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特開2024-168826情報提供システム、情報提供方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168826
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】情報提供システム、情報提供方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20241128BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023085802
(22)【出願日】2023-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】501186173
【氏名又は名称】国立研究開発法人森林研究・整備機構
(71)【出願人】
【識別番号】501203344
【氏名又は名称】国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100181722
【弁理士】
【氏名又は名称】春田 洋孝
(72)【発明者】
【氏名】南光 一樹
(72)【発明者】
【氏名】江波戸 宗大
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC12
5L050CC12
(57)【要約】
【課題】エリアの状況に応じて、より適切な環境状態に関する情報を提供することができる情報提供システム、情報提供方法、およびプログラムを提供すること。
【解決手段】実施形態の情報提供システムは、多地点に設置された計測デバイスにより計測された環境データを取得する取得部と、前記環境データに基づいて前記多地点に含まれる対象エリアにおける環境状態を解析する解析部と、前記解析部により解析された結果に基づいて前記対象エリアの土壌状態を含む空間分布を示す画像を生成する画像生成部と、前記画像生成部により生成された画像を表示部に表示させる表示制御部と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多地点に設置された計測デバイスにより計測された環境データを取得する取得部と、
前記環境データに基づいて前記多地点に含まれる対象エリアにおける環境状態を解析する解析部と、
前記解析部により解析された結果に基づいて前記対象エリアの土壌状態を含む空間分布を示す画像を生成する画像生成部と、
前記画像生成部により生成された画像を表示部に表示させる表示制御部と、
を備える情報提供システム。
【請求項2】
前記解析部により解析された前記対象エリアにおける時系列の前記環境状態の変化に基づいて、前記対象エリアにおける将来の環境状態を予測する予測部を更に備える、
請求項1に記載の情報提供システム。
【請求項3】
前記予測部は、前記環境データと、前記対象エリアの地形と、前記対象エリアの土壌硬度情報とに基づいて、前記対象エリアにおける潅水の要否およびタイミングを予測する、
請求項2に記載の情報提供システム。
【請求項4】
前記予測部は、前記環境データと、前記対象エリアの地形と、前記対象エリアの土壌硬度情報とに基づいて、前記対象エリアにおける将来の災害の発生を予測する、
請求項2に記載の情報提供システム。
【請求項5】
前記予測部は、過去または将来の気象情報に基づいて前記対象エリアの将来の土壌水分量の変化度合を予測する、
請求項2に記載の情報提供システム。
【請求項6】
前記予測部は、前記対象エリアに斜面が含まれる場合に、斜面の土壌水分の変化度合に基づいて斜面崩壊の危険度合を予測する、
請求項2に記載の情報提供システム。
【請求項7】
前記予測部は、前記対象エリアにおける土壌水分の移動方向を予測し、予測した結果に基づいて土壌改良を提案するための情報を生成する、
請求項2に記載の情報提供システム。
【請求項8】
前記計測デバイスは、前記対象エリアの地形や地物情報に応じて設置密度または種類を異ならせる、
請求項1に記載の情報提供システム。
【請求項9】
情報提供サーバが、
多地点に設置された計測デバイスにより計測された環境データを取得し、
取得した前記環境データに基づいて前記多地点に含まれる対象エリアにおける環境状態を解析し、
解析した結果に基づいて前記対象エリアの土壌状態を含む空間分布を示す画像を生成し、
生成した前記画像を表示部に表示させる、
情報提供方法。
【請求項10】
情報提供サーバに、
多地点に設置された計測デバイスにより計測された環境データを取得させ、
取得された前記環境データに基づいて前記多地点に含まれる対象エリアにおける環境状態を解析させ、
解析された結果に基づいて前記対象エリアの土壌状態を含む空間分布を示す画像を生成させ、
生成した前記画像を表示部に表示させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報提供システム、情報提供方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、山地や耕地等の環境において、洪水や斜面崩壊の予兆を把握したり、農地での灌水管理、収量予測等を行うため、土壌、気象、水に関する環境データを多地点でリアルタイムに手軽に把握し、近い将来の環境の状況予測を行うシステムが必要とされている。これに関連して、従来では、農産物・気象環境データの収集と時系列の湿度推定値の集積を行う技術や、画像や将来の気象予測から農産物の生育状況を解析する技術、豪雨時に斜面のみを監視する技術、地下水位の推定や土壌物理性の診断を行う技術が知られている(例えば、特許文献1~6参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-64591号公報
【特許文献2】特開2021-96726号公報
【特許文献3】国際公開第2019/135282号
【特許文献4】特開2010-197154号公報
【特許文献5】特許第7123224号公報
【特許文献6】特許第7123381号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来技術では、環境データの計測デバイスと、データの解析を行う装置やソフトウェアが一体化されているため汎用性に欠け、一部に異常が生じると無駄が生じたり、山地斜面・畑地・水田等の地物情報や地形に対応された環境データの収集や解析が困難な場合があった。したがって、エリアの状態に応じた適切な情報の提供ができない場合があった。
【0005】
本発明の態様は、このような事情を考慮してなされたものであり、エリアの状況に応じて、より適切な環境状態に関する情報を提供することができる情報提供システム、情報提供方法、およびプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る情報提供システム、情報提供方法、およびプログラムは、以下の構成を採用した。
【0007】
本発明の第1の態様である情報提供システムは、多地点に設置された計測デバイスにより計測された環境データを取得する取得部と、前記環境データに基づいて前記多地点に含まれる対象エリアにおける環境状態を解析する解析部と、前記解析部により解析された結果に基づいて前記対象エリアの土壌状態を含む空間分布を示す画像を生成する画像生成部と、前記画像生成部により生成された画像を表示部に表示させる表示制御部と、を備える情報提供システムである。
【0008】
本発明の第2の態様である情報提供システムは、更に、前記解析部により解析された前記対象エリアにおける時系列の前記環境状態の変化に基づいて、前記対象エリアにおける将来の環境状態を予測する予測部を備えるものである。
【0009】
本発明の第3の態様である情報提供システムは、更に、前記予測部は、前記環境データと、前記対象エリアの地形と、前記対象エリアの土壌硬度情報とに基づいて、前記対象エリアにおける潅水の要否およびタイミングを予測するものである。
【0010】
本発明の第4の態様である情報提供システムは、更に、前記予測部は、前記環境データと、前記対象エリアの地形と、前記対象エリアの土壌硬度情報とに基づいて、前記対象エリアにおける将来の災害の発生を予測するものである。
【0011】
本発明の第5の態様である情報提供システムは、更に、前記予測部は、過去または将来の気象情報に基づいて前記対象エリアの将来の土壌水分量の変化度合を予測するものである。
【0012】
本発明の第6の態様である情報提供システムは、更に、前記予測部は、前記対象エリアに斜面が含まれる場合に、斜面の土壌水分の変化度合に基づいて斜面崩壊の危険度合を予測するものである。
【0013】
本発明の第7の態様である情報提供システムは、更に、前記予測部は、前記対象エリアにおける土壌水分の移動方向を予測し、予測した結果に基づいて土壌改良を提案するための情報を生成するものである。
【0014】
本発明の第8の態様である情報提供システムは、更に、前記計測デバイスは、前記対象エリアの地形や地物情報に応じて設置密度または種類を異ならせるものである。
【0015】
本発明の第9の態様である情報提供方法は、情報提供サーバが、多地点に設置された計測デバイスにより計測された環境データを取得し、取得した前記環境データに基づいて前記多地点に含まれる対象エリアにおける環境状態を解析し、解析した結果に基づいて前記対象エリアの土壌状態を含む空間分布を示す画像を生成し、生成した前記画像を表示部に表示させる、情報提供方法である。
【0016】
本発明の第10の態様であるプログラムは、情報提供サーバに、多地点に設置された計測デバイスにより計測された環境データを取得させ、取得された前記環境データに基づいて前記多地点に含まれる対象エリアにおける環境状態を解析させ、解析された結果に基づいて前記対象エリアの土壌状態を含む空間分布を示す画像を生成させ、生成した前記画像を表示部に表示させる、プログラムである。
【発明の効果】
【0017】
本発明の態様によれば、エリアの状況に応じて、より適切な環境状態に関する情報を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施形態の情報提供システム1の構成図である。
図2】情報提供サーバ100の機能構成の一例を示す図である。
図3】デバイス情報184の内容について説明するための図である。
図4】収集環境データ186の内容について説明するための図である。
図5】計測デバイス200の概略構成の一例を示す図である。
図6】画像生成部150により生成される第1の画像IM10の一例を示す図である。
図7】画像生成部150により生成される第2の画像IM20の一例を示す図である。
図8】画像生成部150により生成される第3の画像IM30の一例を示す図である。
図9】画像生成部150により生成される第4の画像IM40の一例を示す図である。
図10】画像生成部150により生成される第5の画像IM50の一例を示す図である。
図11】情報提供システム1により実行される処理の一例を示す図である。
図12】第1実施例における計測デバイス200が計測する環境について説明するための図である。
図13】第1実施例の計測デバイス200a、200bの環境データを用いて解析された放牧エリア400における臭い・風向の空間分布を示す画像の一例を示す図である。
図14】牛舎付近の温度の空間分布を示す画像の一例を示す図である。
図15】稼働MAPの一例を示す図である。
図16】第2実施例における計測デバイス200が計測する環境について説明するための図である。
図17】第2実施例の計測デバイス200c、200dの環境データを用いて解析された環境状態の空間分布を示す画像の一例を示す図である。
図18】第3実施例における計測デバイス200が計測する環境について説明するための図である。
図19】第3実施例の計測デバイス200eの環境データを用いて解析された環境状態の空間分布を示す画像の一例を示す図である。
図20】第4実施例における計測デバイス200が計測する環境と計測結果に基づいて提供される情報の一例について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照し、本発明の情報提供システム、情報提供方法、およびプログラムの実施形態について説明する。
【0020】
[全体構成]
図1は、実施形態の情報提供システム1の構成図である。図1に示す情報提供システム1は、例えば、情報提供サーバ100と、複数の計測デバイス200-11~200-36と、端末装置300とを備える。以下、複数の計測デバイス200-11~200-36のそれぞれを区別して説明する場合を除き、単に「計測デバイス200」と称してまとめて説明する。情報提供サーバ100と、計測デバイス200とは、例えば、ネットワークNWを介して互いに通信可能である。ネットワークNWは、例えば、インターネット、WAN(Wide Area Network)、LAN(Local Area Network)、LPWA(Low Power Wide Area)、電話回線、公衆回線、専用回線、プロバイダ装置、無線基地局等を含む。また、ネットワークNWは、ルーターやゲートウェイ装置、その他の中継装置を含んでもよい。また、図1の例において、計測デバイス200のそれぞれは、中継装置として他の計測デバイス200と通信を行ってもよい。
【0021】
情報提供サーバ100は、ネットワークNWを介して、所定エリアAR1~AR3に設置された計測デバイス200によって計測された環境データを取得し、取得した環境データや他の情報等に基づいて、計測デバイス200が設置されたエリア(多地点)に対応する対象エリア(所定エリアAR1~AR3の全エリアでもよく一部のエリアでもよい)における環境状態を解析する。また、情報提供サーバ100は、解析結果に基づいて、管理者等の利用者に提供する情報(例えば、画像や音声)を生成し、生成した情報を端末装置300や情報提供サーバ100の表示部等に出力する。なお、情報提供サーバ100は、例えば、計測デバイス200や端末装置300とネットワークNWを介して互いに通信し、各種データを送受信するクラウドサーバとして機能してもよい。
【0022】
計測デバイス200は、周囲の環境データを計測する。環境データには、例えば、地上(空中)、地中、水中の状態や、対象エリアで生育している農作物や森林等の植物の状態が含まれてもよい。例えば、環境データには、周囲の温度(気温、地温、水温)、湿度、気圧、土壌水分(地下水分)、地下水位、降水量等の各種情報が含まれる。また、環境データには、日射量、風向、風速、ダスト・花粉・PM2.5の量、ガスや匂い・臭いの検知(例えば、農耕地や森林における動植物(昆虫、微生物も含む)から揮散した物質の匂いや臭い、農耕地に散布した堆肥の臭い等)、赤外線カメラや定点カメラの画像の情報が含まれてよい。計測デバイス200は、上述した環境データの情報を計測するための各種センサを備える。各種センサは、地上の所定の高さ(1箇所でもよく、複数箇所でもよい)に設けられていてもよく、地中の所定の深さ(1箇所でもよく複数箇所でもよい)に設けられていてもよく、地上と地中の両方に設けられていてもよい。
【0023】
更に、計測デバイス200は、所定周期で計測した環境データを、ネットワークNWを介して情報提供サーバ100に送信するための通信部や、デバイス内の各機器に電力を供給するバッテリ(蓄電部)や電池等の電源部を備える。バッテリが設けられる場合、計測デバイス200には、太陽光、風力、電磁波などからの環境発電(エナジーハーベスティング)で得た電力をバッテリに蓄積するための機構が設けられてもよい。また、環境データには、計測デバイス200内のバッテリの電力量に関する情報が含まれてよい。また、計測デバイス200は、位置情報(緯度経度)を取得する位置センサが設けられていてもよい。位置センサは、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)によって緯度経度を検知できるセンサである。
【0024】
実施形態の情報提供システム1では、例えば、地形やエリアの状態情報(例えば、水田、畑地、牧草地、道路、建造物、山、川、海等の地物情報)に応じて異なる数(設置密度)または種類の計測デバイス200が設置される。また、上記の設置密度や種類については、予め情報提供サーバ100等により管理される。図1の例において、エリアAR1は森林エリア、エリアAR2は牧草地エリア、エリアAR3は水田エリアを示している。エリアAR1には、例えば、土壌成分、地温、降水量、気温、日射、地下水温、地下水位等のうち少なくとも1つが計測可能な計測デバイス200-11~200-13が設置される。エリアAR2には、例えば、土壌成分、土壌pH(土壌の酸性・アルカリ性の強さを示す指標値)、降水量、気温、温度等のうち少なくとも1つが計測可能な計測デバイス200-21~200-25が設置される。エリアAR3には、例えば、葉色・植物体の色(肥料不足や病虫害による変化を検知するため)、土壌pH、酸化還元電位、日射、気温、水温、水位等のうち少なくとも1つが計測可能な計測デバイス200-31~200-36が設置される。これらの計測デバイス200は、それぞれが同じ環境データを計測できなくてもよく、複数の計測デバイスによって上述した各種環境データが計測できればよい。
【0025】
端末装置300は、例えば、タブレット端末やスマートフォンでもよく、汎用のPC(Personal Computer)やサーバ装置等であってもよい。端末装置300は、例えば、ネットワークNWを介して外部と通信する通信部や、画像(動画像を含む)等を表示する表示部、音声を出力する音声出力部、利用者による操作入力を受け付ける受付部等を備える。端末装置300は、ネットワークNWを介して情報提供サーバ100にアクセスし、情報提供サーバ100が計測デバイス200から収集した環境データや、環境データに基づく解析結果や予測結果等の情報を取得する。例えば、端末装置300は、情報提供サーバ100で一元管理された環境データや、環境データの解析結果や環境状態の予測結果等をウェブ上で可視化することができる。このように、ウェブベースのシステム形態も適用できるため、端末装置300に専用ソフトウェアを有する必要がなく、利用者の利便性を向上させることができる。なお、情報提供システム1において、端末装置300は、複数設けられてもよい。
【0026】
[情報提供サーバ]
次に、情報提供サーバ100について具体的に説明する。図2は、情報提供サーバ100の機能構成の一例を示す図である。情報提供サーバ100は、例えば、通信部110と、取得部120と、解析部130と、予測部140と、画像生成部150と、表示制御部160と、入出力部170と、記憶部180とを備える。取得部120と、解析部130と、予測部140と、画像生成部150と、表示制御部160とは、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。また、これらの構成要素のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)等のハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予めHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ等の記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROM等の着脱可能な記憶媒体(非一過性の記憶媒体)に格納されており、記憶媒体がドライブ装置等に装着されることで情報提供サーバ100の記憶装置にインストールされてもよい。
【0027】
記憶部180は、上記の各種記憶装置、或いはSSD(Solid State Drive)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、ROM(Read Only Memory)、またはRAM(Random Access Memory)等により実現されてよい。記憶部180には、例えば、地図情報182、デバイス情報184、収集環境データ186、プログラム、その他各種情報が格納される。地図情報182は、位置情報(緯度経度)に、住所や、地形(傾斜)、高度(等高線情報)、その位置(またはエリア)の状態情報(地物情報等)等の情報が含まれる。また、地図情報182は、二次元や三次元の地形情報が含まれてよい。また、地図情報182には、土壌硬度情報や地層情報が含まれてよい。地図情報182は、通信部110が、ネットワークNWを介して他装置と通信することにより、随時、アップデートされてよい。
【0028】
デバイス情報184には、計測デバイス200に関する情報が格納される。図3は、デバイス情報184の内容について説明するための図である。デバイス情報184には、計測デバイス200を識別する識別情報であるデバイスIDに、設置位置情報、設置日、およびセンサ種別が対応付けられている。センサ種別には、計測デバイス200に搭載されたセンサの種類に関する情報が格納される。例えば、情報提供サーバ100の管理者は、デバイス情報184に基づいて、どの位置に、どのような種類の環境データを計測する計測デバイス200が、いつ設置されたか等を管理することができる。また、デバイス情報184には、作業員等による計測デバイス200のメンテナンス実施日等の情報が格納されてもよい。また、デバイス情報184には、設置したエリアの状態情報(例えば、地物情報)が含まれてもよく、状態情報の種類ごとに、計測デバイス200の設置密度や種類に関する情報や、土壌硬度情報等が含まれてもよい。
【0029】
収集環境データ186には、複数の計測デバイス200から収集された所定周期で計測された環境データが格納される。図4は、収集環境データ186の内容について説明するための図である。収集環境データ186には、例えば、日時情報に、IDと環境データとが対応付けられている。日時情報は、計測デバイス200により計測された日時に関する情報もしくはサーバでデータを取得した日時に関する情報である。IDは、デバイスIDでもよく、センサ種別が含まれてもよい。また、環境データは、センサ種別に対応する環境データの実測値である。収集データ176は、時系列でソートされてもよく、IDごとにソートされてもよい。
【0030】
通信部110は、ネットワークNWを介して計測デバイス200や端末装置300、その他の外部装置と通信する。
【0031】
取得部120は、計測デバイス200から送信される環境データを取得し、収集環境データ186に格納する。また、取得部120は、外部から最新の地図情報を取得して、地図情報182を更新してもよい。また、取得部120は、ネットワークNWを介して外部装置から天候や気温、降雨等に関する情報を取得してもよい。また、取得部120は、端末装置300からの情報提供に関する要求情報(リクエスト)を取得し、要求情報に対応する情報を記憶部180から取得して、通信部110を介して要求のあった端末装置300に送信してもよい。
【0032】
解析部130は、収集環境データ186に基づいて計測デバイス200を設置した所定エリア(多地点)に対応付けられる対象エリアにおける環境状態を解析する。対象エリアは、例えば、情報提供サーバ100や端末装置300の利用者から指定されたエリアでもよく、環境データの結果に基づいて設定されるエリアでもよく、天候や地形等の環境条件に基づいて設定されるエリアでもよい。環境状態とは、例えば、現状における地上(空中も含む)または地中、水中の状態でもよく、時間経過による環境変化でもよく、その他の周辺環境に対する内容でもよい。
【0033】
予測部140は、解析部130により解析された対象エリアにおける時系列の環境状態の変化に基づいて、対象エリアにおける将来の環境状態を予測する。
【0034】
画像生成部150は、解析部130により解析された結果や予測部140により予測された結果等に基づいて、所定エリアにおける環境変化の時空間分布を含む画像を生成する。画像には、例えば、文字情報や模様、マーク等が含まれてもよく、動画像が含まれてもよい。また、画像生成部150は、画像に対応する音声や警報等を生成してもよい。
【0035】
表示制御部160は、画像生成部150により生成された画像等を入出力部170に設けられた表示部やスピーカに所定の表示態様で出力させる。また、表示制御部160は、画像等の情報を、ネットワークNWを介して端末装置300に出力する。また、表示制御部160は、画像等の情報を記憶部180に記憶させてもよい。
【0036】
入出力部170は、情報提供サーバ100の利用者からの指示を入力したり、利用者に情報を出力するためのインタフェースである。入出力部170は、情報(画像や動画)を表示するための表示部172を備える。表示部172は、タッチパネル装置のように入力と出力とが一体の構成であってもよい。入出力部170は、利用者の指示等の情報の入力を受け付けるためのキーボードやマウス、マイク、ボタン、スイッチ、レバー等を備えていてもよい。また、入出力部170は、音声を出力するスピーカを備えていてもよい。
【0037】
[計測デバイス]
次に、計測デバイス200の概要について具体的に説明する。図5は、計測デバイス200の概略構成の一例を示す図である。計測デバイス200は、容器本体202と、蓋部204と、支持部(土台部)206とを備える。容器本体202は、例えば円筒に形成されており、上面および下面に開口部が設けられている。また、容器本体202の上端側および下端側には、切り欠きや凹凸等が設けられている。容器本体202の上端側は、着脱自在な蓋部204との嵌合や係合、螺合等によって上面開口部の開閉が可能となる。また、容器本体202は、下端側を支持部206の上端と嵌合、係合、または螺合することによって固定可能となり、支持部206により支持される。支持部206は、下部を地中UGに埋設させることで、対象地点に固定され、上端で接続された容器本体202を支持する。なお、計測デバイス200は、支持部206を有していない構成であってもよい。その場合、計測デバイス200の支持部206以外の部分は、他の部材(例えば、建物の柱や柵)に取り付けられる。
【0038】
容器本体202および蓋部204は、例えばポリ塩化ビニル等の合成樹脂であるが、他の材質であってもよい。また、支持部206は、例えば硬質ポリ塩化ビニル管や単管パイプであるが、他の材質であってもよい。容器本体202および支持部206は、円筒に形成されることで周囲の風等の影響を軽減できる。また、容器本体202と支持部206とは着脱自在であるため、作業員による交換作業が容易となり、更に容器本体202の交換時にも支持部206はそのまま利用できるため、一体型デバイスと比較して設備コストを削減することができる。
【0039】
また、計測デバイス200の内部には、例えば、バッテリ210と、通信部220と、制御部230と、第1センサ240と、第2センサ250とを備える。なお、計測デバイス200は、第1センサ240と第2センサ250の何れかの一方を備えた構成でもよい。また、計測デバイス200には、第1センサ240および第2センサ250からの情報を一時的に記憶したり、その他の制御情報(ログ情報等)を記憶するメモリ(記憶部)260が設けられてもよい。
【0040】
バッテリ210は、通信部220や制御部230、第1センサ240、第2センサ250、メモリ260に電力を供給する。バッテリ210は、例えば、リチウムイオン電池等の二次電池やコンデンサであるが、これに限定されない。また、バッテリ210は、計測デバイス200にソーラーパネル等のエナジーハーベスタが設けられている場合に、エナジーハーベスタによって得た電力を蓄電してもよい。
【0041】
通信部220は、ネットワークNWを介して情報提供サーバ100と通信を行ったり、例えば、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、その他の近距離無線通信の通信規格に基づいて他の計測デバイスと互いに通信してもよい。制御部230は、計測デバイス200の各機器全体を制御する。制御部230は、第1センサ240および第2センサ250により計測された環境データをメモリ260に一時的に記憶させたり、通信部220を介して所定周期で情報提供サーバ100に送信するための制御を行う。また、制御部230は、環境データを送信させる場合に、環境データに計測デバイスの識別情報(デバイスID)やセンサの識別情報、内部時計に基づく時刻情報、位置センサから取得した位置情報等を付与してもよい。また、制御部230は、メモリ260に記憶された情報を所定のタイミング(例えば、情報提供サーバ100への送信が完了したタイミング)で消去してもよい。
【0042】
第1センサ240は、主に地上の環境データを計測するためのセンサであり、例えば、温度センサや湿度センサ、気圧センサ、風力センサ、降雨センサ、日射量センサ、匂い検知センサ、カメラセンサ、画像判別センサ、赤外線・近赤外線センサ、水温センサ、水位センサ等のうち少なくとも1つが含まれる。また、第1センサ240には、位置センサが含まれてよい。第2センサ250は、地中UGの環境データを計測するためのセンサであり、例えば地温センサや土壌成分(例えば、土壌水分、土壌pH、酸化還元電位)センサ、地下水温センサ、地下水位センサ等が含まれる。第1センサ240は、地上の環境データを計測したい1または複数の高さに設けられてもよく、第2センサ250は、地中UGや水中の環境データを計測したい1または複数の深さに設けられてよい。
【0043】
なお、計測デバイス200内部に設置される機器の一部または全部は、蓋部204を開けた状態で、容器本体202の上面開口部から挿入されることで設置される。また、容器本体202側に設置されるバッテリ210、通信部220、制御部230、第1センサ240、およびメモリ260は、本体内部の上側と下側に所定の空洞FS1、FS2が設けられるように配置される。この空洞FS1、FS2を設けることにより、容器内部の湿気などの影響による機器の劣化を抑制することができる。
【0044】
実施形態において、計測デバイス200は、地形や地物の種類に応じて設置密度や種類を異ならせる。例えば、計測デバイス200は、地形が斜面(水平に対する地面の傾斜が所定角度以上)である場合と平坦(水平に対する地面の傾斜が所定角度未満)である場合とで設置密度または種類を異ならせる。地形が斜面である場合には、水位や地下水分の変化が早く斜面上方から下方への水移動が生じるため、水の移動状況を把握するために計測デバイス200の数を平坦エリアよりも多くする。また、地形が平坦の場合は、斜面よりも日照時間が長いため、気温や地温を計測できるセンサを用いる。また、地物が水田である場合には、地下水位を計測するセンサに代えて(または加えて)、水田の水位も計測するセンサを備える。また、異なる地形の組み合わせ(例えば、斜面の下にある平坦)等は、水害等の被害が多いことが推測されるため、他の平坦部よりも計測デバイス200の設置密度を狭くする(設置数を多くする)。このように、エリアの地形や地物の種類に応じて計測デバイス200の設置密度や種類を計測することでより適切な環境データを取得することができる。
【0045】
[解析部、予測部]
次に、上述した解析部130および予測部140における処理の具体例について説明する。解析部130は、例えば、収集環境データ186に含まれる環境データに基づいて、対象エリアにおける土壌状態を含む環境状態を解析する。土壌状態には、例えば、土壌水分量、土壌pH、酸化還元電位、地下水位、地下水温、土壌水分の移動方向等のうち少なくとも一つが含まれる。また、環境状態には、地上(空中)、地中、水中の状態や、対象エリアで生育している農作物や森林等の植物の状態が含まれてもよい。これらの情報を解析するにあたり、環境データだけでなく、外部装置等から取得した情報(例えば、衛星やドローンによる空撮画像や将来の気象情報)や、地図情報182等から得られる情報(例えば、土壌硬度情報や地層情報)等が含まれてよい。例えば、解析部130は、土壌水分量(より具体的には、土壌体積含水率)が閾値未満である場合に、農作物等に対する水が不足していると解析したり、潅水が必要であると解析する。また、土壌水分量が上限値を越える場合に、洪水や土砂崩れ(斜面崩壊)等の災害が発生する可能性がある(または発生している)ことを解析してもよい。
【0046】
また、解析部130は、収集環境データ186に含まれる時系列の環境データに基づいて、対象エリアにおける所定時間ごとの環境状態の変化を解析する。環境状態の変化とは、例えば、対象エリアに含まれる同一地点(計測デバイスの設置位置)における所定時間ごとの温度や湿度、風速、地温、土壌水分量等の各要素の変化量(増減量)である。また、環境状態の変化とは、例えば、エリア全体における上述した要素の変化の流れ(例えば、高度が高い地域から低い地域に向けて土壌水分量が増加している)等であってもよい。また、解析部130は、対象エリアに対して、どのぐらい水分が不足しているかを解析してもよい。
【0047】
例えば、解析部130は、エリアごとの過去の災害時の環境データと、そのエリアに対応する環境データの実測値とを比較し、合致度合が閾値以上である場合に過去の環境状態と同じ状態であると解析したり、過去の災害と同様の災害が発生していると解析する。合致度合は、例えば、機械学習(ニューラルネットワーク)や深層学習(ディープラーニング)等のAI(人工知能:Artificial Intelligence)による機能を用いて、比較される二つの情報から導出されてもよく、他の手法を用いて導出されてもよい。また、解析部130は、環境データが入力されるとその環境データに対応するエリアの環境状態、災害の有無や種類等を出力するように事前に学習された学習済モデルが記憶部180に記憶されている場合に、その学習済モデルに環境データを入力することで、対象エリアの環境状態、災害の有無や種類等を取得してもよい。解析部130によって解析される内容や解析手法については、上記の例に限定されない。
【0048】
予測部140は、解析部130により解析された対象エリアにおける時系列の環境状態の変化に基づいて、対象エリアにおける将来(所定時間後)の環境状態を予測する。例えば、予測部140は、環境データと、対象エリアの地形と、対象エリアの土壌硬度情報とに基づいて、対象エリアにおける潅水の要否およびタイミングを予測する。この場合、予測部140は、必要な潅水時に必要な水分を予測してもよく、将来の土壌の排水性の良悪を予測してもよい。地形や実際の環境データだけでなく土壌硬度情報も用いることで、例えば地下水分の今後の変化量をより正確に推定できるため、より適切な予測を行うことができる。
【0049】
また、予測部140は、取得部120により取得された過去または将来の気象情報に基づいて対象エリアの将来の土壌水分量の変化度合を予測してもよい。例えば、予測部140は、対象エリアの過去の所定期間における降雨量に基づいて、将来の土壌水分量の変化度合を予想する。また、予測部140は、将来の降雨予測情報に基づき、今後、無降雨だった場合の将来の土壌水分量の変化度合を予測してもよい。これにより、対象エリアに対する気象情報に基づいて、より正確な土壌水分量の変動予測を行うことができる。また、予測部140は、過去および将来の気象情報を組み合わせて、対象エリアの将来の環境状態を予測してもよい。
【0050】
また、予測部140は、環境データと、対象エリアの地形と、対象エリアの土壌硬度情報とに基づいて、対象エリアにおける将来(所定時間後)の災害(例えば、土砂崩れ等の斜面崩壊、洪水、日照り)の発生を予測する。この場合、予測部140は、災害等の所定の環境状態となるタイミングや条件、発生する確率(百分率(%)でもよく、高中低でもよい)を予測してもよい。なお、予測部140は、対象エリアの地形や地物情報等に応じて予測する内容を変更してもよい。例えば、予測部140は、対象エリアに斜面が含まれる場合には、斜面の土壌水分の変化度合に基づいて斜面崩壊の危険度合を予測する。また、予測部140は、対象エリアが平坦の場合には洪水や湿害の発生に関する予測を行う。また、予測部140は、対象エリアが農地である場合には、日照りに関する被害予測を行う。このように、地形や地物情報に応じて予測する内容を変更することで、より必要性の高い情報に関する予測を行うことができる。
【0051】
また、予測部140は、対象エリアにおける土壌水分の移動方向を予測し、予測した結果に基づいて土壌改良を提案するための情報を生成してもよい。例えば、土壌水分の移動先が農地である場合には、洪水や湿害による農作物の被害が予想されるため、予測部140は、移動方向を変えるための土壌改良を提案したり、水分の移動量を抑制するための土壌改良を提案する。また、土壌水分の移動先が水田である場合には、予測部140は、更に多くの水が水田に流れるように土壌改良を提案してもよい。なお、提案する情報には、例えば、土壌成分(例えば、土壌硬度、暗渠や明渠の位置や方向や深さ)の変更を促す情報や、地物の種類(利用形態)の変更を促す提案(例えば、牧草地を水田にする等の提案)等が含まれてよい。
【0052】
例えば、予測部140は、上述した解析部130と同様に、過去の環境データに対する潅水や災害の結果に関するデータと、環境データの実測値とを比較し、合致度合が閾値以上である場合に過去の状態と同じ状態になると予測する。また、予測部140は、環境データが入力されるとその環境データに対応する潅水や災害の有無やタイミング等の予測情報を出力するように事前に学習された学習済モデルが記憶部180に記憶されている場合に、その学習済モデルに環境データを入力することで、対象エリアの環境状態、災害の有無や種類等を予測してもよい。予測部140によって予測される内容や予測手法については、上記の例に限定されない。
【0053】
[画像生成部]
次に、画像生成部150によって生成される画像について具体的に説明する。なお、以下の説明では、環境状態を示す情報の一例として土壌水分量を用いて説明するが、土壌水分量に代えて(または加えて)、他の土壌状態を示す情報や、土壌状態以外の環境状態(例えば、気温、湿度、天候)等を示す情報が用いられてよい。
【0054】
(第1の画像)
図6は、画像生成部150により生成される第1の画像IM10の一例を示す図である。なお、画像IM10に表示される内容や形状、大きさ、レイアウト等の表示態様については、これに限定されない。以降に説明する他の画像についても同様である。
【0055】
画像生成部150は、例えば、解析部130により解析された対象エリアにおける環境状態等に基づいて、対象エリアの土壌状態を含む空間分布を示す第1の画像IM10を生成する。第1の画像IM10には、地図情報182から取得された対象エリアの三次元地形データの緯度経度に対応した位置(例えば、P11,P12,P13,P14等)に設置された計測デバイス200により計測された土壌水分量を示す情報が含まれる。図6に示す土壌水分量DW1、DW2は、地中の深さが異なる位置(2深度)で計測された土壌水分量である。土壌水分量DW1、DW2は、色や模様により識別可能に表示されてもよく、数値により表示されてもよい。
【0056】
図6の例では、利用者等により設定された対象エリアAR11、AR12、およびAR13における土壌状態の空間分布が示されている。第1の画像IM10には、対象エリアごとの地物情報に関する情報が含まれてもよい。第1の画像IM10によって、地形情報や地物情報を含めた3次元空間上の土壌水分分布を可視化させることができる。
【0057】
なお、画像生成部150は、収集環境データ186に格納された環境データの時系列データに基づいて、時間経過に伴う地下水分量の変化の様子示す動画または画面遷移図を生成してもよい。これにより、環境状態の変化を時空間分布として表示させることができ、例えば対象エリアA12のような斜面や段丘状の地形が含まれるエリアでは、上方から下方へと移動する土壌水分をより明確に可視化できる。したがって、利用者に、より正確に土壌水分の移動方向や移動量を把握させることができる。
【0058】
利用者は、第1の画像IM10が提供されることによって、今後の土壌水分量の予測や、対象エリアA11(牧草地)や対象エリアA13(水田)に対する潅水の要否や、潅水タイミング等を予測することができる。更に、洪水や土砂崩れ等の災害も、より高精度に予測することができる。
【0059】
(第2の画像)
図7は、画像生成部150により生成される第2の画像IM20の一例を示す図である。第2の画像IM20には、対象エリアにおける基準日から1週間分の過去の雨量分布図(時間分布)と、対象エリアにおける土壌水分量の2次元(XY平面)の分布図(俯瞰図)が示されている。雨量分布図の横軸は時間を示し、縦軸は雨量を示している。また、基準日とは、現在でもよく、一年前、三年前等の過去の日付でもよい。また、図7に示す分布図は、図6に示した対象エリアAR11~AR13の各位置(例えば、P11,P12,P13,P14等)に設置された計測デバイス200により計測された同一の深さ(例えば、地下20cm)における土壌水分分布である。分布図において、計測デバイスが設置されていないエリアにおける土壌水分量は、周辺に設置された1又は複数の計測デバイス200により計測された土壌水分量の計測結果等を用いて補間される。この補間処理は、例えば、解析部130により実行される。
【0060】
また、分布図では、図7に示すように計測デバイス200が設置された地点(例えば利用者により選択された一以上の地点)における土壌成分(土壌体積含水率%)、および土壌成分に基づき予測部140により予測された潅水の要否についての情報が表示されてよい。
【0061】
利用者は、第2の画像IM20が提供されることによって、雨量分布や現在の土壌水分分布に基づいて、潅水の要否やタイミングをより正確に予測することができる。
【0062】
(第3の画像)
図8は、画像生成部150により生成される第3の画像IM30の一例を示す図である。第3の画像IM30は、第2の画像IM20の変形例であり、対象エリアにおける基準日から1週間の雨量分布図(時間分布)と、対象エリアにおける土壌水分量の2次元(XZ平面)の分布図(断面図)が示されている。つまり、第3の画像IM30は、第2の画像IM20の土壌水分分布の俯瞰図に代えて、断面図が示されている。断面図上のZ軸方向に沿って並んだ2つの点は、計測デバイス200に設けられた2つの第2センサ250-1、250-2により計測された深さ(2深度)を示している。また、図8に示す分布図において、計測デバイス200が設置されていないエリアおよび深さにおける土壌水分量は、周辺に設置された1又は複数の計測デバイス200により計測された土壌水分量の計測結果等を用いて、解析部130により補間される。
【0063】
また、図8に分布図においても、図7に示す分布図と同様に各地点における土壌成分(土壌体積含水率%)、および、土壌成分に基づき予測部140により予測された潅水の要否についての情報が表示されてよい。
【0064】
利用者は、第3の画像IM30が提供されることによって、雨量分布や現在の深さに関する土壌水分分布に基づいて、潅水の要否やタイミングをより正確に予測することができる。例えば、対象エリアごとに地層の形状や種類は異なり、地層ごとに水分変化量も異なるため、深さも含めた情報を提供することで、より適切な環境状態を提供することができる。
【0065】
(第4の画像)
図9は、画像生成部150により生成される第4の画像IM40の一例を示す図である。図9に示す第4の画像IM40には、例えば、実測・予測情報表示領域A41と、詳細表示領域A42とが含まれている。実測・予測情報表示領域A41には、対象エリアに対する時間経過に伴う降水量を示す画像と、時間経過に伴う土壌体積含水率の基準を示す画像が含まれている。土壌体積含水率の基準とは、例えば、時間経過や降水量に基づいて対象エリアにおいて排水性が悪いまたは良いと判断される土壌体積含水率の基準値である。例えば、現在が2022年12月23日である場合、実測・予測情報表示領域A41には、図9に示すように、これまでの土壌体積含水率の基準の変化度合に基づいて、今後、無降雨だった場合の予測値等が表示される。上記の予測は、例えば気象情報や環境データ等に基づいて、予測部140により実行される。
【0066】
詳細表示領域A42には、ある日付における土壌水分分布(俯瞰図、斜面の断面図)が示されている。図9の例では、土壌水分量が色や模様等によって識別可能に表示されている。なお、この分布図は、上述した第2の画像IM20および第3の画像IM30に含まれる分布図であってもよい。
【0067】
利用者は、第4の画像IM40が提供されることによって、実測の環境データや降水量等に基づいて、土壌の排水性の基準に基づく潅水の要否やタイミング等の判断を行うことができる。また、土壌に応じた土地の利用形態や、土壌の改良等を検討することができる。
【0068】
(第5の画像)
図10は、画像生成部150により生成される第5の画像IM50の一例を示す図である。図10に示す第5の画像IM50には、例えば、基本情報表示領域A51、アイコン表示領域A52と、過去データ表示領域A53と、予測情報表示領域A54とが含まれている。基本情報表示領域A51には、表示される情報の基本となる情報(日時、対象エリア)等の情報が表示される。アイコン表示領域A52には、他の画像や情報を出力するためのアイコンが表示される。アイコンとは、例えば、GUI(Graphical User Interface)スイッチである。図10の例では、災害予測情報として「斜面崩壊の危険度」に関する情報を表示させるアイコンと、「土壌水分マップ(土壌水分分布)」を表示させるアイコンと、「過去のデータ」を表示させるアイコンとが表示されているが、他のアイコンが表示されてもよい。利用者は、アイコンの何れかを選択することで、選択されたアイコンに対応付けられた画像が画像生成部150により生成され、表示制御部160によって表示部に表示される。
【0069】
過去データ表示領域A53には、過去(24時間分)の雨量や土壌水分の環境データが表示されている。他の環境データを表示させる場合、利用者は、アイコン表示領域A52の「過去のデータ」のアイコンを選択することで、他の環境データの選択画面を表示させ、選択画面から表示させたい環境データの種類を選択することで、過去データ表示領域A53に選択された環境データが表示される。
【0070】
予測情報表示領域A54には、予測部140により予測された将来の斜面崩壊(土砂崩れ)の危険度や、危険度が高くなる予測される時刻や条件等の情報、および、対象斜面の地図情報等が表示される。表示される地図情報には、計測デバイス200の位置や、危険度が閾値以上となる位置が示されてもよい。予測部140は、事前の土壌物理性の調査のデータ、多地点での土壌水分の蓄積データとリアルタイムデータ、雨量のリアルタイムデータを組み合わせて、斜面崩壊の危険度と、許容される雨量を予測する。画像生成部150は、上述した予測結果に関する情報を含む画像を生成し、予測情報表示領域A54に表示させる。図10の例では、対象エリアの斜面崩壊の危険度は「低」であり、今後2時間に120mm以上の雨が降る場合には、危険度が高くなることが示されている。
【0071】
利用者は、第5の画像IM50が提供されることによって、まとまった情報を把握することができ、実測の環境データや降水量等に基づいて、土壌の排水性の基準に基づく潅水の要否やタイミング等の判断を行うことができる。また、災害の発生よりも前に、より適切な対策を適切なタイミングで行うことができる。
【0072】
なお、上述した第1~第5の画像IM10~IM50のそれぞれは、他の画像の一部または全部と組み合わせて表示されてもよい。更に、画像生成部150は、第1~第5の画像IM10~IM50に示される情報に加えて、上述した予測部140により予測された各種情報を表示する画像を生成してもよい。これにより、予測部140により予測された結果を踏まえて、利用者により適切な予測をさせることができる。
【0073】
[処理フロー]
図11は、情報提供システム1により実行される処理の一例を示す図である。なお、図11の例では、情報提供システム1により実行される処理のうち、主に情報提供サーバ100で実行される処理を中心として説明する。図11の例において、取得部120は、多地点に設置された計測デバイス200により計測された環境データを取得し(ステップS100)、取得した環境データを時系列で収集環境データ186として記憶部180に記憶させる(ステップS110)。
【0074】
次に、解析部130は、収集環境データ186等を用いて対象エリアの環境状態を解析する(ステップS130)。次に、予測部140は、解析結果に基づいて対象状態の将来の環境状態の変化に基づいて、対象エリアにおける将来の環境状態を予測する(ステップS140)。次に、画像生成部150は、解析部130により解析された結果に基づいて対象エリアの土壌状態を含む空間分布を示す画像を生成する(ステップS150)。なお、ステップS150の処理において、画像生成部150は、予測部140により予測された結果に基づく画像を生成してもよい。次に、表示制御部160は、画像生成部150により生成された画像を入出力部170の表示部や端末装置300の表示部に表示させる(ステップS160)。これにより、本フローチャートの処理は、終了する。
【0075】
[計測デバイスの測定結果を用いた環境状態の解析]
次に、計測デバイス200の測定結果を用いた環境状態の解析内容について図を用いて説明する。なお、以下では、上述した例以外の実施例を幾つかに分けて説明するが、計測デバイス200の適用範囲や解析内容、および表示内容については後述する例に限定されるものではない。
【0076】
(第1実施例)
図12は、第1実施例における計測デバイス200が計測する環境について説明するための図である。第1実施例は、牛(家畜の一例)の放牧(飼育)エリア400に計測デバイス200を設置した例を示している。具体的には、放牧エリア400の領域を区切る柵410に一以上の計測デバイス200aが所定間隔で取り付けられ、牛舎420の柱に一以上の計測デバイス200bが所定間隔で取り付けられている。なお、放牧エリア400には、堆肥舎が設置されていてもよく、堆肥舎にも牛舎420と同様に柱等に一以上の計測デバイス200bが設けられていてよい。なお、計測デバイス200bは、同じ柱の異なる高さに計測デバイス200b1、200b2を有する。また、牛舎420には、一以上の細霧器422、スプリンクラー424、電動ファン426等が設けられている。
【0077】
計測デバイス200aには、例えば、臭いセンサや風向センサが設けられ、所定周期で周辺の臭い(臭度)や風向(風量を含んでもよい)が計測される。計測デバイス200b1、200b2は、それぞれ臭いセンサや温度センサが設けられ、所定周期で周辺の臭い(臭度)や温度が計測される。
【0078】
情報提供サーバ100は、計測デバイス200a、200b1、200b2により得られる情報(環境データ)を取得して、放牧エリア400における環境状態を解析する。また、情報提供サーバ100は、放牧エリア400における環境状態の空間分布を示す画像を生成して表示部172等に表示する。図13は、第1実施例の計測デバイス200a、200bの環境データを用いて解析された放牧エリア400における臭い・風向の空間分布を示す画像の一例を示す図である。図13の例では、臭い・風向MAPとして放牧エリア400内に設置した計測デバイス200aの位置を基準した風向情報WIと、牛舎および堆肥舎のそれぞれに設置された計測デバイス200bにより計測した臭い情報に基づく臭い分布SIを示している。風向情報WIにおいて、風向はベクトルで表され、風の大きさはベクトルの長さに対応している。また、臭い分布SIは、臭度(臭いの強さ)に応じて色や模様等を変えて表示されている。図13に示す情報をユーザに提供することで、風向に応じた今後の臭い分布を予測することができる。
【0079】
また、図14は、牛舎付近の温度の空間分布を示す画像の一例を示す図である。図14の例では、計測デバイス200b1により取得した牛舎420の上部の温度分布TI1と、計測デバイス200b1により取得した牛舎420の下部の温度分布TI2とが示されている。このような情報を提供することで、高さを含めた3次元空間状の温度分布をユーザに提供することができる。
【0080】
図13、14に示す情報を提供することで、例えば、細霧器422やスプリンクラー424を作動させて臭いを消すための物質等を噴霧させたり、電動ファン426作動させて臭度を低くするといった効率的な制御を実施することができる。なお、情報提供サーバ100は、放牧エリア400に設けられる各種装置の稼働状況を取得している場合に、稼働状況を示す稼働MAPを生成してユーザに提供してもよい。図15は、稼働MAPの一例を示す図である。図15の例では、3つの細霧器422a~422cと、3つのスプリンクラー424a~424cと、4つの電動ファン426a~426dとがそれぞれの設置位置に対応付けられた位置に表示されている。なお、各装置の数についてはこれに限定されない。それぞれの装置は、電源のオン/オフに応じて異なる色または模様等で識別可能に表示される。図15の例では、細霧器422c、スプリンクラー424c、および電動ファン426a、426bがオン状態(稼働中)で、それ以外がオフ状態であることを示している。また、電動ファン426は、個別に電流量(A:アンペア)等が表示されてもよい。
【0081】
第1実施例によれば、計測デバイス200a、200bにより計測された環境データを用いることで、放牧エリア400の周囲への配慮や牛の健康、暑熱対策等に配慮して、より適切な環境を実現できる。また、装置を適切に稼働させることで、電気代等を節約することができる。
【0082】
(第2実施例)
図16は、第2実施例における計測デバイス200が計測する環境について説明するための図である。第2実施例は、渓流(沢)エリア500に計測デバイス200を設置した例を示している。具体的には、渓流部分に所定間隔で一以上の計測デバイス200cが設置され、渓流の左右に所定間隔で一以上の計測デバイス200dが設置されている。計測デバイス200cには、例えば、水位センサおよび濁度センサが設けられ、所定周期で設置地点の水位および濁度が計測される。計測デバイス200dには、例えば、土壌水分センサが異なる高さで2箇所設けられ(深さ2水準)、所定周期で設置地点の土壌水分が計測される。
【0083】
情報提供サーバ100は、計測デバイス200c、200dにより得られる情報(環境データ)を取得して、渓流エリア500における環境状態を解析し、環境状態の空間分布を示す画像を生成して表示部172等に表示する。図17は、第2実施例の計測デバイス200c、200dの環境データを用いて解析された環境状態の空間分布を示す画像の一例を示す図である。図17の例では、計測デバイス200c、200dの設置位置に対応させて、計測デバイス200dから得られる情報から解析された土壌水分MAP(浅い場合と深い場合)と、計測デバイス200cの設置位置に応じて計測デバイス200cから得られる情報から解析された水位と濁度の変化を示す情報(水位・濁度MAP)とが示されている。なお、第2実施例では、図17に示す画像のうち一部のみが表示されてもよい。
【0084】
土壌水分MAP(浅い場合と深い場合)では、土壌水分を示す水分分布WA1、WA2が土壌水分量に応じた異なる色や模様等で識別可能に表示される。また、土壌水分MAPでは、水分分布WA1、WA2に加えて(または代えて)、土壌水分量が数値で表示されてもよい。水位・濁度MAPでは、水位や濁度が大きいほど右側に位置付けられるグラフが表示されている。
【0085】
第2実施例によれば、計測デバイス200c、200dにより計測された環境データを用いることで、雷雨等による土砂崩れがあった場合の土壌水分や水位、濁度の空間分布をより正確にユーザに把握させることができる。そのため、災害に備えた適切な準備や対策を取ることができる。
【0086】
(第3実施例)
図18は、第3実施例における計測デバイス200が計測する環境について説明するための図である。第3実施例は、用水路エリア600に計測デバイス200eを設置した例を示している。図18の例では、雨水や河川610等からの水が流れる用水路620に所定間隔で一以上の計測デバイス200eが設置されている。また、計測デバイス200eは、河川610からの取水位置621付近に設けられてよい。計測デバイス200eには、例えば、水位センサや流速センサが設けられ、所定周期で設置地点の水位および流速が計測される。なお、水位は、例えば、用水路620の上限から下方向への距離であってもよい。
【0087】
情報提供サーバ100は、計測デバイス200eにより得られる情報(環境データ)を取得して、用水路エリア600における環境状態(例えば、水位と流速とを用いた水量の状態)を解析し、環境状態の空間分布(例えば、水位分布や流速分布、水量分布)を示す画像を生成して表示部172等に表示する。図19は、第3実施例の計測デバイス200eの環境データを用いて解析された環境状態の空間分布を示す画像の一例を示す図である。図19の例では、時間経過に伴う計測デバイス200eの各設置地点(図19の例では5地点)での水位の変化を示している。図19の横軸は日時を示し、縦軸は用水路620の上限から下方向への距離を示している。縦軸は、水が上限まで達したら水位は「0」となり、溢れたら「+(プラス)」となる。図19の例では、計測デバイス200eの設置位置ごとに水位の変化が異なる色や模様等で識別可能に表示される。なお、図19では、一例として、異なる5地点に設置された計測デバイス200eのそれぞれから取得される水位の変化を示している。表示される水位は、情報提供サーバ100に予め設定された地点に設置された計測デバイス200eから取得した水位でもよく、所定時間における水位の変化量が所定量以上の地点に設置された計測デバイス200eから取得した水位でもよく、ユーザが指定した地点に設置された計測デバイス200eから取得した水位でもよい。
【0088】
第3実施例によれば、計測デバイス200eにより計測された環境データを用いて解析を行い、図19に示すような画像をユーザに提供することで、用水路620の漏水箇所や道路630の冠水箇所、用水の足りない箇所を瞬時に把握させることができる。したがって、例えば、大雨等の時にユーザが用水路620まで見に行かなくても河川610や用水の氾濫具合を経時的に把握でき、道路630の冠水状況等からより適切な避難ルートを決定することができる。また、第3実施例によれば、川から取水する場合において、用水路620の水位に応じてポンプの稼働状況等を調整することができる。したがって、電気代や人件費等を節約することができる。
【0089】
(第4実施例)
図20は、第4実施例における計測デバイス200が計測する環境と計測結果に基づいて提供される情報の一例について説明するための図である。第4実施例では、水田エリア700内に一以上の計測デバイス200fを所定間隔で設置し、更に水口および水尻付近に計測デバイス200gを設置した例を示している。計測デバイス200fには、例えば、水位センサや水温センサが設けられ、所定周期で設置地点の水位および水温が計測される。また、計測デバイス200gには、例えば、水位センサや流量センサが設けられ、所定周期で設置地点の水位および流量が計測される。
【0090】
情報提供サーバ100は、計測デバイス200f、200gにより得られる情報(環境データ)を取得して、水田エリア700における環境状態を解析し、環境状態の空間分布を示す画像を生成して表示部172等に表示する。図20の例では、水田エリア700内の水位分布WA3を示す水位MAPと、水温分布TI3を示す水温MAPを示している。水位および水温は値(大きさ)に応じて異なる色や模様等で識別可能に表示される。なお、図20に示す情報は、計測デバイス200fから得られる情報のみを用いて生成されてよい。
【0091】
第4実施例によれば、計測デバイス200f、200gにより計測された環境データを用いて解析を行い、図20に示すような画像をユーザに提供することで、水田エリア700の適切な管理を実現できる。したがって、例えば、水温が高過ぎると生育不良や不稔となるため、水口から水を少しずつ水田エリア700内に入れて温度を下げることができる。この場合、水口付近に設けられた計測デバイス200gにより計測された水位や水量に基づいて水田エリア700に入れる水の量を制御できる。また、第4実施例によれば、水田エリア700の漏水で水位が下がり過ぎるのを検知したり、水田エリア700のどの位置で破損したときに水位がどの位置でどのように変わっていくのかを特定したり、予測したりすることができる。
【0092】
なお、上述した第1実施例から第4実施例のそれぞれは、他の実施例の一部または全部と組み合わせてもよい。上述したように、計測する環境に応じて計測デバイス200に搭載するセンサの種類を選択することができるため、必要な情報を適切に取得することができ、より正確な環境の解析や予測を行うことができる。
【0093】
上述した実施形態によれば、情報提供システム1において、多地点に設置された計測デバイス200により計測された環境データを取得する取得部120と、環境データに基づいて多地点に含まれる対象エリアにおける環境状態を解析する解析部130と、解析部により解析された結果に基づいて対象エリアの土壌状態を含む空間分布を示す画像を生成する画像生成部150と、画像生成部150により生成された画像を表示部172に表示させる表示制御部160と、を備えることにより、エリアの状況に応じて、より適切な環境状態に関する情報を提供することができる。
【0094】
具体的には、実施形態によれば、例えば、土壌、気象、水に関する環境データを多地点でリアルタイムに手軽に把握することができ、これらの情報を用いてより適切に土壌状態の解析や近未来の予測を行うことができる。また、実施形態によれば、土壌中の水分の変化度合を予測したり、洪水予測や斜面崩壊の危険度を予測したり、土地改良を提案したり、農地での灌水管理や収量予測等を行うことができる。本実施形態に係る技術は、例えば、所定エリアの環境モニタリングや、圃場管理、施設管理、農作物栽培、土地の有効利用の検討等、農業や林業等の分野で広く活用できる。
【0095】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0096】
1…情報提供システム、100…情報提供サーバ、110、220…通信部、120…取得部、130…解析部、140…予測部、150…画像生成部、160…表示制御部、170…入出力部、180…記憶部、200…計測デバイス、210…バッテリ、230…制御部、240…第1センサ、250…第2センサ
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