(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171368
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20241205BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20241205BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20241205BHJP
G06F 1/3215 20190101ALI20241205BHJP
G06F 1/3293 20190101ALI20241205BHJP
【FI】
H04N1/00 885
B41J29/38 104
G03G21/00 398
G03G21/00 396
G06F1/3215
G06F1/3293
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023088331
(22)【出願日】2023-05-30
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.macOS
2.BLUETOOTH
3.Bluーray Disc
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平野 祐樹
【テーマコード(参考)】
2C061
2H270
5B011
5C062
【Fターム(参考)】
2C061AP07
2C061HJ07
2C061HK11
2C061HK19
2C061HN04
2C061HN08
2C061HN15
2C061HQ19
2C061HT09
2H270KA59
2H270MG03
2H270MH19
2H270ZC03
2H270ZC04
2H270ZC06
2H270ZD06
5B011DA01
5B011EA10
5B011EB08
5B011HH06
5B011HH07
5B011LL11
5C062AA05
5C062AB17
5C062AB20
5C062AB22
5C062AB23
5C062AB38
5C062AB40
5C062AB42
5C062AB46
5C062AB49
5C062AC05
5C062AC15
5C062AC22
5C062AC34
5C062AC58
5C062AF12
(57)【要約】
【課題】従来の技術では、最も消費電力が少ない第1の電力消費状態から、第1の電力消費状態よりも消費電力が多い第2の電力消費状態へ移行する場合、移行要因によっては第2の電力状態への移行を無効にすることが可能な場合があるにもかかわらず、その点が考慮されていない、という課題がある。
【解決手段】情報処理装置2は、移行要因となるパケット情報に基づいて、省電力状態(S1)からコントローラ状態(S2)へ移行した後、省電力状態(S1)を含む他の電力消費状態へ移行するまでの消費電力量を移行要因ごとに算出し(ステップS26-1-2)、算出した移行要因ごとの消費電力量と、移行要因によるコントローラ状態(S2)への移行を無効にするための1以上のチェックボックスと、を含むネットワーク省エネ提案画面2111を操作パネル211に表示させる(ステップS26-1-5)。
【選択図】
図15
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも二つの電力消費状態を有する情報処理装置であって、
前記電力消費状態のうち、所定の移行要因に基づいて、最も消費電力が少ない第1の電力消費状態から前記第1の電力消費状態よりも消費電力が多い第2の電力消費状態へ移行した後、前記第1の電力消費状態を含む他の電力消費状態へ移行するまでの消費電力量を前記移行要因ごとに算出する算出手段と、
算出した前記所定の移行要因ごとの消費電力量と、前記所定の移行要因による前記第2の電力消費状態への移行を無効にするための1以上の選択部と、を含む画面を表示手段に表示させる表示制御手段と、
を有する、
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記移行要因は、当該情報処理装置により利用される1以上のネットワークプロトコルを機能させるためのパケットを含み、前記算出手段は、
前記第1の電力消費状態から前記第2の電力消費状態への移行時に、前記1以上のネットワークプロトコルのそれぞれの機能に係る消費電力量の算出を開始し、前記第2の電力消費状態から前記他の電力状態への移行時に前記消費電力量の算出を終了する、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記算出手段は、
前記第1の電力消費状態から前記第2の電力消費状態へ移行する間の第1の消費電力量、前記第2の電力省状態における第2の消費電力量、及び、前記第2の電力消費状態から前記第1の電力消費状態を含む前記他の電力消費状態へ移行するまでの第3の消費電力量を、前記移行要因ごとに算出する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記算出手段は、
前記第2の電力消費状態の累計時間に基づいて、前記1以上のネットワークプロトコルごとに前記消費電力量を算出する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記算出手段は、
前記1以上のネットワークプロトコルごとに算出された前記消費電力量の総量から一日換算の消費電力量を算出する、
ことを特徴とする請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記表示制御手段は、
前記ネットワークプロトコルごとに算出された前記一日換算の消費電力量と、前記第2の電力消費状態への移行を無効にしたことにより利用不可能となる前記1以上のネットワークプロトコルごとの機能と、を含む画面を前記表示手段に表示させる、
ことを特徴とする請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記表示制御手段は、
前記画面に含まれる前記一日換算の消費電力量のうち、前記消費電力量の大きい順に表示させる、
ことを特徴とする請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記表示制御手段は、
利用者が管理者権限を利用して当該情報処理装置にログインした場合、前記画面を前記表示手段に表示させる、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項9】
請求項1又は2に記載の情報処理装置であって、更に、
表示された前記画面に含まれる前記1以上の選択部に対して、前記選択部に対応付けられた前記移行要因に係る機能を無効にするための操作を受け付ける受付手段、を有する、
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項10】
少なくとも二つの電力消費状態を有する情報処理装置と、前記情報処理装置と通信ネットワークを介して通信可能な管理装置と、を有する情報処理システムであって、
前記情報処理装置は、
前記電力消費状態のうち、所定の移行要因に基づいて、最も消費電力が少ない第1の電力消費状態から前記第1の電力消費状態よりも消費電力が多い第2の電力消費状態へ移行した後、前記第1の電力消費状態を含む他の電力消費状態へ移行するまでの消費電力量を前記移行要因ごとに算出する算出手段と、
算出した前記所定の移行要因ごとの前記消費電力量に係る消費電力量情報を前記管理装置に対して送信する送信手段と、
を有し、
前記管理装置は、
前記情報処理装置が送信した前記消費電力量情報を受信する受信手段と、
受信した前記消費電力量情報で示される消費電力量と、前記所定の移行要因による前記第2の電力消費状態への移行を無効にするための1以上の選択部と、を含む画面情報を生成する生成手段と、
生成した前記画面情報を前記情報処理装置に対して送信する送信手段と、
を有する、
ことを特徴とする情報処理システム。
【請求項11】
少なくとも二つの電力消費状態を有する情報処理装置が実行する情報処理方法であって、
前記電力消費状態のうち、所定の移行要因に基づいて、最も消費電力が少ない第1の電力消費状態から前記第1の電力消費状態よりも消費電力が多い第2の電力消費状態へ移行した後、前記第1の電力消費状態を含む他の電力消費状態へ移行するまでの消費電力量を前記移行要因ごとに算出する算出ステップと、
算出した前記所定の移行要因ごとの消費電力量と、前記所定の移行要因による前記第2の電力消費状態への移行を無効にするための1以上の選択部と、を含む画面を表示手段に表示させる表示制御ステップと、
を含む処理を実行する、
ことを特徴とする情報処理方法。
【請求項12】
少なくとも二つの電力消費状態を有する情報処理装置に、
前記電力消費状態のうち、所定の移行要因に基づいて、最も消費電力が少ない第1の電力消費状態から前記第1の電力消費状態よりも消費電力が多い第2の電力消費状態へ移行した後、前記第1の電力消費状態を含む他の電力消費状態へ移行するまでの消費電力量を前記移行要因ごとに算出する算出ステップと、
算出した前記所定の移行要因ごとの消費電力量と、前記所定の移行要因による前記第2の電力消費状態への移行を無効にするための1以上の選択部と、を含む画面を表示手段に表示させる表示制御ステップと、
を含む処理を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、装置に対する操作や装置の信号受信等が無い状態が一定時間継続した場合に、装置の消費電力を低下させて省電力化を図る技術が知られている。
【0003】
例えば、省電力状態を適切に維持することを目的として、サブシステムとメインシステムを備える通信装置(MFP)において、省電力状態を維持することを目的に、自動応答情報を用いて、特定の受信パケットを受信した場合には、メインシステムを復帰させずにサブシステムで代理応答する技術が知られている(特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術では、最も消費電力が少ない第1の電力消費状態から、第1の電力消費状態よりも消費電力が多い第2の電力消費状態へ移行する場合、移行要因によっては第2の電力状態への移行を無効にすることが可能な場合があるにもかかわらず、その点が考慮されていない、という課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、請求項1に係る発明は、少なくとも二つの電力消費状態を有する情報処理装置であって、前記電力消費状態のうち、所定の移行要因に基づいて、最も消費電力が少ない第1の電力消費状態から前記第1の電力消費状態よりも消費電力が多い第2の電力消費状態へ移行した後、前記第1の電力消費状態を含む他の電力消費状態へ移行するまでの消費電力量を前記移行要因ごとに算出する算出手段と、算出した前記所定の移行要因ごとの消費電力量と、前記所定の移行要因による前記第2の電力消費状態への移行を無効にするための1以上の選択部と、を含む画面を表示手段に表示させる表示制御手段と、を有する、ことを特徴とする情報処理装置を提供する。
【発明の効果】
【0006】
以上説明したように本発明によれば、最も消費電力が少ない第1の電力消費状態から、第1の電力消費状態よりも消費電力が多い第2の電力消費状態へ移行する場合、移行要因に応じて第2の電力状態への移行を無効にすることが可能になる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1の実施形態に係る情報処理装置の全体構成の一例を示す図である。
【
図4】情報処理装置のハードウエア構成の一例を示す図である。
【
図5】第1の実施形態に係る情報処理装置の機能構成の一例を示す図である。
【
図6】情報処理装置の省エネ提案モジュールの一例を示す概念図である。
【
図7】自動応答情報管理テーブルの一例を示す概念図である。
【
図8】要因別移行合計時間管理テーブルの一例を示す概念図である。
【
図9】代理通信制御情報管理テーブルの一例を示す概念図である。
【
図10】情報処理装置におけるデータ登録処理の一例を示すシーケンス図である。
【
図11】情報処理装置における受信パケットのフィルタリング処理、要因別移行合計時間計測処理、省エネ移行提案処理を含む処理の一例を示すシーケンス図である。
【
図12】受信パケットのフィルタリング処理の一例を示すフローチャートである。
【
図13】要因別移行合計時間計測処理の一例を示すフローチャートである。
【
図14】省エネ移行提案処理の一例を示すフローチャートである。
【
図15】情報処理装置におけるネットワーク省エネ提案画面の一例を示す図である。
【
図16】省エネ移行提案処理の他の一例を示すフローチャートである。
【
図17】情報処理装置におけるログイン画面の一例を示す図である。
【
図18】第2の実施形態に係る情報処理システムの全体構成の一例を示す図である。
【
図19】管理サーバのハードウエア構成の一例を示す図である。
【
図20】第2の実施形態に係る情報処理システムの機能構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を用いて、発明を実施するための形態について説明する。なお、図面の説明において同一要素には同一符号を付し、重複する部分があればその説明を省略する。
【0009】
〔第1の実施形態〕
〔情報処理装置の全体構成〕
図1は、第1の実施形態に係る情報処理装置の全体構成の一例を示す図である。
図1に示されているように、情報処理装置2は、メインシステムCPUを含むメインシステム230と、サブシステムCPU、メモリ、パケット受信モジュールを含むサブシステム240と、を有する。また、情報処理装置2は、少なくとも二つの電力消費状態を有する。電力消費状態についての詳細については後述する。なお、情報処理装置2のサブシステム240は、通信ネットワーク100を介して接続された装置、通信端末等から所定の通信パケット(フレーム)を受信して通信を行うパケット通信機能を備えている。なお、メインシステム230及びサブシステム240に係るハードウエア構成及び機能構成の詳細については後述する。なお、本実施形態においては以降、「通信パケット(フレーム)」を便宜上「パケット」と記載することもある。
【0010】
<情報処理装置>
情報処理装置2は、少なくとも二つの電力消費状態を有する。情報処理装置2は、例えば、一般的に使用されてるMFP(Multifunction Peripheral/Product/Printer)であり、ユーザによってさまざまな設定を受け付ける操作パネル、読み取った原稿又は入力した入力画像データに基づいて印刷媒体上に画像を形成する。
【0011】
本実施形態では、情報処理装置2としてMFPを例示しているが、電力モードが異なるモードに遷移可能であり、ネットワークプロトコルの受信によって省電力状態が遷移(移行)する装置であれば特に制限はされない。例えば、PC等のネットワークサーバ装置に対しても適用が可能である。
【0012】
<消費電力の状態遷移>
続いて、消費電力の状態遷移について説明する。
図2は、消費電力の状態遷移の一例を示す図である。
【0013】
まず、「START」と記された電源オフ状態から電源が投入(電源オン)されると、情報処理装置2は、単位時間当たりの消費電力が最も多い通常消費電力状態(S3)に遷移する。
【0014】
通常消費電力状態(S3)では、ユーザが情報処理装置2に設けられた操作パネルを操作できるように、操作パネル電源はオン状態となる。また、印刷機能、コピー機能等を直ちに実行できるように、エンジン210もオン状態となる。またメインシステムを動作させるためのコントローラ電源もオン状態となり、サブシステムも受信パケットをメインシステムに転送するため電源はオン状態となる。この通常消費電力状態(S3)における合計消費電力は一番目に多い状態となっている。一例として、通常消費電力状態(S3)での1秒当たりの消費電力を平均40[W/s]とする。このときに電源をオフにすれば、情報処理装置2は電源オフ状態に遷移する。
【0015】
通常消費電力状態(S3)から、ユーザが操作パネルの省エネ移行ボタンを押下した場合、或いは一定時間ユーザ操作が無い場合、情報処理装置2は、利用しない機能をオフにしてコントローラのみが動作状態であるコントローラ状態(S2)に遷移する。なお、コントローラ状態(S2)における単位時間当たりの消費電力は、上述した通常消費電力状態(S3)よりも少ないことを前提とする。
【0016】
コントローラ状態(S2)では、ユーザが操作パネルに対する操作を行わないため操作パネル電源は休止状態となる。また印刷機能、コピー機能等を直ちに実行する必要はないため、エンジン210はオフ状態となる。更に、メインシステムを動作させるためのコントローラ電源はオン状態となり、サブシステムも受信パケットをメインシステムに転送するため電源はオン状態となる。このコントローラ状態(S2)における合計消費電力は二番目に多い状態となっている。一例として、コントローラ状態(S2)での1秒当たりの消費電力を平均5.4[W/s]とする。このときに電源をオフにすれば、情報処理装置2は電源オフ状態に遷移する。
【0017】
コントローラ状態(S2)において、操作パネルへの操作、印刷等のユーザ操作要因を検知すると、情報処理装置2は、操作パネル電源をオンにしたり、エンジン210をオンにしたりして通常消費電力状態(S3)に遷移する。また、単位時間当たりの消費電力がコントローラ状態(S2)よりも少ない省電力状態(S1)に移行が可能な状態(操作パネルへの操作がない状態、印刷機能等が実行されていない状態等)であり、且つ、一定時間ユーザ操作がない場合、情報処理装置2は、省電力状態(S1)に遷移する。より詳細には、情報処理装置2は、省電力状態(S1)からコントローラ状態(S2)に移行するために必要な情報をメインシステムのメインメモリに格納し、メモリにのみ通電して省電力状態(S1)に遷移する。
【0018】
省電力状態(S1)では、操作パネル電源は休止状態となる。またエンジン210はオフ状態となり、コントローラ電源はメモリにのみ通電している状態となる。サブシステム側では、移行要因となるパケットの判別、パケットの自動応答、パケットの破棄等を実行するために電源はオン状態となる。このとき、多くの電力を消費するメインコントローラ側が休止状態となっているため、情報処理装置2の合計消費電力は最も少ない状態となっている。一例として、省電力状態(S1)での1秒当たりの消費電力を平均0.6[W/s]とする。このときに電源をオフにすれば、情報処理装置2は電源オフ状態に遷移する。
【0019】
省電力状態(S1)では、操作パネルへの操作、印刷等のユーザ操作要因を検知すると、情報処理装置2は、操作パネル電源をオンにしたり、エンジン210をオンにしたりして通常消費電力状態(S3)に遷移する。また、省電力状態(S1)でネットワークパケットによる移行要因を検知すると、情報処理装置2は、メインシステム側でそのネットワークパケットの処理を実行するため、省電力状態(S1)よりも単位時間当たりの消費電力が多く、通常消費電力状態(S3)よりも単位時間当たりの消費電力が少ないコントローラ状態(S2)に遷移する。
【0020】
情報処理装置2は通信ネットワークに接続され、オフィス環境等においては長時間電源オン状態で運用される場面もある。そこで、本実施形態では、ユーザが情報処理装置2を利用しない時間帯等において、ネットワークパケットによる移行処理を極力少なくし、省電力状態(S1)を維持して装置全体の省電力化を実現する情報処理装置2を提供する。
【0021】
<消費電力量の遷移>
次に、消費電力量の遷移について説明する。
図3は、消費電力量の遷移の一例を示す図である。
図3は、
図2に示した消費電力の状態遷移図を時間及び消費電力の視点で表した一例である。
【0022】
時間軸における時刻0の時点では、情報処理装置2は、第1の電力消費状態の一例を示す省電力状態(S1)で平均0.6[W]の消費電力となっている。
【0023】
時刻0から時刻(1)までは、情報処理装置2は、省電力状態(S1)を維持する。
【0024】
時刻(1)では、情報処理装置2は、例えば、移行要因となるBonjourのネットワークパケットを受信し、第2の電力消費状態の一例を示すコントローラ状態(S2)に遷移する。情報処理装置2は、このとき0.6[W]×時刻(1)(薄いグレーの長方形の面積)が時刻(1)までに消費した電力となる。
【0025】
時刻(1)から時刻(2)までの間はコントローラ状態(S2)を示しており、ユーザ操作等が発生せず所定の時間が経過した後の時刻(2)で、再び省電力状態(S1)に遷移する。このときの時刻(1)から時刻(2)までの間の格子部分がコントローラ状態(S2)となり、この例では平均5.4[W]の消費電力となっている。
【0026】
本実施形態では、省電力状態(S1)からコントローラ状態(S2)に移行した時刻(1)からユーザ操作等が発生せず規定時間が経過した時刻(2)までの時間を記録し、以下の(式1)
【0027】
【0028】
すなわち、格子部分の長方形の面積で求められる電力量を、省エネ復帰要因パケットの機能を無効化していれば省エネを維持できていた電力量と捉える。ネットワーク環境で授受されているパケットの種類、量、確率などはネットワーク環境により異なる。そのため、どのネットワークプロトコル機能を無効にすれば省エネ効果が大きいかは、ネットワーク環境により異なる。
【0029】
続いて、時刻(2)から時刻(3)の間は省電力状態(S1)を示している。なお、各時刻における状態遷移の変化部分(立上り及び立下り)の各三角形は、実際の情報処理装置2における状態遷移の時間的な変化を模式的に示したものである。そのため、時間T1は、
図3に示したように、時刻(1)の立上り開始から時刻(2)の立下り終了までの時間を含むようにしてもよい。一方、時間T2は、時刻(3)の立上り開始から時刻(4)の立上り開始までの時間を含むようにしてもよい。
【0030】
時刻(3)では、情報処理装置2は、再び移行要因となるBonjour等のネットワークパケットを受信し、コントローラ状態に遷移する。
【0031】
時刻(4)では、操作パネルへの操作等のユーザ操作、印刷機能等の通常消費電力状態(S3)への移行トリガが発生する。このとき、時刻(3)から時刻(4)までの時間を記録し、以下の(式2)
【0032】
【0033】
すなわち、格子部分の長方形の面積で求められる電力量を、省エネ復帰要因パケットの機能を無効化していれば省エネを維持できていた電力量と捉える。
【0034】
続いて、時刻(4)から時刻(5)の間は通常消費電力状態 (S3)を示している。この例では、平均40[W]の消費電力となっている。一定時間ユーザ操作等が発生せず時刻(5)でコントローラ状態(S2)に遷移が開始する。
【0035】
時刻(5)から時刻(6)の間はコントローラ状態(S2)を示している。この例では、ユーザ操作等が発生せず、規定時間が経過した時刻(6)の時点で再び省電力状態(S1)に遷移する。
【0036】
本実施形態では、
図3の格子部分の長方形の合計面積(又は合計時間)を日付ごと等の単位時間ごとにネットワークプロトコルの種類ごとに計測する。これにより、特定のネットワークプロトコルを無効にすることにより、一日当たりどの程度消費電力量を低下させることができるかを算出することが可能になる。
【0037】
●用語について●
本実施形態における「電力消費状態」とは、情報処理装置2における消費電力(電力量)の段階をいう。情報処理装置2では、電力消費(電力量)の段階として、例えば、消費電力が最も小さい「省電力状態」が存在し、「省電力状態」は第1の消費電力状態の一例である。また、情報処理装置2では、「省電力状態」よりも消費電力が大きい「コントローラ状態」が存在し、「コントローラ状態」は第2の消費電力状態の一例である。情報処理装置2では更に、「コントローラ状態」よりも消費電力が大きい「通常消費電力状態」が存在し、「通常消費電力状態」は他の消費電力状態(第3の消費電力状態)の一例である。
【0038】
また、本実施形態における「移行」とは、複数の電力消費状態間の「遷移」、及び「省電力状態」から「コントローラ状態」への「復帰」、を含む。
【0039】
〔ハードウエア構成〕
続いて、
図4を用いて、第1の実施形態に係る情報処理装置のハードウエア構成について説明する。なお、
図4に示されている装置又は通信端末のハードウエア構成は、必要に応じて構成要素が追加又は削除されてもよい。
【0040】
<情報処理装置のハードウエア構成>
図4は、情報処理装置のハードウエア構成の一例を示す図である。
図4に示されているように、情報処理装置2は、例えばMFP(Multi-Function Peripheral)である。情報処理装置2は、エンジン210及びコントローラ220を含む。エンジン210及びコントローラ220は、エンジンI/F215を介して接続されている。コントローラ220には、メインCPU2301及びサブCPU2401が配置されている。メインCPU2301は、メインシステムにおいて動作するCPUである。サブCPU2401は、サブシステムにおいて動作するCPUである。メインCPU2301とサブCPU2401とは、内部バス(図中の矢印)を介して互いに接続されている。
【0041】
メインシステム230は、通常消費電力状態(S3)において情報処理装置2を制御するハードウエア群である。サブシステム240は、省電力状態(S1)において情報処理装置2を制御するハードウエア群である。
【0042】
省電力状態(S1)とは、上述したように、無操作状態の継続等により、消費電力を低減するためにサブシステム240のみに電力が供給される状態をいう。また省電力状態(S1)とは、メインシステム230及びエンジン210への電力供給が削減される状態をいう。省電力状態(S1)は、一般的に、省電力モード、省エネモード、又は最小電力状態等とも呼ばれる。通常消費電力状態(S3)は、省電力状態(S1)及び上述したコントローラ状態(S2)以外の電力消費状態である。すなわち、通常消費電力状態(S3)は、メインシステム230、サブシステム240、及びエンジン210に対する電力供給が制限されない状態である。
【0043】
エンジン210は、操作パネル211、スキャナ212、プリンタ213、及びFCU(Facsimile Control Unit)214等を含む。本実施形態において操作パネル211は、液晶パネル等で構成される表示手段の一例である。また操作パネル211は、ハードウエアキー等を含む入力手段の一例である。スキャナ212は、原稿をスキャンし、スキャンされた画像データをエンジンI/F215を介してASIC2304に入力する。プリンタ213は、エンジンI/F215を介してASIC2304より入力される画像データを印刷用紙に印刷する。FCU214は、一般的な公衆回線を介してファクシミリ送受信を行う。
【0044】
メインシステム230において、メインCPU2301は、ROM2302、RAM2303、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)2304、PHYチップ2305,2306と内部バスを介して接続されている。またメインCPU2301は、ROM2302に記録され、RAM2303にロードされたプログラムに基づいて情報処理装置2全体の機能を制御する。ASIC2304は、主として画像処理を実行する。ASIC2304は、HDD(Hard Disk Drive)2307及びエンジンI/F215と内部バスを介して接続されている。PHYチップ2305,2306は、メインCPU2301からの論理信号を電気信号に変換し、当該電気信号をエンジンI/F215に入力する。PHYチップ2305,2306は、メインCPU2301からの論理信号を電気信号に変換しハブ2308に入力する。ハブ2308は、USBI/F2309及びエンジンI/F215と内部バスを介して接続されている。USBI/F2309は、USB接続のためのハードウエアインタフェースである。なお、PHYチップ2305,2306は、一つのチップで構成されていてもよい。
【0045】
サブシステム240において、サブCPU2401は、ROM2402、RAM2403、PHYチップ2404、及びUSBI/F2405と内部バスを介して接続されている。サブCPU2401は、ROM2402に記録され、RAM2403にロードされたプログラムに基づいて、省電力状態における情報処理装置2の動作(主として、通信処理)を制御する。PHYチップ2404は、サブCPU2401からの論理信号を電気信号に変換し、当該電気信号をネットワークI/F2406に入力する。ネットワークI/F2406は、例えば、LAN(Local Area Network)等のネットワークに接続するためのハードウエアであり、ネットワーク通信における物理層の機能を実現する。
【0046】
なお、上記プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルで、コンピュータで読取り可能な印刷媒体に記録、又はネットワークを介してダウンロードを行い流通させるようにしてもよい。印刷媒体の例として、CD-R(Compact Disc Recordable)、DVD(Digital Versatile Disk)、Blu-ray Disc(Blu-rayは登録商標。以下省略)、SDカード、USBメモリ等が挙げられる。また、印刷媒体は、プログラム製品(Program Product)として、国内又は国外へ提供されることができる。例えば、情報処理装置2は、本発明に係るプログラムが実行されることで、本発明に係る情報処理方法を実現する。
【0047】
〔機能構成〕
次に、
図5乃至
図9を用いて、本実施形態の機能構成について説明する。
図5は、第1の実施形態に係る情報処理装置の機能構成の一例を示す図である。なお、
図5は、
図1に示されている情報処理装置のうち、後述する処理又は動作に関連するものを示す。
【0048】
<情報処理装置の機能構成>
まず、
図5を用いて、情報処理装置2の機能構成について説明する。
図5に示されているように、情報処理装置2におけるメインシステム230は、アプリケーション231、通信制御モジュール232、サブシステム設定モジュール233、状態管理モジュール234、パケット監視モジュール235、サブシステムI/Fモジュール236及び省エネ提案モジュール237を含む各機能モジュール又は各プログラムモジュールを有する。
【0049】
これら各機能モジュール又は各プログラムモジュールは、ROM2302に記録され、RAM2303にロードされる。RAM2303にロードされた各プログラムモジュールは、それぞれに実装された処理手順をメインCPU2301に実行させることによりそれぞれの機能を実現する。また、メインシステム230は、
図4に示されているROM2302及びHDD2307のうち少なくとも一つにより構築されるメイン記憶部を有している。
【0050】
<メインシステムの機能構成>
通信制御モジュール232は、ネットワーク通信の制御機能をアプリケーションに提供するプログラムである。通信制御モジュール232は、プロトコル(アプリケーション層のプロトコル)ごとに存在する。例えば、SNMP(Simple Network Management Protocol)、Bonjourプロトコル、WSD(Web Services on Devices)プロトコルごとに、各通信プロトコルに応じた処理を実行するための通信制御モジュールが存在する。なお、情報処理装置2に対して、通信制御モジュール232を任意にインストール(追加)又はアンインストール(削除)することが可能である。
【0051】
サブシステム設定モジュール233は、各通信制御モジュールより自動応答情報を収集し、収集された自動応答情報を含む代理通信制御情報をサブシステムI/Fモジュール236を介してサブシステム240に設定する。自動応答情報は、省電力状態において、通信制御モジュール232に代わってサブシステム240に応答を実行させる受信データ(受信パケット)を特定するための条件、サブシステム240による応答に含めるデータ(応答データ)等を含む情報である。本実施形態において、省電力状態(S1)におけるサブシステム240による代理応答を「自動応答」ともいう。各通信制御モジュール232より収集される自動応答情報は、通信制御モジュール232ごとに固有の値を有する。なお、自動応答情報には特定の受信データ(受信パケット)のみに応じてメインシステム230を復帰させる場合はその情報も含まれてもよい。例えば、受信データ(受信パケット)で所定のマルチキャストアドレスが宛先のときにメインシステム230を復帰させるといった場合は、マルチキャストアドレスの一覧がその情報に対応する。
【0052】
また、自動応答情報にはメインシステム230を復帰させる通信プロトコルの機能が無効になっているときに、メインシステム230を復帰させずにそのパケットを無視するための情報も含まれてよい。この情報により、パケットの機能の無効化が可能かを判断する。この場合、自動応答の対象でもメインシステム230の復帰要因の対象でもないパケットは無視される。上述した自動応答情報を管理する自動応答情報管理DB2311の詳細については、後述する。
【0053】
また、無効にすることが可能なメインシステム230を復帰させる通信プロトコルを制御する通信制御モジュール232は、要因別移行合計時間を最新の特定の期間分について記録して保持している。この要因別移行合計時間は、その通信プロトコルが有効なため省電力状態(S1)からコントローラ状態(S2)に移行したとき、その通信プロトコルを無効にしていれば省電力状態(S1)を維持できていたであろうと予測される時間を表している。通信制御モジュール232は更に、移行要因を示すパケットの種類を特定し、特定した種類ごとに与えられた機能に対して省電力状態(S1)からコントローラ状態(S2)への移行の無効化可否を判定する。本実施形態において通信制御モジュール232は、判定手段の一例として機能する。
【0054】
要因別移行合計時間は、例えば、移行要因となるmDNS(Bonjour)機能が有効のため、mDNS(Bonjour)パケットをメインシステム230が受け取って移行してから次の省電力状態への移行までに要した時間となる。要因別移行合計時間はまた、mDNS(Bonjour)パケットをメインシステム230が受け取って移行してから印刷ジョブ、パネルタッチ等のユーザ操作により省エネ移行が妨げられるまでに要した時間となる。なお、情報処理装置2は、得られた要因別移行合計時間を特定の期間(例えば7日間)計測すると、1日当たりに換算した要因別移行平均時間を求めることも可能である。上述した要因別移行合計時間に関連付けられた時間を管理する要因別移行合計時間管理DB2312については、後述する。
【0055】
なお、通信制御モジュール232は、後述する自動応答情報管理DB2311及び要因別移行合計時間管理DB2312に対する各設定値の記憶、読出しを行う機能を有する。
【0056】
状態管理モジュール234は、例えば、省電力状態(S1)への移行判断、省電力状態(S1)への移行処理、省電力状態(S1)からの移行処理を行う。また、状態管理モジュール234は、例えば、情報処理装置2に対する無操作状態が所定時間継続したことを検知すると、省電力状態へ移行すべきことを判断する。状態管理モジュール234は、その判断に応じて各通信制御モジュール232やその他のモジュールに対して、省電力状態への移行可否の問合せを行う。
【0057】
パケット監視モジュール235は、通信ネットワークを介して情報処理装置2に受信される受信データ(受信パケット)を監視し、自動応答情報に含まれる条件に合致する受信データの受信回数を自動応答情報ごとに計数する(カウントする)。
【0058】
サブシステムI/Fモジュール236は、サブシステム240と通信するためのインタフェースを提供する。
【0059】
省エネ提案モジュール237は、各通信制御モジュール232から各要因別移行合計時間を取得し、該当する通信プロトコルを無効にすることにより、1日あたりどれだけ省電力を維持できるか、無効にすることによりどのような機能が使うことができなくなるかをユーザに提案し、該当する通信プロトコルを無効にするためのUI(User Interface)を提供する。
【0060】
<<省エネ提案モジュールの機能構成>>
ここで、省エネ提案モジュール237の機能構成について説明する。
図6は、情報処理装置の省エネ提案モジュールの一例を示す概念図である。省エネ提案モジュール237は、各通信制御モジュール232から各要因別移行合計時間を取得し、対応する通信プロトコルを無効にする。これにより、省エネ提案モジュール237は、1日あたりどれだけ省電力を維持できるか、無効にすることによりどのような機能が使うことができなくなるかをユーザに提案し、対応する通信プロトコルを無効にするためのUIを提供する。
【0061】
また、省エネ提案モジュール237は、要因別移行時間取得部237-1、通信プロトコル設定変更部237-2、表示内容制御部237-3、UI表示部237-4で構成されている。
【0062】
これらのうち、要因別移行時間取得部237-1は、通信制御モジュール232経由で要因別移行合計時間を取得する。
【0063】
通信プロトコル設定変更部237-2は、現在の通信プロトコルの有効/無効の設定を取得し、ユーザが選択した有効/無効の設定に応じて設定変更を行う。
【0064】
表示内容制御部237-3は、電力消費状態のうち、省エネ復帰要因パケット(受信パケット、所定の移行要因の一例)に基づいて、最も消費電力が少ない省電力状態(S1)(第1の電力消費状態の一例)から省電力状態(S1)よりも消費電力が多いコントローラ状態(S2)(第2の電力消費状態の一例)へ移行した後、省電力状態(S1)を含む他の電力消費状態へ移行するまでの消費電力量を、コントローラ状態(S2)へ移行した移行要因ごとに算出する。具体的には、表示内容制御部237-3は、現在有効になっており無効化することにより省エネ効果が期待できるネットワークプロトコルの中から、要因別移行時間取得部237-1から取得した時間からその機能を無効にすることにより単位期間当たりの省エネ効果量を算出(計算)する。また表示内容制御部237-3は、省電力状態(S1)からコントローラ状態(S2)への移行時に、1以上のネットワークプロトコルのそれぞれの機能に係る消費電力量の算出を開始し、コントローラ状態(S2)から他の電力状態への移行時に消費電力量の算出を終了する。また表示内容制御部237-3は、省電力状態(S1)からコントローラ状態(S2)へ移行する間の第1の消費電力量、コントローラ状態(S2)における第2の消費電力量及び、コントローラ状態(S2)から省電力状態(S1)を含む他の電力消費状態(通常消費電力状態(S3))へ移行するまでの第3の消費電力量を、移行要因ごとに算出する。
【0065】
ここで、第1の消費電力量とは、省電力状態(S1)における消費電力量(
図3の遷移図中の灰色長方形の面積で示される消費電力量)をいう。また第2の消費電力量とは、コントローラ状態(S2)における消費電力量(
図3の遷移図中の時間(1)から(3)の間の縦横格子台形の面積で示される消費電力量及び時間(3)から(4)の間の縦横格子台形の面積で示される消費電力量)をいう。また第3の消費電力量とは、通常消費電力状態(S3)における消費電力量(
図3の遷移図中の時間(4)から(6)の間の斜め格子台形の面積で示される消費電力量)をいう。つまり、第3の消費電力量は、他の電力消費状態(例えば、通常消費電力状態(S3))において消費される消費電力量ともいう。また表示内容制御部237-3は、第2の電力消費状態の累計時間に基づいて、1以上のネットワークプロトコルごとに消費電力量を算出する。また表示内容制御部237-3は、1以上のネットワークプロトコルごとに算出された消費電力量の総量から一日換算の消費電力量を算出する。表示内容制御部237-3は更に、通信制御モジュール232により無効化が可能と判定された場合に、算出した移行要因ごとの消費電力量をリセットする。なお移行要因は、情報処理装置2により利用される1以上のネットワークプロトコルを機能させるためのパケットを含む。本実施形態において表示内容制御部237-3は、算出手段の一例として機能する。
【0066】
また表示内容制御部237-3は、算出した所定の移行要因ごとの消費電力量と、移行要因による第2の電力消費状態への移行を無効にするための1以上のチェックボックス(選択部の一例)と、を含む画面を操作パネル211(表示手段の一例)に表示させる。具体的には、表示内容制御部237-3は、算出した省エネ効果量のうち、ある閾値以上の省エネ効果量が見込めるネットワークプロトコルについて、UI表示部237-4を介して省エネ提案(省電力提案)を含む画面を操作パネル211に表示させる。また、表示内容制御部237-3は、ネットワークプロトコルごとに算出された一日換算の消費電力量と、第2の電力消費状態への移行を無効にしたことにより利用不可能となる1以上のネットワークプロトコルごとの機能と、を含む画面を表示手段に表示させる。また表示内容制御部237-3は、画面に含まれる一日換算の消費電力量のうち、消費電力量(省エネ効果量)の大きい順に表示させる。表示内容制御部237-3は更に、利用者が管理者権限を利用して当該情報処理装置2にログインした場合、省エネ提案(省電力提案)を含む画面を操作パネル211に表示させる。本実施形態において表示内容制御部237-3は、表示制御手段の一例として機能する。
【0067】
UI表示部237-4は、省エネ提案を実施するためのUI、そのUIを表示するためのバナー等を操作パネル211に表示する。省エネ提案を実施するためのUIには、移行要因となる現在有効になっている無効化可能なネットワークプロトコルの有効/無効を変更するためのチェックボックス等のコンポーネントと、そのネットワークプロトコルを無効化することによる省エネ効果量を示す文章と、無効化することにより利用できなくなる機能を示す文章と、を含む情報が含まれる。本実施形態においてUI表示部237-4は、表示制御手段の一例として機能する。
【0068】
また、UI表示部237-4は、操作パネル211に含まれる1以上のチェックボックス対して、チェックボックスに対応付けられた移行要因に係る機能を無効にするための操作を受け付ける。本実施形態においてUI表示部237-4は、受付手段の一例として機能する。なお、無効にするための操作を受け付ける機能は、上述した表示内容制御部237-3により実行される機能であってもよい。
【0069】
上述した
図5において、各プログラムモジュール間の接続数は、それぞれ接続されるモジュール間の多重度を表し、メインシステム230においては、通信制御モジュール232が0~複数存在する。また、一つの通信制御モジュール232は、0~複数の自動応答情報を有することが可能である。また、一つの通信制御モジュール232は、同じ通信プロトコルによって通信を行う複数のアプリケーションから利用され得る。
【0070】
●自動応答情報管理テーブル●
図7は、自動応答情報管理テーブルの一例を示す概念図である。なお、以下に説明するデータテーブルは一例であり、これに限るものではない。メイン記憶部には、
図7に示されているような自動応答情報管理テーブルによって構成された自動応答情報管理DB2311が構築されている。自動応答情報管理テーブルでは、プロトコルIDごとに、関連するプロトコル名、機能、無効化可否、現在の有効/無効設定、自動応答情報の各項目が関連付けられて記憶、管理されている。
【0071】
これらのうち、プロトコルIDは、通信プロトコルを識別するための識別情報である。関連するプロトコル名は、印刷機能を有する「Bonjour」、機器検索機能を有する「SSDP」、状態確認機能を有する「SNMP」、印刷機能を有する「TCP/IP」等である。無効化可否は、対応するプロトコルを無効化することを可能にするか否かを設定する。現在の有効/無効設定は、対応するプロトコルの有効又は無効の状態を表す。なお、無効化可否の設定で無効化不可が設定された場合、現在の有効/無効設定は常に有効となる(無効にならない)。自動応答情報は、自動応答可否についての情報が管理され、例えば、「自動応答不可」(サブシステムで応答が出来ずメインシステムで応答が必要であること)、「自動応答可」(サブシステムで応答が可能であること)などで管理される。
【0072】
本実施形態において自動応答情報管理テーブル(自動 応答情報管理DB2311)は、自動応答情報管理手段の一例として機能する。
【0073】
●要因別移行合計時間管理テーブル●
図8は、要因別移行合計時間管理テーブルの一例を示す概念図である。なお、以下に説明するデータテーブルは一例であり、これに限るものではない。メイン記憶部には、
図8に示されているような要因別移行合計時間管理テーブルによって構成された要因別移行合計時間管理DB2312が構築されている。要因別移行合計時間管理テーブルでは、プロトコルIDごとに、機能、コントローラ状態開始日時、コントローラ状態終了日時、コントローラ状態累計滞在時間の各項目が関連付けられて記憶、管理されている。
【0074】
これらのうち、コントローラ状態開始日時は、省電力状態(S1)からコントローラ状態(S2)に移行した日時を表す。コントローラ状態終了日時は、コントローラ状態(S2)から省電力状態(S1)又は通常消費電力状態(S3)に移行した日時を表す。コントローラ状態累計滞在時間は、コントローラ状態(S2)が継続された時間を表し、コントローラ状態終了日時からコントローラ状態開始日時を引いた情報である。本実施形態においてコントローラ状態累計滞在時間は、約30[s]程度の時間である。
【0075】
本実施形態において要因別移行合計時間管理テーブル(要因別移行合計時間管理DB2312)は、要因別移行合計時間管理手段の一例として機能する。
【0076】
<サブシステムの機能構成>
図5に戻り、サブシステム240は、メインシステム通信モジュール241、自動応答条件判定モジュール242、及び自動応答モジュール243を含む各機能モジュール又は各プログラムモジュールを有する。
【0077】
これら各機能モジュール又は各プログラムモジュールは、ROM2402に記録され、RAM2403にロードされる。RAM2403にロードされた各プログラムモジュールは、それぞれに実装された処理手順をサブCPU2401に実行させることによりそれぞれの機能を実現する。また、サブシステム240は、
図4に示されているROM2402により構築されるサブ記憶部を有している。
【0078】
メインシステム通信モジュール241は、メインシステム230からの情報の受信、メインシステム230への要求の送信等を行う。メインシステム230から受信される情報の一例としては、代理通信制御情報が挙げられる。また、メインシステム230への要求の一例としては、メインシステム230の移行要求が挙げられる。またメインシステム通信モジュール241は、表示内容制御部237-3によって算出された移行要因ごとの消費電力量を管理サーバ3に対して送信する。
【0079】
自動応答条件判定モジュール242は、メインシステム230より設定された代理通信制御情報に含まれている自動応答情報に基づいて、パケットの種類を特定するパケット解析を行う。自動応答条件判定モジュール242は、パケット解析を行った後、受信パケットに対して自動応答すべきか、又はメインシステムに応答させるべきだが現在はその機能が無効になっているため無視すべきか、又はメインシステムに応答させるべきか等を判定する。但し、自動応答条件判定モジュール242は、上述したいずれの判定条件にも合致しない場合は、該当するパケットを無視してもよい。なお、自動応答条件判定モジュール242は、後述する代理通信制御情報管理DB2411に対する各設定値の記憶、読出しを行う記憶読出手段の一例として機能する。
【0080】
自動応答モジュール243は、自動応答条件判定モジュール242によって自動応答すべきであると判定された場合に、自動応答情報に基づいて受信パケットに対する自動応答を行う。なお、自動応答モジュール243は、
図4に示したネットワークI/F2406を介して各種パケットを受信する受信手段の一例として機能する。
【0081】
代理通信制御情報は、自動応答の制御、メインシステム230の復帰の必要性の判断等のためにサブシステム240によって利用される情報である。上述した代理通信制御情報に関連付けられた情報を管理する代理通信制御情報管理DB2411については、後述する。
【0082】
●代理通信制御情報管理テーブル●
図9は、代理通信制御情報管理テーブルの一例を示す概念図である。なお、以下に説明するデータテーブルは一例であり、これに限るものではない。サブ記憶部には、
図9に示されているような代理通信制御情報管理テーブルによって構成された代理通信制御情報管理DB2411が構築されている。代理通信制御情報管理テーブルでは、プロトコルIDごとに、関連するプロトコル名、機能、現在の有効/無効設定、自動応答情報の各項目が関連付けられて記憶、管理されている。
【0083】
これらのうち、自動応答情報は、対応するプロトコル名に関連するパケットを自動応答するか他の処理を行うかを管理する。自動応答情報は、例えば、「無視」、「メインシステムを復帰」、「自動応答」である。なお、自動応答情報は代理通信制御情報の一例であり、情報処理装置2に割り当てられたMACアドレス及びIPアドレスを含む。
【0084】
本実施形態において代理通信制御情報管理テーブル(代理通信制御情報管理DB2411)は、代理通信制御情報管理手段の一例として機能する。
【0085】
〔実施形態の処理又は動作〕
次に、
図10乃至
図17を用いて、実施形態に係る情報処理システムにおける各処理又は動作を説明する。なお、以降に示すシーケンス図は、本実施形態を説明するための一例であり、これらに限らない。
【0086】
<データ登録処理>
図10は、情報処理装置におけるデータ登録処理の一例を示すシーケンス図である。なお、以下に示すシーケンス図は一例でありこれに限らない。
図10に示すように、まず、メインシステム230の通信制御モジュール232は、データテーブルを読み出す(ステップS11)。具体的には、通信制御モジュール232は、自動応答情報管理DB2311(
図7参照)で管理されている各項目をすべて読み出す。
【0087】
次に、通信制御モジュール232、サブシステム設定モジュール233は、サブシステムI/Fモジュール236を介して、サブシステム240に代理通信制御情報を含むデータ登録要求を渡す(ステップS12)。
【0088】
次に、サブシステム240の自動応答条件判定モジュール242は、データの登録を行う(ステップS13)。具体的には、自動応答条件判定モジュール242は、ステップS12で受信した代理通信制御情報を、代理通信制御情報管理DB2411で管理されているプロトコルIDに関連付けられた各項目に登録(記憶)する。
【0089】
次に、メインシステム通信モジュール241は、ステップS12のデータ登録要求に対する応答として、メインシステム230に対してデータ登録応答を渡す(ステップS14)。このときのデータ登録応答にはデータ登録が完了した旨を示す情報が含まれてよい。なお、ステップS14の処理は省略されてもよい。
【0090】
<受信パケットに対する処理及び省エネからの移行に係る各種処理>
続いて、受信パケットに対する処理及び省エネからの移行に係る各種処理について説明する。
図11は、情報処理装置における受信パケットのフィルタリング処理、要因別移行合計時間計測処理、省エネ復帰提案処理を含む処理の一例を示すシーケンス図である。なお、以下に示すシーケンス図は一例でありこれに限らない。
図11に示すように、まず、サブシステム240の自動応答条件判定モジュール242は、移行要因(省エネ復帰要因パケット)を受信する(ステップS21)。具体的には、自動応答条件判定モジュール242は、例えば、ネットワークI/F2406を介して、情報処理装置2の省電力状態(S1)から復帰(コントローラ状態(S2)又は通常消費電力状態(S3)への移行)を可能とする所定のパケット(フレーム)を受信する。
【0091】
次に、自動応答条件判定モジュール242は、受信した受信パケットのフィルタリング処理を行う(ステップS22)。具体的には、自動応答条件判定モジュール242は、受信パケットで示されるプロトコルIDを検索キーとして代理通信制御情報管理DB2411(
図9参照)を検索することにより、対応する関連プロトコル名、機能、現在の有効/無効設定及び自動応答情報を読み出す。
【0092】
<<受信パケットのフィルタリング処理の詳細>>
続いて、受信パケットのフィルタリング処理の詳細について説明する。
図12は、受信パケットのフィルタリング処理の一例を示すフローチャートである。上述したように、自動応答条件判定モジュール242はパケット(フレーム)を受信すると、移行要因(省エネ復帰要因パケット)を検知(取得)する(ステップS22-1)。具体的には、自動応答条件判定モジュール242は、代理通信制御情報(自動応答情報)をもとにネットワークパケットによる移行要因を検知する。
【0093】
続いて、自動応答条件判定モジュール242は、受信パケットが当該情報処理装置2宛のパケットであるかを判定する(ステップS22-2)。具体的には、自動応答条件判定モジュール242は、受信パケットの宛先MACアドレス及び宛先IPアドレスが、自動応答情報(代理通信制御情報)に含まれているMACアドレス及びIPアドレスと一致するか否かを判定する。
【0094】
受信パケットが当該情報処理装置2宛のパケットでない場合、すなわち、受信パケットの宛先MACアドレス及び宛先IPアドレスが、自動応答情報(代理通信制御情報)に含まれているMACアドレス及びIPアドレスと一致しない場合(ステップS22-3:NO)、自動応答条件判定モジュール242は、受信パケットは当該画像形成装置10宛ではないと判定し、受信パケットを破棄して(ステップS22-3)このフローを抜ける。
【0095】
但し、受信パケットがブロードキャストパケットである場合、自動応答条件判定モジュール242は、受信パケットは当該情報処理装置2宛であると判定する。また、受信パケットがマルチキャストパケットである場合、自動応答条件判定モジュール242は、当該情報処理装置2が当該マルチキャストグループに属していれば、受信パケットは当該情報処理装置2宛であると判定する。
【0096】
受信パケットが当該情報処理装置2宛であると判定された場合(ステップS22-2:YES)、自動応答条件判定モジュール242は、宛先ポートがポート番号一覧と一致するかを判定する(ステップS22-4)。具体的には、自動応答条件判定モジュール242は、受信パケットの宛先ポート番号が代理通信制御情報のポート番号一覧に含まれているいずれかのポート番号と一致するかを判定する。
【0097】
受信パケットの宛先ポート番号が当該ポート番号一覧に含まれているいずれのポート番号とも一致しない場合(ステップS22-4:NO)、自動応答条件判定モジュール242は、受信パケットを破棄して(ステップS22-3)このフローを抜ける。
【0098】
他方、受信パケットの宛先ポート番号が当該ポート番号一覧に含まれているいずれかのポート番号と一致した場合(ステップS22-4:YES)、自動応答条件判定モジュール242は更に、受信パケットを無視できるかを判定する(ステップS22-5)。具体的には、自動応答条件判定モジュール242は、受信パケットに関連付けられたプロトコルIDを検索キーとして代理通信制御情報管理DB2411(
図9参照)を検索することにより対応する自動応答情報を読み出し、無視できるか否かを判定する。
【0099】
受信パケットを無視できると判定された場合(ステップS22-5:YES)、自動応答条件判定モジュール242は、受信パケットを破棄して(ステップS22-3)、このフローを抜ける。
【0100】
他方、受信パケットを無視できないと判定された場合(ステップS22-5:NO)、自動応答条件判定モジュール242は更に、自動応答が可能であるかを判断する(ステップS22-6)。具体的には、自動応答条件判定モジュール242は、受信パケットに関連付けられたプロトコルIDを検索キーとして代理通信制御情報管理DB2411(
図9参照)を検索することにより対応する自動応答情報を読み出し、自動応答可能か否かを判定する。
【0101】
自動応答が可能であると判定された場合(ステップS22-6:YES)、自動応答条件判定モジュール242は、自動応答モジュール243経由で自動応答を実行する(ステップS22-7)。
【0102】
他方、自動応答は不可能である(又はメインシステム230を復帰すべき)と判定された場合(ステップS22-6:NO)、自動応答条件判定モジュール242は、メインシステム230を復帰させる処理を実行して(ステップS22-8)このフローを抜ける。
【0103】
図11に戻り、
図12におけるメインシステム230の復帰(ステップS22-8)の場合、メインシステム通信モジュール241は、メインシステム230に移行要求を渡す(ステップS23)。これにより、メインシステム230のサブシステムI/Fモジュール236は、サブシステム240が渡したメインシステム復帰要求を受け取る。このとき、メインシステム復帰要求には、省エネ復帰要因パケットが含まれる。このとき、メインシステム230は、省電力状態(S1)となっており、メインシステム230は、ネットワークパケットによる移行要因検知と、操作パネルへの操作及び印刷機能等のユーザ操作要因検知と、を待機している。なお、省エネ復帰要因パケットは、所定の移行要因の一例である。
【0104】
次に、メインシステム230は、要因別移行合計時間計測処理を行う(ステップS24)。
【0105】
<<要因別移行合計時間計測処理の詳細>>
ここで、要因別移行合計時間計測処理の詳細について説明する。
図13は、要因別移行合計時間計測処理の一例を示すフローチャートである。まず、メインシステム230は、省電力状態から復帰する(ステップS24-1)。具体的には、メインシステム230の状態管理モジュール234は、ステップS23で受け取ったメインシステム復帰要求に応じて、メインシステム230自身を復帰させる。これにより、情報処理装置2は、省電力状態(S1)から通常消費電力状態(S3)に移行する。
【0106】
次に、サブシステムI/Fモジュール236は、サブシステムから省エネ復帰要因パケットを取得する(ステップS24-2)。具体的には、サブシステムI/Fモジュール236は、サブシステム240が渡したメインシステム復帰要求に含まれる省エネ復帰要因パケットを受け取る。
【0107】
次に、受信パケットに関連付けられたプロトコルごとに存在する通信制御モジュール232は、省エネ復帰要因パケットの種類を特定する(ステップS24-3)。
【0108】
次に、通信制御モジュール232は、そのパケットの種類が機能を無効化可能かを判断する(ステップS24-4)。換言すれば、通信制御モジュール232は、移行要因となったパケット種類の機能を無効化することが可能かを判断する。具体的には、通信制御モジュール232は、特定した省エネ復帰要因パケットに含まれるパケットIDに関連付けられたプロトコルIDを検索キーとして自動応答情報管理DB2311を検索することにより、対応する機能の無効化可否を判断する。
【0109】
例えば、関連付けられたプロトコル名が印刷(Bonjour(mDNS))であれば、無効化可否が「無効化可能」に設定されているため、印刷(Bonjour(mDNS))パケットを処理する通信制御モジュール232は無効化可能と判断する。他方、関連付けられたプロトコル名がTCP/IP(印刷:Standard TCP/IP)であれば、無効化可否が「無効化不可」に設定されているため、TCP/IP(印刷:Standard TCP/IP)パケットを処理する通信制御モジュール232は無効化不可能と判断する。
【0110】
無効化不可能と判断した場合(ステップS24-4:NO)、メインシステム230は要因別移行合計時間計測の処理を終了してこのフローを抜ける。
【0111】
他方、無効化可能と判断した場合(ステップS24-4:YES)、省エネ復帰要因パケットを処理する通信制御モジュール232は、コントローラ状態(S2)の開始日時を記録する(ステップS24-5)。具体的には、省エネ復帰要因パケットを処理する通信制御モジュール232は、要因別移行合計時間管理DB2312(
図8参照)で管理されているプロトコルIDに関連付けられた機能のコントローラ状態開始日時に、コントローラ状態(S2)に移行を開始した日時を記録する。
【0112】
次に、状態管理モジュール234は、規定時間経過による省電力状態への移行か、ユーザ操作・印刷動作等による通常消費電力状態への移行を行う(ステップS24-6)。具体的には、状態管理モジュール234は、規定時間経過による省電力状態(S1)への移行か、ユーザ操作、印刷等の動作による通常消費電力状態(S3)への移行を行う。
【0113】
次に、省エネ復帰要因パケットを処理する通信制御モジュール232は、コントローラ状態(S2)の終了日時を記録する(ステップS24-7)。具体的には、省エネ復帰要因パケットを処理する通信制御モジュール232は、要因別移行合計時間管理DB2312(
図8参照)で管理されているプロトコルIDに関連付けられた機能のコントローラ状態終了日時に、コントローラ状態(S2)から他の電力消費状態に移行した日時を記録する。
【0114】
次に、省エネ復帰要因パケットを処理する通信制御モジュール232は、省エネ復帰要因パケットの種類ごとに、コントローラ状態の累計滞在時間を算出・記録する(ステップS24-8)。具体的には、省エネ復帰要因パケットを処理する通信制御モジュール232は、ステップS24-5とステップS24-7とで取得したそれぞれの日時から要因別移行時間(累計滞在時間)を計算する。その後、省エネ復帰要因パケットを処理する通信制御モジュール232は、要因別移行合計時間管理DB2312(
図8参照)で管理されているプロトコルIDに関連付けられた機能のコントローラ状態累計滞在時間に、計算した時間(滞在時間)を記録する。これにより、通信制御モジュール232は、受信パケットごとに、その受信パケット(例えば、過去一週間に受信したBonjourパケット)により省電力状態(S1)から復帰してコントローラ状態(S2)を維持したそれぞれの合計時間(累計滞在時間の合計)を求めることができる。
【0115】
図11に戻り、状態管理モジュール234は、サブシステム240に対して、メインシステム復帰応答を渡す(ステップS25)。具体的には、状態管理モジュール234は、ステップS23で受け取ったメインシステム復帰要求に対する応答として、サブシステムI/Fモジュール236を介してサブシステム240に対して、メインシステム復帰応答を渡す。このとき、メインシステム復帰応答には、復帰要否プロトコルが含まれてもよい。
【0116】
<省エネ復帰提案処理>
続いて、メインシステム230の省エネ提案モジュール237は、省エネ復帰提案処理を行う(ステップS26)。具体的には、省エネ提案モジュール237の要因別移行時間取得部237-1を含む機能モジュールは、自動応答情報管理DB2311(
図7参照)及び要因別移行合計時間管理DB2312(
図8参照)を用いて、以下のフローチャートで示す処理を実行する。
【0117】
<<省エネ復帰提案処理の詳細>>
ここで、省エネ復帰提案処理の詳細について説明する。
図14は、省エネ復帰提案処理の一例を示すフローチャートである。まず、省エネ提案モジュール237の要因別移行時間取得部237-1は、省エネ効果量測定の実施結果を規定量蓄積する(ステップS26-1-1)。具体的には、要因別移行時間取得部237-1は、通信制御モジュール232経由で「要因別移行合計時間」を取得する。このとき、要因別移行時間取得部237-1は、プロトコルIDごとに要因別移行合計時間管理DB2312(
図8参照)を参照し、対応するコントローラ状態累計滞在時間をすべて加算してプロトコルIDごとの「要因別移行合計時間」を取得する。そして、省エネ提案モジュール237の表示内容制御部237-3は、省エネ効果量測定が所定期間過ぎたことを確認する(表示内容制御部237-3は、例えば、過去3週間分の「要因別移行合計時間」の蓄積を確認する)。
【0118】
次に、表示内容制御部237-3は、省エネ効果量測定からネットワークプロトコルを無効にすることによる省エネ効果量を算出する(ステップS26-1-2)。具体的には、表示内容制御部237-3は、「要因別移行合計時間/所定期間」から所定期間内の平均消費電力を計算し、該当するネットワークプロトコルを無効にすることによる省エネ効果量を算出する。この処理は、移行要因となるパケット情報に基づいて、省電力状態(S1)からコントローラ状態(S2)へ移行した後、省電力状態(S1)を含む他の電力消費状態へ移行するまでの消費電力量を移行要因ごとに算出する処理に対応する。
【0119】
次に、表示内容制御部237-3は、ネットワーク省エネ提案のバナーにメニューを登録(表示)する(ステップS26-1-3)。具体的には、表示内容制御部237-3は、ネットワーク省エネ提案のバナーメニューを登録し、ユーザに省エネ提案があることを知らせる。
【0120】
次に、表示内容制御部237-3は、ネットワーク省エネ提案のバナーメニュー表示選択を受け付ける(ステップS26-1-4)。具体的には、表示内容制御部237-3は、ユーザが操作パネルに表示されたネットワーク省エネ提案のバナーメニュー表示の選択を受け付ける。
【0121】
次に、表示内容制御部237-3は、特定のネットワークプロトコルを無効にすることによるネットワーク省エネ提案のUI画面を表示する(ステップS26-1-5)。具体的には、表示内容制御部237-3はUI表示部237-4を経由して、ステップS26-1-2で算出した省エネ効果量と利用不可能となる機能が示されたネットワーク省エネ提案(メッセージ)を含む画面を操作パネル211に表示する。この処理は、算出した移行要因ごとの消費電力量と、移行要因によるコントローラ状態(S2)への移行を無効にするための1以上のチェックボックスと、を含むネットワーク省エネ提案画面2111を操作パネル211に表示させる処理に対応する。
【0122】
●画面表示例●
図15は、情報処理装置におけるネットワーク省エネ提案画面の一例を示す図である。
図15に示すように、情報処理装置2の操作パネル211には、省エネ提案モジュール237のUI表示部237-4によってネットワーク省エネ提案画面2111が表示される。ネットワーク省エネ提案画面2111には、ネットワーク省エネ提案を促す内容として、有効ネットワークプロトコル一覧、OKボタン2151及びキャンセルボタン2152が表示される。
【0123】
有効ネットワークプロトコル一覧は、現在機能が有効となっており、機能を無効にすることで省エネ効果が見込める内容となっている。具体的には、
・プロトコル名とチェックボックス(選択部の一例。チェックボックスを外すことにより、対応する機能が無効化される)
・各機能を無効にすることで、1日当たりに省電力化が可能な電力(省エネ効果量)
・無効化することによりそのプロトコル対応する機能が利用不可能となる主旨のコメント
がプロトコルごとに表示される。これにより、各機能を無効にするには、無効化したい機能の横のチェックボックスを外した後、OKボタン2151を操作すればよい。なお、キャンセルボタン2152を操作することで、チェックボックスに対するチェック操作を含めた各種操作がキャンセルされる。以下に、無効可能な機能の例を紹介する。
◎1.Bonjour◎
mDNS(multicast DNS)の実装の一つであり、macOSで利用されている同一セグメント内で名前解決が可能になるプロトコルでプリンタ/スキャナ/Fax等の機器検索に利用される。この機能を無効にすると、例えば、AirPrintの技術(スマートフォン、タブレット、ノートPCなどの情報通信端末、及びプリンタなどの機器を検索する技術)を利用して機器検索が不可能になる。
◎2.SSDP◎
Simple Service Discovery Protocolの略で、ネットワーク上の機器を自動的に発見・接続するUPnP (Universal Plug and Play)で用いられる通信プロトコル。この機能を無効にすると、SSDP(UPnP)を利用した機器検索が不可能になる。
◎3.SNMP◎
Simple network Management Protocolの略で、TCP/IPネットワーク環境を監視・制御するための管理用プロトコル。この機能を無効にすると、機器のオンライン/オフライン、印刷中等の状態を他の機器から取得することが不可能になる。
ネットワーク省エネ提案画面2111では、一部のSNMPの要求には自動応答が対応している。しかし、時間経過によりPCのOSのバージョンアップ等により、サブシステム240が自動応答に対応していないSNMPの要求が来た場合、SNMPに対応する機能は省電力状態(S1)からコントローラ状態(S2)に復帰してしまう事態が考えられる。そこで、このような場合に本実施形態を適用すれば、対象となる機能を無効にすることによりコントローラ状態(S2)に復帰することを無効にすることができるようになる。
【0124】
なお、本実施形態では、UI表示部237-4は、ネットワーク省エネ提案画面2111のように、省エネ効果量が大きい順に表示するようにしてもよい。
【0125】
このように、情報処理装置2は、どの機能を無効化すればどれだけ省エネ効果が向上するかの情報を含む画面を表示して機能の無効化の選択をユーザに促すことで、省エネ効果を促進する効果を期待することが可能になる。
【0126】
図14に戻り、通信プロトコル設定変更部237-2は、特定のネットワークプロトコルの無効化選択がされたかを判断する(ステップS26-1-6)。具体的には、通信プロトコル設定変更部237-2は、UI表示部237-4によって表示されたUI画面で、ユーザが特定のネットワークプロトコルを無効化する選択をしたかを判定する。このとき、通信プロトコル設定変更部237-2は、プロトコルIDを検索キーとして自動応答情報管理DB2311(
図7参照)を検索することにより、対応する現在の有効/無効設定を読み出す。
【0127】
特定のネットワークプロトコルの無効化選択がされていない場合(ステップS26-1-6:NO)、メインシステム230は、省エネ復帰提案処理を終了してこのフローを抜ける。
【0128】
他方、特定のネットワークプロトコルの無効化選択がされた場合(ステップS26-1-6:YES)、通信プロトコル設定変更部237-2は、選択されたネットワークプロトコルを無効化する(ステップS26-1-7)。つまり、通信プロトコル設定変更部237-2は、ユーザが選択したネットワークプロトコルを無効化する。
【0129】
次に、要因別移行時間取得部237-1は、無効化した省エネ効果量測定結果をリセットして(ステップS26-1-8)このフローを抜ける。具体的には、要因別移行時間取得部237-1は、通信制御モジュール232経由で無効化した省エネ効果量測定結果としての、要因別移行合計時間管理DB2312(
図8参照)で管理されている各プロトコルIDに関連付けられ結果に基づいて算出された移行要因ごとの消費電力量をリセットしてこのフローを抜ける。このときの各プロトコルIDに関連付けられた結果には、「コントローラ状態開始日時」、「コントローラ状態終了日時」、「コントコーラ状態累計滞在時間」が含まれる。但し、要因別移行時間取得部237-1は、算出された移行要因ごとの消費電力量をリセットしなくてもよい。
【0130】
<<省エネ復帰提案処理の他の詳細>>
ここで、省エネ復帰提案処理の他の詳細について説明する。
図16は、省エネ復帰提案処理の他の一例を示すフローチャートである。なお、
図16に示すステップS26-2-1乃至S26-2-3の処理は、上述したステップS26-1-1乃至S26-1-3と同様であるため説明を省略する。
【0131】
ステップS26-2-4の処理後、通信プロトコル設定変更部237-2は、ネットワーク省エネ提案のバナーメニューの選択がされたかを判断する(ステップS26-2-4)。具体的には、通信プロトコル設定変更部237-2は、UI表示部237-4によって表示されたUI画面で、ユーザがネットワーク省エネ提案のバナーメニューの選択をしたかを判定する。
【0132】
ネットワーク省エネ提案のバナーメニューの選択がされたと判断された場合(ステップS26-2-4:YES)、後続のステップS26-2-6の処理に移行する。
【0133】
他方、ネットワーク省エネ提案のバナーメニューの選択がされていないと判断された場合(ステップS26-2-4:NO)、通信プロトコル設定変更部237-2は更に、ユーザが管理者モードでログインしたかを判断する(ステップS26-2-5)。
【0134】
●画面表示例●
図17は、情報処理装置におけるログイン画面の一例を示す図である。
図17に示すように、情報処理装置2の操作パネル211には、省エネ提案モジュール237のUI表示部237-4によってログイン画面2121が表示される。ログイン画面2121には、管理者としてログインする旨の表示、ユーザID入力部2122、パスワード入力部2123、ログインボタン2153が表示される。ユーザ(管理者)は、このログイン画面2121から管理者モードでログインを行うことで、管理者モードでログインすることができる。
【0135】
図16に戻り、ステップS26-2-6乃至S26-2-9の処理を実行するが、これらは上述したステップS26-1-5乃至S26-1-8の処理と同様であるため、説明を省略する。
【0136】
〔第1の実施形態の主な効果〕
以上説明したように本実施形態によれば、情報処理装置2は、省電力状態(S1)からコントローラ状態(S2)へ移行した後、省電力状態(S1)を含む他の電力消費状態へ移行するまでの消費電力量を、コントローラ状態(S2)へ移行した移行要因ごとに算出し(ステップS26-1-2)、算出した移行要因ごとの消費電力量と、移行要因によるコントローラ状態(S2)への移行を無効にするための1以上のチェックボックスと、を含むネットワーク省エネ提案画面2111を操作パネル211に表示させる(ステップS26-1-5)。これにより、最も消費電力が少ない第1の電力消費状態から、第1の電力消費状態よりも消費電力が多い第2の電力消費状態へ移行する場合、移行要因に応じて第2の電力状態への移行を無効にすることが可能になる、という効果を奏する。さらに、情報処理装置2の使用者が、移行要因ごとの消費電力量を確認した上で移行を無効にする選択が出来るため、使用者の情報処理装置2の利用状況に合った省電力化を図ることができる。
【0137】
〔第2の実施形態〕
〔情報処理システムの全体構成〕
次に、第2の実施形態について説明する。
図18は、第2の実施形態に係る情報処理システムの全体構成の一例を示す図である。
図18では、情報処理装置2と、情報処理装置2と通信ネットワーク100を介して通信可能な管理サーバ3と、が互いに接続されている情報処理システム1が構築されている。なお、管理サーバ3には、所定の画面を表示可能な表示手段(ディスプレイ)が含まれてもよい。ここで通信ネットワーク100は、不特定多数の通信が行われる通信用のネットワークであり、インターネット、イントラネット、LAN(Local Area Network)等によって構築されている。なお、通信ネットワークには、4G(4th Generation)、5G(5th Generation)、WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)、LTE(Long Term Evolution)等の無線通信による通信ネットワークが含まれてもよい。なお、本実施形態において管理サーバ3は、管理装置の一例である。
【0138】
〔ハードウエア構成〕
続いて、
図19を用いて、第2の実施形態に係る情報処理システムを構成する通信端末又は装置のハードウエア構成について説明する。なお、
図19に示されている装置又は通信端末のハードウエア構成は、必要に応じて構成要素が追加又は削除されてもよい。
【0139】
<管理サーバのハードウエア構成>
図19は、管理サーバのハードウエア構成の一例を示す図である。
図19に示されているように、管理サーバ3は、例えばコンピュータによって構築されており、CPU301、ROM302、RAM303、EEPROM304、HD305、HDDコントローラ306、ディスプレイ307、近距離通信I/F308、CMOSセンサ309、撮像素子I/F310を備えている。管理サーバ3は更に、ネットワークI/F311、キーボード312、ポインティングデバイス313、メディアI/F315、外部機器接続I/F316、音入出力I/F317、マイク318、スピーカ319及びバスライン320を備えている。
【0140】
これらのうち、CP3501は、管理サーバ3全体の動作を制御する。ROM302は、CPU301の駆動に用いられるプログラム等を記憶する。RAM303は、CPU301のワークエリアとして使用される。EEPROM304は、CPU301の制御にしたがって、アプリ等の各種データの読出し又は書込みを行う。ディスプレイ307は、カーソル、メニュー、ウィンドウ、文字又は画像などの各種情報を表示する。本実施形態において、ディスプレイ307は、表示手段の一例として機能する。近距離通信I/F308は、NFC(Near Field Communication)、Bluetooth、Wi-Fi(登録商標。以下省略)等の無線通信インターフェイスを備える通信装置又は通信端末等とデータ通信を行うための通信回路である。CMOSセンサ309は、CPU301の制御にしたがって被写体を撮像して画像データ又は動画データを得る内蔵型の撮像手段の一種である。なお、撮像手段は、CMOSセンサではなく、CCD(Charge Coupled Device)センサ等で構成される撮像手段であってもよい。撮像素子I/F310は、CMOSセンサ309の駆動を制御する回路である。
【0141】
ネットワークI/F311は、有線ケーブル又は無線通信ネットワークを利用してデータ通信をするためのインターフェイスである。キーボード312は、文字、数値、各種指示などの入力のための複数のキーを備えた入力手段の一種である。なお、管理サーバ3は、キーボード312に代えて又は加えて、タッチパネル等の入力手段を有するものであってもよい。ポインティングデバイス313は、各種指示の選択や実行、処理対象の選択、カーソルの移動などを行う入力手段の一種である。メディアI/F315は、フラッシュメモリ等の記録メディア314に対するデータの読出し又は書込み(記憶)を制御する。外部機器接続I/F316は、各種の外部機器を接続するためのインターフェイスである。この場合の外部機器は、例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリ等である。音入出力I/F317は、CPU301の制御にしたがってマイク318及びスピーカ319との間で音信号の入出力を処理する回路である。マイク318は、音を電気信号に変える内蔵型の回路であり、外部のスピーカ等から発する音声や音波を取得し電気信号を用いた情報を取得する。スピーカ319は、電気信号を物理振動に変えて音楽や音声などの音を生み出す内蔵型の回路である。バスライン320は、CPU301等の各構成要素を電気的に接続するためのアドレスバスやデータバス等である。
【0142】
〔情報処理システムの機能構成〕
次に、
図20を用いて、本実施形態の機能構成について説明する。
図20は、第2の実施形態に係る情報処理システムの機能構成の一例を示す図である。なお、
図20は、
図18に示されている各種装置のうち、後述する処理又は動作に関連するものを示す。
【0143】
<情報処理装置の機能構成及び各機能構成>
第2の実施形態に係る情報処理装置2の機能構成は、第1の実施形態で説明した内容と同様であるためここでの説明を省略する。更に、情報処理装置2の各機能構成は、第1の実施形態で説明した内容と同様であるためここでの説明を省略する。
【0144】
<管理サーバの機能構成>
次に、管理サーバ3の機能構成について説明する。
図20に示されているように、管理サーバ3は、送受信部31、表示制御部34、生成部37及び記憶読出部39を有する。これら各機能部は、
図19に示された各ハードウエア資源のいずれかが、ROM302、EEPROM304、HD305及び記録メディア314のうち少なくとも一つからRAM303に展開された管理サーバ3用のプログラムに従ったCPU301からの命令により動作することで実現される機能又は手段である。また、管理サーバ3は、
図19に示されているROM302、EEPROM304、HD305及び記録メディア314のうち少なくとも一つにより構築される記憶部3000を有している。更に、記憶部3000には、情報処理装置2と通信を行うための通信プログラム(通信アプリ)、ブラウザアプリ等が記憶されている。
【0145】
<<管理サーバの各機能構成>>
次に、管理サーバ3の各機能構成について詳細に説明する。
図20に示されている管理サーバ3の送受信部31は、主に、ネットワークI/F311及び近距離通信I/F308に対するCPU301の処理によって実現され、通信ネットワーク100等を介して情報処理装置2との間で各種データ(又は情報)の送受信を行う。また送受信部31は、情報処理装置2が送信した所定の移行要因ごとの消費電力量に係る消費電力量情報を受信する。本実施形態において送受信部31は、送信手段及び受信手段のうち少なくとも一方の手段の一例として機能する。
【0146】
表示制御部34は、主に、ディスプレイ307に対するCPU301の処理によって実現され、管理サーバ3における各種画面及び情報(データ)の表示制御を行う。また、表示制御部34は、例えば、ブラウザを用いて、HTML等により生成された表示画面を、情報処理装置2の操作パネル211に表示させてもよい。本実施形態において表示制御部34は、表示制御手段の一例として機能する。
【0147】
生成部37は、主に、CPU301の処理によって実現され、管理サーバ3において実行される各種処理に伴うデータ(情報)を生成する。また生成部37は、情報処理装置2から受信した移行要因ごとの消費電力量情報で示される消費電力量と、所定の移行要因によるコントローラ状態(S2)への移行を無効にするための1以上のチェックボックスと、を含む画面に係る画面情報を生成する。本実施形態において生成部57は、生成手段の一例として機能する。
【0148】
記憶読出部39は、主に、ROM302、EEPROM304、HD305及び記録メディア314のうち少なくとも一つに対するCPU301の処理によって実現され、記憶部3000に各種データ(又は情報)を記憶したり、記憶部3000から各種データ(又は情報)を読み出したりする。本実施形態において記憶読出部39は、記憶読出手段の一例として機能する。
【0149】
このように、第2の実施形態では、第1の実施形態における情報処理装置2の機能の一部を情報処理装置2と通信ネットワーク100を介して接続された管理サーバ3において実行する。
【0150】
〔第2の実施形態の主な効果〕
以上説明したように本実施形態によれば、管理サーバ3は、情報処理装置2が送信した移行要因ごとの消費電力量情報を受信し、受信した移行要因ごとの消費電力量情報で示される消費電力量と、省エネ復帰要因パケットによるコントローラ状態(S2)への移行を無効にするための1以上の選択部と、を含む画面情報を生成し、生成した画面情報を情報処理装置2に対して送信する。これにより、第1の実施形態による効果に加えて、管理サーバ3側で省エネ提案のUI画面の生成を行うことにより、情報処理装置2の処理負荷を軽減させることが可能になる、という効果を奏する。
【0151】
〔第2の実施形態の変形例〕
次に、第2の実施形態の変形例として、管理サーバ3に代えて、情報処理装置2と通信ネットワーク100を介して通信可能な通信端末を構築してもよい。つまり、情報処理装置2又は管理サーバ3で行っていたUI画面データ(情報)の生成、UI画面の表示、各種選択入力の受付を通信端末上で行い、通信端末上で受付した内容(情報)を情報処理装置2へ送信する構成としてもよい。
【0152】
これにより、情報処理装置2を利用するユーザの各々、又は管理者権限を有する管理者が使用する通信端末に対して本実施形態を拡張することが可能になる。その結果、ユーザの各々、又は管理者によって任意に選択入力された無効化情報に基づいて、情報処理装置2における各種機能に係る省電力制御をカスタマイズして運用することも可能になる。
【0153】
〔実施形態の補足〕
上述した実施形態の各機能は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウエアによって各機能を実行するようプログラミングされたデバイスを含むものとする。このデバイスとは、例えば、プロセッサ、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(digital signal processor)、FPGA(field programmable gate array)、SOC(System on a chip)、GPU(Graphics Processing Unit)、及び従来の回路モジュール等をいう。
【0154】
また、上述した実施形態において、情報処理装置2は、例えば、特定された省エネ復帰要因パケットの種類と、特定されたパケットの機能の無効化設定の履歴とを機械学習(人工知能:AIを利用した学習)によって学習させてもよい。これにより、情報処理装置2は、該当するパケットのネットワークプロトコルを無効にすることによる省エネ効果量の算出処理を機械学習によって実行するようにしてもよい。また、上述した実施形態では、消費電力量を電力消費状態の移行時間から算出しているが、消費電力量を直接測定する手段を算出手段として情報処理装置2に搭載してもよい。
【0155】
これまで本発明の一実施形態に係る情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法及びプログラムについて説明してきたが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態の追加、変更又は削除等、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【0156】
■まとめ■
本発明に係る態様は、例えば、以下のとおりである。
【0157】
<第1態様>
第1態様としての少なくとも二つの電力消費状態を有する情報処理装置2(情報処理装置の一例。以下省略)は、電力消費状態のうち、省エネ復帰要因パケット(所定の移行要因の一例。以下省略)に基づいて、最も消費電力が少ない省電力状態(S1)(第1の電力消費状態の一例。以下省略)から省電力状態(S1)よりも消費電力が多いコントローラ状態(S2)(第2の電力消費状態の一例。以下省略)へ移行した後、省電力状態(S1)を含む通常消費電力状態(S3)(他の電力消費状態の一例。以下省略)へ移行するまでの消費電力量を、移行要因ごとに算出する表示内容制御部237-3(算出手段の一例。以下省略)と、算出した移行要因ごとの消費電力量と、移行要因によるコントローラ状態(S2)への移行を無効にするための1以上のチェックボックス(選択部の一例。以下省略)と、を含むネットワーク省エネ提案画面2111を操作パネル211(表示手段の一例。以下省略)に表示させる表示内容制御部237-4(表示制御手段の一例。以下省略)と、を有する。
【0158】
第1態様によれば、最も消費電力が少ない第1の電力消費状態から、第1の電力消費状態よりも消費電力が多い第2の電力消費状態へ移行する場合、移行要因に応じて第2の電力状態への移行を無効にすることが可能になる。
【0159】
<第2態様>
第2態様としての情報処理装置2で処理される移行要因は、情報処理装置2により利用される1以上のネットワークプロトコルを機能させるためのパケットを含み、表示内容制御部237-3は、省電力状態(S1)からコントローラ状態(S2)への移行時に、1以上のネットワークプロトコルのそれぞれの機能に係る消費電力量の算出を開始し、コントローラ状態(S2)から通常消費電力状態(S3)への移行時に消費電力量の算出を終了する。
【0160】
第2態様によれば、第1態様による効果と同様の効果を得ることが可能になる。
【0161】
<第3態様>
第3態様としての情報処理装置2の表示内容制御部237-3は、第1態様又は第2態様において、省電力状態(S1)からコントローラ状態(S2)へ移行する間の第1の消費電力量、第2の電力省状態における第2の消費電力量、及び、コントローラ状態(S2)から省電力状態(S1)を含む通常消費電力状態(S3)へ移行する間の第3の消費電力量を、移行要因ごとに算出する。
【0162】
第3態様によれば、第1態様による効果と同様の効果を得ることが可能になる。
【0163】
<第4態様>
第4態様としての情報処理装置2の表示内容制御部237-3は、第1態様乃至第3態様のいずれかにおいて、コントローラ状態(S2)の累計時間に基づいて、1以上のネットワークプロトコルごとに消費電力量を算出する。
【0164】
第4態様によれば、第1態様による効果と同様の効果を得ることが可能になる。
【0165】
<第5態様>
第5態様としての情報処理装置2の表示内容制御部237-3は、第4態様において、1以上のネットワークプロトコルごとに算出された消費電力量の総量から一日換算の消費電力量を算出する。
【0166】
第5態様によれば、第1態様による効果に加えて、利用者に対してより具体的な消費電力量を提示することが可能になる。
【0167】
<第6態様>
第6態様としての情報処理装置2の表示内容制御部237-3は、第5態様において、ネットワークプロトコルごとに算出された一日換算の消費電力量と、コントローラ状態(S2)への移行を無効にしたことにより利用不可能となる1以上のネットワークプロトコルごとの機能と、を含むネットワーク省エネ提案画面2111を操作パネル211に表示させる。
【0168】
第6態様によれば、第1態様による効果に加えて、利用者に対して、不要な省エネ復帰の回避を促すことが可能になる。
【0169】
<第7態様>
第7態様としての情報処理装置2の表示内容制御部237-3は、第6態様において、ネットワーク省エネ提案画面2111に含まれる一日換算の消費電力量のうち、消費電力量の大きい順に表示させる。
【0170】
第7態様によれば、第6態様による効果に加えて、情報処理装置2に対する省電力効果を向上させやすくすることが可能になる。
【0171】
<第8態様>
第8態様としての情報処理装置2の表示内容制御部237-3は、第1態様乃至第7態様のいずれかにおいて、利用者が管理者権限を利用して当該情報処理装置2にログインした場合、ネットワーク省エネ提案画面2111を操作パネル211に表示させる。
【0172】
第8態様によれば、利用者権限を有する利用者が省電力効果の向上に対する選択操作を行うことが可能になるため、より安全且つ確実な情報処理装置の利用が可能になる。
【0173】
<第9態様>
第9態様としての情報処理装置2のUI表示部(受付手段の一例。以下省略)は、第1態様乃至第8態様のいずれかにおいて、表示されたネットワーク省エネ提案画面2111に含まれる1以上のチェックボックスに対して、チェックボックスに対応付けられた移行要因に係る機能を無効にするための操作を受け付ける。
【0174】
第9態様によれば、第1態様による効果に加えて、利用者に対して、不要な省エネ復帰の回避を促すことが可能になる。
【0175】
<第10態様>
第10態様としての情報処理システム1(情報処理システムの一例。以下省略)は、少なくとも二つの電力消費状態を有する情報処理装置2と、情報処理装置2と通信ネットワークを介して通信可能な管理サーバ3(管理装置の一例。以下省略)と、を有し、情報処理装置2は、電力消費状態のうち、省エネ復帰要因パケット(所定の移行要因の一例。以下省略)に基づいて、最も消費電力が少ない省電力状態(S1)(第1の電力消費状態の一例。以下省略)から省電力状態(S1)よりも消費電力が多いコントローラ状態(S2)(第2の電力消費状態の一例。以下省略)へ移行した後、省電力状態(S1)を含む通常消費電力状態(S3)(他の電力消費状態の一例。以下省略)へ移行するまでの消費電力量を、移行要因ごとに算出する表示内容制御部237-3(算出手段の一例。以下省略)と、算出した移行要因ごとの消費電力量に係る消費電力量情報を管理サーバ3に対して送信するメインシステム通信モジュール241(送信手段の一例。以下省略)と、を有し、管理サーバ3は、情報処理装置2が送信した移行要因ごとの消費電力量情報を受信する送受信部31(受信手段の一例。以下省略)と、受信した移行要因ごとの消費電力量情報で示される消費電力量と、省エネ復帰要因パケットによるコントローラ状態(S2)への移行を無効にするための1以上の選択部と、を含む画面情報を生成する生成部37(生成手段の一例。以下省略)と、生成した画面情報を情報処理装置2に対して送信する送受信部31(送信手段の一例。以下省略)と、を有する。
【0176】
第10態様によれば、第1態様による効果に加えて、管理サーバ3側で省エネ提案のUI画面の生成を行うことにより、情報処理装置2の処理負荷を軽減させることが可能になる。
【0177】
<第11態様>
第11態様としての少なくとも二つの電力消費状態を有する情報処理装置(情報処理装置の一例。以下省略)が実行する情報処理方法は、電力消費状態のうち、省エネ復帰要因パケット(所定の移行要因の一例。以下省略)に基づいて、最も消費電力が少ない省電力状態(S1)(第1の電力消費状態の一例。以下省略)から省電力状態(S1)よりも消費電力が多いコントローラ状態(S2)(第2の電力消費状態の一例。以下省略)へ移行した後、省電力状態(S1)を含む通常消費電力状態(S3)(他の電力消費状態の一例。以下省略)へ移行するまでの消費電力量を、移行要因ごとに算出するステップと、算出した移行要因ごとの消費電力量と、移行要因によるコントローラ状態(S2)への移行を無効にするための1以上のチェックボックス(選択部の一例。以下省略)と、を含むネットワーク省エネ提案画面2111を操作パネル211(表示手段の一例。以下省略)に表示させる表示制御ステップと、を含む処理を実行する。
【0178】
第11態様によれば、第1態様と同様に、最も消費電力が少ない第1の電力消費状態から、第1の電力消費状態よりも消費電力が多い第2の電力消費状態へ移行する場合、移行要因に応じて第2の電力状態への移行を無効にすることが可能になる。
【0179】
<第12態様>
第12態様としてのプログラムは、少なくとも二つの電力消費状態を有する情報処理装置(情報処理装置の一例。以下省略)に、電力消費状態のうち、省エネ復帰要因パケット(所定の移行要因の一例。以下省略)に基づいて、最も消費電力が少ない省電力状態(S1)(第1の電力消費状態の一例。以下省略)から省電力状態(S1)よりも消費電力が多いコントローラ状態(S2)(第2の電力消費状態の一例。以下省略)へ移行した後、省電力状態(S1)を含む通常消費電力状態(S3)(他の電力消費状態の一例。以下省略)へ移行するまでの消費電力量を、移行要因ごとに算出するステップと、算出した移行要因ごとの消費電力量と、移行要因によるコントローラ状態(S2)への移行を無効にするための1以上のチェックボックス(選択部の一例。以下省略)と、を含むネットワーク省エネ提案画面2111を操作パネル211(表示手段の一例。以下省略)に表示させる表示制御ステップと、を含む処理を実行させる。
【0180】
第12態様によれば、第1態様と同様に、最も消費電力が少ない第1の電力消費状態から、第1の電力消費状態よりも消費電力が多い第2の電力消費状態へ移行する場合、移行要因に応じて第2の電力状態への移行を無効にすることが可能になる。
【符号の説明】
【0181】
1 情報処理システム(情報処理システムの一例)
2 情報処理装置(情報処理装置の一例)
211 操作パネル(表示手段の一例、入力手段の一例)
232 通信制御モジュール(判定手段の一例)
237-3 表示内容制御部(算出手段の一例、表示制御手段の一例)
237-4 UI表示部(表示制御手段の一例、受付手段の一例)
241 メインシステム通信モジュール(送信手段の一例)
3 管理サーバ(管理装置の一例)
31 送受信部(受信手段の一例)
37 生成部37
【先行技術文献】
【特許文献】
【0182】