(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024170161
(43)【公開日】2024-12-06
(54)【発明の名称】安全帽
(51)【国際特許分類】
A42B 1/201 20210101AFI20241129BHJP
A42B 3/06 20060101ALI20241129BHJP
A42B 3/28 20060101ALI20241129BHJP
A42B 1/04 20210101ALI20241129BHJP
A42B 1/08 20060101ALI20241129BHJP
A42B 1/019 20210101ALI20241129BHJP
A42B 1/008 20210101ALI20241129BHJP
【FI】
A42B1/201 A
A42B3/06
A42B3/28
A42B1/04 B
A42B1/08 Z
A42B1/019 M
A42B1/008 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023087171
(22)【出願日】2023-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】500272347
【氏名又は名称】DICプラスチック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177426
【弁理士】
【氏名又は名称】粟野 晴夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141601
【弁理士】
【氏名又は名称】貴志 浩充
(74)【代理人】
【識別番号】100149249
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 達也
(72)【発明者】
【氏名】三枝 哲夫
(72)【発明者】
【氏名】小野 亜記絵
(72)【発明者】
【氏名】堀口 智行
【テーマコード(参考)】
3B107
【Fターム(参考)】
3B107AA01
3B107BA04
3B107BA05
3B107CA02
3B107DA01
3B107DA04
(57)【要約】
【課題】コンパクトに折り畳むことができ、通気性に優れる安全帽を提供する。
【解決手段】周面部と一対の端面部とで形成されるクラウンを有し、前記周面部が一対の上側四角形状パネルと一対の下側四角形状パネルとで形成され、前記端面部の各々が一対の上側先細状パネルと一対の下側先細状パネルとで形成され、前記一対の上側四角形状パネルの間と、前記端面部の各々における前記一対の上側先細状パネルの間と、を通る稜線部が、谷折り可能な谷折り稜線部を構成し、前記谷折り稜線部の周方向の両側の各々において、前記上側四角形状パネルと前記下側四角形状パネルの間と、前記端面部の各々における前記上側先細状パネルと前記下側先細状パネルの間と、を通る稜線部が、山折り可能な山折り稜線部を構成し、前記上側四角形状パネル、前記下側四角形状パネル、前記上側先細状パネル及び前記下側先細状パネルの各々が緩衝材を有し、前記緩衝材のうちの少なくとも1つが通気性緩衝材である、安全帽。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半筒状の周面部と前記周面部の筒軸方向の両端に稜線部を介して連なる一対の端面部とで形成されるクラウンを有し、
前記周面部が一対の上側四角形状パネルと一対の下側四角形状パネルとで形成され、
前記端面部の各々が一対の上側先細状パネルと一対の下側先細状パネルとで形成され、
前記上側先細状パネルと前記下側先細状パネルの各々が、径方向の内側に向けて先細状をなし、
前記一対の上側四角形状パネルの間と、前記端面部の各々における前記一対の上側先細状パネルの間と、を通る稜線部が、谷折り可能な谷折り稜線部を構成し、
前記谷折り稜線部の周方向の両側の各々において、前記上側四角形状パネルと前記下側四角形状パネルの間と、前記端面部の各々における前記上側先細状パネルと前記下側先細状パネルの間と、を通る稜線部が、山折り可能な山折り稜線部を構成し、
前記上側四角形状パネル、前記下側四角形状パネル、前記上側先細状パネル及び前記下側先細状パネルの各々が緩衝材を有し、
前記緩衝材のうちの少なくとも1つが通気性緩衝材であり、
前記稜線部の各々が緩衝材を有さない、安全帽。
【請求項2】
前記端面部の各々において、前記一対の下側先細状パネルの先端縁の間を稜線部が上下方向に通り、当該稜線部が緩衝材を有さない、請求項1に記載の安全帽。
【請求項3】
前記上側四角形状パネル、前記下側四角形状パネル、前記上側先細状パネル及び前記下側先細状パネルの各々が、表地、前記緩衝材及び裏地をこの順に有する、請求項1に記載の安全帽。
【請求項4】
前記通気性緩衝材が有穴シート材を有する、請求項1に記載の安全帽。
【請求項5】
前記有穴シート材が有する全ての穴が貫通穴である、請求項4に記載の安全帽。
【請求項6】
前記有穴シート材が有する穴の数が2~5個である、請求項4に記載の安全帽。
【請求項7】
前記通気性緩衝材が、積層される複数の前記有穴シート材を有する、請求項4に記載の安全帽。
【請求項8】
前記通気性緩衝材が、積層される全ての前記有穴シート材に亘って積層方向に並ぶ穴からなる通気経路を有する、請求項7に記載の安全帽。
【請求項9】
前記通気性緩衝材が、所定の硬さの第1の前記有穴シート材と前記第1の有穴シート材よりも柔らかい第2の前記有穴シート材とを積層して有する、請求項7に記載の安全帽。
【請求項10】
前記第2の有穴シート材が、前記通気性緩衝材の最内層の前記有穴シート材である、請求項9に記載の安全帽。
【請求項11】
前記通気性緩衝材が、封入された粒状緩衝材を有する、請求項1に記載の安全帽。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は安全帽に関する。
【背景技術】
【0002】
頭部への衝撃を緩和できる安全帽が知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
安全帽をコンパクトに折り畳むことができれば携帯等に便利である。また安全帽は通気性にできるだけ優れることが好ましい。
【0005】
そこで本発明の目的は、コンパクトに折り畳むことができ、通気性に優れる安全帽を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は以下のとおりである。
【0007】
[1]
半筒状の周面部と前記周面部の筒軸方向の両端に稜線部を介して連なる一対の端面部とで形成されるクラウンを有し、
前記周面部が一対の上側四角形状パネルと一対の下側四角形状パネルとで形成され、
前記端面部の各々が一対の上側先細状パネルと一対の下側先細状パネルとで形成され、
前記上側先細状パネルと前記下側先細状パネルの各々が、径方向の内側に向けて先細状をなし、
前記一対の上側四角形状パネルの間と、前記端面部の各々における前記一対の上側先細状パネルの間と、を通る稜線部が、谷折り可能な谷折り稜線部を構成し、
前記谷折り稜線部の周方向の両側の各々において、前記上側四角形状パネルと前記下側四角形状パネルの間と、前記端面部の各々における前記上側先細状パネルと前記下側先細状パネルの間と、を通る稜線部が、山折り可能な山折り稜線部を構成し、
前記上側四角形状パネル、前記下側四角形状パネル、前記上側先細状パネル及び前記下側先細状パネルの各々が緩衝材を有し、
前記緩衝材のうちの少なくとも1つが通気性緩衝材であり、
前記稜線部の各々が緩衝材を有さない、安全帽。
【0008】
[2]
前記端面部の各々において、前記一対の下側先細状パネルの先端縁の間を稜線部が上下方向に通り、当該稜線部が緩衝材を有さない、[1]に記載の安全帽。
【0009】
[3]
前記上側四角形状パネル、前記下側四角形状パネル、前記上側先細状パネル及び前記下側先細状パネルの各々が、表地、前記緩衝材及び裏地をこの順に有する、[1]又は[2]に記載の安全帽。
【0010】
[4]
前記通気性緩衝材が有穴シート材を有する、[1]~[3]の何れか1項に記載の安全帽。
【0011】
[5]
前記有穴シート材が有する全ての穴が貫通穴である、[4]に記載の安全帽。
【0012】
[6]
前記有穴シート材が有する穴の数が2~5個である、[4]又は[5]に記載の安全帽。
【0013】
[7]
前記通気性緩衝材が、積層される複数の前記有穴シート材を有する、[4]~[6]の何れか1項に記載の安全帽。
【0014】
[8]
前記通気性緩衝材が、積層される全ての前記有穴シート材に亘って積層方向に並ぶ穴からなる通気経路を有する、[7]に記載の安全帽。
【0015】
[9]
前記通気性緩衝材が、所定の硬さの第1の前記有穴シート材と前記第1の有穴シート材よりも柔らかい第2の前記有穴シート材とを積層して有する、[7]又は[8]に記載の安全帽。
【0016】
[10]
前記第2の有穴シート材が、前記通気性緩衝材の最内層の前記有穴シート材である、[9]に記載の安全帽。
【0017】
[11]
前記通気性緩衝材が、封入された粒状緩衝材を有する、[1]~[3]の何れか1項に記載の安全帽。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、コンパクトに折り畳むことができる安全帽を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施形態の安全帽を示す斜め前方から見た斜視図である。
【
図3】
図1に示す安全帽の斜め後方から見た斜視図である。
【
図4】
図1に示す安全帽を折り畳んだ状態を示す斜視図である。
【
図5】
図2に示す安全帽の他の例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を例示説明する。
【0021】
図1~
図3に示すように、本発明の一実施形態において安全帽1は、頭部に被ることで、外部からの頭部への衝撃を緩衝し、傷害の発生を抑制することができる。つまり、安全帽1は例えば、簡易ヘルメット、軽作業用帽子又は防災用帽子などとして使用できる。安全帽1を簡易ヘルメットとして用いる場合、電動キックボードなどの簡易又は低速モビリティと組み合わせて使用してもよい。
【0022】
安全帽1はクラウン2とツバ3を有する。クラウン2は、半筒状の周面部4と、周面部4の筒軸方向の両端に稜線部(以下、端部稜線部5ともいう)を介して連なる一対の端面部6とで形成される。なお本願において、半筒状の周面部4についての筒軸方向、径方向及び周方向を、単に筒軸方向、径方向及び周方向ともいう。
【0023】
周面部4は、一対の上側四角形状パネル7と一対の下側四角形状パネル8とで形成される。端面部6の各々は、一対の上側先細状パネル9と一対の下側先細状パネル10とで形成される。上側先細状パネル9と下側先細状パネル10の各々は、径方向の内側に向けて先細状をなす。
【0024】
一対の上側四角形状パネル7の間と、端面部6の各々における一対の上側先細状パネル9の間と、を通る稜線部は、
図4に示すように谷折り可能な谷折り稜線部11を構成する。
【0025】
谷折り稜線部11の周方向の両側の各々において、上側四角形状パネル7と下側四角形状パネル8の間と、端面部6の各々における上側先細状パネル9と下側先細状パネル10の間と、を通る稜線部は、
図4に示すように山折り可能な山折り稜線部12を構成する。
【0026】
端面部6の各々において、一対の下側先細状パネル10の先端縁の間を稜線部(以下、先端稜線部13ともいう)が上下方向に通る。
【0027】
上側四角形状パネル7、下側四角形状パネル8、上側先細状パネル9及び下側先細状パネル10の各々は、緩衝材を有し、より具体的には表地15、緩衝材及び裏地16をこの順に有する(
図2参照)。
【0028】
緩衝材の各々は通気性緩衝材14である。通気性緩衝材14は有穴シート材14aを有する。有穴シート材14aが有する全ての穴14a1は貫通穴である。有穴シート材14aが有する穴14a1の数は、特に限定されず、例えば1個~10個であってよいが、2~5個であるのが好ましい。有穴シート材14aが有する穴14a1の大きさは、特に限定されないが、直径1mm以上であることが好ましく、5mm以上であることがより好ましく、10mm以上であることがさらに好ましく、また、30mm以下であることが好ましく、20mm以下であることがより好ましく、15mm以下であることがさらに好ましい。有穴シート材14aが有する穴14a1の形状は、特に限定されないが、例えば、丸形状、長丸形状、三角形状、四角形状等の多角形状であってもよい。有穴シート材14aが有する穴14a1の位置は、特に限定されないが、均一に配置してもよいし、不均一に配置してもよい。有穴シート材14aの穴14a1以外の面積と穴14a1の合計面積との比は、特に限定されないが、通気性に優れる観点から、好ましくは0.5%以上であり、より好ましくは1%以上であり、また、強度に優れる観点から、好ましくは15%以下であり、より好ましくは10%以下である。
【0029】
通気性緩衝材14は、積層される複数の有穴シート材14aを有するものであってもよい。通気性緩衝材14は、積層される全ての有穴シート材14aに亘って積層方向に並ぶ穴14a1からなる通気経路14bを有するものであってよい。通気性緩衝材14は、所定の硬さの第1の有穴シート材14aと第1の有穴シート材14aよりも柔らかい第2の有穴シート材14aとを積層して有するものであってよい。第2の有穴シート材14aは、通気性緩衝材14の最内層の有穴シート材14aであることが好ましい。
【0030】
有穴シート材14aの形状は、耐衝撃性の観点から、頭部の形状に沿った凸曲面状であることが好ましいが、特に限定されず、例えば、平面状であってもよく、あるいは、頭部の形状に沿わない凸曲面状であってもよく、場合によっては凹曲面状であってもよい。
【0031】
第1の有穴シート材14aは、衝撃強度に優れる材料で形成することが好ましく、例えば、JIS K6253に準拠し、測定される室温(23℃)でのショア硬度(以下、単にショア硬度と称する)がデュロメータータイプDを用いて45以上であることが好ましい。
【0032】
第1の有穴シート材14aの素材は、特に限定されないが、例えば、硬質性樹脂、より詳しくは、PP(ポリプロピレン)、ABS樹脂、PA(ポリアミド)、A/EPDM/S(アクリロニトリル/エチレン・プロピレン・ジエン/スチレン)、PC(ポリカーボネート)、PET(ポリエチレンテレフタレート)及びPS(ポリスチレン)からなる群から選ばれる熱可塑性樹脂を含む材料、又はFRP(ガラス、炭素繊維又はアラミド繊維などの繊維に、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂をマトリックス樹脂として含浸させて強化された、プリプレグ、SMC又はスタンパブルシート等の繊維強化樹脂材料)が好ましい。これらの素材を用いてシート材に成形する方法は特に限定されない。
【0033】
第2の有穴シート材14aは、衝撃吸収性に優れる材料で形成することが好ましく、第1の有穴シート材14aよりも柔らかい材料であれば特に限定されないが、例えば、ショア硬度がデュロメータータイプBを用いて90以下であることが好ましく、デュロメータータイプAを用いて90以下であることがより好ましい。また、柔らかすぎると第2のシート材14aの厚みが必要となるため、当該厚みを抑える観点から、ショア硬度がデュロメータータイプFを用いて5以上であることが好ましく、デュロメータータイプCを用いて5以上であることがより好ましい。
【0034】
第2の有穴シート材14aは、第1の有穴シート材14aと同じ形状でもよいし異なる形状でもよい。第2の有穴シート材14aの一部が、第1の有穴シート材14aからはみ出す形状であってもよいし、その逆に第1の有穴シート材14aの一部が、第2の有穴シート材14aからはみ出す形状であってもよい。
【0035】
第2の有穴シート材14aの厚みは、特に限定されないが、0.5mm以上であることが好ましく、1mm以上であることがより好ましく、2mm以上であることがさらに好ましい。また、60mm以下であることが好ましく、30mm以下であることがより好ましく、15mm以下であることがさらに好ましい。第2の有穴シート材14aの厚みは、均一であってもよいし、不均一であってもよい。
【0036】
第2の有穴シート材14aの素材は、特に限定されないが、ウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー若しくはスチレン系熱可塑性エラストマー等のエラストマー、ゴム及びラテックスからなる群から選ばれる軟質性樹脂が好ましく、ポリウレタン、ポリプロピレン、ポリエチレン及びポリスチレンからなる群から選ばれる発泡性樹脂がより好ましい。これらの素材を用いてシート材に成形する方法は特に限定されない。第2の有穴シート材14aは、例えば、株式会社ロジャースイノアック製ウレタンフォームシート「PORON」(登録商標)(ショア硬度がデュロメータータイプCを用いて10~50のもの)で形成できる。
【0037】
表地15と裏地16の材質は特に限定されず、例えば布、不織布、メッシュ材などで構成される。
【0038】
上側四角形状パネル7の各々は、稜線部(以下、中間稜線部17ともいう)を介して連なる一対の四角形状パネル18で形成される(
図1参照)。
【0039】
稜線部の各々は、緩衝材を有さない。つまり、端部稜線部5、谷折り稜線部11、山折り稜線部12、先端稜線部13及び中間稜線部17の各々は、緩衝材を有さず、より具体的には、表地15と裏地16が緩衝材を介さずに互いに固着される(
図2参照)。固着の方法は特に限定されず、例えば縫合である。
【0040】
ツバ3は、一対の下側四角形状パネル8の一方に対応して設けられる(
図1参照)。
【0041】
本実施形態によれば、安全帽1を、
図1に示すような頭に被せることが可能な展開状態から、太線矢印で示すように谷折り稜線部11を径方向内側に押し込むことにより、一対の下側四角形状パネル8同士が白抜き矢印で示すように接近するようにクラウン2を変形させながら、谷折り稜線部11を谷折り状態とするとともに一対の山折り稜線部12の各々を山折り状態とし、その結果、
図4に示すようなコンパクトに畳まれた折り畳み状態にすることができる。
【0042】
また、本実施形態によれば、端面部6の各々が先端稜線部13を有するので、端面部6の各々において一対の下側先細状パネル10の先端付近に緩衝材を密に配置することができ、その結果、安全性を高めることができる。また、安全帽1を上記のように折り畳む際に、先端稜線部13を折り目にして一対の下側先細状パネル10を容易に折り畳むことができる。
【0043】
また、上側四角形状パネル7、下側四角形状パネル8、上側先細状パネル9及び下側先細状パネル10の各々が、表地15、緩衝材及び裏地16をこの順に有するので、表地15及び裏地16によって外観を向上できる。
【0044】
また、緩衝材の各々が通気性緩衝材14であるため、優れた通気性を実現できる。また、通気性緩衝材14が有穴シート材14aを有するので、有穴シート材14aの有する穴14a1によって優れた通気性を実現できる。また、有穴シート材14aが有する全ての穴14a1が貫通穴であるので、特に優れた通気性を実現できる。なお、上記の穴14a1は、通気性が得られれば、有底穴として形成してもよい。
【0045】
また、通気性緩衝材14が積層される複数の有穴シート材14aを有するので、各々の有穴シート材14aを適切に設定することで所望の特性を実現できる。通気性緩衝材14は、積層される全ての有穴シート材14aに亘って積層方向に並ぶ穴14a1からなる通気経路14bを有するので、通気経路14bによって優れた通気性を実現できる。通気性緩衝材14は、所定の硬さの第1の有穴シート材14aと第1の有穴シート材14aよりも柔らかい第2の有穴シート材14aとを積層して有するので、第1の有穴シート材14aによって衝撃を分散でき、第2の有穴シート材14aで衝撃を吸収できるため、優れた耐衝撃性を実現できる。第2の有穴シート材14aが通気性緩衝材14の最内層の有穴シート材14aであるので、第1の有穴シート材14aによって分散した衝撃を第2の有穴シート材14aで吸収できるため、特に優れた耐衝撃性を実現できる。
【0046】
通気性緩衝材14は、本実施形態では、積層される2つの有穴シート材14aを有するが、3つ以上の有穴シート材14aを有してもよい。この場合、例えば、第1の有穴シート材14aを2つ有し、第2の有穴シート材14aを1つ有する構成としてもよいし、第1の有穴シート材14aを1つ有し、第2の有穴シート材14aを2つ有する構成としてもよい。何れの場合においても、第2の有穴シート材14aは、通気性緩衝材14の最内層の有穴シート材14aであることが好ましい。例えば、通気性緩衝材14が4つの有穴シート材14aを有する場合、外部側から頭部側に向けて、第1の有穴シート材14a、第2の有穴シート材14a、第1の有穴シート材14a及び第2の有穴シート材14aをこの順に有する構成としてもよい。
【0047】
本発明は前述した実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0048】
したがって、前述した実施形態の安全帽1は、半筒状の周面部4と周面部4の筒軸方向の両端に稜線部を介して連なる一対の端面部6とで形成されるクラウン2を有し、周面部4が一対の上側四角形状パネル7と一対の下側四角形状パネル8とで形成され、端面部6の各々が一対の上側先細状パネル9と一対の下側先細状パネル10とで形成され、上側先細状パネル9と下側先細状パネル10の各々が、径方向の内側に向けて先細状をなし、一対の上側四角形状パネル7の間と、端面部6の各々における一対の上側先細状パネル9の間と、を通る稜線部が、谷折り可能な谷折り稜線部11を構成し、谷折り稜線部11の周方向の両側の各々において、上側四角形状パネル7と下側四角形状パネル8の間と、端面部6の各々における上側先細状パネル9と下側先細状パネル10の間と、を通る稜線部が、山折り可能な山折り稜線部12を構成し、上側四角形状パネル7、下側四角形状パネル8、上側先細状パネル9及び下側先細状パネル10の各々が緩衝材を有し、緩衝材のうちの少なくとも1つが通気性緩衝材14であり、稜線部の各々が緩衝材を有さない、安全帽1である限り、種々変更可能である。
【0049】
例えば、ツバ3の柔軟性、形状及び配置等は適宜設定できる。ツバ3は、一対の下側四角形状パネル8の一方に限らず、例えば、一対の端面部6の一方に対応して設けてもよい。また、ツバ3を全周に亘って設けてもよい。ツバ3を設けない構成としてもよい。上側四角形状パネル7の各々が中間稜線部17を有する構成に限らない。
【0050】
緩衝材の各々が通気性緩衝材14である構成に限らず、緩衝材のうちの少なくとも1つが通気性緩衝材14である構成であればよい。端面部6の各々が先端稜線部13を有する構成に限らない。上側四角形状パネル7、下側四角形状パネル8、上側先細状パネル9及び下側先細状パネル10の各々が、表地15、緩衝材及び裏地16をこの順に有する構成に限らない。
【0051】
通気性緩衝材14が有穴シート材14aを有する構成に限らない。有穴シート材14aが有する全ての穴14a1が貫通穴である構成に限らない。例えば、
図5に示す例のように、通気性緩衝材14が、封入された粒状緩衝材19を有する構成としてもよい。この例では、通気性緩衝材14は、粒状緩衝材19と粒状緩衝材19を封入した封入部材20とを有する。粒状緩衝材19を直接表地15と裏地16の間に封入した構成としてもよい。
【0052】
通気性緩衝材14が、積層される複数の有穴シート材14aを有する構成に限らない。通気性緩衝材14が、積層される全ての有穴シート材14aに亘って積層方向に並ぶ穴14a1からなる通気経路14bを有する構成に限らない。積層される全ての有穴シート材14aに亘って積層方向に並ぶ穴14a1からなる通気経路14bが無くても、例えば、積層される全ての有穴シート材14aを通気性素材で形成するなど通気性を確保するための何らかの通気経路14bを有する構成とすればよい。通気性緩衝材14が、所定の硬さの第1の有穴シート材14aと第1の有穴シート材14aよりも柔らかい第2の有穴シート材14aとを積層して有する構成に限らない。第2の有穴シート材14aが通気性緩衝材14の最内層の有穴シート材14aである構成に限らない。
【0053】
通気性緩衝材14は、単層の有穴シート材14aであってよい。通気性緩衝材14が、単層の有穴シート材14aである場合、上述した第1の有穴シート材14aとして説明したシート材のみ、または、第2の有穴シート材14aとして説明したシート材のみであってよい。また、通気性緩衝材14が、積層される複数の有穴シート材14aを有するものである場合、上述した第1のシート材14aとして説明したシート材を複数積層したもの、または、第2のシート材14aとして説明したシート材を複数積層したものであってよい。
【0054】
前述した実施形態の安全帽1は、さらに、ゴム紐、PVA等の樹脂製紐などのあごひもを有してもよい。あごひもは、クラウン2の下端縁部における互いに対向する部分(例えば一対の端面部6)があごひもを介してつながるように設けるのが好ましい。安全帽1があごひもを有する場合、安全帽1が頭部から外れにくく、頭部を保護する安全性が高まる。
【0055】
前述した実施形態の安全帽1は、さらに、GPS機器を備えてもよい。GPS機器の形状および配置等は適宜設定できる。GPS機器は安全帽1の外側に備えられていてもよいし、内側に備えられていてもよい。安全帽1がGPS機器を備える場合、位置情報を発信するので防災用帽子として適している。
【実施例0056】
(試験1)
有穴シート材の耐衝撃性を確認する試験を行った。有穴シート材としては、四角形状パネル、下側四角形状パネル、上側先細状パネル及び下側先細状パネルの各々を形成するための有穴シート材を用意し、各々の有穴シート材を、人頭型試験治具に接着し、5kgの重り(半球形状)を有穴シート材の中心に100mmの高さから落下させ、人頭型試験治具が受けた衝撃荷重を測定した。各々の有穴シート材に形成される穴の数は1~5個であった。また、穴は直径10~12mmの丸形状であった。また、各々の有穴シート材の素材はウレタンフォームシート(株式会社ロジャースイノアック製「PORON」(登録商標)、5mm厚)であった。また、比較のために、下側四角形状パネルを形成するためのシート材を用意し、当該比較用シートが穴を有さない点を除いては同一となる条件で試験を行った。
【0057】
その結果、穴を有さない比較用シートにおける衝撃荷重に対し、有穴シート材における衝撃荷重の増加率は、何れも10%未満に抑えられた。
【0058】
(試験2)
図1に示す安全帽の緩衝材として、各々、有穴シート材(ウレタンフォームシート5mm厚、穴の数は1個、穴は直径12mmの丸形状)を用いて実施例としての安全帽を作成し、発汗サーマルマネキン試験(蒸れにくさの評価試験)を実施した。比較のために、緩衝材に、無穴シート材を用意し、当該比較用シートが穴を有さない点を除いては同一となる条件で比較例としての安全帽を作成し、発汗サーマルマネキン試験を行った。
【0059】
【0060】
<測定方法>
測定環境にて椅坐位姿勢で定温制御された発汗サーマルマネキン(発汗量15ml/m2/hr)に安全帽を着用させ運転した。安定後、発汗量を上げ(100ml/m2/hr)、30分間運転し、その後、正面より風を当て更に30分間運転した。この時、安全帽内に設置した湿度センサにて湿度を測定した。
【0061】
<試験条件>
マネキン条件:低温制御(34℃設定)
風速:約4m/秒
湿度センサ位置(頭頂部)
測定環境:20℃ 65%RH
【0062】
その結果、比較例としての安全帽における湿度に対し、実施例としての安全帽における湿度は3割程度に低下し、通気性に優れることが明らかとなった。