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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024169230
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】撮像装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 13/00 20060101AFI20241128BHJP
   G02B 13/18 20060101ALN20241128BHJP
【FI】
G02B13/00
G02B13/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023086526
(22)【出願日】2023-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】島▲崎▼ 紘太
(72)【発明者】
【氏名】大田 基在
(72)【発明者】
【氏名】田中 琢也
【テーマコード(参考)】
2H087
【Fターム(参考)】
2H087KA01
2H087LA01
2H087NA08
2H087PA04
2H087PA05
2H087PA09
2H087PA12
2H087PA18
2H087PA19
2H087PA20
2H087PB06
2H087PB07
2H087PB08
2H087PB10
2H087PB14
2H087QA02
2H087QA03
2H087QA07
2H087QA12
2H087QA17
2H087QA19
2H087QA21
2H087QA22
2H087QA25
2H087QA26
2H087QA32
2H087QA34
2H087QA37
2H087QA41
2H087QA42
2H087QA45
2H087QA46
2H087RA04
2H087RA05
2H087RA12
2H087RA13
2H087RA32
2H087RA44
(57)【要約】
【課題】小型であり、良好な性能を保持する撮像装置を提供する。
【解決手段】撮像装置は、複数のレンズを含む撮像光学系と、撮像光学系の結像位置に配置されて物体側に凹面を向けて湾曲した撮像面とを備える。撮像光学系の空気換算距離でのバックフォーカスをBf、撮像面の曲率半径をRi、撮像光学系の最も像側のレンズ面の近軸曲率半径をRr、撮像光学系の最も物体側のレンズ面の有効直径をEDf、撮像光学系の最も物体側のレンズ面から撮像光学系の最も像側のレンズ面までの光軸上の距離と、Bfとの和をTLとした場合、撮像装置は下記3つの条件式:-0.3<Bf/Ri<-0.005、-5<(Rr+Ri)/(Rr-Ri)<-0.1、0.1<EDf/TL<0.8を満足する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のレンズを含む撮像光学系と、前記撮像光学系の結像位置に配置されて物体側に凹面を向けて湾曲した撮像面とを備えた撮像装置であって、
前記撮像光学系の空気換算距離でのバックフォーカスをBf、
前記撮像面の曲率半径をRi、
前記撮像光学系の最も像側のレンズ面の近軸曲率半径をRr、
前記撮像光学系の最も物体側のレンズ面の有効直径をEDf、
前記撮像光学系の最も物体側のレンズ面から前記撮像光学系の最も像側のレンズ面までの光軸上の距離と、Bfとの和をTLとした場合、
-0.3<Bf/Ri<-0.005 (1)
-5<(Rr+Ri)/(Rr-Ri)<-0.1 (2)
0.1<EDf/TL<0.8 (3)
で表される条件式(1)、(2)、および(3)を満足する撮像装置。
【請求項2】
前記撮像光学系の焦点距離をfとした場合、
0.3<TL/f<9 (4)
で表される条件式(4)を満足する請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記撮像光学系の焦点距離をf、
前記撮像光学系のFナンバーをFNoとした場合、
0.5<(TL/f)×FNo<23 (5)
で表される条件式(5)を満足する請求項1に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記撮像光学系の焦点距離をf、
前記撮像光学系の最大半画角をωとした場合、
0.3<EDf/(f×tanω)<5 (6)
で表される条件式(6)を満足する請求項1に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記撮像光学系の焦点距離をf、
前記撮像光学系の最大半画角をωとした場合、
0.1<Bf/(f×tanω)<5 (7)
で表される条件式(7)を満足する請求項1に記載の撮像装置。
【請求項6】
0.1<Bf/TL<0.8 (8)
で表される条件式(8)を満足する請求項1に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記撮像光学系の焦点距離をf、
前記撮像光学系の最大半画角をωとした場合、
0.5<TL/(f×tanω)<10 (9)
で表される条件式(9)を満足する請求項1に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記撮像光学系に含まれるレンズのうち、d線に対する屈折率が最大のレンズをLNdmaxレンズとし、
前記LNdmaxレンズのd線に対する屈折率をNdm、
前記LNdmaxレンズのd線基準のアッベ数をνdmとした場合、
1.7<Ndm<2.15 (10)
1.95<Ndm+0.01×νdm<2.4 (11)
で表される条件式(10)および(11)を満足する請求項1に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記撮像光学系に含まれる全てのレンズの20℃から40℃の温度範囲におけるd線に対する屈折率の温度係数の絶対値の最大値を|(dN/dT)m|×10-6とし、
|(dN/dT)m|×10-6の単位を℃-1とした場合、
0<|(dN/dT)m|<12 (12)
で表される条件式(12)を満足する請求項1に記載の撮像装置。
【請求項10】
-0.8<TL/Ri<-0.02 (13)
で表される条件式(13)を満足する請求項1に記載の撮像装置。
【請求項11】
前記撮像光学系の最も像側のレンズ面の有効直径をEDrとした場合、
0.3<EDf/EDr<5 (14)
で表される条件式(14)を満足する請求項1に記載の撮像装置。
【請求項12】
前記撮像光学系の最も物体側のレンズ面から前記撮像光学系の最も像側のレンズ面までの光軸上の距離をLtot、
前記撮像光学系の焦点距離をfとした場合、
0.2<Ltot/f<6 (15)
で表される条件式(15)を満足する請求項1に記載の撮像装置。
【請求項13】
前記撮像光学系の最も物体側のレンズ面から前記撮像光学系の最も像側のレンズ面までの光軸上の距離をLtot、
前記撮像光学系の焦点距離をf、
前記撮像光学系のFナンバーをFNoとした場合、
0.6<(Ltot/f)×FNo<15 (16)
で表される条件式(16)を満足する請求項1に記載の撮像装置。
【請求項14】
前記撮像光学系の最も物体側のレンズ面から前記撮像光学系の最も像側のレンズ面までの光軸上の距離をLtot、
前記撮像光学系の焦点距離をf、
前記撮像光学系の最大半画角をωとした場合、
0.45<Ltot/(f×tanω)<6 (17)
で表される条件式(17)を満足する請求項1に記載の撮像装置。
【請求項15】
前記撮像光学系の最も像側のレンズ面は凸形状である請求項1に記載の撮像装置。
【請求項16】
前記撮像光学系は開口絞りを含み、
前記撮像光学系の焦点距離をf、
前記開口絞りより物体側の前記撮像光学系内の全てのレンズの合成焦点距離をffとした場合、
0.01<f/ff<1.3 (18)
で表される条件式(18)を満足する請求項1に記載の撮像装置。
【請求項17】
前記撮像光学系は開口絞りを含み、
前記撮像光学系の焦点距離をf、
前記開口絞りより像側の前記撮像光学系内の全てのレンズの合成焦点距離をfrとした場合、
0.1<f/fr<1.5 (19)
で表される条件式(19)を満足する請求項1に記載の撮像装置。
【請求項18】
前記撮像光学系は開口絞りを含み、
前記撮像光学系の最も物体側のレンズ面から前記開口絞りまでの光軸上の距離をL1ST、
前記撮像光学系の最も物体側のレンズ面から前記撮像光学系の最も像側のレンズ面までの光軸上の距離をLtotとした場合、
0.1<L1ST/Ltot<0.9 (20)
で表される条件式(20)を満足する請求項1に記載の撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の技術は、撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のレンズを有する撮影レンズと湾曲した撮像面とを有する撮像装置が下記特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-043385号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
小型であり、良好な性能を保持する撮像装置が要望されている。これらの要求レベルは、年々高まっている。
【0005】
本開示は、小型であり、良好な性能を保持する撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る撮像装置は、複数のレンズを含む撮像光学系と、撮像光学系の結像位置に配置されて物体側に凹面を向けて湾曲した撮像面とを備えた撮像装置であって、下記条件式(1)、(2)、および(3)を満足する。
-0.3<Bf/Ri<-0.005 (1)
-5<(Rr+Ri)/(Rr-Ri)<-0.1 (2)
0.1<EDf/TL<0.8 (3)
ここでは、以下のように条件式の記号を定義している。撮像光学系の空気換算距離でのバックフォーカスをBfとしている。撮像面の曲率半径をRiとしている。撮像光学系の最も像側のレンズ面の近軸曲率半径をRrとしている。撮像光学系の最も物体側のレンズ面の有効直径をEDfとしている。撮像光学系の最も物体側のレンズ面から撮像光学系の最も像側のレンズ面までの光軸上の距離と、Bfとの和をTLとしている。
【0007】
上記態様の撮像装置は、下記条件式(4)、(5)、(6)、(7)、(8)、および(9)の少なくとも1つを満足することが好ましい。
0.3<TL/f<9 (4)
0.5<(TL/f)×FNo<23 (5)
0.3<EDf/(f×tanω)<5 (6)
0.1<Bf/(f×tanω)<5 (7)
0.1<Bf/TL<0.8 (8)
0.5<TL/(f×tanω)<10 (9)
ここでは、以下のように条件式の記号を定義している。撮像光学系の焦点距離をfとしている。撮像光学系のFナンバーをFNoとしている。撮像光学系の最大半画角をωとしている。
【0008】
撮像光学系に含まれるレンズのうち、d線に対する屈折率が最大のレンズをLNdmaxレンズとした場合、上記態様の撮像装置は、下記条件式(10)、および(11)を満足することが好ましい。
1.7<Ndm<2.15 (10)
1.95<Ndm+0.01×νdm<2.4 (11)
ここでは、以下のように条件式の記号を定義している。LNdmaxレンズのd線に対する屈折率をNdmとしている。LNdmaxレンズのd線基準のアッベ数をνdmとしている。
【0009】
撮像光学系に含まれる全てのレンズの20℃から40℃の温度範囲におけるd線に対する屈折率の温度係数の絶対値の最大値を|(dN/dT)m|×10-6とした場合、上記態様の撮像装置は、下記条件式(12)を満足することが好ましい。ただし、|(dN/dT)m|×10-6の単位を℃-1とする。
0<|(dN/dT)m|<12 (12)
【0010】
上記態様の撮像装置は、下記条件式(13)を満足することが好ましい。
-0.8<TL/Ri<-0.02 (13)
【0011】
撮像光学系の最も像側のレンズ面の有効直径をEDrとした場合、上記態様の撮像装置は、下記条件式(14)を満足することが好ましい。
0.3<EDf/EDr<5 (14)
【0012】
上記態様の撮像装置は、下記条件式(15)、(16)、および(17)の少なくとも1つを満足することが好ましい。
0.2<Ltot/f<6 (15)
0.6<(Ltot/f)×FNo<15 (16)
0.45<Ltot/(f×tanω)<6 (17)
ここでは、以下のように条件式の記号を定義している。撮像光学系の最も物体側のレンズ面から撮像光学系の最も像側のレンズ面までの光軸上の距離をLtotとしている。撮像光学系の焦点距離をfとしている。撮像光学系のFナンバーをFNoとしている。撮像光学系の最大半画角をωとしている。
【0013】
上記態様の撮像装置において、撮像光学系の最も像側のレンズ面は凸形状であることが好ましい。
【0014】
上記態様の撮像装置の撮像光学系が開口絞りを含む構成において、上記態様の撮像装置は、下記条件式(18)、(19)、および(20)の少なくとも1つを満足することが好ましい。
0.01<f/ff<1.3 (18)
0.1<f/fr<1.5 (19)
0.1<L1ST/Ltot<0.9 (20)
ここでは、以下のように条件式の記号を定義している。撮像光学系の焦点距離をfとしている。開口絞りより物体側の撮像光学系内の全てのレンズの合成焦点距離をffとしている。開口絞りより像側の撮像光学系内の全てのレンズの合成焦点距離をfrとしている。撮像光学系の最も物体側のレンズ面から開口絞りまでの光軸上の距離をL1STとしている。撮像光学系の最も物体側のレンズ面から撮像光学系の最も像側のレンズ面までの光軸上の距離をLtotとしている。
【0015】
なお、本明細書の「~からなり」、「~からなる」は、挙げられた構成要素以外に、実質的に屈折力を有さないレンズ、並びに、絞り、フィルタ、およびカバーガラス等のレンズ以外の光学要素、並びに、レンズフランジ、レンズバレル、撮像素子、および手振れ補正機構等の機構部分、等が含まれていてもよいことを意図する。
【0016】
非球面を含むレンズに関する曲率半径、屈折力の符号、および面形状は、特に断りが無い限り、近軸領域のものを用いる。曲率半径の符号は、物体側に凸形状を向けた面の曲率半径の符号を正、像側に凸形状を向けた面の曲率半径の符号を負とする。複合非球面レンズ(レンズ(例えば球面レンズ)と、そのレンズ上に形成された非球面形状の膜とが一体的に構成されて、全体として1つの非球面レンズとして機能するレンズ)は、接合レンズとは見なさず、1枚のレンズとして扱う。
【0017】
条件式で用いている「焦点距離」は、近軸焦点距離である。条件式で用いている「光軸上の距離」は、特に断りが無い限り、幾何学的距離である。条件式で用いている値は、特に断りがない限り、無限遠物体に合焦した状態においてd線を基準とした場合の値である。
【発明の効果】
【0018】
本開示によれば、小型であり、良好な性能を保持する撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】一実施形態に係る撮像装置の正面側の概略的な斜視図である。
図2】実施例1の撮像光学系と撮像面に対応し、一実施形態に係る撮像装置の要部の構成を示す断面図である。
図3図2の撮像光学系における光束を示す断面図である。
図4】有効直径を説明するための図である。
図5】実施例1の各収差図である。
図6】実施例2の撮像光学系の構成および光束を示す断面図である。
図7】実施例2の各収差図である。
図8】実施例3の撮像光学系の構成および光束を示す断面図である。
図9】実施例3の各収差図である。
図10】実施例4の撮像光学系の構成および光束を示す断面図である。
図11】実施例4の各収差図である。
図12】実施例5の撮像光学系の構成および光束を示す断面図である。
図13】実施例5の各収差図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら本開示の実施形態について説明する。
【0021】
図1に、本開示の一実施形態に係る撮像装置10の正面側の概略的な斜視図を示す。図1の撮像装置10は、デジタルカメラであり、カメラボディ11と、カメラボディ11の前側に装着される撮像光学系1とを備える。撮像光学系1は、複数のレンズを含む。撮像光学系1は、カメラボディ11と一体的に構成されていてもよく、もしくは、カメラボディ11に着脱可能に装着されるように構成されてもよい。カメラボディ11の上側には、閃光発光装置13と、シャッターボタン14と、モードダイヤル15とが設けられている。
【0022】
カメラボディ11は、内部に撮像素子16を備える。撮像素子16は、撮像光学系1によって形成された光学像を撮像し、この光学像に応じた撮像信号を出力する。撮像素子16としては、例えば、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等を用いることができる。撮像素子16の撮像面16aは、撮像光学系1の結像位置に配置されており、物体側に凹面を向けて湾曲した形状を有する。撮像面16aをこのような形状とすることによって、撮像光学系1での像面湾曲の補正の負荷を軽減できるため小型化に有利となる。なお、上記の「結像位置に配置」は、技術分野で一般的に許容される誤差範囲を含むものとする。撮像面16aの湾曲形状は、球面形状でもよく、非球面形状でもよい。
【0023】
一例として図2に、撮像装置10の要部である、撮像光学系1および撮像面16aの構成を示す。図2は、撮像光学系1の光軸Zを含む断面における図であり、左側が物体側であり、右側が像側である。光軸上において、撮像面16aの位置は撮像光学系1の結像位置と一致している。図3には、図2の撮像光学系1が無限遠物体に合焦した状態における軸上光束2、および最大半画角ωの光束3を示す。図2および図3に示す例は後述の実施例1に対応している。以下では主に図2を参照しながら説明する。
【0024】
一例として、図2の撮像光学系1は、単焦点光学系であり、物体側から像側へ順に、レンズL1~L2と、開口絞りStと、レンズL3~L7とからなる。図2の開口絞りStは大きさおよび形状を示すのではなく、光軸方向の位置を示す。
【0025】
撮像光学系1の最も像側のレンズ面は凸形状であることが好ましい。このようにした場合は、像面湾曲の補正に有利となる。
【0026】
撮像光学系1の最も像側のレンズ面が凸形状であり、かつ、撮像光学系1の最も物体側のレンズ面が凸形状であるように構成してもよい。このようにした場合は、軸外光線に起因する諸収差を抑制することに有利となる。
【0027】
撮像光学系1は、開口絞りStと、開口絞りStより物体側に位置する第1の接合レンズと、開口絞りStより像側に位置する第2の接合レンズとを含み、第1の接合レンズの接合面および第2の接合レンズの接合面のうち、一方は物体側に凸形状を向けており、他方は像側に凸形状を向けているように構成してもよい。このようにした場合は、軸外光線に起因する諸収差を抑制することに有利となる。
【0028】
以下に、条件式に関する好ましい構成について述べる。以下の条件式の説明では、冗長さを避けるため、定義が同じものには同じ記号を用いて記号の重複説明を省略する。
【0029】
撮像装置10は下記条件式(1)を満足することが好ましい。ここでは、撮像光学系1の空気換算距離でのバックフォーカスをBfとしている。撮像面16aの曲率半径をRiとしている。条件式(1)の対応値が下限以下とならないようにすることによって、撮像面16aの曲率半径の絶対値が小さくなり過ぎないため、湾曲した撮像面16aによって小型化の効果を得ることに有利となる。条件式(1)の対応値が上限以上とならないようにすることによって、バックフォーカスBfが長くなり過ぎないため、軸外主光線の撮像面16aへの入射角が小さくなり過ぎることもなく、湾曲した撮像面16aによって小型化の効果を得ることに有利となる。
-0.3<Bf/Ri<-0.005 (1)
【0030】
なお、「撮像光学系1の空気換算距離でのバックフォーカス」とは、撮像光学系1の最も像側のレンズ面から結像位置までの光軸上の空気換算距離である。一例として、図2に、上記のバックフォーカスBfを示す。なお、撮像面16aが非球面形状の場合は、撮像面16aの中心と、撮像面16aの最長の径の両端との3点を結ぶ円を描き、この円の曲率半径をRiとする。光軸Zに垂直な面における撮像面16aの形状が矩形の場合、「撮像面16aの最長の径の両端」は撮像面16aの対角両端である。
【0031】
より良好な特性を得るためには、条件式(1)の下限の-0.3に代えて-0.26、-0.22、-0.18、および-0.14のいずれかにすることが好ましい。また、条件式(1)の上限の-0.005に代えて-0.01、-0.02、-0.03、-0.04、および-0.05のいずれかにすることが好ましい。
【0032】
撮像装置10は下記条件式(2)を満足することが好ましい。ここでは、撮像光学系1の最も像側のレンズ面の近軸曲率半径をRrとしている。条件式(2)の対応値が下限以下とならないようにすることによって、撮像面16aの曲率半径の絶対値が小さくなり過ぎないため、湾曲した撮像面16aによって小型化の効果を得ることに有利となる。条件式(2)の対応値が上限以上とならないようにすることによって、撮像面16aの曲率半径の絶対値が大きくなり過ぎないため、撮像素子16における格子欠陥の増加、暗電流の増加、およびノイズの増加を抑制できる。これによって、高画質化と小型化との両立に有利となる。
-5<(Rr+Ri)/(Rr-Ri)<-0.1 (2)
【0033】
より良好な特性を得るためには、条件式(2)の下限の-5に代えて-4、-3、および-2.5のいずれかにすることが好ましい。また、条件式(2)の上限の-0.1に代えて-0.3、-0.5、-0.7、-0.8、および-0.9のいずれかにすることが好ましい。
【0034】
撮像装置10は下記条件式(3)を満足することが好ましい。ここでは、撮像光学系1の最も物体側のレンズ面の有効直径をEDfとしている。撮像光学系1の最も物体側のレンズ面から撮像光学系1の最も像側のレンズ面までの光軸上の距離と、上記のバックフォーカスBfとの和をTLとしている。TLは、いわゆる光学全長である。一例として、図2に、上記の光学全長TLを示す。条件式(3)の対応値が下限以下とならないようにすることによって、光学全長TLが長くなり過ぎないため、小型化に有利となる。条件式(3)の対応値が上限以上とならないようにすることによって、撮像光学系1の最も物体側のレンズ面の有効直径が大きくなり過ぎないため、小型化に有利となる。
0.1<EDf/TL<0.8 (3)
【0035】
より良好な特性を得るためには、条件式(3)の下限の0.1に代えて0.15、0.2、0.25、0.3、および0.35のいずれかにすることが好ましい。また、条件式(3)の上限の0.8に代えて0.75、0.7、0.65、0.6、および0.55のいずれかにすることが好ましい。
【0036】
なお、本明細書においては、レンズ面に物体側から入射し、像側に射出される光線のうち、最も外側を通る光線とそのレンズ面との交点から光軸Zまでの距離の2倍を、そのレンズ面の「有効直径」とする。ここでいう「外側」とは、光軸Zを中心にした径方向外側、すなわち、光軸Zから離れる側である。
【0037】
説明用の図として図4に有効直径EDの一例を示す。図4では、左側が物体側、右側が像側である。図4には、レンズLxを通る軸上光束Xaおよび軸外光束Xbを示す。図4の例では、軸外光束Xbの上側光線である光線Xb1が、最も外側を通る光線である。よって、図4の例ではレンズLxの物体側の面と光線Xb1との交点から光軸Zまでの距離の2倍が、レンズLxの物体側の面の有効直径EDとなる。なお、図4では軸外光束Xbの上側光線が最も外側を通る光線であるが、いずれの光線が最も外側を通る光線になるかは光学系により異なる。
【0038】
撮像光学系1の焦点距離をfとした場合、撮像装置10は下記条件式(4)を満足することが好ましい。条件式(4)の対応値が下限以下とならないようにすることによって、撮像光学系1に含まれる各レンズの屈折力が強くなり過ぎないため、球面収差の抑制に有利となる。条件式(4)の対応値が上限以上とならないようにすることによって、小型化に有利となる。
0.3<TL/f<9 (4)
【0039】
より良好な特性を得るためには、条件式(4)の下限の0.3に代えて0.4、0.5、0.6、0.7、および0.8のいずれかにすることが好ましい。また、条件式(4)の上限の9に代えて7.5、6.5、4.5、3、および2のいずれかにすることが好ましい。
【0040】
撮像光学系1のFナンバーをFNoとした場合、撮像装置10は下記条件式(5)を満足することが好ましい。ただし、Fナンバーが変更可能な場合は、開放FナンバーをFNoとする。条件式(5)の対応値が下限以下とならないようにすることによって、撮像光学系1に含まれる各レンズの屈折力が強くなり過ぎないため、球面収差の抑制に有利となる。条件式(5)の対応値が上限以上とならないようにすることによって、小型化に有利となる、または、小さなFナンバーを有する撮像装置10の実現に有利となる。
0.5<(TL/f)×FNo<23 (5)
【0041】
より良好な特性を得るためには、条件式(5)の下限の0.5に代えて0.8、1.1、1.4、1.7、および2のいずれかにすることが好ましい。また、条件式(5)の上限の23に代えて21、19、15、および11のいずれかにすることが好ましい。
【0042】
撮像装置10は下記条件式(6)を満足することが好ましい。ここでは、撮像光学系1の最大半画角をωとしている。条件式(6)のtanは正接であり、この表記は他の条件式においても同様である。条件式(6)の対応値が下限以下とならないようにすることによって、高性能化に有利となる。条件式(6)の対応値が上限以上とならないようにすることによって、撮像光学系1の最も物体側のレンズの大径化を抑制できるため、小型化に有利となる。
0.3<EDf/(f×tanω)<5 (6)
【0043】
より良好な特性を得るためには、条件式(6)の下限の0.3に代えて0.4、0.5、および0.6のいずれかにすることが好ましい。また、条件式(6)の上限の5に代えて4.5、4、3.5、3、および2.5のいずれかにすることが好ましい。
【0044】
撮像装置10は下記条件式(7)を満足することが好ましい。条件式(7)の対応値が下限以下とならないようにすることによって、像高が大きくなり過ぎないため、湾曲した撮像面16aによって小型化の効果を得ることに有利となる。条件式(7)の対応値が上限以上とならないようにすることによって、バックフォーカスBfが長くなり過ぎないため、軸外主光線の撮像面16aへの入射角が小さくなり過ぎることもなく、湾曲した撮像面16aによって小型化の効果を得ることに有利となる。
0.1<Bf/(f×tanω)<5 (7)
【0045】
より良好な特性を得るためには、条件式(7)の下限の0.1に代えて0.18、0.24、および0.3のいずれかにすることが好ましい。また、条件式(7)の上限の5に代えて4.5、4、3.5、3、および2.5のいずれかにすることが好ましい。
【0046】
撮像装置10は下記条件式(8)を満足することが好ましい。条件式(8)の対応値が下限以下とならないようにすることによって、光学全長TLが長くなり過ぎないため、小型化に有利となる。条件式(8)の対応値が上限以上とならないようにすることによって、バックフォーカスBfが長くなり過ぎないため、軸外主光線の撮像面16aへの入射角が小さくなり過ぎることもなく、湾曲した撮像面16aによって小型化の効果を得ることに有利となる。
0.1<Bf/TL<0.8 (8)
【0047】
より良好な特性を得るためには、条件式(8)の下限の0.1に代えて0.13、0.16、0.19、0.22、および0.25のいずれかにすることが好ましい。また、条件式(8)の上限の0.8に代えて0.76、0.71、0.66、0.61、および0.57のいずれかにすることが好ましい。
【0048】
撮像装置10は下記条件式(9)を満足することが好ましい。条件式(9)の対応値が下限以下とならないようにすることによって、軸外光線に起因する諸収差を抑制することに有利となる。条件式(9)の対応値が上限以上とならないようにすることによって、撮像光学系全体の小型化に有利となる。
0.5<TL/(f×tanω)<10 (9)
【0049】
より良好な特性を得るためには、条件式(9)の下限の0.5に代えて0.75、および1のいずれかにすることが好ましい。また、条件式(9)の上限の10に代えて9、8、7、6、および5のいずれかにすることが好ましい。
【0050】
撮像装置10は下記条件式(10)を満足することが好ましい。ここでは、撮像光学系1に含まれるレンズのうち、d線に対する屈折率が最大のレンズをLNdmaxレンズとし、LNdmaxレンズのd線に対する屈折率をNdmとしている。条件式(10)の対応値が下限以下とならないようにすることによって、光学全長TLの短縮に有利となる。条件式(10)の対応値が上限以上とならないようにすることによって、レンズの材料の比重が大きくなり過ぎないため、小型軽量化に有利となる。図2の例では、レンズL7がLNdmaxレンズに対応する。
1.7<Ndm<2.15 (10)
【0051】
より良好な特性を得るためには、条件式(10)の下限の1.7に代えて1.75、1.79、1.81、および1.84のいずれかにすることが好ましい。また、条件式(10)の上限の2.15に代えて2.08、2.02、1.97、および1.93のいずれかにすることが好ましい。
【0052】
撮像装置10は下記条件式(11)を満足することが好ましい。ここでは、上記LNdmaxレンズのd線基準のアッベ数をνdmとしている。条件式(11)の対応値が下限以下とならないようにすることによって、光学全長TLの短縮に有利となる。条件式(11)の対応値が上限以上とならないようにすることによって、高性能化に有利となり、特に、2次色収差の補正に有利となる。
1.95<Ndm+0.01×νdm<2.4 (11)
【0053】
より良好な特性を得るためには、条件式(11)の下限の1.95に代えて1.98、2.01、2.04、2.07、および2.1のいずれかにすることが好ましい。また、条件式(11)の上限の2.4に代えて2.37、2.34、2.31、2.29、および2.25のいずれかにすることが好ましい。
【0054】
より良好な特性を得るためには、撮像光学系1は条件式(10)および(11)を同時に満足することがより好ましい。
【0055】
撮像装置10は下記条件式(12)を満足することが好ましい。ここでは、撮像光学系1に含まれる全てのレンズの20℃から40℃の温度範囲におけるd線に対する屈折率の温度係数の絶対値の最大値を|(dN/dT)m|×10-6としている。|(dN/dT)m|×10-6の単位を℃-1としている。条件式(12)の対応値が上限以上とならないようにすることによって、温度変化の際の結像位置の変動を低減することに有利となる。
0<|(dN/dT)m|<12 (12)
【0056】
より良好な特性を得るためには、条件式(12)の上限の12に代えて10.5、9、7.6、7.1、および6.5のいずれかにすることが好ましい。
【0057】
撮像装置10は下記条件式(13)を満足することが好ましい。条件式(13)の対応値が下限以下とならないようにすることによって、光学全長TLが長くなり過ぎないため、小型化に有利となる。条件式(13)の対応値が上限以上とならないようにすることによって、撮像面16aの曲率半径の絶対値が小さくなり過ぎないため、湾曲した撮像面16aによって小型化の効果を得ることに有利となる。
-0.8<TL/Ri<-0.02 (13)
【0058】
より良好な特性を得るためには、条件式(13)の下限の-0.8に代えて-0.7、-0.6、-0.55、-0.5、および-0.45のいずれかにすることが好ましい。また、条件式(13)の上限の-0.02に代えて-0.05、-0.08、-0.11、-0.14、および-0.17のいずれかにすることが好ましい。
【0059】
撮像装置10は下記条件式(14)を満足することが好ましい。ここでは、撮像光学系1の最も像側のレンズ面の有効直径をEDrとしている。条件式(14)の対応値が下限以下とならないようにすることによって、撮像光学系1の最も像側のレンズ面の有効直径が大きくなり過ぎないため、小型化に有利となる。条件式(14)の対応値が上限以上とならないようにすることによって、撮像光学系1の最も物体側のレンズ面の有効直径が大きくなり過ぎないため、小型化に有利となる。
0.3<EDf/EDr<5 (14)
【0060】
より良好な特性を得るためには、条件式(14)の下限の0.3に代えて0.4、0.5、0.6、0.7、および0.8のいずれかにすることが好ましい。また、条件式(14)の上限の5に代えて4.5、4、3.5、2.8、および2.1のいずれかにすることが好ましい。
【0061】
撮像装置10は下記条件式(15)を満足することが好ましい。ここでは、撮像光学系1の最も物体側のレンズ面から撮像光学系1の最も像側のレンズ面までの光軸上の距離をLtotとしている。一例として、図2に、上記の距離Ltotを示す。条件式(15)の対応値が下限以下とならないようにすることによって、撮像光学系1に含まれる各レンズの屈折力が強くなり過ぎないため、球面収差の抑制に有利となる。条件式(15)の対応値が上限以上とならないようにすることによって、小型化に有利となる。
0.2<Ltot/f<6 (15)
【0062】
より良好な特性を得るためには、条件式(15)の下限の0.2に代えて0.25、0.3、0.35、0.4、および0.45のいずれかにすることが好ましい。また、条件式(15)の上限の6に代えて5、4、3、2.2、および1.1のいずれかにすることが好ましい。
【0063】
撮像装置10は下記条件式(16)を満足することが好ましい。条件式(16)の対応値が下限以下とならないようにすることによって、撮像光学系1に含まれる各レンズの屈折力が強くなり過ぎないため、球面収差の抑制に有利となる。条件式(16)の対応値が上限以上とならないようにすることによって、小型化に有利となる、または、小さなFナンバーを有する撮像装置10の実現に有利となる。
0.6<(Ltot/f)×FNo<15 (16)
【0064】
より良好な特性を得るためには、条件式(16)の下限の0.6に代えて0.7、0.8、0.9、1、および1.1のいずれかにすることが好ましい。また、条件式(16)の上限の15に代えて10、5、4、3.3、および2.6のいずれかにすることが好ましい。
【0065】
撮像装置10は下記条件式(17)を満足することが好ましい。条件式(17)の対応値が下限以下とならないようにすることによって、軸外光線に起因する諸収差を抑制することに有利となる。条件式(17)の対応値が上限以上とならないようにすることによって、撮像光学系全体の小型化に有利となる。
0.45<Ltot/(f×tanω)<6 (17)
【0066】
より良好な特性を得るためには、条件式(17)の下限の0.45に代えて0.55、0.65、0.75、0.85、および0.95のいずれかにすることが好ましい。また、条件式(17)の上限の6に代えて5.3、4.7、4.1、3.5、および2.9のいずれかにすることが好ましい。
【0067】
撮像光学系1が開口絞りStを含む構成において、撮像装置10は下記条件式(18)を満足することが好ましい。ここでは、開口絞りStより物体側の撮像光学系内の全てのレンズの合成焦点距離をffとしている。条件式(18)の対応値が下限以下とならないようにすることによって、開口絞りStより物体側の撮像光学系内の全てのレンズからなる群の正の屈折力が弱くなり過ぎないため、光学全長TLの増大を抑制できるので、小型化に有利となる。条件式(18)の対応値が上限以上とならないようにすることによって、開口絞りStより物体側の撮像光学系内の全てのレンズからなる群の正の屈折力が強くなり過ぎないため、球面収差および像面湾曲の補正に有利となる。
0.01<f/ff<1.3 (18)
【0068】
より良好な特性を得るためには、条件式(18)の下限の0.01に代えて0.02、0.05、0.1、0.15、および0.2のいずれかにすることが好ましい。また、条件式(18)の上限の1.3に代えて1.2、1.1、1、0.9、および0.8のいずれかにすることが好ましい。
【0069】
撮像光学系1が開口絞りStを含む構成において、撮像装置10は下記条件式(19)を満足することが好ましい。ここでは、開口絞りStより像側の撮像光学系内の全てのレンズの合成焦点距離をfrとしている。条件式(19)の対応値が下限以下とならないようにすることによって、開口絞りStより像側の撮像光学系内の全てのレンズからなる群の正の屈折力が弱くなり過ぎない。これによって、光学全長TLの増大を抑制でき、さらに球面収差の補正に有利となる。条件式(19)の対応値が上限以上とならないようにすることによって、開口絞りStより像側の撮像光学系内の全てのレンズからなる群の正の屈折力が強くなり過ぎないため、球面収差の補正過剰を抑制できる。
0.1<f/fr<1.5 (19)
【0070】
より良好な特性を得るためには、条件式(19)の下限の0.1に代えて0.12、0.14、0.16、0.18、および0.19のいずれかにすることが好ましい。また、条件式(19)の上限の1.5に代えて1.4、1.3、1.2、1.1、および1のいずれかにすることが好ましい。
【0071】
撮像光学系1が開口絞りStを含む構成において、撮像装置10は下記条件式(20)を満足することが好ましい。ここでは、撮像光学系1の最も物体側のレンズ面から開口絞りStまでの光軸上の距離をL1STとしている。一例として、図2に、上記の距離L1STを示す。条件式(20)の対応値が下限以下とならないようにすることによって、開口絞りStより物体側の空間を十分確保できるため、レンズの曲率半径の絶対値を無理に小さくすることなく、適切な枚数のレンズで撮像光学系1を構成できる。これによって、諸収差を好適に補正することに有利となる。条件式(20)の対応値が上限以上とならないようにすることによって、開口絞りStの位置が撮像素子16に近くなり過ぎないため、軸外主光線の撮像面16aへの入射角が大きくなり過ぎることを防止できる。
0.1<L1ST/Ltot<0.9 (20)
【0072】
より良好な特性を得るためには、条件式(20)の下限の0.1に代えて0.14、0.16、0.2、0.22、および0.25のいずれかにすることが好ましい。また、条件式(20)の上限の0.9に代えて0.85、0.8、0.75、0.7、および0.65のいずれかにすることが好ましい。
【0073】
なお、図2に示した例は一例であり、本開示の技術の主旨を逸脱しない範囲内において種々の変形が可能である。例えば、本開示の技術においては、撮像光学系が含むレンズの構成、およびレンズの数は、図2の例と異なるものとしてもよい。
【0074】
上述した好ましい構成および可能な構成は、任意の組合せが可能であり、要求される仕様に応じて適宜選択的に採用されることが好ましい。
【0075】
一例として、本開示の撮像装置の好ましい一態様は、複数のレンズを含む撮像光学系と、撮像光学系の結像位置に配置されて物体側に凹面を向けて湾曲した撮像面とを備えた撮像装置であって、上記条件式(1)、(2)、および(3)を満足する。
【0076】
次に、本開示の撮像装置の実施例について図面を参照して説明する。以下の実施例の説明では、撮像装置の要部である、撮像光学系1および撮像面16aについて記載し、実施例の図面も撮像光学系1および撮像面16aの断面図をその光束と合わせて示す。なお、各実施例の断面図に付された参照符号は、参照符号の桁数の増大に伴う説明および図面の煩雑化を避けるため、実施例ごとに独立して用いている。したがって、異なる実施例の図面において共通の参照符号が付されていても、必ずしも共通の構成ではない。
【0077】
[実施例1]
実施例1の断面図と光束は図3に示しており、その図示方法と構成は上述したとおりであるので、ここでは重複説明を一部省略する。実施例1の撮像光学系1は、物体側から像側へ順に、レンズL1~L2と、開口絞りStと、レンズL3~L7とからなる。実施例1の撮像面16aは、物体側に凹面を向けて湾曲した形状を有する。
【0078】
実施例1について、基本レンズデータを表1に、諸元を表2に、非球面係数を表3に示す。
【0079】
基本レンズデータの表は以下のように記載されている。「Sn」の列には最も物体側の面を第1面とし像側に向かうに従い1つずつ番号を増加させた場合の面番号を示す。「R」の列には各面の曲率半径を示す。「D」の列には各面とその像側に隣接する面との光軸上の面間隔を示す。「Nd」の列には各構成要素のd線に対する屈折率を示す。「νd」の列には各構成要素のd線基準のアッベ数を示す。「θgF」の列には各構成要素のg線とF線間の部分分散比を示す。「dN/dT」の列には各構成要素の20℃から40℃の温度範囲におけるd線に対する屈折率の温度係数に10を乗じた値を示す。温度係数の単位は℃-1としている。「ED」の列には各面の有効直径を示す。
【0080】
なお、あるレンズのg線、F線、およびC線に対する屈折率をそれぞれNg、NF、およびNCとし、そのレンズのg線とF線間の部分分散比をθgFとした場合、θgFは下式で定義される。
θgF=(Ng-NF)/(NF-NC)
【0081】
本明細書に記載の「d線」、「C線」、「F線」、および「g線」は輝線であり、d線の波長は587.56nm(ナノメートル)、C線の波長は656.27nm(ナノメートル)、F線の波長は486.13nm(ナノメートル)、g線の波長は435.84nm(ナノメートル)として扱う。
【0082】
基本レンズデータの表では、物体側に凸形状を向けた面の曲率半径の符号を正、像側に凸形状を向けた面の曲率半径の符号を負としている。開口絞りStに相当する面の面番号の欄には、面番号と(St)という語句を記入している。撮像面16aに相当する面の面番号の欄には、「Simg」という語句を記入している。
【0083】
諸元の表には、撮像光学系1について、焦点距離f、バックフォーカスBf、FナンバーFNo.、および最大全画角2ωをd線基準で示す。最大全画角の欄の[°]は単位が度であることを示す。諸元の表のFNo.は、上記条件式のFNoと同義である。
【0084】
基本レンズデータでは、非球面の面番号には*印を付しており、非球面の曲率半径の欄には近軸曲率半径の値を記載している。表3において、Snの行には非球面の面番号を示し、KAおよびAmの行には各非球面についての非球面係数の数値を示す。なお、Amのmは3以上の整数であり、面により異なる。例えば実施例1の第8面ではm=3、4、5、・・・、20である。表3の非球面係数の数値の「E±n」(n:整数)は「×10±n」を意味する。KAおよびAmは下式で表される非球面式における非球面係数である。
Zd=C×h/{1+(1-KA×C×h1/2}+ΣAm×h
ただし、
Zd:非球面深さ(高さhの非球面上の点から、非球面頂点が接する光軸Zに垂直な平面に下ろした垂線の長さ)
h:高さ(光軸Zからレンズ面までの距離)
C:近軸曲率半径の逆数
KA、Am:非球面係数
であり、非球面式のΣはmに関する総和を意味する。
【0085】
各表のデータにおいて、角度の単位としては度を用い、長さの単位としてはミリメートルを用いているが、光学系は比例拡大又は比例縮小しても使用可能なため他の適当な単位を用いることもできる。また、以下に示す各表では予め定められた桁でまるめた数値を記載している。
【0086】
【表1】
【0087】
【表2】
【0088】
【表3】
【0089】
図5に、無限遠物体に合焦した状態における実施例1の各収差図を示す。図5では左から順に、球面収差、非点収差、歪曲収差、および倍率色収差を示す。球面収差図では、d線、C線、およびF線における収差をそれぞれ実線、長破線、および短破線で示す。非点収差図では、サジタル方向のd線における収差を実線で示し、タンジェンシャル方向のd線における収差を短破線で示す。歪曲収差図ではd線における収差を実線で示す。倍率色収差図では、C線、およびF線における収差をそれぞれ長破線、および短破線で示す。球面収差図では「FNo.=」の後にFナンバーの値を示す。その他の収差図では「ω=」の後に最大半画角の値を示す。
【0090】
上記の実施例1に関する各データの記号、意味、記載方法、および図示方法は、特に断りが無い限り以下の実施例においても基本的に同様であるので、以下では重複説明を省略する。
【0091】
[実施例2]
実施例2の断面図と光束を図6に示す。実施例2の撮像光学系1は、物体側から像側へ順に、レンズL1~L10と、開口絞りStと、レンズL11~L14とからなる。実施例2の撮像面16aは、物体側に凹面を向けて湾曲した形状を有する。
【0092】
実施例2について、基本レンズデータを表4に、諸元を表5に、非球面係数を表6に、各収差図を図7に示す。
【0093】
【表4】
【0094】
【表5】
【0095】
【表6】
【0096】
[実施例3]
実施例3の断面図と光束を図8に示す。実施例3の撮像光学系1は、物体側から像側へ順に、レンズL1~L3と、開口絞りStと、レンズL4~L6とからなる。実施例3の撮像面16aは、物体側に凹面を向けて湾曲した形状を有する。
【0097】
実施例3について、基本レンズデータを表7に、諸元を表8に、非球面係数を表9に、各収差図を図9に示す。
【0098】
【表7】
【0099】
【表8】
【0100】
【表9】
【0101】
[実施例4]
実施例4の断面図と光束を図10に示す。実施例4の撮像光学系1は、物体側から像側へ順に、レンズL1~L4と、開口絞りStと、レンズL5~L10とからなる。実施例4の撮像面16aは、物体側に凹面を向けて湾曲した形状を有する。
【0102】
実施例4の撮像光学系1について、基本レンズデータを表10に、諸元を表11に、各収差図を図11に示す。
【0103】
【表10】
【0104】
【表11】
【0105】
[実施例5]
実施例5の断面図と光束を図12に示す。実施例5の撮像光学系1は、物体側から像側へ順に、レンズL1~L4と、開口絞りStと、レンズL5~L8とからなる。実施例5の撮像面16aは、物体側に凹面を向けて湾曲した形状を有する。
【0106】
実施例5の撮像光学系1について、基本レンズデータを表12に、諸元を表13に、非球面係数を表14に、各収差図を図13に示す。
【0107】
【表12】
【0108】
【表13】
【0109】
【表14】
【0110】
表15に、実施例1~5の条件式(1)~(20)の対応値を示す。表15に示す実施例の対応値を条件式の上限又は下限として用いて、条件式の好ましい範囲を設定してもよい。
【0111】
【表15】
【0112】
以上、実施形態および実施例を挙げて本開示の技術を説明したが、本開示の技術は上記実施形態および実施例に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、各レンズの曲率半径、面間隔、屈折率、アッベ数、および非球面係数等は、上記各実施例で示した値に限定されず、他の値をとり得る。本開示の撮像光学系は、ズームレンズ、又はバリフォーカルレンズのような変倍光学系であってもよい。
【0113】
本開示の撮像装置についても、種々の変形が可能である。本開示の撮像装置は、ミラーレスタイプのカメラとしてもよく、もしくは、ミラーレスタイプ以外のカメラとしてもよい。本開示の撮像装置は、デジタルカメラに限定されず、フィルムカメラでもよく、フィルムカメラの場合は、フィルム面が撮像面となる。また、本開示の撮像装置は、ビデオカメラ、およびセキュリティカメラ、映画撮影用カメラ、および放送用カメラ等、種々の態様とすることができる。
【0114】
以上の実施形態および実施例に関し、さらに以下の付記項を開示する。
[付記項1]
複数のレンズを含む撮像光学系と、前記撮像光学系の結像位置に配置されて物体側に凹面を向けて湾曲した撮像面とを備えた撮像装置であって、
前記撮像光学系の空気換算距離でのバックフォーカスをBf、
前記撮像面の曲率半径をRi、
前記撮像光学系の最も像側のレンズ面の近軸曲率半径をRr、
前記撮像光学系の最も物体側のレンズ面の有効直径をEDf、
前記撮像光学系の最も物体側のレンズ面から前記撮像光学系の最も像側のレンズ面までの光軸上の距離と、Bfとの和をTLとした場合、
-0.3<Bf/Ri<-0.005 (1)
-5<(Rr+Ri)/(Rr-Ri)<-0.1 (2)
0.1<EDf/TL<0.8 (3)
で表される条件式(1)、(2)、および(3)を満足する撮像装置。
[付記項2]
前記撮像光学系の焦点距離をfとした場合、
0.3<TL/f<9 (4)
で表される条件式(4)を満足する付記項1に記載の撮像装置。
[付記項3]
前記撮像光学系の焦点距離をf、
前記撮像光学系のFナンバーをFNoとした場合、
0.5<(TL/f)×FNo<23 (5)
で表される条件式(5)を満足する付記項1又は付記項2に記載の撮像装置。
[付記項4]
前記撮像光学系の焦点距離をf、
前記撮像光学系の最大半画角をωとした場合、
0.3<EDf/(f×tanω)<5 (6)
で表される条件式(6)を満足する付記項1から付記項3のいずれか1項に記載の撮像装置。
[付記項5]
前記撮像光学系の焦点距離をf、
前記撮像光学系の最大半画角をωとした場合、
0.1<Bf/(f×tanω)<5 (7)
で表される条件式(7)を満足する付記項1から付記項4のいずれか1項に記載の撮像装置。
[付記項6]
0.1<Bf/TL<0.8 (8)
で表される条件式(8)を満足する付記項1から付記項5のいずれか1項に記載の撮像装置。
[付記項7]
前記撮像光学系の焦点距離をf、
前記撮像光学系の最大半画角をωとした場合、
0.5<TL/(f×tanω)<10 (9)
で表される条件式(9)を満足する付記項1から付記項6のいずれか1項に記載の撮像装置。
[付記項8]
前記撮像光学系に含まれるレンズのうち、d線に対する屈折率が最大のレンズをLNdmaxレンズとし、
前記LNdmaxレンズのd線に対する屈折率をNdm、
前記LNdmaxレンズのd線基準のアッベ数をνdmとした場合、
1.7<Ndm<2.15 (10)
1.95<Ndm+0.01×νdm<2.4 (11)
で表される条件式(10)および(11)を満足する付記項1から付記項7のいずれか1項に記載の撮像装置。
[付記項9]
前記撮像光学系に含まれる全てのレンズの20℃から40℃の温度範囲におけるd線に対する屈折率の温度係数の絶対値の最大値を|(dN/dT)m|×10-6とし、
|(dN/dT)m|×10-6の単位を℃-1とした場合、
0<|(dN/dT)m|<12 (12)
で表される条件式(12)を満足する付記項1から付記項8のいずれか1項に記載の撮像装置。
[付記項10]
-0.8<TL/Ri<-0.02 (13)
で表される条件式(13)を満足する付記項1から付記項9のいずれか1項に記載の撮像装置。
[付記項11]
前記撮像光学系の最も像側のレンズ面の有効直径をEDrとした場合、
0.3<EDf/EDr<5 (14)
で表される条件式(14)を満足する付記項1から付記項10のいずれか1項に記載の撮像装置。
[付記項12]
前記撮像光学系の最も物体側のレンズ面から前記撮像光学系の最も像側のレンズ面までの光軸上の距離をLtot、
前記撮像光学系の焦点距離をfとした場合、
0.2<Ltot/f<6 (15)
で表される条件式(15)を満足する付記項1から付記項11のいずれか1項に記載の撮像装置。
[付記項13]
前記撮像光学系の最も物体側のレンズ面から前記撮像光学系の最も像側のレンズ面までの光軸上の距離をLtot、
前記撮像光学系の焦点距離をf、
前記撮像光学系のFナンバーをFNoとした場合、
0.6<(Ltot/f)×FNo<15 (16)
で表される条件式(16)を満足する付記項1から付記項12のいずれか1項に記載の撮像装置。
[付記項14]
前記撮像光学系の最も物体側のレンズ面から前記撮像光学系の最も像側のレンズ面までの光軸上の距離をLtot、
前記撮像光学系の焦点距離をf、
前記撮像光学系の最大半画角をωとした場合、
0.45<Ltot/(f×tanω)<6 (17)
で表される条件式(17)を満足する付記項1から付記項13のいずれか1項に記載の撮像装置。
[付記項15]
前記撮像光学系の最も像側のレンズ面は凸形状である付記項1から付記項14のいずれか1項に記載の撮像装置。
[付記項16]
前記撮像光学系は開口絞りを含み、
前記撮像光学系の焦点距離をf、
前記開口絞りより物体側の前記撮像光学系内の全てのレンズの合成焦点距離をffとした場合、
0.01<f/ff<1.3 (18)
で表される条件式(18)を満足する付記項1から付記項15のいずれか1項に記載の撮像装置。
[付記項17]
前記撮像光学系は開口絞りを含み、
前記撮像光学系の焦点距離をf、
前記開口絞りより像側の前記撮像光学系内の全てのレンズの合成焦点距離をfrとした場合、
0.1<f/fr<1.5 (19)
で表される条件式(19)を満足する付記項1から付記項16のいずれか1項に記載の撮像装置。
[付記項18]
前記撮像光学系は開口絞りを含み、
前記撮像光学系の最も物体側のレンズ面から前記開口絞りまでの光軸上の距離をL1ST、
前記撮像光学系の最も物体側のレンズ面から前記撮像光学系の最も像側のレンズ面までの光軸上の距離をLtotとした場合、
0.1<L1ST/Ltot<0.9 (20)
で表される条件式(20)を満足する付記項1から付記項17のいずれか1項に記載の撮像装置。
【符号の説明】
【0115】
1 撮像光学系
2 軸上光束
3 光束
10 撮像装置
11 カメラボディ
13 閃光発光装置
14 シャッターボタン
15 モードダイヤル
16 撮像素子
16a 撮像面
Bf バックフォーカス
ED 有効直径
L1~L14 レンズ
L1ST 距離
Ltot 距離
Lx レンズ
St 開口絞り
TL 光学全長
Xa 軸上光束
Xb 軸外光束
Xb1 光線
Z 光軸
ω 最大半画角
図1
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