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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024170919
(43)【公開日】2024-12-11
(54)【発明の名称】服薬支援装置
(51)【国際特許分類】
   A61J 7/00 20060101AFI20241204BHJP
【FI】
A61J7/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023087686
(22)【出願日】2023-05-29
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100127111
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 修一
(72)【発明者】
【氏名】新妻 洋平
(72)【発明者】
【氏名】林 宏尚
(72)【発明者】
【氏名】東 輝充
(72)【発明者】
【氏名】山矢 優
(72)【発明者】
【氏名】杉山 吉秀
(72)【発明者】
【氏名】藤榮 博
(72)【発明者】
【氏名】山中 学
(72)【発明者】
【氏名】小嶋 晃
(72)【発明者】
【氏名】望月 孝飛
【テーマコード(参考)】
4C047
【Fターム(参考)】
4C047AA17
4C047JJ23
4C047JJ31
4C047NN03
4C047NN04
(57)【要約】      (修正有)
【課題】格納部の着脱を検出することにより、変更のあった場所のみ情報を更新することで最小限の確認で安全性を確保しつつ配薬動作の効率化が図れる服薬支援装置を提供する。
【解決手段】カートリッジ10と、配薬トレイと、キャリッジ及び移送部などの取出し移送手段と、カートリッジ10及び薬剤パック2の少なくとも何れかに付加されている服薬者名と服薬タイミングとを含んだ服薬関連情報を読み取る服薬関連情報読取り部と、薬剤パックの前記服薬関連情報を管理するパック情報管理システムと、カートリッジ10が装置本体に対して装着されたときのカートリッジ検知センサ70からの検知信号に基づいて、パック情報管理システムへ通知するとともに、パック情報読取手段をして、更新が必要なカートリッジ10の服薬関連情報を読み取らせる制御部と、を備える服薬支援装置である。
【選択図】図17
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤パックを格納する格納手段と、
特定の前記薬剤パックを特定の位置に配置する配薬手段と、
前記特定の前記薬剤パックを前記格納手段から取り出して前記配薬手段における特定の位置に移送する取出し移送手段と、
前記取出し移送手段に設けられ、前記格納手段及び前記薬剤パックの少なくとも何れかに付加されている服薬者名と服薬タイミングとを含んだ服薬関連情報を読み取るパック情報読取手段と、
前記薬剤パックの前記服薬関連情報を管理するパック情報管理システムと、
装置本体に対する前記格納手段の着脱を検知する格納検知手段と、
前記格納手段が前記装置本体に対して装着されたときの前記格納検知手段からの検知信号に基づいて、前記パック情報管理システムへ通知するとともに、前記パック情報読取手段をして、更新が必要な前記格納手段の前記服薬関連情報を読み取らせる制御手段と、
を備える服薬支援装置。
【請求項2】
請求項1に記載の服薬支援装置において、
前記格納検知手段は、光センサ、距離センサ、重量センサ及びプッシュスイッチの何れかを用いて構成されていることを特徴とする服薬支援装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の服薬支援装置において、
前記格納検知手段は、複数の前記格納手段毎に有することを特徴とする服薬支援装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の服薬支援装置において、
複数の前記格納手段は、一体となって格納手段一体化を構成され、前記装置本体に対して着脱可能となっており、
前記格納検知手段は、前記格納手段一体化の前記着脱状態を検知することを特徴とする服薬支援装置。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の服薬支援装置において、
前記パック情報管理システムは、前記格納検知手段により着脱検知された前記格納手段だけ前記パック情報読取手段による前記服薬関連情報の読込動作を行う変更箇所読取モードと、前記格納検知手段による着脱検知に関係なく全ての前記格納手段の前記読込動作を行う全個所読取モードを持つことを特徴とする服薬支援装置。
【請求項6】
請求項1又は2に記載の服薬支援装置において、
前記取出し移送手段は、前記特定の薬剤パックを前記格納手段から取り出す取出し手段と、前記格納手段から取り出した前記特定の薬剤パックを前記配薬手段における特定の位置に移送する移送手段とから構成されることを特徴とする服薬支援装置。
【請求項7】
請求項1又は2に記載の服薬支援装置において、
前記格納手段は、前記薬剤パックを段積みで格納するよう構成されており、
前記薬剤パックには、薬剤が一包化された薬剤一包化パックと、該薬剤一包化パックの複数が前記段積み方向に重ねられて結合された薬剤一包化パック結合体とが含まれることを特徴とする服薬支援装置。
【請求項8】
請求項1又は2に記載の服薬支援装置において、
前記装置本体には、前記格納手段を着脱自在に支持する格納支持手段が設けられており、
前記格納検知手段は、前記格納支持手段に配置されていることを特徴とする服薬支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、服薬支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
服薬支援装置において、服薬者もしくはその介護者の使用する服薬支援装置として、服用機会毎に分けて予め格納部にセットされた薬剤について定められた服薬管理ケースへ自動で配薬する技術が知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1記載の発明は、本発明とは確かに自動で配薬する点は類似するが、格納部の入れ替えがあったかを判断し、必要な場所のみ情報を更新するという問題は解消できていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、格納部の出し入れを検出することにより、変更のあった場所のみ情報を更新することで最小限の確認で安全性を確保しつつ配薬動作の効率化が図れる服薬支援装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、薬剤パックを格納する格納手段と、特定の前記薬剤パックを特定の位置に配置する配薬手段と、前記特定の前記薬剤パックを前記格納手段から取り出して前記配薬手段における特定の位置に移送する取出し移送手段と、前記取出し移送手段に設けられ、前記格納手段及び前記薬剤パックの少なくとも何れかに付加されている服薬者名と服薬タイミングとを含んだ服薬関連情報を読み取るパック情報読取手段と、前記薬剤パックの前記服薬関連情報を管理するパック情報管理システムと、装置本体に対する前記格納手段の着脱を検知する格納検知手段と、前記格納手段が前記装置本体に対して装着されたときの前記格納検知手段からの検知信号に基づいて、前記パック情報管理システムへ通知するとともに、前記パック情報読取手段をして、更新が必要な前記格納手段の前記服薬関連情報を読み取らせる制御手段と、を備える服薬支援装置にある。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、最小限の確認で安全性を確保しつつ配薬動作の効率化が図れる服薬支援装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】(a)は一実施形態に係る服薬支援装置を構成する配薬装置の要部の正面図、(b)は(a)の側面図である。
図2】(a)は単一の薬剤一包化パックの平面図、(b)は(a)の薬剤一包化パックをA矢視方向から見た側面図、(c)は薬剤一包化パック結合体の側面図、(d)はパック連続体の一般的な形態を示す図である。
図3】配薬トレイの一構成例を示す外観斜視図である。
図4】(a)は小分けボックス内に配置するQRコード(登録商標)付きラベルの取付例を示す図、(b)はQRコード(登録商標)付きラベルの表示例について説明する図である。
図5】(a)はカートリッジの一例の縦断面図、(b)は(a)の下面図である。
図6】(a)は図5(a)とは別例のカートリッジの縦断面図、(b)は(a)のカートリッジの下面図である。
図7】引出し部に設けられたカートリッジの着脱機構を示す要部の平断面図である。
図8】引出し部に備えられているカートリッジの識別構成を説明する模式的な平面図である。
図9】(a)はキャリッジの構成を示す正面図、(b)は(a)の平面図である。
図10】キャリッジの動作推移を示す正面図である。
図11図10に続くキャリッジの動作推移を示す正面図である。
図12図11に続くキャリッジの動作推移を示す正面図である。
図13】カートリッジに表示された服薬関連情報を読み取る動作を示す正面図である。
図14】(a)は移送部の要部構成を示す正面図、(b)は(a)の側面図である。
図15】配薬装置の主な制御構成を示す制御ブロック図である。
図16】服薬支援装置に係る制御ブロック図である。
図17】(a)、(b)はカートリッジの着脱(出し入れ)を検出するカートリッジ検知センサの説明図である。
図18】(1)はカートリッジが未セット状態のカートリッジトレイを示す図、(2)はカートリッジがカートリッジトレイにセットされた状態を示す図である。
図19】カートリッジ検知センサがそれぞれ配置された複数のカートリッジトレイの下面図である。
図20】(a)はカートリッジトレイセット部に複数のカートリッジが一体となったカートリッジ一体化群が未装着(未セット)である場合をカートリッジ検知センサで検知する動作図、(b)はカートリッジトレイセット部にカートリッジ一体化群が装着(セット)された状態をカートリッジ検知センサで検知する動作図である。
図21】配薬装置において、カートリッジトレイ毎に管理が分けて配置された実施例を示す図である。
図22】管理アプリの操作画面の一例を示す図である。
図23】実施例の読取判断の制御フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図を参照して実施例を含む本発明の実施の形態を詳細に説明する。各実施形態、各実施例等に亘り、同一の機能及び形状等を有する構成要素(部材や構成部品)等については、混同の虞がない限り一度説明した後では同一符号を付すことによりその説明を省略する。
【0009】
図1を参照して本発明の一実施形態に係る服薬支援装置を構成する配薬装置の要部の主要な構成を説明する。図1(a)は配薬装置の要部の主要な構成を模式的に示す正面図、図1(b)は図1(a)の側面構成を模式的に示す側面図である。
図1に示すように、配薬装置200の要部は、第1の格納部とも呼ばれるカートリッジ10と、第2の格納部とも呼ばれるカートリッジトレイ20と、引出し部80と、配薬トレイ30と、取出し部とも呼ばれるキャリッジ50と、移送部90と、第1出入り口部41~第4出入り口部44と、を備えている。
図1において、配薬装置200の左右方向ないしは横方向(幅方向でもある)をX方向と、前後方向ないしは奥行方向をY方向と、上下方向ないしは縦方向(鉛直方向でもある)をZ方向とする(後述の各図でも同じ)。
【0010】
カートリッジ10は、薬剤パックとして後述するように含まれる、薬剤が一包化された薬剤一包化パック(以下、単に「パック」ともいう)や薬剤一包化パック結合体等(後述する)を段積みで格納する本発明の第1の格納手段としての機能を有する。カートリッジ10は、配薬装置200の装置本体としての本体フレーム199内の中段及び下段に、カートリッジトレイ20を介して複数配置されている。カートリッジ10は、第2の格納手段としてのカートリッジトレイ20に対して着脱自在に構成されている。ここで、「段積みで格納する」とは、パックを略水平状態ないし平積み状態で格納することを意味する。
【0011】
カートリッジトレイ20は、後述するように複数のカートリッジ10を位置決めして格納することが可能に構成されている。カートリッジトレイ20は、少なくとも1個のカートリッジ10を載置し保持する第2の格納手段としての機能を有する。
【0012】
カートリッジ10は、配薬装置200の装置本体としての本体フレーム199内の最下部及び中央部に1つずつ設けられたカートリッジトレイ20を介して引出し部80に複数配置されている。図1の例で説明すると、4×5=20個のカートリッジ10が1つの引出し部80(カートリッジトレイ20)に載置し保持されている(後述する図7参照)。以下、説明の簡明化を図るため、引出し部80をカートリッジトレイ20と呼ぶことがある。
複数のカートリッジ10のそれぞれは、カートリッジトレイ20において仕切られた格子状の側壁及び底壁内に載置され収納されている。各カートリッジ10に対応したカートリッジトレイ20の底壁には、後述する動作で述べるようにパックの弾性ないしは自由変形を利用してカートリッジ10の下方からパックを取り出すための矩形状の貫通した開口部21(後述する図7参照)が形成されている。
【0013】
引出し部80は、カートリッジトレイ20を位置決めして保持することが可能に構成されている。引出し部80の外側壁には、スライドレール81が一対取り付けられていて、本体フレーム199には、引出し部80のスライドレール81と嵌合可能に本体レール(図示せず)が配設されている。このような本体レールとスライドレール81との嵌合構成により、カートリッジトレイ20が格納・保持されている引出し部80を本体フレーム199から引き出すことができるようになっている。
【0014】
配薬トレイ30は、移送部90により移送された特定のパックを配置する本発明の配薬手段ないしは配薬台としての機能を有する。配薬トレイ30は、図1に示すように、最上部の引出し部80におけるカートリッジトレイ20に装着されたカートリッジ10の更に上に配置される状態で2台配置されている。以下、配薬トレイ30の設置部位(パックが配薬トレイ30に自動的に配薬されるべく受け渡される箇所を意味する)を配薬部29とする。
【0015】
キャリッジ50は、特定のパックをカートリッジ10から取り出す取出し部であり、本発明の取出し手段としての機能を有する。
移送部90は、キャリッジ50によりカートリッジ10から取り出したパックを移送する本発明の移送手段としての機能を有する。
前記取出し手段(キャリッジ50)と前記移送手段(移送部90)とは、特定の薬剤パックを格納手段(カートリッジ10)から取り出して配薬手段(配薬トレイ30)における特定の位置に移送する、本発明における取出し移送手段としての機能を有する。
【0016】
第1出入り口部41及び第2出入り口部42は、カートリッジ10やカートリッジトレイ20を、引出し部80を介して本体フレーム199の内外に出入りさせる格納手段用出入口手段として機能する。本体フレーム199内にカートリッジ10を挿入しセットするときは、第1出入り口部41、第2出入り口部42からそれぞれ行う。第1出入り口部41、第2出入り口部42の開閉ドアを開き、カートリッジトレイ20がセットされている引出し部80を手前に引き出し、カートリッジ10やカートリッジトレイ20を着脱する。
【0017】
第3出入り口部43及び第4出入り口部44は、配薬装置200の最上段に2つ並んで配置されている配薬トレイ30のそれぞれを本体フレーム199の内外に出入りさせる配薬手段用出入口手段としての機能を有する。第3出入り口部43及び第4出入り口部44は、パックを配薬トレイ30に配置(以下、「セット」ないしは「挿入」ともいう)した直後に取り出せるように設けられている。
配薬装置200では、上記したように配薬トレイ30を2台配置しており、後述するように、例えば朝、昼、夕方、寝る前などの服薬タイミング毎の配薬トレイを設けている。配薬トレイ用の第3出入り口部43及び第4出入り口部44も配薬トレイ毎に設けているため、他の配薬トレイに配薬動作を行っているときでも別な配薬トレイを取り出すことも可能である。
【0018】
図1に示したカートリッジトレイ20は、最上段の配薬トレイ30の下方に上下2段の2箇所にまとめて設けているが、これに限らず、上側もしくは下側にまとめて設けてもよい。また、介護施設の人数によってはカートリッジトレイ20の配置を3段の構成とすることで同様の効果を得られるようにしてもよい。
【0019】
図2を参照して本発明の対象とする薬剤パックの概要を説明する。図2(a)は単一の薬剤一包化パックの一般的な形態を示す平面図、図2(b)は図2(a)の薬剤一包化パックをA矢視方向から見た側面図、図2(c)は薬剤一包化パックが段積みされた薬剤一包化パック結合体を見た側面図、図2(d)はパック連続体の一般的な形態を示す図である。なお、図2(b)、図2(c)では、薬剤の図示を省略して幾分模式的に図示している。
【0020】
本発明に係る薬剤パックの形態には、単一の薬剤一包化パック2と、薬剤一包化パック2の複数(図2(c)では2つ)が段積み方向に重ねられて、例えばホチキス止めで結合された薬剤一包化パック結合体2A(以下、単に「パック結合体2A」とも称する)等とが含まれる。図2等では、主としてパック2を代表して図示するが、パック結合体2A等も含まれることは勿論である。
図2(a)に示すように、1つの薬剤一包化パック2は、例えば樹脂フィルムで形成されていて、カプセルや錠剤などの薬剤3が小分けにされて袋詰めにされている。薬剤一包化パック2は、薬剤3を覆う袋部2aと、ハッチングを施して示す3辺が圧着ないしは溶着された圧着部4とをそれぞれ有する。袋部2a側の辺は通常2つ折りにされていて、その間に薬剤3が挟み込まれており、圧着部4は薬剤3が袋部2aから漏れるのを防止する漏れ防止部を形成する。1つの薬剤一包化パック2内の薬剤3は、通常、服薬者に対する1回ごとの服薬単位となっている。
【0021】
薬剤一包化パック2は、薬局等に設置された薬剤分包機によって作成(分包)される。外装部分となる分包に使用される分包紙(分包シート)は、ロール状の長尺シートで、折り目が入って重なった状態でロールされており、シートの間に服用する薬剤3が挟み込まれる。薬剤3の周囲の折り目以外の3辺は、圧着部4によって複数回の服用分が順次封止・小分けにされ、所要の回数分の薬剤一包化パック2が連続シート状にされている。この連続シート状の薬剤一包化パックを「パック連続体」と称する。図2(d)に示すパック連続体1は、複数(同図に示す例では3回服用分)の薬剤一包化パック2が帯状に連なった状態のものである。パック連続体1は、通常、薬局等で使用者(実際に薬剤一包化パック内の薬剤を服用する者や、その服用を介助・支援する介助・支援者を含む他、種々の介護施設や医療施設等のスタッフ等(薬剤師、看護師や介護士、あるいは服薬支援者を含む概念である)に対して提供・販売されている一般的な形態である。説明の簡明化を図る観点から、以下の説明では1つのパックに同じ形態(カプセルや錠剤等)の薬剤を封入されているものを図示しているが、使用者の用途及び目的等に応じて1つのパックに封入されている薬剤が異なるものが用いられることがあることは無論である。
【0022】
薬剤一包化パック2は、図2に示す例では平面視で矩形状をなし、この例のように3辺を圧着して封止する包装方式は、一般には3方包装と呼ばれており、上市されている薬剤分包機の殆どがこの方式でパックを作製するものである。
【0023】
圧着部4は、大よそ10~15mm程度の帯状の幅を有しており、薬剤3が視認できる透明ないしは半透明のフィルム状の袋部2a部分と比べて剛性が高くなっている。薬剤分包機の作成(分包)においてパック連続体1を構成している複数の薬剤一包化パック2が上流側から下流側に連続して隣り合う薬剤一包化パック2の圧着部4の中央部には、ミシン目5が施された境界部2bが形成されている。手に不自由がない使用者等では、ミシン目5で手によって千切ったり、あるいはハサミや専用のカッターなどによりミシン目5付近で切断したりすることにより、1つの薬剤一包化パック2を得る。
【0024】
図2(c)に一例を示すように、パック結合体2Aが用いられることもある。パック結合体2Aは、複数(図2cでは2個を示す)の薬剤一包化パック2における3辺の圧着部4のうちの中央部箇所をホチキス止め8(図2c参照)などで締結したものや、テープ結合などで一体化されているもの、或いは漢方パックやPTP(Press・Through・Pack)包装シートなどが一体になっているものなども挙げられる。
【0025】
薬剤一包化パック2の袋部2aの表面には、服薬者名と服薬タイミング(服用タイミングともいう)とを含んだ服薬に関する情報として第1の服薬関連情報(以下、単に「服薬関連情報」という)が付加してある。図2に示すパック2では、服薬関連情報として、パック2の薬剤3を服用する服薬者名を文字列で表した服薬関連情報6aと、薬剤3を服用する時期(服薬タイミング)を文字列で表した服薬関連情報6bと、これらの服薬者名及び服薬タイミングをQRコード(登録商標)で表した服薬関連情報6cとを付加している。
図2に示すパック2では、文字列の服薬関連情報6a、6bとQRコード(登録商標)の服薬関連情報6cとを付加しているが、これに限らず、バーコードや近距離無線を用いてタグ情報を読み取る場合に用いられるRFIDタグ等を用いても構わない。
【0026】
さらには、パック内に処方された薬剤の種類(薬剤の形状を含む)と錠数、薬剤自体に刻印されている情報なども服薬関連情報として挙げられる。服薬関連情報は、個別の情報だけを取得・使用しても良く、複数の情報を組み合わせて取得・使用しても良い。例えば、服薬者の確認だけを行う場合は服薬者名情報だけで良く、重要な薬剤の飲み忘れを防止したい場合などは、服薬者名とパック内の薬剤の錠数や薬剤の形状の情報を一緒に確認すればよい。即ち、服薬関連情報には、服薬者名、パックの薬剤を服用する時期(服薬タイミング)及びパック内に処方された薬剤の種類と錠数のうちの少なくとも1つの情報が含まれる。
【0027】
図3を参照して配薬トレイについて説明する。図3は配薬トレイの一構成例を示す外観斜視図である。図3に示すように、配薬トレイ30は、特定のパックを配置するための複数の仕切りとしての仕切り部材である仕切り壁31を有し、それぞれ4つの立設した仕切り壁31によって仕切られている。配薬トレイ30に形成されている20箇所の区画33は、X方向(行送り方向)に5列、Y方向(文字送り方向)に4行からなる行列の成分として表現できる。これにより、配薬トレイ30の20箇所の各区画33は、5列4行の行列の成分・番地で一義的に位置付けることができる。更に配薬トレイ30は、配置されたパック2を載置する底壁32を有する。このように、配薬トレイ30は、複数(4つ)の仕切り壁31及び共通の底壁32によって、特定の区画33に配置された特定のパック(図示せず)が他の区画33内のパック(図示せず)と混じり合ったり、底壁32から脱落したりしないように特定の区画33に確実に配置されるように構成されている。
【0028】
図3に示す配薬トレイ30において、正面外側壁面に表示されている「フロアA 昼食後 配薬トレイ」は、例えば介護施設等において同じフロアAに居住する複数の服薬者の昼食後(図2に示すパック2の服薬関連情報6a、6bの朝食時でもある)に服用するパックを配置する配薬トレイであることを表している。
【0029】
同図に示す配薬トレイ30は、各区画33内に着脱可能な小分けボックス34を用いる場合を示している。小分けボックス34は、例えば介護施設等の居住者であるAさんからTさんに亘る計20名分の昼食後に服用すべき薬剤が封入されたパック2を保持するものである。即ち、同図に示す配薬トレイ30は、複数の仕切りによって仕切られた所定(特定)の区画33に小分けボックス34を介して特定のパックを配置する場合に用いられる。なお、配薬トレイ30に対するパック2を配置する動作は、小分けボックス34を用いない場合がある。
【0030】
図4を参照して配薬トレイに用いる小分けボックス内に配置したQRコード(登録商標)付きラベルの一例について説明する。図4(a)は配薬トレイに用いる小分けボックス内に配置するQRコード(登録商標)付きラベルの取付例を示す図、図4(b)はQRコード(登録商標)付きラベルの表示例について説明する図である。カートリッジ10から取り出したパック2の配薬場所を指定するために、服薬者名を表わす服薬関連情報6a、服薬タイミングを表わす服薬関連情報6b、これらの服薬関連情報6a、6bをQRコード(登録商標)で表わす服薬関連情報6cが印字されているQRコード付きラベル7を配薬トレイ30の小分けボックス34内側の底面に貼着することなどで取り付け、配置しておく。
【0031】
後述する図9で説明するQRコードリーダ下67にて、QRコード付きラベル7のQRコード(登録商標)を読み取り、キャリッジ50の位置情報であるX位置及びY位置の座標と、QRコード(登録商標)(服薬者名、服薬タイミング)を紐づけすることで、カートリッジから取り出したパックを適切な位置に配薬することが可能となる。QRコード付きラベル7は、シール状のものを直接小分けボックス34に取り付けても良いし、不図示のプレートにつけて小分けボックス34内に配置しても良い。
また、配薬トレイ30の各区画33にQRコードラベルを貼り付けても良いし、上記不図示のプレートを設置しても良い(小分けボックス34を使用しない場合)。その際、小分けボックス34を使用することで、配薬トレイ30からパック2が収納された小分けボックス34を取出し、入居者(服薬者)の下に適正なパック2を移動できるため、パックの取り間違いやパックを落とす心配もない。
【0032】
配薬トレイ30の各区画33には、服用するパックによって服薬者毎にセットないしは挿入位置が決まっている。換言すれば、配薬トレイ30内の複数の区画33は、同じ服薬タイミングにおいて複数の服薬者毎に割り振られていてもよい。また、特定の服薬者が特定の服薬タイミングで服薬しない場合には、特定の服薬タイミングで特定の服薬者にパックが配置されないようにしておくことも可能である。
【0033】
上記配薬トレイ30に限らず、配薬トレイ30の複数の区画33が各服薬者の服薬タイミング毎に割り振られる例であってもよい。具体的には、複数の区画33が、朝、昼、夕、寝る前に服用するパック2の服薬タイミング毎に、かつ服薬者毎に割り振られていてもよい。このような例の配薬トレイ30では、フロアや、複数の服薬者が居住する部屋単位で配薬トレイ30を管理し、その日(もしくは数日)分のパック2を配薬トレイ30に予め配薬することが可能となる。
【0034】
上記例によれば、各区画を、例えば朝、昼、夕、寝る前などの服薬タイミング毎に割り振ることにより、服薬者毎の服薬するタイミングを間違えないようにできる。上述した配薬トレイ30の構成例に限らず、服薬者と服薬するタイミングとの組み合わせで種々の例が考えられるが、本発明の開示範囲を超えるため上記説明に留める。
【0035】
図5図6を参照してカートリッジの例について説明する。図5(a)はカートリッジの縦断面図、図6(a)は図5(a)とは別例のカートリッジの縦断面図、図5(b)は図5(a)の、図6(b)は図6(a)のカートリッジの下面図である。なお、図5(a)、図6(a)の各縦断面図では、図面の簡明化を図るため、カートリッジ10内に格納されているパック2の圧着部4(図2参照)の部分の図示を省略してパック2を模式的に示す。また、同様の趣旨から支持部(支持部右12、支持部左13等)の断面ハッチング表示も省略し模式的に示す。
図5及び図6に示すカートリッジ10は、形状等に関する構成は同じで、服薬関連情報6cに係るQRコード(登録商標)の表示位置及び表示部材が相違する。形状等に関する構成については図5で代表して説明する。
【0036】
カートリッジ10は、ケース部11と、フタ部14と、パック取出し開口部17と、可動板16と、パック姿勢保持部15と、支持部としての支持部右12、支持部左13とから主に構成されている。
ケース部11は、複数のパック2やパック結合体2A(以下、パック2で代表して説明する)を格納する機能を有する。ケース部11は、例えば樹脂を用いて一体的もしくは別体的に形成されている。フタ部14は、パック2を挿入可能にする機能を有する。パック取出し開口部17は、ケース部11の下部ないし底部に形成されており、カートリッジ10内のパック2を取り出すための開口部であり、キャリッジ50(図1図9等参照)によりカートリッジ10から取り出されるパック2を通過させる機能を有する。
【0037】
可動板16は、パック2の倒れの防止、及びケース部11に格納可能な最大数のパック2のうちの1パック目が取り出された後に最下部のパック2をパック取出し開口部17付近に移動させる機能を有する。パック姿勢保持部15は、パック2の姿勢を保持する機能を有する。支持部右12及び支持部左13は、ケース部11内のパック2を支持ないし保持する機能も有する。
【0038】
本実施形態では、キャリッジ50によりカートリッジ10から取り出されるパック2の被取出し部が、カートリッジ10内の下部ないしは底部に有する。即ち、前記被取出し部は、カートリッジ10から取り出されるパック2を複数個所で支持する支持部ないし支持部材としての支持部右12及び支持部左13と、パック取出し開口部17とを有して構成されている。
【0039】
キャリッジ50でカートリッジ10からパック2を取り出しするときには、支持部右12及び支持部左13はパック2の通過を許容するように構成されている。一方、カートリッジ10からパック2を取り出ししないときには、ケース部11内に複数のパック2を格納保持しておくように支持部右12及び支持部左13はパック2の通過を規制するように構成されている。
【0040】
上述した通り、支持部右12及び支持部左13は、カートリッジ10内のパック2を支持ないし保持する支持部であると共に、キャリッジ50によるカートリッジ10からのパック2の取り出し動作が安定するようにそれぞれ不動状態で設けられている。支持部右12及び支持部左13は、パック取出し開口部17の右底壁端部、左底壁端部の底壁内面11eにそれぞれ固定ないし固着した状態で設けられた固定部材である。
パック取出し開口部17は、パック2を取り出すために後述する図9等に示すキャリッジ50の吸着パッド52を通過させる機能を有すると共に、取り出したパック2及び吸着パッド52を通過させる機能とを併せ持っている。即ち、パック取出し開口部17と、パック取出し開口部17を囲む状態で設けられた上記右底壁端部及び上記左底壁端部とは、パック取出し通過部としての機能を有する。
【0041】
図5中のカートリッジ10において、当該カートリッジ10に格納されているパック2を、吸着パッド52(後述の図11(d)参照)が吸着する位置52’(以下、「吸着パッド位置」ともいう)を図5(b)の円形状の二点鎖線で示している。支持部右12と支持部左13は、カートリッジ10内のパック2がパック取出し開口部17から落下しないようにカートリッジ10内のパック2を支持している。後述するキャリッジ50の動作で説明するように、カートリッジ10内の最下部のパック2を吸着パッド52にて吸着しながら取り出す際、支持部右12の両端近傍のY方向の2箇所の吸着パッド位置において、吸着パッド52にてパック2を吸着する位置関係となっている。カートリッジ10から最下部のパック2を吸着パッド52にて取り出す際、2つの吸着パッド52が支持部右12のY方向の両端近傍を通過してパック2を吸着し保持することとなる。
【0042】
図5に示すように、支持部右12のY方向の両端付近2箇所に吸着パッド位置を配置することにより、吸着パッド52での吸着不能となる不具合発生の恐れも未然に回避して、取り出すことが可能となる。即ち、Y方向の両側のパック2が吸着パッド52で吸着されているため、パック2におけるフィルム製の袋部2aは2つの吸着パッドの吸着により突っ張った形となり変形に耐えることができる。これにより、カートリッジ10内のパック2の確実な支持ないしは保持と、パック2のスムーズな取り出しやすさとを両立させることが可能となる。
【0043】
パック姿勢保持部15は、適度な弾性を持つスポンジゴムで形成されている。可動板16は、例えば樹脂又は金属等で形成されている。パック姿勢保持部15及び可動板16は、ケース部11内に格納された複数のパック2の姿勢を正常に保持(図5(a)に明示したように、パック2の姿勢をZ方向に沿って整然と略水平状態に保持)するものでもある。可動板16は、上記機能を発揮すべく、自らの自重によってケース部11内をZ方向下向きに下降することで、ケース部11内に残された少なくとも1つのパック2をパック取出し開口部17付近に確実に移動させるように設定されている。
図5(a)に示すように、ケース部11の側壁には、X方向に所定の幅でZ方向に延びた長溝11aが形成されている。可動板16の一側端部には、フランジ付きの軸16aが長溝11aから突出して設けられている。可動板16は、軸16aが長溝11aに沿ってZ方向に案内されることで、パック2の姿勢をZ方向に沿って保持することができる。図5ではカートリッジ10内のパック2は、略水平状態の段積みで、図において左側の薬剤封入部分が膨らんだ状態の姿勢(図示省略されている)で格納されているが、これらパック2の詳細な状態は省略されている。
【0044】
ケース部11内へのパック2のセットは、支持部右12、支持部左13側のパック取出し開口部17から上に向かって順番に格納する。カートリッジ10内へパック2を補充するタイミングは、例えば介護施設などの服薬者(入居者)の診察タイミング(通常2週間)やカートリッジ10内のパック2が無くなったタイミングでよい。補充するときにパック2がカートリッジ10内に残っている場合は、残っているパック2の後ろから続けて補充する。
上述したカートリッジ10内へのパック2のセットやパック2の補充は、介護施設などのスタッフ等が行うものであるが、格納部がカートリッジ化されて自動で行うような構成ではこの限りではない。
【0045】
フタ部14は、カートリッジ10内に格納されているパック2の出し入れを介護施設などのスタッフ等が可能とすべく行うものであり、図5(a)に示すように、ケース部11のZ方向に渡り長くかつ所定の開口幅をもって形成されている。
【0046】
図5(b)に示すように、カートリッジ10内のパック2の種類としては、例えばAさん(具体例としては海老名 みどりさん)に対応した朝飲む薬の14日分といったように飲むタイミング毎に分けている。したがってAさん(海老名 みどり)が朝以外にも昼や夕方、寝る前に服薬する場合には、カートリッジ10は合計4個必要となる。
上記例に限らず、例えば服薬者(人)毎に設定された単一のカートリッジ10でもよく、カートリッジ10のパック取出し方向となるパック取出し開口部17から上に向かって順に1日目の朝→昼→夕方→寝る前→2日目の朝→昼→夕方・・・のようにしてもよい。
【0047】
本出願人が提案した特開2021-185976号公報記載の技術では、その図8Aに示されているようなフラップ機構のフラップ部左12(回転軸12aと右底壁端部との間には所定範囲の付勢力を持つねじりコイルバネが装着されている)と、フラップ部右13(パック取出し開口部17の右底壁端部に設けられた図示しない回転軸を中心として揺動・開閉可能に設けられている)との組み合わせに係る技術が開示されている。しかしながら、上記の技術では、カートリッジ(格納部)からパックを取り出す際に、フラップ部左12やフラップ部右13とパック取出し開口部17の底壁内面11eとの間にパックが挟まってしまい、パック2の取り出し動作が安定しないという問題があった。
【0048】
本発明の一実施形態では、上記問題も解決すべく、キャリッジ50によるカートリッジ10からのパック2の取り出し動作が常に安定するように支持部右12及び支持部左13をケース部11のパック取出し開口部17の底壁内面11eに固定部材として固定した。換言すれば、支持部右12及び支持部左13は、カートリッジ10の下部のパック取出し開口部17において、薬剤パック(パック2やパック結合体2A等)の両端部を保持するための支持部右12と支持部左13が固定された状態で配置されている。
【0049】
パック2の吸着される側の端部支持部を支持部右12で、反対側の端部支持部を支持部左13で、カートリッジ10内に格納セットされたパック2がセット状態で落下しないように支えられている。支持部右12及び支持部左13は、パック2を支持するパックの支持長さが異なっており、支持部右12の方が支持長さが短い構成としている。カートリッジ10内に格納されている一番下(最下部)のパック2が吸着パッド52で吸着されカートリッジ10から引き抜かれる際に、パック2等の薬剤パックが弾性ないしは自由変形で撓み引き抜きやすい構成及び動作(後述する図11(d)参照)としている。
【0050】
このとき、支持部(支持部右12及び支持部左13)は固定式であるため、次のパック2の先端を確実に保持することができ、前のパック2につられて飛び出したり落下したりすることはない。また、支持部(支持部右12及び支持部左13)は揺動・回転しないため、戻り動作でのパック2の挟み込みや押し込みでの変形なども発生せず、安定した状態で保持されることとなる。
【0051】
図5に示すように、カートリッジ10のパック取出し開口部17からは薬剤パック(パック2やパック結合体2A等)に表示されている服薬関連情報6a、6b、6cが露出していて、後述する図9に示すようにキャリッジ50に搭載されているQRコードリーダ上66により薬剤パックの服薬関連情報6cを読み取ることが可能に構成されている。図5では、図の簡明化を図るために、カートリッジ10の最下部に格納されているパック2やパック結合体2A等にのみ服薬関連情報6cを表示しているが、カートリッジ10内に格納されている全てのパック2やパック結合体2A等に表示されていることは無論である。
【0052】
また、薬剤パック(パック2やパック結合体2A等)にQRコード(登録商標)などの服薬関連情報6cを付与できない場合(例えば、パック2等を作製する分包機がQRコード(登録商標)の印字に対応できない場合)には、図6に示すようにしても良い。即ち、図6に示すように、パック取出し開口部17近傍の支持部左13の底面に服薬関連情報6cに係るQRコード(登録商標)が付加されたラベルを貼り付ける。これにより、カートリッジ10内に格納されている薬剤パック(パック2やパック結合体2A等)の服薬関連情報6cを得ることができる。なお、服薬関連情報6cを得るには、QRコード(登録商標)のラベル貼り付けに代えて、カートリッジ10に直接印字しても良い。
【0053】
図7図8を参照して引出し部に設けられたカートリッジの着脱機構及び動作について説明する。図7は引出し部に設けられたカートリッジの着脱機構を示す要部の平断面図、図8は引出し部に備えられているカートリッジの識別構成を説明する模式的な平面図である。図7に示すように、引出し部80は、カートリッジトレイ20を介して複数のカートリッジ10を着脱可能にすべく構成されている。このように着脱可能に構成されたカートリッジ10は、一般的に「格納部」とも呼ばれる。引出し部80はカートリッジトレイ20を保持すべくカートリッジトレイ20と一体的に構成されている。引出し部80におけるカートリッジトレイ20のケース部22の左右外側壁面には、スライドレール81がそれぞれ備わっており、各スライドレール81は本体フレーム199(図1参照)側に配設されている本体レール(図示せず)と摺動可能になっている。これにより、引出し部80(カートリッジトレイ20)は、スライドレール81と本体レール(図示せず)との係合を介して、本体フレーム199(図1参照)内から引き出して着脱を行うことができる。
【0054】
また、図7に示すように、引出し部80のカートリッジトレイ20に対するカートリッジ10の着脱は、引出し部80のケース部22の内壁面に内側に向かって突出形成された一対の凸部23aと、カートリッジ10のケース部11の外壁部に形成された一対の凹部11cとの係合・離脱、及びケース部22の内壁面とケース部11の外壁部に形成された4箇所の半球状突起11dとの係合・離脱を介して行われる。引出し部80の上記着脱構成により、複数のカートリッジ10の着脱動作を簡単かつ操作性よく行うことができる。
上述の例では、凹凸部の嵌め合い・係合を介して着脱可能にしているが、これに限らず、ケース部22の内壁面とケース部11の外壁面との隙間に弾性材を設けておくことや、磁力を用いた構成や、或いはスナップフィット構造でも上記と同様の効果を得ることができる。また、図7図8に示すように、引出し部80のカートリッジトレイ20の底壁には、個々のカートリッジ10がカートリッジトレイ20の個々の格納部23に装着されたときに、カートリッジ10のパック取出し開口部17(図5図6参照)に連通する開口部21が貫通形成されている。図7図8に示すカートリッジトレイ20の開口部21の形状は、貫通した矩形状にやや小さめに模式的に示すが、後述する図18図20等に示すように実施例に応じて形成されることは言うまでもない。
【0055】
引出し部80のカートリッジトレイ20は、図8に示すように、横にAからDの4列、縦に1~5の5行からなる20個のカートリッジ10を格納する格納部23を有している。引出し部80は、着脱操作する際に手で把持する取っ手26の近傍に、複数のカートリッジ10の設置個所が分かるようなLED(発光ダイオード)25a1~25d5などの案内表示部を備えている。これにより、対象とするカートリッジ10が引出し部80、カートリッジトレイ20内のどこにあるかを一見して把握することができる。同図において、LED25a1はカートリッジトレイ20の格納部A1(縦の列と横の行で一義的に決定される部位ないしは区画を表す)に対応して着脱されるカートリッジ10の有無を検出するものである。同様に、LED25a2はカートリッジトレイ20の格納部A2の部位に対応して、LED25a3はカートリッジトレイ20の格納部A3の部位に対応して、LED25a4はカートリッジトレイ20の格納部A4の部位に対応して、LED25a5はカートリッジトレイ20の格納部A5の部位に対応している。また、B~D列の1~5の格納部についても同様に、図8に示すように、各格納部に対応して、各格納部に着脱されるカートリッジ10の有無を表示するLEDが設けられている。
なお、LED25a1~25d5などの案内表示部の場合、カートリッジ10を格納部23に装着する作業者であるスタッフがLED25a1~25d5の点灯箇所を見間違えること等により、カートリッジ10を所定の格納部23以外の格納部に装着(誤装着)する可能性がある。そこで、LED25a1~25d5などの案内表示部に代えて、例えば、各格納部23にセンサやスイッチなどの検知手段を設けることにより、カートリッジ10の有無を電気的(自動的に)に識別するようにしてもよい。
【0056】
また、個々の格納部を識別できるように、番号やバーコード、QRコード(登録商標)、又は非接触ICタグなどを格納部に備えておき、誰の薬がどの格納部に入っているかをシステム側で記憶させておくとよい。そして、次に格納部を装着した引出し部を装置本体にセットした後に、装置本体側が個々の格納部を識別する。これにより、対象のパックを間違えずに装置が取り出し・ピックすることができる。
【0057】
なお、図7図8に示した引出し部80に設けられたカートリッジトレイ20には、後述するように、カートリッジ10の着脱(出し入れ)をセンサで検出する構成も配置されているが、本一実施形態の要部に相当するため、その詳細は図15等を参照して後述する。
【0058】
図9図12を参照してキャリッジ(取出し部、取出し手段)の構成及び動作について説明する。図9(a)はキャリッジの構成を示す正面図、図9(b)は図9(a)の平面図、図10図12はキャリッジの動作推移を示す正面図である。なお、図の簡明化を図るため、キャリッジの構成における負圧発生器45等の接続関係図は、図9(a)のみに示し、後述の図10図13等では省略する。
図9に示すように、キャリッジ50は、カートリッジ10からパック2を取り出し保持する吸着部51を備えている。吸着部51は、パック2の吸着及び剥離を行う機能を有している。パック2の吸着を行うときには、負与圧切換手段としての負圧発生器45により変換された負圧エアを用いてパック2の吸着を行う機能を有する。また、パック2の剥離を行うときには、負圧発生器45により変換された与圧エアを用いてパック2の剥離を行う機能を有している。
【0059】
上記した吸着部51は、図9(a)に示すように、空気圧縮手段である空気圧縮機46からの正圧を、空気タンク47を介して負圧発生器45で負圧に変換を行うことにより、負圧状態にしてパック2を吸着する。空気圧縮機46は、移送部90の外部に設置され、空気タンク47、及び負圧発生器45を介してエア配管49などの連通部材によって吸着部51に接続されている。負圧発生器45と吸着部51との間のエア配管49には、負圧を計測する圧力センサ(図示せず)の計測によって負圧が所定の値以下となったときに、吸着部51がパック2を吸着したと判断できるようにしている。
【0060】
エア配管49は、キャリッジ50が配薬装置200の内部を移動しても突っ張らないように、ハーネスなどと共にケーブルペア等を通して設けられている。即ち、図1(a)、図1(b)に示すように、エア配管49は、X軸、Y軸、Z軸でそれぞれ1ターンの経路を有している。そして、エア配管49は、負圧発生器45から先ずZ軸方向に沿って延設されて1ターンし、次いでX方向に沿って延設されて1ターンし、最後にY軸方向に沿って延設されて1ターンして吸着部51に接続される。
【0061】
吸着部51はまた、パック2を吸着する吸着パッド52と、吸着パッド52に接続された吸着ダクト53とを有する。負圧発生器45は、真空エジェクタバルブとも呼ばれ、エア配管49を介して吸着ダクト53に連通されている。吸着パッド52は、カートリッジ10内のパック2を吸着して取り出すエア吸着手段ないしは吸着部材としての機能を有する。吸着パッド52の一端である図9(a)における上端は、上記したようにパック2を吸着すべく配設されている。吸着パッド52の他端である図9(a)における下端は、吸着ダクト53の一端である図9(a)における上端に取り付け固定されている。吸着ダクト53の他端である図9(a)における下端は、吸着パッド支持部材54に取り付け固定されている。吸着パッド52及び吸着ダクト53は、Y方向に一対設けられている。
【0062】
キャリッジ50はまた、カートリッジ10から取り出したパック2の姿勢を略鉛直状態に姿勢変更する姿勢変更手段を有する。キャリッジ50における姿勢変更手段は、主要な構成部材として、回転軸55を介して吸着部ベース部材57に連結された吸着パッド支持部材54と、特有形状のガイド溝59aが形成されたガイド部材59と、ガイド部材59のガイド溝59aに常に嵌入して吸着パッド支持部材54を案内するガイド軸56と、吸着部上下移動部とを挙げることができる。
吸着パッド支持部材54は、回転軸55を介して吸着部ベース部材57に連結されている。吸着パッド支持部材54は、吸着パッド支持部材54に固定された回転軸55の回りに所定角度の範囲で回動可能(即ち揺動可能)に設けられていてもよいし、吸着部ベース部材57に固定された回転軸55の回りに揺動可能に設けられていてもよい。つまり、図9において、回転軸55の中心と後述するガイドロッド58の中心とをX方向に結ぶ距離は、吸着部ベース部材57がガイドロッド58に沿って上下方向Zに移動する際に常に一定に保たれるように設定されている。
【0063】
前記吸着部上下移動部は、吸着部ベース部材57をZ方向に案内する、Y方向に一対設けられたガイドロッド58と、駆動プーリ60と従動プーリ61とに巻き掛けられた無端状のベルト62と、ギアやベルトなどの駆動伝達部材を介して駆動プーリ60に連結された駆動モータ63とを有する。駆動モータ63は、前記吸着部上下移動部の駆動手段ないしは駆動源である。
【0064】
吸着部ベース部材57は、吸着部ベース部材57の右端部に固設されたベルト掴み部62aでベルト62に結合され固定されている。ガイドロッド58は、Z方向に延びてY方向に一対設けられ、それらの下端部はキャリッジ50に設けられた取出しフレーム50aの底フレーム50bに固設されている。
吸着部ベース部材57の右端部側には、ガイドロッド58に挿入される被ガイド穴57aが形成されている。駆動プーリ60と従動プーリ61とは、それぞれ図示を省略したプーリ軸が取出しフレーム50a側の不動部材に回動可能に支持されている。駆動モータ63は、キャリッジ50の取出しフレーム50a側の不動部材に固設されている。
【0065】
駆動モータ63の作動による吸着部ベース部材57の上下移動時には、吸着部ベース部材57が各ガイドロッド58に沿ってZ方向に移動するため、吸着部ベース部材57のXY平面の姿勢を略水平状態に一定にすることが可能となる。なお、前記吸着部上下移動部は、上記したベルト駆動による上下往復運動機構に限らず、ラックアンドピニオンなどを用いた往復直線運動機構等であってもよい。
【0066】
ガイド部材59は、吸着部51のY方向の両側に吸着パッド支持部材54を挟んで一対設けられ、その下端部が底フレーム50bに固設されている。ガイド軸56は、吸着パッド支持部材54のY方向の両端部に突出して設けられ、ガイド部材59のガイド溝59aに常に嵌入して吸着パッド支持部材54を案内するよう設けられている。ガイド軸56は、図9(a)に示すように、吸着パッド支持部材54の回転軸55のZ方向の下側に、回転軸55と一定の距離を持って設けられている。
【0067】
駆動モータ63の作動による吸着部ベース部材57のZ方向への移動時には、吸着部ベース部材57のXY平面の姿勢を略水平状態に一定に保ちつつ、かつ、吸着パッド支持部材54のガイド軸56が特有形状のガイド溝59aに沿ってZ方向に移動するため、吸着パッド52の姿勢を略90度回転することが可能となる(図9(a)には、吸着部51が略90度回転したときの様子を太い破線で示す)。ここで、略水平状態とは、水平状態を含む他、水平に対して所定の角度公差範囲内にあることを意味する。
【0068】
特有形状のガイド溝59aは、ガイド軸56の案内によって、略水平状態の吸着パッド支持部材54を介して図9(a)に実線で示すように吸着パッド52の姿勢を上向きに保持するように、Z方向に比較的長く延びて形成された第1のガイド溝部分と、この第1のガイド溝部分に連通して接続し、下側に行くに従い徐々に右側に緩く円弧を描くように形成され、吸着パッド支持部材54及び吸着パッド52の姿勢を略90度回転させる第2のガイド溝部分とからなる。
【0069】
図9に示すように、キャリッジ50は、カートリッジ10に格納されているパック2等に表示されたQRコード(登録商標)の服薬関連情報6c(図5参照)を読み取る、服薬関連情報読取り部ないしパック情報読取手段としてのQRコードリーダ上66を搭載している。このQRコードリーダ上66は、服薬関連情報6cを読み取る上部読取り部66aを上部に有し、服薬関連情報読取り部65(後述する図15図16参照)としての機能も有する。QRコードリーダ上66は、キャリッジ50の側面に取り付けられている。QRコードリーダ上66は、カートリッジ10におけるパック取出し開口部17の支持部左13に貼り付けられたラベル(図6参照)に表示された服薬関連情報6cに係るQRコード(登録商標)を読み取るときにも用いられる。QRコードリーダ上66の上部読取り部66aによる服薬関連情報6cに係るQRコード(登録商標)の読み取り動作は、キャリッジ50によるカートリッジ10からのパック2の取出し動作の直前に行われる場合で説明する。
【0070】
図9において、キャリッジ50はまた、図4で説明した小分けボックス34に貼り付けられたラベル7の服薬関連情報6cに係るQRコード(登録商標)を読み取る、服薬関連情報読取り部65ないしパック情報読取手段としてのQRコードリーダ下67も搭載している。このQRコードリーダ下67は、服薬関連情報読取り部65としても機能する下部読取り部67aを下部に有し、QRコードリーダ上66の下方のキャリッジ50の側面に取り付けられている。QRコードリーダ下67の下部読取り部67aによる小分けボックス34の服薬関連情報6cに係るQRコード(登録商標)の読み取り動作は、カートリッジ10から取出したパック2の配薬トレイ30の小分けボックス34への配薬動作の直前に行われる場合で説明する。
【0071】
図10図12を参照してキャリッジ50の動作を説明する。なお、ここでは説明の簡明化を図って理解し易くするために、図1の移送部90による動作によってキャリッジ50が、図1における本体フレーム199の上下に配置されている2つの引出し部80のうちの上方に配置されている引出し部80に保持されているカートリッジトレイ20の下方近傍に位置する状態にあるものとする。また、カートリッジ10としては図5に示すものが、カートリッジトレイ20としては図1に示すものがそれぞれ用いられているものとする。また、図の簡明化を図って理解し易くするために、図11(b)~図11(g)及び図12(i)、図12(j)の各図では、服薬関連情報6cに係るQRコード(登録商標)及びQRコードリーダ上66、QRコードリーダ下67の図示を故意に省略している。
【0072】
図10(a)において、図1の移送部90によってキャリッジ50はカートリッジ10及びカートリッジトレイ20の下部領域をX,Y方向に移動することが可能である。先ず、同図に示すように、キャリッジ50は取出す対象のパック2を格納しているカートリッジ10を保持しているカートリッジトレイ20の下方に移動して下記状態となる位置を占める。即ち、キャリッジ50のQRコードリーダ上66の上部読取り部66aがカートリッジトレイ20及びカートリッジ10の略真下(カートリッジトレイ20の開口部21からカートリッジ10内の最下部に格納されているパック2の服薬関連情報6cに係るQRコード(登録商標)が読取り可能となる読取範囲9)となる位置を占める。キャリッジ50は上記位置を占めた状態で、QRコードリーダ上66の上部読取り部66aによってパック2に表示されている服薬関連情報6cに係るQRコード(登録商標)を読み取る。
【0073】
次いで、図1の移送部90によって、キャリッジ50は図10(a)の位置状態から図11(b)に示すようにX方向の右側に若干移動することで、同じカートリッジ10から最下部のパック2を取出し可能となる位置に移動して移動停止状態になる。この際、前記吸着部上下移動部の駆動モータ63が停止されていて、吸着パッド52が取出し部上面位置(キャリッジ50の取出しフレーム50aの上面位置を意味する)よりも下に位置している。その後、図11(c)に示すように、駆動モータ63の作動により、吸着パッド52が上方向に移動し、支持部右12と支持部左13との間のパック取出し開口部17から進入してカートリッジ10の最下部に位置するパック2に接触すると同時にパック2を吸着する。その際には予め負圧発生器45が負圧を生じるべく駆動されていてパック2の吸着動作が可能な状態にある。
【0074】
次いで、図11(d)に示すように、駆動モータ63の逆転作動により、吸着パッド52にてパック2を吸着しながら吸着パッド52が下方向に移動し、カートリッジ10内からパック2の一端側としての先端側(吸着パッド52にて吸着している側を意味する。以下同じ)を引き出す。
【0075】
次いで、図11(e)に示すように、移送部90の動作によってキャリッジ50を横方向であるX方向に移動させてパック2の後端側をカートリッジ10から引き出す。その直後、図11(f)~図11(g)に示すように駆動モータ63の動作により、吸着パッド52に吸着保持されているパック2の略水平状態の姿勢を略90度回転させて、略水平状態に対して略垂直状態(以下、略鉛直状態ともいう)に変える。このときの回転運動は、吸着パッド支持部材54に設けられたガイド軸56がガイド部材59のガイド溝59aに沿って可動して移動するため、パック2の姿勢を略水平状態から略鉛直状態に変更することができる。この際の駆動源は単一の駆動モータ63の一連の動作によって行うことができる。
【0076】
次いで、図12(h)に示すように、略鉛直状態の姿勢でパック2を保持した状態の吸着パッド52を備えるキャリッジ50が移送部90によって所定の位置まで運ばれる。こうしてキャリッジ50のQRコードリーダ下67の下部読取り部67aが配薬トレイ30の所定の小分けボックス34(或いは所定の区画33)の下部に表示された服薬関連情報6cに係るQRコード(登録商標)が読取範囲9となる上記所定の位置を占めると、下部読取り部67aは服薬関連情報6cに係るQRコード(登録商標)を読み取る。
【0077】
次いで、図1の移送部90によって、キャリッジ50は図12(h)の位置状態から図12(i)に示すようにX方向の右側に若干移動することで、同じ配薬トレイ30の所定の小分けボックス34(或いは所定の区画33)に取出したパック2を差し込み可能となる位置で移動停止状態になる。こうしてキャリッジ50がパック2を差し込み可能となる配薬トレイ30の所定の小分けボックス34(或いは所定の区画33)の略真上まで運ばれると、負圧発生器45が負圧から与圧(正圧)を発生すべく短時間だけ駆動される。これにより、吸着パッド52から与圧のエアがパック2に対して吹き付けられることによりパック2の吸着保持が解除され、パック2が配薬トレイ30の所定の小分けボックス34(或いは所定の区画33)に差し込まれる(図12(j)参照)。
【0078】
上記動作を複数回行い、必要なパック2を配薬トレイ30の所定の区画33に差し込んだ後に、配薬トレイ30が第3出入り口部43(図1参照)から装置外に排出され、介護施設などのスタッフ等や服薬支援者が受け取る。
【0079】
図13を参照して図6に示したカートリッジ10の服薬関連情報6cに係るQRコード(登録商標)を図9のQRコードリーダ上66の上部読取り部66aで読み取る場合の動作について説明する。図6に示したカートリッジ10は、図5に示したカートリッジ10と比較して服薬関連情報6cに係るQRコード(登録商標)の表示位置を、パック2の袋部2aからカートリッジ10の支持部左13の底壁面に変えたことのみ相違する。
【0080】
そこで、図13に示すように、カートリッジ10の支持部左13の底壁面に表示された服薬関連情報6cに係るQRコード(登録商標)を読み取るためには、キャリッジ50のQRコードリーダ上66の上部読取り部66aがカートリッジ10の支持部左13の底壁面に表示された服薬関連情報6cに係るQRコード(登録商標)が読取り可能となる読取範囲9となる位置にキャリッジ50をX方向の左側に移動させれば良い。キャリッジ50は上記位置を占めた状態で、QRコードリーダ上66の上部読取り部66aによってカートリッジ10の支持部左13の底壁面に表示されている服薬関連情報6cに係るQRコード(登録商標)を読み取る。上記以外のキャリッジ50の動作は、図11(b)~図11(g)、図12(h)~図12(i)の説明と同様である。
【0081】
上述した通り、上記一実施形態では、カートリッジ10からパック2を取り出す際に、キャリッジ50をカートリッジ10及びカートリッジトレイ20の下側に位置させて、カートリッジ10の下方向からパック2が取り出される。このように、カートリッジ10の下側からパック2を取ることで次のパック2が下方向(パック取出し開口部17の方向)に、カートリッジ10内に残っているパック2及び可動板16の自重で自動的に移動するため、カートリッジ10内のパック2の残量に関わらず、キャリッジ50が簡易な構成で同一の動作をすることができる。
【0082】
図14を参照して移送部90の構成及び動作について説明する。図14(a)は移送部の要部構成を示す正面図、図14(b)は図14(a)の側面図である。図1の配薬装置200の構成のように、各カートリッジ10は本体フレーム199の最上部に配置された配薬トレイ30のZ方向の下方に平面上に並んでおり、また、配薬トレイ30は上部のカートリッジ10のさらに上部にあるため、キャリッジ50はX方向、Y方向、Z方向の3方向に動くようにしている。このように、移送部90は、キャリッジ50によってカートリッジ10から取り出したパック2を配薬トレイ30に受け渡すべく移送するために、キャリッジ50をX方向、Y方向及びZ方向に移動させる構成を有する。
【0083】
キャリッジ50をX方向に移動させる構成はX方向移送部91、キャリッジ50をY方向に移動させる構成はY方向移送部101、キャリッジ50をZ方向に移動させる構成はZ方向移送部111であり、それぞれ類似の構成を有する。
【0084】
X方向移送部91は、キャリッジ50に取付けられたXアダプタ96と、Xアダプタ96を介してキャリッジ50をX方向に案内するXガイド部材97と、駆動プーリ92と従動プーリ93との間に巻き掛けられた無端ベルト94と、駆動プーリ92にギアやベルト等の駆動力伝達部材を介して連結されたX方向移送用の駆動モータ95とを有する。Xアダプタ96には、3個のローラ98(3個のうち2個はキャリッジ50に隠れていて見えない)がXガイド部材97を挟み付ける状態で転動可能に取付けられている。また、Xアダプタ96は、ベルト掴み部(図示せず)を介して無端ベルト94に結合され固定されている。
【0085】
X方向移送部91の上記構成により、駆動モータ95が駆動すると、前記駆動力伝達部材及び駆動プーリ92を介して無端ベルト94へと駆動力が伝達されて無端ベルト94が回転走行し、キャリッジ50はXアダプタ96と共にXガイド部材97に沿ってX方向に移動する。
【0086】
Y方向移送部101は、キャリッジ50に取付けられたYアダプタ106と、Yアダプタ106を介してキャリッジ50をY方向に案内するYガイド部材107と、駆動プーリ102と従動プーリ103との間に巻き掛けられた無端ベルト104と、駆動プーリ102にギアやベルト等の駆動力伝達部材を介して連結されたY方向移送用の駆動モータ105とを有する。Yアダプタ106には、3個のローラ108がYガイド部材107を挟み付ける状態で転動可能に取付けられている。また、Yアダプタ106は、ベルト掴み部104aを介して無端ベルト104に結合され固定されている。
【0087】
Y方向移送部101の上記構成により、駆動モータ105が駆動すると、前記駆動力伝達部材及び駆動プーリ102を介して無端ベルト104へと駆動力が伝達されて無端ベルト104が回転走行し、キャリッジ50はYアダプタ106と共にYガイド部材107に沿ってY方向に移動する。
【0088】
Z方向移送部111は、Xガイド部材97のX方向の両端部に取付けられた一対のZアダプタ116と、Xガイド部材97及び一対のZアダプタ116を介してキャリッジ50をZ方向に案内する一対のZガイド部材117と、駆動プーリ112と従動プーリ113との間に巻き掛けられた無端ベルト114と、駆動プーリ112にギアやベルト等の駆動力伝達部材を介して連結されたZ方向移送用の駆動モータ115とを有する。Z方向移送部111では、駆動プーリ112、従動プーリ113及び無端ベルト114がX方向の両側にそれぞれ設けられているが、駆動モータ115は一方の駆動プーリ112にのみ設けられている。各Zアダプタ116には、3個のローラ118がZガイド部材117を挟み付ける状態で転動可能にそれぞれ取付けられている。また、各Zアダプタ116は、各ベルト掴み部114aを介して各無端ベルト114に結合され固定されている。
【0089】
Z方向移送部111の上記構成により、駆動モータ115が駆動すると、前記駆動力伝達部材及び駆動プーリ112を介して無端ベルト114へと駆動力が伝達されて無端ベルト114が回転走行し、キャリッジ50はXガイド部材97及びZアダプタ116と共にZガイド部材117に沿ってZ方向に移動する。
【0090】
図14ではX軸、Y軸、Z軸の3軸方向にキャリッジ50が移動するようにしているが、例えばキャリッジ50を挟んで上側にカートリッジ10、下側に配薬トレイ30を配置している構成の場合には、キャリッジ50はX方向、Y方向のみの移動でよいため、移動軸を1つ少なくすることができる。
【0091】
上記したように、本発明に係る一実施形態では、パック情報読取手段としてのQRコードリーダを、上部読取り部66aを備えたQRコードリーダ上66と、下部読取り部67aを備えたQRコードリーダ下67の2つに分けた構成を採っているが、1つに集約しても構わない。
【0092】
QRコード(登録商標)の読み取り動作は、後述するように、カートリッジ又は配薬トレイ、或いはその両方を収納したのを検出し、自動で開始する制御がある。また、カートリッジから薬剤パックを取り出す直前や、配薬トレイへ配薬する直前で行ったり、ユーザ操作によって任意に設定したりしても良く、実施方法を限定する必要はない。
【0093】
キャリッジ側のQRコード(登録商標)と配薬トレイ(小分けボックス)側のQRコード(登録商標)を読み取り、各々の情報を記憶することにより、配薬時のデータ比較に使用する(後述する図16参照)。
【0094】
図15を参照して配薬装置200の制御構成を説明する。図15は、配薬装置の主な制御構成を示す制御ブロック図である。図15に示すように、配薬装置200は、配薬装置200の各部等の動作制御を行う、制御手段たる制御部150としての機能を有するCPU(中央処理装置)を備えている。CPUには、記憶部及びタイマー部等が内蔵されている。CPUは、後述するセンサを含む各種の入力をもとにプログラムに沿ったタイミングでスタッフ等への報知や装置の動作のための指示を出す。
【0095】
前記CPUは、演算及び制御機能を備えている他、タイマー(計時)機能を備えていてもよい。制御部150側の記憶部152は、主記憶装置(メインメモリ)とも呼ばれるRAM(随時読み書き可能なメモリ)と、ROM(読み出し専用メモリ)を有する。ROMには、上記CPUが読み出し可能なプログラム(例えば後述する制御フローチャートなどのプログラム)や各種データ等が予め記憶されている。各種データとしては、例えば服薬者毎に割り振られた配薬トレイ30の区画33や複数の小分けボックス34と薬剤パックとの関係データ、服薬タイミング毎に割り振られた配薬トレイ30の区画33や複数の小分けボックス34と薬剤パックとの関係データ、服薬の順番毎に割り振られた配薬トレイ30の区画33や複数の小分けボックス34と薬剤パックとの関係データ等が挙げられる。
【0096】
前記CPUの入出力ポートには、ユーザインターフェースとしてタッチパネル151が電気的に接続されている。タッチパネル151は、これに限らず、例えば入力部と表示部が別体でキーボードとLED表示部といった組合せでも構わない。
【0097】
前記CPUの入力ポートには、各種センサとして、装置内に収納されている配薬トレイ30の種類や、配薬トレイ30の有無を検出する配薬トレイ検出センサ156と、カートリッジ10の有無を検出するカートリッジ検出センサ157とが電気的に接続されている。前記CPUの入力ポートにはまた、各種センサとして、第1出入り口部41及び第2出入り口部42の開閉を検知する引出し部出入り口部開閉センサ159a、159bと、第3出入り口部43及び第4出入り口部44の開閉を検知する配薬トレイ出入り口部開閉センサ160a、160bとが電気的に接続されている。配薬トレイ検出センサ156、カートリッジ検出センサ157、引出し部出入り口部開閉センサ159a、159b、配薬トレイ出入り口部開閉センサ160a、160bは、図15のみに示す。
前記CPUの入力ポートにはまた、キャリッジ50におけるX方向移送部91のホームポジション(以下、「HP」と略記する)を検出するHPセンサX用のHPセンサ99、キャリッジ50におけるY方向移送部101のHPを検出するHPセンサY用のHPセンサ109、キャリッジ50におけるZ方向移送部111のHPを検出するHPセンサZ用のHPセンサ119が電気的に接続されている。前記CPUの入力ポートにはまた、キャリッジ50における吸着部51(特には吸着パッド52)のHPを検出するHPセンサP用のHPセンサ158が電気的に接続されている。
【0098】
前記CPUの入力ポートにはまた、キャリッジ50に配設された服薬関連情報読取り部65としてのQRコードリーダ上66(上部読取り部66a)、服薬関連情報読取り部65としてのQRコードリーダ下67(下部読取り部67a)が電気的に接続されている。
【0099】
前記CPUの入力ポートにはまた、配薬装置200の本体フレーム199に対するカートリッジ10の着脱を検知ないし検出する格納検知手段の一例としてのカートリッジ検知センサ70が電気的に接続されている。格納検知手段及びカートリッジ検知センサ70等については、後で詳述する。
【0100】
前記CPUの出力ポートには、各種のモータドライバX~Z、Pを介して、それぞれ、X方向移送部91の駆動モータ95、Y方向移送部101の駆動モータ105、Z方向移送部111の駆動モータ115、吸着パッド52の姿勢動作変更用の駆動モータ63が電気的に接続されている。前記CPUの出力ポートにはまた、負圧発生器用ドライバを介して負圧発生器用アクチュエータである負圧発生器(エジェクタバルブ)45が電気的に接続されている。前記CPUの出力ポートに報知部を電気的に接続してもよい。この報知部は、LED等の光、音声を含む音や振動によって、上記装置・各部がどのような状態にあるのかを報知したりするものである。スタッフ等が装置から離れていても服薬タイミングなどを知らせるためのスピーカやライト等を備えている。
【0101】
前記外部薬剤情報もI/Oを通して前記CPUに入力され、記憶部152に格納され、服薬者への配薬の割り当てなどに利用される。なお、引出し部80のLED25a1~25d5などを電気的に接続してもよい。
【0102】
タッチパネル151からの入力情報、各種のHPセンサ99、109、119、158、各種センサ(図示せず)からの各種信号が前記CPUに入力されると、前記CPUからは、次の指令信号が出力される。即ち、前記CPUからは、タッチパネル151の表示装置(上記報知部を含む)の音声装置や光装置、LED25a1~25d5、負圧発生器45、駆動モータ63、駆動モータ95、駆動モータ105や駆動モータ115、あるいはLEDに対応するドライバへの指示が前記CPUから出力されるようになっている。
【0103】
HPセンサP用のHPセンサ158と、モータドライバPを介して出力される駆動モータ63は、吸着部上下移動機構の駆動と制御に用いられる。前記CPUは、後述する説明や制御フローチャートに示されている各種制御動作を実行させる機能を有する。
【0104】
図16を参照して本発明に係る服薬支援装置の制御構成について説明する。図16は本発明の服薬支援装置に係る制御ブロック図を示す。図16に示すように、本発明の服薬支援装置300は、上述した配薬装置200と、この配薬装置200と通信可能(送受信可能)に接続されたパーソナルコンピュータ(以下、「PC」と略記する)210とを有して構成されている。PC210は、周知の5つの装置構成からなる。即ち、PC210は、制御装置と、演算装置と、記憶装置と、入力装置と、出力装置とを具備して構成されている。上記制御装置は、CPUを備え、プログラムを実行したり他の装置に指示を出したりする。上記演算装置は、プログラムを実行したり計算をしたりする。上記記憶装置は、主記憶装置、補助記憶装置を備え、プログラムやテキストなどのデータを保存する。上記入力装置は、マウスやキーボード、マイクなどを備え、データや指示をコンピュータに伝える。上記出力装置は、ディスプレイやプリンタ、スピーカなどを備え、コンピュータからのデータを出力する。
【0105】
PC210は、配薬装置200の機能を充実させて、発生する様々な問題を含め、本発明が解決すべき上記課題を解決すべく設定された、いわば配薬装置200を管理支援するホストコンピュータともいうべき機能を発揮するものである。PC210は、図示を省略したネットワーク回線を介して、薬剤を供給する薬局などに接続されている。
【0106】
管理アプリ211に設定されているパック情報管理システム212は、薬剤パックの服薬関連情報を読み取り管理するものである。また、管理アプリ211に設定されている配薬情報管理システム213は、少なくとも服薬者名と服薬タイミングとを含んだ配薬情報を読み込み管理するものである。
【0107】
パック情報管理システム212と配薬情報管理システム213とは、例えばPC210内に管理アプリ211として実現されても良く、本図に示すように配薬装置200と通信することで管理する配薬装置200とPC210からなるシステムであっても良い。管理アプリ211は、外部(例えば、医者から発行される処方箋に基づいて薬剤を供給する薬局など)で生成された、服薬者毎の薬剤情報や配薬タイミングなどが含まれた配薬情報ファイル219を読み込む。また、管理アプリ211は、PC210内に一度設定した設定情報などを記録した設定ファイル217から入力されるデータを読み込む。
【0108】
必要に応じて管理アプリ211から出力されるデータとしては、変更内容に応じてログファイル216として出力されるファイルや、配薬履歴をまとめた配薬履歴ファイル215などがある。更に必要に応じて、管理アプリ211を介してPC210からは各帳票218が出力される。なお、PC210の管理アプリ211等の機能は配薬装置200内に備えても良い。
【0109】
即ち、配薬情報管理システム213では、配薬の実施結果や変更履歴を記録として保存することにより、実際に配薬した結果をトレーサビリティ情報として保存することで問題発生時に見直すことができる、という効果を奏する。
【0110】
パック情報管理システム212は、少なくとも服薬者名と服薬タイミングとを含んだ薬剤パックの服薬関連情報で管理するものであるが、上述した配薬装置200の動作等について補足説明すると以下の通りである。配薬装置200には、図9に示したようにQRコードリーダ上66及びQRコードリーダ下67がキャリッジ50に搭載されている。そのキャリッジ50が薬剤パック(薬剤一包化パック2やパック結合体2A)を格納しているカートリッジ10の近傍まで移動して、QRコードリーダ上66の上部読取り部66aによって服薬関連情報6cに係るQRコード(登録商標)を読み取ることができる。
【0111】
図5に示したように服薬関連情報6cが薬剤パックの表面に表示されている場合には、図10(a)に示したようにパック取出し開口部17からQRコード(登録商標)が見えているため、QRコードリーダ上66の上部読取り部66aによって読み取ることができる。また、図13に示したように服薬関連情報6cがカートリッジ10底壁面の支持部左13に表示されている場合でも、服薬関連情報6cの表示場所がパック取出し開口部17のため、QRコードリーダ上66の上部読取り部66aによって同様に服薬関連情報6cに係るQRコード(登録商標)を読み取ることができる。
【0112】
また、図12(h)に示したように、キャリッジ50がカートリッジ10から取り出したパック2を保持しながら配薬トレイ30の小分けボックス34上まで移動する場合も、QRコードリーダ下67の下部読取り部67aによって服薬関連情報6cに係るQRコード(登録商標)を同様に読み取ることができる。こうしてQRコードリーダ上66やQRコードリーダ下67で読み取った情報は、通信用モジュール214を介して、PC210内のパック情報管理システム212に送信される。
【0113】
QRコードリーダ上66及びQRコードリーダ下67がキャリッジ50に搭載されているため、配薬装置200(図1等参照)内でのキャリッジ50の移動によって、服薬者名及びこの服薬者が服薬すべき薬剤パックが格納されているカートリッジ10の存在位置を検出することが可能となる。つまり、配薬装置200内のカートリッジ10の存在位置に対応したカートリッジ10の位置座標(例えばX:行、Y:列、Z:段)について、QRコードリーダ上66によってカートリッジ10のQRコード(登録商標)を読み取ったときに、そのカートリッジ10の存在位置に対応したキャリッジ50の位置座標と服薬関連情報6cに係るQRコード(登録商標)を紐づけすることが可能となる。
【0114】
しかしながら、QRコードリーダ上66やQRコードリーダ下67で読み取った服薬関連情報は、ユーザがカートリッジから直接薬剤パックを取り出したり、カートリッジへ薬剤パックを補充するといった操作をしたりすると、不確定な情報となってしまう。そのため、服薬関連情報の更新をしないと、最悪、薬剤の誤配薬となり、重大な問題となる。そのため配薬装置200の電源オフ/オン後や、配薬後に再度配薬する場合、カートリッジが入れ替えられている可能性がある場合には、再度、服薬関連情報を読み取る必要がある。
ところが、カートリッジの数が膨大な場合、配薬毎に全てのカートリッジの服薬関連情報を読み取ると読み取り時間が膨大になり、配薬時間が多くかかってしまう。
そこで、カートリッジの着脱(以下、「出し入れ」ともいう)をセンサで検出し、カートリッジの出し入れにより変更のあった場所のみ、再度、服薬関連情報を読み取ることで、読み取り時間を大幅に低減させることができる。
【0115】
図17を参照してカートリッジの着脱(出し入れ)をセンサで検出する原理を説明する。図17(a)、図17(b)はカートリッジの着脱(出し入れ)を検出するカートリッジ検知センサ70の説明図である。図17(a)に示すように、検出対象たるカートリッジ10Xがあるものとし、これを格納検知手段としての例えば反射型のフォトセンサである光センサで検出することを想定する。光センサで構成されるカートリッジ検知センサ70は、発光部71で検出光71aを出射し、カートリッジ10Xがある場合にそのカートリッジ10Xでの反射光72aを受光部73で受光することにより、検出対象たるカートリッジ10Xの有無を検知することができる。一方、図17(b)に示すように、検出対象たるカートリッジ10Xが無い場合には、検出光71aの反射光が受光部73に入らないために検出対象たるカートリッジ10Xが無いことを検出することができる。
【0116】
このような光センサからなるカートリッジ検知センサ70を、図17(c)に示すように、カートリッジトレイ20に配置(例えば取付板74を介して取り付け固定)することにより、カートリッジ10の着脱(出し入れ)を検知することができる。カートリッジ検知センサ70をカートリッジトレイ20に配置する際には、取付板74によるカートリッジ検知センサ70の配置を、図10(a)、図13(a)に示すQRコードリーダ上66の上部読取り部66aによる読取り動作時にキャリッジ50等と干渉しない部位にすることは言うまでもない。
【0117】
カートリッジ検知センサ70は、上記の光センサ以外に、距離センサを用いてカートリッジ10との距離変化を確認することにより、カートリッジ10の着脱(出し入れ)を検知する方法や、重量センサを用いてカートリッジ10の重量の変化を検知することでカートリッジ10の着脱(出し入れ)を検知するものであっても良い。また、カートリッジ検知センサ70は、上記光センサ、上記距離センサ、上記重量センサに限らず、カートリッジ10に接触してカートリッジ10の着脱(出し入れ)を検知するプッシュスイッチ等であってもよい。
【0118】
図18図19を参照して複数のカートリッジ毎に設けられた、光センサからなるカートリッジ検知センサ70でカートリッジ10の着脱(出し入れ)を検出する実施例について説明する。図18(1)はカートリッジ10が未セット状態のカートリッジトレイ20を示す図、図18(2)はカートリッジ10がカートリッジトレイ20にセットされた状態を示す図である。図18(1)の(a)はカートリッジ10未セット状態のカートリッジトレイ20周りの断面図、図18(1)の(b)はカートリッジ10未セット状態のカートリッジトレイ20の下面図である。図18(2)の(a)はカートリッジ10セット状態のカートリッジ10及びカートリッジトレイ20周りの断面図、図18(2)の(b)はカートリッジ10セット状態のカートリッジ10及びカートリッジトレイ20の下面図である。図19はカートリッジ検知センサ70がそれぞれ配置された複数のカートリッジトレイ20の下面図である。
【0119】
図18(2)に示すように、カートリッジ10がカートリッジトレイ20に装着・セットされると、カートリッジトレイ20の外底面に配置されているカートリッジ検知センサ70がカートリッジ10の底面をオン検知・反応し、カートリッジ10がカートリッジトレイ20に装着・セットされたことを把握することができる。
【0120】
このようにカートリッジトレイ20にカートリッジ検知センサ70を設けることで、各カートリッジ10のカートリッジトレイ20に対する出し入れの有無を確認することが可能であり、これらのカートリッジトレイ20を図19に示すように連結して構成しても良い。
【0121】
図19に示した実施例では、カートリッジ毎にカートリッジの出し入れを検知することで、操作があったカートリッジを正確に把握することができる一方、カートリッジ毎にセンサを設けることで、ストがかかることや、カートリッジ検知センサ70等の格納検知手段の電気的な配線をカートリッジ検知センサ70毎に行うことが必要となるなどの問題が発生する虞がある。
【0122】
図20図21を参照して複数の格納部の着脱状態をまとめて検知するように格納検知手段を設けた実施例について説明する。図20(a)は、カートリッジトレイセット部25に複数のカートリッジが一体となった図20(b)に示すカートリッジ一体化群24が未装着(未セット)である場合をカートリッジ検知センサ70で検知する動作図である。図20(b)は、カートリッジトレイセット部25にカートリッジ一体化群24が装着(セット)された状態をカートリッジ検知センサ70で検知する動作図である。
図20(b)に示すカートリッジ一体化群24は、複数(同図では計9個)のカートリッジが一体となってカートリッジトレイセット部25に対して着脱されるものである。
【0123】
図20(a)に示すように、カートリッジトレイセット部25にはカートリッジ検知センサ70が設けられ、カートリッジ一体化群24(a)、24(b)が図21に示す配薬装置200にセットされることで、セットが検知される。このときの格納検知手段はカートリッジ検知センサ70と同様のセンサが適用できる。
図21に示す配薬装置200においては、カートリッジトレイ毎に管理が分けて配置された実施例を示す。カートリッジ一体化群24(a)、24(b)の2つに分けられ、仮にカートリッジ一体化群24(a)が出し入れされた場合カートリッジ一体化群24(a)のみ再度情報の確認(カートリッジ検知センサ70によるカートリッジ一体化群24(a)の出し入れ確認及びQRコードリーダ上66の上部読取り部66aによる服薬関連情報6cの読取り)をすれば良いことになる。
図20図21に示した実施例では、カートリッジ単位ではなく、カートリッジトレイ単位(カートリッジ一体化群24(a)、24(b))でカートリッジトレイセット部25に対する出し入れをカートリッジ検知センサ70で検知することで、コストを抑えた検知ができるようになる。
【0124】
図22は管理アプリの操作画面の一例を示す図である。ユーザによっては安全性の観点から変更があった個所のみの情報更新だけではなく、毎回全カートリッジの情報更新が望ましいケースがある。そこで、図22に示す管理アプリのように、全カートリッジのチェックと変更があったカートリッジのみをチェックするのを切替できる機能を持っており、ユーザが任意に選択することができる。例えば変更があったカートリッジのみをチェックする場合には、図22の管理アプリの操作画面において、マウスによるドラッグ操作や4方向矢印キーなどで最上部に表示されている「変更箇所チェック」欄側に黒ボタンを移動させ、次いで実行ボタン221を押下し選択すれば良い。
【0125】
これにより、安全性を優先する場合は「全チェック」を選択することで全カートリッジ情報を更新する全個所読取モードにすることができる。一方、生産性を優先したい場合は、「変更箇所チェック」を選択することで、変更箇所があったところだけを更新する変更箇所読取モードにすることができ、更新時間が最小となるため配薬装置、ひいては服薬支援装置の生産性が向上する。
【0126】
図23を参照して上記実施例で述べた服薬関連情報読取手段(QRコードリーダ上66)による読取判断の制御フローを説明する。
まず、全チェックが選択されているか否かを確認し(ステップS1)、全チェックが選択されているのであれば、ステップS2に進んで、先頭カートリッジへ上部読取り部66aを有するQRコードリーダ上66を備えたキャリッジ50を移動させる。移動後、上部読取り部66aによる読取りを実施し、カートリッジ情報の更新を行う。まだ読取っていないカートリッジがあれば、同様に次のカートリッジへキャリッジ50を移動させ、この動作を全カートリッジ情報の更新ができるまで実施する(ステップS5)。
【0127】
一方、ステップS1において全チェックが選択されていない場合には、カートリッジの変更があったかを確認し(ステップS6)、もし変更が無ければカートリッジの情報更新処理は終了する。全チェックが選択されておらず、かつ、カートリッジの変更があった場合には、ステップS7に進んで、変更箇所のカートリッジへキャリッジ50が移動し、上部読取り部66aによる読取りを実施し、カートリッジ情報の更新を行う(ステップS8~ステップS9)。これを変更があったカートリッジ全てで行うことで完了状態となる(ステップS10)。
以上のようにカートリッジの変更があった場所のみ情報の更新処理を行うことで、毎回の読み取り動作を最小限しつつ安全性を保つことが可能となる。
【0128】
以上述べた一実施形態の通り、配薬装置200に設けられた制御部150の前記CPUは、パック情報読取手段(服薬関連情報読取り部65のQRコードリーダ上66及びQRコードリーダ下67)により読み取られた服薬関連情報6a~6cと、パック情報記憶手段(記憶部170)に記憶されている第2の服薬関連情報とを比較して、服薬関連情報が第2の服薬関連情報と一致するように、取出し移送手段(キャリッジ50と移送部90とにより構成される)により配薬トレイ30における特定の位置(区画33又は小分けボックス34)に特定の薬剤パック2を移送するように取出し移送手段を制御する制御機能を有するものである(特には図15及び図16の制御構成参照)。
【0129】
上記一実施形態、上記実施例等には、実質的に以下の態様及び効果が記載されていたと言える。
【0130】
第1の態様は、薬剤パックを格納するカートリッジ10などの格納手段と、特定の前記薬剤パックを特定の位置に配置する配薬トレイ30などの配薬手段と、前記特定の前記薬剤パックを前記格納手段から取り出して前記配薬手段における特定の位置に移送するキャリッジ50及び移送部90などの取出し移送手段と、前記取出し移送手段に設けられ、前記格納手段及び前記薬剤パックの少なくとも何れかに付加されている服薬者名と服薬タイミングとを含んだ服薬関連情報cなどの服薬関連情報を読み取る服薬関連情報読取り部65などのパック情報読取手段と、前記薬剤パックの前記服薬関連情報を管理するパック情報管理システム212などのパック情報管理システムと、本体フレーム199などの装置本体に対する前記格納手段の着脱を検知するカートリッジ検知センサ70などの格納検知手段と、前記格納手段が前記装置本体に対して装着されたときの前記格納検知手段からの検知信号に基づいて、前記パック情報管理システムへ通知するとともに、前記パック情報読取手段をして、更新が必要な前記格納手段の前記服薬関連情報を読み取らせる制御部150などの制御手段と、を備える服薬支援装置300などの服薬支援装置である。
【0131】
かかる構成により、第1の態様によれば、格納手段の着脱があった場合、セット(装着)された薬剤パック中の薬剤が変わった可能性があるため、ピンポイントで装着・セットされた薬剤パックの情報を更新することで、パック情報読取手段の少ない読取動作で誤った配薬をすることを防止することができる。
【0132】
第2の態様は、第1の態様において、前記格納検知手段は、光センサ、距離センサ、重量センサ及びプッシュスイッチの何れかを用いて構成されていることを特徴とする。
かかる構成により、第2の態様によれば、光センサや、距離センサ、重量センサ或いはプッシュスイッチなどで格納手段の着脱(出し入れ)を検知することができる。
【0133】
第3の態様は、第1又は第2の態様において、前記格納検知手段は、複数の前記格納手段毎に有することを特徴とする。
かかる構成により、第3の態様によれば、格納手段毎に格納検知手段を設けることで、変更があった場所だけ読み取ることができるため、読取動作を最小限にすることができる。
【0134】
第4の態様は、第1又は第2の態様において、複数の前記格納手段は一体となって格納手段一体化を構成され、前記装置本体に対して着脱可能となっており、前記格納検知手段は、前記格納手段一体化の前記着脱状態を検知することを特徴とする。
かかる構成により、第4の態様によれば、複数の格納手段をまとめて格納手段一体化として検知させることで、必要な格納検知手段の数量を少なくすることができる。
【0135】
第5の態様は、第1又は第2の態様において、前記パック情報管理システムは、前記格納検知手段により着脱検知された場所だけの前記服薬関連情報の読込動作を行う変更箇所読取モードと、格納検知手段による着脱検知に関係なく全ての前記格納手段の前記服薬関連情報の読込動作を行う全個所読取モードを持つことを特徴とする。
かかる構成により、第5の態様によれば、格納手段の服薬関連情報の読取回数を最小にできる変更があった場所だけ読込む変更箇所読取モードと、安全性を優先した全ての箇所の格納手段の服薬関連情報の読取りを行う全個所読取モードとを持ち、ユーザ毎に選択できる
【0136】
第6の態様は、第1~第5の何れか1つに記載の態様において、前記取出し移送手段は、前記特定の薬剤パックを前記格納手段から取り出すキャリッジ50などの取出し手段と、前記格納手段から取り出した前記特定の薬剤パックを前記配薬手段における特定の位置に移送する移送部90などの移送手段とから構成されることを特徴とする。
【0137】
第7の態様は、第1~第6の何れか1つに記載の態様において、前記格納手段は、前記薬剤パックを段積みで格納するよう構成されており、前記薬剤パックには、薬剤が一包化された薬剤一包化パック2などの薬剤一包化パックと、該薬剤一包化パックの複数が前記段積み方向に重ねられて結合されたパック結合体2Aなどの薬剤一包化パック結合体とが含まれることを特徴とする。
【0138】
第8の態様は、第1~第7の何れか1つに記載の態様において、前記装置本体には、前記格納手段を着脱自在に支持するカートリッジトレイ20などの格納支持手段が設けられており、前記格納検知手段は、前記格納支持手段に配置されていることを特徴とする。
【0139】
以上本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、上述の説明で特に限定していない限り、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。例えば、上記実施形態や実施例等に記載した技術事項を適宜組み合わせたものであってもよい。
【0140】
本発明の実施の形態に適宜記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0141】
2 薬剤一包化パック(薬剤パックの一例)
2A パック結合体(薬剤パックの一例)
3 薬剤
6a~6c 服薬関連情報(第1の服薬関連情報の一例)
10 カートリッジ(格納部、格納手段の一例)
24 カートリッジ一体化群
25 カートリッジトレイセット部

30 配薬トレイ(配薬手段の一例)
50 キャリッジ(取出し部、取出し手段、取出し移送手段の一例)
65 服薬関連情報読取り部(パック情報読取手段の一例)
66 QRコードリーダ上(パック情報読取手段の一例)
67 QRコードリーダ下(パック情報読取手段の一例)
70 カートリッジ検知センサ(格納検知手段の一例)
90 移送部(移送手段の一例)
150 制御部
170 記憶部
200 配薬装置
300 服薬支援装置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0142】
【特許文献1】特開2017-93708号公報
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