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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024017080
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】バックプレーン
(51)【国際特許分類】
   G03H 1/22 20060101AFI20240201BHJP
   G02F 1/13 20060101ALN20240201BHJP
   G02F 1/1343 20060101ALN20240201BHJP
【FI】
G03H1/22
G02F1/13 505
G02F1/1343
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022119479
(22)【出願日】2022-07-27
(71)【出願人】
【識別番号】000004352
【氏名又は名称】日本放送協会
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】柴崎 純一
(72)【発明者】
【氏名】青島 賢一
(72)【発明者】
【氏名】麻生 慎太郎
(72)【発明者】
【氏名】三浦 雅人
(72)【発明者】
【氏名】町田 賢司
【テーマコード(参考)】
2H088
2H092
2K008
【Fターム(参考)】
2H088EA47
2H088EA48
2H092GA21
2H092GA25
2H092GA29
2H092GA30
2H092JA23
2H092JB04
2H092JB24
2H092JB43
2H092RA10
2K008CC03
2K008HH26
(57)【要約】
【課題】ホログラム像の品質低下を抑制できるバックプレーンを提供する。
【解決手段】バックプレーン6は、画素2及び画素2の外に設けられた電源コンタクト22が2次元状に配置されているホログラフィ用のバックプレーンであって、水平方向及び垂直方向の少なくとも一方向において、電源コンタクト22同士の間隔が異なるように電源コンタクト22を不規則に配置した表示領域5を有する。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画素及び前記画素の外に設けられた電源コンタクトが2次元状に配置されているホログラフィ用のバックプレーンであって、
水平方向及び垂直方向の少なくとも一方向において、前記電源コンタクト同士の間隔が異なるように前記電源コンタクトを不規則に配置した表示領域を有することを特徴とするバックプレーン。
【請求項2】
前記表示領域は、水平方向又は垂直方向の一方向において、前記画素の個数に対する前記電源コンタクトの個数の割合が一定となる長さが、前記画素と前記電源コンタクトとの最小合計数及び前記画素のピッチに基づいて定まる最小長さよりも長いことを特徴とする請求項1に記載のバックプレーン。
【請求項3】
前記表示領域は、水平方向及び垂直方向の両方向において、前記画素の個数に対する前記電源コンタクトの個数の割合が一定となる長さが、前記画素と前記電源コンタクトとの最小合計数及び前記画素のピッチに基づいて定まる最小長さよりも長いことを特徴とする請求項1に記載のバックプレーン。
【請求項4】
メモリセル構造がSRAM方式であることを特徴とする請求項1に記載のバックプレーン。
【請求項5】
空間光変調器に用いられることを特徴とする請求項1から請求項4の何れか一項に記載のバックプレーン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホログラフィ用のバックプレーンに関する。
【背景技術】
【0002】
ホログラフィは、物体の反射光を干渉縞として記録することで、その光のもつ情報をそのまま再生できる技術である(非特許文献1)。ホログラム像による3次元映像では、所定の干渉縞を表示して書き換える空間光変調器(SLM:Spatial Light Modulator)が用いられる(非特許文献2)。
【0003】
ホログラム像を見ることができる角度(視域角)はSLMの画素ピッチに比例するので、ホログラム像の広視域化にはSLMの狭画素ピッチ化が必要になる。一方、表示される3次元映像を大きくするには、SLMの大面積化が必要である。従って、1つのディスプレイに、数千~数万×数千~数万の画素を並べる必要がある。
【0004】
ホログラム像は、SLMに表示された干渉縞からの回折光によって再生されるため、1フレーム毎に干渉縞をディスプレイに表示させなければならない。つまり、SLMでは、最後に表示される画素を書き終えるまで、最初に表示された画素が保たれていなければならない。また、SLMのバックプレーンとして、電圧降下がないSRAM方式が知られている(非特許文献3,4)。
【0005】
図14を参照し、従来のディスプレイ90について説明する。
ディスプレイ90は、後記するバックプレーン6と、電源10と、ビット線11,12と、ワード線13と、接地(GND)14と、リード線15と、上部電極16と、シール材17と、液晶層18とを備える。なお、図14の上段がディスプレイ90の断面を表しており、図14の下段がバックプレーン6の回路を表している。
【0006】
バックプレーン6は、ホログラフィ用のSLMに用いられる狭画素ピッチのバックプレーンであり、画素電極3を有する。例えば、バックプレーン6の画素ピッチは、水平及び垂直それぞれ2μm以下である。例えば、バックプレーン6は、SRAM方式の場合、6個のMOS-FETで構成される。ワード線13の電位をHighにし、ビット線11,12に電位を与えることで、フリップフロップの状態が決定し、液晶層18が駆動して変調を行う。ここで、ワード線13の電位がLowになってもCMOSインバータの電位が固定されるので、液晶層18の状態も保たれる(非特許文献5,6)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】D.Gabor,“A NEW MICROSCOPIC PRINCIPLE”,Nature,1948.
【非特許文献2】NHK技研R&D、2021年秋号、No.187.
【非特許文献3】D. Banas et.al,“Ferroelectric liquid-crystal spatial light modulators for projection display”, SPIE, 1996.
【非特許文献4】I.D.Rankin et. al,“A new high resolution FLC/VLSI Spatial Light Modulator”,OSA, 1997.
【非特許文献5】電子情報通信学会「知識ベース」、10群(集積回路)、4編(メモリLSI)、2章 揮発性高速RAM、電子情報通信学会、2010
【非特許文献6】SRAM<デバイス原理> 半導体メモリとは? エレクトロニクス豆知識 、ローム株式会社
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
MOS-FETを動作させるには、p型基板とnウェル又はn型基板とpウェルへの電源コンタクトを一定の間隔で設ける必要がある。従来のSRAM方式のバックプレーンでは、画素電極内に電源コンタクトを配置するので、画素が大型化してしまう。これに対し、ホログラフィ用のバックプレーンは、画素の極微小化が必要なために、電源コンタクトを画素外に設け、数~数十画素で電源コンタクトを共有する手法を検討する。
【0009】
この場合、電源コンタクトは画素としての機能を持たないため、一定間隔で画素抜けが生じる。数μmピッチ以下の極微小画素で数cm角のディスプレイを構成した場合、画素数が数万×数万画素になる。例えば、画素ピッチが1um×1umで、2cm×2cmのディスプレイを構成した場合、画素数が20,000×20,000(20K×20K)画素になる。この例では、電源コンタクトによる画素抜け領域が数十μm毎に発生する。
【0010】
2次元映像では、電源コンタクトによる画素抜け領域が、そのまま、映像の欠損として肉眼で視認される。3次元映像では、ディスプレイ上に表示するのは干渉縞であり、干渉縞から再生されたホログラム像を肉眼で視認するので、個々の画素抜け領域が直接3次元映像の欠損につながるわけではない。しかし、3次元映像のディスプレイにおいて、画素抜け領域が周期的に存在する場合、その画素抜け領域が回折格子のように作用し、ホログラム像の品質低下を引き起こすという問題があった。
【0011】
本発明は、前記した問題を解決し、ホログラム像の品質低下を抑制できるバックプレーンを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決するため、本発明に係るバックプレーンは、画素及び前記画素の外に設けられた電源コンタクトが2次元状に配置されているホログラフィ用のバックプレーンであって、水平方向及び垂直方向の少なくとも一方向において、電源コンタクト同士の間隔が異なるように電源コンタクトを不規則に配置した表示領域を有する構成とした。
【0013】
前記したように、ホログラフィは、光の情報を干渉縞として記録し、再生光と干渉縞の回折によって再生される。そのため、再生像の情報を持つ干渉縞以外に、画素抜け領域が回折格子のように作用するので、再生像の品質が低下する。従って、ホログラム像の品質の低下を引き起こす電源コンタクトによる画素抜け領域の分布を不規則にし、画素抜け領域の周期を長くすることで、回折光を分散させればよい。
【0014】
従って、本発明に係るバックプレーンは、電源コンタクトによる画素抜け領域の位置を不規則にすることで、画素抜け領域による回折角を小さくする。これにより、バックプレーンは、ホログラム像の0次回折光の付近に回折光が集まり、肉眼に入射するホログラム像に不要な光成分が混入しにくいので、ホログラム像の品質低下を抑制できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ホログラム像の品質低下を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施形態において、グレーティングによる回折を説明する説明図である。
図2】実施形態において、ホログラフィ用のディスプレイの入射光及び出射光を説明する説明図である。
図3図2の側面図である。
図4】実施形態に係るバックプレーンの全体構成を表す図である。
図5A】実施形態において、表示領域を説明する説明図である。
図5B図5Aの拡大図である。
図6】実施形態において、画素抜け領域を説明する説明図である。
図7】実施形態において、電源コンタクトを説明する説明図である。
図8】電源コンタクトを配置するときの参考例を説明する説明図である。
図9A】参考例における電源コンタクトの配置パターンを説明する説明図である。
図9B】実施形態において、電源コンタクトの配置パターンを説明する説明図である。
図10】実施形態において、電源コンタクトを配置するときの第1例を説明する説明図である。
図11A】参考例の周期を説明する説明図である。
図11B】第1例の周期を説明する説明図である。
図12】実施形態において、電源コンタクトを配置するときの第2例を説明する説明図である。
図13】実施例において、回折角の計算結果を説明する説明図である。
図14】従来のディスプレイを説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。但し、以下に説明する各実施形態は、本発明の技術思想を具体化するためのものであって、特定的な記載がない限り、本発明を以下のものに限定しない。また、同一の手段には同一の符号を付し、説明を省略する場合がある。
【0018】
(実施形態)
<回折の原理>
実施形態に係るバックプレーンの構成を説明する前提として、回折の原理を説明する。
図1に示すように、ディスプレイ27(図2)がグレーティング31に相当する干渉縞を表示するので、干渉が発生する。なお、図1には、入射光25、視域角28、0次回折光29及び1次回折光30を図示した。また、X軸が水平方向を表し、Y軸が垂直方向を表し、Z軸が奥行方向を表す。
【0019】
以下、説明を簡易にするため、図2に示すように、ホログラフィ用のディスプレイ27にホログラム像を再生するための入射光25が斜め上から入射した場合を考える。この場合、出射光26は、ディスプレイ27の斜め下から出射する。この出射光26の付近にホログラム像が再生される。
【0020】
図3には、図2のディスプレイ27を横方向から見た状態を図示した。ディスプレイ27に表示された干渉縞が回折し、0次回折光29、1次回折光30、…として出射される。なお、2次回折光以降は、一般的に0次回折光29及び1次回折光30に比べて強度が小さくなるため、図3では図示を省略している。ホログラム像が1次回折光30から再生されるため、ホログラム像を視認できる角度を表す視域角28は、2本の1次回折光30のなす角となる。また、0次回折光29はホログラム像の再生には寄与しないため、ホログラム像にとってノイズとなる。
【0021】
このとき、回折角は、以下の式(1)で表される。なお、周期とは、表示領域5において、画素2の個数に対する電源コンタクト22の個数の割合が一定となる長さのことである。この周期の詳細は後記する。
【0022】
【数1】
【0023】
この式(1)から、周期を大きくすることで、回折角が小さくなることがわかる。従って、図2に示すように、入射光25を斜めに入射させることで、画素抜け領域1(図5A)による回折光をホログラム像の0次回折光29の付近に集め、0次回折光29が視界に入らないようにできる。
【0024】
<バックプレーンの全体構成>
図4を参照し、バックプレーン6の全体構成について説明する。
図4に示すように、バックプレーン6は、表示領域5と、周辺回路7,8と、インターフェース9とを備える。
表示領域5は、画素2及び電源コンタクト22が2次元状に配列されている領域である。以後、説明を簡易にするため、電源コンタクト22が画素2と同一サイズであることとする。図5A及び図5Bに示すように、表示領域5は、電源コンタクト22により画素抜けが発生する画素抜け領域1と、画素2が配列されている画素領域4とで構成されている。画素2は、角丸四角形状の画素電極3を有する。図6に示すように、画素抜け領域1には電源コンタクト22のpウェル35及びnウェル36が対応し、画素電極3には6個のトランジスタ37が対応する。
【0025】
周辺回路7,8は、表示領域5の駆動回路である。周辺回路7が行方向(水平方向)で各画素を駆動し、周辺回路8が列方向(垂直方向)で各画素を駆動する。
インターフェース9は、バックプレーン6に信号を入出力するインターフェースである。
【0026】
図7を参照し、電源コンタクト22について補足する。
図7に示すように、トランジスタ37などの配線を行う際に、交互に積層させた金属層19,21と絶縁層20とにコンタクトホールという穴を開ける、そして、このコンタクトホールに導体を入れることで、上下の金属層19,21を接続したものを電源コンタクト22と呼ぶ。
なお、複数のトランジスタで構成されるSRAM回路の場合、金属層19,21及び絶縁層20が10層以上にも及ぶ場合があり、電源コンタクト22の数も多くなる。
【0027】
<電源コンタクトの配置:参考例>
従来のバックプレーンでは、電源コンタクトを画素内に配置する。しかし、前記したように、狭画素ピッチのバックプレーン6では電源コンタクト22を画素2の外に設けている。また、所定数の画素2に対して1個の電源コンタクト22が必要である。本実施形態では、12個の画素に対して1個の電源コンタクト22が必要なため、画素2と電源コンタクト22との最小合計数が13個となる。
【0028】
図8には、電源コンタクト22を配置するときの参考例を図示した。なお、図8は、図4に符号αで図示した表示領域5の拡大図である(図10図12も同様)。
図8に示すように、参考例のバックプレーン6では、水平方向において、左端に電源コンタクト22(画素抜け領域1)が配置され、その電源コンタクト22の右側に12個の画素2が連続している。また、参考例のバックプレーン6では、垂直方向において、画素2のみが配置された列と、電源コンタクト22のみが配置された列とが存在する。
【0029】
図9Aに示すように、電源コンタクト22(画素抜け領域1)が左端に位置するので、12個の画素2に対する電源コンタクト22の配置パターン(配置の組み合わせ)が1種類のみとなる。このため、参考例のバックプレーン6では、図11Aに示すように、最小合計数の画素2及び電源コンタクト22で構成される組Kが水平方向に繰り返し配置される。このため、参考例のバックプレーン6は、画素抜け領域1が回折格子のように作用し、ホログラム像の品質低下を引き起こしてしまう。なお、組Kとは、最小合計数の画素2及び電源コンタクト22の組み合わせ、例えば、12個の画素2及び1個の電源コンタクト22の組み合わせのことである。
【0030】
そこで、表示領域5は、水平方向及び垂直方向の少なくとも一方向において、電源コンタクト22同士の間隔が異なるように電源コンタクト22を不規則(ランダム)に配置した。以下、表示領域5において、電源コンタクト22の配置例について具体的に説明する。
【0031】
<電源コンタクトの配置:第1例>
第1例のバックプレーン6では、表示領域5が、水平方向の一方向において、画素2の個数に対する電源コンタクト22の個数の割合が一定となる周期(長さ)Lが、画素2と電源コンタクト22との最小合計数及び画素ピッチに基づいて定まる最小周期(最小長さ)Mよりも長くなる。具体的には、最小周期は、画素2と電源コンタクト22との最小合計数に画素ピッチを乗じた値となる。
【0032】
電源コンタクト22は、所定数(例えば、12個)の画素2毎に必要であるが、必ずしも組Kの左端に位置しなくてもよい。つまり、電源コンタクト22は、組Kの左端から2番目、3番目、…、右端に位置してもよい。従って、図9Bに示すように、所定数の画素2に対する電源コンタクト22の配置パターンは、画素数+1種類となる(例えば、13種類)。
【0033】
図10に示すように、第1例のバックプレーン6では、電源コンタクト22の位置を水平方向にずらし配置パターンを変えて、電源コンタクト22を不規則に配置している。ここで、第1例のバックプレーン6では、画素抜け領域1の周期構造を水平方向に有する一方、その周期構造を垂直方向に有していないので、画素抜け領域1による回折スポットが水平方向にのみ発生する。
【0034】
図11Aに示すように、参考例のバックプレーン6は、12個の画素2に対して電源コンタクト22が1個の割合となる周期Lを有する。また、参考例のバックプレーン6では、最小周期Mが、12個の画素2と1個の電源コンタクト22との組Kの長さに等しくなる。
【0035】
これに対し、図11Bに示すように、第1例のバックプレーン6では、12個の画素2に対して電源コンタクト22が1個の割合となる周期Lが最小周期Mよりも長くなる。具体的には、第1例のバックプレーン6では、電源コンタクト22が左から6番目に位置する組K、電源コンタクト22が左端に位置する組Kが周期的に配置されている。そして、第1例のバックプレーン6では、2組K,Kを構成する24個の画素2に対して電源コンタクト22が2個であるから、12個の画素2に対して電源コンタクト22が1個の割合となる。従って、第1例のバックプレーン6では、周期Lが、2組K,Kに相当する長さ、つまり、最小周期Mの2倍となる。このように、周期Lを最小周期Mよりも長くすることは、電源コンタクト22同士の間隔が異なるように電源コンタクト22を不規則に配置することと等価である。
【0036】
なお、第1例のバックプレーン6では、垂直方向の一方向において、周期Lを最小周期Mよりも長くしてもよい。
また、周期Lは、最小周期Mの3倍以上の長さであってもよい。
【0037】
<電源コンタクトの配置:第2例>
図12に示すように、第2例のバックプレーン6では、水平方向及び垂直方向の両方向において、画素2の個数に対する電源コンタクト22の個数の割合が一定となる周期(長さ)Lが、画素2及び電源コンタクト22の最小合計数及び画素ピッチに基づいて定まる最小周期(最小長さ)Mよりも長くなる。
【0038】
ここで、第2例のバックプレーン6は、水平方向及び垂直方向のそれぞれにおいて、電源コンタクト22の位置をずらし、電源コンタクト22を不規則に配置している。つまり、第2例のバックプレーン6は、第1例のバックプレーン6を水平方向及び垂直方向の両方向に拡張したものである。
【0039】
従って、第2例のバックプレーン6は、画素抜け領域1の周期構造を有していない。このため、第2例のバックプレーン6では、水平方向及び垂直方向の何れでも、電源コンタクト22による回折スポットは発生するが、回折角が小さくなるので、回折光強度が第1例よりもさらに低下する。
【0040】
[作用・効果]
以上のように、実施形態に係るバックプレーン6は、電源コンタクト22による画素抜け領域1の位置を不規則にすることで、画素抜け領域1による回折角を小さくする。これにより、バックプレーン6は、ホログラム像の0次回折光の付近に回折光が集まり、肉眼に入射するホログラム像に不要な光成分が混入しにくいので、ホログラム像の品質低下を抑制できる。つまり、バックプレーン6は、電源コンタクト22が必要な狭画素ピッチバックプレーン構造でありながら、画素抜け領域1からの回折光ノイズ成分を低減することができる。
【0041】
(変形例)
以上、実施形態を詳述してきたが、本発明は前記した実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
前記した実施形態では、バックプレーンがSRAM方式のメモリセル構造であることとして説明したが、これに限定されない。例えば、バックプレーンは、DRAM方式のメモリセル構造であってもよい。
前記した実施形態では、バックプレーンが空間光変調器に用いられることとして説明したが、これに限定されない。
【0042】
前記した実施形態では、電源コンタクトが画素と同一サイズであることとして説明したが、電源コンタクトが画素と異なるサイズのときもある。この場合、最小周期(最小長さ)は、画素と電源コンタクトとの最小合計数、画素ピッチ及び電源コンタクトのサイズに基づいて定まる。具体的には、最小周期(最小長さ)は、最小合計数のうちの画素の個数に画素ピッチを乗じた値に電源コンタクトのサイズを加算した値となる。
【実施例0043】
図13を参照し、バックプレーンの回折角を説明する。なお、第1例(図10)と同様のバックプレーンを実施例1とし、第2例(図12)と同様のバックプレーンを実施例2とする。また、39個の画素に対して電源コンタクトが1個必要であり(つまり、最小合計数が40個)、画素ピッチが1μmであることとする。また、説明を簡易にするため、電源コンタクトが画素と同じサイズであることとする。従って、参考例(図8)、実施例1,2の何れでも、画素及び電源コンタクトの最小合計数に画素ピッチを乗じることで、最小周期が40μmとなる。なお、参考例では、周期が最小周期に等しくなる。
【0044】
図13に示すように、前記式(1)を利用し、参考例及び実施例1,2について、赤、青、緑の各波長で計算した。周期が長くなるほど、1つの周期に含まれる画素の欠陥(電源コンタクトの数)が多くなる。従って、欠陥による回折光についても、高次(2次以上)の回折光が出現するので、1次光~5次光の回折角を計算した。なお、画素ピッチが1μmのとき、ディスプレイが再生するホログラム像の回折角は、赤(波長633nm)で39.27度、緑(波長500nm)で30.00度、青(波長400nm)で23.58度である。
【0045】
参考例では、周期が最小周期に等しくなるので、そのときの回折角を計算した。実施例1,2では、3つの異なる周期で回折角の計算を行った。具体的には、画素が195個で電源コンタクトが5個のときの周期200μm、画素が585個で電源コンタクトが15個のときの周期600μm、画素が975個で電源コンタクトが25個のときの周期1000μmのそれぞれで回折角を計算した。
【0046】
図13から、画素と電源コンタクトの周期が長くなるほど回折角が小さくなることがわかる。この計算結果から、参考例では、0次回折光を基準に最大で5度程度までの角度で、画素の欠陥による回折光が観察されてしまう。しかし、実施例1,2のように周期を大きくすることで、5次回折光まで現れると仮定した場合でも、回折角が1度未満になり、回折光の観察が困難であることが分かる。
【符号の説明】
【0047】
1 画素抜け領域
2 画素
3 画素電極
4 画素領域
5 表示領域
6 バックプレーン
7,8 周辺回路
9 インターフェース
22 電源コンタクト
L 周期
M 最小周期
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10
図11A
図11B
図12
図13
図14