(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024169105
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】洗浄液、並びに、基板の洗浄方法及び半導体素子の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20241128BHJP
H01L 21/3213 20060101ALI20241128BHJP
C11D 7/32 20060101ALI20241128BHJP
C11D 7/50 20060101ALI20241128BHJP
C11D 7/26 20060101ALI20241128BHJP
H01L 21/308 20060101ALN20241128BHJP
【FI】
H01L21/304 647A
H01L21/88 D
C11D7/32
C11D7/50
C11D7/26
H01L21/308 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023086305
(22)【出願日】2023-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】000220239
【氏名又は名称】東京応化工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100189337
【弁理士】
【氏名又は名称】宮本 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100178847
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 映美
(74)【代理人】
【識別番号】100211122
【弁理士】
【氏名又は名称】白石 卓也
(72)【発明者】
【氏名】芹澤 航平
(72)【発明者】
【氏名】内田 江美
【テーマコード(参考)】
4H003
5F033
5F043
5F157
【Fターム(参考)】
4H003DA09
4H003DA12
4H003DA15
4H003DB01
4H003DC02
4H003EA23
4H003EB04
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5F033GG04
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5F157BF73
5F157DA01
(57)【要約】
【課題】ドライエッチング後の素子に付着しているチタン成分含有残渣の除去性が良好であり、安全性が高められた洗浄液、並びに、この洗浄液を用いた、基板の洗浄方法及び半導体素子の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明は、チタン成分を含むエッチング残渣を除去するための洗浄液であって、一般式(a1)で表される化合物を含有し、23℃で測定されるpHが6以上である洗浄液を採用する。一般式(a1)中、Rは、有機基又は水素原子である。
[化1]
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チタン成分を含むエッチング残渣を除去するための洗浄液であって、
下記一般式(a1)で表される化合物(A)を含有し、
23℃で測定されるpHが6以上である、洗浄液。
【化1】
[式中、Rは、有機基又は水素原子である。]
【請求項2】
23℃で測定されるpHが、7~13である、請求項1に記載の洗浄液。
【請求項3】
さらに、塩基を含有する、請求項1に記載の洗浄液。
【請求項4】
さらに、有機溶剤を含有する、請求項1に記載の洗浄液。
【請求項5】
前記塩基が、アンモニア、アルカノールアミン、水酸化テトラアルキルアンモニウム、トリアミン及びジアミンからなる群より選択される少なくとも一種である、請求項3に記載の洗浄液。
【請求項6】
前記化合物(A)の含有量が、洗浄液の総質量に対して、0.01~30質量%である、請求項1に記載の洗浄液。
【請求項7】
さらに、カルボン酸(前記化合物(A)に該当するものを除く)を含有する、請求項3に記載の洗浄液。
【請求項8】
前記カルボン酸が、ジカルボン酸、ヒドロキシ酸、脂肪酸及びアミノ酸からなる群より選択される少なくとも一種である、請求項7に記載の洗浄液。
【請求項9】
前記カルボン酸が、シュウ酸、乳酸、酒石酸、クエン酸、酢酸及びグリシンからなる群より選択される少なくとも一種である、請求項8に記載の洗浄液。
【請求項10】
チタン成分含有層を含む基板においてドライエッチングが行われた後の、前記基板の洗浄に用いられる、請求項1に記載の洗浄液。
【請求項11】
配線プロセスにより、チタン成分含有ハードマスクを用いてドライエッチングが行われた後の基板の洗浄に用いられる、請求項10に記載の洗浄液。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の洗浄液を用いて、チタン成分を含むエッチング残渣が付いた基板を洗浄する工程(P1)を含む、基板の洗浄方法。
【請求項13】
前記工程(P1)で、前記洗浄液を用いて前記基板を洗浄する操作を10~80℃の条件下で行う、請求項12に記載の基板の洗浄方法。
【請求項14】
前記基板が、チタン成分含有層を含む基板においてドライエッチングが行われた後の基板である、請求項12に記載の基板の洗浄方法。
【請求項15】
前記基板が、配線プロセスにより、チタン成分含有ハードマスクを用いてドライエッチングが行われた後の基板である、請求項14に記載の基板の洗浄方法。
【請求項16】
請求項1~11のいずれか一項に記載の洗浄液を用いて、チタン成分を含むエッチング残渣が付いた基板を洗浄する工程(P1)を含む、半導体素子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄液、並びに、基板の洗浄方法及び半導体素子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
配線形成工程において、例えば、基板と、金属配線層と、シリコン系の層間絶縁膜とがこの順に積層した層間絶縁膜上に、ハードマスク層(HM層)を形成し、このHM層をエッチングして配線パターンの原型を形成する。HM層には、窒化チタン(TiN)や酸化チタン(TiOx)等のチタン成分が含まれる。
次に、エッチングされたHM層をマスクとして層間絶縁膜をドライエッチングし、マスクと同様の配線パターンを作製する。次に、HM層を除去し、電解メッキによって、例えば銅金属膜が配線パターン形状の層間絶縁膜に埋め込まれる。
ドライエッチング後の素子(基板/金属配線層/層間絶縁膜/HM層)には、金属配線層由来の無機物含有残渣と、層間絶縁膜やエッチングガス由来の有機物含有残渣と、HM層由来のチタン成分含有残渣とが付着している。
【0003】
ドライエッチング残渣は、従来、洗浄処理により除去されている。
ドライエッチング残渣を除去する洗浄液としては、残渣除去剤としてヒドロキシルアミンと、アルカノールアミンとを含有する洗浄液が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ドライエッチング後の素子に付着しているHM層由来のチタン成分含有残渣は、ウェット耐性が高く、洗浄処理による除去が難しい残渣である。
特許文献1に記載された洗浄液を用いた場合、チタン成分含有残渣の除去に有効であるものの、ヒドロキシルアミンの安全性の点から、残渣除去剤の代替が望まれる。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、ドライエッチング後の素子に付着しているチタン成分含有残渣の除去性が良好であり、安全性が高められた洗浄液、並びに、この洗浄液を用いた、基板の洗浄方法及び半導体素子の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明は以下の構成を採用した。
【0008】
本発明の第1の態様は、チタン成分を含むエッチング残渣を除去するための洗浄液であって、下記一般式(a1)で表される化合物(A)を含有し、23℃で測定されるpHが6以上である、洗浄液である。
【0009】
【化1】
[式中、Rは、有機基又は水素原子である。]
【0010】
本発明の第2の態様は、前記第1の態様に係る洗浄液を用いて、チタン成分を含むエッチング残渣が付いた基板を洗浄する工程(P1)を含む、基板の洗浄方法である。
【0011】
本発明の第3の態様は、前記第1の態様に係る洗浄液を用いて、チタン成分を含むエッチング残渣が付いた基板を洗浄する工程(P1)を含む、半導体素子の製造方法である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ドライエッチング後の素子に付着しているチタン成分含有残渣の除去性が良好であり、安全性が高められた洗浄液、並びに、この洗浄液を用いた、基板の洗浄方法及び半導体素子の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】洗浄対象とする、ドライエッチング後の素子の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1の態様:洗浄液)
本発明の第1の態様に係る洗浄液は、チタン成分を含むエッチング残渣を除去するための洗浄液である。
ここでいう「チタン成分」とは、チタン(Ti)を含む化合物であり、チタンの酸化物TiOx、チタンの窒化物TiNx、チタンの塩化物TiClx、チタンのフッ化物TiFx等が挙げられる。
エッチング残渣としては、特にドライエッチング残渣であり、例えば配線プロセスで付着するチタン成分含有層(接着層、ハードマスク層、エッチング停止層など)由来のチタン成分含有残渣が挙げられる。ドライエッチング残渣は、半導体の歩留まりや電気特性を悪化させるため、次工程の前に除去する必要がある。
本態様に係る洗浄液は、ドライエッチングが行われた後の基板の洗浄用として好適なものであり、特に、配線プロセスにより、チタン成分含有ハードマスクを用いてドライエッチングが行われた後の基板の洗浄用として好適なものである。
本態様に係る洗浄液において、洗浄対象である「ドライエッチングが行われた後の基板」は、チタン成分含有層を含むものであり、基板単体、基板を備えた素子を包含するものとする。
【0015】
本態様に係る洗浄液の一実施形態は、下記一般式(a1)で表される化合物(A)と、溶媒とを含有するものであって、23℃で測定されるpHが6以上の洗浄液である。
【0016】
【化2】
[式中、Rは、有機基又は水素原子である。]
【0017】
<化合物(A)>
本実施形態の洗浄液は、一般式(a1)で表される化合物(A)(以下「(A)成分」ともいう)を含有する。洗浄液中、(A)成分は、残渣除去剤として用いられる。残渣除去剤として、(A)成分を用いることにより、洗浄液のチタン成分含有残渣の除去効果が高められる。加えて、(A)成分は、残渣除去剤として従来汎用のヒドロキシルアミンに比べて安全性が高いものである。
【0018】
前記式(a1)中、Rにおける有機基としては、置換基を有してもよい炭化水素基が挙げられる。前記炭化水素基は、脂肪族炭化水素基でもよく、芳香族炭化水素基でもよいが、脂肪族炭化水素基が好ましい。
Rにおける脂肪族炭化水素基は、炭素原子数1~10が好ましく、炭素原子数1~6がより好ましく、炭素原子数1~4がさらに好ましい。
Rにおける脂肪族炭化水素基は、飽和脂肪族炭化水素基でもよく、不飽和脂肪族炭化水素基でもよいが、飽和脂肪族炭化水素基が好ましい。
Rにおける脂肪族炭化水素基は、鎖状でもよく、環状でもよいが、鎖状が好ましい。
中でも、Rにおける脂肪族炭化水素基としては、直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基が好ましい。
Rにおける直鎖状のアルキル基は、炭素原子数1~6が好ましく、炭素原子数1~3がより好ましく、メチル基又はエチル基がさらに好ましく、メチル基が特に好ましい。Rにおける分岐鎖状のアルキル基は、炭素原子数3又は4が好ましく、炭素原子数4がより好ましい。
【0019】
Rは、炭素原子数1~6の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は水素原子が好ましく、炭素原子数1~4の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は水素原子がより好ましく、メチル基、エチル基、tert-ブチル基又は水素原子がさらに好ましい。
【0020】
以下に、(A)成分の具体例を示す。
【0021】
【0022】
本実施形態の洗浄液において、(A)成分は、それぞれ1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
洗浄液が2種以上の(A)成分を含有する場合、それぞれの含有量の比率は限定されないが、1種の(A)成分の含有量に対する他の(A)成分の含有量の比率が、質量比で1~10000であることが好ましく、1~5000であることがより好ましく、1~3000であることが更に好ましく、1~1000であることが特に好ましい。
(A)成分としては、中でも、カルバジン酸アルキルエステル及びカルバジン酸からなる群より選択される少なくとも一種が好ましく、カルバジン酸メチル、カルバジン酸エチル、カルバジン酸tert-ブチル及びカルバジン酸からなる群より選択される少なくとも一種がより好ましく、カルバジン酸メチル及びカルバジン酸からなる群より選択される少なくとも一種がさらに好ましい。
本実施形態の洗浄液における(A)成分の含有量は、特に限定されないが、洗浄液の全質量に対し、0.01質量%以上30質量%以下が好ましく、0.05質量%以上30質量%以下がより好ましく、0.5質量%以上30質量%以下がさらに好ましい。
(A)成分の含有量が前記の好ましい範囲の下限値以上であると、洗浄処理において、ドライエッチング後のチタン成分含有残渣の除去性がより高められる。一方、(A)成分の含有量が前記の好ましい範囲の上限値以下であると、金属配線へのダメージがより抑制される。
【0023】
<溶媒>
本実施形態の洗浄液は、溶媒として水を含有することが好ましい。
水は、不可避的に混入する微量成分を含んでいてもよい。本実施形態の洗浄液に用いてもよい水は、蒸留水、イオン交換水及び超純水などの浄化処理を施した水が好ましく、半導体製造に一般的に使用される超純水を用いることがより好ましい。
本実施形態の洗浄液において、水は、(A)成分及び必要に応じて配合される後述の任意成分の合計含有量と合わせて100質量%となるように配合することができる、すなわち、水の含有量は残分とすることができる。
本実施形態の洗浄液は、溶媒として水以外に、後述の有機溶剤を含有してもよいし、水と有機溶剤とを併用してもよい。
【0024】
<任意成分>
本実施形態の洗浄液は、上記(A)成分及び溶媒に加えて、任意成分を含んでもよい。任意成分としては、塩基、カルボン酸(前記化合物(A)に該当するものを除く)、防食剤、緩衝剤、有機溶剤、界面活性剤、pH調整剤等が挙げられる。
【0025】
≪塩基≫
本実施形態の洗浄液は、前記(A)成分に加え、さらに、塩基を含有することが好ましい。この塩基を含有することにより、洗浄液のpHを高く調整することができ、(A)成分のチタン成分含有残渣の除去効果が発現しやすくなる。
塩基としては、アミン及びアンモニウム化合物からなる群より選択されるものが挙げられる。
【0026】
塩基におけるアミンとしては、アンモニア(NH3)、第1級モノアミン、第2級モノアミン、第3級モノアミン、アルカノールアミン、第2級環状アミン、第3級環状アミン、第4級環状アミン、ジアミン、ポリアミンが挙げられる。
【0027】
第1級モノアミンとしては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、n-ブチルアミン、イソプロピルアミン、tert-ブチルアミン等のアルキルアミン;シクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミン、シクロヘキサンメチルアミン等のシクロアルキルアミン;メトキシエチルアミン、メトキシプロピルアミン、メトキシブチルアミン、エトキシプロピルアミン、プロポキシプロピルアミン等のアルコキシアミン;等が挙げられる。
【0028】
第2級モノアミンとしては、ジメチルアミン、ジエチルアミン、メチルエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、ジイソブチルアミン、ブチルメチルアミン等のアルキルアミン;N,N-ジシクロヘキシルアミン、N-シクロペンチルシクロヘキサンアミン等のシクロアルキルアミン;メトキシ(メチルアミン)、N-(2-メトキシエチル)エチルアミン等のアルコキシアミン;等が挙げられる。
【0029】
第3級モノアミンとしては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリイソブチルアミン、ジメチルエチルアミン、ジメチルプロピルアミン、アリルジエチルアミン、ジメチル-n-ブチルアミン、ジエチルイソプロピルアミン等のアルキルアミン;トリシクロペンチルアミン、トリシクロヘキシルアミン等のシクロアルキルアミン;等が挙げられる。
【0030】
アルカノールアミンとしては、モノエタノールアミン、2-アミノエタノール、1-アミノ-2-プロパノール、2-アミノ-1-プロパノール、4-アミノ-1-ブタノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、2-(2-アミノエトキシ)エタノール、N-メチルエタノールアミン、N-エチルエタノールアミン、N-メチルプロパノールアミン、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、2-[(ヒドロキシメチル)アミノ]エタノール、4-メチルアミノブタノール、3-ピペリジンメタノール、4-ピペリジンメタノール、2-ピペリジンエタノール、4-ピペリジンエタノール、N,N-ジメチルエタノールアミン、N,N-ジメチルプロパノールアミン、N,N-ジエチルエタノールアミン、N-エチルジエタノールアミン、N-メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン等が挙げられる。
【0031】
第2級環状アミンとしては、ピペリジン類(ピペリジン骨格を有する化合物)、ピロリジン類(ピロリジン骨格を有する化合物)、モルホリン類(モルホリン骨格を有する化合物)等が挙げられる。第2級環状アミンであるピペリジン類としては、ピペリジン、2-ピペコリン、3-ピペコリン、4-ピペコリン、2,6-ジメチルピペリジン、3,5-ジメチルピペリジン等が挙げられる。ピロリジン類としては、ピロリジン、2-メチルピロリジン、3-メチルピロリジン等が挙げられる。モルホリン類としては、モルホリン、2-メチルモルホリン、3-メチルモルホリン等が挙げられる。
【0032】
第3級環状アミンとしては、ピペリジン類、ピロリジン類、モルホリン類等が挙げられる。ピペリジン類としては、N-メチルピペリジン等が挙げられる。ピロリジン類としては、N-メチルピロリジン等が挙げられる。モルホリン類としては、N-メチルモルホリン等が挙げられる。
【0033】
第4級環状アミンとしては、ピペリジン類、ピロリジン類、モルホリン類等のフッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硫酸塩、硫酸水素塩、酢酸塩等が挙げられる。
【0034】
ジアミンは、第1級ジアミン、第2級ジアミン及び第3級ジアミンのいずれであってもよい。第1級ジアミンとしては、2-(2-アミノエチルアミノ)エタノール、エチレンジアミン、ブタン1,4-ジアミン、1,3-プロパンジアミン、1,6-ヘキサンジアミン、ペンタン-1,5-ジアミン等が挙げられる。第2級ジアミンとしては、2-メチルピペラジン、2,3-ジメチルピペラジン、2,5-ジメチルピペラジン、N,N'-ジメチルエタンジアミン、N,N'-ジメチルプロパンジアミン、N,N'-ジエチルエチレンジアミン、N,N'-ジエチルプロパンジアミン、N,N'-ジイソプロピルエチレンジアミン等が挙げられる。第3級ジアミンとしては、4-ジメチルアミノピリジン、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラエチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチル-1,3-ジアミノプロパン、N,N,N’,N’-テトラメチル-1,3-ジアミノブタン、N’,N’-テトラメチル-1,4-ジアミノブタン、N,N,N’,N’-テトラメチルフェニレンジアミン、1,2-ジピペリジノエタン等が挙げられる。
【0035】
ポリアミンは、3個以上のアミノ基を含む化合物であり、トリアミンが好ましい。ポリアミンは、第1級アミノ基、第2級アミノ基及び第3級アミノ基のいずれを含んでいてもよい。ポリアミンとしては、スペルミン、スペルミジン、3,3'-イミノビス(プロピルアミン)、N,N-ビス(3-アミノプロピル)メチルアミン、N,N-ビス(3-アミノプロピル)ブチルアミン、N-(3-アミノプロピル)-N-ドデシルプロパン-1,3-ジアミン、ジエチレントリアミン、N,N,N',N”,N”-ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N,N’,N”,N”-ペンタメチルジプロピレントリアミン、トリス[2-(ジメチルアミノ)エチル]アミン、2-アミノメチルピリミジン、1,4-ビス(3-アミノプロピル)ピペラジン、1-アミノ-4-シクロペンチルピペラジン、1-(2-ピリジル)ピペラジン等が挙げられる。
【0036】
塩基におけるアンモニウム化合物としては、第4級アミンの水酸化物、水酸化物以外の第4級アンモニウム塩が挙げられる。
【0037】
第4級アミンの水酸化物としては、水酸化テトラアルキルアンモニウムが好ましく、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラプロピルアンモニウム、水酸化ジメチルビス(2-ヒドロキシエチル)アンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム、水酸化テトラペンチルアンモニウム、水酸化トリス(2-ヒドロキシエチル)メチルアンモニウム、コリン、水酸化ジメチルジエチルアンモニウム、水酸化テトラエタノールアンモニウム、水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム、水酸化ベンジルトリエチルアンモニウム、水酸化ベンジルトリブチルアンモニウム等が挙げられる。
【0038】
水酸化物以外の第4級アンモニウム塩としては、第4級アンモニウムのフッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硫酸塩、硫酸水素塩、酢酸塩等が挙げられる。第4級アンモニウム塩の具体例としては、テトラエチルアンモニウムクロリド、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラプロピルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムクロリド、テトラペンチルアンモニウムクロリド、テトラエチルアンモニウムブロミド、テトラメチルアンモニウムブロミド、テトラプロピルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラペンチルアンモニウムブロミド、テトラエチルアンモニウムフルオリド、テトラメチルアンモニウムフルオリド、テトラプロピルアンモニウムフルオリド、テトラブチルアンモニウムフルオリド、テトラペンチルアンモニウムフルオリド、テトラエチルアンモニウムヨージド、テトラメチルアンモニウムヨージド、テトラプロピルアンモニウムヨージド、テトラブチルアンモニウムヨージド、テトラペンチルアンモニウムヨージド、テトラエチルアンモニウム硫酸水素塩、テトラメチルアンモニウム硫酸水素塩、テトラプロピルアンモニウム硫酸水素塩、テトラブチルアンモニウム硫酸水素塩等が挙げられる。
【0039】
本実施形態の洗浄液において、塩基は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
塩基の中でも、アンモニア、アルカノールアミン、水酸化テトラアルキルアンモニウム、トリアミン及びジアミンからなる群より選択される少なくとも一種を用いることが好ましく、アンモニア、モノエタノールアミン、水酸化テトラエチルアンモニウム、ジエチレントリアミン及び2-(2-アミノエチルアミノ)エタノールからなる群より選択される少なくとも一種を用いることがより好ましい。
これらの中でも、チタン成分含有残渣の除去性の点から、塩基として、アンモニア、水酸化テトラアルキルアンモニウム及びアルカノールアミンからなる群より選択される少なくとも一種を用いることが好ましく、アンモニア及び水酸化テトラアルキルアンモニウムからなる群より選択される少なくとも一種を用いることがより好ましい。
【0040】
本実施形態の洗浄液における塩基は、洗浄液の23℃で測定されるpHを6以上に調整する範囲で配合することができる。
例えば、本実施形態の洗浄液における塩基の含有量は、洗浄液の全質量に対し、0.01質量%以上30質量%以下であってもよく、0.05質量%以上20質量%以下であってもよく、0.5質量%以上15質量%以下であってもよい。
塩基の含有量が前記の範囲の下限値以上であると、洗浄処理において、チタン成分含有残渣の除去性がより高められる。一方、塩基の含有量が前記の範囲の上限値以下であると、(A)成分との併用効果が得られやすくなる。
【0041】
≪カルボン酸(前記化合物(A)に該当するものを除く)≫
本実施形態の洗浄液は、前記(A)成分及び塩基に加え、さらに、カルボン酸(前記化合物(A)に該当するものを除く)を含有してもよい。このカルボン酸を併用することにより、洗浄液における組成の緩衝能が大きくなることで、pHの調整が容易になる、また、洗浄液の経時安定性が向上する。
ここでのカルボン酸としては、例えば、ジカルボン酸、ヒドロキシ酸、脂肪酸及びアミノ酸からなる群より選択されるものが挙げられる。
【0042】
ジカルボン酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の脂肪族ジカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸;N-(2-アセトアミド)イミノ二酢酸(ADA)等が挙げられる。但し、ここでのジカルボン酸は、ヒドロキシ酸に該当するものを除くものとする。
【0043】
ヒドロキシ酸としては、グリコール酸、乳酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、ヒドロキシ酪酸、タルトロン酸、グリセリン酸、シトラマル酸、イソクエン酸、ロイシン酸、メバロン酸、パントイン酸、リシノール酸、リシネライジン酸、セレブロン酸、キナ酸、シキミ酸、グルコン酸、ジグリコール酸等が挙げられる。
【0044】
脂肪酸としては、炭素原子数1~22の脂肪酸が挙げられ、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸等が挙げられる。
【0045】
アミノ酸としては、グリシン、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン等が挙げられる。
【0046】
本実施形態の洗浄液において、カルボン酸は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
カルボン酸の中でも、ジカルボン酸、ヒドロキシ酸、脂肪酸及びアミノ酸からなる群より選択される少なくとも一種を用いることが好ましく、シュウ酸、乳酸、酒石酸、クエン酸、酢酸及びグリシンからなる群より選択される少なくとも一種を用いることがより好ましい。
これらの中でも、チタン成分含有残渣の除去性の点から、カルボン酸として、シュウ酸、乳酸及び酢酸からなる群より選択される少なくとも一種を用いることが好ましく、シュウ酸、乳酸を用いることがより好ましい。
【0047】
本実施形態の洗浄液がカルボン酸を含有する場合、洗浄液におけるカルボン酸の含有量は、洗浄液の全質量に対し、0.01質量%以上30質量%以下であってもよく、0.05質量%以上20質量%以下であってもよく、0.5質量%以上15質量%以下であってもよい。
カルボン酸の含有量が前記の範囲の下限値以上であると、洗浄液における組成の緩衝能が大きくなりやすくなる。一方、カルボン酸の含有量が前記の範囲の上限値以下であると、塩基との併用効果が得られやすくなる。
【0048】
≪防食剤≫
本実施形態の洗浄液は、防食剤を含有してもよい。
防食剤としては、例えば、トリアゾール環、イミダゾール環、ピリジン環、フェナントロリン環、テトラゾール環、ピラゾール環、ピリミジン環、プリン環等の含窒素複素環を含む化合物が挙げられる。
【0049】
≪緩衝剤≫
本実施形態の洗浄液は、緩衝剤を含有してもよい。緩衝剤は、洗浄液のpHの変化を抑制する作用を有する化合物である。
緩衝剤は、pH緩衝能を有する化合物であれば、特に限定されない。緩衝剤は、例えば、pKaが6~11の化合物を用いることができる。
緩衝剤としては、例えば、グッド緩衝剤が挙げられる。グッド緩衝剤としては、2-シクロヘキシルアミノエタンスルホン酸(CHES)、3-シクロヘキシルアミノプロパンスルホン酸(CAPS)、N-トリス(ヒドロキシメチル)メチル-3-アミノプロパンスルホン酸(TAPS)、4-(シクロヘキシルアミノ)-1-ブタンスルホン酸(CABS)、トリシン、ビシン、2-モルホリノエタンスルホン酸一水和物(MES)、ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノトリス(ヒドロキシメチル)メタン(Bis-Tris)、ピペラジン-1,4-ビス(2-エタンスルホン酸)(PIPES)、N-(2-アセトアミド)-2-アミノエタンスルホン酸(ACES)、2-ヒドロキシ-3-モルホリノプロパンスルホン酸(MOPSO)、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-2-アミノエタンスルホン酸(BES)、3-モルホリノプロパンスルホン酸(MOPS)、N-トリス(ヒドロキシメチル)メチル-2-アミノエタンスルホン酸(TES)、2-[4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジニル]エタンスルホン酸(HEPES)、3-[N-トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミノ]-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸(TAPSO)、ピペラジン-1,4-ビス(2-ヒドロキシプロパンスルホン酸)(POPSO)、4-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン-1-(2-ヒドロキシプロパン-3-スルホン酸)(HEPSO)、4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンプロパンスルホン酸(EPPS)等が挙げられる。
本実施形態の洗浄液は、緩衝剤を含有しなくてもよく、緩衝剤の具体例として例示した前記化合物の1種以上を含有しなくてもよい。
【0050】
≪有機溶剤≫
本実施形態の洗浄液は、有機溶剤を含有してもよい。有機溶剤は、水溶性有機溶剤が好ましい。有機溶剤を含有することにより、ポリマー等の有機物残渣を除去しやすくなる。
水溶性有機溶剤としては、例えば、イソプロパノール、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、フルフリルアルコール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール等のアルコール類;ジメチルスルホキシド;エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;N-メチルモルホリンN-オキシド等のモルフォリン類などが挙げられる。
【0051】
有機溶剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
有機溶剤の中でも、アルコール類、エーテル類及びモルフォリン類からなる群より選択される少なくとも一種を用いることが好ましく、アルコール類からなる群より選択される少なくとも一種を用いることがより好ましく、2-メチル-2,4-ペンタンジオールを用いることがさらに好ましい。
【0052】
本実施形態の洗浄液が有機溶剤を含有する場合、有機溶剤の含有量は、洗浄液の全質量に対し、0.05~90質量%が好ましく、0.1~75質量%がより好ましく、0.1~50質量%がさらに好ましく、0.1~25質量%が特に好ましい。
本実施形態の洗浄液は、有機溶剤又は水溶性有機溶剤を含有しなくてもよく、水溶性有機溶剤の具体例として例示した前記化合物の1種以上を含有しなくてもよい。
【0053】
洗浄液の溶媒として、水と有機溶剤との混合溶媒を用いる場合、有機溶剤の含有量は、洗浄液の全質量に対し、10~90質量%が好ましく、20~80質量%がより好ましく、25~75質量%がさらに好ましい。
【0054】
≪界面活性剤≫
本実施形態の洗浄液は、基板に対する洗浄液の濡れ性の調整の目的等のために、界面活性剤を含有してもよい。界面活性剤としては、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤が挙げられる。
【0055】
ノニオン界面活性剤としては、例えば、ポリアルキレンオキサイドアルキルフェニルエーテル系界面活性剤、ポリアルキレンオキサイドアルキルエーテル系界面活性剤、ポリエチレンオキサイドとポリプロピレンオキサイドからなるブロックポリマー系界面活性剤、ポリオキシアルキレンジスチレン化フェニルエーテル系界面活性剤、ポリアルキレントリベンジルフェニルエーテル系界面活性剤、アセチレンポリアルキレンオキサイド系界面活性剤等が挙げられる。
【0056】
アニオン界面活性剤としては、例えば、アルキルスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルナフタレンスルホン酸、アルキルジフェニルエーテルスルホン酸、脂肪酸アミドスルホン酸、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸、ポリオキシエチレンアルキルエーテルプロピオン酸、アルキルホスホン酸、脂肪酸の塩等が挙げられる。「塩」としてはアンモニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、テトラメチルアンモニウム塩等が挙げられる。
【0057】
カチオン界面活性剤としては、例えば、アルキルピリジウム系界面活性剤、第4級アンモニウム塩系界面活性剤等が挙げられる。
【0058】
両性界面活性剤としては、例えば、ベタイン型界面活性剤、アミノ酸型界面活性剤、イミダゾリン型界面活性剤、アミンオキサイド型界面活性剤等が挙げられる。
【0059】
これらの界面活性剤は一般に商業的に入手可能である。界面活性剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本実施形態の洗浄液が界面活性剤を含有する場合、界面活性剤の含有量は、特に限定されないが、例えば、洗浄液の全質量に対し、0.0001質量%~5質量%が好ましく、0.0002質量%~3質量%がより好ましく、0.002質量%~1質量%がさらに好ましく、0.002質量%~0.2質量%が特に好ましい。
【0060】
本実施形態の洗浄液は、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤及び両性界面活性剤からなる群より選択される1種以上を含有しなくてもよく、これらの界面活性剤として例示した前記化合物の1種以上を含有しなくてもよい。本実施形態の洗浄液は、界面活性剤を含有しなくてもよい。
【0061】
≪pH調整剤≫
本実施形態の洗浄液は、所望のpHに調整するため、上記の塩基及びカルボン酸以外のpH調整剤を用いてもよい。このpH調整剤としては、無機酸、有機酸等が挙げられる。
【0062】
≪不純物等≫
本実施形態の洗浄液には、例えば、Fe原子、Cr原子、Ni原子、Zn原子、Ca原子又はPb原子等の金属原子を含む金属不純物が含まれていてもよい。
本実施形態の洗浄液における前記金属原子の合計含有量は、洗浄液の全質量に対し、好ましくは100質量ppt以下である。金属原子の合計含有量の下限値は、低いほど好ましいが、例えば、0.001質量ppt以上が挙げられる。金属原子の合計含有量は、例えば、0.001質量ppt~100質量pptが挙げられる。金属原子の合計含有量を前記好ましい上限値以下とすることで、洗浄液の欠陥抑制性や残渣抑制性が向上する。金属原子の合計含有量を前記好ましい下限値以上とすることで、金属原子が系中に遊離して存在しにくくなり、洗浄対象物全体の製造歩留まりに悪影響を与えにくくなると考えられる。
金属不純物の含有量は、例えば、フィルタリング等の精製処理により調整することができる。フィルタリング等の精製処理は、洗浄液を調製する前に、原料の一部又は全部に対して行ってもよく、洗浄液の調製後に行ってもよい。
【0063】
本実施形態の洗浄液には、例えば、有機物由来の不純物(有機不純物)が含まれていてもよい。本実施形態の洗浄液における前記有機不純物の合計含有量は、好ましくは、5000質量ppm以下である。有機不純物の含有量の下限は、低いほど好ましいが、例えば0.1質量ppm以上が挙げられる。有機不純物の合計含有量としては、例えば、0.1質量ppm~5000質量ppmが挙げられる。
【0064】
本実施形態の洗浄液には、例えば、光散乱式液中粒子計数器によって計数されるようなサイズの被計数体が含まれていてもよい。被計数体のサイズは、例えば、0.04μm以上である。本実施形態の洗浄液における被計数体の数は、例えば、洗浄液1mLあたり1,000個以下であり、下限値は例えば1個以上である。洗浄液中の被計数体の数が前記範囲内であることにより、洗浄液による金属腐食抑制効果が向上すると考えられる。
【0065】
前記有機不純物及び/又は被計数体は、洗浄液に添加されてもよく、洗浄液の製造工程において不可避的に洗浄液に混入されるものであってもよい。洗浄液の製造工程において不可避的に混入される場合としては、例えば、有機不純物が、洗浄液の製造に用いる原料(例えば、有機溶剤)に含まれる場合、及び、洗浄液の製造工程で外部環境から混入する場合(例えば、コンタミネーション)等が挙げられるが、上記に制限されない。
被計数体を洗浄液に添加する場合、洗浄対象物の表面粗さ等を考慮して特定のサイズごとに存在比を調整してもよい。
【0066】
<洗浄液のpH>
本実施形態の洗浄液のpHは、23℃で測定されるpHが6以上であり、前記pHが7~13であることが好ましく、前記pHが8~12.5であることがより好ましく、前記pHが9~12.5であることがさらに好ましく、前記pHが10~12であることが特に好ましい。
洗浄液のpHが前記範囲の下限値以上であれば、洗浄処理において、ドライエッチング後のチタン成分含有残渣の除去性が高められる。
【0067】
洗浄液のpHは、常圧(1気圧)の条件下において、23℃でpH計により測定される値である。
【0068】
本実施形態の洗浄液としては、例えば、以下に示す実施形態(1-1)及び実施形態(1-2)が好適に挙げられる。
実施形態(1-1):一般式(a1)で表される化合物(A)と、塩基と、水とを含有し、23℃で測定されるpHが6以上である、洗浄液。
実施形態(1-2):一般式(a1)で表される化合物(A)と、塩基と、カルボン酸(前記化合物(A)に該当するものを除く)と、水とを含有し、23℃で測定されるpHが6以上である、洗浄液。
【0069】
実施形態(1-1)について:
実施形態(1-1)の洗浄液は、化合物(A)と、塩基と、残分として水とを含有し、必要に応じて任意成分を含有してもよい。
化合物(A)としては、カルバジン酸メチル、カルバジン酸エチル、カルバジン酸tert-ブチル及びカルバジン酸からなる群より選択される少なくとも一種を用いることが好ましい。
塩基としては、アンモニア、アルカノールアミン、水酸化テトラアルキルアンモニウム、トリアミン及びジアミンからなる群より選択される少なくとも一種を用いることが好ましく、アンモニア、水酸化テトラアルキルアンモニウムを用いることがより好ましい。
溶媒としては、水単独、又は、水と有機溶剤との混合溶媒を用いることが好ましい。
【0070】
実施形態(1-1)の洗浄液のpHは、23℃で測定されるpHが6以上であり、前記pHが10~13であることが好ましく、前記pHが11~12であることがより好ましい。
実施形態(1-1)の洗浄液における化合物(A)の含有量は、洗浄液の全質量に対し、0.01質量%以上30質量%以下が好ましく、0.5質量%以上20質量%以下がより好ましく、1質量%以上10質量%以下がさらに好ましく、2.5質量%以上7質量%以下が特に好ましい。
【0071】
実施形態(1-2)について:
実施形態(1-2)の洗浄液は、化合物(A)と、塩基と、カルボン酸(前記化合物(A)に該当するものを除く)と、残分として水とを含有し、必要に応じて任意成分を含有してもよい。
化合物(A)としては、カルバジン酸メチル、カルバジン酸エチル、カルバジン酸tert-ブチル及びカルバジン酸からなる群より選択される少なくとも一種を用いることが好ましく、カルバジン酸メチル及びカルバジン酸からなる群より選択される少なくとも一種を用いることがより好ましく、少なくともカルバジン酸メチルを用いることがさらに好ましい。
塩基としては、アンモニア、アルカノールアミン、水酸化テトラアルキルアンモニウム、トリアミン及びジアミンからなる群より選択される少なくとも一種を用いることが好ましく、アンモニア、モノエタノールアミン、水酸化テトラエチルアンモニウム、ジエチレントリアミン及び2-(2-アミノエチルアミノ)エタノールからなる群より選択される少なくとも一種を用いることがより好ましく、アンモニア、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム及びモノエタノールアミンからなる群より選択される少なくとも一種を用いることがさらに好ましく、アンモニア、水酸化テトラメチルアンモニウム及び水酸化テトラエチルアンモニウムからなる群より選択される少なくとも一種を用いることが特に好ましい。
カルボン酸としては、ジカルボン酸、ヒドロキシ酸、脂肪酸及びアミノ酸からなる群より選択される少なくとも一種を用いることが好ましく、シュウ酸、乳酸、酒石酸、クエン酸、酢酸及びグリシンからなる群より選択される少なくとも一種を用いることがより好ましく、シュウ酸、乳酸及び酢酸からなる群より選択される少なくとも一種を用いることがさらに好ましく、シュウ酸、乳酸を用いることが特に好ましい。
溶媒としては、水単独、又は、水と有機溶剤との混合溶媒を用いることが好ましい。
【0072】
実施形態(1-2)の洗浄液における化合物(A)の含有量は、洗浄液の全質量に対し、0.01質量%以上30質量%以下が好ましく、0.05質量%以上30質量%以下がより好ましく、0.5質量%以上30質量%以下がさらに好ましい。
実施形態(1-2)の洗浄液のpHは、23℃で測定されるpHが6以上であり、前記pHが7~13であることが好ましく、前記pHが8~12.5であることがより好ましく、前記pHが9~12.5であることがさらに好ましく、前記pHが10~12であることが特に好ましい。
【0073】
本実施形態の洗浄液の保存方法は、特に限定されず、保存容器も従来公知のものを使用できる。洗浄液の安定性が確保されるように、容器に保存する際の容器内の空隙率、及び/又は空隙部分を充填するガス種は適宜設定すればよい。例えば、保管容器内の空隙率としては、0.01~30体積%程度が挙げられる。
【0074】
以上説明したように、本実施形態の洗浄液においては、一般式(a1)で表される化合物(A)を含有し、23℃で測定されるpHが6以上である。当該洗浄液によれば、ドライエッチング後の素子に付着しているチタン成分含有残渣の除去性が良好である。
化合物(A)において、一般式(a1)中のRが水素原子である場合、化合物(A)はカルバジン酸である。一般式(a1)中のRが有機基である場合、洗浄液のpHが6以上であるため、洗浄の際、エステルである化合物(A)の加水分解によりカルバジン酸が生成し得る。本実施形態の洗浄液による効果は、このカルバジン酸が、チタン成分含有残渣の除去に有効に働いているため、と推測される。
加えて、本実施形態の洗浄液は、残渣除去剤として化合物(A)が採用されているため、従来汎用のヒドロキシルアミンに比べて安全性が高められたものでもある。
尚、ヒドロキシルアミンは、爆発性の化合物であり、消防法において第5類危険物(自己反応性物質)に属し、毒物及び劇物取締法により劇物に指定される物質である。
【0075】
(第2の態様:基板の洗浄方法)
本発明の第2の態様に係る基板の洗浄方法は、前記第1の態様に係る洗浄液を用いて、チタン成分を含むエッチング残渣が付いた基板を洗浄する工程(P1)を含む。
本態様に係る洗浄方法において、洗浄対象である、チタン成分を含むエッチング残渣(チタン成分含有残渣)が付いた基板は、基板単体、基板を備えた素子を包含する。
【0076】
素子は、例えば、セミダマシンプロセスにより、金属配線層のドライエッチングが行われた後のものであってもよい。また、素子は、配線プロセスでSi含有層(例えば、Si含有層間絶縁膜)をドライエッチングした後の金属配線層が露出したものであってもよい。また、素子は、配線プロセスにおけるCMP工程後に金属配線層が露出した基板であってもよい。
金属配線層は、モリブデン、タングステン、ルテニウム、銅、鉄、ニッケル、アルミニウム、鉛、亜鉛、スズ、タンタル、マグネシウム、コバルト、ビスマス、カドミウム、チタン、ジルコニウム、アンチモン、マンガン、ベリリウム、クロム、ゲルマニウム、バナジウム、ガリウム、ハフニウム、インジウム、ニオブ、レニウム、及びタリウムからなる群より選択される少なくとも1種の金属を含有する層であるものが好適である。
【0077】
以下、図面を参照しながら、本態様に係る基板の洗浄方法の一実施形態について説明する。
【0078】
図1は、洗浄対象である、基板を備えた素子として、ドライエッチング後の素子(基板/金属配線層/層間絶縁膜/HM層)の一例を示している。
図1に示す素子100においては、基板10と、金属配線層20と、エッチング停止層30と、層間絶縁膜40とがこの順に積層し、層間絶縁膜40上にハードマスク層(HM層)50が形成されている。
この素子100は、配線プロセスによりドライエッチングが行われた後のもの、すなわち、ドライエッチングにより配線パターンの原型が形成されたHM層50をマスクとして、層間絶縁膜40のドライエッチングが行われた後の状態のものである。HM層50及び層間絶縁膜40の側面には、ドライエッチング残渣60が付着している。
配線パターン形状の層間絶縁膜40間のスペース部には、金属配線層20が露出し、ドライエッチング残渣60も付着している。
基板10は、シリコン、非晶質シリコン、ガラス等の材料からなる。
金属配線層20は、モリブデン、タングステン、ルテニウム、銅、鉄、ニッケル、アルミニウム、鉛、亜鉛、スズ、タンタル、マグネシウム、コバルト、ビスマス、カドミウム、チタン、ジルコニウム、アンチモン、マンガン、ベリリウム、クロム、ゲルマニウム、バナジウム、ガリウム、ハフニウム、インジウム、ニオブ、レニウム、タリウム等の金属からなる配線層である。
層間絶縁膜40は、SiO
2、SiN、SiOC、SiOF、SiOCH、SiCN、SiOF、SiOH等のシリコン系材料からなる。
HM層50には、窒化チタン(TiN)、酸化チタン(TiOx)等のチタン成分からなるチタン成分含有層である。
ドライエッチング残渣60は、主に、HM層50由来のチタン成分を含むチタン成分含有残渣である。
【0079】
[洗浄する工程(P1)]
本工程(P1)は、第1の態様に係る洗浄液を用いて、配線プロセスによりドライエッチングが行われた後の素子100を洗浄する工程である。
洗浄の方法は、特に限定されず、公知の洗浄方法を用いることができる。
洗浄対象である素子100に洗浄液を接触させる際、洗浄液を2~2000倍に希釈して希釈液を得た後、この希釈液を用いて洗浄する操作を実施してもよい。
洗浄する操作としては、例えば、一定速度で回転している素子100上に洗浄液を塗出し続ける方法(回転塗布法)、洗浄液中に素子100を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、素子100表面に洗浄液を噴霧する方法(スプレー法)等が挙げられる。
【0080】
洗浄処理を行う温度は、特に限定されない。洗浄処理は、10~80℃の条件下で行うことが好ましく、20~75℃でもよいし、40~70℃でもよい。
洗浄液の温度を高くすることで、エッチング残渣の除去性は向上するが、洗浄液の組成変化を小さく抑えること、及び作業性、安全性、コスト等を考慮し、適宜、洗浄液の温度を選択することができる。
【0081】
洗浄時間は、素子100表面に付着したエッチング残渣、不純物等の除去に十分な時間を適宜選択することができる。洗浄時間としては、例えば10秒~30分間であり、20秒~15分間でもよいし、30秒~10分間でもよいし、30秒~5分間でもよい。
【0082】
以上説明した本実施形態の洗浄方法によれば、前記第1の態様に係る洗浄液を用いて洗浄するため、ドライエッチング残渣60が付いた素子100において、金属配線層20に対するダメージを抑えつつ、HM層50由来のチタン成分含有残渣を良好に洗浄除去することができる。また、本実施形態の洗浄方法によれば、層間絶縁膜40に対するダメージも抑えられる。
加えて、洗浄液においては、残渣除去剤として化合物(A)が採用されているため、従来汎用のヒドロキシルアミンに比べて、より安全に半導体素子等の製造を実施することができる。
【0083】
上述した、基板の洗浄方法の一実施形態では、
図1においてHM層50がチタン成分含有層である場合を説明したが、本発明の第2の態様に係る基板の洗浄方法はこの実施形態に限定されず、例えば、エッチング停止層30がチタン成分含有層である場合でもよいし、素子100を構成する各層を貼り合わせている接着層(不図示)がチタン成分含有層である場合でもよい。すなわち、本態様に係る基板の洗浄方法は、洗浄対象である基板が、チタン成分含有層を含む基板においてドライエッチングが行われた後の基板である際に特に有用な方法である。
【0084】
(第3の態様:半導体素子の製造方法)
本発明の第3の態様に係る半導体素子の製造方法は、前記第1の態様に係る洗浄液を用いて、チタン成分を含むエッチング残渣が付いた基板を洗浄する工程(P1)を含む製造方法である。
【0085】
半導体素子の製造方法の一実施形態としては、前記工程(P1)と任意工程とを含む製造方法が挙げられる。
本実施形態に係る製造方法において、前記工程(P1)は、上述した(第2の態様:基板の洗浄方法)における[洗浄する工程(P1)]で説明した方法と同様に行うことができる。
任意工程としては、工程(P1)の前に、ハードマスク層エッチング工程、配線層のドライエッチング工程、コンタクトエッチング工程等が挙げられる。さらに、任意工程としては、半導体素子を製造する際に行われる公知の工程、例えば、キャパシタ形成、チャネル形成、High-K/メタルゲート形成、金属配線、ゲート構造、ソース構造、ドレイン構造、絶縁層、強磁性層、及び非磁性層等の各構造の形成工程(層形成、上記エッチング処理以外のエッチング、化学機械研磨、変成等)、レジスト膜形成工程、露光工程、現像工程、熱処理工程、検査工程等が挙げられる。
【0086】
以上説明した本実施形態の半導体素子の製造方法によれば、第1の態様に係る洗浄液を用いて、チタン成分を含むエッチング残渣(チタン成分含有残渣)が付いた基板を洗浄する工程(P1)を含むため、金属配線のダメージを抑えつつ、エッチング残渣を良好に除去することができる。これにより、製造される半導体素子の電気特性の向上が図られる。
【実施例0087】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
実施例及び比較例で使用した成分を以下に示す。
【0088】
・残渣除去剤
(A)-1:ヒドロキシルアミン
(A)-2:カルバジン酸
(A)-3:カルバジン酸メチル
(A)-4:カルバジン酸エチル
(A)-5:カルバジン酸tert-ブチル
【0089】
【0090】
・塩基
(B)-1:モノエタノールアミン
(B)-2:トリエタノールアミン
(B)-3:アンモニア
(B)-4:水酸化テトラエチルアンモニウム
(B)-5:ジエチレントリアミン
(B)-6:2-(2-アミノエチルアミノ)エタノール
(B)-7:水酸化テトラメチルアンモニウム
【0091】
【0092】
・カルボン酸
(C)-1:グルコン酸
(C)-2:シュウ酸
(C)-3:乳酸
(C)-4:酒石酸
(C)-5:クエン酸
(C)-6:酢酸
(C)-7:グリシン
【0093】
・溶媒
(S)-1:水
(S)-2:2-メチル-2,4-ペンタンジオール
【0094】
<洗浄液の調製>
(比較例1~4、実施例1~31)
表1~2に示す各成分を用いて各例の洗浄液を調製した。
表1~2中、各略号は、それぞれ上記の意味を有する。[ ]内の数値は、洗浄液中の各成分の含有量であり、洗浄液の全質量(全体100質量%)に対する、各成分の含有質量の割合(質量%)を示す。
各例の洗浄液においては、塩基の含有量を調整することにより、洗浄液の23℃で測定されるpHを、表中の値に調整した。
【0095】
[洗浄液のpH]
洗浄液についてのpHは、23℃の温度条件で、pH計(ポータブル型pHメータD-73S、株式会社堀場製作所製)を用いて測定した。その結果を「pH(23℃)」として表1~2に示した。
【0096】
<評価>
各例の洗浄液について、ドライエッチングが行われた後のチタン成分含有残渣の除去性を、以下のようにエッチングレートを指標として評価した。
【0097】
[エッチングレートの測定]
基板には、12インチシリコン基板上に、PVD法により、膜厚50nmの窒化チタン(TiN)膜を成膜した基板を用いた。
【0098】
成膜した基板を、2cm×2cmにカットして、ウェハクーポンを作製した。
容量200mLビーカーに、各例の洗浄液100mLを入れ、処理温度60℃に加温し、カットしたウェハクーポンを洗浄液に浸漬した。洗浄液へのウェハクーポンの浸漬中、洗浄液の温度を60℃に加温し続けた。3時間浸漬した後、ウェハクーポンを洗浄液から取り出して、室温で30秒間水洗し、窒素ブローで乾燥した。
洗浄液浸漬前及び洗浄液浸漬後のウェハクーポンの膜厚を測定した。
TiN膜を有するウェハクーポンの膜厚は、蛍光X線装置(ZSX PrimusIV、Rigaku社製)を用いて測定した。
そして、洗浄処理前後のTiN膜の膜厚の変化からエッチングレートを算出した。
【0099】
・チタン成分含有残渣の除去性の評価
チタン成分含有残渣の除去性について、洗浄液のTiN膜に対するエッチングレートを指標とし、以下の評価基準で評価した。その結果を表1~2に示した。
このエッチングレートの値が高いほど、チタン成分含有残渣の除去性に優れることを意味する。
【0100】
・チタン成分含有残渣の除去性の評価基準
洗浄液のTiN膜に対するエッチングレートが
A:0.5×10-10m/minを超えている。
B:0.25×10-10m/min超え0.5×10-10m/min以下である。
C:0.15×10-10m/min超え0.25×10-10m/min以下である。
D:0.15×10-10m/min以下である。
【0101】
【0102】
【0103】
表1~2に示す結果から、本発明を適用した実施例1~31の洗浄液は、本発明の範囲外である比較例2~4の洗浄液に比べて、チタン成分含有残渣の除去性が良好であることが確認された。
加えて、実施例1~31の洗浄液は、残渣除去剤が化合物(A)に代替されており、安全性が高められている。
【0104】
以上、本発明の好ましい実施例を説明したが、本発明はこれら実施例に限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。本発明は前述した説明によって限定されることはなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
10 基板、20 金属配線層、30 エッチング停止層、40 層間絶縁膜、50 ハードマスク層(HM層)、60 ドライエッチング残渣、100 素子