(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024017053
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/16 20060101AFI20240201BHJP
【FI】
G03G15/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022119431
(22)【出願日】2022-07-27
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 壽
(72)【発明者】
【氏名】永田 敦司
【テーマコード(参考)】
2H200
【Fターム(参考)】
2H200FA08
2H200GA12
2H200GA23
2H200GA34
2H200HA12
2H200JB10
2H200JB13
2H200JB39
2H200JC03
2H200JC13
2H200JC15
2H200MA03
(57)【要約】
【課題】トナーチリの発生を抑制することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】中間転写ベルト110の表面移動方向で、K色の一次転写ニップから二次転写ニップまでの間に、中間転写ベルト110を駆動する駆動ローラ14が配置され、中間転写ベルト110の表面移動方向で、K色の一次転写ニップから駆動ローラ14までの間に、中間転写ベルト110に従動回転する第四従動ローラ13sが配置されている。この第四従動ローラ13dの直径が、駆動ローラ14の直径以上となっている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体に接触して前記像担持体上のトナー像が一次転写される一次転写ニップを形成する中間転写ベルトと、
前記中間転写ベルトに接触して前記中間転写ベルト上のトナー像を記録媒体に二次転写する二次転写ニップを形成する二次転写部材とを備え、
前記中間転写ベルトの表面移動方向で、前記一次転写ニップから前記二次転写ニップまでの間に、前記中間転写ベルトを駆動する駆動ローラが配置され、
前記中間転写ベルトの表面移動方向で、前記一次転写ニップから前記駆動ローラまでの間に、前記中間転写ベルトに従動回転する従動ローラが配置された画像形成装置において、
前記従動ローラの直径を前記駆動ローラの直径以上としたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記中間転写ベルトは、少なくとも弾性層を含む複数の層を具備することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記中間転写ベルトの表面移動方向で、前記駆動ローラから前記二次転写ニップまでの間に配置された前記中間転写ベルトに従動回転する従動ローラの直径を駆動ローラの直径以上としたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記従動ローラおよび前記駆動ローラの直径を30mm以上にしたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記像担持体を複数備え、
前記中間転写ベルトは、複数の前記像担持体に順次接触して前記一次転写ニップを複数形成しており、
複数の一次転写ニップのうち、一次転写工程順序で最下流の一次転写ニップから駆動ローラまでの間に配置された従動ローラの直径が、駆動ローラの直径以上であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項5に記載の画像形成装置において、
互いに異なる色のプロセスカラーのトナー像を担持する複数の像担持体と、有色もしくは無色の特色トナー像を担持する像担持体とを備えることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、像担持体に接触して像担持体上のトナー像が一次転写される一次転写ニップを形成する中間転写ベルトと、中間転写ベルトに接触して中間転写ベルト上のトナー像を記録媒体に二次転写する二次転写ニップを形成する二次転写部材とを備え、一次転写ニップから二次転写ニップまでの間に、中間転写ベルトを駆動する駆動ローラが配置され、一次転写ニップから駆動ローラまでの間に、中間転写ベルトに従動回転する従動ローラが配置された画像形成装置が知られている。
【0003】
特許文献1には、上記画像形成装置として、中間転写ベルトが、複数の像担持体に順次接触して一次転写ニップを形成しており、複数の一次転写ニップのうち、一次転写工程順序で最下流の一次転写ニップから駆動ローラまでの間に配置された従動ローラの直径が、駆動ローラの直径よりも小さいものが記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、中間転写ベルトの従動ローラへの巻き付き領域で、トナーが飛散する所謂トナーチリが発生するおそれがあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、本発明は、像担持体に接触して前記像担持体上のトナー像が一次転写される一次転写ニップを形成する中間転写ベルトと、前記中間転写ベルトに接触して前記中間転写ベルト上のトナー像を記録媒体に二次転写する二次転写ニップを形成する二次転写部材とを備え、前記中間転写ベルトの表面移動方向で、前記一次転写ニップから前記二次転写ニップまでの間に、前記中間転写ベルトを駆動する駆動ローラが配置され、前記中間転写ベルトの表面移動方向で、前記一次転写ニップから前記駆動ローラまでの間に、前記中間転写ベルトに従動回転する従動ローラが配置された画像形成装置において、前記従動ローラの直径を前記駆動ローラの直径以上としたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、トナーチリの発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本実施形態に係る画像形成装置の概略構成図。
【
図3】モノクロモードのときの中間転写ユニットの状態を示す図。
【
図4】フルカラーモードのときの中間転写ユニットの状態を示す図。
【
図5】フルカラー特色モードのときの中間転写ユニットの状態を示す図。
【
図6】特色モードのときの中間転写ユニットの状態を示す図。
【
図7】一次転写後の中間転写ベルト上のトナーに関与する力をモデル化したものである。
【
図8】第四従動ローラの直径と、中間転写ベルト上のトナーにかかる遠心力との関係を示す図。
【
図9】第四従動ローラへの巻き付き領域を通過するときの中間転写ベルト上のトナーの様子について説明する図。
【
図10】入口ローラの直径を駆動ローラの直径以上とした中間転写ユニットの要部概略図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を適用した画像形成装置の一実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る画像形成装置100の概略構成図である。
この画像形成装置は画像形成手段としての画像形成部400、これを載せる給送部500、画像形成部400の上に固定されたスキャナ350などを備えている。また、このスキャナ350の上に固定された原稿自動搬送装置600(以下、ADFという)、タッチパネルや各種キーから構成される操作表示部700なども備えている。
【0009】
画像形成部400は、特色(S),イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),黒(K)の各色のトナー像を作像するための5つの作像ユニット18S,18Y,18M,18C,18Kを具備する画像形成ユニット20を備えている。各符号の数字の後に付されたS,Y,M,C,Kという添字は、特色,イエロー,シアン,マゼンタ,黒用の部材であることを示している(以下同様)。特色は、Y,M,C,Kの何れとも異なる色の総称であり、例えば、白色、透明などが挙げられる。
【0010】
画像形成部400内には、作像ユニット18S,18Y,18M,18C,18Kの他には、光書込ユニット21、中間転写ユニット17、二次転写ユニット22、レジストローラ対49、ベルト定着方式の定着装置25などが配設されている。
【0011】
光書込ユニット21は、光源、ポリゴンミラー、f-θレンズ、反射ミラーなどを有し、画像データに基づいて像担持体たる感光体1S,1Y,1M,1C,1Kの表面にレーザー光を照射する。
【0012】
作像ユニット18S,18Y,18M,18C,18Kは,ドラム状の感光体1S,1Y,1M,1C,1Kの他に、帯電器、現像装置、ドラムクリーニング装置、除電器などを有している。
【0013】
S,Y,M,C,K用の作像ユニット18S,18Y,18M,18C,18Kは、使用するトナーの色が異なる点の他は、互いにほぼ同様の構成になっている。以下、各色のうち、S(特色)用の作像ユニット18Sについて説明する。
【0014】
感光体1Sの表面は、帯電手段たる帯電器によって一様に帯電せしめられる。帯電処理が施された感光体1Sの表面には、光書込ユニット21によって変調及び偏向されたレーザー光が照射される。すると、照射部(露光部)の電位が減衰する。この減衰により、感光体1Sの表面にS用の静電潜像が形成される。形成されたS用の静電潜像は現像手段たる現像装置によって現像されてSトナー像となる。
【0015】
S用の感光体1S上に形成されたSトナー像は、中間転写ベルト110に一次転写される。一次転写後の感光体1Sの表面は、ドラムクリーニング装置によって転写残トナーがクリーニングされる。
【0016】
S用の作像ユニット18Sにおいて、ドラムクリーニング装置によってクリーニングされた感光体1Sは、除電器によって除電される。そして、帯電器によって一様帯電せしめられて、初期状態に戻る。以上のような一連のプロセスは、他の作像ユニット(18Y,18M,18C,18K)についても同様である。
【0017】
中間転写ユニット17は、中間転写ベルト110、および、ベルトクリーニング装置90などを有している。無端状の中間転写ベルト110は、そのループ内側に配設された駆動ローラ14、および、二次転写対向ローラ16など、複数の張架ローラによってテンション張架されている。そして、ベルト駆動モータによって駆動される駆動ローラ14の回転によって図中時計回り方向に無端移動せしめられる。
【0018】
S,Y,M,C,K用の一次転写ローラ62S,62Y,62M,62C,62Kは、中間転写ベルト110の内周面側に接触するように配設され、電源から出力される一次転写バイアスが印加される。また、中間転写ベルト110をその内周面側から感光体1S,1Y,1M,1C,1Kに向けて押圧する。この押圧により、中間転写ベルト110のおもて面と、S,Y,M,C,K用の感光体1S,1Y,1M,1C,1Kとが当接するS,Y,M,C,K用の一次転写ニップが形成されている。
【0019】
S,Y,M,C,K用の一次転写ニップにおいては、一次転写バイアスの影響により、感光体1S,1Y,1M,1C,1Kと、一次転写ローラ62S,62Y,62M,62C,62Kとの間に一次転写電界が形成される。
【0020】
S用の感光体1S上に形成されたSトナー像は、S用の一次転写ニップにおいて、一次転写電界やニップ圧の影響によって中間転写ベルト110上に一次転写される。このSトナー像の上には、Y,M,C,K用の感光体1Y,1M,1C,1K上に形成されたYトナー像,Mトナー像,Cトナー像,Kトナー像が順次重ね合わせて一次転写される。この重ね合わせの一次転写により、中間転写ベルト110上には多色トナー像が形成される。
【0021】
中間転写ベルト110上に重ね合わせ転写された多色トナー像は、後述の二次転写ニップで記録媒体たるシート材Pに二次転写される。二次転写ニップ通過後の中間転写ベルト110の表面に残留する転写残トナーは、図中左側の駆動ローラ14との間にベルトを挟み込むベルトクリーニング装置90によってクリーニングされる。
【0022】
中間転写ユニット17の図中下方に配設された二次転写ユニット22は、二次転写部材たる二次転写ローラ23を中間転写ベルト110における二次転写対向ローラ16に対する掛け回し箇所に当接させて二次転写ニップを形成している。二次転写対向ローラ16には、トナーと同極性の二次転写バイアスが印加されているのに対し、二次転写ローラ23は接地されている。これにより、二次転写ニップには中間転写ベルト110上の多色トナー像をベルト側から二次転写ローラ23側に向けて静電移動させる二次転写電界が形成される。レジストローラ対49によって中間転写ベルト110上の多色トナー像に同期するように二次転写ニップに送り込まれたシート材Pには、この二次転写電界やニップ圧の影響を受けた多色トナー像が二次転写せしめられる。
【0023】
画像形成部400が載せられた給送部500には、内部に複数のシート材Pをシート束の状態で複数枚重ねて収容する給送カセット501やシートバンク502が設けられている。給送カセット501やシートバンク502は、シート束の一番上のシート材Pに給送ローラ503を押し当てている。そして、給送ローラ503を回転させることにより、一番上のシート材Pを給送路504に向けて送り出す。
【0024】
給送カセット501やシートバンク502から送り出されたシート材Pを受け入れる給送路504は、複数の搬送ローラ対505を有している。給送部500の給送路504は、画像形成部400の給送路41に連通している。画像形成部400の給送路41の末端付近には、レジストローラ対49が設けられている。給送部500の給送路504から複写機の給送路41に受け渡されたシート材Pは、その先端をレジストローラ対49のローラ間に挟まれる。
【0025】
一方、中間転写ユニット17において、中間転写ベルト110上に形成された多色トナー像は、ベルトの無端移動に伴って二次転写ニップに進入する。レジストローラ対49は、ローラ間に挟み込んだシート材Pを二次転写ニップにて多色トナー像に密着させ得るタイミングで送り出す。これにより、二次転写ニップでは、中間転写ベルト110上の多色トナー像がシート材Pに密着する。そして、シート材Pの表面に二次転写されて、白色のシート材P上でフルカラー画像となる。このようにしてフルカラー画像が形成されたシート材Pは、二次転写ローラ23の回転駆動に伴って二次転写ニップを出た後、搬送ベルトを具備するシート搬送ユニットを経由して定着装置25に送られる。
【0026】
定着装置25は、定着ベルト26を2本のローラによって張架しながら無端移動せしめるベルトユニットと、このベルトユニットの一方のローラに向けて押圧される加圧ローラ27とを備えている。これら定着ベルト26と加圧ローラ27とは互いに当接して定着ニップを形成しており、シート搬送ユニットから受け取ったシート材を定着ニップに挟み込む。ベルトユニットにおいける2本のローラのうち、加圧ローラ27から押圧される方のローラは、内部に熱源を有しており、これの発熱によって定着ベルト26を加圧する。加圧された定着ベルト26は、定着ニップに挟み込まれたシート材を加熱する。この加熱やニップ圧の影響により、フルカラー画像がシート材Pに定着せしめられる。
【0027】
定着装置25内で定着処理が施されたシート材Pは、画像形成部400から排出されるか、もう一方の面にもトナー像を形成するために二次転写ニップに戻されるかする。
【0028】
原稿のコピーがとられるときには、例えばシート原稿の束がADF600の原稿台601上セットされる。但し、その原稿が本状に閉じられている片綴じ原稿である場合には、スキャナ350のコンタクトガラス351上にセットされる。このセットに先立ち、画像形成部400本体に対してADF600が開かれ、スキャナ350のコンタクトガラス351が露出される。この後、閉じられたADF600によって片綴じ原稿が押さえられる。
【0029】
このようにして原稿がセットされた後、操作表示部700のコピースタートスイッチが押下されると、スキャナ350による原稿読取動作がスタートする。但し、ADF600にシート原稿がセットされた場合には、この原稿読取動作に先立って、ADF600がシート原稿をコンタクトガラス351上まで自動搬送する。
【0030】
原稿読取動作では、まず、スキャナ350の第1走行体352と第2走行体353とがともに走行を開始し、第1走行体352に設けられた光源から光が発射される。そして、原稿面からの反射光が第2走行体353内に設けられたミラーによって反射せしめられ、結像レンズ354を通過した後、読取センサー355に入射される。読取センサー355は、入射光に基づいて画像情報を構築する。
【0031】
このような原稿読取動作と並行して、各作像ユニット(18S,18Y,18M,18C,18K)内の各機器や、中間転写ユニット17、二次転写ユニット22、定着装置25がそれぞれ駆動を開始する。そして、読取センサー355によって構築された画像情報に基づいて、光書込ユニット21が駆動制御されて、感光体1S,1Y,1M,1C,1K上に静電潜像が形成される。S,Y,M,C,K用の静電潜像は、現像によってSトナー像,Yトナー像,Mトナー像,Cトナー像,Kトナー像になった後、中間転写ベルト110上に重ね合わせ一次転写されて多色トナー像となる。
【0032】
原稿読取動作の開始とほぼ同時に、給送部500内では給送動作が開始される。この給送動作では、給送ローラ503の一つが選択回転せしめられ、シートバンク502又は給送カセット501からシート材Pが送り出される。送り出されたシート材Pは、分離ローラ506で一枚ずつ分離されて給送路504に進入した後、搬送ローラ対505によって画像形成部400の給送路41に向けて搬送される。
【0033】
画像形成部400の筐体内には、画像形成部400内の各機器の制御を司るCPU等から構成される制御部200が配設されている。操作者は、操作表示部700に対するキー入力操作により、制御部200に対して命令を送ることで、シート材Pの片面だけに画像を形成するモードである片面プリントモードや、両面に画像を形成する両面プリントモードなどを指定することができる。
【0034】
近年、シート材Pとして従来広く用いられてきた普通紙に加え、デザインとして表面に凹凸を有する特殊紙やアイロンプリントなどの熱転写に用いる特殊なシート材Pが用いられることが増えている。このような特殊紙を用いると、従来の普通紙の場合よりもカラートナーを重ね合わせた中間転写ベルト110上のトナー像を紙に二次転写する際に転写不良が発生し易くなる。
【0035】
そこで、本実施形態では、中間転写ベルト110を、樹脂からなる基層と弾性ゴムやエラストマー等の弾性部材からなる弾性層とを有する構成としている。中間転写ベルト110に硬度の低い弾性層を設けることで、二次転写ニップでトナー層や平滑性の悪いシート材に対して変形できる。これにより、中間転写ベルト110表面が局部的な凸凹に追従して変形できる。よって、過度にトナー層に対して二次転写圧を高めることなく、良好な密着性が得られ、文字の転写中抜けがなく、また、平滑性の悪いシート材Pに対しても転写ムラのない均一性に優れた転写画像を得ることができる。
【0036】
中間転写ベルト110の基層は、中間転写ベルト110の伸びを防止するために設けられるものであり、伸びの少ない樹脂を用いるのが好ましい。
【0037】
図2は、中間転写ユニット17の要部概略図である。
中間転写ベルト110は、駆動ローラ14、支持ローラ15、二次転写対向ローラ16、テンションローラ12などにより張架されている。テンションローラ12は、中間転写ベルト110の外周面に当接して、中間転写ベルト110にテンションを付与している。中間転写ベルトの内周面には、5つの一次転写ローラ62S、62Y、62M、62C、62Kや、クリーニング対向ローラ11、入口ローラ4が接触している。入口ローラ4は、二次転写対向ローラ16に対して中間転写ベルト110の表面移動方向上流側の近傍に配置される。この入口ローラ4により、中間転写ベルト110の二次転写対向ローラ16との巻き付き領域よりも中間転写ベルト110の表面移動方向上流側で、中間転写ベルト110が二次転写ローラ23に接触するプレニップ部を形成している。
【0038】
駆動ローラ14は、中間転写ベルト110の表面移動方向において、K色の一次転写ニップから二次転写ニップまでの間に配置している。これにより、中間転写ベルト110の支持ローラ15と駆動ローラ14との間の複数の一次転写ニップが形成された領域が、引っ張り状態となりピンと張った状態を維持することができる。これにより、中間転写ベルト110の感光体との接触状態が変化するのを抑制することができ、色ずれなどの発生を良好に抑制することができる。
【0039】
また、中間転写ベルト110の内周面には、第一~第四従動ローラ13a,13b,13c,13dが接触している。第一従動ローラ13aは、支持ローラ15と特色用の一次転写ローラ62Sとの間に配置されている。第二従動ローラ13bは、特色用の一次転写ローラ62Sと、Y色用の一次転写ローラ62Yとの間に配置されている。第三従動ローラ13cは、C色用の一次転写ローラ62CとK色用の一次転写ローラ62Kとの間に配置されている。第四従動ローラ13dは、K色用の一次転写ローラ62Kと駆動ローラ14との間に配置されている。
【0040】
第四従動ローラ13dの直径は、駆動ローラ14の直径以上となっており、他の従動ローラ13a,13b,13cよりも大径となっている。駆動ローラ14の直径は、感光体配設ピッチ、レイアウトや寿命などによりΦ30~Φ50mm程度となっている。また、支持ローラ15と駆動ローラ14は、後述する各離間機構による離間動作により中間転写ベルト110が各色の感光体から良好に離間するように、各色の一次転写ニップの位置よりも下方に配置されている。
【0041】
感光体1S,1Y,1M,1C,1Kが中間転写ベルト110のおもて面に当接して形成される各色の一次転写ニップの上下方向の位置が同一となっており、第一従動ローラ13aから第四従動ローラ13dまで、中間転写ベルト110は、水平となっている。
【0042】
また、中間転写ユニット17は、中間転写ベルト110を感光体から離間させるための4つの離間機構201,202,203,204を有している。第一離間機構201は、第一従動ローラ13aと特色用の一次転写ローラ62Sを回転自在に保持し、第一従動ローラ13aと特色用の一次転写ローラ62Sを下降させて中間転写ベルト110を特色用の感光体1Sから離間させる。
【0043】
第二離間機構202は、第二従動ローラ13bを回転自在に保持し、後述するモノクロモードのときに、第二従動ローラ13bを下降させる。
第三離間機構203は、Y,M,C色用の一次転写ローラ62Y,62M,62Cを回転自在に保持し、これら一次転写ローラ62Y,62M,62Cを下降させて中間転写ベルト110を感光体1Y,1M,1Cから離間させる。
【0044】
第四離間機構204は、第三従動ローラ13c、K用一次転写ローラ62Kおよび第四従動ローラ13dを回転自在に保持し、これらローラ13c,62K,13dを下降させて中間転写ベルト110を感光体1Kから離間させる。
【0045】
各離間機構201,202,203,204は、制御部200に接続されている。制御部200は、画像形成モードに応じて、各離間機構201,202,203,204を制御し、中間転写ベルト110を所定の感光体から離間させる。
本実施形態では、画像形成モードとして、モノクロモード、フルカラーモード、特色フルカラーモード、および、特色モードを有している。
【0046】
図3は、モノクロモードのときの中間転写ユニット17の状態を示す図である。
モノクロモードは、K色のトナー像のみを形成し、シート材にモノクロ画像を形成するモードである。
図3に示すように、モノクロモードのときは、第一、第二従動ローラ13a,13bおよび、一次転写ローラ62S,62Y,62C,62Mを
図2に示す基準の位置から下降させる。具体的には、制御部200は、第一~第三離間機構201,202,203を制御して、第一、第二従動ローラ13a,13bおよび、一次転写ローラ62S,62Y,62C,62Mを
図2に示す基準の位置から下降させる。
【0047】
支持ローラ15が、一次転写ニップの位置よりも下方に配置されているため、一次転写ローラ62S,62Y,62C,62Mおよび第一,第二従動ローラ13a,13bを下降させることで、中間転写ベルト110が感光体1S,1Y,1M,1Cから離間する。これにより、モノクロモードのときは、K色の感光体1Kのみ中間転写ベルト110のおもて面に当接する。また、このとき、第三従動ローラ13cと、第四従動ローラ13dは、基準の位置に位置しており、中間転写ベルト110の第三従動ローラ13cから第四従動ローラ13dの間は、水平な状態に維持される。これにより、モノクロモードのときに感光体1Kと中間転写ベルト110との接触状態が変化するのを防止でき、良好に感光体上のK色トナー像を中間転写ベルト110に一次転写することができる。
【0048】
図4は、フルカラーモードのときの中間転写ユニット17の状態を示す図である。
フルカラーモードは、Y,M,C,Kのトナー像を中間転写ベルト上で重ね合わせて、シート材にフルカラー画像を形成するモードである。
図4に示すように、フルカラーモードのときは、制御部200は、第一離間機構201を制御して、第一従動ローラ13aと特色用の一次転写ローラ62Sを下降させる。これにより、特色用感光体1Sのみが中間転写ベルト110から離間する。なお、
図4では、第三従動ローラ13cを一次転写ニップと同一の高さに位置させ、第三従動ローラ13cを中間転写ベルト110に接触させているが、第三従動ローラ13cは、下降位置に位置させ、中間転写ベルト110から離間させてもよい。
【0049】
本実施形態では、特色用の一次転写ローラ62SとY用の一次転写ローラ62Yとの間に第二従動ローラ13bを配置し、フルカラーモードのときは、第二従動ローラ13bを基準の位置に位置させる。これにより、中間転写ベルト110を特色用感光体1Sから離間させた状態のとき、中間転写ベルト110の第二従動ローラ13bから第四従動ローラ13dまでの間は、水平な状態に維持される。これにより、フルカラーモードのときに感光体1Y,1M,1C,1Kと中間転写ベルト110との接触状態が変化するのを防止でき、良好に各感光体1Y,1M,1C,1Kのトナー像を中間転写ベルト110に一次転写することができる。
【0050】
図5は、フルカラー特色モードのときの中間転写ユニット17の状態を示す図である。
フルカラー特色モードは、特色Sのトナー像およびY,M,C,Kのトナー像を中間転写ベルト上で重ね合わせて、シート材に特色画像とフルカラー画像を形成するモードである。
図5に示すように、フルカラー特色モードのときは、すべての従動ローラ13a~13dおよびすべての一次転写ローラ62S~62Kを基準位置に位置させ、中間転写ベルト110をすべての感光体1S,1Y,1M,1C,1Kに当接させる。このときは、中間転写ベルト110の第一従動ローラ13aから第四従動ローラ13dまでの間が水平な状態に維持される。よって、フルカラー特色モードのときに感光体1S,1Y,1M,1C,1Kと中間転写ベルト110との接触状態が変化するのを防止でき、良好に各感光体1S,1Y,1M,1C,1Kのトナー像を中間転写ベルト110に一次転写することができる。
なお、フルカラー特色モードのとき、第二従動ローラ13bと第三従動ローラ13cを下降位置に位置させ、中間転写ベルト110から離間させてもよい。
【0051】
図6は、特色モードのときの中間転写ユニット17の状態を示す図である。
特色モードは、特色のトナー像のみを形成し、シート材に特色画像を形成するモードである。
図6に示すように特色モードのときは、制御部200は、第三離間機構203および第四離間機構204を制御して、第三、第四従動ローラ13c,13dおよび、一次転写ローラ62Y,62M,62C,62Kを基準の位置から下降させる。駆動ローラ14が一次転写ニップの位置よりも下方に配置されている。そのため、一次転写ローラ62Y,62M,62C,62Kおよび第三,第四従動ローラ13c,13dを下降させることで、中間転写ベルト110が感光体1Y,1M,1C,1Kから離間し、特色の感光体1Sのみ中間転写ベルト110に当接させることができる。
【0052】
また、第一従動ローラ13aと、第二従動ローラ13bとは、基準の位置に位置しており、中間転写ベルト110の第一従動ローラ13aから第二従動ローラ13bの間は、水平な状態に維持される。これにより、特色モードのときに感光体1Sと中間転写ベルト110との接触状態が変化するのを防止でき、良好に感光体上の特色トナー像を中間転写ベルト110に一次転写することができる。
【0053】
このように、本実施形態では、第一~第四従動ローラ13a~13dを設けることで、画像形成モードによって中間転写ベルト110と感光体との接触状態が変化するのを防止することができる。これにより、どの画像形成モードでも良好に感光体上のトナー像を中間転写ベルト110に一次転写することができる。
【0054】
本実施形態では、駆動ローラ14を一次転写ニップの位置よりも下方に配置している。これにより、特色モードにおいて第三、第四従動ローラ13c,13dおよび、一次転写ローラ62Y,62M,62C,62Kを基準の位置から下降させたときに、中間転写ベルト110が感光体1Y,1M,1C,1Kから離間する。このように、駆動ローラ14を一次転写ニップの位置よりも下方に配置しているため、第四従動ローラ13dが基準位置に位置しているとき、中間転写ベルト110は、第四従動ローラ13dに巻き付く。そのため、特色モード以外の画像形成モードにおいて、中間転写ベルト上のトナー像は、中間転写ベルト110の第四従動ローラ13dに巻き付いた領域を通過することになる。
【0055】
従来は、第四従動ローラ13dの直径を、他の従動ローラ13a~13cと同径とし、駆動ローラ14の径よりも小さくしていた。この従来構成において、中間転写ベルト110の第四従動ローラ13dに巻き付いている領域で、中間転写ベルト上のトナーが飛散する所謂トナーチリが発生する場合があった。この第四従動ローラ13dに巻き付いている領域でのトナーチリは、特に、2色以上のトナーで構成された文字やラインなど、エッジ効果でトナー付着量多い画像で顕著であった。また、中間転写ベルト110が、弾性層を有する弾性中間転写ベルトでも顕著であった。
【0056】
一方で、中間転写ベルト110は、駆動ローラ14にも巻き付いているが、この駆動ローラ14に巻き付いている領域では、トナーチリの発生が問題ないレベルに抑えられていた。
【0057】
第四従動ローラ13dへの巻き付き領域でのトナーチリは、本発明者の鋭意研究の結果、次のようなメカニズムで発生することがわかった。
【0058】
図7は、一次転写後の中間転写ベルト上のトナーに関与する力をモデル化したものであり、図中矢印A~Eがトナーに関与する力と、トナーにかかる力の方向を示している。
図中矢印Aは、負極性に帯電してるトナー間の静電的な反発力を示している。このトナー間の静電的な反発力は、トナー付着量が増えるほど増加し、2色以上の文字やライン画像は、エッジ効果でトナー付着量が増えるため、トナー間の静電的な反発力が大きくなる。
【0059】
図中矢印Bは、中間転写ベルト110への静電的な吸引力を示している。この静電的な吸引力は、一次転写ニップでの一次転写電界により中間転写ベルト110が静電分離し、中間転写ベルトのおもて面がプラス帯電することで生じる。一次転写後に徐々に中間転写ベルト110のおもて面のプラス電位が減少するため、静電的な吸引力は、一次転写後、徐々に低下していく。
【0060】
図中矢印Cは、トナー間の分子間力等によるトナー間の付着力を示している。また、図中矢印Dは、一次転写ニップ出口での放電による中間転写ベルト上の負極性の放電電荷により生じる静電的な反発力である。放電電荷は、一次転写後に徐々に低下するため、放電電荷による静電的反発力は、徐々に低下していく。図中矢印Eは、トナー間の摩擦力である。
【0061】
図中矢印A,Dに示すように、トナー間の静電的反発力および放電電荷による静電的反発力が、中間転写ベルト上のトナーを飛散させようとする力である。一方、図中矢印Bの中間転写ベルトへの静電的な吸引力、図中矢印Cのトナー間付着力および図中矢印Eのトナー間摩擦力が、トナーを中間転写ベルト上に留めておく力である。中間転写ベルト110のローラに巻き付いていない領域においては、(トナー間反発力+放電電荷による反発力)<(中間転写ベルトへの静電的な吸引力+トナー間付着力+トナー間摩擦力)の関係を満たしている。その結果、中間転写ベルト上のトナーが飛散することはなく、トナーチリは発生しない。
【0062】
しかしながら、中間転写ベルト110の第四従動ローラ13dへの巻き付き領域においては、次のようなトナーを飛散させようとする力が発生する。その結果、トナーを中間転写ベルト上に留めておく力を上回り、トナーチリが発生してしまう。具体的に説明すると、中間転写ベルト110上のトナー像が、第四従動ローラ13dへの巻き付き領域を通過するとき、トナーに遠心力が作用する。この遠心力が、中間転写ベルト上のトナーを飛散させようとする力として作用する。従って、中間転写ベルト110の第四従動ローラ13dへの巻き付き領域においては、中間転写ベルト上のトナーを飛散させようとする力が、(トナー間反発力+放電電荷による反発力+遠心力)となる。
【0063】
遠心力Fは、第四従動ローラ13dへの巻き付き領域における中間転写ベルト110のおもて面の移動速度をV、トナーの質量をm、第四従動ローラ13dの半径をrとしたとき、F=(mV2)/rとなる。この式からわかるように、第四従動ローラ13dの半径rが小さいほど、トナーにかかる遠心力が増加する。そのため、第四従動ローラ13dの半径が小さいと、(トナー間反発力+放電電荷による反発力+遠心力)>(中間転写ベルトへの静電的な吸引力+トナー間付着力+トナー間摩擦力)の関係となりやすく、トナーチリが発生するおそれがある。
【0064】
図8は、第四従動ローラ13dの直径と、中間転写ベルト上のトナーにかかる遠心力との関係を示す図である。
図8に示すように、第四従動ローラの直径20mmを基準としたとき、第四従動ローラ13dの直径が大きくなるほど、トナーにかかる遠心力が低下することがわかる。このことから、第四従動ローラ13dの直径が大きいほど、第四従動ローラ13dへの巻き付き領域を通過中にトナーにかかる遠心力を低減でき、トナーチリを抑制することができる。
【0065】
さらに、中間転写ベルト110の第四従動ローラ13dへの巻き付き領域では、中間転写ベルト110は、第四従動ローラ13dの曲率に倣って屈曲し中間転写ベルト110のおもて面が伸長する。その結果、
図9に示すように、第四従動ローラ13dへの巻き付き領域で中間転写ベルト110の表面移動方向に隣接するトナー間に隙間Sができる。そのため、上層のトナーがこの下層のトナー間の隙間Sに入り込む。中間転写ベルト110が、第四従動ローラ13dとの巻き付き領域を抜けるとき、中間転写ベルト110のおもて面の伸長が戻り、中間転写ベルト110の表面移動方向に隣接するトナーに再び接触する(隙間が閉じる)。このとき、下層のトナー間に入り込んだ上層のトナーに中間転写ベルト110から離れる方向へ押し出す力が発生する。この押し出す力も、中間転写ベルト上のトナーを飛散させようとする力として作用する。
【0066】
第四従動ローラ13dの直径が小さいほど、第四従動ローラ13dへの巻き付き領域での中間転写ベルト110の屈曲が大きくなり、おもて面の伸長が大きくなる。従って、上層のトナーが下層のトナー間の隙間Sに深く入り込む。よって、巻き付き領域を抜けて、中間転写ベルト110のおもて面の伸長が元に戻る際の上層のトナーを中間転写ベルト110から離れる方向へ押し出す力が強くなる。その結果、中間転写ベルト上の上層のトナーについて、中間転写ベルト110から飛散させようとする力が、中間転写ベルト110に留めようとする力を上回り、トナーチリが発生するおそれがある。
【0067】
特に、中間転写ベルト110が弾性層を有する弾性中間転写ベルトは、厚みがあるため、第四従動ローラ13dとの巻き付き領域における中間転写ベルトおもて面の伸長量が多くなる。その結果、上層のトナーが下層のトナー間の隙間に深く入り込み、表面の伸長が戻る際の上層のトナーを押し出す力が強くなり、トナーチリが発生しやすくなる。
【0068】
このように、第四従動ローラ13dの径が小さいと、第四従動ローラ13dへの巻き付き領域を通過する際の遠心力や、上述した中間転写ベルトの伸縮によるトナーの押し出し力が強くなり、トナーチリが発生しやすい。
【0069】
一方で、直径が30~50mm程度の駆動ローラ14との巻き付き領域では、トナーにかかる遠心力が弱く、巻き付き領域での中間転写ベルトおもて面の伸長も抑制されることで上記押し出し力も弱い。よって、トナーチリが問題ないレベルに抑えることができていた。そこで、本実施形態では、上述したように、第四従動ローラ13dの直径を駆動ローラの直径以上とした。
【0070】
このように、第四従動ローラ13dの直径を、駆動ローラ14の直径以上とすることで、第四従動ローラ13dの直径が駆動ローラ14の直径未満のものに比べて、トナーにかかる遠心力を弱めることができる。また、巻き付き領域における中間転写ベルト110のおもて面の伸長を抑制でき、伸長が戻る際の上記押し出し力も弱めることができる。これにより、中間転写ベルト110の第四従動ローラ13dへの巻き付き領域におけるトナーチリの発生を抑制することができる。
【0071】
また、
図10に示すように、駆動ローラ14と二次転写対向ローラ16との間に配置された入口ローラ4の直径も、駆動ローラ14の直径以上とするのが好ましい。これにより、入口ローラ4の直径が、駆動ローラ14の直径未満の場合に比べて、中間転写ベルト110の入口ローラ4への巻き付き領域でのトナーチリの発生を抑制することができる。
【0072】
以上に説明したものは一例であり、次の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様1)
感光体などの像担持体に接触して像担持体上のトナー像が一次転写される一次転写ニップを形成する中間転写ベルト110と、中間転写ベルト110に接触して中間転写ベルト上のトナー像をシート材Pなどの記録媒体に二次転写する二次転写ニップを形成する二次転写ローラなどの二次転写部材とを備え、中間転写ベルトの移動方向で一次転写ニップから二次転写ニップまでの間に、中間転写ベルト110を駆動する駆動ローラ14が配置され、中間転写ベルトの移動方向で一次転写ニップから駆動ローラ14までの間に、中間転写ベルト110に従動回転する第四従動ローラ13dなどの従動ローラが配置された画像形成装置において、従動ローラの直径を駆動ローラ14の直径以上とした。
中間転写ベルトの従動ローラへの巻き付き領域を通過する時に、中間転写ベルト上のトナーには遠心力が作用する。このトナーにかかる遠心力は、従動ローラの径が小さいほど大きくなる。また、上記巻き付き領域通過時に中間転写ベルトおもて面が伸長し、中間転写ベルトの表面移動方向に隣接するトナー間に隙間ができ、積み重なっているトナーがこの隙間に入り込む。上記巻き付き領域を抜けて、中間転写ベルトのおもて面の伸長が元に戻って、上記トナー間の隙間が閉じるときに、この隙間に入り込んだトナーを押し出す力が作用する。従動ローラの径が小さいほど、上記巻き付き領域での中間転写ベルトおもて面の伸長が大きく、トナー間に隙間が大きくなり、積み重なっているトナーがこの隙間に深く入り込む。その結果、従動ローラの径が小さいほどこのトナーを押し出す力が大きくなる。これら、遠心力や押し出す力は、トナーを中間転写ベルトから飛散させる力となる。
従動ローラの直径が駆動ローラの直径よりも小径の特許文献1では、巻き付き領域で作用する遠心力および上記押し出す力等のトナーを中間転写ベルトから飛散させる力が、トナーを中間ベルトに留めておく力を上回り、トナーチリが発生するおそれが高い。
これに対し、態様1では、第四従動ローラ13dなどの従動ローラの直径を、駆動ローラ14の直径以上としたので、特許文献1に比べて、中間転写ベルトの従動ローラへの巻き付き領域の通過時に、中間転写ベルト上のトナーにかかる遠心力や上記押し出し力を弱めることができる。これにより、特許文献1に比べて、従動ローラへの巻き付き領域でのトナーチリの発生を抑制することができる。
【0073】
(態様2)
態様1において、中間転写ベルト110は、少なくとも弾性層を含む複数の層を具備する。
これによれば、実施形態で説明したように、中間転写ベルト110表面が局部的な凸凹に追従して変形させることができる。これにより、過度にトナー層に対して二次転写圧を高めることなく、良好な密着性が得られ、文字の転写中抜けがなく、また、平滑性の悪いシート材Pなどの記録媒体に対しても転写ムラのない均一性に優れた転写画像を得ることができる。
また、上記弾性層を含む複数の層を具備する中間転写ベルト110では、従動ローラへの巻き付き領域でトナーチリが発生しやすいが、上記態様1の構成を採用することで、従動ローラへの巻き付き領域でのトナーチリを良好に抑制できる。
【0074】
(態様3)
態様1または2において、中間転写ベルト110の表面移動方向で、駆動ローラ14から二次転写ニップまでの間に配置された中間転写ベルト110に従動回転する入口ローラ4などの従動ローラの直径を駆動ローラ14の直径以上とした。
これによれば、
図10を用いて説明したしたように、駆動ローラ14から二次転写ニップまでの間に配置された入口ローラ4などの従動ローラへの巻き付き領域におけるトナーチリの発生も抑制することができる。
【0075】
(態様4)
態様1乃至3いずれかにおいて、第四従動ローラ13dなどの従動ローラおよび駆動ローラ14の直径を30mm以上にした。
これによれば、実施形態で説明したように、各ローラへの巻き付き領域で、トナーチリが発生するのを抑制することができる。
【0076】
(態様5)
態様1乃至4いずれかにおいて、感光体などの像担持体を複数備え、中間転写ベルト110は、複数の像担持体に順次接触して一次転写ニップを複数形成しており、複数の一次転写ニップのうち、一次転写工程順序で最下流の一次転写ニップから駆動ローラ14までの間に配置された第四従動ローラなどの従動ローラの直径が、駆動ローラの直径以上である。
これによれば、感光体などの像担持体から中間転写ベルトに一次転写されたトナー像は、一次転写工程順序で最下流の一次転写ニップから駆動ローラ14までの間に配置された第四従動ローラ13dなどの従動ローラへの巻き付き領域を通過する。よって、一次転写工程順序で最下流の一次転写ニップから駆動ローラ14までの間に配置された第四従動ローラなどの従動ローラの直径を駆動ローラの直径以上とすることで、トナーチリの発生を抑制できる。
【0077】
(態様6)
態様5において、Y,M,C,Kの互いに異なる色のプロセスカラーのトナー像を担持する複数の像担持体と、有色もしくは無色の特色トナー像を担持する像担持体とを備える。
これによれば、フルカラー画像と、有色もしくは無色の特色画像とを形成することができる。
【符号の説明】
【0078】
1 :感光体
4 :入口ローラ
11 :クリーニング対向ローラ
12 :テンションローラ
13a :第一従動ローラ
13b :第二従動ローラ
13c :第三従動ローラ
13d :第四従動ローラ
14 :駆動ローラ
15 :支持ローラ
16 :二次転写対向ローラ
17 :中間転写ユニット
22 :二次転写ユニット
23 :二次転写ローラ
62 :一次転写ローラ
100 :画像形成装置
110 :中間転写ベルト
200 :制御部
201 :第一離間機構
202 :第二離間機構
203 :第三離間機構
204 :第四離間機構
【先行技術文献】
【特許文献】
【0079】