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特開2024-17112給電光を用いて光通信を行うシステム及び方法
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  • 特開-給電光を用いて光通信を行うシステム及び方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024017112
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】給電光を用いて光通信を行うシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   H04B 10/80 20130101AFI20240201BHJP
【FI】
H04B10/80
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022119544
(22)【出願日】2022-07-27
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504300088
【氏名又は名称】国立大学法人北海道国立大学機構
(74)【代理人】
【識別番号】100119677
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100160495
【弁理士】
【氏名又は名称】畑 雅明
(74)【代理人】
【識別番号】100115794
【弁理士】
【氏名又は名称】今下 勝博
(72)【発明者】
【氏名】飯田 裕之
(72)【発明者】
【氏名】半澤 信智
(72)【発明者】
【氏名】松井 隆
(72)【発明者】
【氏名】山下 陽子
(72)【発明者】
【氏名】大本 航平
(72)【発明者】
【氏名】中島 和秀
(72)【発明者】
【氏名】黒河 賢二
【テーマコード(参考)】
5K102
【Fターム(参考)】
5K102AA01
5K102AD01
5K102AL12
5K102AL15
5K102AN02
5K102AN03
5K102KA06
5K102KA31
5K102PH47
5K102PH48
5K102PH49
5K102PH50
(57)【要約】
【課題】本開示は、光給電量の制約を緩和した光給電と双方向光通信とを1本の光ファイバで実現可能にすることを目的とする。
【解決手段】本開示は、複数の装置を接続するマルチコア光ファイバを備え、前記マルチコア光ファイバに備わる複数のコアのうちの少なくとも1つを用いて通信光を伝送し、前記マルチコア光ファイバに備わる複数のコアのうちの少なくとも1つを用いて給電光を伝送し、前記マルチコア光ファイバにおける給電光を伝送するコアと通信光を伝送するコアが異なり、前記マルチコア光ファイバは、通信光及び給電光を単一モード又は擬似単一モードで伝送する、システムである。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の装置を接続するマルチコア光ファイバを備え、
前記マルチコア光ファイバに備わる複数のコアのうちの少なくとも1つを用いて通信光を伝送し、
前記マルチコア光ファイバに備わる複数のコアのうちの少なくとも1つを用いて給電光を伝送し、
前記マルチコア光ファイバにおける給電光を伝送するコアと通信光を伝送するコアが異なり、
前記マルチコア光ファイバは、通信光及び給電光を単一モード又は擬似単一モードで伝送する、
システム。
【請求項2】
前記通信光の波長が、前記給電光の波長よりも短波長である、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記マルチコア光ファイバに備わる2以上のコアを用いて給電光を伝送することを特徴とする、
請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記給電光を受信する遠端装置は、
光を電気に変換する光電変換素子と、
前記光電変換素子から出力された電力を用いて通信光を送信する送信器と、
前記光電変換素子から出力された電力を用いて通信光を受信する受信器と、
を備えることを特徴とする、
請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記マルチコア光ファイバが4個のコアを有し、
前記4個のコアのうちの2個のコアを用いて給電光を伝送し、
前記4個のコアのうちの残りの2個のコアを用いて、伝送方向の異なる通信光を伝送することを特徴とする、
請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記マルチコア光ファイバが4個のコアを有し、
前記4個のコアのうちの3個のコアを用いて給電光を伝送し、
前記4個のコアのうちの残りの1個のコアを用いて、伝送方向及び波長の異なる通信光を伝送することを特徴とする、
請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
複数の装置がマルチコア光ファイバで接続されているシステムが実行する方法であって、
前記マルチコア光ファイバに備わる複数のコアのうちの少なくとも1つを用いて通信光を伝送し、
前記マルチコア光ファイバに備わる複数のコアのうちの少なくとも1つを用いて給電光を伝送し、
前記マルチコア光ファイバにおける給電光を伝送するコアと通信光を伝送するコアが異なり、
前記マルチコア光ファイバは、通信光及び給電光を単一モード又は擬似単一モードで伝送する、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、給電光を用いて光通信を行うシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
給電光を用いて光通信を行うシステムが提案されている(例えば、非特許文献1及び2参照。)。非特許文献1で開示された第1の手法では、2本の光ファイバを用い、2本のうち1本の光ファイバを光給電に、他方の光ファイバを光通信に適用し、近端装置から遠端装置への光給電と、近端装置と遠端装置との双方向光通信と、を行う。この方法では、2本の光ファイバとして、既存単一モード光ファイバ2本を用いるか、又は既存多モード光ファイバ2本を用いるか、又は既存単一モード光ファイバ1本と既存多モード光ファイバ1本2本の光ファイバを用いている。
【0003】
非特許文献1で開示された第2の手法では、既存単一モード光ファイバ1本、もしくは既存多モード光ファイバ1本を用い、波長の異なる給電光と通信光を多重することで、近端装置から遠端装置への光給電と、近端装置と遠端装置との双方向光通信を行う。
【0004】
非特許文献2で開示された第3の手法では、ダブルクラッド構造光ファイバ/数モード光ファイバを用い、給電光を高次モード/多モードの領域で、通信光を基本モード/単一モードの領域で伝送することにより、近端装置から遠端装置への光給電と、近端装置と遠端装置との双方向光通信を行う。ここで、ダブルクラッド構造光ファイバは、高次モードおよび基本モードを伝送する領域を光ファイバ断面内で多重した光ファイバである。また数モード光ファイバは、特定の波長帯で多モード伝送を、前記特定の波長帯よりも長波長側で単一モード伝送を行う構造を有する光ファイバである。
【0005】
第1の手法では、2本の光ファイバを必要とするため、システム構成が煩雑化しコストが増大する。
第2の手法では、単一モード光ファイバでは、光非線形効果による入力光電力の上限により、遠端装置への光給電量が制限される、また多モード光ファイバでは、通信速度および伝送距離が多モード伝送による特性劣化により制限される。
第3の手法では、光ファイバ構造が複雑化し、給電波長および通信波長が光ファイバ構造で制約される。また、通信波長が1波長の場合は、双方向の同時通信が行えない。
第2および第3の手法では、一般に給電に適した高次モード/多モードの領域が短波長側になるため、通信波長帯が給電波長によるラマン散乱特性により劣化する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】非特許文献1.D. Wake et al., “Optically powered remote units for radio-over-fiber systems,” J. Lightw. Technol. 26, 2484-2491 (2008).
【非特許文献2】M. Matsuura et al., “150-W power-over-fiber using double-clad fibers,” J. Lightw. Technol. 38, 401-408 (2020).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本開示は、光給電量の制約を緩和した光給電と双方向光通信とを1本の光ファイバで実現可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、マルチコア光ファイバを光給電に供することで、既存の単一コア単一モード光ファイバにおける給電光の入力制限を改善する。これにより、本開示は、近端装置から遠端装置への光給電と、近端装置と遠端装置との双方向光通信を、単一モード光ファイバで同時に実現すると同時に、単一モード光給電による光給電量の制約をなくし、給電波長と通信波長の多重による通信波長特性の劣化を防ぐ。
【0009】
本開示のシステムは、複数の装置を接続するマルチコア光ファイバを備え、本開示の方法を実行する。本開示の方法は、複数の装置がマルチコア光ファイバで接続されているシステムが実行する方法であって、前記マルチコア光ファイバに備わる複数のコアのうちの少なくとも1つを用いて通信光を伝送し、前記マルチコア光ファイバに備わる複数のコアのうちの少なくとも1つを用いて給電光を伝送する。
【0010】
ここで、本開示では、前記マルチコア光ファイバにおける給電光を伝送するコアと通信光を伝送するコアが異なる。また、前記マルチコア光ファイバは、通信光及び給電光を単一モード又は擬似単一モードで伝送する。これにより、本開示は、光給電量の制約を緩和した光給電と双方向光通信とを1本の光ファイバで実現可能にする。
【0011】
また、前記通信光の波長が、前記給電光の波長よりも短波長であってもよい。本開示は、給電波長を通信波長よりも長波長側に設定することで、給電光によるラマン散乱の影響を緩和することができる。
【0012】
また、前記マルチコア光ファイバは、前記給電光を伝送するコアが2以上であってもよい。これにより、遠端装置において、より大きな電力を得ることができる。
【0013】
前記給電光を受信する遠端装置は、
光を電気に変換する光電変換素子と、
前記光電変換素子から出力された電力を用いて通信光を送信する送信器と、
前記光電変換素子から出力された電力を用いて通信光を受信する受信器と、
を備えていてもよい。
【0014】
本開示のシステムは、前記マルチコア光ファイバが4個のコアを有し、前記4個のコアのうちの2個のコアを用いて給電光を伝送し、前記4個のコアのうちの残りの2個のコアを用いて、伝送方向の異なる通信光を伝送する態様を採用しうる。
【0015】
本開示のシステムは、前記マルチコア光ファイバが4個のコアを有し、前記4個のコアのうちの3個のコアを用いて給電光を伝送し、前記4個のコアのうちの残りの1個のコアを用いて、伝送方向及び波長の異なる通信光を伝送する態様を採用しうる。
【0016】
なお、上記各開示は、可能な限り組み合わせることができる。
【発明の効果】
【0017】
本開示は、光給電量の制約を緩和した光給電と双方向光通信とを1本の光ファイバで実現可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本開示のシステム構成例を示す。
図2】本実施形態例で使用したマルチコア光ファイバの光学特性の一例を示す。
図3】入力給電光パワーの入力コア数依存性を示す。
図4】OE変換後電力の入力コア数依存性を示す。
図5】双方向通信の符号誤り率の受信光強度依存性を示す。
図6】本開示のシステム構成例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本開示は、以下に示す実施形態に限定されるものではない。これらの実施の例は例示に過ぎず、本開示は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した形態で実施することができる。なお、本明細書及び図面において符号が同じ構成要素は、相互に同一のものを示すものとする。
【0020】
(実施形態例1)
図1に本開示のシステムの構成図を示す。本実施形態のシステムは、近端装置91及び遠端装置95がマルチコア光ファイバ93で接続され、近端装置91及び遠端装置95が双方向通信を行う、給電・双方向通信システムである。以下、1例として、通常の単一モード光ファイバと同等の光学特性を有するコアを、直径125μmのクラッド内に正方格子状に4個配列したマルチコア光ファイバ93を用いた給電・双方向通信システムについて説明する。
【0021】
本実施形態の給電・双方向通信システムは、マルチコア光ファイバ93に備わる複数のコアのうちの少なくとも1つを用いて通信光を伝送し、マルチコア光ファイバ93に備わる複数のコアのうちの少なくとも1つを用いて給電光を伝送する。例えば、本実施形態では、通信光の通信波長にλ1およびλ2を用い、給電光の給電波長にλ3を用いる。ここで、本開示の給電・双方向通信システムでは、λ1およびλ2はλ3よりも短波長側に設定され、これによりλ3によるラマン散乱の影響が回避される。
【0022】
例えば、近端装置91は波長λ1の送信器(Tx)11、波長λ2の受信器(Rx)12、並びに波長λ3の給電光源13を有する。給電光源13からの給電光は2ポートに分岐され、λ1およびλ2のポートと共に合分波装置92を介してマルチコア光ファイバ93の第1から第4のコアに接続される。例えば、送信器11は第1のコアに接続され、受信器12は第2のコアに接続され、給電光源13は第3及び第4のコアに接続される。このように、本実施形態では、マルチコア光ファイバ93において、給電光を伝送するコアと通信光を伝送するコアが異なり、2個のコアを用いて伝送方向及び波長の異なる通信光を伝送する。
【0023】
ここで、合分波装置92は、近端装置91からの4つの光を異なるコアに結合させることの可能な任意の手段を用いることができ、例えば、WDMカプラ、パワーカプラ、Fan-In/Fan-Out(FIFO)デバイス等が例示できる。合分波装置94についても、マルチコア光ファイバ93に備わるコアごとに分離可能な任意の手段を用いることができ、合分波装置92と同様のものを用いることができる。
【0024】
遠端装置95は、波長λ1の受信器51、波長λ2の送信器52、並びに波長λ3の光電(OE)変換素子53を有する。各装置/素子は、それぞれマルチコア光ファイバ93の第1から第4のコアと接続される。例えば、受信器51は第1のコアに接続され、送信器52は第2のコアに接続され、OE変換素子53は第3及び第4のコアに接続される。
【0025】
さらに、遠端装置95でOE変換された電力は、適切な電気回路を介して、受信器51および送信器52の電源として供給される。本構成により、遠端装置95は無電源状態であっても、近端装置91からの給電により双方向通信を行うことができる。
【0026】
図2に本実施形態例で使用したマルチコア光ファイバ93の光学特性の一例を示す。本実施形態例では、遮断波長は1260nm未満であり、モードフィールド径(MFD:Mode Field Diameter)は8.6μm、曲げ損失は0.1dB未満、ゼロ分散波長は1300以上1320nm以下、クロストーク(XT)は-47dB/km未満のものを用いた。ここで、MFDは1310nmでの値を示し、曲げ損失及びクロストークは波長1625nmでの値を示す。また曲げ損失は、曲げ半径30mmで100回巻いた状態での値である。マルチコア光ファイバ93の各コアの伝送特性は、単一モードもしくは擬似単一モード伝送を実現できればよく、任意の光学特性を設定できるが、既存の汎用送受信装置を流用できるため、汎用単一モード光ファイバ(例えば、ITU-T勧告G.652に準拠する光ファイバ)と同等の光学特性を有することが望ましい。
【0027】
本開示の実施形態例1に用いたマルチコア光ファイバ93は、いずれのコアもITU-T勧告G.652に準拠する光学特性を満足し、波長1260nm以上で単一モード動作する。なお、既存光ファイバ標準にはクロストークの規定がないが、使用波長において、受信端で概ね-20dB以下のクロストーク特性が得られれば良好な伝送特性を得ることができる。本実施形態例のマルチコア光ファイバ93では約2.6km伝搬後も波長1625nm以下で-40dB未満のクロストーク特性が実現できる。
【0028】
図3及び図4に、入力給電光電力およびOE変換後電力の入力コア数依存性を示す。入力給電光パワーは、給電光源13から出力され、マルチコア光ファイバ93のコアに入力される合計の給電光パワーである。OE変換後電力は、遠端装置95におけるOE変換後の電力である。本実施形態例では、給電波長を1550nmに設定し、近端装置91から遠端装置95までの伝送距離を2.6kmに設定した。
【0029】
図3及び図4によれば、給電光を複数のコアに分配して伝搬することにより、単一コアを使用する場合よりも、受信端である遠端装置95において、より大きな給電光およびOE変換電圧を得られることがわかる。本実施形態例で用いた受信器51および送信器52の駆動電力は600mWであり、2コアで給電光を分配することにより、遠端で受信器51および送信器52を駆動するのに十分は電力が光給電できる。
【0030】
図5に双方向通信の符号誤り率(BER)の受信光強度依存性を示す。ここで、送信器11および受信器12は近端装置91の商用電源を用いて駆動し、遠端装置95側の受信器51および送信器52は給電光により得られた電力を用いて駆動した。なお、伝送光は1.25Gbit/sの強度変調信号で、PRBS(Pseudo-Random Binary Sequence)は215-1に設定した。また本実施形態例では、λ1とλ2は共に1310 nmに設定した。
【0031】
図中において、□は近端装置91に備わる送信器11から送信され、遠端装置95に備わる受信器51にて受信された信号のBER(Bit Error Rate)を示し、●は遠端装置95に備わる送信器52から送信され、近端装置91に備わる受信器12で受信された信号のBERを示す。給電光を用いた場合であっても、良好な伝送特性が実現されていることがわかる。
【0032】
(実施形態例2)
図6に本開示の第2の実施形態例の給電・双方向通信システムの構成図を示す。本実施形態の給電・双方向通信システムは、近端装置91および遠端装置95の構成、並びにマルチコア光ファイバ93の特性は実施形態例1と同様とする。但し、送信器11及び受信器12は第1のコアに接続され、給電光源13は第2、第3及び第4のコアに接続される。
【0033】
給電光源13からの給電光は3ポートに分岐され、マルチコア光ファイバ93の第2のコアから第4のコアに入射され、第1のコアを伝搬する信号光はWDMカプラ等を介して、送信器52又は受信器51、或いは受信器51と送信器52の両方に接続される。
【0034】
ここで、送信器11及び受信器51の通信波長をλ1、送信器62及び受信器12の通信波長をλ2、給電波長をλ3とする。本実施形態では、マルチコア光ファイバ93において、給電光を伝送するコアと通信光を伝送するコアが異なり、1個のコアを用いて伝送方向及び波長の異なる通信光を伝送する。
【0035】
例えば、λ1を1310nm、λ2を1550nm、λ3を1560nmとする場合、給電波長で生じるラマンスペクトルは約100nm程度長波長側に発生し、当該波長で隣接コアのクロストーク成分が増大する。しかし、λ1およびλ2はλ3よりも短波長側に設定されているため、クロストーク雑音の影響は受けない。
【0036】
一方、λ3をλ2よりも短波長(例えば、1450nm)、あるいはλ1よりも短波長(例えば、1160nm)に設定した場合、給電波長のラマンスペクトル成分により、λ3が1450nmの場合はλ2の信号光が、λ3が1160nmの場合はλ1の信号光がクロストーク雑音により劣化する。
【0037】
従って、第2の実施形態例では、λ1<λ2<λ3とすることにより、好適な双方向通信を実現することができる。
【0038】
なお、上述のマルチコア光ファイバ93では直径125μmのクラッド内に正方格子状に4個配列されている例を示したが、マルチコア光ファイバ93のクラッド径、クラッド径に備わるコアの数及び配列は任意である。例えば、マルチコア光ファイバ93は、8個など、5個以上のコアを備えていてもよい。
【0039】
また、給電波長がλ3のみである例を示したが、2以上の給電波長を用いてもよい。この場合、全ての給電波長を全ての通信よりも長波長にすることで、本開示の効果が得られる。
【符号の説明】
【0040】
11、52:送信器
12、51:受信器
13:給電光源
53:光電(OE)変換素子
91:近端装置
92、94:合分波装置
93:マルチコア光ファイバ
95:遠端装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6