(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024169810
(43)【公開日】2024-12-06
(54)【発明の名称】セラミックス封着部品およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
C04B 37/02 20060101AFI20241129BHJP
B23K 1/19 20060101ALI20241129BHJP
【FI】
C04B37/02 B
B23K1/19 B
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023086569
(22)【出願日】2023-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】303058328
【氏名又は名称】東芝マテリアル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111121
【弁理士】
【氏名又は名称】原 拓実
(72)【発明者】
【氏名】星野 政則
(72)【発明者】
【氏名】藤澤 幸子
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 英樹
【テーマコード(参考)】
4G026
【Fターム(参考)】
4G026BA03
4G026BA16
4G026BA17
4G026BB22
4G026BB24
4G026BB25
4G026BE02
4G026BF16
4G026BF17
4G026BF24
4G026BF44
4G026BG02
(57)【要約】
【課題】気密特性に優れたセラミックス封着部品およびその製造方法を提供する。
【解決手段】
セラミックス部品と金属部品を銀と銅と活性金属を含む接合層により接合したセラミック
ス封着部品において、接合層では銀と銅が溶融しており、接合層中央部の断面を20層以
上に分割して銀と銅と活性金属の質量%を測定して前記接合層のセラミックス部品側から
金属部品側に質量%をプロットしたときに、活性金属質量%の極大値(Wm)、銅質量%
の極大値(Wc)、銀質量%の極大値(Wa)が存在する。活性金属質量%の2番目に大
きい極大値が極大値(Wm)の0.7倍以下であり、銅の質量%の極小値が極大値(Wc
)の0.3倍以上であり、セラミックス部品側1/4までの銀の質量%の最大値が極大値
(Wa)の0.3倍以上0.5倍以下である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミックス部品と金属部品を銀と銅と活性金属を含む接合層により接合したセラミック
ス封着部品において、
接合層では銀と銅が溶融しており、
接合層中央部の断面を20層以上に分割して銀と銅と活性金属の質量%を測定して前記接
合層のセラミックス部品側から金属部品側に質量%をプロットしたときに、活性金属質量
%の極大値(Wm)、銅質量%の極大値(Wc)、銀質量%の極大値(Wa)が存在し、
活性金属質量%の2番目に大きい極大値が極大値(Wm)の0.7倍以下であり、銅の質
量%の極小値が極大値(Wc)の0.3倍以上であり、セラミックス部品側1/4の距離
までの銀の質量%の最大値が極大値(Wa)の0.3倍以上0.5倍以下であることを特
徴とするセラミックス封着部品。
【請求項2】
銅質量%のプロットにおいて、0.5Wc以下の範囲が40%以下であり、銀質量のプロ
ットにおいて、0.5Wa以下の範囲が50%以下であることを特徴とする請求項1に記
載のセラミックス封着部品。
【請求項3】
活性金属ろう材が、チタン、ジルコニウム、ハフニウムから選ばれる1種以上の活性金属
と、銅および銀から選ばれる1種以上のろう材金属であることを特徴とする請求項1また
は請求項2に記載のセラミックス封着部品。
【請求項4】
接合層の厚さが70μm以上であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のセ
ラミックス封着部品。
【請求項5】
金属部品が、鉄、鉄合金、鉄-ニッケル系合金、銅、銅合金から選ばれる1種以上の金属
部品であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のセラミックス封着部品。
【請求項6】
セラミックス部品が、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化珪素、ないしアルジルであるこ
とを特徴とする請求項1または請求項2に記載のセラミックス封着部品。
【請求項7】
セラミックス部品と金属部品を接合するセラミックス封着部品の製造方法において、セラ
ミックス部品端面に銅を含む活性金属ろう材からなるペーストを印刷乾燥して加熱するこ
とによりセラミックス部品端面に活性金属ろう材層を形成し、形成した活性金属ろう材層
に銀を含むろう材からなるペーストを印刷乾燥したあとに金属部品を設置し加熱処理をし
てろう材層を形成し、セラミックス部品と金属部品を接合することを特徴とするセラミッ
クス封着部品の製造方法。
【請求項8】
前記活性金属ろう材層の加熱温度(T1)が800℃以下であり、前記ろう材層の加熱温
度(T2)が820℃以下であり、加熱温度の差(T2―T1)が20℃以上であること
を特徴とする請求項7に記載のセラミックス封着部品の製造方法。
【請求項9】
活性金属ろう材からなるペーストの印刷厚さが20μm以上であり、銀を含むろう材から
なるペーストの厚さが50μm以上であることを特徴とする請求項7または請求項8に記
載のセラミックス封着部品の製造方法。
【請求項10】
活性金属ろう材からなる活性金属ろう材層の全面に銀を含むろう材からなるペーストを印
刷することを特徴とする請求項7または請求項8に記載のセラミックス封着部品の製造方
法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、おおむね、電力管などに用いられるセラミックス部品と金属部品を接合した
セラミックス封着部品(以下セラミックス封着部品)に関する。
【背景技術】
【0002】
マグネトロン、電力管、電子管用のセラミックス封着部品として、モリブデン(Mo)な
どの高融点金属を主成分とするメタライズ層を、アルミナ(酸化アルミニウム:Al2O
3)などのセラミックス部品に形成したセラミックス封着部品が使用されている。セラミ
ックス封着部品は、セラミックスと金属を接合させ外気を遮断して部品内部を気密封止す
ることにより、外部の環境から内部を保護しセラミックスにより電気絶縁をすることが可
能である。例えば、
図1に示すような形状のセラミックス封着部品は、アルミナ焼結体か
らなる円筒形状のセラミックス部品の上端面および下端面のリング部に、モリブデンを主
成分とするメタライズ層が形成されている。このメタライズ層の表面には、他の金属部品
との接合強度を向上させ、封着を行うために所定厚さのニッケル(Ni)層が形成される
。このニッケル部分と円筒形状の金属部品が銀ろう(例えばBAg-8)により接合され
ている。
【0003】
セラミックス封着部品として、セラミックス円筒体にモリブデンによる金属面を形成し鉄
金属円筒体をろう材にて接合した真空気密封着構造を有する電子管が開示されている(特
許文献1)。特許文献1によると、金属円筒体をコバールから鉄に代えることにより低コ
ストの電子管を製造することができる。
【0004】
また、モリブデンなどの高融点金属を使用せずに活性金属によりセラミックスにニッケル
系合金を接合した真空スイッチ外管が開示されている(特許文献2)。特許文献2による
と、接合状態の不安定の原因となる金属間化合物を作ることなく接合強度の高い真空スイ
ッチ外管を製造することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特願平1-46978号公報
【特許文献2】特開2001-220253号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
セラミックス表面をモリブデンなどの高融点金属を使用してメタライズする場合は、1
400℃以上の高温に加熱するための炉が必要であり、かつ高温で処理を行うためにエネ
ルギーコストが掛かっていた。また、形成された高融点金属メタライズ層のまま金属部品
とろう付けすることが難しく、表面にニッケルなどのめっき処理を行う必要があり工程が
複雑であった。
【0007】
活性金属ろう材の接合で封着性(気密性)を確保するためには接合幅が必要であるが、
セラミックスと金属の熱膨張係数は違うため(例えばアルミナの熱膨張係数7.2×10
-6/℃に対して銅16.5×10-6/℃、鉄11.7×10-6/℃)、熱膨張差に
よりクラックなどが発生しやすい。活性金属ろう付けは、高融点金属によるメタライズと
比較して850℃と低い温度で接合するため熱膨張差を緩和することが可能である。活性
金属ろう材や銀ろう材による金属部品との接合では、接合強度を大きくするために高い温
度で接合する方が有利であるが、接合温度を高くすると銀ろう中の成分である銀と銅が溶
け分かれてセラミックス部品との接合強度が低下する可能性があった。
【0008】
また、活性金属ろう材を用いて金属部品と接合する場合には、活性金属ろう材ペーストで
セラミックスとの接合層を形成し、その後にろう材により金属と接合するために、ろう付
け接合よりも高い温度で活性金属ろう材による接合層を形成していた。このため、活性金
属ろう材ペーストの融点はろう材よりも高かった。この活性金属ろう材ペーストの融点を
高くするには銅(Cu)や銀(Ag)などの融点の高い金属を多く含有させる必要があり
、加熱工程で他のろう材金属成分と溶け別れしやすい状態であった。この溶け別れは接合
の不均一を引き起こしリーク不良やクラック不良の原因となる可能性がある。また、ろう
材は箔形状などに加工することが多く、少量多品種の場合にはろう材部品の加工が多数必
要となりコストが係る原因であった。
【0009】
実施形態は、このような課題を解決するものであり、活性金属ろう材でセラミックス部
品と金属部品を接合したときに、接合不良やリーク不良を抑制した生産性の高いセラミッ
クス封着部品およびその製造方法に関するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
実施形態に係るセラミックス部品と金属部品を銀と銅と活性金属を含む接合層により接
合したセラミックス封着部品は、接合層では銀と銅が溶融しており、接合層中央部の断面
を20層以上に分割して銀と銅と活性金属の質量%を測定して前記接合層のセラミックス
部品側から金属部品側に質量%をプロットしたときに、活性金属質量%の極大値(Wm)
、銅質量%の極大値(Wc)、銀質量%の極大値(Wa)が存在する。また、活性金属質
量%の2番目に大きい極大値が極大値(Wm)の0.7倍以下であり、銅の質量%の極小
値が極大値(Wc)の0.3倍以上であり、セラミックス部品側1/4までの銀の質量%
の最大値が極大値(Wa)の0.3倍以上0.5倍以下である
【0011】
また、実施形態のセラミックス封着部品では、銅質量%のプロットにおいて、0.5Wc
以下の範囲が40%以下であり、銀質量のプロットにおいて、0.5Wa以下の範囲が5
0%以下である。
【0012】
また、実施形態のセラミックス封着部品では、活性金属ろう材が、チタン、ジルコニウム
、ハフニウムから選ばれる1種以上の活性金属と、銅および銀から選ばれる1種以上のろ
う材金属である。
【0013】
また、実施形態のセラミックス封着部品では、接合層の厚さが70μm以上である。
【0014】
また、実施形態のセラミックス封着部品では、金属部品が鉄または鉄合金、鉄-ニッケル
系合金、ないし銅または銅合金である。
【0015】
また、実施形態のセラミックス封着部品では、セラミックス部品が、アルミナである。
【0016】
また、実施形態のセラミックス部品と金属部品を接合するセラミックス封着部品の製造方
法では、セラミックス部品に銅を含む活性金属ろう材からなるペーストを印刷乾燥し加熱
してセラミックス部品端面に活性金属ろう材層を形成し、形成した活性金属ろう材層に銀
を含むろう材からなるペーストを印刷乾燥したあとに金属部品を設置し加熱処理をしてろ
う材層を形成し、セラミックス部品と金属部品を接合する。
【0017】
また、実施形態のセラミックス部品と金属部品を接合するセラミックス封着部品の製造方
法では、前記活性金属ろう材層の加熱温度(T1)が800℃以下であり、前記ろう材層
の加熱温度(T2)が820℃以下であり、加熱温度の差(T2―T1)が20℃以上で
ある。
【0018】
また、実施形態のセラミックス部品と金属部品を接合するセラミックス封着部品の製造方
法では、活性金属ろう材からなるペーストの印刷厚さが20μm以上であり、銀を含むろ
う材からなるペーストの厚さが50μm以上である。
【0019】
また、実施形態のセラミックス部品と金属部品を接合するセラミックス封着部品の製造方
法では、活性金属ろう材からなる活性金属ろう材層の全面に銀を含むろう材からなるペー
ストを印刷する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】実施形態に係るセラミックス封着部品の一例を示す斜視図
【
図2】実施形態に係るセラミックス封着部品の断面の一例を示す図
【
図3】実施形態に係るセラミックス封着部品の接合部の断面の一例を示す図
【
図4】実施形態に係るセラミックス封着部品の製造工程の一例を示す図
【
図5】実施形態に係るセラミックス封着部品の接合部断面の一例の拡大図
【
図6】実施形態に係るセラミックス封着部品の接合部断面の一例の質量%を示す図
【
図7】比較例に係るセラミックス封着部品の接合部断面の一例の質量%を示す図
【
図8】比較例に係るセラミックス封着部品の接合部断面の一例の質量%を示す図
【発明を実施するための形態】
【0021】
実施形態に係るセラミックス部品と金属部品を銀と銅と活性金属を含む接合層により接
合したセラミックス封着部品は、接合層では銀と銅が溶融しており、接合層中央部の断面
を20層以上に分割して銀と銅と活性金属の質量%を測定して前記接合層のセラミックス
部品側から金属部品側に質量%をプロットしたときに、活性金属質量%の極大値(Wm)
、銅質量%の極大値(Wc)、銀質量%の極大値(Wa)が存在する。また、活性金属質
量%の2番目に大きい極大値が極大値(Wm)の0.7倍以下であり、銅の質量%の極小
値が極大値(Wc)の0.3倍以上であり、セラミックス部品側1/4までの銀の質量%
の最大値が極大値(Wa)の0.3倍以上0.5倍以下である。
【0022】
また、実施形態のセラミックス部品と金属部品を接合するセラミックス封着部品の製造
方法では、セラミックス部品に銅を含む活性金属ろう材からなるペーストを印刷乾燥し加
熱してセラミックス部品端面に活性金属ろう材層を形成し、形成した活性金属ろう材層に
銀を含むろう材からなるペーストを印刷乾燥したあとに金属部品を設置し加熱処理をして
ろう材層を形成し、セラミックス部品と金属部品を接合する。
【0023】
図1に実施形態に係るセラミックス封着部品1の斜視図の一例を示す。3は円筒形状の
セラミックス部品、2は円筒形状の金属部品である。
図1では、セラミックス部品3の上
側端面および下側(反対側)端面に金属部品2を接合した例を示したものである。実施形
態は、このような形に限定されるものではなく、角筒形状のセラミックス部品や金属部品
でもよく、下側底面がセラミックス部品であり上側(片側)だけ金属部品に接合された形
態や片方の面に2以上の開口部があるセラミックス部品に金属部品を接合してもよいもの
とする。
【0024】
実施形態に係るセラミックス封着部品1では、例えばセラミックス部品3は円筒形状の
アルミナからなるセラミックス部品と、このセラミックス部品の一部の表面上に設けられ
た接合層がある。ここでいう接合層とは、セラミックス部品側の接合層には銅(Cu)、
銀(Ag)などの金属と、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、およびハフニウム(
Hf)などの活性金属と、を混合したものである。また、例えば金属部品2はコバール(
Fe-Ni―Co)や銅(Cu)の円筒形状の金属部品である。
【0025】
図2に実施形態に係るセラミックス封着部品の断面図の一例を示す。1はセラミックス
封着部品、2は金属部品、3はセラミックス部品である。セラミックス部品3は、アルミ
ナ、窒化アルミニウム、窒化珪素、ジルコニア添加アルミナ(アルジル)のいずれか1種
であることが好ましい。アルミナには、アルミナに他のセラミックスなどを添加したアル
ミナ系のセラミックスを含む。例えばジルコニア添加アルミナは、アルミナと酸化ジルコ
ニウムを混合した焼結体である。また、アルミナにはジルコニア以外の焼結助剤を添加し
てもよい。これは添加した焼結助剤がガラス相からなる粒界相を形成してアルミナ焼結体
を緻密化するためである。焼結助剤としては、マンガン(Mn)、珪素(Si)、マグネ
シウム(Mg)、カルシウム(Ca)などの化合物が挙げられ、これらを、Mn、Si、
MgおよびCaの少なくとも1種以上を金属元素単体換算で合計1~15質量%添加する
ことが好ましい。また、セラミックス部品は絶縁封着部品としてコストパフォーマンスが
良いアルミナであることが好ましい。
【0026】
セラミックス部品3と接合する金属部品2の材質は、鉄(Fe)および鉄合金、鉄-ニッ
ケル系合金、銅(Cu)および銅合金、タングステン(W)、モリブデン(Mo)である
ことが好ましい。鉄合金には、圧延鋼などの炭素鋼、クロム鋼などの合金鋼である。鉄―
ニッケル系合金には42アロイ(Ni42質量%、Mn0.8質量%以下、残Fe)、コ
バール(Ni29質量%、Co17質量%、残Fe)などが挙げられる。コストパフォー
マンスに優れているのは鉄および鉄合金であり、熱膨張係数など物理特性に優れているの
は鉄-ニッケル系合金である。また、熱膨張差による応力を緩和するために変形しやすい
のは銅および銅合金であり、熱による影響が大きい場合は銅および銅合金により金属部品
を形成することが好ましい。銅合金は、無酸素銅、タフピッチ銅、脱酸銅などの純銅、ベ
リリウム銅、チタン銅などの高銅合金などである。このため、用途に応じて、鉄および鉄
合金、鉄-ニッケル系合金、銅および銅合金により金属部品を形成することが好ましい。
また、金属部品は片側がコバール、反対側が銅など2種類以上の金属部品を使用すること
が可能である。また、金属部品は、プレス加工、切削加工、および曲げ加工などにより所
定の形状に加工することにより製造される。さらに耐食性や濡れ性の向上のためにニッケ
ルなどのめっきを行うことが可能である。
【0027】
図3(a)に
図2のA部の拡大図である実施形態に係るセラミックス封着部品の接合部
の断面の一例を示す。
図3(a)では金属部品の先端部が屈曲しており接合層を介して平
面でセラミックス部品と接合している。また、同じ
図2のA部の拡大図である
図3(b)
は、金属部品の先端部が接合層を介して円周方向に線(端面)でセラミックス部品と接合
している。
【0028】
接合部はセラミックスと濡れやすい活性金属を入れたろう材により低温で活性金属ろう材
層を形成する。銀と銅の溶け別れによる強度低下を防止するために、銀よりもコストパフ
ォーマンスの良い銅を選択し、銅の融点を下げるため低融点の錫(Sn)などの成分を添
加する。また、活性金属ろう材層の活性金属は水素と反応して脆化しリーク不良が発生し
やすいため、銀ろう材ペーストで活性金属ろう材層を覆うように印刷して、窒素水素雰囲
気中で加熱することにより金属部品を接合する。このとき加熱温度が高すぎると銀ろう中
の銀が活性金属ろう材層に拡散しすぎるため、ろう付け温度の+50℃以下に設定する。
また、加熱温度が低すぎると活性金属ろう材層にろう付けペーストが濡れないため、ろう
付け温度の+20℃以上に設定する。
【0029】
活性金属ろう材5および6は、Ti(チタン)などの活性金属を用いたものである。Ti
以外の活性金属は、Zr(ジルコニウム)、Hf(ハフニウム)が挙げられる。活性金属
ろう材としては、Tiと銅(Cu)の混合物が挙げられる。例えば、Tiは0.1~10
質量%、Cuは残部である。また、他の活性金属ろう材として、Ti、Ag、Cuの混合
物が挙げられる。Tiは0.1~10質量%、Cuは10~60質量%、Agは残部であ
る。また、接合時の活性金属ろう材の拡散を制御する場合には、必要に応じ、インジウム
(In)、錫(Sn)、アルミニウム(Al)、けい素(Si)、炭素(C)、マグネシ
ウム(Mg)から選ばれる1種以上を1~15質量%添加してもよい。セラミックス部品
表面に活性金属ろう材ペーストを印刷した後に乾燥する。その後、真空中または非酸化ガ
ス中にて750~800℃で加熱することによりセラミックス部品表面にメタライズ層(
接合層)を形成する。次に、形成されたメタライズ層の表面に銀ろう材ペーストを印刷し
た後に乾燥する。その後、印刷乾燥したペースト表面に接するように金属部品を配置し、
真空中または非酸化ガス中にて780~820℃で加熱することによりセラミックス部品
と金属部品を接合する。
【0030】
図4に実施形態に係るセラミックス封着部品の
図3(b)の製造方法の工程図を示す。図
4(a)はセラミックス部品3の断面図である。
図4(a)では外周部および内周部に面
取りが形成されている。面取りが形成されていない状態でも可能であるが、セラミックス
部品の端面は外部からの衝撃などにより欠けやすく、欠け防止のために有効である。
図4
(b)はセラミックス部品3に活性金属ろう材ペーストを印刷・乾燥後に真空または非酸
化ガス中にて加熱して活性金属ろう材層4を形成した状態である。平面であるセラミック
ス部品端面にペーストを印刷して形成するため接合前の活性金属ろう材層4の表面は略平
面である。また、
図4(b)では端部の平面部のみに活性金属ろう材ペーストを印刷して
いるが、面取り部分にまで活性金属ろう材を印刷することも可能である。
【0031】
図4(c)は接合層の表面にろう材ペースト6を印刷・乾燥した状態である。活性金属ろ
う材ペーストには水素脆化を起こしやすい活性金属が含まれているため、接合後にろう材
ペーストが活性金属ろう材の表面の全面を覆う状態にすることが好ましい。活性金属ろう
材ペーストと同じ印刷パターンで重ねて印刷した場合では、ろう材ペーストの粘度を活性
金属ペーストの粘度よりやや低くすることにより印刷時に広がり全面を覆うことが可能で
ある。また、ろう材ペーストの印刷パターンより大きい(広い)印刷パターンにより活性金
属ろう材層の全面を覆うように印刷することも可能である。印刷パターンを大きくしすぎ
るとろう材ペーストは加熱時にセラミックス部品と反応せずに活性金属ろう材層や金属部
品に集まってくるが、このとき活性金属ろう材層や金属部品の周辺に塊になって存在する
と応力集中の原因となる。このため、ろう材ペーストの印刷パターンを大きくする場合は
活性金属ろう材ペーストの印刷パターンよりも0.1mm以下に大きくすることが好まし
い。
【0032】
図4(d)は印刷・乾燥したろう材ペースト6の表面に金属部品2を設置した状態である
。
図2のように複数の金属部品2を接合する場合は同時に設置する。設置した状態で加熱
して金属部品2を接合する。
【0033】
図4(e)は金属部品2を接合した状態である。ろう材層5が金属部品2の側面に這い上
がり強固な接合状態を形成している。このように、ろう材層5が金属部品2を覆うことに
より部品内外でリークのない封着が可能となる。
【0034】
次に、実施形態に係るセラミックス封着部品の製造方法について説明する。セラミックス
封着部品は前述の構成を有していれば、その製造方法は特に限定されるものではないが、
歩留まり良く得るための方法として次のものが挙げられる。
【0035】
実施形態に係るセラミックス部品の一例は円柱形状であり、例えば、外径50mm、内径
38mm、高さ50mmである。セラミックス部品は外部からの衝撃などにより角部に欠
けやクラックが発生しやすい。このため端面の外周部および内周部に面取り加工をしてお
くことが好ましい。面取りの形状は例えばC面取りやR面取りがあり、面取りの大きさは
0.1~2mmであることが好ましい。
【0036】
実施形態に係る金属部品の材質は、鉄および鉄合金、銅および銅合金、42アロイやコバ
ールなどの鉄―ニッケル系合金、タングステン、モリブデンなどが挙げられる。熱膨張係
数など物理特性に優れているのはコバールであり、熱膨張差による応力を緩和するために
変形しやすいのは銅および銅合金である。このため、コバールや銅および銅合金による金
属部品を形成することが好ましい。
【0037】
実施形態に係る金属部品の形状の一例は略円筒形状である。例えば、高さ20mmであり
、
図3(a)であれば、先端加工されていない部分は外径48mm、内径46mmである
。先端部は略垂直に内側に曲がっているフランジ形状であり長さは4mmである。上記形
状の金属部品は、プレスなどにより円筒形状にした後、先端部分をプレス加工や絞り加工
によりフランジ形状にする。また、有底円筒形から曲げ部分を残してプレスにて打ち抜い
て曲げ形状を得ることも可能である。また、
図3(b)であれば、外径46mm、内径4
4mmである。これらの金属部品は耐食性や濡れ性の向上のためにニッケルなどのめっき
を行うことが可能である。
【0038】
活性金属ろう材およびろう材の形態はペーストである。シートやワイヤーは活性金属ろう
材を溶融してシートやワイヤー形状に加工してから、製品形状に合わせて所定の寸法に加
工するための工程が必要である。これに対してペーストは、ペーストを製造する工程はあ
るものの、製品形状に合わせて必要な箇所に印刷するなど取り扱いに優れている。また、
活性金属ろう材の量は少なすぎると未接合箇所であるろう切れが発生し、多すぎるとろう
溜まりが起こり応力破壊の原因となるため、ろう付け面積にあわせて使用する活性金属ろ
う材の量を調整することが可能である。
【0039】
活性金属ろう材ペーストは、活性金属粉末にろう材金属粉末を混合したものに、有機バイ
ンダーと有機溶剤を加えたものである。有機バインダーは乾燥工程や接合(加熱)工程に
より焼失するものであれば特に限定されるものではない。好ましい一例としてはエチルセ
ルロースが挙げられる。有機溶剤は乾燥工程や焼成工程により焼失するものであれば特に
限定されるものではない。好ましい一例としてはテレピネオールやブチルカルビトールが
挙げられる。活性金属ろう材ペーストは、例えば活性金属粉末とろう材金属粉末とを解砕
混合をした後、有機バインダーおよび有機溶剤と混合して調製されたものである。また、
活性金属ろう材成分に含まれる活性金属の比率は0.1~15質量%、好ましくは0.5
~10質量%である。
【0040】
活性金属ろう材ペーストの印刷厚さは20~100μmが好ましい。印刷厚さが20μm
未満であると活性金属ろう材層の厚さにばらつきができ接合強度を低下させる。一方、1
00μmを越えるとそれ以上の効果が得られない。また、ペーストはスクリーン印刷法な
どによりセラミックス部品端面に均一な厚さで印刷する。印刷厚さが不均一であると厚い
部分では活性金属ろう材が過剰になり、ろう材溜まりができ熱応力によるクラックが発生
する。また、薄い部分では活性金蔵ろう材切れによりリーク不良が発生する。このため、
厚い部分と薄い部分の印刷厚さの差は15μm以下、さらには10μm以下であることが
好ましい。
【0041】
セラミックス部品に印刷されたペーストは大気雰囲気などで乾燥する。乾燥温度が低く乾
燥時間が短いとペーストの溶液成分が十分に揮発されず、接合時にボイドが発生する可能
性がある。これとは逆に、乾燥温度が高く乾燥時間が長いとペーストの表面の酸化が進み
、接合温度が変化する可能性がある。このため、乾燥温度は50~100℃、好ましくは
60~80℃である。また、乾燥時間は5~30分、好ましくは10~20分である。
【0042】
ペースト乾燥後に金属部品をペースト乾燥面上に設置して加熱することにより接合を行う
。接合温度は600~850℃、好ましくは700~800℃である。また、接合時間は
接合温度に到達した状態で5~60分間の範囲が好ましい。接合温度が低く接合時間が短
いと活性金属ろう材が十分に溶融せずに接合しない場合がある。これとは逆に、接合温度
が高く接合時間が長いと活性金属ろう材が溶融しすぎて広がりボイドが発生する場合があ
る。また、活性金属接合雰囲気は必要に応じ、真空中や非酸化性雰囲気で行うものとする
。真空中で行う場合は、1×10-2Pa以下であることが好ましい。また、非酸化性雰
囲気は窒素雰囲気やアルゴン雰囲気が挙げられる。真空中または非酸化性雰囲気とするこ
とにより、活性金属ろう材層が酸化されるのを抑制することができる。これにより、接合
強度の向上が図られる。ろう付けに使用する炉は連続炉やバッチ炉が使用される。量産性
において優れているのは連続炉であり、温度や雰囲気の制御がしやすのはバッチ炉である
。上記の雰囲気で所定時間加熱することにより活性金属ろう材層が形成される。
【0043】
ろう材ペーストは、金属部品および活性金属ろう材と濡れ性の良い金属で構成される。セ
ラミックスと金属部品の接合に多く使用されるろう材は銀ろうである。銀ろうは、銀と銅
を主成分とするが、亜鉛やニッケルなどの他の金属成分を含むこともある。セラミックス
と金属部品を接合する中で良く使用される72%銀-28%銅による銀ろう(BAg-8
)がある。「銀ろう(JIS Z3261:1998)」によるBAg-8では、銀(A
g)71~73%、銅(Cu)27~29%、その他元素合計0.15%以下である。ろ
う材ペーストは、ろう材金属粉末を混合したものに、有機バインダーと有機溶剤を加えた
ものである。有機バインダーは乾燥工程や接合(加熱)工程により焼失するものであれば
特に限定されるものではない。好ましい一例としてはエチルセルロースが挙げられる。有
機溶剤は乾燥工程や焼成工程により焼失するものであれば特に限定されるものではない。
好ましい一例としてはテレピネオールやブチルカルビトールが挙げられる。ろう材ペース
トは、例えば金属粉末を解砕混合した後、有機バインダーおよび有機溶剤と混合して調製
されたものである。
【0044】
ろう材ペーストの印刷厚さは50~200μmが好ましい。印刷厚さが50μm未満であ
るとろう材層の厚さにばらつきができ接合強度を低下させる。一方、200μmを越える
とそれ以上の効果が得られない。また、ペーストはスクリーン印刷法などによりセラミッ
クス部品端面に均一な厚さで印刷する。印刷厚さが不均一であると厚い部分ではろう材が
過剰になり、ろう材溜まりができ熱応力によるクラックが発生する。また、薄い部分では
活性金蔵ろう材切れによりリーク不良が発生する。このため、厚い部分と薄い部分の印刷
厚さの差は20μm以下、さらには15μm以下であることが好ましい。
【0045】
活性金属ろう材層に印刷されたろう材ペーストは大気雰囲気などで乾燥する。乾燥温度が
低く、乾燥時間が短いとペーストの溶液成分が十分に揮発されず、接合時にボイドが発生
する可能性がある。これとは逆に、乾燥温度が高く、乾燥時間が長いとペーストの表面の
酸化が進み、接合温度条件が変化する可能性がある。このため、乾燥温度は50~100
℃、好ましくは60~80℃である。また、乾燥時間は5~30分、好ましくは10~2
0分である。
【0046】
ろう材ペースト乾燥後に金属部品をペースト乾燥面上に設置して加熱することにより接合
を行う。接合温度は650~900℃、好ましくは750~820℃である。また、接合
時間は接合温度に到達した状態で5~60分間の範囲が好ましい。
図3(a)および(b
)のようにろう材層5は溶融して金属部品2の表面を濡れ広がり接合が行われるため封着
性を伴う接合が行われる。接合温度が低く接合時間が短いと活性金属ろう材が十分に溶融
せずに接合しない場合がある。これとは逆に、接合温度が高く接合時間が長いとろう材が
溶融しすぎて濡れ広がり、ろう切れやボイドが発生する場合がある。
【0047】
また、ろう付け接合雰囲気は必要に応じ非酸化性雰囲気で行うものとする。非酸化性雰囲
気は、窒素雰囲気、窒水素雰囲気が挙げられる。非酸化性雰囲気とすることにより、接合
層が酸化されるのを抑制することができる。これにより、接合強度の向上が図られる。ろ
う付けに使用する炉は連続炉やバッチ炉が使用される。量産性において優れているのは連
続炉であり、温度や雰囲気の制御がしやすのはバッチ炉である。上記の雰囲気で部品を所
定時間加熱することによりろう付けが行われる。
【0048】
セラミックス部品と金属部品を接合する接合層の厚さは70μm以上であることが好まし
い。前述したように接合層は20μm以上の活性金属ろう材層と50μm以上のろう材層
から形成されるためである。なお、このときの接合層の厚さとは、金属部品の接合面とセ
ラミックス部品の距離を示す。たとえば、
図3(a)では金属部品2の先端がフランジ形
状に曲がっており平面でセラミックス部品3と接合している。このため折れ曲がった部分
の略中央部分を接合層の厚さとする。また、
図3(b)では金属部品2の端面がセラミッ
クス部品3と接合している。このため金属部品2の端面の略中央部分を接合層の厚さとす
る。さらに、金属部品2の先端がU字型やV字型などのように尖っている場合は、尖って
いる先端部分を接合層の厚さとする。
【0049】
図5に
図3(b)のB部分の拡大図を示す。
図5ではセラミックスと金属部品の間を20
分割した状態を模式的に示している。分割した部分ごとにエネルギー分散型蛍光X線分析
装置(EDX)により、構成する元素の質量%を測定する。前記接合層のセラミックス部
品側から金属部品側に質量%をプロットしたときに、活性金属質量%の極大値(Wm)、
銅質量%の極大値(Wc)、銀質量%の極大値(Wa)が存在する。なお、極大値が2つ
以上ある場合は大きい値をそれぞれの極大値とする。
【0050】
実施形態に係るセラミックス封着部品の一例では接合部断面の中央部200μmについて
3.6μm幅(高さ)で分割し、エネルギー分散型蛍光X線分析装置(EDX)により、
構成する元素の質量%を測定している。
図6に実施形態に係るセラミックス封着部品の接
合部断面の一例について元素の質量%をプロットした図を示す。
図6では(a)チタン(
Ti)、(b)銅(Cu)、(c)銀(Ag)のセラミックス側から金属側へのそれぞれ
の個所(距離)の質量%(wt%)の値をプロットしている。また、プロットは小さい側
の個所、例えば0~3.6μmの値はX軸で0μmの個所にプロットしている。
【0051】
図6では、活性金属質量%の2番目に大きい極大値(Wm2)は6.0質量%で極大値(
Wm)12.2質量%の0.49倍となり0.7倍以下である。活性金属ろう材を加熱し
たときに活性金属はセラミックスと反応して接合層を形成するため、セラミックス側に活
性金属の極大値が存在する。ろう材ペーストを印刷して加熱する(加熱温度(T2))と
活性金属の一部はろう材層へ拡散する。このとき、加熱温度(T2)が低い場合は活性金
属接合層に対する影響は小さいため極大値の大きさに対する影響は小さい。加熱温度(T
2)が高い場合は、ろう材層活性金属層が大きく拡散するため、ろう材層中の活性金属の
極大値が極大値(質量)の0.7倍より大きくなる。このとき、接合に必要な活性金属が
不足すると接合強度が低下する。
【0052】
図6では、銅の質量%の極小値は21.1質量%であり極大値(Wc)56.6質量%の
0.37倍となりの0.3倍以上である。例えば、使用するろう材がBAg―8ろう材で
ある場合の銅含有量は28%であるため、活性金属ろう材に、それよりも多く銅を含んだ
活性金属ろう材を使用した場合はセラミックス部品側に銅の極大値がある。加熱温度(T
2)が低い場合は活性金属ろう材層に対する影響は小さいため、
図6のような極小値が存
在しないか、極大値の大きさに対する影響は小さく、0.3倍以下になる。加熱温度(T
2)が高い場合は、ろう材中の銀と銅が溶け分かれるために50%よりも大きくなる。ろ
う材の金属が溶け分かれると接合強度が低下する。なお、極小値が2つ以上存在する場合
は小さい値を極小値とする。
【0053】
また、
図6では、セラミックス部品側1/4の距離までの銀の質量%の最大値が28.7
質量%と極大値(Wa)63.0質量%の0.46倍となり、0.3倍以上0.5倍以下
である。これは銀を含むろう材が適度に活性金属ろう材層に拡散している状態である。ろ
う材が適度に活性金属ろう材層に拡散していると、活性金属ろう材とろう材層が強固に接
合している状態である。
【0054】
また、
図6では、銅質量%のプロットにおいて、0.5Wc以下の範囲が27点中6点と
22.2%と40%以下の範囲内である。0.5Wc以下の範囲が40%以下であれば、
接合や封着に寄与する銅が十分に存在する。0.5WC以下の範囲が40%を超えると銅
以外の構成元素が過多になる部分が発生し接合不良やリーク不良の原因となる。
【0055】
また、
図6では、銀質量%のプロットにおいて、0.5Wa以下の範囲が27点中13点
と48.1%である。50%以下の範囲内である。0.5Wc以下の範囲が40%以下で
あれば、接合や封着に寄与する銀が十分に存在する。0.5WC以下の範囲が40%を超
えると銀以外の構成元素が過多になる部分が発生し接合不良やリーク不良の原因となる。
【0056】
図7は、加熱温度(T2)が低い場合の質量%のプロット図である。活性金属質量%の2
番目に大きい極大値は4.9質量%と極大値(Wm)9.4質量%の0.7倍以下である
。しかしながら、銅の質量%の極小値が10.1質量%と極大値(Wc)57.3質量%
の0.18倍と0.3倍よりも小さい。これは接合層中に銅が十分に存在していない箇所
があることを示しており、接合不良やリーク不良の原因となる。また、セラミックス部品
側1/4の距離までの銀の質量%の最大値が20.3質量%と極大値(Wa)75.0質
量の0.27倍と小さい状態である。これは銀を含むろう材が十分に活性金属ろう材層に
拡散していないためである。ろう材が十分に拡散していない状態であれば、活性金属ろう
材とろう材の接合が弱くなり接合不良やリーク不良の原因となる。
【0057】
また、
図7では、銅質量%のプロットにおいて、0.5Wc以下の範囲が24点中10点
と41.1%と40%以下の範囲外である。0.5WC以下の範囲が40%を超えると銅
以外の構成元素が過多になる部分が発生し接合不良やリーク不良の原因となる。また、銀
質量のプロットにおいて、0.5Wa以下の範囲が27点中13点と48.1%である。
50%以下の範囲内である。0.5Wc以下の範囲が40%以下であれば、接合や封着に
寄与する銀が十分に存在する。0.5WC以下の範囲が40%を超えると銀以外の構成元
素が過多になる部分が発生し接合不良やリーク不良の原因となる。
【0058】
図8は、加熱温度(T2)が高い場合の質量%のプロット図である。
図8(a)では活性
金属質量%の2番目に大きい極大値が12.0質量%と極大値(Wm)12.0質量%の
0.85倍と0.7倍よりも大きい。これは、セラミックス部品表面近傍に十分な量の活
性金属による接合層ができないことを示す。セラミックス部品の接合に寄与する活性金属
の存在が少ない状態であれば、セラミックス部品近傍の接合不良やリーク不良の原因とな
る。また、銅の質量%の極小値が3.6質量%は極大値(Wc)79.2質量%の0.0
5倍となり0.3倍よりも小さい。これは接合層中に銅が十分に存在していない箇所があ
ることを示しており、接合不良やリーク不良の原因となる。また、セラミックス部品側1
/4までの銀の質量%の最大値が0.6質量%と極大値(Wa)86.9質量%の0.0
1倍と小さい状態である。これは銀を含むろう材が十分に活性金属ろう材層に拡散してい
ないためである。ろう材が十分に拡散していない状態であれば、活性金属ろう材とろう材
の接合が弱くなり接合不良やリーク不良の原因となる。
【0059】
また、
図8では、銅質量%のプロットにおいて、0.5Wc以下の範囲が22点中10点
と45.5%と40%以下の範囲外である。0.5WC以下の範囲が40%を超えると銅
以外の構成元素が過多になる部分が発生し接合不良やリーク不良の原因となる。また、銀
質量のプロットにおいて、0.5Wa以下の範囲が22点中15点と68.2%と50%
以下の範囲外である。0.5WC以下の範囲が50%を超えると銀以外の構成元素が過多
になる部分が発生し接合不良やリーク不良の原因となる。
【0060】
以上本発明の実施形態におけるセラミックス封着部品の製造方法によれば、封着部品とし
ての気密性能を保持したまま、コストパフォーマンスに優れたセラミックス封着部品を得
ることができる。
【0061】
(実施例1~8、比較例1~8)
アルミナに酸化マンガン(MnO2)、酸化ケイ素(シリカ:SiO2)、酸化マグネシ
ウム(マグネシア:MgO)の助剤を加えて、92質量%アルミナの組成を有する造粒粉
を準備した。造粒粉を金型プレスで成型し1500℃大気中で焼結して、外径50mm、
内径40mm、高さ50mm、外径C面取り0.5mm、内径C面取り0.5mmの円筒
形状のセラミックス部品を得た。また、窒化アルミニウム(AlN)にイットリア(酸化
イットリウム:Y2O3)の助剤を3質量%加えて、窒化アルミニウム造粒粉を準備した。
造粒粉を金型プレスで成型し1800℃窒素中で焼結することにより、アルミナ部品と同
じ寸法の円筒形状のセラミックス部品を得た。
【0062】
金属部品は、銅、コバール、鉄を、外径46mm、内径44mm、高さ20mmの円筒形
状にプレス加工して、表1にあるような金属部品を得た。なお、加工した鉄部品の表面に
2μmのニッケルめっきを施した。
【0063】
次に、金属粉末配合比が銅粉末、錫粉末、水素化チタン(TiH)粉末を重量%で60:
30:10になるように調合し、エチルセルロールとテレピネオールと混ぜ混錬機でペー
スト化して活性金属ろう材ペーストを作製した。セラミックス部品の上下端部(リング部
分)に、外径48mm×内径42mmの100メッシュスクリーンを用いてスクリーン印
刷により厚さ30μmの活性金属ペーストを印刷し、大気中100℃で乾燥した。活性金
属ろう材ペーストを乾燥したセラミックス部品を窒素雰囲気連続炉にて加熱温度(T1)
以上10分間で加熱することにより、セラミックス部品の端面に活性金属ろう材層を形成
した。
【0064】
次に、金属粉末配合比が銀粉末と銅粉末を重量%で72:28なるように調合し、活性金
属ろう材ペーストと同様な方法でペースト化し銀ろう材ペーストを作製した。活性金属ろ
う材層を形成したセラミックス部品の上下端部(リング部分)に、外径48mm×内径4
2mmの100メッシュスクリーンを用いてスクリーン印刷により厚さ100μmのろう
材ペーストを印刷し、大気中100℃で乾燥した。次に、金属部品、セラミックス部品、
金属部品の順番に治具にセットして、窒水素雰囲気連続炉にて加熱温度(T2)以上10
分間で加熱することにより、金属部品とセラミックス部品を接合してセラミックス封着部
品を作製した。
【0065】
また、接合強度測定用として金属部品の代わりに、10mm×100mm×0.1mmの
金属平板を用いて、金属平板、セラミックス部品、金属平板の順番に治具にセットして加
熱することにより接合して接合強度用試験サンプルを作製した。
【0066】
【0067】
表1から分かるとおり、実施例では、加熱温度(T1)、ろう材印刷厚さ、加熱温度(T
2)、温度差(T2-T1)の値は好ましい範囲内であった。一方、比較例では、好まし
い範囲外となった。
【0068】
次にセラミックス封着部品を
図2のように中央部分で切断し接合箇所を研磨して接合部の
中央部を
図5のように200μmについて3.6μm幅(高さ)で分割し、エネルギー分
散型蛍光X線分析装置(WDX)により、構成する元素の質量%を測定した。チタン、銅
、銀の各元素について
図7~9のようなグラフにプロットし、活性金属質量%の極大値(
Wm)、活性金属質量%の第2極大値(Wm2)、銅質量%の極大値(Wc)、銅質量%
の極小値(Wcl)、銀質量%の極大値(Wa)、セラミックス部品側1/4までの銀の
質量%の最大値(Waq)、銅質量%のプロットにおける0.5Wc以下の範囲、銀質量
のプロットにおける0.5Wa以下の範囲を求めた。求めた数値等から、活性金属質量%
の極大値に対する活性金属質量%の第2極大値(Wm2/Wm)、銅質量%の極大値に対
する銅質量%の極小値(Wcl/Wc)、銀質量%の極大値に対するセラミックス部品側
1/4までの銀の質量%の最大値(Waq/Wa)、銅質量%のプロットにおける0.5
Wc以下の範囲の割合、銀質量のプロットにおける0.5Wa以下の範囲の割合を計算し
た。得られた結果を表2に示す。
【0069】
【0070】
表2から分かるとおり、実施例では、活性金属質量%の極大値に対する活性金属質量%の
第2極大値(Wm2/Wm)、銅質量%の極大値に対する銅質量%の極小値(Wcl/W
c)、銀質量%の極大値に対するセラミックス部品側1/4の距離までの銀の質量%の最
大値(Waq/Wa)、銅質量%のプロットにおける0.5Wc以下の範囲の割合、銀質
量のプロットにおける0.5Wa以下の範囲の割合の値は好ましい範囲内であった。一方
、比較例では、好ましい範囲外となるものがあった。
【0071】
次に、接合強度用試験サンプルの金属板を直角に折り曲げてインストロン引張試験機にて
上方に引っ張ることにより接合強度を求めた。また、試験後のセラミックス封着部品の上
部をバイトンゴム製の円形治具でシリコーンを塗布して抑えて下部をヘリウムリークディ
テクターに固定して吸引してヘリウムリーク試験をおこなった。ヘリウムリーク試験は「
ヘリウム漏れ試験方法」(JIS Z2331:2006)の真空吹き付け法(スプレー
法)に準拠して行い、真空度1.3μPaにおいて1×10-9Pa・m3/s以上のリー
クが発生しない場合を合格(〇)、リークが発生した場合を不合格(×)とした。
【0072】
さらに、ヘリウムリーク試験に合格したセラミックス封着部品に対して、TCT(The
rmal Cycle Test:温度サイクル試験)を低温条件-40℃×30分、高
温条件125℃×30分で80サイクル行った後にヘリウムリーク試験を行った。リーク
が発生しない場合を合格(〇)、リークが発生した場合を不合格(×)とした。実施例と
比較例のそれぞれの試験結果を表3に示す。
【0073】
【0074】
表2から分かる通り実施例の接合強度は0.60MPa以上と良好な値であった。それに
対して、比較例では、0.55MPa以下であった。実施例の接合条件では、セラミック
スと活性金属ろう材、活性金属ろう材とろう材、およびろう材と金属部品が、それぞれ反
応することにより強固な接合層を形成した。これ対して、比較例の接合条件では、実施例
よりも反応が進まず接合強度の低下につながった。
【0075】
また、実施例に係るセラミックス封着部品は、ヘリウムリーク試験でリーク不良が発生し
なかった。これはセラミックス部品および金属部品に対して接合距離が十分にあったため
と、活性金属ろう材層とろう材層からなる接合層により接合強度が確保されたことおよび
熱膨張差が軽減されたためである。それに対して比較例ではリーク不良が発生した。これ
は、接合強度が十分に高くなかったことと、セラミックス部品と金属部品の熱膨張差によ
り接合部分にダメージがあり気密性が保てなかったためである。
【0076】
また、実施例に係るセラミックス封着部品は、TCT後のヘリウムリーク試験でリーク不
良が発生しなかった。これはセラミックス部品および金属部品に対して接合距離が十分に
あったことに加えて、活性金属ろう材層とろう材層からなる接合層により接合強度が確保
されたこと、および接合温度が低いことにより、加熱冷却の熱応力による接合層へのダメ
ージを低減したためである。それに対して比較例では、TCT後のヘリウムリーク不良が
発生した。これは活性金属ろう材層とろう材層からなる接合層により接合強度が十分に確
保されたことに加えて熱膨張差の緩和が十分でなかったため、加熱冷却の熱応力により接
合層にダメージが入りリーク経路が発生したためである。
【0077】
上記に示す結果から明らかなように、実施例は比較例と比べて、リーク特性およびTCT
での信頼性の向上が認められた。
【0078】
以上、本発明のいくつかの実施形態を例示したが、これらの実施形態は、例として提示し
たものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、
その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種
々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。これら実施形態やその変形例は、発
明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲
に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0079】
1…セラミックス封着部品
2…金属部品
3…セラミックス部品
4…活性金属ろう材層
5…ろう材層
6…ろう材ペースト
【手続補正書】
【提出日】2023-12-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0035
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0035】
実施形態に係るセラミックス部品の一例は円筒形状であり、例えば、外径50mm、内径38mm、高さ50mmである。セラミックス部品は外部からの衝撃などにより角部に欠けやクラックが発生しやすい。このため端面の外周部および内周部に面取り加工をしておくことが好ましい。面取りの形状は例えばC面取りやR面取りがあり、面取りの大きさは0.1~2mmであることが好ましい。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0042
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0042】
ペースト乾燥後に金属部品をペースト乾燥面上に設置して加熱することにより接合を行う。接合温度は600~850℃、好ましくは700~800℃である。また、接合時間は接合温度に到達した状態で5~60分間の範囲が好ましい。接合温度が低く接合時間が短いと活性金属ろう材が十分に溶融せずに接合しない場合がある。これとは逆に、接合温度が高く接合時間が長いと活性金属ろう材が溶融しすぎて広がりボイドが発生する場合がある。また、活性金属接合雰囲気は必要に応じ、真空中や非酸化性雰囲気で行うものとする。真空中で行う場合は、1×10
-2
Pa以下であることが好ましい。また、非酸化性雰囲気は窒素雰囲気やアルゴン雰囲気が挙げられる。真空中または非酸化性雰囲気とすることにより、活性金属ろう材層が酸化されるのを抑制することができる。これにより、接合強度の向上が図られる。ろう付けに使用する炉は連続炉やバッチ炉が使用される。量産性において優れているのは連続炉であり、温度や雰囲気の制御がしやすのはバッチ炉である。上記の雰囲気で所定時間加熱することにより活性金属ろう材層が形成される。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0054
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0054】
また、
図6では、銅質量%のプロットにおいて、0.5Wc以下の範囲が27点中6点と22.2%と
なり40%以下の範囲内である。0.5Wc以下の範囲が40%以下であれば、
接合や封着に寄与する銅が十分に存在する。0.5W
c以下の範囲が40%を超えると銅
以外の構成元素が過多になる部分が発生し接合不良やリーク不良の原因となる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0058
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0058】
図8は、加熱温度(T2)が高い場合の質量%のプロット図である。
図8(a)では活性金属質量%の2番目に大きい極大値が12.0質量%と極大値(Wm)1
4.1質量%の0.85倍と0.7倍よりも大きい。これは、セラミックス部品表面近傍に十分な量の活性金属による接合層ができないことを示す。セラミックス部品の接合に寄与する活性金属の存在が少ない状態であれば、セラミックス部品近傍の接合不良やリーク不良の原因となる。また、銅の質量%の極小値が3.6質量%は極大値(Wc)79.2質量%の0.05倍となり0.3倍よりも小さい。これは接合層中に銅が十分に存在していない箇所があることを示しており、接合不良やリーク不良の原因となる。また、セラミックス部品側1/4までの銀の質量%の最大値が0.6質量%と極大値(Wa)86.9質量%の0.01倍と小さい状態である。これは銀を含むろう材が十分に活性金属ろう材層に拡散していないためである。ろう材が十分に拡散していない状態であれば、活性金属ろう材とろう材の接合が弱くなり接合不良やリーク不良の原因となる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0059
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0059】
また、
図8では、銅質量%のプロットにおいて、0.5Wc以下の範囲が22点中10点と45.5%と40%以下の範囲外である。0.5W
c以下の範囲が40%を超えると銅以外の構成元素が過多になる部分が発生し接合不良やリーク不良の原因となる。また、銀質量のプロットにおいて、0.5Wa以下の範囲が22点中15点と68.2%と50%以下の範囲外である。0.5W
c以下の範囲が50%を超えると銀以外の構成元素が過多になる部分が発生し接合不良やリーク不良の原因となる。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0061
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0061】
(実施例1~8、比較例1~8)
アルミナに酸化マンガン(MnO
2
)、酸化ケイ素(シリカ:SiO
2
)、酸化マグネシウム(マグネシア:MgO)の助剤を加えて、92質量%アルミナの組成を有する造粒粉を準備した。造粒粉を金型プレスで成型し1500℃大気中で焼結して、外径50mm、内径40mm、高さ50mm、外径C面取り0.5mm、内径C面取り0.5mmの円筒形状のセラミックス部品を得た。また、窒化アルミニウム(AlN)にイットリア(酸化イットリウム:Y
2
O
3
)の助剤を3質量%加えて、窒化アルミニウム造粒粉を準備した。造粒粉を金型プレスで成型し1800℃窒素中で焼結することにより、アルミナ部品と同じ寸法の円筒形状のセラミックス部品を得た。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0071
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0071】
次に、接合強度用試験サンプルの金属板を直角に折り曲げてインストロン引張試験機にて上方に引っ張ることにより接合強度を求めた。また、試験後のセラミックス封着部品の上部をバイトンゴム製の円形治具でシリコーンを塗布して抑えて下部をヘリウムリークディテクターに固定して吸引してヘリウムリーク試験をおこなった。ヘリウムリーク試験は「ヘリウム漏れ試験方法」(JIS Z2331:2006)の真空吹き付け法(スプレー法)に準拠して行い、真空度1.3μPaにおいて1×10
-9
Pa・m
3
/s以上のリークが発生しない場合を合格(〇)、リークが発生した場合を不合格(×)とした。
【手続補正8】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正書】
【提出日】2023-12-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0069
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0069】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0070
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0070】
表2から分かる通り実施例の接合強度は60MPa以上と良好な値であった。それに対して、比較例では、55MPa以下であった。実施例の接合条件では、セラミックスと活性金属ろう材、活性金属ろう材とろう材、およびろう材と金属部品が、それぞれ反応することにより強固な接合層を形成した。これ対して、比較例の接合条件では、実施例よりも反応が進まず接合強度の低下につながった。
【手続補正書】
【提出日】2024-11-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミックス部品と金属部品を銀と銅と活性金属を含む接合層により接合したセラミックス封着部品において、
接合層では銀と銅が溶融しており、
接合層中央部の断面を20層以上に分割して銀と銅と活性金属の質量%を測定して前記接合層のセラミックス部品側から金属部品側に質量%をプロットしたときに、活性金属質量%の極大値(Wm)、銅質量%の極大値(Wc)、銀質量%の極大値(Wa)が存在し、
活性金属質量%の2番目に大きい極大値が極大値(Wm)の0.7倍以下であり、銅の質量%の極小値が極大値(Wc)の0.3倍以上であり、セラミックス部品側1/4の距離までの銀の質量%の最大値が極大値(Wa)の0.3倍以上0.5倍以下であることを特徴とするセラミックス封着部品。
【請求項2】
銅質量%のプロットにおいて、0.5Wc以下の範囲が40%以下であり、銀質量のプロットにおいて、0.5Wa以下の範囲が50%以下であることを特徴とする請求項1に記載のセラミックス封着部品。
【請求項3】
活性金属ろう材が、チタン、ジルコニウム、ハフニウムから選ばれる1種以上の活性金属と、銅および銀から選ばれる1種以上のろう材金属であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のセラミックス封着部品。
【請求項4】
接合層の厚さが70μm以上であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のセラミックス封着部品。
【請求項5】
金属部品が、鉄、鉄合金、鉄-ニッケル系合金、銅、銅合金から選ばれる1種以上の金属部品であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のセラミックス封着部品。
【請求項6】
セラミックス部品が、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化珪素、ないしアルジルであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のセラミックス封着部品。
【請求項7】
セラミックス部品と金属部品を接合するセラミックス封着部品の製造方法において、セラミックス部品端面に銅を含む活性金属ろう材からなるペーストを印刷乾燥して800℃以下の加熱温度(T1)で加熱することによりセラミックス部品端面に活性金属ろう材層を形成し、形成した活性金属ろう材層表面の全面を覆うように銀を含むろう材からなるペーストを印刷乾燥したあとに金属部品を設置し820℃以下の温度(T2)で加熱処理をしてろう材層を形成し、加熱温度の差(T2―T1)が20℃以上でセラミックス部品と金属部品を接合することを特徴とするセラミックス封着部品の製造方法。
【請求項8】
前記活性金属ろう材が、チタン、ジルコニウム、ハフニウムから選ばれる1種以上の活性金属と、銅および銀から選ばれる1種以上のろう材金属であることを特徴とする請求項7に記載のセラミックス封着部品の製造方法。
【請求項9】
活性金属ろう材からなるペーストの印刷厚さが20μm以上であり、銀を含むろう材からなるペーストの厚さが50μm以上であることを特徴とする請求項7または請求項8に記載のセラミックス封着部品の製造方法。
【請求項10】
前記金属部品が、鉄、鉄合金、鉄-ニッケル系合金、銅、銅合金から選ばれる1種以上の金属部品であることを特徴とする請求項7または請求項8に記載のセラミックス封着部品の製造方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0029
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0029】
活性金属ろう材4は、Ti(チタン)などの活性金属を用いたものである。Ti以外の活性金属は、Zr(ジルコニウム)、Hf(ハフニウム)が挙げられる。活性金属ろう材としては、Tiと銅(Cu)の混合物が挙げられる。例えば、Tiは0.1~10質量%、Cuは残部である。また、他の活性金属ろう材として、Ti、Ag、Cuの混合物が挙げられる。Tiは0.1~10質量%、Cuは10~60質量%、Agは残部である。また、接合時の活性金属ろう材の拡散を制御する場合には、必要に応じ、インジウム(In)、錫(Sn)、アルミニウム(Al)、けい素(Si)、炭素(C)、マグネシウム(Mg)から選ばれる1種以上を1~15質量%添加してもよい。セラミックス部品表面に活性金属ろう材ペーストを印刷した後に乾燥する。その後、真空中または非酸化ガス中にて750~800℃で加熱することによりセラミックス部品表面にメタライズ層(接合層)を形成する。次に、形成されたメタライズ層の表面に銀ろう材ペーストを印刷した後に乾燥する。その後、印刷乾燥したペースト表面に接するように金属部品を配置し、真空中または非酸化ガス中にて780~820℃で加熱することによりセラミックス部品と金属部品を接合する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0040
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0040】
活性金属ろう材ペーストの印刷厚さは20~100μmが好ましい。印刷厚さが20μm未満であると活性金属ろう材層の厚さにばらつきができ接合強度を低下させる。一方、100μmを越えるとそれ以上の効果が得られない。また、ペーストはスクリーン印刷法などによりセラミックス部品端面に均一な厚さで印刷する。印刷厚さが不均一であると厚い部分では活性金属ろう材が過剰になり、ろう材溜まりができ熱応力によるクラックが発生する。また、薄い部分では活性金属ろう材切れによりリーク不良が発生する。このため、厚い部分と薄い部分の印刷厚さの差は15μm以下、さらには10μm以下であることが好ましい。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0044
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0044】
ろう材ペーストの印刷厚さは50~200μmが好ましい。印刷厚さが50μm未満であるとろう材層の厚さにばらつきができ接合強度を低下させる。一方、200μmを越えるとそれ以上の効果が得られない。また、ペーストはスクリーン印刷法などによりセラミックス部品端面に均一な厚さで印刷する。印刷厚さが不均一であると厚い部分ではろう材が過剰になり、ろう材溜まりができ熱応力によるクラックが発生する。また、薄い部分では活性金属ろう材切れによりリーク不良が発生する。このため、厚い部分と薄い部分の印刷厚さの差は20μm以下、さらには15μm以下であることが好ましい。