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特開2024-171253変換装置、変換プログラム及び変換方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171253
(43)【公開日】2024-12-11
(54)【発明の名称】変換装置、変換プログラム及び変換方法
(51)【国際特許分類】
   H04L 7/00 20060101AFI20241204BHJP
【FI】
H04L7/00 990
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023088225
(22)【出願日】2023-05-29
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002491
【氏名又は名称】弁理士法人クロスボーダー特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松下 竜真
(72)【発明者】
【氏名】谷口 幸子
(72)【発明者】
【氏名】笠原 三郎
(72)【発明者】
【氏名】山形 佳祐
(72)【発明者】
【氏名】久保 尊広
(72)【発明者】
【氏名】中西 隆
【テーマコード(参考)】
5K047
【Fターム(参考)】
5K047AA18
5K047BB15
(57)【要約】
【課題】マスター装置とマスター装置の時刻に同期するクライアント装置との間でEnd to End、Peer to Peerのように異なる伝送遅延測定方法が使用される場合も時刻同期を可能とする装置を提供する。
【解決手段】変換装置100は、Syncメッセージ処理部11、Follow_Upメッセージ処理部12、Delay_Reqメッセージ処理部13、Delay_Respメッセージ処理部14、Pdelay_Reqメッセージ処理部21、Pdelay_Respメッセージ処理部22、Pdelay_Resp_Follow_Upメッセージ処理部23、マスター装置200と変換装置100の間の伝送遅延時間pt1を計算する上位側伝送遅延計算部40、変換装置100の内部処理時間を計算する内部処理時間計算部50及びpt1と内部処理時間の合計値をFollow_Upメッセージに格納するCF処理部60を備える。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
PTP(Precision Time Protocol)通信を行う上位装置と前記PTP通信を行う下位装置との間で伝送遅延測定方法が異なる場合に、前記上位装置の伝送遅延測定方法を、前記下位装置の伝送遅延測定方法に変換する変換装置であって、
前記上位装置から送信されるSyncメッセージを受信して受信時刻dt1を記録し、前記Syncメッセージを前記下位装置へ中継のために送信する際の前記Syncメッセージの送信時刻dt2を記録するSyncメッセージ処理部と、
前記Syncメッセージの前記上位装置の送信時刻T1が格納されて前記上位装置から送信されるFollow_Upメッセージから、前記Syncメッセージの前記上位装置の送信時刻T1を抽出するFollow_Upメッセージ処理部と、
前記上位装置へDelay_Reqメッセージを送信すると共に前記Delay_Reqメッセージの送信時刻T3を記録するDelay_Reqメッセージ処理部と、
前記Delay_Reqメッセージの受信時刻T4が格納されて前記上位装置から送信されるDelay_Respメッセージから、前記Delay_Reqメッセージの受信時刻T4を抽出するDelay_Respメッセージ処理部と、
前記下位装置から送信されるPdelay_Reqメッセージの受信時刻t2を記録するPdelay_Reqメッセージ処理部と、
前記Pdelay_Reqメッセージの受信時刻t2をPdelay_Respメッセージに格納し、前記Pdelay_Reqメッセージの受信時刻t2の格納されたPdelay_Respメッセージを、前記下位装置へ送信するPdelay_Respメッセージ処理部と、
前記Pdelay_Respメッセージの送信時刻t3をPdelay_Resp_Follow_Upメッセージに格納し、前記Pdelay_Respメッセージの送信時刻t3の格納されたPdelay_Resp_Follow_Upメッセージを、前記下位装置へ送信するPdelay_Resp_Follow_Upメッセージ処理部と、
前記Syncメッセージの受信時刻dt1と、前記Syncメッセージの前記上位装置の送信時刻T1と、前記Delay_Reqメッセージの送信時刻T3と、前記Delay_Reqメッセージの受信時刻T4と、を用いて、前記上位装置と前記変換装置との間の伝送遅延時間pt1を計算する上位側伝送遅延計算部と、
前記Syncメッセージの受信時刻dt1と、前記Syncメッセージの中継のための送信時刻dt2と、を用いて、前記変換装置の内部処理時間を計算する内部処理時間計算部と、
前記Follow_UpメッセージのCorrectionFieldに、前記上位装置と前記変換装置との間の前記伝送遅延時間pt1と、前記変換装置の前記内部処理時間との合計値を格納し、前記合計値の格納された前記Follow_Upメッセージを、前記下位装置へ中継のために送信する合計値格納部と、
を備える変換装置。
【請求項2】
PTP(Precision Time Protocol)通信を行う上位装置と前記PTP通信を行う下位装置との間で伝送遅延測定方法が異なる場合に、前記上位装置の伝送遅延測定方法を、前記下位装置の伝送遅延測定方法に変換するコンピュータである変換装置に、
前記上位装置から送信されるSyncメッセージを受信して受信時刻dt1を記録し、前記Syncメッセージを前記下位装置へ中継のために送信する際の前記Syncメッセージの送信時刻dt2を記録するSyncメッセージ処理と、
前記Syncメッセージの前記上位装置の送信時刻T1が格納されて前記上位装置から送信されるFollow_Upメッセージから、前記Syncメッセージの前記上位装置の送信時刻T1を抽出するFollow_Upメッセージ処理と、
前記上位装置へDelay_Reqメッセージを送信すると共に前記Delay_Reqメッセージの送信時刻T3を記録するDelay_Reqメッセージ処理と、
前記Delay_Reqメッセージの受信時刻T4が格納されて前記上位装置から送信されるDelay_Respメッセージから、前記Delay_Reqメッセージの受信時刻T4を抽出するDelay_Respメッセージ処理と、
前記下位装置から送信されるPdelay_Reqメッセージの受信時刻t2を記録するPdelay_Reqメッセージ処理と、
前記Pdelay_Reqメッセージの受信時刻t2をPdelay_Respメッセージに格納し、前記Pdelay_Reqメッセージの受信時刻t2の格納されたPdelay_Respメッセージを、前記下位装置へ送信するPdelay_Respメッセージ処理と、
前記Pdelay_Respメッセージの送信時刻t3をPdelay_Resp_Follow_Upメッセージに格納し、前記Pdelay_Respメッセージの送信時刻t3の格納されたPdelay_Resp_Follow_Upメッセージを、前記下位装置へ送信するPdelay_Resp_Follow_Upメッセージ処理と、
前記Syncメッセージの受信時刻dt1と、前記Syncメッセージの前記上位装置の送信時刻T1と、前記Delay_Reqメッセージの送信時刻T3と、前記Delay_Reqメッセージの受信時刻T4と、を用いて、前記上位装置と前記変換装置との間の伝送遅延時間pt1を計算する上位側伝送遅延計算処理と、
前記Syncメッセージの受信時刻dt1と、前記Syncメッセージの中継のための送信時刻dt2と、を用いて、前記変換装置の内部処理時間を計算する内部処理時間計算処理と、
前記Follow_UpメッセージのCorrectionFieldに、前記上位装置と前記変換装置との間の前記伝送遅延時間pt1と、前記変換装置の前記内部処理時間との合計値を格納し、前記合計値の格納された前記Follow_Upメッセージを、前記下位装置へ中継のために送信する合計値格納処理と、
を実行させる変換プログラム。
【請求項3】
PTP(Precision Time Protocol)通信を行う上位装置と前記PTP通信を行う下位装置との間で伝送遅延測定方法が異なる場合に、前記上位装置の伝送遅延測定方法を、前記下位装置の伝送遅延測定方法に変換するコンピュータである変換装置が、
前記上位装置から送信されるSyncメッセージを受信して受信時刻dt1を記録し、前記Syncメッセージを前記下位装置へ中継のために送信する際の前記Syncメッセージの送信時刻dt2を記録するSyncメッセージ処理工程と、
前記Syncメッセージの前記上位装置の送信時刻T1が格納されて前記上位装置から送信されるFollow_Upメッセージから、前記Syncメッセージの前記上位装置の送信時刻T1を抽出するFollow_Upメッセージ処理工程と、
前記上位装置へDelay_Reqメッセージを送信すると共に前記Delay_Reqメッセージの送信時刻T3を記録するDelay_Reqメッセージ処理工程と、
前記Delay_Reqメッセージの受信時刻T4が格納されて前記上位装置から送信されるDelay_Respメッセージから、前記Delay_Reqメッセージの受信時刻T4を抽出するDelay_Respメッセージ処理工程と、
前記下位装置から送信されるPdelay_Reqメッセージの受信時刻t2を記録するPdelay_Reqメッセージ処理工程と、
前記Pdelay_Reqメッセージの受信時刻t2をPdelay_Respメッセージに格納し、前記Pdelay_Reqメッセージの受信時刻t2の格納されたPdelay_Respメッセージを、前記下位装置へ送信するPdelay_Respメッセージ処理工程と、
前記Pdelay_Respメッセージの送信時刻t3をPdelay_Resp_Follow_Upメッセージに格納し、前記Pdelay_Respメッセージの送信時刻t3の格納されたPdelay_Resp_Follow_Upメッセージを、前記下位装置へ送信するPdelay_Resp_Follow_Upメッセージ処理工程と、
前記Syncメッセージの受信時刻dt1と、前記Syncメッセージの前記上位装置の送信時刻T1と、前記Delay_Reqメッセージの送信時刻T3と、前記Delay_Reqメッセージの受信時刻T4と、を用いて、前記上位装置と前記変換装置との間の伝送遅延時間pt1を計算する上位側伝送遅延計算工程と、
前記Syncメッセージの受信時刻dt1と、前記Syncメッセージの中継のための送信時刻dt2と、を用いて、前記変換装置の内部処理時間を計算する内部処理時間計算工程と、
前記Follow_UpメッセージのCorrectionFieldに、前記上位装置と前記変換装置との間の前記伝送遅延時間pt1と、前記変換装置の前記内部処理時間との合計値を格納し、前記合計値の格納された前記Follow_Upメッセージを、前記下位装置へ中継のために送信する合計値格納工程と、
を実行する変換方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、PTP(Precision Time Protocol)通信を行う上位装置とPTP通信を行う下位装置との間で伝送遅延測定方法が異なる場合に、上位装置の伝送遅延測定方法を、下位装置の伝送遅延測定方法に変換する、変換装置、変換プログラム及び変換方法に関する。
【背景技術】
【0002】
非特許文献1で定義されたPrecision Time Protocol(以下、PTP)は、パケットベースのネットワークシステムにおいて時計の正確な同期を実現するプロトコルである。
【0003】
PTPでは、分野ごとにプロファイルと呼ばれるフォーマットが規定されており、異なるプロファイル間では時刻同期できない。そのため、分野ごとに、個別に時刻配信ネットワークの構築が必要となり、高コストとなる。ここで、異なるプロファイル間で時刻同期ができない理由の1つとして、伝送遅延測定方法の相違がある。Transparent Clockでは、End to Endと、Peer to Peerの2種類の伝送遅延測定方法があり、それぞれで使用するメッセージが異なるため時刻同期できない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】IEEE Std 1588TM-2019 IEEE Standard for a Precision Clock Synchronization Protocol for Networked Measurement and Control Systems
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、上位装置と、上位装置の時刻に同期する下位装置との間で、End to Endと、Peer to Peerとのように、2種類の異なる伝送遅延測定方法が使用される場合にも、時刻同期を可能とする装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る変換装置は、PTP(Precision Time Protocol)通信を行う上位装置と前記PTP通信を行う下位装置との間で伝送遅延測定方法が異なる場合に、前記上位装置の伝送遅延測定方法を、前記下位装置の伝送遅延測定方法に変換する変換装置である。
本開示に係る変換装置は、
前記上位装置から送信されるSyncメッセージを受信して受信時刻dt1を記録し、前記Syncメッセージを前記下位装置へ中継のために送信する際の前記Syncメッセージの送信時刻dt2を記録するSyncメッセージ処理部と、
前記Syncメッセージの前記上位装置の送信時刻T1が格納されて前記上位装置から送信されるFollow_Upメッセージから、前記Syncメッセージの前記上位装置の送信時刻T1を抽出するFollow_Upメッセージ処理部と、
前記上位装置へDelay_Reqメッセージを送信すると共に前記Delay_Reqメッセージの送信時刻T3を記録するDelay_Reqメッセージ処理部と、
前記Delay_Reqメッセージの受信時刻T4が格納されて前記上位装置から送信されるDelay_Respメッセージから、前記Delay_Reqメッセージの受信時刻T4を抽出するDelay_Respメッセージ処理部と、
前記下位装置から送信されるPdelay_Reqメッセージの受信時刻t2を記録するPdelay_Reqメッセージ処理部と、
前記Pdelay_Reqメッセージの受信時刻t2をPdelay_Respメッセージに格納し、前記Pdelay_Reqメッセージの受信時刻t2の格納されたPdelay_Respメッセージを、前記下位装置へ送信するPdelay_Respメッセージ処理部と、
前記Pdelay_Respメッセージの送信時刻t3をPdelay_Resp_Follow_Upメッセージに格納し、前記Pdelay_Respメッセージの送信時刻t3の格納されたPdelay_Resp_Follow_Upメッセージを、前記下位装置へ送信するPdelay_Resp_Follow_Upメッセージ処理部と、
前記Syncメッセージの受信時刻dt1と、前記Syncメッセージの前記上位装置の送信時刻T1と、前記Delay_Reqメッセージの送信時刻T3と、前記Delay_Reqメッセージの受信時刻T4と、を用いて、前記上位装置と前記変換装置との間の伝送遅延時間pt1を計算する上位側伝送遅延計算部と、
前記Syncメッセージの受信時刻dt1と、前記Syncメッセージの中継のための送信時刻dt2と、を用いて、前記変換装置の内部処理時間を計算する内部処理時間計算部と、
前記Follow_UpメッセージのCorrectionFieldに、前記上位装置と前記変換装置との間の前記伝送遅延時間pt1と、前記変換装置の前記内部処理時間との合計値を格納し、前記合計値の格納された前記Follow_Upメッセージを、前記下位装置へ中継のために送信する合計値格納部と、
を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係る変換装置は、Delay_Reqメッセージ処理部、Delay_Respメッセージ処理部、上位側伝送遅延計算部及び合計値格納部を備えている。よって、本開示に係る変換装置は、上位装置と、上位装置の時刻に同期する下位装置との間で、End to Endと、Peer to Peerとのように、2種類の異なる伝送遅延測定方法が使用される場合にも、時刻同期を可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1の図で、変換装置100の比較例1として、TC101の動作を示す図。
図2】実施の形態1の図で、変換装置100の比較例2として、TCl02の動作を示す図。
図3】実施の形態1の図で、変換装置100の動作概要を説明する図であり、End to EndをPeer to Peerへ変換するイメージを示す図。
図4】実施の形態1の図で、変換装置100の動作詳細を説明する図。
図5】実施の形態1の図で、図4に示す各時刻を説明する図。
図6】実施の形態1の図で、変換装置100のブロック構成を示す図。
図7】実施の形態1の図で、Follow_Upメッセージのない、1stepの場合を示す図。
図8】実施の形態1の図で、変換装置100のハードウェア構成を示す図。
図9】実施の形態1の図で、変換装置100の機能がハードウェアで実現される構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態の説明及び図面において、同じ要素及び対応する要素には同じ符号を付している。同じ符号が付された要素の説明は、適宜に省略又は簡略化する。以下の実施の形態では、「部」を、「回路」、「工程」、「手順」、「処理」又は「サーキットリー」に適宜読み替えてもよい。
【0010】
実施の形態1.
以下に図を参照して、実施の形態1の変換装置100を説明する。変換装置100は、PTP通信を行う上位装置とPTP通信を行う下位装置との間で伝送遅延測定方法が異なる場合に、上位装置の伝送遅延測定方法を、下位装置の伝送遅延測定方法に変換する装置である。実施の形態1では、上位装置はマスター装置200、下位装置はクライアント装置300を想定する。また、以下に記載するCFはPTPメッセージにおける「CorrectionField」を示す。
【0011】
図1では変換装置100の比較例1として、Transparent Clock101を説明する。図2では変換装置100の比較例2として、Transparent Clock102を説明する。以下、Transparent ClockはTCと表記する。
【0012】
図1は、比較例1のTCl01の動作を説明する図である。図1では、マスター装置201及びクライアント装置301は、End to Endに基づき伝送遅延測定方法を実施する。TC101は、End to Endに基づきパケットを伝送する。図1では、メッセージは、以下のようにやり取りされる。
【0013】
<End to Endでのメッセージのやり取り>
以下では2stepについて説明する。1stepでは破線矢印で示すFollow_Upメッセージを使用しない。
(1)ステップS11において、マスター装置201は、Syncメッセージを送信する。
(2)ステップS12において、マスター装置201はSyncメッセージの送信時刻T1をFollow_Upメッセージに格納して送信する。
(3)ステップS13において、TC101は、Syncメッセージを受信した時刻dt1と、Syncメッセージを送信した時刻dt2を記録する。
(4)ステップS14において、TC101はFollow_UpメッセージのCFに、TC101の装置内部における処理時間(以下、内部処理時間)として、内部処理時間=dt2-dt1を格納して送信する。
(5)ステップS15において、クライアント装置301は、Syncメッセージを受信した時刻T2を記録する。
(6)ステップS16において、クライアント装置301は、Delay_Reqメッセージを送信するが、この際に送信時刻T3を、Delay_Reqメッセージに格納して送信する。
(7)ステップS17において、TC101は、Delay_Reqメッセージを受信した時刻dt3と、送信した時刻dt4を記録する。
(8)ステップS18において、マスター装置201は、Delay_Reqメッセージを受信した時刻T4を記録する。
(9)ステップS19において、マスター装置201はDelay_RespメッセージにT4を乗せて送信する。
(10)ステップS20において、TC101は、Delay_RespメッセージのCFに、TC101の内部処理時間=dt4-dt3を格納して送信する。
【0014】
<マスター装置201とクライアント装置301とのオフセット計算方法>
上記のメッセージのやり取りで取得した「T1,T2,T3,T4,dt2-dt1,dt4-dt3」を用いて、クライアント装置301は、以下のオフセットを計算できる。
オフセット=
{(T2-T1-(dt2-dt1))-(T4-T3-(dt4-dt3))}/2
オフセットをもとにクライアント装置の時刻を修正することで、クライアント装置はマスター装置の時刻に同期できる。
【0015】
1stepの場合は、Follow_Upメッセージに格納するT1及び内部処理時間=dt2-dt1を、Syncメッセージに乗せて送信する。
【0016】
図2は、比較例2のTC102の動作を説明する図である。図2では、マスター装置202及びクライアント装置302は、Peer to Peerに基づき伝送遅延測定方法を実施する。TC102は、Peer to Peerに基づきパケットを伝送する。図2では、メッセージは、以下のようにやり取りされる。
【0017】
<Peer to Peerでのメッセージのやり取り>
以下では2stepについて説明する。1stepでは、破線矢印のFollow_Upメッセージ及び2本の破線矢印のPdelay_Resp_Follow_Upメッセージを使用しない。
(1)ステップS31において、TC102は、Pdelay_Reqメッセージをマスター装置202へ送信し、送信時刻t1を記録する。
(2)ステップS32において、マスター装置202は、Pdelay_Reqメッセージを受信した時刻t2を記録する。
(3)ステップS33において、マスター装置202は、Pdelay_Respメッセージを送信し、送信した時刻t3を記録し、この際にPdelay_Reqメッセージの受信時刻t2を、Pdelay_Respメッセージに格納して送信する。
(4)ステップS34において、マスター装置202は、Pdelay_Resp_Follow_Upメッセージに、時刻t3を格納して送信する。
(5)ステップS35において、TC102は、Pdelay_Respメッセージを受信した時刻t4を記録する。
(6)ステップS36において、TC102は、各時刻(t1,t2,t3,t4)を使用し、マスター装置20とTC102との間の伝送遅延時間pt1を、以下の式で計算する。
伝送遅延時間pt1={(t2-t1)+(t4-t3)}/2
(7)ステップS37において、同様に、クライアント装置302はTC102とクライアント装置302との間の伝送遅延時間pt2を計算する。ステップS31からステップS35と同様のやり取りが、TC102とクライアント装置302との間でやりとりされる。ステップS31からステップS35の時刻t1から時刻t4は、図2に示す時刻5から時刻t8に対応する。
伝送遅延時間pt2={(t6-t5)+(t8-t7)}/2
(8)ステップS38において、マスター装置202は、Syncメッセージを送信する。
(9)ステップS39において、マスター装置202は、Syncメッセージの送信時刻T1をFollow_Upメッセージに乗せて送信する。
(10)ステップS40において、TC102は、Syncメッセージを受信した時刻dt1と、送信した時刻dt2を記録する。
(11)ステップS41において、TC102は、Follow_UpメッセージのCFに、マスター装置202とTC102との間の伝送遅延時間pt1と、TC102の内部処理時間(dt2-dt1)との合計値pt1+(dt2-dt1)を格納して送信する。
(12)クライアント装置302は、ステップS37で計算した伝送遅延時間pt2と、Follow_UpメッセージのCFに格納された合計値pt1+(dt2-dt1)とを用いて、Syncメッセージの送信時刻T1に対して同期するべき、クライアント装置の時刻T2を、以下の式で計算する。
クライアント装置の時刻T2=T1+pt1+(dt2-dt1)+pt2
上記の式で計算した時刻T2が、マスター装置202と同期した時刻となる。
【0018】
1stepの場合は以下のように送信する。
Follow_Upメッセージに格納して送信していた時刻T1及び合計値(pt1+(dt2-dt1))を、Syncメッセージに乗せて送信する。この場合、合計値はSyncメッセージのCFに格納する。
また、Pdelay_Resp_Follow_Upメッセージに乗せて送信していた時刻t3及び時刻t7は、Pdelay_RespメッセージのCFに格納して送信する。
【0019】
図3は、実施の形態1の変換装置100の動作概要を説明する図である。図1及び図2では、変換装置100の比較例として、End to Endを実施するTC101(比較例1)及びPeer to Peerを実施するTC102(比較例1)を説明した。マスター装置がEnd to Endに対応する伝送遅延測定方法を使用し、クライアント装置がPeer to Peerに対応する伝送遅延測定方法を使用する場合、TC101及びTC102では、マスター装置とクライアント装置との時刻を同期することはできない。
【0020】
これに対して、変換装置100は、マスター装置がEnd to Endに対応する伝送遅延測定方法を使用し、クライアント装置がPeer to Peerに対応する伝送遅延測定方法を使用する場合でも、マスター装置とクライアント装置との時刻同期を可能とする。図3では、伝送遅延測定方法を、End to EndからPeer to Peerへ変換装置100を用いて変換する。これにより、異なる伝送遅延測定方法の区間でも、クライアント装置300がマスター装置200の時刻に同期可能となる。
【0021】
変換装置100によれば、マスター装置200とクライアント装置300には改造や設定等は不要であり、変換装置100のみで、メッセージの変換や値の書き換えを行う。すなわち、マスター装置200には、End to Endに基づく伝送遅延測定方法を使用するマスター装置201(図1)をそのまま使用可能である。また、クライアント装置300にはPeer to Peerの伝送遅延測定方法を使用するクライアント装置302(図2)をそのまま使用可能である。マスター装置200は、通常通り(End to End)のメッセージのやり取りを行う。クライアント装置300は、通常通り(Peer to Peer)のメッセージのやり取りを行う。マスター装置200とクライアント装置300とに制約がないため、変換装置100は、どのようなPTP装置間にも設置することが可能である。
なお、変換装置100による変換処理にかかった時間は、通常の内部処理時間に加算して時刻同期を行う。このため、変換処理による時刻精度の劣化はない。
【0022】
図4は、実施の形態1の変換装置100の動作の詳細を説明する図である。
図5は、図4に示す各時刻を説明する表である。
図6は、変換装置100のブロック構成を示す。
【0023】
***構成の説明***
図6を参照して変換装置100の構成を説明する。変換装置100は、Syncメッセージ処理部11、Follow_Upメッセージ処理部12、Delay_Reqメッセージ処理部13、Delay_Respメッセージ処理部14、Pdelay_Reqメッセージ処理部21、Pdelay_Respメッセージ処理部22、Pdelay_Resp_Follow_Upメッセージ処理部23、マスター側パケット通信部30M、クライアント側パケット通信部30C、上位側伝送遅延計算部40、内部処理時間計算部50、CF処理部60を備えている。
【0024】
Syncメッセージ処理部11は、第1処理手段である。Follow_Upメッセージ処理部12は、第2処理手段である。Delay_Reqメッセージ処理部13は、第3処理手段である。Delay_Respメッセージ処理部14は、第4処理手段である。Pdelay_Reqメッセージ処理部21は、第5処理手段である。Pdelay_Respメッセージ処理部22は、第6処理手段である。Pdelay_Resp_Follow_Upメッセージ処理部23は、第7処理手段である。マスター装置200は上位装置である。クライアント装置300は下位装置である。CF処理部60は合計値格納部である。
【0025】
なお、以下では各メッセージ処理部は、Sync処理部11のように表記する。
【0026】
各構成要素の機能は以下のとおりである。
(1)<マスター側パケット通信部30M、クライアント側パケット通信部30C>
マスター側パケット通信部30M及びクライアント側パケット通信部30Cは、それぞれ、マスター装置200及びクライアント装置300と、PTPパケットを送受信する。
(2)<Sync処理部11>
マスター装置200からのSyncメッセージを受信し、受信時刻dt1と、クライアント装置300へのSyncメッセージの送信時刻dt2とを記録し、以下を実施する。
(a)上位側伝送遅延計算部40へ受信時刻dt1を送信し、
(b)内部処理時間計算部50に、受信時刻dt1、送信時刻dt2を送信し、
(c)CF処理部60へSyncメッセージを送信する。
(3)<Follow_Up処理部12>
マスター装置200からFollow_Upメッセージ(Follow_Upメッセージ送信時刻T1が格納)を受信し、Follow_UpメッセージをCF処理部60へ送信する。また送信時刻T1を抽出して、上位側伝送遅延計算部40へ送信する。
(4)<Delay_Req処理部13>
Delay_Req処理部13は以下を実施する。
(a)マスター装置200へDelay_Reqメッセージを送信し、
(b)Delay_Reqメッセージの送信時刻T3を記録し、
(c)上位側伝送遅延計算部40へ送信T3を送信する。
(5)<Delay_Resp処理部14>
Delay_Resp処理部14は以下を実施する。
(a)マスター装置200からDelay_Respメッセージ(Delay_Reqメッセージの受信時刻T4が格納)を受信し、
(b)Delay_Respメッセージから受信時刻T4を抽出し、上位側伝送遅延計算部40へ送信する。
(6)<Pdelay_Req処理部21>
Pdelay_Req処理部21は以下を実施する。
(a)クライアント装置300からPdelay_Reqメッセージを受信し、
(b)Pdelay_Reqメッセージの受信時刻t2を記録し、
(c)受信時刻t2を、Pdelay_Resp処理部22に送信する。
(7)<Pdelay_Resp処理部22>
Pdelay_Resp処理部22は以下を実施する。
(a)Pdelay_Reqの受信時刻t2をPdelay_Respメッセージに格納し、クライアント装置300へ送信し、
(b)Pdelay_Respメッセージの送信時刻t3を記録して、Pdelay_Resp_Follow_Upへ送信する。
(8)<Pdelay_Resp_Follow_Up処理部23>
Pdelay_Resp_Follow_Up処理部23は以下を実施する。
(a)Pdelay_Resp処理部22から受信した送信時刻t3をPdelay_Resp_Follow_Upメッセージに格納してクライアント装置300へ送信する。(9)<上位側伝送遅延計算部40>
上位側伝送遅延計算部40は以下を実施する。
(a)上位装置であるマスター装置200と、変換装置100との間の伝送遅延時間pt1を計算する。
詳細は後述するが、伝送遅延時間pt1は、計算式をfで表記すれば、
pt1=f(dt1,T1,T3、T4)
で計算する。
(b)CF処理部60へ伝送遅延時間pt1を送信する。
(10)<内部処理時間計算部50>
内部処理時間計算部50は以下を実施する。
(a)Sync処理部11から受信した受信時刻dt1、送信時刻dt2を用いて、変換装置100の内部処理時間(dt2-dt1)を計算し、
(b)CF処理部60へ内部処理時間(dt2-dt1)を送信する。
(11)<CF処理部60>
CF処理部60は、各メッセージのCFに値を格納する。
【0027】
***動作の説明***
図4を参照して、変換装置100の動作を説明する。変換装置100の動作は、変換方法に相当する。また変換装置100の動作は、変換プログラム131の行う処理に相当する。
【0028】
<メッセージのやり取りの流れ>
図4では2stepについて説明する。1stepでは、破線矢印で示すFollow_UpメッセージおよびPdelay_Resp_Follow_Upメッセージを使用しない。1stepは、図7で後述する。
【0029】
マスター装置200と変換装置100との間ではEnd to Endで通信する。ネットワーク全体、すなわちマスター装置200とクライアント装置300との間では、Peer to Peerの方法を用いて、クライアント装置300の時刻をマスター装置200の時刻に同期させる。
【0030】
<ステップS101、ステップS102>
ステップS101において、マスター装置200は、Syncメッセージを送信する。
ステップS102において、マスター装置200は、Syncメッセージの送信時刻T1を、Follow_Upメッセージに格納して送信する。以下の処理A、処理Bは、並列して変換装置100で実施する。
【0031】
<処理A>
以下に処理Aを説明する。処理AはステップS103A及びステップS104Aである。
【0032】
<ステップS103A>
マスター側パケット通信部30Mは、Syncメッセージを受信する。ステップS103Aにおいて、Sync処理部11は、Syncメッセージの受信時刻dt1を記録し、かつ、クライアント側パケット通信部30Cを介してSyncメッセージをクライアント装置300へ送信する。Sync処理部11は、Syncメッセージのクライアント装置300への送信時刻dt2を記録する。
【0033】
<ステップS104A>
マスター側パケット通信部30Mは、Follow_Upメッセージを受信する。Follow_Up処理部12は、受信されたFollow_Upメッセージを、CF処理部60に送信する。CF処理部60は、Follow_UpメッセージのCFに、マスター装置200と変換装置100との間の伝送遅延時間pt1と、内部処理時間(dt2-dt1)との合計値pt1+(dt2-dt1)を格納する。
ステップS104Aにおいて、CF処理部60は、クライアント側パケット通信部30Cを介して、クライアント装置300へ、上記の合計値が登録されたFollow_Upメッセージを送信する。
【0034】
なお、通常、End to EndのFollow_UpメッセージのCFの値は「dt2-dt1」である。ここで、図4左側のマスター装置200と変換装置100とのメッセージ全体のやり取りを1セットとすると、伝送遅延時間pt1は、1セット前に求めた値を利用する。
【0035】
<処理B>
以下に処理Bを説明する。処理Bは、ステップS105BからステップS109Bである。
【0036】
<ステップS105B>
ステップS105Bにおいて、Delay_Req処理部13は、マスター側パケット通信部30Mを介して、Delay_Reqメッセージをマスター装置200へ送信する。この際、Delay_Req処理部13は、Delay_Reqメッセージの送信時刻T3を、Delay_Reqメッセージに格納する。なお、通常、TCはDelay_Reqメッセージを送信せず、転送のみを行う。
【0037】
<ステップS106B~ステップS108B>
ステップS106Bにおいて、マスター装置200は、Delay_Reqメッセージの受信時刻T4を記録する。
ステップS107Bにおいて、マスター装置200は、Delay_Respメッセージに受信時刻T4を格納して送信する。
ステップS108Bにおいて、Delay_Resp処理部14は、マスター側パケット通信部30Mを介してDelay_Respメッセージを受信して終端する。
なお、通常、TCはDelay_Respメッセージを終端せず、転送のみ実施する。Delay_Resp処理部14は、受信時刻T4を上位側伝送遅延計算部40に送信する。
【0038】
<ステップS109B>
ステップS109Bにおいて、上位側伝送遅延計算部40は、マスター装置200と変換装置100との間の伝送遅延時間pt1を計算する。上位側伝送遅延計算部40は、式1で伝送遅延時間pt1を計算する。
pt1={(dt1―T1)+(T4-T3)}/2 (式1)
【0039】
以上が処理Bである。
【0040】
(1)ステップS110において、クライアント装置300はPdelay_Reqメッセージを変換装置100へ送信し、送信時刻t1を記録する。
(2)ステップS111において、Pdelay_Req処理部21はPdelay_Reqメッセージの受信時刻t2を記録する。
(3)ステップS112において、Pdelay_Resp処理部22、Pdelay_Respメッセージを送信し、送信時刻t3を記録し、この際に受信時刻t2をPdelay_Respメッセージに格納して送信する。
(4)ステップS113において、Pdelay_Resp_Follow_Up処理部23は、Pdelay_Resp_Follow_Upメッセージに送信時刻t3を格納して送信する。
(5)ステップS114において、クライアント装置300は、Pdelay_Respメッセージの受信時刻t4を記録する。
(6)ステップS115において、クライアント装置300は、送信時刻t1,受信時刻t2,送信時刻t3,受信時刻t4を使用し、変換装置100とクライアント装置300との間の伝送遅延時間pt2を、式2で計算する。
伝送遅延時間pt2={(t2-t1)+(t4-t3)}/2 (式2)
クライアント装置300は式3により時刻同期を行う。時刻T2は、クライアント装置300におけるSyncメッセージの受信時刻である。
T2=T1+pt1+(dt2-dt1)+pt2 (式3)
【0041】
図7は、1stepの場合を示す図である。図4では2stepを示したが、1stepの場合は、図7に示すように以下の動作である。
(1)Follow_Upメッセージに格納して送信する送信時刻T1を、Syncメッセージに格納する。
(2)Follow_UpメッセージのCFに格納した(dt2-dt1)をSyncメッセージのCFに乗せてCF=pt1+(dt2-dt1)として送信する。
(3)Pdelay_Resp_Follow_Upメッセージに格納した送信時刻t3を、Pdelay_RespメッセージのCFに乗せて送信する。
【0042】
<変換装置100のハードウェア構成>
図8は、変換装置100のハードウェア構成を示す。図8を参照して変換装置100のハードウェア構成を説明する。
【0043】
変換装置100は、コンピュータである。変換装置100は、プロセッサ110を備える。変換装置100は、プロセッサ110の他に複数のハードウェアを備える。複数のハードウェアは、主記憶装置120、補助記憶装置130、入力インタフェース140、出力インタフェース150及び通信インタフェース160である。プロセッサ110は、信号線170を介して、他のハードウェアと接続され、他のハードウェアを制御する。
【0044】
変換装置100は、機能要素として、Sync処理部11、Follow_Up処理部12、Delay_Req処理部13、Delay_Resp処理部14、Pdelay_Req処理部21、Pdelay_Resp処理部22、Pdelay_Resp_Follow_Up処理部23、マスター側パケット通信部30M、クライアント側パケット通信部30C、上位側伝送遅延計算部40、内部処理時間計算部50及びCF処理部60を備えている。
Sync処理部11、Follow_Up処理部12、Delay_Req処理部13、Delay_Resp処理部14、Pdelay_Req処理部21、Pdelay_Resp処理部22、Pdelay_Resp_Follow_Up処理部23、マスター側パケット通信部30M、クライアント側パケット通信部30C、上位側伝送遅延計算部40、内部処理時間計算部50及びCF処理部60の機能は、変換プログラム131により実現される。
【0045】
プロセッサ110は、変換プログラム131を実行する装置である。プロセッサ110が変換プログラム131を実行することで、Sync処理部11、Follow_Up処理部12、Delay_Req処理部13、Delay_Resp処理部14、Pdelay_Req処理部21、Pdelay_Resp処理部22、Pdelay_Resp_Follow_Up処理部23、マスター側パケット通信部30M、クライアント側パケット通信部30C、上位側伝送遅延計算部40、内部処理時間計算部50及びCF処理部60の機能が実現される。プロセッサ110は、演算処理を行うIC(Integrated Circuit)である。プロセッサ110の具体例は、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、GPU(Graphics Processing Unit)である。
【0046】
主記憶装置120の具体例は、SRAM(Static Random Access Memory)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)である。主記憶装置120は、プロセッサ110の計算結果を保持する。
【0047】
補助記憶装置130は、データを不揮発的に保管する記憶装置である。補助記憶装置130の具体例は、HDD(Hard Disk Drive)である。また、補助記憶装置130は、可搬記録媒体であってもよい。可搬記録媒体として、SD(登録商標)(Secure Digital)メモリカード、NANDフラッシュ、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ブルーレイ(登録商標)ディスク、DVD(Digital Versatile Disk)がある。補助記憶装置130は、変換プログラム131を記憶している。
【0048】
入力インタフェース140は、各装置からデータが入力されるポートである。出力インタフェース150は、各種機器が接続される。出力インタフェース150は、各種機器にプロセッサ110によってデータが出力されるポートである。通信インタフェース160は、プロセッサがマスター装置200及びクライアント装置300と通信するための通信ポートである。
【0049】
プロセッサ110は補助記憶装置130から変換プログラム131を主記憶装置120にロードする。プロセッサ110は、ロードされた変換プログラム131を主記憶装置120から読み込んで実行する。主記憶装置120には、変換プログラム131の他に、OS(Operating System)も記憶されている。プロセッサ110は、OSを実行しながら、変換プログラム131を実行する。変換装置100は、プロセッサ110を代替する複数のプロセッサを備えてもよい。これら複数のプロセッサは、変換プログラム131の実行を分担する。それぞれのプロセッサは、プロセッサ110と同じように、変換プログラム131を実行する装置である。変換プログラム131によって利用、処理又は出力されるデータ、情報、信号値及び変数値は、主記憶装置120、補助記憶装置130、又は、プロセッサ110内のレジスタあるいはキャッシュメモリに記憶される。
【0050】
変換プログラム131は、Sync処理部11、Follow_Up処理部12、Delay_Req処理部13、Delay_Resp処理部14、Pdelay_Req処理部21、Pdelay_Resp処理部22、Pdelay_Resp_Follow_Up処理部23、マスター側パケット通信部30M、クライアント側パケット通信部30C、上位側伝送遅延計算部40、内部処理時間計算部50及びCF処理部60の「部」を、「処理」、「手順」あるいは「工程」に読み替えた各処理、各手順あるいは各工程を、コンピュータに実行させるプログラムである。
【0051】
また、変換方法は、コンピュータである変換装置100が変換プログラム131を実行することにより行われる方法である。
変換プログラム131は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納されて提供されてもよいし、プログラムプロダクトとして提供されてもよい。
【0052】
<ハードウェア構成の補足>
図8では変換装置100の機能がソフトウェアで実現される。しかし、変換装置100の機能がハードウェアで実現されてもよい。
図9は、変換装置100の機能がハードウェアで実現される構成を示す。図9の電子回路500は、変換装置100の、Sync処理部11、Follow_Up処理部12、Delay_Req処理部13、Delay_Resp処理部14、Pdelay_Req処理部21、Pdelay_Resp処理部22、Pdelay_Resp_Follow_Up処理部23、マスター側パケット通信部30M、クライアント側パケット通信部30C、上位側伝送遅延計算部40、内部処理時間計算部50及びCF処理部60の機能を実現する専用の電子回路である。
電子回路500は、信号線501に接続している。電子回路500、具体的には、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ロジックIC、GA、ASIC、又は、FPGAである。GAは、Gate Arrayの略語である。
ASICは、Application Specインタフェースic Integrated Circuitの略語である。FPGAは、Field-Programmable Gate Arrayの略語である。変換装置100の構成要素の機能は、1つの電子回路で実現されてもよいし、複数の電子回路に分散して実現されてもよい。また、変換装置100の構成要素の一部の機能が電子回路で実現され、残りの機能がソフトウェアで実現されてもよい。
【0053】
プロセッサ110と電子回路500の各々は、プロセッシングサーキットリーあるいはサーキットリーとも呼ばれる。変換装置100において、Sync処理部11、Follow_Up処理部12、Delay_Req処理部13、Delay_Resp処理部14、Pdelay_Req処理部21、Pdelay_Resp処理部22、Pdelay_Resp_Follow_Up処理部23、マスター側パケット通信部30M、クライアント側パケット通信部30C、上位側伝送遅延計算部40、内部処理時間計算部50及びCF処理部60の機能がサーキットリーにより実現されてもよい。
【0054】
***実施の形態1の効果の説明***
異なるプロファイル間で時刻同期ができない理由の1つとして、伝送遅延測定方法(End to End、Peer to Peer)の違いがあった。
しかし、実施の形態1の変換装置100を用いることにより、マスター装置200とクライアント装置300で伝送遅延測定方法が異なる場合でも、クライアント装置300はマスター装置200と時刻同期が可能になる。
これにより、変換装置100を使用することで、伝送遅延測定方法が異なるプロファイル間を接続することができるので、個別に時刻配信ネットワークを構築するが不要となり、設備コストを低減できる効果を奏する。
【0055】
以上、本開示の実施の形態1について説明した。実施の形態1のうち、いくつかを組み合わせて実施してもよい。また、いずれか1つ又はいくつかを部分的に実施してもよい。なお、本開示は、以上の実施の形態1に限定されるものではなく、必要に応じて種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0056】
11 Sync処理部、12 Follow_Up処理部、13 Delay_Req処理部、14 Delay_Resp処理部、21 Pdelay_Req処理部、22 Pdelay_Resp処理部、23 Pdelay_Resp_Follow_Up処理部、30M マスター側パケット通信部、30C クライアント側パケット通信部、40 上位側伝送遅延計算部、50 内部処理時間計算部、60 CF処理部、100 変換装置、101,102 TC、110 プロセッサ、120 主記憶装置、130 補助記憶装置、131 変換プログラム、140 入力インタフェース、150 出力インタフェース、160 通信インタフェース、170 信号線、200,201,202 マスター装置、300 クライアント装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9