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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024169383
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】構造体接触構造
(51)【国際特許分類】
   H01H 19/08 20060101AFI20241128BHJP
   H01H 19/10 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
H01H19/08 A
H01H19/10 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024083647
(22)【出願日】2024-05-22
(31)【優先権主張番号】P 2023085686
(32)【優先日】2023-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】591021305
【氏名又は名称】太陽ホールディングス株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】592013174
【氏名又は名称】大英エレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100105315
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 温
(72)【発明者】
【氏名】米田 直樹
(72)【発明者】
【氏名】杉田 直也
(72)【発明者】
【氏名】山本 秀夫
(72)【発明者】
【氏名】北郷 和英
【テーマコード(参考)】
5G219
【Fターム(参考)】
5G219HT02
5G219HU01
5G219KS13
5G219KU41
5G219KW41
5G219NS01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】電気的な接続状態及び非接続状態を安定して維持できる構造を提供する。
【解決手段】構造体接触構造は、第1の電極を有する第1の面を含む第1の構造体100と、第1の構造体100と別体でかつ第1の構造体100を移動可能に第1の構造体100と係合する第2の構造体200であって、第1の位置に位置するときには、第1の電極と第2の電極とが電気的に接続し、第1の位置とは異なる第2の位置に位置するときには、第1の電極と第2の電極とが電気的に非接続となり、第1の面と第2の面との間隔であって第1の構造体100の移動方向に垂直な方向の間隔が移動方向に沿って異なり、第1の構造体100の移動方向に沿った位置に対応する間隔に応じて、第1の面が第2の面によって押圧される状態を変更して、第1の電極と第2の電極との電気的な接続状態を調整する、第2の構造体200と、を備える。
【選択図】図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電極を有する第1の面を含む第1の構造体と、
前記第1の構造体と別体でかつ前記第1の構造体を移動可能に前記第1の構造体と係合する第2の構造体であって、
前記第1の構造体と係合したときに前記第1の面と向かい合うとともに第2の電極を有する第2の面を含み、
前記第1の面が前記第2の構造体に対して第1の位置に位置するときには、前記第2の面が前記第1の面と係合して前記第1の電極と前記第2の電極とが電気的に接続し、
前記第1の面が前記第2の構造体に対して前記第1の位置とは異なる第2の位置に位置するときには、前記第2の面は前記第1の面との係合が解除されて、前記第1の電極と前記第2の電極とが電気的に非接続となり、
前記第1の面と前記第2の面との間隔であって前記第1の構造体の移動方向に垂直な方向の間隔が前記移動方向に沿って異なり、前記第1の構造体の前記移動方向に沿った位置に対応する前記間隔に応じて、前記第1の面が前記第2の面によって押圧される状態を変更して、前記第1の電極と前記第2の電極との電気的な接続状態を調整する、第2の構造体と、を備える構造体接触構造。
【請求項2】
前記第2の構造体は、前記第2の面を前記移動方向に沿って有する延出部であって、前記第2の位置から前記第1の位置に向かうに従って前記第2の面が前記移動方向に垂直な方向に延出するとともに、前記移動方向に沿って前記第2の電極が前記第2の面に形成された延出部をさらに備える、請求項1に記載の構造体接触構造。
【請求項3】
前記第1の面が、前記移動方向に沿って前記第2の位置から前記第1の位置に移動するに従って、前記第1の面が前記第2の面によって押圧される押圧力を大きくして、前記第1の電極が前記第2の電極と電気的に接続する、請求項2に記載の構造体接触構造。
【請求項4】
前記第1の構造体は、前記第2の構造体に対して回転可能であり、
前記第1の位置は、前記第2の位置に対して回転した位置である、請求項1に記載の構造体接触構造。
【請求項5】
前記第2の構造体は、前記第1の面を前記移動方向に沿って案内可能な案内部を有し、
前記案内部は、前記第1の面が到達したときに前記第1の面の移動を制限する第1の移動制限部を有し、
前記第1の電極と前記第2の電極とが電気的に接続するときに、前記第1の位置と前記第1の移動制限部とが離隔している、請求項2に記載の構造体接触構造。
【請求項6】
前記第2の電極が摩耗するにつれて、前記第1の位置が、前記第1の移動制限部に近づき、未摩耗の前記第2の電極と前記第1の電極とが電気的に接続する、請求項5に記載の構造体接触構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに異なる構造体を接触させて電気的接続を形成するための構造体接触構造に関する。
【背景技術】
【0002】
付勢力(弾性力)を用いて、電気的な接点同士を押圧して、電気的接続を形成する機構が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
付勢力(弾性力)を用いて、スイッチを駆動して、電気的接続を形成する構造も知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008-258061号公報
【特許文献2】特開2008-153058号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述した電気的な接続を形成するための機構や構造は、バネなどの弾性体による付勢力(弾性力)を用いるものであった。このため、振動や衝撃が加えられたときには、接点が離れる可能性があり、電気的な接続状態及び非接続状態を維持することが困難であった。
【0006】
本発明は、上述の点に鑑みてなされたものである。その目的は、電気的な接続状態及び非接続状態を安定して維持できる構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による構造体接触構造の特徴は、
第1の電極を有する第1の面を含む第1の構造体と、
前記第1の構造体と別体でかつ前記第1の構造体を移動可能に前記第1の構造体と係合する第2の構造体であって、
前記第1の構造体と係合したときに前記第1の面と向かい合うとともに第2の電極を有する第2の面を含み、
前記第1の面が前記第2の構造体に対して第1の位置に位置するときには、前記第2の面が前記第1の面と係合して前記第1の電極と前記第2の電極とが電気的に接続し、
前記第1の面が前記第2の構造体に対して前記第1の位置とは異なる第2の位置に位置するときには、前記第2の面は前記第1の面との係合が解除されて、前記第1の電極と前記第2の電極とが電気的に非接続となり、
前記第1の面と前記第2の面との間隔であって前記第1の構造体の移動方向に垂直な方向の間隔が前記移動方向に沿って異なり、前記第1の構造体の前記移動方向に沿った位置に対応する前記間隔に応じて、前記第1の面が前記第2の面によって押圧される状態を変更して、前記第1の電極と前記第2の電極との電気的な接続状態を調整する、第2の構造体と、を備えることである。
【発明の効果】
【0008】
電気的な接続状態及び非接続状態を安定して維持できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施の形態による構造体接触構造10の第1の構造体100及び第2の構造体200の構造を示す斜視図である。
図2】第1の構造体100の前面側の構造を示す正面図である。
図3】第1の構造体100の背面側の構造を示す背面図である。
図4】第1の構造体100の前面側の構造を示す斜視図である。
図5】第1の構造体100の背面側の構造を示す斜視図である。
図6】第2の構造体200の前面側の構造を示す正面図である。
図7】第2の構造体200の背面側の構造を示す背面図である。
図8】第2の構造体200の前面側の構造を示す斜視図である。
図9】第2の構造体200の背面側の構造を示す斜視図である。
図10】第2の構造体200の右側の構造を示す右側面図(a)と左側の構造を示す左側面図(b)とである。
図11】第1の構造体100を第2の構造体200に取り付ける過程を示す断面図である。
図12】第1の構造体100を第2の構造体200に取り付ける過程を示す断面図である。
図13】第1の構造体100を第2の構造体200に対して角度θだけ回転させた状態を示す背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<<<<本実施の形態の概要>>>>
<<第1の態様>>
第1の態様によれば、
第1の電極(例えば、後述する第1の接点用パターン導体186や第2の接点用パターン導体188など)を有する第1の面(例えば、後述する第1の内方向突出部142や第2の内方向突出部162)を含む第1の構造体(例えば、後述する第1の構造体100など)と、
前記第1の構造体と別体でかつ前記第1の構造体を移動可能に前記第1の構造体と係合する第2の構造体であって、
前記第1の構造体と係合したときに前記第1の面と向かい合うとともに第2の電極(例えば、後述する第1の接点用パターン導体286や第2の接点用パターン導体288など)を有する第2の面(例えば、後述する第1の環状薄板部222や第2の環状薄板部242など)を含み、
前記第1の面が前記第2の構造体に対して第1の位置(例えば、後述する係止位置P1や係止位置P2など)に位置するときには、前記第2の面が前記第1の面と係合して前記第1の電極と前記第2の電極とが電気的に接続し、
前記第1の面が前記第2の構造体に対して前記第1の位置とは異なる第2の位置に位置(例えば、後述する中心Oなど)するときには、前記第2の面は前記第1の面との係合が解除されて、前記第1の電極と前記第2の電極とが電気的に非接続となり、
前記第1の面と前記第2の面との間隔であって前記第1の構造体の移動方向に垂直な方向の間隔が前記移動方向に沿って異なり(例えば、後述する第1の環状薄板部222の厚みDや第2の環状薄板部242の厚みDなど)、前記第1の構造体の前記移動方向に沿った位置に対応する前記間隔に応じて、前記第1の面が前記第2の面によって押圧される状態を変更して、前記第1の電極と前記第2の電極との電気的な接続状態を調整する、第2の構造体(例えば、後述する第2の構造体200など)と、を備える構造体接触構造(例えば、後述する構造体接触構造10など)が提供される。
【0011】
第1の態様による構造体接触構造は、第1の構造体と第2の構造体とを備える。第1の構造体及び第2の構造体は、弾性変形しにくく所定の剛性を有する。
【0012】
第1の構造体は、第1の面を含む。第1の面は、第1の電極を有する。
【0013】
第2の構造体は、第1の構造体と別体に構成される。第2の構造体は、第1の構造体と係合可能に構成される。第1の構造体は、第2の構造体との係合を維持しつつ、第2の構造体に対して移動することができる。
【0014】
第2の構造体は、第2の面を含む。第2の構造体が第1の構造体と係合したときに、第2の面は第1の面と向かい合う。さらに、第2の面は、第2の電極を有する。
【0015】
第1の構造体は、第2の構造体に対して変位することができる。第1の構造体が変位することで、第1の構造体の第1の面は移動して、第2の構造体に対して第1の位置又は第1の位置とは異なる第2の位置に位置することができる。
【0016】
なお、第1の位置及び第2の位置は、第2の構造体を基準にした位置にすることができる。すなわち、第1の構造体は、第2の構造体に対して変位することで、第1の構造体の第1の面は、第2の構造体を基準にした第1の位置や第2の位置に位置づけられることができる。また、第1の構造体及び第2の構造体は、手動で動かされる。このため、第1の位置は、一定の位置ではなく、第1の構造体及び第2の構造体を操作する操作者の力の加減や癖や習慣や使用頻度のほか、第1の電極及び第2の電極の摩耗の状態などの使用状態によって変わり得る。特に、第1の電極及び第2の電極の摩耗の状態に応じて、一定の位置は、徐々に変化していく。
【0017】
第1の電極は、第2の構造体との第1の構造体の相対的な位置に応じて、第2の電極と向かい合わせになる場合と、ならない場合とがある。また、第1の電極と第2の電極とが向かい合わせになっても、互いに離隔している状態では、電気的な接続は形成されない。第1の電極と第2の電極とが向かい合いかつ当接した状態となって、電気的な接続が形成される。
【0018】
第1の構造体の第1の面が第1の位置に位置するときには、第2の構造体の第2の面は、第1の構造体の第1の面と係合する。第2の構造体の第2の面が第1の構造体の第1の面と係合することで、第1の電極と第2の電極とを接触させて電気的に接続可能な状態にすることができる。
【0019】
第1の構造体の第1の面が第2の位置に位置するときには、第2の構造体の第2の面は、第1の構造体の第1の面との係合が解除されて、第1の電極と第2の電極とを離隔させて電気的に非接続な状態にすることができる。
【0020】
第1の面と第2の面との間隔(移動方向に垂直な方向の間隔)は、第2の構造体の第1の構造体に対する移動の方向に沿って異なる。第1の面と第2の面との間隔は、第1の構造体の移動方向に沿った位置に応じて定まる。第1の構造体の位置に応じて、第1の面と第2の面との間隔が変わる。第1の面と第2の面との間隔を異ならしめることによって、第1の構造体の位置に応じて、第1の面が第2の面によって押圧される状態(押圧の程度)が変更される。押圧される状態を変更することによって、第1の電極と第2の電極との電気的な接続状態を変えて調整することができる。
【0021】
例えば、第1の構造体の第1の面が第1の位置に位置するときには、第1の面と第2の面との間隔(移動方向に垂直な方向の間隔)は第1の間隔である。第1の構造体の第1の面が第2の位置に位置するときには、第1の面と第2の面との間隔(移動方向に垂直な方向の間隔)は第2の間隔である。この第1の間隔と第2の間隔とを異ならしめることで、第1の電極と第2の電極との電気的接続状態と電気的非接続状態とを切り替える。
【0022】
なお、第1の構造体が第2の構造体に対して変位するに従って、第1の位置と第2の位置との間で、第1の面と第2の面との間隔が異なればよい。第1の構造体の第2の構造体に対する変位により、電気的接続状態と電気的非接続状態とを切り替えればよい。
【0023】
バネやゴムなどの弾性体の付勢力を用いることなく、第2の構造体に対する第1の構造体の移動に伴って第1の面と第2の面との押圧状態を変更することで、電気的接続状態と電気的非接続状態とを切り替えることができ、電気的な接続状態及び非接続状態との双方の状態を安定して維持できる。
【0024】
<<第2の態様>>
第2の態様は、第1の態様において、
前記第2の構造体は、前記第2の面を前記移動方向に沿って有する延出部(例えば、後述する第1の環状薄板部222の裏面の領域や第2の環状薄板部242の裏面の領域など)であって、前記第2の位置(例えば、後述する中心Oなど)から前記第1の位置(例えば、後述する係止位置P1や係止位置P2など)に向かうに従って前記第2の面が前記移動方向に垂直な方向に延出する(例えば、後述する第1の環状薄板部222の厚みDの変化や第2の環状薄板部242の厚みの変化Dなど)とともに、前記移動方向に沿って前記第2の電極が前記第2の面に形成された延出部をさらに備える。
【0025】
第2の構造体は、延出部をさらに備える。延出部は、移動方向に沿って第2の面を有する。第2の電極が、移動方向に沿って第2の面に形成されている。第2の位置から第1の位置に向かうに従って第2の面が移動方向に垂直な方向に延出する。
【0026】
電気的に接続しやすい状態又は接続しにくい状態を徐々に変化させることができる。
【0027】
第1の構造体の移動が、第2の構造体に対して移動することで、第1の面が、第2の位置から第1の位置に向かうに従って第2の面と第1の面とが互いに近づくように延出部を延出するのが好ましい。すなわち、第2の位置から第1の位置に向かうに従って第2の電極と第1の面とが互いに近づくように形成されているのが好ましい。
【0028】
第2の面は、移動方向に対して、0.1~5度の角度をなすのが好ましく、0.5~3度の角度をなすのがより好ましい。なお、この角度は、例えば、後述する第1の環状薄板部222の厚みDの変化率(第1の環状薄板部222の上下方向に対する傾斜の角度)や第2の環状薄板部242の厚みの変化Dの変化率(第2の環状薄板部242の上下方向に対する傾斜の角度)に対応する。
【0029】
さらに、第1の面が第2の位置から第1の位置に向かうに従って、第2の面が第1の面に向かって徐々に近づくように延出するのがより好ましい。すなわち、第2の位置から第1の位置に向かうに従って第2の電極が第1の面に向かって徐々に近づくように形成されているのが好ましい。
【0030】
<<第3の態様>>
第3の態様は、第2の態様において、
前記第1の面が、前記移動方向に沿って前記第2の位置(例えば、後述する中心Oなど)から前記第1の位置(例えば、後述する係止位置P1や係止位置P2など)に移動するに従って、前記第1の面が前記第2の面によって押圧される押圧力を大きくして、前記第1の電極が前記第2の電極と電気的に接続する。
【0031】
第1の面が、移動方向に沿って第2の位置から第1の位置に移動するに従って、第2の面によって押圧される。すなわち、第2の位置から第1の位置に移動するに従って第1の面の第2の面への押圧力を高めることができる。
【0032】
電気的に接続しやすい状態又は接続しにくい状態を徐々に変化させて、円滑に切り替えることができる。
【0033】
<<第4の態様>>
第4の態様は、第1の態様において、
前記第1の構造体は、前記第2の構造体に対して回転可能であり、
前記第1の位置は、前記第2の位置に対して回転した位置である。
【0034】
第1の構造体と第2の構造体とを相対的に回転させることで、電気的に接続しやすい状態又は接続しにくい状態を切り替えることができる。回転によって構造体接触構造の全体が占める空間の大きさを変えることがなく、常に一定の空間内で電気的接続状態を切り替えることができ、作業環境を向上させることができる。回転によって構造体接触構造の全体が占める空間の大きさを変えることがないので、回転に伴って空間を確保する必要がなく、小型化しやすい。
【0035】
<<第5の態様>>
第5の態様は、第2の態様において、
前記第2の構造体は、前記第1の面を前記移動方向に沿って案内可能な案内部を有し、
前記案内部は、前記第1の面が到達したときに前記第1の面の移動を制限する第1の移動制限部(例えば、後述する第1の端部232及び第2の端部234、並びに第1の端部252及び第2の端部254など)を有し、
前記第1の電極と前記第2の電極とが電気的に接続するときに、前記第1の位置と前記第1の移動制限部とが離隔している。
【0036】
第2の構造体は、案内部を有する。案内部は、第1の面を移動方向に沿って案内することができる。案内部は、第1の移動制限部を有する。第1の移動制限部は、第1の面が到達したときに前記第1の面の移動を制限する、いわゆるストッパとして機能する。第1の面は、第1の移動制限部を超えて移動することはできず、第1の移動制限部は、第1の面の最大到達可能位置を画定する。第1の電極と第2の電極とが電気的に接続するときに、第2の電極の摩耗が進んでいないときなどには、第1の位置と第1の移動制限部とが離隔している。
【0037】
前述したように、第1の位置は、第1の構造体及び第2の構造体を操作する操作者の力の加減や癖や習慣や使用頻度のほか、第1の電極及び第2の電極の摩耗の状態などの使用状態によって変わり得る。具体的には、第1の位置は、第1の構造体及び第2の構造体の使用が進むにつれて、徐々に第1の移動制限部に近づく。使用状況に応じて第1の位置が決まるため、第1の位置が、第1の移動制限部に到達しない場合もある。しかし、第1の位置が、第1の移動制限部に到達した場合には、第1の面が第1の移動制限部を超えることがないので、第1の位置は、第1の移動制限部によって一定の位置に収まる。
【0038】
第1の位置と第1の移動制限部との間に、第1の面(第1の電極)が摺動していない未使用の第2の電極を確保することができる。
【0039】
<<第6の態様>>
第6の態様は、第5の態様において、
前記第2の電極が摩耗するにつれて、前記第1の位置が、前記第1の移動制限部に近づき、未摩耗の前記第2の電極と前記第1の電極とが電気的に接続する。
【0040】
第1の面(第1の電極)が第2の電極を摺動することで、第2の電極の摩耗が進み第2の電極が摩損した場合であっても、確保している未使用の未摩耗の第2の電極まで、第1の面を移動させることで、第1の電極と第2の電極との電気的接続を維持することができる。なお、摩耗とは、第1の電極や第2の電極の一部が擦り減ってはいるものの残存しており、導体として機能できる状態をいう。これに対して、摩損とは、第1の電極や第2の電極の一部が完全に削れたり剥がれたりすることで、その部分は、導体として機能できない状態をいい、第1の電極と第2の電極との相対的な位置によっては、電気的接続を安定して形成することができない状態をいう。
【0041】
<<<<<本実施の形態の詳細>>>>>
以下に、実施の形態について図面に基づいて説明する。
【0042】
<<方向など>>
<正面側、正面方向、表面側、表面方向、前面側、前面方向、前方向>
正面側、表面側、前面側は、構造体接触構造10の通常の使用時において、使用者が構造体接触構造10を視認可能な側である。正面方向、表面方向、前面方向、前方向は、構造体接触構造10の通常の使用時において、構造体接触構造10の使用者に近づく方向である。なお、構造体接触構造10の通常の使用時において、使用者は後述する表面部110を向いて使用するものとする。
【0043】
<背面側、背面方向、裏面側、裏面方向、後面側、後面方向、後方向>
背面側、背面方向、裏面側、裏面方向、後面側、後面方向、後方向は、正面側、正面方向、表面側、表面方向、前面側、前面方向、前方向の反対の側や方向である。背面側、裏面側、後面側は、構造体接触構造10の通常の使用時において、使用者が構造体接触構造10を視認困難な側である。背面方向、裏面方向、後面方向、後方向は、構造体接触構造10の通常の使用時において、構造体接触構造10の使用者から離れる方向である。
【0044】
<上方向、上側、上向きなど>
上方向は、後述する下方向と逆の方向であり、重力の方向と逆の方向である。上側、上向きは、上方向に向かう側や向きである。
【0045】
<下方向、下側、下向きなど>
下方向は、重力の方向である。すなわち、下方向は、物体を吊り下げた糸の示す方向である。下側、下向きは下方向に向かう側や向きである。
【0046】
<上下方向>
上下方向は、上方向及び下方向に沿った方向である。上下方向は、向きは問わず、上方向及び下方向に沿っていればよい。
【0047】
<内側、内方向>
内側や内方向は、第1の構造体100の中心O1や第2の構造体200の中心O2に向いた側や向かう方向である。
【0048】
<外側、外方向>
外側、外方向は、第1の構造体100の中心O1や第2の構造体200の中心O2から離れた側や離れる方向である。
【0049】
<時計回り、反時計回り>
時計回りとは、正面から見たときに時計の針が移動する方向をいう。反時計回りとは、正面から見たときに時計の針が移動する向きとは反対の方向をいう。
【0050】
<<<<構造体接触構造10>>>>
図1は、本実施の形態による構造体接触構造10の第1の構造体100及び第2の構造体200の構造を示す斜視図である。図2は、第1の構造体100の前面側の構造を示す正面図である。図3は、第1の構造体100の背面側の構造を示す背面図である。図4は、第1の構造体100の前面側の構造を示す斜視図である。図5は、第1の構造体100の背面側の構造を示す斜視図である。図6は、第2の構造体200の前面側の構造を示す正面図である。図7は、第2の構造体200の背面側の構造を示す背面図である。図8は、第2の構造体200の前面側の構造を示す斜視図である。図9は、第2の構造体200の背面側の構造を示す斜視図である。図10は、第2の構造体200の右側の構造を示す右側面図(a)と左側の構造を示す左側面図(b)とである。
【0051】
図1に示すように、構造体接触構造10は、第1の構造体100と第2の構造体200とを含む。構造体接触構造10は、第1の構造体100を第2の構造体200に対して変位可能な構造を有する。構造体接触構造10は、第1の構造体100を第2の構造体200に対して変位させることで、スイッチ機能を有する。構造体接触構造10は、第1の構造体100を第2の構造体200に対して変位させて、電気的接続状態と電気的非接続状態とを切り替える。
【0052】
なお、本実施の態様において電気的接続状態とは、互いに異なるパターン導体などの電気伝導体が接触することで導通した状態(電流を流したり電圧を印加できたりする状態)であり、後述する電子部品が構造体に実装された場合に、その電子部品に電力が供給され電子部品が動作し得る状態であり、例えば市販のテスター等を用いて電気的接続状態にあることを確認できる。
【0053】
第1の構造体100及び第2の構造体200は、パターン導体を表面に有する。パターン導体の一部は、配線として機能し、パターン導体の別の一部は、スイッチの接点として機能する。パターン導体の全てが、第1の構造体100及び第2の構造体200の表面に形成されていなくてもよい。パターン導体の一部が、第1の構造体100及び第2の構造体200の内部に形成されていてもよい。
【0054】
第1の構造体100及び第2の構造体200は、パターン導体の形成によって、回路形成された立体成形回路部品として機能する。
【0055】
第1の構造体100及び第2の構造体200は、着脱可能に形成されている。第1の構造体100及び第2の構造体200を着脱可能に構成することで、電池の交換を容易にしたり、電子部品の搭載を容易にしたり、組み立てを容易にしたりできる。なお、第1の構造体100及び第2の構造体200が互いに相対的に変位できればよく、離脱できなくてもよい。
【0056】
<<<<第1の構造体100>>>>
第1の構造体100は、外周に沿った縁を有する蓋状の形状を有する。第1の構造体100は、第2の構造体200の少なくとも一部を覆う被覆体として機能する。第1の構造体100は、電池(図示せず)を収容するための蓋体として機能してもよい。第1の構造体100は、電池の正極端子などの電源と電気的に接続される。
【0057】
さらに、第1の構造体100は、後述するように、第2の構造体200に係合させることで、電池と電気的に接続した状態とすることができる。また、第1の構造体100は、第2の構造体200の少なくとも一部を覆うことで、露出するパターン導体を少なくして保護することができる。
【0058】
<<<第1の構造体100の構造>>>
第1の構造体100は、縁部を有する略円板状の形状を有する。第1の構造体100は、中心O1を有する。第1の構造体100は、表面部110と裏面部120と側部130とを有する。
【0059】
<<表面部110>>
表面部110は、略円板状の形状を有する。表面部110の表面には、電子部品EPが配置される。表面部110は、視認可能な面であり、電子部品EPを視認可能にする。電子部品EPは、LED(発光ダイオード)などにすることができる。電子部品EPは、LEDのみならず、他の部品、例えば、各種のディスプレイやセンサなどにすることができる。
【0060】
<<裏面部120>>
裏面部120は、第1の構造体100の表面部110の裏側の面である。裏面部120は、略円板状の形状を有する。裏面部120は、表面部110と略平行である。第1の構造体100は、表面部110と裏面部120との間隔によって一定の厚みを有する。
【0061】
<<側部130>>
側部130は、第1の構造体100の外縁部を構成する。側部130は、裏面部120に立設される。側部130は、裏面部120から後方向に向かって突出する。側部130は、略円筒状の形状を有する。側部130は、互いに略平行な外側側部132及び内側側部134と、側部裏面部136とを有する。側部130は、外側側部132と内側側部134との間に一定の厚みを有する。
【0062】
<外側側部132>
外側側部132は、使用者が把持することができる。使用者が外側側部132を把持することで、第1の構造体100を第2の構造体200に対して回転操作することができる。外側側部132は、側部130の外側部分(最外周面)を構成する。
【0063】
<内側側部134>
内側側部134は、第2の構造体200の第1の外周部244と向かい合う。内側側部134は、第2の構造体200の第1の外周部244と摺動してもよい。内側側部134は、側部130の内側部分(内周面)を構成する。外側側部132と内側側部134との間隔によって一定の厚みが形成される。
【0064】
<側部裏面部136>
側部裏面部136は、略環状の形状を有する。側部裏面部136は、中心O1や裏面部120を囲繞する帯状の形状を有する。側部裏面部136は、第1の内方向突出部142及び第2の内方向突出部162を除いて、周方向に沿って一定の幅を有する。
【0065】
第1の構造体100は、第1の凹部140と第2の凹部160とを有する。第1の凹部140と第2の凹部160とは、中心O1を挟んで互いに向かい合う。第1の凹部140と第2の凹部160とは、中心O1の周りに180度の間隔で設けられている。
【0066】
<第1の凹部140>
第1の凹部140は、第1の構造体100の外周に設けられている。第1の凹部140は、表面部110から後方に向かって凹んで形成される。第1の凹部140は、第1の内方向突出部142と第1の開口部148とを有する。
【0067】
<第1の内方向突出部142>
第1の内方向突出部142は、側部130から中心O1に向かって突出する。第1の内方向突出部142は、内側側部134から中心O1に向かって突出する。第1の内方向突出部142は、表面部110から後方向に離隔して設けられている。第1の内方向突出部142は、表面部110及び裏面部120と略平行になって延在する。
【0068】
第1の内方向突出部142は、薄板状で略長方形状の形状を有する。第1の内方向突出部142は、表面144と裏面146とを有する。表面144は、第1の接点用パターン導体186を有する。表面144は、表面部110から後方向に向かって離隔して位置する。裏面146は、側部裏面部136と面一に形成される。
【0069】
<第1の開口部148>
第1の開口部148は、裏面部120と第1の内方向突出部142との間に形成される。後述する第2の構造体200の第1の環状薄板部222が、第1の開口部148を移動することができる。
【0070】
<第2の凹部160>
第2の凹部160は、第1の凹部140と同様の構造を有する(図1及び図4の第1の凹部140参照)。第2の内方向突出部162は、第1の内方向突出部142に対応し、表面164は、表面144に対応し、裏面166は、裏面146に対応し、第2の開口部168は、第1の開口部148に対応し、第2の接点用パターン導体188は、第1の接点用パターン導体186に対応する。
【0071】
第2の凹部160は、第1の構造体100の外周に設けられている。第2の凹部160は、表面部110から後方に向かって凹んで形成される。第2の凹部160は、第2の内方向突出部162と第2の開口部168とを有する。
【0072】
<第2の内方向突出部162>
第2の内方向突出部162は、側部130から中心O1に向かって突出する。第2の内方向突出部162は、内側側部134から中心O1に向かって突出する。第2の内方向突出部162は、表面部110から後方向に離隔して設けられている。第2の内方向突出部162は、表面部110及び裏面部120と平行になって延在する。
【0073】
第2の内方向突出部162は、薄板状で略長方形状の形状を有する。第2の内方向突出部162は、表面164と裏面166とを有する。表面164は、第2の接点用パターン導体188を有する。表面164は、表面部110から後方向に向かって離隔して位置する。裏面166は、側部裏面部136と面一に形成される。
【0074】
<第2の開口部168>
第2の開口部168は、裏面部120と第2の内方向突出部162との間に形成される。後述する第2の構造体200の第2の環状薄板部242が、第2の開口部168を移動できる。
【0075】
<<<第1の構造体100の電気的構成>>>
第1の構造体100は、給電用のパターン導体を有する。パターン導体は、第1のパターン導体182及び第2のパターン導体184と、第1の接点用パターン導体186及び第2の接点用パターン導体188とを有する。本実施の形態では、第1のパターン導体182は、第1の構造体100における正極側のパターン導体であり、第2のパターン導体184は、第1の構造体100における負極側のパターン導体である。
【0076】
<第1の接点用パターン導体186>
第1の接点用パターン導体186は、第1の内方向突出部142に形成されたパターン導体である。第1の接点用パターン導体186は、後述する第2の構造体200の第1の接点用パターン導体286と電気的に接続可能である。
【0077】
<第2の接点用パターン導体188>
第2の接点用パターン導体188は、第2の内方向突出部162に形成されたパターン導体である。第2の接点用パターン導体188は、後述する第2の構造体200の第2の接点用パターン導体288と電気的に接続可能である。
【0078】
<第1のパターン導体182>
第1のパターン導体182は、第1の構造体100の裏面部120に中心O1を中心にした円状に形成され、円錐台状の中心孔190を介して、第1の構造体100の表面部110を経て、内側の弧状(小さい半径の弧)に至るように形成されたパターン導体である。第1のパターン導体182は、後述する電池収容部260に収容された電池の正極端子を、表面部110に設けられた電子部品EPに、電気的に接続するためのパターン導体である。
【0079】
<第2のパターン導体184>
第2のパターン導体184は、第1の内方向突出部142の第1の接点用パターン導体186と、第2の内方向突出部162の第2の接点用パターン導体188との各々から、外側側部132を介して、第1の構造体100の表面部110を経て、外側の弧状(大きい半径の弧)に至るように形成されたパターン導体である。第2のパターン導体184は、電池収容部260に収容された電池の負極端子を、表面部110に設けられた電子部品EPに、電気的に接続するためのパターン導体である。
【0080】
第1の接点用パターン導体186と第2の接点用パターン導体188との双方を電池の負極端子に電気的に接続することで、電気的な接続を安定化させることができる。また、第1の構造体100が第2の構造体200に対して傾き、第1の構造体100と第2の構造体200との間の一部に間隙が形成された場合であっても、第1の接点用パターン導体186と第2の接点用パターン導体188とのいずれか一方を電気的に接続して、電気的な接続を安定化させることができる。
【0081】
<電子部品EP>
前述したように、第1の構造体100の表面部110には、電子部品EPが配置される。電子部品EPは、LEDなどにすることができる。電子部品EPは、表面部110において、小さい弧状の第1のパターン導体182と大きい弧状の第2のパターン導体184とに跨って配置される。電子部品EPは、小さい弧状の第1のパターン導体182と、大きい弧状の第2のパターン導体184との双方に電気的に接続され、電源電圧が給電される。
【0082】
<<<<第2の構造体200>>>>
第2の構造体200は、略円板状の形状を含む。第2の構造体200は、第1の構造体100によって覆われる被被覆体として機能する。
【0083】
第2の構造体200と第1の構造体100との相対的な位置の変化(変位)により、電気的な接続状態と非接続状態(解除状態)とが切り替えられる。本実施の形態では、第1の構造体100は、第2の構造体200に対して回転可能に設けられる。第2の構造体200に対する第1の構造体100の回転角度によって、電気的な接続状態と非接続状態(解除状態)とが切り替えられる。
【0084】
なお、第1の構造体100は、第2の構造体200に対して直線移動可能に設けられてもよい。第1の構造体100と第2の構造体200とが、相対的に変位することで、電気的な接続状態と非接続状態(解除状態)とを切り替えることができればよい。
【0085】
<<<第2の構造体200の構造>>>
第2の構造体200は、中心O2を有する。第2の構造体200は、環状部210と、電池収容部260と、第1の裏面部262と、第2の裏面部264と、第1把持部266と、第2把持部268と、フック部270と、貫通孔部278とを有する。
【0086】
<環状部210>
環状部210は、略環状扇形(中空扇形)を有する。環状扇形は、共通する中心を有する大きい扇形から小さい扇形を除いた形状である。環状部210は、後述する貫通孔部278を挟んで、第1の案内部220と第2の案内部240とを有する。第1の案内部220は、正面から見たときに貫通孔部278に対して右側に位置する。第2の案内部240は、正面から見たときに貫通孔部278に対して左側に位置する。
【0087】
<第1の案内部220>
第1の案内部220は、第1の環状薄板部222と、第1の切り欠き部228と、対向面部226と、第1の端部232及び第2の端部234とを有する。第1の環状薄板部222の裏面には、第1の接点用パターン導体286が形成されている。
【0088】
<第1の環状薄板部222>
第1の環状薄板部222は、略環状扇形で薄板状の形状を有する。第1の環状薄板部222は、第1の外周部224を有する。第1の環状薄板部222は、表面と裏面とによって所定の厚みを有する。第1の環状薄板部222の厚みは一定でない。第1の環状薄板部222の厚みについては、後で詳述する。第1の環状薄板部222の裏面は、略環状扇形の形状を有する。第1の環状薄板部222の裏面は、中心O2から離れる方向に第1の外周部224に向かって延出する。第1の環状薄板部222は、第1の構造体100の裏面部120と第1の内方向突出部142との間を移動することができる。第1の内方向突出部142は、第1の環状薄板部222と係合することができる。第1の内方向突出部142が第1の環状薄板部222と係合することで、第1の構造体100が第2の構造体200から離脱しないようにできる。
【0089】
<対向面部226>
対向面部226は、第1の環状薄板部222の後面側に向かって、第1の環状薄板部222の裏面に対して略垂直方向に延在する。対向面部226は、略円筒状の一部の形状を有する。中心O2からの対向面部226の半径は、中心O2からの第1の環状薄板部222の半径よりも小さい。対向面部226は、円筒表面に沿って長尺な領域を有する。
【0090】
対向面部226は、第1の内方向突出部142の最内周側(第1の構造体100の中心O1に向かう側)と向かい合う。対向面部226は、第1の内方向突出部142は、対向面部226と向かい合いつつ、対向面部226の長手方向に沿って移動できる。
【0091】
<第1の端部232及び第2の端部234>
対向面部226は、長手方向に2つの端部を有する。第1の端部232と第2の端部234とは、長手方向に対向面部226を挟んで互いに離隔する。第1の端部232及び第2の端部234は、第1の内方向突出部142が到達したときには、第1の内方向突出部142と当接し第1の内方向突出部142を係止できる。第1の端部232及び第2の端部234は、第1の内方向突出部142を係止することで、第1の内方向突出部142の移動を制限するストッパとして機能する。第1の内方向突出部142は、第1の端部232及び第2の端部234を超えて移動することはできず、第1の端部232及び第2の端部234は、第1の内方向突出部142の最大移動可能位置を画定する。
【0092】
<第1の切り欠き部228>
第1の切り欠き部228は、略長方形状の形状を有する。第1の切り欠き部228は、第1の内方向突出部142よりも大きく形成される。第1の切り欠き部228は、第1の環状薄板部222の略中央(上下方向の略中央であり、正面から見て最も右側)に位置する。第1の切り欠き部228は、対向面部226の長手方向に対して、第1の端部232と第2の端部234との略中央部に形成される。
【0093】
第1の構造体100を第2の構造体200に対して着脱させるときには、第1の内方向突出部142は、第1の切り欠き部228を介して挿通される。
【0094】
<第1の環状薄板部222の厚みD>
第1の環状薄板部222の厚みDは、第1の切り欠き部228から第1の端部232や第2の端部234に向かうに従って徐々に厚くなる。第1の環状薄板部222の厚みDは、第1の切り欠き部228に近い位置では最も薄い。第1の環状薄板部222の厚みDは、第1の切り欠き部228から第1の端部232や第2の端部234に近づくに従って徐々に厚くなる。
【0095】
第1の環状薄板部222の厚みDは、一次的(直線的)に変化するように厚くしても、曲線的に変化するように厚くしてもよい。手ごたえなどの感触や移動可能な距離などに応じて適宜に定めればよい。
【0096】
<第2の案内部240>
第2の案内部240は、第1の案内部220と同様に、第2の環状薄板部242と、第2の切り欠き部248と、対向面部246と、第1の端部252及び第2の端部254とを有する。第2の環状薄板部242の裏面には、第2の接点用パターン導体288が形成されている。
【0097】
<第2の環状薄板部242>
第2の環状薄板部242は、第1の環状薄板部222と同様の構造及び機能を有する。第2の環状薄板部242は、第1の外周部244を有する。第2の環状薄板部242の厚みも、第1の環状薄板部222と同様に、一定でない。第2の環状薄板部242の裏面は、略環状扇形の形状を有する。
【0098】
<対向面部246>
対向面部246も対向面部226と同様の構造及び機能を有する。
【0099】
<第1の端部252及び第2の端部254>
第1の端部252及び第2の端部254も第1の端部232及び第2の端部234と同様の構造及び機能を有する。
【0100】
<第2の切り欠き部248>
第2の切り欠き部248も第1の切り欠き部228と同様の構造及び機能を有する。
【0101】
第1の構造体100を第2の構造体200に対して着脱させるときには、第2の内方向突出部162は、第2の切り欠き部248を介して挿通される。
【0102】
<第2の環状薄板部242の厚みD>
第2の環状薄板部242の厚みDも、第2の切り欠き部248から第1の端部252や第2の端部254に向かうに従って徐々に厚くなる。第2の環状薄板部242の厚みDは、第2の切り欠き部248の近い位置では最も薄い。第2の環状薄板部242の厚みDは、第2の切り欠き部248から第1の端部252や第2の端部254に近づくに従って徐々に厚くなる。
【0103】
第2の環状薄板部242の厚みDは、一次的(直線的)に変化するように厚くしても、曲線的に変化するように厚くしてもよい。手ごたえなどの感触や移動可能な距離などに応じて適宜に定めればよい。
【0104】
第1の切り欠き部228を介して第1の内方向突出部142を案内し、第2の切り欠き部248を介して第2の内方向突出部162を案内することで、第1の構造体100を第2の構造体200に着脱可能に取り付けることができる。
【0105】
<電池収容部260>
電池収容部260は、略円筒状に窪んだ形状を有する。電池収容部260は、ボタン電池(図示せず)などを収容する。電池収容部260の形状や大きさは、使用する電池の種類などに応じて決定すればよい。第1の構造体100が第2の構造体200に取り付けられると、電池収容部260に収容された電池は、第1の構造体100と第2の構造体200とによって挟まれて、電気的接続が形成される。電池の正極端子は、第1の構造体100の第1のパターン導体182に接続される。電池の負極端子は、第2の構造体200のパターン導体282に接続される。なお、電池の正極端子が第2の構造体200の第2のパターン導体282に接続され、電池の負極端子は、第1の構造体100の第1のパターン導体182に接続されていても良い。
【0106】
なお、構造体接触構造10は、電池からの給電でなくてもよい。商用電源などから構造体接触構造10に給電してもよい。商用電源を整流したり変圧したりして構造体接触構造10に給電すればよい。電池を収容する場所を確保したり、電池の交換作業を省くことができる。
【0107】
<第1の裏面部262>
第1の裏面部262には、パターン導体282が形成される。パターン導体282は、電池の負極端子に電気的に接続することができる。第1の裏面部262は、環状部210や電池収容部260の裏側である。第1の裏面部262は、略半円状の平坦な領域を有する。第1の裏面部262は、パターン導体282を第1の接点用パターン導体286に電気的に接続するための平面である。
【0108】
<第2の裏面部264>
第2の裏面部264は、パターン導体282が形成される。パターン導体282は、電池の負極端子に電気的に接続することができる。第2の裏面部264は、環状部210や電池収容部260の裏側である。第2の裏面部264は、略半円状の平坦な領域を有する。第2の裏面部264は、パターン導体282を第2の接点用パターン導体288に電気的に接続するための平面である。
【0109】
<第1把持部266>
第1把持部266は、略長形状の枠体の形状を有する。第1把持部266は、中心O2から離隔する方向に突出する。第1把持部266は、第1の環状薄板部222及び第2の環状薄板部242が延在する面に沿って突出する。
【0110】
<第2把持部268>
第2把持部268は、略長形状の枠体の形状を有する。第2把持部268は、中心O2から離隔する方向に突出する。第2把持部268は、第1の環状薄板部222及び第2の環状薄板部242が延在する面に沿って突出する。
【0111】
第1把持部266と第2把持部268とは、中心O2を挟んで互いに離れる方向に延在する。
【0112】
<フック部270>
フック部270は、長尺な形状を有する。フック部270は、構造体接触構造10を、取り付け対象物(図示せず)に掛止させる。フック部270は、固定端部272と自由端部274を有する。固定端部272は、第1把持部266に固定的に取り付けられる。
自由端部274は、固定されていない。フック部270は、固定端部272を中心に弾性変形できる。
【0113】
<貫通孔部278>
貫通孔部278は、長尺な形状を有する。
貫通孔部278は、フック部270と略平行に形成される。貫通孔部278は、フック部270と向かい合う。
【0114】
<<<第2の構造体200の電気的構成>>>
第2の構造体200は、給電用のパターン導体を有する。パターン導体は、パターン導体282と、第1の接点用パターン導体286及び第2の接点用パターン導体288とを有する。本実施の形態では、パターン導体282は、第2の構造体200における負極側のパターン導体である。
【0115】
<第1の接点用パターン導体286>
第1の接点用パターン導体286は、第1の環状薄板部222の裏面に形成されたパターン導体である。第1の接点用パターン導体286は、第1の構造体100の第1の接点用パターン導体186と電気的に接続可能である。第1の接点用パターン導体286は、略環状扇形の形状を有する。
【0116】
<第2の接点用パターン導体288>
第2の接点用パターン導体288は、第2の環状薄板部242の裏面に形成されたパターン導体である。第2の接点用パターン導体288は、第1の構造体100の第2の接点用パターン導体188と電気的に接続可能である。第2の接点用パターン導体288は、略環状扇形の形状を有する。
【0117】
<<<第1の構造体100及び第2の構造体200の形成並びにパターン導体の形成>>>
第1の構造体100及び第2の構造体200は、立体的に成形された後に、レーザー照射処理及びめっき処理によって、表面にパターン導体が形成され、その後、必要に応じて、レジストインキの塗布処理および硬化処理によって、ソルダーレジストを形成する。第1の構造体100及び第2の構造体200の成形材料としては、セラミック等の無機系材料や樹脂を用いた有機系材料が挙げられる。
【0118】
無機系材料としては、シリカ、ノイブルグ珪土、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、タルク、クレー、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、天然マイカ、合成マイカ、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、酸化鉄、酸化チタン、酸化アルミニウム、ガラス粉末、非繊維状ガラス、ガラスファイバー、カーボン、カーボンファイバー、ハイドロタルサイト、ミネラルウール、アルミニウムシリケート、カルシウムシリケート、亜鉛華、窒化ケイ素、サイアロン、炭化ケイ素窒化アルミニウム等を好適に用いることができる。有機系材料としては、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等を好適に用いることができる。
【0119】
第1の構造体100及び第2の構造体200は、樹脂成形品からなり、樹脂成形品に回路が形成されるものが好ましい。第1の構造体100及び第2の構造体200は、重量が軽く成形が容易な熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂を用いることが望ましい。公知慣用の樹脂を用いることができるが、特に、第1の構造体100及び第2の構造体200は、はんだなどを用いて電子部品を電気的に接続させるので、耐熱性に優れたフッ素樹脂、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリアミド、ポリフェニレンエーテル、非晶ポリアリレート、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンスルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、液晶ポリマー等のエンジニアリングプラスチックや、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、不飽和ポリエステル、シリコン樹脂等の熱硬化性樹脂が好適である。
【0120】
第1の構造体100及び第2の構造体200の表面にパターン導体を形成する方法は、既知の手法を用いることができ、目的に応じて適宜選択すればよい。特に、第1の構造体100及び第2の構造体200の材料である成形用樹脂に非導電性金属化合物を分散させ、この成形用樹脂を用いて第1の構造体100及び第2の構造体200を成形した後に、レーザー光をパターン導体の位置や大きさや形状に合わせて照射して金属核を生じさせることで事前処理領域を形成し、その後、めっきを施してパターン導体を形成することが好ましい。事前処理領域は、パターン導体を形成するための領域に金属核を生じさせるパターンである。後述するめっき処理をすることで金属核を生じさせた領域にパターン導体が形成される。
【0121】
このような非導電性金属化合物としては、特許6265308号等にて示される非導電性金属化合物が挙げられ、例えば、スピネル型の金属酸化物、周期表第3族~第12族の中から選択されておりかつ当該族が隣接する2以上の遷移金属元素を有する金属酸化物(以下、単に遷移金属元素を有する金属酸化物と言う)、および錫含有酸化物からなる群から選択される一種以上を含むことができる。
スピネル型とは複酸化物でAB型の化合物(AとBは金属元素)にみられる結晶構造型をいう。スピネル型の金属酸化物を構成する金属原子としては、例えば銅やクロムが挙げられる。
上記遷移金属元素を有する金属酸化物は、周期表のn族の金属とn+1族の金属とを含有する金属酸化物と表すことができる。周期表のn族に属する金属としては、例えば、3族(スカンジウム、イットリウム)、4族(チタン、ジルコニウムなど)、5族(バナジウム、ニオブなど)、6族(クロム、モリブテンなど)、7族(マンガンなど)、8族(鉄、ルテニウムなど)、9族(コバルト、ロジウム、イリジウムなど)、10族(ニッケル、パラジウム、白金)、11族(銅、銀、金など)、12族(亜鉛、カドミウムなど)、13族(アルミニウム、ガリウム、インジウムなど)が挙げられる。周期表のn+1族の金属としては、例えば、4族(チタン、ジルコニウムなど)、5族(バナジウム、ニオブなど)、6族(クロム、モリブテンなど)、7族(マンガンなど)、8族(鉄、ルテニウムなど)、9族(コバルト、ロジウム、イリジウムなど)、10族(ニッケル、パラジウム、白金)、11族(銅、銀、金など)、12族(亜鉛、カドミウムなど)、13族(アルミニウム、ガリウム、インジウムなど)が挙げられる。
上記錫含有酸化物は、少なくとも錫を含有する金属酸化物である。錫含有酸化物を構成する金属元素は錫のほかにアンチモンを用いても良い。
これらの中でもスピネル型の金属酸化物を好適に用いることができ、特に、亜クロム酸銅(CuCr)といった銅又はクロムを含むスピネル型の金属酸化物を好適に用いることができる。
【0122】
被導電性金属化合物の含有量は、樹脂成形品の全固形分量に対して、例えば2~25質量%であり、好ましくは4~20質量%である。
【0123】
第1の構造体100及び第2の構造体200の表面には、パターン導体が第1の構造体100及び第2の構造体200と一体に形成される。パターン導体を第1の構造体100及び第2の構造体200の表面に一体に形成することで、第1の構造体100及び第2の構造体200は、立体成形基板として機能する。
【0124】
第1の構造体100及び第2の構造体200は、金型成型、切削成型又は3Dプリンターによる3Dプリンティング等により作製される。
【0125】
<<<第1の構造体100及び第2の構造体200の加工工程>>>
第1の構造体100及び第2の構造体200の加工工程は、主に、レーザー照射処理、めっき処理、レジストインキ塗布処理、硬化処理からなる。
【0126】
<<レーザー照射処理>>
レーザー照射は、レーザー照射装置を用いて、レーザー光を第1の構造体100及び第2の構造体200の表面に照射して、事前処理領域を形成する処理である。
【0127】
レーザー照射の処理に際しては、第1の構造体100及び第2の構造体200を一定の位置に設ける。レーザー照射装置の記憶装置(図示せず)からパターンデータを読み出し、第1の構造体100及び第2の構造体200の表面に向かって、パターンデータが示す位置にレーザーを照射する。
【0128】
レーザー光線は、前記非導電性金属錯体に照射することにより、金属核を放出させることができるものであれば、特に制限はない。レーザー光線の波長としては、例えば、248nm、308nm 、355nm、532nm、1064nmおよび10600nmを用いることができる。
【0129】
<<めっき処理>>
めっき処理は、事前処理領域に導電部を生成してパターン導体を形成する工程である。具体的には、めっき処理には、無電解めっき(Cu、Ni、Au)などがある。
【0130】
<<レジストインキ塗布処理および硬化処理>>
レジスト塗布処理は、形成したパターン導体を被覆して保護する保護膜を形成する工程である。レジスト塗布処理は、具体的には、スプレーを用いて全面を塗布する。
【0131】
レジスト塗布処理に際しては、第1の構造体100及び第2の構造体200を一定の位置に掛止させる。この状態で、第1の構造体100及び第2の構造体200の全面にレジストを塗布し、硬化処理を行う。
【0132】
さらに、レジスト剥離処理に用いる治具(図示せず)の一定の位置に第1の構造体100及び第2の構造体200を設ける。この状態で、レーザー照射装置の記憶装置からパターンデータを読み出し、第1の構造体100及び第2の構造体200の表面に向かって、レジストを剥離する電極部分の位置にレーザーを照射する。これにより、はんだ付けなどのための電極の部分からレジストを除去することができる。
【0133】
<<<取り付け並びに電気的接続状態及び非接続状態>>>
以下では、第1の構造体100を第2の構造体200に取り付けて、電気的接続状態と非接続状態との切り替えについて説明する。
【0134】
図11は、第1の構造体100を第2の構造体200に取り付ける過程を示す断面図である。図12は、第1の構造体100を第2の構造体200に取り付ける過程を示す断面図である。図13は、第1の構造体100を第2の構造体200に対して角度θだけ正面視で時計回りに回転させた状態を示す背面図である。
【0135】
なお、図11及び図12は、第1の構造体100については、図3中のA-A線断面図であり、第2の構造体200については、図7中のB-B線断面図である。図11及び図12では、明瞭のため、第2の構造体200の一部を省略して示した。図11b及び図12a及びbでは、明瞭のため、第1の構造体100の一部を破線で示した。図11b及び図12a及びbでは、第1の構造体100の中心O1と第2の構造体200の中心O2とは一致するので、単に中心Oと示した。また、図13は、第1の構造体100については、明瞭のため、側部130並びに第1の内方向突出部142及び第2の内方向突出部162のみを示し、他は省略して示した。
【0136】
<第1の構造体100の第2の構造体200への取り付け>
まず、図11aに示すように、第1の構造体100の第1の内方向突出部142を、第2の構造体200の第1の切り欠き部228に位置づけるとともに、第1の構造体100の第2の内方向突出部162を、第2の構造体200の第2の切り欠き部248に位置づける。第1の内方向突出部142を第1の切り欠き部228を介して挿通させ、第2の内方向突出部162を第2の切り欠き部248を介して挿通させる。これにより、図11bに示すように、第1の構造体100を第2の構造体200に重ねた状態にできる。この図11bに示す状態では、まだ、第1の環状薄板部222及び第2の環状薄板部242は、第1の内方向突出部142に接触していない。
【0137】
<第1の構造体100の第2の構造体200への回転>
次に、第1の構造体100を第2の構造体200に取り付けた状態(図11b)から、第1の構造体100を第2の構造体200に対して回転させる。この動作より、図11bに示す状態から図12aに示す状態に至るまでの過程においては、第1の環状薄板部222は、第1の構造体100の裏面部120と、第1の内方向突出部142の表面144との間に位置する。同様に、第2の環状薄板部242は、第1の構造体100の裏面部120と、第2の内方向突出部162の表面164との間に位置する。
【0138】
<第1の構造体100の移動可能状態1>
前述したように、第1の環状薄板部222の厚みDは、第1の切り欠き部228の近くでは薄い。第2の環状薄板部242の厚みDも、第2の切り欠き部248の近くでは薄い。このため、第1の構造体100の裏面部120と、第1の内方向突出部142の表面144とは、第1の環状薄板部222を挟んだ状態で移動できる。第1の内方向突出部142は、周方向に弧状に移動する。
【0139】
前述したように、第1の環状薄板部222の厚みDは、第1の切り欠き部228から第1の端部232や第2の端部234に向かうに従って徐々に厚くなる。このため、第1の内方向突出部142が移動するに従って、第1の内方向突出部142の表面144は、第1の環状薄板部222に徐々に近づく。すなわち、第1の内方向突出部142が移動するに従って、第1の内方向突出部142の表面144と、第1の環状薄板部222との距離は、徐々に小さくなる。
【0140】
同様に、第1の構造体100の裏面部120と、第2の内方向突出部162の表面164とは、第2の環状薄板部242を挟んだ状態で移動できる。第2の内方向突出部162は、周方向に弧状に移動する。
【0141】
第2の環状薄板部242の厚みDも、第2の切り欠き部248から第1の端部252や第2の端部254に向かうに従って徐々に厚くなる。このため、第2の内方向突出部162が移動するに従って、第2の内方向突出部162の表面164は、第2の環状薄板部242に徐々に近づく。すなわち、第2の内方向突出部162が移動するに従って、第2の内方向突出部162の表面164と、第2の環状薄板部242との距離は、徐々に小さくなる。
【0142】
また、第1の構造体100の裏面部120と、第1の内方向突出部142の表面144とのいずれか一方が、第1の環状薄板部222と一時的に接触することがあっても摺動しつつ移動することができる。同様に、第1の構造体100の裏面部120と、第2の内方向突出部162の表面164とのいずれか一方が、第2の環状薄板部242と一時的に接触することがあっても摺動しつつ移動することができる。
【0143】
<第1の構造体100の移動可能状態2>
さらに、第1の構造体100を第2の構造体200に対して回転移動させる。なお、この状態も、図11bに示す状態から図12aに示す状態に至るまでの過程である。これにより、第1の内方向突出部142が、第1の端部232や第2の端部234に近づくように、かつ、第2の内方向突出部162が、第1の端部252や第2の端部254に近づくように移動する。この動作により、第1の内方向突出部142の表面144が、第1の環状薄板部222と摺動しつつ移動することができる。第1の内方向突出部142が移動するに従って、第1の内方向突出部142の表面144は、第1の環状薄板部222にさらに近づく。同様に、第2の内方向突出部162の表面164が、第2の環状薄板部242と摺動しつつ移動することができる。第2の内方向突出部162が移動するに従って、第2の内方向突出部162の表面164は、第2の環状薄板部242にさらに近づく。
【0144】
<電気的接続状態1>
この移動可能状態2では、第1の環状薄板部222の裏面に形成された第1の接点用パターン導体286は、摺動により、第1の内方向突出部142に形成された第1の接点用パターン導体186と接触する。これにより、第1の接点用パターン導体286と第1の接点用パターン導体186との間で電気的接続が形成される。同様に、第2の環状薄板部242の裏面に形成された第2の接点用パターン導体288は、摺動により、第2の内方向突出部162に形成された第2の接点用パターン導体188と接触する。これにより、第2の接点用パターン導体288と第2の接点用パターン導体188との間で電気的接続が形成される。
【0145】
なお、この状態は、摺動し易い状態であるので、電気的接続は、安定しない状態になり易い。
【0146】
<第1の構造体100の移動困難状態>
さらに、第1の構造体100を第2の構造体200に対して回転移動させる。これにより、第1の内方向突出部142は、第1の端部232や第2の端部234に近づくように、かつ、第2の内方向突出部162は、第1の端部252や第2の端部254に近づくように移動する。この動作により、図12a及び図13に示すように、第1の内方向突出部142の表面144は、第1の環状薄板部222に押圧されることで移動困難となる。同様に、第2の内方向突出部162の表面164は、第2の環状薄板部242に押圧されることで移動困難となる。
【0147】
第1の構造体100の移動困難状態では、第1の内方向突出部142は、第1の端部232や第2の端部234に移動しておらず当接していない。同様に、第2の内方向突出部162も、第1の端部252や第2の端部254に移動しておらず当接していない。第1の内方向突出部142の表面144は、第1の環状薄板部222によって押圧された状態となって移動困難となる。同様に、第2の内方向突出部162の表面164は、第2の環状薄板部242によって押圧された状態となって移動困難となる。
【0148】
<電気的接続状態2>
この移動困難状態では、第1の環状薄板部222の裏面に形成された第1の接点用パターン導体286と、第1の内方向突出部142に形成された第1の接点用パターン導体186とは、第1の環状薄板部222による押圧によって、一定の位置(第1の位置)で静止した状態となる。第1の接点用パターン導体286は、第1の接点用パターン導体186と接触した状態で係止する。これにより、第1の接点用パターン導体286と第1の接点用パターン導体186との間で電気的接続が安定して形成される。
【0149】
同様に、第2の環状薄板部242の裏面に形成された第2の接点用パターン導体288と、第2の内方向突出部162に形成された第2の接点用パターン導体188とは、第2の環状薄板部242による押圧によって、一定の位置(第1の位置)で静止した状態となる。第2の接点用パターン導体288は、第2の接点用パターン導体188と接触した状態で係止する。これにより、第2の接点用パターン導体288と第2の接点用パターン導体188との間で電気的接続が安定して形成される。
【0150】
前述したように、第1の接点用パターン導体286と、第1の接点用パターン導体186とは、静止した状態で接触しているので、電気的接続は安定的に維持される。
【0151】
<<<経時変化>>>
<<使用当初>>
前述した第1の構造体100の移動困難状態では(図12a)、第1の内方向突出部142の表面144は、第1の環状薄板部222によって押圧されて係止して移動困難となる。同様に、第2の内方向突出部162の表面164は、第2の環状薄板部242によって押圧されて係止して移動困難となる。
【0152】
この移動困難状態では、図12aに示すように、第1の内方向突出部142は、係止位置P1に係止され、第2の内方向突出部162も、同様に、係止位置(図示せず)で係止される。第2の内方向突出部162は、中心Oについて第1の内方向突出部142と点対称の位置に配置されており、同様の構成及び動作をする。以下、主に、第1の内方向突出部142について説明する。
【0153】
この係止位置P1は、第1の端部232ではなく、第1の端部232よりも第1の切り欠き部228に近い位置である。すなわち、係止位置P1と第1の端部232との間は、未使用の状態である。言い換えれば、係止位置P1と第1の端部232との間の第1の接点用パターン導体286は、まだ、第1の内方向突出部142によって摺動されていない状態を維持する。
【0154】
第2の内方向突出部162についても同様で、係止位置P1に対応する係止位置(図示せず)と第1の端部252との間の第2の接点用パターン導体288は、まだ、第2の内方向突出部162によって摺動されていない状態を維持する。
【0155】
<<使用経過後>>
構造体接触構造10の使用が進み、第1の構造体100が第2の構造体200に対して繰り返し変位されると、第1の環状薄板部222の第1の接点用パターン導体286や第2の環状薄板部242の第2の接点用パターン導体288は、徐々に摩耗していき、摩損領域WT(図12b)が生ずる。なお、摩耗とは、第1の接点用パターン導体286や第2の接点用パターン導体288の一部が擦り減ってはいるが残っており、導体として機能できる状態をいう。一方、摩損とは、第1の接点用パターン導体286や第2の接点用パターン導体288の一部が完全に削れたり剥がれたりして、その部分は、導体として機能できない状態をいう。なお、摩損領域WTは、第1の接点用パターン導体286や第2の接点用パターン導体288だけでなく、摩耗が進行することで、第1の環状薄板部222や第2の環状薄板部242までもが摩損する場合も想定される。第1の接点用パターン導体286や第2の接点用パターン導体288が摩損することで電気的接続状態は、不安定な状態になり易い。
【0156】
しかしながら、第1の接点用パターン導体286や第2の接点用パターン導体288が摩損することで、摩損領域WTにおける第1の接点用パターン導体286や第2の接点用パターン導体288の厚みは薄くなる。さらに、摩損領域WTにおける第1の接点用パターン導体286や第2の接点用パターン導体288が失われ、第1の環状薄板部222や第2の環状薄板部242が削られる場合もあり得る。これにより、摩損領域WTにおける第1の環状薄板部222や第2の環状薄板部242の厚みが薄くなる。
【0157】
第1の接点用パターン導体286が薄くなったり、第1の環状薄板部222が薄くなったりすることで、第1の内方向突出部142は、第1の位置である係止位置P1よりも第1の端部232に近い新たな第1の位置(係止位置P2)にまで移動することができる。第1の内方向突出部142は、係止位置P2で係止されるようになる。すなわち、第1の内方向突出部142の第1の接点用パターン導体186は、未だ摩損していない未使用の第1の接点用パターン導体286と接触することができ、電気的接続状態を維持することができる。
【0158】
図12の断面図において、中心Oと係止位置P2との長さは、中心Oと係止位置P1との長さよりも長い。係止位置P2は、係止位置P1よりも中心Oから遠い位置となる。すなわち、係止位置P2は、第1の端部232に近い位置となる。
【0159】
第2の接点用パターン導体288も同様で、第2の内方向突出部162の第2の接点用パターン導体188も、未だ摩損していない未使用の第2の接点用パターン導体288と接触することができ、電気的接続状態を維持することができる。
【0160】
このように、構造体接触構造10が使用されていくことにより、第1の接点用パターン導体286や第2の接点用パターン導体288の摩耗が進んだ場合であっても、未使用の第1の接点用パターン導体286や第2の接点用パターン導体288を徐々に利用することができ、電気的接続状態を長い期間に亘って維持することができる。構造体接触構造10の使用可能期間(寿命)を長くすることができる。
【0161】
図11aに示すように、第1の案内部220は、第1の端部232及び第2の端部234とを有する。同様に、第2の案内部240は、第1の端部252及び第2の端部254とを有する。
【0162】
第1の環状薄板部222の第1の接点用パターン導体286の摩耗や摩損が進んだときには、第1の内方向突出部142は、第1の端部232や第2の端部234に到達し、第1の端部232や第2の端部234と当接することができる。第1の内方向突出部142が第1の端部232や第2の端部234と当接することで、第1の内方向突出部142の移動を制限したり規制したりする。すなわち、第1の端部232や第2の端部234は、第1の内方向突出部142のストッパとして機能する。第1の接点用パターン導体286の摩耗や摩損が進んだ場合であっても、第1の端部232や第2の端部234によって、第1の内方向突出部142の移動可能範囲を一定に保つことができ、第2の構造体200の破損を防止することができる。
【0163】
同様に、第2の環状薄板部242の第2の接点用パターン導体288の摩耗や摩損が進んだときには、第2の内方向突出部162は、第1の端部252や第2の端部254に到達し、第1の端部252や第2の端部254と当接することができる。第2の内方向突出部162が第1の端部252や第2の端部254と当接することで、第2の内方向突出部162の移動を制限したり規制したりする。すなわち、第1の端部252や第2の端部254は、第2の内方向突出部162のストッパとして機能する。第2の接点用パターン導体288の摩耗や摩損が進んだ場合であっても、第1の端部252や第2の端部254によって、第2の内方向突出部162の移動可能範囲を一定に保つことができ、第2の構造体200の破損を防止することができる。
【0164】
<<<変形例1>>>
前述した例では、2つの電気的接点のみを形成する構成を示した。しかしながら、1つのみの電気的接点を設けても、3つ以上の電気的接点を設けてもよい。例えば、3つ以上の電気的接点を周方向に沿って位置するように構成することができる。2つ以上の電気的接点は、周方向に等間隔に設けても、非等間隔に設けてもよい。
【0165】
<<<変形例2>>>
前述した例では、給電用のパターン導体のみを有する構成を示した。しかしながら、パターン導体だけでなく、信号用のパターン導体を設けてもよい。例えば、電子部品を制御するための制御信号や、電子部品が検出して出力された検出信号などのためのパターン導体を形成できる。
【0166】
前述した例では、第1の構造体100を第2の構造体200に対して回転させるように説明した。しかしながら、第2の構造体200を第1の構造体100に対して回転させてもよい。第1の構造体100と第2の構造体200とを相対的に変位させて、電気的接続状態と、電気的非接続状態とを切り替えることができればよい。
【0167】
<<<<実施の形態の範囲>>>>
上述したように、本実施の形態を記載した。しかし、この開示の一部をなす記載及び図面は、限定するものと理解すべきでない。ここで記載していない様々な実施の形態等が含まれる。
【符号の説明】
【0168】
10 構造体接触構造
100 第1の構造体
186 第1の接点用パターン導体
188 第2の接点用パターン導体
200 第2の構造体
222 第1の環状薄板部
242 第2の環状薄板部
286 第1の接点用パターン導体
288 第2の接点用パターン導体
P1、P2 係止位置
O1、O2、O 中心
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13