(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024170010
(43)【公開日】2024-12-06
(54)【発明の名称】画像形成システム
(51)【国際特許分類】
B29C 63/02 20060101AFI20241129BHJP
B65H 37/04 20060101ALI20241129BHJP
B41J 29/00 20060101ALI20241129BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20241129BHJP
【FI】
B29C63/02
B65H37/04 A
B41J29/00 H
B41J29/38 206
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023086916
(22)【出願日】2023-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100154612
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】木戸浦康宣
(72)【発明者】
【氏名】赤石良介
(72)【発明者】
【氏名】久野悟志
(72)【発明者】
【氏名】堀田浩史
(72)【発明者】
【氏名】吉田直広
【テーマコード(参考)】
2C061
3F108
4F211
【Fターム(参考)】
2C061AP04
2C061AP07
2C061AP10
2C061AQ06
2C061AS02
2C061AS04
2C061AS13
2C061CK02
2C061HH11
2C061HJ10
2C061HK07
2C061HK11
2C061HK19
2C061HN04
3F108GA09
3F108GB01
3F108HA02
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4F211AD06
4F211AD08
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4F211AQ01
4F211AR06
4F211AR07
4F211AR11
4F211SA08
4F211SC07
4F211SD01
4F211SJ11
4F211SP05
4F211SW36
(57)【要約】
【課題】画像形成装置と、ラミネート処理装置と、後処理装置とを備える画像形成システムにであって、ラミネート処理装置の生産性と省エネ性を両立できる画像形成システムを提供する。
【解決手段】画像形成装置と、シート状媒体を挟持する2枚重ねシートを搬送しながら、加熱及び加圧を行うラミネート処理装置と、後処理装置とを備える画像形成システムに関する。
画像形成システムは、後処理装置のタスク時間を算出するタスク時間算出手段と、ラミネート処理装置の加熱手段の温度を制御する温度制御手段と、を有し、後処理装置でのタスク処理中にラミネート処理装置の加熱手段の昇温を実施する生産性優先モードと、後処理装置でのタスク処理中にラミネート処理装置の加熱手段の昇温を実施しない省エネ優先モードと、を選択できることを特徴とする。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置と、シート状媒体を挟持する2枚重ねシートを搬送しながら、加熱及び加圧を行うラミネート処理装置と、後処理装置とを備える画像形成システムであって、
前記後処理装置のタスク時間を算出するタスク時間算出手段と、
前記ラミネート処理装置の加熱手段の温度を制御する温度制御手段と、を有し、
前記後処理装置でのタスク処理中に前記ラミネート処理装置の前記加熱手段の昇温を実施する生産性優先モードと、前記後処理装置での前記タスク処理中に前記ラミネート処理装置の前記加熱手段の昇温を実施しない省エネ優先モードと、を選択できることを特徴とする、画像形成システム。
【請求項2】
前記生産性優先モードにおいて、
前記後処理装置のタスク時間が所定の判定時間よりも長い場合、前記ラミネート処理装置の前記加熱手段の昇温を実施し、
前記後処理装置のタスク時間が前記判定時間以下の場合、前記ラミネート処理装置の前記加熱手段の温度を維持することを特徴とする、請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項3】
前記判定時間は、任意に設定できることを特徴とする、請求項2に記載の画像形成システム。
【請求項4】
前記後処理装置のタスク時間が、前記判定時間以下であり、かつ、前記ラミネート処理装置の前記加熱手段の温度が、設定温度未満である場合、前記加熱手段の昇温を実施し、
前記後処理装置のタスク時間が、前記判定時間以下であり、かつ、前記ラミネート処理装置の前記加熱手段の温度が、前記設定温度以上である場合、前記加熱手段の温度を維持することを特徴とする、請求項2に記載の画像形成システム。
【請求項5】
前記加熱手段の温度を維持する時間に上限を設定でき、当該上限に達した時点で前記温度の維持を止めることを特徴とする、請求項2に記載の画像形成システム。
【請求項6】
前記生産性優先モードにおいて、
前記ラミネート処理装置の前記加熱手段の昇温開始時間は、前記後処理装置のタスク時間から前記ラミネート処理装置の前記加熱手段の昇温に掛かる時間を差し引くことで算出することを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
プリンター、複写機などの画像形成装置は、定着ローラにより記録媒体上のトナー像を加熱及び加圧して定着させる定着装置を備える。このような定着装置に、一部が接合された2枚重ねシート(例えば、ラミネートフィルム)を通過させ、その2枚重ねシートを接着する処理(ラミネート処理)を可能とするラミネート処理モードを設けた画像形成装置が提案されている。
【0003】
また、くるみ製本を行う後処理装置において、後処理準備としてくるみ製本の接着剤を事前に加熱すること、及び準備動作として、電源ON、ジョブ受付、省エネ復帰時に接着剤の温度を一定温度まで加熱することも、従来から提案されている。
【0004】
例えば特許文献1には、後処理装置を使用する際の準備時間を短縮する目的で、先行ジョブの印刷処理完了時間に合わせて、加熱が開始される構成が開示されている。また、特許文献2には、後処理装置の準備動作を途中で中断させない目的で、正常動作開始のための準備動作が行われている場合は、システムの省電力制御を行わない構成が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、ラミネート処理も可能な画像形成装置と、後処理装置とを組みわせた画像形成システムが提案されている。しかし、そのような画像形成システムにおいて、それら装置を統合したシステム全体としての動作は最適化されていないのが現状である。
【0006】
具体的に、後処理装置のタスク処理中にラミネート処理装置のヒータ(加熱手段)をどのように制御するかについての提案(及び実装)はされていない。したがって、ラミネート処理装置の加熱手段の最適な制御ができていないという問題があった。
【0007】
そこで本発明は、画像形成装置と、ラミネート処理装置と、後処理装置とを備える画像形成システムであって、ラミネート処理装置の生産性と省エネ性を両立できる画像形成システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題は、画像形成装置と、シート状媒体を挟持する2枚重ねシートを搬送しながら、加熱及び加圧を行うラミネート処理装置と、後処理装置とを備える画像形成システムであって、前記後処理装置のタスク時間を算出するタスク時間算出手段と、前記ラミネート処理装置の加熱手段の温度を制御する温度制御手段と、を有し、前記後処理装置でのタスク処理中に前記ラミネート処理装置の前記加熱手段の昇温を実施する生産性優先モードと、前記後処理装置での前記タスク処理中に前記ラミネート処理装置の前記加熱手段の昇温を実施しない省エネ優先モードと、を選択できることを特徴とする、画像形成システムによって解決される。
【発明の効果】
【0009】
本発明の画像形成システムは、後処理装置でのタスク処理中にラミネート処理装置の加熱手段の昇温を実施する生産性優先モードと、後処理装置でのタスク処理中にラミネート処理装置の加熱手段の昇温を実施しない省エネ優先モードと、を選択できる。したがって、ラミネート処理装置の生産性と省エネ性を両立できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態に係る画像形成システムの全体構成図である。
【
図2】
図1の画像形成システムが備えるラミネート処理装置の全体構成図である。
【
図3】熱加圧ローラ対から排紙トレイまでを示す部分拡大図(その1)である。
【
図4】熱加圧ローラ対から排紙トレイまでを示す部分拡大図(その2)である。
【
図5】画像形成システムの動作を制御する制御ブロックのハードウェア構成図である。
【
図6】ラミネート処理装置の排紙動作の実施形態を示すフローチャート(その1)である。
【
図7】ラミネート処理装置の排紙動作の実施形態を示すフローチャート(その2)である。
【
図8】熱加圧ローラ対を有する定着部の概略図である。
【
図9】後処理装置でのタスク処理中におけるラミネート処理装置の加熱手段の温度制御を示すフローチャートである。
【
図10】後処理装置のタスク時間を表示した操作パネルの一例である。
【
図11】動作モードの選択画面を表示した操作パネルの一例である。
【
図12】判定時間の設定画面を表示した操作パネルの一例である。
【
図13】上限時間の設定画面を表示した操作パネルの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成システムの全体構成図である。画像形成システム500は、画像形成装置300、中継装置310、ラミネート処理装置100及び後処理装置400を有する。
【0012】
画像形成システム500は、中継装置310を介して画像形成装置300で画像が形成された中紙Pを、ラミネート処理装置100へ搬送可能に構成されており、ラミネート処理装置100の下流にさらにラミネート処理装置100とは別の後処理装置400が設置されている。
【0013】
ラミネート処理装置100は、シートSを積載する給紙トレイ102を備えるとともに、中紙Pを画像形成装置300から中継装置310を介してラミネート処理装置100に搬送可能に構成されている。したがって、画像形成装置300(例えば、プリンタ、コピー機など)により、画像が形成されたシートSの中に挿入する中紙Pをインラインで挿入できる。そのため、画像形成システム500は、シートSの給紙から剥離、中紙挿入、熱加圧によるラミネート処理までの一連の動作を、人手を要さずに実施可能である。
【0014】
また、ラミネート処理装置100の下流に、後処理装置400が設置されている。ラミネート処理しない印刷ジョブの場合であって、かつ他の後処理(例えば綴じ処理や折り処理)が必要な印刷ジョブの場合には、画像形成装置300から搬送されたシート(中紙)を、ラミネート処理装置100を単に通過させて、後処理装置400へ搬送し、シート(中紙)に対して後処理装置400による後処理を実行することが可能になる。よって、ユーザのニーズに合わせて効率を落とすことなく画像形成システム500を使用することが可能となる。
【0015】
画像形成装置300の外装部には、画像形成装置300における情報表示や、操作入力の受付を行う表示操作手段である操作パネル10が設置されている。また、この操作パネル10は、ユーザに知覚信号を発する報知手段としての役割を兼ねる。なお、代替として、操作パネル10以外の報知手段を、画像形成装置300に別途設ける構成としてもよい。
【0016】
図2は、
図1の画像形成システムが備えるラミネート処理装置の全体構成図である。本実施形態のラミネート処理装置100は、2枚重ねシート(以下、シートSという)を互いに剥離し、その剥離したシートS内にシート状媒体(以下、中紙Pという)を挿入して挟持させるものである。
【0017】
ここで、シートSとは、2枚のシートが重ねられ、その一部(又は一辺)が接合された2枚重ねシートである。2枚重ねシートとしては、例えば、片側を透明ポリエステルシートなどの透過性シートとし、反対側を透明又は不透明シートとして、それらの一辺で接合したものがある。また、2枚重ねシートには、ラミネートフィルムも含まれる。
【0018】
中紙Pは、それら2枚重ねシートに挿入されるシート状媒体の一例である。シート状媒体には、普通紙以外に、厚紙、はがき、封筒、薄紙、塗工紙(コート紙やアート紙など)、トレーシングペーパ、OHPシートなどが含まれる。
【0019】
図2に示すように、ラミネート処理装置100は、シートSを積載する第1積載手段である給紙トレイ102と、給紙トレイ102からシートSを給送するピックアップローラ105と、第1搬送ローラ対107とを備える。また、ラミネート処理装置100の給紙トレイ102には、シートSのサイズを検知する複数のサイズ検知センサC11が配置されている。
【0020】
中紙挿入が完了したシートSは、第3搬送ローラ対113又はそれ以降に配置されたローラ等で排紙トレイ104に排出・スタックする。排紙トレイ104は、ラミネート処理装置100の筐体内部に配置されている。これにより、排紙トレイ104に向かうシートSの垂直搬送が容易化される。
【0021】
第1搬送ローラ対107の搬送方向下流には、シートSの搬送位置を検出する搬送センサC1が設けられ、入口ローラ146の搬送方向下流には、中紙Pの搬送位置を検出する搬送センサC2が設けられている。
【0022】
またラミネート処理装置100は、第1搬送ローラ対107の搬送方向下流に、第2搬送ローラ対108と、回転部材としての巻付けローラ109と、第3搬送ローラ対113と、第4搬送ローラ対144と、第5搬送ローラ対145と、排出ローラ対121と、排紙トレイ104などを備える。巻付けローラ109と第3搬送ローラ対113の間に、シートSの幅方向に移動可能に設けられた剥離部材116を備える。剥離部材116はシートSを剥離する剥離手段の一例である。
【0023】
第2搬送ローラ対108の搬送方向下流には、シートS及び中紙Pの搬送位置を検出する搬送センサC3が設けられ、巻付けローラ109の搬送方向下流には、シートSの状態を検出する異常状態検出センサC4が設けられている。そして、第3搬送ローラ対113の搬送方向下流には、シートSの搬送位置を検出する搬送センサC5が設けられている。
【0024】
なお、ピックアップローラ105、第1搬送ローラ対107、第2搬送ローラ対108、及び巻付けローラ109は、第1給送手段の一例である。
【0025】
図2において、第2搬送ローラ対108及び第3搬送ローラ対113は、それぞれ、例えば対となった2つのローラであり、駆動手段(モータなど)により回転駆動される。第2搬送ローラ対108は一方向に回転駆動され、第3搬送ローラ対113は正逆方向に回転駆動されることで、シートS及び中紙Pを挟持して搬送する。
【0026】
第2搬送ローラ対108は、シートS及び中紙Pを第3搬送ローラ対113に向けて鉛直下方に搬送する。
【0027】
一方、第3搬送ローラ対113は、その回転を正逆の両方向に切り替え可能である。第3搬送ローラ対113は、挟持したシートSを排紙トレイ104に向けて鉛直下方に搬送できるとともに、その逆方向(引き戻す方向)となる巻付けローラ109に向けてシートSを鉛直上方に搬送することもできる。
【0028】
また、ラミネート処理装置100は、これら第2搬送ローラ対108と第3搬送ローラ対113との間に、シート剥離部1を備えている。シート剥離部1は、回転部材である巻付けローラ109と、剥離部材116とを備える。巻付けローラ109は、駆動手段である巻付けローラモータ109a(
図5参照)により正逆方向に回転駆動され、その回転を両方向(時計回り/反時計回り)に切り替え可能である。
【0029】
巻付けローラ109は、ローラ部材111と、ローラ部材111に設けられ、シートSを把持する可動の把持手段110とを有する。把持手段110は、把持手段モータ110a(
図5参照)によりローラ部材111に対して回動可能に構成されている。そして、把持手段110は、ローラ部材111との間でシートSの先端を把持することを特徴とする。以上では把持手段110は、ローラ部材111とは別部品で構成される場合について説明したが、ローラ部材111の外周に一体的に把持手段110(把持部)に成形されてもよい。
【0030】
続いて、
図2を用いて、ラミネート処理装置100の一連の動作、すなわちシートSの剥離から中紙Pの挿入までの動作を説明する。
【0031】
図2において、給紙トレイ102上のシートSは、2枚のシートの接合された一部が、ピックアップローラ105の給送方向(搬送方向)の下流側に位置するように積載される。そして、ラミネート処理装置100は、給紙トレイ102上のシートSをピックアップローラ105にてピックし、第1搬送ローラ対107に向けて搬送する。
【0032】
次いで、第1搬送ローラ対107の搬送方向下流に配置された第2搬送ローラ対108により、シートSを巻付けローラ109に向けて搬送する。ここでラミネート処理装置100は、シートSの4辺中の一辺である端部が接合された側を鉛直方向(鉛直下方)の下流側として搬送する。
【0033】
続いて、ラミネート処理装置100は、鉛直方向(鉛直下方)におけるシートSの後端部が巻付けローラ109を通過した時点で、その搬送を一時停止する。
【0034】
次に、ラミネート処理装置100は、把持手段110を開口するとともに、第3搬送ローラ対113の回転方向を反転し、把持手段110の開口部に向けて、シートSを鉛直上方に搬送する。
【0035】
続いて、ラミネート処理装置100は、シートSの端部を開口した把持手段110に挿入した時点で搬送を停止し、把持手段110を閉じてシートSの端部を把持する。なお、これら動作は、シートSを指定量搬送することで実施される。
【0036】
次いで、ラミネート処理装置100は巻付けローラ109を時計回りに回転し、シートSを巻付けローラ109に巻き付ける。ここでシートSは、2枚のシートの接合されていない側から巻付けローラ109に巻き付けられる。
【0037】
シートSを巻付けローラ109に巻き付けると、2枚重ねシートの巻き付け周長差(巻き付け量の差)によって内周側のシートが余り、シートSの接合した端に向けて弛みが生じる。その結果、2枚のシート間に空間が生じる。この生じた空間に剥離部材116をシートSの両側から挿入することで、2枚のシート間の空間を確実に維持することができる。なお、これら動作は、搬送センサC5によるシートSの先端検出をトリガとし、搬送センサC5から指定量搬送することで実施される。
【0038】
ラミネート処理装置100は、シートSに生じた空間に剥離部材116を挿入した状態で、巻付けローラ109を反時計回りに回転し、シートSの剥離した空間を鉛直方向(鉛直下方)におけるシートSの後端部まで移動させる。そして、指定量移動した時点で把持手段110を開放し、シートSの後端を上下に分離した状態とする。
【0039】
この状態で、ラミネート処理装置100はシートSの搬送を一時停止し、今度は剥離部材116をシートSの幅方向の両端部から中央部へ向かって移動させることで、シートSの後端の全域を剥離する。なお、これら動作は、搬送センサC5によるシートSの先端検出をトリガとし、搬送センサC5から指定量搬送することで実施される。
【0040】
次いで、ラミネート処理装置100は今度は第3搬送ローラ対113を反時計回りに回転させ、シートSを逆搬送方向に搬送する。シート先端が搬送センサC5を抜けたタイミングで、分岐部材118を切り替えることが可能となる。非定着経路にシートSを搬送する場合、分岐部材118は図示の位置のままとなるが、定着経路128にシートSを搬送する場合は、分岐部材118は、シートSを定着経路128に誘導する方向に切り替えられる。
【0041】
シートSの剥離された2枚のシートは、剥離部材116によりそれぞれ左右方向に案内され、2枚のシート全体が互いに剥離される。そして、ラミネート処理装置100はシートSの搬送を一時停止し、シートSの接合部を第3搬送ローラ対113にて把持(ニップ)した状態とする。したがって、シートSは接合された一辺を端として、大きく開口することになる。
【0042】
なお、これら動作は、搬送センサC5によるシートSの先端検出をトリガとし、搬送センサC5から指定量搬送することで実施される。
【0043】
次いで、ラミネート処理装置100は、第2搬送ローラ対108を回転し、画像形成装置側から搬送された中紙Pを第3搬送ローラ対113に向けて鉛直下方に搬送する。
【0044】
続いて、ラミネート処理装置100は、第3搬送ローラ対113を回転してシートSと中紙Pを合流させ、開口したシートS内に中紙Pを挿入する。
以上が、シートSの剥離から中紙Pの挿入までの動作である。なお、開口したシートSの様子は
図1に示されている。
【0045】
次いで、ラミネート処理装置100は、第3搬送ローラ対113により、中紙Pが挿入されたシートSを鉛直下方に搬送することで、シートSの2枚のシートを再度重ね、開口を閉じる。そして、中紙Pが挟み込まれたシートSを、第3搬送ローラ対113又はそれ以降に配置されたローラ等により、一対のローラ部材から構成されている熱加圧ローラ対120(「熱加圧部」に相当)を有する定着部へ搬送する。
【0046】
熱加圧ローラ対120の通過時にシートSが熱加圧され、定着される。シートSは熱加圧ローラ対120の通過後に排紙トレイ104に向かって鉛直下方に搬送され続け、排紙トレイ104に積載される。このように熱加圧ローラ対120の通過後に圧着されたシートSが鉛直下方に排出されるため、熱を帯びたシートSが外力によって湾曲することを抑制しつつシートSを排紙トレイ104に積載することができる。
【0047】
より詳細には、本発明の実施形態に係る垂直搬送によれば、シートSが鉛直下向きに排出されるため、シートSにかかる重力は熱加圧ローラ対120の定着ニップの接線と平行になり、シートSを変形させ得る外力がシートSにかからない。よって、シートSが垂直に排出し続ける限り、シートSの変形は抑制される。また、排紙トレイ104は、シートSの後端が熱加圧ローラ対120及び排出ローラ対121を抜けた後に配置されており、排紙トレイ104に到達するまでにシートSは冷却されるため、排紙トレイ104の積載面の傾斜はシートSが変形し得る外力をシートSに与えない。
【0048】
また、シートSが鉛直下方に搬送されることでシートSの先端が熱加圧ローラ対120に到達し、シートSの後端が熱加圧ローラ対120を抜け切るまで、シートSを鉛直下方に搬送し続ける。これにより、シートSの垂直搬送が確保され、熱加圧後のシートSが外力によって湾曲することを抑制することができる。
【0049】
このラミネート処理装置100は、シートSの給紙、剥離、中紙Pの挿入、及び熱加圧によるラミネート処理までの一連の動作を1台で実施できる構成である。この一連の動作を、人手を要さずに自動で実施でき、従来技術よりも利便性を向上できる。ラミネート処理装置100が熱加圧ローラ対120を有する定着部を備えており、ラミネート処理を実施できるため、ラミネート処理装置100は狭義にはラミネート処理装置であると言ってもよい。
【0050】
図3は、熱加圧ローラ対から排紙トレイまでを示す部分拡大図(その1)である。この例では、排紙トレイ104には複数枚のシート(ラミネート処理されたシートSG)が積載されている。そして図示のように、熱加圧ローラ対120の定着ニップから搬送経路延長線上の排紙トレイ104の積載面又は排紙トレイ104に積載されたシートSGの最上面までの距離LがシートSの搬送方向長さよりも長いように構成されている。これにより、シートSの後端が熱加圧ローラ対120を抜け切るまで、シートSの先端が排紙トレイ104の積載面又は積載されたシートSGに触れないため、熱を帯びたシートSの外力による湾曲を防ぐことができる。
【0051】
排紙トレイ104は、例えばシートSを50mmの厚さまで積載することができる。シートSGの満杯を検知するために、積載されたシートSGの最上面を検知する光学センサである満杯検知センサ160(例えば、レーザー変位計)が排紙トレイ104に配置されている。この場合、少なくともシートSGの50mmの厚さまで、距離LはシートSの搬送方向長さよりも長い。
【0052】
図4は、熱加圧ローラ対から排紙トレイまでを示す部分拡大図(その2)である。
この例では、排紙トレイ104には
図3に示す例よりも多いシート(ラミネート処理されたシートSG)が積載されている。図示のように、排出ローラ対121から排出された排紙中のシートSの先端が、排紙トレイ104内の定着後のシートSGの最上面に接触した場合、シートSは湾曲する。
【0053】
ここで、排紙中のシートSの先端とシートSGの最上面との接触点と、排出ローラ対121のニップを通る鉛直線との距離Dが30mm以下であるように、ラミネート処理装置100は構成される。例えば、距離Dが30mmとなる位置に有る、積載されたシートSまでの距離を検知する満杯検知センサ160(例えば、レーザー変位計)を排紙トレイ104に設置することで、距離Dが30mm以下かどうかを判断することができる。
【0054】
距離Dを30mm以下にすることで、排紙中のシートSの先端がシートSGの最上面に接触したとしても、シートSの湾曲を小さく抑えることができるとともに、スタック性能が向上する。また満杯検知センサ160が、距離Dが30mmを超えたことを検知した場合は、排紙トレイ104が満杯になったと判断し、ラミネート処理装置100は、シートSの定着及び搬送を停止する。このようにして距離Dが30mmより大きくなることを防止することで、排紙中のシートSの先端がシートSGの最上面に接触した際に、シートSが大きく湾曲することを防止できる。ただし、30mmという数値は一例にすぎず、ラミネート処理装置の仕様に依存して使用されるシートSや中紙Pの厚みにより予め評価して決定される数値である。
【0055】
また、
図1乃至
図4に示すように、熱加圧ローラ対120の下流に、排紙トレイ104に向かってシートSを排出する排出ローラ対121が配置されている。排出ローラ対121で排出することによって、熱加圧後のシートSの皺の形成を抑制することができる。排出ローラ対121によりシートSを鉛直方向に排紙することで、熱加圧後のシートSの湾曲を抑制することができる。
【0056】
図5は、画像形成システムにおいて実行される制御処理を実行するためのハードウェア構成である。
図5に示すように、画像形成システム500は、CPU(Central Processing Unit)901、RAM(Random Access Memory)902、ROM(Read Only Memory)903、HDD(Hard Disk Drive)904、及びI/F905が接続されている構成を備える。
【0057】
CPU901は演算手段であり、画像形成システム500の全体の動作を制御する。RAM902は、情報の高速な読み書きが可能な揮発性の記憶媒体であり、CPU901が情報を処理する際の作業領域として用いられる。ROM903は、読み出し専用の不揮発性の記憶媒体であり、ファームウェア等のプログラムが格納されている。HDD904は、情報の読み書きが可能であって記憶容量が大きい不揮発性の記憶媒体であり、OS(Operating System)や各種の制御プログラム、アプリケーションプログラムなどが格納される。
【0058】
画像形成システム500は、ROM903に格納された制御プログラムからRAM902にロードされた情報処理プログラム(アプリケーションプログラム)などをCPU901が備える演算機能によって処理する。その処理によって、画像形成システム500の種々の機能モジュールを含むソフトウェア制御部が構成される。このようにして構成されたソフトウェア制御部と、画像形成システム500に搭載されるハードウェア資源との組み合わせによって、画像形成システム500の機能を実現する機能ブロックが構成される。すなわち、CPU901、RAM902、ROM903、及びHDD904は、は、画像形成システム500の動作を制御するコントローラ127(制御部)を構成する。
【0059】
I/F905は、ピックアップローラ15、第1搬送ローラ対107、第2搬送ローラ対108、第3搬送ローラ対113、第4搬送ローラ対144、第5搬送ローラ対145、排出ローラ対121、サイズ検知センサC11、搬送センサC1~C5,C12、巻付けローラモータ109a、把持手段モータ110a、剥離部材モータ116a、分岐部材モータ118a、熱加圧ローラモータ129a、ヒータ123(「加熱手段」に相当)、サーミスタ125(「温度検知手段」に相当)、満杯検知センサ160、及び操作パネル10をコントローラ127に接続するインターフェースである。
【0060】
また、コントローラ127は、I/F905を通じて、ピックアップローラ15、第1搬送ローラ対107、第2搬送ローラ対108、第3搬送ローラ対113、第4搬送ローラ対144、第5搬送ローラ対145、排出ローラ対121、巻付けローラモータ109a、把持手段モータ110a、剥離部材モータ116a、分岐部材モータ118a、熱加圧ローラモータ129a、及びヒータ123の動作を制御する。また、コントローラ127は、サイズ検知センサC11、搬送センサC1~C5,C12、サーミスタ125、及び満杯検知センサ160からの検知結果を取得する。
【0061】
なお、巻付けローラモータ109aは、巻付けローラ109を正逆方向に回転させるための駆動手段である。把持手段モータ110aは、把持手段110を回動させるための駆動手段である。剥離部材モータ116aは、剥離部材116をシートSの幅方向に移動させるための駆動手段である。分岐部材モータ118aは、分岐部材118の位置を切替るための駆動手段である。
【0062】
図6は、ラミネート処理装置の排紙動作の実施形態を示すフローチャート(その1)である。熱加圧ローラ対120を有する定着部での熱加圧動作の開始後、ラミネート処理装置100は、ステップS1にてシートSの後端が熱加圧ローラ対120を抜け切ったかどうか判断する。このために、ラミネート処理装置100はシートSを検出する検出手段を有し、検出手段は、例えば熱加圧ローラ対120の搬送方向下流に配置された搬送センサC12(
図4)である。
【0063】
シートSの後端が熱加圧ローラ対120を抜け切ったら(S1,Yes)、ラミネート処理装置100は、シートSの排紙動作を停止し(S2)、排出ローラ対121によってシートSを保持する。次いで、ステップS3において、サイズ検知センサC11により検知されたシートSのサイズに応じて、ラミネート処理装置100に備えられた計時手段が待ち時間Tを設定し、ステップS4において待ち時間Tが経過したかどうか判断する。次いで、待ち時間Tが経過したら(S4,Yes)、ラミネート処理装置100は、ステップS5においてシートSの排紙動作を再開し、排紙する。
【0064】
以上のように、排出ローラ対121を停止させ、排出ローラ対121によってシートSを保持し、待ち時間T(所要時間)が経過するのを待ってから排紙動作を再開する。これにより、熱加圧されたシートSの温度が低下するのを待ってから排紙するので、シートSの湾曲を抑制することができる。
【0065】
図7は、ラミネート処理装置の排紙動作の別な実施形態を示すフローチャート(その2)である。熱加圧ローラ対120を有する定着部での熱加圧動作の開始後、ラミネート処理装置100は、ステップS11にてシートSの後端が熱加圧ローラ対120を抜け切ったかどうか判断する。このために、ラミネート処理装置100はシートSを検出する検出手段を有し、検出手段は、例えば熱加圧ローラ対120の搬送方向下流に配置された搬送センサC12(
図4)である。
【0066】
シートSの後端が熱加圧ローラ対120を抜け切ったら(S11,Yes)、ラミネート処理装置100は、ステップS12において排出ローラ対121の回転速度を増加させて、シートSの搬送速度を増加させる。これにより、熱加圧されたシートSの先端が排紙トレイ104の積載面又は積載されたシートSGの最上面に接触する時間が短くなるため、シートSの湾曲を抑制することができる。
【0067】
図8は、熱加圧ローラ対120を有する定着部の概略図である。熱加圧ローラ対120は、その表層としてのフッ素樹脂層(PFAチューブ)120A、表層の内側に位置する弾性層としてのゴム層120B及び弾性層の内側に位置する中心部の芯金部120Cを有するローラ部材である。表層としてフッ素樹脂層を用いることで表層に汚れが付着しにくくなる。ただし、フッ素樹脂層は熱によるダメージを受けやすいので、場合により熱加圧ローラ対120の停止前の継続回転動作が必要となる。
【0068】
また、熱加圧ローラ対120はローラ対として形成されており、それらの間にはシートSを挟持するニップ部が形成されている。また、それぞれの熱加圧ローラ対120内には熱加圧ローラ対120を加熱する加熱手段としてのヒータ123がそれぞれ設置されている。
【0069】
また、ニップ部入口側には、加熱される熱加圧ローラ対120の温度を検知するための温度検知手段としてのサーミスタ125が熱加圧ローラ対120に対向して配置されている。また、コントローラ127がサーミスタ125及びヒータ123に接続している。なお、コントローラ127は、ヒータ123の温度を制御する温度制御手段の一例である。
【0070】
また、熱加圧ローラ対120を回転駆動させる駆動部129(「駆動手段」に相当)が熱加圧ローラ対120に接続している。駆動部129の一例は熱加圧ローラモータ129a(
図5参照)である。
【0071】
以下より、本発明の特徴的構成について説明する。
【0072】
本発明は後処理装置400でのタスク処理中(画像形成装置300から後処理装置400への用紙排出動作中)に、ラミネート処理装置100へのラミネート処理要求が入った場合にラミネート処理装置100の加熱手段(ヒータ123)の昇温タイミングを制御するものである。
【0073】
図9は、後処理装置でのタスク処理中におけるラミネート処理装置の加熱手段の温度制御を示すフローチャートである。
図9を用いて、各ステップでの処理内容について説明する。
【0074】
まず、ステップS100において、後処理装置400は、画像形成システム500の制御部(以下、制御部と呼ぶ)から動作要求を受けると、画像形成装置300で印刷済の用紙を受け取り、後処理タスクの実行を開始する。
【0075】
次いでステップS101において、制御部は、タスク時間算出手段にて、印刷枚数、印刷速度、後処理内容などの情報から後処理装置400での作業に係るタスク時間Tを算出する。なお、タスク時間算出手段とは、情報処理プログラム(アプリケーションプログラム)であると理解されたい。
【0076】
また、ステップS101において、後処理装置400のタスク時間Tは、画像形成装置300及び後処理装置400の状態に応じて都度更新することが望ましい。算出されたタスク時間Tは、
図10に示すように、例えば操作パネル10などに表示し、ユーザが確認できるようにすることが望ましい。
【0077】
続いて、ステップS102において、後処理装置400のタスク処理中に画像形成システム500へラミネート処理の実施要求が入力された場合(YESの場合)、ステップS103に移行し、制御部は、システムとして「生産性優先モード」及び「省エネ優先モード」のいずれかの動作モードを選択する。
【0078】
ここで「生産性優先モード」とは、後処理装置400でのタスク処理中にラミネート処理装置100の加熱手段の昇温を実施する、生産性を優先したモードである。一方、「省エネ優先モード」とは、後処理装置400のタスク処理中にラミネート処理装置100の加熱手段の昇温を実施しない、省エネ(節電)を優先したモードである。
【0079】
これら動作モードの選択は、ユーザが予め設定しておく形態でもよいし、制御部にラミネート処理の実施要求が入力された時点で、
図11に示すように、操作パネル10などに表示し、ユーザが都度設定(選択)できる形態としてもよい。また、ネットワークを介して接続された外部装置を介して設定する形態としてもよい。
【0080】
なお、ステップS102において、画像形成システム500へラミネート処理の実施要求が入力されない場合(NOの場合)、ステップS130に移行し、後処理装置400でのタスク処理を継続する。
【0081】
(生産優先モード)
ステップS103において、「生産性優先モード」が選択された場合、ステップS104に移行し、制御部は、後処理装置400のタスク時間Tが判定時間N以下(T≦N)であるか否かを判定する。
【0082】
判定時間Nとは、後処理装置400のタスク時間Tに応じてラミネート処理装置100の動作(加熱手段のON/OFF)を選択するための指標とするものである。
【0083】
後処理装置400のタスク時間Tが判定時間Nよりも長い場合は、後処理装置400のタスク時間Tに応じて、ラミネート処理装置100の加熱手段の昇温を実施する。言い換えると、加熱手段を一旦停止した後で、(一定時間後に)昇温を実施する(ステップS110、S111)。
【0084】
一方、後処理装置400のタスク時間Tが判定時間N以下である場合は、ラミネート処理装置100の加熱手段の温度により、後処理装置400のタスク時間Tに応じて、加熱手段の昇温を実施するか、又は加熱手段の温度を維持する(ステップS105、S106)。
【0085】
この処理の違いについて説明する。生産性優先モードを選択した場合、制御部は、ラミネート処理装置100の加熱手段の昇温を後処理装置400のタスク処理終了を待たずに実施することになる。ここで、後処理装置400のタスク処理終了まで多くの時間を要する場合(すなわち、タスク時間T>判定時間Nの場合)、ラミネート処理をしないにもかかわらず加熱手段の温度を維持し続けるため、結果として電力を無駄に消費するおそれがある。そのため、後処理装置400のタスク時間Tに応じて、(一定時間後に)ラミネート処理装置100の加熱手段を昇温する方が効率的になる。
【0086】
一方、後処理装置400のタスク終了まで多くの時間が掛からない場合(すなわち、タスク時間T≦判定時間Nの場合)は、断続的にラミネート処理装置100の加熱手段を昇温し、その温度を維持した方が効率的になる。
【0087】
判定時間Nは、予め設定しておいてもよいし、
図12に示すように、操作パネル10などに表示し、ユーザが都度設定できる形態としてもよい。
【0088】
フローチャートの説明に戻る。ステップS104において、後処理装置400のタスク時間Tが判定時間Nより長い場合(NOの場合)、ステップS110に移行する。制御部は、後処理装置400のタスク時間Tからラミネート処理装置100の加熱手段の昇温に係る時間Trを差し引き、昇温開始時間Tsを算出する(Ts=T-Tr)。そして、昇温開始時間Tsに達した時点で、ステップS111へ移行し、ラミネート処理装置100の加熱手段の昇温を開始する。
【0089】
次いで、ステップS112に移行し、ラミネート処理装置100の加熱手段の温度が昇温完了温度に達するまで昇温を継続する。加熱手段の昇温が完了した時点でステップS107に移行し、後処理装置400のタスク終了まで待つ。後処理装置400でのタスクが終了した時点でステップS108に移行し、ラミネート処理装置100にて、ラミネート処理を実施する。
【0090】
なお、ステップS110において、制御部は、ステップS101で算出したタスク時間Tと、ヒータ昇温に係る時間Tr(固定値)から昇温開始時間Tsを算出している。しかし、後処理タスク処理中に発生した時間遅れ(例えば、用紙補給動作やタスク停止時間など)により、算出したタスク時間Tにずれが生じることも想定される。そのため、タスク時間Tは都度更新する構成としてもよい。
【0091】
再度ステップS104に戻る。ステップS104において、後処理装置400のタスク時間Tが判定時間N以下である場合(YESの場合)、ステップS105に移行する。制御部は、ラミネート処理装置100の加熱手段の温度が設定温度St以上であるか判別する。
【0092】
ステップS105において、ラミネート処理装置100の加熱手段の温度が設定温度St以上である場合(YESの場合)、ステップS106に移行し、ラミネート処理装置100の加熱手段の温度を設定温度Stに維持する。
【0093】
一方、ステップS105において、ラミネート処理装置100の加熱手段の温度が設定温度St未満である場合(NOの場合)、ステップS110に移行する。そして、後処理装置400のタスク時間Tに応じて、ラミネート処理装置100の加熱手段を昇温する。
【0094】
ここでの処理は、ラミネート処理装置100の加熱手段が十分に高温である(すなわち、設定温度St以上である)場合は、断続的にラミネート処理装置100の加熱手段を昇温し、温度を維持させた方が効率的であるためである。一方、設定温度St未満であれば、後処理装置400のタスク時間Tに応じて、ラミネート処理装置100の加熱手段を昇温する方が効率的になる。
【0095】
なお、本実施形態では、ステップS104にて、後処理装置400のタスク時間Tと判定時間Nを比較し、ステップS105にて、ラミネート処理装置100の加熱手段の温度と設定温度Stを比較しているが、これらステップは順序を逆にしても変わらないため、変更可能である。
【0096】
先のステップS106において、ラミネート処理装置100の加熱手段は、続くステップS107において、後処理装置400でのタスクが終了するまで、設定温度Stに維持される。後処理装置400でのタスクが終了した時点でステップS108に移行し、ラミネート処理装置100にて、ラミネート処理を実施する。
【0097】
判定に用いる設定温度Stは、予め設定しておく形態でもよいし、ラミネート処理装置100で使用するラミネートフィルムの種類及び/又はラミネート処理装置100の動作仕様により選択決定される形態であってもよい。
【0098】
また、ステップS106において、ラミネート処理装置100の加熱手段の温度を維持し続ける時間は、画像形成装置300及び後処理装置400へのサプライ補給作業や用紙ジャムなど軽微な異常が発生した場合に備えて、上限(上限時間UT)を設けることが望ましい。
【0099】
上限時間UTは、
図13に示すように、例えば操作パネル10などでユーザ又はサービスマンが任意の値に設定できることが望ましい。
【0100】
生産性優先モードでは、後処理装置400でのタスク処理中に、ラミネート処理装置100の加熱手段を昇温又は維持するため、後処理装置400でのタスク完了後直ぐにラミネート処理を実施できる。したがって、生産性を向上できる。
【0101】
(省エネ優先モード)
先のステップS103において、「省エネ優先モード」が選択された場合、ステップS120に移行し、後処理装置400のタスク終了まで待つ。後処理装置400でのタスクが終了した時点でステップS121に移行し、ラミネート処理装置100の加熱手段の昇温を開始する。
【0102】
次いで、ステップS122においてラミネート処理装置100の加熱手段の温度が昇温完了温度に達するまで昇温を継続する。加熱手段の昇温が完了した時点でステップS123に移行し、ラミネート処理装置100にて、ラミネート処理を実施する。
【0103】
このように省エネ優先モードでは、後処理装置400でのタスクが終了するまで、ラミネート処理装置100の加熱手段を昇温しないので、消費電力を下げることができる。
【0104】
本実施形態の画像形成システム500は、後処理装置400でのタスク処理中にラミネート処理装置100の加熱手段の昇温を実施する生産性優先モードと、後処理装置400でのタスク処理中にラミネート処理装置100の加熱手段の昇温を実施しない省エネ優先モードと、を選択できる。したがって、ラミネート処理装置100の生産性と省エネ性を両立できる。
【0105】
その他の有利な構成について説明する。
【0106】
ステップS108及びS123では、ラミネート処理装置100にてラミネート処理を実施するが、ラミネート処理に係る処理時間を操作パネル10やネットワークに接続されたプリンター設定画面上に表示する構成としてもよい。
【0107】
これにより、ユーザは、ラミネート処理後の画像形成装置300及び後処理装置400を使用した印刷動作再開時間の目安を得ることができる。また、例えばラミネート処理終了を待たずにラミネート処理以外のタスクを優先して実施したい場合に、一旦ラミネート処理を停止させたり、他の画像形成装置へ出力させたりするなどの判断材料とすることができる。
【0108】
一旦ラミネート処理を停止させる場合は、ステップS100に戻り処理を継続することになる。例えば、画像形成装置300でのタスクを実施する場合は、
図9のフローチャートに記載している後処理装置を、画像形成装置に置き換わる形となる。また、制御部のタスク時間算出手段は、ラミネート処理装置100での作業に係るタスク時間Tも算出できるものとする。
【0109】
以上、実施形態を用いて本発明を詳細に説明した。この実施形態は一例であり、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して使用できる。例えば、実施形態と変形例をそれぞれ組み合わせてもよい。
【0110】
また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されない。
【0111】
本発明の態様は、例えば、以下のとおりである。
(態様1)
画像形成装置と、シート状媒体を挟持する2枚重ねシートを搬送しながら、加熱及び加圧を行うラミネート処理装置と、後処理装置とを備える画像形成システムであって、
前記後処理装置のタスク時間を算出するタスク時間算出手段と、
前記ラミネート処理装置の加熱手段の温度を制御する温度制御手段と、を有し、
前記後処理装置でのタスク処理中に前記ラミネート処理装置の前記加熱手段の昇温を実施する生産性優先モードと、前記後処理装置での前記タスク処理中に前記ラミネート処理装置の前記加熱手段の昇温を実施しない省エネ優先モードと、を選択できることを特徴とする、画像形成システム。
(態様2)
前記生産性優先モードにおいて、
前記後処理装置のタスク時間が所定の判定時間よりも長い場合、前記ラミネート処理装置の前記加熱手段の昇温を実施し、
前記後処理装置のタスク時間が前記判定時間以下の場合、前記ラミネート処理装置の前記加熱手段の温度を維持することを特徴とする、態様1に記載の画像形成システム。
(態様3)
前記判定時間は、任意に設定できることを特徴とする、態様2に記載の画像形成システム。
(態様4)
前記後処理装置のタスク時間が、前記判定時間以下であり、かつ、前記ラミネート処理装置の前記加熱手段の温度が、設定温度未満である場合、前記加熱手段の昇温を実施し、
前記後処理装置のタスク時間が、前記判定時間以下であり、かつ、前記ラミネート処理装置の前記加熱手段の温度が、前記設定温度以上である場合、前記加熱手段の温度を維持することを特徴とする、態様2又は3に記載の画像形成システム。
(態様5)
前記加熱手段の温度を維持する時間に上限を設定でき、当該上限に達した時点で前記温度の維持を止めることを特徴とする、態様2乃至4のいずれか一項に記載の画像形成システム。
(態様6)
前記生産性優先モードにおいて、
前記ラミネート処理装置の前記加熱手段の昇温開始時間は、前記後処理装置のタスク時間から前記ラミネート処理装置の前記加熱手段の昇温に掛かる時間を差し引くことで算出することを特徴とする、態様1乃至5のいずれか一項に記載の画像形成システム。
【符号の説明】
【0112】
1 シート剥離部
10 操作パネル
15 ピックアップローラ
100 ラミネート処理装置
102 給紙トレイ
104 排紙トレイ
105 ピックアップローラ
107 第1搬送ローラ対
108 第2搬送ローラ対
109 巻付けローラ
109a 巻付けローラモータ
110 把持手段
110a 把持手段モータ
111 ローラ部材
113 第3搬送ローラ対
116 剥離部材
116a 剥離部材モータ
118 分岐部材
118a 分岐部材モータ
120 熱加圧ローラ対
120B ゴム層
120C 芯金部
121 排出ローラ対
123 ヒータ
125 サーミスタ
127 コントローラ(制御部)
128 定着経路
129 駆動部
129a 熱加圧ローラモータ
144 第4搬送ローラ対
145 第5搬送ローラ対
146 入口ローラ
160 満杯検知センサ
300 画像形成装置
310 中継装置
400 後処理装置
500 画像形成システム
901 CPU
902 RAM
903 ROM
904 HDD
905 I/F
C1 搬送センサ
C11 サイズ検知センサ
C12 搬送センサ
C2 搬送センサ
C3 搬送センサ
C4 異常状態検出センサ
C5 搬送センサ
N 判定時間
P 中紙
S シート
SG シート
St 設定温度
T タスク時間
Ts 昇温開始時間
UT 上限時間
【先行技術文献】
【特許文献】
【0113】
【特許文献1】特開2013-3747号公報
【特許文献2】特開2013-228913号公報
【手続補正書】
【提出日】2024-05-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0021】
第1搬送ローラ対107の搬送方向下流には、シートSの搬送位置を検出する搬送センサC1が設けられ、入口ローラ対146の搬送方向下流で、出口ローラ対147の搬送方向上流には、中紙Pの搬送位置を検出する搬送センサC2が設けられている。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0056
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0056】
図5は、画像形成システムにおいて実行される制御処理を実行するためのハードウェア構成である。
図5に示すように、画像形成システム500は、CPU(Central Processing Unit)901、RAM(Random Access Memory)902、ROM(Read Only Memory)903、HDD(Hard Disk Drive)904、及びI/F905が
共通バス906を介して接続されている構成を備える。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0058
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0058】
画像形成システム500は、ROM903に格納された制御プログラムからRAM902にロードされた情報処理プログラム(アプリケーションプログラム)などをCPU901が備える演算機能によって処理する。その処理によって、画像形成システム500の種々の機能モジュールを含むソフトウェア制御部が構成される。このようにして構成されたソフトウェア制御部と、画像形成システム500に搭載されるハードウェア資源との組み合わせによって、画像形成システム500の機能を実現する機能ブロックが構成される。すなわち、CPU901、RAM902、ROM903、HDD904及びI/F905は、画像形成システム500の動作を制御するコントローラ127(制御手段)を構成する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0059
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0059】
I/F905は、ピックアップローラ105、第1搬送ローラ対107、第2搬送ローラ対108、第3搬送ローラ対113、第4搬送ローラ対144、第5搬送ローラ対145、排出ローラ対121、サイズ検知センサC11、搬送センサC1~C5,C12、巻付けローラモータ109a、把持手段モータ110a、剥離部材モータ116a、分岐部材モータ118a、熱加圧ローラモータ129a、ヒータ123(「加熱手段」に相当)、サーミスタ125(「温度検知手段」に相当)、満杯検知センサ160、及び操作パネル10を共通バス906に接続するインターフェースである。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0060
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0060】
また、コントローラ127は、I/F905を通じて、ピックアップローラ105、第1搬送ローラ対107、第2搬送ローラ対108、第3搬送ローラ対113、第4搬送ローラ対144、第5搬送ローラ対145、排出ローラ対121、巻付けローラモータ109a、把持手段モータ110a、剥離部材モータ116a、分岐部材モータ118a、熱加圧ローラモータ129a、及びヒータ123の動作を制御する。また、コントローラ127は、I/F905を通じて、サイズ検知センサC11、搬送センサC1~C5,C12、サーミスタ125、及び満杯検知センサ160の検知結果を取得する。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0112
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0112】
1 シート剥離部
10 操作パネル
100 ラミネート処理装置
102 給紙トレイ
104 排紙トレイ
105 ピックアップローラ
107 第1搬送ローラ対
108 第2搬送ローラ対
109 巻付けローラ
109a 巻付けローラモータ
110 把持手段
110a 把持手段モータ
111 ローラ部材
113 第3搬送ローラ対
116 剥離部材
116a 剥離部材モータ
118 分岐部材
118a 分岐部材モータ
120 熱加圧ローラ対
120B ゴム層
120C 芯金部
121 排出ローラ対
123 ヒータ
125 サーミスタ
127 コントローラ(制御手段)
128 定着経路
129 駆動部
129a 熱加圧ローラモータ
144 第4搬送ローラ対
145 第5搬送ローラ対
146 入口ローラ対
160 満杯検知センサ
300 画像形成装置
310 中継装置
400 後処理装置
500 画像形成システム
901 CPU
902 RAM
903 ROM
904 HDD
905 I/F
C1 搬送センサ
C11 サイズ検知センサ
C12 搬送センサ
C2 搬送センサ
C3 搬送センサ
C4 異常状態検出センサ
C5 搬送センサ
N 判定時間
P 中紙
S シート
SG シート
St 設定温度
T タスク時間
Ts 昇温開始時間
UT 上限時間
【手続補正7】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】