(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024169507
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】再生資源由来ポリエステルフィルム及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
C08L 67/00 20060101AFI20241128BHJP
C08K 5/00 20060101ALI20241128BHJP
C08J 5/18 20060101ALI20241128BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
C08L67/00 ZAB
C08K5/00
C08J5/18 CFD
B32B27/00 L
C08L67/00
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024159739
(22)【出願日】2024-09-17
(62)【分割の表示】P 2023078501の分割
【原出願日】2019-09-11
(71)【出願人】
【識別番号】000006035
【氏名又は名称】三菱ケミカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000707
【氏名又は名称】弁理士法人市澤・川田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】黒田 清徳
(57)【要約】
【課題】ポリエステルフィルムから回収された再生資源由来原料を実質的に100%使用して得られ、且つ、高い強度を有する、再生資源由来ポリエステルフィルムを提供する。
【解決手段】ポリエステルフィルムから回収された再生資源由来原料を含む材料で形成し、前記再生資源由来原料は、固有粘度(IV)が異なる2種以上のポリエステルを含有し、前記ポリエステルの少なくとも1つの固有粘度(IV)を0.80dl/g以上とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエステルフィルムから回収された再生資源由来原料を含む材料から形成され、
前記再生資源由来原料は、固有粘度(IV)が異なる2種以上のポリエステルを含有し、
前記ポリエステルの少なくとも1つは、固有粘度(IV)が0.80dl/g以上であることを特徴とする再生資源由来ポリエステルフィルム。
【請求項2】
前記2種以上のポリエステルの少なくも1つは、固有粘度(IV)が0.60dl/g以下である、請求項1記載の再生資源由来ポリエステルフィルム。
【請求項3】
前記再生資源由来原料は、ポリエステルフィルムの製造工程で生じた自己回収原料から成る、請求項1又は2記載の再生資源由来ポリエステルフィルム。
【請求項4】
前記材料は、蛍光増白剤を含有する、請求項1~3の何れか一項記載の再生資源由来ポリエステルフィルム。
【請求項5】
前記固有粘度(IV)が0.80dl/g以上のポリエステルは、固相重合されている、請求項1~4の何れか一項記載の再生資源由来ポリエステルフィルム。
【請求項6】
2層以上の積層構造を有する、請求項1~5の何れか一項記載の再生資源由来ポリエステルフィルム。
【請求項7】
最表層以外の層に、蛍光増白剤を含有する、請求項6記載の再生資源由来ポリエステルフィルム。
【請求項8】
前記材料中に再生資源由来原料を99質量%以上含む、請求項1~7の何れか一項記載の再生資源由来ポリエステルフィルム。
【請求項9】
請求項1~8の何れか一項記載の再生資源由来ポリエステルフィルムの少なくとも片面に離型層が設けられた離型フィルム。
【請求項10】
以下の工程(1)~(4)を有する再生資源由来ポリエステルフィルムの製造方法。
(1)ポリエステルフィルムから回収された、再生資源由来原料を準備する工程
(2)前記再生資源由来原料に含有されるポリエステルを固相重合し、該ポリエステルの固有粘度(IV)を0.80dl/g以上とすることで、固有粘度(IV)が0.80dl/g以上のポリエステルを含有する再生資源由来原料(a)を作製する工程
(3)ポリエステルフィルムから回収された、固有粘度(IV)が0.60dl/g以下のポリエステルを含有する再生資源由来原料(b)を作製する工程
(4)前記(a)及び(b)の混合原料を溶融混練した後、フィルム状に成型する工程
【請求項11】
前記工程(4)は、前記混合原料を溶融混練した後、溶融押出し、冷却してフィルム状に成型する成型工程である、請求項10記載の再生資源由来ポリエステルフィルムの製造方法。
【請求項12】
前記工程(4)の後に、以下の工程(5)を有する請求項10又は11記載の再生資源由来ポリエステルフィルムの製造方法。
(5)長手方向及び/又は幅方向に延伸する延伸工程
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリエステルフィルムから回収された再生資源から得られる、再生ポリエステルフィルムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ポリエステルフィルムは、透明性、寸法安定性、機械的特性、耐熱性、電気的特性などに優れ、例えば、二軸延伸ポリエステルフィルムを基材とし、シリコーン樹脂などを主成分とする離型層を設けた離型フィルムは、多くの分野で使用されている。
【0003】
一方で、近年、資源の再利用や環境問題等から、使用後又は製造工程時に発生したポリエステル原料を回収し、再利用する試みが成されている。
【0004】
例えば、特許文献1には、少なくとも一層にポリエステルボトルのリサイクル原料を使用することを特徴とする積層ポリエステルフィルムが開示されている。
【0005】
また、特許文献2には、フィルム中にペットボトル再生原料を25重量%以上含有し、80℃の温水中に10秒浸漬して引き上げたときの主収縮方向の熱収縮率が30%以上で、主収縮方向と直交する方向の熱収縮率が10%以下であり、フィルムを温度30℃・相対湿度85%の雰囲気下で28日間保管した後の主収縮方向と直交する方向について引張り試験を行い、伸度5%以下で破断した試験片数の全試験片数に対する割合が25%以下であることを特徴とする熱収縮性ポリエステル系フィルムが開示されている。
【0006】
しかしながら、前記特許文献1及び2に開示にポリエステルフィルムの再生原料比率は75%以下である。
【0007】
また、特許文献3には、PETボトル再生原料を使用した二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルムであって、温度285℃における溶融比抵抗が1.0×108Ω・cm以内であり、フィルムに含まれるナトリウム含有量及びカリウム含有量が0ppmより大きく150ppm以下であることを特徴とする二軸配向ポリエステルフィルムが開示され、係るポリエステルフィルムは、再生原料比率が95%近くまで高められているが、やはり、100%再生原料から得られるポリエステルフィルムは開示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平07-323511号公報
【特許文献2】特開2007-2008号公報
【特許文献3】特開2014-65282号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
再生ポリエステルフィルムにおいて、ポリエステルフィルムから回収された再生資源原料は、その製造工程等において熱履歴を受けていることから、固有粘度(IV)が低く、100%再生資源原料を用いてフィルムを製造すると、高い強度のフィルムを得ることができないという問題がある。
【0010】
また、PETボトルから回収された再生資源原料は、粘度のバラツキが多く、100%再生資源原料を用いてフィルムを製造すると、高い強度のフィルムを得ることはできない。
【0011】
さらに、ポリエステル製品から回収された再生資源由来原料の比率を高めていくと、色調が黄色くなり、製品として利用できないという問題がある。
【0012】
このように再生資源原料を使用したフィルム製品の製造には、依然として、バージン原料を使用しなければならず、実質的に100%リサイクル原料から得られるフィルム製品の開発が望まれている。
【0013】
そこで、本発明は、ポリエステルフィルムから回収された再生資源由来原料を実質的に100%使用して得られ、且つ、高い強度を有する、再生資源由来ポリエステルフィルムを提供することを目的の1つとするものである。
また、本発明は、ポリエステルフィルムから回収された再生資源由来原料を実質的に100%使用して得られ、且つ、色調が改善された、再生資源由来ポリエステルフィルムを提供することを目的の1つとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発者らは、以下に示す手段により、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0015】
すなわち、本発明は、以下の構成を有するものである。
【0016】
[1]本発明の再生資源由来ポリエステルフィルムは、ポリエステルフィルムから回収された再生資源由来原料を含む材料から形成され、前記再生資源由来原料は、固有粘度(IV)が異なる2種以上のポリエステルを含有し、前記ポリエステルの少なくとも1つは、固有粘度(IV)が0.80dl/g以上である。
【0017】
[2]本発明の再生資源由来ポリエステルフィルムの製造方法は、以下の工程(1)~(4)を有する。
(1)ポリエステルフィルムから回収された、再生資源由来原料を準備する工程
(2)前記再生資源由来原料に含有されるポリエステルを固相重合し、該ポリエステルの固有粘度(IV)を0.80dl/g以上とすることで、固有粘度(IV)が0.80dl/g以上のポリエステルを含有する再生資源由来原料(a)を作製する工程
(3)ポリエステルフィルムから回収された、固有粘度(IV)が0.60dl/g以下のポリエステルを含有する再生資源由来原料(b)を作製する工程
(4)前記(a)及び(b)の混合原料を溶融混練した後、フィルム状に成型する工程
【発明の効果】
【0018】
本発明の再生資源由来ポリエステルフィルムは、ポリエステルフィルムから回収された、実質的に100%再生資源由来原料から形成されるものでありながら、従来のバージン原料を使用して得られるポリエステルフィルムと同等の強度を備えるという利点を有する。
【0019】
また、本発明の再生資源由来ポリエステルフィルムは、蛍光増白剤を含有することで、ポリエステルフィルムから回収された、実質的に100%再生資源由来原料から形成されるものでありながら、従来の再生品と比べ色調が改善されているという利点を有する。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<再生資源由来ポリエステルフィルム>
本発明の再生資源由来ポリエステルフィルム(以下、「本フィルム」ともいう。)は、ポリエステルフィルムから回収された再生資源由来原料、より具体的には、使用後のポリエステルフィルム製品及び/又はポリエステルフィルム(以下、両者を併せて又は個々に「本再資源フィルム」という。)を製造する工程等から回収された再生資源由来原料により形成されるものである。
【0021】
(本フィルムの構成)
本フィルムは、単層及び2以上の層を有する積層構造(積層フィルム)のいずれも採用することができるが、とりわけ、3層以上の積層構造を有することが好ましい。
【0022】
本フィルムが2以上の層を有する積層構造を備える場合、ベース層Bと表面層A及びCから構成されるA/B/C及びベース層Bと表面層Aから構成されるA/B/Aの3層構造が好ましい。
【0023】
(再生由来原料)
「再生資源由来原料」とは、本資源フィルムを構成するポリエステル等の原料生産後に一度以上溶融されたものをいう。
また、本資源フィルムは、ポリエステルフィルムを製造する工程で生じた、自己回収型の再生資源由来原料により形成されるものであることが好ましい。
自己回収型の再生資源由来原料を使用することで、再生資源由来原料の特性を正確に把握でき、品質が安定した再生資源由来ポリエステルフィルムを提供することができる。
また、「フィルム」とは、シートを含む概念であり、「フィルム」と称する場合でも「シート」を含むものとし、「シート」と称する場合でも「フィルム」を含むものとする。
【0024】
また、本フィルムは、実質的に100%再生資源由来原料から形成されるものであることが好ましく、「実質的に」とは、意図的にポリエステルのバージン原料を使用しないことを意味し、製造工程等において、不可避的に混入することを許容する意味である。
また、より具体的には、本発明において、「実質的に100%再生資源由来原料」とは、99%以上、好ましくは99.5%以上が再生資源由来原料であることを意味する。
【0025】
したがって、本フィルムは、厳密に100%再生資源由来原料から形成されるものであることを要さず、再生資源由来原料を99%質量%以上、好ましくは99.5%質量%以上含む材料から形成されるものである。
【0026】
前記再生資源由来原料は、前述のとおり、本資源フィルムから回収されたものであり、回収されたポリエステルフィルムを粉砕・再ペレット化等することにより再利用化したものである。
【0027】
前記再生資源由来原料は、本資源フィルムが製造工程等において熱履歴を受けていることから、再利用すると固有粘度(IV)が低く、強度を確保し難い。
そこで、前記再生資源由来原料は、固有粘度(IV)が異なる2種以上のポリエステルを含有し、当該ポリエステルの少なくとも1つは、固有粘度(IV)が0.80dl/g以上であることが好ましい。
係る観点から、当該ポリエステルの少なくとも1つは、固有粘度(IV)が0.82dl/g以上であることが好ましく、0.85dl/g以上であることが最も好ましい。
なお、固有粘度(IV)とは、ウペローデ型粘度計を用い、フェノール:テトラクロロエタン=1:1を溶媒として、30℃で測定したものをいう。
【0028】
本資源フィルムから回収・再利用された原料から固有粘度(IV)が0.80dl/g以上のポリエステルを得るためには、再利用された原料であるポリエステルを固相重合することが好ましい。
固相重合方法としては、公知の方法を利用することができ、連続或いはバッチのいずれの方法であってもよい。
【0029】
また、前記再資源由来原料は、固有粘度(IV)が異なる2種以上のポリエステルを含有し、当該ポリエステルの少なくとも1つは、固有粘度(IV)が0.60dl/g以下であることが好ましい。
固有粘度(IV)が0.60dl/g以下のポリエステルを含む再生資源由来原料を使用することにより、該フィルムの生産性やコストを維持できる等の効果を奏することができる。
【0030】
本資源フィルムから回収・再利用された原料から、固有粘度(IV)が0.80dl/g以上のポリエステル及び固有粘度(IV)が0.60dl/g以下の少なくとも2種のポリエステルを使用することで、回収・再利用された原料を使用した際に懸念される、ポリエステルフィルム強度低下による生産時におけるフィルムの破断を抑制することができ、従来のバージン原料を使用して得られるポリエステルフィルムと同等の強度を具備させることができる。
【0031】
以上から、本フィルム中には、固有粘度(IV)が0.80dl/g以上のポリエステルが50質量%以下含有されることが好ましく、30質量%以下含有されることがより好ましく、25質量%以下含有されることが最も好ましい。
【0032】
また、本フィルム中には、固有粘度(IV)が0.60dl/g以下のポリエステルが50質量%以上含有されることが好ましく、60質量%以上含有されることがより好ましく、70質量%以上含有されることが最も好ましい。
【0033】
(その他の成分1;蛍光増白剤)
実質的に100%再生資源由来原料からフィルムを形成すると、ポリマーの劣化により色調が黄色くなり、そのまま製品として使用し難い。
そこで、本フィルムは、前記再生資源由来原料以外の成分として、蛍光増白剤を含有することが好ましい。
蛍光増白剤を添加することにより、フィルムの黄色味を改善することができる。
【0034】
また、前記蛍光増白剤は、紫外線の照射を受けると励起して青色光の可視光線を発光するため、本フィルムが再生品であることのマーカーとしての役割も果たすことができる。
【0035】
前記蛍光増白剤としては、例えばスチルベン系、クマリン系、オキサゾール系、イミダゾール系、ナフタルイミド系等の構造のものを挙げることができる。
具体的には、4,4’-ビス(ベンズオキサゾール-2-イル)スチルベン、2,5-ビス(5-t-ブチル-2-ベンズオキサゾリル)チオフェン、1,2-ジ(5-メチル-2-ベンジアゾリル)エチレン、1,2-ビス(5-メチル-2-ベンズオキサゾール)エチレン、2,2’-(4,4’-ジフェノールビニル)ジベンズオキサゾール、1,1’-ビフェニル-4,4’-ビス-ベンズオキサゾール、2,5-ビス(ベンズオキサゾール-2-)チオフェン、4-4’-ビス(5-メチル-2-ベンズオキサゾール)エチレン、1,4-ビス(ベンズオキサゾリル-2-イル)エチレン、1,4-ビス(ベンズオキサゾリル-2-イル)ナフタレン、4-4’-ビス[(4-アミノ-6-モルフォリノ-1,3,5-トリアジン-2-イル)アミノ]スチルベン-ジサルフォネート、2,2’-(1,4-ナフタレンジイル)ビス-ベンズオキサゾールなどを挙げることができ、これらのうちの1種を単独で使用することも、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
【0036】
本フィルム中における、前記蛍光増白剤の含有量は、0.01~1.0質量%であることが好ましく、0.02~0.08質量%であることがより好ましい。
蛍光増白剤の含有量が1.0重量%を超えると、色調改善効果も飽和するばかりか、本フィルム表面に蛍光増白剤が過剰にブリードアウトして使用時に悪影響を与える等の問題が発生する。
【0037】
(その他の成分2:粒子)
本フィルムは、易滑性及び傷発生防止性を付与する観点から、前記再生資源由来原料以外の成分として、粒子を含有することが好ましい。
【0038】
前記粒子としては、例えばシリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、カオリン、酸化アルミニウム、酸化チタン等の無機粒子の他、架橋シリコーン樹脂粒子、架橋アクリル樹脂粒子、架橋スチレン-アクリル樹脂粒子、架橋ポリエステル粒子等の架橋高分子、シュウ酸カルシウム及びイオン交換樹脂等の有機粒子を挙げることができる。
【0039】
本フィルム中における、前記粒子の含有量は、0.001~1.0質量%であることが好ましく、0.01~0.08質量%であることがより好ましい。
【0040】
(本資源フィルム)
本資源フィルムは、ポリエステル又はポリエステルを含む組成物をフィルム状に成型加工したものであり、ポリエステルを主たる構成成分として成るものである。
なお、「主たる構成成分」とは、フィルムを構成する成分のうち、50質量%以上を占めることいい、好ましくは70質量%以上を占めることをいう。
【0041】
(a)ポリエステル
前記ポリエステルは、主鎖に連続してエステル結合を有する高分子化合物をいい、ホモポリエステルであっても共重合ポリエステルであってもよく、具体的には、ジカルボン酸成分とジオール成分とを重縮合反応させることによって得られるポリエステルを挙げることができる。
【0042】
なお、本発明においては、ジカルボン酸成分を100モル%としたとき、芳香族ジカルボン酸又は脂肪族ジカルボン酸を50%よりも多く含有するポリエステルを使用することが好ましい。
【0043】
前記ジカルボン酸成分としては、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、1,5-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、4,4’-ジフェニルジカルボン酸、4,4’-ジフェニルエーテルジカルボン酸及び4,4’-ジフェニルスルホンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸や、例えばアジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ダイマー酸、ドデカンジオン酸、シクロヘキサンジカルボン酸及びこれらのエステル誘導体等の脂肪族ジカルボン酸を挙げることができる。
【0044】
前記ジオール成分としては、例えばエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,2-シクロヘキサンジメタノール、1,3-シクロヘキサンジメタノール、1,4-ヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、2,2-ビス(4-ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、イソソルベート及びスピログリコール等を挙げることができる。
【0045】
上記ポリエステルがホモポリエステルからなる場合、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとを重縮合させて得られるものが好ましい。
前記芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸などを挙げることができ、脂肪族グリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール等を挙げることができる。
代表的なポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン-2,6-ナフタレンジカルボキシレート(PEN)等を例示することができる。
中でも、特に、ポリエチレンテレフタレート(PET)が好ましい。
【0046】
一方、上記ポリエステルが共重合ポリエステルの場合は、30モル%以下の第三成分を含有した共重合体であることが好ましい。
共重合ポリエステルのジカルボン酸成分としては、例えばイソフタル酸、フタル酸テレフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、オキシカルボン酸等の一種または二種以上を挙げることができる。
共重合ポリエステルのグリコール成分としては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール等の一種または二種以上を挙げることができる。
【0047】
また、上記ポリエステルとしては、80モル%以上、好ましくは90モル%以上が、エチレンテレフタレート単位であるポリエチレンテレフタレートや、エチレン-2,6-ナフタレート単位であるポリエチレン-2,6-ナフタレート等が好ましい。
【0048】
(b)ポリエステル重縮合触媒
上記ポリエステルを重縮合する際の重縮合触媒としては、アンチモン化合物、ゲルマニウム化合物、アルミニウム化合物、チタン化合物等が挙げられるが、とりわけ、アンチモン化合物を用いて得られるポリエステルを使用することが好ましい。
【0049】
(c)粒子
本資源フィルムは、粒子を含有するポリエステル組成物から形成されるものであってもよい。
なお、前記粒子としては、上述したものを適宜使用することができる。
【0050】
(d)蛍光増白剤
本資源フィルムは、蛍光増白剤を含有するポリエステル組成物から形成されるものであってもよい。
なお、前記蛍光増白剤としては、上述したものを適宜使用することができる。
【0051】
(e)添加剤
本資源フィルムは、酸化防止剤、耐光剤、ゲル化防止剤、有機湿潤剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、界面活性剤等の各種添加剤を含有するポリエステル組成物から形成されるものものであってもよい。
【0052】
(本フィルムの形態)
本フィルムは、無延伸フィルムであっても、一軸延伸フィルムであっても、二軸延伸フィルムであってもよい。
中でも、フィルム強度の観点から、特に二軸延伸フィルムであるのが好ましい。
【0053】
(離型層)
本フィルムは、少なくとも片面に離型層を有する形態、すなわち、離型フィルムの形態で使用することも可能である。
なお、この際、該離型層も再生資源由来原料から構成することが特に好ましい。
【0054】
(特に好ましい実施形態1)
(1)本フィルムが、少なくともA/B/Aの3層を備えた多層構造であって、前記A層は、最表面を構成する層であり、且つ、ポリエステルフィルムから回収された再生資源由来原料から形成され、該A層形成用の再生資源由来原料(A-1)は、固有粘度(IV)が0.60dl/g以下のポリエステルを含み、前記B層は、ポリエステルフィルムから回収された再生資源由来原料から形成され、該B層形成用の再生資源由来原料(B-1)は、固有粘度(IV)が0.80dl/g以上のポリエステルを含む形態。
(2)前記(1)において、前記B層形成用の再生資源由来原料(B-1)は、B層中に固有粘度(IV)が0.80dl/g以上のポリエステルを30質量%以下含む形態。
(3)前記(1)又は(2)において、前記B層形成用の再生資源由来原料(B-1)は、さらに、固有粘度(IV)が0.60dl/g以下のポリエステルを含む形態。
(4)前記(3)において、前記B層形成用の再生資源由来原料(B-1)は、B層中に固有粘度(IV)が0.60dl/g以下のポリエステルを50質量%以上含む形態。
(5)前記(1)~(4)の何れかにおいて、前記B層は、さらに、蛍光増白剤を含有する形態。
(6)前記(1)~(5)の何れかにおいて、前記A層は、さらに、粒子を含有する形態。
(7)前記(1)~(6)の何れかにおいて、本フィルムが、二軸延伸フィルムである形態。
(8)前記(1)~(7)の何れかにおいて、前記B層形成用の再生資源由来原料(B-1)は、塗布層を備えるポリエステルフィルムから回収された再生資源由来原料(b-1)を含む形態。
(9)前記(1)~(8)の何れかにおいて、前記A層形成用の再生資源由来原料(A-1)は、前記再生資源由来原料(b-1)を実質的に含まない形態。
(10)前記(1)~(9)の何れかの本フィルムの少なくとも片面に離型層を有する形態。
【0055】
上記特に好ましい実施形態1によれば、B層形成用の再生資源由来原料(B-1)は、固有粘度(IV)が0.80dl/g以上のポリエステルを含むことで、本フィルムに優れた強度を付与することができる。
また、とりわけ、B層形成用の再生資源由来原料(B-1)が、さらに、固有粘度(IV)が0.60dl/g以下のポリエステルを含むことで、本フィルムの機械的強度を維持しつつ、該フィルムの生産性やコストも維持できる等の利点がある。
【0056】
また、生産時のフィルム破断の抑制の観点から、前記B層形成用の再生資源由来原料(B-1)は、前記B層中に、固有粘度(IV)が0.80dl/g以上のポリエステルを30質量%以下含むことが好ましく、25質量%以下含むことがより好ましい。
【0057】
また、上記と同様の観点から、前記B層形成用の再生資源由来原料(B-1)は、前記B層中に、固有粘度(IV)が0.60dl/g以下のポリエステルを50質量%以上含むことが好ましく、70質量%以上含むことがより好ましい。
【0058】
さらに、B層中に蛍光増白剤を含有することで、該蛍光増白剤が最表面層にブリードアウトする虞がないという利点を有する。
【0059】
加えて、A層中に粒子を含有することで、本フィルムに易滑性及び傷発生防止性を付与できる。
【0060】
また、再生資源由来原料の確保の観点から、前記B層形成用の再生資源由来原料(B-1)は、塗布層を備えるポリエステルフィルムから回収された再生資源由来原料(b-1)を含むことが好ましく、同様の観点から、前記A層形成用の再生資源由来原料(A-1)は、前記再生資源由来原料(b-1)を実質的に含まないことが好ましい。
なお、「実質的に」とは、意図的に前記再生資源由来原料(b-1)を含まないことを意味し、具体的には、前記A層中において、前記再生資源由来原料(b-1)の含有量が5質量%未満であることをいい、より好ましくは1質量%未満であることをいう。
【0061】
前記塗布層とは、易接着性等の各種機能を有し、溶媒、バインダー樹脂及び架橋剤等を含有する塗布液を作製し、該塗布液をフィルムに塗布後、乾燥して得られる層をいう。
【0062】
前記塗布液に使用されるバインダー樹脂としては、例えばアクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、オレフィン系樹脂、フッ素系樹脂、ビニル系樹脂、塩素系樹脂、スチレン系樹脂、エポキシ系樹脂、シリコーン系樹脂や、これら樹脂の混合物を挙げることができる。
【0063】
<本フィルムの製造方法>
以下、本フィルムの製造方法の一例として、二軸延伸フィルムの製造方法を示す。
先ずは、公知の方法により、上述した再生資源由来原料、例えば再生ポリエステルチップを溶融押出装置に供給し、それぞれのポリマーの融点以上に加熱し、溶融ポリマーをダイから押し出し、回転冷却ドラム上でポリマーのガラス転移点以下の温度となるように冷却固化し、実質的に非晶状態の未配向シートを得るようにすればよい。
【0064】
次に、当該未配向シートを、一方向にロール又はテンター方式の延伸機により延伸する。
この際、延伸温度は、通常25~120℃、好ましくは35~100℃であり、延伸倍率は通常2.5~7倍、好ましくは2.8~6倍である。
【0065】
次いで、一段目の延伸方向と直交する方向に延伸する。
この際、延伸温度は通常50~140℃であり、延伸倍率は通常3.0~7倍、好ましくは4.5倍以上であり、より好ましくは4.5~5.0倍である。
【0066】
そして、引き続き180~220℃の温度で緊張下又は30%以内の弛緩下で熱固定処理を行い、二軸配向フィルムとしての本ポリエステルフィルムを得ることができる。
なお、前記の延伸においては、一方向の延伸を2段階以上で行う方法を採用することもできる。
【0067】
(特に好ましい実施形態2)
(1)本フィルムの製造方法において、以下の工程A~Dを有する形態。
A.ポリエステルフィルムから回収された、再生資源由来原料を準備する工程
B.前記再生資源由来原料に含有されるポリエステルを固相重合し、該ポリエステルの固有粘度(IV)を0.80dl/g以上とすることで、固有粘度(IV)が0.80dl/g以上のポリエステルを含有する再生資源由来原料(a)を作製する工程
C.ポリエステルフィルムから回収された、固有粘度(IV)が0.60dl/g以下のポリエステルを含有する再生資源由来原料(b)を作製する工程
D.前記(a)及び(b)の混合原料を溶融混練した後、フィルム状に成型する工程
(2)前記(1)において、前記工程Dは、前記混合原料を溶融混練した後、溶融押出し、冷却してフィルム状に成型する成型工程である形態。
(3)前記(1)又は(2)において、工程Dの後に、以下の工程Eを有する形態。
E.長手方向及び/又は幅方向に延伸する延伸工程
【0068】
上記のとおり、本フィルムの特に好ましい製造方法によれば、固有粘度(IV)が0.80dl/g以上に調整された再生資源由来原料(a)と、固有粘度(IV)が0.60dl/g以下の再生資源由来原料(b)を使用することで、実質的に100%再生資源原料から得られるフィルムでありながら、優れた強度を有するフィルムを得ることができる。
【0069】
また、フィルム中に蛍光増白剤を含有させることで、本フィルムの色調を改善でき、且つ、本フィルムが再生品から得られたものであることの識別も可能となる。
【0070】
上記工程Aでは、例えば回収したポリエステルフィルムを粉砕機により粉砕してポリエステルフレークを作製し、該ポリエステルフレークを押出機により押し出した後、急冷固化することで再生ポリエステルペレット、すなわち、再生資源由来原料を得ることができる。
【0071】
上記工程Bでは、真空下220℃で上記再生資源由来原料を固相重合し、固有粘度(IV)を0.80dl/g以上に高めることで、固有粘度(IV)が0.80dl/g以上のポリエステルを含有する再生資源由来原料(a)を得ることができる。
【0072】
上記工程Cでは、例えば、回収した、固有粘度(IV)が0.60dl/g以下のポリエステルフィルムを粉砕機により粉砕してポリエステルフレークを作製し、該ポリエステルフレークを押出機により押し出した後、急冷固化することで再生ポリエステルペレット、すなわち、再生資源由来原料(b)を得ることができる。
また、再生資源由来原料(b)を使用することで、本フィルムの機械的強度を維持しつつ、該フィルムの生産性やコストも維持できる等の利点がある。
【0073】
上記工程Dでは、例えば各層の原料をそれぞれ別の押出機に投入し、Tダイからシート状に溶融押出するに工程を含む共押出法による製造方法の他、複数の押出機等の中で別々に溶融し、ダイス出口から押出成型したフィルム同士をラミネートする方法等により、フィルム状に成型することができる。
とりわけ、共押出法によりフィルム状に成型する方法が好ましい。
【0074】
上記工程Eでは、上記工程Dで作製された未延伸フィルムを、一方向及び/又はこれに直交する方向にロール若しくはテンター方式の延伸機により延伸することで延伸フィルムを得ることができる。
【0075】
より詳細には、上記延伸工程において、未延伸シートを一方向にロール又はテンター方式の延伸機により長手方向(縦方向(MD))に延伸する。
この際の延伸温度は、通常70~120℃、好ましくは80~110℃であり、延伸倍率は通常2.0~7.0倍、好ましくは2.5~5.0倍である。
【0076】
次いで、一段目の延伸方向に対して直交する方向(横方向(TD))に延伸するが、その場合、延伸温度は通常70~170℃であり、延伸倍率は通常3.0~7.0倍、好ましくは3.5~6.0倍である。
そして、引き続き180~270℃の温度で緊張下又は30%以内の弛緩下で熱処理を行い、二軸配向フィルムを得る。
【0077】
上記の延伸においては、一方向の延伸を2段階以上で行う方法を採用することもできる。
その場合、二方向の延伸倍率が最終的に、それぞれ上記範囲となるように行うのが好ましい。
【0078】
(用途)
本フィルムは、ARフィルム、NIRフィルム、EMIフィルム等の光学フィルターや、拡散フィルム、プリズムフィルム等の光学フィルムや、カード材料、ラベル材料、電子材料、包装材料、グラフィック材料(写真材料)、製版フィルム、磁気記録媒体、各種工程紙、OHPフィルム等の一般工業材料用として使用することができ、実質的に100%再生資源由来原料から構成されるため、環境面での貢献度が高く環境負荷低減に寄与できる。
【0079】
(語句の説明等)
本発明において、「X~Y」(X,Yは任意の数字)と記載した場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きい」或いは「好ましくはYより小さい」の意も包含するものである。
【0080】
また、「X以上」(Xは任意の数字)と記載した場合、特にことわらない限り「好ましくはXより大きい」の意を包含し、「Y以下」(Yは任意の数字)と記載した場合、特にことわらない限り「好ましくはYより小さい」の意も包含するものである。
【実施例0081】
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0082】
<再生資源由来原料の製造>
a)再生ポリエステルペレットの作製
(1)塗布層を有さない自己回収型のポリエステルフィルムを粉砕・処理し、固有粘度(IV)が0.57dl/gの再生ポリエステルペレット(a)を得た。
(2)塗布層を有さない自己回収型のポリエステルフィルムを粉砕・処理し、固有粘度(IV)が0.54dl/gの再生ポリエステルペレット(b1)を得た。
(3)塗布層を有する自己回収型のポリエステルフィルムを粉砕・処理し、固有粘度(I
V)が0.58dl/gの再生ポリエステルペレット(c)を得た。
(4)固有粘度(IV)が0.54dl/gの再生ポリエステルペレット(b1)を真空下、220℃で固相重合し、固有粘度(IV)が0.85dl/gの再生ポリエステルペレット(b2)を得た。
【0083】
b)回収ポリエステルの製造
表裏層の原料として、再生ポリエステルペレット(a)と、再生ポリエステルペレット(b1)と、バージン原料の平均粒径2.7μmのシリカ粒子(x1)とを得られるフィルム中における含有量がそれぞれ(a)16.48質量%、(b1)4.08質量%、(x1)0.04質量%となるように混合し、中間層の原料として、再生ポリエステルペレット(c)と、再生ポリエステルペレット(b2)と、再生ポリエステルペレット(b1)と、(x2)バージン原料の蛍光増白剤(4,4‘-Bis(2-benzoxazolyl)stilbene)とを得られるフィルム中における含有量がそれぞれ(c)52.93質量%、(b2)23.41質量%、(b1)3.01質量%、(x2)0.05質量%となるように混合し、2台のベント付き二軸押出機に各々供給し、280℃で溶融、混練し、多層TダイでA/B/A=3/32/3の構成比となるように合流させて押出した。表面温度を28℃に設定したキャスティングドラム上で急冷固化させて2種3層からなる未延伸フィルムを得た。
次いで、87℃にて長手方向(縦方向)に3.40倍延伸した後、テンターに導き、120℃にて幅方向(横方向)に4.04倍延伸した後、233℃で熱処理を行い、横方向に4.76%弛緩し、厚さ38μmの二軸延伸フィルムを得た。
次いで、得られた二軸延伸フィルムの両端から255mmの位置よりスリットを行い、当該スリット時に、生成された余剰分についてはスリット耳として回収し、これを粉砕・処理し、回収ポリエステル(d)とした。
なお、回収ポリエステル(d)の固有粘度(IV)は、計算上0.60となる。
【0084】
[実施例1]
表裏層の原料として、再生ポリエステルペレット(a)と、再生ポリエステルペレット(b1)と、バージン原料の平均粒径2.7μmのシリカ粒子(x1)とを得られるフィルム中における含有量がそれぞれ(a)13.47質量%、(b1)3.33質量%、(x1)0.03質量%となるように混合し、中間層の原料として、再生ポリエステルペレット(c)と、再生ポリエステルペレット(b2)と、再生ポリエステルペレット(b1)と、(x2)バージン原料の蛍光増白剤(4,4‘-Bis(2-benzoxazolyl)stilbene)と、回収ポリエステル(d)とを得られるフィルム中における含有量がそれぞれ(c)43.24質量%、(b2)19.13質量%、(b1)2.46質量%、(x2)0.04質量%、(d)18.30質量%となるように混合し、2台のベント付き二軸押出機に各々供給し、280℃で溶融、混練し、多層TダイでA/B/A=3/32/3の構成比となるように合流させて押出した。表面温度を28℃に設定したキャスティングドラム上で急冷固化させて2種3層からなる未延伸フィルムを得た。
次いで、87℃にて長手方向(縦方向)に3.40倍延伸した後、テンターに導き、120℃にて幅方向(横方向)に4.04倍延伸した後、233℃で熱処理を行い、横方向に4.76%弛緩し、厚さ38μmの再生資源由来ポリエステルフィルム1を得た。
当該再生資源由来ポリエステルフィルム1は、99.93質量%の再生資源由来原料を含む材料から形成されたものである。
また、再生資源由来ポリエステルフィルム1は、色調が改善されていた。
なお、A層中における、固有粘度(IV)が0.60dl/g以下のポリエステルの含有量は99.80質量%であり、また、B層中における、固有粘度(IV)が0.60dl/g以下のポリエステルの含有量は76.96質量%であり、固有粘度(IV)が0.80dl/g以上のポリエステルの含有量は23.00質量%である。
【0085】
[実施例2]
A/B/A=4/42/4の構成比から成る厚さ50μmのフィルムとする以外は、実施例1と同様にして、再生資源由来ポリエステルフィルム2を得た。
当該再生資源由来ポリエステルフィルム2は、99.93質量%の再生資源由来原料を含む材料から形成されたものである。
また、再生資源由来ポリエステルフィルム2は、色調が改善されていた。
なお、A層中における、固有粘度(IV)が0.60dl/g以下のポリエステルの含有量は99.80質量%であり、また、B層中における、固有粘度(IV)が0.60dl/g以下のポリエステルの含有量は76.96質量%であり、固有粘度(IV)が0.80dl/g以上のポリエステルの含有量は23.00質量%である。
【0086】
実施例1及び2で作製した、再生資源由来ポリエステルフィルム1及び2の各種物性は、表1のとおりである。
【0087】
【0088】
なお、引張り強さ(MPa)は、次のようにして測定した。
【0089】
(引張り強さ)
再生資源由来ポリエステルフィルム1及び2を幅15mmの矩形に切り出し、引張試験機で区間長を50mmとして200mm/分の引張速度で伸長し、引張り強さ、すなわち破断時の応力を求めた。
【0090】
また、リサイクル率は、再生資源由来ポリエステルフィルムを構成する材料全体に対する再生資源由来原料の使用率のことを意味し、単位は質量%である。