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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171233
(43)【公開日】2024-12-11
(54)【発明の名称】光学系および光学装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 13/00 20060101AFI20241204BHJP
   G02B 13/18 20060101ALN20241204BHJP
【FI】
G02B13/00
G02B13/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023088198
(22)【出願日】2023-05-29
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 広樹
【テーマコード(参考)】
2H087
【Fターム(参考)】
2H087KA01
2H087LA01
2H087MA07
2H087PA11
2H087PA12
2H087PA16
2H087PA20
2H087PB14
2H087PB15
2H087QA02
2H087QA06
2H087QA07
2H087QA17
2H087QA22
2H087QA25
2H087QA26
2H087QA32
2H087QA34
2H087QA42
2H087QA45
2H087QA46
2H087RA05
2H087RA12
2H087RA13
2H087RA32
2H087RA42
2H087RA43
2H087RA44
2H087UA06
(57)【要約】
【課題】高解像でありながら、小型に構成され、広い画角を有し、かつ、Fナンバーが小さい光学系、およびこの光学系を備えた光学装置を提供する。
【解決手段】1つのレンズ成分を1枚の単レンズもしくは1つの接合レンズとした場合に、複数のレンズ成分を含む光学系であって、光学系内には、開口径が可変であり光学系のFナンバーを決定する開口絞りと、合焦の際に移動する少なくとも1つの合焦群とが配置される。光学系は、予め定められた条件式を満足する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つのレンズ成分を1枚の単レンズもしくは1つの接合レンズとした場合に、複数のレンズ成分を含む光学系であって、
前記光学系内には、開口径が可変であり前記光学系のFナンバーを決定する開口絞りと、合焦の際に移動する少なくとも1つの合焦群とが配置され、
前記開口絞りより物体側に位置し負の屈折力を有し最も像側の面が凹形状であるレンズ成分を負凹レンズ成分とし、
前記光学系の前記負凹レンズ成分のうち、光軸を含む断面において前記負凹レンズ成分の最も像側の面の最大有効径の位置における該面の法線と光軸との角度の絶対値が最大となる前記負凹レンズ成分を第1負凹レンズ成分とし、
前記第1負凹レンズ成分の前記角度をα1とし、
α1の単位を度とし、α1の符号を負とし、
無限遠物体に合焦した状態における開放FナンバーをFNoとし、
無限遠物体に合焦した状態における前記光学系の空気換算距離でのバックフォーカスをBfとし、
無限遠物体に合焦した状態における前記光学系の焦点距離をfとし、
無限遠物体に合焦した状態における最大半画角をωmとし、
Y=f×tanωmとした場合、
-80<α1<-30 (1)
0.5<FNo<2.3 (2)
0.5<Bf/Y<1.7 (3)
で表される条件式(1)、(2)、および(3)を満足する光学系。
【請求項2】
前記開口絞りより像側に位置し正の屈折力を有するレンズ成分のうち、最も物体側のレンズ成分をPレンズ成分とし、
無限遠物体に合焦した状態における前記開口絞りから前記Pレンズ成分の最も物体側の面までの光軸上の距離をdStPとし、
無限遠物体に合焦した状態における前記開口絞りから前記光学系の最も像側のレンズ面までの光軸上の距離と、Bfとの和をdStIとした場合、
0<dStP/dStI<0.38 (4)
で表される条件式(4)を満足する請求項1に記載の光学系。
【請求項3】
前記光学系の前記レンズ成分それぞれについて最も物体側の面の最大有効径および最も像側の面の最大有効径のうち大きい方を広域有効径とし、
前記Pレンズ成分の最も物体側の面から前記光学系の最も像側のレンズ成分の最も物体側の面までに含まれるレンズ成分のうち、前記広域有効径が最小となるレンズ成分をEdレンズ成分とし、
前記Edレンズ成分の焦点距離をfEdとした場合、
-0.27<Y/fEd<0.1 (5)
で表される条件式(5)を満足する請求項2に記載の光学系。
【請求項4】
前記光学系の前記レンズ成分それぞれについて最も物体側の面の最大有効径および最も像側の面の最大有効径のうち大きい方を広域有効径とし、
前記Pレンズ成分の最も物体側の面から前記光学系の最も像側のレンズ成分の最も物体側の面までに含まれるレンズ成分のうち、前記広域有効径が最小となるレンズ成分をEdレンズ成分とし、
光軸を含む断面において、前記Edレンズ成分の最も物体側の面の最大有効径の位置における該面の法線が光軸となす角度と、前記Edレンズ成分の最も像側の面の最大有効径の位置における該面の法線が光軸となす角度とのうち、絶対値が大きい方の角度をα2とし、
α2の単位を度とし、
前記法線を求めた前記面が凹面の場合はα2の符号を負とし、前記法線を求めた前記面が凸面の場合はα2の符号を正とした場合、
-45<α2<0 (6)
で表される条件式(6)を満足する請求項2に記載の光学系。
【請求項5】
前記Pレンズ成分の焦点距離をfPとした場合、
0.1<Y/fP<0.9 (7)
で表される条件式(7)を満足する請求項2に記載の光学系。
【請求項6】
ωmの単位を度とした場合、
32<ωm<55 (8)
で表される条件式(8)を満足する請求項1に記載の光学系。
【請求項7】
無限遠物体に合焦した状態における前記光学系の最も物体側のレンズ面から近軸入射瞳位置までの光軸上の距離をDenpとした場合、
0.83<f/Denp<2.5 (9)
で表される条件式(9)を満足する請求項1に記載の光学系。
【請求項8】
無限遠物体に合焦した状態における近軸射出瞳位置から像面までの光軸上の距離をDexpとし、
前記像面と前記近軸射出瞳位置との間に屈折力を有しない光学部材が配置されている場合は、前記光学部材については空気換算距離を用いてDexpを計算する場合、
0.25<Dexp/Y<0.5 (10)
で表される条件式(10)を満足する請求項1に記載の光学系。
【請求項9】
最至近物体に合焦した状態における前記光学系の横倍率をBとした場合、
0.07<|B|<0.3 (11)
で表される条件式(11)を満足する請求項1に記載の光学系。
【請求項10】
前記光学系の前記合焦群それぞれについて、
無限遠物体から最至近物体に合焦する際の前記合焦群の移動量をMfとし、
無限遠物体に合焦した状態における前記合焦群の横倍率をβfとし、
無限遠物体に合焦した状態における前記合焦群より像側の全てのレンズの合成横倍率をβfRとし、
γ=(1-βf)×βfRとした場合、
前記光学系の前記合焦群のうち、|Mf×γ|が最大となる前記合焦群を最大合焦群とし、
前記最大合焦群の焦点距離をffmとした場合、
0.05<f/|ffm|<0.95 (12)
で表される条件式(12)を満足する請求項1に記載の光学系。
【請求項11】
前記光学系の前記合焦群それぞれについて、
無限遠物体から最至近物体に合焦する際の前記合焦群の移動量をMfとし、
無限遠物体に合焦した状態における前記合焦群の横倍率をβfとし、
無限遠物体に合焦した状態における前記合焦群より像側の全てのレンズの合成横倍率をβfRとし、
γ=(1-βf)×βfRとした場合、
前記光学系の前記合焦群のうち、|Mf×γ|が最大となる前記合焦群を最大合焦群とし、
前記最大合焦群より物体側の全てのレンズの合成焦点距離をffmFとした場合、
-0.9<f/ffmF<2 (13)
で表される条件式(13)を満足する請求項1に記載の光学系。
【請求項12】
前記光学系の前記合焦群それぞれについて、
無限遠物体から最至近物体に合焦する際の前記合焦群の移動量をMfとし、
無限遠物体に合焦した状態における前記合焦群の横倍率をβfとし、
無限遠物体に合焦した状態における前記合焦群より像側の全てのレンズの合成横倍率をβfRとし、
γ=(1-βf)×βfRとした場合、
前記光学系の前記合焦群のうち、|Mf×γ|が最大となる合焦群を最大合焦群とし、
前記最大合焦群のγをγfmとした場合、
0.38<|γfm|<2.5 (14)
で表される条件式(14)を満足する請求項1に記載の光学系。
【請求項13】
前記光学系の前記合焦群それぞれについて、
無限遠物体から最至近物体に合焦する際の前記合焦群の移動量をMfとし、
無限遠物体に合焦した状態における前記合焦群の横倍率をβfとし、
無限遠物体に合焦した状態における前記合焦群より像側の全てのレンズの合成横倍率をβfRとし、
γ=(1-βf)×βfRとした場合、
前記光学系の前記合焦群のうち、|Mf×γ|が最大となる合焦群を最大合焦群とし、
前記最大合焦群のMfをMfmとし、
無限遠物体に合焦した状態における前記光学系の最も物体側のレンズ面から前記光学系の最も像側のレンズ面までの光軸上の距離と、Bfとの和をTLとした場合、
0.006<|Mfm|/TL<0.15 (15)
で表される条件式(15)を満足する請求項1に記載の光学系。
【請求項14】
前記光学系の前記合焦群それぞれについて、
無限遠物体から最至近物体に合焦する際の前記合焦群の移動量をMfとし、
無限遠物体に合焦した状態における前記合焦群の横倍率をβfとし、
無限遠物体に合焦した状態における前記合焦群より像側の全てのレンズの合成横倍率をβfRとし、
γ=(1-βf)×βfRとした場合、
前記光学系の前記合焦群のうち、|Mf×γ|が最大となる合焦群を最大合焦群とし、
前記最大合焦群より像側の全てのレンズの合成焦点距離をffmRとした場合、
-0.5<f/ffmR<1.5 (16)
で表される条件式(16)を満足する請求項1に記載の光学系。
【請求項15】
前記第1負凹レンズ成分の最も像側の面から前記開口絞りまでの間に、負レンズと正レンズとが物体側から順に接合されて最も物体側の面が凹形状である第1接合レンズが配置されている請求項1に記載の光学系。
【請求項16】
前記第1接合レンズの最も物体側の面の近軸曲率半径をRc1とした場合、
-2<f/Rc1<-0.025 (17)
で表される条件式(17)を満足する請求項15に記載の光学系。
【請求項17】
前記光学系の前記レンズ成分それぞれについて最も物体側の面の最大有効径および最も像側の面の最大有効径のうち大きい方を広域有効径とし、
前記Pレンズ成分の最も物体側の面から前記光学系の最も像側のレンズ成分の最も物体側の面までに含まれるレンズ成分のうち、前記広域有効径が最小となるレンズ成分をEdレンズ成分とした場合、
前記Pレンズ成分の最も像側の面から前記Edレンズ成分の最も物体側の面までの間に、正レンズと負レンズとが物体側から順に接合された第2接合レンズが配置されている請求項2に記載の光学系。
【請求項18】
前記第2接合レンズの最も物体側の面の近軸曲率半径をRc2とした場合、
0.02<f/Rc2<1.5 (18)
で表される条件式(18)を満足する請求項17に記載の光学系。
【請求項19】
前記開口絞りより像側に位置し正の屈折力を有するレンズ成分のうち、最も物体側のレンズ成分をPレンズ成分とし、
無限遠物体に合焦した状態における前記開口絞りから前記Pレンズ成分の最も物体側の面までの光軸上の距離をdStPとし、
無限遠物体に合焦した状態における前記開口絞りから前記光学系の最も像側のレンズ面までの光軸上の距離と、Bfとの和をdStIとし、
前記光学系の前記レンズ成分それぞれについて最も物体側の面の最大有効径および最も像側の面の最大有効径のうち大きい方を広域有効径とし、
前記Pレンズ成分の最も物体側の面から前記光学系の最も像側のレンズ成分の最も物体側の面までに含まれるレンズ成分のうち、前記広域有効径が最小となるレンズ成分をEdレンズ成分とし、
前記Edレンズ成分の焦点距離をfEdとし、
光軸を含む断面において、前記Edレンズ成分の最も物体側の面の最大有効径の位置における該面の法線が光軸となす角度と、前記Edレンズ成分の最も像側の面の最大有効径の位置における該面の法線が光軸となす角度とのうち、絶対値が大きい方の角度をα2とし、
α2の単位を度とし、
前記法線を求めた前記面が凹面の場合はα2の符号を負とし、前記法線を求めた前記面が凸面の場合はα2の符号を正とした場合、
0<dStP/dStI<0.38 (4)
-0.27<Y/fEd<0.1 (5)
-45<α2<0 (6)
で表される条件式(4)、(5)、および(6)を満足する請求項1に記載の光学系。
【請求項20】
請求項1から請求項19のいずれか1項に記載の光学系を備えた光学装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の技術は、光学系、および光学装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、デジタルカメラ等の光学装置に使用可能な光学系として、下記特許文献1および特許文献2に記載のものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-117775号公報
【特許文献2】特開2021-117436号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
高解像でありながら、小型に構成され、広い画角を有し、かつ、Fナンバーが小さい光学系が要望されている。これらの要求レベルは年々高まっている。
【0005】
本開示は、高解像でありながら、小型に構成され、広い画角を有し、かつ、Fナンバーが小さい光学系、およびこの光学系を備えた光学装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の態様の光学系は、1つのレンズ成分を1枚の単レンズもしくは1つの接合レンズとした場合に、複数のレンズ成分を含む光学系であって、光学系内には、開口径が可変であり光学系のFナンバーを決定する開口絞りと、合焦の際に移動する少なくとも1つの合焦群とが配置され、
-80<α1<-30 (1)
0.5<FNo<2.3 (2)
0.5<Bf/Y<1.7 (3)
で表される条件式(1)、(2)、および(3)を満足する。上記態様の光学系では、以下のように定めている。開口絞りより物体側に位置し負の屈折力を有し最も像側の面が凹形状であるレンズ成分を負凹レンズ成分としている。光学系の負凹レンズ成分のうち、光軸を含む断面において負凹レンズ成分の最も像側の面の最大有効径の位置におけるその面の法線と光軸との角度の絶対値が最大となる負凹レンズ成分を第1負凹レンズ成分としている。第1負凹レンズ成分の角度をα1とし、α1の単位を度とし、α1の符号を負としている。無限遠物体に合焦した状態における開放FナンバーをFNoとしている。無限遠物体に合焦した状態における光学系の空気換算距離でのバックフォーカスをBfとしている。無限遠物体に合焦した状態における光学系の焦点距離をfとしている。無限遠物体に合焦した状態における最大半画角をωmとしている。Y=f×tanωmとしている。
【0007】
開口絞りより像側に位置し正の屈折力を有するレンズ成分のうち、最も物体側のレンズ成分をPレンズ成分とし、無限遠物体に合焦した状態における開口絞りからPレンズ成分の最も物体側の面までの光軸上の距離をdStPとし、無限遠物体に合焦した状態における開口絞りから光学系の最も像側のレンズ面までの光軸上の距離と、Bfとの和をdStIとした場合、上記態様の光学系は、
0<dStP/dStI<0.38 (4)
で表される条件式(4)を満足することが好ましい。
【0008】
光学系のレンズ成分それぞれについて最も物体側の面の最大有効径および最も像側の面の最大有効径のうち大きい方を広域有効径とし、上記Pレンズ成分の最も物体側の面から光学系の最も像側のレンズ成分の最も物体側の面までに含まれるレンズ成分のうち、広域有効径が最小となるレンズ成分をEdレンズ成分とし、Edレンズ成分の焦点距離をfEdとした場合、上記態様の光学系は、
-0.27<Y/fEd<0.1 (5)
で表される条件式(5)を満足することが好ましい。
【0009】
光軸を含む断面において、上記Edレンズ成分の最も物体側の面の最大有効径の位置におけるその面の法線が光軸となす角度と、上記Edレンズ成分の最も像側の面の最大有効径の位置におけるその面の法線が光軸となす角度とのうち、絶対値が大きい方の角度をα2とした場合、上記態様の光学系は、
-45<α2<0 (6)
で表される条件式(6)を満足することが好ましい。なお、ここでは、α2の単位を度とし、法線を求めた面が凹面の場合はα2の符号を負とし、法線を求めた面が凸面の場合はα2の符号を正とする。
【0010】
上記Pレンズ成分の焦点距離をfPとした場合、上記態様の光学系は、
0.1<Y/fP<0.9 (7)
で表される条件式(7)を満足することが好ましい。
【0011】
ωmの単位を度とした場合、上記態様の光学系は、
32<ωm<55 (8)
で表される条件式(8)を満足することが好ましい。
【0012】
無限遠物体に合焦した状態における光学系の最も物体側のレンズ面から近軸入射瞳位置までの光軸上の距離をDenpとした場合、上記態様の光学系は、
0.83<f/Denp<2.5 (9)
で表される条件式(9)を満足することが好ましい。
【0013】
無限遠物体に合焦した状態における近軸射出瞳位置から像面までの光軸上の距離をDexpとした場合、上記態様の光学系は、
0.25<Dexp/Y<0.5 (10)
で表される条件式(10)を満足することが好ましい。なお、像面と近軸射出瞳位置との間に屈折力を有しない光学部材が配置されている場合は、光学部材については空気換算距離を用いてDexpを計算する。
【0014】
最至近物体に合焦した状態における光学系の横倍率をBとした場合、上記態様の光学系は、
0.07<|B|<0.3 (11)
で表される条件式(11)を満足することが好ましい。
【0015】
光学系の合焦群それぞれについて、無限遠物体から最至近物体に合焦する際の合焦群の移動量をMfとし、無限遠物体に合焦した状態における合焦群の横倍率をβfとし、無限遠物体に合焦した状態における合焦群より像側の全てのレンズの合成横倍率をβfRとし、γ=(1-βf)×βfRとした場合、光学系の合焦群のうち、|Mf×γ|が最大となる合焦群を最大合焦群とし、最大合焦群の焦点距離をffmとした場合、上記態様の光学系は、
0.05<f/|ffm|<0.95 (12)
で表される条件式(12)を満足することが好ましい。
【0016】
上記最大合焦群より物体側の全てのレンズの合成焦点距離をffmFとした場合、上記態様の光学系は、
-0.9<f/ffmF<2 (13)
で表される条件式(13)を満足することが好ましい。
【0017】
上記最大合焦群のγをγfmとした場合、上記態様の光学系は、
0.38<|γfm|<2.5 (14)
で表される条件式(14)を満足することが好ましい。
【0018】
上記最大合焦群のMfをMfmとし、無限遠物体に合焦した状態における光学系の最も物体側のレンズ面から光学系の最も像側のレンズ面までの光軸上の距離と、Bfとの和をTLとした場合、上記態様の光学系は、
0.006<|Mfm|/TL<0.15 (15)
で表される条件式(15)を満足することが好ましい。
【0019】
上記最大合焦群より像側の全てのレンズの合成焦点距離をffmRとした場合、上記態様の光学系は、
-0.5<f/ffmR<1.5 (16)
で表される条件式(16)を満足することが好ましい。
【0020】
第1負凹レンズ成分の最も像側の面から開口絞りまでの間に、負レンズと正レンズとが物体側から順に接合されて最も物体側の面が凹形状である第1接合レンズが配置されていることが好ましい。そして、第1接合レンズの最も物体側の面の近軸曲率半径をRc1とした場合、上記態様の光学系は、
-2<f/Rc1<-0.025 (17)
で表される条件式(17)を満足することが好ましい。
【0021】
上記Pレンズ成分の最も像側の面から上記Edレンズ成分の最も物体側の面までの間に、正レンズと負レンズとが物体側から順に接合された第2接合レンズが配置されていることが好ましい。そして、第2接合レンズの最も物体側の面の近軸曲率半径をRc2とした場合、上記態様の光学系は、
0.02<f/Rc2<1.5 (18)
で表される条件式(18)を満足することが好ましい。
【0022】
上記態様の光学系は、上記条件式(4)、(5)、および(6)を同時に満足することが好ましい。
【0023】
なお、本明細書の「~からなり」、「~からなる」は、挙げられた構成要素以外に、実質的に屈折力を有さないレンズ、並びに、絞り、フィルタ、およびカバーガラス等のレンズ以外の光学要素、並びに、レンズフランジ、レンズバレル、撮像素子、および手振れ補正機構等の機構部分、等が含まれていてもよいことを意図する。
【0024】
本明細書の「~群」は、複数のレンズからなる構成に限らず、1枚のみのレンズからなる構成としてもよい。本明細書の「正の屈折力を有する~群」は、群全体として正の屈折力を有することを意味する。同様に「負の屈折力を有する~群」は、群全体として負の屈折力を有することを意味する。本明細書の「正の屈折力を有するレンズ成分」は、レンズ成分全体として正の屈折力を有することを意味する。同様に「負の屈折力を有するレンズ成分」は、レンズ成分全体として負の屈折力を有することを意味する。
【0025】
単レンズは、接合されていない1枚のレンズである。本明細書においては、複合非球面レンズ(レンズ(例えば球面レンズ)と、そのレンズ上に形成された非球面形状の膜とが一体的に構成されて、全体として1つの非球面レンズとして機能するレンズ)は、接合レンズとは見なさず、1枚のレンズとして扱う。非球面を含むレンズに関する曲率半径、屈折力の符号、および面形状は、特に断りが無い限り、近軸領域のものを用いる。曲率半径の符号は、物体側に凸形状を向けた面の曲率半径の符号を正、像側に凸形状を向けた面の曲率半径の符号を負とする。
【0026】
条件式で用いている「焦点距離」は、近軸焦点距離である。条件式で用いている「光軸上の距離」は、特に断りが無い限り、幾何学的距離である。「空気換算距離でのバックフォーカス」は、光学系の最も像側のレンズ面から像面までの光軸上の空気換算距離である。条件式で用いている値は、特に断りがない限り、無限遠物体に合焦した状態においてd線を基準とした場合の値である。
【発明の効果】
【0027】
本開示によれば、高解像でありながら、小型に構成され、広い画角を有し、かつ、Fナンバーが小さい光学系、およびこの光学系を備えた光学装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】実施例1の光学系に対応し、一実施形態に係る光学系の構成を示す断面図である。
図2図1の光学系の各合焦状態における構成と光束を示す断面図である。
図3】開口径が可変の開口絞りの一例を示す図である。
図4】最大有効径の位置を説明するための図である。
図5】条件式の記号を説明するための図である。
図6】実施例1の光学系の各収差図である。
図7】実施例2の光学系の構成を示す断面図である。
図8】実施例2の光学系の各収差図である。
図9】実施例3の光学系の構成を示す断面図である。
図10】実施例3の光学系の各収差図である。
図11】実施例4の光学系の構成を示す断面図である。
図12】実施例4の光学系の各収差図である。
図13】実施例5の光学系の構成を示す断面図である。
図14】実施例5の光学系の各収差図である。
図15】実施例6の光学系の構成を示す断面図である。
図16】実施例6の光学系の各収差図である。
図17】実施例7の光学系の構成を示す断面図である。
図18】実施例7の光学系の各収差図である。
図19】実施例8の光学系の構成を示す断面図である。
図20】実施例8の光学系の各収差図である。
図21】実施例9の光学系の構成を示す断面図である。
図22】実施例9の光学系の各収差図である。
図23】実施例10の光学系の構成を示す断面図である。
図24】実施例10の光学系の各収差図である。
図25】一実施形態に係る撮像装置の正面側の斜視図である。
図26】一実施形態に係る撮像装置の背面側の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照しながら本開示の実施形態について説明する。
【0030】
図1に、本開示の一実施形態に係る光学系の無限遠物体に合焦した状態における構成の断面図を示す。図2に、図1の光学系の各合焦状態における構成と光束の断面図を示す。図2には、「無限遠」と付した上段に無限遠物体に合焦した状態を示し、「最至近」と付した下段に最至近物体に合焦した状態を示す。なお、本明細書では、無限遠の距離にある物体を「無限遠物体」といい、最至近の距離にある物体を「最至近物体」という。図2の上段には光束として、無限遠物体に合焦した状態における、軸上光束および最大半画角ωmの光束を示す。図2の下段には、光束として、最至近物体に合焦した状態における、軸上光束および最大半画角の光束を示す。図1および図2では、左側が物体側であり、右側が像側である。図1および図2に示す例は後述の実施例1の光学系に対応している。以下では主に図1を参照しながら説明する。
【0031】
本開示の光学系は、複数のレンズ成分を含む。本明細書において、「レンズ成分」とは、単レンズのこと、もしくは2枚以上のレンズを接合してなる接合レンズのことをいう。1枚の単レンズ、もしくは1つの接合レンズが1つのレンズ成分である。レンズ成分が単レンズの場合は、「レンズ成分の最も物体側の面」はその単レンズの物体側の面であり、「レンズ成分の最も像側の面」はその単レンズの像側の面である。
【0032】
一例として、図1の光学系は、光軸Zに沿って物体側から像側へ順に配列された、レンズ成分C1~C12の12個のレンズ成分を含む。
【0033】
図1の例の各レンズ成分は以下のように構成されている。レンズ成分C1は、単レンズであるレンズL1aからなる。レンズ成分C2は、単レンズであるレンズL1bからなる。レンズ成分C3は、レンズL1cとレンズL1dとが接合された接合レンズからなる。レンズ成分C4は、レンズL1eとレンズL1fとが接合された接合レンズからなる。レンズ成分C5は、単レンズであるレンズL1gからなる。レンズ成分C6は、単レンズであるレンズL1hからなる。レンズ成分C7は、レンズL2aとレンズL2bとが接合された接合レンズからなる。レンズ成分C8は、単レンズであるレンズL2cからなる。レンズ成分C9は、単レンズであるレンズL2dからなる。レンズ成分C10は、単レンズであるレンズL2eからなる。レンズ成分C11は、単レンズであるレンズL3aからなる。レンズ成分C12は、単レンズであるレンズL3bからなる。
【0034】
なお、図1の例では、光学系が光学装置に適用されることを想定して、光学系より像側に平行平板状の光学部材PPが配置された例を示している。光学部材PPは、各種フィルタ、および/又はカバーガラス等を想定した部材である。各種フィルタは、ローパスフィルタ、赤外線カットフィルタ、および/又は特定の波長域をカットするフィルタ等である。光学部材PPは屈折力を有しない部材である。光学部材PPを省略して光学装置を構成することも可能である。
【0035】
本開示の光学系内には、光学系のFナンバーを決定する開口絞りStが配置される。開口絞りStは、開口径が可変の開口部を有する。この開口径を変化させることによってFナンバーを変更することが可能であるので、Fナンバーの調節が可能である。
【0036】
図1の例では、レンズ成分C5とレンズ成分C6との間には開口絞りStが配置されている。図1に示す開口絞りStは、大きさおよび形状を示すのではなく、光軸方向の位置を示す。開口絞りStのこの図示方法は、光学系の構成を示す他の断面図においても同様である。
【0037】
開口絞りStは、例えば図3に示すように、光軸Zを中心とした円周上に間隔をもって配置された複数の絞り羽根8を有し、全体として円環状の遮光部を形成するように構成することができる。この遮光部より径方向内側の部分が開口部であり、光が通る部分である。開口部は略円形であり、この円形の直径が開口径9である。複数の絞り羽根8を開閉方向に移動させることにより、図3に示すように開口径9が変化する。なお、図3の開口絞りStは8枚の絞り羽根8を有するが、図の煩雑化を避けるため、図3では1つの絞り羽根8にのみ参照符号を付している。また、図3は一例であり、1つの開口絞りStが含む絞り羽根8の数は任意に設定可能である。
【0038】
また、本開示の光学系内には、合焦の際に移動する少なくとも1つの合焦群が配置される。合焦の際、合焦群が光軸Zに沿って移動し、その他の群は像面Simに対して固定される。合焦群が移動することによって、合焦が行われる。
【0039】
一例として、図1の光学系は、単焦点光学系であり、物体側から像側へ順に、第1レンズ群G1と、第2レンズ群G2と、第3レンズ群G3との3つのレンズ群からなる。図1の例では第2レンズ群G2が合焦群である。図1の光学系の各レンズ群は以下のように構成されている。第1レンズ群G1は、レンズ成分C1~C6の6つのレンズ成分と、開口絞りStとからなる。第2レンズ群G2は、レンズ成分C7~C10の4つのレンズ成分からなる。第3レンズ群G3は、レンズ成分C11~C12の2つのレンズ成分からなる。図1の第2レンズ群G2の下の左向きの矢印は、無限遠物体から最至近物体への合焦の際に、合焦群が移動する方向を示す。
【0040】
図1の例では、合焦の際に変化する間隔を各レンズ群の境にして、上記の3つのレンズ群からなるように構成している。この構成によれば、光学系の全長を変化させることなく合焦が可能であり、また、合焦群の軽量化が可能である。
【0041】
なお、本明細書における「合焦の際に変化する間隔を各レンズ群の境にして」とは、合焦の際、隣り合うレンズ群の相互間隔が変化し、各レンズ群の内部ではレンズの相互間隔が変化しないことを意味する。すなわち、合焦の際には、各レンズ群単位で移動する、もしくは不動となるように構成される。面と面との間隔のうち、合焦の際に変化する間隔を可変面間隔と呼ぶ場合、例えば、図1の例では、最も物体側の可変面間隔より物体側に配置された全ての光学素子からなる群が第1レンズ群G1であり、最も物体側の可変面間隔と物体側から2番目の可変面間隔との間に配置された全ての光学素子からなる群が第2レンズ群G2である。なお、本明細書における「光学素子」は、レンズ、および開口絞りを含む。すなわち、各レンズ群はレンズ以外に開口絞り等の絞りを含んでもよい。
【0042】
以下に、本開示の光学系のレンズ成分に関する好ましい構成について説明する。なお、以下では、条件式の記号は、定義が同じものには同じ記号を用いることにし、記号の定義の重複説明を省略する。また、以下では、冗長さを避けるため「本開示の光学系」を単に「光学系」ともいう。
【0043】
まず、「負凹レンズ成分」および「第1負凹レンズ成分」について説明する。本明細書では、開口絞りStより物体側に位置し、負の屈折力を有し、最も像側の面が凹形状であるレンズ成分を「負凹レンズ成分」と呼ぶ。本開示の光学系は、負凹レンズ成分を含むことが好ましい。このようにした場合は、光学系の物体側の部分を小径化しながら広角化を実現することに有利となる。図1の例では、レンズ成分C1およびレンズ成分C2が負凹レンズ成分に対応する。
【0044】
本明細書では、光学系が含む負凹レンズ成分のうち、光軸Zを含む断面において、負凹レンズ成分の最も像側の面の最大有効径の位置におけるこの面の法線と光軸Zとの角度の絶対値が最大となる負凹レンズ成分を「第1負凹レンズ成分」と呼ぶ。そして、第1負凹レンズ成分の上記角度をα1とする。角度α1は鈍角ではなく鋭角とする。角度α1の単位は度とする。本明細書では、法線を求めた面が凹面の場合は上記角度の符号を負とし、法線を求めた面が凸面の場合は上記角度の符号を正としている。よって、角度α1の符号は負となる。
【0045】
角度α1の定義に用いた「最大有効径の位置」について図4を参照しながら説明する。図4は説明用の図である。図4では、左側が物体側、右側が像側である。図4には、レンズLxを通る軸上光束Xaおよび軸外光束Xbを示す。図4の例では、軸外光束Xbの上側光線である光線Xb1が、最も外側を通る光線である。ここでいう「外側」とは、光軸Zを中心にした径方向外側、すなわち、光軸Zから離れる側である。本明細書においては、この最も外側を通る光線とレンズ面との交点の位置が、最大有効径の位置Pxである。また、最大有効径の位置Pxから光軸Zまでの距離の2倍が、レンズLxの物体側の面の有効直径EDとなる。なお、図4の例では軸外光束Xbの上側光線が最も外側を通る光線であるが、いずれの光線が最も外側を通る光線になるかは光学系により異なる。
【0046】
図1の例において、第1負凹レンズ成分に対応するのは、レンズ成分C1である。一例として図5に、レンズ成分C1の像側の面の最大有効径の位置におけるこの面の法線Norm1を示し、法線Norm1と光軸Zとの角度α1を示す。図1の例のように、第1負凹レンズ成分が光学系の最も物体側のレンズ成分であるように構成した場合は、最も物体側のレンズ成分の小径化に有利となる。
【0047】
上記の角度α1について、光学系は下記条件式(1)を満足することが好ましい。条件式(1)の対応値が下限以下とならないようにすることによって、第1負凹レンズ成分における軸外光線の屈折を抑えることができるため、非点収差の抑制に有利となる。条件式(1)の対応値が上限以上とならないようにすることによって、光学系の開口絞りStより物体側の部分を小径化し、かつ歪曲収差の絶対値を小さく維持しながら、広角化を実現することに有利となる。より良好な特性を得るためには、光学系は下記条件式(1-1)、(1-2)、および(1-3)の少なくとも1つを満足することがより好ましい。
-80<α1<-30 (1)
-70<α1<-33 (1-1)
-65<α1<-36 (1-2)
-60<α1<-39 (1-3)
【0048】
本開示の光学系においては、第1負凹レンズ成分は、光学系の最も物体側のレンズ成分であるか、もしくは光学系の物体側から2番目のレンズ成分であることが好ましい。このようにした場合は、最も物体側のレンズ成分の小径化に有利となる。
【0049】
第1負凹レンズ成分の最も像側の面から開口絞りStまでの間に、負レンズと正レンズとが物体側から順に接合されて最も物体側の面が凹形状である第1接合レンズが配置されていることが好ましい。このようにした場合は、歪曲収差と倍率色収差とを同時に補正することができる。図1の例では、レンズ成分C3が第1接合レンズに対応する。
【0050】
光学系は下記条件式(17)を満足することが好ましい。ここでは、無限遠物体に合焦した状態における光学系の焦点距離をfとする。第1接合レンズの最も物体側の面の近軸曲率半径をRc1とする。条件式(17)の対応値が下限以下とならないようにすることによって、非点収差が補正過剰になることを回避することに有利となる。条件式(17)の対応値が上限以上とならないようにすることによって、非点収差の抑制に有利となる。より良好な特性を得るためには、光学系は下記条件式(17-1)、(17-2)、および(17-3)の少なくとも1つを満足することがより好ましい。
-2<f/Rc1<-0.025 (17)
-1.5<f/Rc1<-0.1 (17-1)
-1.2<f/Rc1<-0.2 (17-2)
-1.05<f/Rc1<-0.29 (17-3)
【0051】
次に、「Pレンズ成分」について説明する。本明細書では、開口絞りStより像側に位置し正の屈折力を有するレンズ成分のうち、最も物体側のレンズ成分を「Pレンズ成分」と呼ぶ。本開示の光学系は、Pレンズ成分を含むことが好ましい。このようにした場合は、Pレンズ成分より像側の光束を収束させることができるため、光学系のうちPレンズ成分より像側の部分の小径化が可能となる。図1の例では、レンズ成分C6がPレンズ成分に対応する。
【0052】
Pレンズ成分は、像側に向かって凸形状のレンズ面を含むことが好ましい。このようにした場合は、球面収差の補正に有利となる。
【0053】
Pレンズ成分について、光学系は下記条件式(4)を満足することが好ましい。以下では、無限遠物体に合焦した状態における開口絞りStからPレンズ成分の最も物体側の面までの光軸上の距離をdStPとする。無限遠物体に合焦した状態における光学系の空気換算距離でのバックフォーカスをBfとする。なお、本明細書において、「光学系の空気換算距離でのバックフォーカス」は、光学系の最も像側のレンズ面から像面Simまでの光軸上の空気換算距離を指す。無限遠物体に合焦した状態における開口絞りStから光学系の最も像側のレンズ面までの光軸上の距離と、Bfとの和をdStIとする。一例として、図2に上記の距離dStPを示す。条件式(4)の対応値が下限以下とならないようにすることによって、開口絞り機構を配置するスペースの確保に有利となる。条件式(4)の対応値が上限以上とならないようにすることによって、光学系の全長の短縮化に有利となり、また、開口絞りStより像側の光学系の小径化に有利となる。より良好な特性を得るためには、光学系は下記条件式(4-1)、(4-2)、および(4-3)の少なくとも1つを満足することがより好ましい。
0<dStP/dStI<0.38 (4)
0.01<dStP/dStI<0.25 (4-1)
0.014<dStP/dStI<0.15 (4-2)
0.023<dStP/dStI<0.099 (4-3)
【0054】
光学系は下記条件式(7)を満足することが好ましい。以下では、Pレンズ成分の焦点距離をfPとする。無限遠物体に合焦した状態における光学系の最大半画角をωmとする。そして記号Yを、Y=f×tanωmと定義する。tanは正接である。一例として、図2に上記の最大半画角ωmを示す。条件式(7)の対応値が下限以下とならないようにすることによって、光学系の開口絞りStより像側の部分の小径化を維持しながらFナンバーを小さくすることに有利となる。条件式(7)の対応値が上限以上とならないようにすることによって、球面収差の抑制に有利となる。より良好な特性を得るためには、光学系は下記条件式(7-1)、(7-2)、および(7-3)の少なくとも1つを満足することがより好ましい。
0.1<Y/fP<0.9 (7)
0.145<Y/fP<0.82 (7-1)
0.21<Y/fP<0.75 (7-2)
0.26<Y/fP<0.69 (7-3)
【0055】
光学系は下記条件式(20)を満足することが好ましい。以下では、Pレンズ成分が含む少なくとも1枚の正レンズのd線に対する屈折率をNpとする。条件式(20)の対応値が下限以下とならないようにすることによって、球面収差の抑制に有利となる。条件式(20)の対応値が上限以上とならないようにすることによって、面形状の誤差感度の抑制に有利となる。より良好な特性を得るためには、光学系は下記条件式(20-1)、(20-2)、(20-3)、(20-4)、(20-5)、(20-6)、および(20-7)の少なくとも1つを満足することがより好ましい。
1.43<Np<2.2 (20)
1.43<Np<2 (20-1)
1.43<Np<1.75 (20-2)
1.43<Np<1.6 (20-3)
1.8<Np<2.2 (20-4)
1.8<Np<2 (20-5)
1.9<Np<2.2 (20-6)
1.9<Np<2 (20-7)
【0056】
光学系は下記条件式(21)を満足することが好ましい。以下では、Pレンズ成分が含む少なくとも1枚の正レンズのd線基準のアッベ数をνpとする。条件式(21)の対応値が下限以下とならないようにすることによって、軸上色収差の抑制に有利となる。条件式(21)の対応値が上限以上とならないようにすることによって、軸上色収差が補正過剰になるのを回避することに有利となる。より良好な特性を得るためには、光学系は下記条件式(21-1)、(21-2)、(21-3)、(21-4)、(21-5)、(21-6)、(21-7)、(21-8)、および(21-9)の少なくとも1つを満足することがより好ましい。
14<νp<100 (21)
14<νp<86 (21-1)
14<νp<30 (21-2)
14<νp<20 (21-3)
30<νp<100 (21-4)
30<νp<86 (21-5)
50<νp<100 (21-6)
50<νp<86 (21-7)
70<νp<100 (21-8)
70<νp<86 (21-9)
【0057】
次に、「Edレンズ成分」について説明する。光学系のレンズ成分それぞれについて最も物体側の面の最大有効径および最も像側の面の最大有効径のうち大きい方を広域有効径とする。本明細書では、Pレンズ成分の最も物体側の面から光学系の最も像側のレンズ成分の最も物体側の面までに含まれるレンズ成分のうち、広域有効径が最小となるレンズ成分を「Edレンズ成分」と呼ぶ。光学系は、Edレンズ成分を含むことによって、Edレンズ成分で光線を像面Simに向けて上昇させることができるため、軸外光線の諸収差の補正に有利となる。図1の例では、レンズ成分C10がEdレンズ成分に対応する。
【0058】
Edレンズ成分について、光学系は下記条件式(5)を満足することが好ましい。ここでは、Edレンズ成分の焦点距離をfEdとする。条件式(5)の対応値が下限以下とならないようにすることによって、軸外光線に起因する像面湾曲が補正過剰になることを回避することに有利となる。条件式(5)の対応値が上限以上とならないようにすることによって、軸外光線に起因する像面湾曲の補正に有利となる。より良好な特性を得るためには、光学系は下記条件式(5-1)、(5-2)、および(5-3)の少なくとも1つを満足することがより好ましい。
-0.27<Y/fEd<0.1 (5)
-0.24<Y/fEd<0 (5-1)
-0.22<Y/fEd<-0.068 (5-2)
-0.19<Y/fEd<-0.08 (5-3)
【0059】
光軸Zを含む断面において、Edレンズ成分の最も物体側の面の最大有効径の位置におけるその面の法線が光軸Zとなす角度と、Edレンズ成分の最も像側の面の最大有効径の位置におけるその面の法線が光軸Zとなす角度とのうち、絶対値が大きい方の角度をα2とする。角度α2は鈍角ではなく鋭角とする。角度α2の単位は度とする。法線を求めた面が凹面の場合は角度α2の符号を負とし、法線を求めた面が凸面の場合は角度α2の符号を正とする。図1の例のレンズ成分C10では、物体側の面の最大有効径の位置におけるその面の法線が光軸Zとなす角度の絶対値の方が、像側の面の最大有効径の位置におけるその面の法線が光軸Zとなす角度の絶対値より大きい。一例として図5に、レンズ成分C10の物体側の面の最大有効径の位置におけるこの面の法線Norm2を示し、法線Norm2と光軸Zとの角度α2を示す。
【0060】
上記の角度α2について、光学系は下記条件式(6)を満足することが好ましい。条件式(6)の対応値が下限以下とならないようにすることによって、軸外光線に起因する非点収差が補正過剰になることを回避することに有利となる。条件式(6)の対応値が上限以上とならないようにすることによって、軸外光線に起因する非点収差の補正に有利となる。より良好な特性を得るためには、光学系は下記条件式(6-1)、(6-2)、および(6-3)の少なくとも1つを満足することがより好ましい。
-45<α2<0 (6)
-42<α2<-5 (6-1)
-40<α2<-10 (6-2)
-36<α2<-20 (6-3)
【0061】
Edレンズ成分は、光軸Zからレンズ周辺に向かって負の屈折力が強くなる非球面を含むことが好ましい。このようにした場合は、非点収差の補正に有利となる。
【0062】
光学系は下記条件式(22)を満足することが好ましい。以下では、Edレンズ成分に含まれるレンズのうち、屈折力の絶対値が最大のレンズのd線に対する屈折率をNEdとする。条件式(22)の対応値が下限以下とならないようにすることによって、像面湾曲の抑制に有利となる。条件式(22)の対応値が上限以上とならないようにすることによって、面形状の誤差感度の抑制に有利となる。より良好な特性を得るためには、光学系は下記条件式(22-1)、(22-2)、および(22-3)の少なくとも1つを満足することがより好ましい。
1.65<NEd<2.2 (22)
1.7<NEd<2 (22-1)
1.75<NEd<1.9 (22-2)
1.79<NEd<1.86 (22-3)
【0063】
光学系は下記条件式(23)を満足することが好ましい。以下では、Edレンズ成分に含まれるレンズのうち、屈折力の絶対値が最大のレンズのd線基準のアッベ数をνdとする。条件式(23)の対応値が下限以下とならないようにすることによって、倍率色収差が補正過剰になるのを回避することに有利となる。条件式(23)の対応値が上限以上とならないようにすることによって、倍率色収差の抑制に有利となる。より良好な特性を得るためには、光学系は下記条件式(23-1)、(23-2)、および(23-3)の少なくとも1つを満足することがより好ましい。
30.5<νEd<55 (23)
33<νEd<50 (23-1)
35<νEd<45 (23-2)
38<νEd<42.5 (23-3)
【0064】
Pレンズ成分の最も像側の面からEdレンズ成分の最も物体側の面までの間に、正レンズと負レンズとが物体側から順に接合された第2接合レンズが配置されていることが好ましい。このようにした場合は、球面収差と軸上色収差とを同時に補正することができる。図1の例では、レンズ成分C7が第2接合レンズに対応する。
【0065】
光学系は下記条件式(18)を満足することが好ましい。以下では、第2接合レンズの最も物体側の面の近軸曲率半径をRc2とする。条件式(18)の対応値が下限以下とならないようにすることによって、球面収差の抑制に有利となる。条件式(18)の対応値が上限以上とならないようにすることによって、球面収差が補正過剰になるのを回避することに有利となる。より良好な特性を得るためには、光学系は下記条件式(18-1)、(18-2)、および(18-3)の少なくとも1つを満足することがより好ましい。
0.02<f/Rc2<1.5 (18)
0.25<f/Rc2<1.2 (18-1)
0.4<f/Rc2<1.1 (18-2)
0.6<f/Rc2<1.05 (18-3)
【0066】
次に、非球面に関するレンズ成分として、「Asp1レンズ成分」、「Asp2レンズ成分」、および「Asp3レンズ成分」について説明する。本明細書では、開口絞りStより像側に配置され、近軸領域での屈折力に比べ最大有効径の位置での屈折力が正の方向にシフトしたレンズを含み、かつ少なくとも1面の非球面を含むレンズ成分を「Asp1レンズ成分」と呼ぶ。光学系はAsp1レンズ成分を含むように構成してもよい。このようにした場合は、像面湾曲の抑制に有利となる。Asp1レンズ成分がPレンズ成分とEdレンズ成分との間に配置された場合は、像面湾曲の抑制により有利となる。
【0067】
なお、最大有効径がレンズ成分の最も物体側の面と最も像側の面とで異なる場合は、上記のAsp1レンズ成分に関する「最大有効径」は、最大有効径が小さい方の面の最大有効径を用いることにする。上記のAsp1レンズ成分に関する「近軸領域での屈折力に比べ最大有効径の位置での屈折力」の「屈折力」は、レンズ面の屈折力ではなくレンズの屈折力のことである。
【0068】
上記の「近軸領域での屈折力に比べ最大有効径の位置での屈折力が正の方向にシフト」は、屈折力の符号に基づき以下に述べる意味となる。近軸領域と最大有効径の位置との両方でレンズが正の屈折力を有する場合は、近軸領域に比べ最大有効径の位置でより強い正の屈折力を有することを意味する。近軸領域と最大有効径の位置との両方でレンズが負の屈折力を有する場合は、近軸領域に比べ最大有効径の位置でより弱い負の屈折力を有することを意味する。レンズが近軸領域と最大有効径の位置とで互いに異符号の屈折力を有する場合は、近軸領域では負の屈折力を有し、最大有効径の位置では正の屈折力を有することを意味する。
【0069】
本明細書では、近軸領域での屈折力に比べ最大有効径の位置での屈折力が正の方向にシフトした非球面形状のレンズ面を少なくとも1面含むレンズ成分を「Asp2レンズ成分」と呼ぶ。光学系はAsp2レンズ成分を含むように構成してもよい。このようにした場合は、非点収差の抑制に有利となる。Asp2レンズ成分がEdレンズ成分より像側に配置された場合は、非点収差の抑制により有利となる。
【0070】
本明細書では、近軸領域での屈折力に比べ最大有効径の位置での屈折力が負の方向にシフトした非球面形状のレンズ面を少なくとも1面含むレンズ成分を「Asp3レンズ成分」と呼ぶ。光学系はAsp3レンズ成分を含むように構成してもよい。このようにした場合は、歪曲収差の抑制に有利となる。Asp3レンズ成分がEdレンズ成分より像側に配置された場合は、歪曲収差の抑制により有利となる。Asp3レンズ成分がAsp2レンズ成分より像側に配置された場合も、歪曲収差の抑制により有利となる。
【0071】
上記のAsp2レンズ成分およびAsp3レンズ成分に関する「近軸領域での屈折力に比べ最大有効径の位置での屈折力」の「屈折力」は、レンズ面の屈折力のことである。Asp1レンズ成分と同様に、Asp2レンズ成分に関する「近軸領域での屈折力に比べ最大有効径の位置での屈折力が正の方向にシフト」は、以下に述べる意味となる。近軸領域と最大有効径の位置との両方でレンズ面が正の屈折力を有する場合は、近軸領域に比べ最大有効径の位置でより強い正の屈折力を有することを意味する。近軸領域と最大有効径の位置との両方でレンズ面が負の屈折力を有する場合は、近軸領域に比べ最大有効径の位置でより弱い負の屈折力を有することを意味する。レンズ面が近軸領域と最大有効径の位置とで互いに異符号の屈折力を有する場合は、近軸領域では負の屈折力を有し、最大有効径の位置では正の屈折力を有することを意味する。Asp3レンズ成分に関する「近軸領域での屈折力に比べ最大有効径の位置での屈折力が負の方向にシフト」は、Asp2レンズ成分に関する上記説明の符号を逆にして考えることができる。
【0072】
光学系がAsp1レンズ成分を含む場合、光学系は下記条件式(29)を満足することが好ましい。ここでは、Asp1レンズ成分の焦点距離をfAsp1とする。条件式(29)の対応値が下限以下とならないようにすることによって、Asp1レンズ成分の組立誤差による影響を抑制することに有利となる。条件式(29)の対応値が上限以上とならないようにすることによって、像面湾曲の抑制に有利となる。より良好な特性を得るためには、光学系は下記条件式(29-1)、(29-2)、および(29-3)の少なくとも1つを満足することがより好ましい。
-0.9<f/fAsp1<-0.2 (29)
-0.8<f/fAsp1<-0.28 (29-1)
-0.7<f/fAsp1<-0.35 (29-2)
-0.6<f/fAsp1<-0.41 (29-3)
【0073】
光学系がAsp1レンズ成分を含む場合、光学系は下記条件式(32)を満足することが好ましい。ここでは、Asp1レンズ成分に含まれるレンズのうち、屈折力の絶対値が最大のレンズのd線基準のアッベ数をνAsp1とする。条件式(32)の対応値が下限以下とならないようにすることによって、より屈折率の低い材料のレンズを選択することができるため、面形状の誤差による影響を抑制できる。条件式(32)の対応値が上限以上とならないようにすることによって、倍率色収差の抑制に有利となる。より良好な特性を得るためには、光学系は下記条件式(32-1)、(32-2)、および(32-3)の少なくとも1つを満足することがより好ましい。
15<νAsp1<45 (32)
20<νAsp1<40 (32-1)
25<νAsp1<35 (32-2)
29.5<νAsp1<32.5 (32-3)
【0074】
光学系がAsp2レンズ成分を含む場合、光学系は下記条件式(30)を満足することが好ましい。ここでは、Asp2レンズ成分の最も物体側の面の近軸曲率半径をRAsp2とする。条件式(30)の対応値が下限以下とならないようにすることによって、球面収差の抑制に有利となる。条件式(30)の対応値が上限以上とならないようにすることによって、非点収差の抑制に有利となる。より良好な特性を得るためには、光学系は下記条件式(30-1)、(30-2)、および(30-3)の少なくとも1つを満足することがより好ましい。
-2.5<f/RAsp2<0.78 (30)
-2<f/RAsp2<0 (30-1)
-1.5<f/RAsp2<-0.35 (30-2)
-1.21<f/RAsp2<-0.65 (30-3)
【0075】
光学系がAsp3レンズ成分を含む場合、光学系は下記条件式(31)を満足することが好ましい。ここでは、Asp3レンズ成分の最も物体側の面の近軸曲率半径をRAsp3とする。条件式(31)の対応値が下限以下とならないようにすることによって、球面収差の抑制に有利となる。条件式(31)の対応値が上限以上とならないようにすることによって、歪曲収差の抑制に有利となる。より良好な特性を得るためには、光学系は下記条件式(31-1)、(31-2)、および(31-3)の少なくとも1つを満足することがより好ましい。
0.3<f/RAsp3<1.6 (31)
0.4<f/RAsp3<1.4 (31-1)
0.5<f/RAsp3<1.2 (31-2)
0.64<f/RAsp3<1.06 (31-3)
【0076】
次に、合焦群に関する好ましい構成について述べる。本明細書では、合焦群それぞれについて以下のように記号を定義する。無限遠物体から最至近物体に合焦する際の合焦群の移動量をMfとする。一例として、図2に上記の移動量Mfを示す。無限遠物体に合焦した状態における合焦群の横倍率をβfとする。無限遠物体に合焦した状態における合焦群より像側の全てのレンズの合成横倍率をβfRとする。そして記号γを、γ=(1-βf)×βfRと定義する。なお、合焦群より像側にレンズが存在しない場合は、βfR=1とする。本明細書では、光学系の合焦群のうち、|Mf×γ|が最大となる合焦群を「最大合焦群」と呼ぶ。最大合焦群は、主なピント調整効果(すなわち、合焦位置調整効果)を持つ合焦群である。
【0077】
なお、光学系が合焦群を1つのみ有する場合は、その1つの合焦群が最大合焦群となる。図1の例では、第2レンズ群G2が最大合焦群に対応する。図1の例のように、最大合焦群は開口絞りStより像側に配置されるように構成してもよい。このようにした場合は、合焦の際の収差変動の抑制に有利となる。ただし、本開示の光学系においては、最大合焦群は開口絞りStより物体側に配置されるように構成してもよく、このようにした場合は、合焦の際の画角変動の抑制に有利となる。
【0078】
光学系は下記条件式(12)を満足することが好ましい。ここでは、最大合焦群の焦点距離をffmとする。条件式(12)の対応値が下限以下とならないようにすることによって、最大合焦群の屈折力を強めることができるため、無限遠物体から最至近物体への合焦の際の最大合焦群の移動量を抑制でき、これによって小型化に有利となる。条件式(12)の対応値が上限以上とならないようにすることによって、最大合焦群の屈折力が強くなり過ぎないため、合焦の際の収差変動の抑制に有利となる。より良好な特性を得るためには、光学系は下記条件式(12-1)、(12-2)、および(12-3)の少なくとも1つを満足することがより好ましい。
0.05<f/|ffm|<0.95 (12)
0.2<f/|ffm|<0.8 (12-1)
0.36<f/|ffm|<0.7 (12-2)
0.41<f/|ffm|<0.6 (12-3)
【0079】
光学系は下記条件式(13)を満足することが好ましい。ここでは、最大合焦群より物体側の全てのレンズの合成焦点距離をffmFとする。条件式(13)の対応値が下限以下とならないようにすることによって、最大合焦群に入射する光束が発散傾向になり過ぎないため、最大合焦群の小径化に有利となる。条件式(13)の対応値が上限以上とならないようにすることによって、最大合焦群に入射する光束が収束傾向になり過ぎないため、合焦の際の球面収差の変動の抑制に有利となる。より良好な特性を得るためには、光学系は下記条件式(13-1)、(13-2)、(13-3)、(13-4)、(13-5)、(13-6)、(13-7)、(13-8)、(13-9)、および(13-10)の少なくとも1つを満足することがより好ましい。
-0.9<f/ffmF<2 (13)
-0.47<f/ffmF<2 (13-1)
0.01<f/ffmF<2 (13-2)
-0.9<f/ffmF<1.5 (13-3)
-0.47<f/ffmF<1.5 (13-4)
0.01<f/ffmF<1.5 (13-5)
-0.9<f/ffmF<0.2 (13-6)
-0.47<f/ffmF<0.2 (13-7)
0.01<f/ffmF<0.2 (13-8)
-0.9<f/ffmF<-0.2 (13-9)
-0.47<f/ffmF<-0.2 (13-10)
【0080】
光学系は下記条件式(14)を満足することが好ましい。ここでは、最大合焦群のγをγfmとする。条件式(14)の対応値が下限以下とならないようにすることによって、無限遠物体から最至近物体への合焦の際の最大合焦群の移動量を抑制できるため、小型化に有利となる。条件式(14)の対応値が上限以上とならないようにすることによって、最大合焦群の誤差感度を抑制できる。より良好な特性を得るためには、光学系は下記条件式(14-1)、(14-2)、および(14-3)の少なくとも1つを満足することがより好ましい。
0.38<|γfm|<2.5 (14)
0.6<|γfm|<2.3 (14-1)
0.7<|γfm|<2 (14-2)
0.83<|γfm|<1.83 (14-3)
【0081】
光学系は下記条件式(15)を満足することが好ましい。ここでは、最大合焦群のMfをMfmとする。無限遠物体に合焦した状態における光学系の最も物体側のレンズ面から光学系の最も像側のレンズ面までの光軸上の距離と、Bfとの和をTLとする。条件式(15)の対応値が下限以下とならないようにすることによって、最大合焦群の誤差感度を抑制できる。条件式(15)の対応値が上限以上とならないようにすることによって、無限遠物体から最至近物体への合焦の際の最大合焦群の移動量を抑制できるため、小型化に有利となる。より良好な特性を得るためには、光学系は下記条件式(15-1)、(15-2)、および(15-3)の少なくとも1つを満足することがより好ましい。
0.006<|Mfm|/TL<0.15 (15)
0.008<|Mfm|/TL<0.1 (15-1)
0.01<|Mfm|/TL<0.065 (15-2)
0.013<|Mfm|/TL<0.045 (15-3)
【0082】
光学系は下記条件式(16)を満足することが好ましい。ここでは、最大合焦群より像側の全てのレンズの合成焦点距離をffmRとする。条件式(16)の対応値が下限以下とならないようにすることによって、Fナンバーを小さくしながら、最大合焦群を小径化することに有利となる。条件式(16)の対応値が上限以上とならないようにすることによって、最大合焦群より像側で軸外光線の屈折を弱めることができるため、合焦の際の非点収差の変動の抑制に有利となる。より良好な特性を得るためには、光学系は下記条件式(16-1)、(16-2)、(16-3)、(16-4)、(16-5)、(16-6)、(16-7)、(16-8)、および(16-9)の少なくとも1つを満足することがより好ましい。
-0.5<f/ffmR<1.5 (16)
-0.11<f/ffmR<1.5 (16-1)
0.35<f/ffmR<1.5 (16-2)
0.6<f/ffmR<1.5 (16-3)
-0.5<f/ffmR<1.1 (16-4)
-0.11<f/ffmR<1.1 (16-5)
0.35<f/ffmR<1.1 (16-6)
0.6<f/ffmR<1.1 (16-7)
-0.5<f/ffmR<0.2 (16-8)
-0.11<f/ffmR<0.2 (16-9)
【0083】
次に、上記以外の好ましい構成について述べる。無限遠物体に合焦した状態における光学系の開放FナンバーをFNoとした場合、光学系は下記条件式(2)を満足することが好ましい。条件式(2)の対応値が下限以下とならないようにすることによって、軽量化と、光学系の全長の短縮化と、軸上光線における諸収差の抑制とに有利となる。条件式(2)の対応値が上限以上とならないようにすることによって、より光量を取り込める明るい光学系を実現することができる。より良好な特性を得るためには、光学系は下記条件式(2-1)、(2-2)、および(2-3)の少なくとも1つを満足することがより好ましい。
0.5<FNo<2.3 (2)
1.1<FNo<1.95 (2-1)
1.3<FNo<1.9 (2-2)
1.5<FNo<1.84 (2-3)
【0084】
光学系は下記条件式(3)を満足することが好ましい。条件式(3)の対応値が下限以下とならないようにすることによって、開口絞りStより像側に配置されたレンズ面と撮像素子等の撮像面との反射に起因するゴーストの抑制に有利となる。条件式(3)の対応値が上限以上とならないようにすることによって、光学系の全長の短縮化に有利となる。より良好な特性を得るためには、光学系は下記条件式(3-1)、(3-2)、および(3-3)の少なくとも1つを満足することがより好ましい。
0.5<Bf/Y<1.7 (3)
0.62<Bf/Y<1.5 (3-1)
0.68<Bf/Y<1.3 (3-2)
0.72<Bf/Y<1.18 (3-3)
【0085】
光学系は下記条件式(8)を満足することが好ましい。ここでは、ωmの単位を度とする。条件式(8)の対応値が下限以下とならないようにすることによって、より広い撮影範囲を有する光学系を実現することができる。条件式(8)の対応値が上限以上とならないようにすることによって、軸外光線に起因する諸収差の抑制に有利となる。より良好な特性を得るためには、光学系は下記条件式(8-1)、(8-2)、および(8-3)の少なくとも1つを満足することがより好ましい。
32<ωm<55 (8)
33<ωm<52 (8-1)
35<ωm<50 (8-2)
37<ωm<48 (8-3)
【0086】
光学系は下記条件式(9)を満足することが好ましい。ここでは、無限遠物体に合焦した状態における光学系の最も物体側のレンズ面から近軸入射瞳位置までの光軸上の距離をDenpとする。一例として、図2に上記の近軸入射瞳位置Penpおよび上記の距離Denpを示す。条件式(9)の対応値が下限以下とならないようにすることによって、光学系の物体側の部分の小径化に有利となる。条件式(9)の対応値が上限以上とならないようにすることによって、物体側のレンズにおいて軸上光線と軸外光線との分離ができるため、軸外光線に起因する諸収差の補正に有利となる。より良好な特性を得るためには、光学系は下記条件式(9-1)、(9-2)、および(9-3)の少なくとも1つを満足することがより好ましい。
0.83<f/Denp<2.5 (9)
0.92<f/Denp<2 (9-1)
0.97<f/Denp<1.8 (9-2)
1.02<f/Denp<1.55 (9-3)
【0087】
光学系は下記条件式(10)を満足することが好ましい。ここでは、無限遠物体に合焦した状態における近軸射出瞳位置から像面Simまでの光軸上の距離をDexpとする。ただし、像面Simと近軸射出瞳位置との間に屈折力を有しない光学部材が配置されている場合は、光学部材については空気換算距離を用いてDexpを計算する。例えば、図1の例の光学部材PPは、像面Simと近軸射出瞳位置との間に配置された屈折力を有しない光学部材である。一例として、図2に上記の近軸射出瞳位置Pexpを示す。条件式(10)の対応値が下限以下とならないようにすることによって、周辺光量の確保に有利となる。条件式(10)の対応値が上限以上とならないようにすることによって、光学系の全長の短縮化に有利となる。より良好な特性を得るためには、光学系は下記条件式(10-1)、(10-2)、および(10-3)の少なくとも1つを満足することがより好ましい。
0.25<Dexp/Y<0.5 (10)
0.27<Dexp/Y<0.48 (10-1)
0.29<Dexp/Y<0.46 (10-2)
0.31<Dexp/Y<0.42 (10-3)
【0088】
光学系は下記条件式(11)を満足することが好ましい。ここでは、最至近物体に合焦した状態における光学系の横倍率をBとする。条件式(11)の対応値が下限以下とならないようにすることによって、被写体をより拡大して撮影することができる。条件式(11)の対応値が上限以上とならないようにすることによって、合焦の際の合焦群の移動用スペースを短縮できるため、小型化に有利となる。より良好な特性を得るためには、光学系は下記条件式(11-1)、(11-2)、および(11-3)の少なくとも1つを満足することがより好ましい。
0.07<|B|<0.3 (11)
0.095<|B|<0.24 (11-1)
0.105<|B|<0.2 (11-2)
0.115<|B|<0.16 (11-3)
【0089】
光学系は下記条件式(19)を満足することが好ましい。ここでは、光学系の全てのレンズのd線に対する屈折率の最大値をNmaxとする。条件式(19)の対応値が下限以下とならないようにすることによって、像面湾曲の抑制に有利となる。条件式(19)の対応値が上限以上とならないようにすることによって、面形状の誤差感度の抑制に有利となる。より良好な特性を得るためには、光学系は下記条件式(19-1)、(19-2)、および(19-3)の少なくとも1つを満足することがより好ましい。
1.85<Nmax<2.5 (19)
1.9<Nmax<2.4 (19-1)
1.95<Nmax<2.3 (19-2)
2<Nmax<2.2 (19-3)
【0090】
なお、図1に示した例は一例であり、本開示の技術の主旨を逸脱しない範囲内において種々の変形が可能である。例えば、光学系に含まれるレンズ群の数、各レンズ群に含まれるレンズの数、光学系に含まれる合焦群の数、および合焦群に含まれるレンズの数は、図1の例と異なる数にしてもよい。また、各レンズ群に含まれるレンズの構成も、図1の例と異なる構成とすることができる。
【0091】
例えば、図1の光学系は、合焦の際に変化する間隔を各レンズ群の境にして、物体側から像側へ順に、第1レンズ群G1と、第2レンズ群G2と、第3レンズ群G3との3つのレンズ群からなるが、本開示の光学系はこの構成に限定されない。
【0092】
後述の実施例のように、本開示の光学系は、合焦の際に変化する間隔を各レンズ群の境にして、物体側から像側へ順に、第1レンズ群G1と、第2レンズ群G2と、第3レンズ群G3と、第4レンズ群G4との4つのレンズ群からなるように構成してもよい。このようにした場合は、光学系の全長を変化させることなく合焦が可能であり、合焦群の軽量化が可能であり、かつ合焦の際の収差変動を抑制できる。
【0093】
もしくは、後述の別の実施例のように、本開示の光学系は、合焦の際に変化する間隔を各レンズ群の境にして、物体側から像側へ順に、第1レンズ群G1と、第2レンズ群G2と、第3レンズ群G3と、第4レンズ群G4と、第5レンズ群G5との5つのレンズ群からなるように構成してもよい。このようにした場合は、光学系の全長を変化させることなく合焦が可能であり、合焦群の軽量化が可能であり、かつ合焦の際の収差変動を抑制できる。
【0094】
光学系が、上記のような3つのレンズ群からなる場合、4つのレンズ群からなる場合、および5つのレンズ群からなる場合の各場合において、光学系は下記条件式(24)を満足することが好ましい。ここでは、第1レンズ群G1の焦点距離をf1とする。条件式(24)の対応値が下限以下とならないようにすることによって、第1レンズ群G1より像側への光束の発散を抑制することができるため、第1レンズ群G1より像側のレンズ群の小径化に有利となる。条件式(24)の対応値が上限以上とならないようにすることによって、第1レンズ群G1より像側への光束の収束を抑制することができるため、Fナンバーを小さくすることに有利となる。より良好な特性を得るためには、光学系は下記条件式(24-1)、(24-2)、(24-3)、(24-4)、(24-5)、(24-6)、および(24-7)の少なくとも1つを満足することがより好ましい。
-0.7<f/f1<1.5 (24)
-0.7<f/f1<1 (24-1)
-0.7<f/f1<0.25 (24-2)
-0.7<f/f1<0 (24-3)
-0.7<f/f1<-0.3 (24-4)
0<f/f1<1.5 (24-5)
0<f/f1<1 (24-6)
0<f/f1<0.25 (24-7)
【0095】
光学系が、上記のような3つのレンズ群からなる場合、4つのレンズ群からなる場合、および5つのレンズ群からなる場合の各場合において、光学系は下記条件式(25)を満足することが好ましい。ここでは、第2レンズ群G2の焦点距離をf2とする。条件式(25)の対応値が下限以下とならないようにすることによって、第2レンズ群G2より像側への光束の発散を抑制することができるため、第2レンズ群G2より像側のレンズ群の小径化に有利となる。条件式(25)の対応値が上限以上とならないようにすることによって、第2レンズ群G2より像側への光束の収束を抑制することができるため、球面収差の抑制に有利となる。より良好な特性を得るためには、光学系は下記条件式(25-1)、(25-2)、(25-3)、(25-4)、および(25-5)の少なくとも1つを満足することがより好ましい。
-0.65<f/f2<0.65 (25)
-0.65<f/f2<-0.1 (25-1)
-0.65<f/f2<-0.4 (25-2)
-0.1<f/f2<0.65 (25-3)
0.2<f/f2<0.65 (25-4)
0.4<f/f2<0.65 (25-5)
【0096】
光学系が、上記のような3つのレンズ群からなる場合、4つのレンズ群からなる場合、および5つのレンズ群からなる場合の各場合において、光学系は下記条件式(26)を満足することが好ましい。ここでは、第3レンズ群G3の焦点距離をf3とする。条件式(26)の対応値が下限以下とならないようにすることによって、第3レンズ群G3より像側への光束の発散を抑制することができるため、バックフォーカスの確保に有利となる。条件式(26)の対応値が上限以上とならないようにすることによって、第3レンズ群G3より像側への光束の収束を抑制することができるため、光学系の全長の短縮化に有利となる。より良好な特性を得るためには、光学系は下記条件式(26-1)、(26-2)、(26-3)、(26-4)、(26-5)、(26-6)、(26-7)、(26-8)、(26-9)、(26-10)、および(26-11)の少なくとも1つを満足することがより好ましい。
-0.5<f/f3<1.1 (26)
-0.5<f/f3<0.5 (26-1)
-0.5<f/f3<0.2 (26-2)
-0.5<f/f3<0 (26-3)
-0.2<f/f3<1.1 (26-4)
-0.2<f/f3<0.5 (26-5)
-0.2<f/f3<0.2 (26-6)
-0.2<f/f3<0 (26-7)
0<f/f3<1.1 (26-8)
0<f/f3<0.5 (26-9)
0<f/f3<0.2 (26-10)
0.6<f/f3<1.1 (26-11)
【0097】
光学系が、上記のような4つのレンズ群からなる場合、および5つのレンズ群からなる場合の各場合において、光学系は下記条件式(27)を満足することが好ましい。ここでは、第4レンズ群G4の焦点距離をf4とする。条件式(27)の対応値が下限以下とならないようにすることによって、第4レンズ群G4より像側への光束の発散を抑制することができるため、バックフォーカスの確保に有利となる。条件式(27)の対応値が上限以上とならないようにすることによって、第4レンズ群G4より像側への光束の収束を抑制することができるため、光学系の全長の短縮化に有利となる。より良好な特性を得るためには、光学系は下記条件式(27-1)、(27-2)、(27-3)、(27-4)、および(27-5)の少なくとも1つを満足することがより好ましい。
0.01<f/f4<0.9 (27)
0.01<f/f4<0.5 (27-1)
0.01<f/f4<0.13 (27-2)
0.2<f/f4<0.9 (27-3)
0.5<f/f4<0.9 (27-4)
0.7<f/f4<0.9 (27-5)
【0098】
光学系が、上記のような5つのレンズ群からなる場合において、光学系は下記条件式(28)を満足することが好ましい。ここでは、第5レンズ群G5の焦点距離をf5とする。条件式(28)の対応値が下限以下とならないようにすることによって、第5レンズ群G5より像側への光束の発散を抑制することができるため、バックフォーカスの確保に有利となる。条件式(28)の対応値が上限以上とならないようにすることによって、第5レンズ群G5より像側への光束の収束を抑制することができるため、光学系の全長の短縮化に有利となる。より良好な特性を得るためには、光学系は下記条件式(28-1)、(28-2)、および(28-3)の少なくとも1つを満足することがより好ましい。
-0.8<f/f5<-0.2 (28)
-0.7<f/f5<-0.3 (28-1)
-0.6<f/f5<-0.4 (28-2)
-0.57<f/f5<-0.52 (28-3)
【0099】
条件式に関する構成も含め、上述した好ましい構成および可能な構成は、任意の組合せが可能であり、要求される仕様に応じて適宜選択的に採用されることが好ましい。なお、本開示の光学系が満足することが好ましい条件式は、式の形式で記載された条件式に限定されず、好ましい、および、より好ましいとされた条件式の中から下限と上限とを任意に組み合わせて得られる全ての条件式を含む。
【0100】
例えば、本開示の好ましい一態様は、1つのレンズ成分を1枚の単レンズもしくは1つの接合レンズとした場合に、複数のレンズ成分を含む光学系であって、光学系内には、開口径が可変であり光学系のFナンバーを決定する開口絞りStと、合焦の際に移動する少なくとも1つの合焦群とが配置され、上記条件式(1)、(2)、および(3)を満足する光学系である。
【0101】
また、例えば、本開示の好ましい別の態様は、上記の一態様の構成を有し、かつ上記条件式(4)、(5)、および(6)を満足する光学系である。
【0102】
次に、本開示の光学系の実施例について図面を参照して説明する。なお、各実施例の断面図のレンズおよびレンズ群に付された参照符号は、参照符号の桁数の増大に伴う説明および図面の煩雑化を避けるため、実施例ごとに独立して用いている。したがって、異なる実施例の図面において共通の参照符号が付されていても、必ずしも共通の構成ではない。
【0103】
[実施例1]
実施例1の光学系の構成の断面図は図1に示しており、その図示方法と構成は上述したとおりであるので、ここでは重複説明を一部省略する。実施例1の光学系は、物体側から像側へ順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、正の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3とからなる。実施例1の光学系は、合焦群を1つのみ有する。無限遠物体から最至近物体への合焦の際、第1レンズ群G1と第3レンズ群G3とは像面Simに対して固定されており、第2レンズ群G2が物体側へ移動する。
【0104】
実施例1の光学系について、基本レンズデータを表1に、諸元および可変面間隔を表2に、非球面係数を表3に示す。
【0105】
基本レンズデータの表は以下のように記載されている。「Sn」の列には最も物体側の面を第1面とし像側に向かうに従い1つずつ番号を増加させた場合の面番号を示す。「R」の列には各面の曲率半径を示す。「D」の列には各面とその像側に隣接する面との光軸上の面間隔を示す。「Nd」の列には各構成要素のd線に対する屈折率を示す。「νd」の列には各構成要素のd線基準のアッベ数を示す。「θgF」の列には各構成要素のg線とF線間の部分分散比を示す。「ED」の列には各面の有効直径を示す。
【0106】
なお、あるレンズのg線、F線、およびC線に対する屈折率をそれぞれNg、NF、およびNCとし、そのレンズのg線とF線間の部分分散比をθgFとした場合、θgFは下式で定義される。
θgF=(Ng-NF)/(NF-NC)
【0107】
本明細書に記載の「d線」、「C線」、「F線」、および「g線」は輝線であり、d線の波長は587.56nm(ナノメートル)、C線の波長は656.27nm(ナノメートル)、F線の波長は486.13nm(ナノメートル)、g線の波長は435.84nm(ナノメートル)として扱う。
【0108】
基本レンズデータの表では、物体側に凸形状を向けた面の曲率半径の符号を正、像側に凸形状を向けた面の曲率半径の符号を負としている。開口絞りStに相当する面の面番号の欄には、面番号と(St)という語句を記入している。基本レンズデータの表には光学部材PPも示している。表のDの列の最下欄の値は表中の最も像側の面と像面Simとの間隔である。合焦の際の可変面間隔についてはDD[ ]という記号を用い、[ ]の中にこの間隔の物体側の面番号を付して面間隔の列に記入している。
【0109】
表2に、焦点距離、開放Fナンバー、最大全画角、横倍率、および可変面間隔をd線基準で示す。最大全画角の欄の[°]は単位が度であることを示す。表2では、「無限遠」の列に無限遠物体に合焦した状態の各値を示し、「最至近」の列に最至近物体に合焦した状態の各値を示す。
【0110】
基本レンズデータでは、非球面の面番号には*印を付しており、非球面の曲率半径の欄には近軸曲率半径の数値を記載している。表3において、Snの行には非球面の面番号を示し、KAおよびAmの行には各非球面についての非球面係数の数値を示す。本例ではAmのmは3以上16以下の偶数である(m=3、4、5、...、16)。表3の非球面係数の数値の「E±n」(n:整数)は「×10±n」を意味する。KAおよびAmは下式で表される非球面式における非球面係数である。
Zd=C×h/{1+(1-KA×C×h1/2}+ΣAm×h
ただし、
Zd:非球面深さ(高さhの非球面上の点から、非球面頂点が接する光軸Zに垂直な平面に下ろした垂線の長さ)
h:高さ(光軸Zからレンズ面までの距離)
C:近軸曲率半径の逆数
KA、Am:非球面係数
であり、非球面式のΣはmに関する総和を意味する。
【0111】
各表のデータにおいて、角度の単位としては度を用い、長さの単位としてはmm(ミリメートル)を用いているが、光学系は比例拡大又は比例縮小しても使用可能なため他の適当な単位を用いることもできる。また、以下に示す各表では予め定められた桁でまるめた数値を記載している。
【0112】
【表1】
【0113】
【表2】
【0114】
【表3】
【0115】
図6に、実施例1の光学系の各収差図を示す。図6では「無限遠」と付した上段に無限遠物体に合焦した状態の各収差図を示し、「最至近」と付した下段に最至近物体に合焦した状態の各収差図を示す。図6では左から順に、球面収差、非点収差、歪曲収差、および倍率色収差を示す。球面収差図では、d線、C線、およびF線における収差をそれぞれ実線、長破線、および短破線で示す。非点収差図では、サジタル方向のd線における収差を実線で示し、タンジェンシャル方向のd線における収差を短破線で示す。歪曲収差図ではd線における収差を実線で示す。倍率色収差図では、C線、およびF線における収差をそれぞれ長破線、および短破線で示す。球面収差図では「FNo.=」の後に各状態での開放Fナンバーの値を示す。その他の収差図では「ω=」の後に各状態での最大半画角の値を示す。実施例1では、最至近物体から最も物体側のレンズ面までの光軸上の距離は0.278m(メートル)である。
【0116】
上記の実施例1に関する各データの記号、意味、記載方法、および図示方法は、特に断りが無い限り以下の実施例においても基本的に同様であるので、以下では重複説明を省略する。なお、実施例2以降の断面図ではレンズ成分の符号の記載を省略している。
【0117】
[実施例2]
実施例2の光学系の構成の断面図を図7に示す。実施例2の光学系は、物体側から像側へ順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、正の屈折力を有する第2レンズ群G2と、負の屈折力を有する第3レンズ群G3と、正の屈折力を有する第4レンズ群G4とからなる。実施例2の光学系は、2つの合焦群を有する。無限遠物体から最至近物体への合焦の際、第1レンズ群G1と第4レンズ群G4とは像面Simに対して固定されており、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3とが隣り合うレンズ群との間隔を変化させて物体側へ移動する。
【0118】
第1レンズ群G1は、物体側から像側へ順に、レンズL1a~L1gと、開口絞りStと、レンズL1hとからなる。第2レンズ群G2は、物体側から像側へ順に、レンズL2a~L2dの4枚のレンズからなる。第3レンズ群G3は、レンズL3aの1枚のレンズからなる。第4レンズ群G4は、物体側から像側へ順に、レンズL4a~L4bの2枚のレンズからなる。
【0119】
実施例2の光学系について、基本レンズデータを表4に、諸元と可変面間隔を表5に、非球面係数を表6に、各収差図を図8に示す。最至近物体から最も物体側のレンズ面までの光軸上の距離は0.230m(メートル)である。
【0120】
【表4】
【0121】
【表5】
【0122】
【表6】
【0123】
[実施例3]
実施例3の光学系の構成の断面図を図9に示す。実施例3の光学系は、物体側から像側へ順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、正の屈折力を有する第2レンズ群G2と、負の屈折力を有する第3レンズ群G3と、正の屈折力を有する第4レンズ群G4とからなる。実施例3の光学系は、2つの合焦群を有する。無限遠物体から最至近物体への合焦の際、第1レンズ群G1と第4レンズ群G4とは像面Simに対して固定されており、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3とが隣り合うレンズ群との間隔を変化させて物体側へ移動する。
【0124】
第1レンズ群G1は、物体側から像側へ順に、レンズL1a~L1gと、開口絞りStと、レンズL1hとからなる。第2レンズ群G2は、物体側から像側へ順に、レンズL2a~L2dの4枚のレンズからなる。第3レンズ群G3は、レンズL3aの1枚のレンズからなる。第4レンズ群G4は、物体側から像側へ順に、レンズL4a~L4bの2枚のレンズからなる。
【0125】
実施例3の光学系について、基本レンズデータを表7に、諸元と可変面間隔を表8に、非球面係数を表9に、各収差図を図10に示す。最至近物体から最も物体側のレンズ面までの光軸上の距離は0.231m(メートル)である。
【0126】
【表7】
【0127】
【表8】
【0128】
【表9】
【0129】
[実施例4]
実施例4の光学系の構成の断面図を図11に示す。実施例4の光学系は、物体側から像側へ順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、正の屈折力を有する第2レンズ群G2と、負の屈折力を有する第3レンズ群G3と、正の屈折力を有する第4レンズ群G4とからなる。実施例4の光学系は、2つの合焦群を有する。無限遠物体から最至近物体への合焦の際、第1レンズ群G1と第4レンズ群G4とは像面Simに対して固定されており、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3とが隣り合うレンズ群との間隔を変化させて物体側へ移動する。
【0130】
第1レンズ群G1は、物体側から像側へ順に、レンズL1a~L1gと、開口絞りStと、レンズL1hとからなる。第2レンズ群G2は、物体側から像側へ順に、レンズL2a~L2dの4枚のレンズからなる。第3レンズ群G3は、レンズL3aの1枚のレンズからなる。第4レンズ群G4は、物体側から像側へ順に、レンズL4a~L4bの2枚のレンズからなる。
【0131】
実施例4の光学系について、基本レンズデータを表10に、諸元と可変面間隔を表11に、非球面係数を表12に、各収差図を図12に示す。最至近物体から最も物体側のレンズ面までの光軸上の距離は0.254m(メートル)である。
【0132】
【表10】
【0133】
【表11】
【0134】
【表12】
【0135】
[実施例5]
実施例5の光学系の構成の断面図を図13に示す。実施例5の光学系は、物体側から像側へ順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、正の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3とからなる。実施例5の光学系は、合焦群を1つのみ有する。無限遠物体から最至近物体への合焦の際、第1レンズ群G1と第3レンズ群G3とは像面Simに対して固定されており、第2レンズ群G2が物体側へ移動する。
【0136】
第1レンズ群G1は、物体側から像側へ順に、レンズL1a~L1fと、開口絞りStと、レンズL1gとからなる。第2レンズ群G2は、物体側から像側へ順に、レンズL2a~L2eの5枚のレンズからなる。第3レンズ群G3は、物体側から像側へ順に、レンズL3a~L3bの2枚のレンズからなる。
【0137】
実施例5の光学系について、基本レンズデータを表13に、諸元および可変面間隔を表14に、非球面係数を表15に、各収差図を図14に示す。最至近物体から最も物体側のレンズ面までの光軸上の距離は0.248m(メートル)である。
【0138】
【表13】
【0139】
【表14】
【0140】
【表15】
【0141】
[実施例6]
実施例6の光学系の構成の断面図を図15に示す。実施例6の光学系は、物体側から像側へ順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3とからなる。実施例6の光学系は、合焦群を1つのみ有する。無限遠物体から最至近物体への合焦の際、第1レンズ群G1と第3レンズ群G3とは像面Simに対して固定されており、第2レンズ群G2が像側へ移動する。
【0142】
第1レンズ群G1は、物体側から像側へ順に、レンズL1a~L1gと、開口絞りStと、レンズL1h~L1lとからなる。第2レンズ群G2は、レンズL2aの1枚のレンズからなる。第3レンズ群G3は、物体側から像側へ順に、レンズL3a~L3bの2枚のレンズからなる。
【0143】
実施例6の光学系について、基本レンズデータを表16に、諸元と可変面間隔を表17に、非球面係数を表18に、各収差図を図16に示す。最至近物体から最も物体側のレンズ面までの光軸上の距離は0.189m(メートル)である。
【0144】
【表16】
【0145】
【表17】
【0146】
【表18】
【0147】
[実施例7]
実施例7の光学系の構成の断面図を図17に示す。実施例7の光学系は、物体側から像側へ順に、負の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3とからなる。実施例7の光学系は、合焦群を1つのみ有する。無限遠物体から最至近物体への合焦の際、第1レンズ群G1と第3レンズ群G3とは像面Simに対して固定されており、第2レンズ群G2が物体側へ移動する。
【0148】
第1レンズ群G1は、物体側から像側へ順に、レンズL1a~L1dの4枚のレンズからなる。第2レンズ群G2は、物体側から像側へ順に、レンズL2a~L2bの2枚のレンズからなる。第3レンズ群G3は、物体側から像側へ順に、レンズL3aと、開口絞りStと、レンズL3b~L3iとからなる。
【0149】
実施例7の光学系について、基本レンズデータを表19に、諸元と可変面間隔を表20に、非球面係数を表21に、各収差図を図18に示す。最至近物体から最も物体側のレンズ面までの光軸上の距離は0.192m(メートル)である。
【0150】
【表19】
【0151】
【表20】
【0152】
【表21】
【0153】
[実施例8]
実施例8の光学系の構成の断面図を図19に示す。実施例8の光学系は、物体側から像側へ順に、負の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3とからなる。実施例8の光学系は、合焦群を1つのみ有する。無限遠物体から最至近物体への合焦の際、第1レンズ群G1と第3レンズ群G3とは像面Simに対して固定されており、第2レンズ群G2が物体側へ移動する。
【0154】
第1レンズ群G1は、物体側から像側へ順に、レンズL1a~L1dの4枚のレンズからなる。第2レンズ群G2は、物体側から像側へ順に、レンズL2a~L2bの2枚のレンズからなる。第3レンズ群G3は、物体側から像側へ順に、レンズL3aと、開口絞りStと、レンズL3b~L3iとからなる。
【0155】
実施例8の光学系について、基本レンズデータを表22に、諸元と可変面間隔を表23に、非球面係数を表24に、各収差図を図20に示す。最至近物体から最も物体側のレンズ面までの光軸上の距離は0.209m(メートル)である。
【0156】
【表22】
【0157】
【表23】
【0158】
【表24】
【0159】
[実施例9]
実施例9の光学系の構成の断面図を図21に示す。実施例9の光学系は、物体側から像側へ順に、負の屈折力を有する第1レンズ群G1と、正の屈折力を有する第2レンズ群G2と、負の屈折力を有する第3レンズ群G3と、正の屈折力を有する第4レンズ群G4とからなる。実施例9の光学系は、2つの合焦群を有する。無限遠物体から最至近物体への合焦の際、第1レンズ群G1と第4レンズ群G4とは像面Simに対して固定されており、第2レンズ群G2が像側へ移動し、第3レンズ群G3が物体側へ移動する。
【0160】
第1レンズ群G1は、物体側から像側へ順に、レンズL1a~L1bの2枚のレンズからなる。第2レンズ群G2は、物体側から像側へ順に、レンズL2a~L2bの2枚のレンズからなる。第3レンズ群G3は、物体側から像側へ順に、レンズL3a~L3bの2枚のレンズからなる。第4レンズ群G4は、物体側から像側へ順に、レンズL4aと、開口絞りStと、レンズL4b~L4iとからなる。
【0161】
実施例9の光学系について、基本レンズデータを表25に、諸元と可変面間隔を表26に、非球面係数を表27に、各収差図を図22に示す。最至近物体から最も物体側のレンズ面までの光軸上の距離は0.187m(メートル)である。
【0162】
【表25】
【0163】
【表26】
【0164】
【表27】
【0165】
[実施例10]
実施例10の光学系の構成の断面図を図23に示す。実施例10の光学系は、物体側から像側へ順に、負の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3と、正の屈折力を有する第4レンズ群G4と、負の屈折力を有する第5レンズ群G5とからなる。実施例10の光学系は、2つの合焦群を有する。無限遠物体から最至近物体への合焦の際、第1レンズ群G1と第3レンズ群G3と第5レンズ群G5とは像面Simに対して固定されており、第2レンズ群G2と第4レンズ群G4とが物体側へ移動する。
【0166】
第1レンズ群G1は、物体側から像側へ順に、レンズL1a~L1dの4枚のレンズからなる。第2レンズ群G2は、物体側から像側へ順に、レンズL2a~L2bの2枚のレンズからなる。第3レンズ群G3は、物体側から像側へ順に、開口絞りStと、レンズL3a~L3dとからなる。第4レンズ群G4は、物体側から像側へ順に、レンズL4a~L4cの3枚のレンズからなる。第5レンズ群G5は、物体側から像側へ順に、レンズL5a~L5bの2枚のレンズからなる。
【0167】
実施例10の光学系について、基本レンズデータを表28に、諸元と可変面間隔を表29に、非球面係数を表30に、各収差図を図24に示す。最至近物体から最も物体側のレンズ面までの光軸上の距離は0.179m(メートル)である。
【0168】
【表28】
【0169】
【表29】
【0170】
【表30】
【0171】
上述した実施例1~10の光学系の条件式(1)~(32)の対応値を表31~表32に示す。表31~表32に示す実施例の対応値を条件式の上限又は下限として用いて、条件式の好ましい範囲を設定してもよい。
【0172】
【表31】
【0173】
【表32】
【0174】
次に、本開示の実施形態に係る撮像装置について説明する。図25および図26に本開示の一実施形態に係る撮像装置であるカメラ30の外観図を示す。図25はカメラ30を正面側から見た斜視図を示し、図26はカメラ30を背面側から見た斜視図を示す。カメラ30は、いわゆるミラーレスタイプのデジタルカメラであり、交換レンズ20を取り外し自在に装着可能である。交換レンズ20は、鏡筒内に収納された本開示の一実施形態に係る光学系1を含んで構成されている。
【0175】
カメラ30はカメラボディ31を備え、カメラボディ31の上面にはシャッターボタン32、および電源ボタン33が設けられている。また、カメラボディ31の背面には、操作部34、操作部35、および表示部36が設けられている。表示部36は、撮像された画像および撮像される前の画角内にある画像を表示可能である。
【0176】
カメラボディ31の前面中央部には、撮影対象からの光が入射する撮影開口が設けられ、その撮影開口に対応する位置にマウント37が設けられ、マウント37を介して交換レンズ20がカメラボディ31に装着される。
【0177】
カメラボディ31内には、交換レンズ20によって形成された被写体像に応じた撮像信号を出力するCCD(Charge Coupled Device)又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の撮像素子、その撮像素子から出力された撮像信号を処理して画像を生成する信号処理回路、およびその生成された画像を記録するための記録媒体等が設けられている。カメラ30では、シャッターボタン32を押すことにより静止画又は動画の撮影が可能であり、この撮影で得られた画像データが上記記録媒体に記録される。
【0178】
以上、実施形態および実施例を挙げて本開示の技術を説明したが、本開示の技術は上記実施形態および実施例に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、各レンズの曲率半径、面間隔、屈折率、アッベ数、部分分散比、および非球面係数等は、上記各実施例で示した値に限定されず、他の値をとり得る。
【0179】
また、本開示の光学装置についても、上記例に限定されない。本開示の光学装置としては、デジタルカメラに限定されず、フィルムカメラ、ビデオカメラ、セキュリティカメラ、映画撮影用カメラ、放送用カメラ、およびプロジェクタ等、種々の態様とすることができる。
【0180】
以上の実施形態および実施例に関し、さらに以下の付記項を開示する。
[付記項1]
1つのレンズ成分を1枚の単レンズもしくは1つの接合レンズとした場合に、複数のレンズ成分を含む光学系であって、
前記光学系内には、開口径が可変であり前記光学系のFナンバーを決定する開口絞りと、合焦の際に移動する少なくとも1つの合焦群とが配置され、
前記開口絞りより物体側に位置し負の屈折力を有し最も像側の面が凹形状であるレンズ成分を負凹レンズ成分とし、
前記光学系の前記負凹レンズ成分のうち、光軸を含む断面において前記負凹レンズ成分の最も像側の面の最大有効径の位置における該面の法線と光軸との角度の絶対値が最大となる前記負凹レンズ成分を第1負凹レンズ成分とし、
前記第1負凹レンズ成分の前記角度をα1とし、
α1の単位を度とし、α1の符号を負とし、
無限遠物体に合焦した状態における開放FナンバーをFNoとし、
無限遠物体に合焦した状態における前記光学系の空気換算距離でのバックフォーカスをBfとし、
無限遠物体に合焦した状態における前記光学系の焦点距離をfとし、
無限遠物体に合焦した状態における最大半画角をωmとし、
Y=f×tanωmとした場合、
-80<α1<-30 (1)
0.5<FNo<2.3 (2)
0.5<Bf/Y<1.7 (3)
で表される条件式(1)、(2)、および(3)を満足する光学系。
[付記項2]
前記開口絞りより像側に位置し正の屈折力を有するレンズ成分のうち、最も物体側のレンズ成分をPレンズ成分とし、
無限遠物体に合焦した状態における前記開口絞りから前記Pレンズ成分の最も物体側の面までの光軸上の距離をdStPとし、
無限遠物体に合焦した状態における前記開口絞りから前記光学系の最も像側のレンズ面までの光軸上の距離と、Bfとの和をdStIとした場合、
0<dStP/dStI<0.38 (4)
で表される条件式(4)を満足する付記項1に記載の光学系。
[付記項3]
前記光学系の前記レンズ成分それぞれについて最も物体側の面の最大有効径および最も像側の面の最大有効径のうち大きい方を広域有効径とし、
前記Pレンズ成分の最も物体側の面から前記光学系の最も像側のレンズ成分の最も物体側の面までに含まれるレンズ成分のうち、前記広域有効径が最小となるレンズ成分をEdレンズ成分とし、
前記Edレンズ成分の焦点距離をfEdとした場合、
-0.27<Y/fEd<0.1 (5)
で表される条件式(5)を満足する付記項2に記載の光学系。
[付記項4]
前記光学系の前記レンズ成分それぞれについて最も物体側の面の最大有効径および最も像側の面の最大有効径のうち大きい方を広域有効径とし、
前記Pレンズ成分の最も物体側の面から前記光学系の最も像側のレンズ成分の最も物体側の面までに含まれるレンズ成分のうち、前記広域有効径が最小となるレンズ成分をEdレンズ成分とし、
光軸を含む断面において、前記Edレンズ成分の最も物体側の面の最大有効径の位置における該面の法線が光軸となす角度と、前記Edレンズ成分の最も像側の面の最大有効径の位置における該面の法線が光軸となす角度とのうち、絶対値が大きい方の角度をα2とし、
α2の単位を度とし、
前記法線を求めた前記面が凹面の場合はα2の符号を負とし、前記法線を求めた前記面が凸面の場合はα2の符号を正とした場合、
-45<α2<0 (6)
で表される条件式(6)を満足する付記項2又は付記項3に記載の光学系。
[付記項5]
前記Pレンズ成分の焦点距離をfPとした場合、
0.1<Y/fP<0.9 (7)
で表される条件式(7)を満足する付記項2から付記項4のいずれか1項に記載の光学系。
[付記項6]
ωmの単位を度とした場合、
32<ωm<55 (8)
で表される条件式(8)を満足する付記項1から付記項5のいずれか1項に記載の光学系。
[付記項7]
無限遠物体に合焦した状態における前記光学系の最も物体側のレンズ面から近軸入射瞳位置までの光軸上の距離をDenpとした場合、
0.83<f/Denp<2.5 (9)
で表される条件式(9)を満足する付記項1から付記項6のいずれか1項に記載の光学系。
[付記項8]
無限遠物体に合焦した状態における近軸射出瞳位置から像面までの光軸上の距離をDexpとし、
前記像面と前記近軸射出瞳位置との間に屈折力を有しない光学部材が配置されている場合は、前記光学部材については空気換算距離を用いてDexpを計算する場合、
0.25<Dexp/Y<0.5 (10)
で表される条件式(10)を満足する付記項1から付記項7のいずれか1項に記載の光学系。
[付記項9]
最至近物体に合焦した状態における前記光学系の横倍率をBとした場合、
0.07<|B|<0.3 (11)
で表される条件式(11)を満足する付記項1から付記項8のいずれか1項に記載の光学系。
[付記項10]
前記光学系の前記合焦群それぞれについて、
無限遠物体から最至近物体に合焦する際の前記合焦群の移動量をMfとし、
無限遠物体に合焦した状態における前記合焦群の横倍率をβfとし、
無限遠物体に合焦した状態における前記合焦群より像側の全てのレンズの合成横倍率をβfRとし、
γ=(1-βf)×βfRとした場合、
前記光学系の前記合焦群のうち、|Mf×γ|が最大となる前記合焦群を最大合焦群とし、
前記最大合焦群の焦点距離をffmとした場合、
0.05<f/|ffm|<0.95 (12)
で表される条件式(12)を満足する付記項1から付記項9のいずれか1項に記載の光学系。
[付記項11]
前記光学系の前記合焦群それぞれについて、
無限遠物体から最至近物体に合焦する際の前記合焦群の移動量をMfとし、
無限遠物体に合焦した状態における前記合焦群の横倍率をβfとし、
無限遠物体に合焦した状態における前記合焦群より像側の全てのレンズの合成横倍率をβfRとし、
γ=(1-βf)×βfRとした場合、
前記光学系の前記合焦群のうち、|Mf×γ|が最大となる前記合焦群を最大合焦群とし、
前記最大合焦群より物体側の全てのレンズの合成焦点距離をffmFとした場合、
-0.9<f/ffmF<2 (13)
で表される条件式(13)を満足する付記項1から付記項10のいずれか1項に記載の光学系。
[付記項12]
前記光学系の前記合焦群それぞれについて、
無限遠物体から最至近物体に合焦する際の前記合焦群の移動量をMfとし、
無限遠物体に合焦した状態における前記合焦群の横倍率をβfとし、
無限遠物体に合焦した状態における前記合焦群より像側の全てのレンズの合成横倍率をβfRとし、
γ=(1-βf)×βfRとした場合、
前記光学系の前記合焦群のうち、|Mf×γ|が最大となる合焦群を最大合焦群とし、
前記最大合焦群のγをγfmとした場合、
0.38<|γfm|<2.5 (14)
で表される条件式(14)を満足する付記項1から付記項11のいずれか1項に記載の光学系。
[付記項13]
前記光学系の前記合焦群それぞれについて、
無限遠物体から最至近物体に合焦する際の前記合焦群の移動量をMfとし、
無限遠物体に合焦した状態における前記合焦群の横倍率をβfとし、
無限遠物体に合焦した状態における前記合焦群より像側の全てのレンズの合成横倍率をβfRとし、
γ=(1-βf)×βfRとした場合、
前記光学系の前記合焦群のうち、|Mf×γ|が最大となる合焦群を最大合焦群とし、
前記最大合焦群のMfをMfmとし、
無限遠物体に合焦した状態における前記光学系の最も物体側のレンズ面から前記光学系の最も像側のレンズ面までの光軸上の距離と、Bfとの和をTLとした場合、
0.006<|Mfm|/TL<0.15 (15)
で表される条件式(15)を満足する付記項1から付記項12のいずれか1項に記載の光学系。
[付記項14]
前記光学系の前記合焦群それぞれについて、
無限遠物体から最至近物体に合焦する際の前記合焦群の移動量をMfとし、
無限遠物体に合焦した状態における前記合焦群の横倍率をβfとし、
無限遠物体に合焦した状態における前記合焦群より像側の全てのレンズの合成横倍率をβfRとし、
γ=(1-βf)×βfRとした場合、
前記光学系の前記合焦群のうち、|Mf×γ|が最大となる合焦群を最大合焦群とし、
前記最大合焦群より像側の全てのレンズの合成焦点距離をffmRとした場合、
-0.5<f/ffmR<1.5 (16)
で表される条件式(16)を満足する付記項1から付記項13のいずれか1項に記載の光学系。
[付記項15]
前記第1負凹レンズ成分の最も像側の面から前記開口絞りまでの間に、負レンズと正レンズとが物体側から順に接合されて最も物体側の面が凹形状である第1接合レンズが配置されている付記項1から付記項14のいずれか1項に記載の光学系。
[付記項16]
前記第1接合レンズの最も物体側の面の近軸曲率半径をRc1とした場合、
-2<f/Rc1<-0.025 (17)
で表される条件式(17)を満足する付記項15に記載の光学系。
[付記項17]
前記光学系の前記レンズ成分それぞれについて最も物体側の面の最大有効径および最も像側の面の最大有効径のうち大きい方を広域有効径とし、
前記Pレンズ成分の最も物体側の面から前記光学系の最も像側のレンズ成分の最も物体側の面までに含まれるレンズ成分のうち、前記広域有効径が最小となるレンズ成分をEdレンズ成分とした場合、
前記Pレンズ成分の最も像側の面から前記Edレンズ成分の最も物体側の面までの間に、正レンズと負レンズとが物体側から順に接合された第2接合レンズが配置されている付記項2から付記項5のいずれか1項に記載の光学系。
[付記項18]
前記第2接合レンズの最も物体側の面の近軸曲率半径をRc2とした場合、
0.02<f/Rc2<1.5 (18)
で表される条件式(18)を満足する付記項17に記載の光学系。
[付記項19]
前記開口絞りより像側に位置し正の屈折力を有するレンズ成分のうち、最も物体側のレンズ成分をPレンズ成分とし、
無限遠物体に合焦した状態における前記開口絞りから前記Pレンズ成分の最も物体側の面までの光軸上の距離をdStPとし、
無限遠物体に合焦した状態における前記開口絞りから前記光学系の最も像側のレンズ面までの光軸上の距離と、Bfとの和をdStIとし、
前記光学系の前記レンズ成分それぞれについて最も物体側の面の最大有効径および最も像側の面の最大有効径のうち大きい方を広域有効径とし、
前記Pレンズ成分の最も物体側の面から前記光学系の最も像側のレンズ成分の最も物体側の面までに含まれるレンズ成分のうち、前記広域有効径が最小となるレンズ成分をEdレンズ成分とし、
前記Edレンズ成分の焦点距離をfEdとし、
光軸を含む断面において、前記Edレンズ成分の最も物体側の面の最大有効径の位置における該面の法線が光軸となす角度と、前記Edレンズ成分の最も像側の面の最大有効径の位置における該面の法線が光軸となす角度とのうち、絶対値が大きい方の角度をα2とし、
α2の単位を度とし、
前記法線を求めた前記面が凹面の場合はα2の符号を負とし、前記法線を求めた前記面が凸面の場合はα2の符号を正とした場合、
0<dStP/dStI<0.38 (4)
-0.27<Y/fEd<0.1 (5)
-45<α2<0 (6)
で表される条件式(4)、(5)、および(6)を満足する付記項1から付記項18のいずれか1項に記載の光学系。
[付記項20]
付記項1から付記項19のいずれか1項に記載の光学系を備えた光学装置。
【符号の説明】
【0181】
1 光学系
8 絞り羽根
9 開口径
20 交換レンズ
30 カメラ
31 カメラボディ
32 シャッターボタン
33 電源ボタン
34 操作部
35 操作部
36 表示部
37 マウント
C1~C12 レンズ成分
Denp 距離
dStP 距離
ED 有効直径
G1 第1レンズ群
G2 第2レンズ群
G3 第3レンズ群
G4 第4レンズ群
G5 第5レンズ群
L1a~L5b レンズ
Lx レンズ
Mf 移動量
Norm1 法線
Norm2 法線
Penp 近軸入射瞳位置
Pexp 近軸射出瞳位置
PP 光学部材
Px 最大有効径の位置
Sim 像面
St 開口絞り
Xa 軸上光束
Xb 軸外光束
Xb1 光線
Z 光軸
α1 角度
α2 角度
ωm 最大半画角
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