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特開2024-169409送信装置、受信装置、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024169409
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】送信装置、受信装置、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04L 27/26 20060101AFI20241128BHJP
   H04H 20/28 20080101ALI20241128BHJP
【FI】
H04L27/26 113
H04H20/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024084466
(22)【出願日】2024-05-24
(31)【優先権主張番号】P 2023086315
(32)【優先日】2023-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】000004352
【氏名又は名称】日本放送協会
(74)【代理人】
【識別番号】110001106
【氏名又は名称】弁理士法人キュリーズ
(72)【発明者】
【氏名】朝倉 慎悟
(72)【発明者】
【氏名】竹内 知明
(72)【発明者】
【氏名】宮坂 宏明
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 明彦
(72)【発明者】
【氏名】平林 祐紀
(72)【発明者】
【氏名】神原 浩平
(72)【発明者】
【氏名】岡野 正寛
(72)【発明者】
【氏名】土田 健一
(57)【要約】
【課題】Lchを汎用的なデータ伝送に効率よく使用可能とすることで周波数利用効率を向上させる。
【解決手段】周波数同期用のLchキャリアを用いたデータ伝送であるLch信号伝送が可能な放送伝送システムで用いる送信装置は、FFTサイズの異なる複数のサブフレームを構成し、前記複数のサブフレームのそれぞれは、対応するFFTサイズに応じた数の前記Lchキャリアを含む、サブフレーム構成手段と、前記複数のサブフレームを貫いて前記LchキャリアにLch信号を配置するLch分離手段と、前記Lch信号が配置された前記複数のサブフレームを時分割で多重したフレームを構成するフレーム構成手段と、を備える。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
周波数同期用のLchキャリアを用いたデータ伝送であるLch信号伝送が可能な放送伝送システムで用いる送信装置であって、
FFTサイズの異なる複数のサブフレームを構成し、前記複数のサブフレームのそれぞれは、対応するFFTサイズに応じた数の前記Lchキャリアを含む、サブフレーム構成手段と、
前記複数のサブフレームを貫いて前記LchキャリアにLch信号を配置するLch分離手段と、
前記Lch信号が配置された前記複数のサブフレームを時分割で多重したフレームを構成するフレーム構成手段と、を備える
送信装置。
【請求項2】
前記Lch信号伝送に関するLch構成情報を含むTMCC信号を生成するTMCC生成手段をさらに備え、
前記Lch構成情報は、前記複数のサブフレームを貫いてLch信号の伝送を行うか、又はサブフレームごとに独立してLch信号の伝送を行うかを示すLch連結フラグを含み、
前記フレーム構成手段は、前記複数のサブフレームが配置されるサブフレーム区間よりも前のTMCC区間に前記TMCC信号を配置して前記フレームを構成する
請求項1に記載の送信装置。
【請求項3】
伝送するLch情報に対して誤り訂正符号化を行ってLch FECブロックを構成するLch FECブロック構成手段をさらに備え、
前記Lch分離手段は、前記複数のサブフレームを貫いてLch信号の伝送を行うことを前記Lch連結フラグが示す場合、1つのLch FECブロックが前記複数のサブフレームに跨がるように振分けを行う
請求項2に記載の送信装置。
【請求項4】
前記Lch分離手段は、前記サブフレームごとに独立してLchデータの伝送を行うことを前記Lch連結フラグが示す場合、1つのLch FECブロックが単一のサブフレームに含まれるように振分けを行う
請求項3に記載の送信装置。
【請求項5】
前記Lch構成情報は、Lchに有効なデータがあるか否かを示すLch有効フラグをさらに含み、
前記Lch FECブロック構成手段は、Lchに有効なデータがないことを前記Lch有効フラグが示す場合、Lch FECブロック分のデータとしてスタッフィングビットを挿入する
請求項2乃至4のいずれか1項に記載の送信装置。
【請求項6】
前記Lch構成情報は、Lchの階層数を示すLch階層数情報と、前記階層数分のLch階層伝送情報と、を含む
請求項2乃至4のいずれか1項に記載の送信装置。
【請求項7】
前記Lch階層伝送情報は、対応するLch階層のセグメント数を示すLchセグメント数情報、対応するLch階層の誤り訂正方式を示すFECタイプ情報、対応するLch階層のFEC頁数を示すFEC頁数情報、対応するLch階層のFECブロックの反復回数を示すFEC反復回数情報、対応するLch階層のFECブロックの先頭までのビット数を示すFECブロックポインタ情報、及び対応するLch階層の先頭FECブロックの反復回数を示すFECブロック反復回数ポインタ情報のうち、少なくとも1つを含む
請求項6に記載の送信装置。
【請求項8】
周波数同期用のLchキャリアを用いたデータ伝送であるLch信号伝送が可能な放送伝送システムで用いる受信装置であって、
FFTサイズの異なる複数のサブフレームが時分割で多重されたフレームを受信し、前記複数のサブフレームのそれぞれは、対応するFFTサイズに応じた数の前記Lchキャリアを含む、受信手段と、
前記複数のサブフレームを貫いて前記Lchキャリアに配置されたLch信号を取得するLch処理手段と、を備える
受信装置。
【請求項9】
コンピュータを請求項1に記載の送信装置又は請求項8に記載の受信装置として機能させる
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放送伝送システムで用いる送信装置、受信装置、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
地上デジタル放送の高品質化及び高機能化に向けて、非特許文献1で規定される現行のISDB-T(Integrated Services Digital Broadcasting-Terrestrial)方式の特長を継承した次世代地上放送の伝送方式(以下、「地上放送高度化方式」とも称する)の検討が進められている。
【0003】
ISDB-Tでは、階層伝送により、移動受信サービス及び固定受信サービスを1つのチャンネルで同時に提供している。地上放送高度化方式においても、階層伝送により1つのチャンネル内で複数のサービスやコンテンツを伝送することが想定される。
【0004】
ここで、ISDB-Tでは、周波数分割多重をベースとした階層伝送が可能である。具体的には、1つのチャンネルの伝送帯域を13個のセグメントに分割して、移動受信用及び固定受信用にそれぞれセグメントを割り当てることで、階層伝送を実現している。移動受信階層を中央の1セグメントに設定することで、狭帯域受信を行うことができ、受信装置にとっては省電力受信できることがメリットである。
【0005】
一方、欧米の放送規格であるDVB-T2やATSC(Advanced Television Systems Committee)3.0では、時分割多重をベースとした階層伝送が可能である。具体的には、階層をOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)シンボル単位で区切り複数のサブフレーム、例えば、移動受信用サブフレーム及び固定受信用サブフレームを設けることができる(例えば、非特許文献2参照)。時分割多重の場合、サブフレームごとにFFT(Fast Fourier Transform)サイズを変えることができるため、サービスに応じて最適なFFTサイズの設定が可能である。
【0006】
また、放送伝送システムでは、コンテンツなどの本線系の信号の他に、伝送パラメータ等の制御情報も多重して伝送する必要がある。周波数分割多重をベースとするISDB-Tでは、特定のOFDMサブキャリアを制御情報伝送用として割り当てており、フレーム(「OFDMフレーム」とも称する)を単位として、制御情報を伝送する。ISDB-Tの場合は、TMCC(Transmission and Multiplexing Configuration Control)信号がこれに相当する。一方、時分割多重をベースとするDVB-T2やATSC3.0では、フレーム先頭の数シンボルにて制御情報を伝送する。ATSC3.0では、bootstrap、プリアンブル信号がこれに相当する。
【0007】
従来の放送方式は、多重方法として周波数分割多重もしくは時分割多重のどちらか一方をベースとした方式であったが、周波数分割多重及び時分割多重はそれぞれ異なるメリットがある。また、サービスの要求条件に応じて最適な多重方法は異なる。しかしながら、既存の放送伝送システムにおいては、周波数分割多重もしくは時分割多重のいずれか一方を選択する必要があり、サービスの要求条件に応じて最適な多重方法を適用することができない問題がある。
【0008】
このような問題に鑑み、特許文献1には、地上放送高度化方式においてサービスの要求条件に応じて最適な多重方法を適用可能な技術が記載されている。具体的には、特許文献1に記載の技術では、周波数分割多重及び時分割多重のいずれの階層伝送にも対応であって、フレームの先頭に同期信号(プリアンブル信号)及びTMCC(伝送制御情報)を配置して伝送している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2022-181709号公報
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】ARIB STD-B31 一般社団法人 電波産業会
【非特許文献2】ATSC 3.0 Standard:Physical Layer Protocol A/322:2020 P245-249, https://www.atsc.org/wp-content/uploads/2020/01/A322-2020-Physical-Layer-Protocol.pdf
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
地上放送高度化方式の特徴の1つとして、周波数同期用のパイロットキャリアであるLch(L channel)キャリアを用いた低遅延高耐性のデータ伝送(「Lchデータ伝送」若しくは「Lch信号伝送」とも称する)が挙げられる。その特徴を生かして、例えば緊急地震速報のフラグ伝送等へのLch信号伝送を適用することで、周波数利用効率を向上させることが検討されている。しかしながら、Lchを汎用的なデータ伝送に効率よく使用可能とする技術は未だ実現されていない。
【0012】
そこで、本発明は、Lchを汎用的なデータ伝送に効率よく使用可能とすることで周波数利用効率を向上させる送信装置、受信装置、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
第1の態様に係る送信装置は、周波数同期用のLchキャリアを用いたデータ伝送であるLch信号伝送が可能な放送伝送システムで用いる送信装置であって、FFTサイズの異なる複数のサブフレームを構成し、前記複数のサブフレームのそれぞれは、対応するFFTサイズに応じた数の前記Lchキャリアを含む、サブフレーム構成手段と、前記複数のサブフレームを貫いて前記LchキャリアにLch信号を配置するLch分離手段と、前記Lch信号が配置された前記複数のサブフレームを時分割で多重したフレームを構成するフレーム構成手段と、を備える。
【0014】
第2の態様に係る受信装置は、周波数同期用のLchキャリアを用いたデータ伝送であるLch信号伝送が可能な放送伝送システムで用いる受信装置であって、FFTサイズの異なる複数のサブフレームが時分割で多重されたフレームを受信し、前記複数のサブフレームのそれぞれは、対応するFFTサイズに応じた数の前記Lchキャリアを含む、受信手段と、前記複数のサブフレームを貫いて前記Lchキャリアに配置されたLchデータ信号を取得するLch処理手段と、を備える。
【0015】
第3の態様に係る送信装置は、周波数同期用のLchキャリアを用いたデータ伝送であるLch信号伝送が可能な放送伝送システムで用いる送信装置であって、それぞれ前記Lchキャリアを含む複数のサブフレームを構成するサブフレーム構成手段と、Lchの階層数を示すLch階層数情報と、前記Lchの階層数分のLch階層伝送情報とを含むTMCC信号を生成するTMCC生成手段と、前記TMCC信号が配置されるTMCC区間と、前記TMCC区間の後に前記複数のサブフレームが配置されるサブフレーム区間とを含むフレームを構成するフレーム構成手段と、を備える。
【0016】
第4の態様に係る受信装置は、周波数同期用のLchキャリアを用いたデータ伝送であるLch信号伝送が可能な放送伝送システムで用いる受信装置であって、TMCC信号が配置されるTMCC区間と、前記TMCC区間の後の区間であって、それぞれ前記Lchキャリアを含む複数のサブフレームが配置されるサブフレーム区間とを含むフレームを受信する受信手段と、Lchの階層数を示すLch階層数情報と、前記Lchの階層数分のLch階層伝送情報とを前記TMCC信号から取得するTMCC処理手段と、を備える。
【0017】
第5の態様に係るプログラムは、コンピュータを上述の態様に係る送信装置又は上述の態様に係る受信装置として機能させる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、Lchを汎用的なデータ伝送に効率よく使用可能とすることで周波数利用効率を向上させる送信装置、受信装置、及びプログラムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施形態に係る放送伝送システムを示す図である。
図2】実施形態に係る放送伝送システムで用いるフレーム構成例を示す図である。
図3】実施形態に係る放送伝送システムで適用可能なサブフレーム間インターリーブを説明するための図である。
図4】実施形態に係るサブフレーム区間の伝送パラメータの一例を示す図である。
図5】実施形態に係るサブフレーム区間のOFDMセグメント構成の一例を示す図である。
図6】実施形態に係るLchキャリア配置の一例を示す図である。
図7】実施形態に係る送信装置におけるフレーム構成部を示す図である。
図8】実施形態に係るLch分離部の構成を示す図である。
図9】実施形態に係る各サブフレーム構成部におけるOFDM変調部を示す図である。
図10】実施形態に係る単一サブフレーム構成時のOFDMフレーム化の動作概念図である。
図11】実施形態に係る複数サブフレーム構成時であって、Lch連結フラグがオフ(Lch連結フラグ=0)である場合のOFDMフレーム化の動作概念図である。
図12】実施形態に係る複数サブフレーム構成時であって、Lch連結フラグがオフ(Lch連結フラグ=0)である場合のOFDMフレーム化の動作概念図である。
図13】実施形態に係るTMCC情報中のLch構成情報の一例について説明するための図である。
図14】実施形態に係るTMCC情報中のLch構成情報の一例について説明するための図である。
図15】実施形態に係るTMCC情報中のLch構成情報の一例について説明するための図である。
図16】実施形態に係る受信装置の一例を示す図である。
図17】実施形態に係るLch復調・復号部の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(1)実施形態の概要
まず、実施形態の概要について説明する。
【0021】
(1.1)第1の側面
現行の地上デジタル放送方式であるISDB-Tでは、階層伝送に周波数分割多重のみを用いる。FDMをベースとした従来のLchを用いたデータ伝送は、固定長のOFDMフレーム構成の信号を前提としたものであり、FFTサイズ(すなわち、サブキャリア数)は常に一定である。また、従来の技術では、Lchキャリア位置やビットレートも常に一定であるため、OFDMフレーム内でFECブロック構成が途切れない。
【0022】
一方、特許文献1に記載のような周波数分割多重及び時分割多重のいずれの階層伝送にも対応可能な方式は、可変長のOFDMフレーム構成に対応しており、異なるFFTサイズを時分割で設定可能である。例えば、固定受信階層には32k FFT、移動受信階層には16k FFTといった設定が可能である。なお、OFDMフレーム構成内に割り当てられた各FFTサイズの伝送単位を、サブフレームと呼ぶ。
【0023】
このような可変長のOFDMフレーム構成では、階層ごとに選択したFFTサイズ(各サブフレーム)のデータ伝送に使用可能なLchキャリア数が異なり得るため、Lchのデータレートがサブフレームごとに異なってしまい、所望のデータレートを達成できない課題がある。特に、Lchキャリア数が少ないサブフレームでは、Lchのデータレートが低くなり、汎用的なデータ伝送を行うことが困難であり得る。そこで、実施形態の第1の側面では、このような課題を解決可能とする。
【0024】
第1の側面の第1の特徴は、周波数同期用のLchキャリアを用いたデータ伝送であるLch信号伝送が可能な放送伝送システムで用いる送信装置であって、FFTサイズの異なる複数のサブフレームを構成し、前記複数のサブフレームのそれぞれは、対応するFFTサイズに応じた数の前記Lchキャリアを含む、サブフレーム構成手段と、前記複数のサブフレームに跨がって同一のLchデータを前記Lchキャリアに振分けるデータ振分け手段(前記複数のサブフレームを貫いて前記LchキャリアにLch信号を配置するLch分離手段)と、前記LchキャリアにLchデータが割り振られた前記複数のサブフレームを時分割で多重したフレームを構成するフレーム構成手段(前記Lch信号が配置された前記複数のサブフレームを時分割で多重したフレームを構成するフレーム構成手段)と、を備える、送信装置である。なお、「複数のサブフレームに跨がって」という表現及び「複数のサブフレームを貫いて」という表現は、略同義であり、互いに置換可能である。
【0025】
このような送信装置の特徴によれば、FFTサイズの異なる複数のサブフレームに跨がって同一のLchデータをLchキャリアに振分けることにより、サブフレームごとに独立してLchデータの伝送を行う場合に比べてLchのデータレート(伝送容量)を向上させることができるため、Lchを汎用的なデータ伝送に効率よく使用可能になる。よって、周波数利用効率の向上に資することができる。
【0026】
第1の側面の第2の特徴は、第1の側面の第1の特徴において、前記Lch信号伝送に関するLch構成情報を含むTMCC信号を生成するTMCC生成手段をさらに備え、前記Lch構成情報は、前記複数のサブフレームに跨がって同一のLchデータ(Lch信号)の伝送を行うか、又はサブフレームごとに独立してLchデータ(Lch信号)の伝送を行うかを示すLch連結フラグを含み、前記フレーム構成手段は、前記複数のサブフレームが配置されるサブフレーム区間よりも前のTMCC区間に前記TMCC信号を配置して前記フレームを構成する、送信装置である。
【0027】
このような送信装置の特徴によれば、複数のサブフレームに跨がって同一のLchデータの伝送を行うか、又はサブフレームごとに独立してLchデータの伝送を行うかを、TMCC信号により可変設定できるため、より柔軟なLch信号伝送を実現できる。
【0028】
第1の側面の第3の特徴は、第1の側面の第2の特徴において、伝送するLchデータ(Lch情報)に対して誤り訂正符号化を行ってLch FECブロックを構成するLch FECブロック構成手段をさらに備え、前記データ振分け手段は、前記複数のサブフレームに跨がって同一のLchデータの伝送を行うことを前記Lch連結フラグが示す場合、1つのLch FECブロックが前記複数のサブフレームに跨がるようにデータ振分けを行う、送信装置である。
【0029】
このような送信装置の特徴によれば、複数のサブフレームに跨がって同一のLchデータを円滑に伝送できる。
【0030】
第1の側面の第4の特徴は、第1の側面の第3の特徴において、前記データ振分け手段(Lch分離手段)は、前記サブフレームごとに独立してLchデータ(Lch信号)の伝送を行うことを前記Lch連結フラグが示す場合、1つのLch FECブロックが単一のサブフレームに含まれるようにデータ振分けを行う、送信装置である。
【0031】
このような送信装置の特徴によれば、サブフレームごとに独立してLchデータを円滑に伝送できる。
【0032】
第1の側面の第5の特徴は、第1の側面の第2乃至第4の特徴のいずれかにおいて、前記Lch構成情報は、有効なLchデータがあるか否か(Lchに有効なデータがあるか否か)を示すLch有効フラグをさらに含み、前記Lch FECブロック構成手段は、前記有効なLchデータがないことを前記Lch有効フラグが示す場合、Lch FECブロック分のデータとしてスタッフィングビットを挿入する、送信装置である。
【0033】
このような送信装置の特徴によれば、サブフレームごとに独立してLchデータを円滑に伝送できる。例えば緊急情報のフラグ伝送等へLch信号伝送を適用する場合、伝送するべきLchデータがない場合はスタッフィングビットを伝送してLchキャリアを周波数同期に利用可能としつつ、伝送するべきLchデータがある場合はLch有効フラグをオンにしてLch信号伝送を行うことができる。
【0034】
第1の側面の第6の特徴は、第1の側面の第2乃至第5の特徴のいずれかにおいて、前記Lch構成情報は、サブフレーム内の前記Lch信号伝送の階層数を示すLch階層数情報と、前記階層数分のLch階層伝送情報と、を含む、送信装置である。
【0035】
このような送信装置の特徴によれば、Lch信号伝送において階層伝送を行うことが可能になり、Lchを汎用的なデータ伝送に効率よく使用可能になる。よって、周波数利用効率の向上に資することができる。
【0036】
第1の側面の第7の特徴は、第1の側面の第6の特徴において、前記Lch階層伝送情報は、対応するLch階層のセグメント数を示すLchセグメント数情報、対応するLch階層の誤り訂正方式を示すFECタイプ情報、対応するLch階層のFEC頁数を示すFEC頁数情報、対応するLch階層のFECブロックの反復回数を示すFEC反復回数情報、対応するLch階層のFECブロックの先頭までのビット数を示すFECブロックポインタ情報、及び対応するLch階層の先頭FECブロックの反復回数を示すFECブロック反復回数ポインタ情報のうち、少なくとも1つを含む、送信装置である。
【0037】
このような送信装置の特徴によれば、Lch信号伝送において階層伝送を行う際に効果的な階層伝送が可能になる。
【0038】
第1の側面の第8の特徴は、周波数同期用のLchキャリアを用いたデータ伝送であるLch信号伝送が可能な放送伝送システムで用いる受信装置であって、FFTサイズの異なる複数のサブフレームを構成が時分割で多重されたフレームを受信し、前記複数のサブフレームのそれぞれは、対応するFFTサイズに応じた数の前記Lchキャリアを含む、受信手段と、前記複数のサブフレームに跨がって前記Lchキャリアに振分けられた同一のLchデータを取得するLch処理手段と、を備える、受信装置である。
【0039】
このような送信装置の特徴によれば、FFTサイズの異なる複数のサブフレームに跨がって振分けられた同一のLchデータを受信して取得できるため、Lchを汎用的なデータ伝送に効率よく使用可能になる。よって、周波数利用効率の向上に資することができる。
【0040】
第1の側面の第9の特徴は、コンピュータを第1の側面の第1の特徴に係る送信装置又は第1の側面の第8の特徴に係る受信装置として機能させる、プログラムである。
【0041】
(1.2)第2の側面
従来の技術では、Lchの階層伝送が実現されていない。具体的には、従来の技術では、部分受信フラグがオン、すなわち、伝送帯域に部分受信帯域が設けられる場合に限り、中央の部分受信階層をL0階層、それ以外の非部分受信階層をL1階層とし、最大2階層までのLch信号伝送が可能であるに過ぎない。
【0042】
その理由として、Lchの階層伝送を実現するためには多くの制御情報の伝送を必要とするが、従来の技術では、TMCCの伝送容量が十分でなく、Lchの階層伝送が想定されていないため、Lchの階層数や各階層のセグメント数などを柔軟に設定することができない。よって、従来の技術では、階層伝送を用いた汎用的なLch信号伝送を実現できない課題がある。そこで、実施形態の第2の側面では、このような課題を解決可能とする。
【0043】
第2の側面の第1の特徴は、周波数同期用のLchキャリアを用いたデータ伝送であるLch信号伝送が可能な放送伝送システムで用いる送信装置であって、それぞれ前記Lchキャリアを含む複数のサブフレームを構成するサブフレーム構成手段と、サブフレーム内の前記Lch信号伝送の階層数を示すLch階層数情報と、前記Lch信号伝送の階層数分のLch階層伝送情報とを含むTMCC信号を生成するTMCC生成手段と、前記TMCC信号が配置されるTMCC区間と、前記TMCC区間の後に前記複数のサブフレームが配置されるサブフレーム区間とを含むフレームを構成するフレーム構成手段と、を備える、送信装置である。
【0044】
このような送信装置の特徴によれば、Lchの階層数や各階層のセグメント数などを柔軟に設定することができ、Lchを汎用的な信号伝送に効率よく使用可能になる。よって、周波数利用効率の向上に資することができる。
【0045】
第2の側面の第2の特徴は、第2の側面の第1の特徴において、伝送するLchデータに対して誤り訂正符号化を行ってLch FECブロックを構成するLch FECブロック構成手段をさらに備え、前記Lch FECブロック構成手段は、前記Lch信号伝送の階層数分のLch FECブロック構成部を並列に動作させて、前記Lch信号伝送の階層数分のLch FECブロックを構成する、送信装置である。
【0046】
このような送信装置の特徴によれば、各Lch階層で伝送するLch FECブロックを適切に構成できるため、Lchを汎用的なデータ伝送に効率よく使用可能になる。
【0047】
第2の側面の第3の特徴は、第2の側面の第1又は第2の特徴において、前記複数のサブフレームの前記LchキャリアにLchデータを振分けるデータ振分け手段をさらに備え、前記Lch階層伝送情報は、対応するLch階層のセグメント数を示すLchセグメント数情報を含み、前記データ振分け手段は、各サブフレーム内のLch階層のセグメント数に基づき算出される伝送容量に応じてデータ振分けを行う、送信装置である。
【0048】
このような送信装置の特徴によれば、各Lch階層で伝送するLchデータをそのセグメント数に応じて適切に振分けることができるため、Lchを汎用的なデータ伝送に効率よく使用可能になる。
【0049】
第2の側面の第4の特徴は、第2の側面の第1乃至第3の特徴のいずれかにおいて、前記Lch階層伝送情報は、対応するLch階層の誤り訂正方式を示すFECタイプ情報、対応するLch階層のFEC頁数を示すFEC頁数情報、対応するLch階層のFECブロックの反復回数を示すFEC反復回数情報、対応するLch階層のFECブロックの先頭までのビット数を示すFECブロックポインタ情報、及び対応するLch階層の先頭FECブロックの反復回数を示すFECブロック反復回数ポインタ情報のうち、少なくとも1つを含む、送信装置である。
【0050】
このような送信装置の特徴によれば、Lch信号伝送において階層伝送を行う際に効果的な階層伝送が可能になる。
【0051】
第2の側面の第5の特徴は、周波数同期用のLchキャリアを用いたデータ伝送であるLch信号伝送が可能な放送伝送システムで用いる受信装置であって、TMCC信号が配置されるTMCC区間と、前記TMCC区間の後の区間であって、それぞれ前記Lchキャリアを含む複数のサブフレームが配置されるサブフレーム区間とを含むフレームを受信する受信手段と、サブフレーム内の前記Lch信号伝送の階層数を示すLch階層数情報と、前記Lch信号伝送の階層数分のLch階層伝送情報とを前記TMCC信号から取得するTMCC処理手段と、を備える、受信装置である。
【0052】
このような受信装置の特徴によれば、Lchの階層数や各階層のセグメント数などを柔軟に設定することに対応でき、Lchを汎用的なデータ伝送に効率よく使用可能になる。よって、周波数利用効率の向上に資することができる。
【0053】
第2の側面の第6の特徴は、コンピュータを第2の側面の第1の特徴に係る送信装置又は第2の側面の第5の特徴に係る受信装置として機能させる、プログラムである。
【0054】
(2)放送伝送システム
次に、図面を参照して、実施形態に係る放送伝送システムについて説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。
【0055】
(2.1)放送伝送システムの概要
図1は、本実施形態に係る放送伝送システム1を示す図である。
【0056】
図1に示すように、放送伝送システム1は、地上放送高度化方式に対応したシステムであって、階層伝送を行う地上デジタルテレビジョン放送システムである。放送伝送システム1は、送信装置100と、受信装置200とを有する。送信装置100は、放送伝送路500を介して放送信号を受信装置200に送信する。受信装置200は、固定受信を行う固定受信機又は移動受信を行う移動受信機であってもよい。受信装置200は、狭帯域受信(部分受信)を行う狭帯域受信機であってもよい。
【0057】
現行の地上デジタルテレビジョン放送の放送方式であるISDB-T(非特許文献1参照)では、マルチパス耐性に優れる直交周波数分割多重(OFDM)を変調方式とし、部分受信が可能なセグメント構造を取っている。1つのチャンネルで固定受信向けサービス及び移動受信向けサービスを同時に実現できることがISDB-T方式の長所であり、本実施形態に係る放送伝送システム1では、この点は引き続き継承する。
【0058】
一方、固定受信及び移動受信に求められる要求条件は大きく異なるため、それぞれに対応するための最適な伝送パラメータも異なる。本実施形態に係る放送伝送システム1では、このような異なる要求条件に対応するために、1つの伝送チャンネル内で2種類以上の有効シンボル長及びガードインターバル(GI)長を用いて階層化を実現する複数シンボル長OFDM形式を採用する。
【0059】
(2.2)フレーム構成例
図2は、本実施形態に係る放送伝送システム1で用いるフレーム構成例を示す図である。
【0060】
図2に示すように、本実施形態に係る放送伝送システム1では、複数階層を周波数分割多重したサブフレームを移動受信向けのサービスに割り当てるとともに、FFTサイズの異なる固定受信向けサービスに割り当てるサブフレームを時分割多重するなど、多様な階層伝送が可能である。さらに、フレームの末尾に拡張区間(拡張サブフレーム)を設けることもできる。
【0061】
フレームは、フレームの先頭から末尾に向けて、フレーム同期信号区間、TMCC区間、サブフレーム区間、及び拡張区間の順で構成される。
【0062】
フレーム内には異なる構成の複数のサブフレームを格納することができる。サブフレームは、セグメント構造を持つ単一又は複数の階層で構成される。1つのサブフレームは、シンボル長が同じ複数のシンボルで構成される。TMCC区間で伝送する伝送制御情報は可変長の情報量を持つとともに、フレーム末尾には拡張区間を設けることができる。具体的には、伝送制御信号(「TMCC信号」とも称する)を伝送するTMCC区間の後にサブフレーム区間を配置することにより、受信装置200は、伝送制御信号を受信した後にこれを用いて続くサブフレーム区間の信号を復調できる。さらに、サブフレーム区間の後ろに拡張区間を配置し、現時点では定まっていない使途に将来利用することが可能である。
【0063】
本実施形態に係る放送伝送システム1では、特定のサブフレームだけを選択的に受信する間欠受信が可能であり、伝送信号の周波数帯域の一部だけを選択的に受信する部分受信にも対応する。
【0064】
フレーム同期信号区間は、フレームの先頭に配置され、受信装置200における同期再生のための信号を伝送する区間である。フレーム同期シンボルからなる信号を逆高速フーリエ変換(IFFT)した5つのOFDMシンボルを時間領域において巡回した後に、サイクリックプレフィックス及びサイクリックポストフィックスの付加を行った信号である。部分受信帯域ありの場合、5つのOFDMシンボルを2回繰り返すことで計10シンボルによりフレーム同期信号区間を構成してもよい。また、フレーム同期信号区間では、後続のTMCC区間の伝送方式等に関する制御信号を伝送する。
【0065】
フレーム同期信号区間に配置されるフレーム同期信号は、受信装置200が、送信装置100の送信信号の存在を検知するとともに同期再生を行い、TMCC区間の信号を受信するために用いられる。フレーム同期信号で数十ビットの情報を伝送する必要があることから、フレーム同期信号は、雑音やマルチパス、周波数オフセットに対して耐性を有する。これにより多様な階層伝送が可能となるとともに将来の拡張性を担保することができる。
【0066】
TMCC区間は、フレーム構成やサブフレーム区間に関する可変長の伝送制御情報(「TMCC情報」とも称する)を伝送する区間である。多様な階層伝送を実現するために、フレームの先頭でフレーム同期信号区間の後にTMCC区間がデータ伝送とは独立に配置される。将来の拡張性を考慮し、可変長の伝送制御情報の伝送にも対応している。
【0067】
サブフレーム区間は、映像・音声等のデータを伝送する区間である。1つのフレーム内には単一又は複数のサブフレームが格納され、順にサブフレーム1、サブフレーム2と呼ぶ。それぞれのサブフレームは、単一又は複数のシンボルによって構成するとともに、セグメント構造による階層化が可能である。サブフレーム数の最大値は8である。例えば、1チャンネル内で複数の事業者がサービスを行う場合、それぞれの事業者がそれぞれのサブフレームを利用することも可能である。
【0068】
各サブフレームは、単一又は複数の階層により構成され、セグメント構造を取ることとする。階層は、伝送耐性が強い方から順にA階層、B階層、C階層・・・H階層と呼ぶ。各階層には、想定する電波伝搬環境に応じて最適な伝送パラメータを設定することができる。図2の例では、移動受信向け階層1は、超高耐性の階層であって、例えばA階層に相当する。移動受信向け階層2は、高耐性の階層であって、例えばB階層に相当する。固定受信向け階層は、例えばC階層に相当する。
【0069】
部分受信帯域ありの場合、A階層の全てのセグメントは中央の9セグメント内に格納される。この中央の9セグメントの帯域を部分受信帯域と呼び、その上下の13セグメント、合わせて26セグメントを非部分受信帯域と呼ぶ。そのときの部分受信の対象となる階層の最大セグメント数は9とする。なお、部分受信帯域なしの場合は、全帯域が非部分受信帯域である。また、階層数の最大値は8とする。
【0070】
(2.3)サブフレーム間インターリーブ
図3は、本実施形態に係る放送伝送システム1で適用可能なサブフレーム間インターリーブを説明するための図である。放送伝送システム1では、移動受信向けのサブフレームに対する時間の割り当てが少ない場合に伝送路の時間変動に対する耐性を確保するために、時間方向にサブフレーム区間を分散配置するサブフレーム間インターリーブをTMCC信号で設定可能であってもよい。
【0071】
図3(a)に、サブフレーム間インターリーブがオフ(分割数=1)の場合を示す。サブフレーム間インターリーブがオフ(分割数=1)の場合、サブフレーム番号順にフレーム内に格納される。
【0072】
図3(b)に、サブフレーム間インターリーブがオン(分割数=2)の場合を示す。サブフレーム間インターリーブがオン(分割数≧2)の場合、それぞれのサブフレーム区間は分割数で示される数に分割された後、サブフレーム番号順にフレーム内に格納される。サブフレーム間インターリーブのオン/オフは、TMCC情報中の分割数に関するパラメータ(inter_subframe_interleave)で示され、オフの場合は‘00’、オンの場合は‘00’以外とし、サブフレーム間インターリーブを適用する。例えば、サブフレーム1のシンボル数が14、サブフレーム2のシンボル数が48、分割数が3のとき、フレーム同期信号区間及びTMCC区間の後は、サブフレーム1が4シンボル、サブフレーム2が16シンボル配置される。これを分割数分繰り返す。シンボル数が分割数で割り切れない場合、サブフレームの先頭側から除算結果を整数値に切り捨て、1を加算したシンボル数を必要に応じて分割されたシンボル群に割り当てることとする。すなわち、上記の例ではサブフレーム1の全14シンボルは、5,5,4シンボルずつに、サブフレーム2の全48シンボルは、16,16,16シンボルずつに分割され、これらが交互に送信される。
【0073】
(2.4)サブフレーム区間の伝送パラメータの一例
図4は、本実施形態に係るサブフレーム区間の伝送パラメータの一例を示す図である。
【0074】
図4に示すように、6MHzで区切られるチャンネルを複数のセグメントに分割する際の数は36であり、このうち最大35セグメントを信号伝送に用いる。これにより固定受信及び移動受信への帯域割り当てをより柔軟に行うことができる。また、パイロット信号の配置は、固定受信及び移動受信でそれぞれに最適な配置を選択できるようにする。さらに、1つのセグメントを3つのサブセグメントに分割可能とする。雑音耐性の高い1次変調パラメータを用いる高耐性階層と、これよりもさらに雑音耐性が高い1次変調パラメータを適用した超高耐性階層を構成することで、特に移動受信時のサービス可用性を高めることが可能である。
【0075】
FFTサイズは、現行地上デジタルテレビジョン放送では8k(8,192(213)ポイント)で運用されているが、本実施形態では、最大32k(32,768(215)ポイント)まで拡大する。FFTサイズを大きくするとキャリア周波数間隔が小さくなることから、有効シンボル長が長くなり、GI長を一定としたときのGI比が小さくなり、GIによるオーバーヘッドを削減できる。また、現行地上デジタルテレビジョン放送との両立性を考慮し、GI長や時間インターリーブ長が現行地上デジタルテレビジョン放送と同等であるパラメータも用意されている。
【0076】
誤り訂正符号は、LDPC(Low Density Parity Check)符号及びBCH(Bose-Chaudhuri-Hocquenghem)符号の連接符号を用いる。これにより、雑音耐性を大幅に向上させることができる。また、信号点の配置を不均一(NUC:Non-Uniform Constellation)にすることにより、多値変調における雑音耐性の向上を図っている。
【0077】
(2.5)サブフレーム区間のOFDMセグメント構成の一例
図5は、本実施形態に係るサブフレーム区間のOFDMセグメント構成の一例を示す図である。
【0078】
図5に示すように、サブフレーム区間では、SP、BP、Lch及びデータを用いてOFDMセグメントを構成する。SP及びBPはいずれもパイロット信号であり、SPはスキャッタードパイロット、BPは境界パイロットをそれぞれ意味する。図中、「Dx」はSPのキャリア方向(周波数方向)の間隔を示し、「Dy」はSPのシンボル方向(時間方向)の間隔を示す。
【0079】
Lchは、セグメント内の特定のサブキャリアに割り当てられる。Lchが割り当てられるサブキャリアをLchキャリアと呼ぶ。また、広帯域周波数同期及び雑音推定用のパイロット信号をLch信号と呼ぶ。LchキャリアにLch信号が配置されることにより、時間インターリーブを行わない低遅延、低C/Nの伝送特性を有するデータ伝送を可能とする。
【0080】
Lch信号は、各サブフレームの先頭においては差動復調の基準ビット、以降のシンボルでは前シンボルの伝送ビットとLchビットとの排他的論理和を取った信号であり、これをDBPSK(Differential Binary Phase Shift Keying)変調したものをLchシンボルと呼ぶ。Lchの変調信号の振幅は、データシンボルの平均レベルに対して異なる値とし、具体的には4/3とする。有効なデータが無いときには、スタッフィングビットとして情報‘1’を挿入する。
【0081】
なお、TMCC区間においてもLchが挿入されるが、サブフレーム区間とは異なり、TMCC区間のLchはデータ伝送には用いなくてもよい。TMCC区間は必ずしも多くのシンボルによって構成されるものではないことからデータ伝送に用いるには不十分であり、データ伝送には用いないこととしている。一方で、広帯域周波数同期用のパイロット信号として用いることを想定し、Lch信号自体はTMCC区間に挿入される。
【0082】
図6は、本実施形態に係るLchキャリア配置の一例を示す図である。図示の例では、FFTサイズが8kの場合の配置を示している。
【0083】
図6に示すように、各セグメント番号(0番乃至34番)についてLchキャリア番号が予め規定されている。FFTサイズが8kの場合、セグメントごとに4本のLchキャリアが設けられる。
【0084】
なお、FFTサイズが16kの場合には、セグメントごとに8本のLchキャリアが設けられる。また、FFTサイズが32kの場合には、セグメントごとに16本のLchキャリアが設けられる。
【0085】
このように、FFTサイズに応じて、各セグメントのLchキャリア数が異なる。上述のように、サブフレームごとにFFTサイズを可変設定できる場合、サブフレームごとにデータ伝送に使用可能なLchキャリア数が異なり得るため、Lchのデータレートがサブフレームごとに異なってしまい、所望のデータレートを達成できない懸念がある。特に、Lchキャリア数が少ないサブフレームでは、Lchのデータレートが低くなり、汎用的なデータ伝送を行うことが困難であり得る。
【0086】
(3)送信装置
次に、図7乃至図15を参照して、本実施形態に係る送信装置100について説明する。
【0087】
(3.1)送信装置のフレーム構成部の構成
図7は、本実施形態に係る送信装置100におけるフレーム構成部を示す図である。ここでは、フレーム内のサブフレームが3つであるものとしている。
【0088】
図7に示すように、送信装置100は、各種の情報が入力される入力インターフェース(IF)1100と、フレーム同期信号生成部1200と、TMCC生成部1300と、サブフレーム構成部1400(図示の例では、サブフレーム構成部1400a乃至1400c)と、Lch分離部1500と、時分割多重フレーム構成部1600とを有する。
【0089】
フレーム同期信号生成部1200は、フレーム同期信号を生成し、フレーム同期信号を時分割多重フレーム構成部1600に出力する。ここで、フレーム同期信号生成部1200は、所定数のシンボル(本実施形態では、5つのOFDMシンボル)により構成されるフレーム同期信号を生成する。
【0090】
TMCC生成部1300は、入力IF1100からTMCC情報が入力され、TMCC信号を生成し、TMCC信号を時分割多重フレーム構成部1600に出力する。
【0091】
サブフレーム構成部1400は、サブフレーム信号を生成し、サブフレーム信号を時分割多重フレーム構成部1600に出力する。図示の例では、サブフレーム構成部1400a乃至1400cは、サブフレーム1乃至3の信号を時分割多重フレーム構成部1600にそれぞれ出力する。
【0092】
Lch分離部1500は、高耐性、低遅延を特徴とする伝送路としても使用することのできるパイロット信号であるLch信号を、フレーム同期信号区間及びTMCC区間を除くフレーム全体に渡って振分ける。Lch分離部1500の詳細については後述する。
【0093】
時分割多重フレーム構成部1600は、フレーム同期信号生成部1200が出力するフレーム同期信号と、TMCC生成部1300が出力するTMCC信号と、各サブフレーム構成部1400が出力するサブフレーム信号とを時分割多重することにより、フレームを構成して出力する。時分割多重フレーム構成部1600の出力信号は、不図示のデジタル/アナログ変換部によりアナログ信号に変換された後、不図示の無線処理部により無線信号に変換され、不図示のアンテナから出力される。
【0094】
本実施形態では、サブフレーム構成部1400a乃至1400cは、FFTサイズの異なる複数のサブフレームを構成する。複数のサブフレームのそれぞれは、対応するFFTサイズに応じた数のLchキャリアを含む。Lch分離部1500は、複数のサブフレームに跨がって同一のLchデータをLchキャリアに振分ける。時分割多重フレーム構成部1600は、LchキャリアにLchデータが割り振られた複数のサブフレームを時分割で多重したフレームを構成する。このように、FFTサイズの異なる複数のサブフレームに跨がって同一のLchデータをLchキャリアに振分けることにより、サブフレームごとに独立してLchデータの伝送を行う場合に比べてLchのデータレート(伝送容量)を向上させることができる。よって、Lchを汎用的なデータ伝送に効率よく使用可能になる。
【0095】
また、本実施形態では、TMCC生成部1300は、Lch信号伝送に関するLch構成情報を含むTMCC信号を生成する。すなわち、本実施形態に係るTMCC情報は、Lch構成情報を含む。Lch構成情報は、複数のサブフレームに跨がって同一のLchデータの伝送を行うか、又はサブフレームごとに独立してLchデータの伝送を行うかを示すLch連結フラグを含む。時分割多重フレーム構成部1600は、サブフレーム区間よりも前のTMCC区間にTMCC信号を配置してフレームを構成する。これにより、複数のサブフレームに跨がって同一のLchデータの伝送を行うか、又はサブフレームごとに独立してLchデータの伝送を行うかを、TMCC信号により可変設定できるため、より柔軟なLch信号伝送を実現できる。
【0096】
さらに、本実施形態では、Lch構成情報は、サブフレーム内のLch信号伝送の階層数を示すLch階層数情報と、Lch信号伝送の階層数分のLch階層伝送情報とを含む。これにより、Lchの階層数や各階層のセグメント数などを柔軟に設定することができ、Lchを汎用的なデータ伝送に効率よく使用可能になる。
【0097】
(3.2)Lch分離部の構成
図8は、本実施形態に係るLch分離部1500の構成を示す図である。Lch分離部1500には、入力IF1100からTMCC情報及びLchデータが入力される。
【0098】
図8に示すように、Lch分離部1500は、階層(Lch階層)ごとに設けられたLch FECブロック構成部1510と、制御部1520と、データ振分け部1530とを有する。
【0099】
Lch FECブロック構成部1510は、Lch階層ごとに、Lchデータ(Lch情報)に対して誤り訂正符号化を行うことでLch FEC(Forward Error Correction)ブロックを構成し、Lch階層ごとのLch FECブロックをデータ振分け部1530に出力する。各Lch階層の誤り訂正方式等はTMCC情報により指定される。なお、誤り訂正符号は、LDPC符号とBCH符号を連接符号とし、さらに符号を繰り返し伝送する反復符号化が行われる。FECブロックの先頭を指示するポインタ及び反復符号の先頭を指示するポインタはTMCC情報で伝送するものとする。本実施形態では、Lch信号伝送の階層数分のLch FECブロック構成部1510を並列に動作させて、Lch信号伝送の階層数分のLch FECブロックを構成する。
【0100】
TMCC情報(Lch構成情報)は、有効なLchデータがあるか否かを示すLch有効フラグを含んでもよい。Lch FECブロック構成部1510は、有効なLchデータがないことをLch有効フラグが示す場合、Lch FECブロック分のデータとしてスタッフィングビットを挿入してもよい。スタッフィングビットは、オール‘1’であってもよい。
【0101】
制御部1520は、TMCC情報に基づいてLch FECブロック構成部1510及びデータ振分け部1530を制御する。Lch FECブロック構成部1510の動作及びデータ振分け部1530の動作は、制御部1520の制御による動作であってもよい。
【0102】
データ振分け部1530は、Lch FECブロック構成部1510が出力するLch FECブロック(すなわち、誤り訂正符号化後のLchデータ)を図7のサブフレーム構成部1400に振分ける。例えば、データ振分け部1530は、複数のサブフレームに跨がって同一のLchデータの伝送を行うことをLch連結フラグが示す場合、1つのLch FECブロックが複数のサブフレームに跨がるようにデータ振分けを行う。一方、サブフレームごとに独立してLchデータの伝送を行うことをLch連結フラグが示す場合、データ振分け部1530は、1つのLch FECブロックが単一のサブフレームに含まれるようにデータ振分けを行う。
【0103】
TMCC情報(Lch階層伝送情報)は、対応するLch階層のセグメント数を示すLchセグメント数情報を含む。データ振分け部1530は、各サブフレーム内のLch階層のセグメント数に基づき算出される伝送容量に応じてデータ振分けを行う。具体的には、データ振分け部1530は、あるサブフレーム内のLch階層のセグメント数に基づき算出される伝送容量に応じた量のデータを当該サブフレームに振分ける。
【0104】
(3.3)サブフレーム構成部におけるOFDM変調部の構成
図9は、本実施形態に係る各サブフレーム構成部1400におけるOFDM変調部を示す図である。
【0105】
図9に示すように、各サブフレーム構成部1400は、入力IF1401と、階層ごとに設けられる1次変調部1402(1次変調部1402a乃至1402h)と、階層ごとに設けられるレベル調整部1403(レベル調整部1403a乃至1403h)と、階層合成部1404と、帯域分割部1405と、時間インターリーブ(「時間IL」とも称する)部1406と、周波数インターリーブ(「周波数IL」とも称する)部1407と、帯域合成部1408と、パイロット生成部1409と、差動基準付加部1410と、DBPSK変調部1411と、OFDMフレーム構成部1412と、IFFT部1413と、GI付加部1414と、を有する。
【0106】
入力IF1401には、単一又は複数系統の階層ごとにフレームを構成するデータ(階層別フレーム)及びLchフレームが入力される。Lchフレームは、Lch FECブロックをTLV(Type-length-value)パケット化したものであってもよい。
【0107】
1次変調部1402は、対応する階層別フレームに対して1次変調処理を行い、1次変調処理後の信号をレベル調整部1403に出力する。具体的には、対応する階層別フレームを、誤り訂正符号を格納するFEC(Forward Error Correction)ブロックに変換したうえで、エネルギー拡散、BCH符号化、LDPC符号化、ビットインターリーブ(以下「ビットIL」という)、及びマッピングを行い、キャリアシンボルを出力する。レベル調整部1403は、1次変調部1402が出力するキャリアシンボルのレベル調整を行い、レベル調整後のキャリアシンボルを階層合成部1404に出力する。
【0108】
階層合成部1404は、各階層のキャリアシンボルを階層合成して帯域分割部1405に出力する。具体的には、階層合成部1404は、各階層のキャリアシンボルを合成し、1つのOFDMシンボルで伝送するデータセグメントを構成し、0乃至34のセグメント番号を付与する。帯域分割部1405は、階層合成によりセグメント番号が振られた階層ごとのセグメントを再度、階層ごとに分割して時間IL部1406に出力する。時間IL部1406は、時間ILによりキャリアシンボルを時間方向に分散させて周波数IL部1407に出力する。周波数IL部1407は、周波数ILによりはキャリアシンボルをキャリア方向(周波数方向)に分散させて帯域合成部1408に出力する。帯域合成部1408は、部分受信帯域ありの場合、帯域合成により、部分受信帯域を構成する9セグメントと非部分受信帯域を構成する26セグメントとを合成し、35セグメントとし、データセグメントをOFDMフレーム構成部1412に出力する。部分受信帯域なしの場合は、非部分受信帯域を構成するセグメント数が35であるため、帯域合成は行う必要がない。
【0109】
パイロット生成部1409は、パイロット配置情報に基づいてパイロット信号(具体的には、SP及びBP)を生成し、パイロット信号をOFDMフレーム構成部1412に出力する。
【0110】
差動基準付加部1410は、Lchフレームに対して、サブフレームごとに先頭に差動基準ビットを付加してDBPSK変調部1411に出力する。DBPSK変調部1411は、差動基準付加部1410の出力信号にDBPSK変調を施してLch信号を生成し、Lch信号をOFDMフレーム構成部1412に出力する。上述のように、Lch伝送に関する連結フラグ(lch_concatenation)がオンのときは、Lch信号はサブフレーム間で貫かれる。また、サブフレーム内でLch信号の階層分けを可能としている。なお、部分受信帯域ありの場合は、少なくとも9セグメント以下の階層とそれ以外に分割される。伝送データはTLVパケットとし、パケット先頭の0x7fも含め、受信装置200ではこの同期バイトを利用してパケット同期を取ることとしている。
【0111】
OFDMフレーム構成部1412は、データセグメントにパイロット信号及びLch信号を付加し、OFDMフレームを構成する。IFFT部1413は、OFDMフレーム構成後の信号をOFDM変調してGI付加部1414に出力する。GI付加部1414は、IFFT部1413の出力信号にGIを付加して出力する。
【0112】
(3.4)Lch分離部の動作例
図10乃至図12を参照して、本実施形態に係るLch分離部1500の動作例について説明する。図10乃至図12では、フレーム同期信号区間及びTMCC区間の図示を省略している。
【0113】
図10は、本実施形態に係る単一サブフレーム構成時のOFDMフレーム化の動作概念図である。
【0114】
図10に示すように、単一サブフレーム構成時では、Lch分離部1500は、当該単一のサブフレームに対してLchデータ(Lch FECブロック)を振分ける。図示の例は、サブフレーム区間において、高周波数側の一端から低周波数側の他端に向けてLch FECブロックが順次配置され、低周波数側の他端で折り返されて、再び高周波数側の一端から低周波数側の他端に向けてLch FECブロックが順次配置される。
【0115】
図11は、本実施形態に係る複数サブフレーム構成時であって、Lch連結フラグがオフ(Lch連結フラグ=0)である場合のOFDMフレーム化の動作概念図である。サブフレーム毎に完全独立した階層伝送を行う際はLch連結フラグ=0とされる。なお、図示の例では、サブフレーム間インターリーブがオンであるものとしている。また、サブフレーム2は、サブフレーム1に比べてLchキャリア数が少ない。
【0116】
図11に示すように、サブフレームごとに独立してLchデータの伝送を行うことをLch連結フラグが示す場合(Lch連結フラグ=0の場合)、データ振分け部1530は、1つのLch FECブロックが単一のサブフレームに含まれるようにデータ振分けを行う。すなわち、サブフレームをまたぐFECブロックは存在しない。図示の例では、データ振分け部1530は、サブフレーム区間の先頭にあるサブフレーム1に対するLch FECブロックの配置が終わると、次のサブフレーム2では当該Lch FECブロックを続けて配置せずに、サブフレーム2の次のサブフレーム1から当該Lch FECブロックの配置を再開する。
【0117】
図12は、本実施形態に係る複数サブフレーム構成時であって、Lch連結フラグがオフ(Lch連結フラグ=0)である場合のOFDMフレーム化の動作概念図である。階層構造によらずに全サブフレームを受信する受信装置200に対しては、Lch連結フラグ=1とすることで、より低遅延のデータ伝送が可能となる。なお、図示の例では、サブフレーム間インターリーブがオンであるものとしている。また、サブフレーム2は、サブフレーム1に比べてLchキャリア数が少ない。
【0118】
図12に示すように、複数のサブフレームに跨がって同一のLchデータの伝送を行うことをLch連結フラグが示す場合(Lch連結フラグ=1の場合)、1つのLch FECブロックが複数のサブフレームに跨がるようにデータ振分けを行う。すなわち、Lch連結フラグ=1では、サブフレームをまたいでFECブロックが存在する。図示の例では、データ振分け部1530は、サブフレーム区間の先頭にあるサブフレーム1に対するLch FECブロックの配置が終わると、次のサブフレーム2で当該Lch FECブロックを続けて配置する。
【0119】
(3.5)TMCC情報中のLch構成情報の一例
図13乃至図15を参照して、本実施形態に係るTMCC情報中のLch構成情報の一例について説明する。これらの図中、「uimsbf」は、unsigned integer most significant bit first(符号無し整数。最上位ビットが先頭)を表し、「bslbf」は、bit serial leftmost bit first(ビット列。左ビットが先頭)を表す。
【0120】
図13(a)に示すように、TMCC情報は、Auxiliary_data(伝送制御補助情報)を含む。Auxiliary_data(伝送制御補助情報)は、number_of_aux_data(伝送制御補助情報数)を含む。この8ビットのフィールドは伝送制御補助情報数を示し、伝送制御補助情報の総数から1を減算した値とする。
【0121】
Auxiliary_data(伝送制御補助情報)は、number_of_aux_data(伝送制御補助情報数)の分だけ、aux_data_type(伝送制御補助情報識別)及びaux_data_size(伝送制御補助情報サイズ)を含む。aux_data_type(伝送制御補助情報識別)は8ビットのフィールドであり、図13(b)に従って伝送制御補助情報識別を示す。本実施形態では、aux_data_type(伝送制御補助情報識別)が「Lch構成」を示す場合を主として想定する。aux_data_size(伝送制御補助情報サイズ)は8ビットのフィールドであり、伝送制御補助情報のサイズ(ビット数)を示す。
【0122】
aux_data_type(伝送制御補助情報識別)が「Lch構成」を示す場合(aux_data_type=0)、Auxiliary_data(伝送制御補助情報)にLch構成情報(Lch_configuration)が含まれる。
【0123】
図14に示すように、Lch構成情報(Lch_configuration)は、lch_concatenation(Lch連結フラグ)を含む。このフラグは、オンの場合は‘1’とし、サブフレーム間を貫いて1つの伝送路とする。オフの場合は‘0’とし、サブフレーム1のLchをL1ch、サブフレーム2のLchをL2chとする。本実施形態では、データ振分け部1530は、Lch連結フラグ=1の場合は、1つのLch FECブロックを複数のサブフレームにまたがるようデータを振分け、Lch連結フラグ=0の場合は、1つのLch FECブロックが単一のサブフレームに含まれるようデータを振分ける。なお、受信装置200では、Lch連結フラグに基づいて、複数のサブフレームに跨がって同一のLchデータの伝送が行われているか、又はサブフレームごとに独立してLchデータの伝送が行われているかを特定する。
【0124】
lch_concatenation(Lch連結フラグ)がオンの場合、Lch構成情報(Lch_configuration)は、全サブフレームに共通のLchフレーム構成情報(Lch_frame_configuration)を含む。一方、lch_concatenation(Lch連結フラグ)がオフの場合、Lch構成情報(Lch_configuration)は、サブフレーム数分のLchフレーム構成情報(Lch_frame_configuration)を含む。
【0125】
図15(a)に示すように、Lchフレーム構成情報(Lch_frame_configuration)は、lch_valid(Lch有効フラグ)を含む。このフラグは、Lchに有効なデータが含まれる場合‘1’とし、含まれない場合‘0’とする。本実施形態では、Lch FECブロック構成部1510は、Lch有効フラグ=0の場合は、FECブロック分のデータをオール1(又はオール0)とする。
【0126】
lch_valid(Lch有効フラグ)が‘1’(オン)である場合、Lchフレーム構成情報(Lch_frame_configuration)は、lch_number_of_layer(Lch階層数情報)と、Lch階層数分のLch階層伝送情報とを含む。lch_number_of_layer(Lch階層数情報)は、Lchの階層数を示し、階層数から1を減算した値とする。なお、部分受信帯域ありの場合は2階層以上とする。本実施形態では、Lch FECブロック構成部1510は、Lch階層数分のFECブロック構成部1510を並列動作させる。
【0127】
Lch階層伝送情報は、number_of_segments(Lchセグメント数)と、fec_type(誤り訂正方式)と、fec_npages(FEC頁数)と、fec_nrepeat(反復回数)と、fec_nrepeat(反復回数)と、fec_block_repeat_pointer(FECブロック反復回数ポインタ)とを含む。
【0128】
number_of_segments(Lchセグメント数)は、各階層のセグメント数を示す。セグメント数から1を減算した値とする。本実施形態では、データ振分け部1530は、各サブフレーム内の階層を構成するセグメント数に基づき算出される伝送容量に従ってデータを振分ける。
【0129】
fec_type(誤り訂正方式)は、3ビットのフィールドであり、図15(b)に従って誤り訂正方式を示す。本実施形態では、Lch FECブロック構成部1510は、誤り訂正方式に応じた符号化・指定の符号長に従ってFECブロックを構成する。受信装置200では、誤り訂正方式に応じた符号化・指定の符号長に従ってFECブロックに対する誤り訂正復号を行う。
【0130】
fec_npages(FEC頁数)は、の6ビットのフィールドであり、Lchデータを誤り訂正符号化する際に外符号のパリティビットを付加する対象とする内符号の符号数を示す。符号数から1を減算した値とする。本実施形態では、Lch FECブロック構成部1510は、指定の頁数に従って外符号化してFECブロックを構成する。受信装置200では、指定の頁数に従って誤り訂正復号を行う。
【0131】
fec_nrepeat(反復回数)は、FECブロックの反復回数を示し、反復回数から1を減算した値とする。本実施形態では、Lch FECブロック構成部1510は、指定の反復回数に従って、入力されるLchデータを反復符号化する。受信装置200では、指定の反復回数に従って反復復号を行う。
【0132】
fec_block_pointer(FECブロックポインタ)は、FECブロックの先頭までのビット数を示す。
【0133】
fec_block_repeat_pointer(FECブロック反復回数ポインタ)は、フレーム内の先頭FECブロックの反復回数を示し、反復回数から1を減算した値とする。
【0134】
(4)受信装置
図16を参照して、本実施形態に係る受信装置200の一例について説明する。なお、以下において、デインターリーブを「DIL」とも称する。
【0135】
図16に示すように、受信装置200は、GI除去部201と、FFT部202と、OFDMフレーム同期部203と、パイロット検出部204と、チャネル推定部205と、等化部206と、周波数・時間DIL部207と、復号部208と、フレーム同期信号復調部209と、TMCC復調・復号部210と、Lch復調・復号部211とを有する。
【0136】
GI除去部201は、送信装置100から放送伝送路500を介して受信した放送信号(OFDM信号)中のGIを除去してFFT部202に出力する。FFT部202は、GIが除去されたOFDM信号に対してFFTを施してOFDM復調を行い、フレーム単位の受信データをOFDMフレーム同期部203に出力する。OFDMフレーム同期部203は、フレーム同期信号を用いてフレーム同期を行う。OFDMフレーム同期部203は、受信フレームから所望のサブフレーム(所望の階層)を取得してサブフレーム信号を等化部206に出力する。また、OFDMフレーム同期部203は、Lch信号をLch復調・復号部211に出力し、TMCC信号をTMCC復調・復号部210に出力し、フレーム同期信号をフレーム同期信号復調部209に出力する。
【0137】
パイロット検出部204は、受信フレーム中のパイロット信号を検出してチャネル推定部205に出力する。チャネル推定部205は、パイロット信号を用いてチャネル推定を行い、チャネル推定結果を等化部206に出力する。等化部206は、チャネル推定結果を用いてサブフレーム信号に対する等化処理を行い、等化処理後のサブフレーム信号を周波数・時間DIL部207に出力する。周波数・時間DIL部207は、等化処理後のサブフレーム信号に対する周波数DIL及び時間DILを行い、DIL後のサブフレーム信号を復号部208に出力する。復号部208は、DIL後のサブフレーム信号に対する誤り訂正復号を行い、復号結果を出力する。
【0138】
フレーム同期信号復調部209は、フレーム同期信号を復調し、TMCC信号の伝送パラメータを取得し、TMCC信号の伝送パラメータをTMCC復調・復号部210に出力する。
【0139】
TMCC復調・復号部210は、フレーム同期信号復調部209からのTMCC信号の伝送パラメータに基づいて、TMCC信号からTMCC情報を取得し、TMCC情報を各部に出力する。本実施形態では、TMCC復調・復号部210は、Lch構成情報(Lch_configuration)をLch復調・復号部211に出力する。
【0140】
Lch復調・復号部211は、Lch構成情報(Lch_configuration)に基づいて、Lch信号に対する復調処理を行ってLch FECブロックを取得し、誤り訂正復号を行ってLchデータを出力する。
【0141】
本実施形態では、GI除去部201、FFT部202、及びOFDMフレーム同期部203は、FFTサイズの異なる複数のサブフレームが時分割で多重されたフレームを受信する受信手段を構成する。また、Lch復調・復号部211は、複数のサブフレームに跨がってLchキャリアに振分けられた同一のLchデータを取得するLch処理手段を構成する。さらに、TMCC復調・復号部210は、サブフレーム内のLch信号伝送の階層数を示すLch階層数情報と、Lch信号伝送の階層数分のLch階層伝送情報とをTMCC信号から取得するTMCC処理手段を構成する。
【0142】
図17は、本実施形態に係るLch復調・復号部211の構成を示す図である。図17に示すように、Lch復調・復号部211は、階層(Lch階層)ごとに設けられたLch復号部211aと、制御部211bとを有する。
【0143】
Lch復号部211aは、Lch階層ごとに、Lch FECブロックに対して誤り訂正復号を行うことでLchデータを取得する。各Lch階層の誤り訂正方式等はTMCC情報により指定される。なお、誤り訂正符号は、LDPC符号と反復符号を連接符号であり、FECブロックの先頭を指示するポインタ及び反復符号の先頭を指示するポインタはTMCC情報で伝送される。本実施形態では、Lch信号伝送の階層数分のLch復号部211aを並列に動作させて、Lch信号伝送の階層数分のLchデータを取得する。
【0144】
制御部211bは、TMCC情報に基づいてLch復号部211aを制御する。Lch復号部211aの動作は、制御部211bの制御による動作であってもよい。制御部211bは、複数のサブフレームに跨がって同一のLchデータの伝送を行うことをLch連結フラグが示す場合、複数のサブフレームに跨がるLchデータ(Lch FECブロック)を取得するようLch復号部211aを制御する。一方、サブフレームごとに独立してLchデータの伝送を行うことをLch連結フラグが示す場合、制御部211bは、単一のサブフレームに含まれるLchデータ(Lch FECブロック)を取得するようLch復号部211aを制御する。
【0145】
(5)その他の実施形態
上述の各装置(送信装置100、受信装置200)が行う各処理をコンピュータに実行させるプログラムが提供されてもよい。プログラムは、コンピュータ読取り可能媒体に記録されていてもよい。コンピュータ読取り可能媒体を用いれば、コンピュータにプログラムをインストールすることが可能である。ここで、プログラムが記録されたコンピュータ読取り可能媒体は、非一過性の記録媒体であってもよい。非一過性の記録媒体は、特に限定されるものではないが、例えば、CD-ROMやDVD-ROMなどの記録媒体であってもよい。また、上述の各装置(送信装置100、受信装置200)が行う各処理を実行する回路を集積化し、当該装置を半導体集積回路(チップセット、SoC)により構成してもよい。
【0146】
本開示で使用されている「に基づいて(based on)」、「に応じて(depending on/in response to)」という記載は、別段に明記されていない限り、「のみに基づいて」、「のみに応じて」を意味しない。「に基づいて」という記載は、「のみに基づいて」及び「に少なくとも部分的に基づいて」の両方を意味する。同様に、「に応じて」という記載は、「のみに応じて」及び「に少なくとも部分的に応じて」の両方を意味する。「含む(include)」、「備える(comprise)」、及びそれらの変形の用語は、列挙する項目のみを含むことを意味せず、列挙する項目のみを含んでもよいし、列挙する項目に加えてさらなる項目を含んでもよいことを意味する。また、本開示において使用されている用語「又は(or)」は、排他的論理和ではないことが意図される。さらに、本開示で使用されている「第1」、「第2」等の呼称を使用した要素へのいかなる参照も、それらの要素の量又は順序を全般的に限定するものではない。これらの呼称は、2つ以上の要素間を区別する便利な方法として本明細書で使用され得る。したがって、第1及び第2の要素への参照は、2つの要素のみがそこで採用され得ること、又は何らかの形で第1の要素が第2の要素に先行しなければならないことを意味しない。本開示において、例えば、英語でのa,an,及びtheのように、翻訳により冠詞が追加された場合、これらの冠詞は、文脈から明らかにそうではないことが示されていなければ、複数のものを含むものとする。
【0147】
以上、図面を参照して実施形態について詳しく説明したが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更などをすることが可能である。
【符号の説明】
【0148】
1 :放送伝送システム
100 :送信装置
200 :受信装置
201 :GI除去部
202 :FFT部
203 :OFDMフレーム同期部
204 :パイロット検出部
205 :チャネル推定部
206 :等化部
207 :周波数・時間DIL部
208 :復号部
209 :フレーム同期信号復調部
210 :TMCC復調・復号部
211 :Lch復調・復号部
211a :Lch復号部
211b :制御部
500 :放送伝送路
1100 :入力IF
1200 :フレーム同期信号生成部
1300 :TMCC生成部
1400 :サブフレーム構成部
1401 :入力IF
1402 :1次変調部
1403 :レベル調整部
1404 :階層合成部
1405 :帯域分割部
1406 :時間IL部
1407 :周波数IL部
1408 :帯域合成部
1409 :パイロット生成部
1410 :差動基準付加部
1411 :DBPSK変調部
1412 :OFDMフレーム構成部
1413 :IFFT部
1414 :GI付加部
1500 :Lch分離部
1510 :Lch FECブロック構成部
1520 :制御部
1530 :データ振分け部
1600 :時分割多重フレーム構成部
図1
図2
図3
図4
図5
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図10
図11
図12
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図16
図17