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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024169860
(43)【公開日】2024-12-06
(54)【発明の名称】超音波診断装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/14 20060101AFI20241129BHJP
【FI】
A61B8/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023086675
(22)【出願日】2023-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 千鶴枝
(72)【発明者】
【氏名】栗原 浩
【テーマコード(参考)】
4C601
【Fターム(参考)】
4C601EE04
4C601EE11
4C601GB04
4C601JC04
4C601JC06
4C601JC21
4C601JC37
4C601KK25
4C601KK31
(57)【要約】
【課題】超音波断層画像内の各領域に対して、適応的な画質調整処理を実行可能な超音波診断装置を提供する。
【解決手段】学習モデル28は、入力された超音波データから当該超音波データに適した画像調整パラメータを出力するように学習される。特定領域決定部32は、超音波データのデータ空間において特定領域を特定する。特定パラメータ決定部34は、処理対象の超音波データのうち特定領域内の超音波データである特定領域データを学習済みの学習モデル28に入力し、学習モデル28の出力に基づいて、特定パラメータを決定する。画質調整処理部は、特定領域内の超音波データに対しては特定パラメータに基づいて画質調整処理を実行し、特定領域外の超音波データに対しては特定パラメータとは異なる画質調整用の所定パラメータを用いて画質調整処理を実行する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体に対して超音波を送受波することで得られた超音波データのデータ空間において、前記超音波データに対応する超音波断層画像の部分に対応する特定領域を決定する特定領域決定部と、
被検体に対して超音波を送受波することで得られた超音波データと、当該超音波データに対する画質調整処理において用いるべき教師画像調整パラメータとを含む学習データを用いて、入力された超音波データから、当該超音波データに適した画像調整パラメータを出力するように学習された学習モデルに、前記特定領域内の前記超音波データを入力したときの前記学習モデルの出力に基づいて、前記特定領域用の画質調整パラメータである特定パラメータを決定する特定パラメータ決定部と、
前記特定パラメータに基づいて、前記特定領域内の前記超音波データに対して、前記超音波断層画像の前記特定領域内の画質を調整する画質調整処理を実行し、前記特定領域外の前記超音波データに対して、前記特定パラメータとは異なる画質調整用の所定パラメータを用いて、前記超音波断層画像の前記特定領域外の画質を調整する画質調整処理を実行する画質調整処理部と、
を備えることを特徴とする超音波診断装置。
【請求項2】
前記画質調整処理部は、前記特定パラメータを重みパラメータとした画像形成モデルにより、画質が調整された、前記超音波断層画像の前記特定領域内の前記超音波断層画像を形成する、
ことを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項3】
前記画質調整処理部は、前記特定領域内と前記特定領域外との境界において画質を滑らかに変化させるための画質平滑化処理を実行する、
ことを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項4】
前記特定領域内については前記特定パラメータに基づいた画質調整処理が実行され、前記特定領域外については前記所定パラメータに基づいた画質調整処理が実行された第1超音波断層画像、及び、全領域について前記所定パラメータに基づいた画質調整処理が実行された第2超音波断層画像を表示部に表示させる表示制御部と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項5】
前記特定領域決定部は、前記超音波診断装置のユーザからの指示に従って前記特定領域を決定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項6】
前記画質調整処理部は、前記超音波診断装置のユーザからの指示に応じた画質調整方針に従って、前記超音波断層画像の前記特定領域内の画質を調整するための画質調整処理を実行する、
ことを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項7】
特定パラメータ決定部は、前記超音波診断装置のユーザを一意に識別するユーザ識別情報と、前記ユーザからの指示に従って決定された特定領域に含まれる被検体の部位と、前記特定領域に対して前記ユーザから指示された前記画質調整方針と、の組み合わせをメモリに記憶させ、
前記画質調整処理部は、前記ユーザの指示に従って当該部位を含む前記特定領域が決定された場合に、前記メモリにおいて前記ユーザの前記ユーザ識別情報及び当該部位に関連付けられた前記画質調整方針に従って、前記超音波断層画像の前記特定領域内の画質を調整するための画質調整処理を実行する、
ことを特徴とする請求項6に記載の超音波診断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、超音波診断装置の改良を開示する。
【背景技術】
【0002】
従来、被検体に向けて超音波が送受波され、それにより得られた受信信号に基づいて超音波断層画像を形成し、形成された超音波断層画像(すなわちBモード画像)をディスプレイに表示する超音波診断装置が知られている。また、従来、超音波診断装置において、超音波断層画像を高画質化させる技術が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、被検体の信号量の変化に基づいて適切な画質改善処理を自動で適用可能な超音波診断装置が開示されている。当該超音波診断装置においては、特に被検体からのエコー信号の深度依存変化に応じて、信号対雑音比(S/N比)の改善を図っている。また、特許文献2には、超音波プローブからのチャネルデータやビームフォーミングデータを入力として、超音波断層画像を形成するように学習されたニューラルネットワークの出力を用いて、当該ビームフォーミングデータから形成された超音波断層画像を調整する超音波イメージングシステムが開示されている。また、特許文献3には、互いに異なるノイズレベルを有する複数の医用画像それぞれから、互いに異なる画像領域を切り出し、複数の画像領域を合成して高画質の医用画像を得る医用画像処理装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-114294号広報
【特許文献2】特表2020-503142号広報
【特許文献3】特開2022-6869号広報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
超音波断層画像が形成されるまでには、受信信号に対して種々の処理が実行される。これらの処理に関わるパラメータを適切な値に調整することによって、高画質な超音波断層画像が形成され得る。また、超音波断層画像が形成された後においても、当該超音波断層画像に対して高画質化処理が実行される場合がある。この場合にも、当該高画質化処理に関わるパラメータを適切な値に調整することによって、高画質な超音波断層画像が形成され得る。
【0006】
本明細書では、超音波断層画像を形成するための受信信号に対する処理、及び、形成された超音波断層画像対する高画質化処理を包含して、画質調整処理と呼ぶ。また、超音波断層画像を形成するための受信信号に対する処理に関わるパラメータ、及び、形成された超音波断層画像対する高画質化処理に関わるパラメータを包含して、画質調整パラメータと呼ぶ。
【0007】
ここで、超音波断層画像内の領域毎に、適正な画質調整処理の内容が互いに異なる場合がある。換言すれば、超音波断層画像内の領域毎に、適正な画質調整パラメータが互いに異なる場合がある。これに限られるものではないが、例えば、超音波断層画像内の腎臓を含む領域に対しては、一般的に高コントラストが求められるため、当該領域に対する適正な画質調整処理は高コントラストを実現する処理となる一方、超音波断層画像内の肝臓を含む領域に対しては、一般的に高空間分解能が求められるため、当該領域に対する適正な画質調整処理は高空間分解能を実現する処理となる。
【0008】
本明細書で開示される超音波診断装置の目的は、超音波断層画像内の各領域に対して、適応的な画質調整処理を実行可能な超音波診断装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本明細書で開示される超音波診断装置は、被検体に対して超音波を送受波することで得られた超音波データのデータ空間において、前記超音波データに対応する超音波断層画像の部分に対応する特定領域を決定する特定領域決定部と、被検体に対して超音波を送受波することで得られた超音波データと、当該超音波データに対する画質調整処理において用いるべき教師画像調整パラメータとを含む学習データを用いて、入力された超音波データから、当該超音波データに適した画像調整パラメータを出力するように学習された学習モデルに、前記特定領域内の前記超音波データを入力したときの前記学習モデルの出力に基づいて、前記特定領域用の画質調整パラメータである特定パラメータを決定する特定パラメータ決定部と、前記特定パラメータに基づいて、前記特定領域内の前記超音波データに対して、前記超音波断層画像の前記特定領域内の画質を調整する画質調整処理を実行し、前記特定領域外の前記超音波データに対して、前記特定パラメータとは異なる画質調整用の所定パラメータを用いて、前記超音波断層画像の前記特定領域外の画質を調整する画質調整処理を実行する画質調整処理部と、を備えることを特徴とする。
【0010】
当該構成によれば、特定領域内の超音波データが入力された学習モデルの出力に基づいて、特定領域内に適した特定パラメータが決定される。そして、特定領域内の超音波データに対しては特定パラメータを用いて画質調整処理を行い、特定領域外の超音波データに対しては、所定パラメータを用いて画質調整処理を行うことができる。これにより、超音波断層画像内の各領域に対する適応的な画質調整処理が実現される。
【0011】
前記画質調整処理部は、前記特定パラメータを重みパラメータとした画像形成モデルにより、画質が調整された、前記超音波断層画像の前記特定領域内の前記超音波断層画像を形成するとよい。
【0012】
当該構成によれば、画像形成モデルにより、画質調整処理された特定領域内の超音波断層画像を形成することができる。
【0013】
前記画質調整処理部は、前記特定領域内と前記特定領域外との境界において画質を滑らかに変化させるための画質平滑化処理を実行するとよい。
【0014】
当該構成によれば、超音波断層画像上の特定領域内と特定領域外との境界において画質を滑らかに変化させることができる。
【0015】
前記特定領域内については前記特定パラメータに基づいた画質調整処理が実行され、前記特定領域外については前記所定パラメータに基づいた画質調整処理が実行された第1超音波断層画像、及び、全領域について前記所定パラメータに基づいた画質調整処理が実行された第2超音波断層画像を表示部に表示させる表示制御部と、をさらに備えるとよい。
【0016】
当該構成によれば、ユーザは、第1超音波断層画像と第2超音波断層画像とを比較することができる。
【0017】
前記特定領域決定部は、前記超音波診断装置のユーザからの指示に従って前記特定領域を決定するとよい。
【0018】
当該構成によれば、ユーザは、所望の領域に対する画質調整処理と、その他の領域に対する画質調整処理とを異なる処理をすることができる。
【0019】
前記画質調整処理部は、前記超音波診断装置のユーザからの指示に応じた画質調整方針に従って、前記超音波断層画像の前記特定領域内の画質を調整するための画質調整処理を実行するとよい。
【0020】
当該構成によれば、ユーザは、所望の画質調整方針で、特定領域内の超音波データに対する画質調整処理を行わせることができる。
【0021】
特定パラメータ決定部は、前記超音波診断装置のユーザを一意に識別するユーザ識別情報と、前記ユーザからの指示に従って決定された特定領域に含まれる被検体の部位と、前記特定領域に対して前記ユーザから指示された前記画質調整方針と、の組み合わせをメモリに記憶させ、前記画質調整処理部は、前記ユーザの指示に従って当該部位を含む前記特定領域が決定された場合に、前記メモリにおいて前記ユーザの前記ユーザ識別情報及び当該部位に関連付けられた前記画質調整方針に従って、前記超音波断層画像の前記特定領域内の画質を調整するための画質調整処理を実行するとよい。
【0022】
当該構成によれば、ユーザは、逐一画質調整方針を指示する必要なく、所望の画像調整方針によって特定領域内の超音波データの画質調整処理を行うことができる。
【発明の効果】
【0023】
本明細書で開示される超音波診断装置によれば、超音波断層画像内の各領域に対して、適応的な画質調整処理を実行可能な超音波診断装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本実施形態に係る超音波診断装置の構成概略図である。
図2】特定領域決定画面の第1の例を示す図である。
図3】特定領域決定画面の第2の例を示す図である。
図4】学習モデルを用いた特定パラメータの決定処理を示す概念図である。
図5】特定パラメータに基づいて画像生成モデルにより超音波断層画像を形成する処理を示す概念図である。
図6】特定領域内と特定領域外の境界における画質調整処理の重みを示すグラフである。
図7】特定領域内において特定パラメータに基づく画質調整処理が実行された超音波断層画像と、全領域において所定パラメータに基づく画質調整処理が実行された超音波断層画像との表示例を示す図である。
図8】画質調整方針決定画面の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、本実施形態に係る超音波診断装置10の構成概略図である。超音波診断装置10は、病院などの医療機関に設置され、超音波検査時に使用される医用装置である。
【0026】
超音波診断装置10は、被検体に対して超音波ビームを走査し、それにより得られた受信信号に基づいて超音波画像を生成する装置である。特に、本実施形態では、超音波診断装置10は、受信信号に基づいて、走査面からの反射波の振幅強度が輝度に変換された超音波断層画像(Bモード画像)を形成する。なお、超音波診断装置10は、送信波と受信波の周波数の差分(ドプラシフト)に基づいて形成される被検体内の組織の運動速度を表すドプラ画像など、その他の超音波画像を形成することもできる。
【0027】
なお、超音波診断装置10が有する、送受信部14、信号処理部16、画像形成部18、表示制御部20、特定領域決定部32、及び、特定パラメータ決定部34は、プロセッサによって構成される。プロセッサとは、汎用的な処理装置(例えばCPU(Central Processing Unit)など)、及び、専用の処理装置(例えばGPU(Graphics Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、あるいは、プログラマブル論理デバイスなど)の少なくとも1つを含んで構成される。プロセッサとしては、1つの処理装置によるものではなく、物理的に離れた位置に存在する複数の処理装置の協働により構成されるものであってもよい。また、上記の各部は、プロセッサなどのハードウェアとソフトウエアとの協働により実現されてもよい。
【0028】
超音波プローブ12は、被検体に対して超音波の送受波を行う装置である。超音波プローブ12は、被検体に対して超音波の送受波を行う複数の振動素子からなる振動素子アレイを有する。
【0029】
送受信部14は、制御部30(後述)からの制御によって、超音波プローブ12(詳しくは振動素子アレイの各振動素子)に対して送信信号を送信する。これにより、各振動素子から被検体に向けて超音波が送信される。
【0030】
また、送受信部14は、被検体からの反射波を受信した各振動素子から受信信号を受信する。送受信部14は、加算器及び各振動素子に対応した複数の遅延器を有しており、当該加算器及び複数の遅延器により、各振動素子からの受信信号の位相を揃えて加算する整相加算処理を行う。これにより、被検体からの反射波の信号強度を示す情報が被検体の深度方向に並ぶ受信ビーム信号が形成される。本明細書では、整相加算処理前の、各振動素子が出力する受信信号をチャネル信号と呼び、整相加算処理後の受信信号を上述のように受信ビーム信号と呼ぶ。また、後述の画像形成部18によって超音波断層画像の座標空間上のデータに変換される前までの受信信号を包括してRF(Radio Frequency)信号と呼んでもよい。
【0031】
信号処理部16による信号処理前の受信ビーム信号は、後述の画質調整処理のために、メモリ26、又は、超音波診断装置10内に設けられたメモリ(不図示)に一時的に保持され得る。
【0032】
信号処理部16は、送受信部14からの受信ビーム信号に対して、バンドパスフィルタを適用するフィルタ処理や検波処理などを含む各種信号処理を実行する。信号処理部16における各種信号処理は、画像形成部18が形成する超音波断層画像の画質に影響を与え得る処理である。すなわち、信号処理部16は、受信ビーム信号に対して画質調整処理を実行する。信号処理部16が行う画質調整処理は、画質調整パラメータに基づいて実行される。信号処理部16が参照する画質調整パラメータは、超音波診断装置10のユーザによって設定されてよい。本実施形態においては、信号処理部16が参照する画質調整パラメータは、後述の特定パラメータ決定部34により決定され得る。
【0033】
画像形成部18は、信号処理部16において信号処理された受信ビーム信号に基づいて、超音波断層画像(Bモード画像)を形成する。まず、画像形成部18は、受信ビーム信号を超音波画像の座標空間上のデータに変換する。本明細書では、当該変換後のデータを座標変換信号と呼ぶ。そして、画像形成部18は、座標変換信号に基づいて超音波断層画像を形成する。
【0034】
また、画像形成部18は、形成した超音波断層画像に対して高画質化処理、つまり画質調整処理を行う。画像形成部18が行う画質調整処理も、画質調整パラメータに基づいて実行される。画像形成部18が参照する画質調整パラメータも、超音波診断装置10のユーザによって設定されてよいが、本実施形態においては、画像形成部18が参照する画質調整パラメータも、特定パラメータ決定部34により決定され得る。
【0035】
画像形成部18による画質調整処理前の超音波断層画像も、後述の画質調整処理のために、メモリ26、又は、超音波診断装置10内に設けられたメモリ(不図示)に一時的に保持され得る。
【0036】
表示制御部20は、画像形成部18で形成された超音波断層画像及びその他の種々の情報をディスプレイ22に表示させる制御を行う。表示部としてのディスプレイ22は、例えば液晶ディスプレイや有機EL(Electro Luminescence)などから構成される表示器である。
【0037】
入力インターフェース24は、例えばボタン、トラックボール、タッチパネルなどから構成される。入力インターフェース24は、ユーザの命令を超音波診断装置10に入力するために用いられる。
【0038】
メモリ26は、(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、eMMC(embedded Multi Media Card)、あるいはROM(Read Only Memory)などを含んで構成される。メモリ26には、超音波診断装置10の各部を動作させるための超音波診断プログラムが記憶される。なお、超音波診断プログラムは、例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリ又はCD-ROMなどのコンピュータ読み取り可能な非一時的な記憶媒体に格納することもできる。超音波診断装置10は、そのような記憶媒体から超音波診断プログラムを読み取って実行することができる。
【0039】
また、図1に示すように、メモリ26には、学習モデル28が記憶される。学習モデル28は、例えばCNN(Convolutional Neural Network)などであるが、以下に説明する機能を発揮する限りにおいて、どのようなモデルであってもよい。
【0040】
学習モデル28は、被検体に対して超音波を送受波することで得られた超音波データと、当該超音波データに対する画質調整処理において用いるべき教師画像調整パラメータとを含む学習データを用いて、入力された超音波データから、当該超音波データに適した画像調整パラメータを出力するように学習される。学習モデル28の学習データに含まれる超音波データには、チャネル信号、受信ビーム信号、座標変換信号、及び、超音波断層画像が含まれる。本実施形態では、学習モデル28の学習処理は、超音波診断装置10とは異なる学習処理装置で行われ、十分に学習済みの学習モデル28がメモリ26に記憶される。しかし、超音波診断装置10が学習処理部(図1において不図示)を有しており、当該学習処理部が学習モデル28の学習処理を行うようにしてもよい。この場合、超音波診断装置10が学習処理装置となる。
【0041】
学習モデル28の学習処理の詳細は以下の通りである。学習処理装置のプロセッサは、学習データとしての超音波データを学習モデル28に入力する。学習モデル28は、入力された超音波データに適した画質調整パラメータを予測して出力する。学習処理装置のプロセッサは、学習モデル28の出力データと、学習データに含まれる教師画像調整パラメータとの差分が小さくなるように、学習モデル28内のパラメータを変更する。このような処理を繰り返すことで、学習モデル28が学習されていく。十分に学習された学習モデル28は、入力された超音波データに適した画像調整パラメータを高精度に予測可能となる。
【0042】
制御部30は、汎用的なプロセッサ(例えばCPU(Central Processing Unit)など)、及び、専用のプロセッサ(例えばGPU(Graphics Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、あるいは、プログラマブル論理デバイスなど)の少なくとも1つを含んで構成される。制御部30としては、1つの処理装置によるものではなく、物理的に離れた位置に存在する複数の処理装置の協働により構成されるものであってもよい。制御部30は、メモリ26に記憶された超音波診断プログラムに従って、超音波診断装置10の各部を制御する。
【0043】
特定領域決定部32は、被検体に対して超音波を送受波することで得られた超音波データ、すなわち、チャネル信号、受信ビーム信号、座標変換信号、又は、超音波断層画像のデータ空間において、当該超音波データに対応する超音波断層画像(換言すれば、当該超音波データに基づいて形成される超音波断層画像、超音波データが超音波断層画像の場合には、超音波データそのもの)の部分に対応する特定領域を特定する。なお、図1においては、特定領域決定部32は、信号処理部16から超音波データ(すなわち受信ビーム信号)を受け取るように図示されているが、上述の通り、超音波データは種々の信号であってよいので、特定領域決定部32は、送受信部14から超音波データとしてのチャネル信号を受け取ってもよいし、画像形成部18から超音波データとしての座標変換信号又は超音波断層画像を受け取ってもよい。
【0044】
特定領域の特定方法の第1の方法として、特定領域決定部32は、超音波データ(ここでは特に、受信ビーム信号、座標変換信号、又は超音波断層画像)を解析することによって、特定領域を特定することができる。
【0045】
例えば、超音波データと、当該超音波データに含まれる部位(臓器など)の位置と名前とを含む学習データと用いて学習される領域特定用学習モデルであって、入力された超音波データに基づいて、当該超音波データに含まれる部位の位置と名前を予測して出力するように学習された領域特定用学習モデルを予め用意しておく。その上で、特定領域決定部32は、処理対象の超音波データを入力したときの、学習済みの領域特定用学習モデルの出力に基づいて、特定領域を特定することができる。
【0046】
また、例えば、所望の特定領域を示す部分超音波データをテンプレートデータとして予め用意しておき、処置対象の超音波データの各部分と、テンプレートデータとの類似度をそれぞれ演算していき、類似度が閾値以上かつ最大となった領域を特定領域として特定することができる。
【0047】
特定領域の特定方法の第2の方法として、特定領域決定部32は、超音波診断装置10のユーザからの指示に従って、特定領域を特定することができる。
【0048】
例えば、画像形成部18が、学習モデルを用いるなどの既存技術を用いて、超音波断層画像を(例えば各臓器に対応した)複数の領域に区分けしたセグメンテーション画像を形成し、表示制御部20が、図2に示すように、形成されたセグメンテーション画像SEIをディスプレイ22に表示させる。図2の例では、肝臓領域、胆嚢領域、及び腎臓領域が含まれるセグメンテーション画像SEIが示されている。その上で、ユーザは、表示されたセグメンテーション画像SEIの中から所望の領域をカーソルで選択する。特定領域決定部32は、ユーザにより選択されたセグメンテーション画像SEIの領域を特定領域として特定する。
【0049】
また、画像形成部18が、学習モデルを用いるなどの既存技術を用いて、超音波断層画像に含まれる1又は複数の領域名(例えば臓器名)を特定し、表示制御部20が、図3に示すように、超音波断層画像USIと共に、特定された領域名のリストである領域名リストRLをディスプレイ22に表示させる。その上で、ユーザは、表示された領域名リストRLから所望の領域をカーソルで選択する。特定領域決定部32は、ユーザにより選択された領域を特定領域として特定する。
【0050】
ユーザからの指示に従った特定領域の特定方法は、上記の方法に限られない。例えば、ディスプレイ22に表示された超音波断層画像上において、ユーザがカーソルなどを用いて直接特定領域を指定するようにしてもよい。
【0051】
図1に戻り、特定パラメータ決定部34は、学習済みの学習モデル28を用いて、特定領域決定部32により特定された特定領域用の画質調整パラメータである特定パラメータを決定する。
【0052】
具体的には、特定パラメータ決定部34は、処理対象の超音波データ(すなわち、チャネル信号、受信ビーム信号、座標変換信号、又は、超音波断層画像)のうち、特定領域内の超音波データである特定領域データを切り出す。そして、図4に示すように、特定パラメータ決定部34は、特定領域データを学習済みの学習モデル28に入力する。学習モデル28は、入力された特定領域データに適した画質調整パラメータを予測して出力する。特定パラメータ決定部34は、学習モデル28の出力に基づいて、特定パラメータを決定する。
【0053】
ここで、特定パラメータ決定部34は、超音波データ全体ではなく、その一部である特定領域データのみを学習モデル28に入力することに留意されたい。これにより、学習モデル28は、超音波データ全体ではなく、特定領域データに特化した画質調整パラメータを予測して出力する。すなわち、特定パラメータは、特定領域に特化した画質調整パラメータであると言える。
【0054】
例えば、特定領域が腎臓領域である場合、腎臓領域は高コントラストが求められるため、特定パラメータとしては、ダイナミックレンジの低減や、高コントラスト重視のフィルタ処理が実現されるようなパラメータが決定される。また、例えば、特定領域が肝臓領域である場合、肝臓領域は実質の滑らかな描写が求められるため、特定パラメータとしては、輝度が浅部から深部に渡って均一になるようなTGC(Time Gain Compensation)や、高空間分解能重視のフィルタ処理が実現されるようなパラメータが決定される。また、例えば、特定領域が胆嚢領域である場合、胆嚢領域はポリープなどの異常を検知できることが求められるため、特定パラメータとしては、多重反射アーチファクトなど、異常検知の発見の阻害になるアーチファクトを低減するフィルタ処理が実現されるようなパラメータが決定される。さらに、例えば、特定領域が乳房領域である場合、乳房領域は乳腺領域の診断が求められるため、特定パラメータとしては、診断したい乳腺領域のみ高精細画像にし、その他の領域は診断の妨げにならないよう輝度を下げるようなパラメータが決定される。
【0055】
画質調整処理部としての信号処理部16又は画像形成部18は、特定パラメータ決定部34が決定した特定パラメータに基づいて、特定領域内の超音波データに対して画質調整処理を実行する。
【0056】
まず、信号処理部16による画質調整処理について説明する。信号処理部16は、特定パラメータ決定部34が決定した特定パラメータに基づいて、保持しておいた信号処理前の受信ビームデータに対して画質調整処理を実行する。具体的には、信号処理部16は、特定領域内の受信ビーム信号に対しては、特定パラメータに基づいて画質調整処理を実行し、特定領域外の受信ビーム信号に対しては、特定パラメータとは異なる画質調整用の所定パラメータを用いて画質調整処理を実行する。画質調整用の所定パラメータとは、例えば、ユーザが事前に設定したパラメータや、超音波診断装置10において予め定められているパラメータなどであってよい。このように、信号処理部16は、画質調整処理部となり得る。
【0057】
次に、画像形成部18による画質調整処理について説明する。画像形成部18は、特定パラメータ決定部34が決定した特定パラメータに基づいて、保持しておいた画質調整処理前の超音波断層画像に対して画質調整処理を実行する。具体的には、画像形成部18は、特定領域内の超音波断層画像に対しては、特定パラメータに基づいて画質調整処理を実行し、特定領域外の超音波断層画像に対しては、特定パラメータとは異なる画質調整用の所定パラメータを用いて画質調整処理を実行する。ここでも、画質調整用の所定パラメータとは、例えば、ユーザが事前に設定したパラメータや、超音波診断装置10において予め定められているパラメータなどであってよい。このように、画像形成部18も、画質調整処理部となり得る。
【0058】
上述のように、信号処理部16又は画像形成部18は、特定領域内の超音波データと、特定領域外の超音波データとに対して、互いに異なる画質調整パラメータに基づく、互いに異なる画質調整処理を実行する。これにより、超音波断層画像内の各領域に対して、適応的な画質調整処理を実行することができる。例えば、特定領域である腎臓領域は、高コントラストとなるような画質調整処理を行いつつ、それ以外の領域においては、コントラストが高くなりすぎず、適度なコントラストとなるように画質調整処理を行うことができる。
【0059】
また、特定領域決定部32が、ユーザからの指示に従って特定領域を決定することで、ユーザは、所望の領域に対する画質調整処理と、その他の領域に対する画質調整処理とを異なる処理をすることができる。
【0060】
特に、本実施形態では、例えば、同じ臓器に対応する領域であっても、各超音波データに対して異なる特定パラメータで画質調整処理を実行し得る。例えば、第1超音波データにおいて肝臓領域が第1特定領域として決定され、第1超音波データとは異なる第2超音波データにおいて同じく肝臓領域が第2特定領域として決定されたとする。この場合、第1特定領域内の第1超音波データと、第2特定領域内の第2超音波データとの内容が異なれば、学習モデル28は、第1特定領域内の第1超音波データが入力された場合と、第2特定領域内の第2超音波データが入力された場合とで、互いに異なる画質調整パラメータを出力し得る。これにより、本実施形態によれば、同じ肝臓領域に対しても、超音波データに応じて異なる画質調整処理を実行し得る。
【0061】
また、特定パラメータ決定部34は、超音波データの全体ではなく、超音波データのうちの特定領域データのみを学習モデル28に入力する。これにより、学習モデル28が特定パラメータを予測して出力するための演算量を低減させることができる。
【0062】
本実施形態では、画像形成部18は、特定領域内について、受信ビームデータに基づいて超音波断層画像を形成し、その後、特定パラメータに基づいて超音波断層画像の画質調整処理を行っていたが、図5に示すように、画質調整処理部としての画像形成部18は、特定パラメータを重みパラメータとした画像形成モデル40により、画質が調整された、特定領域内の超音波断層画像を形成するようにしてもよい。画像形成モデル40は、例えば、GAN(Generative Adversarial Network)などの学習モデルであってよい。この場合、学習モデル28は、出力データの形式が画像形成モデル40に適した形式となるように、予め学習されているとよい。
【0063】
なお、本実施形態では、画像形成部18が、特定パラメータに基づく特定領域内の超音波断層画像の画質調整処理、又は、画像形成モデル40を用いた特定領域内の超音波断層画像の形成処理を行っていたが、これらの処理を特定パラメータ決定部34が行ってもよい。
【0064】
本実施形態では、特定領域内と特定領域外とで、互いに異なる画質調整処理が実行される。したがって、特定領域内と特定領域外の境界において、画質の差が顕著となってしまう場合があり得る。したがって、画質調整処理部としての信号処理部16又は画像形成部18は、特定領域内と特定領域外との境界において画質を滑らかに変化させるための画質平滑化処理を実行するとよい。
【0065】
図6は、特定領域内と特定領域外の境界における画質調整処理の重みを示すグラフである図6において、特定領域内と特定領域外の境界Bが一点鎖線で示されており、境界Bよりも左側が特定領域外であり、境界Bよりも右側が特定領域内である。特定領域外及び特定領域内の境界B近傍の一定領域を境界領域BRと呼ぶ。実線のグラフが、特定領域内用の特定パラメータを用いた画質調整処理の重みを表し、破線のグラフが、特定領域外用の所定パラメータを用いた画質調整処理の重みを表す。
【0066】
図6に示されるように、境界領域BR以外の特定領域内では、特定パラメータを用いた画質調整処理の重みは「1」であり、所定パラメータを用いた画質調整処理の重みは「0」である。これは、境界領域BR以外の特定領域内の超音波データに対しては、特定パラメータのみを用いた画質調整処理が行われることを意味する。境界領域BRにおいては、特定領域内から特定領域外へ向かって(図6のグラフでは右から左に向かって)、徐々に特定パラメータを用いた画質調整処理の重みが減っていき、逆に、所定パラメータを用いた画質調整処理の重みが増えていく。これは、境界領域BRにおいては、特定パラメータを用いた画質調整処理の結果と、所定パラメータを用いた画質調整処理の結果とを、それぞれの重みに従って合成することを意味する。本実施形態では、当該処理が画質平滑化処理に相当する。境界領域BR以外の特定領域外では、特定パラメータを用いた画質調整処理の重みが「0」となり、所定パラメータを用いた画質調整処理の重みが「1」となる。これは、境界領域BR以外の特定領域内の超音波データに対しては、特定パラメータのみを用いた画質調整処理が行われることを意味する。
【0067】
このようにして、境界領域BRにおいては、特定パラメータを用いた画質調整処理の結果と、所定パラメータを用いた画質調整処理の結果とを合成することで、超音波断層画像上の特定領域内と特定領域外との境界において画質を滑らかに変化させることができる。
【0068】
表示制御部20は、画質調整処理が施された超音波断層画像をディスプレイ22に表示させる。図7に示すように、表示制御部20は、特定領域内については特定パラメータに基づいた画質調整処理が実行され、特定領域外については所定パラメータに基づいた画質調整処理が実行された第1超音波断層画像USI-h、及び、全領域について所定パラメータに基づいた画質調整処理が実行された第2超音波断層画像USI-nをディスプレイ22に表示させるとよい。これにより、ユーザは、第1超音波断層画像USI-hと第2超音波断層画像USI-nとを比較することができる。
【0069】
第2超音波断層画像USI-nをディスプレイ22に表示すべく、信号処理部16は、1フレーム分の受信フレーム信号全体に対して、所定パラメータを用いた画質調整処理を行い、画像形成部18は、形成した超音波断層画像全体に対して、所定パラメータを用いた画質調整処理を行う。これにより、第2超音波断層画像USI-nが形成される。
【0070】
上述のように、超音波断層画像の各領域に対する適正な画質調整処理が互いに異なる場合があるが、ある1つの領域に対する適正な画質調整処理が複数存在する場合がある。例えば、特定領域が腎臓領域である場合、腎臓領域に対する適正な画質調整処理として、高解像度化する処理、コントラストを改善する処理、あるいは、深達度を向上させる処理などがある。これらの各処理は、互いに異なる画像調整パラメータ(すなわち特定パラメータ)を利用して行われる処理である。
【0071】
したがって、画質調整処理部としての信号処理部16又は画像形成部18は、超音波診断装置10のユーザからの指示に応じた画質調整方針に従って、超音波断層画像の特定領域内の画質を調整するための画質調整処理を実行するとよい。
【0072】
前提として、学習モデル28は、超音波データと、画質調整方針と、当該超音波データに対する当該画質調整方針に沿った画質調整処理において用いるべき教師画像調整パラメータと、を含む学習データを用いて、入力された超音波データ及び画質調整方針から、当該超音波データに適した、当該画質調整方針に沿った画像調整パラメータを出力するように学習される。これは、1つの学習モデル28が画質調整方針を受け付け可能なように構成されてもよいし、画質調整方針毎に、異なる学習モデル28が学習されることで実現されてもよい。
【0073】
表示制御部20は、図8に示すような画質調整方針決定画面の例を示す図である。図8の例は、上述の領域名リストRLからユーザが特定領域として腎臓領域を選択した例である。表示制御部20は、さらに、選択された特定領域(図8の例では腎臓領域)に適した画質調整処理の複数の画質調整方針が示された方針リストPLをディスプレイ22に表示させる。方針リストPLからユーザが所望の画像調整方針を選択すると、特定パラメータ決定部34は、特定領域である腎臓領域に対応する特定領域データと、ユーザから選択された画像調整方針を学習モデル28に入力する。学習モデル28は、入力された特定領域データに適し、且つ、入力された画像調整方針に沿った画質調整パラメータを予測して出力する。特定パラメータ決定部34は、学習モデル28の出力に基づいて、特定パラメータを決定する。その後、信号処理部16又は画像形成部18は、当該特定パラメータに基づいて、特定領域内の超音波データに対して画質調整処理を実行する。
【0074】
同一のユーザは、被検体の同じ部位を含む特定領域に対しては、同じ画像調整方針で画質調整処理を行う場合が多いと考えられる。そこで、画質調整処理部としての信号処理部16又は画像形成部18は、本実施形態では、あるユーザがある部位を含む特定領域に対して選択した画像調整方針を記憶しておき、次に、当該ユーザの指示に従って、当該部位を含む特定領域を決定した場合に、過去に当該ユーザが当該部位を含む特定領域に対して選択した画像調整方針に基づいて、新たに決定した特定領域に対する画像調整方針を決定できるとよい。
【0075】
具体的には、特定パラメータ決定部34は、図8に示す画質調整方針決定画面にてユーザが画像調整方針を選択する度に、当該ユーザを一意に識別するユーザ識別情報としてのユーザIDと、当該ユーザからの指示に従って決定された特定領域に含まれる被検体の部位(図8の例では「腎臓」)と、当該特定領域に対してユーザから指示された画質調整方針(図8の例では「コントラスト改善」)との組み合わせをメモリ26に構築された方針データベース(図1において不図示)に蓄積記憶させる。なお、ユーザのユーザIDは、ユーザが超音波診断装置10の使用を開始する際に、制御部30が当該ユーザを認証することで特定することができる。
【0076】
そして、例えば他の超音波データに対して、特定パラメータ決定部34が、当該ユーザの指示に従って、当該部位(本例では「腎臓」)を含む特定領域を決定した場合、特定パラメータ決定部34は、方針データベースを参照し、当該ユーザのユーザIDと当該部位に関連付けられた画像調整方針を特定する。本例では、「コントラスト改善」が特定される。その後、特定パラメータ決定部34は、特定領域である腎臓領域に対応する特定領域データと、特定した画像調整方針を学習モデル28に入力し、学習モデル28の出力に基づいて特定パラメータを決定する。いうまでもなく、当該特定パラメータは、特定した画像調整方針に沿った画像調整パラメータである。その後、信号処理部16又は画像形成部18は、当該特定パラメータに基づいて(換言すれば特定した画像調整方針に従って)、特定領域内の超音波データに対して画質調整処理を実行する。
【0077】
これにより、ユーザは、逐一画質調整方針を指示する必要なく、所望の画像調整方針によって特定領域内の超音波データの画質調整処理を行うことができる。
【0078】
以上、本発明に係る実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0079】
10 超音波診断装置、12 超音波プローブ、14 送受信部、16 信号処理部、18 画像形成部、20 表示制御部、22 ディスプレイ、24 入力インターフェース、26 メモリ、28 学習モデル、30 制御部、32 特定領域決定部、34 特定パラメータ決定部、40 画像形成モデル。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8