(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024169296
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】処理装置、色管理方法、プログラム、画像形成装置及び画像形成システム
(51)【国際特許分類】
H04N 1/60 20060101AFI20241128BHJP
B41J 2/525 20060101ALI20241128BHJP
H04N 1/407 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
H04N1/60
B41J2/525
H04N1/407 780
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024012095
(22)【出願日】2024-01-30
(31)【優先権主張番号】P 2023085519
(32)【優先日】2023-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】松島 由紀
【テーマコード(参考)】
5C077
【Fターム(参考)】
5C077LL19
5C077MM27
5C077MP08
5C077PP15
5C077PP33
5C077PQ08
5C077PQ23
5C077SS04
5C077SS05
5C077SS06
5C077TT02
(57)【要約】
【課題】キャリブレーションの品質及び利便性を両立させること。
【解決手段】デバイス非依存色空間上の値を混色の第1色再現目標とするグレー第1調整手段と、第1色再現目標を実現した印刷環境でキャリブレーションターゲットである混色の第2色再現目標値を取得する第2色再現目標値取得手段と、キャリブレーション更新時、印刷環境で適用する補正パラメータを調整して第2色再現目標値との色の差を補正するグレー第2調整手段と、を有する処理装置である。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
デバイス非依存色空間上の値を混色の第1色再現目標とするグレー第1調整手段と、
前記第1色再現目標を実現した印刷環境でキャリブレーションターゲットである混色の第2色再現目標値を取得する第2色再現目標値取得手段と、
キャリブレーション更新時、前記印刷環境で適用する補正パラメータを調整して前記第2色再現目標値との色の差を補正するグレー第2調整手段と、
を有する処理装置。
【請求項2】
前記第2色再現目標値取得手段は、前記第1色再現目標による新規キャリブレーションの実施直後の前記印刷環境で、前記第2色再現目標値を取得すること
を特徴とする請求項1記載の処理装置。
【請求項3】
前記第2色再現目標値取得手段及び前記グレー第2調整手段における印刷パッチのデバイス値は、前記グレー第1調整手段における印刷パッチのデバイス値と異なること
を特徴とする請求項1又は2記載の処理装置。
【請求項4】
前記第1色再現目標を実現する印刷環境は、G7キャリブレーションに基づいていること
を特徴とする請求項1又は2記載の処理装置。
【請求項5】
処理装置が、
デバイス非依存色空間上の値を混色の第1色再現目標とするステップと、
前記第1色再現目標を実現する印刷環境でキャリブレーションターゲットである混色の第2色再現目標値を取得するステップと、
キャリブレーション更新時、画像形成装置で適用する補正パラメータを調整して前記第2色再現目標値との色の差を補正するステップと、
を有する色管理方法。
【請求項6】
処理装置を、
デバイス非依存色空間上の値を混色の第1色再現目標とするグレー第1調整手段、
前記第1色再現目標を実現した印刷環境でキャリブレーションターゲットである混色の第2色再現目標値を取得する第2色再現目標値取得手段、
キャリブレーション更新時、前記印刷環境で適用する補正パラメータを調整して前記第2色再現目標値との色の差を補正するグレー第2調整手段、
として機能させるためのプログラム。
【請求項7】
印刷を行う画像形成装置であって、
デバイス非依存色空間上の値を混色の第1色再現目標とするグレー第1調整手段と、
前記第1色再現目標を実現した印刷環境でキャリブレーションターゲットである混色の第2色再現目標値を取得する第2色再現目標値取得手段と、
キャリブレーション更新時、前記印刷環境に適用する補正パラメータを調整して前記第2色再現目標値との色の差を補正するグレー第2調整手段と、
を有する画像形成装置。
【請求項8】
印刷を行う画像形成システムであって、
デバイス非依存色空間上の値を混色の第1色再現目標とするグレー第1調整手段と、
前記第1色再現目標を実現した印刷環境でキャリブレーションターゲットである混色の第2色再現目標値を取得する第2色再現目標値取得手段と、
キャリブレーション更新時、前記印刷環境に適用する補正パラメータを調整して前記第2色再現目標値との色の差を補正するグレー第2調整手段と、
を有する画像形成システム。
【請求項9】
ユーザインタフェースを表示し、ユーザからの操作を受け付ける操作手段、を更に有し、
前記操作手段は、新規キャリブレーション時、前記キャリブレーションターゲットである混色の第2色再現目標値の設定を前記ユーザから受け付け、前記キャリブレーション更新時、前記印刷環境に適用する補正パラメータを調整して前記第2色再現目標値との色の差を補正する設定を前記ユーザから受け付ける
請求項8記載の画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理装置、色管理方法、プログラム、画像形成装置、及び画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
IDEAlliance(International Digital Enterprise Alliance)が提唱するG7は、グレーバランスが正しければ、色調の品質又は再現性は格段に向上する、との考えに基づき、グレーを管理することで全体的な色再現性をあげる方法である。グレー調整はCMYのTRC(Tone Reproduction Curve)で行う。また、Ideallanceが提唱するG7は、目標値又は作業に一貫性があるので、顧客と印刷会社間での品質に対する認識違いを起こしにくい。
【0003】
例えば特許文献1には、複数のグレーキャリブレーション方法を実行可能な画像形成装置により出力される印刷データの印刷設定を行う印刷設定装置、及び当該印刷設定装置のプログラムが開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
G7グレーキャリブレーションは、グレーバランスを使ったキャリブレーション方法である。例えば業界標準としてのG7グレーキャリブレーションは、混色がターゲットの混色管理であるため、調整方式が複雑で煩雑な作業を伴い、利便性が低い。一方で、混色がターゲットでありながら、単色管理を行うキャリブレーション方法を採用すると、品質が低下する。
【0005】
本発明の一実施形態は、キャリブレーションの品質及び利便性を両立させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態は、デバイス非依存色空間上の値を混色の第1色再現目標とするグレー第1調整手段と、前記第1色再現目標を実現した印刷環境でキャリブレーションターゲットである混色の第2色再現目標値を取得する第2色再現目標値取得手段と、キャリブレーション更新時、前記印刷環境で適用する補正パラメータを調整して前記第2色再現目標値との色の差を補正するグレー第2調整手段と、を有する処理装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一実施形態によれば、キャリブレーションの品質及び利便性を両立させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施形態に係る画像形成システムの一例のシステム構成図である。
【
図2】画像形成装置の一例のハードウェア構成図である。
【
図3】コンピュータの一例のハードウェア構成図である。
【
図4】本実施形態に係るコントローラの一例の機能構成図である。
【
図5】本実施形態に係る画像形成装置の一例の機能構成図である。
【
図6】本実施形態に係る処理装置の一例の機能構成図である。
【
図8】GrayFindefチャートの一例のイメージ図である。
【
図9】グレー第2調整用のグレーチャートの一例のイメージ図である。
【
図10】グレー第2調整用のグレーチャートの一例のイメージ図である。
【
図11】本実施形態に係る画像形成システムの処理手順の一例のフローチャート図である。
【
図12】新規キャリブレーション時における画像形成システムの処理手順の詳細の一例のフローチャート図である。
【
図13】キャリブレーション更新時における画像形成システムの処理手順の詳細の一例のフローチャート図である。
【
図14】本実施形態に係るUIの一例を説明する図である。
【
図15】本実施形態に係るUIの一例を説明する図である。
【
図16】本実施形態に係るUIの一例を説明する図である。
【
図17】本実施形態に係るUIの一例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の各実施形態について、添付の図面を参照しながら説明する。本実施形態は、混色グレーのキャリブレーションを行って色の管理を行う処理装置、色管理方法、プログラム、画像形成装置、及び画像形成システムに関するものである。
【0010】
<概要>
カラーマネージメントの市場では、デバイス値と測色値からなる多数のデータセットが業界標準色として配布されている。業界標準色の例として、ISOの国際標準に準拠するJapanColor2011、Fogra39、又はGRACol等がある。また、市場では業界標準色に基づいて作成されたプロファイルも出回っている。
【0011】
近年、市場ではグレーの色再現が重要視されているため、それぞれの業界標準色に適したグレーキャリブレーション方法が提示されるようになった。IDEAllianceにより、GRACol(General Requirements for Applications in Commercial Offset Lithography)に適したグレーキャリブレーション方法として、G7グレーキャリブレーションが提示されたのは、その一例である。その他にも、プリンタメーカにより独自に開発されたグレーキャリブレーション方法が多数存在する。
【0012】
これらのグレーキャリブレーションは、それぞれ独自の考え方に基づいて補正方法が決められている。このため、異なるグレーキャリブレーションでは、異なる補正方法が採用されている。
【0013】
このように、業界標準色に応じてグレーキャリブレーション方法は多数存在する。オペレータや印刷機は、それぞれのグレーキャリブレーション方法に対応しなければならないため、実装負担が大きかった。
【0014】
また、G7キャリブレーションはデバイス非依存色空間上の値であるグレーの絶対値をターゲットに設定する。これは、印刷会社と受注者のトラブルを回避したり、遠隔地で印刷しても同一の色再現を保証したりするためである。しかし、G7キャリブレーションは調整手順が煩雑でオペレータの負担が大きい。
【0015】
G7キャリブレーションは、特開2016‐100637に記載があるように、CMYKそれぞれの単色を補正する補正カーブを生成する技術である。G7キャリブレーションは、以下の(1)~(3)の工程を実行する。
(1)濃度値に基づいてCMYK単色階調性を補正する補正カーブを生成した後、CMYのトナーで形成されるグレー(以下、CMY混色グレー)についてシアンの信号値(使用するトナー量)を固定する。
(2)マゼンタの信号値とイエローの信号値をプラス側の値およびマイナス側の値に変化させて連続的な信号値を有する複数のパッチで構成されるグレー判定パッチ301を測色する。
(3)この中から、グレー判定パッチ301を構成する複数のパッチのうち、色度値において最もグレーに近いパッチにおいて設定されている、マゼンタの濃度値とイエローの濃度値である調整値を判別する。
【0016】
G7キャリブレーションは、グレー判定パッチ301を、低濃度域から高濃度域(CMY信号の合計値が300%)までの複数の濃度域において印刷する。印刷したチャートを測色し、グレーに補正するためのマゼンタ及びイエローの調整値を判別することで、CMYKそれぞれの補正カーブを生成する。生成された補正カーブを画像形成装置から出力されるCMYKの濃度値に反映させることで、より視覚的に中立なグレーを色再現することが可能となるという非常に煩雑な手順が必要である。
【0017】
このため、グレーターゲット設定時の単色特性(階調vs濃度曲線)を実際のターゲットとして保存しておき、キャリブレーション更新時にターゲットを再現する調整を行う運用をするプリンタメーカもある。しかし、このような単色ベースの管理運用では、混色特性の変化に対応できない。一方で、キャリブレーション更新時にG7キャリブレーション工程を最初から行うことはオペレータの負担が大きい。
【0018】
そこで、本実施形態では、キャリブレーション更新時に業界標準色を再現する技術において、業界標準色であるG7のグレーターゲットを再現することと、混色特性の変化に対応することと、キャリブレーション更新時のオペレータの作業を業界標準に関わらず統一し、負荷を低減することを、実現する。
【0019】
本実施形態では、新規キャリブレーション時に業界標準色のグレーが再現できる状態の印刷環境を得る。本実施形態では、その印刷環境でキャリブレーションターゲットを取得する。キャリブレーションターゲットは、混色グレーである。本実施形態では、キャリブレーション更新時もグレーパッチを測色し、一致するように調整する。つまり、本実施形態では、キャリブレーション更新時も混色管理を行う。キャリブレーション更新時は、新規キャリブレーション時に取得していたキャリブレーションターゲット(混色グレー)を使用してTRCへ適用することで、混色管理を行う。新規キャリブレーション時に業界標準色のグレーが再現できる状態の印刷環境でキャリブレーションターゲットのチャートを印刷し、そのチャートをキャリブレーション更新時に用いることで、本実施形態では、オペレータの負担が大きいG7キャリブレーションでなく、オペレータの負担が少ない他の方法でキャリブレーション更新を行うことができる。
【0020】
本実施形態では、キャリブレーション更新時に、キャリブレーションターゲットからの相対的な色の差(色ずれ)を補正する。これにより、本実施形態ではキャリブレーション更新時の作業を統一できる。なお、本実施形態では、新規キャリブレーション時にグレーチャートを印刷測色し、キャリブレーションターゲットに設定する。また、本実施形態では、キャリブレーション更新時にキャリブレーションターゲットを再現するための混色色合わせを実施する。
【0021】
このように、本実施形態は、調整結果を単色TRC(Tone Reproduction Curve;連続階調の原稿を網点階調にする場合、各単色は、網点面積率をX軸、原稿濃度をY軸とした単色特性曲線を有している。TRCとは、上記単色特性曲線を補正するために、入力網点面積率を、それとは異なる出力網点面積率に割り当てるカーブのことで、
図18のグラフにその一例を示す。)に適用してグレーを管理し、その結果、全体的な色再現性をあげるという、G7キャリブレーションのポリシーを踏襲するものである。
【0022】
[第一の実施形態]
本実施形態では、新規キャリブレーション時、測色器を用いてG7キャリブレーションを行い、G7キャリブレーションの実施直後の状況下(印刷環境)でキャリブレーション更新時のキャリブレーションターゲットを取得する。キャリブレーション更新時は、G7キャリブレーションの実施直後の印刷環境で取得したキャリブレーションターゲットとの色の差(色ずれ)を補正する。また、本実施形態ではオペレータなどのユーザが諸々の指示を行う例を説明する。
【0023】
<システム構成>
図1は、本実施形態に係る画像形成システム1の一例のシステム構成図である。本実施形態に係る画像形成システム1は、コントローラ10、操作装置12、処理装置14、画像形成装置16、及び測色器18を有する。画像形成システム1のコントローラ10、操作装置12、処理装置14、画像形成装置16、及び測色器18は、ネットワーク20を介して互いに接続されている。コントローラ10、操作装置12、処理装置14、画像形成装置16、及び測色器18の少なくとも一部は、制御バスを介して互いに接続されてもよい。
【0024】
操作装置12は、ユーザインタフェースを表示し、ユーザからの操作を受け付ける。操作装置12は、例えばキーボード又はマウスなどの入力装置、ディスプレイなどの表示装置を有する。例えばユーザは操作装置12を介してキャリブレーションの新規又は更新の選択を行ったり、測色器18を動作させたりする。
【0025】
測色器18は、後述のグレー第1調整部及びグレー第2調整部がグレー調整に使用するチャート、又はキャリブレーションターゲット取得用チャートを構成する複数パッチを測色し、測色データを処理装置14に送信する。
【0026】
コントローラ10は、ユーザが操作装置12を介して選択したキャリブレーションが新規か更新かのいずれの種別であるかの情報に基づき、キャリブレーションを識別するためのキャリブレーションIDを獲得する。また、コントローラ10は、操作装置12からグレー調整を実施する指示を受信する。また、コントローラ10は、必要な印刷ジョブを取得し、画像形成装置16へ印刷ジョブを送信すると共に印刷指示を行う。さらに、コントローラ10はキャリブレーションIDを処理装置14に送信する。
【0027】
画像形成装置16は、処理装置14からTRC補正パラメータを受け付け、TRCに適用する。また、画像形成装置16は、コントローラ10から印刷指示を受け、印刷ジョブを印刷する。
【0028】
処理装置14は、グレー調整に必要なデータとして、複数パッチを測色した測色器18から測色データを受信する。また、処理装置14は、コントローラ10からキャリブレーションIDを受信し、キャリブレーションIDに記載されている情報をもとに、グレー調整を実施する。最終的に、処理装置14はグレー調整の結果であるTRC補正パラメータを算出し、画像形成装置16へ送信する。
【0029】
<ハードウェア構成>
図2は画像形成装置16の一例のハードウェア構成図である。
図2に示す画像形成装置16は、CPU(Central Processing Unit)101、RAM(Random Access Memory)102、ROM(Read Only Memory)103、ネットワークI/F104、パネルI/F105、スキャナI/F112、エンジンI/F113、外部I/F114、操作パネル121、スキャナエンジン122、プロッタエンジン123、及びストレージ124を有する構成であり、それぞれが相互に接続されている。
【0030】
CPU101は、画像形成装置16の全体制御を行う。ROM103は、画像形成装置16が起動されるときに実行されるプログラム又は各種データを格納する。RAM102は、ROM103から読み出した各種プログラム、又は印刷データなどのデータを一時保持する。なお、RAM102に一時保持されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0031】
パネルI/F111は、操作パネル121のインタフェースである。操作パネル121は、ユーザへのメッセージ等を表示する表示機能と、ユーザからの操作を受け付ける入力機能と、を有する。
【0032】
スキャナI/F112は、スキャナエンジン122のインタフェースである。スキャナエンジン122は、原稿からデータ(画像データ)を読み取る。スキャナエンジン122が原稿から読み取った画像データは、スキャナI/F112を介してRAM102に書き込まれる。
【0033】
エンジンI/F113は、プロッタエンジン123のインタフェースである。プロッタエンジン123は、印刷するデータ(印刷データ)をエンジンI/F113を介して受信する。プロッタエンジン123は、エンジンI/F113を介して受信した印刷データを用紙に印刷する。
【0034】
外部I/F114は、ストレージ124のインタフェースである。ネットワークI/F104は、ネットワーク20を介して通信を行うためのインタフェースである。なお、
図2の構成の少なくとも一部は、
図1のコントローラ10、操作装置12、又は処理装置14として利用してもよい。
【0035】
処理装置14は、例えば
図3のコンピュータ500によって構築される。
図3は、コンピュータ500の一例のハードウェア構成図である。
【0036】
コンピュータ500は、CPU501、ROM502、RAM503、HD504、HDD(Hard Disk Drive)コントローラ505、ディスプレイ506、外部機器接続I/F508、ネットワークI/F509、バスライン510、キーボード511、ポインティングデバイス512、DVD-RW(DVD Rewritable)ドライブ514、及びメディアI/F516を有する。
【0037】
CPU501は、コンピュータ500全体の動作を制御する。ROM502は、IPL等のCPU501の駆動に用いられるプログラムを記憶する。RAM503は、CPU501のワークエリアとして使用される。HD504は、プログラム等の各種データを記憶する。HDDコントローラ505は、CPU501の制御にしたがってHD504に対する各種データの読み出し又は書き込みを制御する。
【0038】
ディスプレイ506は、カーソル、メニュー、ウィンドウ、文字、又は画像などの各種情報を表示する表示装置の一例である。外部機器接続I/F508は、各種の外部機器を接続するためのインタフェースである。外部機器は、USB(Universal Serial Bus)メモリ等である。
【0039】
ネットワークI/F509は、ネットワーク20を利用してデータ通信を行うためのインタフェースである。コンピュータ500は、バスライン510を更に備えている。バスライン510は、
図3に示されているCPU501等の各構成要素を電気的に接続するためのアドレスバスやデータバス等である。
【0040】
キーボード511は、文字、数値、各種指示などの入力のための複数のキーを備えた入力装置の一例である。ポインティングデバイス512は、各種指示の選択や実行、処理対象の選択、カーソルの移動などを行う入力装置の一例である。
【0041】
DVD-RWドライブ514は、着脱可能な記録媒体の一例としてのDVD-RW513に対する各種データの読み出し又は書き込みを制御する。なお、DVD-RWは、DVD-R等の光記憶媒体であってもよい。メディアI/F516は、フラッシュメモリ等の記録メディア515に対するデータの読み出し又は書き込みを制御する。
【0042】
<機能構成>
《コントローラ10の機能構成》
図4は、本実施形態に係るコントローラ10の一例の機能構成図である。コントローラ10は、受信部30、送信部32、キャリブレーションID管理部34、及び格納部36を有する。なお、
図4の機能構成は、本実施形態の説明に不要な構成についての図示を省略している。
【0043】
受信部30は、操作装置12から送信されるキャリブレーション名前などの種別情報を受信する。送信部32は、画像形成装置16に印刷ジョブを送信したり、処理装置14又は画像形成装置16にキャリブレーションIDを送信したりする。キャリブレーションID管理部34は、受信部30が受信した情報をもとに、新たなキャリブレーションIDを作成したり、印刷ジョブに紐づけてID管理を行ったりする。格納部36は、G7キャリブレーションに必要なP2Pチャート画像、GrayFindef画像、第2色再現目標値取得用画像、及びグレー第2調整用のグレーチャートを格納する。
【0044】
キャリブレーションID管理部34は、キャリブレーションIDファイルに記載されたキャリブレーション情報を用いて、キャリブレーションに関する情報を管理する。キャリブレーション情報には、印刷用紙、坪量、ハーフトーン、キャリブレーションの種類(単色/混色グレー)、キャリブレーションターゲットファイル名、測色対象の印刷ジョブ、最終実施時間、などが記載されている。
【0045】
《画像形成装置16の機能構成》
図5は、本実施形態に係る画像形成装置16の一例の機能構成図である。画像形成装置16は、受信部40及びTRC補正適用部42を有する。なお、
図5の機能構成は、本実施形態の説明に不要な構成についての図示を省略している。
【0046】
受信部40は、コントローラ10からキャリブレーションID及び印刷ジョブを受信する。受信部40は、処理装置14からキャリブレーションID及びTRC補正パラメータを受信する。TRC補正適用部42は、キャリブレーションIDが対応する印刷ジョブにTRC補正を適用する。画像形成装置16は、TRC補正を適用してジョブを印刷する。
【0047】
《処理装置14の機能構成》
図6は本実施形態に係る処理装置14の一例の機能構成図である。処理装置14は、受信部50、第2色再現目標値取得部52、格納部54、グレー第1調整部56、グレー第2調整部58、及び送信部60を有する。なお、
図6の機能構成は、本実施形態の説明に不要な構成についての図示を省略している。
【0048】
受信部50は、コントローラ10からキャリブレーションIDを受信する。また、受信部50は測色器18から測色データを受信する。第2色再現目標値取得部52は、受信部50が受信する測色データをもとにグレーのキャリブレーションターゲットを作成し、格納部54へ格納する。
【0049】
グレー第1調整部56は、いわゆるG7キャリブレーション用のTRC補正パラメータを算出し、送信部60へ渡す。グレー第2調整部58は、グレー第2調整用のTRC補正パラメータを算出し、送信部60へ渡す。送信部60は、画像形成装置16にTRC補正パラメータを送信する。
【0050】
グレー第1調整部56について更に説明する。なお、G7に関する詳細については、例えば(https://connect.idealliance.org/g7/about/whatisg7)に記載されている。受信部50は、例えば
図7に示したP2Pチャートの測色データを測色器18から受信する。P2Pチャートは、G7から出されたチャートの名前である。
【0051】
グレー第1調整部56は、受信したP2Pチャートの測色データをもとに、K単色及び3C-Grayスケール部分の(Black or Visual)濃度を測色する。グレー第1調整部56は、FanGraphにプロットし、測色濃度に対するNPDC(Neutral print density curve)を決定する。次に、グレー第1調整部56は、補正前C及びKに対し、NPDCを満たす出力値(new_aim_C, new_aim_K)を決定する。
【0052】
次に、グレー第1調整部56は、式(1)に従って3Cグレー目標値を決定する。
式(1)
Gray factor = (100 - C%) / 100;
Wanted a* = a*_paper * Gray factor;
Wanted b* = b*_paper * Gray factor;
次に、グレー第1調整部56は、受信部50が測色器18から受信した例えば
図8にしめしたGrayFindefチャートの測色データをもとに、補正前MYに対する、補正後MYの組み合わせ(new_aim_M, new_aim_Y)を探索し、決定する。最後に、グレー第1調整部56は、式(2)に従って、補正後CMY(corrected aim_C, corrected aim_M, corrected aim_Y)を算出する。
式(2)
ND_correction = (new_aim_C - new_aim_M) / 2;
corrected aim_C = new aim_C + ND_correction;
corrected aim_M = new aim_M + ND_correction;
corrected aim_Y = new aim_Y + ND_correction;
グレー第1調整部56は、補正前CMYKに対する補正後CMYK(corrected aim_C, corrected aim_M, corrected aim_Y, new_aim_K)をG7キャリブレーション用のTRC補正パラメータとして算出する。
【0053】
第2色再現目標値取得部52について更に説明する。受信部50は、グレー第2調整用のグレーチャート(キャリブレーションターゲット取得用チャート)の測色データを測色器18から受信する。第2色再現目標値取得部52は、受信部50が受信したグレー第2調整用のグレーチャートの測色データをもとに、例えば10%おき20階調分のLab値を取得する。画像形成装置16の特性として、書き込み面内ムラがある場合は、同階調のパッチを複数配置してもよい。
【0054】
図9は、グレー第2調整用のグレーチャートの一例のイメージ図である。
図9のグレー第2調整用のグレーチャートは、C=M=Y=5から80%、計16個のパッチを繰り返し数「4」で配置した例である。第2色再現目標値取得部52は、同じパッチ4個の測色平均値を取得し、ターゲットLab値として格納部54に格納する。
【0055】
グレー第2調整部58について更に説明する。グレー第2調整部58は、混色グレーがキャリブレーションターゲットであり、キャリブレーションターゲットに対し、相対的に混色色合わせを行う方式を利用するものであれば良く、例えば特開2021-150803号公報に記載された方式を利用できる。グレー第2調整用のグレーチャートのパッチ構成は、グレー第1調整部56と同一である必要はない。例えば、グレー第1調整部56が使用する
図7のP2Pチャート又は
図8のGrayFinderチャートと、グレー第2調整部58が使用するグレー第2調整用のグレーチャートとは、例えば特開2021-150803号公報に記載されたグレーチャートのように別であってもよい。
図10は、グレー第2調整用のグレーチャートの一例のイメージ図である。
【0056】
<処理>
図11は、本実施形態に係る画像形成システム1の処理手順の一例のフローチャート図である。なお、以下では処理装置14のグレー第1調整部56が業界標準色に対応するG7キャリブレーションを実施する例を説明する。第1色再現目標とは、G7で定義される式(1)のグレーターゲットである。
【0057】
ステップS10において、ユーザは操作装置12を操作し、新規キャリブレーション作成か、キャリブレーション更新かの選択を行う。ユーザは、新規キャリブレーションを選択した場合、ステップS20に進み、G7キャリブレーションを実施するか否かの選択を行う。
【0058】
ユーザがG7キャリブレーションの実施を選択しなかった場合、画像形成システム1はステップS21において、通常の単色キャリブレーションを実施したあと、新規キャリブレーションのプロセスを終了する。ユーザがG7キャリブレーションの実施を選択した場合、画像形成システム1はステップS22において、G7キャリブレーションを実施したあと、ステップS23に進む。処理装置14はキャリブレーションターゲットである第2色再現目標値を取得し、新規キャリブレーションのプロセスを終了する。
【0059】
一方で、ユーザがキャリブレーション更新を選択した場合、ステップS30に進み、画像形成システム1は新規キャリブレーション時にG7キャリブレーションが実施されたか否かを判定する。
【0060】
G7キャリブレーションを実施していた場合、処理装置14はステップS31においてグレー第2調整用のキャリブレーションを実施したあと、キャリブレーション更新のプロセスを終了する。一方、G7キャリブレーションを実施していなかった場合、処理装置14はステップS32において、通常の単色キャリブレーションを実施したあと、キャリブレーション更新のプロセスを終了する。
【0061】
図12は、新規キャリブレーション時における画像形成システム1の処理手順の詳細の一例のフローチャート図である。
図12は、
図11の新規キャリブレーション時においてG7キャリブレーションを実施するステップS20でYESと判定する場合の処理を表している。
【0062】
ステップS10において新規キャリブレーションが選択されると、コントローラ10はステップS101においてキャリブレーションIDを新規に作成する。ステップS102において、コントローラ10は、印刷用紙、坪量、ハーフトーン、キャリブレーションの種類(混色)、又はキャリブレーション実行時間などのキャリブレーション情報をキャリブレーションIDに紐づける。ステップS103において、コントローラ10はG7キャリブレーション用の印刷ジョブを作成し、画像形成装置16に送信する。
【0063】
ステップS104において、画像形成装置16はコントローラ10からの印刷ジョブを受け取り、印刷を実施する。ステップS105において、オペレータであるユーザは印刷チャートの測色を手動で実施する。測色器18は測色データを処理装置14に送信する。
【0064】
また、ステップS106において、コントローラ10はG7キャリブレーション用の印刷ジョブに対応するキャリブレーションIDも処理装置14に送信する。ステップS107において、処理装置14は受信した測色データをもとに、G7キャリブレーション用のTRC補正パラメータを生成し、キャリブレーションIDとともに画像形成装置16に送信する。ステップS108において、画像形成装置16は受信したキャリブレーションIDに対応するTRC補正パラメータをTRCへ適用する。ステップS108までの処理により、G7キャリブレーションが終了する。
【0065】
ステップS109において、コントローラ10はキャリブレーションターゲット取得用チャートの画像を含む印刷ジョブを作成し、画像形成装置16に送信する。ステップS110において、画像形成装置16はコントローラ10からの印刷ジョブを受け取り、印刷を実施する。
【0066】
ステップS111において、ユーザは印刷チャートの測色を手動で実施する。測色器18は測色データを処理装置14に送信する。ステップS112において、処理装置14は受信した測色データをもとに、第2色再現目標値を取得し、格納部54に第2色再現目標値を格納する。また、ステップS113において、コントローラ10は、第2色再現目標値をキャリブレーションIDに紐づけて管理する。
【0067】
図13は、キャリブレーション更新時における画像形成システム1の処理手順の詳細の一例のフローチャート図である。
図13は、
図11の新規キャリブレーション時においてG7キャリブレーションを実施した場合の処理を表している。
【0068】
ステップS301において、コントローラ10は対応するキャリブレーションIDを処理装置14へ送信する。ステップS302において、コントローラ10はグレー第2調整用のチャートの画像を含む印刷ジョブを作成し、画像形成装置16に送信する。画像形成装置16はコントローラ10からの印刷ジョブを受け取り、印刷を実施する。
【0069】
ステップS304において、ユーザは印刷チャートの測色を手動で実施する。測色器18は測色データを処理装置14に送信する。ステップS305において、処理装置14はコントローラ10から受信したキャリブレーションIDに紐づく第2色再現目標値を取得する。
【0070】
ステップS306において、処理装置14は受信した測色データと第2色再現目標値をもとに、TRC補正パラメータを生成し、画像形成装置16に送信する。ステップS307において、画像形成装置16は受信したTRC補正パラメータをTRCへ適用する。ステップS308において、コントローラ10は、キャリブレーション実行時間を更新し、キャリブレーションIDに紐づける。
【0071】
なお、上記の説明は一例である。例えば画像形成システム1は、測色に自動測色のインライン測色器を用いる構成でも良いし、インラインスキャナとスキャナ校正関数を組み合わせるなどの構成でも良い。また、G7キャリブレーションは一例であって、G7キャリブレーションに限定するものではない。
【0072】
[第二の実施形態]
本実施形態では、ユーザがユーザインタフェース(UI)上でキャリブレーションの選択を行い、新規キャリブレーション時に第2色再現目標値をグレーターゲットに設定する例を示す。
【0073】
図14~
図17は、本実施形態に係るUIの一例を説明する図である。
図14は、
図11のステップS10において表示される画面に対応する。ユーザは
図14の画面において新規キャリブレーション作成か、キャリブレーション更新かの選択を行う。
【0074】
ユーザが新規キャリブレーション作成を選択した場合は、
図15(A)の画面に遷移する。また、ユーザがキャリブレーション更新を選択した場合は、
図17(A)の画面に遷移する。
【0075】
図15及び
図16は、新規キャリブレーション作成時のUIであり、
図11のステップS22~S23のUIの一例を示している。
図15(A)は、キャリブレーションを新規作成する場合に、ユーザがキャリブレーションの名前を入力し、グレー調整を実施するか否かをチェックボックスで選択する画面例である。
【0076】
図15(B)は、ユーザがグレー調整の種類を選択する画面例である。第1の実施形態ではG7キャリブレーションの例を説明したが、他のグレー調整方式も選択できる場合に
図15(B)に示す画面例となる。
図15(B)はG7キャリブレーションが選択された例である。
【0077】
図15(C)は、ユーザが測色器18を選択する画面例である。測色器18が決まると印刷するチャートも決まるため、
図15(D)は、チャートを印刷する旨をユーザに示す画面例である。
図15(D)は、G7キャリブレーション用チャートを印刷する旨を示す画面例である。
【0078】
図16(A)は、印刷されたチャートの測色をユーザに指示する画面例である。ユーザは指示に従い手動で測色を実施する。測色終了後、処理装置14はTRC補正パラメータを作成する。
図16(B)は、作成したTRC補正パラメータを適用する旨を表示する画面例である。
【0079】
図16(B)の画面においてユーザが承諾(Apply)を選択すると、
図16(C)の画面に遷移する。
図16(C)は、第2色再現目標取得用のチャートを印刷する旨を表示する画面例である。この後、
図16(A)の画面に遷移し、印刷された第2色再現目標取得用のチャートの測色をユーザに指示する。ユーザは指示に従い手動で測色を実施する。
図16(D)は、測色終了後に表示される画面例である。
図16(D)は、グレー再現目標値が設定された旨を表示する画面例である。
【0080】
図17は、キャリブレーション更新時のUIであり、
図11のステップS30~S31のUIの一例を示している。
【0081】
図17(A)は、キャリブレーションを更新する場合に、ユーザがキャリブレーション名前一覧から対象名を選択する画面例である。コントローラ10は、キャリブレーション名前一覧から選択されたキャリブレーション名前に紐づいているキャリブレーションIDファイルから、使用する測色器18と測色チャートとを識別する。
図17(B)は、コントローラ10が識別した結果を表示する画面例である。
【0082】
図17(C)は、グレー第2調整用チャートを印刷する旨を表示する画面例である。この後、
図17(D)の画面に遷移し、印刷されたグレー第2調整用チャートの測色を指示する。ユーザは指示に従い手動で測色を実施する。測色終了後、処理装置14はTRC補正パラメータを作成する。
図17(E)は、作成したTRC補正パラメータを適用する旨を表示する画面例である。
図17(E)の画面においてユーザが承諾(Apply)を選択すると、
図17(F)の画面に遷移する。
図17(F)は、グレー調整が適用された旨を表示する画面例である。
【0083】
[まとめ]
本実施形態によれば、業界標準の煩雑な作業を伴うグレーキャリブレーション方式を簡易に運用できる。本実施形態では、業界標準の一例としてG7キャリブレーションを挙げたが、G7キャリブレーションに限定しない。
【0084】
本実施形態に係る画像形成システム1は、グレー第1調整部56のキャリブレーションの実施直後にチャートを印刷してターゲットグレーを取得する。また、グレー第2調整部58のキャリブレーションは、ターゲットグレーに対する相対的なズレを補正する。
【0085】
画像形成システム1は、新規キャリブレーション作成時の混色グレーパッチで構成されるチャートを印刷、測色してターゲットLab値を得る。画像形成システム1は、キャリブレーション更新時にターゲットLab値からのズレを補正する。つまり、画像形成システム1はキャリブレーション更新時に相対的な補正を行って、新規キャリブレーション作成時の混色グレー状態に戻す。これにより、本実施形態に係る画像形成システム1では煩雑な作業が新規キャリブレーション作成時のG7キャリブレーションのみとなる。
【0086】
したがって、本実施形態によれば、キャリブレーションの品質及び利便性を両立させることができる。
【0087】
以上、本発明を実施するための最良の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【0088】
例えば本実施形態に係る画像形成システム1は、操作装置12、処理装置14、画像形成装置16、及び測色器18の一部を一体化した構成であってもよい。操作装置12、処理装置14、及び測色器18の機能を有する画像形成装置16であってもよい。
【0089】
上記で説明した実施形態の各機能は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
【0090】
本発明の態様は、例えば、以下の通りである。
<1>
デバイス非依存色空間上の値を混色の第1色再現目標とするグレー第1調整手段と、
前記第1色再現目標を実現した印刷環境でキャリブレーションターゲットである混色の第2色再現目標値を取得する第2色再現目標値取得手段と、
キャリブレーション更新時、前記印刷環境で適用する補正パラメータを調整して前記第2色再現目標値との色の差を補正するグレー第2調整手段と、
を有する処理装置。
<2>
前記第2色再現目標値取得手段は、前記第1色再現目標による新規キャリブレーションの実施直後の前記印刷環境で、前記第2色再現目標値を取得すること
を特徴とする前記<1>記載の処理装置。
<3>
前記第2色再現目標値取得手段及び前記グレー第2調整手段における印刷パッチのデバイス値は、前記グレー第1調整手段における印刷パッチのデバイス値と異なること
を特徴とする前記<1>又は<2>記載の処理装置。
<4>
前記第1色再現目標を実現する印刷環境は、G7キャリブレーションに基づいていること
を特徴とする前記<1>乃至<3>の何れか一項に記載の処理装置。
<5>
処理装置が、
デバイス非依存色空間上の値を混色の第1色再現目標とするステップと、
前記第1色再現目標を実現する印刷環境でキャリブレーションターゲットである混色の第2色再現目標値を取得するステップと、
キャリブレーション更新時、画像形成装置で適用する補正パラメータを調整して前記第2色再現目標値との色の差を補正するステップと、
を有する色管理方法。
<6>
処理装置を、
デバイス非依存色空間上の値を混色の第1色再現目標とするグレー第1調整手段、
前記第1色再現目標を実現した印刷環境でキャリブレーションターゲットである混色の第2色再現目標値を取得する第2色再現目標値取得手段、
キャリブレーション更新時、前記印刷環境で適用する補正パラメータを調整して前記第2色再現目標値との色の差を補正するグレー第2調整手段、
として機能させるためのプログラム。
<7>
印刷を行う画像形成装置であって、
デバイス非依存色空間上の値を混色の第1色再現目標とするグレー第1調整手段と、
前記第1色再現目標を実現した印刷環境でキャリブレーションターゲットである混色の第2色再現目標値を取得する第2色再現目標値取得手段と、
キャリブレーション更新時、前記印刷環境に適用する補正パラメータを調整して前記第2色再現目標値との色の差を補正するグレー第2調整手段と、
を有する画像形成装置。
<8>
印刷を行う画像形成システムであって、
デバイス非依存色空間上の値を混色の第1色再現目標とするグレー第1調整手段と、
前記第1色再現目標を実現した印刷環境でキャリブレーションターゲットである混色の第2色再現目標値を取得する第2色再現目標値取得手段と、
キャリブレーション更新時、前記印刷環境に適用する補正パラメータを調整して前記第2色再現目標値との色の差を補正するグレー第2調整手段と、
を有する画像形成システム。
<9>
ユーザインタフェースを表示し、ユーザからの操作を受け付ける操作手段、
を更に有し、
前記操作手段は、新規キャリブレーション時、前記キャリブレーションターゲットである混色の第2色再現目標値の設定を前記ユーザから受け付け、前記キャリブレーション更新時、前記印刷環境に適用する補正パラメータを調整して前記第2色再現目標値との色の差を補正する設定を前記ユーザから受け付ける
前記<8>記載の画像形成システム。
【符号の説明】
【0091】
1 画像形成システム
10 コントローラ
12 操作装置
14 処理装置
16 画像形成装置
18 測色器
50 受信部
52 第2色再現目標値取得部
54 格納部
56 グレー第1調整部
58 グレー第2調整部
60 送信部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0092】