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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024169186
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】媒体検知装置、及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 7/14 20060101AFI20241128BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
B65H7/14
B41J2/01 305
B41J2/01 451
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023086443
(22)【出願日】2023-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】弁理士法人武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】下島 一浩
(72)【発明者】
【氏名】宮川 寛亮
【テーマコード(参考)】
2C056
3F048
【Fターム(参考)】
2C056EA20
2C056EB12
2C056EB36
2C056EC54
2C056FA13
2C056HA28
2C056HA29
2C056HA46
2C056JC15
3F048AA01
3F048AA05
3F048AB01
3F048BA08
3F048BB10
3F048BD08
3F048CC01
3F048DA08
3F048DC13
(57)【要約】
【課題】媒体の浮き検知のための調整時間を短縮できる媒体検知装置を提供する。
【解決手段】ドラム状部材に沿って搬送される媒体を検知する媒体検知装置であって、ドラム状部材に対する搬送位置において媒体を検知する媒体検知センサと、媒体検知センサを保持するセンサ保持部材と、ドラム状部材の回転軸の方向において媒体検知センサが用いる光を遮る遮光部と、ドラム状部材を回動可能に支持する筐体と、を備え、遮光部は、筐体に固定される遮光部材であって、センサ保持部材と遮光部材は、筐体に保持されている、媒体検知装置による。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドラム状部材に沿って搬送される媒体を検知する媒体検知装置であって、
前記ドラム状部材に対する搬送位置において前記媒体を検知する媒体検知センサと、
前記媒体検知センサを保持するセンサ保持部材と、
前記ドラム状部材の回転軸の方向において前記媒体検知センサが用いる光を遮る遮光部と、
前記ドラム状部材を回動可能に支持する筐体と、
を備え、
前記遮光部は、前記筐体に固定される遮光部材であって、
前記センサ保持部材と前記遮光部材は、前記筐体に保持されている、
ことを特徴とする媒体検知装置。
【請求項2】
前記遮光部材は、前記ドラム状部材の径方向において、前記筐体に対する相対的な位置が所定の位置としての保持位置になるように調整可能である、
請求項1に記載の媒体検知装置。
【請求項3】
ドラム状部材に沿って搬送される媒体を検知する媒体検知装置であって、
前記ドラム状部材に対する搬送位置において前記媒体を検知する媒体検知センサと、
前記媒体検知センサを保持するセンサ保持部材と、
前記ドラム状部材の回転軸の方向において前記媒体検知センサが用いる光を遮る遮光部と、
前記ドラム状部材を回動可能に支持する筐体と、
を備え、
前記遮光部は、前記筐体の外周面の一部を凹ませた凹み部であり、
当該凹み部は、前記光の幅を規定する位置において、前記筐体に形成され、
前記センサ保持部材は、前記筐体に保持されている、
ことを特徴とする媒体検知装置。
【請求項4】
前記ドラム状部材の回転位置を検知するドラム位置検知機構を備え、
前記ドラム位置検知機構は、前記ドラム状部材に設けられている貫通部と前記光との位置が所定の位置関係になるまでドラム状部材を回動させる、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の媒体検知装置。
【請求項5】
前記貫通部は、前記ドラム状部材の周方向において複数設けられている、
請求項4に記載の媒体検知装置。
【請求項6】
前記ドラム状部材の寸送り動作を指示する操作部を備え、
前記ドラム位置検知機構は、前記貫通部と前記光との位置が所定の位置関係になるまで前記操作部の操作に応じて前記ドラム状部材に寸送り動作をさせる、
請求項5に記載の媒体検知装置。
【請求項7】
前記寸送り動作は、正転又は逆転の方向において前記ドラム状部材を回転する動作である、
請求項6に記載の媒体検知装置。
【請求項8】
前記媒体検知センサは、ドラム状部材の回転軸における一の端部側から他の端部側に向けて前記光を出射する投光センサと、当該光を受光する受光センサと、により構成され、
前記センサ保持部材は、前記遮光部が前記光の一部を遮り、当該光の他の一部を遮らない状態になるように、前記投光センサ及び前記受光センサの相対的な位置関係を、前記媒体の搬送方向との平行方向及び前記光の光軸方向との垂直方向において調整可能に保持する、
請求項1又は3に記載の媒体検知装置。
【請求項9】
媒体を搬送するドラム状部材の外周面に配置され、当該媒体に液体を吐出して画像を形成する複数の液体吐出ヘッドと、
当該ドラム状部材の外周面に保持されて搬送される媒体を検知する媒体検知部と、
を有し、
当該媒体検知部を請求項1又は3に記載の媒体検知装置とする、
ことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体検知装置、及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ドラム状の部材の外周面に沿って媒体を搬送し、当該媒体に画像を形成する画像形成装置が知られている。当該画像形成装置では、ドラム状の部材の外周面から媒体が浮き上がると画像形成の質に影響を与えることがあるため、媒体の外周面から浮き度合いを検知する媒体検知装置を備える画像形成装置が知られている。
【0003】
媒体検知装置において、媒体の面と平行の検知ビームを投光部から受光部に向けて出射しておき、媒体を搬送したときに検知ビームが媒体によって遮られるか否かを検知することで媒体の浮きを判定する構成が知られている。したがって、検知ビームの位置調整は高い精度で行う必要がある。
【0004】
例えば、回動自在に設けた投光用平行板を設け、この投光用平行板の高さを媒体の面に対して調整する媒体検知装置が知られている(特許文献1を参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されている媒体検知装置では、検知ビームを媒体の面と平行にする調整に時間を要する。
【0006】
本発明は、媒体の浮き検知のための調整時間を短縮できる媒体検知装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記技術的課題を解決するため、本発明の一態様は、ドラム状部材に沿って搬送される媒体を検知する媒体検知装置において、前記ドラム状部材に対する搬送位置において前記媒体を検知する媒体検知センサと、前記媒体検知センサを保持するセンサ保持部材と、前記ドラム状部材の回転軸の方向において前記媒体検知センサが用いる光を遮る遮光部と、前記ドラム状部材を回動可能に支持する筐体と、を備え、前記遮光部は、前記筐体に固定される遮光部材であって、前記センサ保持部材と前記遮光部材は、前記筐体に保持されている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、媒体の浮き検知のための調整時間を短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係る画像形成装置の一実施形態の全体構成を示す概略図。
図2】本発明に係る媒体検知装置の一実施形態の全体構成を示す概略図。
図3】本発明に係る媒体検知装置が備えるセンサ保持部材の構成図。
図4】本発明に係る媒体検知装置が備えるセンサ保持部材の構成図。
図5】本発明に係る媒体検知装置が備えるセンサ保持部材の構成図。
図6】本実施形態に係るセンサ保持部材の位置を調整する方法を説明する。
図7】本実施形態に係るドラム状部材の例を示す図。
図8】本発明に係る媒体検知装置が備えるセンサ保持部材の構成図。
図9】本発明に係る媒体検知装置に対する比較例の図。
図10】本実施形態に係る媒体検知装置の、上記比較例に対する優位性を説明する図。
図11】本実施形態における媒体検知の原理を説明する図。
図12】本実施形態に係る遮蔽部材を精度よく固定する工程を説明する図。
図13】本実施形態に係るセンサの光軸と回転部材との平行調整工程に用いる構成を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[画像形成装置の実施形態]
以下、本発明に係る実施形態について、図面を参照しながら説明する。まず、本発明に係る画像形成装置の実施形態としてインクジェットプリンタ1000の構成を説明する。図1は、インクジェットプリンタ1000の全体構成を示す図である。インクジェットプリンタ1000は、例えば、オンデマンド方式のライン走査型を採用した画像形成装置であって、画像形成部210、給紙部220、レジスト調整部230、乾燥部240、記録媒体反転部250、排紙部290、及び浮き検知装置300、を備えている。
【0011】
まず給紙部220の給紙スタック221に積載された記録媒体としての用紙Wが、エアー分離部222によって一枚ずつピックアップされ、画像形成部210の方向に搬送される。給紙部220から搬送された用紙Wは、レジスト調整部230に達すると、レジスト調整部230の内部に設けられたレジストローラ対231によって、搬送方向に対する用紙Wの傾きが補正される。
【0012】
レジストローラ対231において補正(レジスト調整)がなされた用紙Wは、画像形成部210に送られる。そして、搬送ローラ対214によって円筒形状のドラム211の表面に送られる。ドラム211には記録媒体グリッパ212が複数設けられている。送られてきた用紙Wは、一つの記録媒体グリッパ212に先端が挟まれて、ドラム211の回転によって複数のヘッドアレイ100(100K~100P)に対向する位置へ搬送される。
【0013】
画像形成部210では、円筒形状のドラム211の回転方向における表面に沿って、インクジェット方式により液体インクを吐出する複数のヘッドアレイ100が、所定のインク色を充填した状態で配置されている。各ヘッドアレイ100は、ドラム211の外周面の曲がり具合に合わせて、放射状の所定の位置に配置されている。各ヘッドアレイ100は、ドラム211の表面に対して、液体の吐出方向が直交するように角度が調整されている。すなわち、各ヘッドアレイ100は、ドラム211の回転軸からの放射方向において各々異なる角度で配置されている。
【0014】
言い換えると、液体吐出モジュールとしての複数のヘッドアレイ100は、ドラム211の回転中心に向けて、ドラム211の表面に保持された用紙Wの外周面にインク(液体)を吐出するように、ドラム211への対向角度が各々調整される。
【0015】
また、ドラム211の外周面には、空吐出受け213が設けられており、ヘッドアレイ100が用紙Wにインクを吐出していないときに空吐出されたインクを受け取るようになっている。画像が形成されると用紙Wは、乾燥部240に搬送される。
【0016】
乾燥部240には乾燥ユニット241が設けられていて、この乾燥ユニット241の下方を用紙Wが通過することによって、用紙Wの水分が蒸発するようになっている。また、乾燥部240には、記録媒体反転機構251を含む記録媒体反転部250が設けられている。両面印刷時には、記録媒体反転部250で用紙Wを反転し反転搬送部252により再度画像形成部210の方向へ搬送する。なお、ドラム211に達する前に画像形成部210内部に設けられたレジストローラ253によって用紙Wの傾きが補正される。乾燥部240による乾燥を終えた用紙Wは排紙部290に搬送されて、用紙Wの端部が整合された状態で積載される。
【0017】
画像形成部210における液滴吐出動作の制御の一部は、画像形成部210が備える画像形成制御部215において行われるものとする。また、画像形成制御部215は、インクジェットプリンタ1000の全体の動作を制御することの可能であって、浮き検知装置300における用紙Wの浮き検知制御処理も実行する。なお、給紙部220、レジスト調整部230、乾燥部240、浮き検知装置300のそれぞれにおいて個別に制御部を備え、画像形成制御部215と連携することでインクジェットプリンタ1000の全体の動作を制御するように構成してもよい。
【0018】
画像形成部210では、円筒形状のドラム211の回転方向における表面に沿って、インクジェット方式により液体インクを吐出する複数のヘッドアレイ100が、所定のインク色を充填した状態で配置されている。各ヘッドアレイ100は、ドラム211の外周面の曲がり具合に合わせて、放射状の所定の位置に配置されている。各ヘッドアレイ100は、ドラム211の表面に対して、液体の吐出方向が直交するように角度が調整されている。すなわち、各ヘッドアレイ100は、ドラム211の回転軸からの放射方向において各々異なる。
【0019】
言い換えると、液体吐出ヘッドとしての複数のヘッドアレイ100は、ドラム211の回転中心に向けて、ドラム211の表面に保持された用紙Wの外周面にインク(液体)を吐出するように、ドラム211への対向角度が各々調整される。
【0020】
また、ドラム211の外周面には、空吐出受け213が設けられており、ヘッドアレイ100が用紙Wにインクを吐出していないときに空吐出されたインクを受け取るようになっている。画像が形成されると用紙Wは、乾燥部240に搬送される。
【0021】
乾燥部240には乾燥ユニット241が設けられていて、この乾燥ユニット241の下方を用紙Wが通過することによって、用紙Wの水分が蒸発するようになっている。また、乾燥部240には、記録媒体反転機構251を含む記録媒体反転部250が設けられている。両面印刷時には、記録媒体反転部250で用紙Wを反転し反転搬送部252により再度画像形成部210の方向へ搬送する。なお、ドラム211に達する前に画像形成部210内部に設けられたレジストローラ253によって用紙Wの傾きが補正される。乾燥部240による乾燥を終えた用紙Wは排紙部290に搬送されて、用紙Wの端部が整合された状態で積載される。
【0022】
画像形成部210における液滴吐出動作の制御の一部は、画像形成部210が備える画像形成制御部215において行われるものとする。なお、画像形成制御部215は、インクジェットプリンタ1000の全体の動作を制御してもよい。また、給紙部220、レジスト調整部230、乾燥部240、のそれぞれにおいて個別に制御部を備え、画像形成制御部215と連携することでインクジェットプリンタ1000の全体の動作を制御するように構成してもよい。
【0023】
図1に示すように、用紙Wの搬送方向はX方向とする。また、画像形成処理を実行するときに用紙Wを搬送するドラム211の回転方向は、X-Z平面においてCCW方向(反時計方向)である。
【0024】
また、インクジェットプリンタ1000は、ユーザによってドラム211の回転及び回転停止を操作するための操作部としてのインチングボタン260を備える。インチングボタン260は、例えば2つの独立した押しボタンを有する構成である。ユーザが、インチングボタン260を押下している間は、そのボタンに対応する方向に、ユーザの手動操作による正転(又は逆転)が行われる。
【0025】
また、インクジェットプリンタ1000は、浮き検知装置300を備える。浮き検知装置300は、記録媒体グリッパ212に保持されてドラム211の外周面に沿った状態で、複数のヘッドアレイ100に向けて用紙Wが搬送されるときに、用紙Wの浮き(ドラム211の外周面からの乖離)を検知する。すなわち、浮き検知装置300は、ドラム211の外周面に対する用紙Wの搬送位置が、適正位置であることを検知するための装置である。そのため、用紙Wの、ドラム211の外周面(ドラム外周面)に対する位置を検知するためのセンサを用いて、用紙Wがセンサにおいて検知される状態に基づいて、外周面に対して用紙Wが浮いているか否か(適正位置にあるか否か)を検知する。
【0026】
[媒体検知装置の実施形態]
次に、本発明に係る媒体検知装置の実施形態としての浮き検知装置300について説明する。図2乃至図5は、浮き検知装置300の全体構成を例示する図である。図2は、用紙Wの搬送方向に対する直交方向から見た図(上面図)である。図3は、用紙Wの搬送方向上流から下流方向を見た図(右側面図)である。図4は、ドラム211の軸方向から見た正面図である。図5は、浮き検知装置300の主要な構成を示す斜視図である。
【0027】
図2乃至図5において図示するように、浮き検知装置300は、筐体310を構成する前フレーム311と後フレーム312の間に、ドラム状部材としてのドラム211が回転可能に支持された状態になっている。
【0028】
なお、筐体310は、インクジェットプリンタ1000の本体筐体の一部に相当するものでもよいし、本体筐体の内部空間に設けられた別体のものでもよい。筐体310は、ドラム211に対して、所定の位置関係を維持するものであればよい。インクジェットプリンタ1000に取り付けられた浮き検知装置300は、インクジェットプリンタ1000の媒体検知部として機能する。
【0029】
浮き検知装置300は、用紙検知センサ320を備える。用紙検知センサ320は、検知光323を出射する投光センサとしての投光部321と、検知光323を受光する受光センサとしての受光部322とを、対向配置した一対にて構成される。投光部321と受光部322は、投光部321から出射された検知光323を受光部322で受光する受光量により変化する出力信号を出力する。受光部322からの出力信号のレベル(出力値)を画像形成制御部215において判定することで、投光部321から出射された検知光323を遮る物体の有無を検知することが可能となるように構成されている。
【0030】
用紙検知センサ320の投光部321と受光部322はいずれも、センサ保持部材としてのセンサブラケット330に保持されている。投光部321と受光部322は、センサブラケット330に保持されて所定の相対的な位置関係が維持される。
【0031】
センサブラケット330は、用紙検知センサ320が発する検知光323が、ドラム211の軸方向における外周面に対する平行関係を維持可能に支持する。センサブラケット330は、例えば図3及び図4にて明らかなとおり、ドラム211の軸方向を長手方向とし、ドラム211の軸方向に対する直交方向を短手方向とする平板状部材である。
【0032】
後述するように、用紙検知センサ320を構成する投光部321及び受光部322は、センサブラケット330の長手方向において離間した位置に保持されている。そして、検知光323は、センサブラケット330の平板面に対し平行する帯状レーザ光として投光部321から出射されて受光部322において受光される。
【0033】
したがって、センサブラケット330に保持された用紙検知センサ320が発する検知光323とドラム211との位置調整及び平行調整は、センサブラケット330の位置及び姿勢を、ドラム211に対して調整することにより行うことができる。そのため、センサブラケット330は、ドラム211の外周面に沿って搬送される用紙Wの搬送方向と平行する面において回動可能となるように、筐体310に支持されている。
【0034】
また、センサブラケット330は、用紙検知センサ320が用いる検知光323を、検知光323の光軸方向との垂直方向において回動可能になるように保持する。センサブラケット330に対する用紙検知センサ320の保持の態様及び、上記した回動を可能にする構造に関する詳細は後述する。
【0035】
筐体310は、ドラム211の回転軸の一端側を支持する前フレーム311と、当該回転軸の他端側を支持する後フレーム312とを含む。ドラム211は、筐体310によって、所定の位置で回転可能に支持される。また、筐体310は、検知光323の一部を遮光して他の一部を遮光せずに通過可能となるような隙間を形成する遮光部材340を備えている。
【0036】
遮光部材340は、前フレーム311に固定される第一遮光部材341と、後フレーム312に固定される第二遮光部材342との対向配置により構成される。第一遮光部材341と第二遮光部材342は、ドラム211の回転軸の方向(ドラム211の長手方向であって、図2におけるX軸方向)との直交方向、すなわち、ドラム211の半径方向における位置が所定の相対的な位置関係を形成するように、筐体310に対して精度良く固定されている。
【0037】
また、第一遮光部材341と第二遮光部材342は、投光部321と受光部322の間(用紙検知センサ320の内側)に相当する位置に固定されている。したがって、投光部321から出射された検知光323の一部は、第一遮光部材341と第二遮光部材342によって遮られる状態になる。
【0038】
検知光323は、帯状のレーザ光であるから一定の幅寸法を有する。そして、上記のとおり、検知光323は光軸方向の幅は、第一遮光部材341と第二遮光部材342の影をドラム211の軸方向に投影したときに形成される隙間よりも広い。したがって、検知光323は、光幅よりも狭い第一遮光部材341と第二遮光部材342の間を通過することにより、所定の幅に制限される。この第一遮光部材341と第二遮光部材342により形成される検知光323の通過可能な幅(間隔)を、以下において、遮光手段の「配置距離」と表記する。
【0039】
すなわち、配置距離とは、ドラム211の回転軸の軸方向において第一遮光部材341と第二遮光部材342を投影したときの第一遮光部材341と第二遮光部材342とに生ずる隙間の距離に相当する。
【0040】
検知光323は、第一遮光部材341と第二遮光部材342の配置間隔に相当する幅の帯状レーザ光のごとく、ドラム211の軸方向に出射される。この帯状レーザ光となる検知光323の幅が、ドラム211からの用紙Wの浮きを検知する検知幅となる。
【0041】
なお、検知光323の光幅を筐所定の配置距離に基づいて制限するために、上記にて説明したような第一遮光部材341と第二遮光部材342の変わりに、筐体310の一部を切り欠いて形成する切欠部を用いてもよい。この場合、切欠部が、第一遮光部材341及び第二遮光部材342と同様の作用効果を発揮するような位置及び形状にて形成すればよい。
【0042】
ドラム211に対する検知光323の位置及び向きの調整は、ドラム211に対して、用紙検知センサ320を保持したセンサブラケット330を回動させることで行う。このとき、第一遮光部材341と第二遮光部材342の配置間隔は、筐体310に対して事前に精度良く第一遮光部材341と第二遮光部材342を固定することで調整されている状態とする。したがって、センサブラケット330を調整することで、第一遮光部材341と第二遮光部材342の配置間隔を検知光323が通過する状態にできる。すなわち、図7に例示するように、検知光323がドラム211の軸と平行であって、かつ、検知幅が遮光部材340の配置間隔になるように、センサブラケット330を回動させることで、検知光323の位置及び向きを調整することができる。
【0043】
[ドラム211の構成]
図7は、ドラム211の斜視図である。帯状レーザ光である検知光323は、光軸方向に位置するドラム211によって遮られる位置関係になる。そこで、図7(a)に示すように、ドラム211の貫通部としてのドラム貫通孔2111を設ける、又は図7(b)に示すように、ドラム211の外周面の一部に切り欠きを設けて、貫通部としてのドラム凹み部2112を設けることで、検知光323の下端を読み取れるようにする。
【0044】
なお、ドラム貫通孔2111、ドラム凹み部2112のいずれを用いてもよい。また、これらをドラム211の周方向において複数形成してもよい。
【0045】
[センサ保持部材及び媒体検知センサの実施形態]
ここで、センサ保持部材としてのセンサブラケット330と、及び媒体検知センサとしての用紙検知センサ320との関係について、図8を用いて説明する。
【0046】
図8は、センサブラケット330の概要を説明するための図であって、用紙検知センサ320の組付け態様を説明する図である。図3及び図4にて説明したように、センサブラケット330は長尺の平板部材であって、長手方向がドラム211(図2等参照)の軸方向に相当する。センサブラケット330は、長手方向の一方の端部に投光部321を固定する構造を有し、他方の端部に受光部322を固定する構造を有する。
【0047】
センサブラケット330において、投光部321が固定される側の端部近傍にはセンサ回動用長孔331と光軸回転用孔332が形成され、受光部322が固定される側の端部近傍には受光部固定丸孔335が形成されている。したがって、受光部322は所定の位置において所定の向き(投光部321に相対する向き)にて、センサブラケット330に固定される。
【0048】
センサ回動用長孔331は、検知光323の出射方向を調整するために、投光部321の受光部322に対する向きを調整するための調整機構を構成する。投光部321の向きを調整するときは、投光部321の向きを回転させる軸としての光軸回転用孔332を回転中心として、センサ回動用長孔331に沿って投光部321が回動する。
【0049】
投光部321は、センサブラケット330に対し、センサ回動用長孔331及び光軸回転用孔332においてネジ333をもって締結されている。光軸回転用孔332側のネジ333を緩めた状態で投光部321をセンサブラケット330の表面に沿って回動させることで、投光部321の左右の向きを調整できる。すなわち、センサブラケット330は、検知光323の出射方向の左右方向の調整をできる状態で、投光部321を保持できる。
【0050】
また、投光部321は、光軸回転用孔332側およびセンサ回動用長孔331側にて、センサブラケット330の表面との間に高さ調整部材としてのスペーサ334を挟んでセンサブラケット330に保持させることで、検知光323の上下方向の向きを調整できる。スペーサ334の厚さを調整することで、検知光323の上下方向の向きの量を調整できる。例えば、レーザ光である検知光323が受光部322に対し、下向きとなっている場合は、検知光323の向きを上方向にするために、スペーサ334を光軸回転用孔332の位置に挟む。又、検知光323が受光部322に対して上向きになっている場合は、検知光323の向きを下方向にするために、スペーサ334をセンサ回動用長孔331の位置に挟む。すなわち、センサブラケット330は、検知光323の出射方向の上下方向の調整をできる状態で、投光部321を保持できる。
【0051】
センサブラケット330の精度によって用紙検知センサ320の光軸の位置の精度が影響を受ける。したがって、センサブラケット330に保持した状態で用紙検知センサ320の光軸の上下方向、及び左右方向に投光部321若しくは受光部322のどちらか一方、又は両方の保持状態を調整することで、光軸を調整できる。
【0052】
この点、図8の示すように、受光部322は、センサブラケット330に対し、決め穴(丸穴355)に締結部材としてのネジ333を用いてネジ締結して固定されている。そして、投光部321は、センサブラケット330に対し、決め穴(光軸回転用孔332)とセンサ回動用長孔331に締結部材としてのネジ333を用いてネジ締結して固定され、光軸回転用孔332を回転中心として、センサ回動用長孔331の長手方向に沿って一部が移動可能となっている。これによって、投光部321から出射される検知光323の左右方向を調整できる。
【0053】
また、検知光323の出射方向の上下方向(高さ方向)の調整は、投光部321とセンサブラケット330の間にスペーサ334を入れることで調整可能となっている。検知光323の、受光部322の受光窓に対する相対的な高さが合わないときは、スペーサ334の有無、及びスペーサ334の厚みを調整する。
【0054】
また、センサブラケット330は、筐体310に固定された状態で回動可能にするための回動用孔336を有する。
【0055】
以上の構成を備えるセンサブラケット330を用いて検知光323とドラム211の外周面との平行を合わせるときは、図6に例示したように、回動用孔336にて締結部材を用いて筐体310にセンサブラケット330を固定しつつ、センサブラケット330を回動させる。こによって、検知光323の幅を適正幅に調整する。
【0056】
図6において実線で描かれている検知光323は、ドラム211の外周面に対して平行状態であるものを例示している。この状態のときの検知光323の光幅(第一幅W1)に基づく用紙検知センサ320の出力値が、検知光323の調整が適正であるときの出力値である。したがって、用紙検知センサ320の出力値をモニタリングしながら、センサブラケット330を回動することで、検知光323を精度良く調整できる。
【0057】
仮に、検知光323が第一幅W1よりも広い第二幅W2であるときは、適正幅よりも広すぎであるため、出力値が第一幅W1のものに比べて大きくなる。一方、検知光323が第一幅W1よりも狭い第三幅W3であるときは、適正幅よりも狭くなりすぎているため、出力値が第一幅W1のものに比べて小さくなる。以上のように、検知光323の光幅が適正となるように、用紙検知センサ320の出力値に基づいて、センサブラケット330を回動させることで用紙検知センサ320を回動させて、用紙Wの浮き検知のための検知光323の位置を、ドラム211に対して精度よく調整する。
【0058】
[用紙検知センサ320の出力]
次に、用紙検知センサ320の出力と用紙Wの浮き検知との関係について図11を用いて説明する。図11は、すでに説明をしたドラム貫通孔2111又はドラム凹み部2112でみたときのセンサ出力を例示している。用紙Wがドラム211の外周面に沿って搬送されるときに、配置距離の幅を通過する検知光323による用紙検知センサ320の出力信号レベルの変化の様子を例示したグラフである。
【0059】
図2乃至図5を用いて説明したとおり、センサブラケット330を所定の位置で固定したとき、センサブラケット330にて保持されている投光部321と受光部322はドラム211の長手方向の外側に位置する。また、投光部321と受光部322は、第一遮光部材341と第二遮光部材342の外側に配置されていて、検知光323は配置距離によって表される隙間を通過する。
【0060】
このとき、ドラム211に設けられているドラム貫通孔2111が、検知光323の下端に相当する位置になるように、用紙検知センサ320の出力値を計測しながら、ドラム211を回転させる。検知光323の下端位置にドラム貫通孔2111が到達するように回転位置を調整したときに、ドラム211の回転を停止する。この一連の制御は、画像形成制御部215において実行される。すなわち、用紙検知センサ320及び画像形成制御部215は、検知光323と貫通部との位置合わせ制御を行うためのドラム位置検知機構を構成する。
【0061】
図11(A)は平行調整時の出力の例である。図11(A)に示すように、配置距離に相当する検知区間Bにおいて用紙検知センサ320の出力信号のレベルは「HIGH」になる。また、検知区間Bは、ドラム211の貫通部分と被貫通部分を含む位置に当たるので、ドラム211によって遮光されるドラム区間Cにおける出力信号のレベルは「LOW」になる。
【0062】
ドラム211の外周面と平行する検知光323の出力信号レベルがLOWになる(検知光323が遮光される)距離に対して、用紙Wの厚さと、所定の閾値を加味した距離Dに相当する距離を、判定基準距離Xthとして予め設しておく。
【0063】
図11(B)は、用紙Wの浮きが生じていない状態を例示している。判定基準距離Xthに相当する距離の出力信号レベルは「HIGH」(遮光されていない)である。なお、図11(B)における破線円Pxにて示した位置が用紙Wの上面に相当する。
【0064】
図11(C)は、用紙Wの浮きが生じている場合を例示している。この場合は、判定基準距離Xthよりも短い距離において出力信号レベルが「LOW」になっている。すなわち、用紙Wによって検知光323が遮光されている。なお、図11(C)における破線円Px1にて示した位置が用紙Wの上面に相当する。
【0065】
すでに説明のとおり、センサブラケット330は、用紙検知センサ320の光軸を精度よく調整し固定した状態を維持する。そして、このセンサブラケット330を筐体310に回動可能に固定して、検知光323が配置距離の間を通過して出力信号レベルが「HIGH」になるように調整する。
【0066】
センサブラケット330の回動による調整は、検知光323による出力信号のレベルに基づいて行うことができる。したがって、センサブラケット330を回動させながら所定の出力信号の状態を確認して調整することで、ドラム211の外周面に対し精度よく検知光323を配置できる。
【0067】
帯状の検知光323を使用しているので、用紙Wの厚さが変わっても検知光323の検知範囲(配置距離に相当する検知区間B)にて、用紙Wの浮きを検知することができる。その結果、従来技術のように用紙厚さに合わせて検知光323の位置を移動させる必要がない。また、従来技術においては必要となっていたモータなどの調整駆動源が不要となる。
【0068】
また、経時的変化によって、センサブラケット330の組付け位置の精度が低下した場合であっても、インクジェットプリンタ1000による画像形成動作の前に、用紙Wが無い状態でドラム211の表面検知をすることにより、経時的変化による判定基準距離Xthの誤差を低減できる。
【0069】
[遮光部材340の調整]
次に、遮光部材340を筐体310に組み付けたときの配置距離を精度良く設定可能にするジグ350について図12を説明する。図12に示すように、ジグ350をドラム211に取り付けた状態で、遮光部材340(第一遮光部材341と第二遮光部材342)を、ジグ350に突き当てて、本体フレームとしての筐体310に固定する。
【0070】
ジグ350とドラム211の軸方向とを平行とするためには、ドラム211の表面に予めジグ孔216が形成されている。ジグ孔216は、丸孔と長孔からなり、これら丸孔と長孔はドラム211の軸と平行関係になるように形成されている。
【0071】
ジグ350にはピン351を貫通させる丸孔がジグ孔216に対向する位置に形成されているので、ジグ350を貫通させたピン351をドラム211のジグ孔216に合わせた状態で、ジグ350をドラム211に固定する。
【0072】
ジグ350は、ドラム211に固定された状態において、筐体310と所定の間隔を形成する位置調整部352を備えている。位置調整部352は、図12に例示するように、ジグ350の長手方向(ドラム211の軸方向)の両端部に形成されている。筐体310に遮光部材340を固定するときに、ドラム211の軸と直交する方向の端部を位置調整部352にそれぞれ突き当てることで、第一遮光部材341と第二遮光部材342の配置距離が精度よく形成される。
【0073】
この状態において、第一遮光部材341と第二遮光部材342を筐体310に固定する。すなわち、第一遮光部材341と第二遮光部材342の筐体310に対する位置を、ドラム211の半径方向において調整して保持位置を決定し固定する。これによって、第一遮光部材341と第二遮光部材342のドラム211に対する相対的な位置を精度よく調整した状態で固定することができる。その結果、前述したとおり、検知光323をドラム211の外周面に対して精度よく調整できるようになる。
【0074】
[従来例との対比]
ここで、本実施形態の特徴をより明確にするために、従来例に係る調整機構及び手法について図9を用いて説明する。図9(a)及び(b)に示すように、従来の平行調整は、ドラム211に形成されているドラム凹み部2112において、複数の遮光部材(第一遮光部材341と第二遮光部材342)をドラム211の回転方向において、ずらした位置にて配置している。また、第一遮光部材341と第二遮光部材342は、ドラム軸方向にずらした位置に配置されている。
【0075】
これら二つの遮光部材の高さは精度よく調整されている必要がある。この二つの遮光部材の高さを用紙検知センサ320が読み取ることで、ドラム211と用紙検知センサ320の光軸324の平行確認を行う。
【0076】
以上のとおり、従来技術では、二つの遮光部材の高さを、ドラム211を回転させながら、それぞれにおいて測定する必要があった。したがって、測定結果に基づいて、投光部321又は受光部322の一方、又は両方を調整者の間隔で動かして、再計測を行い、計測結果を行う必要があった。すなわし、計測の都度、ドラム211を回転させながら、二つの遮光部材の高さを計測する必要があった。このような従来方法では、トライアンドエラーを繰り返しながら調整するので、調整作業が煩雑であり、また調整時間が長時間に至ることがあった。
【0077】
[本実施形態の特徴]
一方、本実施形態に係る浮き検知装置300によれば、第一遮光部材341と第二遮光部材342の配置間隔において、一点を測定すれば調整を行うことができる。また、センサブラケット330を回動させることで調整でき、ドラム211を回転させながらの計測及び調整が不要であるので、調整を容易に行う事ができる。
【0078】
また、用紙検知センサ320の出力値を見ながらセンサブラケット330を回動させるだけでよいので、ドラム211と用紙検知センサ320の平行位置調整を行うときに、ドラム211は停止した状態でよい。
【0079】
以上のように、本実施形態に係る浮き検知装置300では、センサブラケット330において固定位置を調整済みの用紙検知センサ320を、筐体310に対して、センサブラケット330を回動させるだけで光軸調整ができるので、検知光323のドラム211の外周面に対する平行調整を容易に行うことができる。
【0080】
しかも、平行調整を行うに当たり、ドラム211を回転させる必要がないから停止させたままで、用紙検知センサ320の出力値に基づいて行えばよいので、調整時間を短縮することができる。
【0081】
以上説明したとおり、本実施形態に係る浮き検知装置300によれば、センサステーとしてのセンサブラケット330に固定するときに、投光部321と受光部322の光軸調整を精度良く行う事ができる。この調整は、机上で行うことができるため作業性が良くなり、光軸調整時間が短縮できる。
【0082】
また、ドラム211と検知光323との光軸の平行調整においては、ドラム211との位置関係を正しく調整された遮光部材340を筐体310に予め固定している。その遮光部材340に対して検知光323の光軸の位置合わせを行うことで、ドラム211と光軸との平行調整を行うことができる。このため、ドラム211を回転させることなく平行調整ができ、調整時間を短縮できる。
【0083】
[媒体検知装置における検知位置調整方法]
次に、本発明に係る媒体検知装置における検知位置調整方法の実施形態を説明する。以下の説明は、浮き検知装置300における検知光323をドラム211に対して平行調整するときの方法に相当する。図13に示すように、当該検知位置調整方法を行うことができる浮き検知装置300は、ドラム211と検知光323が平行になるように検知光323の位置調整を行うには、ドラム211を回転させながらドラム貫通孔2111の位置に検知光323を合わせる必要がある。この位置合わせをおこなう手法として、下記の第一例から第四例を例示する。
【0084】
[第一例]
図13に例示するように、ドラム211の外周面にエンコーダシート2113を取り付ける。ドラム211には、ホームポジションアクチュエータ2114が取り付けられている。そして、筐体310には、予め、エンコーダセンサ2115及びホームポジションセンサ2116が取り付けられているものとする。
【0085】
まず、ホームポジションセンサ2116でドラム211の初期位置を検出した後、ドラム211を回動させるモータを動作させてドラム211を所定の方向に回転させる。そのときのドラム211に回転量をエンコーダセンサ2115によって読み取る。その読取り結果に基づいて、計算上、ドラム貫通孔2111が用紙検知センサ320の検知光位置に来る位置でドラム211の回転を停止させる。ドラム貫通孔2111の位置は、ドラム211の初期位置(ホームポジション)からの回転角度が事前にわかっているので、ドラム貫通孔2111を検知光位置で止めることができる。
【0086】
[第二例]
ドラム211をモータの駆動により自動的に回転させながら、用紙検知センサ320の出力値を読み取る。ドラム211の外周面上の出力値が無くなったところでドラム211の回転を止める。第二例によってドラム貫通孔2111を検知光323の位置調整を行う場合、第一例と比較すると、ホームポジションセンサ2116やエンコーダセンサ2115が不要になるので、浮き検知装置300のコストダウンを図ることができる。
【0087】
[第三例]
浮き検知装置300は、インチングボタン260を操作(主には、押下操作であってインチング操作と表記する。)をしている間のみ、ドラム211が回転させる「寸送り動作」を実行可能なものとする。なお、インチングボタン260は、ドラム211を正転、又は逆転させるためのものが独立して設けられている。すなわち、浮き検知装置300は二つのインチングボタン260を、ユーザによるインチング操作が可能となる位置に備えているものとする。
【0088】
また、本例における検知光323は、ユーザが視認可能な可視光とする。
【0089】
まず、ユーザがインチングボタン260を押下してドラム211を回転させる。このとき、ユーザは、ドラム貫通孔2111の位置が検知光323の位置に合う状態になることを確認しながらドラム211の回転を継続させる。ドラム貫通孔2111の位置が検知光323の位置に合ったタイミングで、ユーザはインチングボタン260を離す。これによって、ドラム貫通孔2111の位置が検知光323の位置に合った状態でドラム211が停止する。
【0090】
第三例の方法を用いると、ユーザの手動のみで位置調整を行うことができるので、位置調整のための制御が不要となる。
【0091】
[第四例]
第三例と同様に、ユーザの手動により、ドラム貫通孔2111の位置を検知光323の位置に合わせる方法の別例について説明する。なお、本例を用いるときの検知光323は、可視光とする。
【0092】
ドラム211をモータなどの動力を用いることなく、ユーザが手動で回転させる。このとき、ユーザは、ドラム貫通孔2111の位置が検知光323の位置に合う状態になることを確認しながらドラム211の回転を継続させる。第四例によってドラム貫通孔2111を検知光323に合うように位置調整を行う場合、第三例と比較して、インチングボタン260が不要となるので、浮き検知装置300のコストダウンを図ることができる。
【0093】
なお、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、その技術的要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の全てが本発明の対象となる。上記実施形態は、好適な例を示したものであるが、当業者であれば、開示した内容から様々な変形例を実現することが可能である。そのような変形例も、特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。
【0094】
[本発明の態様]
本発明の内容は、例えば、以下のとおりである。
<1>
ドラム状部材に沿って搬送される媒体を検知する媒体検知装置であって、
前記ドラム状部材に対する搬送位置において前記媒体を検知する媒体検知センサと、
前記媒体検知センサを保持するセンサ保持部材と、
前記ドラム状部材の回転軸の方向において前記媒体検知センサが用いる光を遮る遮光部と、
前記ドラム状部材を回動可能に支持する筐体と、
を備え、
前記遮光部は、前記筐体に固定される遮光部材であって、
前記センサ保持部材と前記遮光部材は、前記筐体に保持されている、
ことを特徴とする媒体検知装置である。
<2>
前記遮光部材は、前記ドラム状部材の径方向において、前記筐体に対する相対的な位置が所定の位置としての保持位置になるように調整可能である、
前記<1>に記載の媒体検知装置である。
<3>
ドラム状部材に沿って搬送される媒体を検知する媒体検知装置であって、
前記ドラム状部材に対する搬送位置において前記媒体を検知する媒体検知センサと、
前記媒体検知センサを保持するセンサ保持部材と、
前記ドラム状部材の回転軸の方向において前記媒体検知センサが用いる光を遮る遮光部と、
前記ドラム状部材を回動可能に支持する筐体と、
を備え、
前記遮光部は、前記筐体の外周面の一部を凹ませた凹み部であり、
当該凹み部は、前記光の幅を規定する位置において、前記筐体に形成され、
前記センサ保持部材は、前記筐体に保持されている、
ことを特徴とする媒体検知装置である。
<4>
前記ドラム状部材の回転位置を検知するドラム位置検知機構を備え、
前記ドラム位置検知機構は、前記ドラム状部材に設けられている貫通部と前記光との位置が所定の位置関係になるまでドラム状部材を回動させる、
前記<1>乃至前記<3>のいずれか一項に記載の媒体検知装置である。
<5>
前記貫通部は、前記ドラム状部材の周方向において複数設けられている、
前記<4>に記載の媒体検知装置である。
<6>
前記ドラム状部材の寸送り動作を指示する操作部を備え、
前記ドラム位置検知機構は、前記貫通部と前記光との位置が所定の位置関係になるまで前記操作部の操作に応じて前記ドラム状部材に寸送り動作をさせる、
前記<5>に記載の媒体検知装置である。
<7>
前記寸送り動作は、正転又は逆転の方向において前記ドラム状部材を回転する動作である、前記<6>に記載の媒体検知装置である。
<8>
前記媒体検知センサは、ドラム状部材の回転軸における一の端部側から他の端部側に向けて前記光を出射する投光センサと、当該光を受光する受光センサと、により構成され、
前記センサ保持部材は、前記遮光部が前記光の一部を遮り、当該光の他の一部を遮らない状態になるように、前記投光センサ及び前記受光センサの相対的な位置関係を、前記媒体の搬送方向との平行方向及び前記光の光軸方向との垂直方向において調整可能に保持する、
前記<1>又は前記<3>に記載の媒体検知装置である。
<9>
媒体を搬送するドラム状部材の外周面に配置され、当該媒体に液体を吐出して画像を形成する複数の液体吐出ヘッドと、
当該ドラム状部材の外周面に保持されて搬送される媒体を検知する媒体検知部と、
を有し、
当該媒体検知部を前記<1>乃至前記<8>のいずれか一項に記載の媒体検知装置とする、
ことを特徴とする画像形成装置である。
【符号の説明】
【0095】
100 :ヘッドアレイ
215 :画像形成制御部
300 :浮き検知装置
310 :筐体
320 :用紙検知センサ
321 :投光部
322 :受光部
323 :検知光
324 :光軸
330 :センサブラケット
340 :遮光部材
341 :第一遮光部材
342 :第二遮光部材
1000 :インクジェットプリンタ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0096】
【特許文献1】特開2011-195221号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13