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特開2024-171040医用画像診断システム、医用画像診断システムの作動方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171040
(43)【公開日】2024-12-11
(54)【発明の名称】医用画像診断システム、医用画像診断システムの作動方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/03 20060101AFI20241204BHJP
   A61B 5/055 20060101ALI20241204BHJP
【FI】
A61B6/03 333B
A61B6/03 323A
A61B5/055 370
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023087894
(22)【出願日】2023-05-29
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083116
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲三
(74)【代理人】
【識別番号】100170069
【弁理士】
【氏名又は名称】大原 一樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128635
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100140992
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲政
(74)【代理人】
【識別番号】100153822
【弁理士】
【氏名又は名称】増田 重之
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 彩
(72)【発明者】
【氏名】平湯 武
【テーマコード(参考)】
4C093
4C096
【Fターム(参考)】
4C093AA22
4C093CA33
4C093ED07
4C093EE16
4C093EE20
4C093EE30
4C093FA44
4C093FA54
4C093FB01
4C093FB12
4C096AA18
4C096AB46
4C096AD18
4C096AD19
4C096AD24
4C096EA07
4C096EB06
(57)【要約】
【課題】医用画像撮影装置による撮影に関わる確認事項を操作者等が確認する負担を軽減し、操作性の向上及び危険回避が可能な医用画像診断システム、医用画像診断システムの作動方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】医用画像診断システムは、医療機器に接続されたケーブル状部材が被検者に装着された状態で医用画像撮影装置を用いて被検者の医用画像を撮影する場合に、被検者に装着されたケーブル状部材の両端を検出するセンサと、センサから情報を取得し、ケーブル状部材の全長、両端の間の距離、両端の位置、及び被検者を載せた寝台の移動方向に基づいて、寝台の安全可動範囲を算出し、撮影条件に基づく寝台の移動量が安全可動範囲内である場合に撮影を許可するプロセッサと、を備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療機器に接続されたケーブル状部材が被検者に装着された状態で医用画像撮影装置を用いて前記被検者の医用画像を撮影する場合に、前記被検者に装着された前記ケーブル状部材の両端を検出するセンサと、
前記センサから情報を取得し、前記ケーブル状部材の全長、前記両端の間の距離、前記両端の位置、及び前記被検者を載せた寝台の移動方向に基づいて、前記寝台の安全可動範囲を算出し、撮影条件に基づく前記寝台の移動量が前記安全可動範囲内である場合に撮影を許可するプロセッサと、
を備える医用画像診断システム。
【請求項2】
前記プロセッサは、
前記撮影条件に基づく前記寝台の移動量が前記安全可動範囲を超える場合に、撮影開始前に前記寝台の移動量が前記安全可動範囲を超える旨を報知する、
請求項1に記載の医用画像診断システム。
【請求項3】
前記プロセッサは、
前記撮影条件に基づく前記寝台の移動量が前記安全可動範囲を超える場合に、撮影開始前に前記安全可動範囲を提示する、
請求項1に記載の医用画像診断システム。
【請求項4】
前記プロセッサは、
前記撮影条件に基づく前記寝台の移動量が前記安全可動範囲を超える場合に、前記撮影条件による撮影を実施可能にする前記医療機器の設置位置を示す機器移動必要距離を算出し、撮影開始前に前記機器移動必要距離を提示する、
請求項1に記載の医用画像診断システム。
【請求項5】
前記プロセッサは、
前記撮影条件に基づく前記寝台の移動量が前記ケーブル状部材の全長の2倍未満である場合に、前記撮影条件に基づく前記寝台の移動量から前記安全可動範囲の可動限界距離を減算することにより、前記医療機器の前記機器移動必要距離を算出する、
請求項4に記載の医用画像診断システム。
【請求項6】
前記医療機器は、心電計、生体情報モニタ、及び造影剤注入装置のうち少なくとも1つを含む、
請求項1に記載の医用画像診断システム。
【請求項7】
前記ケーブル状部材は、前記医療機器と前記被検者とをつなぐケーブル及びチューブのうち少なくとも1つを含む、
請求項1に記載の医用画像診断システム。
【請求項8】
前記寝台は、
前記被検者を載せて移動する天板と、
前記天板を前記医用画像撮影装置の撮影空間内に移動させる駆動機構と、を備える、
請求項1に記載の医用画像診断システム。
【請求項9】
前記医用画像撮影装置は、ガントリと、前記寝台と、を備える、
請求項1に記載の医用画像診断システム。
【請求項10】
前記センサは、前記ケーブル状部材の前記医療機器側の端部に配置される第1端センサと、前記ケーブル状部材の前記被検者側の端部に配置される第2端センサと、
を含む測距センサである、
請求項1に記載の医用画像診断システム。
【請求項11】
前記センサは、カメラを含み、
前記カメラによって撮影された画像を解析することにより、前記ケーブル状部材の前記両端の位置と、前記両端の間の距離の情報が得られる、
請求項1に記載の医用画像診断システム。
【請求項12】
前記センサから得られる情報に基づき、前記ケーブル状部材の全長が測定される、
請求項1に記載の医用画像診断システム。
【請求項13】
前記ケーブル状部材の全長の測定は、前記ケーブル状部材を前記被検者に装着する前に実施される、
請求項12に記載の医用画像診断システム。
【請求項14】
前記センサにより前記ケーブル状部材の両端が検出されない場合に、前記プロセッサはアラートを報知する、
請求項1に記載の医用画像診断システム。
【請求項15】
前記センサを用いて検出された前記ケーブル状部材の両端が前記寝台の移動方向に平行な同一直線上にある場合に、前記プロセッサは、前記寝台の移動方向が前記ケーブル状部材の前記医療機器側の端部から前記被検者側の端部の方向であるときは、前記ケーブル状部材の全長から前記両端の間の距離を減算することにより前記安全可動範囲を算出し、
前記寝台の移動方向が前記ケーブル状部材の前記被検者側の端部から前記医療機器側の端部の方向であるときは、前記ケーブル状部材の全長に前記両端の間の距離を加算することにより前記安全可動範囲を算出する、
請求項1に記載の医用画像診断システム。
【請求項16】
前記センサを用いて検出された前記ケーブル状部材の両端が前記寝台の移動方向に平行な同一直線上にない場合には、前記プロセッサは、前記両端の間の距離を前記同一直線上における距離に変換した換算距離を用い、前記寝台の移動方向が前記ケーブル状部材の前記医療機器側の端部から前記被検者側の端部の方向であるときは、前記ケーブル状部材の全長から前記換算距離を減算することにより前記安全可動範囲を算出し、
前記寝台の移動方向が前記ケーブル状部材の前記被検者側の端部から前記医療機器側の端部の方向であるときは、前記ケーブル状部材の全長に前記換算距離を加算することにより前記安全可動範囲を算出する、
請求項1に記載の医用画像診断システム。
【請求項17】
医用画像診断システムの作動方法であって、
医療機器に接続されたケーブル状部材が被検者に装着された状態で医用画像撮影装置を用いて前記被検者の医用画像を撮影する場合に、センサを用いて、前記被検者に装着された前記ケーブル状部材の両端を検出することと、
プロセッサが、前記センサから情報を取得し、前記ケーブル状部材の全長、前記両端の間の距離、前記両端の位置、及び前記被検者を載せた寝台の移動方向に基づいて、前記寝台の安全可動範囲を算出し、撮影条件に基づく前記寝台の移動量が前記安全可動範囲内である場合に撮影を許可することと、
を含む医用画像診断システムの作動方法。
【請求項18】
医療機器に接続されたケーブル状部材が被検者に装着された状態で医用画像撮影装置を用いて前記被検者の医用画像を撮影する場合に、前記被検者に装着された前記ケーブル状部材の両端を検出するセンサから情報を取得する機能と、
前記ケーブル状部材の全長、前記両端の間の距離、前記両端の位置、及び前記被検者を載せた寝台の移動方向に基づいて、前記寝台の安全可動範囲を算出する機能と、
撮影条件に基づく前記寝台の移動量が前記安全可動範囲内である場合に撮影を許可する機能と、をコンピュータに実現させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は医用画像診断システム、医用画像診断システムの作動方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、磁気共鳴イメージングMRI(Magnetic Resonance Imaging)装置の天板に載置された被検体をカメラで撮影することで得られた画像を取得する取得部と、MRI装置が発生させた磁場により誘導電流が発生する可能性の有るループを、画像から検出する第1検出部と、第1検出部による検出結果を出力する出力部と、を備える画像処理装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-124633号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
X線CT(Computed Tomography)装置やMRI装置などの医用画像撮影装置を用いる検査では、寝台の上部に配置される天板の上に被検者を載せた状態で天板をガントリの撮影空間内に移動させて被検者の撮影が行われる。このような医用画像診断の検査を行う場合に、例えば、心電計や造影剤注入装置(インジェクタ)など他の医療機器が組み合わされて使用されることがある。寝台上の被検者には、心電計等に接続されたケーブルやインジェクタに接続されたチューブなど、医療機器とつながるケーブル状のもの(以下、ケーブル状部材という。)が装着され、被検者と医療機器とがケーブル状部材によって繋がった状態で寝台がガントリの撮影空間内に移動する。
【0005】
被検者を載せた寝台を移動させる際に、ケーブル状部材の巻き込みや引っ張り等が発生しないように、操作者(オペレータ)や補助者等は撮影を開始する前に、被検者に装着されたケーブル状部材の状態を確認することが必要である。特許文献1では、MRI装置に特有の課題であるケーブルのループを検出する技術が記載されているが、寝台の移動によって発生しうる巻き込みや引っ張り等の課題は考慮されていない。
【0006】
本開示はこのような事情に鑑みてなされたものであり、医用画像撮影装置による撮影に関わる確認事項を操作者等が確認する負担を軽減し、操作性の向上及び危険回避が可能な医用画像診断システム、医用画像診断システムの作動方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の第1態様に係る医用画像診断システムは、医療機器に接続されたケーブル状部材が被検者に装着された状態で医用画像撮影装置を用いて被検者の医用画像を撮影する場合に、被検者に装着されたケーブル状部材の両端を検出するセンサと、センサから情報を取得し、ケーブル状部材の全長、両端の間の距離、両端の位置、及び被検者を載せた寝台の移動方向に基づいて、寝台の安全可動範囲を算出し、撮影条件に基づく寝台の移動量が安全可動範囲内である場合に撮影を許可するプロセッサと、を備える。
【0008】
第1態様によれば、センサを用いてケーブル状部材の両端を検出することにより、撮影開始前に、被検者に装着されたケーブル状部材の状態が把握され、プロセッサが寝台の安全可動範囲と、撮影条件に基づく寝台の移動量との関係を確認する。そして、安全可動範囲内の移動量である場合に撮影が許可される。これにより、操作者等による撮影前の確認の負担が軽減され、操作性の向上、及び危険回避が可能である。また、第1態様によれば、スキャノグラムのやり直しを抑制でき、無効被曝の抑制が可能である。
【0009】
第2態様に係る医用画像診断システムは、第1態様において、プロセッサは、撮影条件に基づく寝台の移動量が安全可動範囲を超える場合に、撮影開始前に寝台の移動量が安全可動範囲を超える旨を報知する構成であってもよい。
【0010】
第3態様に係る医用画像診断システムは、第1態様又は第2態様において、プロセッサは、撮影条件に基づく寝台の移動量が安全可動範囲を超える場合に、撮影開始前に安全可動範囲を提示する構成であってもよい。
【0011】
第4態様に係る医用画像診断システムは、第1態様から第3態様のいずれか一態様において、プロセッサは、撮影条件に基づく寝台の移動量が安全可動範囲を超える場合に、撮影条件による撮影を実施可能にする医療機器の設置位置を示す機器移動必要距離を算出し、撮影開始前に機器移動必要距離を提示する構成であってもよい。
【0012】
第5態様に係る医用画像診断システムは、第4態様において、プロセッサは、撮影条件に基づく寝台の移動量がケーブル状部材の全長の2倍未満である場合に、撮影条件に基づく寝台の移動量から安全可動範囲の可動限界距離を減算することにより、医療機器の機器移動必要距離を算出する構成であってもよい。
【0013】
第6態様に係る医用画像診断システムは、第1態様から第5態様のいずれか一態様において、医療機器は、心電計、生体情報モニタ、及び造影剤注入装置のうち少なくとも1つを含む構成であってもよい。
【0014】
第7態様に係る医用画像診断システムは、第1態様から第6態様のいずれか一態様において、ケーブル状部材は、医療機器と被検者とをつなぐケーブル及びチューブのうち少なくとも1つを含む構成であってもよい。
【0015】
第8態様に係る医用画像診断システムは、第1態様から第7態様のいずれか一態様において、寝台は、被検者を載せて移動する天板と、天板を医用画像撮影装置の撮影空間内に移動させる駆動機構と、を備える構成であってもよい。
【0016】
第9態様に係る医用画像診断システムは、第1態様から第8態様のいずれか一態様において、医用画像撮影装置は、ガントリと、寝台と、を備える構成であってもよい。
【0017】
第10態様に係る医用画像診断システムは、第1態様から第9態様のいずれか一態様において、センサは、ケーブル状部材の医療機器側の端部に配置される第1端センサと、ケーブル状部材の被検者側の端部に配置される第2端センサと、を含む測距センサであってもよい。
【0018】
第11態様に係る医用画像診断システムは、第1態様から第9態様のいずれか一態様において、センサは、カメラを含み、カメラによって撮影された画像を解析することにより、ケーブル状部材の両端の位置と、両端の間の距離の情報が得られる構成であってもよい。
【0019】
第12態様に係る医用画像診断システムは、第1態様から第11態様のいずれか一態様において、センサから得られる情報に基づき、ケーブル状部材の全長が測定される構成であってもよい。
【0020】
第13態様に係る医用画像診断システムは、第12態様において、ケーブル状部材の全長の測定は、ケーブル状部材を被検者に装着する前に実施される構成であってもよい。
【0021】
第14態様に係る医用画像診断システムは、第1態様から第13態様のいずれか一態様において、センサによりケーブル状部材の両端が検出されない場合に、プロセッサはアラートを報知する構成であってもよい。
【0022】
第15態様に係る医用画像診断システムは、第1態様から第14態様のいずれか一態様において、センサを用いて検出されたケーブル状部材の両端が寝台の移動方向に平行な同一直線上にある場合に、プロセッサは、寝台の移動方向がケーブル状部材の医療機器側の端部から被検者側の端部の方向であるときは、ケーブル状部材の全長から両端の間の距離を減算することにより安全可動範囲を算出し、寝台の移動方向がケーブル状部材の被検者側の端部から医療機器側の端部の方向であるときは、ケーブル状部材の全長に両端の間の距離を加算することにより安全可動範囲を算出する構成であってもよい。
【0023】
第16態様に係る医用画像診断システムは、第1態様から第14態様のいずれか一態様において、センサを用いて検出されたケーブル状部材の両端が寝台の移動方向に平行な同一直線上にない場合には、プロセッサは、両端の間の距離を同一直線上における距離に変換した換算距離を用い、寝台の移動方向がケーブル状部材の医療機器側の端部から被検者側の端部の方向であるときは、ケーブル状部材の全長から換算距離を減算することにより安全可動範囲を算出し、寝台の移動方向がケーブル状部材の被検者側の端部から医療機器側の端部の方向であるときは、ケーブル状部材の全長に換算距離を加算することにより安全可動範囲を算出する構成であってもよい。
【0024】
第17態様に係る医用画像診断システムの作動方法は、医療機器に接続されたケーブル状部材が被検者に装着された状態で医用画像撮影装置を用いて被検者の医用画像を撮影する場合に、センサを用いて、被検者に装着されたケーブル状部材の両端を検出することと、プロセッサが、センサから情報を取得し、ケーブル状部材の全長、両端の間の距離、両端の位置、及び被検者を載せた寝台の移動方向に基づいて、寝台の安全可動範囲を算出し、撮影条件に基づく寝台の移動量が安全可動範囲内である場合に撮影を許可することと、を含む。
【0025】
第17態様に係る医用画像診断システムの作動方法において、第2態様から第16態様のいずれか一態様に係る医用画像診断システムと同様の具体的態様を含む構成とすることができる。
【0026】
第18態様に係るプログラムは、医療機器に接続されたケーブル状部材が被検者に装着された状態で医用画像撮影装置を用いて被検者の医用画像を撮影する場合に、被検者に装着されたケーブル状部材の両端を検出するセンサから情報を取得する機能と、ケーブル状部材の全長、両端の間の距離、両端の位置、及び被検者を載せた寝台の移動方向に基づいて、寝台の安全可動範囲を算出する機能と、撮影条件に基づく寝台の移動量が安全可動範囲内である場合に撮影を許可する機能と、をコンピュータに実現させる。
【0027】
第18態様に係るプログラムにおいて、第2態様から第16態様のいずれか一態様に係る医用画像診断システムと同様の具体的態様を含む構成とすることができる。
【0028】
第18態様に係るプログラムを記憶した光ディスク等の有体物である非一時的かつコンピュータ読取可能な記録媒体も本開示に含まれる。
【発明の効果】
【0029】
本開示によれば、医用画像撮影装置を用いた撮影に関する操作者等の確認作業の負担を軽減でき、操作性向上、及び危険回避が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1図1は、本開示の実施形態に係る医用画像診断システムの一例を示す斜視図である。
図2図2は、医用画像診断システムの構成を概略的に示す説明図である。
図3図3は、被検者に装着されたケーブルの状態をモニタリングする方法の例を概略的に示す説明図である。
図4図4は、コンソールのハードウェア構成例を示すブロック図である。
図5図5は、医用画像診断システムの作動方法の例1を示すフローチャートである。
図6図6は、図5のステップS11に適用されるキャリブレーション処理の例を示すフローチャートである。
図7図7は、図5のステップS20に適用される寝台安全可動範囲の算出処理の例を示すフローチャートである。
図8図8は、固定端センサと移動端センサとの位置関係の例を概略的に示す平面模式図である。
図9図9は、情報処理装置の機能的構成を示すブロック図である。
図10図10は、医用画像診断システムの作動方法の例2を示すフローチャートである。
図11図11は、図10のステップS23に適用される機器最適位置の算出と提示の処理の例を示すフローチャートである。
図12図12は、変形例に係る情報処理装置の機能的構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明及び添付図面において、同一の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0032】
《第1実施形態》
〔システムの構成例〕
図1は、本開示の第1実施形態に係る医用画像診断システム1の一例を示す斜視図である。ここでは、医用画像撮影装置10としてX線CT装置を用いる例を説明するが、本開示の技術はMRI装置や陽電子放出断層撮影(Positron Emission Tomography:PET)装置などのモダリティにも適用可能である。
【0033】
医用画像撮影装置10は、ガントリ12と、寝台14と、コンソール16とを含む。ガントリ12は、被検者に対してX線を照射し、被検者を透過したX線を検出する装置である。ガントリ12はスキャナガントリとも呼ばれる。寝台14は、検査を受ける被検者を載せる天板15と、天板15の高さを上下に昇降させる上下駆動装置と、天板15をガントリ12の撮影空間13内に進入させる方向及び撮影空間13から退出させる方向に移動させる天板駆動装置と、を備える。被検者は天板15の上に仰臥位の状態で載せられる。天板駆動装置により天板15を被検者の体軸方向へ前後に移動させたり、体軸と垂直方向かつ床面に対し平行な方向(左右方向)に移動させたりすることができる。
【0034】
図1における上下方向をY軸方向とする。また、寝台14上の被検者の体軸方向をZ軸方向とし、Y軸方向及びZ軸方向に垂直な方向をX軸方向とする。被検者を載せた天板15をZ軸方向に移動させることにより、被検者をガントリ12の撮影空間13に進入させたり、撮影空間13から被検者を退出させたりすることができる。
【0035】
コンソール16は、ガントリ12及び寝台14の各部を制御し、ガントリ12で計測した透過X線データを取得し、画像の生成及び表示を行う装置である。コンソール16は、情報処理装置20と、入力装置22と、表示装置24と、を含む。情報処理装置20はシステム制御装置としての機能と画像処理装置としての機能とを担う。ガントリ12及び寝台14は検査室に設置され、コンソール16は操作室に設置されてもよい。
【0036】
医用画像撮影装置10は、心電計30やインジェクタなどの他の医療機器と組み合わせて使用され得る。本実施形態では、医用画像撮影装置10と組み合わせて使用する医療機器の一例として心電計30を用いる例を説明する。
【0037】
心電計30には被検者に装着されるケーブル32が接続される。ケーブル32は、例えば、複数本のリードに分岐されている誘導コードであってもよいし、誘導コードと中継ケーブルとの組み合わせであってもよい。各リードの先端部分はチップ端子であってもよいし、クリップ(スナップ)端子であってもよく、吸着電極であってもよい。ケーブル32の心電計30側の基端部に設けられたコネクタ部は、心電計30の心電入力コネクタ部に接続される。ケーブル32の被検者側の端部は被検者に接続される。
【0038】
図2は、医用画像診断システム1の構成を概略的に示す説明図である。ガントリ12は、X線源101、回転盤102、コリメータ103、X線検出器106、データ収集装置107、ガントリ制御装置108、寝台制御装置109、及びX線制御装置110を備える。コンソール16の情報処理装置20は、画像処理装置122、記憶装置123及びシステム制御装置124を含む。
【0039】
ガントリ12の回転盤102には開口部104が設けられ、開口部104を介してX線源101とX線検出器106とが対向配置される。開口部104は撮影空間13となり得る。寝台制御装置109はシステム制御装置124により決定された寝台移動速度及び移動方向で寝台14の天板15を移動させる。
【0040】
本明細書では、寝台14の天板15を移動させることを「寝台14を移動させる」と記載する場合がある。すなわち、寝台14の移動という記載は、天板15の移動の概念を含み、寝台移動速度及び寝台移動方向などの記載は天板移動速度及び天板移動方向の概念を含む。
【0041】
回転盤102は、回転盤駆動装置から駆動伝達系を通じて伝達される駆動力によって被検体の周囲を回転する。回転盤駆動装置はガントリ制御装置108によって制御される。
【0042】
X線源101は、X線制御装置110に制御されて所定の強度のX線を連続的又は断続的に照射する。X線制御装置110は、コンソール16のシステム制御装置124により決定されたX線管電圧及びX線管電流に従って、X線源101に印加又は供給するX線管電圧及びX線管電流を制御する。
【0043】
X線源101のX線照射口にはコリメータ103が設けられる。コリメータ103は、X線源101から放射されたX線の照射範囲を制限する。例えばコーンビーム(円錐形又は角錐形ビーム)等に成形する。コリメータ103の開口幅はシステム制御装置124により制御される。
【0044】
X線源101から照射され、コリメータ103を通過し、被検体を透過したX線はX線検出器106に入射する。
【0045】
X線検出器106は、例えばシンチレータとフォトダイオードの組み合わせによって構成されるX線検出素子群をチャネル方向(周回方向)に例えば1000個程度、列方向(体軸方向)に例えば1~320個程度配列したものである。X線検出器106は、被検体を介してX線源101に対向するように配置される。X線検出器106はX線源101から照射されて被検体を透過したX線量を検出し、データ収集装置107に出力する。
【0046】
データ収集装置107は、X線検出器106の個々のX線検出素子により検出されるX線量を収集し、デジタルデータに変換し、透過X線データとしてコンソール16の画像処理装置122に順次出力する。
【0047】
画像処理装置122は、データ収集装置107から入力された透過X線データを取得し、対数変換、感度補正等の前処理を行って画像の再構成に必要な投影データを作成する。また画像処理装置122は、生成した投影データを用いて断層像等の画像を再構成する。システム制御装置124は、医用画像診断システム1の全体を統括制御し、画像処理装置122によって再構成された画像データを記憶装置123に記憶するとともに表示装置24に表示する。
【0048】
画像処理装置122及びシステム制御装置124は、プロセッサとメモリとを含むコンピュータを用いて構成されてよい。プロセッサは、CPU(Central Processing Unit)を含む。プロセッサはGPUを含んでもよい。メモリは、RAM(Random Access Memory)を含む。メモリは、ROM(Read Only Memory)を含んでもよい。
【0049】
記憶装置123は、有体物たる非一時的なコンピュータ可読媒体であり、例えば、半導体メモリ、ハードディスクドライブ(Hard Disk Drive:HDD)、若しくはソリッドステートドライブ(Solid State Drive:SSD)又はこれらの複数の組み合わせであってよい。記憶装置123は、リムーバブルディスクなどの外部記憶装置を含んでもよい。記憶装置123には、医用画像診断システム1の各種機能を実現させるプログラムやデータ等が記憶される。
【0050】
表示装置24は、例えば、液晶ディスプレイ、有機EL(organic electro-luminescence:OEL)ディスプレイ、若しくは、プロジェクタ、又はこれらの適宜の組み合わせによって構成される。表示装置24は、システム制御装置124に接続される。表示装置24は画像処理装置122から出力される被検者画像、並びにシステム制御装置124が取り扱う種々の情報を表示する。
【0051】
入力装置22は、例えば、キーボード、マウス等のポインティングデバイス、テンキー、及び各種スイッチボタン等によって構成される。入力装置22は、音声入力装置を含んでもよい。また、入力装置22は表示装置24の表示画面と一体的に構成されるタッチパネル式の入力装置としてもよい。
【0052】
入力装置22は、操作者によって入力される各種の指示や情報をシステム制御装置124に出力する。操作者は、表示装置24及び入力装置22を使用して対話的に医用画像診断システム1を操作する。
【0053】
本実施形態に係る医用画像診断システム1は、心電計30から被検者に装着されたケーブル32の状態をモニタリングする手段としてのセンサ34を備える。センサ34は、屋内測位システムの構成要素としてのセンサである。屋内測位システムは、例えば、ビーコンやUWB(Ultra-Wide Band)を用いた装置や、各種測距センサを用いた装置であってよい。ここでは、測距センサを用いる例を説明するが、測距センサの代わりに、又は、測距センサと組み合わせて、カメラを用いることも可能である。
【0054】
センサ34は、ケーブル32の機器側の端部、つまり心電計30側の端部に配置される固定端センサ35と、ケーブル32の被検者側の端部に配置される移動端センサ36と、を含む。例えば、移動端センサ36は、電波を発出する送波器を含み、固定端センサ35は、電波を受信する受波器と受信電波を基に測定される距離情報(測距データ)をシステム制御装置124に送信するデータ送信器とを含む構成であってもよい。
【0055】
本実施形態では、センサ34を用いてケーブル32の状態を監視し、安全な寝台制御を実現する。例えば、センサ34によってケーブル32の両端の位置を検出し、システム制御装置124は、ケーブル32の長さを考慮した寝台14の安全可動範囲を算出する。そして、システム制御装置124は、撮影条件(撮影計画)で設定された寝台移動量と、算出された安全可動範囲とを比較し、撮影計画された寝台移動量が安全可動範囲を超える(安全可動範囲外におよぶ)場合には、その旨を撮影開始前にアラート等で報知する。
【0056】
図3は、被検者PTに装着されたケーブル32の状態をモニタリングする方法の例を概略的に示す説明図である。図3に示すように、心電計30と被検者PTとを繋ぐケーブル32の心電計30側の端部に固定端センサ35が配置され、被検者PT側の端部に移動端センサ36が配置される。固定端センサ35は、移動端センサ36からの電波を受信し、移動端センサ36の方向と距離、つまり移動端センサ36の位置を把握し得る。固定端センサ35は本開示における「第1端センサ」の一例であり、移動端センサ36は本開示における「第2端センサ」の一例である。ケーブル32は本開示における「ケーブル状部材」の一例である。
【0057】
固定端センサ35によって得られた情報は、コンソール16の情報処理装置20に送られる。固定端センサ35と情報処理装置20との間の情報の受け渡し方法は、有線であってもよいし、無線であってもよい。また、固定端センサ35の情報は、心電計30を介して情報処理装置20に送られてもよい。
【0058】
ケーブル32の全長を把握するために、キャリブレーションを行う工程を設けることにより、ケーブルの種類や長さが異なるケーブルを用いる場合にも対応可能となる。
【0059】
〔測距センサの具体例〕
測距センサとして、例えば、LiDAR(Light Detection And Ranging)、無線LAN、レーダーなどを用いることができる。LiDARは、レーザー光を照射し、対象物からの反射光や散乱光を検出することで、対象物までの距離を測定する装置である。
【0060】
無線LANによる測距センサは、電波を発射し、対象物からの反射波を測定することにより、対象物までの距離を測る装置である。
【0061】
レーダーは、電波を発射し、対象物からの反射波を測定することにより、対象物までの距離を測る装置である。
【0062】
測距センサの送波部と受波部とは一体でも別体でもよいが、固定端センサ35及び移動端センサ36として用いる形態においては、送波部と受波部とが別体の構成が好ましい。測距センサは信号解析部等に接続され、測距センサで得られた情報は信号解析部等において処理される。測距センサと信号解析部等との接続は無線でもよいし、有線でもよい。
【0063】
〔コンソール16のハードウェア構成例〕
図4は、コンソール16のハードウェア構成例を示すブロック図である。コンソール16は、コンピュータを用いて構成することができる。コンソール16に適用されるコンピュータは、パーソナルコンピュータであってもよいし、ワークステーションであってもよく、サーバコンピュータであってもよい。なお、コンソール16の処理機能は複数台のコンピュータを含むコンピュータシステムによって実現してもよい。コンソール16の情報処理装置20は、プロセッサ202と、主記憶装置であるメモリ204と、補助記憶装置であるストレージ206と、入出力インターフェース208と、バス210とを備える。
【0064】
プロセッサ202は、CPU(Central Processing Unit)を含む。プロセッサ202は、GPUを含んでもよい。プロセッサ202は、バス210を介して、メモリ204、ストレージ206、入出力インターフェース、入力装置22、及び表示装置24と接続される。
【0065】
プロセッサ202は、メモリ204に記憶されたプログラムを実行することで各種の機能を実現させる。プロセッサ202は、情報処理装置20の各部、及び医用画像撮影装置10に配設された各種の機器を統括制御し、様々な処理を行う。
【0066】
入出力インターフェース208は、不図示のネットワークと接続可能な通信インターフェース、及び外部機器と接続可能な接続インターフェース等を含む。ネットワークは、例えば、医療施設内のローカルエリアネットワークであってもよい。外部機器と接続可能な接続インターフェースとしては、例えば、ユニバーサルシリアルバス(Universal Serial Bus)、HDMI(High-Definition Multimedia Interface)(HDMIは登録商標)等を適用することができる。
【0067】
プロセッサ202は、入出力インターフェース208を介して医用画像撮影装置10に配設された各種の機器との間で通信し、これにより必要な情報の送受信を行う。
【0068】
表示装置24は、医用画像撮影装置10によって撮影された医用画像の他、各種の情報を表示する。表示装置24は、入力装置22からの入力を受け付ける場合のGUI(Graphical User Interface)の一部として使用される。なお、表示装置24は1つに限らず、複数の表示装置を備えるマルチディスプレイの形態も可能である。
【0069】
〔医用画像診断システム1の動作フロー〕
図5は、医用画像診断システム1の作動方法の例1を示すフローチャートである。ステップS11において、プロセッサ202は、ケーブル32の全長を把握するためのキャリブレーションを行う。キャリブレーション処理のサブルーチンは図6を用いて後述する。
【0070】
ステップS11の後、ステップS12において、操作者は寝台14上の被検者にケーブル32等を装着する。ここでは心電計30のケーブル32を例示するが、ケーブル32の代わりに、又はケーブル32に加えて、インジェクタのチューブや他の生体情報モニタのケーブルなどが被検者に装着され得る。被検者に複数のケーブル状部材が装着される場合、それぞれのケーブル状部材の両端部にケーブル32と同様に固定端センサ35及び移動端センサ36が配置されることが好ましい。
【0071】
ステップS13において、プロセッサ202は固定端センサ35を認識する。ステップS14において、プロセッサ202は移動端センサ36を認識する。プロセッサ202は、固定端センサ35と移動端センサ36とのセンサ間の距離の測定情報を固定端センサ35から取得することによって、固定端センサ35及び移動端センサ36の両方のセンサを認識できたと判定してもよい。
【0072】
ステップS15において、プロセッサ202は両センサを認識できたか否かを判定する。プロセッサ202が両センサの認識に失敗し、ステップS15の判定結果がNo判定である場合に、プロセッサ202はステップS16に移行する。ステップS16において、プロセッサ202は、センサ取付確認及びセンサ間障害物確認のアラートを提示する。
【0073】
センサ取付確認のアラートは、操作者に対してセンサの取り付け状態の確認を促すアラートである。センサ間障害物確認のアラートは、操作者に対してセンサ間の障害物の確認を促すアラートである。操作者は、アラートを受けて固定端センサ35及び移動端センサ36の取り付け状態を確認し、不備がある場合には、その不備を改善する処置を行う。また、操作者は、アラートを受けて固定端センサ35及び移動端センサ36のセンサ間の障害物の有無を確認し、不適切な障害物がある場合には、その障害物を除去する処置を行う。
【0074】
ステップS16の後、プロセッサ202は、ステップS13に戻る。ステップS13及びステップS14にてプロセッサ202が両センサの認識に成功し、ステップS15の判定結果がYes判定である場合に、プロセッサ202はステップS18に移行する。
【0075】
ステップS18において、プロセッサ202は、撮影条件の設定の入力を受け付ける。操作者は、被検者PTの撮影部位に応じた撮影条件を設定する。
【0076】
ステップS19において、プロセッサ202は、設定された撮影条件の読み込みを行う。撮影条件には寝台移動量の情報が含まれる。
【0077】
次いで、ステップS20において、プロセッサ202は、寝台安全可動範囲の算出を行う。寝台安全可動範囲は、ケーブル32の長さを考慮して寝台14を安全に動かすことができる許容可動範囲であり、ケーブル32の全長、ケーブル32の両端の間の距離、ケーブル32の両端の位置、及び寝台移動方向に基づいて算出される。寝台安全可動範囲の算出処理のサブルーチンについては図7を用いて後述する。
【0078】
次いで、ステップS21において、プロセッサ202は、撮影条件で設定された寝台移動量が寝台安全可動範囲内であるか否かを判定する。
【0079】
撮影条件で設定された寝台移動量が寝台安全可動範囲を超えており、ステップS21の判定結果がNo判定である場合に、プロセッサ202は、ステップS22に移行する。
【0080】
ステップS22において、プロセッサ202は、撮影条件で設定された寝台移動量が寝台安全可動範囲を超えている旨を示すアラートを報知し、寝台安全可動範囲の提示を行う。寝台安全可動範囲の提示により、操作者に対して適切な寝台移動量の撮影条件への変更が促される。ステップS22の後、プロセッサ202はステップS18に戻る。
【0081】
撮影条件で設定された寝台移動量が寝台安全可動範囲内であり、ステップS21の判定結果がYes判定である場合に、プロセッサ202は、撮影の実行を許可して、ステップS24に進む。
【0082】
ステップS24において、プロセッサ202は、撮影条件に従い撮影を実行する。プロセッサ202は、表示装置24に撮影可能である旨を表示し、操作者から撮影開始の操作を受け付けることで撮影を実行する。なお、プロセッサ202は、撮影の実行が許可された場合に自動で撮影を実行してもよい。ステップS24の後、図5のフローチャートを終了する。
【0083】
図6は、図5のステップS11に適用されるキャリブレーション処理の例を示すフローチャートである。
【0084】
ステップS31において、プロセッサ202は、今回の撮影において使用するケーブル32が前回と同じケーブルかつ同じセンサ位置であるか否かを判定する。ステップS31の判定処理は、ケーブル32の全長を測定するためのキャリブレーションの実行の要否を判定する処理である。情報処理装置20は、前回使用したケーブル状部材に関する情報をメモリ204及び/又はストレージ206に保持しており、プロセッサ202は、今回の撮影に使用するケーブル32とセンサ34の位置とが前回と同じであれば、キャリブレーションを不要とし、前回と異なる場合にキャリブレーションが必要と判定する。
【0085】
プロセッサ202は、前回使用したケーブル状部材の種類及び全長などの情報を表示装置24に表示し、操作者に対して前回と同じであるか否かを選択させるGUIを提供するなどして、操作者からの指示を受け付けてもよい。あるいはまた、ケーブル32に付されたバーコード等の情報コードを読み取るなどして、ケーブル32の情報を取得し、メモリ204等に保持している情報と比較して、一致/不一致を判定してもよい。
【0086】
ステップS31の判定結果がNo判定である場合、ケーブル32の全長測定が必要であるため、ステップS32に移行する。
【0087】
ステップS32において、操作者は、ケーブル32をたるみのない水平状態にセットする。ステップS32は、ケーブル32を被検者に装着する前に実施されるため、ケーブル32の被検者側の端部(移動端センサ36が配置された端部)をケーブルの全長の範囲で任意の位置に動かすことができる。キャリブレーションの際には、ケーブル32をたるみのない水平状態にして両端間の距離を測定する。
【0088】
ステップS32後のステップS33からステップS35は、図5のステップS13からステップS15と同様である。
【0089】
ステップS35の判定結果がNo判定である場合、プロセッサ202は、ステップS36に進む。ステップS36において、プロセッサ202は、図のステップS16と同様に、センサ取付確認及びセンサ間障害物確認のアラートを提示する。ステップS36の後、プロセッサ202は、ステップS32に戻る。
【0090】
ステップS35の判定結果がYes判定である場合、プロセッサ202は、ステップS37に移行する。ステップS37において、プロセッサ202は、ケーブル32の全長Lを測定する。ケーブル32がたるみのない水平状態にある場合、ケーブル32の両端部に配置された固定端センサ35と移動端センサ36とによって測定されるセンサ間の距離がケーブル32の全長Lとなり得る。なお、ケーブル32に対する固定端センサ35及び移動端センサ36の設置場所と、全長Lを定義するケーブル両端とのずれを考慮して、センサ間の計測距離に所定の補正値を加えた値をケーブル32の全長Lとしてもよい。
【0091】
ステップS37にて測定されたケーブル32の全長Lは、使用されるケーブル32の種類を特定する情報及び日時情報と紐付けされてメモリ204等の記憶装置に記憶される。
【0092】
ステップS37の後、プロセッサ202は、図5のフローチャートに復帰する。また、ステップS31の判定結果がYes判定である場合は、全長Lの測定が不要であるため、プロセッサ202は、ステップS32~S36をスキップして、図6のフローチャートを終了し、図5のフローチャートに復帰する。
【0093】
なお、図6では、固定端センサ35と移動端センサ36とを利用したケーブル32の全長Lを測定する例を説明したが、ケーブル32の種類や全長Lの情報を入力装置22から入力してもよい。また、使用される可能性がある複数のケーブルについてそれぞれの全長の情報を予めテーブルとしてメモリ204等に記憶しておき、GUIを介して操作者等に使用するケーブルを選択させるなどして、該当するケーブルの全長の情報を取得してもよい。
【0094】
図7は、図5のステップS20に適用される寝台安全可動範囲の算出処理の例を示すフローチャートである。なお、ここでは説明を簡単にするために、固定端センサ35と移動端センサ36とが寝台移動方向に平行な同一直線上にあると仮定して説明する。
【0095】
図7のステップS41において、固定端センサ35と移動端センサ36とを用いて現在のセンサ間距離Aを計測する。プロセッサ202は、センサ間距離Aの計測値を取得する。
【0096】
次いで、ステップS42において、プロセッサ202は、寝台移動方向が固定端センサ35から移動端センサ36に向かう方向であるか否かを判定する。ここでいう寝台移動方向は、現在の寝台位置から被検者をガントリ12の撮影空間13に進入させるときの寝台14の移動方向である。寝台移動前の(現在の)固定端センサ35と、移動端センサ36と、ガントリ12の撮影空間13とのZ軸方向についての位置関係に応じて処理が分岐される。
【0097】
すなわち、Z軸方向の位置関係として、ガントリ12の撮影空間13に対して、固定端センサ35が移動端センサ36よりも遠い位置にある場合、寝台移動方向が固定端センサ35から移動端センサ36に向かう方向となり、ステップS42の判定結果がYes判定となる。逆に、ガントリ12の撮影空間13に対して、移動端センサ36が固定端センサ35よりも遠い位置にある場合、寝台移動方向が移動端センサ36から固定端センサ35に向かう方向となり、ステップS42の判定結果がNo判定となる。
【0098】
ステップS42の判定結果がYes判定である場合に、プロセッサ202は、ステップS43に移行する。ステップS43において、プロセッサ202は、寝台14の安全可動距離Sを次式によって算出する。
【0099】
S=L-A
すなわち、安全可動距離Sは、ケーブル32の全長Lから現在のセンサ間距離Aを減算して得られる値となる。
【0100】
安全可動距離Sは、寝台移動方向に寝台14を安全に動かすことができる距離の上限(可動限界距離)であり、安全可動距離S以下の距離の範囲が寝台安全可動範囲となる。安全可動距離Sを算出することは、寝台安全可動範囲を算出することに相当する。
【0101】
一方、ステップS42の判定結果がNo判定である場合に、プロセッサ202は、ステップS44に移行する。ステップS44において、プロセッサ202は、寝台14の安全可動距離Sを次式によって算出する。
【0102】
S=L+A
すなわち、安全可動距離Sは、ケーブル32の全長Lに現在のセンサ間距離Aを加算して得られる値となる。安全可動距離Sによって制限される寝台安全可動範囲は本開示における「安全可動範囲」の一例である。
【0103】
なお、固定端センサ35のZ軸方向位置と、移動端センサ36のZ軸方向位置とが一致している場合は、センサ間距離AがA=0であり、ステップS43又はステップS44のどちらの処理に進んでも安全可動距離Sの算出結果は同じである。したがって、固定端センサ35と移動端センサ36とが同じZ軸方向位置である場合の処理は、ステップS43で実施してもよいし、ステップS44で実施してもよい。
【0104】
ステップS43又はステップS44の後、プロセッサ202は図7のフローチャートを終了し、図5のフローチャートに復帰する。
【0105】
〔固定端センサ35と移動端センサ36とが寝台移動方向に平行な同一直線上にない場合〕
図7に示すフローチャートの説明では、固定端センサ35と移動端センサ36とが寝台移動方向に平行な同一直線上にあると仮定しているが、固定端センサ35と移動端センサ36とが寝台移動方向に平行な同一直線上にない場合(図8参照)については、測定されたセンサ間距離を、寝台移動方向に平行な同一直線上の距離に変換して上述のフローチャートの処理を行うものとする。
【0106】
図8は、固定端センサ35と移動端センサ36との位置関係の例を概略的に示す平面模式図である。寝台14が移動する方向(寝台移動方向)は図8の上方向であるとする。心電計30は、寝台14に対して図8の左側に配置され、固定端センサ35と移動端センサ36とは、寝台移動方向に平行な同一直線上に存在しない。この場合、測定されるセンサ間距離Apを同一直線上の距離(センサ間距離A)に変換し、この変換した換算距離であるセンサ間距離Aを用いて図7のフローチャートの処理を行う。
【0107】
〔情報処理装置20の機能的構成〕
図9は、情報処理装置20の機能的構成を示すブロック図である。情報処理装置20は、センサ情報取得部220、ケーブル端検出部222、両端間距離測定部224、記憶部226、安全可動範囲算出部228、撮影条件設定部230、比較判定部232、報知部236、制御部240、画像処理部250、及び画像保存部252を備える。
【0108】
センサ情報取得部220は、センサ34から情報を取得する。ケーブル端検出部222は、センサ34からの情報を基にケーブル32の両端の位置を検出する。ケーブル32の両端の位置は、固定端センサ35の位置と移動端センサ36の位置として検出されてもよい。
【0109】
両端間距離測定部224は、センサ34からの情報を基にケーブル32の両端間の距離を測定する。ケーブル32の両端間の距離は、固定端センサ35と移動端センサ36とのセンサ間の距離として測定されてもよい。両端間距離測定部224は、ケーブル端検出部222によって検出された両端の位置を基に距離を測定してもよい。
【0110】
なお、センサ34がケーブル端検出部222及び両端間距離測定部224の少なくとも1つの処理部を内蔵していてもよい。
【0111】
記憶部226には、使用されるケーブル32についてのケーブル属性情報と、センサ位置情報と、を含む各種の情報が記憶される。ケーブル属性情報は、キャリブレーションの処理によって得られたケーブル32の全長L及びケーブル32の種類を含む。
【0112】
安全可動範囲算出部228は、ケーブル32の全長L、ケーブル32の両端の位置、両端の間の距離、及び寝台移動方向を基に寝台14の安全可動範囲を算出する。
【0113】
撮影条件設定部230は、入力装置22を介して撮影条件の指定を受け付け、指定された撮影条件を設定する。比較判定部232は、撮影条件で設定された寝台移動量と、安全可動範囲とを比較する。寝台移動量が安全可動範囲を超える場合に、比較判定部232は、撮影開始前にアラート等の報知を行うために報知部236に指令を出す。その一方、寝台移動量が安全可動範囲内である場合に、比較判定部232は、制御部240に対し撮影を許可する信号を与える。
【0114】
報知部236は、比較判定部232の判定結果を受けて、撮影条件の寝台移動量が安全可動範囲を超える旨を報知する処理を行う。例えば、報知部236は、表示装置24にアラートを表示させる。報知部236は、アラートと共に寝台14の安全可動範囲を表示装置24に表示させてもよい。
【0115】
制御部240は、寝台制御部242と、撮影制御部244とを含む。寝台制御部242は、寝台14の動きを制御する。寝台14は、寝台駆動部152を備える。寝台駆動部152は、寝台制御部242からの指令に従い天板15を移動させる。寝台駆動部152を含む天板駆動装置は本開示における「駆動機構」の一例である。撮影制御部244は、ガントリ12のスキャン動作を制御する。制御部240は、比較判定部232の判定結果を受けて、撮影条件に従い寝台14の移動と撮影を実行する。
【0116】
撮影によってガントリ12から得られた投影データは画像処理部250に送られ、画像処理部250において画像再構成の処理が行われる。画像処理部250により再構成された画像データ(医用画像)は、画像保存部252に保存される。画像保存部252は、情報処理装置20の内部のストレージであってもよいし、DICOM(Digital Imaging and Communication in Medicine)サーバのような外部の記憶装置であってもよい。また、画像処理部250により再構成された医用画像は、表示装置24に表示される。
【0117】
なお、図2で説明した記憶装置123は、記憶部124及び画像保存部252として機能し得る。また、図2で説明したシステム制御装置124は制御部240として機能し、画像処理装置122は画像処理部250として機能する。
【0118】
〔変形例〕
図10は、医用画像診断システム1の動作の例2を示すフローチャートである。図5で説明したフローチャートの代わりに、図10に示すフローチャートを適用してもよい。図10のフローチャートについて図5のフローチャートと異なる点を説明する。
【0119】
図10のフローチャートは、図5のステップS22の代わりに、ステップS23を含む。その他のステップは図5のフローチャートと同様である。
【0120】
図10におけるステップS21の判定結果がNo判定である場合、プロセッサ202はステップS23に移行する。
【0121】
ステップS23において、プロセッサ202は、機器最適位置の算出と提示の処理を実行する。機器最適位置は、撮影条件を変更せずに撮影を実施可能にするために、医療機器の位置を変更する場合の医療機器の移動先位置(設置位置)であり、本実施形態の場合、心電計30の位置を変更する場合に推奨される心電計30の移動先位置である。なお、機器最適位置は、現在の医療機器の位置からの移動必要距離によって表すことができる。
【0122】
ステップS23に適用される機器最適位置の算出と提示の処理のサブルーチンについては図11を用いて後述する。
【0123】
ステップS23の後、プロセッサ202は、ステップS18に戻る。その他のステップの動作は図5で説明したとおりである。
【0124】
図11は、図10のステップS23に適用される機器最適位置の算出と提示の処理の例を示すフローチャートである。
【0125】
ステップS51において、プロセッサ202は、撮影条件の寝台移動量がケーブル32の全長Lの2倍未満であるか否かを判定する。ステップS51の判定結果がYes判定である場合に、プロセッサ202は、ステップS52に移行する。
【0126】
ステップS52において、プロセッサ202は、撮影条件の寝台移動量から安全可動距離Sを減算して得られる値を機器移動必要距離Mとして求める。
【0127】
次いで、ステップS53において、プロセッサ202は、寝台移動方向が固定端センサ35から移動端センサ36に向かう方向であるか否かを判定する。ステップS53の判定結果がYes判定である場合、プロセッサ202は、ステップS54に移行する。ステップS54において、プロセッサ202は、固定端センサ35から移動端センサ36の方向へ機器移動必要距離Mを提示する。
【0128】
その一方、ステップS53の判定結果がNo判定である場合、プロセッサ202は、ステップS55に移行する。ステップS55において、プロセッサ202は、移動端センサ36から固定端センサ35の方向へ機器移動必要距離Mを提示する。ステップS54又はステップS55の後、プロセッサ202は、図10のフローチャートに復帰する。
【0129】
また、ステップS51の判定結果がNo判定である場合に、プロセッサ202は、ステップS56に移行する。撮影条件の寝台移動量が2L以上である場合、医療機器の位置を現在の位置から±Lの範囲で移動させても寝台移動量を安全可動範囲内に収めることができない。したがって、ステップS56において、プロセッサ202は、撮影条件の再検討を要求する処理を実行する。プロセッサ202は、操作者に対して撮影条件の見直しを促すメッセージなどを表示装置24に表示させる。
【0130】
ステップS56の後、プロセッサ202は図10のフローチャートに復帰する。
【0131】
〔変形例に係る情報処理装置20の機能的構成〕
図12は、変形例に係る情報処理装置20の機能的構成を示すブロック図である。図12に示す構成について、図9の構成と異なる点を説明する。
【0132】
図12に示す情報処理装置20は、機器最適位置算出部234が追加されている点で図9の構成と異なる。その他の構成は、図9と同様であってよい。機器最適位置算出部234は、図11のフローチャートで説明した処理を実施する処理部である。
【0133】
機器最適位置算出部234は、比較判定部232の判定結果を受けて、図11のフローチャートで説明した処理を実施する。機器最適位置算出部234により算出された機器移動必要距離Mは報知部236を介して表示装置24に表示される。
【0134】
《各処理部のハードウェア構成について》
図9及び図12に示す情報処理装置20におけるセンサ情報取得部220、ケーブル端検出部222、両端間距離測定部224、安全可動範囲算出部228、撮影条件設定部230、比較判定部232、機器最適位置算出部234、報知部236、制御部240、及び画像処理部250などの各種の処理を実行する処理部(processing unit)のハードウェア的な構造は、例えば、次に示すような各種のプロセッサ(processor)である。
【0135】
各種のプロセッサには、プログラムを実行して各種の処理部として機能する汎用的なプロセッサであるCPU、GPU、FPGA(Field Programmable Gate Array)などの製造後に回路構成を変更可能なプロセッサであるプログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device:PLD)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などの特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路などが含まれる。
【0136】
1つの処理部は、これら各種のプロセッサのうちの1つで構成されていてもよいし、同種または異種の2つ以上のプロセッサで構成されてもよい。例えば、1つの処理部は、複数のFPGA、あるいは、CPUとFPGAの組み合わせ、またはCPUとGPUの組み合わせによって構成されてもよい。また、複数の処理部を1つのプロセッサで構成してもよい。複数の処理部を1つのプロセッサで構成する例としては、第一に、クライアントやサーバなどのコンピュータに代表されるように、1つ以上のCPUとソフトウェアの組み合わせで1つのプロセッサを構成し、このプロセッサが複数の処理部として機能する形態がある。第二に、システムオンチップ(System On Chip:SoC)などに代表されるように、複数の処理部を含むシステム全体の機能を1つのIC(Integrated Circuit)チップで実現するプロセッサを使用する形態がある。このように、各種の処理部は、ハードウェア的な構造として、上記各種のプロセッサを1つ以上用いて構成される。
【0137】
さらに、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造は、より具体的には、半導体素子などの回路素子を組み合わせた電気回路(circuitry)である。
【0138】
〔第1実施形態の効果〕
第1実施形態に係る医用画像診断システム1によれば、次のような効果が得られる。
【0139】
[1]検査室内で検査に必要な作業や被検者の補助を行う人(操作者等)がケーブル状態を確認する負担を軽減できる。
【0140】
[2]使用するケーブル32の全長L及び現在のケーブル状態(両端の位置の状態)から寝台14の可動範囲が制限されるような場合に、その安全可動範囲と撮影条件の寝台移動量との比較を撮影開始前に実施できる。
【0141】
[3]撮影条件で設定される寝台移動量が寝台14の安全可動範囲を超える場合に、撮影開始前にアラート等で報知することにより、寝台移動によるケーブル32の巻き込みや引っ張りなどの危険を回避できる。
【0142】
[4]アラートを報知する場合に、寝台安全範囲の情報を提示するため、操作者は提示された寝台安全範囲内で撮影条件を変更するなど、適切な対処が可能である。
【0143】
[5]ケーブル32の途中に障害物等がある場合に、撮影開始前にアラート等で報知することにより、操作性の向上及び危険回避が可能である。
【0144】
[6]スキャノグラムのやり直しを抑制でき、無効被曝を抑制できる。
【0145】
また、第1実施形態の変形例に係る医用画像診断システム1によれば、さらに、次のような効果が得られる。
【0146】
[7]撮影条件で設定される寝台移動量が寝台14の安全可動範囲を超える場合に、撮影条件での撮影を実施可能にする心電計30の適切な設置位置を示す機器移動必要距離Mが提示されるため、操作者等は提示された情報に従い心電計30を移動させて、撮影を行うことが可能である。
【0147】
《第2実施形態》
第1実施形態では、測距センサを用いる例を説明したが、測距センサの代わりに、カメラを用いてもよい。カメラによって撮影された画像について画像解析を実施することにより、ケーブル32の両端の検出及びケーブル32の長さの算出が可能である。カメラは、ケーブル32の両端の位置や両端間の距離を正確に検出するために、3次元(3D)カメラを用いる態様、又は、複数台のカメラを用いる態様が好ましい。カメラは、三脚などを用いて検査室内の適宜の位置に設置されてもよいし、検査室の天井や壁などに固定されてもよい。また、カメラは、ガントリ12に取り付けられてもよい。
【0148】
カメラを利用する場合は、図5のステップS13、S14、及び図6のステップS33、S34の代わりに、カメラで撮影された画像をプロセッサ202が画像解析して心電計30などの医療機器とケーブル32などの被写体を認識し、ケーブル32の端部を検出してもよい。また、ケーブル32の端部にマーカを付けておき、画像解析によってマーカを認識することでケーブル32の端部を検出してもよい。そして、図5のステップS15及び図6のステップS35の代わりに、ケーブル32の両端部を検出できたか否かを判定してもよい。
【0149】
また、図5のステップS16及び図6のステップS36に関して、カメラを利用する場合は、カメラで撮影された画像からプロセッサ202が画像解析によって障害物を認識し、障害物があれば、その障害物を提示してもよい。
【0150】
第2実施形態においても、第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0151】
《コンピュータを動作させるプログラムについて》
第1実施形態、第1実施形態の変形例、及び第2実施形態のそれぞれにおける情報処理装置20の処理機能の一部又は全部をコンピュータに実現させるプログラムを、光ディスク、磁気ディスク、若しくは、半導体メモリその他の有体物たる非一時的な情報記憶媒体であるコンピュータ可読媒体に記録し、この情報記憶媒体を通じてプログラムを提供することが可能である。
【0152】
またこのような有体物たる非一時的なコンピュータ可読媒体にプログラムを記憶させて提供する態様に代えて、インターネットなどの電気通信回線を利用してプログラム信号をダウンロードサービスとして提供することも可能である。
【0153】
さらに、情報処理装置20における処理機能の一部又は全部をクラウドコンピューティングによって実現してもよく、また、SaaS(Software as a Service)として提供することも可能である。
【0154】
《その他》
本開示は上述した実施形態に限定されるものではなく、本開示の技術的思想の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0155】
1…医用画像診断システム
10…医用画像撮影装置
12…ガントリ
13…撮影空間
14…寝台
15…天板
16…コンソール
20…情報処理装置
22…入力装置
24…表示装置
30…心電計
32…ケーブル
34…センサ
35…固定端センサ
36…移動端センサ
202…プロセッサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
図12