IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東京応化工業株式会社の特許一覧

特開2024-169053レジスト組成物及びパターン形成方法
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024169053
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】レジスト組成物及びパターン形成方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/004 20060101AFI20241128BHJP
   G03F 7/039 20060101ALI20241128BHJP
   C08F 220/18 20060101ALI20241128BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
G03F7/004 501
G03F7/039 601
C08F220/18
G03F7/20 521
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023086234
(22)【出願日】2023-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】000220239
【氏名又は名称】東京応化工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】稲荷 宇俊
(72)【発明者】
【氏名】野田 国宏
(72)【発明者】
【氏名】久保 慧輔
(72)【発明者】
【氏名】木村 謙太
(72)【発明者】
【氏名】西澤 彰人
(72)【発明者】
【氏名】新田 和行
(72)【発明者】
【氏名】木下 洋平
(72)【発明者】
【氏名】脇屋 和正
【テーマコード(参考)】
2H197
2H225
4J100
【Fターム(参考)】
2H197CA01
2H197CA06
2H197CA09
2H197CA10
2H197CE10
2H197GA01
2H197HA03
2H225AF16P
2H225AF23P
2H225AF28P
2H225AF53P
2H225AF68P
2H225AF71P
2H225AF78P
2H225AF99P
2H225AH19
2H225AJ13
2H225AJ48
2H225AJ54
2H225AJ59
2H225BA26P
2H225CA12
2H225CB08
2H225CB09
2H225CC03
2H225CC15
4J100AB07Q
4J100AL08P
4J100BA03Q
4J100BC03P
4J100BC43Q
4J100CA04
4J100DA01
4J100JA38
(57)【要約】
【課題】新規なレジスト組成物及びパターン形成方法を提供すること。
【解決手段】(A)酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する樹脂成分と、(B)ポリ酸塩と、を含有するレジスト組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する樹脂成分と、
(B)ポリ酸塩と、
を含有するレジスト組成物。
【請求項2】
前記(B)ポリ酸塩のアニオン部が、ポリオキソモリブデン酸アニオン、ポリオキソタングステン酸アニオン、ポリオキソニオブ酸アニオン、又は、ポリオキソタンタル酸アニオンである、請求項1に記載のレジスト組成物。
【請求項3】
前記(B)ポリ酸塩のカチオン部が、有機スルホニウムカチオン、有機ヨードニウムカチオン、又は、有機第4級アンモニウムカチオンである、請求項1に記載のレジスト組成物。
【請求項4】
前記(B)ポリ酸塩が、ポリオキソモリブデン酸アニオン、ポリオキソタングステン酸アニオン、ポリオキソニオブ酸アニオン、又は、ポリオキソタンタル酸アニオンと、有機スルホニウムカチオン、有機ヨードニウムカチオン、又は、有機第4級アンモニウムカチオンとの塩である、請求項1に記載のレジスト組成物。
【請求項5】
さらに(C)酸発生剤又は酸拡散制御剤を含有する、請求項1に記載のレジスト組成物。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載のレジスト組成物を基板上に塗布してレジスト膜を形成する工程と、
前記レジスト膜を露光する工程と、
露光された前記レジスト膜を現像液により現像する工程と、
を有する、パターン形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レジスト組成物及びパターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子の微細な回路を形成するにあたってリソグラフィーと呼ばれる微細加工技術が用いられる。リソグラフィー技術とは、マスク原版に描画された回路パターンを、露光装置を介して基板上のレジストに転写する技術のことである。
【0003】
上記リソグラフィーに使用されるレジストとしては、露光装置の露光光源に対する感度が良いこと、また微細な寸法パターンを再現するにあたって解像性が良いこと等の特性が求められる。
しかしながら、従来から、レジストの露光光源に対する感度を良くした場合に、今度は解像度が劣化してしまうという、いわゆる感度と解像度とのトレードオフの関係が指摘されており、レジストにおいて両者のバランスを保つことは難しい課題であった。
このため、露光光源の種類に応じた新規なレジスト組成物の研究及び開発が進められている。
【0004】
例えば、特許文献1には、感度及び解像性に優れる感放射線性組成物として、所定の構造単位を有するポリメタロキサン(ゲルマニウム原子、スズ原子又は鉛原子)と、感放射線性酸発生剤と、溶媒とを含有する感放射線性組成物に関する発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第11506976号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような従来の実情に鑑みてなされたものであり、新規なレジスト組成物及びパターン形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、(A)酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する樹脂成分と、(B)ポリ酸塩と、を含有するレジスト組成物において、(B)成分のアニオン部及び/又はカチオン部の構造を変更することによりレジスト組成物の露光部における強酸度、現像液への溶解性等を調整できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は以下の各発明に関する。
[1](A)酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する樹脂成分、及び、(B)ポリ酸塩を含有するレジスト組成物。
[2]前記(B)ポリ酸塩のアニオン部が、ポリオキソモリブデン酸アニオン、ポリオキソタングステン酸アニオン、ポリオキソニオブ酸アニオン、又は、ポリオキソタンタル酸アニオンである、[1]に記載のレジスト組成物。
[3]前記(B)ポリ酸塩のカチオン部が、有機スルホニウムカチオン、有機ヨードニウムカチオン、又は、有機第4級アンモニウムカチオンである、[1]に記載のレジスト組成物。
[4]前記(B)ポリ酸塩が、ポリオキソモリブデン酸アニオン、ポリオキソタングステン酸アニオン、ポリオキソニオブ酸アニオン、又は、ポリオキソタンタル酸アニオンと、有機スルホニウムカチオン、有機ヨードニウムカチオン、又は、有機第4級アンモニウムカチオンとの塩である、[1]に記載のレジスト組成物。
[5]さらに(C)酸発生剤又は酸拡散制御剤を含有する、[1]に記載のレジスト組成物。
[6][1]~[5]に記載のレジスト組成物を基板上に塗布してレジスト膜を形成する工程と、
前記レジスト膜を露光する工程と、
露光された前記レジスト膜を現像液により現像する工程と、
を有する、パターン形成方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、新規なレジスト組成物、及び、パターン形成方法の提供が可能となる。また本発明に係るレジスト組成物は(B)成分としてDUV、XUV、EUV、電子線等の光源を高吸収できるポリ酸塩を含有しているため、これらの露光光源に対応したレジスト組成物として好適に用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0011】
[1.レジスト組成物]
本実施形態に係るレジスト組成物は、(A)酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する樹脂成分、及び、(B)ポリ酸塩、を含有する。また別の本実施形態に係るレジスト組成物は、(A)成分及び(B)成分に加えて、さらに(C)酸発生剤又は酸拡散制御剤を含有していてもよい。
【0012】
以下では、本明細書において使用する用語、記号等の意味を説明し、本発明の実施形態についてより詳細に説明する。
【0013】
本明細書において「ハロゲン原子」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を意味する。
【0014】
本明細書において、例えば、「C1-6」等の用語は、母核となる基の炭素数を意味する。
【0015】
本明細書において「C1-18ヒドロカルビレン基」とは、炭素数1~18の炭化水素から2つの水素原子を除去することにより生じる2価の炭化水素基を意味する。ヒドロカルビレン基は、直鎖状であっても分岐鎖状であっても部分又は全体が環状であってもよい。ヒドロカルビレン基には、アルキレン基やアリーレン基等が含まれる。
また「C1-18ヒドロカルビレン基」の任意の位置の2価の炭素原子は、-O-、-S-、-C(=O)-、-COO-、-OCO-、-CONH-、-NHCO-、-NH(C=O)O-、-S-、-SO-、又は、-SO-に置き換わっていてもよい(ただし、隣り合う2価の炭素原子が同時に置き換わることはないものとする。)。
「C1-18ヒドロカルビレン基」としては、特に限定されず、例えば、メチレン基、エチレン基、n-プロピレン基、i-プロピレン基、シクロペンタジイル基、シクロヘキサンジイル基、オキシエタン-1,1-ジイル基、オキシエタン-1,2-ジイル基、オキシプロパン-1,3-ジイル基、オキシプロパン-1,2-ジイル基、2-メチルプロパン-1,3-ジイル基、オキシエチレンオキシエタン-1,1-ジイル基等の「C1-18アルキレン基」;1,4-フェニレン基、1,3-フェニレン基、1,2-フェニレン基、1,4-ナフチレン基、1,5-ナフチレン基、1,8-ナフチレン基、4,4‘-ビフェニレン基、アントラセンジイル基、フェナントレンジイル基、ナフタセンジイル基、ピレンジイル基、ペリレンジイル基、クリセンジイル基等の「C6-18アリーレン基」等が挙げられる。
【0016】
本明細書において「C1-18アルキル基」とは、炭素数1~18の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を意味する。
また「C1-18アルキル基」に含まれる末端を除く任意の位置の2価の炭素原子は、-O-、-C(=O)-、-C(=O)O-、-OCO-、-CONH-、-NHCO-、-NH(C=O)O-、-S-又は-SO-に置き換わっていてもよい。ただし、隣り合う2価の炭素原子が同時に置き換わることはないものとする。
「C1-18アルキル基」としては、特に限定されず、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、i-ペンチル基、sec-ペンチル基、t-ペンチル基、ネオペンチル基、1-メチルブチル基、2-メチルブチル基、1,1-ジメチルプロピル基、1,2-ジメチルプロピル基、n-ヘキシル基、i-ヘキシル基、1-メチルペンチル基、2-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、1,1-ジメチルブチル基、1,2-ジメチルブチル基、2,2-ジメチルブチル基、1,3-ジメチルブチル基、2,3-ジメチルブチル基、3,3-ジメチルブチル基、1-エチルブチル基、2-エチルブチル基、1,1,2-トリメチルプロピル基、1,2,2-トリメチルプロピル基、1-エチル-1-メチルプロピル基、1-エチル-2-メチルプロピル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、n-ウンデシル基、n-ドデシル基等が挙げられる。
「C1-18アルキル基」に含まれる末端を除く任意の位置の2価の炭素原子が、-O-、-C(=O)-、-C(=O)O-、-OCO-、-CONH-、-NHCO-、-NH(C=O)O-、-S-又は-SO-に置き換わったものとしては、特に限定されず、例えば、2-メトキシエトキシメチル基、エトキシカルボニルメチル基等が挙げられる。
【0017】
本明細書において「C1-18ハロアルキル基」とは、「C1-18アルキル基」の1又は複数の水素原子がハロゲン原子に置換された基を意味する。
「C1-18ハロアルキル基」としては、特に限定されず、例えば、ジクロロメチル基、トリフルオロメチル基、2,2-ジフルオロエチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基等が挙げられる。
【0018】
本明細書において「C2-18アルケニル基」とは、炭素数2以上の「C1-18アルキル基」中に二重結合を1つ以上有するアルケニル基を意味し、アルカジエニル基、アルカトリエニル基等も含まれるものとする。
「C2-18アルケニル基」としては、特に限定されず、例えば、ビニル基(エテニル基)、アリル基(2-プロペニル基)、1-プロペニル基、イソプロペニル基(1-メチルビニル基)、1-ブテニル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基等が挙げられる。
【0019】
本明細書において「C2-18アルキニル基」とは、炭素数2以上の「C1-18アルキル基」中に三重結合を1つ以上有するアルキニル基を意味する。
「C2-18アルキニル基」としては、特に限定されず、例えば、エチニル基、1-プロピニル基、2-プロピニル基、ペンチニル基、ヘキシニル基、ヘプチニル基、オクチニル基、ノニニル基、デシニル基、ウンデシニル基、ドデシニル基等が挙げられる。
【0020】
本明細書において「C3-18脂環式基」とは、炭素数3~18の単環又は多環の環状の構造を全体又は部分的に有する炭化水素基を意味する。脂環式基には、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルキニル基、モノシクロアルキル基、ポリシクロアルキル基等も包含される。
また「C3-18脂環式基」に含まれる末端を除く任意の位置の2価の炭素原子は、-O-、-C(=O)-、-C(=O)O-、-OCO-、-CONH-、-NHCO-、-NH(C=O)O-、-S-又はSO-に置き換わっていてもよい(ただし、隣り合う2価の炭素原子が同時に置き換わることはないものとする。)。
「C3-18シクロアルキル基」としては、特に限定されず、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、1-i-プロピルシクロペンタン-1-イル基、シクロヘキシル基、t-ブチルシクロヘキシル基、トリシクロデカニル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデシル基、2-メチルアダマンタン-2-イル基、2-i-プロピルアダマンタン-2-イル基、ボルニル基、ノルボニル基、フェンキル基、ピナニル基、アダマンチル基、トリシクロデシル基、テトラシクロドデシル基、シクロプロピルメチル基、シクロブチルメチル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシルメチル基、ボルニルメチル基、ノルボルニルメチル基、アダマンチルメチル基、1-メチルシクロペンチルオキシカルボニルメチル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、シクロヘプテニル基等が挙げられる。
【0021】
本明細書において「3~18員環非芳香族複素環式基」とは、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群から選択されるヘテロ原子を1つ以上含む、3~18員環非芳香族複素環式基を意味し、単環、多環又は縮環であってもよく、飽和又は部分不飽和であってもよい。
「3~18員環非芳香族複素環式基」としては、特に限定されず、例えば、アジリジニル基、アゼチジル基、ピロリジニル基、ピロリル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、モルホリニル基、チオモルホリニル基、テトラヒドロフリル基、テトラヒドロピラニル基、オキセタニル基、テトラヒドロフリル基、テトラヒドロピラニル基、イミダゾリニル基、オキサゾリニル基、2,5-ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプチル基、2,5-ジアザビシクロ[2.2.2]オクチル基、3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクチル基、1,4-ジアザビシクロ[4.3.0]ノニル基、1-アザアダマンチル基、2-アザアダマンチル基等が挙げられる。
【0022】
本明細書において「C2-18アリール基」とは、炭素数6~18の芳香族炭化水素環式基又は炭素数2~10の芳香族複素環式基を意味し、芳香族複素環式基の場合、2~10の炭素数の炭素原子と窒素原子、酸素原子及び酸素原子からなる群から選ばれる1つ以上のヘテロ原子とで環を形成し、各々単環であっても多環であっても縮合環であってもよい。
「C2-18アリール基」としては、特に限定されず、例えば、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、アズレニル基、ペンタレニル基、ヘプタレニル基、インダセニル基、アセナフチル基、フェナントレニル基、アントラセニル基等が挙げられる。
【0023】
本明細書において「C7-18アラルキル基」とは、「C1-12アルキル基」において置換可能な部分が上記「C2-12アリール基」に置換された基を意味する。
「C7-18アラルキル基」としては、特に限定されず、例えば、ベンジル基、フェネチル基、3-フェニルプロピル基、4-フェニルブチル基、1-ナフチルメチル基、2-ナフチルメチル基等が挙げられる。
【0024】
本明細書において「C1-18ヒドロカルビル基」とは、炭素数1~18の炭化水素から1個の水素原子を除去することにより生成する1価基を意味する。ヒドロカルビル基には、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、脂環式基、アリール基、アラルキル基等が含まれる。
また「C1-18ヒドロカルビル基」に含まれる末端を除く任意の位置の2価の炭素原子は、-O-、-C(=O)-、-C(=O)O-、-OCO-、-CONH-、-NHCO-、-NH(C=O)O-、-S-又は-SO-に置き換わっていてもよい(ただし、隣り合う2価の炭素原子が同時に置き換わることはないものとする。)。この点は、以下の「C1-18ヒドロカルビルオキシ基」等の定義の説明において使用される「C1-18ヒドロカルビル基」等においても同様にあてはまるものとする。
「C1-18ヒドロカルビル基」としては、特に限定されず、例えば、「C1-18アルキル基」、「C2-18アルケニル基」、「C2-18アルキニル基」、「C3-18脂環式基」、「C2-18アリール基」、「C7-18アラルキル基」等が挙げられる。
【0025】
本明細書において「C1-18ヒドロカルビルオキシ基」とは、「C1-18ヒドロカルビル基」に酸素原子(-O-)が結合した基を意味する。
「C1-18ヒドロカルビルオキシ基」としては、特に限定されず、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、i-プロポキシ基、n-ブトキシ基、i-ブトキシ基、sec-ブトキシ基、t-ブトキシ基、n-ペントキシ基、i-ペントキシ基、sec-ペントキシ基、n-ヘキソキシ基、i-ヘキソキシ基、1,1-ジメチルプロピルオキシ基、1,2-ジメチルプロピルオキシ基、2,2-ジメチルプロピルオキシ基、1-メチル-2-エチルプロピルオキシ基、1-エチル-2-メチルプロピルオキシ基、1,1,2-トリメチルプロピルオキシ基、1,2,2-トリメチルプロピルオキシ基、1,1-ジメチルブチルオキシ基、1,2-ジメチルブチルオキシ基、2,2-ジメチルブチルオキシ基、2,3-ジメチルブチルオキシ基、1,3-ジメチルブチルオキシ基、2-エチルブチルオキシ基、2-メチルペンチルオキシ基、3-メチルペンチルオキシ基等の「C1-18アルコキシ基」;シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロヘプチルオキシ基、シクロオクチルオキシ基、1-メチルシクロペンチルオキシカルボニルメトキシ基、1-エチルシクロヘキシルオキシカルボニルメトキシ基、1-メチルアダマンチルオキシカルボニルメトキシ基等の「C3-18脂環式オキシ基」;フェニルオキシ基、1-ナフチルオキシ基、2-ナフチルオキシ基、アズレニルオキシ基、ペンタレニルオキシ基、ヘプタレニルオキシ基、インダセニルオキシ基、アセナフチルオキシ基、フェナントレニルオキシ基、アントラセニルオキシ基等の「C6-18アリールオキシ基」等が挙げられる。
「C1-18ヒドロカルビルオキシ基」としては、「C1-18ヒドロカルビル基」に含まれる末端を除く任意の位置の2価の炭素原子が、-O-、-C(=O)-、及び/又は-C(=O)O-に置き換わっていることが好ましく、「C1-18ヒドロカルビルオキシカルボニルアルキルオキシ基」がより好ましく、溶解性の観点で、当該ヒドロカルビルオキシの酸素原子に結合する炭素は三級炭素であることがさらに好ましい。当該ヒドロカルビルオキシの具体的としては置換されていてもよいエチルシクロペンチルオキシ、メチルアダマンチルオキシ、エチルアダマンチルオキシ、t-ブチルオキシ等が挙げられる。
【0026】
本明細書において「C1-18ヒドロカルビルカルボニル基」とは、「C1-18ヒドロカルビル基」にカルボニル基(-C(=O)-)が結合した基を意味する。
「C1-18ヒドロカルビルカルボニル基」としては、特に限定されず、例えば、アセチル基、プロピオニル基、イソプロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、イソバレリル基、ペンタノイル基、3-メチルブタノイル基、ピバロイル基、ヘキサノイル基、ヘプタノイル基等の「C1-18アルキルカルボニル基」;シクロプロピルカルボニル基、シクロブチルカルボニル基、シクロペンチルカルボニル基、2-メチルシクロペンチルカルボニル基、3-メチルシクロペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、2-メチルシクロヘキシルカルボニル基、3-メチルシクロヘキシルカルボニル基、4-メチルシクロヘキシルカルボニル基、アダマンチルカルボニル基等の「C3-18脂環式カルボニル基」;ベンゾイル基、1-ナフトイル基、2-ナフトイル基等の「C6-18アリールカルボニル基」等が挙げられる。
【0027】
本明細書において「C1-18ヒドロカルビルカルボニルオキシ基」とは、「C1-18ヒドロカルビルカルボニル基」に酸素原子(-O-)が結合した基を意味する。
「C1-18ヒドロカルビルカルボニルオキシ基」としては、特に限定されず、例えば、メチルカルボニルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、n-プロピルカルボニルオキシ基、イソプロピルカルボニルオキシ基、n-ブチルカルボニルオキシ基、イソブチルカルボニルオキシ基、t-ブチルカルボニルオキシ基、n-ペンチルカルボニルオキシ基、イソペンチルカルボニルオキシ基、ヘキシルカルボニルオキシ基等の「C1-18アルキルカルボニルオキシ基」;シクロプロピルカルボニルオキシ基、シクロブチルカルボニルオキシ基、シクロペンチルカルボニルオキシ基、シクロヘキシルカルボニルオキシ基等の「C3-18脂環式カルボニルオキシ基」;フェニルカルボニルオキシ基、ナフチルカルボニルオキシ基、アセナフチルカルボニルオキシ基、フェナントレニルカルボニルオキシ基、アントラセニルカルボニルオキシ基等の「C6-18アリールカルボニルオキシ基」等が挙げられる。
【0028】
本明細書において「C1-18ヒドロカルビルオキシカルボニル基」とは、「C1-18ヒドロカルビルオキシ基」にカルボニル基(-C(=O)-)が結合した基を意味する。
「C1-18ヒドロカルビルオキシカルボニル基」としては、特に限定されず、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n-プロポキシカルボニル基、i-プロポキシカルボニル基、n-ブトキシカルボニル基、i-ブトキシカルボニル基、sec-ブトキシカルボニル基、t-ブトキシカルボニル基、n-ペントキシカルボニル基、ネオペンチルオキシカルボニル基等の「C1-18アルコキシカルボニル基」;シクロプロピルオキシカルボニル基、シクロブチルオキシカルボニル基、シクロペンチルオキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基、2-メチルシクロペンチルオキシカルボニル基、3-メチルシクロペンチルオキシカルボニル基、2-メチルシクロヘキシルオキシカルボニル基、3-メチルシクロヘキシルオキシカルボニル基、4-メチルシクロヘキシルオキシカルボニル基等の「C3-18脂環式オキシカルボニル基」;フェノキシカルボニル基、ナフトキシカルボニル基、アセナフチルオキシカルボニル基、フェナントレニルオキシカルボニル基、アントラセニルオキシカルボニル基等の「C6-18アリールオキシカルボニル基」等が挙げられる。
【0029】
本明細書において「C1-18ヒドロカルビルオキシカルボニルオキシ基」とは、「C1-18ヒドロカルビルオキシカルボニル基」に酸素原子(-O-)が結合した基を意味する。
「C1-18ヒドロカルビルオキシカルボニルオキシ基」としては、特に限定されず、例えば、メトキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボニルオキシ基、n-プロピルオキシカルボニルオキシ基、i-プロピルオキシカルボニルオキシ基、n-ブトキシカルボニルオキシ基、i-ブトキシカルボニルオキシ基、sec-ブトキシカルボニルオキシ基、t-ブトキシカルボニルオキシ基、n-ペンチルオキシカルボニルオキシ基、i-ペンチルオキシカルボニルオキシ基、n-ヘキシルオキシカルボニルオキシ基等の「C1-18アルコキシカルボニルオキシ基」;シクロプロピルオキシカルボニルオキシ基、シクロブチルオキシカルボニルオキシ基、シクロペンチルオキシカルボニルオキシ基、シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ基等の「C3-18脂環式オキシカルボニルオキシ基」;フェノキシカルボニルオキシ基、ナフトキシカルボニルオキシ基、アセナフチルオキシカルボニルオキシ基、フェナントレニルオキシカルボニルオキシ基、アントラセニルオキシカルボニルオキシ基等の「C6-18アリールオキシカルボニルオキシ基」等が挙げられる。
【0030】
本明細書において「C1-18ヒドロカルビルアミノ基」とは、1つの「C1-18ヒドロカルビル基」がアミノ基に結合した基を意味する。
「C1-18ヒドロカルビルアミノ基」としては、特に限定されず、例えば、メチルアミノ基、エチルアミノ基、n-プロピルアミノ基、i-プロピルアミノ基、n-ブチルアミノ基、i-ブチルアミノ基、sec-ブチルアミノ基、t-ブチルアミノ基、n-ペンチルアミノ基、i-ペンチルアミノ基、ネオペンチルアミノ基、n-ヘキシルアミノ基等の「C1-18アルキルアミノ基」;シクロプロピルアミノ基、シクロブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、2-メチルシクロペンチルアミノ基、3-メチルシクロペンチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、2-メチルシクロヘキシルアミノ基、3-メチルシクロヘキシルアミノ基、4-メチルシクロヘキシルアミノ基等の「C3-18脂環式アミノ基」;フェニルアミノ基、1-ナフチルアミノ基、2-ナフチルアミノ基等の「C6-18アリールアミノ基」等が挙げられる。
【0031】
本明細書において「ジC1-18ヒドロカルビルアミノ基」とは、同一又は異なる2つの「C1-18ヒドロカルビル基」がアミノ基に結合した基を意味する。
「ジC1-18アルキルアミノ基」としては、特に限定されず、例えば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ-n-プロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ジ-n-ブチルアミノ基、ジイソブチルアミノ基、ジ-t-ブチルアミノ基、ジ-n-ペンチルアミノ基、ジ-n-ヘキシルアミノ基、N-エチル-N-メチルアミノ基、N-メチル-N-n-プロピルアミノ基、N-イソプロピル-N-メチルアミノ基、N-n-ブチル-N-メチルアミノ基、N-イソブチル-N-メチルアミノ基、N-t-ブチル-N-メチルアミノ基、N-メチル-N-n-ペンチルアミノ基、N-n-ヘキシル-N-メチルアミノ基、N-エチル-N-n-プロピルアミノ基、N-エチル-N-イソプロピルアミノ基、N-n-ブチル-N-エチルアミノ基、N-エチル-N-イソブチルアミノ基、N-t-ブチル-N-エチルアミノ基、N-エチル-N-n-ペンチルアミノ基、N-エチル-N-n-ヘキシルアミノ基等の「ジC1-18アルキルアミノ基」;ジシクロプロピルアミノ基、ジシクロブチルアミノ基、ジシクロペンチルアミノ基、ジシクロヘキシルアミノ基等の「ジC3-18脂環式アミノ基」;ジフェニルアミノ基、フェニルナフチルアミノ基等の「ジC6-18アリールアミノ基」;N-メチルシクロペンタンアミノ基、N-メチルシクロヘキシルアミノ基等の「N-C1-18アルキル-N-C3-18シクロアルキルアミノ基」;N-メチル-2-フェニルエチルアミノ基、N-エチル-N-(4-メチルフェニル)アミノ基等の「N-C1-18アルキル-N-C6-18アリールアミノ基」等が挙げられる。
【0032】
本明細書において「C1-18ヒドロカルビルアミノカルボニル基」とは、「C1-18ヒドロカルビルアミノ基」にカルボニル基(-C(=O)-)が結合した基を意味する。
「C1-18ヒドロカルビルアミノカルボニル基」としては、特に限定されず、例えば、メチルアミノカルボニル基、エチルアミノカルボニル基、n-プロピルアミノカルボニル基、i-プロピルアミノカルボニル基、n-ブチルアミノカルボニル基、sec-ブチルアミノカルボニル基、t-ブチルアミノカルボニル基、n-ペンチルアミノカルボニル基、2-ペンチルアミノカルボニル基、ネオペンチルアミノカルボニル基、4-メチル-2-ペンチルアミノカルボニル基、n-ヘキシルアミノカルボニル基、3-メチル-n-ペンチルアミノカルボニル基等の「C1-18アルキルアミノカルボニル基」;シクロプロピルアミノカルボニル基、シクロブチルアミノカルボニル基、シクロペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、2-メチルシクロペンチルアミノカルボニル基、3-メチルシクロペンチルアミノカルボニル基、2-メチルシクロヘキシルアミノカルボニル基、3-メチルシクロヘキシルアミノカルボニル基、4-メチルシクロヘキシルアミノカルボニル基等の「C3-18脂環式アミノカルボニル基」;フェニルアミノカルボニル基、1-ナフチルアミノカルボニル基、2-ナフチルアミノカルボニル基等の「C6-18アリールアミノカルボニル基」が挙げられる。
【0033】
本明細書において「ジC1-18ヒドロカルビルアミノカルボニル基」とは、「ジC1-18ヒドロカルビルアミノ基」にカルボニル基(-C(=O)-)が結合した基を意味する。
「ジC1-18ヒドロカルビルアミノ基」としては、特に限定されず、例えば、ジメチルアミノカルボニル基、ジエチルアミノカルボニル基、ジ-n-プロピルアミノカルボニル基、ジイソプロピルアミノカルボニル基、ジ-n-ブチルアミノカルボニル基、ジイソブチルアミノカルボニル基、ジ-t-ブチルアミノカルボニル基、ジ-n-ペンチルアミノカルボニル基、ジ-n-ヘキシルアミノカルボニル基、N-エチル-N-メチルアミノカルボニル基、N-メチル-N-n-プロピルアミノカルボニル基、N-イソプロピル-N-メチルアミノカルボニル基、N-n-ブチル-N-メチルアミノカルボニル基、N-イソブチル-N-メチルアミノカルボニル基、N-t-ブチル-N-メチルアミノカルボニル基、N-メチル-N-n-ペンチルアミノカルボニル基、N-n-ヘキシル-N-メチルアミノカルボ ニル基、N-エチル-N-n-プロピルアミノカルボニル基、N-エチル-N-イソプロピルアミノカルボニル基、N-n-ブチル-N-エチルアミノカルボニル基、N-エチル-N-イソブチルアミノカルボニル基、N―t―ブチル-N-エチルアミノカルボニル基、N-エチル-N-n-ペンチルアミノカルボニル基、N-エチル-N-n-ヘキシルアミノカルボニル基等の「ジC1-18アルキルアミノ基」;ジシクロプロピルアミノカルボニル基、ジシクロブチルアミノカルボニル基、ジシクロペンチルアミノカルボニル基、ジシクロヘキシルアミノカルボニル基等の「ジC3-18脂環式アミノカルボニル基」;ジフェニルアミノカルボニル基、フェニルナフチルアミノカルボニル基等の「ジC6-18アリールアミノカルボニル基」等が挙げられる。
【0034】
本明細書において「C1-18ヒドロカルビルカルボニルアミノ基」とは、「C1-18ヒドロカルビルカルボニル基」にアミノ基が結合した基を意味する。
「C1-18ヒドロカルビルカルボニルアミノ基」としては、特に限定されず、例えば、メチルカルボニルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、n-プロピルカルボニルアミノ基、i-プロピルカルボニルアミノ基、n-ブチルカルボニルアミノ基、i-ブチルカルボニルアミノ基、sec-ブチルカルボニルアミノ基、t-ブチルカルボニルアミノ基、n-ペンチルカルボニルアミノ基、i-ペンチルカルボニルアミノ基、n-ヘキシルカルボニルアミノ基等の「C1-18アルキルカルボニルアミノ基」;シクロプロピルカルボニルアミノ基、シクロブチルカルボニルアミノ基、シクロペンチルカルボニルアミノ基、シクロヘキシルカルボニルアミノ基等の「C3-18脂環式カルボニルアミノ基」;フェニルカルボニルアミノ基、ナフチルカルボニルアミノ基、アセナフチルカルボニルアミノ基、フェナントレニルカルボニルアミノ基、アントラセニルカルボニルアミノ基等の「C6-18アリールカルボニルアミノ基」等が挙げられる。
【0035】
本明細書において「C1-18ヒドロカルビルアミノカルボニルオキシ基」とは、「C1-18ヒドロカルビルアミノカルボニル基」に酸素原子(-O-)が結合した基を意味する。
「C1-18ヒドロカルビルアミノカルボニルオキシ基」としては、特に限定されず、例えば、メチルアミノカルボニルオキシ基、エチルアミノカルボニルオキシ基、n-プロピルアミノカルボニルオキシ基等の「C1-18アルキルアミノカルボニルオキシ基」;シクロプロピルアミノカルボニルオキシ基、シクロヘキシルアミノカルボニルオキシ基等の「C3-18脂環式アミノカルボニルオキシ基」;フェニルアミノカルボニルオキシ基、1-ナフチルアミノカルボニルオキシ基等の「C6-18アリールアミノカルボニルオキシ基」等が挙げられる。
【0036】
本明細書において「ジC1-18ヒドロカルビルアミノカルボニルオキシ基」とは、「ジC1-18ヒドロカルビルアミノカルボニル基」に酸素原子(-O-)が結合した基を意味する。
「ジC1-18ヒドロカルビルアミノカルボニルオキシ基」としては、特に限定されず、例えば、ジメチルアミノカルボニルオキシ基、ジエチルアミノカルボニルオキシ基、ジ-n-プロピルアミノカルボニルオキシ基等の「ジC1-18アルキルアミノカルボニルオキシ基」等が挙げられる。
【0037】
本明細書において「C1-18ヒドロカルビルアミノカルボニルアミノ基」とは、「C1-18ヒドロカルビルアミノカルボニル基」がアミノ基に結合した基を意味する。
「C1-18アルキルアミノカルボニルアミノ基」としては、特に限定されず、例えば、メチルアミノカルボニルアミノ基、エチルアミノカルボニルオキシ基、n-プロピルアミノカルボニルアミノ基等の「C1-18アルキルアミノカルボニルアミノ基」;シクロプロピルアミノカルボニルアミノ基、シクロヘキシルアミノカルボニルアミノ基等の「C3-18脂環式アミノカルボニルアミノ基」;フェニルアミノカルボニルアミノ基、1-ナフチルアミノカルボニルアミノ基等の「C6-18アリールアミノカルボニルアミノ基」等が挙げられる。
【0038】
本明細書において「ジC1-18ヒドロカルビルアミノカルボニルアミノ基」とは、「ジC1-18ヒドロカルビルアミノカルボニル基」がアミノ基に結合した基を意味する。
「ジC1-18ヒドロカルビルアミノカルボニルアミノ基」としては、特に限定されず、例えば、ジメチルアミノカルボニルアミノ基、ジエチルアミノカルボニルアミノ基、ジ-n-プロピルアミノカルボニルアミノ基等の「ジC1-18アルキルアミノカルボニルアミノ基」等が挙げられる。
【0039】
本明細書において「C1-18ヒドロカルビルオキシカルボニルアミノ基」とは、「C1-18ヒドロカルビルオキシカルボニル基」がアミノ基に結合した基を意味する。
「C1-18ヒドロカルビルオキシカルボニルアミノ基」としては、特に限定されず、例えば、メトキシカルボニルアミノ基、エトキシカルボニルアミノ基、n-プロポキシカルボニルアミノ基、i-プロポキシカルボニルアミノ基、n-ブトキシカルボニルアミノ基、t-ブトキシカルボニルアミノ基等の「C1-18アルコキシカルボニルアミノ基」;シクロプロピルオキシカルボニルアミノ基、シクロヘキシルオキシカルボニルアミノ基等の「C3-18脂環式オキシカルボニルアミノ基」;フェニルオキシカルボニルアミノ基、1-ナフチルオキシカルボニルアミノ基等の「C6-18アリールオキシカルボニルアミノ基」等が挙げられる。
【0040】
本明細書において「C1-18ヒドロカルビルチオ基」とは、「C1-18ヒドロカルビル基」に硫黄原子(-S-)が結合した基を意味する。
「C1-18ヒドロカルビルチオ基」としては、特に限定されず、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、n-プロピルチオ基、i-プロピルチオ基、n-ブチルチオ基、i-ブチルチオ基、t-ブチルチオ基、n-ペンチルチオ基、n-ヘキシルチオ基等の「C1-18アルキルチオ基」;シクロプロピルチオ基、シクロブチルチオ基、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基、2-メチルシクロペンチルチオ基、3-メチルシクロペンチルチオ基、2-メチルシクロヘキシルチオ基、3-メチルシクロヘキシルチオ基、4-メチルシクロヘキシルチオ基等の「C3-18脂環式チオ基」;フェニルチオ基、1-ナフチルチオ基、2-ナフチルチオ基、アセナフチルチオ基、フェナントレニルチオ基、アントラセニルチオ基等の「C6-18アリールチオ基」等が挙げられる。
【0041】
本明細書において「C1-18ヒドロカルビルスルフィニル基」とは、「C1-18ヒドロカルビル基」にスルフィニル基(-S(=O)-)が結合した基を意味する。
「C1-18ヒドロカルビルスルフィニル基」としては、特に限定されず、例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、n-プロピルスルフィニル基、i-プロピルスルフィニル基、n-ブチルスルフィニル基、t-ブチルスルフィニル基、ペンチルスルフィニル基、ヘキシルスルフィニル基等の「C1-18アルキルスルフィニル基」;シクロプロピルスルフィニル基、シクロブチルスルフィニル基、シクロペンチルスルフィニル基、シクロヘキシルスルフィニル基、2-メチルシクロペンチルスルフィニル基、3-メチルシクロペンチルスルフィニル基、2-メチルシクロヘキシルスルフィニル基、3-メチルシクロヘキシルスルフィニル基、4-メチルシクロヘキシルスルフィニル基等の「C3-18脂環式スルフィニル基」;フェニルスルフィニル基、ナフチルスルフィニル基、アセナフチルスルフィニル基、フェナントレニルスルフィニル基、アントラセニルスルフィニル基等の「C6-18アリールスルフィニル基」等が挙げられる。
【0042】
本明細書において「C1-18ヒドロカルビルスルホニル基」とは、「C1-18ヒドロカルビル基」にスルホニル基(-SO-)が結合した基を意味する。
「C1-18ヒドロカルビルスルホニル基」としては、特に限定されず、例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、n-プロピルスルホニル基、i-プロピルスルホニル基、n-ブチルスルホニル基、t-ブチルスルホニル基、ペンチルスルホニル基等の「C1-18アルキルスルホニル基」;シクロプロピルスルホニル基、シクロブチルスルホニル基、シクロペンチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、2-メチルシクロペンチルスルホニル基、3-メチルシクロペンチルスルホニル基、2-メチルシクロヘキシルスルホニル基、3-メチルシクロヘキシルスルホニル基、4-メチルシクロヘキシル基等の「C3-18脂環式スルホニル基」;フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基、アセナフチルスルホニル基、フェナントレニルスルホニル基、アントラセニルスルホニル基等の「C6-18アリールスルホニル基」等が挙げられる。
【0043】
本明細書において「酸解離性基」とは、カルボキシ基、ヒドロキシ基(フェノール性水酸基等を含む。)の水素原子を置換する基であって、酸の作用により解離する基を意味する。
「酸解離性基」としては、特に限定されず、例えば、t-ブチル基、t-アミル基、1,1-ジメチルプロピル基、1-メチル-1-シクロペンチル基、1-エチル-1-シクロペンチル基、1-メチル-1-シクロヘキシル基、1-エチル-1-シクロヘキシル基、2-メチル-2-アダマンチル基、2-エチル-2-アダマンチル基、1-(1-メトキシ-2-メチルプロパン-2-イル)シクロペンチル基、1-(1-エトキシ-2-メチルプロパン-2-イル)シクロペンチル基等が挙げられる。
【0044】
本明細書において「置換基を有していてもよい」とは、化学的に許容され、本発明の効果を有する限りにおいて、特に限定されない。
「置換基」としては、例えば、(1)ハロゲン原子、(2)ヒドロキシ基、(3)チオール基、(4)ニトロ基、(5)シアノ基、(6)カルボキシ基、(7)アミノ基、(8)スルホ基、(9)カルボキシ基若しくはヒドロキシ基の水素原子が酸解離性基に置換された基、又は、(10)水素原子の少なくとも一部が上記(1)~(9)で置換されていてもよいC1-8ヒドロカルビル基、C1-8ヒドロカルビルオキシ基、C1-8ヒドロカルビルカルボニル基、C1-8ヒドロカルビルカルボニルオキシ基、C1-8ヒドロカルビルオキシカルボニル基、C1-8ヒドロカルビルオキシカルボニルオキシ基、C1-8ヒドロカルビルアミノ基、ジC1-8ヒドロカルビルアミノ基、C1-8ヒドロカルビルアミノカルボニル基、ジC1-8ヒドロカルビルアミノカルボニル基、C1-8ヒドロカルビルカルボニルアミノ基、C1-8ヒドロカルビルアミノカルボニルオキシ基、ジC1-8ヒドロカルビルアミノカルボニルオキシ基、C1-8ヒドロカルビルアミノカルボニルアミノ基、ジC1-8ヒドロカルビルアミノカルボニルアミノ基、C1-8ヒドロカルビルオキシカルボニルアミノ基、C1-8ヒドロカルビルチオ基、C1-8ヒドロカルビルスルフィニル基、C1-8ヒドロカルビルスルホニル基であって、上記置換基の末端を除く任意の位置の2価の炭素原子は-O-、-C(=O)-、-C(=O)O-、-OCO-、-CONH-、-NHCO-、-NH(C=O)O-、-S-又は-SO-に置き換わっていてもよい(ただし、隣り合う2価の炭素原子が同時に置き換わることはないものとする。)等が挙げられる。
【0045】
[1-1.(A)酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する樹脂成分]
本実施形態に係るレジスト組成物は、(A)酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する樹脂成分、を含有する。(A)成分としては、公知慣用のものを用いることができ、特に限定されない。(A)成分としては、酸の作用により現像液に対する溶解性を変化させるという観点から、(A)成分中に酸解離性基が含まれることが好ましい。
【0046】
上記酸解離性基は、(A)成分中に、酸解離性基を有する構造単位(a1)として含まれていてもよい。例えば、上記酸解離性基を有する構造単位(a1)とその他の任意の構造単位と共重合(交互共重合、ランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合等のいずれの重合であってもよい。)させることにより、(A)成分中に酸解離性基を含有させることができる。
また(A)成分中には、上記任意の構造単位として、フェノール性水酸基を有する構造単位(a2)、ラクトン含有脂環式基を有する構造単位(a3)、極性基含有ヒドロカルビル基を有する構造単位(a4)、その他の構造単位が含まれていてもよい。
【0047】
以下、「酸解離性基」、「酸解離性基を有する構造単位(a1)」、「フェノール性水酸基を有する構造単位(a2)」、「含有脂環式基を有する構造単位(a3)」、「極性基含有ヒドロカルビル基を有する構造単位(a4)」、及び、「その他の構造単位」についてそれぞれ説明する。
【0048】
[1-1-1.酸解離性基]
酸解離性基としては、特に限定されず、公知慣用のものを用いることができる。酸解離性基としては、例えば、下記式(g-1)又は(g-2)で表される酸解離性基Gが挙げられ、カルボキシ基、ヒドロキシ基(フェノール性水酸基を含む)等の水素原子を置換する基であって、酸の作用により解離する基を用いることができる。
【0049】
【化1】
【化2】
【0050】
上記酸解離性基Gとしては、酸の作用により解離するものであれば特に限定されず、公知慣用のものを用いることができる。本実施形態における酸解離性基Gとしては、例えば、下記式(g-3)に表される酸解離性基のようにカルボキシ基又はヒドロキシ基に結合する炭素が第三級炭素であるものを用いることができる。
【0051】
【0052】
一般式(g-3)において、「Rg1」は、置換基を有していてもよいC1-12ヒドロカルビル基であって、末端を除く任意の位置の2価の炭素原子は-O-、-C(=O)-、-C(=O)O-、-OCO-、-CONH-、NHCO-、-S-又は-SO-に置き換わっていてもよい(ただし、隣り合う2価の炭素原子が同時に置き換わることはないものとする。)。
また「Rg2」及び「Rg3」は、それぞれ独立して置換基を有していてもよいC1-12ヒドロカルビル基であって、末端を除く任意の位置の2価の炭素原子は-O-、-C(=O)-、-C(=O)O-、-OCO-、-CONH-、NHCO-、-S-又は-SO-に置き換わっていてもよい(ただし、隣り合う2価の炭素原子が同時に置き換わることはないものとする。)ものであるか、又は、Rg2及びRg3が組み合わさって、置換基を有していてもよいC3-18脂環式基、又は、3~18員環非芳香族複素環式基を構成していてもよい。
【0053】
一般式(g-3)において、Rg1としては、酸の作用による解離性を向上させるという観点から、水素原子の一部が置換基に置換されていてもよいC1-6アルキル基、C2-12アルケニル基、C3-18脂環式基、C2-18アリール基、又は、C7-12アラルキル基であって、末端を除く任意の位置の2価の炭素原子は-O-、-C(=O)-、-C(=O)O-、-OCO-、-CONH-、NHCO-、-S-又は-SO-に置き換わっていてもよい(ただし、隣り合う2価の炭素原子が同時に置き換わることはないものとする。)ものが好ましく、水素原子の一部が置換基に置換されていてもよいC1-6アルキル基、C2-12アルケニル基、C3-18脂環式基、C2-18アリール基であって、末端を除く任意の位置の2価の炭素原子は-O-、-C(=O)-、-C(=O)O-、-OCO-、-CONH-、NHCO-、-S-又は-SO-に置き換わっていてもよい(ただし、隣り合う2価の炭素原子が同時に置き換わることはないものとする。)ものがより好ましい。
上記具体例としては、特に限定されず、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等のC1-6アルキル基;ビニル基、アリル基、1-プロペニル基、1-ブテニル基、ペンテニル基等のC2-12アルケニル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロペンタ-1-エン-1-イル基、2-メチルシクロペンタ-1-エン-1-イル基、シクロヘキサ-1-エン-1-イル基、4-メチルシクロヘキサ-1-エン-1-イル基、シクロペンチリデンメチル基等のC3-18脂環式基;フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基等のC2-18アリール基等が挙げられる。
【0054】
また一般式(g-3)において、Rg2及びRg3としては、酸の作用による解離性を向上させるという観点から、Rg2及びRg3が組み合わさって、置換基を有していてもよいC3-18脂環式基、又は、3~18員環非芳香族複素環式基を構成していていることが好ましい。
上記具体例としては、特に限定されず、シクロペンタン骨格、シクロヘキサン骨格、シクロヘプタン骨格、シクロオクタン骨格、シクロノナン骨格、シクロデカン骨格、シクロドデカン骨格、シクロペンテン骨格、シクロヘキセン骨格、シクロヘプテン骨格、シクロオクテン骨格、シクロデセン骨格、ノルボルナン骨格、アダマンタン骨格、トリシクロデカン骨格、テトラシクロドデカン骨格、ノルボルネン骨格、トリシクロデセン骨格を有するC3-18脂環式基等が挙げられる。
【0055】
酸解離性基Gとしては、特に限定されず、例えば、1-メチルシクロペンチル基、1-エチルシクロペンチル基、1-フェニルシクロペンチル基、1-トリルシクロペンチル基、1-メチルシクロヘキシル基、1-エチルシクロヘキシル基、1-フェニルシクロヘキシル基、1-トリルシクロヘキシル基、1-(ナフタレン-2-イル)シクロヘキシル基、1-(1-メトキシ-2-メチルプロパン-2-イル)シクロペンチル基、1-(1-エトキシ-2-メチルプロパン-2-イル)シクロペンチル基、2-メチルアダマンタン-2-イル基、2-エチルアダマンタン-2-イル基、2-フェニルアダマンタン-2-イル基等が挙げられる。
【0056】
[1-1-2.酸解離性基を有する構造単位(a1)]
酸解離性基を有する構造単位(a1)としては、特に限定されず、公知慣用のものを用いることができる。(a1)としては、例えば、下記式(a1-1)、(a1-2)等で表される構造単位を用いることができる。
【0057】
【化3】
【0058】
上記式(a1-1)及び(a1-2)中、「Rα」は水素原子、メチル基、又は、トリフルオロメチル基を表し、「G」は上述の酸解離性基Gを表す。
また式(a1-2)中、「La1」は単結合、-O-、-C(=O)-、-C(=O)O-、-OCO-、-CONH-、NHCO-、-S-又は-SO-を表し、「Ara1」は、置換基を有していてもよいC6-18アリーレン基を表し、「-O-G」は、Ara1の2つの末端のうちの片方の末端に「-O-G」が結合していることを表す。
【0059】
なお、置換基を有していてもよいC6-18アリーレン基としては、特に限定されず、例えば、1,4-フェニレン基、1,3-フェニレン基、1,2-フェニレン基、1,4-ナフチレン基、1,5-ナフチレン基、1,8-ナフチレン基、4,4‘-ビフェニレン基、アントラセンジイル基、フェナントレンジイル基、ナフタセンジイル基、ピレンジイル基、ペリレンジイル基、クリセンジイル基等が挙げられ、少なくとも1つ以上の水素原子が置換基に置換されていてもよい。
【0060】
酸解離性基を有する構造単位(a1-1)としては、特に限定されず、例えば、下記式で表される構造単位等が挙げられる。なお、下記式中「Rα」は、水素原子、メチル基、又は、トリフルオロメチル基を表す。
【0061】
【化4】


【0062】
また酸解離性基を有する構造単位(a1-2)としては、特に限定されず、例えば、下記式で表される構造単位等が挙げられる。なお、下記式中「Rα」は、水素原子、メチル基、又は、トリフルオロメチル基を表す。
【0063】
【化5】
【0064】
(A)成分を構成する全構造単位に対する「酸解離性基を有する構造単位(a1)」の含有割合の下限としては、10モル%が好ましく、20モル%がより好ましく、25モル%がさらに好ましく、30モル%が特に好ましい。また上記含有割合の上限としては、90モル%が好ましく、80モル%がより好ましく、75モル%がさらに好ましく、70モル%が特に好ましい。酸解離性基を有する構造単位(a1)の含有割合を上記範囲に設定することで、(A)成分に酸を作用させた部分と、酸を作用させなかった部分との現像液に対する溶解コントラストを十分に確保することができる。
【0065】
[1-1-3.フェノール性水酸基を有する構造単位(a2)]
フェノール性水酸基を有する構造単位(a2)としては、特に限定されず、公知慣用のものを用いることができる。(a2)としては、例えば、下記式(a2-1)等で表される構造単位を用いることができる。
【0066】
【化6】
【0067】
式(a2-1)中、「Rα」は、水素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を表し、「La2」は、単結合、-O-、-C(=O)-、-C(=O)O-、-OCO-、-CONH-、NHCO-、-S-又は-SO-を表し、「Ara2」は、置換基を有していてもよいC6-18アリーレン基を表し、「-OH」は、Ara2の2つの末端の片方の末端にヒドロキシ基が結合していることを表す。「Ara2」としては、特に限定されず、例えば、「Ara1」と同様のC6-18アリーレン基等を例示することができ、上記C6-18アリーレン基の1つ以上の水素原子が置換基に置換されていてもよい。
【0068】
フェノール性水酸基を有する構造単位(a2-1)としては、特に限定されず、例えば、下記式で表される構造単位等が挙げられる。なお、下記式中「Rα」は、水素原子、メチル基、又は、トリフルオロメチル基を表す。
【0069】
【化7】
【0070】
(A)成分を構成する全構造単位に対する「フェノール性水酸基を有する構造単位(a2)」の含有割合の下限としては、5モル%が好ましく、10モル%がより好ましく、20モル%がさらに好ましく、30モル%が特に好ましい。また上記含有割合の上限としては、90モル%が好ましく、80モル%がより好ましく、70モル%がさらに好ましく、60モル%が特に好ましい。フェノール性水酸基を有する構造単位(a2)の含有割合を上記範囲に設定することで、(A)成分の放射線を照射した場合の感度をより向上させることができる。
【0071】
[1-1-4.ラクトン含有脂環式基を有する構造単位(a3)]
ラクトン含有脂環式基を有する構造単位(a3)としては、環状エステルすなわちラクトン(-C(=O)-O-)を含む脂環式基を有する構造単位であれば、特に限定されず、公知慣用のものを用いることができる。ラクトン含有脂環式基は、単環式であっても、多環式であってもよい。(a3)を含有させることにより、レジストの基板への密着性を高めることができる。
(a3)としては、例えば、下記式(a3-1)等で表される構造単位を用いることができる。
【0072】
【化8】
【0073】
式(a3-1)中、「Rα」は、水素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を表し、「La3」は、単結合、-O-、-C(=O)-、-C(=O)O-、-OCO-、-CONH-、NHCO-、-S-又は-SO-を表し、「Lac」は、下記式(l-1)~(l-4)で表されるラクトン含有脂環式基を表し、ラクトン含有脂環式基上の任意の水素原子がLa3との結合に置き換わり、またその他の1つ以上の水素原子が置換基によって置換されていてもよい。
【0074】
【化9】
【0075】
式(l-3)及び(l-4)中、「La3’」は、-O-、-S-、又は、-O-若しくは-S-を含んでいてもよいC1-3アルキレン基を表す。
【0076】
ラクトン含有脂環式基を有する構造単位(a3-1)としては、特に限定されず、例えば、下記式で表される構造単位等が挙げられる。なお、下記式中「Rα」は、水素原子、メチル基、又は、トリフルオロメチル基を表す。
【0077】
【化10】
【0078】
(A)成分を構成する全構造単位に対する「ラクトン含有脂環式基を有する構造単位(a3)」の含有割合の下限としては、5モル%が好ましく、10モル%がより好ましく、20モル%がさらに好ましく、30モル%が特に好ましい。また上記含有割合の上限としては、60モル%が好ましく、55モル%がより好ましく、50モル%がさらに好ましい。ラクトン含有脂環式基を有する構造単位(a3)の含有割合を上記範囲に設定することで、レジストの基板への密着性を高めつつ他の構成単位とのバランスをとることができる。
【0079】
[1-1-5.極性基含有ヒドロカルビル基を有する構造単位(a4)]
極性基含有ヒドロカルビル基を有する構造単位(a4)としては、特に限定されず、公知慣用のものを用いることができる。(a4)を含有させることで、(A)成分の親水性を維持しつつ酸拡散長を適切に調整することができる。
【0080】
(a4)の極性基としては、ヒドロキシ基、シアノ基、カルボキシ基、ハロアルキル基等が挙げられる。
またヒドロカルビル基としては、1つ以上の水素原子が極性基に置換されており、さらに1つ以上の水素原子が置換基に置換されていてもよいC1-18ヒドロカルビル基であることが好ましく、1つ以上の水素原子が極性基に置換されており、さらに1つ以上の水素原子が置換基に置換されていてもよいC3-18脂環式基であることがより好ましく、1つ以上の水素原子が極性基に置換されており、さらに1つ以上の水素原子が置換基に置換されていてもよいアダマンチル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、トリシクロデシル基であることがさらに好ましい。
【0081】
(a4)としては、例えば、下記式(a4-1)等で表される構造単位を用いることができる。
【0082】
【化11】
【0083】
式(a4-1)中、「Rα」は、水素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を表し、「La4」は、単結合、-O-、-C(=O)-、-C(=O)O-、-OCO-、-CONH-、NHCO-、-S-又は-SO-を表し、「Pol」は、1つ以上の水素原子が極性基に置換されており、さらに1つ以上の水素原子が置換基に置換されていてもよいC1-18ヒドロカルビル基を表す。
【0084】
(A)成分を構成する全構造単位に対する「極性基含有ヒドロカルビル基を有する構造単位(a4)」の含有割合の下限としては、1モル%が好ましく、2モル%がより好ましく、5モル%がさらに好ましい。また上記含有割合の上限としては、40モル%が好ましく、35モル%がより好ましく、30モル%がさらに好ましい。極性基含有ヒドロカルビル基を有する構造単位(a4)の含有割合を上記範囲に設定することで、親水性を維持しつつ酸拡散長を適切に調整するとともに、他の構成単位とのバランスをとることができる。
【0085】
[1-1-6.その他の構造単位]
(A)成分は、上記(a2)~(a4)以外にもその他の任意の構造単位を含んでいてもよい。任意の構造単位としては、特に限定されず、例えば、ラクタム、スルホン、スルトン、カーボネート等の骨格を含む脂環式基を有する構造単位;スチレン又はスチレン誘導体を有する構造単位等が挙げられる。
【0086】
[1-1-7.(A)成分]
(A)成分中に、「酸解離性基を有する構造単位(a1)」及び「フェノール性水酸基を有する構造単位(a2)」のいずれもが含まれる場合において、構造単位(a1)と(a2)のモル比としては、2:8~8:2であることが好ましく、3:7~7:3であることがより好ましく、4:6~6:4であることがさらに好ましい。
【0087】
また(A)成分中に、「酸解離性基を有する構造単位(a1)」、「ラクトン含有脂環式基を有する構造単位(a3)」及び「極性基含有ヒドロカルビル基を有する構造単位(a4)」のいずれもが含まれる場合において、構造単位(a1)と(a3)と(a4)のモル比としては、2~6:2~6:1~3であることが好ましく、3~5:3~5:1~3であることがより好ましく、3~5:3~5:2であることがさらに好ましい。
【0088】
(A)成分の合成方法は、特に限定されず、例えば、各構造単位を誘導するモノマーを重合溶媒に溶解し、ここにアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、アゾビスイソ酪酸ジメチル等のラジカル重合開始剤を加えて重合させる方法等が挙げられる。
【0089】
(A)成分の重量平均分子量(Mw)(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算基準)は、特に限定されず、その下限としては、1000が好ましく、2000がより好ましく、3000がさらに好ましい。またMwの上限としては、50000が好ましく、30000がより好ましく、20000がさらに好ましい。(A)成分のMwが上記下限値以上であることによりエッチング性やレジストパターン断面形状を良好なものとすることができ、また上記上限値以下とすることで(A)成分の溶解性を維持することができる。
【0090】
(A)成分の分散度(Mw/Mn)は、特に限定されず、例えば、1.0~4.0が好ましく、1.0~3.0がより好ましく、1.0~2.0がさらに好ましい。なお、Mnは数平均分子量を意味する。(A)成分の分散度を上記範囲とし、分子量分布を狭くすることで、レジスト組成物の反応性を均一なものとすることができる。
【0091】
(A)成分のレジスト組成物の全固形成分中の含有割合としては、1~80質量%であることが好ましく、5~75質量%であることがより好ましく、10~70質量%であることがさらに好ましい。なお、「全固形分」とは、レジスト組成物の溶剤以外の成分のことをいう。
【0092】
[1-2.(B)ポリ酸塩]
本実施形態に係るレジスト組成物は、(B)ポリ酸塩、を含有する。(B)成分としては、公知慣用のものを用いることができ、特に限定されない。(B)成分であるポリ酸塩(ポリオキソメタレートともいう。)は、酸発生剤と酸拡散抑制剤との両方の働きを担うことができ、露光によって酸が発生及び拡散する範囲を露光量等に応じて適宜微調整することができる。またポリ酸塩のアニオン部とカチオン部との組合せにより酸強度、露光光源に対する吸収性等を調整することができる。
【0093】
ポリ酸とは、一般式が[Mn-(式中、x、y、nはいずれも自然数である。)で表されるアニオン性の金属酸化物クラスターである。ポリ酸を構成する金属原子Mは、ポリ原子と呼ばれ、例えば、Mo(6価又は5価)、W(6価又は5価)、V(5価)、Nb(5価)、Ta(5価)等が挙げられる。ポリ酸は、上記ポリ原子Mと酸素酸から構成されるイソポリ酸と、上記ポリ原子Mと酸素の他に異なる種類の原子X(例えば、ヘテロ原子XとしてP5+、Si4+、Ge4+、B3+等が挙げられる。)を含むヘテロポリ酸([Xn-(式中、w、x、y、nはいずれも自然数である。))と、に大別することができる。
【0094】
ここで、ポリ酸塩は、イソポリ酸又はヘテロポリ酸のアニオン部と、それに対応するカウンターカチオンから構成される。以下では、ポリ酸塩のアニオン部とカチオン部に分けてそれぞれ説明する。
【0095】
[1-2-1.ポリ酸塩のアニオン部]
ポリ酸塩のアニオン部はイソポリ酸アニオン又はヘテロポリ酸アニオンによって構成される。
イソポリ酸アニオンとしては、例えば、イソポリオキソモリブデン酸アニオン、イソポリオキソタングステン酸アニオン、イソポリオキソバナジウム酸アニオン、イソポリオキソニオブ酸アニオン、イソポリオキソタンタル酸アニオン等が挙げられる。
上記イソポリオキソモリブデン酸アニオンとしては、例えば、[MoO2-、[Mo246-、[Mo264-等が挙げられる。上記イソポリオキソタングステン酸アニオンとしては、例えば、[W132-、[W162-、[W222-、[W246-、[H1240-(8-z)(ただし、zは1~4の整数を表す。)、[W10324-、[H11386-、[H11407-、[HW197-、[H11225-等が挙げられる。上記イソポリオキソバナジウム酸アニオンとしては、例えば、[V124-、[V10286-等が挙げられ、上記イソポリオキソニオブ酸アニオンとしては、例えば、[Nb198-、[Nb10286-等が挙げられ、上記イソポリオキソタンタル酸アニオンとしては、例えば、[Ta198-、[Ta212-等が挙げられる。
上記イソポリオキソモリブデン酸アニオン、イソポリオキソタングステン酸アニオン、イソポリオキソバナジウム酸アニオン、イソポリオキソニオブ酸アニオン、イソポリオキソタンタル酸アニオンには、各種異性体等が含まれるものとする。
【0096】
またヘテロポリ酸アニオンとしては、例えば、ヘテロポリオキソモリブデン酸アニオン、ヘテロポリオキソタングステン酸アニオン、ヘテロポリオキソバナジウム酸アニオン、ヘテロポリオキソニオブ酸アニオン、ヘテロポリオキソタンタル酸アニオン等が挙げられる。
上記ヘテロポリオキソモリブデン酸アニオンとしては、例えば、リンモリブデン酸アニオン、ケイモリブデン酸アニオン、ホウモリブデン酸アニオン、リンタングストモリブデン酸アニオン、コバルトモリブデン酸アニオン、ヒ素モリブデン酸アニオン、ゲルマニウムモリブデン酸アニオン等が挙げられる。上記ヘテロポリオキソタングステン酸アニオンとしては、例えば、リンタングステン酸アニオン、ケイタングステン酸アニオン、ホウタングステン酸アニオン、コバルトタングステン酸アニオン、ヒ素タングステン酸アニオン、ゲルマニウムタングステン酸アニオン等が挙げられる。上記ヘテロポリオキソバナジウム酸アニオンとしては、例えば、リンモリブドバナジン酸アニオン、リンモリブドタングストモリブデン酸アニオン、ホウモリブドバナジン酸アニオン、ホウモリブドタングストバナジン酸アニオン等が挙げられる。
上記ヘテロポリオキソモリブデン酸アニオン、ヘテロポリオキソタングステン酸アニオン、ヘテロポリオキソバナジウム酸アニオン等には、ケギン型、ドーソン型、アンダーソン型及びこれらの欠損種並びに異性体等が含まれるものとする。
【0097】
[1-2-2.ポリ酸塩のカチオン部]
ポリ酸塩(イソポリオキソメタレート又はヘテロポリオキソメタレート)の塩のタイプは、特に限定されず、プロトン、オニウムカチオン(例えば、有機オニウムカチオン、有機スルホニウムカチオン、有機ヨードニウムカチオン、有機第4級アンモニウムカチオン、有機ホスホニウムカチオン等が挙げられる。)、アルカリ金属イオン等との塩であってもよい。ポリ酸塩の塩のタイプとしては、感活性光線性又は感放射線性を向上させ露光部と未露光部の溶剤溶解性に変化をもたせるという観点から、オニウムカチオンとの塩であることが好ましく、その中でも有機スルホニウムカチオン、有機ヨードニウムカチオン、有機第4級アンモニウムカチオンとの塩であることがより好ましい。
【0098】
[1-2-2-1.有機スルホニウムカチオン]
上記有機スルホニウムカチオンとしては、特に限定されず、公知慣用のものを用いることができる。有機スルホニウムカチオンとしては、例えば、式(b-1)で表される有機スルホニウムカチオンが挙げられる。
【0099】
【化12】
【0100】
式(b-1)中、R1A、R1B及びR1Cは、それぞれ独立して、C1-18ヒドロカルビル基、又は、3~18員環非芳香族複素環式基を表し、
上記R1A、R1B及びR1Cの末端を除く任意の位置の2価の炭素原子は-O-、-C(=O)-、-C(=O)O-、-OCO-、-CONH-、-NHCO-、-NH(C=O)O-、-S-又は-SO-に置き換わっていてもよく(ただし、隣り合う2価の炭素原子が同時に置き換わることはないものとする。);
また上記R1A、R1B及びR1Cに含まれる水素原子は、例えば、(a)ハロゲン原子、(b)ハロアルキル基、(c)ヒドロキシ基、(d)チオール基、(e)ニトロ基、(f)シアノ基、(g)カルボキシ基、(h)アミノ基、(i)スルホ基、(j)カルボキシ基若しくはヒドロキシ基の水素原子が酸解離性基に置換された基、又は、(k)水素原子の少なくとも1部が上記(a)~(j)で置換されていてもよいC1-18ヒドロカルビル基、C1-18ヒドロカルビルオキシ基、C1-18ヒドロカルビルカルボニル基、C1-18ヒドロカルビルカルボニルオキシ基、C1-18ヒドロカルビルオキシカルボニル基、C1-18ヒドロカルビルオキシカルボニルオキシ基、又は、C1-18ヒドロカルビルチオ基であって、これらの置換基の末端を除く任意の位置の2価の炭素原子は-O-、-C(=O)-、-C(=O)O-、-OCO-、-CONH-、-NHCO-、-NH(C=O)O-、-S-又は-SO-に置き換わっていてもよく(ただし、隣り合う2価の炭素原子が同時に置き換わることはないものとする。);
さらにR1A、R1B及びR1Cのうちいずれか2つが相互に単結合で直接、又は、二価の連結基である-O-、-S-、-C(=O)-、-S(=O)-、-S(=O)-、-C(=O)O-、若しくは、C1-3アルキレン基を介して連結し、式(b-1)中の硫黄原子と共に環を形成していてもよい。
【0101】
式(b-1)中のR1A、R1B及びR1Cとしては、それぞれ独立して、置換基を有していてもよいC2-18アリール基であることが好ましい。上記C2-18アリール基の置換基としては、ハロゲン原子、ハロアルキル基、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有していてもよいC1-12ヒドロカルビルチオ基であることが好ましく、ハロゲン原子、C1-4ハロアルキル基、ニトロ基であることがさらに好ましい。
【0102】
上記有機スルホニウムカチオンの具体例としては、ジブチル(ペンチル)スルホニウムカチオン、トリエチルスルホニウムカチオン、(2-カルボキシエチル)ジメチルスルホニウムカチオン、トリメチルスルホニウムカチオン、ジメチルフェナシルスルホニウムカチオン、1-(4-ヒドロキシナフタレン-1-イル)ヘキサヒドロチオピリリウムカチオン、ジメチルフェニルスルホニウムカチオン、トリフェニルスルホニウムカチオン、トリス(4-メチルフェニル)スルホニウムカチオン、4-メトキシフェニルジフェニルスルホニウムカチオン、4-ヨードフェニルジフェニルスルホニウムカチオン、トリス(4-フルオロフェニル)スルホニウムカチオン、1-フェニルヘキサヒドロチオピリリウムカチオン、(エタン-1,2-ジイルビスオキシ)ビス(4,1-フェニレン)ビス(ジフェニルスルホニウム)ジカチオン、(チオジ-4,1-フェニレン)ビス(ジフェニルスルホニウム)ジカチオン、ジ(ナフタレン-1-イル)(フェニル)スルホニウムカチオン、フェニルビス(2-(トリフルオロメチル)フェニル)スルホニウムカチオン、メシチルビス(2-(トリフルオロメチル)フェニル)スルホニウムカチオン、ビス(3,5-ジフルオロフェニル)(フェニル)スルホニウムカチオン、トリス(3,5-ジフルオロフェニル)スルホニウムカチオン、(4-(ドデカノイルオキシ-3,5-ジメチルフェニル))ジフェニルスルホニウムカチオン、ジフェニル(3-(トリフルオロメトキシ)フェニル)スルホニウムカチオン、(4-(1-アダマンチルカルボニルオキシ)フェニル)ジフェニルスルホニウムカチオン、(4-フェニルチオフェニル)ジフェニルスルホニウムカチオン、5-フェニル-5H-チアントレン-5-イウムカチオン、5-(2,5-ジメチルフェニル)チアントレン-5-イウムカチオン、5-フェニル-5H-ジベンゾ[b,d]チオフェン-5-イウムカチオン5-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)-5H-ジベンゾ[b,d]チオフェン-5-イウムカチオン、1-(4-(t-ブチル)フェニル)-1H-ベンゾ[b]チオフェン-1-イウムカチオン、メチルジフェニルスルホニウムカチオン、(2-ブロモエチル)ジフェニルスルホニウムカチオン、(3-クロロプロピル)ジフェニルスルホニウムカチオン、ベンジル(4-ヒドロキシフェニル)メチルスルホニウムカチオン、(4-ヒドロキシフェニル)メチル(2-メチルベンジル)スルホニウムカチオン、4-ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウムカチオン、ジフェニル(メチル)スルホニウムカチオン、ジフェニル(4-(フェニルチオ)フェニル)スルホニウムカチオン、(2-ブロモエチル)ジフェニルスルホニウムカチオン、ジメシチル(トリフルオロメチル)スルホニウムカチオン、トリ-p-トリルスルホニウムカチオン等が例示できる。
【0103】
[1-2-2-2.有機ヨードニウムカチオン]
有機ヨードニウムカチオンとしては、特に限定されず、公知慣用のものを用いることができる。有機ヨードニウムカチオンとしては、例えば、式(b-2)で表される有機ヨードニウムカチオンが挙げられる。
【0104】
【化13】
【0105】
式(b-2)中、R2A及びR2Bは、それぞれ独立して、C1-18ヒドロカルビル基、又は、3~18員環非芳香族複素環式基を表し、
上記R2A及びR2Bの末端を除く任意の位置の2価の炭素原子は-O-、-C(=O)-、-C(=O)O-、-OCO-、-CONH-、-NHCO-、-NH(C=O)O-、-S-又は-SO-に置き換わっていてもよく(ただし、隣り合う2価の炭素原子が同時に置き換わることはないものとする。);
また上記R2A及びR2Bに含まれる水素原子は、例えば、(a)ハロゲン原子、(b)ハロアルキル基、(c)ヒドロキシ基、(d)チオール基、(e)ニトロ基、(f)シアノ基、(g)カルボキシ基、(h)アミノ基、(i)スルホ基、(j)カルボキシ基若しくはヒドロキシ基の水素原子が酸解離性基に置換された基、又は、(k)水素原子の少なくとも1部が上記(a)~(j)で置換されていてもよいC1-18ヒドロカルビル基、C1-18ヒドロカルビルオキシ基、C1-18ヒドロカルビルカルボニル基、C1-18ヒドロカルビルカルボニルオキシ基、C1-18ヒドロカルビルオキシカルボニル基、又は、C1-18ヒドロカルビルオキシカルボニルオキシ基であって、これらの置換基の末端を除く任意の位置の2価の炭素原子は-O-、-C(=O)-、-C(=O)O-、-OCO-、-CONH-、-NHCO-、-NH(C=O)O-、-S-又は-SO-に置き換わっていてもよく(ただし、隣り合う2価の炭素原子が同時に置き換わることはないものとする。);
さらにR2A及びR2Bは相互に単結合で直接、又は、二価の連結基である-O-、-S-、-C(=O)-、-S(=O)-、-S(=O)-、-C(=O)O-、若しくは、C1-3アルキレン基を介して連結し、式(b-2)中のヨウ素原子と共に環を形成していてもよい。
【0106】
式(b-2)中のR2A及びR2Bとしては、それぞれ独立して、置換基を有していてもよいC2-18アリール基であることが好ましい。上記C2-18アリール基の置換基としては、ハロゲン原子、ハロアルキル基、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有していてもよいC1-12ヒドロカルビル基、C1-12ヒドロカルビルオキシ基、C1-12ヒドロカルビルカルボニル基、C1-12ヒドロカルビルカルボニルオキシ基、C1-12ヒドロカルビルオキシカルボニル基、又は、C1-12ヒドロカルビルオキシカルボニルオキシ基であることが好ましく、ハロゲン原子、C1-4ハロアルキル基、ニトロ基、C1-8ヒドロカルビル基、C1-8ヒドロカルビルオキシ基であることが好ましい。
【0107】
上記有機ヨードニウムカチオンの具体例としては、エチニル(フェニル)ヨードニウムカチオン、ジフェニルヨードニウムカチオン、ビス(4-(t-ブチル)フェニル)ヨードニウムカチオン、(2-カルボキシフェニル)(フェニル)ヨードニウムカチオン、(4-ニトロフェニル)(フェニル)ヨードニウムカチオン、(3-(トリフルオロメチル)フェニル)(2,4,6-トリメチルフェニル)ヨードニウムカチオン、ビス(4-フルオロフェニル)ヨードニウムカチオン、(4-(ブロモメチル)フェニル)(2,4,6-トリメトキシフェニル)ヨードニウムカチオン、4-ビフェニルイル(2,4,6-トリメトキシフェニル)ヨードニウムカチオン、ビス(2,4,6-トリメチルフェニル)ヨードニウムカチオン、4-イソプロピル-4’-メチルジフェニルヨードニウムカチオン、(4-(トリフルオロメチル)フェニル)(2,4,6-トリメチルフェニル)ヨードニウムカチオン、((4-トリフルオロメチル)フェニル)(2,4,6-トリメトキシフェニル)ヨードニウムカチオン、(5-フルオロ-2-ニトロフェニル)(2,4,6-トリメトキシフェニル)ヨードニウムカチオン、(3-ブロモフェニル)(メシチル)ヨードニウムカチオン、ビス(4-ブロモフェニル)ヨードニウムカチオン、(3,5-ジクロロフェニル)(2,4,6-トリメトキシフェニル)ヨードニウムカチオン、(4-メチルフェニル)(2,4,6-トリメチルフェニル)ヨードニウムカチオン、(3-メチルフェニル)(2,4,6-トリメチルフェニル)ヨードニウムカチオン、(2-メチルフェニル)(2,4,6-トリメチルフェニル)ヨードニウムカチオン、フェニル(2,4,6-トリメトキシフェニル)ヨードニウムカチオン等が例示できる。
【0108】
[1-2-2-3.有機第4級アンモニウムカチオン]
有機第4級アンモニウムカチオンとしては、特に限定されず、公知慣用のものを用いることができる。有機第4級アンモニウムカチオンとしては、例えば、式(b-3)で表される有機第4級アンモニウムカチオンが挙げられる。
【0109】
【化14】
【0110】
式(b-3)中、R3A、R3B、R3C及びR3Dは、それぞれ独立して、C1-18ヒドロカルビル基、又は、3~18員環非芳香族複素環式基を表し、
上記R3A、R3B、R3C及びR3Dの末端を除く任意の位置の2価の炭素原子は-O-、-C(=O)-、-C(=O)O-、-OCO-、-CONH-、-NHCO-、-NH(C=O)O-、-S-又は-SO-に置き換わっていてもよく(ただし、隣り合う2価の炭素原子が同時に置き換わることはないものとする。);
また上記R3A、R3B、R3C及びR3Dに含まれる水素原子は、例えば、(a)ハロゲン原子、(b)ハロアルキル基、(c)ヒドロキシ基、(d)チオール基、(e)ニトロ基、(f)シアノ基、(g)カルボキシ基、(h)アミノ基、(i)スルホ基、(j)カルボキシ基若しくはヒドロキシ基の水素原子が酸解離性基に置換された基、又は、(k)水素原子の少なくとも1部が上記(a)~(j)で置換されていてもよいC1-18ヒドロカルビル基、C1-18ヒドロカルビルオキシ基、C1-18ヒドロカルビルカルボニル基、C1-18ヒドロカルビルカルボニルオキシ基、C1-18ヒドロカルビルオキシカルボニル基、C1-18ヒドロカルビルオキシカルボニルオキシ基、又は、C1-18ヒドロカルビルチオ基であって、これらの置換基の末端を除く任意の位置の2価の炭素原子は-O-、-C(=O)-、-C(=O)O-、-OCO-、-CONH-、-NHCO-、-NH(C=O)O-、-S-又は-SO-に置き換わっていてもよく(ただし、隣り合う2価の炭素原子が同時に置き換わることはないものとする。);
さらにR3A、R3B、R3C及びR3Dのうちいずれか2つが相互に単結合で直接、又は、二価の連結基である-O-、-S-、-C(=O)-、-S(=O)-、-S(=O)-、-C(=O)O-、若しくは、C1-3アルキレン基を介して連結し、式(b-3)中の窒素原子と共に環を形成していてもよい。
【0111】
式(b-3)中のR3A、R3B、R3C及びR3Dとしては、それぞれ独立して、置換基を有していてもよいC1-18ヒドロカルビル基であることが好ましく、C1-12アルキル基、C1-12アルケニル基、C1-12アルキニル基、C1-12脂環式基であることがより好ましい。
【0112】
上記有機第4級アンモニウムカチオンの具体例としては、テトラメチルアンモニウムカチオン、テトラエチルアンモニウムカチオン、テトラプロピルアンモニウムカチオン、テトラブチルアンモニウムカチオン、テトラヘプチルアンモニウムカチオン、トリメチルエチルアンモニウムカチオン、ジメチルジエチルアンモニウムカチオン、ジメチルエチルプロピルアンモニウムカチオン、メチルエチルプロピルブチルアンモニウムカチオン、トリメチルフェニルアンモニウムカチオン、トリエチルヘキシルアンモニウムカチオン、トリエチルシクロヘキシルアンモニウムカチオン、ドデシルトリメチルアンモニウムカチオン等が例示できる。
【0113】
[1-2-3.(B)成分]
(B)成分であるポリ酸塩の合成方法は、特に限定されず、公知慣用の方法を用いることができる。ポリ酸塩の合成方法としては、例えば、塩交換法、イオン交換法等が挙げられる。
【0114】
(B)成分のレジスト組成物の全固形成分中の含有割合としては、30~90質量%であることが好ましく、35~85質量%であることがより好ましく、40~80質量%であることがさらに好ましい。
【0115】
レジスト組成物中に(B)成分として、ポリ酸塩を含有させることにより、DUV、XUV、EUV等の光源に対する吸収を高めることができる。また、(B)成分は、酸発生剤及び酸拡散制御剤との関係によって、酸拡散制御剤及び酸発生剤の役割を果たすことができる。そして(B)成分であるポリ酸塩のアニオン部とカチオン部との組合せによって、酸強度等の特性を微調整することが可能である。さらに、(B)成分が酸発生剤として働くことにより、酸発生剤としてフッ素で置換された炭素原子を有するスルホン酸等を使用しないで済み、毒性、環境負荷等の観点からもメリットがある。
【0116】
[1-3.(C)酸発生剤又は酸拡散制御剤]
本実施形態に係るレジスト組成物は、(C)酸発生剤又は酸拡散制御剤、を含有していてもよい。(C)成分としては、公知慣用のものを用いることができ、特に限定されない。以下では、(C-1)酸発生剤、(C-2)酸拡散制御剤についてそれぞれより具体的に説明する。
【0117】
[1-3-1.(C-1)酸発生剤]
本実施形態に係るレジスト組成物は、(C-1)酸発生剤を含有していてもよい。酸発生剤としては、露光により酸を発生するものであれば、特に限定されず、公知慣用のものを用いることができる。レジスト組成物中に酸発生剤を含有させることにより、露光により発生した酸が、(A)成分中に含まれる酸解離性基に作用して、現像液に対する溶解性を変化させることができる。
【0118】
酸発生剤としては、例えば、オニウム塩化合物、N-スルホニルオキシイミド化合物、スルホンイミド化合物、ハロゲン含有化合物、ジアゾケトン化合物等が挙げられる。これらの中でも、オニウム塩化合物を酸発生剤として好適に用いることができる。
【0119】
[1-3-1-1.オニウム塩化合物]
酸発生剤として用いるオニウム塩化合物としては、特に限定されず、公知慣用のものを用いることができる。オニウム塩化合物のアニオン部としては、スルホン酸アニオンを好適に用いることができる。スルホン酸アニオンとしては、特に限定されず、公知慣用のものを用いることができる。またオニウム塩化合物のカチオン部としては、特に限定されず、公知慣用のものを用いることができる。上記カチオン部としては、特に限定されず、例えば、上述の有機スルホニウムカチオン、有機ヨードニウムカチオン、有機第4級アンモニウムカチオン等が挙げられる。
【0120】
オニウム塩化合物としては、下記式(c-1)で表されるオニウム塩化合物を用いることが好ましい。
【0121】
【化15】
【0122】
式(c-1)中、
「Rc11」は、1つ以上の水素原子が置換基に置換されていてもよいC5-18ヒドロカルビル基を表し;
「Rc12~Rc15」は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、又は、炭素数1~4のフッ素化アルキル基を表し;
「Lc11」は、-O-、-C(=O)-、-C(=O)O-、-OCO-、-CONH-、-NHCO-、-NH(C=O)O-、-S-又は-SO-を表し;
「Lc12」は、単結合、-O-、-C(=O)-、-C(=O)O-、-OCO-、-CONH-、-NHCO-、-NH(C=O)O-、-S-又は-SO-を表し;
c1は、0~4の整数を表し;
「U」は、オニウム塩化合物のカチオン部を表す。
【0123】
[1-3-1-1-1.オニウム塩化合物のアニオン部]
式(c-1)のオニウム塩化合物のアニオン部において、Rc11は、1つ以上の水素原子が置換基に置換されていてもよいC5-18ヒドロカルビル基であることが好ましく、1つ以上の水素原子が置換基に置換されていてもよいC5-18脂環式基、C2-18アリール基であることがより好ましく、1つ以上の水素原子が置換基に置換されていてもよいC5-18脂環式基、又は、C2-18アリール基であることがさらに好ましい。
【0124】
1つ以上の水素原子が置換基に置換されていてもよいC5-18脂環式基、又は、C2-18アリール基の具体例としては、特に限定されず、例えば、ベンゼン骨格、ナフタレン骨格、アントラセン骨格、フェナントレン骨格、ビフェニル骨格を有するC2-18アリール基;シクロペンタン骨格、シクロヘキサン骨格、シクロヘプタン骨格、シクロオクタン骨格、シクロノナン骨格、シクロデカン骨格、シクロドデカン骨格、シクロペンテン骨格、シクロヘキセン骨格、シクロヘプテン骨格、シクロオクテン骨格、シクロデセン骨格、ノルボルナン骨格、アダマンタン骨格、トリシクロデカン骨格、テトラシクロドデカン骨格、ノルボルネン骨格、トリシクロデセン骨格、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン骨格、ビシクロ[2.2.2]オクタン骨格、9,10-ジヒドロ-9,10-エタノアントラセン骨格、9,10-ジヒドロ-9,10-[1,2]ベンゼノアントラセン骨格を有するC5-18脂環式基等が挙げられる。
【0125】
c11の具体例としては、特に限定されず、例えば、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、アズレニル基、アセナフチル基、フェナントレニル基、アントラセニル基、シクロペンチル基、シクロペンタ-1-エン-1-イル基、2-メチルシクロペンタ-1-エン-1-イル基、シクロヘキサ-1-エン-1-イル基、アダマンタン-1-イル基、アダマンタン-2-イル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプタニル基、ビシクロ[2.2.2]オクタニル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプテニル基、ビシクロ[2.2.2]オクテニル基、9,10-ジヒドロ-9,10-エタノアントラセン-11-イル基、9,10-ジヒドロ-9,10-エタノアントラセン-12-イル基、9,10-ジヒドロ-9,10-エタノアントラセン-9-イル基、9,10-ジヒドロ-9,10-エタノアントラセン-10-イル基、9,10-ジヒドロ-9.10-[1,2]ベンゼノアントラセン-9-イル基、9,10-ジヒドロ-9,10-[1,2]ベンゼノアントラセン-10-イル基等が挙げられる。
【0126】
式(c-1)中のオニウム塩化合物のアニオン部において、Rc12~Rc15としては、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、又は、炭素数1~4のフッ素化アルキル基であることが好ましく、Rc12又はRc13のいずれかは水素原子、フッ素原子、又は、C1-2フッ素化アルキル基であり、かつ、Rc14又はRc15のいずれかはフッ素原子であることがより好ましく、Rc12又はRc13のいずれかは水素原子、フッ素原子、又は、トリフルオロメチル基であり、かつ、Rc14及びRc15のいずれもがフッ素原子であることがさらに好ましい。
【0127】
式(c-1)中のオニウム塩化合物のアニオン部において、Lc11としては、-O-、-C(=O)-、-C(=O)O-、-OCO-、-CONH-、-NHCO-、-NH(C=O)O-、-S-又は-SO-であることが好ましく、-C(=O)O-、-OCO、-CONH-、又は、-SO-であることがより好ましく、-C(=O)O-、又は、-OCOであることがさらに好ましい。
【0128】
式(c-1)中のオニウム塩化合物のアニオン部において、Lc12としては、単結合、-O-、-C(=O)-、-C(=O)O-、-OCO-、-CONH-、-NHCO-、-NH(C=O)O-、-S-又は-SO-であることが好ましく、単結合、-O-、-C(=O)O-、又は、-OCO-であることがより好ましく、単結合、-C(=O)O-、又は、-OCO-であることがさらに好ましい。
【0129】
[1-3-1-1-2.オニウム塩化合物のカチオン部]
式(c-1)のオニウム塩化合物のカチオン部において、Uとしては、特に限定されず、例えば、上述の有機スルホニウムカチオン、有機ヨードニウムカチオン、有機第4級アンモニウムカチオン等が挙げられる。
上記Uとして、(B)成分で例示したいずれの有機スルホニウムカチオン、有機ヨードニウムカチオン、及び、有機第4級アンモニウムカチオンも好適に用いることができ、その中でも好ましいとして例示したものは、Uとしても同様に好ましいものとして用いることができる。
【0130】
[1-3-1-2.(C-1)成分]
(C-1)成分のレジスト組成物の全固形成分中の含有割合としては、0.5~20質量%であることが好ましく、1~15質量%であることがより好ましく、2~12質量%であることがさらに好ましい。
【0131】
[1-3-2.(C-2)酸拡散制御剤]
本実施形態に係るレジスト組成物は、(C-2)酸拡散制御剤を含有していてもよい。酸拡散制御剤としては、特に限定されず、公知慣用のものを用いることができる。レジスト組成物中に酸拡散制御剤を含有させることにより、露光により酸発生剤から生じた酸の拡散を制御し、露光されていない部分で好ましくない反応が進行することを抑制することができる。
【0132】
酸拡散制御剤としては、酸発生剤により生じる酸に比べて弱い酸を発生させるものを用いることで、酸の拡散を効率良く制御することができる。酸拡散抑制剤としては、下記式(c-2-1)で表されるカルボン酸塩化合物、又は、(c-2-2)で表されるスルホン酸塩化合物を用いることが好ましい。
【0133】
【化16】
[式(c-2-1)中、Rc21は、1つ以上の水素原子が置換基に置換されていてもよいC1-18ヒドロカルビル基、又は、5~18員環非芳香族複素環式基を表す。]
【0134】
【化17】
[式(c-2-2)中、Rc22は、1つ以上の水素原子が置換基に置換されていてもよいC1-18ヒドロカルビル基、又は、5~18員環非芳香族複素環式基であって、かつ、スルホン酸アニオンの硫黄原子と直接結合する炭素原子上にはフッ素原子及びトリフルオロメチル基は結合していないものを表す。]
【0135】
[1-3-2-1.カルボン酸塩化合物(C-2-1)]
式(c-2-1)のカルボン酸塩化合物のアニオン部において、Rc21は、1つ以上の水素原子が置換基に置換されていてもよいC1-18ヒドロカルビル基、又は、5~18員環非芳香族複素環式基であることが好ましく、1つ以上の水素原子が置換基に置換されていてもよいC1-18ヒドロカルビル基であることがより好ましく、1つ以上の水素原子が置換基に置換されていてもよいC1-12アルキル基、C3-18脂環式基、又は、C2-18アリール基であることがさらに好ましい。
【0136】
上記カルボン酸アニオンとしては、特に限定されず、例えば、トリフルオロ酢酸アニオン、ペンタフルオロプロピオン酸アニオン、2-メトキシ酢酸アニオン、2-メトキシ-2-メチルプロピオン酸アニオン、2-ヒドロキシ酢酸アニオン、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸アニオン、2-アセトキシ酢酸アニオン、アダマンタン-1-カルボン酸アニオン、9,10-ジヒドロ-9,10-エタノアントラセン-11-カルボン酸アニオン、9,10-ジヒドロ-9,10-[1,2]ベンゼノアントラセン-9-カルボン酸アニオン、安息香酸アニオン、サリチル酸アニオン、3-ヒドロキシ安息香酸アニオン、3-トリフルオロメチル安息香酸アニオン等が挙げられる。
【0137】
式(c-2-1)のカルボン酸塩化合物のカチオン部において、Uとしては、特に限定されず、例えば、上述の有機スルホニウムカチオン、有機ヨードニウムカチオン、有機第4級アンモニウムカチオン等が挙げられる。
上記Uとして、(B)成分で例示したいずれの有機スルホニウムカチオン、有機ヨードニウムカチオン、及び、有機第4級アンモニウムカチオンも好適に用いることができ、その中でも好ましいとして例示したものは、Uとしても同様に好ましいものとして用いることができる。
【0138】
[1-3-2-2.スルホン酸塩化合物]
式(c-2-2)のスルホン酸塩化合物のアニオン部において、Rc22は、1つ以上の水素原子が置換基に置換されていてもよいC1-18ヒドロカルビル基、又は、5~18員環非芳香族複素環式基であって、かつ、スルホン酸アニオンの硫黄原子と直接結合する炭素原子上にはフッ素原子及びトリフルオロメチル基は結合していないものであることが好ましく、1つ以上の水素原子が置換基に置換されていてもよいC1-18ヒドロカルビル基であることがより好ましく、1つ以上の水素原子が置換基に置換されていてもよいC1-12アルキル基、C3-18脂環式基、又は、C2-18アリール基であることがさらに好ましい。
【0139】
上記スルホン酸アニオンとしては、特に限定されず、例えば、カンファースルホン酸アニオン、(アダマンタン-1-イル)メタンスルホン酸アニオン、(アダマンタン-1-カルボニルオキシ)エタン-1-スルホン酸アニオン、シクロヘキサンスルホン酸アニオン、2-(シクロヘキサンカルボニルオキシ)エタン-1-スルホン酸アニオン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-スルホン酸アニオン、ベンゼンスルホン酸アニオン、4-メチルベンゼンスルホン酸アニオン等が挙げられる。
【0140】
式(c-2-2)のスルホン酸塩化合物のカチオン部において、Uとしては、特に限定されず、例えば、上述の有機スルホニウムカチオン、有機ヨードニウムカチオン、有機第4級アンモニウムカチオン等が挙げられる。
上記Uとして、(B)成分で例示したいずれの有機スルホニウムカチオン、有機ヨードニウムカチオン、及び、有機第4級アンモニウムカチオンも好適に用いることができ、その中でも好ましいとして例示したものは、Uとしても同様に好ましいものとして用いることができる。
【0141】
[1-3-2-3.(C-2)成分]
(C-2)成分のレジスト組成物の全固形成分中の含有割合としては、0.5~25質量%であることが好ましく、1~20質量%であることがより好ましく、5~15質量%であることがさらに好ましい。
【0142】
[1-4.有機溶剤]
本実施形態に係るレジスト組成物は、さらに有機溶剤を含有していてもよい。有機溶媒としては、特に限定されず、公知慣用のものを用いることができる。有機溶剤としては、(A)成分、(B)成分、及び、(C-1)成分又は(C-2)成分を調製した際に、均一に溶解又は分散させることが可能な有機溶剤であることが好ましい。
【0143】
有機溶剤としては、例えば、アルコール系溶剤、エーテル系溶剤、ケトン系溶剤、アミド系溶剤、エステル系溶剤、炭化水素系溶剤等が挙げられる。これらの有機溶剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0144】
有機溶剤の具体例としては、例えば、メタノール、エタノール、3-メトキシブタノール、3-メチル-3-メトキシブタノール、1-メトキシ-2-プロパノール、4-メチル-2-ペンタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール等のアルコール系溶剤;ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジイソアミルエーテル、テトラヒドロフラン、アニソール、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等のエーテル系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチル-n-ペンチルケトン、メチルイソペンチルケトン、2-ヘプタノン、アセトフェノン等のケトン系溶剤;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジエチルホルムアミド、アセトアミド等のアミド系溶剤;乳酸メチル、乳酸エチル(EL)、酢酸メチル、酢酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)等のエステル系溶剤;n-ペンタン、n-ヘキサン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶剤;γ-ブチロラクトン、δ-バレロラクトン、γ-ラクタム、δ-ラクタム、ジメチルスルホキシド(DMSO)等が挙げられる。
上記有機溶剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0145】
本実施形態に係るレジスト組成物に含有させる有機溶剤としては、PGMEA、PGME、γ-ブチロラクトン、EL、シクロヘキサノンが好ましい。
また、PGMEAと極性溶剤とを混合した混合溶剤も好適に用いることができる。上記混合溶剤の配合比(質量比)は、極性溶剤の種類、PGMEAと極性溶剤との相溶性等を考慮して適宜決定することができる。上記混合溶剤の配合比(質量比)としては、1:9~9:1であることが好ましく、2:8~8:2であることがより好ましい。
上記極性溶媒としては、例えば、EL、シクロヘキサノン等を用いることができる。
【0146】
レジスト組成物中の有機溶剤の含有量は、特に限定されず、基板等にレジスト組成物塗布する方法、塗布膜厚等に応じて適宜設定できる。レジスト組成物中の有機溶剤の含有量としては、レジスト組成物の固形分濃度が0.1~20質量%になることが好ましく、0.2~15質量%になることがより好ましい。
【0147】
[1-5.その他]
本実施形態に係るレジスト組成物には、さらに所望により混和性のある添加剤として、例えば、レジスト膜の性能を改良するための付加的樹脂、溶解抑制剤、可塑剤、安定剤、着色剤、ハレーション防止剤、染料等を適宜、添加含有させることができる。
【0148】
[2.パターン形成方法]
本実施形態に係るパターン形成方法は、基板にレジスト組成物を塗布する工程と、上記塗布工程により形成されたレジスト膜を露光する工程と、上記露光されたレジスト膜を現像する工程と、を備える。
【0149】
[2-1.塗布工程]
本実施形態に係るパターン形成方法は、基板にレジスト組成物を塗布する工程を有する。
【0150】
<基板>
本実施形態で使用する基板は、特に限定されず、公知慣用のものを用いることができる。基板としては、例えば、電子部品用の基板や、所定の配線パターンが形成された基板等を用いてもよい。
基板の材質としては、特に限定されず、例えば、シリコンウェハ、銅、クロム、鉄、アルミニウム等の金属製の基板、ガラス、酸化チタン、二酸化ケイ素等の無機物による基板等が挙げられる。
基板の大きさ、形状等は特に限定されず、基板の表面は平滑であっても、曲面、凹凸を有していてもよく、薄片形状の基板等であってもよい。
【0151】
基板の表面には、必要に応じて表面処理が施されていてもよい。基板の表層に水酸基を有する基板の場合には、水酸基と反応可能なシラン系カップリング剤を用いて基板の表面処理を行うことで、基板の表層を親水性から疎水性に変化させて、基板と金属化合物含有膜との密着性を高めることができる。上記シラン系カップリング剤としては、例えば、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)等が挙げられる。
【0152】
<塗布方法>
レジスト組成物を基板上に塗布する方法としては、特に限定されず、公知慣用の方法を用いることができる。塗布方法としては、乾式法としては、例えば、例えば、熱CVD、プラズマCVD、光CVD等のCVD法(化学蒸着法);真空蒸着、プラズマ援用蒸着、スパッタリング、イオンプレティング等のPVD法(物理蒸着法)等を用いることができる。また湿式法としては、例えば、スピンコート、バーコート、ロールコート、フローコート、ディップコート、スプレーコート、インクジェット印刷、スクリーン印刷等の塗布法等を用いることができる。
【0153】
本実施形態に係るレジスト組成物を基板上に塗布する方法としては、膜厚等を均一に形成するという観点から、スピンコート法、スクリーン印刷等の湿式法を用いることが好ましく、スピンコート法を用いることがより好ましい。
【0154】
レジスト組成物を基板上に塗布して形成されるレジスト膜を乾燥させる方法としては、特に限定されず、例えば、ホットプレート等の加熱装置(ポストアプライベーク(PAB))、減圧装置等を用いて行うことができる。
ベーク条件は、特に限定されず、レジスト膜の種類、用途等に応じて適宜設定することができる。ベーク温度としては、80~350℃であることが好ましく、100~300℃であることがより好ましく、120~250℃であることがさらに好ましい。またベーク時間としては、10秒~10分であることが好ましく、20秒~5分であることがより好ましく、30秒~200秒であることがさらに好ましい。
【0155】
レジスト膜の乾燥後における厚さは、特に限定されないが、0.5~100nmであることが好ましく、1~75nmであることがより好ましく、1~60nmであることがさらに好ましい。
【0156】
[2-2.露光工程]
本実施形態に係るパターン形成方法は、上記塗布工程により形成されたレジスト膜を露光する工程を有する。
【0157】
レジスト膜の露光工程における露光装置として、例えば、ArF露光装置、電子線描画装置、EUV露光装置等を用いることができる。また露光工程では、所定のパターンが形成されたマスク(マスクパターン)を介して露光を行ってもよく、又は、マスクパターンを介さずに電子線の直接照射による描画等によって選択的露光を行ってもよい。
【0158】
露光に用いる波長は、特に限定されず、ArFエキシマレーザー(波長193nm)、KrFエキシマレーザー(248nm)、Fエキシマレーザー(波長157nm)、EUV(極端紫外線)、VUV(真空紫外線)、EB(電子線)、X線、軟X線等の放射線を用いてもよい。
【0159】
レジスト膜上への露光量としては、ArFエキシマレーザー又はKrFエキシマレーザーの場合、1~100mJ/cmであることが好ましく、20~60mJ/cmであることがより好ましい。また極端紫外線の場合、露光量が、500mJ/cm以下であることが好ましく、0.1~200mJ/cmであることがより好ましく、3~100mJ/cmであることがさらに好ましい。電子線の場合、露光量は、0.1~20μC/cmであることが好ましく、3~10μC/cmであることがより好ましい。
【0160】
レジスト膜に露光を行った後、ベーク(ポストエクスポージャーベーク(PEB))処理を行ってもよい。ベーク条件としては、特に限定されず、レジスト膜の種類、用途等に応じて適宜設定することができる。ベーク温度としては、ホットプレート等の加熱装置を用いて、80~350℃であることが好ましく、100~300℃であることがより好ましく、120~250℃であることがさらに好ましい。またベーク時間としては、10秒~10分であることが好ましく、20秒~5分であることがより好ましく、30秒~200秒であることがさらに好ましい。
【0161】
[2-3.現像工程]
本実施形態に係るパターン形成方法は、上記露光されたレジスト膜を現像する工程を有する。現像工程では、上記露光されたレジスト膜を現像液により現像することによりパターンを形成することができる。また上記現像後は、リンス液で洗浄してから乾燥してもよく、場合によってはさらにベーク処理を行ってもよい。
【0162】
<現像液>
本実施形態で用いる現像液としては、アルカリ現像する場合は、アルカリ現像液を用い、溶剤現像する場合は、有機溶剤を含有する現像液を用いる。
【0163】
アルカリ現像の場合に用いるアルカリ現像液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水、エチルアミン、n-プロピルアミン、ジエチルアミン、ジ-n-プロピルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、エチルジメチルアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)等の少なくとも1種を含有するアルカリ現像液が挙げられる。これらの中で、アルカリ現像液としては、TMAH水溶液であることが好ましく、0.1~10質量%TMAH水溶液であることがより好ましく、0.5~5質量%TMAH水溶液であることがさらに好ましい。
【0164】
溶剤現像の場合に用いる溶剤現像液としては、例えば、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、ニトリル系溶剤、アミド系溶剤、エーテル系溶剤等の極性溶剤、炭化水素系溶剤等の有機溶剤を1種以上含有する現像液が挙げられる。
これらの中でも、溶剤現像液に用いる有機溶剤としては、極性溶剤であることが好ましく、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、ニトリル系溶剤であることがより好ましい。
【0165】
ケトン系溶剤としては、例えば、1-オクタノン、2-オクタノン、1-ノナノン、2-ノナノン、アセトン、4-ヘプタノン、1-ヘキサノン、2-ヘキサノン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、フェニルアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトン、アセトニルアセトン、ジアセトンアルコール、1-ヒドロキシアセトン、アセトフェノン、メチルナフチルケトン、2-ヘプタノン等が挙げられる。
【0166】
エステル系溶剤としては、例えば、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸アミル、酢酸イソアミル、メトキシ酢酸エチル、エトキシ酢酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、2-メトキシブチルアセテート、3-メトキシブチルアセテート、4-メトキシブチルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、3-エチル-3-メトキシブチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、2-エトキシブチルアセテート、4-エトキシブチルアセテート、4-プロポキシブチルアセテート、2-メトキシペンチルアセテート、3-メトキシペンチルアセテート、4-メトキシペンチルアセテート、2-メチル-3-メトキシペンチルアセテート、3-メチル-3-メトキシペンチルアセテート、3-メチル-4-メトキシペンチルアセテート、4-メチル-4-メトキシペンチルアセテート、プロピレングリコールジアセテート、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、ギ酸ブチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、ピルビン酸ブチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸プロピル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸イソプロピル、2-ヒドロキシプロピオン酸メチル、2-ヒドロキシプロピオン酸エチル、メチル-3-メトキシプロピオネート、エチル-3-メトキシプロピオネート、エチル-3-エトキシプロピオネート、プロピル-3-メトキシプロピオネー等が挙げられる。
【0167】
ニトリル系溶剤としては、例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、バレロニトリル等が挙げられる。
【0168】
上記現像液を使用して上記露光されたレジスト膜を現像する方法は、特に限定されず、公知慣用の方法を用いることができる。上記現像液を用いて現像する方法としては、例えば、露光後のレジスト膜を有する基板を、上記現像液中に一定時間浸漬する方法(ディップ法)、露光後のレジスト膜の表面に上記現像液を噴霧する方法(スプレー法)、一定速度で回転している基板上の露光後のレジスト膜の表面に向けて、吐出ノズルから上記現像液を一定速度で吐出する方法(ダイナミックディスペンス法)等が挙げられる。
【0169】
<リンス液>
上記溶剤現像液により現像した後に、リンス液によって洗浄する工程を有していてもよい。リンス液としては、特に限定されず、公知慣用のものを用いることができる。リンス液としては、上記溶剤現像液に含まれる有機溶剤のうち、レジストパターンを溶解しにくいものを適宜選択して使用することができる。
【0170】
リンス液としては、特に限定されず、例えば、炭化水素系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤、及び、エーテル系溶剤からなる群から選択される少なくとも1種の有機溶剤を使用することができる。これらの中でも、リンス液としては、炭化水素系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、及び、アミド系溶剤からなる群から選択される少なくとも1種の有機溶媒を使用することが好ましく、アルコール系溶剤及びエステル系溶剤から成る群から選択される少なくとも1種を使用することがより好ましく、アルコール系溶剤を少なくとも1種使用することがさらに好ましい。
【0171】
リンス液に用いるアルコール系溶剤としては、炭素数6~8の1価アルコールが好ましく、当該1価アルコールは直鎖状、分岐状又は環状のいずれであってもよい。上記1価アルコールの具体例としては、1-ヘキサノール、1-ヘプタノール、1-オクタノール、2-ヘキサノール、2-ヘプタノール、2-オクタノール、3-ヘキサノール、3-ヘプタノール、3-オクタノール、4-オクタノール、ベンジルアルコール等が挙げられる。
これらの有機溶剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0172】
リンス液には、上記有機溶剤に加えて、さらに上記以外の有機溶剤又は水が含まれていてもよい。リンス液中に水が含まれる場合の水の含有割合としては、リンス液の全量に対して、30質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましく、5質量%以下であることがさらに好ましく、3質量%以下であることが特に好ましい。
【0173】
上記リンス液によりレジストパターンを洗浄する方法は、特に限定されず、公知慣用の方法を用いることができる。上記リンス液を用いて洗浄する方法としては、例えば、レジストパターンを上記リンス液中に一定時間浸漬する方法(ディップ法)、レジストパターンの表面に上記リンス液を噴霧する方法(スプレー法)、一定速度で回転しているレジストパターンの表面に向けて、吐出ノズルから上記リンス液を一定速度で吐出する方法(ダイナミックディスペンス法)等が挙げられる。
【実施例0174】
以下、実施例を示して本発明について具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0175】
[1.(B)成分の合成]
<合成例1:ヘキサキス(ビス(2-トリフルオロメチルフェニル)フェニルスルホニウム)メタタングステート(B-1)>
【化18】
【0176】
ビス(2-トリフルオロメチルフェニル)フェニルスルホニウムクロライド6.68gを純水99.36gに溶解させ、アンモニウムメタタングステート(メタタングステン酸アンモニウム水和物((NH[H1240]・xHO))6.88gを添加し、反応液を室温で30分撹拌した。反応液を濾過して得られた粉体を18時間室温で減圧乾燥させた。乾燥後の粉末をジメチルホルムアミド100gに溶解させた後、メタノール335gを添加し、室温で結晶化させて目的化合物を取得した。
H-NMR(400MHz、DMSO-D6):δ(ppm)=5.97(s、0.33H)、7.65-8.35(m、13H).
183W-NMR(20.84MHz、DMSO-D6):δ(ppm)=100.13(s、12W).
ESI-MS:NEGATIVE m/z 712.3(中央値)([H12404-
【0177】
<合成例2:トリス(フェニルビス(2-(トリフルオロメチル)フェニル)スルホニウム)リンタングステート(B-2)>
【化19】
【0178】
フェニルビス(2-(トリフルオロメチル)フェニル)スルホニウムクロライド27.95gをシクロヘキサノン50gに溶解させ、リンタングステン酸(H[PW1240]・30HO)41.97gを添加し、反応液を室温で2時間撹拌した。反応液を濾過して得られた粉体を18時間室温で減圧乾燥させた。乾燥後の粉末をジクロロメタンとアセトニトリルを用いて室温で結晶化させて目的化合物を取得した。
H-NMR(400MHz,DMSO-D6):δ(ppm)=7.63-8.36(m,39H).
183W-NMR(20.84MHz、DMSO-D6):δ(ppm)=-86.7(s、12W).
ESI-MS:NEGATIVE m/z 959(中央値)([PW12403-
【0179】
<合成例3:テトラキス(フェニルビス(2-(トリフルオロメチル)フェニル)スルホニウム)ケイタングステート(B-3)>
【化20】
【0180】
フェニルビス(2-(トリフルオロメチル)フェニル)スルホニウムクロライド37.26gをシクロヘキサノン50gに溶解させ、ケイタングステン酸(H[SiW1240]・26HO)41.06gを添加し、反応液を室温で2時間撹拌した。反応液を濾過して得られた粉体を18時間室温で減圧乾燥させた。乾燥後の粉末をジクロロメタンとアセトニトリルを用いて室温で結晶化させて目的化合物を取得した。
H-NMR(400MHz,DMSO-D6):δ(ppm)=7.63-8.34(m,52H).
183W-NMR(20.84MHz,DMSO-D6):δ(ppm)=-92.7(s12W).
ESI-MS:NEGATIVE m/z 718.5(中央値)([SiW12404-
【0181】
<合成例4:トリス(ビス(3.5-ジフルオロフェニル)フェニルスルホニウム)リンタングステート(B-4)>
【化21】
【0182】
ビス(3.5-ジフルオロフェニル)フェニルスルホニウムクロライド41.26gをシクロヘキサノン50gに溶解させ、リンタングステン酸(H[PW1240]・30HO)41.97gを添加し、反応液を室温で2時間撹拌した。反応液を濾過して得られた粉体を18時間室温で減圧乾燥させた。乾燥後の粉末をジクロロメタンとアセトニトリルを用いて室温で結晶化させて目的化合物を取得した。
H-NMR(400MHz,DMSO-D6):δ(ppm)=7.63-7.98(m,33H).
183W-NMR(20.84MHz,DMSO-D6):δ(ppm)=-86.7(s,12W).
ESI-MS:NEGATIVE m/z 959(中央値)([PW12403-
【0183】
<合成例5:トリス(ビス(4-tert-ブチルフェニル)ヨードニウム)リンタングステート(B-5)>
【化22】
【0184】
ビス(4-tert-ブチルフェニル)ヨードニウムクロライド27.57gをシクロヘキサノン50gに溶解させ、リンタングステン酸(H[PW1240]・30HO)41.97gを添加し、反応液を室温で2時間撹拌した。反応液を濾過して得られた粉体を18時間室温で減圧乾燥させた。乾燥後の粉末をジクロロメタンとアセトニトリルを用いて室温で結晶化させて目的化合物を取得した。
H-NMR(400MHz,DMSO-D6):δ(ppm)=8.19(d,12H),7.51(d,12H),1.22(s,54H).
183W-NMR(20.84MHz,DMSO-D6):δ(ppm)=-86.7(s,12W).
ESI-MS:NEGATIVE m/z 959(中央値)([PW12403-
【0185】
[2.酸発生剤としての(B)成分の評価]
[2-1.試験用レジスト組成物の調製]
試験用レジスト組成物として、(A)成分、(B)成分、(C-1)成分、(C-2)成分を下記表1に示す含有量(単位:質量部)になるように配合し、有機溶剤(S-1)(プロピレングリコールメチルエーテルアセテート:ジメチルホルムアミド:乳酸エチル=3:17:80)を用いて、各試験用レジスト組成物の固形分濃度が1.15質量%になるように調整した試験用レジスト組成物R1-1~R1-6を得た。また、(A)成分、(B)成分を下記表1に示す含有量(単位:質量部)になるように配合し、有機溶剤(S-2)(プロピレングリコールメチルエーテルアセテート:シクロヘキサノン=95:5)を用いて、試験用レジスト組成物の固形分濃度が0.20質量%になるように調整した試験用レジスト組成物R1-7を得た。
【0186】
表1記載の(A)成分、(C-1)及び(C-2)成分の詳細は以下のとおりである。(B)成分は、それぞれ上記で合成したポリ酸塩B-1~B-5を用いた。なお、各成分の配合量は固形分での値を示す。
<(A)成分>
・A-1:下記式(A-1)で表される、酸解離性基を有する構造単位(a1-1-1)と、フェノール性水酸基を有する構造単位(a2-1-1)を共重合させた樹脂((a1-1-1)と(a2-1-1)のモル比は60:40)。GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は7000。
【化23】
・A-2:下記式(A-2)で表される、酸解離性基を有する構造単位(a1-1-2)と、ラクトン含有脂環式基を有する構造単位(a3-1-1)と、極性基含有ヒドロカルビル基を有する構造単位(a4-1-1)を共重合させた樹脂((a1-1-2)と(a3-1-1)と(a4-1-1)のモル比は40:40:20)。GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算のMwは10000。
【化24】
【0187】
<(C-1)成分>
・C-1-1:下記式(C-1-1)で表される、2-((アダマンタン-1-カルボニル)オキシ)-1,1-ジフルオロエタン-1-スルホン酸アニオンとフェニルビス(2-(トリフルオロメチル)フェニル)スルホニウムカチオンとの塩である酸発生剤。
【化25】
【0188】
<(C-2)成分>
・C-2-1:下記式(C-2-1)で表される、サリチル酸アニオンとフェニルビス(2-(トリフルオロメチル)フェニル)スルホニウムカチオンとの塩である酸拡散制御剤。
【化26】
【0189】
【表1】
【0190】
[2-2.試験用膜の作製(KrF露光装置)、現像及びその評価]
<試験用膜の作製>
ヘキサメチルジシラザン(HDMS)処理を施した8インチシリコン基板上に、試験用レジスト組成物R1-1~R1-6を、スピンナーを用いて塗布し(1500rpm)、ホットプレート上で温度110℃、60秒間のポストアプライベーク(PAB)処理を行い、乾燥することで、膜厚25nmのレジスト膜を形成した。なお、形成されたレジスト膜の平均厚みは、膜厚測定装置(J.A.Woollam社製の「M-2000D」)で測定した。
【0191】
上記レジスト膜に対してKrF露光装置(株式会社NIKON社製の「NSR-S203B」、NA(開口数)=0.68、σ=0.75)を用いて、オープンフレーム露光により、露光量0mJ/cm(未露光)、5mJ/cm、10mJ/cm、60mJ/cmの部分と露光条件を変えて露光を行った。
露光後に、露光後加熱(ポストエクスポージャーベーク(PEB))処理を100℃で60秒間行い、試験用膜M1-1~M1-6を作製した。
【0192】
<試験用膜の現像及びその評価>
上記各試験用膜を23℃にて、2.38質量%TMAH水溶液(商品名「NMD-3」:東京応化工業株式会社製)を用いて、60秒間アルカリ現像を行った。その後、純水を用いて15秒間リンスを行った。
各試験用膜において現像後の膜厚(平均厚み)を上記膜厚測定装置で測定した結果、表2に示す結果が得られた。
【0193】
【表2】
【0194】
表2から、酸発生剤としてC-1-1を用いた場合に比べて、それより少し弱い酸を発生する(B)成分を酸発生剤として用いた場合の方が、(A)成分の現像液に対する溶解性を変化させるにあたってより多くの露光量を必要とすることが分かる。
また(B)成分において、一般にpKaの値が、リンタングステン酸<ケイタングステン酸<メタタングステン酸の順序であることが知られている。(B)成分のアニオン部がリンタングステン酸アニオンである酸発生剤を含むM1-3、M1-5及びM1-6に比べて、(B)成分のアニオン部がケイタングステン酸アニオンである酸発生剤を含むM1-4、(B)成分のアニオン部がメタタングステン酸アニオンである酸発生剤を含むM1-2では、(A)成分の現像液に対する溶解性を変化させるにあたってより多くの露光量を必要とすることが分かる。
さらに(B)成分において、(B)成分のカチオン部を、M1-3、M1-5及びM1-6のように、フェニルビス(2-(トリフルオロメチル)フェニル)スルホニウム、ビス(3,5-ジフルオロフェニル)フェニルスルホニウム、ビス(4-tert-ブチルフェニル)ヨードニウムとオニウムカチオンの種類、オニウムカチオン上の電子求引基・電子供与基等の置換基を変化させること等で、(A)成分の現像液に対する溶解性を変化させるにあたって必要となる露光量を微調整できることが分かる。
【0195】
このため、表2の結果から(B)成分のアニオン部及びカチオン部の組み合わせによって、酸強度、(A)成分の現像液に対する溶解性を変化させるにあたって必要となる露光量等の感度、さらには解像性を適宜調整できることが分かる。
[2-3.試験用膜の作製(ArF露光装置)、現像及びその評価]
<試験用膜の作製>
12インチシリコン基板上に、有機系反射防止膜用材料をスピンナーを用いて塗布し、ホットプレート上で温度205℃、60秒間の熱処理を行い、膜厚85nmの反射防止膜を形成した。その後、試験用レジスト組成物R1-7を、スピンナーを用いて塗布し(1500rpm)ホットプレート上で温度110℃、60秒間のポストアプライベーク(PAB)処理を行い、乾燥することで、膜厚100nmのレジスト膜を形成した。なお、形成されたレジスト膜の平均厚みは、膜厚測定装置(J.A.Woollam社製の「M-2000D」)で測定した。
上記レジスト膜に対してArF露光装置(株式会社NIKON社製の「NSR-S-308F」、NA(開口数)=0.92、σ=0.95)を用いて、露光を行った。
露光後に、露光後加熱(ポストエクスポージャーベーク(PEB))処理を130℃で60秒間行った。
【0196】
<試験用膜の現像及びその評価>
上記各試験用膜を23℃にて、2.38質量%TMAH水溶液(商品名「NMD-3」:東京応化工業株式会社製)を用いて、60秒間アルカリ現像を行った。その後、純水を用いて15秒間リンスを行った。
作成した基板は、(株)日立ハイテク社製の電子顕微鏡CG-5000を用いて寸法測定、40mJ/cmの露光量で100nmのラインアンドスペースパターンが解像していることを確認した。
以上より、本発明に係る(B)成分が単独でも酸発生剤として機能していることを確認できた。
【0197】
[3.酸拡散制御剤としての(B)成分の評価]
[3-1.試験用レジスト組成物の調製]
試験用レジスト組成物として、(A)成分、(B)成分、(C-1)成分を下記表3に示す含有量(単位:質量部)になるように配合し、有機溶剤(S-1)(プロピレングリコールメチルエーテルアセテート:ジメチルホルムアミド:乳酸エチル=3:17:80)を用いて、各試験用レジスト組成物の固形分濃度が1.15質量%になるように調整し、試験用レジスト組成物R2-1~R2-6を調製した。
【0198】
表3記載の(A)成分、(B)成分及び(C-1)の詳細は上述したとおりである。なお、各成分の配合量は固形分での値を示す。
【0199】
【表3】
【0200】
[3-2.試験用膜の作製]
上記試験用レジスト組成物R2-1~R2-6を用いて上述したのと同様の方法により試験用膜M2-1~M2-6を作製した。
【0201】
[3-3.試験用膜の現像及びその評価]
上記各試験用膜を23℃にて、2.38質量%TMAH水溶液(商品名「NMD-3」:東京応化工業株式会社製)を用いて、60秒間アルカリ現像を行った。その後、純水を用いて15秒間リンスを行った。
各試験用膜において現像後の膜厚(平均厚み)を上記膜厚測定装置で測定した結果、表4に示す結果が得られた。
【0202】
【表4】
【0203】
表2のM1-1の結果と表4のM2-1の結果とを対比すると、酸発生剤C-1-1に加えて酸拡散制御剤C-2-1が含まれているM1-1に比べて、酸発生剤C-1-1が含まれているものの酸拡散制御剤C-2-1が含まれていないM2-1では、より少ない量の露光量で(A)成分の現像液に対する溶解性の変化が生じていることが分かる。
これに対して、表4に示すとおり(B)成分を所定の量含有させることにより、表4のM2-2~M2-6の結果から分かるとおり、M2-1の場合に比べて、(A)成分の現像液に対する溶解性を変化させるにあたってより多くの露光量を必要とし、酸発生剤であるC-1-1から生じる酸の拡散が制御されていることが分かる。
このため、表4の結果から、上記(B)成分は、酸拡散制御剤としても有用に使用できることが分かる。
【0204】
また上述のとおり、一般にpKaの値については、リンタングステン酸<ケイタングステン酸<メタタングステン酸の順序であることが知られている。そして(B)成分のアニオン部がリンタングステン酸アニオンである酸発生剤を含むM2-3、M2-5及びM2-6に比べて、(B)成分のアニオン部がメタタングステン酸アニオンである酸発生剤を含むM2-2、及び、(B)成分のアニオン部がケイタングステン酸アニオンである酸発生剤を含むM2-4では、(A)成分の現像液に対する溶解性を変化させるにあたってより多くの露光量が必要になることが分かる。これは、pKaの値がより大きいメタタングステン酸アニオン、又は、ケイタングステン酸アニオンの方が、リンタングステン酸アニオンに比べて、プロトンを保持する能力が高いことに起因するものと考えられる。
さらに(B)成分において、(B)成分のカチオン部を、M2-3、M2-5及びM2-6のように、フェニルビス(2-(トリフルオロメチル)フェニル)スルホニウム、ビス(3,5-ジフルオロフェニル)フェニルスルホニウム、ビス(4-tert-ブチルフェニル)ヨードニウムと、オニウムカチオンの種類、オニウムカチオン上の電子求引基・電子供与基等の置換基を変化させること等で、(A)成分の現像液に対する溶解性を変化させるにあたって必要となる露光量を微調整できることが分かる。これは、(B)成分が酸拡散制御剤として機能する際に、(B)成分のアニオン部に対して、(B)成分のカチオン部とプロトンとでどちらが結合しやすいかで平衡状態を形成することに起因するものと考えられる。
【0205】
このため、表4の結果から、(B)成分のアニオン部及びカチオン部の組み合わせによって、(B)成分の酸拡散制御剤としての強さ、(A)成分の現像液に対する溶解性を変化させるにあたって必要となる露光量等の感度、さらには解像性を適宜微調整できることが分かる。