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特開2024-169278レジスト材料、パターン形成方法、及び、パターン化構造体
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  • 特開-レジスト材料、パターン形成方法、及び、パターン化構造体 図1
  • 特開-レジスト材料、パターン形成方法、及び、パターン化構造体 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024169278
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】レジスト材料、パターン形成方法、及び、パターン化構造体
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/004 20060101AFI20241128BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
G03F7/004 531
G03F7/004
G03F7/20 501
G03F7/20 521
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023202023
(22)【出願日】2023-11-29
(31)【優先権主張番号】P 2023085569
(32)【優先日】2023-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000220239
【氏名又は名称】東京応化工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】稲荷 宇俊
(72)【発明者】
【氏名】野田 国宏
(72)【発明者】
【氏名】久保 慧輔
(72)【発明者】
【氏名】木村 謙太
(72)【発明者】
【氏名】西澤 彰人
(72)【発明者】
【氏名】木下 洋平
(72)【発明者】
【氏名】脇屋 和正
(72)【発明者】
【氏名】宇野 何岸
【テーマコード(参考)】
2H197
2H225
【Fターム(参考)】
2H197CA01
2H197CA06
2H197CA08
2H197CA09
2H197CA10
2H197CE01
2H197CE10
2H197GA01
2H197HA03
2H225AF16P
2H225AF18P
2H225AF23P
2H225AF78P
2H225AF91P
2H225AN11P
2H225AN41P
2H225AN42P
2H225AN44P
2H225AN57P
2H225AN61P
2H225AN67P
2H225AN68P
2H225AN80P
2H225BA01P
2H225BA02P
2H225CA12
2H225CB14
2H225CB18
2H225CC01
2H225CC03
2H225CC16
2H225CD05
(57)【要約】
【課題】ポリ酸塩を含有する新規なレジスト材料、パターン形成方法、及び、パターン化構造体を提供すること。
【解決手段】ポリ酸塩を含有する、レジスト材料。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリ酸塩を含有する、レジスト材料。
【請求項2】
前記ポリ酸塩が、オニウムカチオンとの塩である、請求項1に記載のレジスト材料。
【請求項3】
前記ポリ酸塩が、オニウムカチオンとの塩であり、前記オニウムカチオンは置換基を有していてもよい不飽和結合を少なくとも1つ有する、請求項1に記載のレジスト材料。
【請求項4】
さらに有機溶剤を含有する、請求項1に記載のレジスト材料。
【請求項5】
前記有機溶剤が、極性溶剤である、請求項4に記載のレジスト材料。
【請求項6】
前記ポリ酸塩が、イソポリオキソモリブデン酸アニオン、イソポリオキソタングステン酸アニオン、イソポリオキソニオブ酸アニオン、又は、イソポリオキソタンタル酸アニオン、ヘテロポリオキソモリブデン酸アニオン、ヘテロポリオキソタングステン酸アニオン、ヘテロポリオキソバナジウム酸アニオン、ヘテロポリオキソニオブ酸アニオン、又は、ヘテロポリオキソタンタル酸アニオンと、有機スルホニウムカチオン、有機ヨードニウムカチオン、又は、有機第4級アンモニウムカチオンとの塩である、請求項1に記載のレジスト材料。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載のレジスト材料を用いてレジスト膜を形成する工程と、
前記レジスト膜を露光する工程と、
前記露光されたレジスト膜を現像液を用いて現像する工程と、
を含むパターン形成方法。
【請求項8】
前記レジスト膜を露光する工程が、前記レジスト膜を2mC/cm以下の線量の電子線又は200mJ/cm以下の極端紫外線で露光する工程を有する、請求項7に記載のパターン形成方法。
【請求項9】
前記現像液が、アミド系溶剤、エステル系溶剤、ケトン系溶剤、又は、アルコール系溶剤を含有する、請求項7に記載のパターン形成方法。
【請求項10】
請求項1~6のいずれか一項に記載のレジスト材料を用いてレジスト膜を形成する工程と、
前記レジスト膜を露光する工程と、
前記露光されたレジスト膜を、ドライエッチングにより現像する工程と、
を含むパターン形成方法。
【請求項11】
前記ドライエッチングにより現像する工程において、エッチングガスとして、ハロゲン含有ガスを含むガスを用いる、請求項10に記載のパターン形成方法。
【請求項12】
前記ハロゲン含有ガスが、フルオロカーボン、ハイドロフルオロカーボン、フッ素系ガス、塩素系ガス、又は、臭化物系ガスである、請求項11に記載のパターン形成方法。
【請求項13】
請求項1~6のいずれか一項に記載のレジスト材料をパターン形成させて得られるパターン化構造体。
【請求項14】
請求項13に記載のパターン化構造体が、5~100nmの平均厚さ部分を有する、パターン化構造体。
【請求項15】
電子線用又はEUV用レジスト材料である、請求項1~6のいずれか一項に記載のレジスト材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レジスト材料、パターン形成方法、及び、パターン化構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリ酸は、アニオン性金属酸化物クラスターであり、d又はdの電子配置を有する前周期遷移金属(例えば、Mo(6価又は5価)、W(6価又は5価)、V(5価)、Nb(5価)、Ta(5価)等)が酸素架橋された構造を有する。
ポリ酸のアニオン性金属酸化物クラスター中に、種々の元素を取り込むことで多彩な構造を採ることができる。そしてポリ酸の構成元素の組合せやその構造等によって、酸化還元能、光吸収能、酸性質等の物理化学的性質を変化させることができる。
【0003】
例えば、特許文献1には、ポリオキソモリブデン酸とピリジニウム骨格を有する化合物を含むポリ酸塩が、高いフォトルミネッセンス量子収率を有することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第11192908号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような従来の実情に鑑みてなされたものであり、ポリ酸塩を含有する新規なレジスト材料、パターン形成方法、及び、パターン化構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、ポリ酸塩がレジスト材料としての用途に用いることができること、そしてポリ酸塩を含有するレジスト材料のパターン形成方法を見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、以下の各発明に関する。
[1]ポリ酸塩を含有する、レジスト材料。
[2]前記ポリ酸塩が、オニウムカチオンとの塩である、[1]に記載のレジスト材料。
[3]前記ポリ酸塩が、オニウムカチオンとの塩であり、前記オニウムカチオンは置換基を有していてもよい不飽和結合を少なくとも1つ有する、[1]に記載のレジスト材料。
[4]さらに有機溶剤を含有する、[1]に記載のレジスト材料。
[5]前記有機溶剤が、極性溶剤である、[4]に記載のレジスト材料。
[6]前記ポリ酸塩が、イソポリオキソモリブデン酸アニオン、イソポリオキソタングステン酸アニオン、イソポリオキソニオブ酸アニオン、イソポリオキソタンタル酸アニオン、ヘテロポリオキソモリブデン酸アニオン、ヘテロポリオキソタングステン酸アニオン、ヘテロポリオキソバナジウム酸アニオン、ヘテロポリオキソニオブ酸アニオン、又は、ヘテロポリオキソタンタル酸アニオンと、有機スルホニウムカチオン、有機ヨードニウムカチオン、又は、有機第4級アンモニウムカチオンとの塩である、[1]に記載のレジスト材料。
[7][1]~[6]のいずれかに記載のレジスト材料を用いてレジスト膜を形成する工程と、前記レジスト膜を露光する工程と、前記露光されたレジスト膜を現像液を用いて現像する工程と、を含むパターン形成方法。
[8]前記レジスト膜を露光する工程が、前記レジスト膜を2mC/cm以下の線量の電子線又は200mJ/cm以下の極端紫外線で露光する工程を有する、[7]に記載のパターン形成方法。
[9]前記現像液が、アミド系溶剤、エステル系溶剤、ケトン系溶剤、又は、アルコール系溶剤を含有する、[7]に記載のパターン形成方法。
[10][1]~[6]のいずれかに記載のレジスト材料を用いてレジスト膜を形成する工程と、前記レジスト膜を露光する工程と、前記露光されたレジスト膜を、ドライエッチングにより現像する工程と、を含むパターン形成方法。
[11]前記ドライエッチングより現像する工程において、エッチングガスとして、ハロゲン含有ガスを含むガスを用いる、[10]に記載のパターン形成方法。
[12]前記ハロゲン含有ガスが、フルオロカーボン、ハイドロフルオロカーボン、フッ素系ガス、塩素系ガス、又は、臭化物系ガスである、[11]に記載のパターン形成方法。
[13][1]~[6]のいずれかに記載のレジスト材料をパターン形成させて得られるパターン化構造体。
[14][13]に記載のパターン化構造体が、10~100nmの平均厚さ部分を有する、パターン化構造体。
[15][13]に記載のパターン化構造体が、ピッチが100nm以下である部分を有する、パターン化構造体。
[16]電子線用又はEUV用レジスト材料である、[1]~[6]のいずれかに記載のレジスト材料。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ポリ酸塩を含有する新規なレジスト材料、パターン形成方法、及び、パターン化構造体の提供が可能となる。本発明に係るレジスト材料は、DUV、XUV、EUV、電子線等の光源を高吸収することが可能なポリ酸塩を含有しているため、これらの露光光源に対応したレジスト材料として好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、LSパターン1の断面及び上面のSEM画像である。
図2図2は、LSパターン2の断面及び上面のSEM画像である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0011】
[1.レジスト材料]
本実施形態に係るレジスト材料は、ポリ酸塩を含有する。また上記レジスト材料は、有機溶剤を含有していてもよい。
【0012】
以下では、本明細書において使用する用語、記号等の意味を説明し、本発明の実施形態についてより詳細に説明する。
【0013】
本明細書において「ハロゲン原子」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を意味する。
【0014】
本明細書において、例えば、「C1-6」等の用語は、母核となる基の炭素数を意味する。
【0015】
本明細書において「C1-18ヒドロカルビレン基」とは、炭素数1~18の炭化水素から2つの水素原子を除去することにより生じる2価の炭化水素基を意味する。ヒドロカルビレン基は、直鎖状であっても分岐鎖状であっても部分又は全体が環状であってもよい。ヒドロカルビレン基には、アルキレン基やアリーレン基等が含まれる。
また「C1-18ヒドロカルビレン基」の任意の位置の2価の炭素原子は、-O-、-S-、-C(=O)-、-COO-、-OCO-、-CONH-、-NHCO-、-NH(C=O)O-、-S-、-SO-、又は、-SO-に置き換わっていてもよい(ただし、隣り合う2価の炭素原子が同時に置き換わることはないものとする。)。
「C1-18ヒドロカルビレン基」としては、特に限定されず、例えば、メチレン基、エチレン基、n-プロピレン基、i-プロピレン基、シクロペンタジイル基、シクロヘキサンジイル基、オキシエタン-1,1-ジイル基、オキシエタン-1,2-ジイル基、オキシプロパン-1,3-ジイル基、オキシプロパン-1,2-ジイル基、2-メチルプロパン-1,3-ジイル基、オキシエチレンオキシエタン-1,1-ジイル基等の「C1-18アルキレン基」;1,4-フェニレン基、1,3-フェニレン基、1,2-フェニレン基、1,4-ナフチレン基、1,5-ナフチレン基、1,8-ナフチレン基、4,4‘-ビフェニレン基、アントラセンジイル基、フェナントレンジイル基、ナフタセンジイル基、ピレンジイル基、ペリレンジイル基、クリセンジイル基等の「C6-18アリーレン基」等が挙げられる。
【0016】
本明細書において「C1-18アルキル基」とは、炭素数1~18の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を意味する。
また「C1-18アルキル基」に含まれる末端を除く任意の位置の2価の炭素原子は、-O-、-C(=O)-、-C(=O)O-、-OCO-、-CONH-、-NHCO-、-NH(C=O)O-、-S-又は-SO-に置き換わっていてもよい。ただし、隣り合う2価の炭素原子が同時に置き換わることはないものとする。
「C1-18アルキル基」としては、特に限定されず、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、i-ペンチル基、sec-ペンチル基、t-ペンチル基、ネオペンチル基、1-メチルブチル基、2-メチルブチル基、1,1-ジメチルプロピル基、1,2-ジメチルプロピル基、n-ヘキシル基、i-ヘキシル基、1-メチルペンチル基、2-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、1,1-ジメチルブチル基、1,2-ジメチルブチル基、2,2-ジメチルブチル基、1,3-ジメチルブチル基、2,3-ジメチルブチル基、3,3-ジメチルブチル基、1-エチルブチル基、2-エチルブチル基、1,1,2-トリメチルプロピル基、1,2,2-トリメチルプロピル基、1-エチル-1-メチルプロピル基、1-エチル-2-メチルプロピル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、n-ウンデシル基、n-ドデシル基等が挙げられる。
「C1-18アルキル基」に含まれる末端を除く任意の位置の2価の炭素原子が、-O-、-C(=O)-、-C(=O)O-、-OCO-、-CONH-、-NHCO-、-NH(C=O)O-、-S-又は-SO-に置き換わったものとしては、特に限定されず、例えば、2-メトキシエトキシメチル基、エトキシカルボニルメチル基等が挙げられる。
【0017】
本明細書において「C1-18ハロアルキル基」とは、「C1-18アルキル基」の1又は複数の水素原子がハロゲン原子に置換された基を意味する。
「C1-18ハロアルキル基」としては、特に限定されず、例えば、ジクロロメチル基、トリフルオロメチル基、2,2-ジフルオロエチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基等が挙げられる。
【0018】
本明細書において「C2-18アルケニル基」とは、炭素数2以上の「C1-18アルキル基」中に二重結合を1つ以上有するアルケニル基を意味し、アルカジエニル基、アルカトリエニル基等も含まれるものとする。
「C2-18アルケニル基」としては、特に限定されず、例えば、ビニル基(エテニル基)、アリル基(2-プロペニル基)、1-プロペニル基、イソプロペニル基(1-メチルビニル基)、1-ブテニル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基等が挙げられる。
【0019】
本明細書において「C2-18アルキニル基」とは、炭素数2以上の「C1-18アルキル基」中に三重結合を1つ以上有するアルキニル基を意味する。
「C2-18アルキニル基」としては、特に限定されず、例えば、エチニル基、1-プロピニル基、2-プロピニル基、ペンチニル基、ヘキシニル基、ヘプチニル基、オクチニル基、ノニニル基、デシニル基、ウンデシニル基、ドデシニル基等が挙げられる。
【0020】
本明細書において「C3-18脂環式基」とは、炭素数3~18の単環又は多環の環状の構造を全体又は部分的に有する炭化水素基を意味する。脂環式基には、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルキニル基、モノシクロアルキル基、ポリシクロアルキル基等も包含される。
また「C3-18脂環式基」に含まれる末端を除く任意の位置の2価の炭素原子は、-O-、-C(=O)-、-C(=O)O-、-OCO-、-CONH-、-NHCO-、-NH(C=O)O-、-S-又はSO-に置き換わっていてもよい(ただし、隣り合う2価の炭素原子が同時に置き換わることはないものとする。)。
「C3-18シクロアルキル基」としては、特に限定されず、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、1-i-プロピルシクロペンタン-1-イル基、シクロヘキシル基、t-ブチルシクロヘキシル基、トリシクロデカニル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデシル基、2-メチルアダマンタン-2-イル基、2-i-プロピルアダマンタン-2-イル基、ボルニル基、ノルボニル基、フェンキル基、ピナニル基、アダマンチル基、トリシクロデシル基、テトラシクロドデシル基、シクロプロピルメチル基、シクロブチルメチル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシルメチル基、ボルニルメチル基、ノルボルニルメチル基、アダマンチルメチル基、1-メチルシクロペンチルオキシカルボニルメチル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、シクロヘプテニル基等が挙げられる。
【0021】
本明細書において「3~18員環非芳香族複素環式基」とは、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群から選択されるヘテロ原子を1つ以上含む、3~18員環非芳香族複素環式基を意味し、単環、多環又は縮環であってもよく、飽和又は部分不飽和であってもよい。
「3~18員環非芳香族複素環式基」としては、特に限定されず、例えば、アジリジニル基、アゼチジル基、ピロリジニル基、ピロリル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、モルホリニル基、チオモルホリニル基、テトラヒドロフリル基、テトラヒドロピラニル基、オキセタニル基、テトラヒドロフリル基、テトラヒドロピラニル基、イミダゾリニル基、オキサゾリニル基、2,5-ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプチル基、2,5-ジアザビシクロ[2.2.2]オクチル基、3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクチル基、1,4-ジアザビシクロ[4.3.0]ノニル基、1-アザアダマンチル基、2-アザアダマンチル基等が挙げられる。
【0022】
本明細書において「C2-18アリール基」とは、炭素数6~18の芳香族炭化水素環式基又は炭素数2~10の芳香族複素環式基を意味し、芳香族複素環式基の場合、2~10の炭素数の炭素原子と窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群から選ばれる1つ以上のヘテロ原子とで環を形成し、各々単環であっても多環であっても縮合環であってもよい。
「C2-18アリール基」としては、特に限定されず、例えば、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、アズレニル基、ペンタレニル基、ヘプタレニル基、インダセニル基、アセナフチル基、フェナントレニル基、アントラセニル基等が挙げられる。
【0023】
本明細書において「C7-18アラルキル基」とは、「C1-12アルキル基」において置換可能な部分が上記「C2-12アリール基」に置換された基を意味する。
「C7-18アラルキル基」としては、特に限定されず、例えば、ベンジル基、フェネチル基、3-フェニルプロピル基、4-フェニルブチル基、1-ナフチルメチル基、2-ナフチルメチル基等が挙げられる。
【0024】
本明細書において「C1-18ヒドロカルビル基」とは、炭素数1~18の炭化水素から1個の水素原子を除去することにより生成する1価基を意味する。ヒドロカルビル基には、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、脂環式基、アリール基、アラルキル基等が含まれる。
また「C1-18ヒドロカルビル基」に含まれる末端を除く任意の位置の2価の炭素原子は、-O-、-C(=O)-、-C(=O)O-、-OCO-、-CONH-、-NHCO-、-NH(C=O)O-、-S-又は-SO-に置き換わっていてもよい(ただし、隣り合う2価の炭素原子が同時に置き換わることはないものとする。)。
「C1-18ヒドロカルビル基」としては、特に限定されず、例えば、「C1-18アルキル基」、「C2-18アルケニル基」、「C2-18アルキニル基」、「C3-18脂環式基」、「C2-18アリール基」、「C7-18アラルキル基」等が挙げられる。
【0025】
本明細書において「C1-18ヒドロカルビルオキシ基」とは、「C1-18ヒドロカルビル基」に酸素原子(-O-)が結合した基を意味する。
「C1-18ヒドロカルビルオキシ基」としては、特に限定されず、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、i-プロポキシ基、n-ブトキシ基、i-ブトキシ基、sec-ブトキシ基、t-ブトキシ基、n-ペントキシ基、i-ペントキシ基、sec-ペントキシ基、n-ヘキソキシ基、i-ヘキソキシ基、1,1-ジメチルプロピルオキシ基、1,2-ジメチルプロピルオキシ基、2,2-ジメチルプロピルオキシ基、1-メチル-2-エチルプロピルオキシ基、1-エチル-2-メチルプロピルオキシ基、1,1,2-トリメチルプロピルオキシ基、1,2,2-トリメチルプロピルオキシ基、1,1-ジメチルブチルオキシ基、1,2-ジメチルブチルオキシ基、2,2-ジメチルブチルオキシ基、2,3-ジメチルブチルオキシ基、1,3-ジメチルブチルオキシ基、2-エチルブチルオキシ基、2-メチルペンチルオキシ基、3-メチルペンチルオキシ基等の「C1-18アルコキシ基」;シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロヘプチルオキシ基、シクロオクチルオキシ基、1-メチルシクロペンチルオキシカルボニルメトキシ基、1-エチルシクロヘキシルオキシカルボニルメトキシ基、1-メチルアダマンチルオキシカルボニルメトキシ基等の「C3-18脂環式オキシ基」;フェニルオキシ基、1-ナフチルオキシ基、2-ナフチルオキシ基、アズレニルオキシ基、ペンタレニルオキシ基、ヘプタレニルオキシ基、インダセニルオキシ基、アセナフチルオキシ基、フェナントレニルオキシ基、アントラセニルオキシ基等の「C6-18アリールオキシ基」等が挙げられる。
「C1-18ヒドロカルビルオキシ基」としては、「C1-18ヒドロカルビル基」に含まれる末端を除く任意の位置の2価の炭素原子が、-O-、-C(=O)-、及び/又は-C(=O)O-に置き換わっていることが好ましく、「C1-18ヒドロカルビルオキシカルボニルアルキルオキシ基」がより好ましく、溶解性の観点で、当該ヒドロカルビルオキシの酸素原子に結合する炭素は三級炭素であることがさらに好ましい。当該ヒドロカルビルオキシの具体的としては置換されていてもよいエチルシクロペンチルオキシ、メチルアダマンチルオキシ、エチルアダマンチルオキシ、t-ブチルオキシ等が挙げられる。
【0026】
本明細書において「C1-18ヒドロカルビルカルボニル基」とは、「C1-18ヒドロカルビル基」にカルボニル基(-C(=O)-)が結合した基を意味する。
「C1-18ヒドロカルビルカルボニル基」としては、特に限定されず、例えば、アセチル基、プロピオニル基、イソプロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、イソバレリル基、ペンタノイル基、3-メチルブタノイル基、ピバロイル基、ヘキサノイル基、ヘプタノイル基等の「C1-18アルキルカルボニル基」;シクロプロピルカルボニル基、シクロブチルカルボニル基、シクロペンチルカルボニル基、2-メチルシクロペンチルカルボニル基、3-メチルシクロペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、2-メチルシクロヘキシルカルボニル基、3-メチルシクロヘキシルカルボニル基、4-メチルシクロヘキシルカルボニル基、アダマンチルカルボニル基等の「C3-18脂環式カルボニル基」;ベンゾイル基、1-ナフトイル基、2-ナフトイル基等の「C6-18アリールカルボニル基」等が挙げられる。
【0027】
本明細書において「C1-18ヒドロカルビルカルボニルオキシ基」とは、「C1-18ヒドロカルビルカルボニル基」に酸素原子(-O-)が結合した基を意味する。
「C1-18ヒドロカルビルカルボニルオキシ基」としては、特に限定されず、例えば、メチルカルボニルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、n-プロピルカルボニルオキシ基、イソプロピルカルボニルオキシ基、n-ブチルカルボニルオキシ基、イソブチルカルボニルオキシ基、t-ブチルカルボニルオキシ基、n-ペンチルカルボニルオキシ基、イソペンチルカルボニルオキシ基、ヘキシルカルボニルオキシ基等の「C1-18アルキルカルボニルオキシ基」;シクロプロピルカルボニルオキシ基、シクロブチルカルボニルオキシ基、シクロペンチルカルボニルオキシ基、シクロヘキシルカルボニルオキシ基等の「C3-18脂環式カルボニルオキシ基」;フェニルカルボニルオキシ基、ナフチルカルボニルオキシ基、アセナフチルカルボニルオキシ基、フェナントレニルカルボニルオキシ基、アントラセニルカルボニルオキシ基等の「C6-18アリールカルボニルオキシ基」等が挙げられる。
【0028】
本明細書において「C1-18ヒドロカルビルオキシカルボニル基」とは、「C1-18ヒドロカルビルオキシ基」にカルボニル基(-C(=O)-)が結合した基を意味する。
「C1-18ヒドロカルビルオキシカルボニル基」としては、特に限定されず、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n-プロポキシカルボニル基、i-プロポキシカルボニル基、n-ブトキシカルボニル基、i-ブトキシカルボニル基、sec-ブトキシカルボニル基、t-ブトキシカルボニル基、n-ペントキシカルボニル基、ネオペンチルオキシカルボニル基等の「C1-18アルコキシカルボニル基」;シクロプロピルオキシカルボニル基、シクロブチルオキシカルボニル基、シクロペンチルオキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基、2-メチルシクロペンチルオキシカルボニル基、3-メチルシクロペンチルオキシカルボニル基、2-メチルシクロヘキシルオキシカルボニル基、3-メチルシクロヘキシルオキシカルボニル基、4-メチルシクロヘキシルオキシカルボニル基等の「C3-18脂環式オキシカルボニル基」;フェノキシカルボニル基、ナフトキシカルボニル基、アセナフチルオキシカルボニル基、フェナントレニルオキシカルボニル基、アントラセニルオキシカルボニル基等の「C6-18アリールオキシカルボニル基」等が挙げられる。
【0029】
本明細書において「C1-18ヒドロカルビルオキシカルボニルオキシ基」とは、「C1-18ヒドロカルビルオキシカルボニル基」に酸素原子(-O-)が結合した基を意味する。
「C1-18ヒドロカルビルオキシカルボニルオキシ基」としては、特に限定されず、例えば、メトキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボニルオキシ基、n-プロピルオキシカルボニルオキシ基、i-プロピルオキシカルボニルオキシ基、n-ブトキシカルボニルオキシ基、i-ブトキシカルボニルオキシ基、sec-ブトキシカルボニルオキシ基、t-ブトキシカルボニルオキシ基、n-ペンチルオキシカルボニルオキシ基、i-ペンチルオキシカルボニルオキシ基、n-ヘキシルオキシカルボニルオキシ基等の「C1-18アルコキシカルボニルオキシ基」;シクロプロピルオキシカルボニルオキシ基、シクロブチルオキシカルボニルオキシ基、シクロペンチルオキシカルボニルオキシ基、シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ基等の「C3-18脂環式オキシカルボニルオキシ基」;フェノキシカルボニルオキシ基、ナフトキシカルボニルオキシ基、アセナフチルオキシカルボニルオキシ基、フェナントレニルオキシカルボニルオキシ基、アントラセニルオキシカルボニルオキシ基等の「C6-18アリールオキシカルボニルオキシ基」等が挙げられる。
【0030】
本明細書において「C1-18ヒドロカルビルアミノ基」とは、1つの「C1-18ヒドロカルビル基」がアミノ基に結合した基を意味する。
「C1-18ヒドロカルビルアミノ基」としては、特に限定されず、例えば、メチルアミノ基、エチルアミノ基、n-プロピルアミノ基、i-プロピルアミノ基、n-ブチルアミノ基、i-ブチルアミノ基、sec-ブチルアミノ基、t-ブチルアミノ基、n-ペンチルアミノ基、i-ペンチルアミノ基、ネオペンチルアミノ基、n-ヘキシルアミノ基等の「C1-18アルキルアミノ基」;シクロプロピルアミノ基、シクロブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、2-メチルシクロペンチルアミノ基、3-メチルシクロペンチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、2-メチルシクロヘキシルアミノ基、3-メチルシクロヘキシルアミノ基、4-メチルシクロヘキシルアミノ基等の「C3-18脂環式アミノ基」;フェニルアミノ基、1-ナフチルアミノ基、2-ナフチルアミノ基等の「C6-18アリールアミノ基」等が挙げられる。
【0031】
本明細書において「ジC1-18ヒドロカルビルアミノ基」とは、同一又は異なる2つの「C1-18ヒドロカルビル基」がアミノ基に結合した基を意味する。
「ジC1-18ヒドロカルビルアミノ基」としては、特に限定されず、例えば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ-n-プロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ジ-n-ブチルアミノ基、ジイソブチルアミノ基、ジ-t-ブチルアミノ基、ジ-n-ペンチルアミノ基、ジ-n-ヘキシルアミノ基、N-エチル-N-メチルアミノ基、N-メチル-N-n-プロピルアミノ基、N-イソプロピル-N-メチルアミノ基、N-n-ブチル-N-メチルアミノ基、N-イソブチル-N-メチルアミノ基、N-t-ブチル-N-メチルアミノ基、N-メチル-N-n-ペンチルアミノ基、N-n-ヘキシル-N-メチルアミノ基、N-エチル-N-n-プロピルアミノ基、N-エチル-N-イソプロピルアミノ基、N-n-ブチル-N-エチルアミノ基、N-エチル-N-イソブチルアミノ基、N-t-ブチル-N-エチルアミノ基、N-エチル-N-n-ペンチルアミノ基、N-エチル-N-n-ヘキシルアミノ基等の「ジC1-18アルキルアミノ基」;ジシクロプロピルアミノ基、ジシクロブチルアミノ基、ジシクロペンチルアミノ基、ジシクロヘキシルアミノ基等の「ジC3-18脂環式アミノ基」;ジフェニルアミノ基、フェニルナフチルアミノ基等の「ジC6-18アリールアミノ基」;N-メチルシクロペンタンアミノ基、N-メチルシクロヘキシルアミノ基等の「N-C1-18アルキル-N-C3-18シクロアルキルアミノ基」;N-メチル-2-フェニルエチルアミノ基、N-エチル-N-(4-メチルフェニル)アミノ基等の「N-C1-18アルキル-N-C6-18アリールアミノ基」等が挙げられる。
【0032】
本明細書において「C1-18ヒドロカルビルアミノカルボニル基」とは、「C1-18ヒドロカルビルアミノ基」にカルボニル基(-C(=O)-)が結合した基を意味する。
「C1-18ヒドロカルビルアミノカルボニル基」としては、特に限定されず、例えば、メチルアミノカルボニル基、エチルアミノカルボニル基、n-プロピルアミノカルボニル基、i-プロピルアミノカルボニル基、n-ブチルアミノカルボニル基、sec-ブチルアミノカルボニル基、t-ブチルアミノカルボニル基、n-ペンチルアミノカルボニル基、2-ペンチルアミノカルボニル基、ネオペンチルアミノカルボニル基、4-メチル-2-ペンチルアミノカルボニル基、n-ヘキシルアミノカルボニル基、3-メチル-n-ペンチルアミノカルボニル基等の「C1-18アルキルアミノカルボニル基」;シクロプロピルアミノカルボニル基、シクロブチルアミノカルボニル基、シクロペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、2-メチルシクロペンチルアミノカルボニル基、3-メチルシクロペンチルアミノカルボニル基、2-メチルシクロヘキシルアミノカルボニル基、3-メチルシクロヘキシルアミノカルボニル基、4-メチルシクロヘキシルアミノカルボニル基等の「C3-18脂環式アミノカルボニル基」;フェニルアミノカルボニル基、1-ナフチルアミノカルボニル基、2-ナフチルアミノカルボニル基等の「C6-18アリールアミノカルボニル基」が挙げられる。
【0033】
本明細書において「ジC1-18ヒドロカルビルアミノカルボニル基」とは、「ジC1-18ヒドロカルビルアミノ基」にカルボニル基(-C(=O)-)が結合した基を意味する。
「ジC1-18ヒドロカルビルアミノカルボニル基」としては、特に限定されず、例えば、ジメチルアミノカルボニル基、ジエチルアミノカルボニル基、ジ-n-プロピルアミノカルボニル基、ジイソプロピルアミノカルボニル基、ジ-n-ブチルアミノカルボニル基、ジイソブチルアミノカルボニル基、ジ-t-ブチルアミノカルボニル基、ジ-n-ペンチルアミノカルボニル基、ジ-n-ヘキシルアミノカルボニル基、N-エチル-N-メチルアミノカルボニル基、N-メチル-N-n-プロピルアミノカルボニル基、N-イソプロピル-N-メチルアミノカルボニル基、N-n-ブチル-N-メチルアミノカルボニル基、N-イソブチル-N-メチルアミノカルボニル基、N-t-ブチル-N-メチルアミノカルボニル基、N-メチル-N-n-ペンチルアミノカルボニル基、N-n-ヘキシル-N-メチルアミノカルボ ニル基、N-エチル-N-n-プロピルアミノカルボニル基、N-エチル-N-イソプロピルアミノカルボニル基、N-n-ブチル-N-エチルアミノカルボニル基、N-エチル-N-イソブチルアミノカルボニル基、N-t-ブチル-N-エチルアミノカルボニル基、N-エチル-N-n-ペンチルアミノカルボニル基、N-エチル-N-n-ヘキシルアミノカルボニル基等の「ジC1-18アルキルアミノ基」;ジシクロプロピルアミノカルボニル基、ジシクロブチルアミノカルボニル基、ジシクロペンチルアミノカルボニル基、ジシクロヘキシルアミノカルボニル基等の「ジC3-18脂環式アミノカルボニル基」;ジフェニルアミノカルボニル基、フェニルナフチルアミノカルボニル基等の「ジC6-18アリールアミノカルボニル基」等が挙げられる。
【0034】
本明細書において「C1-18ヒドロカルビルカルボニルアミノ基」とは、「C1-18ヒドロカルビルカルボニル基」にアミノ基が結合した基を意味する。
「C1-18ヒドロカルビルカルボニルアミノ基」としては、特に限定されず、例えば、メチルカルボニルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、n-プロピルカルボニルアミノ基、i-プロピルカルボニルアミノ基、n-ブチルカルボニルアミノ基、i-ブチルカルボニルアミノ基、sec-ブチルカルボニルアミノ基、t-ブチルカルボニルアミノ基、n-ペンチルカルボニルアミノ基、i-ペンチルカルボニルアミノ基、n-ヘキシルカルボニルアミノ基等の「C1-18アルキルカルボニルアミノ基」;シクロプロピルカルボニルアミノ基、シクロブチルカルボニルアミノ基、シクロペンチルカルボニルアミノ基、シクロヘキシルカルボニルアミノ基等の「C3-18脂環式カルボニルアミノ基」;フェニルカルボニルアミノ基、ナフチルカルボニルアミノ基、アセナフチルカルボニルアミノ基、フェナントレニルカルボニルアミノ基、アントラセニルカルボニルアミノ基等の「C6-18アリールカルボニルアミノ基」等が挙げられる。
【0035】
本明細書において「C1-18ヒドロカルビルアミノカルボニルオキシ基」とは、「C1-18ヒドロカルビルアミノカルボニル基」に酸素原子(-O-)が結合した基を意味する。
「C1-18ヒドロカルビルアミノカルボニルオキシ基」としては、特に限定されず、例えば、メチルアミノカルボニルオキシ基、エチルアミノカルボニルオキシ基、n-プロピルアミノカルボニルオキシ基等の「C1-18アルキルアミノカルボニルオキシ基」;シクロプロピルアミノカルボニルオキシ基、シクロヘキシルアミノカルボニルオキシ基等の「C3-18脂環式アミノカルボニルオキシ基」;フェニルアミノカルボニルオキシ基、1-ナフチルアミノカルボニルオキシ基等の「C6-18アリールアミノカルボニルオキシ基」等が挙げられる。
【0036】
本明細書において「ジC1-18ヒドロカルビルアミノカルボニルオキシ基」とは、「ジC1-18ヒドロカルビルアミノカルボニル基」に酸素原子(-O-)が結合した基を意味する。
「ジC1-18ヒドロカルビルアミノカルボニルオキシ基」としては、特に限定されず、例えば、ジメチルアミノカルボニルオキシ基、ジエチルアミノカルボニルオキシ基、ジ-n-プロピルアミノカルボニルオキシ基等の「ジC1-18アルキルアミノカルボニルオキシ基」等が挙げられる。
【0037】
本明細書において「C1-18ヒドロカルビルアミノカルボニルアミノ基」とは、「C1-18ヒドロカルビルアミノカルボニル基」がアミノ基に結合した基を意味する。
「C1-18ヒドロカルビルアミノカルボニルアミノ基」としては、特に限定されず、例えば、メチルアミノカルボニルアミノ基、エチルアミノカルボニルオキシ基、n-プロピルアミノカルボニルアミノ基等の「C1-18アルキルアミノカルボニルアミノ基」;シクロプロピルアミノカルボニルアミノ基、シクロヘキシルアミノカルボニルアミノ基等の「C3-18脂環式アミノカルボニルアミノ基」;フェニルアミノカルボニルアミノ基、1-ナフチルアミノカルボニルアミノ基等の「C6-18アリールアミノカルボニルアミノ基」等が挙げられる。
【0038】
本明細書において「ジC1-18ヒドロカルビルアミノカルボニルアミノ基」とは、「ジC1-18ヒドロカルビルアミノカルボニル基」がアミノ基に結合した基を意味する。
「ジC1-18ヒドロカルビルアミノカルボニルアミノ基」としては、特に限定されず、例えば、ジメチルアミノカルボニルアミノ基、ジエチルアミノカルボニルアミノ基、ジ-n-プロピルアミノカルボニルアミノ基等の「ジC1-18アルキルアミノカルボニルアミノ基」等が挙げられる。
【0039】
本明細書において「C1-18ヒドロカルビルオキシカルボニルアミノ基」とは、「C1-18ヒドロカルビルオキシカルボニル基」がアミノ基に結合した基を意味する。
「C1-18ヒドロカルビルオキシカルボニルアミノ基」としては、特に限定されず、例えば、メトキシカルボニルアミノ基、エトキシカルボニルアミノ基、n-プロポキシカルボニルアミノ基、i-プロポキシカルボニルアミノ基、n-ブトキシカルボニルアミノ基、t-ブトキシカルボニルアミノ基等の「C1-18アルコキシカルボニルアミノ基」;シクロプロピルオキシカルボニルアミノ基、シクロヘキシルオキシカルボニルアミノ基等の「C3-18脂環式オキシカルボニルアミノ基」;フェニルオキシカルボニルアミノ基、1-ナフチルオキシカルボニルアミノ基等の「C6-18アリールオキシカルボニルアミノ基」等が挙げられる。
【0040】
本明細書において「C1-18ヒドロカルビルチオ基」とは、「C1-18ヒドロカルビル基」に硫黄原子(-S-)が結合した基を意味する。
「C1-18ヒドロカルビルチオ基」としては、特に限定されず、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、n-プロピルチオ基、i-プロピルチオ基、n-ブチルチオ基、i-ブチルチオ基、t-ブチルチオ基、n-ペンチルチオ基、n-ヘキシルチオ基等の「C1-18アルキルチオ基」;シクロプロピルチオ基、シクロブチルチオ基、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基、2-メチルシクロペンチルチオ基、3-メチルシクロペンチルチオ基、2-メチルシクロヘキシルチオ基、3-メチルシクロヘキシルチオ基、4-メチルシクロヘキシルチオ基等の「C3-18脂環式チオ基」;フェニルチオ基、1-ナフチルチオ基、2-ナフチルチオ基、アセナフチルチオ基、フェナントレニルチオ基、アントラセニルチオ基等の「C6-18アリールチオ基」等が挙げられる。
【0041】
本明細書において「C1-18ヒドロカルビルスルフィニル基」とは、「C1-18ヒドロカルビル基」にスルフィニル基(-S(=O)-)が結合した基を意味する。
「C1-18ヒドロカルビルスルフィニル基」としては、特に限定されず、例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、n-プロピルスルフィニル基、i-プロピルスルフィニル基、n-ブチルスルフィニル基、t-ブチルスルフィニル基、ペンチルスルフィニル基、ヘキシルスルフィニル基等の「C1-18アルキルスルフィニル基」;シクロプロピルスルフィニル基、シクロブチルスルフィニル基、シクロペンチルスルフィニル基、シクロヘキシルスルフィニル基、2-メチルシクロペンチルスルフィニル基、3-メチルシクロペンチルスルフィニル基、2-メチルシクロヘキシルスルフィニル基、3-メチルシクロヘキシルスルフィニル基、4-メチルシクロヘキシルスルフィニル基等の「C3-18脂環式スルフィニル基」;フェニルスルフィニル基、ナフチルスルフィニル基、アセナフチルスルフィニル基、フェナントレニルスルフィニル基、アントラセニルスルフィニル基等の「C6-18アリールスルフィニル基」等が挙げられる。
【0042】
本明細書において「C1-18ヒドロカルビルスルホニル基」とは、「C1-18ヒドロカルビル基」にスルホニル基(-SO-)が結合した基を意味する。
「C1-18ヒドロカルビルスルホニル基」としては、特に限定されず、例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、n-プロピルスルホニル基、i-プロピルスルホニル基、n-ブチルスルホニル基、t-ブチルスルホニル基、ペンチルスルホニル基等の「C1-18アルキルスルホニル基」;シクロプロピルスルホニル基、シクロブチルスルホニル基、シクロペンチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、2-メチルシクロペンチルスルホニル基、3-メチルシクロペンチルスルホニル基、2-メチルシクロヘキシルスルホニル基、3-メチルシクロヘキシルスルホニル基、4-メチルシクロヘキシル基等の「C3-18脂環式スルホニル基」;フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基、アセナフチルスルホニル基、フェナントレニルスルホニル基、アントラセニルスルホニル基等の「C6-18アリールスルホニル基」等が挙げられる。
【0043】
本明細書において「酸解離性基」とは、カルボキシ基、ヒドロキシ基(フェノール性水酸基等を含む。)の水素原子を置換する基であって、酸の作用により解離する基を意味する。
「酸解離性基」としては、特に限定されず、例えば、t-ブチル基、t-アミル基、1,1-ジメチルプロピル基、1-メチル-1-シクロペンチル基、1-エチル-1-シクロペンチル基、1-メチル-1-シクロヘキシル基、1-エチル-1-シクロヘキシル基、2-メチル-2-アダマンチル基、2-エチル-2-アダマンチル基、1-(1-メトキシ-2-メチルプロパン-2-イル)シクロペンチル基、1-(1-エトキシ-2-メチルプロパン-2-イル)シクロペンチル基等が挙げられる。
【0044】
本明細書において「置換基を有していてもよい」とは、化学的に許容され、本発明の効果を有する限りにおいて、特に限定されない。
「置換基」としては、例えば、(1)ハロゲン原子、(2)ヒドロキシ基、(3)チオール基、(4)ニトロ基、(5)シアノ基、(6)カルボキシ基、(7)アミノ基、(8)スルホ基、(9)(9)カルボキシ基若しくはヒドロキシ基の水素原子が酸解離性基に置換された基、又は、(10)水素原子の少なくとも一部が上記(1)~(9)で置換されていてもよいC1-8ヒドロカルビル基、C1-8ヒドロカルビルオキシ基、C1-8ヒドロカルビルカルボニル基、C1-8ヒドロカルビルカルボニルオキシ基、C1-8ヒドロカルビルオキシカルボニル基、C1-8ヒドロカルビルオキシカルボニルオキシ基、C1-8ヒドロカルビルアミノ基、ジC1-8ヒドロカルビルアミノ基、C1-8ヒドロカルビルアミノカルボニル基、ジC1-8ヒドロカルビルアミノカルボニル基、C1-8ヒドロカルビルカルボニルアミノ基、C1-8ヒドロカルビルアミノカルボニルオキシ基、ジC1-8ヒドロカルビルアミノカルボニルオキシ基、C1-8ヒドロカルビルアミノカルボニルアミノ基、ジC1-8ヒドロカルビルアミノカルボニルアミノ基、C1-8ヒドロカルビルオキシカルボニルアミノ基、C1-8ヒドロカルビルチオ基、C1-8ヒドロカルビルスルフィニル基、C1-8ヒドロカルビルスルホニル基であって、上記置換基の末端を除く任意の位置の2価の炭素原子は-O-、-C(=O)-、-C(=O)O-、-OCO-、-CONH-、-NHCO-、-NH(C=O)O-、-S-又は-SO-に置き換わっていてもよい(ただし、隣り合う2価の炭素原子が同時に置き換わることはないものとする。)等が挙げられる
【0045】
[1-1.ポリ酸塩]
本実施形態に係るレジスト材料は、ポリ酸塩を含有する。ポリ酸塩としては、公知慣用のものを用いることができ、特に限定されない。ポリ酸塩(ポリオキソメタレートともいう。)は、ポリ酸塩のアニオン部とカチオン部との組合せにより露光光源に対する吸収性等を調整することができる。
【0046】
ポリ酸とは、一般式が[Mn-で(式中、x、y、nはいずれも自然数である。)で表されるアニオン性の金属酸化物クラスターである。ポリ酸を構成する金属原子Mは、ポリ原子と呼ばれ、例えば、Mo(6価又は5価)、W(6価又は5価)、V(5価)、Nb(5価)、Ta(5価)等が挙げられる。ポリ酸は、上記ポリ原子Mと酸素酸から構成されるイソポリ酸と、上記ポリ原子Mと酸素の他に異なる種類の原子X(例えば、ヘテロ原子XとしてP5+、Si4+、Ge4+、B3+等が挙げられる。)を含むヘテロポリ酸塩([Xn-(式中、w、x、y、nはいずれも自然数である。))と、に大別することができる。
【0047】
ポリ酸塩の合成方法は、特に限定されず、公知慣用の方法を用いることができる。ポリ酸塩の合成方法としては、例えば、塩交換法、イオン交換法等が挙げられる。
【0048】
ポリ酸塩は、イソポリ酸又はヘテロポリ酸のアニオン部と、それに対するカウンターカチオンとなるカチオン部から構成される。以下では、ポリ酸塩のアニオン部とカチオン部に分けてそれぞれ説明する。
【0049】
[1-1-1.ポリ酸塩のアニオン部]
ポリ酸塩のアニオン部はイソポリ酸アニオン又はヘテロポリ酸アニオンによって構成される。
【0050】
イソポリ酸アニオンとしては、例えば、イソポリオキソモリブデン酸アニオン、イソポリオキソタングステン酸アニオン、イソポリオキソバナジウム酸アニオン、イソポリオキソニオブ酸アニオン、イソポリオキソタンタル酸アニオン等が挙げられる。
上記イソポリオキソモリブデン酸アニオンとしては、例えば、[MoO2-、[Mo246-、[Mo264-等が挙げられる。上記イソポリオキソタングステン酸アニオンとしては、例えば、[W132-、[W162-、[W192-、[W222-、[W246-、[H1240-(8-z)(ただし、zは1~4の整数を表す。)、[W10324-、[H11386-、[H11407-、[HW197-、[H11225-等が挙げられる。上記イソポリオキソバナジウム酸アニオンとしては、例えば、[V124-、[V10286-等が挙げられ、上記イソポリオキソニオブ酸アニオンとしては、例えば、[Nb198-、[Nb10286-等が挙げられ、上記イソポリオキソタンタル酸アニオンとしては、例えば、[Ta198-、[Ta212-等が挙げられる。
上記イソポリオキソモリブデン酸アニオン、イソポリオキソタングステン酸アニオン、イソポリオキソバナジウム酸アニオン、イソポリオキソニオブ酸アニオン、イソポリオキソタンタル酸アニオンには、各種異性体等が含まれるものとする。
【0051】
またヘテロポリ酸アニオンとしては、例えば、ヘテロポリオキソモリブデン酸アニオン、ヘテロポリオキソタングステン酸アニオン、ヘテロポリオキソバナジウム酸アニオン、ヘテロポリオキソニオブ酸アニオン、ヘテロポリオキソタンタル酸アニオン等が挙げられる。
上記ヘテロポリオキソモリブデン酸アニオンとしては、例えば、リンモリブデン酸アニオン、ケイモリブデン酸アニオン、ホウモリブデン酸アニオン、リンタングストモリブデン酸アニオン、コバルトモリブデン酸アニオン、ヒ素モリブデン酸アニオン、ゲルマニウムモリブデン酸アニオン等が挙げられる。上記ヘテロポリオキソタングステン酸アニオンとしては、例えば、リンタングステン酸アニオン、ケイタングステン酸アニオン、ホウタングステン酸アニオン、コバルトタングステン酸アニオン、ヒ素タングステン酸アニオン、ゲルマニウムタングステン酸アニオン等が挙げられる。上記ヘテロポリオキソバナジウム酸アニオンとしては、例えば、リンモリブドバナジン酸アニオン、リンモリブドタングストモリブデン酸アニオン、ホウモリブドバナジン酸アニオン、ホウモリブドタングストバナジン酸アニオン等が挙げられる。
上記ヘテロポリオキソモリブデン酸アニオン、ヘテロポリオキソタングステン酸アニオン、ヘテロポリオキソバナジウム酸アニオン等には、ケギン型、ドーソン型、アンダーソン型及びこれらの欠損種並びに異性体等が含まれるものとする。
【0052】
[1-1-2.ポリ酸塩のカチオン部]
ポリ酸塩(イソポリオキソメタレート又はヘテロポリオキソメタレート)の塩のタイプは、特に限定されず、プロトン、オニウムカチオン(例えば、有機オニウムカチオン、有機スルホニウムカチオン、有機ヨードニウムカチオン、有機第4級アンモニウムカチオン、有機ホスホニウムカチオン等が挙げられる。)、アルカリ金属イオン等との塩であってもよい。ポリ酸塩の塩のタイプとしては、感活性光線性又は感放射線性を向上させ露光部と未露光部の溶剤溶解性に変化をもたせるという観点から、オニウムカチオンとの塩であることが好ましく、さらに、前記オニウムカチオンは置換基を有していてもよい不飽和結合を少なくとも1つ有していることがより好ましく、その中でも有機スルホニウムカチオン、有機ヨードニウムカチオン、有機第4級アンモニウムカチオンとの塩であることがより好ましい。また前記不飽和結合は、例えば炭素炭素2重結合または炭素炭素3重結合であり、上述と同様の観点から、炭素炭素2重結合がより好ましく、ベンゼン環がさらに好ましい。
【0053】
[1-1-2-1.有機スルホニウムカチオン]
上記有機スルホニウムカチオンとしては、特に限定されず、公知慣用のものを用いることができる。有機スルホニウムカチオンとしては、例えば、式(I)で表される有機スルホニウムカチオンが挙げられる。
【0054】
【化1】
【0055】
式(I)中、R1A、R1B及びR1Cは、それぞれ独立して、C1-18ヒドロカルビル基、又は、3~18員環非芳香族複素環式基を表し、
上記R1A、R1B及びR1Cの末端を除く任意の位置の2価の炭素原子は-O-、-C(=O)-、-C(=O)O-、-OCO-、-CONH-、-NHCO-、-NH(C=O)O-、-S-又は-SO-に置き換わっていてもよく(ただし、隣り合う2価の炭素原子が同時に置き換わることはないものとする。);
また上記R1A、R1B及びR1Cに含まれる水素原子は、例えば、(a)ハロゲン原子、(b)ハロアルキル基、(c)ヒドロキシ基、(d)チオール基、(e)ニトロ基、(f)シアノ基、(g)カルボキシ基、(h)アミノ基、(i)スルホ基、(j)カルボキシ基若しくはヒドロキシ基の水素原子が酸解離性基に置換された基、又は、(k)水素原子の少なくとも1部が上記(a)~(j)で置換されていてもよいC1-18ヒドロカルビル基、C1-18ヒドロカルビルオキシ基、C1-18ヒドロカルビルカルボニル基、C1-18ヒドロカルビルカルボニルオキシ基、C1-18ヒドロカルビルオキシカルボニル基、C1-18ヒドロカルビルオキシカルボニルオキシ基、又は、C1-18ヒドロカルビルチオ基であって、これらの置換基の末端を除く任意の位置の2価の炭素原子は-O-、-C(=O)-、-C(=O)O-、-OCO-、-CONH-、-NHCO-、-NH(C=O)O-、-S-又は-SO-に置き換わっていてもよく(ただし、隣り合う2価の炭素原子が同時に置き換わることはないものとする。);
さらにR1A、R1B及びR1Cのうちいずれか2つが相互に単結合で直接、又は、二価の連結基である-O-、-S-、-C(=O)-、-S(=O)-、-S(=O)-、-C(=O)O-、若しくは、C1-3アルキレン基を介して連結し、式(I)中の硫黄原子と共に環を形成していてもよい。
【0056】
パターニング特性の点で、式(I)中のR1A、R1B及びR1Cの少なくとも1つが、上記置換基を有していてもよいC2-18アリール基であることが好ましく、上記置換基を有していてもよいフェニル基であることがより好ましい。
【0057】
式(I)中のR1A、R1B及びR1Cの少なくとも1つが、置換基を有してもよいフェニル基である場合の具体例として、式(I-1)が例示できる。
【化2】
式(I-1)中、
1Dは、それぞれ独立に、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、チオール基、置換基を有していてもよいC1-18ハロアルキル基、C1-18ヒドロカルビルオキシ基、C1-18ヒドロカルビルオキシカルボニル基、C1-18ヒドロカルビルカルボニルオキシ基、又は、C1-18ヒドロカルビルチオ基が好ましく、
ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、置換基を有していてもよいC1-4ハロアルキル基、C1-12ヒドロカルビルオキシ基、C1-12ヒドロカルビルオキシカルボニル基、C1-12ヒドロカルビルカルボニルオキシ基、又は、C1-12ヒドロカルビルチオ基であることがより好ましく、
ハロゲン原子、又は、置換基を有していてもよいC1-4ハロアルキル基であることがさらに好ましく;
1E及びR1Fは、それぞれ独立に、上記R1A~R1Cと同様の定義を有し、R1E及びR1Fが相互に単結合で直接、又は、二価の連結基である-O-、-S-、-C(=O)-、-S(=O)-、-S(=O)-、-C(=O)O-、若しくは、C1-3アルキレン基を介して連結し、式(I-1)中の硫黄原子と共に環を形成していてもよく;
mは0~5の整数である。
また、式(I-1)中、R1D、R1E及びR1Fの少なくとも1つにハロゲン原子が含まれていることが好ましい。
【0058】
また、式(I)中のR1A、R1B及びR1Cとしては、それぞれ独立して、置換基を有していてもよいC2-18アリール基であることが好ましい。上記C2-18アリール基の置換基としては、ハロゲン原子、ハロアルキル基、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有していてもよいC1-12ヒドロカルビルチオ基であることが好ましく、ハロゲン原子、C1-4ハロアルキル基、ニトロ基であることがさらに好ましい。また、式(I)中のR1A、R1B及びR1Cの少なくとも1つにハロゲン原子が含まれていることが好ましい。
【0059】
上記有機スルホニウムカチオンの具体例としては、式(I)に該当しかつ式(I-1)に該当しないものとして、ジブチル(ペンチル)スルホニウムカチオン、トリエチルスルホニウムカチオン、(2-カルボキシエチル)ジメチルスルホニウムカチオン、トリメチルスルホニウムカチオン、ジメチルフェナシルスルホニウムカチオン、1-(4-ヒドロキシナフタレン-1-イル)ヘキサヒドロチオピリリウムカチオン等が挙げられる。
また式(I-1)に該当するものとして、ジメチルフェニルスルホニウムカチオン、トリフェニルスルホニウムカチオン、トリス(4-メチルフェニル)スルホニウムカチオン、4-メトキシフェニルジフェニルスルホニウムカチオン、4-ヨードフェニルジフェニルスルホニウムカチオン、トリス(4-フルオロフェニル)スルホニウムカチオン、1-フェニルヘキサヒドロチオピリリウムカチオン、(エタン-1,2-ジイルビスオキシ)ビス(4,1-フェニレン)ビス(ジフェニルスルホニウム)ジカチオン、(チオジ-4,1-フェニレン)ビス(ジフェニルスルホニウム)ジカチオン、ジ(ナフタレン-1-イル)(フェニル)スルホニウムカチオン、フェニルビス(2-(トリフルオロメチル)フェニル)スルホニウムカチオン、メシチルビス(2-(トリフルオロメチル)フェニル)スルホニウムカチオン、ビス(3,5-ジフルオロフェニル)(フェニル)スルホニウムカチオン、トリス(3,5-ジフルオロフェニル)スルホニウムカチオン、(4-(ドデカノイルオキシ-3,5-ジメチルフェニル))ジフェニルスルホニウムカチオン、ジフェニル(3-(トリフルオロメトキシ)フェニル)スルホニウムカチオン、(4-(1-アダマンチルカルボニルオキシ)フェニル)ジフェニルスルホニウムカチオン、(4-フェニルチオフェニル)ジフェニルスルホニウムカチオン、5-フェニル-5H-チアントレン-5-イウムカチオン、5-(2,5-ジメチルフェニル)チアントレン-5-イウムカチオン、5-フェニル-5H-ジベンゾ[b,d]チオフェン-5-イウムカチオン5-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)-5H-ジベンゾ[b,d]チオフェン-5-イウムカチオン、1-(4-(t-ブチル)フェニル)-1H-ベンゾ[b]チオフェン-1-イウムカチオン、メチルジフェニルスルホニウムカチオン、(2-ブロモエチル)ジフェニルスルホニウムカチオン、(3-クロロプロピル)ジフェニルスルホニウムカチオン、ベンジル(4-ヒドロキシフェニル)メチルスルホニウムカチオン、(4-ヒドロキシフェニル)メチル(2-メチルベンジル)スルホニウムカチオン、4-ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウムカチオン、ジフェニル(メチル)スルホニウムカチオン、ジフェニル(4-(フェニルチオ)フェニル)スルホニウムカチオン、(2-ブロモエチル)ジフェニルスルホニウムカチオン、ジメシチル(トリフルオロメチル)スルホニウムカチオン、トリ-p-トリルスルホニウムカチオン等が例示できる。
【0060】
[1-1-2-2.有機ヨードニウムカチオン]
有機ヨードニウムカチオンとしては、特に限定されず、公知慣用のものを用いることができる。有機ヨードニウムカチオンとしては、例えば、式(II)で表される有機ヨードニウムカチオンが挙げられる。
【0061】
【化3】
【0062】
式(II)中、R2A及びR2Bは、それぞれ独立して、C1-18ヒドロカルビル基、又は、3~18員環非芳香族複素環式基を表し、
上記R2A及びR2Bの末端を除く任意の位置の2価の炭素原子は-O-、-C(=O)-、-C(=O)O-、-OCO-、-CONH-、-NHCO-、-NH(C=O)O-、-S-又は-SO-に置き換わっていてもよく(ただし、隣り合う2価の炭素原子が同時に置き換わることはないものとする。);
また上記R2A及びR2Bに含まれる水素原子は、例えば、(a)ハロゲン原子、(b)ハロアルキル基、(c)ヒドロキシ基、(d)チオール基、(e)ニトロ基、(f)シアノ基、(g)カルボキシ基、(h)アミノ基、(i)スルホ基、(j)カルボキシ基若しくはヒドロキシ基の水素原子が酸解離性基に置換された基、又は、(k)水素原子の少なくとも1部が上記(a)~(j)で置換されていてもよいC1-18ヒドロカルビル基、C1-18ヒドロカルビルオキシ基、C1-18ヒドロカルビルカルボニル基、C1-18ヒドロカルビルカルボニルオキシ基、C1-18ヒドロカルビルオキシカルボニル基、又は、C1-18ヒドロカルビルオキシカルボニルオキシ基であって、これらの置換基の末端を除く任意の位置の2価の炭素原子は-O-、-C(=O)-、-C(=O)O-、-OCO-、-CONH-、-NHCO-、-NH(C=O)O-、-S-又は-SO-に置き換わっていてもよく(ただし、隣り合う2価の炭素原子が同時に置き換わることはないものとする。);
さらにR2A及びR2Bは相互に単結合で直接、又は、二価の連結基である-O-、-S-、-C(=O)-、-S(=O)-、-S(=O)-、-C(=O)O-、若しくは、C1-3アルキレン基を介して連結し、式(II)中のヨウ素原子と共に環を形成していてもよい。
【0063】
式(II)中のR2A及びR2Bとしては、それぞれ独立して、置換基を有していてもよいC2-18アリール基であることが好ましい。上記C2-18アリール基の置換基としては、ハロゲン原子、ハロアルキル基、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、チオール基、置換基を有していてもよいC1-12ヒドロカルビル基、C1-12ヒドロカルビルオキシ基、C1-12ヒドロカルビルカルボニル基、C1-12ヒドロカルビルカルボニルオキシ基、C1-12ヒドロカルビルオキシカルボニル基、又は、C1-12ヒドロカルビルオキシカルボニルオキシ基であることが好ましく、ハロゲン原子、C1-4ハロアルキル基、ニトロ基、C1-8ヒドロカルビル基、C1-8ヒドロカルビルオキシ基であることが好ましい。
【0064】
上記有機ヨードニウムカチオンの具体例としては、エチニル(フェニル)ヨードニウムカチオン、ジフェニルヨードニウムカチオン、ビス(4-(t-ブチル)フェニル)ヨードニウムカチオン、(2-カルボキシフェニル)(フェニル)ヨードニウムカチオン、(4-ニトロフェニル)(フェニル)ヨードニウムカチオン、(3-(トリフルオロメチル)フェニル)(2,4,6-トリメチルフェニル)ヨードニウムカチオン、ビス(4-フルオロフェニル)ヨードニウムカチオン、(4-(ブロモメチル)フェニル)(2,4,6-トリメトキシフェニル)ヨードニウムカチオン、4-ビフェニルイル(2,4,6-トリメトキシフェニル)ヨードニウムカチオン、ビス(2,4,6-トリメチルフェニル)ヨードニウムカチオン、4-イソプロピル-4’-メチルジフェニルヨードニウムカチオン、(4-(トリフルオロメチル)フェニル)(2,4,6-トリメチルフェニル)ヨードニウムカチオン、((4-トリフルオロメチル)フェニル)(2,4,6-トリメトキシフェニル)ヨードニウムカチオン、(5-フルオロ-2-ニトロフェニル)(2,4,6-トリメトキシフェニル)ヨードニウムカチオン、(3-ブロモフェニル)(メシチル)ヨードニウムカチオン、ビス(4-ブロモフェニル)ヨードニウムカチオン、(3,5-ジクロロフェニル)(2,4,6-トリメトキシフェニル)ヨードニウムカチオン、(4-メチルフェニル)(2,4,6-トリメチルフェニル)ヨードニウムカチオン、(3-メチルフェニル)(2,4,6-トリメチルフェニル)ヨードニウムカチオン、(2-メチルフェニル)(2,4,6-トリメチルフェニル)ヨードニウムカチオン、フェニル(2,4,6-トリメトキシフェニル)ヨードニウムカチオン等が例示できる。
【0065】
[1-1-2-3.有機第4級アンモニウムカチオン]
有機第4級アンモニウムカチオンとしては、特に限定されず、公知慣用のものを用いることができる。有機第4級アンモニウムカチオンとしては、例えば、式(III)で表される有機第4級アンモニウムカチオンが挙げられる。
【0066】
【化4】
【0067】
式(III)中、R3A、R3B、R3C及びR3Dは、それぞれ独立して、C1-18ヒドロカルビル基、又は、3~18員環非芳香族複素環式基を表し、
上記R3A、R3B、R3C及びR3Dの末端を除く任意の位置の2価の炭素原子は-O-、-C(=O)-、-C(=O)O-、-OCO-、-CONH-、-NHCO-、-NH(C=O)O-、-S-又は-SO-に置き換わっていてもよく(ただし、隣り合う2価の炭素原子が同時に置き換わることはないものとする。);
また上記R3A、R3B、R3C及びR3Dに含まれる水素原子は、例えば、(a)ハロゲン原子、(b)ハロアルキル基、(c)ヒドロキシ基、(d)チオール基、(e)ニトロ基、(f)シアノ基、(g)カルボキシ基、(h)アミノ基、(i)スルホ基、(j)カルボキシ基若しくはヒドロキシ基の水素原子が酸解離性基に置換された基、又は、(k)水素原子の少なくとも1部が上記(a)~(j)で置換されていてもよいC1-18ヒドロカルビル基、C1-18ヒドロカルビルオキシ基、C1-18ヒドロカルビルカルボニル基、C1-18ヒドロカルビルカルボニルオキシ基、C1-18ヒドロカルビルオキシカルボニル基、C1-18ヒドロカルビルオキシカルボニルオキシ基、又は、C1-18ヒドロカルビルチオ基であって、これらの置換基の末端を除く任意の位置の2価の炭素原子は-O-、-C(=O)-、-C(=O)O-、-OCO-、-CONH-、-NHCO-、-NH(C=O)O-、-S-又は-SO-に置き換わっていてもよく(ただし、隣り合う2価の炭素原子が同時に置き換わることはないものとする。);
さらにR3A、R3B、R3C及びR3Dのうちいずれか2つが相互に単結合で直接、又は、二価の連結基である-O-、-S-、-C(=O)-、-S(=O)-、-S(=O)-、-C(=O)O-、若しくは、C1-3アルキレン基を介して連結し、式(III)中の窒素原子と共に環を形成していてもよい。
【0068】
式(III)中のR3A、R3B、R3C及びR3Dとしては、それぞれ独立して、置換基を有していてもよいC1-18ヒドロカルビル基であることが好ましく、C1-12アルキル基、C1-12アルケニル基、C1-12アルキニル基、C1-12脂環式基であることがより好ましい。
【0069】
上記有機第4級アンモニウムカチオンの具体例としては、テトラメチルアンモニウムカチオン、テトラエチルアンモニウムカチオン、テトラプロピルアンモニウムカチオン、テトラブチルアンモニウムカチオン、テトラヘプチルアンモニウムカチオン、トリメチルエチルアンモニウムカチオン、ジメチルジエチルアンモニウムカチオン、ジメチルエチルプロピルアンモニウムカチオン、メチルエチルプロピルブチルアンモニウムカチオン、トリメチルフェニルアンモニウムカチオン、トリエチルヘキシルアンモニウムカチオン、トリエチルシクロヘキシルアンモニウムカチオン、ドデシルトリメチルアンモニウムカチオン等が例示できる。
【0070】
[1-2.有機溶剤]
本実施形態に係るレジスト材料は、さらに有機溶剤を含有していてもよい。有機溶剤としては、特に限定されず、公知慣用のものを用いることができる。有機溶剤としては、ポリ酸塩と調製した際に均一に溶解又は分散させることが可能な有機溶剤であることが好ましい。
【0071】
有機溶剤としては、極性溶剤として例えば、アルコール系溶剤、エーテル系溶剤、ケトン系溶剤、アミド系溶剤、エステル系溶剤、ニトリル系溶剤、非プロトン系極性溶剤等が挙げられ、非極性溶剤として炭化水素系溶剤等が挙げられる。これらの有機溶剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0072】
極性溶剤の具体例としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール(IPA)、3-メトキシブタノール、3-メチル-3-メトキシブタノール、1-メトキシ-2-プロパノール、4-メチル-2-ペンタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)等のアルコール系溶剤;
ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジイソアミルエーテル、テトラヒドロフラン、アニソール、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等のエーテル系溶剤;
アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチル-n-ペンチルケトン、メチルイソペンチルケトン、2-ヘプタノン、アセトフェノン、プロピレンカーボネート、フルフラール等のケトン系溶剤;
N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N-メチルピロリドン、1-エチル-2-ピロリドン、1-ブチル-2-ピロリドン等のアミド系溶剤;
乳酸メチル、乳酸エチル(EL)、酢酸メチル、酢酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)等のエステル系溶剤;
アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル系溶剤:
γ-ブチロラクトン、δ-バレロラクトン、γ-ラクタム、δ-ラクタム、ジメチルスルホキシド(DMSO)、スルホラン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、テトラメチル尿素等の非プロトン系極性溶剤;
非極性溶剤としては、n-ペンタン、n-ヘキサン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶剤;
等が挙げられる。
上記有機溶剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0073】
本実施形態に係るレジスト材料に含有させる有機溶剤としては、塗布性の点で、極性溶剤が好ましく、さらに溶解性の点でアミド系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、又は、ケトン系溶剤が含まれていることがより好ましい。上記アミド系溶剤としては、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジエチルホルムアミド、アセトアミド及びN-メチルピロリドンからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。また上記エステル系溶剤又はアルコール系溶剤としては、溶解性の点で、エステル結合及び/又は水酸基を有していることが好ましく、前述の中でも、プロピレングリコールモノメチルエーテル、乳酸メチル、乳酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、及び、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0074】
有機溶剤にアミド系溶剤及びエステル系溶剤のいずれもが含まれる場合、アミド系溶剤とエステル系溶剤の配合比(質量比)としては、1:99~40:60であることが好ましく、5:95~20:80であることがより好ましい。
また有機溶剤にエステル系溶剤、アルコール系溶剤及びケトン系溶剤のいずれか1種以上が含まれる場合、有機溶剤に対する配合比(質量比)が、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、100質量%であってもよい。
【0075】
レジスト材料中の有機溶剤の含有量は、特に限定されず、基板等にレジスト材料を塗布する方法、塗布する膜厚等に応じて適宜設定できる。レジスト材料中の有機溶剤の含有量としては、レジスト材料の固形分濃度が0.01~20質量%になることが好ましく、0.1~15質量%になることがより好ましく、0.2~10質量%の範囲がさらに好ましい。
【0076】
[1-3.その他]
本実施形態に係るレジスト材料には、さらに所望により混和性のある添加剤として、例えば、レジスト膜の性能を改良するための付加的樹脂、溶解抑制剤、可塑剤、安定剤、着色剤、ハレーション防止剤、染料等を適宜、添加含有させることができる。
本実施形態に係るレジスト材料には、エポキシ樹脂を含まない方が好ましい。また、過酸化水素を含まない方が好ましい。
【0077】
[2.パターン形成方法]
本実施形態に係るパターン形成方法は、基板にレジスト材料を塗布する工程と、上記塗布工程により形成されたレジスト膜を露光する工程と、上記露光されたレジスト膜を現像する工程と、を備える。
【0078】
[2-1.塗布工程]
本実施形態に係るパターン形成方法は、基板にレジスト材料を塗布する工程を有する。
【0079】
<基板>
本実施形態で使用する基板は、特に限定されず、公知慣用のものを用いることができる。基板としては、例えば、電子部品用の基板や、所定の配線パターンが形成された基板等を用いてもよい。
基板の材質としては、特に限定されず、例えば、シリコンウエハ、銅、クロム、鉄、アルミニウム等の金属製の基板、ガラス、酸化チタン、二酸化ケイ素等の無機物による基板等が挙げられる。
基板の大きさ、形状等は特に限定されず、基板の表面は平滑であっても、曲面、凹凸を有していてもよく、薄片形状の基板等であってもよい。
【0080】
基板の表面には、必要に応じて表面処理が施されていてもよい。基板の表層に水酸基を有する基板の場合には、水酸基と反応可能なシラン系カップリング剤を用いて基板の表面処理を行うことで、基板の表層を親水性から疎水性に変化させて、基板と金属化合物含有膜との密着性を高めることができる。上記シラン系カップリング剤としては、例えば、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)等が挙げられる。
【0081】
<塗布方法>
レジスト材料を基板上に塗布する方法としては、特に限定されず、公知慣用の方法を用いることができる。塗布方法としては、乾式法としては、例えば、例えば、熱CVD、プラズマCVD、光CVD等のCVD法(化学蒸着法);真空蒸着、プラズマ援用蒸着、スパッタリング、イオンプレティング等のPVD法(物理蒸着法)等を用いることができる。また湿式法としては、例えば、スピンコート、バーコート、ロールコート、フローコート、ディップコート、スプレーコート、インクジェット印刷、スクリーン印刷等の塗布法等を用いることができる。
【0082】
本実施形態に係るレジスト材料を基板上に塗布する方法としては、膜厚等を均一に形成するという観点から、スピンコート法、スクリーン印刷等の湿式法を用いることが好ましく、スピンコート法を用いることがより好ましい。塗布膜を形成後、エッジビードを除去するために、バックサイドリンス、エッジビード除去ステップなどを行うことができる。
【0083】
レジスト材料を基板上に塗布して形成されるレジスト膜を乾燥させる方法としては、特に限定されず、例えば、ホットプレート等の加熱装置(ポストアプライベーク(PAB))、減圧装置等を用いて行うことができる。
ベーク条件は、特に限定されず、レジスト膜の種類、用途等に応じて適宜設定することができる。ベーク温度としては、80~300℃であることが好ましく、150~250℃であることがより好ましく、170~230℃であることがさらに好ましい。またベーク時間としては、10秒~300秒であることが好ましく、20秒~180秒であることがより好ましく、30秒~120秒であることがさらに好ましい。
【0084】
レジスト膜の乾燥後における厚さは、特に限定されないが、0.5~100nmであることが好ましく、1~75nmであることがより好ましく、1~60nmであることがさらに好ましい。
【0085】
[2-2.露光工程]
本実施形態に係るパターン形成方法は、上記塗布工程により形成されたレジスト膜を露光する工程を有する。
【0086】
レジスト膜の露光工程における露光装置として、例えば、ArF露光装置、電子線描画装置、EUV露光装置等を用いることができる。また露光工程では、所定のパターンが形成されたマスク(マスクパターン)を介して露光を行ってもよく、又は、マスクパターンを介さずに電子線の直接照射による描画等によって選択的露光を行ってもよい。
【0087】
露光に用いる波長は、特に限定されず、ArFエキシマレーザー(波長193nm)、KrFエキシマレーザー(248nm)、Fエキシマレーザー(波長157nm)、EUV(極端紫外線)、VUV(真空紫外線)、EB(電子線)、X線、軟X線等の放射線を用いてもよい。
【0088】
レジスト膜上への露光量としては、ArFエキシマレーザー又はKrFエキシマレーザーの場合、1~200mJ/cmであることが好ましく、20~60mJ/cmであることがより好ましい。また極端紫外線の場合、露光量が例えば、500mJ/cm以下であり、0.1~200mJ/cmであることが好ましく、3~100mJ/cmであることがより好ましく、5~50mJ/cmであることがさらに好ましい。
電子線の場合、50kVにて3μC/cm~2mC/cmの線量で露光することが好ましく、10μC/cm~1.5mC/cmの線量で露光することがより好ましい。
【0089】
レジスト膜に露光を行った後、ベーク(ポストエクスポージャーベーク(PEB))処理を行ってもよいし、行わなくてもよい。ベーク条件としては、特に限定されず、レジスト膜の種類、用途等に応じて適宜設定することができる。ベーク温度としては、ホットプレート等の加熱装置を用いて、80~300℃であることが好ましく、150~250℃であることがより好ましく、170~230℃であることがさらに好ましい。またベーク時間としては、10~300秒であることが好ましく、20~180秒であることがより好ましく、30~120秒であることがさらに好ましい。
【0090】
[2-3.現像工程]
本実施形態に係るパターン形成方法は、上記露光されたレジスト膜を現像する工程を有する。現像工程では、上記露光されたレジスト膜を現像液により現像することによりパターンを形成することができる。露光された領域が現像後にパターンとして残る場合がネガ型パターン形成プロセスとなり、露光された領域が現像後に除去される場合がポジ型パターン形成プロセスとなる。ポジ又はネガいずれのパターンを形成するかはレジスト材料又は現像液によって適宜選択できる。また上記現像後は、リンス液で洗浄してから乾燥してもよく、場合によってはさらにベーク処理を行ってもよい。
【0091】
<現像液>
本実施形態で用いる現像液としては、例えば、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、ニトリル系溶剤、アミド系溶剤、エーテル系溶剤等の極性溶剤、炭化水素系溶剤等の有機溶剤を1種以上含有する現像液が挙げられる。
【0092】
有機溶剤の具体例としては、例えば、
アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチル-n-ペンチルケトン、メチルイソペンチルケトン、2-ヘプタノン、アセトフェノン、プロピレンカーボネート、フルフラール等のケトン系溶剤;
乳酸メチル、乳酸エチル(EL)、酢酸メチル、酢酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)等のエステル系溶剤;
メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール(IPA)、3-メトキシブタノール、3-メチル-3-メトキシブタノール、1-メトキシ-2-プロパノール、4-メチル-2-ペンタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)等のアルコール系溶剤;
アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル系溶剤:
N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N-メチルピロリドン、1-エチル-2-ピロリドン、1-ブチル-2-ピロリドン等のアミド系溶剤;
ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジイソアミルエーテル、テトラヒドロフラン、アニソール、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等のエーテル系溶剤;
n-ペンタン、n-ヘキサン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶剤;
等が挙げられる。これらは1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0093】
これらの中でも、現像液に用いる有機溶剤としては、極性溶剤であることが好ましく、アミド系溶剤、アルコール系溶剤、エステル系溶剤を含んでいることが好ましく、アミド系溶剤又はエステル系溶剤とアルコール系溶剤が含まれていることがより好ましい。
アミド系溶剤としては、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジエチルホルムアミド、アセトアミド、及び、N-メチルピロリドンからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
またエステル系溶剤としては、乳酸メチル、乳酸エチル(EL)、酢酸メチル、酢酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、及び、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートからなる群から選択される1種以上であることが好ましい。
そしてアルコール系溶剤としては、エタノール、イソプロピルアルコール(IPA)、3-メトキシブタノール、3-メチル-3-メトキシブタノール、1-メトキシ-2-プロパノール、4-メチル-2-ペンタノール、ベンジルアルコール、及び、4-メチルベンジルアルコールからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0094】
現像液にアミド系溶剤又はエステル系溶剤とアルコール系溶剤のいずれもが含まれる場合、アミド系溶剤又はエステル系溶剤とアルコール系溶剤との配合比(重量比)としては、5:95~95:5であることが好ましく、10:90~90:10であることがより好ましい。
【0095】
上記現像液を使用して上記露光されたレジスト膜を現像する方法は、特に限定されず、公知慣用の方法を用いることができる。上記現像液を用いて現像する方法としては、例えば、露光後のレジスト膜を有する基板を、上記現像液中に一定時間浸漬する方法(ディップ法)、露光後のレジスト膜の表面に上記現像液を噴霧する方法(スプレー法)、一定速度で回転している基板上の露光後のレジスト膜の表面に向けて、吐出ノズルから上記現像液を一定速度で吐出する方法(ダイナミックディスペンス法)等が挙げられる。
【0096】
<リンス液>
上記現像液により現像した後に、リンス液によって洗浄する工程を有していてもよい。リンス液としては、特に限定されず、公知慣用のものを用いることができる。リンス液としては、上記現像液に含まれる有機溶剤のうち、レジストパターンを溶解しにくいものを適宜選択して使用することができる。
【0097】
リンス液としては、特に限定されず、例えば、炭化水素系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤、及び、エーテル系溶剤からなる群から選択される少なくとも1種の有機溶剤を使用することができる。これらの中でも、リンス液としては、炭化水素系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、及び、アミド系溶剤からなる群から選択される少なくとも1種の有機溶剤を使用することが好ましく、アルコール系溶剤及びエステル系溶剤から成る群から選択される少なくとも1種を使用することがより好ましく、アルコール系溶剤を少なくとも1種使用することがさらに好ましい。
【0098】
リンス液に用いるアルコール系溶剤としては、炭素数2~8の1価アルコールが好ましく、当該1価アルコールは直鎖状、分岐状又は環状のいずれであってもよい。上記1価アルコールの具体例としては、エタノール、イソプロピルアルコール(IPA)、ブタノール、1-ヘキサノール、1-ヘプタノール、1-オクタノール、2-ヘキサノール、2-ヘプタノール、2-オクタノール、3-ヘキサノール、3-ヘプタノール、3-オクタノール、4-オクタノール、ベンジルアルコール等が挙げられる。
これらの有機溶剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0099】
リンス液には、上記有機溶剤に加えて、さらに上記以外の有機溶剤又は水が含まれていてもよい。リンス液中に水が含まれる場合の水の含有割合としては、リンス液の全量に対して、30質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましく、5質量%以下であることがさらに好ましく、3質量%以下であることが特に好ましい。
【0100】
上記リンス液によりレジストパターンを洗浄する方法は、特に限定されず、公知慣用の方法を用いることができる。上記リンス液を用いて洗浄する方法としては、例えば、レジストパターンを上記リンス液中に一定時間浸漬する方法(ディップ法)、レジストパターンの表面に上記リンス液を噴霧する方法(スプレー法)、一定速度で回転しているレジストパターンの表面に向けて、吐出ノズルから上記リンス液を一定速度で吐出する方法(ダイナミックディスペンス法)等が挙げられる。
【0101】
<ドライエッチングによる現像>
レジスト膜に露光を行った後、又は、露光後にベーク(ポストエクスポージャーベーク(PEB))処理を行った後、ドライエッチングにより現像することでパターン形成してもよい。異方性のドライエッチングで現像することでより微細な加工が可能になる。
【0102】
ドライエッチングとしては、特に限定されず、化学エッチング、物理スパッタリング、反応性イオンエッチング(RIE)等の公知の方法を用いることができる。これらの中でも、ドライエッチングとしては、高いエッチングレートが得られる反応性イオンエッチング(RIE)を用いることが好ましい。
【0103】
反応性イオンエッチング装置としては、容量結合型プラズマ(CCP)、電子サイクロトン共鳴プラズマ(ECP)、ヘリコン波励起プラズマ(HWP)、誘導結合型プラズマ(ICP)、マイクロ波励起表面波プラズマ(SWP)等の方式のプラズマエッチング装置を用いることができる。これらの中でもプラズマエッチング装置としては、誘導結合型プラズマエッチング装置、容量結合型プラズマエッチング装置を好適に用いることができる。
【0104】
ドライエッチングは、上記露光後又は露光後PEB処理を行った後のレジスト膜を用いて、プラズマエッチング装置に備えられているチャンバー内で行うことができる。
【0105】
エッチングガスとしては、フルオロカーボン、ハイドロフルオロカーボン、フッ素系ガス、塩素系ガス、臭化物系ガス等のハロゲン含有ガスを用いることでエッチング速度を調整することができる。
フルオロカーボンとしては、例えば、CF、C、C、C等が挙げられ、またハイドロフルオロカーボンとしては、例えば、CFH、CF、CF、CH、CH、C、C、C、C等が挙げられるが、これらに限定されない。
フッ素系ガスとしては、例えば、SF、NF、F等が挙げられ、塩素系ガスとしては、例えば、Cl、CHCl、SiCl、CCl、BCl等が挙げられ、臭化物系ガスとしては、Br、HBr等が挙げられるが、これらに限定されない。
これらのハロゲン含有ガスは、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いもよい。
【0106】
またエッチングガスには、添加ガスとして、酸化性ガスや不活性ガス等が含まれていてもよい。酸化性ガスとしては、例えば、O、O、CO、CO、COCl、COF、NO、NO、SO、SO2、COS等が挙げられるが、これらに限定されない。また不活性ガスとしては、例えば、N、He、Ar、Ne、Kr、Xe等が挙げられるが、これらに限定されない。酸化性ガスを添加することでエッチング速度を調整することができ、不活性ガスを添加することでエッチングガスの取扱いの安全性を向上させることができる。
【0107】
エッチングガス中の、ハロゲン含有ガスと添加ガス(酸化性ガス及び/又は不活性ガス)の割合は、特に限定されず、0~10:0~10であってもよく、1~10:1~10であることが好ましく、1~5:1~5であることがより好ましい。
【0108】
ドライエッチングによる現像の処理条件は、使用する装置の種類、エッチングガスの種類、レジスト膜中のポリ酸塩の種類等によって、未露光部と露光部とのエッチングレートの選択比が最適になるように適宜設定することができる。
エッチングガスの流量は、3~1000sccmであることが好ましく、5~800sccmであることがより好ましい。
ドライエッチング時の温度としては、特に限定されず、例えば、-50~300℃であることが好ましく、-20~200℃であることがより好ましく、-10~100℃であることがさらに好ましい。
チャンバー内の圧力としては、特に限定されず、例えば、0.01~300Paであることが好ましく、0.05~100Paであることがより好ましく、0.1~30Paであることがさらに好ましい。
高周波(RF)電力は、50~1500Wであることが好ましく、150~1000Wであることがより好ましい。
またバイアス電力は、10~1000Wであることが好ましく、20~500Wであることがより好ましい。
【0109】
ドライエッチング時間としては、貫通孔にエッチング残りやサイドエッチングが生じない程度にオーバーエッチングする範囲に適宜設定することができる。ドライエッチング時間としては、例えば、10~90秒等とすることができる。
【0110】
ドライエッチングにおけるレジスト膜の露光部と未露光部の選択比については、下記式で表すことができる。
(選択比)=(未露光部におけるエッチング速度)/(露光部におけるエッチング速度)
未露光部又は露光部におけるエッチング速度は、t秒間のドライエッチング前後の膜厚差をΔh(nm)とした場合に、(エッチング速度(nm/min)=Δh×(60/t)として表すことができる。
上記場合の選択比としては、1.1以上であることが好ましく、1.2以上であることがより好ましく、1.5以上であることがさらに好ましい。
【0111】
[3.パターン化構造体]
本実施形態に係るパターン化構造体は、基板上に上記レジスト材料を、上記パターン形成方法を用いてパターン形成させることにより得られる。
【0112】
本実施形態に係るパターン化構造体の一部又は全部の平均厚さは、特に限定されず、使用目的等に応じて適宜設定することができる。パターン化構造体において、10~100nmの平均厚さ部分を有することが好ましく、15~75nmの平均厚さ部分を有することがより好ましく。20~60nmの平均厚さ部分を有することがさらに好ましい。
【0113】
また本実施形態に係るパターン化構造体の一部又は全部のピッチは、特に限定されず、使用目的等に応じて適宜設定することができる。パターン化構造体において、ピッチが100nm以下である部分を有することが好ましく、ピッチが50nm以下である部分を有することがより好ましく、ピッチが20nm以下である部分を有することがさらに好ましい。
本実施形態に係るレジスト材料を、上記パターン形成方法を用いてパターン形成することにより、パターン化構造体の一部又は全部にピッチが、50nmの部分、20nmの部分、15nmの部分を作製することが可能となる。
【0114】
[4.電子線用又はEUV用レジスト材料]
本実施形態に係るレジスト材料は、電子線、及び、EUVの光源に対して良好な感度を有するため、これらの露光光源に対応したレジスト材料として好適に用いることができる。
【実施例0115】
以下、実施例を示して本発明について具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0116】
[1.ポリ酸塩の合成]
<合成例:ヘキサキス(ビス(2-トリフルオロメチルフェニル)フェニルスルホニウム)メタタングステート(M-1)>
【化5】
【0117】
ビス(2-トリフルオロメチルフェニル)フェニルスルホニウムクロライド6.68gを純水99.36gに溶解させ、アンモニウムメタタングステート(日本無機化学工業株式会社製:メタタングステン酸アンモニウム水和物((NH[H1240]・xHO))6.88gを添加し、反応液を室温で30分撹拌した。反応液を濾過して得られた粉体を18時間室温で減圧乾燥させた。乾燥後の粉末をジメチルホルムアミド100gに溶解させた後、メタノール335gを添加し、室温で結晶化させて目的化合物(M-1)を取得した。
H-NMR(400MHz、DMSO-D6):δ(ppm)=5.97(s、0.33H)、7.65-8.35(m、13H).
183W-NMR(20.84MHz、DMSO-D6):δ(ppm)=-100.13(s、12W).
ESI-MS:POSITIVE m/z 399.1([C2013S]
NEGATIVE m/z 712.3(中央値)([H12404-
【0118】
[2.レジスト材料の調製]
レジスト材料として、上記で合成したM-1並びに有機溶剤1及び2を下記表1に示す含有量(単位:質量部)になるよう配合し、レジスト材料Rを調製した。
【0119】
【表1】
【0120】
[3.LSパターンの形成1]
ヘキサメチルジシラザン(HMDS)処理を施した8インチシリコン基板上に、レジスト材料Rを、スピンナーを用いて塗布し、ホットプレート上で、温度200℃で60秒間のポストアプライベーク(PAB)処理を行い、乾燥することで、膜厚50nmのレジスト膜を作製した。なお、形成されたレジスト膜の厚みは、膜厚測定装置(J.A.Woollam社製の「M-2000D」)で測定した。
【0121】
上記レジスト膜に対し、電子線描画装置F7000S-VD2(株式会社アドバンテスト製)を用い、加速電圧50kVにて、ターゲットサイズをライン幅50nmの1:1ラインアンドスペースパターン(以下「LSパターン」ともいう。)とする描画(露光)を行った。なお、露光量については表2に示す。その後、表2に示す所定の温度で60秒間の露光後加熱(ポストエクスポージャーベーク(PEB))処理を行った。
次いで、23℃にて、現像液B(DMF(10質量部)、IPA(90質量部))を用いて、60秒間の現像を行い、IPAを用いて60秒間リンスを行った。
以上より、ライン幅50nmの1:1のLSパターンが形成され、LSパターン1及び2を得た。なお、いずれもネガ型パターンである。
【0122】
<LSパターンの形状の評価>
上記LSパターン1及び2の形状を、測長SEM(走査型電子顕微鏡、加速電圧10kV、商品名:SU-5000、日立ハイテクノロジー株式会社製)により観察し、以下の基準に従って形状を評価した。その結果を表2に示す。また、LSパターン1及び2の断面及び上面のSEM画像をそれぞれ図及び2に示す。
○:SEM画像のLSパターンにすそ引きがほとんど認められず解像性が優れている
△:SEM画像の一部分においてLSパターンが解像している(隣接するラインパターンの一部に結合している部分がところどころ認められる)。
×:SEM画像の全体においてLSパターンが形成されていない(解像していない)。
【0123】
【表2】
【0124】
図1及び2から、ポリ酸塩を含有するレジスト材料を用いることで、すそ引きがほとんどないライン幅50nmのLSパターンが解像性良く得られることが分かる。
【0125】
[4.LSパターンの形成2]
塗布対象をシリコンウエハ基板とした他は、LSパターンの形成1と同様にして膜厚50nmのレジスト膜を作製した。
上記レジスト膜に対し、EUV露光機を用い、露光量を段階的に変化させてマスクを介して露光した。180℃60秒間のPEB処理を行った後、23℃にて、上記現像液Bを用いて、60秒間の現像を行い、IPAを用いて60秒間リンスを行った。以上より、ネガ型でライン幅35nmの1:1LSパターンを形成した。なお、ターゲットサイズのLSパターンが形成される最適露光量Eop(mJ/cm)を求めたところ、115mJ/cmだった。
LSパターンの形成1と同様にLSパターン形状を評価した結果、SEM画像のLSパターンにすそ引きがほとんど認められず解像性が優れていることが確認された。
【0126】
[5.ポリ酸塩の合成2]
ポリ酸塩(M-2)~(M-10)を、それぞれ以下の方法により合成した。
【0127】
<合成例2:ヘキサキス(ビス(5-t-ブチルフェニル)ヨードニウム)メタタングステート(ポリ酸塩(M-2))>
【化6】
原料化合物として、ビス(2-トリフルオロメチルフェニル)フェニルスルホニウムクロライドに代えて、ビス(4-t-ブチルフェニル)ヨードニウムトリフラートを用いたこと以外は、合成例1と同様の方法で目的化合物(M-2)を取得した。
H-NMR(400MHz,DMSO-D6):δ(ppm)=1.22(s,18H),5.97(s,0.33H),7.51(d,4H),8.19(d,4H).
183W-NMR(20.84MHz,DMSO-D6):δ(ppm)=-95.39(s,12W).
ESI-MS:POSITIVE m/z 393.1(C2026I]
NEGATIVE m/z 712.3(中央値)([H12404-
【0128】
<合成例3:ヘキサキス(トリエチルヘキシルアンモニウム)メタタングステート(ポリ酸塩(M-3))>
【化7】
原料化合物としてビス(2-トリフルオロメチルフェニル)フェニルスルホニウムクロライドに代えて、トリエチルヘキシルアンモニウムブロミドを用いたこと以外は、合成例1と同様の方法で目的化合物(M-3)を取得した。
H-NMR(400MHz,DMSO-D6):δ(ppm)=0.88(t,3H),1.17-1.21(m,9H),1.31(br,6H),1.58(br,2H),3.10-3.14(m,2H),3.26(q,6H),5.97(s,0.33H).
183W-NMR(20.84MHz,DMSO-D6):δ(ppm)=-100.13(s,12W).
ESI-MS:POSITIVE m/z 186.2([C1228N]
NEGATIVE m/z 712.3(中央値)([H12404-
【0129】
<合成例4:ビス(ビス(2-トリフルオロメチルフェニル)フェニルスルホニウム)ヘキサタングステート(ポリ酸塩(M-4))>
【化8】
原料化合物としてアンモニウムメタタングステートに代えて、ビス(テトラブチルアンモニウム)ヘキサタングステートを用いたこと以外は、合成例1と同様の方法で目的化合物(M-4)を取得した。
H-NMR(400MHz,DMSO-D6):δ(ppm)=7.65-8.35(m,13H).
183W-NMR(20.84MHz,DMSO-D6):δ(ppm)=+59.84(s,6W).
ESI-MS:POSITIVE m/z 399.1([C2013S]
NEGATIVE m/z 703.8(中央値)([W192-
【0130】
<合成例5:テトラキス(ビス(2-トリフルオロメチルフェニル)フェニルスルホニウム)ケイタングステート(ポリ酸塩(M-5)>
【化9】
原料化合物としてアンモニウムメタタングステートに代えて、ケイタングステン酸(H[SiW1240]・26HO)を用いたこと以外は、合成例1と同様の方法で目的化合物(M-5)を取得した。
H-NMR(400MHz,DMSO-D6):δ(ppm)=7.65-8.35(m,13H).
183W-NMR(20.84MHz,DMSO-D6):δ(ppm)=-92.7(s,12W).
ESI-MS:POSITIVE m/z 399.1([C2013S]
NEGATIVE m/z 718.5(中央値)([SiW12404-
【0131】
<合成例6:ヘキサキス((4-(2-((1-エチルシクロペンチル)オキシ)-2-オキソエトキシ)-3,5-ジメチルフェニル)ジフェニルスルホニウム)メタタングステート(ポリ酸塩(M-6))>
【化10】
原料化合物としてビス(2-トリフルオロメチルフェニル)フェニルスルホニウムクロライドに代えて、(4-(2-((1-エチルシクロペンチル)オキシ)-2-オキソエトキシ)-3,5-ジメチルフェニル)ジフェニルスルホニウムブロミドを用いたこと以外は、合成例1と同様の方法目的化合物(M-6)を取得した。
H-NMR(400MHz,DMSO-D6):δ(ppm)=0.77-0.81(t,3H),1.48-1.75(m,6H),1.90-1.93(m,4H),2.29(m,6H),4.55(s,2H),5.97(s,0.33H),7.59(s,2H),7.76-7.82(m,10H).
183W-NMR(20.84MHz,DMSO-D6):δ(ppm)=-100.13(s,12W).
ESI-MS:POSITIVE m/z 461.2([C2933S]
NEGATIVE m/z 712.3(中央値)([H12404-
【0132】
<合成例7:ビス((4-(2-((1-エチルシクロペンチル)オキシ)-2-オキソエトキシ)-3,5-ジメチルフェニル)ジフェニルスルホニウム)ヘキサタングステート(ポリ酸塩(M-7))>
【化11】
原料化合物としてビス(2-トリフルオロメチルフェニル)フェニルスルホニウムクロライドに代えて、(4-(2-((1-エチルシクロペンチル)オキシ)-2-オキソエトキシ)-3,5-ジメチルフェニル)ジフェニルスルホニウムブロミドを用い、アンモニウムメタタングステートに代えて、ビス(テトラブチルアンモニウム)ヘキサタングステートを用いたこと以外は、合成例1と同様の方法で目的化合物(M-7)を取得した。
H-NMR(400MHz,DMSO-D6):δ(ppm)=0.77-0.81(t,3H),1.48-1.75(m,6H),1.90-1.93(m,4H),2.29(m,6H),4.55(s,2H),7.59(s,2H),7.76-7.82(m,10H).
183W-NMR(20.84MHz,DMSO-D6):δ(ppm)=+59.84(s,6W).
ESI-MS:POSITIVE m/z 461.2([C2933S]
NEGATIVE m/z 703.8(中央値)([W192-
【0133】
<合成例8:テトラキス((4-(2-((1-エチルシクロペンチル)オキシ)-2-オキソエトキシ)-3,5-ジメチルフェニル)ジフェニルスルホニウム)ケイタングステート(ポリ酸塩(M-8))>
【化12】

原料化合物としてビス(2-トリフルオロメチルフェニル)フェニルスルホニウムクロライドに代えて、(4-(2-((1-エチルシクロペンチル)オキシ)-2-オキソエトキシ)-3,5-ジメチルフェニル)ジフェニルスルホニウムブロミドを用い、アンモニウムメタタングステートに代えて、ケイタングステン酸(H[SiW1240]・26HO)を用いたこと以外は、合成例1と同様の方法で目的化合物(M-8)を取得した。
H-NMR(400MHz,DMSO-D6):δ(ppm)=0.77-0.81(t,3H),1.48-1.75(m,6H),1.90-1.93(m,4H),2.29(m,6H),4.55(s,2H),7.59(s,2H),7.76-7.82(m,10H).
183W-NMR(20.84MHz,DMSO-D6):δ(ppm)=-92.7(s,12W).
ESI-MS:POSITIVE m/z 461.2([C2933S]
NEGATIVE m/z 718.5(中央値)([SiW12404-
【0134】
<合成例9:トリス((4-(2-((1-エチルシクロペンチル)オキシ)-2-オキソエトキシ)-3,5-ジメチルフェニル)ジフェニルスルホニウム)リンタングステート(ポリ酸塩(M-9))>
【化13】
原料化合物としてビス(2-トリフルオロメチルフェニル)フェニルスルホニウムクロライドに代えて、(4-(2-((1-エチルシクロペンチル)オキシ)-2-オキソエトキシ)-3,5-ジメチルフェニル)ジフェニルスルホニウムブロミドを用い、アンモニウムメタタングステートに代えて、リンタングステン酸(H[PW1240]・30HO)を用いたこと以外は、合成例1と同様の方法で目的化合物(M-9)を取得した。
H-NMR(400MHz,DMSO-D6):δ(ppm)=0.77-0.81(t,3H),1.48-1.75(m,6H),1.90-1.93(m,4H),2.29(m,6H),4.55(s,2H),7.59(s,2H),7.76-7.82(m,10H).
183W-NMR(20.84MHz,DMSO-D6):δ(ppm)=-86.7(s,12W).
ESI-MS:POSITIVE m/z 461.2([C2933S]
NEGATIVE m/z 959(中央値)([PW12403-
【0135】
<合成例10:ペンタキス(ビス(2-トリフルオロメチルフェニル)フェニルスルホニウム)メタタングステート(ポリ酸塩(M-10))>
【化14】
アンモニウムメタタングステート(メタタングステン酸アンモニウム水和物((NH[H1240]・xHO)16.67gに、水10gと1mol/L塩酸水溶液10gとを添加し、室温で60分撹拌した。その後、ビス(2-トリフルオロメチルフェニル)フェニルスルホニウムクロライド13.47gを純水200gに溶解させた水溶液を、上記反応液に添加し室温で30分撹拌した。反応液を濾過して得られた粉体を18時間室温で減圧乾燥した。乾燥後の粉末をジメチルホルムアミド100gに溶解させた後、メタノール335gを添加し、室温で結晶化させて目的化合物(M-10)を取得した。
H-NMR(400MHz,DMSO-D6):δ(ppm)=6.77(s,0.60H),7.65-8.35(m,13H).
183W-NMR(20.84MHz,DMSO-D6):δ(ppm)=-87.59(s,12W).
ESI-MS:POSITIVE m/z 399.1([C2013S]
NEGATIVE m/z 712.3(中央値)([H12404-
【0136】
[6.レジスト材料の調製2]
レジスト材料として、上記合成したポリ酸塩M-2~M-9、並びに、有機溶剤1及び2を下記表3に示す含有量(単位:質量部)になるよう配合し、レジスト材料R-2~R-9を調製した。なお、表3中、DMFは、N,N-ジメチルホルムアミド、ELは乳酸エチル、CHはシクロヘキサノンを意味する。
【0137】
【表3】
【0138】
[7.LSパターンの形成3]
<LSパターンの作製>
ヘキサメチルジシラザン(HMDS)処理を施した8インチシリコン基板上に、レジスト材料R-2~R-9を、スピンナーを用いて塗布し、ホットプレート上で、温度200℃で60秒間のポストアプライベーク(PAB)処理を行い、乾燥することで、膜厚50nmのレジスト膜を作製した。なお、形成されたレジスト膜の厚みは、膜厚測定装置(J.A.Woollam社製の「M-2000D」)で測定した。
【0139】
上記レジスト膜に対し、電子線描画装置F7000S-VD2(株式会社アドバンテスト製)を用い、加速電圧50kVにて、ターゲットサイズをライン幅50nmの1:1ラインアンドスペースパターン(以下「LSパターン」ともいう。)とする描画(露光)を行った。なお、露光量については表4に示す。その後、表4に示す所定の温度で60秒間の露光後加熱(ポストエクスポージャーベーク(PEB))処理を行った。
次いで、レジスト材料R-2~R-4を用いて作製された露光及びPEB処理後のレジスト膜に対して、23℃にて、現像液B(DMF(10質量部)、IPA(90質量部))を用いて、60秒間の現像を行い、IPAを用いて60秒間リンスを行った。
また、レジスト材料R-5~R-9を用いて作製された露光及びPEB処理後のレジスト膜に対して、23℃にて、2.38質量%のTMAH水溶液(商品名:NMD-3、東京応化工業株式会社製)で60秒間のアルカリ現像を行い、その後、純水を用いて15秒間の水リンスを行った。
以上より、ライン幅50nmの1:1のLSパターンが形成され、ネガ型のLSパターン(LS-2~LS-4)、及び、ポジ型のLSパターン(LS-5~LS-9)をそれぞれ得た。
【0140】
<LSパターンの形状の評価>
上記LS-2~LS-9の形状を、測長SEM(走査型電子顕微鏡、加速電圧10kV、商品名:SU-5000、日立ハイテクノロジー株式会社製)により観察し、以下の基準に従って形状を評価した。その結果を表4に示す。
○:SEM画像のLSパターンにすそ引きがほとんど認められず解像性が優れている
△:SEM画像の一部分においてLSパターンが解像している(隣接するラインパターンの一部に結合している部分がところどころ認められる)。
×:SEM画像の全体においてLSパターンが形成されていない(解像していない)。
【0141】
【表4】
【0142】
表4の結果から、ポリ酸塩を含有するレジスト材料は、ポジ型及びネガ型のパターン形成が可能であることが分かる。またポリ酸塩のカチオン部とアニオン部の組み合わせ、PEB温度、露光量等を適宜選択することにより、すそ引きがわずかに認められるか、あるいは、ほとんど認められない解像性に優れたLSパターンを形成できることが分かる。
【0143】
[8.ドライエッチングによるレジストパターンの形成]
レジスト材料として、ポリ酸塩、及び、有機溶剤1~3を下記表5に示す含有量(単位:質量部)になるよう配合し、レジスト材料R’-1及びR’-2を調製した。なお、表5中、HBNは4-ヒドロキシ-2-ブタノン、DAAはジアセチルアセトン、CPはシクロペンタノン、をそれぞれ意味する。
【0144】
【表5】
【0145】
シリコンウエハ上に、レジスト材料R’-1とR’-2を、それぞれACT8(東京エレクトロン株式会社製)を用いてスピンコート法により塗布し、ホットプレート上で、表6に示す所定の温度(PAB)で60秒間プレベーク(Prebake)処理を行い、乾燥することにより、膜厚40nmのレジスト膜を形成した。
【0146】
次いで、上記レジスト膜に対し、KrF露光機NSR-S203B(ニコン社製)を用いて選択的な露光を行った。
その後、表6に示す所定の温度で60秒間の露光後加熱(PEB)処理を行った。
【0147】
上記露光後加熱処理を行ったレジスト膜を、表6に示す各種条件下でドライエッチングにより現像し、レジストパターン(パターン1-1~パターン12-1)を形成した。ドライエッチングによる現像には、プラズマエッチング装置(誘導結合型プラズマ(ICP))を用いた。
【0148】
上記ドライエッチングによる現像は、トータルのガス流量が100sccmになるように表6に示すCF、C、Oの比率に調整するか、又は、トータルのガス流量が50sccmになるように表6に示すCl、Oの比率に調整するかし、高周波(RF)電力100W、バイアス(Bias)電力25W、ステージ温度0℃、処理圧力2.4Paの条件下で行った。
【0149】
ドライエッチングによる現像は、予め、以下の手順に従って決定した現像時間にて行った。
手順(1):ドライエッチング前の、上記露光後加熱処理を行ったレジスト膜の厚さを計測した。
手順(2):上記レジスト膜に対して、上記条件下でドライエッチングによる現像を40秒間行った。
手順(3):エッチングによる現像後のレジスト残膜の厚さを計測し、レジスト膜の露光部と未露光部におけるエッチング速度の選択比を以下の式に従って算出した。
その結果を表6に示す。
A:未露光部におけるエッチング速度(=未露光部のドライエッチングによる現像前と後の膜厚の差(nm)/40(sec)×60(sec))
B:露光部におけるエッチング速度(=露光部のドライエッチングによる現像前と後の膜厚の差(nm)/40(sec)×60(sec))
C:未露光部と露光部のエッチング速度における選択比(=A/B)
【0150】
<ドライエッチング等の各種条件と選択比の評価>
【表6】
【0151】
表6から、エッチングガスに含まれるハロゲン含有ガス、酸化性ガス等の比率を調整することで、未露光部をより選択的にエッチングできることが分かる(例えば、パターン1-1~4-5等)。また、PAB及びPEBの温度、露光量等を調整することによっても未露光部と露光部のエッチング速度の選択比を向上させられることが分かる(例えば、パターン9-1~12-1等)。また一般的にチャンバー内の圧力、温度、及び、反応生成物の蒸気圧等により反応生成物の離脱過程を制御できることが知られており、これらを調整することで、ポリ酸塩を含有するレジスト膜において、未露光部と露光部とをさらに選択的にエッチングすることができる。
図1
図2