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  • 特開-管内面観察装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024016995
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】管内面観察装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 7/18 20060101AFI20240201BHJP
   G02B 23/24 20060101ALI20240201BHJP
   G06T 3/4038 20240101ALI20240201BHJP
   G01N 21/954 20060101ALN20240201BHJP
【FI】
H04N7/18 V
G02B23/24 B
G06T3/40 720
G01N21/954 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022119334
(22)【出願日】2022-07-27
(71)【出願人】
【識別番号】000180070
【氏名又は名称】山陽特殊製鋼株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岸 貴志
【テーマコード(参考)】
2G051
2H040
5B057
5C054
【Fターム(参考)】
2G051AA82
2G051AB07
2G051AC17
2G051CA03
2G051CA04
2H040AA02
2H040FA01
2H040GA06
2H040GA10
2H040GA11
5B057CA08
5B057CA12
5B057CA16
5B057CB08
5B057CB12
5B057CB16
5B057CE08
5B057CE10
5B057DA16
5B057DB02
5B057DB09
5B057DC22
5B057DC36
5C054CA04
5C054CC02
5C054DA07
5C054DA08
5C054EA01
5C054EA03
5C054EA05
5C054EA07
5C054FD07
5C054FE11
5C054FF03
5C054GB01
(57)【要約】
【課題】管の内面を容易に観察できる管内面観察装置の提供にある。
【解決手段】管内面観察装置2は、管14の内面14Aを撮影する。管内面観察装置2は、カメラ6と、カメラ6で撮影され内面14Aの目印を含んでいる第1画像と、カメラ6で撮影され目印を含んでいる第2画像とを、目印を重ねて合成する画像処理装置10とを有する。好ましくは、管内面観察装置2では、カメラ6の光軸が管14の内面14Aに直交する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管の内面を観察する装置であって、
カメラと、
前記カメラで撮影され前記内面の目印を含んでいる第1画像と、前記カメラで撮影され前記目印を含んでいる第2画像とを、前記目印を重ねて合成する画像処理装置と
を有する、管内面観察装置。
【請求項2】
前記カメラの光軸が管の内面に直交する、請求項1に記載の管内面観察装置。
【請求項3】
カメラで管の内面の目印を含めて撮影して第1画像を得、
前記カメラで前記目印を含めて撮影して第2画像を得、
前記第1画像と前記第2画像とを前記目印を重ねて合成画像を得る、管内面観察方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、管の内面を観察する装置を開示する。
【背景技術】
【0002】
管状の製造物では、内面が検査されることがある。例えば、鋼管では、鋼管の内面に発生する腐食や欠陥等の有無が、検査される。この様な検査では、カメラで鋼管の内面が撮影され、撮影された画像で腐食や欠陥等の有無が検査される。
【0003】
特開2001-264260公報には、鋼管内面の腐食をコンピュータによる画像解析で自動的に検出し判定する装置が、開示されている。この装置では、カメラは、光軸を鋼管の長手方向に向けて内面を撮影する。カメラが長手方向に撮影することに起因して、撮影された画像に歪みや色彩情報の変化が生じる。この装置は、鋼管内面を長手方向に複数の同心円ブロックに分割し、同心円ブロック毎に鋼管内面の腐食を検出する。この装置は、同心円ブロックに分割することで、画像の歪みや色彩情報の変化の影響を抑制しうる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001-264260公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特開2001-264260公報に開示された装置は、管の長手方向に分割された同心円ブロック毎に腐食を検出する。この装置では、複数の同心円ブロックに跨る腐食及び欠損の状態を観察するときに、複数の画像を観察することとなる。この装置は、腐食及び欠損の全体を観察する際に手間がかかる。
【0006】
本出願人の意図するところは、管の内面を容易に観察できる管内面観察装置の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書が開示する管内面観察装置は、管の内面を観察する。
この管内面観察装置は、
カメラと、
前記カメラで撮影され前記内面の目印を含んでいる第1画像と、前記カメラで撮影され前記目印を含んでいる第2画像とを、前記目印を重ねて合成する画像処理装置と
を有する。
【0008】
好ましくは、前記カメラの光軸は、管の内面に直交する。
【0009】
本明細書が開示する管内面観察方法では、
カメラで管の内面の目印を含めて撮影して第1画像を得、
前記カメラで前記目印を含めて撮影して第2画像を得、
前記第1画像と前記第2画像とを前記目印を重ねて合成画像を得る。
【発明の効果】
【0010】
この管内面観察装置は、管の内面を容易に観察しうる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、一実施形態に係る管内面観察装置が管の一部と共に示された説明図である。
図2図2は、図1の線分II-IIに沿った断面図である。
図3図3は、図1の管内面観察装置が撮影する管内面が示された説明図である。
図4図4は、図1の管内面観察装置が撮影した管内面の画像が示された説明図である。
図5図5は、図4の管内面の画像の合成画像が示された説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態が詳細に説明される。
【0013】
図1に、管内面観察装置2が示されている。この観察装置2は、搬送機4、カメラ6、ケーブル8、画像処理装置10及びモニタ12を有している。図1では、この観察装置2で観察される管の例として鋼管14が示されている。
【0014】
搬送機4は、カメラ6が取り付けられるフレーム16と、フレーム16を移動可能に支持する複数の車輪18とを有する。観察装置2が鋼管14に挿入された状態で、それぞれの車輪18は鋼管14の内面14Aに当接している。
【0015】
カメラ6は、搬送機4のフレーム16に取り付けられている。カメラ6は、レンズ6Aを有し、レンズ6Aの光軸が向けられた撮影対象を画像として撮影する機能を有する。このカメラ6は、鋼管14の内面14Aを撮影可能であればよく、特に限定されないが、例えばCMOSカメラ、CCDカメラである。
【0016】
ケーブル8は、カメラ6と画像処理装置10に接続している。ケーブル8は、カメラ6が撮影した画像のデータを画像処理装置10に送信可能である。なお、観察装置2は、ケーブル8に代えて、無線通信用送受信器を有してもよい。
【0017】
画像処理装置10は、図示されないが、データを送受信する送受信器と、データを記憶するメモリと、データに基づき演算し、各機器を制御するプロセッサとを有する。画像処理装置10は、モニタ12にケーブル20で接続され、モニタ12にデータを送信可能である。モニタ12は、画像処理装置10から受信したデータを画像として表示可能である。
【0018】
図2には、図1の線分II-IIに沿った断面が示されている。図2に示される様に、搬送機4及びカメラ6は鋼管14内に挿入されている。複数の車輪18が鋼管14の内面14Aに当接して、フレーム16及びカメラ6は鋼管14の半径方向において一定の位置を維持している。
【0019】
図2の二点鎖線Lcは、カメラ6の光軸を表している。二点鎖線Lfは、鋼管14の内面14Aの接線を表している。この観察装置2では、カメラ6の光軸Lcと内面14Aの接線Lfとは直交している。即ち、搬送機4は、カメラ6の光軸Lcが鋼管14の内面14Aに直交する様に、カメラ6を保持している。
【0020】
図3には、カメラ6が撮影する、鋼管14の内面14Aが示されている。図3には、撮影範囲A1からA4が示されている。両矢印Acは、周方向長さを示している。両矢印AL1からAL4のそれぞれは、長手方向長さを表している。撮影範囲A1は、長さAL1と長さAcとで区切られる範囲である。撮影範囲A2は、長さAL2と長さAcとで区切られる範囲である。同様に、nを自然数するときに、撮影範囲Anは、長さALnと長さAcとで区切られる範囲を表す。
【0021】
図3に示される様に、撮影範囲A1とA2とは重複範囲を含む。撮影範囲A2と撮影範囲A3とは重複範囲を含む、撮影範囲A3と撮影範囲A4とは重複範囲を含む。この観察装置2では、nを自然数するときに、隣合う撮影範囲AnとAn+1とは、重複範囲を含む。
【0022】
図3には、鋼管14の内面14Aの目印として、腐食M1からM3が示されている。腐食M1の一部は、撮影範囲A1とA2との重複範囲に位置している。腐食M2の全体は、撮影範囲A2とA3との重複範囲に位置している。腐食M3の一部は、撮影範囲A3とA4との重複範囲に位置している。
【0023】
ここで、観察装置2を用いて、鋼管14の管内面観察方法が説明される。
【0024】
観察者が、観察装置2を鋼管14に挿入する(STEP1)。これにより、観察装置2は、図1及び2に示される様に、鋼管14内に配置される。画像処理装置10のプロセッサは、カメラ6が捉えている内面14Aの映像をモニタ12に表示させる。
【0025】
観察者は、カメラ6が捉えている内面14Aの映像を見て、目印として使用する腐食M1の一部を含む撮影範囲A1(図3参照)を決定する(STEP2)。観察者が、観察装置2を操作して、カメラ6に撮影範囲A1を撮影させる位置に、搬送機4を移動させる(STEP3)。観察者が、観察装置2を操作して、カメラ6に撮影範囲A1を撮影させ、第1画像G1のデータを得る(STEP4)。得られた第1画像G1のデータは、画像処理装置10に送信される(STEP5)。画像処理装置10のプロセッサは、受信した第1画像G1のデータをメモリに記憶させる(STEP6)。
【0026】
観察者は、カメラ6が捉えている内面14Aの映像を見て、腐食M1の一部を含み、且つ目印として使用する腐食M2の全部を含む撮影範囲A2(図3参照)を決定する(STEP7)。観察者は、観察装置2を操作して、カメラ6に撮影範囲A2を撮影させる位置に、搬送機4を移動させる(STEP8)。観察者が観察装置2を操作して、カメラ6に撮影範囲A2を撮影させ、第2画像G2のデータを得る(STEP9)。第2画像G2のデータは、画像処理装置10に送信される(STEP10)。画像処理装置10のプロセッサは、受信した第2画像G2のデータをメモリに記憶させる(STEP11)。
【0027】
観察者は、カメラ6が捉えている内面14Aの映像を見て、腐食M2の全部を含み、且つ目印として使用する腐食M3の一部を含む撮影範囲A3(図3参照)を決定する(STEP12)。観察者は、観察装置2を操作して、カメラ6に撮影範囲A3を撮影させる位置に搬送機4を移動させる(STEP13)。観察者が観察装置2を操作して、カメラ6に撮影範囲A3を撮影させ、第3画像G3のデータを得る(STEP14)。得られた第3画像G3のデータは、画像処理装置10に送信される(STEP15)。画像処理装置10のプロセッサは、受信した第3画像G3のデータをメモリに記憶させる(STEP16)。
【0028】
観察者は、カメラ6が捉えている内面14Aの映像を見て、腐食M3を含む撮影範囲A4(図3参照)を決定する(STEP17)。観察者が、観察装置2を操作して、カメラ6に撮影範囲A4を撮影させる位置に搬送機4を移動させる(STEP18)。観察者が、カメラ6に撮影範囲A4を撮影させ、第4画像G4のデータを得る(STEP19)。第4画像G4のデータは、画像処理装置10に送信される(STEP20)。画像処理装置10のプロセッサは、受信した第4画像G4のデータをメモリに記憶させる(STEP21)。
【0029】
図4には、この様にして得られた、第1画像G1、第2画像G2、第3画像G3及び第4画像G4のそれぞれのイメージ図が示されている。第1画像G1と第2画像G2とでは、腐食M1の一部が重複している。第2画像G2と第3画像G3とでは、腐食M2の全体が重複している。第3画像G3と第4画像G4とでは、腐食M3の一部が重複している。
【0030】
画像処理装置10のプロセッサは、第1画像G1、第2画像G2、第3画像G3及び第4画像G4を合成して、合成画像Gaを得る(STEP22)。具体的には、このプロセッサは、第1画像G1と第2画像G2とを、腐食M1の一部を重ね合わせて合成し、第1合成画像を得る(STEP22-1)。このプロセッサは、第1合成画像と第3画像G3とを、腐食M2を重ね合わせて合成し、第2合成画像を得る(STEP22-2)。このプロセッサは、第2合成画像と第4画像G4とを、腐食M3の一部を重ね合わせて合成し、合成画像Gaを得る(STEP22-3)。
【0031】
図5には、第1画像G1、第2画像G2、第3画像G3及び第4画像G4を合成して得られた、合成画像Gaが示されている。画像処理装置10のプロセッサは、この合成画像Gaをメモリに記憶させる(STEP23)。このプロセッサは、モニタ12に合成画像Gaを表示させる(STEP24)。観察者は、この合成画像Gaで、鋼管14の内面14Aを観察する(STEP25)。
【0032】
この行程(STEP25)では、観察者は、合成画像Gaによって、内面14Aの全体を観察できる。観察者は、腐食M1、腐食M2及び腐食M3のそれぞれの大きさや位置関係を容易に観察できる。観察者は、合成画像Gaの一部を拡大してモニタ12に表示させ、腐食M1、腐食M2及び腐食M3のそれぞれの詳細な状態を観察できる。
【0033】
この観察装置2は、カメラ6と、カメラ6で撮影され内面14Aの腐食M1を含んでいる第1画像G1と、カメラ6で撮影され腐食M1を含んでいる第2画像G2とを腐食M1を重ねて合成する画像処理装置10とを有する。
【0034】
この観察装置2では、画像処理装置10によって、合成画像Gaが得られている。観察者は、合成画像Gaを観察することができる。この合成画像Gaでは、腐食M1の全体が1つの画像として観察できる。作業者は、第1画像G1と第2画像G2とを見比べて観察する必要がない。この観察装置2は、鋼管14の内面14Aを容易に観察しうる。
【0035】
合成画像Gaは、第1画像G1、第2画像G2、第3画像G3及び第4画像G4を合成して得られている。図示されないが、観察者は、合成画像Gaを観察することで、第1画像G1から第4画像G4に跨るような大きな腐食の位置や範囲をも容易に把握できる。
【0036】
ここでは、目印として、腐食M1、腐食M2及び腐食M3を例に説明がされたが、これに限定されない。目印として、腐食、模様、疵、汚れ、工具跡等のいずれか、又は複数のものが用いられてもよい。更には、第1画像G1、第2画像G2、第3画像G3及び第4画像G4を合成するために、人為的な目印が内面14Aに付されてもよい。また、観察対象も、腐食、模様、疵、汚れ、工具跡等のいずれか、又は複数のものであってもよい。
【0037】
この観察装置2では、カメラ6の光軸Lcが鋼管14の内面14Aに直交している。カメラ6の光軸Lcと内面14Aとが直交することで、第1画像G1から第4画像G4のそれぞれの画像の歪みが抑制されている。同様に、腐食M1から腐食M3のそれぞれの画像の歪みが抑制されている。行程(STEP22)では、合成画像Gaは、第1画像G1と第2画像G2とを、腐食M1の形状や大きさを基に、合成されている。この合成では、腐食M1に基づいて、第1画像G1と第2画像G2との位置関係や縮尺が調整される。この観察装置2は、歪みが小さい第1画像G1と第2画像G2とを合成することで、高精度の合成画像Gaが得られる。
【0038】
また、この管内面観察方法は、第1画像G1と第2画像G2とを腐食M1の一部を重ねて合成画像Gaを得ている。これにより、腐食M1の全体が1つの画像として観察できる。この管内面観察方法は、鋼管14の内面14Aを容易に観察しうる。
【0039】
更に、この管内面観察方法は、観察者が、内面14Aの映像を見て、目印として使用する腐食M1から腐食M3を含む撮影範囲A1から撮影範囲A4を決定している。つまり、観察者が、予め選定した腐食M1から腐食M3を重複させる様に、撮影範囲A1から撮影範囲A4を決定している。これにより、腐食M1から腐食M3を重ね合わせて、第1画像G1から第4画像G4までの合成が容易にされている。
【0040】
ただし、この管内観察方法では、観察者が、予め腐食M1から腐食M3を選定しなくてもよい。例えば、観察者が、観察装置2を操作して、搬送機4を長手方向に所定の移動距離毎に移動させ、カメラ6に内面14Aを撮影させ、第1画像G1から第4画像G4を得てもよい。この場合、画像処理装置10のプロセッサは、第1画像G1と第2画像G2との重複範囲の内面14Aで、腐食、模様、疵、汚れ、工具跡などの目印を決定する。画像処理装置10のプロセッサは、この目印を重ね合わせて、第1画像G1と第2画像G2とを合成する。同様にして、画像処理装置10のプロセッサは、更に、第3画像G3と第4画像G4とを含めて、合成画像Gaを得る。
【0041】
また、前述の管内観察方法では、観察者が観察装置2を操作したが、観察装置2は、自動で、合成画像Gaを得てもよい。この場合、観察者に代わって、画像処理装置10のプロセッサが、目印として使用する腐食M1から腐食M3を含む撮影範囲A1から撮影範囲A4を決定する。このプロセッサが、カメラ6に腐食M1から腐食M3を含む撮影範囲A1から撮影範囲A4を撮影させる位置に、搬送機4を移動させる。このプロセッサが、カメラ6に撮影範囲A1から撮影範囲A4を撮影させ、第1画像G1から第4画像G4のデータを得る。
【0042】
具体的には、例えば、前述の管内観察方法において、予め、搬送機4及びカメラ6が鋼管14の所定の位置に配置される(STEP1)。画像処理装置10のプロセッサは、目印として使用する腐食M1の一部を含む撮影範囲A1を決定する(STEP2)。このプロセッサは、カメラ6に撮影範囲A1を撮影させる位置に、搬送機4を移動させる(STEP3)。このプロセッサは、カメラ6に撮影範囲A1を撮影させ、第1画像G1のデータを得る(STEP4)。得られた第1画像G1のデータは、画像処理装置10に送信される(STEP5)。このプロセッサは、受信した第1画像G1のデータをメモリに記憶させる(STEP6)。
【0043】
このプロセッサは、腐食M1の一部を含み、且つ目印として使用する腐食M2の全部を含む撮影範囲A2を決定する(STEP7)。このプロセッサは、観察装置2を操作して、カメラ6に撮影範囲A2を撮影させる位置に、搬送機4を移動させる(STEP8)。このプロセッサは、カメラ6に撮影範囲A2を撮影させ、第2画像G2のデータを得る(STEP9)。第2画像G2のデータは、画像処理装置10に送信される(STEP10)。画像処理装置10のプロセッサは、受信した第2画像G2のデータをメモリに記憶させる(STEP11)。
【0044】
このプロセッサは、腐食M2の全部を含み、且つ目印として使用する腐食M3の一部を含む撮影範囲A3を決定する(STEP12)。このプロセッサは、カメラ6に撮影範囲A3を撮影させる位置に搬送機4を移動させる(STEP13)。このプロセッサは、カメラ6に撮影範囲A3を撮影させ、第3画像G3のデータを得る(STEP14)。得られた第3画像G3のデータは、画像処理装置10に送信される(STEP15)。画像処理装置10のプロセッサは、受信した第3画像G3のデータをメモリに記憶させる(STEP16)。
【0045】
このプロセッサは、腐食M3を含む撮影範囲A4を決定する(STEP17)。このプロセッサは、カメラ6に腐食M3を含む撮影範囲A4を撮影させる位置に搬送機4を移動させる(STEP18)。このプロセッサは、カメラ6に撮影範囲A4を撮影させ、第4画像G4のデータを得る(STEP19)。第4画像G4のデータは、画像処理装置10に送信される(STEP20)。このプロセッサは、受信した第4画像G4のデータをメモリに記憶させる(STEP21)。
【0046】
その後、前述の行程(STEP22)から行程(STEP25)が同様に実行される。
【0047】
また、画像処理装置10のプロセッサが、搬送機4を長手方向に所定の移動距離毎に移動させ、カメラ6に撮影させ、第1画像G1から第4画像G4を得てもよい。この場合、プロセッサが、第1画像G1と第2画像G2との重複範囲で、腐食、模様、疵、汚れ、工具跡などの目印を決定する。プロセッサが、この目印を重ね合わせて、第1画像G1と第2画像G2とを合成する。同様にして、プロセッサは、更に、第3画像G3と第4画像G4とを含めて、合成画像Gaを得ることができる。
【0048】
この観察装置2は、鋼管14の製造設備が備える検査装置として使用できる。例えば、観察装置2は、酸洗工程の後の検査工程において、酸化スケールが除去された鋼管14の内面14Aの検査に使用できる。この観察装置2は、鋼管14の内面14Aの観察が容易にされているので、鋼管14を製造しながら、製造された鋼管14の内面14Aの検査に使用できる。
【0049】
この観察装置2では、第1画像G1、第2画像G2、第3画像G3及び第4画像G4から合成画像Gaが得られたが、合成される画像の数は、2以上の複数であればよく、特に限定されない。
【0050】
この観察装置2では、鋼管14の内面4Aにおける周方向位置を一定して、第1画像G1、第2画像G2、第3画像G3及び第4画像G4が得られたが、これに限定されない。例えば、第1画像G1、第2画像G2、第3画像G3及び第4画像G4のそれぞれは、互いに内面14Aの周方向及び長手方向に位置をずらしつつ得られてもよい。また、ここでは、長手方向に隣合う第1画像G1から第4画像G4から合成画像Gaが得られたが、合成される画像は周方向に隣合う画像であってもよい。
【0051】
ここでは、鋼管14を例に説明がされるが、この観察装置2は、銅管の内面、樹脂管の内面等の観察に使用しうる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
以上説明された管内面観察装置は、管の内面の観察に広く適している。
【符号の説明】
【0053】
2・・・管内面観察装置
6・・・カメラ
14・・・鋼管(管)
14A・・・内面
M1、M2、M3・・・腐食(目印)
Lc・・・光軸
G1・・・第1画像
G2・・・第2画像
Ga・・・合成画像
図1
図2
図3
図4
図5