(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024169191
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】媒体処理装置及び画像形成システム
(51)【国際特許分類】
B65H 37/04 20060101AFI20241128BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20241128BHJP
B42B 5/00 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
B65H37/04 Z
G03G15/00 432
B42B5/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023086452
(22)【出願日】2023-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】弁理士法人武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野内 雄太
【テーマコード(参考)】
2H072
3F108
【Fターム(参考)】
2H072GA07
3F108GA01
3F108GB01
3F108HA02
3F108HA11
(57)【要約】
【課題】綴じ手段を主走査方向に移動させる際に、上圧着歯が他の構成部品に接触するのを防止可能な媒体処理装置を提供する。
【解決手段】媒体処理装置は、トレイに支持された複数の媒体の下方に位置する下圧着歯と、トレイに支持された複数の媒体を挟んで下圧着歯と反対側において、下圧着歯に接離する向きに移動可能な上圧着歯とを備える圧着手段を備える。コントローラは、圧着手段が綴じ位置に対面するときに、トレイに支持された複数の媒体を、下圧着歯と上圧着歯とで挟んで押圧し、圧着手段を主走査方向に移動させる過程において、圧着手段の主走査方向の位置に応じて、下圧着歯と上圧着歯との離間距離を変更する。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状の媒体を搬送方向に搬送する搬送部と、
前記搬送部によって搬送された複数の前記媒体を支持可能なトレイと、
前記トレイに支持された複数の前記媒体の前記搬送方向の下流側の端部に当接して、複数の前記媒体の前記搬送方向の位置を揃える搬送方向揃え部と、
前記トレイに支持された複数の前記媒体の前記搬送方向の下流側の端部に沿って前記搬送方向に直交する主走査方向に移動可能で、前記搬送方向揃え部によって前記搬送方向の位置が揃えられた複数の前記媒体の綴じ位置を圧着綴じする圧着手段と、
前記搬送部及び前記圧着手段の動作を制御するコントローラとを備え、
前記圧着手段は、
前記トレイに支持された複数の前記媒体の下方に位置する下圧着歯と、
前記トレイに支持された複数の前記媒体を挟んで前記下圧着歯と反対側において、前記下圧着歯に接離する向きに移動可能な上圧着歯とを備え、
前記コントローラは、
前記圧着手段が前記綴じ位置に対面するときに、前記トレイに支持された複数の前記媒体を、前記下圧着歯と前記上圧着歯とで挟んで押圧し、
前記圧着手段を前記主走査方向に移動させる過程において、前記圧着手段の前記主走査方向の位置に応じて、前記下圧着歯と前記上圧着歯との離間距離を変更することを特徴とする媒体処理装置。
【請求項2】
前記コントローラは、前記圧着手段を前記主走査方向に移動させる過程において、
前記搬送方向揃え部の設置位置を含む特定領域から前記圧着手段が前記主走査方向にずれているときに、前記下圧着歯に対する前記上圧着歯の離間距離を第一距離とし、
前記圧着手段が前記特定領域を通過するときに、前記下圧着歯に対する前記上圧着歯の離間距離を前記第一距離より大きい第二距離とすることを特徴とする請求項1に記載の媒体処理装置。
【請求項3】
前記圧着手段は、前記下圧着歯に対して前記上圧着歯を接離させるアクチュエータを備えることを特徴とする請求項2に記載の媒体処理装置。
【請求項4】
前記アクチュエータは、直流電流が供給されて回転するDCモータであり、
前記上圧着歯は、
前記DCモータの正転によって、前記下圧着歯に近づく向きに移動し、
前記DCモータの逆転によって、前記下圧着歯から離れる向きに移動することを特徴とする請求項3に記載の媒体処理装置。
【請求項5】
前記トレイに支持された前記媒体から前記主走査方向の一方側に外れたホーム位置に前記圧着手段が位置していることを検知するホームセンサと、
前記圧着手段の前記主走査方向の移動量に応じた数のパルス信号を出力するロータリエンコーダとを備えることを特徴とする請求項2に記載の媒体処理装置。
【請求項6】
前記主走査方向における前記特定領域の端部に前記圧着手段が位置していることを検知する位置センサをさらに備えることを特徴とする請求項5に記載の媒体処理装置。
【請求項7】
前記圧着手段は、
前記主走査方向に延びる回動軸周りに回動可能に支持され、回動先端側で前記上圧着歯を支持する回動アームと、
前記アクチュエータの駆動力を前記回動アームに伝達して、前記回動アームを前記回動軸周りに回動させる駆動力伝達手段とを備えることを特徴とする請求項3に記載の媒体処理装置。
【請求項8】
前記媒体に画像を形成する画像形成装置と、
前記画像形成装置によって画像が形成された複数の前記媒体を圧着綴じする請求項1に記載の媒体処理装置と、を備えることを特徴とする画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体処理装置及び画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、画像形成装置によって画像が形成されたシート状の媒体を束にして綴じる処理を行う媒体処理装置が知られている。なお、シート状の媒体の例として用紙が広く知られているので、本明細書では、シート状の媒体の束に関しては複数の用紙を積層した「用紙束」を例に用いることとする。また、媒体処理装置には、省資源化や環境負荷の低減を鑑みる観点から、金属製の綴じ針を用いずに、凹凸状の綴じ歯で用紙束を挟持して加圧変形させる所謂「圧着綴じ」が可能な圧着手段を備えるものがある。
【0003】
このような媒体処理装置の一例として、特許文献1には、用紙束の搬送方向の位置を揃える用紙規制部と、下歯に対して上歯を上下方向に接離させて用紙束を圧着綴じする綴じユニットとを備える後処理装置が開示されている。また、特許文献1に記載の綴じユニットは、主走査方向に移動することによって、主走査方向における用紙束の任意の位置を圧着綴じ可能に構成されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上歯を上下に移動させるための構成部品の間には、微小な隙間(所謂、ガタ)が存在する。また、上歯は、用紙束を加圧変形させるために剛性の大きい焼結部材などで構成されるので、その自重によってガタの分だけ沈み込む。そのため、主走査方向に移動する綴じユニットが、設計上では干渉しないはずの他の構成部品(例えば、用紙規制部)に接触する可能性がある。
【0005】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、綴じ手段を主走査方向に移動させる際に、上圧着歯が他の構成部品に接触するのを防止可能な媒体処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、シート状の媒体を搬送方向に搬送する搬送部と、前記搬送部によって搬送された複数の前記媒体を支持可能なトレイと、前記トレイに支持された複数の前記媒体の前記搬送方向の下流側の端部に当接して、複数の前記媒体の前記搬送方向の位置を揃える搬送方向揃え部と、前記トレイに支持された複数の前記媒体の前記搬送方向の下流側の端部に沿って前記搬送方向に直交する主走査方向に移動可能で、前記搬送方向揃え部によって前記搬送方向の位置が揃えられた複数の前記媒体の綴じ位置を圧着綴じする圧着手段と、前記搬送部及び前記圧着手段の動作を制御するコントローラとを備え、前記圧着手段は、前記トレイに支持された複数の前記媒体の下方に位置する下圧着歯と、前記トレイに支持された複数の前記媒体を挟んで前記下圧着歯と反対側において、前記下圧着歯に接離する向きに移動可能な上圧着歯とを備え、前記コントローラは、前記圧着手段が前記綴じ位置に対面するときに、前記トレイに支持された複数の前記媒体を、前記下圧着歯と前記上圧着歯とで挟んで押圧し、前記圧着手段を前記主走査方向に移動させる過程において、前記圧着手段の前記主走査方向の位置に応じて、前記下圧着歯と前記上圧着歯との離間距離を変更することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、綴じ手段を主走査方向に移動させる際に、上圧着歯が他の構成部品に接触するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図4】主走査方向に移動する圧着手段とエンドフェンスとの関係を示す図。
【
図8】圧着手段の主走査方向の位置と、下圧着歯及び上圧着歯の離間距離との関係を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る画像形成システム1について、図面を参照しながら説明する。
図1は、画像形成システム1の全体構成を示す図である。画像形成システム1は、用紙P(シート状の媒体)に画像を形成し、画像が形成された用紙Pに対して後処理を施す機能を有する。
図1に示すように、画像形成システム1は、画像形成装置2と、後処理装置3(媒体処理装置)とで構成される。
【0010】
画像形成装置2は、用紙Pに画像を形成し、画像を形成した用紙Pを後処理装置3に排出する。画像形成装置2は、用紙Pが収容されたトレイと、トレイに収容された用紙Pを搬送する搬送部と、搬送部によって搬送された用紙Pに画像を形成する画像形成部とを主に備える。画像形成部は、インクを用いて画像を形成するインクジェット方式でもよいし、トナーを用いて画像を形成する電子写真方式でもよい。画像形成装置2の構成は既に周知なので、詳細な説明は省略する。
【0011】
図2は、後処理装置3の内部構造を示す図である。後処理装置3は、画像形成装置2によって画像が形成された用紙Pに後処理を施す。本実施形態に係る後処理は、画像が形成された複数の用紙Pの束(以下、「用紙束Pb(媒体束)」と表記する。)を綴じる綴じ処理である。より詳細には、本実施形態に係る綴じ処理は、用紙束Pbを加圧変形させる所謂「圧着綴じ」である。また、綴じ処理は、用紙束Pbの端を綴じる端綴じ処理と、用紙束Pbの中央を綴じる中綴じ処理と含む。
【0012】
後処理装置3は、搬送ローラ対10~19(搬送部)と、切替爪20とを備える。搬送ローラ対10~19は、後処理装置3の内部において、画像形成装置2から供給された用紙Pを搬送する。より詳細には、搬送ローラ対10~13は、第一搬送路Ph1に沿って用紙Pを搬送する。また、搬送ローラ対14~15は、第二搬送路Ph2に沿って用紙Pを搬送する。さらに、搬送ローラ対16~19は、第三搬送路Ph3に沿って用紙Pを搬送する。
【0013】
第一搬送路Ph1は、画像形成装置2からの用紙Pの供給口から排出トレイ21に至る経路である。第二搬送路Ph2は、搬送方向における搬送ローラ対11、14の間において第一搬送路Ph1から分岐し、内部トレイ22を通じて排出トレイ30に至る経路である。第三搬送路Ph3は、搬送方向における搬送ローラ対11、14の間において第一搬送路Ph1から分岐し、排出トレイ36に至る経路である。
【0014】
切替爪20は、第一搬送路Ph1及び第二搬送路Ph2の分岐位置に配置されている。切替爪20は、第一搬送路Ph1を通じて用紙Pを排出トレイ21に排出する第一位置と、第一搬送路Ph1を搬送される用紙Pを第二搬送路Ph2に導く第二位置とに切り替え可能に構成されている。また、第二搬送路Ph2に進入した用紙Pの後端が搬送ローラ対11を通過したタイミングで、搬送ローラ対14を逆回転させることによって、当該用紙Pが第三搬送路Ph3に導かれる。また、後処理装置3は、各搬送路Ph1、Ph2、Ph3上の用紙Pの位置を検知する複数のセンサ(
図2に▲で示す)を備える。
【0015】
後処理装置3は、排出トレイ21を備える。排出トレイ21は、第一搬送路Ph1を通じて排出された用紙Pを支持する。排出トレイ21には、画像形成装置2から供給される用紙Pのうち、綴じ処理が施されない用紙Pが排出される。
【0016】
後処理装置3は、内部トレイ22(トレイ)と、叩きコロ23と、戻しコロ24と、エンドフェンス25L、25R(搬送方向揃え部)と、サイドフェンス26L、26R(幅方向揃え部)と、圧着手段27と、放出爪29と、排出トレイ30と、フィラー31とを備える。内部トレイ22、叩きコロ23、戻しコロ24、エンドフェンス25L、25R、サイドフェンス26L、26R、圧着手段27、及び放出爪29は、第二搬送路Ph2を搬送される用紙Pに端綴じ処理を施す。排出トレイ30には、画像形成装置2から供給される用紙Pのうち、端綴じ処理が施された用紙束Pbが排出される。
【0017】
以下、搬送ローラ対15からエンドフェンス25に向かう方向を、「搬送方向」と定義する。また、搬送方向及び用紙Pの厚み方向に直交する方向を、「主走査方向(用紙Pの幅方向)」と定義する。
【0018】
内部トレイ22は、搬送ローラ対15より搬送方向の下流側に配置されている。内部トレイ22は、第二搬送路Ph2を順番に搬送される複数の用紙Pを一時的に支持する。本実施形態に係る内部トレイ22は、搬送方向の下流側に向かって下り傾斜している。叩きコロ23は、内部トレイ22の上方において、回動アームの先端に支持されている。叩きコロ23は、回動アームが回動することによって、内部トレイ22に支持された一番上の用紙Pに接離する。戻しコロ24は、叩きコロ23より搬送方向の下流側において、内部トレイ22の上方に配置されている。
【0019】
叩きコロ23を内部トレイ22から離間させる向きに回動アームが回動すると、搬送ローラ対15によって搬送方向に搬送された用紙Pが内部トレイ22上に進入する。この状態で、叩きコロ23を内部トレイ22に近接させる向きに回動アームが回動すると、搬送ローラ対15によって内部トレイ22上に搬送された用紙Pに対して叩きコロ23が上方から当接する。叩きコロ23に当接された用紙Pは、搬送ローラ対15から離脱して内部トレイ22に支持される。戻しコロ24は、内部トレイ22に支持された用紙Pの上面に当接して回転することによって、当該用紙Pをエンドフェンス25L、25Rに向けて案内する。
【0020】
エンドフェンス25L、25Rは、内部トレイ22より搬送方向の下流側に配置されている。また、エンドフェンス25L、25Rは、主走査方向に離間した位置に配置されている。そして、エンドフェンス25L、25Rは、内部トレイ22に支持された用紙束Pbの搬送方向の下流側の端部に当接して、用紙束Pbの搬送方向の位置を揃える。サイドフェンス26L、26Rは、内部トレイ22の主走査方向の両側に配置されている。サイドフェンス26L、26Rは、主走査方向に移動可能に構成されている。そして、サイドフェンス26L、26Rは、内部トレイ22に支持された用紙束Pbの主走査方向の両端部に当接して、当該用紙束Pbの主走査方向の位置を揃える。
【0021】
圧着手段27は、内部トレイ22より搬送方向の下流側に配置されている。また、圧着手段27は、内部トレイ22に支持された用紙束Pbの表面に沿って、主走査方向に移動可能に構成されている。そして、圧着手段27は、エンドフェンス25及びサイドフェンス26L、26Rによって揃えられた用紙束Pbの端部に端綴じ処理を施す。より詳細には、圧着手段27は、内部トレイ22に支持された用紙束Pbの綴じ位置を、厚み方向の両側から凹凸状の綴じ歯で挟持する。これにより、用紙束Pbの綴じ位置が加圧変形されて圧着綴じされる。圧着手段27の詳細は、
図5及び
図6を参照して後述する。
【0022】
放出爪29は、内部トレイ22より搬送方向の下流側に配置されている。また、放出爪29は、主走査方向の位置が固定されている。さらに、放出爪29は、内部トレイ22に支持された用紙束Pbの搬送方向の下流側の端部に当接して、搬送方向の上流側(すなわち、搬送ローラ対15側)に向かって移動可能に構成されている。搬送方向の上流側に移動する放出爪29は、端綴じ処理が施された用紙束Pbを、内部トレイ22に沿って搬送方向の上流側に移動させる。これにより、端綴じ処理が施された用紙束Pbが内部トレイ22から放出されて、搬送ローラ対15の間に進入する。そして、搬送ローラ対15は、端綴じ処理が施された用紙束Pbを排出トレイ30に排出する。
【0023】
排出トレイ30は、後処理装置3の筐体の外側面に上下動可能に支持されている。フィラー31は、排出トレイ30の上方に回動可能に支持されている。フィラー31の先端は、排出トレイ30に支持された用紙束Pbに当接する。フィラー31は、排出トレイ30に積載された用紙束Pbの高さ(厚さ)が閾値に達したことを検知して、後述するコントローラ100(
図7参照)に通知する。コントローラ100は、用紙束Pbの高さが閾値に達したことがフィラー31によって検知されたことに応じて、排出トレイ30を所定量だけ下降させる。
【0024】
さらに、後処理装置3は、エンドフェンス32と、綴じ処理部33と、用紙折りブレード34と、穿孔処理部35と、排出トレイ36とを備える。エンドフェンス32、綴じ処理部33、及び用紙折りブレード34は、第三搬送路Ph3を搬送される用紙Pに中綴じ処理を施す。排出トレイ36には、画像形成装置2から供給される用紙Pのうち、中綴じ処理が施された用紙束Pbが排出される。
【0025】
エンドフェンス32は、第三搬送路Ph3を順番に搬送される複数の用紙Pの搬送方向の位置を揃える。また、エンドフェンス32は、用紙束Pbの中央を、綴じ処理部33に対面させる綴じ位置と、用紙折りブレード34に対面させる折り位置とに移動可能に構成されている。綴じ処理部33は、綴じ位置のエンドフェンス32によって揃えられた用紙束Pbの中央を綴じる。用紙折りブレード34は、折り位置のエンドフェンス32に支持された用紙束Pbを半分に折って、搬送ローラ対18に挟持させる。搬送ローラ対18、19は、中綴じ処理が施された用紙束Pbを排出トレイ36に排出する。穿孔処理部35は、搬送ローラ対18、19によって搬送される用紙束Pbに貫通孔を穿つ。
【0026】
図3は、内部トレイ22を用紙Pの厚み方向から見た図である。
図4は、主走査方向に移動する圧着手段27とエンドフェンス25L、25Rとの関係を示す図である。
図3に示すように、エンドフェンス25L、25Rは、放出爪29(換言すれば、内部トレイ22に支持された用紙束Pbの主走査方向の中央位置)を挟んで主走査方向の反対側に配置されている。また、エンドフェンス25L、25Rは、放出爪29から等距離に配置されている。
【0027】
圧着手段27は、内部トレイ22より搬送方向の下流側において主走査方向に延びるガイド軸37に、主走査方向に移動可能に支持されている。そして、圧着手段27は、主走査移動モータ38の駆動力が駆動力伝達機構39を通じて伝達されることによって、主走査方向に移動する。駆動力伝達機構39は、例えば、ギヤ、プーリ、タイミングベルト、或いはこれらを組み合わせて構成される。
【0028】
本実施形態に係る圧着手段27は、
図3(A)に示すホーム位置HPと、
図3(B)に示す綴じ位置Bに対面する位置とに移動する。より詳細には、圧着手段27は、主走査移動モータ38を正転させることによって、ホーム位置HPから遠ざかる方向(
図3の左方向)に移動する。一方、圧着手段27は、主走査移動モータ38を逆転させることによって、ホーム位置HPに近づく方向(
図3の右方向)に移動する。
【0029】
ホーム位置HPは、内部トレイ22に支持された用紙Pから主走査方向の一方側に外れた位置である。綴じ位置Bは、内部トレイ22に支持された用紙束Pb上の位置である。但し、綴じ位置Bの具体的な位置は、
図3(B)の例に限定されず、エンドフェンス25L、25Rの設置位置(より詳細には、後述する特定領域)から主走査方向にずれた位置であれば、用紙束Pbの搬送方向の下流側の端部における主走査方向の任意の位置でよい。
【0030】
ここで、
図3に示すように、ホーム位置HPと綴じ位置Bとがエンドフェンス25L、25Rの設置位置を挟んで反対側にある場合、ホーム位置HPの圧着手段27は、エンドフェンス25L、25Rの設置位置を通過して、綴じ位置Bに到達することになる。このとき、
図4に示すように、主走査方向に移動する圧着手段27がエンドフェンス25Rに接触すると、エンドフェンス25Rまたは圧着手段27が破損する可能性がある。そこで、
図5及び
図6を参照して、主走査方向に移動する圧着手段27が後処理装置3の他の構成部品に接触するのを防止する構成を説明する。
【0031】
図5は、圧着手段27の概略構成図である。
図6は、下圧着歯41及び上圧着歯42の関係を示す図である。
図5及び
図6に示すように、圧着手段27は、筐体40と、下圧着歯41と、上圧着歯42と、圧着モータ43(アクチュエータ)と、駆動力伝達機構44(駆動力伝達手段)とを備える。圧着手段27は、構成部品(41~44)が筐体40に支持されることによって、ユニット化されている。
【0032】
図5に示すように、筐体40は、本体45と、回動軸46と、回動アーム47とで構成されている。本体45の上面には、下圧着歯41が固定される。また、本体45の内部には、圧着モータ43及び駆動力伝達機構44が収容される。回動軸46は、下圧着歯41より搬送方向の下流側において、本体45の上端に支持されている。また、回動軸46は、主走査方向に延設されている。回動アーム47は、回動軸46に回動可能に支持されている。また、回動アーム47の回動先端側の下面には、上圧着歯42が固定されている。そして、回動アーム47が回動軸46周りに回動することによって、下圧着歯41に対して上圧着歯42が接離する。
【0033】
図6に示すように、下圧着歯41及び上圧着歯42は、内部トレイ22に支持された用紙束Pbを挟んで、用紙束Pbの厚み方向に対向して配置されている。すなわち、下圧着歯41及び上圧着歯42は、内部トレイ22に支持された用紙束Pbを挟んで反対側に配置されている。下圧着歯41及び上圧着歯42の互いに対向する面は、凹部及び凸部が交互に形成された凹凸状に形成されている。また、下圧着歯41及び上圧着歯42は、互いに噛合うように、凹部及び凸部がずれて形成されている。そして、上圧着歯42は、駆動力伝達機構44を通じて圧着モータ43の駆動力が伝達されることによって、下圧着歯41に対して接離する向きに移動(昇降)する。
【0034】
用紙束Pbを構成する複数の用紙Pが内部トレイ22に供給される過程では、
図6(A)に示すように、下圧着歯41及び上圧着歯42は互いに離間している。そして、用紙束Pbを構成する全ての用紙Pが内部トレイ22に支持されると、
図6(B)に示すように、下圧着歯41及び上圧着歯42が噛み合って、用紙束Pbを厚み方向から加圧変形させる。これにより、内部トレイ22に支持された用紙束Pbが圧着綴じされる。
【0035】
圧着モータ43は、下圧着歯41に対して上圧着歯42を接離させる(換言すれば、回動アーム47を回動させる)ための駆動力を発生させる。駆動力伝達機構44は、圧着モータ43の駆動力を回動アーム47に伝達することによって、回動アーム47を回動させる。駆動力伝達機構44は、例えば、ギヤ、プーリ、タイミングベルト、或いはこれらを組み合わせて構成される。
【0036】
図5に示すように、回動アーム47は、搬送方向の下流側の回動基端(回動軸46)を中心として、搬送方向の上流側の回動先端(すなわち、上圧着歯42)が上下方向に移動するように回動する。そして、上圧着歯42は、回動アーム47の回動によって、
図5(A)に示す押圧位置、
図5(B)に示す第一離間位置、
図5(C)に示す第二離間位置に移動する。より詳細には、上圧着歯42は、圧着モータ43の正転によって、押圧位置から遠ざかる(換言すれば、第二離間位置に近づく)方向に移動する。一方、上圧着歯42は、圧着モータ43の逆転によって、押圧位置に近づく(換言すれば、第二離間位置から遠ざかる)方向に移動する。
【0037】
押圧位置は、内部トレイ22に支持された用紙束Pbを挟んで、下圧着歯41に対して上圧着歯42が押圧される位置である。第一離間位置は、下圧着歯41に対する上圧着歯42の上下方向の離間距離が第一距離L1となる位置である。第二離間位置は、下圧着歯41に対する上圧着歯42の上下方向の離間距離が第二距離L2(L1<L2)となる位置である。すなわち、第一離間位置は、押圧位置より上方の位置である。また、第二離間位置は、第一離間位置より上方の位置である。
【0038】
ここで、圧着モータ43と回動アーム47との間の構成部品の間には、ガタ(例えば、噛み合うギヤの遊び、タイミングベルトの撓み、本体45、回動軸46、回動アーム47の間の隙間など)が存在する。また、上圧着歯42は、用紙束Pbを加圧変形させるために剛性の大きい焼結部材などで構成される。そのため、第一離間位置及び第二離間位置の上圧着歯42は、自重によってガタの分だけ下降する(換言すれば、上圧着歯42が下圧着歯41に近づく向きに、回動アーム47が回動する)。そこで、第一離間位置及び第二離間位置は、ガタによる上圧着歯42の位置の変化を考慮して、圧着手段27と後処理装置3の他の構成要素とが接触しない位置に設定される。
【0039】
より詳細には、
図5(B)に示すように、第一離間位置は、上圧着歯42及び回動アーム47のガタによる下降がなかったとしても、圧着手段27が主走査方向に移動する過程において、圧着手段27より上方の構成部品48(例えば、第二搬送路Ph2を画定する隔壁など)に、上圧着歯42及び回動アーム47が接触しない位置に設定される。一方、第一位置は、圧着手段27が主走査方向に移動する過程において、下圧着歯41及び上圧着歯42の間(換言すれば、本体45及び回動アーム47の間)のエンドフェンス25L、25Rに、上圧着歯42及び回動アーム47が接触する可能性がある位置でもよい。
【0040】
また、
図5(C)に示すように、第二離間位置は、上圧着歯42及び回動アーム47がガタの分だけ下降したとしても、圧着手段27が主走査方向に移動する過程において、下圧着歯41及び上圧着歯42の間のエンドフェンス25L、25Rに、上圧着歯42及び回動アーム47が接触しない位置に設定される。一方、第二離間位置は、圧着手段27が主走査方向に移動する過程において、圧着手段27より上方の構成部品48に、上圧着歯42及び回動アーム47が接触する可能性がある位置でもよい。
【0041】
すなわち、上圧着歯42を第一離間位置に配置した状態で圧着手段27を主走査方向に移動させると、圧着手段27の全ての構成部品(40~47)は、後処理装置3の構成部品48の下方を通過する。一方、上圧着歯42を第二離間位置に配置した状態で圧着手段27を主走査方向に移動させると、下圧着歯41はエンドフェンス25L、25Rより下方を通過し、上圧着歯42はエンドフェンス25L、25Rより上方を通過する。換言すれば、上圧着歯42を第二離間位置に配置した状態で圧着手段27を主走査方向に移動させると、エンドフェンス25L、25Rは、本体45及び回動アーム47で囲まれた空間に進入して、圧着手段27の構成部品(40~47)と接触しない。
【0042】
図7は、後処理装置3のハードウェア構成図である。
図7に示すように、後処理装置3は、CPU(Central Processing Unit)101、RAM(Random Access Memory)102、ROM(Read Only Memory)103、HDD(Hard Disk Drive)104、及びI/F105が共通バス109を介して接続されている構成を備える。
【0043】
CPU101は演算手段であり、後処理装置3全体の動作を制御する。RAM102は、情報の高速な読み書きが可能な揮発性の記憶媒体であり、CPU101が情報を処理する際の作業領域として用いられる。ROM103は、読み出し専用の不揮発性の記憶媒体であり、ファームウェア等のプログラムが格納されている。HDD104は、情報の読み書きが可能であって記憶容量が大きい不揮発性の記憶媒体であり、OS(Operating System)や各種の制御プログラム、アプリケーションプログラムなどが格納される。
【0044】
後処理装置3は、ROM103に格納された制御プログラム、HDD104などの記憶媒体からRAM102にロードされた情報処理プログラム(アプリケーションプログラム)などをCPU101が備える演算機能によって処理する。その処理によって、後処理装置3の種々の機能モジュールを含むソフトウェア制御部が構成される。このようにして構成されたソフトウェア制御部と、後処理装置3に搭載されるハードウェア資源との組み合わせによって、後処理装置3の機能を実現する機能ブロックが構成される。すなわち、CPU101、RAM102、ROM103、及びHDD104は、後処理装置3の動作を制御するコントローラ100を構成する。
【0045】
I/F105は、搬送ローラ対10、11、14、15、切替爪20、叩きコロ23、サイドフェンス26L、26R、放出爪29、主走査移動モータ38、圧着モータ43、ホームセンサ51、ロータリエンコーダ52、53、及び操作パネル110を、共通バス109に接続するインタフェースである。コントローラ100は、I/F105を通じて、搬送ローラ対10、11、14、15、切替爪20、叩きコロ23、サイドフェンス26L、26R、放出爪29、主走査移動モータ38、及び圧着モータ43を動作させ、ホームセンサ51及びロータリエンコーダ52、53の検知結果を取得する。なお、
図7には端綴じ処理を実行する構成部品のみを図示しているが、中綴じ処理を実行する構成部品も同様にコントローラ100によって制御される。
【0046】
操作パネル110は、ユーザからの操作を受け付ける操作部と、ユーザに情報を報知するディスプレイ(報知部)とを備える。操作部は、例えば、ハードキー、ディスプレイに重畳されたタッチパネル等を含む。そして、操作パネル110は、操作部を通じてオペレータから情報を取得し、ディスプレイを通じてオペレータに情報を提供する。なお、報知部の具体例はディスプレイに限定されず、LEDランプやスピーカ等でもよい。
【0047】
ホームセンサ51は、圧着手段27がホーム位置HPに位置していることを検知して、コントローラ100に検知信号を出力する。ホームセンサ51は、例えば、透過型または反射型の光学センサである。そして、ホームセンサ51は、圧着手段27がホーム位置HPに位置しているときに検知信号を出力し、圧着手段27がホーム位置HPと異なる位置に位置しているときに検知信号の出力を停止する。
【0048】
ロータリエンコーダ52は、圧着手段27の主走査方向の移動量(例えば、主走査移動モータ38の回転量)に応じた数のパルス信号を、コントローラ100に出力する。コントローラ100は、ロータリエンコーダ52から出力されるパルス信号の数(以下、「パルス数」と表記する。)をカウントすることによって、圧着手段27の主走査方向の位置を特定することができる。より詳細には、コントローラ100は、圧着手段27がホーム位置HPに位置しているときのパルス数を0とする。また、コントローラ100は、主走査移動モータ38を正転させているときに、パルス数をカウントアップする。さらに、コントローラ100は、主走査移動モータ38を逆転させているときに、パルス数をカウントダウンする。
【0049】
ロータリエンコーダ53は、上圧着歯42の移動量(例えば、圧着モータ43の回転量)に応じた数のパルス信号を、コントローラ100に出力する。コントローラ100は、ロータリエンコーダ53から出力されるパルス信号の数(以下、「パルス数」と表記する。)をカウントすることによって、上圧着歯42の位置を特定することができる。より詳細には、コントローラ100は、上圧着歯42が押圧位置に位置しているときのパルス数を0とする。また、コントローラ100は、圧着モータ43を正転させているときに、パルス数をカウントアップする。さらに、コントローラ100は、圧着モータ43を逆転させているときに、パルス数をカウントダウンする。
【0050】
図8は、圧着手段27の主走査方向の位置と、下圧着歯41及び上圧着歯42の離間距離との関係を示す図である。
図8に示すように、コントローラ100は、綴じ処理を実行する際に、圧着手段27の主走査方向の位置に応じて、下圧着歯41に対する上圧着歯42の離間距離を変更する。なお、綴じ処理の開始時点において、圧着手段27はホーム位置に配置され、上圧着歯42は第一離間位置に配置されているものとする。
【0051】
また、用紙束Pbの綴じ位置B1、B2は、例えば、画像形成装置2からの綴じ処理の実行指示(以下、「綴じ指示」と表記する。)に含まれているものとする。綴じ位置B1は、エンドフェンス25L、25Rの設置位置よりホーム位置HP側の位置である。一方、綴じ位置B2は、エンドフェンス25L、25Rの設置位置を挟んで、ホーム位置HPと反対側の位置である。より詳細には、綴じ位置B1、B2は、後述する特定領域から主走査方向に外れた位置(特定領域の外側の位置)である。綴じ位置B1、B2は、2箇所に限定されず、1箇所でもよいし、3箇所以上でもよい。
【0052】
まず、コントローラ100は、圧着手段27が綴じ位置B1に到達するまで、主走査移動モータ38を正転させる。次に、コントローラ100は、圧着手段27が綴じ位置B1に到達したことに応じて、主走査移動モータ38を停止する。また、コントローラ100は、上圧着歯42が押圧位置に到達するまで、圧着モータ43を逆転させる。これにより、用紙束Pbの綴じ位置B1が圧着綴じされる。さらに、コントローラ100は、上圧着歯42が第一離間位置に到達するまで、圧着モータ43を正転させる。
【0053】
次に、コントローラ100は、圧着手段27が綴じ位置B2に到達するまで、主走査移動モータ38を正転させる。このとき、コントローラ100は、主走査方向に移動する圧着手段27が特定領域の始端に到達したことに応じて、上圧着歯42が第二離間位置に到達するまで、圧着モータ43を正転させる。次に、コントローラ100は、主走査方向に移動する圧着手段27が特定領域の終端に到達したことに応じて、上圧着歯42が第一離間位置に到達するまで、圧着モータ43を逆転させる。
【0054】
特定領域は、エンドフェンス25L、25Rの設置位置を含む領域である。より詳細には、特定領域は、エンドフェンス25Lより左側の位置と、エンドフェンス25Lより右側の位置との間の領域である。そして、コントローラ100は、圧着手段27が特定領域から主走査方向にずれているとき(すなわち、特定領域の外側に位置しているとき)に、上圧着歯42を第一離間位置に配置する。一方、コントローラ100は、圧着手段27が特定領域を通過するとき(すなわち、特定領域内に位置しているとき)に、上圧着歯42を第二離間位置に配置する。
【0055】
次に、コントローラ100は、圧着手段27が綴じ位置B2に到達したことに応じて、主走査移動モータ38を停止する。また、コントローラ100は、上圧着歯42が押圧位置に到達するまで、圧着モータ43を逆転させる。これにより、用紙束Pbの綴じ位置B2が圧着綴じされる。さらに、コントローラ100は、上圧着歯42が第一離間位置に到達するまで、圧着モータ43を正転させる。
【0056】
そして、コントローラ100は、圧着手段27がホーム位置HPに到達するまで、主走査移動モータ38を逆転させる。また、コントローラ100は、圧着手段27をホーム位置HPに移動させる過程において、圧着手段27が特定領域から外れているときに上圧着歯42を第一離間位置に配置し、圧着手段27が特定領域を通過しているときに上圧着歯42を第二離間位置に配置する。さらに、コントローラ100は、放出爪29及び搬送ローラ対15を駆動することによって、圧着綴じされた用紙束Pbを排出トレイ30に排出する。
【0057】
上記の実施形態によれば、例えば以下の作用効果を奏する。
【0058】
上記の実施形態によれば、圧着手段27の主走査方向の位置に応じて上圧着歯42の位置(すなわち、下圧着歯41に対する上圧着歯42の離間距離)を変更することによって、移動経路上にある障害物(エンドフェンス25L、25R及び構成部品48)に圧着手段27が接触するのを防止することができる。これにより、後処理装置3の構成部品のレイアウトの自由度が向上すると共に、後処理装置3の小型化にも寄与する。
【0059】
また、上記の実施形態によれば、用紙束Pbの圧着綴じと、下圧着歯41及び上圧着歯42の離間距離の調整とを、単一の圧着モータ43を用いて行うので、アクチュエータの数を増やさずに前述の制御を実現することができる。なお、下圧着歯41及び上圧着歯42の離間距離を調整するためのアクチュエータとしては、サーボモータ、ステッピングモータ、DC(Direct Current)モータ等の他、エアシリンダ等を採用してもよい。また、圧着モータ43による下圧着歯41及び上圧着歯42の離間距離の調整を補助するために、電磁石や油圧シリンダ等を用いてもよい。
【0060】
ここで、圧着モータ43として、直流電流が供給されて回転するDCモータを採用すれば、PWM(Pulse Width Modulation)制御によって、圧着手段27の主走査方向の位置を制御することができる。これにより、ロータリエンコーダ53を省略することができる。
【0061】
[変形例]
図9は、変形例に係る位置センサ54、55の配置を示す図である。なお、上記の実施形態との共通点の詳細な説明は省略し、相違点を中心に説明する。
図9に示すように、変形例に係る後処理装置3は、位置センサ54、55をさらに備える点で、上記の実施形態と相違する。
【0062】
位置センサ54は、特定領域の一方側の端部(
図9の右端)に圧着手段27が位置していることを検知して、コントローラ100に検知信号を出力する。位置センサ55は、特定領域の他方側の端部(
図9の左端)に圧着手段27が位置していることを検知して、コントローラ100に検知信号を出力する。位置センサ54、55は、例えば、透過型または反射型の光学センサである。そして、位置センサ54、55は、圧着手段27が特定領域の端部に位置しているときに検知信号を出力し、圧着手段27が特定領域の端部と異なる位置に位置しているときに検知信号の出力を停止する。
【0063】
変形例に係るコントローラ100は、圧着手段27が特定領域に進入したことを位置センサ54、55によって検知したタイミングで、上圧着歯42を第一離間位置から第二離間位置に移動させる。また、変形例に係るコントローラ100は、圧着手段27が特定領域から退出したことを位置センサ54、55によって検知したタイミングで、上圧着歯42を第二離間位置から第一離間位置に移動させる。
【0064】
ロータリエンコーダ52のパルス数を揮発性のRAM102を記憶させる場合、圧着手段27がホーム位置HPと異なる位置に配置されている状態で、後処理装置3の電源がOFFされると、カウントしたパルス数が消去される。そのため、コントローラ100は、次に後処理装置3の電源がONされたときに、圧着手段27の主走査方向の位置を特定することができない。そこで、変形例のように、特定領域の端部に位置センサ54、55を配置することによって、特定領域に対して進入または退出する圧着手段27を確実に検知することができる。その結果、圧着手段27が他の構成部品に接触するのを、さらに適切に防止することができる。
【0065】
なお、上記に説明した制御方法は、例えば、プログラム等で実現してもよい。すなわち、制御方法は、プログラムに基づいて、演算装置、記憶装置、入力装置、出力装置、及び、制御装置を協働して動作させて、コンピュータが実行する方法である。また、プログラムは、記憶装置、又は、記憶媒体等に書き込まれて配布、又は、電気通信回線等を通じて配布されてもよい。
【0066】
また、本発明は、上記に例示する各実施形態に限定されるものではなく、その技術的要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項のすべてが本発明の対象となる。上記実施形態は、好適な例を示したものであるが、当業者であれば、開示した内容から様々な変形例を実現することが可能である。そのような変形例も、特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。
【0067】
本発明の態様は、例えば、以下のとおりである。
<1> シート状の媒体を搬送方向に搬送する搬送部と、
前記搬送部によって搬送された複数の前記媒体を支持可能なトレイと、
前記トレイに支持された複数の前記媒体の前記搬送方向の下流側の端部に当接して、複数の前記媒体の前記搬送方向の位置を揃える搬送方向揃え部と、
前記トレイに支持された複数の前記媒体の前記搬送方向の下流側の端部に沿って前記搬送方向に直交する主走査方向に移動可能で、前記搬送方向揃え部によって前記搬送方向の位置が揃えられた複数の前記媒体の綴じ位置を圧着綴じする圧着手段と、
前記搬送部及び前記圧着手段の動作を制御するコントローラとを備え、
前記圧着手段は、
前記トレイに支持された複数の前記媒体の下方に位置する下圧着歯と、
前記トレイに支持された複数の前記媒体を挟んで前記下圧着歯と反対側において、前記下圧着歯に接離する向きに移動可能な上圧着歯とを備え、
前記コントローラは、
前記圧着手段が前記綴じ位置に対面するときに、前記トレイに支持された複数の前記媒体を、前記下圧着歯と前記上圧着歯とで挟んで押圧し、
前記圧着手段を前記主走査方向に移動させる過程において、前記圧着手段の前記主走査方向の位置に応じて、前記下圧着歯と前記上圧着歯との離間距離を変更することを特徴とする媒体処理装置である。
<2> 前記コントローラは、前記圧着手段を前記主走査方向に移動させる過程において、
前記搬送方向揃え部の設置位置を含む特定領域から前記圧着手段が前記主走査方向にずれているときに、前記下圧着歯に対する前記上圧着歯の離間距離を第一距離とし、
前記圧着手段が前記特定領域を通過するときに、前記下圧着歯に対する前記上圧着歯の離間距離を前記第一距離より大きい第二距離とすることを特徴とする前記<1>に記載の媒体処理装置である。
<3> 前記圧着手段は、前記下圧着歯に対して前記上圧着歯を接離させるアクチュエータを備えることを特徴とする前記<2>に記載の媒体処理装置である。
<4> 前記アクチュエータは、直流電流が供給されて回転するDCモータであり、
前記上圧着歯は、
前記DCモータの正転によって、前記下圧着歯に近づく向きに移動し、
前記DCモータの逆転によって、前記下圧着歯から離れる向きに移動することを特徴とする前記<3>に記載の媒体処理装置である。
<5> 前記トレイに支持された前記媒体から前記主走査方向の一方側に外れたホーム位置に前記圧着手段が位置していることを検知するホームセンサと、
前記圧着手段の前記主走査方向の移動量に応じた数のパルス信号を出力するロータリエンコーダとを備えることを特徴とする前記<2>乃至前記<4>のいずれか1つに記載の媒体処理装置である。
<6> 前記主走査方向における前記特定領域の端部に前記圧着手段が位置していることを検知する位置センサをさらに備えることを特徴とする前記<5>に記載の媒体処理装置である。
<7> 前記圧着手段は、
前記主走査方向に延びる回動軸周りに回動可能に支持され、回動先端側で前記上圧着歯を支持する回動アームと、
前記アクチュエータの駆動力を前記回動アームに伝達して、前記回動アームを前記回動軸周りに回動させる駆動力伝達手段とを備えることを特徴とする前記<3>または前記<4>に記載の媒体処理装置である。
<8> 前記媒体に画像を形成する画像形成装置と、
前記画像形成装置によって画像が形成された複数の前記媒体を圧着綴じする前記<1>乃至前記<7>のいずれか1つに記載の媒体処理装置と、を備えることを特徴とする画像形成システムである。
【符号の説明】
【0068】
1 :画像形成システム
2 :画像形成装置
3 :後処理装置
10-19 :搬送ローラ対
20 :切替爪
21,30,36 :排出トレイ
22 :内部トレイ
23 :叩きコロ
24 :戻しコロ
25L,25R :エンドフェンス
26L,26R :サイドフェンス
27 :圧着手段
29 :放出爪
31 :フィラー
37 :ガイド軸
38 :主走査移動モータ
39,44 :駆動力伝達機構
40 :筐体
41 :下圧着歯
42 :上圧着歯
43 :圧着モータ
45 :本体
46 :回動軸
47 :回動アーム
48 :構成部品
51 :ホームセンサ
52,53 :ロータリエンコーダ
54,55 :位置センサ
100 :コントローラ
101 :CPU
102 :RAM
103 :ROM
104 :HDD
105 :I/F
109 :共通バス
110 :操作パネル
【先行技術文献】
【特許文献】
【0069】