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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024170163
(43)【公開日】2024-12-06
(54)【発明の名称】安全帽
(51)【国際特許分類】
   A42B 1/201 20210101AFI20241129BHJP
   A42B 3/06 20060101ALI20241129BHJP
   A42B 1/019 20210101ALI20241129BHJP
   A42B 1/08 20060101ALI20241129BHJP
   A42B 1/04 20210101ALI20241129BHJP
【FI】
A42B1/201 F
A42B3/06
A42B1/019 M
A42B1/08 Z
A42B1/04 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023087173
(22)【出願日】2023-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】500272347
【氏名又は名称】DICプラスチック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177426
【弁理士】
【氏名又は名称】粟野 晴夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141601
【弁理士】
【氏名又は名称】貴志 浩充
(74)【代理人】
【識別番号】100149249
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 達也
(72)【発明者】
【氏名】三枝 哲夫
(72)【発明者】
【氏名】小野 亜記絵
(72)【発明者】
【氏名】堀口 智行
【テーマコード(参考)】
3B107
【Fターム(参考)】
3B107AA01
3B107BA02
3B107CA02
(57)【要約】
【課題】コンパクトに折り畳むことができ、耐衝撃性に優れる安全帽を提供する。
【解決手段】クラウンを有し、前記クラウンが、前側ハギと、後側ハギと、一対の側方ハギと、を有し、前記前側ハギ、前記後側ハギ及び前記一対の側方ハギの各々が、緩衝材を有し、且つ、所定の高さの折り目部を起点に上下方向に折り畳み可能であり、前記緩衝材のうちの少なくとも1つが、所定の硬さの第1のシート材と前記第1のシート材よりも柔らかい第2のシート材とを積層して有する積層緩衝材であり、前記前側ハギと前記一対の側方ハギの継ぎ目の各々と、前記後側ハギと前記一対の側方ハギの継ぎ目の各々と、が、緩衝材を有さず、且つ、前記所定の高さの変形部を起点に弾性変形によって前記上下方向に折り畳み可能なばねを有する、安全帽。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クラウンを有し、
前記クラウンが、前側ハギと、後側ハギと、一対の側方ハギと、を有し、
前記前側ハギ、前記後側ハギ及び前記一対の側方ハギの各々が、緩衝材を有し、且つ、所定の高さの折り目部を起点に上下方向に折り畳み可能であり、
前記緩衝材のうちの少なくとも1つが、所定の硬さの第1のシート材と前記第1のシート材よりも柔らかい第2のシート材とを積層して有する積層緩衝材であり、
前記前側ハギと前記一対の側方ハギの継ぎ目の各々と、前記後側ハギと前記一対の側方ハギの継ぎ目の各々と、が、緩衝材を有さず、且つ、前記所定の高さの変形部を起点に弾性変形によって前記上下方向に折り畳み可能なばねを有する、安全帽。
【請求項2】
前記緩衝材の各々が、前記クラウンに着脱可能である、請求項1に記載の安全帽。
【請求項3】
前記前側ハギ、前記後側ハギ及び前記一対の側方ハギの各々が、表地、前記緩衝材及び裏地をこの順に有する、請求項1に記載の安全帽。
【請求項4】
前記第2のシート材が、前記積層緩衝材の最内層の前記シート材である、請求項1に記載の安全帽。
【請求項5】
ツバを有し、
前記ツバの下面と前記後側ハギの外面とが、固定部材を介して互いに着脱可能である、請求項1に記載の安全帽。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は安全帽に関する。
【背景技術】
【0002】
頭部への衝撃を緩和できる安全帽が知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3903064号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
安全帽をコンパクトに折り畳むことができれば携帯等に便利である。また安全帽は耐衝撃性にできるだけ優れることが好ましい。
【0005】
そこで本発明の目的は、コンパクトに折り畳むことができ、耐衝撃性に優れる安全帽を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は以下のとおりである。
【0007】
[1]
クラウンを有し、
前記クラウンが、前側ハギと、後側ハギと、一対の側方ハギと、を有し、
前記前側ハギ、前記後側ハギ及び前記一対の側方ハギの各々が、緩衝材を有し、且つ、所定の高さの折り目部を起点に上下方向に折り畳み可能であり、
前記緩衝材のうちの少なくとも1つが、所定の硬さの第1のシート材と前記第1のシート材よりも柔らかい第2のシート材とを積層して有する積層緩衝材であり、
前記前側ハギと前記一対の側方ハギの継ぎ目の各々と、前記後側ハギと前記一対の側方ハギの継ぎ目の各々と、が、緩衝材を有さず、且つ、前記所定の高さの変形部を起点に弾性変形によって前記上下方向に折り畳み可能なばねを有する、安全帽。
【0008】
[2]
前記緩衝材の各々が、前記クラウンに着脱可能である、[1]に記載の安全帽。
【0009】
[3]
前記前側ハギ、前記後側ハギ及び前記一対の側方ハギの各々が、表地、前記緩衝材及び裏地をこの順に有する、[1]又は[2]に記載の安全帽。
【0010】
[4]
前記第2のシート材が、前記積層緩衝材の最内層の前記シート材である、[1]~[3]の何れか1項に記載の安全帽。
【0011】
[5]
ツバを有し、
前記ツバの下面と前記後側ハギの外面とが、固定部材を介して互いに着脱可能である、[1]~[4]の何れか1項に記載の安全帽。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、コンパクトに折り畳むことができ、耐衝撃性に優れる安全帽が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態の安全帽を示す斜視図である。
図2図1に示す安全帽のクラウンから緩衝材を取り外す時の様子を示す斜視図である。
図3図1のA-A断面図である。
図4図1のB-B断面図である。
図5図1に示す安全帽の折り畳みを開始した時の状態を示す外観図である。
図6図5に示す状態から一対の側方ハギを折り畳み、後側ハギを折り畳んだ時の状態を示す外観図である。
図7図6に示す状態から前側ハギを折り畳み、ツバの下面と後側ハギの外面とを固定部材を介して固定し、安全帽の折り畳みを完了した時の状態を示す外観図である。
図8図7に示す状態の安全帽を反対側から見た時の外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を例示説明する。
【0015】
図1図4に示すように、本発明の一実施形態において安全帽1は、頭部に被ることで、外部からの頭部への衝撃を緩衝し、傷害の発生を抑制することができる。つまり、安全帽1は例えば、簡易ヘルメット、軽作業用帽子又は防災用帽子などとして使用できる。安全帽1を簡易ヘルメットとして用いる場合、電動キックボードなどの簡易又は低速モビリティと組み合わせて使用してもよい。
【0016】
安全帽1はクラウン2とツバ3を有する。クラウン2は、ツバ3に対応して設けられる前側ハギ4と、後側ハギ5と、一対の側方ハギ6と、を有する。
【0017】
前側ハギ4、後側ハギ5及び一対の側方ハギ6の各々は、緩衝材を有し、より具体的には、表地8、緩衝材及び裏地9をこの順に有する。
【0018】
表地8と裏地9の材質は特に限定されず、例えば布、不織布、メッシュ材などで構成される。
【0019】
前側ハギ4、後側ハギ5及び一対の側方ハギ6の各々は、所定の高さの折り目部10を起点に上下方向に折り畳み可能である。折り目部10を形成するために、例えば、緩衝材の各々は前記所定の高さに厚みが低減された弱化部7aを有する。
【0020】
前側ハギ4、後側ハギ5及び一対の側方ハギ6の各々は、継ぎ目を介して側方に連なる一対の部分ハギ11からなる。なお、前側ハギ4、後側ハギ5及び一対の側方ハギ6の各々は、継ぎ目を介して側方に連なる一対の部分ハギ11からなる構成に限らず、例えば、1つのみのハギからなる構成としてもよいし、継ぎ目を介して側方に連なる3つ以上の部分ハギ11からなる構成としてもよい。
【0021】
緩衝材の各々は、所定の硬さの第1のシート材7bと第1のシート材7bよりも柔らかい第2のシート材7bとを積層して有する積層緩衝材7である。より具体的には、積層緩衝材7は、それぞれ部分ハギ11を形成する一対の部分積層緩衝材17であり、第1のシート材7bは、それぞれ部分ハギ11を形成する一対の第1の部分シート材を有し、第2のシート材7bは、それぞれ部分ハギ11を形成する一対の第2の部分シート材を有する。第2のシート材7bは積層緩衝材7の最内層のシート材7bである。
【0022】
シート材7bの形状は、耐衝撃性の観点から、頭部の形状に沿った凸曲面状であることが好ましいが、特に限定されず、例えば、平面状であってもよく、あるいは、頭部の形状に沿わない凸曲面状であってもよく、場合によっては凹曲面状であってもよい。
【0023】
第1のシート材7bは、衝撃強度に優れる材料で形成することが好ましく、例えば、JIS K6253に準拠し、測定される室温(23℃)でのショア硬度(以下、単にショア硬度と称する)がデュロメータータイプDを用いて45以上であることが好ましい。
【0024】
第1のシート材7bの素材は、特に限定されないが、例えば、硬質性樹脂、より詳しくは、PP(ポリプロピレン)、ABS樹脂、PA(ポリアミド)、A/EPDM/S(アクリロニトリル/エチレン・プロピレン・ジエン/スチレン)、PC(ポリカーボネート)、PET(ポリエチレンテレフタレート)及びPS(ポリスチレン)からなる群から選ばれる熱可塑性樹脂を含む材料、又はFRP(ガラス、炭素繊維又はアラミド繊維などの繊維に、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂をマトリックス樹脂として含浸させて強化された、プリプレグ、SMC又はスタンパブルシート等の繊維強化樹脂材料)が好ましい。これらの素材を用いてシート材に成形する方法は特に限定されない。
【0025】
第2のシート材7bは、衝撃吸収性に優れる材料で形成することが好ましく、第1のシート材7bよりも柔らかい材料であれば特に限定されないが、例えば、ショア硬度がデュロメータータイプAを用いて90以下であることが好ましく、デュロメータータイプBを用いて90以下であることがより好ましい。また、柔らかすぎると第2のシート材7bの厚みが必要となるため、当該厚みを抑える観点から、ショア硬度がデュロメータータイプFを用いて5以上であることが好ましく、デュロメータータイプCを用いて5以上であることが好ましい。
【0026】
第2のシート材7bは、第1のシート材7bと同じ形状でもよいし異なる形状でもよい。第2のシート材7bの一部が、第1のシート材7bからはみ出す形状であってもよいし、その逆に第1のシート材7bの一部が、第2のシート材7bからはみ出す形状であってもよい。
【0027】
第2のシート材7bの厚みは、特に限定されないが、0.5mm以上であることが好ましく、1mm以上であることがより好ましく、2mm以上であることがさらに好ましい。また、60mm以下であることが好ましく、30mm以下であることがより好ましく、15mm以下であることがさらに好ましい。第2のシート材7bの厚みは、均一であってもよいし、不均一であってもよい。
【0028】
第2のシート材7bの素材は、特に限定されないが、例えば、ウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー若しくはスチレン系熱可塑性エラストマー等のエラストマー、ゴム及びラテックスからなる群から選ばれる軟質性樹脂が好ましく、ポリウレタン、ポリプロピレン、ポリエチレン及びポリスチレンからなる群から選ばれる発泡性樹脂がより好ましい。これらの素材を用いてシート材に成形する方法は特に限定されない。第2のシート材7bは、例えば、株式会社ロジャースイノアック製ウレタンフォームシート「PORON」(登録商標)(ショア硬度がデュロメータータイプCを用いて10~50のもの)で形成できる。
【0029】
前側ハギ4と一対の側方ハギ6の継ぎ目の各々と、後側ハギ5と一対の側方ハギ6の継ぎ目の各々と、は、緩衝材を有さず、且つ、前記所定の高さの変形部12aを起点に弾性変形によって上下方向に折り畳み可能な、継ぎ目に沿って延びるばね12を有する。ばね12の形状は特に限定されず、例えば、板ばねやコイルばねで構成してもよいし、図示するような捩じりコイルばねで構成してもよい。ばね12の各々は、変形部12aよりも一端側の部分と変形部12aよりも他端側の部分とがそれぞれ、継ぎ目に固定される。固定の方法は特に限定されず、例えば、図示するように継ぎ目の各々にばね12を継ぎ目に沿う方向に通すことが可能な通し通路13を設けてもよい。
【0030】
緩衝材の各々は、クラウン2に着脱可能である。より具体的には、前側ハギ4、後側ハギ5及び一対の側方ハギ6の各々は、表地8と裏地9とにより、下方に開口するポケット部14を形成し、各々のポケット部14は、積層緩衝材7を取り出し可能に収納する。より具体的には、各々のポケット部14は、それぞれ部分積層緩衝材17を取り出し可能に収納する一対の部分ポケット部18を有する。ポケット部14の各々は、クラウン2の下端縁に全周に亘って設けられる内側フラップ15、つまりスベリによって開閉可能である。内側フラップ15は、裏地9に対して面ファスナーなどの図示しない固定部材を介して着脱可能に設けるのが好ましい。
【0031】
ツバ3の下面と後側ハギ5の外面とは、後述するように、固定部材16を介して互いに着脱可能である。固定部材16は互いに着脱可能な一対の構成部材16aを有し、構成部材16aの一方がツバ3の下面に設けられ、構成部材16aの他方が後側ハギ5の外面に設けられる。固定部材16は特に限定されず、例えばスナップ、ボタン、ホック又は面ファスナーなどで構成してもよい。
【0032】
上記構成を有する安全帽1は、例えば次の手順で容易に折り畳むことができる。まず、図5に示すように、クラウン2を上下逆さまにして、クラウン2の頂部の外面をテーブルの上面などに押しつけ、クラウン2の頂部をばね12の各々の復元力に抗して押しつぶす。そして、一対の側方ハギ6を折り目部10を起点に太線矢印で示すように内側に折り畳み、その後、後側ハギ5を折り目部10を起点に白抜き矢印で示すように内側に折り畳む。そして、図6に太線矢印で示すように、前側ハギ4を折り目部10を起点に太線矢印で示すように内側に折り畳む。そして、ツバ3の下面と後側ハギ5の外面とを固定部材16を介して互いに固定することで、安全帽1を、図7図8に示すようなコンパクトに畳まれた折り畳み状態にすることができる。
【0033】
また、ツバ3の下面と後側ハギ5の外面とを互いに離脱させれば、ばね12の各々の復元力によって、図1に示すような展開状態に容易に戻すことができる。安全帽1は展開状態では、ばね12の各々の復元力により、クラウン2の頭頂部が上側に張り出た状態を保持することができる。したがって、頭部に被った時に、髪が安全帽1によって下方に潰れ、髪型がくずれるのを抑制することができる。
【0034】
また、本実施形態では緩衝材の各々がクラウン2に着脱可能であるので、緩衝材を取り外して安全帽1を洗濯することができる。したがって、安全帽1を容易に清潔に保つことができる。
【0035】
また、前側ハギ4、後側ハギ5及び一対の側方ハギ6の各々が、表地8、緩衝材及び裏地9をこの順に有するので、表地8及び裏地9によって外観を向上できる。
【0036】
また、積層緩衝材7は、所定の硬さの第1のシート材7bと第1のシート材7bよりも柔らかい第2のシート材7bとを積層して有するので、第1のシート材7bによって衝撃を分散でき、第2のシート材7bで衝撃を吸収できるため、優れた耐衝撃性を実現できる。第2のシート材7bが積層緩衝材7の最内層のシート材7bであるので、第1のシート材7bによって分散した衝撃を第2のシート材7bで吸収できるため、特に優れた耐衝撃性を実現できる。
【0037】
積層緩衝材7は、本実施形態では、積層される2つのシート材7bを有するが、3つ以上のシート材7bを有してもよい。この場合、例えば、第1のシート材7bを2つ有し、第2のシート材7bを1つ有する構成としてもよいし、第1のシート材7bを1つ有し、第2のシート材7bを2つ有する構成としてもよい。何れの場合においても、第2のシート材7bは、積層緩衝材7の最内層のシート材7bであることが好ましい。例えば、積層緩衝材7が4つのシート材7bを有する場合、外部側から頭部側に向けて、第1のシート材7b、第2のシート材7b、第1のシート材7b及び第2のシート材7bをこの順に有する構成としてもよい。
【0038】
本発明は前述した実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0039】
したがって、前述した実施形態の安全帽1は、クラウン2を有し、クラウン2が、ツバ3に対応して設けられる前側ハギ4と、後側ハギ5と、一対の側方ハギ6と、を有し、前側ハギ4、後側ハギ5及び一対の側方ハギ6の各々が、緩衝材を有し、且つ、所定の高さの折り目部10を起点に上下方向に折り畳み可能であり、緩衝材のうちの少なくとも1つが、所定の硬さの第1のシート材7bと第1のシート材7bよりも柔らかい第2のシート材7bとを積層して有する積層緩衝材7であり、前側ハギ4と一対の側方ハギ6の継ぎ目の各々と、後側ハギ5と一対の側方ハギ6の継ぎ目の各々と、が、緩衝材を有さず、且つ、前記所定の高さの変形部12aを起点に弾性変形によって上下方向に折り畳み可能なばね12を有する、安全帽1である限り変更可能である。
【0040】
例えば、緩衝材の各々が積層緩衝材7である構成に限らず、緩衝材のうちの少なくとも1つが積層緩衝材7である構成であればよい。また、ポケット部14の各々は内側フラップ15で開閉される構成に限らない。緩衝材の各々がポケット部14を介さずにクラウン2に着脱可能な構成としてもよい。緩衝材の各々がクラウン2から取り外せない構成としてもよい。前側ハギ4、後側ハギ5及び一対の側方ハギ6の各々が、表地8、緩衝材及び裏地9をこの順に有する構成に限らない。
【0041】
ツバ3の下面と後側ハギ5の外面とが、固定部材16を介して互いに着脱可能である構成に限らない。例えば、折り畳んだ状態で安全帽1を収納する袋状等の収納部材を用いる構成としてもよい。この場合、収納部材から安全帽1を取り出すことにより、ばね12の復元力によって安全帽1を折り畳み前の状態にすることができる。ツバ3は前側ハギ4に対応して設ける構成に限らない。ツバ3を有さない構成としてもよい。
【0042】
前述した実施形態の安全帽1は、さらに、ゴム紐、PVA等の樹脂製紐などのあごひもを有してもよい。あごひもは、一対の側方ハギ6があごひもを介してつながるように設けるのが好ましい。安全帽1があごひもを有する場合、安全帽1が頭部から外れにくく、頭部を保護する安全性が高まる。
【0043】
前述した実施形態の安全帽1は、さらに、GPS機器を備えてもよい。GPS機器の形状および配置等は適宜設定できる。GPS機器は安全帽1の外側に備えられていてもよいし、内側に備えられていてもよい。安全帽1がGPS機器を備える場合、位置情報を発信するので防災用帽子として適している。
【実施例0044】
積層される複数のシート材(縦70mm×横70mm)の耐衝撃性を確認する試験を行った。積層される複数のシート材としては、ウレタンフォームシート(株式会社ロジャースイノアック製PORON(登録商標))(厚み10mm)の一面全体に接着テープ(寺岡製作所製両面テープ「No777」)を貼り付けてABS樹脂シート(厚み1.3mm)を積層することで形成した複合シートからなるサンプル1と、ウレタンフォームシート(株式会社ロジャースイノアック製PORON(登録商標))(厚み10mm)の一面全体に接着テープを貼り付けてFRP樹脂シート(炭素繊維強化材料、厚み0.2mm)を積層することで形成した複合シートからなるサンプル2と、サンプル2のウレタンフォームシート側の一面全体に接着テープを貼り付けて、別のサンプル2のFRPシート側と張り合わせて形成した複合シートからなるサンプル3とを用意した。そして、各々のサンプルを、ウレタンフォームシート側で人頭型試験治具に接着し、5kgの重り(半球形状)をサンプルの中心に500mmの高さから落下させ、人頭型試験治具が受けた衝撃荷重を測定した。
【0045】
また、比較のために、ウレタンフォームシート(株式会社ロジャースイノアック製PORON(登録商標))(厚み10mm)からなる比較用サンプルを用意し、同一条件で試験を行った。
【0046】
その結果、比較用サンプルにおける衝撃荷重に対し、サンプル1における衝撃荷重の低下率は20%以上30%未満であり、サンプル2~3における衝撃荷重の低下率は30%以上40%未満であったことから、耐衝撃性の向上が確認された。
【符号の説明】
【0047】
1 安全帽
2 クラウン
3 ツバ
4 前側ハギ
5 後側ハギ
6 側方ハギ
7 積層緩衝材
7a 弱化部
7b シート材
8 表地
9 裏地
10 折り目部
11 部分ハギ
12 ばね
12a 変形部
13 通し通路
14 ポケット部
15 内側フラップ
16 固定部材
16a 構成部材
17 部分積層緩衝材
18 部分ポケット部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8