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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024170786
(43)【公開日】2024-12-11
(54)【発明の名称】超音波診断システム及び抽出装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/14 20060101AFI20241204BHJP
【FI】
A61B8/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023087502
(22)【出願日】2023-05-29
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】蝦草 雅美
(72)【発明者】
【氏名】平井 孝則
【テーマコード(参考)】
4C601
【Fターム(参考)】
4C601BB03
4C601EE11
4C601GB03
4C601JC16
4C601KK10
4C601KK25
4C601LL14
4C601LL33
(57)【要約】
【課題】超音波検査中において、ネットワークに大きな負担をかけることなく、検査者がサーバーに格納されているボリュームデータの存在を認識できるようにする。
【解決手段】超音波診断装置10は、基準フレームデータを含む検索要求を画像サーバー12に向けて送る。画像サーバー12において、ボリュームデータが特定された場合に、そのボリュームデータが抽出サーバー14へ送られる。抽出サーバー14は、ボリュームデータから基準フレームデータに適合する適合フレームデータを抽出する。超音波診断装置10において、適合フレームデータを表すサムネイル画像が表示される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検者から得られた受信データに基づいて超音波画像を形成する超音波診断装置と、
サーバーに格納されたデータ群の中から前記被検者から得られた過去のボリュームデータが特定された場合に、前記過去のボリュームデータから、前記超音波診断装置から送られた基準フレームデータに適合する適合フレームデータを抽出する抽出装置と、
を含み、
前記超音波診断装置は、前記被検者の超音波検査中に、前記超音波画像と共に前記適合フレームデータを表す画像を表示する、
ことを特徴とする超音波診断システム。
【請求項2】
請求項1記載の超音波診断システムにおいて、
前記抽出装置は、前記基準フレームデータを前記過去のボリュームデータに含まれる複数の候補フレームデータと比較し、これにより特定の候補フレームデータを前記適合フレームデータとして抽出する、
ことを特徴とする超音波診断システム。
【請求項3】
請求項1記載の超音波診断システムにおいて、
前記超音波診断装置は、前記適合フレームデータに基づいて、前記適合フレームデータを表す画像として、サムネイル画像を生成するサムネイル画像生成部を有する、
ことを特徴とする超音波診断システム。
【請求項4】
請求項3記載の超音波診断システムにおいて、
前記超音波診断装置は前記超音波画像を含むスクリーン画像を表示し、
前記サムネイル画像は第1のサムネイル画像であり、
前記サムネイル画像生成部は、更に、前記超音波診断装置で得られた前記受信データを表す第2のサムネイル画像を生成し、
前記スクリーン画像は、
前記第1のサムネイル画像が表示される外部データ表示エリアと、
前記第2のサムネイル画像が表示される内部データ表示エリアと、
を有する、
ことを特徴とする超音波診断システム。
【請求項5】
請求項3記載の超音波診断システムにおいて、
前記抽出装置は二次抽出装置であり、
前記サムネイル画像は二次サムネイル画像であり、
前記超音波診断装置から送られた指定フレーム識別情報に基づいて、前記過去のボリュームデータから指定フレームデータを抽出する一次抽出装置が設けられ、
前記サムネイル画像生成部は、更に、前記指定フレームデータに基づいて、前記指定フレームデータを表す画像として、一次サムネイル画像を生成し、
前記超音波診断装置は、前記一次サムネイル画像及び前記二次サムネイル画像を表示する、
ことを特徴とする超音波診断システム。
【請求項6】
請求項5記載の超音波診断システムにおいて、
前記超音波診断装置は、先に前記一次サムネイル画像を表示し、次に前記一次サムネイル画像に代えて前記二次サムネイル画像を表示する、
ことを特徴とする超音波診断システム。
【請求項7】
請求項5記載の超音波診断システムにおいて、
前記超音波診断装置は、前記一次サムネイル画像と前記二次サムネイル画像を識別するための識別情報を表示する、
ことを特徴とする超音波診断システム。
【請求項8】
請求項2記載の超音波診断システムにおいて、
前記抽出装置は、前記基準フレームデータを前記各候補フレームデータと比較する際に適合スコアを演算し、
前記超音波診断装置は、前記適合フレームデータを表す画像と共に、前記適合フレームデータに対応する適合スコアを示す情報を表示する、
ことを特徴とする超音波診断システム。
【請求項9】
請求項1記載の超音波診断システムにおいて、
前記基準フレームデータは、前記超音波診断装置に登録されている過去の断層画像データ、前記被検者に対する現在の超音波検査で取得された現在の断層画像データ、及び、三次元組織モデルから切り出された疑似断層画像データ、の中の1つである、
ことを特徴とする超音波診断システム。
【請求項10】
超音波診断装置から送られた基準フレームデータを受信する手段と、
サーバーに格納されたデータ群の中から、被検者から得られた過去のボリュームデータが特定された場合に、前記過去のボリュームデータから、前記基準フレームデータに適合する適合フレームデータを抽出する手段と、
前記適合フレームデータを前記超音波診断装置へ送信する手段と、
を含み、
前記超音波診断装置において、前記被検者の超音波検査中に、超音波画像と共に前記適合フレームデータを表す画像が表示される、
ことを特徴とする抽出装置。
【請求項11】
情報処理装置において実行されるプログラムであって、
超音波診断装置から送られた基準フレームデータを受信する機能と、
サーバーに格納されたデータ群の中から、被検者から得られた過去のボリュームデータが特定された場合に、前記過去のボリュームデータから、前記基準フレームデータに適合する適合フレームデータを抽出する機能と、
前記適合フレームデータを前記超音波診断装置へ送信する機能と、
を含み、
前記超音波診断装置において、前記被検者の超音波検査中に、超音波画像と共に前記適合フレームデータを表す画像が表示される、
ことを特徴とするプログラム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、超音波診断システム及び抽出装置に関し、特に、サーバーに格納されているボリュームデータを処理する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
被検者の超音波検査では超音波診断装置が使用される。超音波診断装置は、一般に、ネットワークを介してサーバー、典型的には、DICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)サーバー、に接続されている。サーバーには、多数のデータが格納されている。超音波診断装置からの検索要求及び転送要求に従って、サーバーにおいて検索が実行され、その検索により特定されたデータがサーバーから超音波診断装置へ転送される。
【0003】
サーバーに格納されたデータ群には、複数のボリュームデータが含まれる。そのようなボリュームデータとして、超音波診断装置で取得されたボリュームデータ(超音波ボリュームデータ)、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置で取得されたボリュームデータ(MRボリュームデータ)、及び、CT(Computed Tomography)装置(X線CT装置)で取得されたボリュームデータ(CTボリュームデータ)が挙げられる。ボリュームデータの構造に着目すると、複数のフレームデータ(複数のスライスデータ)の集合体として構成された集合型ボリュームデータ、及び、三次元的な連続性をもって1つのデータブロックとして構成された連続型ボリュームデータがある。
【0004】
参照したい特定のボリュームデータが集合型ボリュームデータである場合において、超音波診断装置からサーバーに対して、フレーム番号(通常、中央フレーム番号)を含む転送要求が送られると、そのフレーム番号で特定されるフレームデータがサーバーから超音波診断装置へ転送される。超音波診断装置においては、取得されたフレームデータに基づいてサムネイル画像が生成され、そのサムネイル画像が表示される。
【0005】
特許文献1には、DICOMサーバーを有する超音波診断装置が開示されている。その超音波診断装置は、現在の超音波画像と過去の超音波画像を並列表示する機能を有している。特許文献1には、ボリュームデータから所望のフレームデータを探索する技術は記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009-22626号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
被検者の超音波検査を支援する観点から、被検者の超音波検査時に、その被検者から取得されサーバーに格納された過去のボリュームデータの存在を検査者に認識させ、これによって、過去のボリュームデータの利用を促進させることが望まれる。
【0008】
その要望を満たすため、サーバーに被検者の過去のボリュームデータを検索させ、サーバーにその過去のボリュームデータそれ全部を超音波診断装置へ送らせるようにすると、ネットワークに与える負担が大きくなる。過去のボリュームデータの内で検査者が見たいであろう部分を表すデータだけが超音波診断装置へ送られるようにすることが望まれる。
【0009】
本開示の目的は、超音波検査中において、ネットワークに大きな負担をかけることなく、検査者がサーバーに格納されているボリュームデータの存在を認識できるようにすることにある。あるいは、本開示の目的は、超音波診断装置において、ボリュームデータを表す画像として、検査者が見たいであろう画像が表示されるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示に係る超音波診断システムは、被検者から得られた受信データに基づいて超音波画像を形成する超音波診断装置と、サーバーに格納されたデータ群の中から前記被検者から得られた過去のボリュームデータが特定された場合に、前記過去のボリュームデータから、前記超音波診断装置から送られた基準フレームデータに適合する適合フレームデータを抽出する抽出装置と、を含み、前記超音波診断装置は、前記被検者の超音波検査中に、前記超音波画像と共に前記適合フレームデータを表す画像を表示する、ことを特徴とする。
【0011】
本開示に係る抽出装置は、超音波診断装置から送られた基準フレームデータを受信する手段と、サーバーに格納されたデータ群の中から、被検者から得られた過去のボリュームデータが特定された場合に、前記過去のボリュームデータから、前記基準フレームデータに適合する適合フレームデータを抽出する手段と、前記適合フレームデータを前記超音波診断装置へ送信する手段と、を含み、前記超音波診断装置において、前記被検者の超音波検査中に、前記超音波画像と共に前記適合フレームデータを表す画像が表示される、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、超音波検査中において、ネットワークに大きな負担をかけることなく、検査者がサーバーに格納されているボリュームデータの存在を認識できる。あるいは、本開示によれば、超音波診断装置において、ボリュームデータを表す画像として、ユーザーが見たいであろう画像が表示される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1実施形態に係る超音波診断システムを示すブロック図である。
図2】抽出処理(二次抽出処理)の一例を示す図である。
図3】第1実施形態に係る超音波診断システムの動作を示すフローチャートである。
図4】スクリーン画像の一例を示す図である。
図5】基準フレームデータを示す図である。
図6】第2実施形態に係る超音波診断システムの動作を示す図である。
図7】第2実施形態に係るサムネイル画像の切り替えを示す図である。
図8】第3実施形態に係る超音波診断システムを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、実施形態を図面に基づいて説明する。
【0015】
(1)実施形態の概要
実施形態に係る超音波診断システムは、超音波診断装置、及び、抽出装置を有する。超音波診断装置は、被検者から得られた受信データに基づいて超音波画像を形成する。抽出装置は、サーバーに格納されたデータ群の中から被検者から得られた過去のボリュームデータが特定された場合に、過去のボリュームデータから、超音波診断装置から送られた基準フレームデータに適合する適合フレームデータを抽出する。超音波診断装置は、被検者の超音波検査中に、超音波画像と共に適合フレームデータを表す画像を表示する。
【0016】
上記構成によれば、被検者の超音波検査中に、被検者から取得された過去のボリュームデータを表す画像が表示される。よって、検査者は、そのような画像の観察を通じて、サーバーの中に過去のボリュームデータが存在していることを認識できる。過去のボリュームデータを表す画像は、基準フレームデータに適合した適合フレームデータを表す画像である。よって、基準フレームデータの適切な選択を前提として、現在の超音波検査を支援できる画像が表示される可能性を高められる。
【0017】
適合フレームデータを表す画像は、例えば、断層画像又はサムネイル画像である。被検者の超音波検査中において、適合フレームデータの取得及び適用フレームデータを表す画像の生成がバックグラウンド処理として実行されるならば、検査者の負担は生じない。上記構成によれば、過去のボリュームデータの全部ではなくその一部だけが転送されるので、ネットワークに与える負荷が軽減される。その利点は、サーバーにおいて複数の過去のボリュームデータが存在している場合に、より大きくなる。過去のボリュームデータそれ全部の取得が必要となった時点で、サーバーから超音波診断装置へ、その過去のボリュームデータが転送される。
【0018】
実施形態において、抽出装置は、超音波診断装置に対してネットワークを介して接続された情報処理装置である。抽出装置がサーバーに組み込まれてもよい。超音波診断装置に物理的に連結された外部情報処理装置が抽出装置として機能してもよい。上記の過去のボリュームデータは、MRボリュームデータ、CTボリュームデータ又は超音波ボリュームデータである。上記の過去のボリュームデータがX線マンモグラフィボリュームデータ等の他のボリュームデータであってもよい。実施形態に係る構成によれば、超音波診断装置とは異なるタイプの医用装置で取得された過去のボリュームデータの利用を促進できる。
【0019】
実施形態において、抽出装置は、基準フレームデータを過去のボリュームデータに含まれる複数の候補フレームデータと比較し、これにより特定の候補フレームデータを適合フレームデータとして抽出する。2つのフレームデータの比較に際しては、相関演算等の様々な公知の技術を利用し得る。一般に、過去のボリュームデータに対して、様々な位置に様々な角度で、候補フレームデータを切り出すための断面が順次設定される。ボリュームデータが複数のフレームデータにより構成されている場合に、それら複数のフレームデータだけが複数の候補フレームデータとされてもよい。
【0020】
実施形態において、超音波診断装置は、適合フレームデータに基づいて、適合フレームデータを表す画像として、サムネイル画像を生成するサムネイル画像生成部を有する。一般に、適合フレームデータに対する低解像度処理により、サムネイル画像が生成される。サムネイル画像は、縮小された断層画像と言い得る。一般に、サムネイル画像の選択操作により、そのサムネイル画像に対応付けられた対応フレームデータを表す断層画像(低解像度処理を経ていない断層画像)が表示される。
【0021】
実施形態において、超音波診断装置は超音波画像を含むスクリーン画像を表示する。上記のサムネイル画像は第1のサムネイル画像である。サムネイル画像生成部は、更に、超音波診断装置で得られた受信データを表す第2のサムネイル画像を生成する。スクリーン画像は、第1のサムネイル画像が表示される外部データ表示エリアと、第2のサムネイル画像が表示される内部データ表示エリアと、を有する。
【0022】
上記構成によれば、検査者において、超音波診断装置に格納されているローカルデータ(内部データ)を認識できると共に、サーバーに格納されているリモートデータ(外部データ)を認識できる。よって、外部データを内部データと区別しつつ、外部データの取得、参照及び利用を促進できる。
【0023】
実施形態において、上記の抽出装置は二次抽出装置である。上記のサムネイル画像は二次サムネイル画像である。超音波診断システムは、更に、超音波診断装置から送られた指定フレーム識別情報に基づいて、過去のボリュームデータから指定フレームデータを抽出する一次抽出装置を有する。サムネイル画像生成部は、更に、指定フレームデータに基づいて、指定フレームデータを表す画像として、一次サムネイル画像を生成する。超音波診断装置は、一次サムネイル画像及び二次サムネイル画像を表示する。
【0024】
指定フレームは、通常、超音波診断装置によって自動的に指定されたフレームである。二次サムネイル画像の表示に時間がかかる場合、暫定的に一次サムネイル画像が先行表示されてもよい。一次サムネイル画像と二次サムネイル画像は同時に表示され又は順次に表示され得る。
【0025】
実施形態において、超音波診断装置は、先に一次サムネイル画像を表示し、次に一次サムネイル画像に代えて二次サムネイル画像を表示する。この構成によれば、過去のボリュームデータの存在を早期に検査者に認識させることができ、また、検査者が見たいであろう画像を検査者に提供することが可能となる。複数のボリュームデータを表す複数の二次サムネイル画像を表示する場合に、それらの生成順でそれらが順次表示されてもよいし、一定のタイミングでそれらが同時に表示されてもよい。
【0026】
実施形態において、超音波診断装置は、一次サムネイル画像と二次サムネイル画像を識別するための識別情報を表示する。この構成によれば、検査者において、サムネイル画像に対応するフレームデータの属性を認識することが可能となる。
【0027】
実施形態において、抽出装置は、基準フレームデータを各候補フレームデータと比較する際に適合スコアを演算する。超音波診断装置は、適合フレームデータを表す画像と共に、適合フレームデータに対応する適合スコアを示す情報を表示する。この構成によれば、検査者において、適合スコアを示す情報の参照を通じて、適合フレームデータに対応する断面が自分の見たい断面である可能性を認識することが可能となる。
【0028】
実施形態において、基準フレームデータは、超音波診断装置に登録されている過去の断層画像データ、被検者に対する現在の超音波検査で取得された現在の断層画像データ、及び、三次元組織モデルから切り出された疑似断層画像データ、の中の1つである。
【0029】
基準フレームデータは、自動的に指定され又は検査者により指定される。例えば、超音波検査プロトコルを構成する複数の工程に対応付けられた複数の基準フレームデータが事前に登録されてもよい。そのような構成を採用すれば、超音波検査プロトコルの進行に伴って、複数の基準フレームデータが自動的に順次選択され、複数のサムネイル画像が自動的に順次表示される。
【0030】
実施形態に係る抽出装置は、受信手段、抽出手段、及び、送信手段を有する。受信手段は、超音波診断装置から送られた基準フレームデータを受信する。抽出手段は、サーバーに格納されたデータ群の中から、被検者から得られた過去のボリュームデータが特定された場合に、過去のボリュームデータから、基準フレームデータに適合する適合フレームデータを抽出する。送信手段は、適合フレームデータを超音波診断装置へ送信する。超音波診断装置において、被検者の超音波検査中に、超音波画像と共に適合フレームデータを表す画像が表示される。
【0031】
上記の各手段は、ハードウエアの機能として、あるいは、ソフトウエアの機能として実現される。後者の場合、上記の一連の処理を実行するプログラムがネットワーク又は可搬型記憶媒体を介して情報処理装置へインストールされる。情報処理装置は、そのプログラムが格納される非一時的記憶媒体を有する。また、情報処理装置は、そのプログラムを実行するプロセッサを有する。
【0032】
(2)実施形態の詳細
図1には、第1実施形態に係る超音波診断システムが示されている。この超音波診断システムは、例えば、病院等の医療機関に設けられるものである。超音波診断システムは、実際には、被検者の検査(及び治療)を支援するための医用システムである。
【0033】
超音波診断システムは、超音波診断装置10、画像サーバー12及び抽出サーバー14を有する。超音波診断装置10は、被検者の超音波検査で使用される。画像サーバー12は、例えば、医用画像を格納及び提供するDICOMサーバーである。抽出サーバー14は、後述するように、ボリュームデータからフレームデータを抽出する装置である。
【0034】
超音波診断システムはネットワーク16を有する。ネットワーク16は、例えば、LAN(Local Area Network)である。ネットワーク16にインターネットが含まれてもよい。ネットワーク16には、超音波診断装置10、画像サーバー12及び抽出サーバー14が接続されている。ネットワーク16には、CT装置18及びMR装置20も接続されている。その他、図示されていない別の超音波診断装置もネットワーク16に接続されている。
【0035】
画像サーバー12は、コンピュータ等の情報処理装置により構成される。画像サーバー12は、情報処理部22及び記憶部24を有する。情報処理部22はプロセッサを有する。記憶部24は、半導体メモリ、ハードディスク等により構成される。記憶部24には、超音波診断装置10、CT装置18、MR装置20等で取得された多様なデータからなるデータ群が格納される。具体的には、データ群には、複数のCTボリュームデータ、複数のMRボリュームデータ及び複数の超音波ボリュームデータが含まれる。それら以外のボリュームデータがデータ群に含まれてもよい。
【0036】
各ボリュームデータは、生体内の三次元空間から取得されたデータである。個々のボリュームデータは、空間的に連なる複数のフレームデータ(複数のスライスデータ)からなる集合型ボリュームデータ、又は、空間的な連続性をもって単一のデータとして構成された連続型ボリュームデータである。データ群を構成する各データには、被検者情報、検査領域情報、検査日時情報、等が対応付けられている。
【0037】
画像サーバー12は、検索機能及び抽出機能(一次抽出機能)を有する。画像サーバー12は、検索装置及び一次抽出装置に相当する。検索機能は、データ集合において検索条件を満たす1又は複数のデータを特定する機能である。抽出機能は、ボリュームデータから、指定されたフレーム番号に対応するフレームデータを抽出する機能である。フレームデータは断面データである。
【0038】
画像サーバー12においては、通常、集合型ボリュームデータのみに対して抽出機能を適用できる。指定されるフレーム番号は、通常、中央断面に相当するフレーム番号である。画像サーバー12は、検索要求及び転送要求を受信する機能、特定又は抽出されたデータを送信する機能、等も有している。
【0039】
抽出サーバー14は、コンピュータ等の情報処理装置により構成される。抽出サーバー14は、情報処理部26及び記憶部28を有する。情報処理部26は、プログラムを実行するプロセッサを有する。記憶部28は、半導体メモリ、ハードディスク等により構成される。記憶部28には、超音波診断装置10から送られた基準フレームデータ29が格納される。記憶部28には、プロセッサが実行するプログラムも格納される。
【0040】
抽出サーバー14は、抽出機能(二次抽出機能)を有する二次抽出装置である。その抽出機能は、具体的には、画像サーバー12から送られたボリュームデータから、基準フレームデータに適合するフレームデータ(適合フレームデータ)を抽出する機能である。それについては後に詳述する。
【0041】
抽出サーバー14は、基準フレームデータ及びボリュームデータを受信する機能、及び、適合フレームデータを送信する機能、等も有している。後述するように、抽出サーバー14が画像サーバー12内に設けられてもよく、あるいは、画像サーバー12及び抽出サーバー14が一体化されてもよい。抽出サーバー14と超音波診断装置10とが専用線で接続されてもよい。
【0042】
次に、超音波診断装置10について説明する。超音波プローブ32は、振動子アレイを有している。振動子アレイにより超音波ビームが形成され、超音波ビームが電子走査される。電子走査方式として、電子リニア走査方式、電子セクタ走査方式、等が知られている。超音波ビームの電子走査により、被検者内にビーム走査面が形成される。ビーム走査面は観察断面である。超音波プローブ32の位置及び姿勢の変更に伴って、被検者内におけるビーム走査面の位置及び姿勢が変化する。超音波プローブ32に2D振動子アレイを設け、その2D振動子アレイを用いてボリュームデータが取得されてもよい。
【0043】
送受信回路34は、送信ビームフォーマー及び受信ビームフォーマーとして機能する電子回路である。送信時において、送受信回路34から振動子アレイに対して複数の送信信号が並列的に出力される。これにより超音波が生体内に放射され、つまり送信ビームが形成される。受信時において、生体内からの反射波が振動子アレイに到達すると、振動子アレイから送受信回路34へ複数の受信信号が並列的に出力される。送受信回路34は、複数の受信信号に対して整相加算を適用し、これにより受信ビームデータを生成する。1回の電子走査当たり電子走査方向に並ぶ複数の受信ビームデータが生成される。それらにより受信フレームデータが構成される。
【0044】
ビームデータ処理部36は、送受信回路34から出力された受信ビームデータ列を処理するモジュールである。ビームデータ処理部36は、検波器、対数変換器等を有する。画像形成部38は、ビームデータ処理部36から出力された受信ビームデータ列に基づいて断層画像データ(Bモード断層画像データ)を生成する。画像形成部38は、デジタルスキャンコンバータ(DSC)を有する。DSCは、座標変換機能、画素補間機能等を有する。画像形成部38から情報処理部40へ断層画像データが送られる。断層画像以外の超音波画像が形成されてもよい。
【0045】
情報処理部40は、プログラムを実行するプロセッサ(具体的にはCPU)を有する。情報処理部40には、上記の表示器50の他、記憶部46及び操作パネル48が接続されている。記憶部46は、半導体メモリ、ハードディスク等により構成される。操作パネル48は、複数のスイッチ、トラックボール、キーボード、等を有する入力デバイスである。操作パネル48の利用によりユーザーによって基準フレームデータが指定又は選択されてもよい。表示器50は、例えば有機EL表示デバイス、LCDにより構成される。
【0046】
記憶部46には、例えば、組織モデルデータ52、複数の断層画像データ54、複数のフレームデータ56、複数のボリュームデータ58等が格納される。
【0047】
組織モデルデータ52は、組織モデルを表すデータである。組織モデルは、特定の組織(例えば心臓、肝臓)の形態及び構造を人工的に模擬した三次元モデルである。超音波検査の対象になり得る複数の組織に対応する複数の組織モデルデータ52が用意されてもよい。
【0048】
各断層画像データ54は、超音波診断装置10により取得され且つ格納されたデータである。複数の断層画像データ54には、被検者に対する現在の超音波検査で取得された現在の断層画像データ、及び、その被権者に対する過去の超音波検査で取得された過去の断層画像データが含まれ得る。各断層画像データ54の実体はフレームデータである。
【0049】
各フレームデータ56は、抽出サーバー14により抽出及び転送された適合フレームデータである。複数のフレームデータ56には、画像サーバーにより抽出及び転送された指定フレームデータが含まれ得る。各ボリュームデータ58は、画像サーバー12により抽出及び転送されたボリュームデータである。
【0050】
情報処理部40は、超音波診断装置10を構成する各構成要素の動作を制御する。情報処理部40は、バックグラウンド処理制御部42、及び、サムネイル画像生成部44として機能する。情報処理部40は、表示器50に表示されるスクリーン画像を生成する機能も有する。スクリーン画像には、現在の断層画像の他、1又は複数の適合フレームデータを表す1又は複数のサムネイル画像が含まれる。
【0051】
バックグラウンド処理制御部42は、被検者の現在の超音波検査中に実行されるバックグラウンド処理を制御するものである。バックグラウンド処理には、検索処理及びサムネイル画像表示処理が含まれる。
【0052】
検索処理では、画像サーバー12に格納された、被検者の過去のデータセットが検索される。過去のデータセットには、過去のフレームデータ及び過去のボリュームデータが含まれ得る。過去のフレームデータは、画像サーバー12から超音波診断装置10へ転送される。必要に応じて、指定されたフレーム番号に従って過去のボリュームデータから切り出された指定フレームデータが画像サーバー12から超音波診断装置10へ転送される。
【0053】
画像サーバー12において特定された過去のボリュームデータは、画像サーバー12から抽出サーバー14へ転送される。抽出サーバー14内の抽出部30が、受信した過去のボリュームデータから、基準フレームデータ29に適合する適合フレームデータを抽出する。抽出された適合フレームデータが抽出サーバー14から超音波診断装置へ転送される。サムネイル画像生成部44は、受信した又は記憶されたフレームデータ(指定フレームデータ、適合フレームデータ又は断層画像データ)に基づいて、サムネイル画像を生成する。
【0054】
上記サムネイル画像表示処理では、画像サーバー12に格納されている過去のデータを表すサムネイル画像が表示器50に表示される。その場合、サムネイル画像は、上記被検者から得られた過去のフレームデータ又は過去のボリュームデータを表すものである。なお、現在の超音波検査で取得及び格納された断層画像データを表すサムネイル画像も表示器50に表示される。
【0055】
なお、画像サーバー12に格納されているデータ(外部データ)を表すサムネイル画像は第1のサムネイル画像であり、超音波診断装置10に格納されているデータ(内部データ)を表すサムネイル画像は第2のサムネイル画像である。画像サーバー12に格納されているボリュームデータから抽出された指定フレームデータを表すサムネイル画像は一次サムネイル画像である。画像サーバー12に格納されているボリュームデータから抽出された適合フレームデータを表すサムネイル画像は二次サムネイル画像である。一次サムネイル画像及び二次サムネイル画像はいずれも第1のサムネイル画像である。表示器50に表示されるスクリーン画像には、1又は複数の第1のサムネイル画像、及び、1又は複数の第2のサムネイル画像が含まれる。
【0056】
図2には、抽出サーバーでの適合フレームデータの抽出処理が示されている。通常、受信したボリュームデータ202に対して、様々な位置及び様々な角度で、複数の切り出し断面204が順次設定される。符号206は、特定の切り出し断面204に対応する候補フレームデータを示している。順次抽出される各候補フレームデータ206と基準フレームデータ200とが相互に比較される(符号210を参照)。その場合には、相関演算、パターンマッチング等の技術が用いられる。
【0057】
フレームデータの比較ごとに、適合スコアが演算される。適合スコアは、例えば、相関値、マッチングスコア、類似度である。複数の候補フレームデータに対応する複数の適合スコアの中から最良の適合スコアが特定され、続いて、その最良の適合スコアに対応する候補フレームデータが適合フレームデータとして特定される。これにより、ボリュームデータから適合フレームデータが抽出される。適合フレームデータが、それに対応する適合スコアを示すスコア情報と共に、抽出サーバーから超音波診断装置へ送られる(符号212を参照)。適合フレームデータ及びスコア情報が画像サーバー12を経由して超音波診断装置10へ送られてもよい。なお、2つのフレームデータの比較に当たっては、必要に応じて、一方のフレームデータのサイズ又は縮尺が調整される。
【0058】
図3には、図1に示した超音波診断システムの動作が示されている。より詳しくは、図3には、バックグラウンド処理における、超音波診断装置10の動作、画像サーバー12の動作及び抽出サーバー14の動作が示されている。
【0059】
超音波診断装置10において、S10では被検者IDが受け付けられ、S12では検査領域が受け付けられる。検査領域は、検査対象である組織が属する領域(例えば腹部、循環器)である。S14では超音波検査が開始される。S16では、基準断面が特定される。つまり、基準フレームデータが特定される。基準フレームデータが自動的に特定されてもよいし、検査者により基準フレームデータが指定されてもよい。
【0060】
S18では、超音波診断装置10から画像サーバー12に向けて、検索要求及び転送要求が送られる。検索要求が先行して送られ、検索結果の受領後に、検索結果に基づく転送要求が送られてもよい。検索要求と転送要求が同時に送られてもよい。検索要求には、検索条件が含まれる。検索条件には、被検者識別情報(被検者ID)、検査領域識別情報、検索期間等が含まれる。転送要求には、基準フレームデータが含まれる。転送要求には、必要に応じて、指定フレーム識別情報が含まれる。基準フレームデータは、超音波診断装置10から抽出サーバー14へ送られる。基準フレームデータが超音波診断装置10から画像サーバー12を経由して抽出サーバー14へ送られてもよい。S22において、抽出サーバー14が基準フレームデータを受信する。
【0061】
画像サーバー12において、S20では、格納されたデータ群の中から、検索条件を満たすデータセットが検索される。そのデータセットには、1又は複数のフレームデータ(フレームデータセット)、及び/又は、1又は複数のボリュームデータ(ボリュームデータセット)が含まれる。いずれのデータも、現在の超音波検査の対象である被検者から得られた過去のデータである。
【0062】
上記の検索によってフレームデータセットが特定された場合に、S24で、そのフレームデータセットが画像サーバー12から超音波診断装置10へ転送される。その際、必要に応じて、各ボリュームデータから抽出された指定フレームデータも転送される。また、上記検索によってボリュームデータセットが特定された場合に、S26で、そのボリュームデータセットが画像サーバー12から抽出サーバー14へ転送される。
【0063】
抽出サーバー14において、S28では、ボリュームデータセットが受信される。S30では、ボリュームデータごとに、当該ボリュームデータの中から、基準フレームデータに適合する候補フレームデータが探索される。S32においては、ボリュームデータセットから抽出された適合フレームデータセットが抽出サーバー14から超音波診断装置10へ転送される。適合フレームデータセットが抽出サーバー14から画像サーバー12を経由して超音波診断装置10へ転送されてもよい。
【0064】
超音波診断装置10において、S34では、画像サーバー12から送られたフレームデータセットが受領され、また、抽出サーバー14から送られた適合フレームデータセットが受領される。受領した各データは、上記のように、被検者から取得された過去のデータである。S36では、受領した複数のデータに基づいて複数のサムネイル画像(サムネイル画像セット)が生成される。S38では、サムネイル画像セットが表示される。通常、複数のサムネイル画像がその生成順で順次表示される。
【0065】
表示されるサムネイル画像セットの中には、ボリュームデータから抽出された適合フレームデータを表すサムネイル画像が含まれる。検査者は、そのようなサムネイル画像の観察を通じて、画像サーバー12に過去のボリュームデータが存在していることを認識し得る。
【0066】
例えば、二画面表示モードの起動後、サムネイル画像の選択操作を経て、リアルタイム断層画像としての現在の断層画像と適合フレームデータから生成された過去の断層画像とが並列表示されてもよい。その場合、2つの画像内容を比較しつつ、現在の断層画像の内容を評価することが可能となる。そのような画像比較を適切に行えるように、基準フレームデータが事前に選択される。
【0067】
図3に示す動作例では、現在の超音波検査中に、S40において、特定のモードが起動される。その後、S42では、サムネイル画像の選択操作により、そのサムネイル画像に対応するボリュームデータの転送要求が画像サーバー12へ送られる。S44では、画像サーバー12から送られたボリュームデータが超音波診断装置10で受領される。
【0068】
特定のモードは、例えば、リアルタイム断層画像としての現在の断層画像と過去のボリュームデータに基づく過去の断層画像とを並列表示するモードである。その場合、現在の断層画像と過去の断層画像は、いずれも、同じ観察断面(ビーム走査面)を表す画像である。例えば、超音波プローブの位置及び姿勢の検出により得られた位置情報に基づいて、過去のボリュームデータの中から、観察断面に相当する面データが切り出され、その面データに基づいて過去の断層画像が生成される。
【0069】
図4には、表示器に表示されるスクリーン画像の一例が示されている。スクリーン画像60は、リアルタイム断層画像62、第1サムネイル画像表示エリア64及び第2サムネイル画像表示エリア66を有する。
【0070】
第1サムネイル画像表示エリア64は、複数の内部データを表す複数のサムネイル画像70を表示するためのエリアである。各内部データは、超音波診断装置において取得及び格納されたデータであり、典型的には断層画像データである。第2サムネイル画像表示エリア66は、複数の外部データを表す複数のサムネイル画像72A~72Eを表示するためのエリアである。各外部データは、画像サーバーに格納されているデータであり、フレームデータ又はボリュームデータである。
【0071】
サムネイル画像72Aは、MRI装置において取得されたMRボリュームデータを表すサムネイル画像である。それには、データ種別を示すラベル74、適合フレームデータを表すサムネイル画像であることを示すマーク76、及び、適合スコアを表す数値78が含まれる。マーク76は単純な円形のマークであるが、マーク76として様々な表示要素を採用し得る。数値78の最大値は例えば100(%)とであり、その最小値は例えば0(%)である。数値に代えて、記号、色等の情報を表示してもよい。
【0072】
マーク76を表示することにより、検査者において、サムネイル画像72Aが適合フレームデータを表すサムネイル画像であることを認識できる。数値78を表示することにより、検査者において、適合フレームデータが検査者の見たい断面を表す画像である可能性を提示できる。
【0073】
第2サムネイル画像表示エリア66には、実際には、複数のウインドウの中から選択されたウインドウが表示される。複数のウインドウに対応する複数のタブ84,86,88の中から特定のタブが選択され、選択されたタブに対応するウインドウが表示される。個々のウインドウには、1又は複数の第2サムネイルが含まれる。例えば、検査日ごとに又は検査期間ごとにウインドウが生成されてもよい。
【0074】
図4に示すスクリーン画像には、組織モデル像68が含まれる。組織モデル像68は、現在の超音波検査の対象となった組織を模擬した三次元モデルを表す像である。組織モデル像68と共に、それを横切るフレーム像80も表示されている。組織モデル像68に対するフレーム像80の位置及び姿勢が検査者において調整される。これにより、組織モデル像68中の特定の断面82が特定される。その特定の断面82に基づいて、組織モデルから、断面データが切り出される。それが基準フレームデータとして用いられる。以下に説明するように、他のデータに基づいて基準フレームデータが定義されてもよい。
【0075】
図5には、基準フレームデータ96の決定方法が示されている。例えば、現在の断層画像データが基準フレームデータ96とされてもよい。その場合、検査者が指定したタイミングで、又は、自動的に決定されたタイミングで、現在の断層画像データが特定されてもよい。フリーズ時点での現在の断層画像が基準フレームデータとされてもよい。
【0076】
超音波診断装置に格納されている過去の断層画像データが基準フレームデータ96とされてもよい。過去の断層画像データは、現在の超音波検査を行っている被検者から取得された過去のデータである。上記のように、三次元組織モデルから切り出された断面データである疑似断層画像データ94が基準フレームデータ96とされてもよい。
【0077】
次に、図6及び図7に基づいて第2実施形態に係る超音波診断システムについて説明する。第2実施形態に係る超音波診断システムの構成は、基本的に、図1に示した構成と同じである。第2実施形態においては、先に指定フレームデータに基づく一次サムネイル画像が表示され、次に適合フレームデータに基づく二次サムネイル画像が表示される。以下、それについて具体的に説明する。
【0078】
符号100は、超音波診断装置10から出される検索要求(及び転送要求)に含まれる情報を示している。検索要求100の内で、検査者識別情報102、検査領域情報104、及び、指定フレーム識別情報106が画像サーバー12へ送られる(符号110を参照)。検査者識別情報102及び検査領域情報104により検索条件が構成される。検索条件に検索期間等の他の条件が含まれてもよい。
【0079】
指定フレーム識別情報106は、ボリュームデータから抽出するフレームの番号を特定するものである。通常、先頭フレーム番号及び最終フレーム番号に基づいて中央(中心)フレーム番号が特定され、その中央フレーム番号が指定フレーム識別情報106とされる。検索要求100の内で、基準フレームデータ108が抽出サーバー14へ送られる(符号112を参照)。
【0080】
画像サーバー12は、そこに格納されたデータ群の中から検索条件を満たすデータセットを特定する。その観点から見て画像サーバー12は検索部又は検索装置である。特定したデータセットに1又は複数のボリュームデータが含まれている場合、画像サーバー12は、ボリュームデータごとに、当該ボリュームデータから指定フレーム識別情報で特定される指定フレームデータを抽出する。その処理は一次抽出処理であり、その観点から見て画像サーバー12は一次抽出部又は一次抽出装置である。画像サーバー12は、フレームデータセットを超音波診断装置10へ転送する(符号114を参照)。第2実施形態においては、フレームデータセットには、1又は複数の指定フレームデータが含まれる。
【0081】
一方、画像サーバー12での検索により、ボリュームデータセットが特定された場合、上記の指定フレームデータ抽出処理と並行して、ボリュームデータセットが画像サーバー12から抽出サーバー14へ送られる(符号116を参照)。抽出サーバー14は、ボリュームデータごとに、当該ボリュームデータから基準フレームデータに適合する適合フレームデータを抽出する。その処理は二次抽出処理であり、その観点から見て抽出サーバー14は二次抽出部又は二次抽出装置である。抽出サーバー14は、ボリュームデータセットから抽出された適合フレームデータセットを超音波診断装置10へ送信する(符号118を参照)。
【0082】
超音波診断装置は、画像サーバー12から送られてきたフレームデータセット(指定フレームデータセットが含まれる)、及び、抽出サーバーから送られてきた適合フレームデータセットに基づいて、複数のサムネイル画像を生成する。
【0083】
通常、適合フレームデータの抽出には一定の時間を要する。その一方、指定フレームデータは迅速に抽出し得る。このことを考慮して、超音波診断装置10は、ボリュームデータから抽出された指定フレームデータを受領した時点で、その指定フレームデータに基づいて一次サムネイル画像を生成し、その一次サムネイル画像を先行表示している。その後、同じボリュームデータから抽出された適合フレームデータを受領した時点で、その適合フレームデータに基づいて二次サムネイル画像を生成し、その二次サムネイル画像を一次サムネイル画像に代えて表示している。
【0084】
上記のサムネイル画像の切り替えにより、サムネイル画像が表示されない空白時間が増大することを回避でき、且つ、検査者が観察したいであろうサムネイル画像を表示すべきニーズを満たすことができる。
【0085】
図7には、サムネイル画像の切り替えの一例が示されている。最初に、特定のボリュームデータから抽出された指定フレームデータに基づく一次サムネイル画像120が表示される。続いて、同じ特定のボリュームデータから抽出された適合フレームデータに基づく二次サムネイル画像124が一次サムネイル画像に代えて表示される。
【0086】
一次サムネイル画像120には、指定フレームの番号又は位置を特定する情報122が含まれる。図示の例では、情報122はボリュームデータの中心(中央)を意味している。一次サムネイル画像はt1からt2までの期間にわたって表示される。
【0087】
二次サムネイル画像124には、表示されたサムネイル画像が二次サムネイル画像であることを識別するためのマーク126が含まれる。マーク126が表示されない場合、表示されたサムネイル画像が一次サムネイル画像であると判断し得る。数値128は適合スコアを表す情報である。二次サムネイル画像124は、t2以降の期間において表示される。
【0088】
個々のボリュームデータごとに、二次サムネイル画像の生成が完了した時点で、サムネイル画像の個別的な表示切り替えが実行されてもよい。その場合、多くの二次サムネイル画像の表示開始を早められる。一方、ボリュームデータセットを構成する複数のボリュームデータに対応する複数の二次サムネイル画像の生成が完了した時点で、複数のサムネイル画像の表示切り替えが一括して実行されてもよい。その場合、表示切り替えが繰り返されることによる観察阻害を防止できる。
【0089】
図8には、第3実施形態に係る超音波診断システムが示されている。図8において、図1に示した構成要素と同じ構成要素については同じ符号が付されている。
【0090】
第3実施形態においては、画像サーバー12Aは情報処理部22Aを有する。情報処理部22Aは検索部130及び抽出部132として機能する。抽出部132は、一次抽出処理及び二次抽出処理を実行するモジュールである。すなわち、画像サーバー12Aは、図1に示した抽出サーバーを含むサーバーである。記憶部24Aには、データ群の他、基準フレームデータが格納される。
【0091】
図1に示した抽出装置が超音波診断装置に物理的に連結された外部情報処理装置内に設けられてもよい。その場合、超音波診断装置と外部情報処理装置とが専用線で接続されてもよい。
【符号の説明】
【0092】
10 超音波診断装置、12 画像サーバー、14 抽出サーバー、29 基準フレームデータ、30 抽出部、40 情報処理部、42 バックグラウンド処理部、44 サムネイル画像生成部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8