(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168787
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】情報処理装置、画像形成装置、通信方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20241128BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
H04N1/00 912
B41J29/38 401
B41J29/38 801
H04N1/00 885
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023085726
(22)【出願日】2023-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】横山 慎悟
【テーマコード(参考)】
2C061
5C062
【Fターム(参考)】
2C061AP07
2C061HJ08
2C061HK19
2C061HK23
2C061HN08
2C061HN15
2C061HT08
5C062AA02
5C062AA05
5C062AA35
5C062AB22
5C062AB38
5C062AB40
5C062AB42
5C062AC04
5C062AC22
5C062AC23
5C062AC34
5C062AE15
(57)【要約】
【課題】メインシステムに代わってサブシステムが受信データに応答する情報処理装置において、所定の処理の実行に伴い一時的に増加する受信データに対するメインシステム側の処理を低減する。
【解決手段】情報処理装置は、所定の処理を実行するメインシステムと、前記メインシステムに接続されるサブシステムとを含む情報処理装置であって、前記サブシステムは、通信ネットワークを介してデータを送受信する通信部と、前記サブシステムが自動応答する所定の受信データに関する情報と、前記所定の受信データに対応する応答データとを含む1つ以上の自動応答情報を記憶する記憶部と、前記通信部が前記所定の受信データを受信した場合、前記所定の受信データに対応する前記応答データを返信するデータ処理部と、前記メインシステムによる前記所定の処理の実行状況に基づいて、前記所定の受信データの優先度を変更する情報管理部と、を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の処理を実行するメインシステムと、前記メインシステムに接続されるサブシステムとを含む情報処理装置であって、
前記サブシステムは、
通信ネットワークを介してデータを送受信する通信部と、
前記サブシステムが自動応答する所定の受信データに関する情報と、前記所定の受信データに対応する応答データとを含む1つ以上の自動応答情報を記憶する記憶部と、
前記通信部が前記所定の受信データを受信した場合、前記所定の受信データに対応する前記応答データを返信するデータ処理部と、
前記メインシステムによる前記所定の処理の実行状況に基づいて、前記所定の受信データの優先度を変更する情報管理部と、
を有する、情報処理装置。
【請求項2】
前記情報管理部は、受信データをポート番号ごとにカウントしたカウント情報と、前記所定の処理の実行状況とを用いて、前記所定の受信データの優先度を決定する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
受信データをポート番号ごとにカウントするときに、前記メインシステムしか応答できないポート番号をカウントから除外する、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記情報管理部は、前記メインシステムが前記所定の処理を実行したときに、前記所定の受信データのうち、前記所定の処理の実行に伴って増加する受信データの優先度を上げる、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記記憶部は、前記優先度が高い順に所定の数の前記自動応答情報を記憶する、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記サブシステムは、前記通信部が受信した受信データを、前記メインシステムで処理するか、前記サブシステムで処理するかを決定する決定部を有し、
前記データ処理部は、前記サブシステムで処理すると決定された受信データに対応する応答データが前記記憶部に記憶されていない場合、前記決定された受信データに対応する応答データの作成を前記メインシステムに要求し、
前記情報管理部は、前記決定された受信データに関する情報と、前記メインシステムが作成した応答データとを含む新たな自動応答情報を前記記憶部に記憶する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記記憶部は、所定の数の前記自動応答情報を記憶し、
前記情報管理部は、前記新たな自動応答情報を前記記憶部に記憶するときに、前記記憶部に前記所定の数の前記自動応答情報が記憶されている場合、前記記憶部に記憶されている前記自動応答情報のうち、優先度が最も低い自動応答情報を削除する、
請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
請求項1に記載の情報処理装置を含む画像形成装置であって、
前記メインシステムは、画像形成処理を実行する画像形成処理部を有し、
前記情報管理部は、
前記画像形成処理を実行してから所定の期間を経過するまで、前記所定の受信データのうち、前記画像形成処理の実行に伴って増加する受信データの優先度をより高い状態に維持し、
前記所定の期間を経過後に、前記所定の受信データの優先度を元に戻す、
画像形成装置。
【請求項9】
所定の処理を実行するメインシステムと、前記メインシステムに接続されるサブシステムとを含む情報処理装置において、
前記サブシステムが、
通信ネットワークを介してデータを送受信する処理と、
前記サブシステムが自動応答する所定の受信データに関する情報と、前記所定の受信データに対応する応答データとを含む1つ以上の自動応答情報を記憶する処理と、
前記所定の受信データを受信した場合、前記所定の受信データに対応する前記応答データを返信する処理と、
前記メインシステムによる前記所定の処理の実行状況に基づいて、前記所定の受信データの優先度を変更する処理と、
を実行する、通信方法。
【請求項10】
所定の処理を実行するメインシステムと、前記メインシステムに接続されるサブシステムとを含む情報処理装置において、
前記サブシステムに、
通信ネットワークを介してデータを送受信する処理と、
前記サブシステムが自動応答する所定の受信データに関する情報と、前記所定の受信データに対応する応答データとを含む1つ以上の自動応答情報を記憶する処理と、
前記所定の受信データを受信した場合、前記所定の受信データに対応する前記応答データを返信する処理と、
前記メインシステムによる前記所定の処理の実行状況に基づいて、前記所定の受信データの優先度を変更する処理と、
を実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、画像形成装置、通信方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
メインシステムとサブシステムとを含む情報処理装置において、メインシステムが省電力状態であるときに、サブシステムがメインシステムに代わって受信データに応答することにより、消費電力を低減する技術が知られている。
【0003】
また、特許文献1、2には、サブシステムが応答する受信データと応答データとをテーブルで管理し、受信データのカウント数により受信データの優先度を決定すること、及び優先度を古いものから削除すること等が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1、2に開示された従来の技術では、情報処理装置が実行するジョブに伴い一時的に増加する受信データ(パケット)に対応できないという問題がある。例えば、情報処理装置が画像形成装置である場合、印刷後に機器の状態を問い合わせるパケットが増加する。しかし、従来の技術では、当該パケットをテーブルに残す仕組みがないため、メインシステム側での処理が必要となり、省電力状態を維持できない場合がある。
【0005】
本発明の一実施形態は、上記の問題点に鑑みてなされたものであって、メインシステムに代わってサブシステムが受信データに応答する情報処理装置において、所定の処理の実行に伴い一時的に増加する受信データに対するメインシステム側の処理を低減する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明の一実施形態に係る情報処理装置は、所定の処理を実行するメインシステムと、前記メインシステムに接続されるサブシステムとを含む情報処理装置であって、前記サブシステムは、通信ネットワークを介してデータを送受信する通信部と、前記サブシステムが自動応答する所定の受信データに関する情報と、前記所定の受信データに対応する応答データとを含む1つ以上の自動応答情報を記憶する記憶部と、前記通信部が前記所定の受信データを受信した場合、前記所定の受信データに対応する前記応答データを返信するデータ処理部と、前記メインシステムによる前記所定の処理の実行状況に基づいて、前記所定の受信データの優先度を変更する情報管理部と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一実施形態によれば、メインシステムに代わってサブシステムが受信データに応答する情報処理装置において、所定の処理の実行に伴い一時的に増加する受信データに対するメインシステム側の処理を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】一実施形態に係る画像形成装置のハードウェア構成の例を示す図である。
【
図2】一実施形態に係る画像形成装置の機能構成の例を示す図である。
【
図3】一実施形態に係る優先順位の決定処理の例を示すフローチャートである。
【
図4】一実施形態に係る使用ポート番号の順位の例を示す図である。
【
図5】一実施形態に係るパケットテーブルの例を示す図である。
【
図6】一実施形態に係る通信処理の例を示すシーケンス図(1)である。
【
図7】一実施形態に係る応答パケットの探索処理の例を示すフローチャートである。
【
図8】一実施形態に係る通信処理の例を示すシーケンス図(2)である。
【
図9】一実施形態に係る応答パケットの登録処理の例を示すフローチャートである。
【
図10】一実施形態に係る新たなパケットを登録後のパケットテーブルの例を示す図である。
【
図11】一実施形態に係る通信処理の例を示すシーケンス図(3)である。
【
図12】一実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成の例を示す図である。
【
図13】一実施形態に係る情報処理装置の機能構成の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態(本実施形態)について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0010】
<画像形成装置の構成例>
図1は、一実施形態に係る画像形成装置のハードウェア構成の例を示す図である。画像形成装置(情報処理装置)10は、例えば、印刷、又はスキャン等の画像形成処理を実行する情報処理装置である。画像形成装置10は、画像形成処理を実行可能な通常状態と、通常状態より消費電力が少ない省電力状態との間を遷移する省電力機能を有している。なお、画像形成装置10は、メインシステムとサブシステムとを含み、メインシステムが省電力状態であるときに、サブシステム110がメインシステムに代わって受信データに応答する機能を有する情報処理装置の一例である。
【0011】
図1の例では、画像形成装置10は、コントローラ100、エンジン制御部20、及び操作パネル30等を有する。また、コントローラ100は、サブシステム110とメインシステム120とを含む。
【0012】
サブシステム110は、例えば、サブCPU(Central Processing Unit)111、サブシステムメモリ112、通信I/F(Interface)113、信号出力回路114、及びバス115等を有する。
【0013】
サブCPU111は、例えば、サブシステムメモリ112等の記憶媒体に記憶した所定のプログラムを実行することにより、サブシステム110を制御するプロセッサ(演算装置)である。サブシステムメモリ112は、例えば、サブCPU111のワークエリアとして用いられる揮発性のメモリであるRAM(Random Access Memory)、及び起動用のプログラム等を予め記憶した不揮発性のメモリであるROM(Read Only Memory)等が含まれる。また、サブシステムメモリ112には、フラッシュROM等のストレージデバイスが含まれていてもよい。
【0014】
通信I/F113は、例えば、インターネット、又はLAN(Local Area Network)等の通信ネットワーク103に画像形成装置10を接続し、外部装置と通信を行うためのインタフェースである。
【0015】
信号出力回路114は、サブCPU111からの制御に従って、メインシステム120に省電力状態からの復帰を要求する復帰要求信号102等を出力する回路である。バス115は、サブシステム110の各構成要素に接続され、例えば、アドレス信号、データ信号、及び各種の制御信号等を伝送する。
【0016】
メインシステム120は、例えば、メインCPU121、メインシステムメモリ122、電力制御回路123、I/F124、I/F125、及びバス126等を有する。
【0017】
メインCPU121は、例えば、メインシステムメモリ122等の記憶媒体に記憶した所定のプログラムを実行することにより、画像形成処理等の所定の処理を制御するプロセッサである。
【0018】
メインシステムメモリ122には、例えば、メインCPU121のワークエリアとして用いられるRAM、メインCPU121の起動用のプログラム等を予め記憶したROM、及びストレージデバイス等が含まれる。
【0019】
電力制御回路123は、メインシステム120内への電力の供給を制御する。例えば、電力制御回路123は、メインシステム120(又は画像形成装置10)が省電力状態に移行したときに、メインシステム120内への電力の供給を停止する。また、電力制御回路123は、省電力状態であるときに、サブシステム110から、通常動作への復帰を要求する復帰信号を受け付けると、メインシステム120内への電力の供給を再開する。
【0020】
なお、メインシステム120は、電力の供給を停止せずに、省電力状態へ移行するものであってもよい。この場合、画像形成装置10は、電力制御回路123、及び信号出力回路114等を有していなくてもよい。
【0021】
I/F124は、メインシステム120に、エンジン制御部20を接続するためのインタフェースである。I/F125は、メインシステム120に、操作パネルを接続するためのインタフェースである。
【0022】
エンジン制御部20は、例えば、プリンタ21、及びスキャナ22を含む。プリンタ21は、印刷データを印刷媒体に印刷する印刷装置である。スキャナ22は、原稿等をスキャンする読取装置である。エンジン制御部20は、メインシステム120からの指示に従って、プリンタ21、及びスキャナ22を制御する。
【0023】
操作パネル30は、様々な操作画面を表示する表示デバイス、及び操作画面に対するユーザの操作を受け付けるタッチパネル等の入力デバイスを備えた表示入力装置である。
【0024】
サブシステム110とメインシステム120は、例えば、バス、又は高速シリアルI/F等の通信インタフェース101で通信可能に接続されている。
【0025】
画像形成装置10は、通常状態において、メインシステム120とサブシステムが起動しており、メインシステム120の制御により、印刷、又はスキャン等の画像形成処理を実行することができる。一方、省電力状態では、メインシステム120は起動せず、サブシステム110のみが起動している。メインシステム120は、サブシステム110と比べて処理能力が高く、消費電力も多いので、省電力状態では、画像形成装置10の消費電力を大幅に削減することができる。
【0026】
<機能構成>
図2は、一実施形態に係る画像形成装置の機能構成の例を示す図である。画像形成装置10は、エンジン制御部20を制御して画像形成処理を実行するメインシステム120と、メインシステム120と通信可能に接続されるサブシステム110とを含む。
【0027】
(サブシステムの機能構成)
サブシステム110は、サブCPU111で所定のプログラムを実行することにより、例えば、通信部201、宛先フィルタ部202、決定部203、状態制御部204、記憶部205、データ処理部206、及び情報管理部207等の各機能構成を実現している。なお、上記の各機能構成のうち、少なくとも一部は、ハードウェアによって実現されるものであってよい。
【0028】
通信部201は、通信I/F113等を用いて、サブシステム110を通信ネットワーク103に接続し、通信ネットワーク103を介してパケットを送受信する通信処理を実行する。なお、パケットは、通信部201が送受信するデータの一例である。
【0029】
宛先フィルタ部202は、通信部201が受信した受信パケット(受信データ)が、画像形成装置10で処理すべきパケットであるか否かを判断し、画像形成装置10で処理すべきパケット以外を破棄する宛先フィルタ処理を実行する。なお、宛先フィルタ部202の機能は、決定部203が有していてもよい。
【0030】
決定部203は、宛先フィルタ部202が、画像形成装置10で処理すべきと判断した受信パケットを、メインシステム120で処理するか、サブシステム110で処理するかを決定する決定処理を実行する。例えば、決定部203は、受信パケットが、サブシステムで処理可能なパケットである場合、受信パケットをサブシステム110で処理すると決定し、受信パケットをデータ処理部206に転送する。
【0031】
また、決定部203は、受信パケットが、サブシステム110で処理できないパケットである場合、受信パケットをメインシステム120で処理すると決定し、受信パケットをメインシステム120のプロトコル処理部211に転送する。なお、メインシステム120が省電力状態である場合、決定部203は、状態制御部204を用いて、メインシステム120を通常状態に移行させてから、受信パケットをメインシステム120のプロトコル処理部211に転送してもよい。
【0032】
状態制御部204は、決定部203からの制御に従って、省電力状態のメインシステム120を通常状態に復帰させる状態制御処理を実行する。例えば、状態制御部204は、信号出力回路114を用いて、メインシステム120の電力制御回路123に復帰要求信号102を出力することにより、省電力状態のメインシステム120を通常状態に復帰させる。ただし、状態制御部204が、省電力状態のメインシステム120を通常状態に復帰させる方法は、これに限られない。
【0033】
記憶部205は、例えば、サブシステムメモリ112に含まれるRAM、又はフラッシュROM等によって実現される。記憶部205は、例えば、サブシステム110が自動応答する所定の受信パケット(受信データ)に関する情報と、所定の受信パケットに対応する応答パケット(応答データ)とを含む1つ以上の自動応答情報登録したパケットテーブル等を記憶する。
【0034】
データ処理部206は、パケットテーブルに登録された所定の受信パケットを受信した場合、メインシステム120に代わって所定の受信パケットに対応する応答データを返信する処理を実行する。
【0035】
また、データ処理部206は、決定部203から転送された受信パケットがパケットテーブルに登録されていない場合、当該受信パケットに対応する応答パケットの作成を、メインシステム120のプロトコル処理部211に要求する。なお、メインシステム120が省電力状態である場合、データ処理部206は、状態制御部204を用いて、メインシステム120を通常状態に移行させてから、応答パケットの作成を、メインシステム120のプロトコル処理部211に要求してもよい。
【0036】
なお、データ処理部206は、決定部203を介して、状態制御部204にメインシステム120の通常状態への復帰を要求してもよいし、決定部203を介さずに、状態制御部204にメインシステム120の通常状態への復帰を要求してもよい。
【0037】
さらに、データ処理部206は、プロトコル処理部211が作成した応答パケットを、通信部201を介して返信する。また、データ処理部206は、プロトコル処理部211が作成した応答パケットが、パケットテーブルへの登録対象のパケットである場合、当該応答パケットのパケットテーブルへの登録を情報管理部207に要求する。
【0038】
なお、データ処理部206は、プロトコル処理部211が作成した応答パケットを情報管理部207に通知し、情報管理部207が、当該応答パケットをパケットテーブルに登録するか否かを判断してもよい。
【0039】
情報管理部207は、記憶部205が記憶するパケットテーブルを管理する。例えば、情報管理部207は、メインシステム120による画像形成処理(所定の処理)の実行状況に基づいて、パケットテーブルに登録された所定の受信パケット等の優先度を変更する処理を実行する。
【0040】
好ましくは、情報管理部207は、通信部201が受信した受信パケットをポート番号ごとにカウントしたカウント情報と、画像形成処理の実行状況とを用いて、パケットテーブルに登録された所定の受信パケット等の優先度を決定する。好ましくは、情報管理部207は、通信部201が受信した受信データをポート番号ごとにカウントするときに、メインシステム120しか応答できないポート番号をカウントから除外する。ここで、優先度とは、パケットテーブルに残す自動応答情報の優先度である。
【0041】
(メインシステムの機能構成)
メインシステム120は、メインCPU121で所定のプログラムを実行することにより、例えば、プロトコル処理部211、画像形成処理部212、処理監視部213、及び省電力制御部214等の各機能構成を実現している。なお、上記の各機能構成のうち、少なくとも一部は、ハードウェアによって実現されるものであってもよい。
【0042】
プロトコル処理部211は、決定部203から転送された受信パケットを処理し、応答パケットを返信する処理を実行する。なお、プロトコル処理部211は、サブシステム110のデータ処理部206を介して、通信部201に応答パケットの送信を要求してもよいし、データ処理部206を介さずに、通信部201に応答パケットの送信を要求してもよい。
【0043】
また、プロトコル処理部211は、サブシステム110のデータ処理部206からの要求に応じて、受信パケットに対応する応答パケットの作成を行う。
【0044】
画像形成処理部212は、エンジン制御部20を制御して、例えば、印刷、又はスキャン等の画像形成処理を実行する。なお、画像形成処理部212は、操作パネル30によるユーザの操作に応じて画像形成処理を実行してもよいし、プロトコル処理部211から転送された受信パケットに応じて画像形成処理を実行してもよい。
【0045】
処理監視部213は、画像形成処理部212の処理状況、又はエンジン制御部20の動作状況を監視し、印刷、又はスキャン等の画像形成処理が実行された場合、画像形成処理が実行されたことを、サブシステム110の情報管理部207に通知する。
【0046】
省電力制御部214は、例えば、電力制御回路123等によって実現され、サブシステム110からの要求に応じて、メインシステム120を省電力状態から通常状態に復帰させる。例えば、省電力制御部214は、サブシステム110の状態制御部204が出力する復帰要求信号により、メインシステム120を通常状態に復帰させる。
【0047】
なお、
図2に示した画像形成装置10の機能構成は一例である。例えば、画像形成処理部212は、エンジン制御部20等によって実現されるものであっても良い。
【0048】
<処理の流れ>
続いて、本実施形態に係る通信方法の処理の流れについて説明する。
【0049】
(優先順位の決定処理)
図3は、一実施形態に係る優先順位の決定処理の例を示すフローチャートである。この処理は、サブシステム110の情報管理部207が、メインシステム120による画像形成処理の実行状況に基づいて、パケットテーブルに登録された所定の受信パケット等の優先度を決定する優先順位の決定処理の一例を示している。
【0050】
ステップS301において、情報管理部207は、受信したパケットの受信ポート番号ごとに、受信回数をカウントする。例えば、情報管理部207は、データ処理部206が決定部203から受信したパケットの受信ポート番号ごとに、パケットの受信回数をカウントする。これにより、情報管理部207は、不要な受信ポート番号のカウントを低減することができる。ただし、これに限られず、決定部203が宛先フィルタ部202から受信したパケットごとに、又は通信部201が受信したパケットの受信ポート番号ごとに、パケットの受信回数をカウントしてもよい。
【0051】
ステップS302において、情報管理部207は、前回の処理から所定の時間(以下、第1の時間と呼ぶ)を経過したか、又は画像形成装置10が画像形成処理を実行したかを判断する。前記の処理から第1の時間を経過した場合、又は画像形成装置10が画像形成処理を実行した場合、情報管理部207は、処理をステップS303に移行させる。一方、前記の処理から第1の時間を経過しておらず、かつ画像形成装置10が画像形成処理を実行していない場合、情報管理部207は、処理をステップS301に戻す。
【0052】
ステップS303に移行すると、情報管理部207は、受信ポート番号ごとの使用回数を用いて、使用ポート番号の順位を決定する。例えば、情報管理部207は、
図4に示すように、カウントした受信回数が多い順に使用ポート番号を並べて、その順番を使用ポート番号の順位とする。例えば、情報管理部207は、
図4において、受信回数が最も多い使用ポート番号「22161」の順位を「1」とする。
【0053】
ステップS304に移行すると、情報管理部207は、画像形成装置10が、印刷、又はコピー等の画像形成処理を実行してから所定の時間(以下、第2の時間と呼ぶ)を経過したか否かを判断する。
【0054】
例えば、画像形成装置10が、印刷、又はスキャン等の画像形成処理を実行した後は、画像形成処理の実行に伴って、例えば、SNMP(Simple Network Management Protocol)パケット等の所定のパケットが増加する。そこで、情報管理部207は、画像形成装置10が画像形成処理を実行した後、第2の時間(一例として、300秒程度)を経過するまで、画像形成処理の実行に伴って増加する所定の受信パケットの優先順位をより高い状態に維持する。好ましくは、情報管理部207は、所定の期間を経過後に、所定の受信パケットの優先順位を元に戻す。
【0055】
画像形成装置10が画像形成処理を実行してから第2の時間を経過している場合、情報管理部207は、処理をステップS305に移行させる。一方、画像形成装置10が画像形成処理を実行してから第2の時間を経過していない場合、情報管理部207は、処理をステップS306に移行させる。
【0056】
ステップS305に移行すると、情報管理部207は、使用ポート番号の順位を用いて、所定の受信パケット(又は応答パケット)の優先順位を決定する。例えば、情報管理部207は、
図5(A)に示すようなパケットテーブル501を作成(又は更新)し、記憶部205に記憶する。
【0057】
図5(A)は、画像形成処理を実行前のパケットテーブルの一例を示す図である。このパケットテーブル501は、画像形成装置10が画像形成処理を実行してから第2の時間を経過している場合のパケットテーブルの一例を示している。
【0058】
図5(A)の例では、パケットテーブル501は、項目として、「Index」、「受信パケット」、「応答パケット」、「受信パケットのポート番号」、「画像形成処理に伴って増加するパケットか?」、及び「優先順位」等の情報を含む。また、各行のデータは、サブシステム110が自動応答する所定の受信パケットに関する情報と、所定の受信パケットに対応する応答データとを含む情報(以下、自動応答情報と呼ぶ)の例を示している。
【0059】
「Index」は、各自動応答情報に付与されたインデックス番号である。「受信パケット」は、サブシステム110が自動応答する所定の受信パケットである。「応答パケット」は、所定の受信パケットに対応する応答パケットである。「受信パケットのポート番号」は、所定の受信パケットのポート番号である。
【0060】
「画像形成処理に伴って増加するパケットか?」は、所定の受信パケットが、画像形成装置10の画像形成処理に伴って増加するパケット(例えば、SNMPパケット等)であるか否かを示す情報である。例えば、
図5(A)の例では、情報管理部207は「受信パケットのポート番号」が「161」、「162」の受信パケットを、SNMPパケットと判断し、「画像形成処理に伴って増加するパケットか?」を「Yes」に設定している。なお、SNMPパケットは、画像形成装置10の画像形成処理に伴って増加するパケットの一例である。
【0061】
「優先順位」は、所定の受信パケット(又は自動応答情報)等の優先度を示す情報である。例えば、情報管理部207は、
図4で説明したように、使用ポート番号ごとにカウントしたパケットの受信回数(カウント情報)を用いて決定した使用ポート番号の順位に基づいて、「優先順位」を決定する。
図5(A)の例では、情報管理部207は、使用ポート番号の順位を、「優先順位」としている。
図5(A)の例では、優先順位が「1」の「受信パケット」の優先度が最も高く、優先順位が「5」の「受信パケット」の優先度が最も低いことを示している。
【0062】
このように、情報管理部207は、画像形成装置10が画像形成処理を実行してから、第2の時間以上経過している場合、受信データをポート番号ごとにカウントしたカウント情報(受信回数)に基づいて、所定の受信パケットの優先順位を決定する。
【0063】
一方、ステップS304からステップS306に移行すると、情報管理部207は、画像形成処理に関連するポート番号の受信パケットの優先順位を「1」とする。また、情報管理部207は、使用ポート番号の順位を用いて、他の所定の受信パケットの優先順位を決定する。例えば、情報管理部207は、
図5(B)に示すようなパケットテーブル502を作成(又は更新)し、記憶部205に記憶する。
【0064】
図5(B)は、画像形成処理を実行後のパケットテーブルの一例を示す図である。このパケットテーブル502は、画像形成装置10が画像形成処理を実行してから第2の時間以内である場合のパケットテーブルの一例を示している。
【0065】
図5(B)に示すように、パケットテーブル502は、
図5(A)で説明したパケットテーブル501と同様の情報を含む。ただし、パケットテーブル502の「優先順位」は、パケットテーブル501の「優先順位」から変更されている。
【0066】
情報管理部207は、画像形成処理に関連するポート番号の受信パケットの優先順位を「1」とする。例えば、情報管理部207は、
図5(B)に示すように、パケットテーブル502の「画像形成処理に伴って増加するパケットか?」の項目が「Yes」となっている所定の受信パケットの優先順位を「1」とする。また、情報管理部207は、
図4で説明したように、使用ポート番号ごとにカウントしたパケットの受信回数(カウント情報)を用いて決定した使用ポート番号の順位に基づいて、他の所定の受信パケットの「優先順位」を決定する。例えば、
図5(B)の例では、情報管理部207は、使用ポート番号の順位に1を加算して、「優先順位」としている。
【0067】
ステップS307において、情報管理部207は、画像形成装置10のネットワーク機能が有効であるか否かを判断する。画像形成装置10のネットワーク機能が有効である場合、情報管理部207は、処理をステップS301に戻して、ステップS301~S306の処理を繰り返し実行する。一方、画像形成装置10のネットワーク機能が有効でない場合、情報管理部207は、
図3の処理を終了する。
【0068】
図3の処理により、情報管理部207は、受信データをポート番号ごとにカウントしたカウント情報(受信回数)と、画像形成処理の実行状況とを用いて、例えば、
図5(A)、
図5(B)に示すように、画像形成処理の実行状況に応じて異なるパケットテーブルを作成する。
【0069】
(通信処理1)
図6は、一実施形態に係る通信処理の例を示すシーケンス図(1)である。この処理は、通信部201が、例えば、
図5(A)、又は
図5(B)に示すようなパケットテーブルに登録されている所定の受信パケットを受信したときに、画像形成装置10が実行する通信処理の一例を示している。
【0070】
ステップS601、S602において、通信部201は、パケットを受信すると、受信パケット(受信したパケット)を宛先フィルタ部202に転送する。
【0071】
ステップS603において、宛先フィルタ部202は、通信部201から受信した受信パケットが、画像形成装置10で処理すべきパケットであるか否かを判断し、画像形成装置10で処理すべきパケット以外を破棄する宛先フィルタ処理を実行する。ここで、通信部201から受信した受信パケットが、画像形成装置10で処理すべきパケットである場合、画像形成装置10は、ステップS604以降の処理を実行する。
【0072】
ステップS604において、宛先フィルタ部202は、画像形成装置10で処理すべき受信パケット(要処理)を決定部203に転送する。
【0073】
ステップS605において、決定部203は、宛先フィルタ部202から受信した受信パケット(要処理)を、メインシステム120で処理するか、サブシステム110で処理するかを決定する決定処理を実行する。ここでは、宛先フィルタ部202から受信した受信パケット(要処理)が、サブシステム110で処理するパケットであり、かつ受信パケット(要処理)がパケットテーブルに登録されているものとして、以下の説明を行う。
【0074】
ステップS606において、決定部203は、サブシステム110で処理すると決定した受信パケット(サブシステム)をデータ処理部206に転送する。
【0075】
ステップS607において、データ処理部206は、情報管理部207が管理するパケットテーブルから、受信パケット(サブシステム)に対応する応答パケットを探索する。例えば、データ処理部206は、
図7に示すような、応答パケットの探索処理を実行する。
【0076】
図7は、一実施形態に係る応答パケットの探索処理の例を示すフローチャートである。この処理は、例えば、
図6のステップS607において、データ処理部206が実行する応答パケットを探索する処理の一例を示している。なお、この応答パケットの探索処理は、データ処理部206からの要求に応じて、情報管理部207が実行してもよい。ここでは、
図7の処理をデータ処理部206が実行するものとして、以下の説明を行う。
【0077】
ステップS701において、データ処理部206は、例えば、
図5(A)、又は
図5(B)に示すようなパケットテーブルの1行目から、応答パケットの探索を開始する。
【0078】
ステップS702において、データ処理部206は、探索対象となる行の応答パケットが、受信パケット(サブシステム)に対応する応答パケットであるかを判断する。受信パケット(サブシステム)に対応する応答パケットである場合、データ処理部206は、処理をステップS705に移行させる。一方、受信パケット(サブシステム)に対応する応答パケットでない場合、データ処理部206は、処理をステップS703に移行させる。
【0079】
ステップS703に移行すると、データ処理部206は、探索対象となる行が、パケットテーブルの最終行であるか否かを判断する。パケットテーブルの最終行である場合、データ処理部206は、処理をステップS705に移行させる。一方、パケットテーブルの最終行でない場合、データ処理部206は、処理をステップS704に移行させる。
【0080】
ステップS704に移行すると、データ処理部206は、探索対象となる行を次の行へシフトし、処理をステップS702に戻す。
【0081】
ステップS705に移行すると、データ処理部206は、受信パケット(サブシステム)に対応する応答パケットが見つかったか否かを判断する。応答パケットが見つかった場合、データ処理部206は、処理をステップS706に移行させる。一方、応答パケットが見つかっていない場合、データ処理部206は、処理をステップS707に移行させる。
【0082】
ステップS706に移行すると、データ処理部206は、見つかった応答パケットを用いて、受信パケット(サブシステム)に応答する。一方、ステップS707に移行すると、データ処理部206は、メインシステム120に、受信パケット(サブシステム)に対応する応答パケットの作成を要求する。
【0083】
ここで、
図6に戻り、シーケンス図の説明を続ける。ステップS608において、データ処理部206は、
図7で説明した処理により、受信パケット(サブシステム)に対応する応答パケットを取得する。また、ステップS609において、データ処理部206は、取得した応答パケットの送信を、通信部201に要求することにより、受信パケット(サブシステム)に対して、応答パケットを返信する。
【0084】
ステップS610において、通信部201は、データ処理部206から要求された応答パケットを、受信パケット(サブシステム)を送信した送信元に送信(返信)する。
【0085】
なお、画像形成装置10は、
図6の処理と並行して、
図3で説明した優先順位の決定処理を実行する。これにより、例えば、
図6に示すように、パケットテーブルの優先順位を決定(又は変更)してから、第1の時間を経過した場合、画像形成装置10は、第1の時間を経過した場合の処理621を実行する。
【0086】
例えば、ステップS621において、情報管理部207は、
図3のステップS304~S306の処理を実行することにより、パケットテーブルの「優先順位」を決定する。
【0087】
また、
図6に示すように、画像形成装置10が画像形成処理を実行した場合、画像形成装置10は、画像形成処理を実行した場合の処理630を実行する。
【0088】
例えば、ステップS631において、処理監視部213は、画像形成装置10が画像形成処理を実行したことを、情報管理部207に通知する。これに応じて、ステップS631において、情報管理部207は、
図3のステップS306の処理を実行することにより、パケットテーブルの「優先順位」を変更(決定)する。
【0089】
図6の処理により、画像形成装置10は、パケットテーブルに登録されている所定の受信パケットを受信した場合、メインシステム120による処理を伴わずに、所定の受信パケットの応答する応答パケットを返信することができる。
【0090】
(通信処理2)
図8は、一実施形態に係る通信処理の例を示すシーケンス図(2)である。この処理は、通信部201が、例えば、
図5(A)、又は
図5(B)に示すようなパケットテーブルに登録されていない受信パケット(サブシステム)を受信したときに、画像形成装置10が実行する通信処理の一例を示している。なお、
図8の処理のうち、ステップS601~S604の処理は、
図6で説明したステップS601~S604の処理と同様なので、ここでは説明を省略する。
【0091】
ステップS801において、決定部203は、宛先フィルタ部202から受信した受信パケット(要処理)を、メインシステム120で処理するか、サブシステム110で処理するかを決定する決定処理を実行する。ここでは、宛先フィルタ部202から受信した受信パケット(要処理)が、サブシステム110で処理するパケットであり、かつ受信パケット(要処理)がパケットテーブルに登録されていないものとして、以下の説明を行う。
【0092】
ステップS802において、決定部203は、サブシステム110で処理すると決定した受信パケット(サブシステム)をデータ処理部206に転送する。
【0093】
ステップS803において、データ処理部206は、情報管理部207が管理するパケットテーブルから、受信パケット(サブシステム)に対応する応答パケットを探索する。例えば、データ処理部206は、
図7に示すような、応答パケットの探索処理を実行する。
【0094】
ステップS804、S805において、ここでは、受信パケット(サブシステム)は、パケットテーブルに登録されていないので、データ処理部206は、メインシステム120のプロトコル処理部211に、応答パケットの作成を要求する。
【0095】
なお、メインシステム120が省電力状態である場合、データ処理部206は、例えば、状態制御部204を用いて、メインシステム120を通常状態に復帰させてから、プロトコル処理部211に応答パケットの作成を要求する。或いは、メインシステム120は、データ処理部206からの応答パケットの作成要求に対して、自動的に通常状態に復帰するものであってもよい。
【0096】
ステップS806において、プロトコル処理部211は、受信パケット(サブシステム)に対応する応答パケットを作成し、データ処理部206に送信する。
【0097】
ステップS807において、データ処理部206は、プロトコル処理部211から受信した応答パケットの登録を要求する応答パケットの登録要求を、情報管理部207に送信する。この応答パケットの登録要求には、例えば、受信パケット(サブシステム)、及び受信パケット(サブシステム)に対応する応答パケット等の情報が含まれる。
【0098】
ステップS808において、情報管理部207は、データ処理部206から、応答パケットの登録要求を受信すると、例えば、
図9に示すような、応答パケットの登録処理を実行する。
【0099】
図9は、一実施形態に係る応答パケットの登録処理の例を示すフローチャートである。この処理は、例えば、
図8のステップS808において、情報管理部207が実行する応答パケットの登録処理の例を示している。
【0100】
ステップS901において、情報管理部207は、データ処理部206から、応答パケットの登録要求を受け付けると、ステップS902以降の処理を実行する。
【0101】
ステップS902において、情報管理部207は、パケットテーブルに登録されている所定の受信パケット(又は自動応答情報)等の数が、パケットテーブルの登録数の上限に達しているか否かを判断する。パケットテーブルの登録数の上限に達していない場合、情報管理部207は、処理をステップS904に移行させる。一方、パケットテーブルの登録数の上限に達している場合、情報管理部207は、処理をステップS903に移行させる。
【0102】
ステップS903に移行すると、情報管理部207は、パケットテーブルから、優先順位が最も低い応答パケットを削除する。例えば、
図5(B)の例では、情報管理部207は、パケットテーブル502から、優先順位が最も低い「4」の応答パケットを含む自動応答情報を削除する。なお、優先順位が最も低い応答パケットが複数ある場合、情報管理部207は、例えば、優先順位が最も低い応答パケットのうち、最後の行にある自動応答情報、又は最も古い自動応答情報を削除する。
【0103】
ステップS904において、情報管理部207は、要求された応答パケットをパケットテーブルに登録する。
【0104】
図10は、一実施形態に係る新たな応答パケットを登録後のパケットテーブルの例を示す情報である。
図10の例では、パケットテーブル1000は、
図5(B)のパケットテーブル502から、最も優先順位が低いIndexが「4」の自動応答情報を削除し、新たにIndexが「7」の自動応答情報1001を登録した状態を示している。
【0105】
このように、情報管理部207は、自動応答情報の数が、パケットテーブルの上限に達した場合でも、「優先順位」がより高い自動応答情報が、パケットテーブルから削除され難いように、パケットテーブルを管理する。また、情報管理部207は、例えば、
図7で説明した応答パケットの探索処理において、「優先順位」がより高い自動応答情報が、より早く探索されるように、パケットテーブルを管理する。
【0106】
ここで、
図8に戻り、シーケンス図の説明を続ける。ステップS809において、データ処理部206は、取得した応答パケットの送信を、通信部201に要求することにより、受信パケット(サブシステム)に応答する応答パケットを返信する。
【0107】
ステップS810において、通信部201は、データ処理部206から要求された応答パケットを、受信パケット(サブシステム)を送信した送信元に送信(返信)する。
【0108】
なお、
図8の処理においても、画像形成装置10は、
図3で説明した優先順位の決定処理を並行して実行する。これにより、例えば、
図6に示すように、パケットテーブルの優先順位を決定(又は変更)してから、第1の時間を経過した場合、画像形成装置10は、第1の時間を経過した場合の処理621を実行する。また、
図6に示すように、画像形成装置10が画像形成処理を実行した場合、画像形成装置10は、画像形成処理を実行した場合の処理630を実行する。
【0109】
図8の処理により、画像形成装置10は、ステップS601で受信した受信パケットを再び受信した場合、メインシステム120による処理を伴わずに、所定の受信パケットの対応する応答パケットを返信することができる。
【0110】
(通信処理3)
図11は、一実施形態に係る通信処理の例を示すシーケンス図(3)である。この処理は、通信部201が、例えば、サブシステム110で処理できないパケットを受信したときに、画像形成装置10が実行する通信処理の一例を示している。なお、
図11の処理のうち、ステップS601~S604の処理は、
図6で説明したステップS601~S604の処理と同様なので、ここでは説明を省略する。
【0111】
ステップS1101において、決定部203は、宛先フィルタ部202から受信した受信パケット(要処理)を、メインシステム120で処理するか、サブシステム110で処理するかを決定する決定処理を実行する。ここでは、宛先フィルタ部202から受信した受信パケット(要処理)が、メインシステム120で処理するパケットであるものとして、以下の説明を行う。
【0112】
ステップS1102において、決定部203は、メインシステム120で処理すると決定した受信パケット(メインシステム)を、メインシステム120のプロトコル処理部211に転送する。
【0113】
ステップS1103において、メインシステム120のプロトコル処理部211は、決定部203から受信した受信パケット(メインシステム)に対応する応答パケットを作成し、作成した応答パケットの送信を通信部201に要求する。
【0114】
ステップS1104において、通信部201は、プロトコル処理部211からの要求に応じて、プロトコル処理部211が作成した応答パケットを、受信パケット(メインシステム)を送信した送信元に送信(返信)する。
【0115】
なお、
図11に示した通信処理は一例である。例えば、ステップS1103において、メインシステム120のプロトコル処理部211は、サブシステム110のデータ処理部206を介して、通信部201に応答パケットの送信を要求してもよい。
【0116】
また、ステップS1102において、メインシステム120が省電力状態である場合、画像形成装置10は、ステップS1102~S1104の処理に変えて、ステップS1111~S1117の処理1110を実行してもよい。
【0117】
例えば、ステップS1111において、決定部203は、メインシステム120が省電力状態である場合、メインシステム120の通常状態への復帰を要求する復帰要求を、状態制御部204に送信する。これに応じて、ステップS1112において、状態制御部204は、メインシステム120の省電力制御部214に対して、復帰要求信号を出力する。
【0118】
ステップS1113において、省電力制御部214は、メインシステム120を通常状態に移行させる。
【0119】
ステップS1114において、メインシステム120が通常状態に復帰すると、プロトコル処理部211は、メインシステム120が通常状態に復帰したことを示す復帰完了通知を、サブシステムの決定部203に送信する。
【0120】
ステップS1115において、決定部203は、メインシステム120で処理すると決定した受信パケット(メインシステム)を、メインシステム120のプロトコル処理部211に転送する。
【0121】
ステップS1116において、メインシステム120のプロトコル処理部211は、決定部203から受信した受信パケット(メインシステム)に対応する応答パケットを作成し、作成した応答パケットの送信を通信部201に要求する。
【0122】
ステップS1104において、通信部201は、プロトコル処理部211からの要求に応じて、プロトコル処理部211が作成した応答パケットを、受信パケット(メインシステム)を送信した送信元に送信(返信)する。
【0123】
なお、ステップS1111~S1117に示した処理は一例である。例えば、画像形成装置10は、メインシステム120が省電力状態である場合でも、ステップS1102において、受信パケット(メインシステム)をプロトコル処理部211に送信してもよい。例えば、メインシステム120は、サブシステム110から受信パケット(メインシステム)を受信すると、自動的に省電力状態から通常状態に復帰するものであってもよい。
【0124】
<情報処理装置について>
図1~11で説明した画像形成装置10は、本実施形態に係る情報処理装置の一例である。例えば、本実施形態に係る情報処理装置は、印刷、又はスキャン等の画像形成処理を行わない情報処理装置であってもよい。
【0125】
図12は、一実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成の例を示す図である。本実施形態に係る情報処理装置1200は、例えば、
図12に示すように、エンジン制御部20、及び操作パネル30等を有していなくてもよい。また、メインシステム120とサブシステム110は、1つのコントローラ100でなくてもよい。
【0126】
図12の例では、メインシステム120は、出力装置1201、及び入力装置1202を有している。出力装置1201は、例えば、ディスプレイ、スピーカ、又は発光素子等の外部へ出力を行う出力デバイスである。入力装置1202は、例えば、タッチパネル、キーボード、ポインティングデバイス、カメラ、又はマイク等の外部からの入力を受け付ける入力デバイスである。なお、出力装置1201、及び入力装置1202は、例えば、タッチパネルディスプレイのような、1つの表示入力デバイス等であってもよい。
【0127】
情報処理装置1200には、通信ネットワーク103に接続され、前述した省電力機能を有する様々な装置が含まれ得る。例えば、情報処理装置1200は、ビデオ会議装置、プロジェクタ、又はIWB(Interactive White Board:相互通信が可能な電子式の黒板機能を有する白板)等の電子機器であってもよい。また、情報処理装置1200は、例えば、デジタルサイネージ、又はHUD(Head Up Display)装置等の表示装置であってもよい。さらに、情報処理装置1200は、例えば、産業機械、撮像装置、集音装置、医療機器、ネットワーク家電、自動車(Connected Car)、又は車載装置等であってもよい。さらにまた、情報処理装置1200は、PC(Personal Computer)、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末、ゲーム機、PDA(Personal Digital Assistant)、デジタルカメラ、又はウェアラブル端末等であってもよい。
【0128】
図13は、一実施形態に係る情報処理装置の機能構成の例を示す図である。
図13に示すように、情報処理装置1200は、
図2で説明した画像形成装置10が有する画像形成処理部212に代えて、処理実行部1301を有している。なお、情報処理装置1200が有する他の機能構成は、
図2で説明した画像形成装置10の機能構成と同様である。
【0129】
処理実行部1301は、例えば、メインCPU121が実行するプログラム、出力装置1201、及び入力装置1202等によって実現され、情報処理装置1200が備える様々な機能を実現するための処理を実行する。例えば、情報処理装置1200がビデオ会議装置である場合、処理実行部1301は、ビデオ会議に関する様々な処理(例えば、会議画像の撮影及び表示、会議音声の取得及び出力等)を実行する。
【0130】
処理監視部213は、処理実行部1301による所定の処理の実行を監視し、所定の処理が実行された場合、所定の処理が実行されたことを、サブシステム110の情報管理部207に通知する。
【0131】
サブシステム110の情報管理部207は、メインシステム120による所定の処理の実行状況に基づいて、パケットテーブルに登録された所定の受信パケット等の優先度を変更する処理を実行する。
【0132】
なお、情報処理装置1200が備える他の機能構成は、
図2で説明した画像形成装置10の各機能構成と同様でよい。
【0133】
このように、本実施形態に係る情報処理装置1200は、様々な装置に適用することができる。例えば、画像形成装置10は、本実施形態に係る情報処理装置1200を備える画像形成装置の一例である。
【0134】
以上、本発明の各実施形態によれば、メインシステムに代わってサブシステムが受信データに応答する情報処理装置において、所定の処理の実行に伴い一時的に増加する受信データに対するメインシステム側の処理を低減することができる。
【0135】
<補足>
上記で説明した各実施形態の各機能は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(digital signal processor)、FPGA(field programmable gate array)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
【0136】
<付記>
本明細書には、下記の各項の情報処理装置、画像形成装置、通信方法、及びプログラムが開示されている。
(第1項)
所定の処理を実行するメインシステムと、前記メインシステムに接続されるサブシステムとを含む情報処理装置であって、
前記サブシステムは、
通信ネットワークを介してデータを送受信する通信部と、
前記サブシステムが自動応答する所定の受信データに関する情報と、前記所定の受信データに対応する応答データとを含む1つ以上の自動応答情報を記憶する記憶部と、
前記通信部が前記所定の受信データを受信した場合、前記所定の受信データに対応する前記応答データを返信するデータ処理部と、
前記メインシステムによる前記所定の処理の実行状況に基づいて、前記所定の受信データの優先度を変更する情報管理部と、
を有する、情報処理装置。
(第2項)
前記情報管理部は、受信データをポート番号ごとにカウントしたカウント情報と、前記所定の処理の実行状況とを用いて、前記所定の受信データの優先度を決定する、第1項に記載の情報処理装置。
(第3項)
受信データをポート番号ごとにカウントするときに、前記メインシステムしか応答できないポート番号をカウントから除外する、第2項に記載の情報処理装置。
(第4項)
前記情報管理部は、前記メインシステムが前記所定の処理を実行したときに、前記所定の受信データのうち、前記所定の処理の実行に伴って増加する受信データの優先度を上げる、第1項~第3項のいずれかに記載の情報処理装置。
(第5項)
前記記憶部は、前記優先度が高い順に所定の数の前記自動応答情報を記憶する、第1項~第5項のいずれかに記載の情報処理装置。
(第6項)
前記サブシステムは、前記通信部が受信した受信データを、前記メインシステムで処理するか、前記サブシステムで処理するかを決定する決定部を有し、
前記データ処理部は、前記サブシステムで処理すると決定された受信データに対応する応答データが前記記憶部に記憶されていない場合、前記決定された受信データに対応する応答データの作成を前記メインシステムに要求し、
前記情報管理部は、前記決定された受信データに関する情報と、前記メインシステムが作成した応答データとを含む新たな自動応答情報を前記記憶部に記憶する、
第1項~第5項のいずれかに記載の情報処理装置。
(第7項)
前記記憶部は、所定の数の前記自動応答情報を記憶し、
前記情報管理部は、前記新たな自動応答情報を前記記憶部に記憶するときに、前記記憶部に前記所定の数の前記自動応答情報が記憶されている場合、前記記憶部に記憶されている前記自動応答情報のうち、優先度が最も低い自動応答情報を削除する、
第6項に記載の情報処理装置。
(第8項)
第1項~第7項のいずれかに記載の情報処理装置を備えた画像形成装置であって、
前記メインシステムは、画像形成処理を制御する画像形成処理部を有し、
前記情報管理部は、
前記画像形成処理を実行してから所定の期間を経過するまで、前記所定の受信データのうち、前記画像形成処理の実行に伴って増加する受信データの優先度をより高い状態に維持し、
前記所定の期間を経過後に、前記所定の受信データの優先度を元に戻す、
画像形成装置。
(第9項)
所定の処理を実行するメインシステムと、前記メインシステムに接続されるサブシステムとを含む情報処理装置において、
前記サブシステムが、
通信ネットワークを介してデータを送受信する処理と、
前記サブシステムが自動応答する所定の受信データに関する情報と、前記所定の受信データに対応する応答データとを含む1つ以上の自動応答情報を記憶する処理と、
前記所定の受信データを受信した場合、前記所定の受信データに対応する前記応答データを返信する処理と、
前記メインシステムによる前記所定の処理の実行状況に基づいて、前記所定の受信データの優先度を変更する処理と、
を実行する、通信方法。
(第10項)
所定の処理を実行するメインシステムと、前記メインシステムに接続されるサブシステムとを含む情報処理装置において、
前記サブシステムに、
通信ネットワークを介してデータを送受信する処理と、
前記サブシステムが自動応答する所定の受信データに関する情報と、前記所定の受信データに対応する応答データとを含む1つ以上の自動応答情報を記憶する処理と、
前記所定の受信データを受信した場合、前記所定の受信データに対応する前記応答データを返信する処理と、
前記メインシステムによる前記所定の処理の実行状況に基づいて、前記所定の受信データの優先度を変更する処理と、
を実行させる、プログラム。
【0137】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、及び応用が可能である。
【符号の説明】
【0138】
10 画像形成装置(情報処理装置の一例)
103 通信ネットワーク
110 サブシステム
120 メインシステム
201 通信部
203 決定部
205 記憶部
206 データ処理部
207 情報管理部
213 処理監視部
1200 情報処理装置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0139】
【特許文献1】特開2011-041152号公報
【特許文献2】特開2016-033809号公報