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特開2024-168998ピックアップ方法及びピックアップ装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168998
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】ピックアップ方法及びピックアップ装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/67 20060101AFI20241128BHJP
   H01L 21/301 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
H01L21/68 E
H01L21/78 Y
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023086159
(22)【出願日】2023-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松岡 祐哉
【テーマコード(参考)】
5F063
5F131
【Fターム(参考)】
5F063AA05
5F063AA11
5F063AA28
5F063AA33
5F063BA33
5F063BA43
5F063BA47
5F063DD86
5F063DD87
5F063DE01
5F063DE11
5F063DE23
5F063DE33
5F131AA04
5F131BA52
5F131BA53
5F131CA09
5F131CA24
5F131CA41
5F131EC74
5F131KA14
5F131KB02
5F131KB06
5F131KB12
(57)【要約】
【課題】突き上げ部材の交換をすることなく、薄化されたチップを破損することなくテープからピックアップすることができること。
【解決手段】ピックアップ方法は、テープに貼着されたチップをテープからピックアップするピックアップ方法であって、ピックアップすべきチップの外側でテープを吸引保持しつつテープを介して突き上げ部材でチップを突き上げ、チップの一部がテープから剥離した剥離領域とチップの外周縁を含む一部がテープに貼着した貼着領域とを形成する一部剥離ステップ1004と、次いでチップの剥離領域をチップ保持具で保持してチップをテープから離反する方向に持ち上げることでチップの全域をテープから剥離しチップをピックアップするピックアップステップ1005と、を備える。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
テープに貼着されたチップを該テープからピックアップするピックアップ方法であって、
ピックアップすべき該チップの外側で該テープを吸引保持しつつ該テープを介して突き上げ部材で該チップを突き上げ、該チップの一部が該テープから剥離した剥離領域と該チップの外周縁を含む一部が該テープに貼着した貼着領域とを形成する一部剥離ステップと、
次いで該チップの該剥離領域を保持具で保持して該チップを該テープから離反する方向に持ち上げることで該チップの全域を該テープから剥離し該チップをピックアップするピックアップステップと、を備えたピックアップ方法。
【請求項2】
該チップはソーマークを有し、
該一部剥離ステップでは、該チップが該テープから剥離した剥離領域と該チップが該テープに貼着された貼着領域との境界線が、該ソーマークと交差するように該チップの一部を剥離する、請求項1に記載のピックアップ方法。
【請求項3】
該チップは、ウェーハが分割されることで形成され、
該ピックアップステップでは、該テープに貼着されて分割された該ウェーハからピックアップすべき該チップがピックアップされ、
該一部剥離ステップを実施する前に、該ウェーハのソーマークの情報を入手するソーマーク入手ステップと、
該ソーマーク入手ステップで入手されたソーマークに基づいて該ウェーハを複数の領域に区分けする領域区分けステップと、を備え、
該一部剥離ステップでは、該領域区分けステップで区分けした領域毎に該境界線がソーマークと交差するように該チップの一部を剥離する、請求項2に記載のピックアップ方法。
【請求項4】
テープに貼着されたチップを該テープからピックアップするピックアップ装置であって、
ピックアップすべき該チップの外側の該テープを吸引保持する吸引領域を有した吸引部と、該吸引領域の内側に配置され、ピックアップすべき該チップよりも小さい押圧面を先端に有した昇降自在な突き上げ部材と、を有し、該テープを介して該チップを突き上げて該テープから該チップの一部が剥離した剥離領域を形成するとともに該チップの一部が該テープに貼着した貼着領域とを形成する突き上げユニットと、
ピックアップすべき該チップを挟んで該突き上げユニットに対向する側に配置され、該突き上げユニットで突き上げられた該チップの該剥離領域を保持する該チップよりも小さい保持面を有した保持具と、を備え、
該チップの該剥離領域を保持した該保持具を該テープから離反する方向に移動させることで該チップの該貼着領域を該テープから剥離して該チップをピックアップする、ピックアップ装置。
【請求項5】
該チップはソーマークを有し、
ピックアップすべき該チップの該剥離領域と該貼着領域との境界線がソーマークと交差するように該突き上げユニットを該チップに位置づけて突き上げる、請求項4に記載のピックアップ装置。
【請求項6】
該突き上げユニットと、該保持具と、を制御するコントローラと、
ウェーハのソーマークを検出するソーマーク検出ユニットと、を備え、
該コントローラは、該ウェーハのソーマークに基づいて該ウェーハを複数の領域に区分けする領域区分け部を有し、
該領域区分け部で区分けした領域毎に該突き上げユニットを矩形チップに対して同位置に位置づけて突き上げ、該剥離領域と該貼着領域との該境界線がソーマークと交差するように該矩形チップを剥離する、請求項5に記載のピックアップ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テープに貼着されたチップをテープからピックアップするピックアップ方法及びピックアップ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ウェーハを分割して個々のチップへと個片化する前に、あらかじめウェーハをテープに貼着することでハンドリングを容易にしている。個片化されたチップは、突き上げピンによりテープからピックアップされる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に開示されるような突き上げピンでチップを突き上げると局所的にチップに力がかかるため、チップが破損してしまうおそれがある。特にチップの厚みが30μm以下と薄い場合には破損リスクが非常に高い。
【0004】
そこで、チップに対応したサイズの突き上げ部材でチップを突き上げ、テープからピックアップしている(特許文献2及び特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5-326672号公報
【特許文献2】特開2018-063967号公報
【特許文献3】特開2021-064813号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2及び特許文献3のような装置では、チップサイズに対応した突き上げ部材を準備しておき、異なるサイズのチップをピックアップする際には、チップに対応した突き上げ部材に付け替えてピックアップを行っている。
【0007】
しかし、複数の突き上げ部材を管理するのが手間である上、付け替えにかかる工数を削減したいという要望がある。
【0008】
本発明の目的は、突き上げ部材の交換をすることなく、薄化されたチップを破損することなくテープからピックアップすることができるピックアップ方法及びピックアップ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明のピックアップ方法は、テープに貼着されたチップを該テープからピックアップするピックアップ方法であって、ピックアップすべき該チップの外側で該テープを吸引保持しつつ該テープを介して突き上げ部材で該チップを突き上げ、該チップの一部が該テープから剥離した剥離領域と該チップの外周縁を含む一部が該テープに貼着した貼着領域とを形成する一部剥離ステップと、次いで該チップの該剥離領域を保持具で保持して該チップを該テープから離反する方向に持ち上げることで該チップの全域を該テープから剥離し該チップをピックアップするピックアップステップと、を備えたことを特徴とする。
【0010】
前記ピックアップ方法において、該チップはソーマークを有し、該一部剥離ステップでは、該チップが該テープから剥離した剥離領域と該チップが該テープに貼着された貼着領域との境界線が、該ソーマークと交差するように該チップの一部を剥離しても良い。
【0011】
前記ピックアップ方法において、該チップは、ウェーハが分割されることで形成され、該ピックアップステップでは、該テープに貼着されて分割された該ウェーハからピックアップすべき該チップがピックアップされ、該一部剥離ステップを実施する前に、該ウェーハのソーマークの情報を入手するソーマーク入手ステップと、該ソーマーク入手ステップで入手されたソーマークに基づいて該ウェーハを複数の領域に区分けする領域区分けステップと、を備え、該一部剥離ステップでは、該領域区分けステップで区分けした領域毎に該境界線がソーマークと交差するように該チップの一部を剥離しても良い。
【0012】
本発明のピックアップ装置は、テープに貼着されたチップを該テープからピックアップするピックアップ装置であって、ピックアップすべき該チップの外側の該テープを吸引保持する吸引領域を有した吸引部と、該吸引領域の内側に配置され、ピックアップすべき該チップよりも小さい押圧面を先端に有した昇降自在な突き上げ部材と、を有し、該テープを介して該チップを突き上げて該テープから該チップの一部が剥離した剥離領域を形成するとともに該チップの一部が該テープに貼着した貼着領域とを形成する突き上げユニットと、ピックアップすべき該チップを挟んで該突き上げユニットに対向する側に配置され、該突き上げユニットで突き上げられた該チップの該剥離領域を保持する該チップよりも小さい保持面を有した保持具と、を備え、該チップの該剥離領域を保持した該保持具を該テープから離反する方向に移動させることで該チップの該貼着領域を該テープから剥離して該チップをピックアップすることを特徴とする。
【0013】
前記ピックアップ装置において、該チップはソーマークを有し、ピックアップすべき該チップの該剥離領域と該貼着領域との境界線がソーマークと交差するように該突き上げユニットを該チップに位置づけて突き上げても良い。
【0014】
前記ピックアップ装置において、該突き上げユニットと、該保持具と、を制御するコントローラと、ウェーハのソーマークを検出するソーマーク検出ユニットと、を備え、該コントローラは、該ウェーハのソーマークに基づいて該ウェーハを複数の領域に区分けする領域区分け部を有し、該領域区分け部で区分けした領域毎に該突き上げユニットを矩形チップに対して同位置に位置づけて突き上げ、該剥離領域と該貼着領域との該境界線がソーマークと交差するように該矩形チップを剥離しても良い。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、突き上げ部材の交換をすることなく、薄化されたチップを破損することなくテープからピックアップすることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、実施形態1に係るピックアップ装置を備える試験装置の構成例の一部を示す斜視図である。
図2図2は、図1に示された試験装置の要部の斜視図である。
図3図3は、図1に示された試験装置の測定対象のチップに分割されたウェーハを備えるウェーハユニットを模式的に示す斜視図である。
図4図4は、図3に示されたウェーハから分割されたチップを模式的に示す斜視図である。
図5図5は、図3に示されたウェーハの裏面を示す平面図である。
図6図6は、実施形態1に係るピックアップ装置の突き上げユニット等を模式的に示す斜視図である。
図7図7は、実施形態1に係るピックアップ装置の突き上げユニット等を模式的に示す断面図である。
図8図8は、図6に示された突き上げユニット等の変形例を模式的に示す斜視図である。
図9図9は、図8に示された突き上げユニット等を模式的に示す断面図である。
図10図10は、図1に示された試験装置の制御ユニットの領域区分け部が複数の領域に区分けしたウェーハを模式的に示す平面図である。
図11図11は、実施形態1に係るピックアップ方法の流れを示すフローチャートである。
図12図12は、図11に示されたピックアップ方法の保持ステップを模式的に一部断面で示す側面図である。
図13図13は、図11に示されたピックアップ方法の一部剥離ステップを模式的に一部断面で示す側面図である。
図14図14は、図11に示されたピックアップ方法の一部剥離ステップ後の第1領域に位置するチップを模式的に示す平面図である。
図15図15は、比較例の第1領域に位置するチップを模式的に示す平面図である。
図16図16は、図11に示されたピックアップ方法の一部剥離ステップ後の第2領域に位置するチップを模式的に示す平面図である。
図17図17は、比較例の第2領域に位置するチップを模式的に示す平面図である。
図18図18は、図11に示されたピックアップ方法のピックアップステップを一部断面で模式的に示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0018】
〔実施形態1〕
本発明の実施形態1に係るピックアップ装置を図面に基づいて説明する。図1は、実施形態1に係るピックアップ装置を備える試験装置の構成例の一部を示す斜視図である。図2は、図1に示された試験装置の要部の斜視図である。図3は、図1に示された試験装置の測定対象のチップに分割されたウェーハを備えるウェーハユニットを模式的に示す斜視図である。図4は、図3に示されたウェーハから分割されたチップを模式的に示す斜視図である。図5は、図3に示されたウェーハの裏面を示す平面図である。
【0019】
実施形態1に係る図1及び図2に示す試験装置1は、図3に示すウェーハユニット17のテープ15から矩形チップであるチップ14をピックアップし、チップ14を破壊して、チップ14の抗折強度を測定する装置である。
【0020】
(ウェーハユニット)
実施形態1では、ウェーハユニット17は、図3に示すように、複数のチップ14に分割されたウェーハ10と、ウェーハ10が貼着されたテープ15と、テープ15の外周が貼着されることで開口内にウェーハ10を収容するフレーム16とを備える。ウェーハ10は、シリコン、サファイア、ガリウムなどを基板11とする円板状の半導体ウェーハや光デバイスウェーハ等である。
【0021】
ウェーハ10は、基板11の表面111に格子状に形成された複数の分割予定ライン12によって区画された領域にデバイス13が形成されている。実施形態1において、ウェーハ10は、外周にフレーム16が装着されたテープ15が表面111の裏側の裏面112に貼着されて、フレーム16に支持されて、ウェーハユニット17を構成している。
【0022】
また、ウェーハ10は、裏面112に研削加工が施されて、仕上げ厚みまで薄化されているとともに、分割予定ライン12に沿って切削加工等が施されて、個々のチップ14に個片化されている。実施形態1において、ウェーハ10即ちチップ14の仕上げ厚みは、5μm以上でかつ30μm以下である。即ち、ウェーハ10は、チップ14間にウェーハ10自体を貫通した切削溝18が形成されている。チップ14は、図4に示すように、基板11の一部とデバイス13とで構成され、平面形状が矩形状である。チップ14は、表面111と、表面111の裏側の裏面112と、表面111から裏面112とに至る複数の側面とを有している。
【0023】
テープ15は、可撓性でかつ非粘着性の樹脂により構成された基材層と、基材層に積層されかつ可撓性でかつ粘着性の樹脂により構成されてウェーハ10及びフレーム16に貼着する糊層とを備える。
【0024】
なお、実施形態1では、ウェーハ10は、基板11の表面111にデバイス13が形成されているが、本発明では、試験装置1がウェーハ10を個々のチップ14に分割する所謂後工程の加工条件の妥当性を評価するために用いられる場合には、表面111にデバイス13が形成されていなくても良い。
【0025】
また、実施形態1において、ウェーハ10は、裏面112に研削加工等が施されて、所定の仕上げ厚みまで薄化されているとともに、分割予定ライン12に切削溝18が形成されて、個々のチップ14に分割されている。このため、ウェーハ10は、裏面112に研削加工時に、図5に示すように、ソーマーク19(加工痕ともいう)と呼ばれる微細な凹凸が形成されている。即ち、チップ14は、裏面112にソーマーク19を有する。なお、図5は、切削溝18を省略している。なお、図5に示す例では、ソーマーク19は、ウェーハ10の裏面112の中心から外周端部に向かって伸びているとともに、中心と外周端部との間で互いに同方向に湾曲している。
【0026】
なお、ソーマーク19の形状、位置は、研削加工時の加工条件(例えば、ウェーハ10の外径、研削ホイールの外径、チャックテーブルの回転方向及び回転数、研削ホイールの回転方向及び回転数)により定められ、これらの加工条件により予測することができる。
【0027】
(試験装置)
試験装置1は、図1に示すように、装置本体2上に設けられウェーハユニット17を複数収容するカセット4が載置されるカセット載置台3と、カセット4にウェーハユニット17を出し入れする搬出入ユニット5と、カセット4から搬出されたウェーハユニット17又はカセット4に搬入される前のウェーハユニット17が仮置きされる一対の仮置きレール6と、実施形態1に係るピックアップ装置20と、移動ユニットである保持具移動ユニット80(図2に示す)と、チップ観察機構100と、測定ユニットである強度測定ユニット200とを備える。
【0028】
カセット4は、複数のウェーハユニット17を鉛直方向と平行なZ軸方向に間隔をあけて収容する収容容器であって、ウェーハユニット17を出し入れする開口8が設けられている。カセット載置台3は、上面にカセット4が載置され、カセット4をZ軸方向に昇降させる。
【0029】
一対の仮置きレール6は、装置本体2上でかつカセット載置台3に載置されるカセット4の開口8の幅方向の両端に設けられ、水平方向と平行なY軸方向に直線状に延びている。一対の仮置きレール6は、互いに平行に配置され、Y軸方向に直交しかつ水平方向と平行なX軸方向に沿って互いに間隔をあけて配置されている。一対の仮置きレール6は、ウェーハユニット17のフレーム16が仮置きされる。
【0030】
搬出入ユニット5は、図示しない移動機構によりY軸方向に移動自在に設けられている。搬出入ユニット5は、カセット4からウェーハユニット17を搬出して、仮置きレール6上に仮置きした後、ピックアップ装置20のフレーム固定ユニット7の降下したフレーム支持部材22の上面までウェーハユニット17を搬出して、フレーム支持部材22の上面に載置する。また、搬出入ユニット5は、フレーム固定ユニット7の降下したフレーム支持部材22の上面上のウェーハユニット17を仮置きレール6を介してカセット4内に搬入する。
【0031】
(ピックアップ装置)
ピックアップ装置20は、前述したウェーハユニット17のテープ15からチップ14をピックアップする装置である。ピックアップ装置20は、図2に示すように、フレーム固定ユニット7と、フレーム固定ユニット7をY軸方向とX軸方向とに移動する移動機構30と、突き上げ部材である突き上げユニット40と、撮像カメラ50と、ピックアップ機構60と、コントローラである制御ユニット400とを備える。
【0032】
(フレーム固定ユニット)
フレーム固定ユニット7は、ウェーハユニット17のテープ15のウェーハ10の周囲に配置されたフレーム16即ちピックアップすべきチップ14の周囲に配置されたフレーム16を保持し、固定するものである。フレーム固定ユニット7は、移動テーブル21上に設置されている。フレーム固定ユニット7は、環状のフレーム支持部材22と、フレーム支持部材22の上方に配置されかつ固定された環状のフレーム押さえ部材23と、フレーム支持部材22を昇降させる図示しない昇降機構とを備える。
【0033】
フレーム支持部材22は、上昇される前では上面が仮置きレール6の上面と同一平面上に位置して、ウェーハユニット17のフレーム16が載置される。フレーム固定ユニット7は、フレーム支持部材22の上面にウェーハユニット17のフレーム16が載置されると、昇降機構がフレーム支持部材22を上昇させて、フレーム押さえ部材23とフレーム支持部材22との間にフレーム16を挟み込む。フレーム固定ユニット7は、フレーム押さえ部材23とフレーム支持部材22との間にフレーム16を挟み込んで、テープ15のウェーハ10の周囲に配置されたフレーム16を保持、固定し、ウェーハユニット17を固定する。
【0034】
(移動機構)
移動機構30は、装置本体2上に設けられかつ移動テーブル21をX軸方向に移動するX軸移動機構31と、X軸移動機構31によりX軸方向に移動される移動テーブル21上に設けられかつフレーム固定ユニット7をY軸方向に移動するY軸移動機構32とを備える。X軸移動機構31は、一対の仮置きレール6とY軸方向に並ぶ位置と一対の仮置きレール6から離れる位置とに亘って移動テーブル21即ちフレーム固定ユニット7をX軸方向に移動する。各移動機構31,32は、軸心回りに回転自在に設けられた周知のボールねじ33,34、ボールねじ33,34を軸心回りに回転させる周知のモータ35,36及び移動テーブル21又はフレーム固定ユニット7をX軸方向又はY軸方向に移動自在に支持する周知のガイドレール37,38を備える。
【0035】
(突き上げユニット)
図6は、実施形態1に係るピックアップ装置の突き上げユニット等を模式的に示す斜視図である。図7は、実施形態1に係るピックアップ装置の突き上げユニット等を模式的に示す断面図である。図8は、図6に示された突き上げユニット等の変形例を模式的に示す斜視図である。図9は、図8に示された突き上げユニット等を模式的に示す断面図である。
【0036】
突き上げユニット40は、テープ15を介してチップ14を突き上げて、テープ15からチップ14の一部が剥離した剥離領域145(図14等に示す)を形成するとともにチップ14の一部がテープ15に貼着した貼着領域146(図14等に示す)とを形成するものである。なお、剥離領域145とは、チップ14の裏面112がテープ15から剥離した領域であり、実施形態1では、チップ14の中央部にも形成されている。また、貼着領域146とは、チップ14の裏面112がテープ15に貼着した領域であり、実施形態1では、チップ14の外周縁にも形成されている。
【0037】
突き上げユニット40は、X軸移動機構31により一対の仮置きレール6から離れる位置に位置付けられたフレーム固定ユニット7の下方に配置される。突き上げユニット40は、装置本体2の凹部9内に設けられ、X軸移動機構31により一対の仮置きレール6から離れる位置に位置付けられたフレーム固定ユニット7で固定されたウェーハユニット17のテープ15を介していずれかのチップ14を突き上げるものである。
【0038】
突き上げユニット40は、全体が一体として、モータ等で構成される昇降機構(図示せず)と接続され、Z軸方向に沿って昇降する。突き上げユニット40は、図6及び図7に示すように、中空の円筒状に形成された吸引部であるテープ保持部41と、テープ保持部41の内部に配置された四角柱状の突き上げ部42とを有する。テープ保持部41の上面48は、水平方向と平行に平坦に形成され、ピックアップすべきチップ14の周囲(外側に相当)のテープ15を吸引保持する吸引領域である。テープ保持部41の上面48には、テープ保持部41の周方向に沿って同心円状に形成された複数の吸引溝44が形成されている。吸引溝44はそれぞれ、突き上げユニット40の内部に形成された吸引路45及び開閉弁46を介して、エジェクタ等でなる吸引源47に接続している。
【0039】
突き上げ部42は、上面の平面形状がチップ14の平面形状よりも小さい四角形に形成されている。突き上げ部42は、四角筒状に形成された第1突き上げ部材42-1と、四角柱状に形成されかつ第1突き上げ部材42-1内に収容された第2突き上げ部材42-2とを備える。第1突き上げ部材42-1、及び第2突き上げ部材42-2は、それぞれ、モータ等で構成される昇降ユニット49と接続され、互いに独立してZ軸方向に沿って昇降可能である。
【0040】
第1突き上げ部材42-1及び第2突き上げ部材42-2は、昇降ユニット49により上昇されることで、ピックアップすべきチップ14をテープ15を介して突き上げる。また、第1突き上げ部材42-1及び第2突き上げ部材42-2の上面43は、ピックアップすべきチップ14の平面形状よりも小さく形成され、ピックアップすべきチップ14をテープ15を介して突き上げる押圧面である。即ち、突き上げ部材42-1,42-2は、ピックアップすべきチップ14よりも小さい押圧面である上面43を先端に有して、昇降ユニット49により昇降自在である。
【0041】
突き上げユニット40は、フレーム固定ユニット7で保持されたフレーム16を含むウェーハユニット17が上方に位置付けられた状態で、テープ保持部41の上面48の吸引溝44が吸引源47により吸引されて、テープ保持部41の上面48にピックアップすべきチップ14の周囲のテープ15を吸引保持する。突き上げユニット40は、テープ保持部41の上面48にピックアップすべきチップ14の周囲のテープ15を吸引保持して、突き上げ部42の各突き上げ部材42-1,42-2が上昇されることで、チップ14をテープ15よりも上方に突き上げて、チップ14に前述した剥離領域145と貼着領域146とを形成する。
【0042】
実施形態1では、突き上げユニット40は、チップ14を突き上げる際に、昇降ユニット49により第1突き上げ部材42-1、及び第2突き上げ部材42-2の上昇が同時に同速度で開始され、第2突き上げ部材42-2が第1突き上げ部材42-1よりも上側まで上昇されて、それぞれの上昇が停止する。即ち、突き上げユニット40は、チップ14を突き上げる際に、第1突き上げ部材42-1、及び第2突き上げ部材42-2が同時に同速度で上昇を開始し、第1突き上げ部材42-1、及び第2突き上げ部材42-2が順に上昇を停止する。
【0043】
また、本発明では、突き上げユニット40は、図8及び図9に示すように、突き上げ部材42-1,42-2が一体に形成されて、突き上げ部材42-3を一つのみ備えても良い。なお、図8及び図9は、実施形態1と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。図8及び図9に示す突き上げユニット40は、押圧面である上面43を先端に有しかつ昇降ユニット49により昇降自在な四角柱状の突き上げ部材42-3を一つのみ備えている。
【0044】
(撮像カメラ)
撮像カメラ50は、X軸移動機構31により一対の仮置きレール6から離れる位置に位置付けられたフレーム固定ユニット7の上方に配置される。撮像カメラ50は、X軸移動機構31により一対の仮置きレール6から離れる位置に位置付けられたフレーム固定ユニット7で保持されたフレーム16を含むウェーハユニット17のウェーハ10の突き上げユニット40の突き上げ部材42-1,42-2により突き上げられるチップ14及びこのチップ14の周囲を撮像して、撮像画像を形成するものである。
【0045】
撮像カメラ50は、フレーム固定ユニット7で保持されたフレーム16を含むウェーハユニット17のウェーハ10の突き上げユニット40の突き上げ部材42-1,42-2により突き上げられるチップ14及びこのチップ14の周囲を撮像する撮像素子(即ち、画素)を備えている。撮像素子は、例えば、CCD(Charge-Coupled Device)撮像素子又はCMOS(Complementary MOS)撮像素子である。撮像カメラ50は、フレーム固定ユニット7で保持されたフレーム16を含むウェーハユニット17のウェーハ10の突き上げユニット40の突き上げ部材42-1,42-2により突き上げられるチップ14及びこのチップ14の周囲を撮影して、ウェーハ10の突き上げユニット40により突き上げられるピックアップすべきチップ14と突き上げユニット40との位置合わせを行なうため等の撮像画像を取得し、取得した撮像画像を制御ユニット400に出力する。
【0046】
(ピックアップ機構)
ピックアップ機構60は、複数のチップ14に分割されテープ15で支持されたウェーハ10から突き上げユニット40により突き上げられたチップ14をピックアップするものである。ピックアップ機構60は、保持具移動ユニット80によりY軸方向とZ軸方向とに移動される移動基台61と、移動基台61から保持具移動ユニット80から離れる方向にX軸方向に延在したアーム62と、アーム62の先端に設けられチップ14を保持するチップ保持具63と、アーム62の全長を伸縮する伸縮ユニット64とを備える。
【0047】
チップ保持具63は、X軸移動機構31により一対の仮置きレール6から離れる位置に位置付けられたフレーム固定ユニット7で固定されたウェーハユニット17のピックアップすべきチップ14を挟んで突き上げユニット40の突き上げ部材42-1,42-2に対向する側に配置されている。また、チップ保持具63は、チップ14の平面形状よりも小さくかつピックアップすべきチップ14に対面する保持面である下面65を有している。下面65には、図示しない吸引路及び開閉弁を介してエジェクタ等である吸引源に接続した吸引溝が形成されている。下面65は、突き上げユニット40の突き上げ部材42-1,42-2で突き上げられたチップ14の剥離領域145を吸引保持する。
【0048】
チップ保持具63は、下面65に突き上げ部材42-1,42-2で突き上げられたチップ14を接触させた状態で、吸引溝69が吸引源68により吸引されて、チップ14を下面65に吸引保持する。チップ保持具63は、下面65に突き上げユニット40の突き上げ部材42-1,42-2で突き上げられたチップ14を吸引保持し、保持具移動ユニット80により上昇されることで、下面65に吸引保持したチップ14をテープ15からピックアップする。
【0049】
また、実施形態1では、試験装置1は、突き上げユニット40の上面側にテープ15からピックアップすべき際にチップ14にかかる荷重を測定する測定手段であるロードセルを備えても良い。ロードセルは、測定結果を制御ユニット400に出力する。なお、本発明では、測定手段であるロードセルをピックアップ機構60のチップ保持具63の下面65側に設けても良い。
【0050】
(保持具移動ユニット)
保持具移動ユニット80は、チップ保持具63をZ軸方向とY軸方向とに沿って移動させるものである。保持具移動ユニット80は、チップ14をテープ15からピックアップするピックアップ位置と、強度測定ユニット200の支持ユニット210の一対の支持部上にチップ14が載置して、チップ14が強度測定ユニット200により抗折強度が測定される測定位置との間で、チップ保持具63を移動させる。保持具移動ユニット80は、チップ保持具63をピックアップ位置と測定位置との間で移動することで、チップ保持具63でピックアップされたチップ14を強度測定ユニット200の支持ユニット210に搬送する。
【0051】
保持具移動ユニット80は、図2に示すように、装置本体2上に設けられかつ移動テーブル83をY軸方向に移動する第2Y軸移動機構81と、第2Y軸移動機構81によりY軸方向に移動される移動テーブル83上に設けられかつ移動基台61即ちピックアップ機構60をZ軸方向に移動するZ軸移動機構82とを備える。
【0052】
第2Y軸移動機構81は、突き上げユニット40のテープ保持部41の上面48とチップ保持具63の下面65がZ軸方向に対面するピックアップ位置から移動テーブル83即ちピックアップ機構60をY軸方向に沿って強度測定ユニット200に向かって移動する。各移動機構81,82は、軸心回りに回転自在に設けられた周知のボールねじ84,85、ボールねじ84,85を軸心回りに回転させる周知のモータ86,87及び移動テーブル83又はピックアップ機構60をY軸方向又はZ軸方向に移動自在に支持する周知のガイドレール88,89を備える。
【0053】
(チップ観察機構)
チップ観察機構100は、チップ14の表面111、裏面112及び側面を撮像して観察するものである。チップ観察機構100は、図1及び図2に示すように、装置本体2上の突き上げユニット40のY軸方向の隣に配置された下方撮像ユニット102と、側方撮像ユニット113と、チップ14の上下を反転するチップ反転機構150とを備える。
【0054】
下方撮像ユニット102は、ピックアップ機構60のチップ保持具63に保持されたチップ14を下方から撮像する下方撮像カメラ103を備える。下方撮像カメラ103は、チップ保持具63の移動経路と重なる位置に配置されている。下方撮像ユニット102は、下方撮像カメラ103がチップ14を下方から撮像し、撮像して得た画像を制御ユニット400に出力する。
【0055】
側方撮像ユニット113は、チップ14を側方から即ちチップ14の側面を撮像するものである。側方撮像ユニット113は、下方撮像ユニット102のY軸方向の隣に配置され、実施形態1では、下方撮像ユニット102よりも突き上げユニット40から離れた側に配置されている。
【0056】
側方撮像ユニット113は、チップ14を支持する柱状のチップ支持台114と、チップ14の側面を撮像する側面撮像カメラ115とを備える。
【0057】
チップ支持台114は、装置本体2から上方に向かって延びており、下方撮像カメラ103とY軸方向に並ぶ位置(即ち、チップ保持具63の移動経路と重なる位置)に配置されている。チップ支持台114は、上面が水平方向と平行に平坦に形成され、上面上にピックアップ機構60のチップ保持具63により搬送されたチップ14を支持する。また、チップ支持台114は、図示しない回転駆動源と接続されており、回転駆動源によりZ軸方向と平行な軸心回りに回転する。
【0058】
側面撮像カメラ115は、チップ支持台114の上面上に配置されたチップ14の側面を撮影可能な位置に配置されている。側面撮像カメラ115は、チップ14の側面を撮像する撮像素子を備えている。撮像素子は、例えば、CCD(Charge-Coupled Device)撮像素子又はCMOS(Complementary MOS)撮像素子である。側面撮像カメラ115は、チップ支持台114の上面に配置されたチップ14の側面を撮像し、撮像して得た画像を制御ユニット400に出力する。
【0059】
なお、試験装置1は、チップ保持具63の移動経路と重なる位置にチップ支持台114を設けているため、チップ保持具63によってチップ14をチップ支持台114の上面に配置できる。
【0060】
側方撮像ユニット113は、チップ支持台114によって支持されたチップ14の一側面を側面撮像カメラ115によって撮像する。その後、チップ支持台114を所定の角度回転させた後、側面撮像カメラ115によってチップ14の他の側面を撮像する。このようにして、側方撮像ユニット113は、側面撮像カメラ115によってチップ14の全ての側面(例えば、チップ14の4辺の側面)が撮像し、チップ14の厚みや、チップ14に形成された欠け(チッピング)の大きさ等を含んだ画像を得て、得た画像を制御ユニット400に出力する。また、側方撮像ユニット113は、チップ支持台114の回転角度を制御することにより、チップ14が強度測定ユニット200に配置される際における、チップ14の水平方向の向き(角度)を調整できる。
【0061】
上記の下方撮像ユニット102及び側方撮像ユニット113により、チップ観察機構100は、チップ保持具63にピックアップされたチップ14の表面111、裏面112及び側面を撮像する。なお、本発明では、チップ14の側面を撮像する側面撮像カメラ115は、チップ保持具63によって保持された状態のチップ14の側面を撮像可能な位置に設けられていてもよい。この場合、チップ14をチップ支持台114で支持することなくチップ14の側面を観察できるため、チップ14をチップ支持台114上に配置することによってチップ14の裏面112等が傷つくことを防止できる。
【0062】
チップ反転機構150は、側方撮像ユニット113のチップ支持台114の上方に配置されている。チップ反転機構150は、先端部でチップ14を保持した状態で、X軸方向と平行な軸心回りに基底部151を180°回転可能に構成されている。
【0063】
チップ反転機構150は、チップ14の上下に反転する際、チップ14を支持したチップ支持台114の上面に対して、図1及び図2中に実線で示す位置から基底部151を180°回転させて、図1及び図2中に点線で示す位置に位置付ける。チップ反転機構150は、先端部にチップ14を吸引保持し、基底部151を180°回転して、チップ14の上下を反転する。
【0064】
チップ反転機構150により反転されたチップ14は、ピックアップ機構60のチップ保持具63により吸引保持されて、チップ反転機構150の先端部の吸引保持が停止した後、保持具移動ユニット80に移動されるチップ保持具63により下方撮像ユニット102上又は強度測定ユニット200に搬送される。このように、チップ反転機構150は、チップ14の上下を反転する。
【0065】
(強度測定ユニット)
強度測定ユニット200は、ピックアップ機構60でピックアップされたチップ14の抗折強度を測定する測定ユニットである。強度測定ユニット200は、チップ観察機構100とY軸方向の隣に配置され、実施形態1では、チップ観察機構100よりも突き上げユニット40から離れた側に配置されている。また、実施形態1では、強度測定ユニット200は、チップ保持具63の移動経路と重なる位置に配置されている。
【0066】
強度測定ユニット200は、支持ユニット210と、押圧ユニット220とを備える。支持ユニット210は、ピックアップ機構60のチップ保持具63によりピックアップされかつチップ観察機構100により表面111、裏面112及び側面が撮像されたチップ14を支持するものである。支持ユニット210は、チップ保持具63の移動経路と重なる位置に配置されている。このために、保持具移動ユニット80は、チップ保持具63を突き上げユニット40にZ軸方向に対向する位置から支持ユニット210とZ軸方向に対向する位置に移動する。
【0067】
支持ユニット210は、所定間隔を有して配設され、チップ14の裏面112を支持する一対の支持部を備える。一対の支持部は、X軸方向に互いに所定間隔をあけて配設されている。
【0068】
押圧ユニット220は、支持ユニット210に支持されたチップ14を圧子221で押圧し、チップ14の押圧時に押圧ユニット220にかかる荷重を測定するとともに、支持ユニット210に支持されたチップ14を押圧して破壊するものである。押圧ユニット220は、支持ユニット210の上方に設けられている。
【0069】
押圧ユニット220は、図1及び図2に示すように、圧子221と、圧子移動ユニット222と、荷重測定器223とを備える。
【0070】
圧子221は、支持ユニット210よりも上方で、且つ、チップ14の裏面112を支持する一対の支持部の間の上方に配置されている。圧子移動ユニット222は、一対の支持部で支持されたチップ14に対して圧子221をZ軸方向に沿って相対的に近接移動させるものである。圧子移動ユニット222は、圧子221を下端に支持して、圧子221を支持ユニット210の一対の支持部の間とZ軸方向に沿って対向させて、圧子221をZ軸方向に沿って昇降移動させる。
【0071】
荷重測定器223は、圧子221が支持部で支持されたチップ14を押圧する荷重を測定するものである。実施形態1では、荷重測定器223は、圧子移動ユニット222によって圧子221とともにZ軸方向に沿って昇降移動される。荷重測定器223は、周知のロードセル等により構成され、圧子221が一対の支持部で支持されたチップ14を押圧する荷重を測定し、測定結果を制御ユニット400に出力する。
【0072】
強度測定ユニット200は、チップ14の抗折強度を測定する際は、一対の支持部上にチップ保持具63等によりチップ14が載置される。このとき、チップ14は、両端部が一対の支持部によって支持され、中央部が一対の支持部間と重なる。
【0073】
強度測定ユニット200は、圧子221を圧子移動ユニット222により降下させて、圧子221でチップ14を押圧し、チップ14を押圧する圧子221にかかる荷重(Z軸方向の力)を荷重測定器223によって測定し、測定結果を適宜制御ユニット400に出力しながら圧子221でチップ14を破壊する。強度測定ユニット200は、チップ14の一対の支持部及び圧子221を用いた3点曲げ試験を行い、この3点曲げ試験により、チップ14の曲げ強度(抗折強度)を測定し、測定結果を制御ユニット400に出力する。
【0074】
また、試験装置1は、良品のチップ14を複数収容する収容トレイ91が設置されるトレイ設置部90が設けられている。実施形態1では、トレイ設置部90は、装置本体2上のチップ保持具63の移動経路と重なる位置に設けられ、強度測定ユニット200のチップ支持台114側に配置されている。
【0075】
(制御ユニット)
制御ユニット400は、試験装置1の上述した各構成ユニットをそれぞれ制御して、チップ14の抗折強度を測定するなどの各チップ14に対する測定動作を試験装置1に実施させるものである。即ち、制御ユニット400は、試験装置1及びピックアップ装置20の上述した各構成ユニットであるフレーム固定ユニット7と、突き上げユニット40と、撮像カメラ50と、ピックアップ機構60とをそれぞれ制御して、ウェーハユニット17からチップ14をピックアップするピックアップ動作をピックアップ装置20に実施させるものである。
【0076】
制御ユニット400は、CPU(central processing unit)のようなマイクロプロセッサを有する演算処理装置と、ROM(read only memory)又はRAM(random access memory)のようなメモリを有する記憶装置と、入出力インターフェース装置とを有するコンピュータである。制御ユニット400の演算処理装置は、記憶装置に記憶されているコンピュータプログラムに従って演算処理を実施して、試験装置1を制御するための制御信号を、入出力インターフェース装置を介して試験装置1の上述した各ユニットに出力する。
【0077】
また、制御ユニット400は、測定動作の状態や画像などを表示する表示画面301を有する表示手段である表示ユニット300(図1に示す)と、オペレータが試験装置1の制御ユニット400に情報などを入力する際に用いる入力手段であるタッチパネル302(図1に示す)とが接続されている。表示ユニット300は、液晶表示装置などにより構成される。タッチパネル302は、表示ユニット300の表示画面301に重ねられる。
【0078】
また、制御ユニット400は、カセット4に収容される複数のウェーハユニット17の各ウェーハユニット17の良品のチップ14の位置と、不良品のチップ14の位置とを記憶している。
【0079】
また、制御ユニット400は、図1及び図2に示すように、動作制御部401と、ソーマーク検出部402と、領域区分け部403とを備えている。
【0080】
動作制御部401は、試験装置1の上述した各構成ユニットをそれぞれ制御して、チップ14の抗折強度を測定するなどの各チップ14に対する測定動作を試験装置1に実施させるものである。即ち、動作制御部401は、試験装置1及びピックアップ装置20の上述した各構成ユニットであるフレーム固定ユニット7と、突き上げユニット40と、撮像カメラ50と、ピックアップ機構60とをそれぞれ制御して、ウェーハユニット17からチップ14をピックアップするピックアップ動作をピックアップ装置20に実施させるものである。
【0081】
ソーマーク検出部402は、ウェーハユニット17のウェーハ10のソーマーク19を検出するソーマーク検出ユニットである。実施形態1において、ソーマーク検出部402は、ウェーハ10の研削加工時の加工条件(例えば、ウェーハ10の外径、研削ホイールの外径、チャックテーブルの回転方向及び回転数、研削ホイールの回転方向及び回転数)によりソーマーク19の形状、位置を算出する。
【0082】
図10は、図1に示された試験装置の制御ユニットの領域区分け部が複数の領域に区分けしたウェーハを模式的に示す平面図である。領域区分け部403は、ソーマーク検出部402が検出したウェーハ10のソーマーク19に基づいてウェーハ10を複数の領域14-1,14-2,14-3に区分けするものである。実施形態1において、領域区分け部403は、図10に示すように、ウェーハ10を、ソーマーク19の接線のX軸方向に対する角度が45度以上である第1領域14-1(図10に粗な平行斜線で示す)と、ソーマーク19の接線のX軸方向に対する角度が45度未満である第2領域14-2(図10に密な平行斜線で示す)と、ソーマーク19の接線のX軸方向に対する角度が45である第3領域14-3(図10に白地で示す)とに区分けする。
【0083】
また、実施形態1において、領域区分け部403は、第1領域14-1及び第2領域14-2に少なくとも一部が位置するチップ14をそれぞれ、第1領域14-1及び第2領域14-2に位置するチップ14と区分けし、一部も第1領域14-1及び第2領域14-2に位置しないチップ14を第3領域14-3に位置するチップ14と区分けする。こうして、領域区分け部403は、ウェーハ10から個々に分割されたチップ14を第1領域14-1に位置するチップ14、第2領域14-2に位置するチップ14及び第3領域14-3に位置するチップ14に区分けする。第1領域14-1に位置するチップ14は、裏面112に形成された全てのソーマーク19の接線のX軸方向に対する角度が45度を超え、第2領域14-2に位置するチップ14は、裏面112に形成された全てのソーマーク19の接線のX軸方向に対する角度が45度未満であり、第3領域14-3に位置するチップ14は,裏面112に形成されたソーマーク19の少なくとも一部の接線のX軸方向に対する角度が45度である。
【0084】
なお、実施形態1において、第1領域14-1は、ウェーハ10のY軸方向の両端部に位置し、第2領域14-2は、ウェーハ10のX軸方向の両端部に位置し、第3領域14-3は、ウェーハ10の周方向に沿って、第1領域14-1と第2領域14-2との間に位置している。また、第1領域14-1のソーマーク19を、以下Y軸方向と平行であると記し、第2領域14-2のソーマーク19を、以下X軸方向と平行であると記す。
【0085】
なお、動作制御部401、ソーマーク検出部402及び領域区分け部403の機能は、制御ユニット400の演算処理装置が記憶装置に記憶されているコンピュータプログラムに従って演算処理を実施することにより実現される。
【0086】
(ピックアップ方法)
次に、本明細書は、実施形態1に係るピックアップ方法を図面に基づいて説明する。図11は、実施形態1に係るピックアップ方法の流れを示すフローチャートである。ピックアップ方法は、ウェーハユニット17のテープ15に貼着されたチップ14をテープ15からピックアップする方法であるとともに、実施形態1では、ウェーハユニット17からピックアップしたチップ14に対して試験装置1が測定動作を実施する方法、即ちチップ14の抗折強度を測定する方法でもある。即ち、実施形態1では、ピックアップ方法は、試験装置1の測定動作である。
【0087】
実施形態1に係るピックアップ方法は、オペレータが複数のウェーハユニット17を収容したカセット4をカセット載置台3に設置し、タッチパネル302を操作して、測定条件を制御ユニット400に入力し、制御ユニット400がオペレータの測定開始指示を受け付けると、試験装置1により実施される。なお、測定条件は、各ウェーハユニット17の良品のチップ14の位置と、不良品のチップ14の位置とを含む。
【0088】
実施形態1では、試験装置1は、各ウェーハユニット17からチップ14を一つずつ順にピックアップする。なお、本明細書では、ピックアップ方法の実施中に、チップ14をピックアップする度に、オペレータがタッチパネル等を操作して、テープ15からピックアップするチップ14を選定しても良い。ピックアップ方法は、図11に示すように、保持ステップ1001と、ソーマーク入手ステップ1002と、領域区分けステップ1003と、一部剥離ステップ1004と、ピックアップステップ1005と、測定ステップ1006とを備える。
【0089】
(保持ステップ)
図12は、図11に示されたピックアップ方法の保持ステップを模式的に一部断面で示す側面図である。保持ステップ1001は、ウェーハユニット17のフレーム16即ちテープ15のピックアップすべきチップ14の周囲をフレーム固定ユニット7で保持するステップである。
【0090】
保持ステップ1001では、制御ユニット400の動作制御部401は、搬出入ユニット5を制御して試験前のウェーハ10を含むウェーハユニット17をカセット4から搬出させて一対の仮置きレール6上に仮置きさせ、搬出入ユニット5を制御して、仮置きレール6上に仮置きされたウェーハユニット17のフレーム16をフレーム固定ユニット7の降下したフレーム支持部材22上に載置させる。保持ステップ1001では、制御ユニット400の動作制御部401は、図12に示すように、フレーム固定ユニット7を制御して、フレーム支持部材22を上昇させて、フレーム押さえ部材23とフレーム支持部材22との間にフレーム16即ちテープ15のピックアップすべきチップ14の周囲を挟み込んで、ウェーハユニット17をフレーム固定ユニット7で固定する。
【0091】
(ソーマーク入手ステップ)
ソーマーク入手ステップ1002は、一部剥離ステップ1004を実施する前に、ウェーハ10のソーマーク19を入手するステップである。実施形態1において、ソーマーク入手ステップ1002は、保持ステップ1001を開始すると、ソーマーク検出部402により実際される。実施形態1において、ソーマーク入手ステップ1002では、制御ユニット400のソーマーク検出部402が、研削加工時の加工条件によりウェーハ10の裏面のソーマーク19の形状、位置を算出する。
【0092】
(領域区分けステップ)
領域区分けステップ1003は、ソーマーク入手ステップ1002で入手されたソーマーク19に基づいてウェーハ10を複数の領域14-1,14-2,14-3に区分けする。実施形態1にいて、領域区分けステップ1003では、制御ユニット400の領域区分け部403は、ウェーハ10を、前述した第1領域14-1と、第2領域14-2と、第3領域14-3とに区分けし、複数のチップ14を第1領域14-1に位置するチップ14と、第2領域14-2に位置するチップ14と、第3領域14-3に位置するチップ14とに区分けする。
【0093】
(一部剥離ステップ)
図13は、図11に示されたピックアップ方法の一部剥離ステップを模式的に一部断面で示す側面図である。図14は、図11に示されたピックアップ方法の一部剥離ステップ後の第1領域に位置するチップを模式的に示す平面図である。図15は、比較例の第1領域に位置するチップを模式的に示す平面図である。図16は、図11に示されたピックアップ方法の一部剥離ステップ後の第2領域に位置するチップを模式的に示す平面図である。図17は、比較例の第2領域に位置するチップを模式的に示す平面図である。
【0094】
一部剥離ステップ1004は、ピックアップすべきチップ14の外側でテープ15を吸引保持しつつテープ15を介して突き上げ部材42-1,42-2でチップ14を突き上げ、チップ14の一部がテープ15から剥離した剥離領域145(図14及び図15等に平行斜線で示す)とチップ14の外周縁を含む一部がテープ15に貼着した貼着領域146(図14及び図15に示す)とを形成するステップである。実施形態1において、一部剥離ステップ1004では、保持ステップ1001、ソーマーク入手ステップ1002及び領域区分けステップ1003後に、制御ユニット400の動作制御部401が測定条件に基づいて移動機構30を制御してフレーム固定ユニット7を移動し、フレーム固定ユニット7で保持されたウェーハユニット17の次にピックアップすべきチップ14を突き上げユニット40の上方でかつ撮像カメラ50の下方に位置付ける。
【0095】
実施形態1において、一部剥離ステップ1004では、制御ユニット400の動作制御部401は、撮像カメラ50にフレーム固定ユニット7に固定されたウェーハユニット17のウェーハ10のチップ14及びチップ14の周囲を撮像させて、撮像画像を取得する。実施形態1において、一部剥離ステップ1004では、制御ユニット400の動作制御部401は、撮像画像からピックアップすべきチップ14の外縁の位置を検出し、移動機構30を制御してフレーム固定ユニット7の位置を調整して、ピックアップすべきチップ14と突き上げユニット40の位置合わせを遂行する。
【0096】
実施形態1において、一部剥離ステップ1004では、制御ユニット400の動作制御部401は、突き上げユニット40を制御して、突き上げ部材42-1,42-2を下降させた状態で、突き上げユニット40全体を上昇させて、突き上げユニット40のテープ保持部41の上面48及び突き上げ部材42-1,42-2の上面43をテープ15に接触させる。また、実施形態1において、一部剥離ステップ1004では、制御ユニット400の動作制御部401が、開閉弁46を開いて、突き上げユニット40のテープ保持部41の上面48にテープ15を吸引保持するとともに、突き上げユニット40の突き上げ部42でテープ15を介してピックアップすべきチップ14を支持する。
【0097】
実施形態1において、一部剥離ステップ1004では、制御ユニット400の動作制御部401は、突き上げユニット40の昇降ユニット49の双方を制御して突き上げ部材42-1,42-2を上昇させて、図13に示すように、ピックアップすべきチップ14をテープ15を介して押圧して突き上げ、ピックアップすべきチップ14の一部をテープ15から剥離した後、突き上げ部材42-1,42-2を下降させ、開閉弁46を閉じて上面48のテープ15の吸引保持を停止する。実施形態1において、一部剥離ステップ1004では、制御ユニット400の動作制御部401は、突き上げ部材42-1,42-2でチップ14をテープ15を介して突き上げる際には、突き上げユニット40の昇降ユニット49の双方を制御して、突き上げ部材42-1,42-2を同時に同速度で上昇させ、第1突き上げ部材42-1の上昇を停止した後、第2突き上げ部材42-2を第1突き上げ部材42-1よりも上方に上昇させた後、第2突き上げ部材42-2の上昇を停止する。
【0098】
また、実施形態1において、一部剥離ステップ1004では、制御ユニット400の動作制御部401が、移動機構30を制御して、突き上げ部材42-1,42-2のチップ14を突き上げる位置を変更して、上面48のテープ15の吸引保持、突き上げ部材42-1,42-2の上昇、下降、上面48のテープ15の吸引保持の停止を繰り返して、チップ14の四隅141,142,143,144のうち少なくとも一部を突き上げ部材42-1,42-2で押圧して突き上げ、剥離領域145と貼着領域146とを形成する。
【0099】
実施形態1において、一部剥離ステップ1004では、制御ユニット400の動作制御部401は、第1領域14-1に位置するチップ14の四隅141,142,143,144のうちX軸方向に並ぶもののうち一方を突き上げ部材42-1,42-2によりテープ15を介して押圧して突き上げる。例えば、実施形態1において、一部剥離ステップ1004では、制御ユニット400の動作制御部401は、図14に示すように、第1領域14-1に位置するチップ14の四隅141,142,143,144のうちX軸方向に並ぶ隅141,144の一方の隅141を突き上げ部材42-1,42-2によりテープ15を介して押圧して突き上げ、他方の隅144を突き上げ部材42-1,42-2によりテープ15を介して押圧して突き上げるとともに、X軸方向に並ぶ他方の隅142,143を突き上げ部材42-1,42-2により押圧しない。
【0100】
こうすることで、実施形態1において、一部剥離ステップ1004では、制御ユニット400の動作制御部401は、図14に示すように、チップ14がテープ15から剥離した剥離領域145とチップ14がテープ15に貼着された貼着領域146との境界線147が、ソーマーク19と交差するようにチップ14の一部を剥離する。
【0101】
このような実施形態1に対して、比較例のピックアップ方法では、制御ユニット400の動作制御部401は、第1領域14-1に位置するチップ14の四隅141,142,143,144のうちY軸方向に並ぶもののうち一方を突き上げ部材42-1,42-2によりテープ15を介して押圧して突き上げると、図15に示すように、チップ14がテープ15から剥離した剥離領域145とチップ14がテープ15に貼着された貼着領域146との境界線147が、ソーマーク19と平行になる。なお、本明細書において、境界線147が、ソーマーク19と交差するとは、ソーマーク19の接線とのなす角度が45度を超えていることを示し、ソーマーク19と平行になるとは、ソーマーク19の接線とのなす角度が45度未満であることを示している。
【0102】
実施形態1において、一部剥離ステップ1004では、制御ユニット400の動作制御部401は、第2領域14-2に位置するチップ14の四隅141,142,143,144のうちY軸方向に並ぶもののうち一方を突き上げ部材42-1,42-2によりテープ15を介して押圧して突き上げる。例えば、実施形態1において、一部剥離ステップ1004では、制御ユニット400の動作制御部401は、図16に示すように、第2領域14-2に位置するチップ14の四隅141,142,143,144のうちY軸方向に並ぶ隅141,142の一方の隅141を突き上げ部材42-1,42-2によりテープ15を介して押圧して突き上げ、他方の隅142を突き上げ部材42-1,42-2によりテープ15を介して押圧して突き上げるとともに、Y軸方向に並ぶ他方の隅143,144を突き上げ部材42-1,42-2により押圧しない。
【0103】
こうすることで、実施形態1において、一部剥離ステップ1004では、制御ユニット400の動作制御部401は、図16に示すように、チップ14がテープ15から剥離した剥離領域145とチップ14がテープ15に貼着された貼着領域146との境界線147が、ソーマーク19と交差するようにチップ14の一部を剥離する。
【0104】
また、実施形態1において、一部剥離ステップ1004では、制御ユニット400の動作制御部401は、図14及び図16に示すように、チップ14の中央部もテープ15から剥離する上昇量で突き上げ部材42-1,42-2を上昇させる。こうして、実施形態1において、一部剥離ステップ1004では、ピックアップ装置20は、剥離領域145をチップ14の裏面112の中央部にも形成する。
【0105】
このような実施形態1に対して、比較例のピックアップ方法では、制御ユニット400の動作制御部401は、第2領域14-2に位置するチップ14の四隅141,142,143,144のうちX軸方向に並ぶもののうち一方を突き上げ部材42-1,42-2によりテープ15を介して押圧して突き上げると、図17に示すように、チップ14がテープ15から剥離した剥離領域145とチップ14がテープ15に貼着された貼着領域146との境界線147が、ソーマーク19と平行になる。
【0106】
こうして、実施形態1において、一部剥離ステップ1004では、ピックアップ装置20は、ピックアップすべきチップ14の剥離領域145と貼着領域146との境界線147がソーマーク19と交差するように突き上げユニット40をチップ14に位置づけて突き上げる。また、実施形態1において、一部剥離ステップ1004では、ピックアップ装置20は、領域区分けステップ1003で区分けした領域14-1,14-2毎に突き上げユニット40の突き上げ部材42-1,42-2をチップ14に対して同位置に位置づけて突き上げ、剥離領域145と貼着領域146との境界線147がソーマーク19と交差するようにチップ14の一部をテープ15から剥離する。
【0107】
また、実施形態1において、一部剥離ステップ1004では、制御ユニット400の動作制御部401は、第3領域14-3に位置するチップ14の第1領域14-1又は第2領域14-2のチップ14と同じ位置を突き上げ部材42-1,42-2によりテープ15を介して押圧して突き上げる。
【0108】
なお、本発明では、一部剥離ステップ1004において、突き上げ部材42-1,42-2が押圧する位置、突き上げ部材42-1,42-2の突き上げ時の上昇量は、チップ14の材質、チップ14のサイズ、及びチップ14の厚みにより適宜設定される。
【0109】
(ピックアップステップ)
図18は、図11に示されたピックアップ方法のピックアップステップを一部断面で模式的に示す側面図である。ピックアップステップ1005は、一部剥離ステップ1004に次いで、ピックアップすべきチップ14の剥離領域145をチップ保持具63で保持して、チップ14をテープ15から離反する方向に持ち上げることで、チップ14の全域をテープ15から剥離しチップ14をピックアップするステップである。
【0110】
実施形態1において、ピックアップステップ1005では、制御ユニット400の動作制御部401は、移動機構30を制御しフレーム固定ユニット7の位置を調整するとともに、保持具移動ユニット80を制御しチップ保持具63を移動して、ウェーハ10のピックアップすべき一部剥離ステップ1004が実施されたチップ14と、チップ保持具63との位置合わせを遂行する。なお、実施形態1において、位置合わせでは、チップ14の中央とチップ保持具63の下面65とを鉛直方向に沿って対面させる。
【0111】
実施形態1において、ピックアップステップ1005では、制御ユニット400の動作制御部401は、チップ保持具63を下降して、チップ保持具63の下面65をチップ14の表面111の中央部に当接させる。実施形態1において、ピックアップステップ1005では、制御ユニット400の動作制御部401は、開閉弁を開いて、チップ保持具63の下面65を吸引源で吸引して、下面65に負圧を作用させて、下面65にチップ14の表面111の中央部を吸引保持する。
【0112】
実施形態1において、ピックアップステップ1005では、制御ユニット400の動作制御部401は、図18に示すように、保持具移動ユニット80を制御して、チップ保持具63を上昇して、チップ保持具63の下面65に吸引保持したチップ14をテープ15からピックアップして、テープ15上から搬出する。こうして、ピックアップステップ1005では、ピックアップ装置20は、チップ14の剥離領域145を保持したチップ保持具63をテープ15から離反する方向に移動させることでチップ14の貼着領域146をテープ15から剥離してチップ14をピックアップする。
【0113】
また、本発明において、ピックアップステップ1005では、一部剥離ステップ1004後にチップ14の剥離領域145をチップ保持具63が吸引保持してピックアップする他、一部剥離ステップ1004でチップ14の中央を突き上げ部材42-1,42-2で突き上げつつチップ保持具63でチップ14の剥離領域145(チップ14の中央)を吸引保持するようにしてもよい。その場合は、ピックアップすべきチップ14の周囲のテープ15を吸引保持しつつチップ保持具63でピックアップしてもよい。この場合、ピックアップステップ1005では、チップ14の吸引保持される表面をチップ保持具63の下面65と平行にすることができ、チップ14の吸引保持される表面をチップ保持具63の下面65とを平行にした状態で吸引保持することで、吸引保持時のチップ14の破損リスクを低減できる。
【0114】
(測定ステップ)
測定ステップ1006は、チップ保持具63で支持したチップ14をチップ観察機構100で表面111、裏面112及び側面の少なくともいずれか一つを撮像して、画像を取得し、チップ保持具63で支持したチップ14が良品である場合には収容トレイ91に搬送し、不良品である場合には、測定位置まで搬送して強度測定ユニット200で抗折強度を測定するステップである。
【0115】
実施形態1において、測定ステップ1006では、制御ユニット400の動作制御部401は、保持具移動ユニット80を制御してチップ保持具63を適宜移動させ、チップ観察機構100を制御して、測定条件で定められた表面111、裏面112及び側面を撮像してこれらの画像を取得し、ウェーハ10における位置と1対1で対応付けて記憶装置に記憶する。実施形態1において、測定ステップ1006では、制御ユニット400の動作制御部401は、予め記憶した測定条件を参照してチップ保持具63に支持したチップ14が良品であるか不良品であるかを判定し、ピックアップしたチップ14が良品である場合には、保持具移動ユニット80を制御してチップ保持具63を収容トレイ91まで移動させて、チップ14を収容トレイ91に収容させる。
【0116】
また、測定ステップ1006では、制御ユニット400の動作制御部401は、予め記憶した測定条件を参照してチップ保持具63に支持したチップ14が良品であるか不良品であるかを判定し、ピックアップしたチップ14が不良品である場合には、保持具移動ユニット80を制御してチップ保持具63を測定位置まで移動させて、強度測定ユニット200の支持ユニット210の一対の支持部上にチップ14の裏面112を載置する。
【0117】
実施形態1において、測定ステップ1006では、制御ユニット400の動作制御部401は、強度測定ユニット200を制御して圧子移動ユニット222により圧子221を降下させて、圧子221の先端をチップ14の表面111側に接触させ、チップ14を圧子221により押圧する。また、チップ14の押圧によって圧子221にかかる荷重(Z軸方向の力)が、荷重測定器223によって測定され、測定結果が適宜制御ユニット400に出力される。
【0118】
測定ステップ1006では、制御ユニット400の動作制御部401は、強度測定ユニット200を制御して、圧子221を更に降下させ、チップ14を破壊する。チップ14が破壊されると、荷重測定器223によって測定される荷重が最大値からゼロになる。そのため、強度測定ユニット200は、荷重測定器223によって測定された荷重の値の変化からチップ14が破壊されたタイミングを検出できる。また、荷重測定器223によって測定された荷重の最大値が、チップ14の抗折強度に対応する。測定ステップ1006では、制御ユニット400の動作制御部401は、荷重の最大値等に基づいて、破壊したチップ14の抗折強度を算出し、算出した抗折強度をウェーハ10における位置、前述したチップ観察機構100が取得した画像と1対1で対応付けて記憶装置に記憶する。
【0119】
試験装置1の制御ユニット400の動作制御部401は、一部剥離ステップ1004と、ピックアップステップ1005と、測定ステップ1006とを繰り返して、フレーム固定ユニット7で固定されたウェーハユニット17のウェーハ10から測定条件に定められたチップ14を順にピックアップして、ピックアップしたチップ14を収容トレイ91に搬送又は破壊して抗折強度を算出する。試験装置1の制御ユニット400の動作制御部401は、フレーム固定ユニット7で固定されたウェーハユニット17のウェーハ10から測定条件に定められたチップ14を全てピックアップすると、測定条件で定められたチップ14が全てピックアップされたウェーハユニット17をカセット4に収容する。試験装置1の制御ユニット400の動作制御部401は、一部剥離ステップ1004と、ピックアップステップ1005と、測定ステップ1006とを繰り返して、測定条件に定められたウェーハユニット17のウェーハ10からチップ14を全てピックアップ等すると、測定動作即ち実施形態1に係るピックアップ方法を終了する。
【0120】
一部剥離ステップ1004において、突き上げ部材42-1,42-2の平面形状がチップ14の平面形状よりも小さい突き上げユニット40を用いてチップ14の一部をテープ15から剥離して、図15及び図17に示すように、境界線147をソーマーク19と平行にすると、ピックアップステップ1005でチップ保持具63でチップ14をテープ15からピックアップする際に、チップ14がソーマーク19に沿って割れる等の破損することがあった。このような場合に対して、実施形態1に係るピックアップ方法及びピックアップ装置20は、突き上げ部材42-1,42-2の平面形状がチップ14の平面形状よりも小さい突き上げユニット40を用いてチップ14の一部をテープ15から剥離して、図14及び図16に示すように、境界線147をソーマーク19と交差するので、ピックアップステップ1005でチップ保持具63でチップ14をテープ15からピックアップする際に、チップ14がソーマーク19に沿って割れることを抑制できる。
【0121】
したがって、実施形態1に係るピックアップ方法及びピックアップ装置20は、一部剥離ステップ1004において、突き上げ部材42-1,42-2の平面形状がチップ14の平面形状よりも小さい突き上げユニット40を用いてチップ14の一部をテープ15から剥離しても、境界線147をソーマーク19と交差させるので、破損することを抑制しながらもチップ14をテープ15からピックアップすることができる。
【0122】
また、実施形態1に係るピックアップ方法及びピックアップ装置20は、突き上げ部材42-1,42-2の平面形状がチップ14の平面形状よりも小さい突き上げユニット40を用いるので、チップ14の大きさや形状に応じて突き上げ部材42-1,42-2を交換する必要が生じない。
【0123】
その結果、実施形態1に係るピックアップ方法及びピックアップ装置20は、突き上げ部材42-1,42-2の交換をすることなく、薄化されたチップ14を破損することなくテープ15からピックアップすることができるという効果を奏する。
【0124】
また、実施形態1に係るピックアップ方法及びピックアップ装置20は、突き上げ部材42-1,42-2の押圧面である上面43とチップ保持具63の保持面である下面65が、それぞれ、ピックアップすべきチップ14の平面形状と同じ又はチップ14の平面形状よりも小さければ良い。その結果、実施形態1に係るピックアップ方法及びピックアップ装置20は、チップ保持具63の保持面である下面65がチップ14の平面形状よりも小さいことで、チップ保持具63の交換が不要(即ち、同一のチップ保持具63で複数サイズのチップ14をピックアップ可能)となる。
【0125】
また、従来、チップ14の四隅141,142,143,144の全てを突き上げてチップ14の四隅141,142,143,144の全てをテープ15から剥離させて、テープ15に貼着されている中央部をチップ保持具63と突き上げ部材42-1,42-2とで挟持して(即ち、突き上げ部材42-1,42-2を上昇させるとともにチップ保持具63も同じ速度で上昇させる)突き上げ部材42-1,42-2が突き上げ位置に到達した後、チップ保持具63でチップ14を吸引保持してチップ14を持ち上げる。この場合、チップ14の厚みが30μm以下と薄い場合、チップ14の四隅141,142,143,144の全てを突き上げると、突き上げられたチップ14の隅141,142,143,144が撓み(折れ曲がり)、徐々にテープ15から剥離されていくため、チップ14の中央部をテープ15に貼着された状態するのが難しい。また、チップ14の裏面112全体が剥離してしまうと、チップ保持具63で吸引保持する際にチップ14が動きピックアップしたチップ14の向きがずれてしまう。この場合、強度測定ユニット200では所定の向きでチップ14を載置できず、正確な測定ができない。また、突き上げ部材42-1,42-2の上昇量を小さくする等してチップ14の中央部が貼着された状態に残せたとしても、チップ14が薄い場合、貼着された領域をチップ保持具63と突き上げ部材42-1,42-2とで挟持して突き上げても中央部がテープ15から剥離せず、チップ保持具63で吸引保持する際にチップ14が割てしまう(吸引した領域のみテープ15から剥離してしまう)。
【0126】
しかしながら、実施形態1に係るピックアップ方法及びピックアップ装置20は、ピックアップステップ1005において、チップ保持具63がチップ14の中央部即ち剥離領域145の表面111側を吸引保持するので、チップ14をテープ15からピックアップする際にチップ14が破損することを抑制できる。また、実施形態1に係るピックアップ方法及びピックアップ装置20は、ピックアップステップ1005において、チップ保持具63が貼着領域146が形成された即ち一部がテープ15に貼着されたチップ14の中央部即ち剥離領域145の表面111側を吸引保持するので、チップ14をピックアップする際にチップ14が回転する等の位置ずれを抑制でき、搬送先のチップ14の位置決めが容易となる。即ち、実施形態1に係るピックアップ方法及びピックアップ装置20は、全てのチップ14の同じ位置を保持するため、チップ14毎に載置先までの移動量や角度の調整が不要となる。
【0127】
なお、本発明は、上記実施形態等に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。実施形態1では、試験装置1は、チップ14の抗折強度を測定したが、本発明では、チップ14に限らず、種々の試験片の強度を測定しても良い。また、実施形態1では、ピックアップ装置20は、試験装置1の一部分を構成したが、本発明では、これに限定されずに、試験装置1等の他の装置を構成せずに、単体でも良い。
【0128】
また、本発明では、領域区分けステップ1003において、領域区分け部403が、ウェーハ10を第1領域14-1、第2領域14-2及び第3領域14-3に区分けしたが、本発明では、ウェーハ10を少なくとも第1領域14-1と第2領域14-2とに区分けすれば良い。
【0129】
また、本発明では、装置本体2の凹部9内に設けられ、フレーム固定ユニット7で固定されたウェーハユニット17のウェーハ10の裏面112を撮像する撮像カメラを設け、ソーマーク検出部402が、撮像カメラが撮像したウェーハ10の裏面112の画像をもとにソーマーク19を検出しても良い。
【符号の説明】
【0130】
10 ウェーハ
14 チップ(ピックアップすべきチップ)
14-1 第1領域(領域)
14-2 第2領域(領域)
14-3 第3領域(領域)
15 テープ
19 ソーマーク
20 ピックアップ装置
41 テープ保持部(吸引部)
42-1 第1突き上げ部材(突き上げ部材)
42-2 第2突き上げ部材(突き上げ部材)
43 上面(押圧面)
48 上面(吸引領域)
63 チップ保持具(保持具)
65 下面(保持面)
145 剥離領域
146 貼着領域
147 境界線
400 制御ユニット(コントローラ)
402 ソーマーク検出部(ソーマーク検出ユニット)
403 領域区分け部
1002 ソーマーク入手ステップ
1003 領域区分けステップ
1004 一部剥離ステップ
1005 ピックアップステップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図17
図18