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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024001695
(43)【公開日】2024-01-10
(54)【発明の名称】基板処理装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/31 20060101AFI20231227BHJP
   C23C 16/52 20060101ALI20231227BHJP
【FI】
H01L21/31 B
C23C16/52
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022100528
(22)【出願日】2022-06-22
(71)【出願人】
【識別番号】504162958
【氏名又は名称】株式会社ニューフレアテクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】100119035
【弁理士】
【氏名又は名称】池上 徹真
(74)【代理人】
【識別番号】100141036
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 章
(74)【代理人】
【識別番号】100178984
【弁理士】
【氏名又は名称】高下 雅弘
(72)【発明者】
【氏名】醍醐 佳明
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 邦彦
【テーマコード(参考)】
4K030
5F045
【Fターム(参考)】
4K030AA06
4K030AA09
4K030AA16
4K030AA17
4K030AA18
4K030BA37
4K030BB02
4K030CA04
4K030CA12
4K030GA05
4K030JA10
4K030KA39
4K030KA45
4K030LA12
4K030LA15
5F045AA03
5F045AB06
5F045AC01
5F045AC07
5F045AC13
5F045AC15
5F045AC16
5F045AC19
5F045AF02
5F045BB14
5F045DP03
5F045DP28
5F045EB03
5F045EC02
5F045EC05
5F045EE14
5F045EF13
5F045EK07
5F045EK22
5F045EK24
5F045EM10
5F045GB05
(57)【要約】
【目的】光学的な測定の精度の劣化を抑制する基板処理装置を提供する。
【構成】実施形態の基板処理装置は、上部にヘッド部を有し、内部でウェハの処理が行われるチャンバと、ヘッド部の上面に設けられた凹部と、凹部に囲まれる部分を含む透光性部材であって、部分の側面と凹部の側面との第1間隔が、部分の底面と凹部の底面との第2間隔より大きい透光性部材と、ヘッド部に設けられ、凹部の側面と部分の側面との間にガスを導入するガス導入部と、ヘッド部に設けられ、凹部とチャンバを連通し、チャンバの内部にガスを供給する複数のガス供給部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部にヘッド部を有し、内部でウェハの処理が行われるチャンバと、
前記ヘッド部の上面に設けられた凹部と、
前記凹部に囲まれる部分を含む透光性部材であって、前記部分の側面と前記凹部の側面との第1間隔が、前記部分の底面と前記凹部の底面との第2間隔より大きい透光性部材と、
前記ヘッド部に設けられ、前記凹部の側面と前記部分の側面との間にガスを導入するガス導入部と、
前記ヘッド部に設けられ、前記凹部と前記チャンバを連通し、前記チャンバの内部に前記ガスを供給する複数のガス供給部と、
を備える基板処理装置。
【請求項2】
前記部分の底面は、前記複数のガス供給部の開口の全領域と対向する請求項1記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記第2間隔は、前記複数のガス供給部の最大開口幅より小さい請求項1又は請求項2記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記透光性部材の上方に設けられた測定器を、更に備える請求項1又は請求項2記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記透光性部材はフランジを更に含み、前記フランジは前記凹部の端部に載置される請求項1又は請求項2記載の基板処理装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に対し膜の堆積や熱処理などの処理を行う基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
基板処理装置の一例として、基板上に膜を形成する気相成長装置がある。気相成長装置では、チャンバの内部に膜の原料を含むプロセスガスを導入することで、基板上に膜を形成する。
【0003】
気相成長装置のチャンバには、膜の形成中に、基板の温度、基板の反り、基板の反射率などをモニタするためにビューイングポートが設けられる場合がある。透光性窓を有するビューイングポートとチャンバの外部に設けられた測定器を用いて、基板の温度、基板の反り、基板の反射率などを光学的に測定することができる。
【0004】
原料を含むプロセスガスに由来する副生成物が、ビューイングポートの透光性窓に付着する場合がある。透光性窓に副生成物が付着すると、透光性窓の光の透過率が変化する。透光性窓の光の透過率が変化すると、光学的な測定の精度が低下するため好ましくない。したがって、透光性窓への副生成物の付着を抑制し、光学的な測定の精度の低下を抑制することが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013-38196号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、光学的な測定の精度の低下を抑制する基板処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様の基板処理装置は、上部にヘッド部を有し、内部でウェハの処理が行われるチャンバと、前記ヘッド部の上面に設けられた凹部と、前記凹部に囲まれる部分を含む透光性部材であって、前記部分の側面と前記凹部の側面との第1間隔が、前記部分の底面と前記凹部の底面との第2間隔より大きい透光性部材と、前記ヘッド部に設けられ、前記凹部の側面と前記部分の側面との間にガスを導入するガス導入部と、前記ヘッド部に設けられ、前記凹部と前記チャンバを連通し、前記チャンバの内部に前記ガスを供給する複数のガス供給部と、を備える。
【0008】
上記態様の基板処理装置において、前記部分の底面は、前記複数のガス供給部の開口の全領域と対向することが好ましい。
【0009】
上記態様の基板処理装置において、前記第2間隔は、前記複数のガス供給部の最大開口幅より小さいことが好ましい。
【0010】
上記態様の基板処理装置において、前記透光性部材の上方に設けられた測定器を、更に備えることが好ましい。
【0011】
上記態様の基板処理装置において、前記透光性部材はフランジを更に含み、前記フランジは前記凹部の端部に載置されることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、光学的な測定の精度の劣化を抑制する基板処理装置が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態の基板処理装置の模式断面図。
図2】実施形態の基板処理装置の一部の拡大模式図。
図3】実施形態の基板処理装置の一部の拡大模式図。
図4】実施形態の基板処理装置の一部の拡大模式図。
図5】実施形態の基板処理装置の一部の拡大模式図。
図6】実施形態の基板処理装置の一部の拡大模式図。
図7】実施形態の基板処理装置の一部の拡大模式図。
図8】実施形態のガス排出部の形状を透光性部材の底面に投影した場合の模式図。
図9】第1の実施形態の気相成長方法の説明図。
図10】比較例の基板処理装置の模式断面図。
図11】比較例の基板処理装置の一部の拡大模式図。
図12】比較例の基板処理装置の課題の説明図。
図13】実施形態の基板処理装置の作用及び効果の説明図。
図14】実施形態の基板処理装置の作用及び効果の説明図。
図15】実施形態の第1の変形例の基板処理装置の一部の拡大模式図。
図16】実施形態の第1の変形例のガス排出部の形状を透光性部材の底面に投影した場合の模式図。
図17】実施形態の第2の変形例の基板処理装置の一部の拡大模式図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
【0015】
本明細書中、同一又は類似の部材について、同一の符号を付す場合がある。
【0016】
本明細書中、気相成長装置が膜の形成が可能に設置された状態での重力方向を「下」と定義し、その逆方向を「上」と定義する。したがって、「下部」とは、基準に対し重力方向の位置、「下方」とは基準に対し重力方向を意味する。そして、「上部」とは、基準に対し重力方向と逆方向の位置、「上方」とは基準に対し重力方向と逆方向を意味する。また、「縦方向」とは重力方向である。
【0017】
また、本明細書中、「プロセスガス」とは、膜の形成のために用いられるガスの総称であり、例えば、ソースガス、アシストガス、ドーパントガス、キャリアガス、及び、それらの混合ガスを含む概念とする。
【0018】
実施形態の基板処理装置は、上部にヘッド部を有し、内部でウェハの処理が行われるチャンバと、ヘッド部の上面に設けられた凹部と、凹部に囲まれる部分を含む透光性部材であって、部分の側面と凹部の側面との第1間隔が、部分の底面と凹部の底面との第2間隔より大きい透光性部材と、ヘッド部に設けられ、凹部の側面と部分の側面との間にガスを導入するガス導入部と、ヘッド部に設けられ、凹部とチャンバを連通し、チャンバの内部にガスを供給する複数のガス供給部と、を備える。
【0019】
図1は、実施形態の基板処理装置の模式断面図である。実施形態の基板処理装置は、気相成長装置100である。第1の実施形態の気相成長装置100は、例えば、単結晶の炭化珪素基板上に単結晶の炭化珪素膜をエピタキシャル成長させる枚葉型のエピタキシャル成長装置である。
【0020】
実施形態の気相成長装置100は、チャンバ10、ホルダ12、回転体14、下部ヒータ16、上部ヒータ18、フード20、及び断熱材22を備える。チャンバ10は、ヘッド部30、下部プレート32、サイドウォール34、及びビューイングポート44を含む。ヘッド部30は、複数のプロセスガス供給部36、バッファ室38(凹部)、パージガス導入部40(ガス導入部)、複数のパージガス供給部42(ガス供給部)を含む。ビューイングポート44は透光性窓46(透光性部材)、固定部48を含む。下部プレート32は、ガス排気口52を含む。
【0021】
チャンバ10は、例えば、ステンレス製である。チャンバ10の内部で、例えば、ウェハW上に炭化珪素膜を形成する。ウェハWは基板の一例である。ウェハWは、例えば、半導体ウェハである。ウェハWは、例えば、単結晶の炭化珪素ウェハである。
【0022】
チャンバ10は、ヘッド部30、下部プレート32、サイドウォール34、及びビューイングポート44を含む。
【0023】
ヘッド部30は、複数のプロセスガス供給部36、バッファ室38(凹部)、パージガス導入部40、複数のパージガス供給部42を含む。下部プレート32は、ガス排気口52を含む。
【0024】
プロセスガス供給部36は、例えば、ヘッド部30の上面からチャンバ10の内部に達する貫通穴を有する。プロセスガス供給部36は、チャンバ10の内部にプロセスガスを供給する機能を有する。複数のプロセスガス供給部36から供給されるプロセスガスは、例えば、ウェハW上に炭化珪素膜を形成するためのソースガスを含む。
【0025】
バッファ室38は、ヘッド部30の上部に設けられた凹部である。バッファ室38は、ヘッド部30の上面に設けられる。バッファ室38は、ビューイングポート44の下方に設けられる。
【0026】
パージガス導入部40は、例えば、ヘッド部30の側面からバッファ室38の側面に達する貫通穴を有する。パージガス導入部40は、バッファ室38の側面からバッファ室38にパージガス(ガス)を導入する機能を有する。パージガス導入部40は、バッファ室38の側面と透光性窓46の凸部分46aの側面との間にパージガスを導入する。パージガスをバッファ室38に導入することにより、ビューイングポート44の透光性窓46への副生成物の付着が抑制される。
【0027】
複数のパージガス供給部42は、例えば、バッファ室38の底面からチャンバ10の内部に達する貫通穴を有する。複数のパージガス供給部42は、例えば、重力方向に延伸する。
【0028】
パージガス供給部42は、バッファ室38からチャンバ10の内部にパージガスを供給する機能を有する。また、パージガス供給部42は、ウェハWの状態を光学的に測定する際に、光が通過する経路として機能する。パージガス供給部42の延伸方向にウェハWが設けられる。
【0029】
プロセスガス供給部36は、例えば、ヘッド部30を貫通する孔である。例えば、プロセスガス供給部36の一部又は全部が管状であってもかまわない。パージガス導入部40は、例えば、ヘッド部30の側面を貫通する孔である。例えば、パージガス導入部40の一部又は全部が管状であってもかまわない。パージガス供給部42は、例えば、ヘッド部30を貫通する孔である。例えば、パージガス供給部42の一部又は全部が管状であってもかまわない。
【0030】
ビューイングポート44は、ヘッド部30の上方に設けられる。例えば、チャンバ10の外部に設けられる図示しない測定器と、透光性窓46を有するビューイングポート44を用いて、ウェハWの温度、ウェハWの反り、ウェハWの反射率などを光学的に測定することができる。
【0031】
ガス排気口52は、下部プレート32に設けられる。ガス排気口52は、チャンバ10の内部から外部へ、プロセスガス、副生成物ガス、パージガスなどを排出する機能を有する。
【0032】
サイドウォール34は、ヘッド部30と下部プレート32との間に設けられる。サイドウォール34は、例えば、円筒形状である。
【0033】
ホルダ12は、チャンバ10の内部に設けられる。ホルダ12には、ウェハWが載置可能である。
【0034】
ホルダ12は、回転体14の上部に載置される。回転体14は、図示しない回転軸に固定される。
【0035】
回転軸は、図示しない回転駆動機構によって回転可能である。回転軸を回転させることによりホルダ12を回転させることが可能である。ホルダ12を回転させることにより、ホルダ12に載置されたウェハWを回転させることが可能である。
【0036】
下部ヒータ16は、ホルダ12の下方に設けられる。下部ヒータ16は、回転体14内に設けられる。下部ヒータ16は、ホルダ12に保持されたウェハWを下方から加熱する。
【0037】
上部ヒータ18は、フード20とサイドウォール34との間に設けられる。上部ヒータ18は、ホルダ12の上方に位置する。上部ヒータ18は、ホルダ12に保持されたウェハWを上方から加熱する。
【0038】
フード20は、例えば、円筒形状である。フード20は、例えば、上部ヒータ18にプロセスガスが接することを防ぐ機能を備える。フード20は、例えば、プロセスガスを整流する機能を有する。
【0039】
断熱材22は、上部ヒータ18とサイドウォール34との間に設けられる。
【0040】
図2図3図4図5図6、及び図7は、実施形態の基板処理装置の一部の拡大模式図である。図2ないし図7は、気相成長装置100のビューイングポート44近傍の拡大模式断面図である。
【0041】
図2は、ビューイングポート44近傍の上面図である。図3は、図2のAA’断面である。図4は、図2のBB’断面である。図5は、図3のCC’断面である。図6は、図3のDD’断面である。図7は、図3のEE’断面である。
【0042】
ビューイングポート44は透光性窓46(透光性部材)、固定部48、及びシール部材50を含む。
【0043】
透光性窓46は、凸部分46a及びフランジ46bとを有する。透光性窓46は、固定部48によって、ヘッド部30に固定される。
【0044】
透光性窓46は、光に対して透明な材料で形成される。透光性窓46は、例えば、石英ガラスで形成される。
【0045】
フランジ46bはバッファ室38の端部に設けられる。フランジ46bとヘッド部30との間に、シール部材50が設けられる。シール部材50は、チャンバ10の内部の気密性を保持する機能を有する。シール部材50は、例えば、Oリングである。
【0046】
図3及び図4に示されるように、凸部分46aは、バッファ室38の内部に設けられる。図5及び図6に示されるように、凸部分46aは、バッファ室38に囲まれる。凸部分46aの側面及び底面は、バッファ室38に囲まれる。
【0047】
凸部分46aの側面とバッファ室38の側面は、第1間隔(図3及び図4中のd1)を有する。第1間隔d1は、例えば、1mm以上5mm以下である。
【0048】
また、凸部分46aの底面とバッファ室38の底面は、第2間隔(図3及び図4中のd2)有する。
【0049】
第2間隔d2は、第1間隔d1以下である。第2間隔d2は、例えば、0.2mm以上2mm以下である。
【0050】
図3に示すように、パージガス導入部40は、バッファ室38の側面に設けられる。パージガス導入部40は、ヘッド部30の外部とバッファ室38を連通させる。パージガス導入部40は、例えば、ヘッド部30を貫通する孔である。
【0051】
図3に示すように、パージガス供給部42の延伸方向の、パージガス導入部40とバッファ室38の底面の第3間隔(図3中のd3)は、凸部分46aの底面とバッファ室38の底面の第2間隔(図3中のd2)よりも大きい。また、図6に示すように、パージガス導入部40は、例えば、凸部分46aの側面と対向する。
【0052】
図3及び図7に示すように、複数のパージガス供給部42は、第1のパージガス供給部42a、第2のパージガス供給部42b、第3のパージガス供給部42cを含む。実施形態では、複数のパージガス供給部42が3個の場合を例に説明するが、複数のパージガス供給部42は2個であっても、4個以上であってもかまわない。
【0053】
第1のパージガス供給部42a、第2のパージガス供給部42b、及び第3のパージガス供給部42cは、バッファ室38の底面から、チャンバ10の内部に達する。いいかえれば、第1のパージガス供給部42a、第2のパージガス供給部42b、及び第3のパージガス供給部42cの一端は、バッファ室38の底面にあり、他端はヘッド部30の底面にある。
【0054】
図7に示すように、パージガス供給部42の延伸方向に垂直な方向の断面において、パージガス供給部42の形状は、例えば、円形である。なお、上記断面におけるパージガス供給部42の形状は、円形に限定されるものではなく、例えば、楕円形又は多角形であってもかまわない。
【0055】
凸部分46aの底面とバッファ室38の底面の第2間隔(図3及び図4中のd2)は、例えば、パージガス供給部42の最大開口幅(図3図4図7中のd4)よりも小さい。また、凸部分46aの側面とバッファ室38の側面の第1間隔(図3及び図4中のd1)は、例えば、パージガス供給部42の最大開口幅(図3図7中のd4)よりも小さい。パージガス供給部42の最大開口幅d4は、例えば、10mm以上50mm以下である。
【0056】
なお、パージガス供給部42の最大開口幅d4は、パージガス供給部42の延伸方向に垂直な方向の断面において、パージガス供給部42の周上の任意の2点間の最大距離と定義する。例えば、実施形態のパージガス供給部42のように、上記断面におけるパージガス供給部42の形状が円形の場合、パージガス供給部42の最大開口幅d4は、円の直径である。
【0057】
凸部分46aの底面は、複数のパージガス供給部42の開口の全領域と、パージガス供給部42の延伸方向に対向する。
【0058】
図8は、実施形態のガス排出部の形状を透光性部材の底面に投影した場合の模式図である。図8に示すように、パージガス供給部42の形状を、パージガス供給部42の延伸方向に、透光性窓46の底面に等倍で投影した場合に、投影されたパージガス供給部42の形状は透光性窓46の底面に包含される。パージガス供給部42の延伸方向に、透光性窓46の底面に投影された第1のパージガス供給部42a、第2のパージガス供給部42b、及び第3のパージガス供給部42cの形状は、それぞれ、投影形状42ax、投影形状42bx、及び投影形状42cxである。
【0059】
投影形状42ax、投影形状42bx、及び投影形状42cxは、全て透光性窓46の底面に包含される。いいかえれば、投影形状42ax、投影形状42bx、及び投影形状42cxは、全て透光性窓46の底面の外周の内側にある。
【0060】
図8に示すように、投影形状42ax、投影形状42bx、及び投影形状42cxと、透光性窓46の底面の外周との間の距離は、第5の距離d5又は第6の距離d6である。図3及び図4に示すように、パージガス供給部42の延伸方向に垂直な方向の、凸部分46aとパージガス供給部42との間の距離も、第5の距離d5又は第6の距離d6である。第5の距離d5及び第6の距離d6は、例えば、第2間隔d2よりも大きい。
【0061】
次に、実施形態の気相成長装置100を用いた気相成長方法の一例について説明する。以下、単結晶炭化珪素のウェハWの表面に、窒素がn型不純物としてドーピングされた単結晶の炭化珪素膜を形成する場合を例に説明する。また、ビューイングポート44とチャンバ10の外部に設けられた測定器を用いて、ウェハWの表面の温度を測定する場合を例に説明する。
【0062】
図9は、実施形態の気相成長方法の説明図である。ビューイングポート44の上方に測定器54を設ける。測定器54は、例えば、ウェハWの表面の温度を測定可能なパイロメータである。
【0063】
最初に、ウェハWをホルダ12に載置する。ウェハWは、単結晶炭化珪素ウェハである。
【0064】
次に、ウェハWを図示しない回転駆動機構により回転させる。そして、ウェハWを下部ヒータ16、及び、上部ヒータ18により加熱する。
【0065】
次に、図9に示すように、複数のプロセスガス供給部36からプロセスガスG1をチャンバ10の内部に供給する。
【0066】
プロセスガスG1は、例えば、シリコンのソースガス、炭素のソースガス、n型不純物のドーパントガス、アシストガス、及び、キャリアガスを含む混合ガスである。シリコンのソースガスは、例えば、シランガス(SiH)である。炭素のソースガスは、例えば、プロパンガス(C)である。n型不純物のドーパントガスは、例えば、窒素ガス(N)である。アシストガスは、例えば、塩化水素ガス(HCl)である。キャリアガスは、例えば、アルゴンガス(Ar)、又は、水素ガス(H)である。
【0067】
プロセスガスG1の分解及び反応によりウェハWの表面に、窒素がn型不純物としてドーピングされた単結晶の炭化珪素膜が形成される。
【0068】
例えば、プロセスガスG1のチャンバ10の内部への供給と同時に、パージガスG2をパージガス導入部40から、バッファ室38の内部へ導入する。バッファ室38の中へ導入されたパージガスG2は、複数のパージガス供給部42を通って、バッファ室38からチャンバ10の内部に供給される。
【0069】
パージガスG2をバッファ室38からチャンバ10の内部に流すことにより、プロセスガスG1がバッファ室38に流入することを抑制する。また、パージガスG2をバッファ室38からチャンバ10の内部に流すことにより、チャンバ10の内部でプロセスガスG1に乱流が生じることを抑制する。パージガスG2は、例えば、水素ガス又はアルゴンガスである。
【0070】
例えば、炭化珪素膜の形成中に、パージガス供給部42及び透光性窓46を通過する光を測定器54で受光することにより、ウェハWの表面の温度を測定する。ビューイングポート44及び測定器54を用いて、ウェハWの表面の温度を測定する。3個のパージガス供給部42を備えることで、例えば、ウェハWの中心部と、ウェハWの外周部と、ウェハWの中心部と外周部の間との、3か所の温度を同時に測定することが可能となる。
【0071】
図9に示すように、炭化珪素膜の形成中に、ガス排気口52から排気ガスG3がチャンバ10の外に排気される。排気ガスG3は、例えば、未反応のプロセスガスG1及びパージガスG2を含む。
【0072】
単結晶の炭化珪素膜を形成した後、例えば、チャンバ10の中へのプロセスガスG1の供給及びバッファ室38へのパージガスG2の供給を停止する。また、下部ヒータ16及び上部ヒータ18による加熱を停止し、ウェハWの温度を低下させる。その後、ウェハWをチャンバ10から搬出する。
【0073】
次に、実施形態の気相成長装置100の作用及び効果を説明する。
【0074】
図10は、比較例の基板処理装置の模式断面図である。図11は、比較例の基板処理装置の一部の拡大模式図である。図10は、実施形態の図1に対応する図である。図11は、実施形態の図3に対応する図である。
【0075】
比較例の基板処理装置は、気相成長装置900である。図10及び図11に示すように、
比較例の気相成長装置900は、透光性窓46が、凸部分46aを有しない点で、実施形態の気相成長装置100と異なる。比較例の透光性窓46は、平板形状である。
【0076】
図12は、比較例の基板処理装置の課題の説明図である。図12は、図11に対応する図である。図12には、気相成長装置900を用いて膜を形成する際の、パージガスG2又はプロセスガスG1の流れを示す。
【0077】
図12に示すように、パージガス導入部40からバッファ室38に水平方向に導入されたパージガスG2は、水平方向の流速が大きい。このため、パージガス導入部40から最も遠い第1のパージガス供給部42aに流れるパージガスG2の流量が大きくなる。また、パージガス導入部40から最も近い第3のパージガス供給部42cに流れるパージガスG2の流量が小さくなる。
【0078】
第1のパージガス供給部42aに流れるパージガスG2の流量が大きく、第3のパージガス供給部42cに流れるパージガスG2の流量が小さいため、パージガスG2やプロセスガスG1が第3のパージガス供給部42cからバッファ室38に逆流するおそれがある。
【0079】
バッファ室38にソースガスを含むプロセスガスG1が流れ込むと、バッファ室38の中でプロセスガスG1が分解又は反応して、副生成物56が透光性窓46の下面に付着するおそれがある。透光性窓46に副生成物56が付着すると、透光性窓46の光の透過率が変化する。透光性窓46の光の透過率が変化すると、光学的な測定の精度が低下するため好ましくない。なお、図12において、副生成物56は、透光性窓46の、第1のパージガス供給部42a、第2のパージガス供給部42b、及び第3のパージガス供給部42c、それぞれの延伸方向の位置に付着している。しかし、第1のパージガス供給部42a、第2のパージガス供給部42b、及び第3のパージガス供給部42c、いずれかの延伸方向の位置に付着する場合もある。
【0080】
第1のパージガス供給部42a、第2のパージガス供給部42b、及び第3のパージガス供給部42cに流れるパージガスG2の流量に差が生じるのは、パージガス導入部40からチャンバ10の内部にかけての合成コンダクタンスが大きいためであると考えられる。したがって、パージガスG2やプロセスガスG1が、第3のパージガス供給部42cからバッファ室38に逆流するのは、パージガス導入部40からチャンバ10の内部にかけての合成コンダクタンスが大きいためであると考えられる。
【0081】
図13及び図14は、実施形態の基板処理装置の作用及び効果の説明図である。図13は、図6に対応する図である。図14は、図3に対応する図である。図13及び図14には、気相成長装置100を用いて膜を形成する際の、パージガスG2の流れを示す。
【0082】
図13及び図14に示すように、パージガス導入部40からバッファ室38に水平方向に供給されたパージガスG2は、透光性窓46の凸部分46aとバッファ室38との間の隙間を経由して、パージガス供給部42に流れる。凸部分46aが設けられることでパージガスG2の流速が比較例の場合と比較して小さくなる。これは、凸部分46aが設けられることでパージガス導入部40からチャンバ10の内部にかけての合成コンダクタンスが比較例の場合よりも小さくなるためである。
【0083】
パージガス導入部40からチャンバ10の内部にかけての合成コンダクタンスが小さくなることで、比較例の場合と比べ、第1のパージガス供給部42a、第2のパージガス供給部42b、及び第3のパージガス供給部42cに流れるパージガスG2の流量が均等化されやすくなる。特に、凸部分46aの底面とバッファ室38の底面の第2間隔d2を、凸部分46aの側面とバッファ室38の側面の第1間隔d1以下とすることで、パージガス導入部40から最も遠い第1のパージガス供給部42aにおけるパージガスG2の流量と、パージガス導入部40から最も近い第3のパージガス供給部42cにおけるパージガスG2の流量の均等化が図れる。
【0084】
したがって、パージガスG2やプロセスガスG1がパージガス供給部42からバッファ室38に逆流することが抑制できる。よって、透光性窓46への副生成物56の付着が抑制され、光学的な測定の精度の低下が抑制できる。
【0085】
パージガスG2やプロセスガスG1のバッファ室38への逆流を抑制する観点から、凸部分46aの底面とバッファ室38の底面の第2間隔d2は、凸部分46aの側面とバッファ室38の側面の第1間隔d1よりも小さいことが好ましい。凸部分46aの底面とバッファ室38の底面との間のコンダクタンスが小さくなり、複数のパージガス供給部42に流れるパージガスG2の流量が均等化されやすくなる。
【0086】
パージガスG2やプロセスガスG1のバッファ室38への逆流を抑制する観点から、凸部分46aの底面とバッファ室38の底面の第2間隔d2は、2mm以下であることが好ましく、1mm以下であることがより好ましい。凸部分46aの底面とバッファ室38の底面との間のコンダクタンスが小さくなり、複数のパージガス供給部42に流れるパージガスG2の流量が均等化されやすくなる。
【0087】
パージガスG2やプロセスガスG1のバッファ室38への逆流を抑制する観点から、凸部分46aの底面とバッファ室38の底面の第2間隔d2は、パージガス供給部42の最大開口幅d4よりも小さいことが好ましい。凸部分46aの底面とバッファ室38の底面との間のコンダクタンスが小さくなり、複数のパージガス供給部42に流れるパージガスG2の流量が均等化されやすくなる。
【0088】
パージガスG2やプロセスガスG1のバッファ室38への逆流を抑制する観点から、凸部分46aの底面は、複数のパージガス供給部42の開口の全領域と、パージガス供給部42の延伸方向に対向することが好ましい。また、パージガスG2やプロセスガスG1のバッファ室38への逆流を抑制する観点から、複数のパージガス供給部42の形状を、複数のパージガス供給部42の延伸方向に、凸部分46aの底面に等倍で投影した場合に、投影された形状は凸部分46aの底面に包含されることが好ましい。凸部分46aの底面とバッファ室38の底面との間のコンダクタンスが小さくなり、複数のパージガス供給部42に流れるパージガスG2の流量が均等化されやすくなる。
【0089】
パージガスG2やプロセスガスG1のバッファ室38への逆流を抑制する観点から、複数のパージガス供給部42の形状を、複数のパージガス供給部42の延伸方向に、凸部分46aの底面に等倍で投影した場合に、投影された形状と凸部分46aの底面の外周との間の第5の距離d5及び第6の距離d6は、凸部分46aの底面とバッファ室38の底面との間の第2間隔d2よりも大きいことが好ましい。凸部分46aの底面とバッファ室38の底面との間のコンダクタンスが小さくなり、複数のパージガス供給部42に流れるパージガスG2の流量が均等化されやすくなる。
【0090】
パージガスG2やプロセスガスG1のバッファ室38への逆流を抑制する観点から、パージガス供給部42の延伸方向の、パージガス導入部40とバッファ室38の底面の第3間隔d3は、凸部分46aの底面とバッファ室38の底面の第2間隔d2よりも大きいことが好ましい。パージガス導入部40とパージガス導入部40に最も近い第3のパージガス供給部42cとの間のコンダクタンスが小さくなり、複数のパージガス供給部42に流れるパージガスG2の流量が均等化されやすくなる。
【0091】
図15は、実施形態の第1の変形例の基板処理装置の一部の拡大模式図である。図15は、実施形態の図3に対応する図である。図16は、実施形態の第1の変形例のガス排出部の形状を透光性部材の底面に投影した場合の模式図である。図16は、実施形態の図8に対応する図である。
【0092】
第1の変形例の気相成長装置は、図15に示すように、凸部分46aの底面は、パージガス供給部42の開口の一部と対向しない点で、実施形態の気相成長装置と異なる。また、第1の変形例の気相成長装置は、図16に示すように、パージガス供給部42の形状を、パージガス供給部42の延伸方向に、透光性窓46の底面に等倍で投影した場合に、投影されたパージガス供給部42の形状の一部は透光性窓46の底面に包含されない点で、実施形態の気相成長装置と異なる。
【0093】
第1の変形例の気相成長装置においても、比較例の気相成長装置900と比較して、複数のパージガス供給部42に流れるパージガスG2の流量が均等化されやすくなる。
【0094】
図17は、実施形態の第2の変形例の基板処理装置の一部の拡大模式図である。図17は、実施形態の図6に対応する図である。
【0095】
第2の変形例の気相成長装置は、図17に示すように、パージガス導入部40が、凸部分46aの側面と対向しない点で、実施形態の気相成長装置100と異なる。
【0096】
第2の変形例の気相成長装置においても、比較例の気相成長装置900と比較して、複数のパージガス供給部42に流れるパージガスG2の流量が均等化されやすくなる。
【0097】
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施形態について説明した。上記、実施形態はあくまで、例として挙げられているだけであり、本発明を限定するものではない。また、各実施形態の構成要素を適宜組み合わせてもかまわない。
【0098】
実施形態では、単結晶の炭化珪素膜を形成する場合を例に説明したが、単結晶の炭化珪素膜以外の膜を形成する気相成長装置にも本発明を適用することが可能である。
【0099】
また、実施形態では、単結晶炭化珪素のウェハを基板の一例として説明したが、基板は単結晶炭化珪素のウェハに限定されるものではない。
【0100】
また、実施形態では、気相成長装置を基板処理装置の一例として説明したが、基板処理装置は気相成長装置に限定されるものではない。例えば、チャンバを備え、基板の処理中に、光学的な測定を行う全ての基板処理装置に本発明を適用することが可能である。基板処理装置は、例えば、基板を加熱する熱処理装置であってもかまわない。
【0101】
実施形態では、装置構成、製造方法、光学的な測定方法など、本発明の説明に直接必要としない部分等については記載を省略したが、必要とされる装置構成、製造方法、光学的な測定方法などを適宜選択して用いることができる。その他、本発明の要素を具備し、当業者が適宜設計変更しうる全ての基板処理装置は、本発明の範囲に包含される。本発明の範囲は、特許請求の範囲及びその均等物の範囲によって定義されるものである。
【符号の説明】
【0102】
10 チャンバ
12 ホルダ
30 ヘッド部
38 バッファ室(凹部)
40 パージガス導入部(ガス導入部)
42 パージガス供給部(ガス供給部)
46 透光性窓(透光性部材)
46a 凸部分(部分)
54 測定器
100 気相成長装置(基板処理装置)
W ウェハ(基板)
G2 パージガス(ガス)
d1 第1間隔
d2 第2間隔
d3 第3間隔
d4 最大開口幅
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17