLPDを検出した。結果を図2に示す。
【0040】
比較例1については、シリコンウェーハ1枚当たりのLPDは3.9個であった。比較例2については、比較例1よりも繰り返し洗浄回数を増やしたにも係わらず、シリコンウェーハ1枚当たりのLPDは3.8個であり、比較例1とほぼ同等の結果であり改善効果は確認されなかった。一方、発明例については、シリコンウェーハ1枚当たりのLPDは1.5個まで低減することができた。すなわち、半導体ウェーハに対する繰り返し洗浄操作を一旦中止し、半導体ウェーハに対して乾燥処理を行い、その後、純水を供給した後、再度、繰り返し洗浄処理を再開することが、付着系パーティクルに起因するLPDの低減効果が高いことが明らかであるとわかった。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明によれば、半導体ウェーハの表面の付着系パーティクルを減少させることができるため、半導体ウェーハ製造業において有用である。
図1
図2