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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171299
(43)【公開日】2024-12-11
(54)【発明の名称】二酸化炭素吸放出材
(51)【国際特許分類】
   B01J 20/22 20060101AFI20241204BHJP
   B01J 20/28 20060101ALI20241204BHJP
【FI】
B01J20/22 A
B01J20/28 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023186122
(22)【出願日】2023-10-31
(31)【優先権主張番号】P 2023087507
(32)【優先日】2023-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)2020年度、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、「NEDO先導研究プログラム/未踏チャレンジ2050/二酸化炭素回収と資源化の複合化技術開発」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】504136568
【氏名又は名称】国立大学法人広島大学
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100138955
【弁理士】
【氏名又は名称】末次 渉
(72)【発明者】
【氏名】津野地 直
【テーマコード(参考)】
4G066
【Fターム(参考)】
4G066AA05C
4G066AA20C
4G066AA22C
4G066AA23C
4G066AA24C
4G066AB10B
4G066AB12B
4G066AB13B
4G066BA23
4G066BA26
4G066BA36
4G066CA35
4G066DA03
4G066FA37
(57)【要約】
【課題】吸着させた二酸化炭素の回収を低温で行える二酸化炭素吸放出材を提供する。
【解決手段】二酸化炭素吸放出材は、多孔質担体と、多孔質担体に担持されたアミンと、を備える。多孔質担体は、BJH法による細孔直径が25nm以下である。また、多孔質担体が無機酸化物である場合、アミンの含有量が10wt%~60wt%であることが好ましく、多孔質担体が活性炭である場合、アミンの含有量が60wt%~80wt%であることが好ましい。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔質担体と、前記多孔質担体に担持されたアミンと、を備え、
前記多孔質担体は、BJH法による細孔直径が25nm以下である、
ことを特徴とする二酸化炭素吸放出材。
【請求項2】
前記多孔質担体が無機酸化物であり、
前記アミンの含有量が10wt%~60wt%である、
ことを特徴とする請求項1に記載の二酸化炭素吸放出材。
【請求項3】
前記多孔質担体が活性炭であり、
前記アミンの含有量が60wt%~80wt%である、
ことを特徴とする請求項1に記載の二酸化炭素吸放出材。
【請求項4】
前記アミンがジエチレントリアミン、ポリエチレンイミン、トリエチレンテトラアミン、テトラエチレンペンタミン、1,3-ジアミノプロパン、1,4-ジアミノブタン、1,5-ジアミノペンタン、1,6-ジアミノヘキサン、N-メチルエチレンジアミン、N,N-ジメチルエチレンジアミン、N-メチル-1,3-ジアミノプロパン、N,N-ジメチル-1,3-プロパンジアミン、トリス(2-アミノエチル)アミン、1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン、N-メチル-2,2’-ジアミノジエチルアミン、N,N’-ジメチルN-[2-(メチルアミノ)エチル]エチレンジアミン、または、N1-(2-(ジメチルアミノ)エチル)-N2,N2-ジメチルエタン-1,2-ジアミンである、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の二酸化炭素吸放出材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二酸化炭素吸放出材に関する。
【背景技術】
【0002】
地球での環境問題の代表例として地球温暖化が挙げられ、その原因となる温室効果ガスにはCOが含まれている。COの排出量は人類の発展と共に増加し、現状の排出傾向がそのまま進行すると、2100年に大気中のCO濃度が530~980ppmとなると予測されており、このCO濃度の上昇によって、1990年から2100年にかけて1.4から6.1℃の世界平均気温変化を引き起こす可能性がある。
【0003】
地球温暖化を抑制するために、大気中のCOを捕捉して除去する技術、DAC(Direct Air Capture)に注目が集まっており、特に、多孔質材料とアミンを組み合わせたアミン系吸着剤の研究が盛んである(例えば、特許文献1~3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-164656号公報
【特許文献2】特開2018-202275号公報
【特許文献3】特開2012-139622号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
アミン系吸着材は、水蒸気共存下でも吸着能力を示すことから、二酸化炭素回収分野において有望視されている。しかし、吸着後の二酸化炭素の回収(放出)には、80~120℃での加熱が必要であり、エネルギーを大量に消費するとともに使用環境を制限してしまう。
【0006】
本発明は上記事項に鑑みてなされたものであり、その目的は、吸着させた二酸化炭素の回収を低温で行える二酸化炭素吸放出材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る二酸化炭素吸放出材は、
多孔質担体と、前記多孔質担体に担持されたアミンと、を備え、
前記多孔質担体は、BJH法による細孔直径が25nm以下である、
ことを特徴とする。
【0008】
前記多孔質担体が無機酸化物であり、
前記アミンの含有量が10wt%~60wt%であることが好ましい。
【0009】
また、前記多孔質担体が活性炭であり、
前記アミンの含有量が60wt%~80wt%であることが好ましい。
【0010】
また、前記アミンがジエチレントリアミン、ポリエチレンイミン、トリエチレンテトラアミン、テトラエチレンペンタミン、1,3-ジアミノプロパン、1,4-ジアミノブタン、1,5-ジアミノペンタン、1,6-ジアミノヘキサン、N-メチルエチレンジアミン、N,N-ジメチルエチレンジアミン、N-メチル-1,3-ジアミノプロパン、N,N-ジメチル-1,3-プロパンジアミン、トリス(2-アミノエチル)アミン、1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン、N-メチル-2,2’-ジアミノジエチルアミン、N,N’-ジメチルN-[2-(メチルアミノ)エチル]エチレンジアミン、または、N1-(2-(ジメチルアミノ)エチル)-N2,N2-ジメチルエタン-1,2-ジアミンであることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、吸着させた二酸化炭素の回収を低温で行える二酸化炭素吸放出材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】二酸化炭素吸放出材のスクリーニング条件を示す図である。
図2】SBA-15にDETAを20wt%担持させた二酸化炭素吸放出材のTG曲線を示す図である。
図3】多孔質担体の細孔直径、DETA担持量およびCO吸着量の関係を示すグラフである。
図4】多孔質担体の細孔直径、DETA担持量およびCO放出量を示すグラフである。
図5】DETA50/SBA-15*のTG曲線を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
二酸化炭素吸放出材は、多孔質担体と多孔質担体に担持されたアミンを備える。二酸化炭素吸放出材は、多孔質担体の表面に露出するアミンの吸着サイトに二酸化炭素が吸着される。そして、二酸化炭素吸放出材は、吸着した二酸化炭素を温和な条件で放出する。
【0014】
多孔質担体は、BJH(Barrett-Joyner-Halenda)法による細孔直径(Pore Diameter)は、25nm以下であり、10nm以下であることが好ましい。また、下限は0.7nm以上であることが好ましい。
【0015】
多孔質担体として、シリカ、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ニオブ、アルミノシリケート等の無機酸化物や活性炭が挙げられる。
【0016】
アミンとして、モノエタノールアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、エチレンジアミン、テトラエチレンペンタミン、ポリエチレンイミン、1,3-ジアミノプロパン、1,4-ジアミノブタン、1,5-ジアミノペンタン、1,6-ジアミノヘキサン、N-メチルエチレンジアミン、N-メチル-1,3-ジアミノプロパン、N-メチル-2,2’-ジアミノジエチルアミン、N,N-ジメチルエチレンジアミン、N,N-ジメチル-1,3-プロパンジアミン、N,N,N’,N’’ ,N’’-ペンタメチルジエチレントリアミン、トリス(2-アミノエチル)アミン、1,4,7-トリアザシクロノナン、1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン、N,N’-ジメチルN-[2-(メチルアミノ)エチル]エチレンジアミン、N1-(2-(ジメチルアミノ)エチル)-N2,N2-ジメチルエタン-1,2-ジアミンが挙げられる。これらアミンは、第1級アミン、第2級アミンを有し、これらの吸着サイトにて二酸化炭素を吸着させる。二酸化炭素の吸着量、および、吸着した二酸化炭素の温和な条件における放出特性のバランスの観点から、アミンとして、ジエチレントリアミンであることが好ましい。
【0017】
二酸化炭素吸放出材に占めるアミンの含有量は、多孔質担体が無機酸化物である場合、10wt%~60wt%であり、10wt%~30wt%であることが好ましく、15wt%~25wt%であることがより好ましい。上記の範囲でアミンの含有量が多い方が二酸化炭素の吸着量が増加する一方で、吸着した二酸化炭素を放出させる際、低温での放出量が低下する傾向があるため、二酸化炭素を放出させる温度に応じて適宜設定するとよい。
【0018】
また、多孔質担体が活性炭である場合、二酸化炭素吸放出材に占めるアミンの含有量は、60wt%~80wt%であり、65wt%~75wt%であることが好ましい。
【0019】
アミンの担持量が少ない場合、二酸化炭素の吸着サイトが少なくなるため、二酸化炭素の吸着量が低下する。一方、アミンの含有量が多い場合、アミンによって多孔質担体の細孔が塞がれてしまい、二酸化炭素吸放出材の表面に露出する吸着サイトが減少するため、二酸化炭素の吸着量が低下する。
【0020】
また、二酸化炭素吸放出材の二酸化炭素吸着量は、0.35mmol/g以上であることが好ましく、0.4mmol/g以上であることがより好ましい。また、二酸化炭素吸放出材の二酸化炭素放出量は、0.17mmol/g以上であることが好ましく、より好ましくは0.25mmol/gである。
【0021】
二酸化炭素吸放出材は、含浸法により製造することができる。具体的には、多孔質担体をエタノール等の溶媒に分散させ、所定量のアミンを加えて攪拌する。そして、乾燥させて溶媒を除去することで二酸化炭素吸放出材を製造することができる。なお、多孔質担体とアミンとの配合比を調整することで、所定量のアミンを含有する二酸化炭素吸着材を得ることができる。例えば、多孔質担体とアミンとの配合比を重量比で80:20として製造することで、アミンを20wt%含有する二酸化炭素吸放出材を得ることができる。
【0022】
二酸化炭素吸放出材は、良好な二酸化炭素の吸着性能を有するとともに、温和な条件にて、吸着した二酸化炭素を放出する特性を有する。例えば、室温程度の空気を通じることでも、吸着した二酸化炭素の大部分を放出させることが可能である。したがって、二酸化炭素を吸着させた後、放出させるために高温加熱機器を必ずしも必要としない。したがって、二酸化炭素吸放出材は、吸着した二酸化炭素を温和な条件で放出する特性を有するため、DACへの適用が期待できる。
【実施例0023】
以下に記すように、種々の多孔質担体を準備し、細孔直径を測定した。そして、多孔質担体にアミンを担持させて二酸化炭素吸放出材を製造し、二酸化炭素の吸着特性、放出特性について検証した。
【0024】
準備した多孔質担体を表1に示す。なお、表中のJRC-XXX-Yは、一般社団法人触媒学会配布試料である。また、表中のCARiACT、ネオビード、シルビードは登録商標である。
【0025】
【表1】
【0026】
上記FAU300は以下のようにして合成した。FAU型ゼオライト(HSZ-350HOA、東ソー株式会社製)を硫酸水溶液に拡散し、60℃で4時間処理することで脱アルミニウム処理を行った。濾過で分離した固体を60℃の純水で洗浄し、125℃で一晩乾燥することで、Si/Al比を300に調整したFAU型ゼオライトのFAU300を得た。
【0027】
上記SBA-15は以下のようにして合成した。2M HClとポリ(エチレングリコール)-ブロック-ポリ(プロピレングリコール)-ブロック-ポリ(エチレングリコール)-ブロックコポリマー(Pluronic P123、Aldrich)を混合し、40℃にて、透明な溶液ができるまで攪拌した。テトラエチルオルソシリケート(TEOS、Merck)を加え、さらに20時間攪拌を続けた後、テフロン(登録商標)製オートクレーブに移し、90℃で1日保持した。モル組成は、HO:HCl:TEOS:Pluronic P123=165:6.1:1.0:0.017であった。得られた生成物を濾過し、水で洗浄した後、室温で乾燥させた。最後に、生成物を550℃にて5時間焼成することで、SBA-15を得た。
【0028】
上記SBA-15*は以下のようにして合成した。Pluronic P123(20g)を脱イオン水(250g)に加え、Pluronic P123が完全に溶解するまで室温で攪拌した。TEOS(42.63g)、HCI(148.2g,36wt%)および脱イオン水(275g)を加え、加熱しながら30℃でさらに20時間撹拌した。反応容器をオイルバスに移し、20時間、還流を行った。得られたゲルを濾過し、水で洗浄した。得られた固体を70℃で一晩乾燥した。最後に、生成物を空気中、550℃で8時間焼成することでSBA-15*シリカを得た。
【0029】
上記MCM-41は以下のようにして合成した。Cetyltrimethylammonium bromide(CTABr,Kemphasol)をNaOH(0.1M)に加え、40℃で2時間、混合物が均質になるまで攪拌した後、TEOSを添加して更に2時間撹拌した。得られたゲル混合物をオートクレーブに移し、100℃で1日保持した。ゲルのモル組成は、HO:TEOS:NaOH:CTABr=130:1.0:0.23:0.12であった。得られた生成物を濾過し、水で洗浄した後、室温で乾燥した。最後に、生成物を550℃で5時間焼成することでMCM-41シリカを得た。
【0030】
(多孔質担体の細孔直径の測定)
準備した各多孔質担体についてBJH法により細孔直径を求めた。まず、各多孔質担体を温度400℃で3時間、真空条件下におくことで完全に脱気した。脱気した後、BELSORP-maxシステム(マイクロトラック・ベル株式会社)を用いて、多孔質担体のN吸着等温線を測定し、多孔質担体の細孔構造と比表面積に関する情報を取得した。
【0031】
各多孔質担体の比表面積は、Brunauer-Emmett-Teller(BET)法により測定した。孔径分布の測定は、Barrett-Joyner-Halenda(BJH)法により行った。そして、BJH法において測定不能な多孔質担体(BJH法で細孔直径が2nm以下の多孔質担体)については、Horvath-Kawazoe(HK)法もしくはSaito-Foley(SF)法により、解析を行った。測定した各多孔質担体の細孔直径、比表面積を表2に示す。
【0032】
【表2】
【0033】
(二酸化炭素吸放出材の製造)
上記の多孔質担体をエタノールに加え、攪拌して分散させた。その後、計算量のジエチレントリアミン(DETA)を加え、更に2時間攪拌した。この溶液を70℃で一晩乾燥させた。完全に乾燥させてエタノールを除去した後、残った固体粉末を回収することで二酸化炭素吸放出材を得た。なお、DETAの担持量は、10wt%~80wt%となるように調整した。
【0034】
(二酸化炭素の吸着、放出特性の検証)
得られた二酸化炭素吸放出材について、熱重量測定システム(TGシステム)を用い、以下のようにして、二酸化炭素吸放出材のCO吸着量およびCO放出量を求めた。
【0035】
5mgの二酸化炭素吸放出材を熱重量測定装置のサンプルパンに充填した。そして、図
1にスクリーニング条件を示しているように、二酸化炭素吸放出材の重量減少がなくなるまで窒素(80℃)を導入して前処理を行った。次いで、30℃まで温度を下げた後、窒素で希釈して400ppmに調整した二酸化炭素(30℃)を400mL/分で導入し、二酸化炭素吸放出材に二酸化炭素を吸着させた。
【0036】
その後、二酸化炭素の導入を停止し、窒素(30℃)を導入して二酸化炭素吸放出材から二酸化炭素を放出させた。
【0037】
図2に、一例として、SBA-15にDETAを20wt%担持させた二酸化炭素吸放出材(DETA20/SBA-15)のTG曲線を示す。二酸化炭素吸放出材の重量増からCO吸着量を、また、二酸化炭素吸放出材の重量減少を利用してCO放出量を求めた。
【0038】
各種二酸化炭素吸放出材のCO吸着量を表3に、CO放出量を表4にそれぞれ示す。また、図3に、多孔質担体の細孔直径、DETA担持量およびCO吸着量の関係をプロットした。また、図4に、多孔質担体の細孔直径、DETA担持量およびCO放出量の関係をプロットした。
【0039】
【表3】
【0040】
【表4】
【0041】
概ね多孔質担体の細孔直径が25nm以下である場合、そして、多孔質担体が無機酸化物である場合、DETA担持量が10wt%~30wt%である場合に、CO吸着量、放出量が良好であった。また、多孔質担体が活性炭である場合、DETA担持量が60wt%~80wt%である場合に良好なCO吸着特性を示した。
【0042】
(種々のアミンを担持させた二酸化炭素吸放出材の検証)
多孔質担体は上記のSBA-15*、活性炭(以下、ACとも記す)を用い、種々のアミンを担持させた二酸化炭素吸放出材を調製した。担持させたアミンを表5に示す。
【0043】
【表5】
【0044】
多孔質担体としてSBA-15*を用いた場合、アミンの担持量がいずれも50wt%となるようにし、上記と同じ方法でそれぞれの二酸化炭素吸放出材を調製した。また、多孔質担体として活性炭を用いた場合、アミンの担持量がいずれも70wt%となるようにし、上記と同じ方法でそれぞれの二酸化炭素吸放出材を調製した。以下、調製した二酸化炭素吸放出材について、XY/Zとして記し、Xがアミン種(略称)、Yがアミン担持量(wt%)、Zが多孔質担体を表す。一例として、アミンがジエチルトリアミン、アミン担持量が50wt%、多孔質担体がSBA-15*である二酸化炭素吸放出材は、DETA50/SBA-15*と記される。
【0045】
(二酸化炭素の吸着、放出特性の検証)
得られた二酸化炭素吸放出材について、熱重量測定システム(TGシステム)を用い、以下のようにして、二酸化炭素吸放出材のCO吸着量およびCO放出量を求めた。
【0046】
5mgの二酸化炭素吸放出材を熱重量測定装置のサンプルパンに充填した。そして、二酸化炭素吸放出材の重量減少がなくなるまで窒素(80℃)を導入して前処理を行った。次いで、30℃まで温度を下げた後、窒素で希釈して400ppmに調整した二酸化炭素(30℃)を400mL/分で導入し、二酸化炭素吸放出材に二酸化炭素を吸着させた。
【0047】
その後、二酸化炭素の導入を停止し、窒素を導入して二酸化炭素吸放出材から二酸化炭素を放出させた。窒素の導入温度は、段階的に30℃(60分)、40℃(90分)、50℃(90分)に昇温させて、二酸化炭素を放出させた。
【0048】
図5に、一例として、DETA50/SBA-15*のTG曲線を示す。二酸化炭素吸放出材の重量増からCO吸着量を、また、二酸化炭素吸放出材の重量減少を利用してCO放出量を求めた。
【0049】
多孔質担体がSBA-15*である各種二酸化炭素吸放出材のCO吸着量、及び、CO放出量を表6にそれぞれ示す。
【0050】
【表6】
【0051】
また、多孔質担体が活性炭である各種二酸化炭素吸放出材のCO吸着量、及び、CO放出量を表7にそれぞれ示す。
【0052】
【表7】
【0053】
アミン種によってCO吸着量に差があるものの、いずれの二酸化炭素吸放出材においても、二酸化炭素を吸着している。また、CO放出時に導入するNを昇温させるにつれ、吸着したCOをほぼ放出しており、吸着させた二酸化炭素の回収を低温で行い得ることを確認した。
【産業上の利用可能性】
【0054】
二酸化炭素吸放出材は、良好な二酸化炭素の吸着、放出特性を示すのでDACへの適用が期待できる。
図1
図2
図3
図4
図5