(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171597
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】ピエゾ素子診断装置、ピエゾ素子診断方法、ピエゾ素子診断プログラム、流体制御装置、及び、気化システム
(51)【国際特許分類】
F16K 31/02 20060101AFI20241205BHJP
G01R 31/00 20060101ALI20241205BHJP
H10N 30/04 20230101ALI20241205BHJP
【FI】
F16K31/02 A
G01R31/00
H10N30/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023088685
(22)【出願日】2023-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】000127961
【氏名又は名称】株式会社堀場エステック
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 真大
(74)【代理人】
【識別番号】100206151
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 惇志
(74)【代理人】
【識別番号】100218187
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 治子
(74)【代理人】
【識別番号】100227673
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 光起
(72)【発明者】
【氏名】濱田 千寛
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 七菜子
(72)【発明者】
【氏名】四方 大地
【テーマコード(参考)】
2G036
3H062
【Fターム(参考)】
2G036AA03
2G036AA24
2G036BA45
2G036BB22
2G036CA10
3H062BB33
3H062CC05
(57)【要約】
【課題】ピエゾ素子に高電圧を印加することなくピエゾ素子の劣化などの状態を診断する。
【解決手段】装置に組み込まれたピエゾ素子321を診断するピエゾ素子診断装置10であって、ピエゾ素子321の電圧が上昇又は下降するときの電圧変化情報を検出する電圧変化情報検出部12と、電圧変化情報検出部12により検出された電圧変化情報に基づいて、ピエゾ素子321の状態を判断する状態判断部13とを備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピエゾ素子を診断するピエゾ素子診断装置であって、
前記ピエゾ素子の電圧が上昇又は下降するときの電圧変化情報を検出する電圧変化情報検出部と、
前記電圧変化情報検出部により検出された前記電圧変化情報に基づいて、前記ピエゾ素子の状態を判断する状態判断部とを備える、ピエゾ素子診断装置。
【請求項2】
前記電圧変化情報検出部は、前記ピエゾ素子の電圧が上昇するときの上昇時間又は下降するときの下降時間を検出するものである、請求項1に記載のピエゾ素子診断装置。
【請求項3】
前記電圧変化情報検出部は、
前記ピエゾ素子に印加する電圧を増加させた場合に上昇閾値電圧に到達するまでの上昇時間を検出し、又は、
前記ピエゾ素子に印加する電圧を減少させた場合に下降閾値電圧に到達するまでの下降時間を検出する、請求項1に記載のピエゾ素子診断装置。
【請求項4】
前記状態判断部は、前記電圧変化情報と閾値とを比較することにより、前記ピエゾ素子の状態を判断する、請求項1乃至3の何れか一項に記載のピエゾ素子診断装置。
【請求項5】
前記状態判断部は、前記閾値として、互いに異なる2つ以上の閾値を用いている、請求項4に記載のピエゾ素子診断装置。
【請求項6】
前記ピエゾ素子と直列に接続されたコンデンサを更に備える、請求項1乃至5の何れか一項に記載のピエゾ素子診断装置。
【請求項7】
前記ピエゾ素子と並列に接続された固定抵抗を更に備える、請求項1乃至6の何れか一項に記載のピエゾ素子診断装置。
【請求項8】
前記電圧変化情報を検出するために前記ピエゾ素子に検査用電圧を印加する検出用電源回路をさらに備える、請求項1乃至7の何れか一項に記載のピエゾ素子診断装置。
【請求項9】
前記検出用電源回路に設けられ、電圧印加開始時に生じる突入電流を低減する突入電流低減部をさらに備える、請求項8に記載のピエゾ素子診断装置。
【請求項10】
前記検出用電源回路は、前記ピエゾ素子に駆動用電圧を印加する駆動用電源回路と共通の筐体に収容されている、請求項8又は9に記載のピエゾ素子診断装置。
【請求項11】
前記検出用電源回路は、前記ピエゾ素子に駆動用電圧を印加する駆動用電源回路を収容する第1筐体とは別の第2筐体に収容されている、請求項8又は9に記載のピエゾ素子診断装置。
【請求項12】
装置に組み込まれたピエゾ素子を診断するピエゾ素子診断方法であって、
前記ピエゾ素子の電圧が上昇又は下降するときの電圧変化情報を検出し、
検出された前記電圧変化情報に基づいて、前記ピエゾ素子の状態を判断する、ピエゾ素子診断方法。
【請求項13】
装置に組み込まれたピエゾ素子を診断するピエゾ素子診断プログラムであって、
前記ピエゾ素子の電圧が上昇又は下降するときの電圧変化情報を検出する電圧変化情報検出部としての機能と、
前記電圧変化情報検出部により検出された前記電圧変化情報に基づいて、前記ピエゾ素子の状態を判断する状態判断部としての機能とをコンピュータに備えさせる、ピエゾ素子診断プログラム。
【請求項14】
ピエゾ素子によって弁体が弁座に対して駆動されるピエゾバルブと、
前記ピエゾバルブの開度を制御するバルブ制御部と、
請求項1乃至11の何れか一項に記載のピエゾ素子診断装置とを備える、流体制御装置。
【請求項15】
液体原料を気化する気化部と、
前記気化部により気化されたガスの流量を制御する流体制御装置と、
請求項1乃至11の何れか一項に記載のピエゾ素子診断装置とを備える、気化システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピエゾ素子診断装置、ピエゾ素子診断方法、及び、ピエゾ素子診断プログラムに関するものである。また、本発明は、ピエゾ素子診断装置を用いた流体制御装置、及び、ピエゾ素子診断装置を用いた気化システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
マスフローコントローラ(MFC)等に用いられる流体制御バルブには、ピエゾ素子を用いたピエゾバルブがある。このピエゾバルブは、ピエゾ素子に電圧を印加してピエゾ素子を伸縮させることにより、弁体が弁座に対して駆動される。
【0003】
このピエゾ素子は、経年劣化により故障するものであり、特に、印加する電圧の大きさや使用する環境温度等によって劣化具合が異なるため、その故障を予測することが難しい。
【0004】
ここで、特許文献1に示すように、ピエゾ素子の劣化によりその抵抗値が低下することを利用した劣化検出回路が考えられている。この劣化検出回路は、ピエゾ素子に直列に固定抵抗を接続し、この固定抵抗にかかる分圧を測定して、測定した分圧からピエゾ素子にかかる分圧を求めてピエゾ素子の抵抗値を求めるものである(以下の式参照)。
【0005】
ピエゾ素子の抵抗値RP:
RP=(V0-V1)/(V1/R)
ここで、V0は電源電圧、V1は固定抵抗にかかる分圧(測定電圧)、Rは固定抵抗の抵抗値である。
【0006】
しかしながら、測定電圧にスパイクノイズが含まれることによって、ピエゾ素子の劣化を精度良く検知できない恐れがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
一方で、ピエゾ素子には抵抗成分(R)だけでなく容量成分(C)が存在し、ピエゾ素子の等価回路は、抵抗成分と容量成分との並列回路(RC並列回路)で示すことができる。そして、RC並列回路の過渡現象により、立ち上がり時間及び立ち下がり時間は、抵抗成分(R)及び容量成分(C)の積で決まる。
【0009】
そこで、本発明は、RC並列回路の過渡現象における立ち上がり時間及び立ち下がり時間に着目してなされたものであり、スパイクノイズ等の影響を受けることなく、ピエゾ素子の劣化などの状態を診断することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
すなわち、本発明に係るピエゾ素子診断装置は、ピエゾ素子を診断するピエゾ素子診断装置であって、前記ピエゾ素子の電圧が上昇又は下降するときの電圧変化情報を検出する電圧変化情報検出部と、前記電圧変化情報検出部により検出された前記電圧変化情報に基づいて、前記ピエゾ素子の状態を判断する状態判断部とを備えることを特徴とする。
【0011】
このようなピエゾ素子診断装置であれば、ピエゾ素子の電圧が上昇又は下降するときの電圧変化情報に基づいて、ピエゾ素子の状態を判断するので、スパイクノイズ等の影響を受けることなく、ピエゾ素子の状態を診断することができる。
【0012】
前記電圧変化情報検出部は、前記ピエゾ素子の電圧が上昇するときの上昇時間又は下降するときの下降時間を検出するものであることが望ましい。
この構成であれば、電圧変化情報として上昇時間又は下降時間を検出すれば良いので、電圧変化情報を検出する構成を簡単にすることができる。
【0013】
上昇時間又は下降時間を検出する具体的な実施の態様としては、前記電圧変化情報検出部は、前記ピエゾ素子に印加する電圧を増加させた場合に上昇閾値電圧に到達するまでの上昇時間を検出し、又は、前記ピエゾ素子に印加する電圧を減少させた場合に下降閾値電圧に到達するまでの下降時間を検出することが望ましい。
【0014】
ピエゾ素子の状態を客観的に診断できるようにするためには、前記状態判断部は、前記電圧変化情報と閾値とを比較することにより、前記ピエゾ素子の状態を判断することが望ましい。
【0015】
前記状態判断部は、前記閾値として、互いに異なる2つ以上の閾値を用いている。
この構成であれば、複数の閾値を用いることによって、ピエゾ素子の劣化等の状態を複数の分類に分けることができ、ピエゾ素子の状態をより正確に診断することができる。
【0016】
本発明のピエゾ素子診断装置は、前記ピエゾ素子と直列に接続されたコンデンサを更に備えることが望ましい。
この構成であれば、ピエゾ素子の電圧が上昇するときの電圧変化情報の変化スピードを調整することができ、状態変化情報を正確且つ簡単に検出できる。
【0017】
本発明のピエゾ素子診断装置は、前記ピエゾ素子と並列に接続された固定抵抗を更に備えることが望ましい。
この構成であれば、ピエゾ素子の電圧が下降するときの電圧変化情報の変化スピードを調整することができ、状態変化情報を正確且つ簡単に検出できる。
【0018】
本発明のピエゾ素子診断装置は、前記電圧変化情報を検出するために前記ピエゾ素子に検査用電圧を印加する検出用電源回路をさらに備えることが望ましい。
ここで、ピエゾ素子の電圧を上昇又は下降させるためには、ピエゾ素子に駆動用電圧を印加する駆動用電源回路を用いることが可能である。ところが、駆動用電源回路は駆動電圧等の高電圧を印加する構成であり、既存の装置に組み込まれたピエゾ素子を検査する構成にするためには、駆動用電源回路を改良又は変更する必要がある。一方で、ピエゾ素子診断装置が検出用電源回路を有する構成であれば、既存の装置を改良することなく、外付けするだけで良い。
【0019】
本発明のピエゾ素子診断装置は、前記検出用電源回路に設けられ、電圧印加開始時に生じる突入電流を低減する突入電流低減部をさらに備えることが望ましい。
この構成であれば、電圧印加開始時に生じる突入電流によりピエゾ素子が破損することを防止することができる。また、ピエゾ素子の容量成分が必要以上に充電されることを防ぎ、その放電に必要以上に時間がかかってしまうことを防止できる。
【0020】
前記検出用電源回路は、前記ピエゾ素子に駆動用電圧を印加する駆動用電源回路と共通の筐体に収容されていることが望ましい。
この構成であれば、駆動用電源回路及び検出用電源回路の配線構成を簡単にすることができる。この場合、共通の筐体内に、前記ピエゾ素子に接続される電源回路を、前記検出用電源回路と、前記ピエゾ素子に駆動用電圧を印加する駆動用電源回路とで切り替える切り替え機構を設けることが考えられる。
【0021】
前記検出用電源回路は、前記ピエゾ素子に駆動用電圧を印加する駆動用電源回路を収容する筐体とは別の筐体に収容されていることが望ましい。
この構成であれば、ピエゾ素子が組み込まれた既存の装置に対して、検出用電源回路を外付けする構成にできる。なお、駆動用電源回路を収容する筐体と、検出用電源回路を収容する筐体には、それらを互いに接続するための接続ポートを設けることが考えられる。また、検出用電源回路を収容する筐体内に、前記ピエゾ素子に接続される電源回路を、前記検出用電源回路と、前記ピエゾ素子に駆動用電圧を印加する駆動用電源回路とで切り替える切り替え機構を設けることが考えられる。
【0022】
また、本発明に係るピエゾ素子診断方法は、ピエゾ素子を診断するピエゾ素子診断方法であって、前記ピエゾ素子の電圧が上昇又は下降するときの電圧変化情報を検出し、検出された前記電圧変化情報に基づいて、前記ピエゾ素子の状態を判断することを特徴とする。
【0023】
さらに、本発明に係るピエゾ素子診断プログラムは、ピエゾ素子を診断するピエゾ素子診断プログラムであって、前記ピエゾ素子の電圧が上昇又は下降するときの電圧変化情報を検出する電圧変化情報検出部としての機能と、前記電圧変化情報検出部により検出された前記電圧変化情報に基づいて、前記ピエゾ素子の状態を判断する状態判断部としての機能とをコンピュータに備えさせることを特徴とする。
【0024】
なお、ピエゾ素子診断プログラムは、電子的に配信されるものであってもよいし、CD、DVD又はフラッシュメモリ等のプログラム記録媒体に記録されたものであってもよい。
【0025】
その上、本発明に係る流体制御装置は、ピエゾ素子によって弁体が弁座に対して駆動されるピエゾバルブと、前記ピエゾバルブの開度を制御するバルブ制御部と、上述したピエゾ素子診断装置とを備えることを特徴とする。
【0026】
加えて、本発明に係る気化システムは、液体原料を気化する気化部と、前記気化部により気化されたガスの流量を制御する流体制御装置と、上述したピエゾ素子診断装置とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
このように本発明によれば、スパイクノイズ等の影響を受けることなく、ピエゾ素子の劣化などの状態を診断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の一実施形態に係る気化システムの構成を模式的に示す図である。
【
図2】同実施形態の制御装置の機能ブロック図である。
【
図3】同実施形態のピエゾ素子診断装置の構成を模式的に示す図である。
【
図4】同実施形態において下降時間を用いて状態を診断する方法を示す図である。
【
図5】同実施形態において上昇時間を用いて状態を診断する方法を示す図である。
【
図6】変形実施形態のピエゾ素子診断装置の構成を模式的に示す図である。
【
図7】変形実施形態のピエゾ素子診断装置の構成を模式的に示す図である。
【
図8】変形実施形態のピエゾ素子診断装置の構成を模式的に示す図である。
【
図10】(a)検出用電源回路及び駆動用電源回路を共通の筐体に収容した構成、及び、(b)検出用電源回路及び駆動用電源回路を別々の筐体の収容した構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
<本発明の一実施形態>
以下に、本発明に係るピエゾ素子診断装置を組み込んだ気化システムの一実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下に示すいずれの図についても、わかりやすくするために、適宜省略し又は誇張して模式的に描かれている。同一の構成要素については、同一の符号を付して説明を適宜省略する。
【0030】
<1.気化システム100の基本構成>
本実施形態の気化システム100は、例えば半導体製造ライン等に組み込まれて、半導体製造プロセスを行うチャンバに所定流量のガスを供給するためのものである。
【0031】
具体的に気化システム100は、
図1に示すように、液体材料を気化する気化部2と、気化部2により気化されたガス(以下、材料ガス)の流量を制御するマスフローコントローラ3と、気化部2やマスフローコントローラ3等の動作を制御する制御装置4とを具備している。
【0032】
気化部2は、液体材料を例えばベーキング方式により気化する気化器21と、気化器21への液体材料の供給量を制御する供給量制御機器22と、気化器21に供給される液体材料を所定の温度に予熱する予熱器23とを備えている。これらの気化器21、供給量制御機器22及び予熱器23は、内部に流路が形成された本体ブロック5に取り付けられる。なお、気化部2は、予熱器23を有さない構成としてもよい。
【0033】
気化器21は、内部に液体材料を貯留する貯留容器211と、貯留容器211に設けられて液体材料を気化させるための気化ヒータ212とを有する。貯留容器211には、貯留された液体材料の貯留量を検知するための液面センサ213が設けられている。なお、液面センサ213としては、自己発熱式、液温測定式、磁気式、静電容量式、超音波式など、種々のタイプのものを用いることができる。
【0034】
供給量制御機器22は、電磁開閉弁である。この電磁開閉弁22が、本体ブロック5に形成された流路を開放又は閉塞して、液体材料を気化器21へ供給する又はその供給を停止するように構成されている。なお、供給量制御機器22は、例えばピエゾバルブ等の制御弁や、マスフローコントローラなどであっても良い。
【0035】
予熱器23は、内部に液体材料が流れる流路が形成された予熱ブロック231と、予熱ブロック231に設けられて液体材料を予熱するための予熱ヒータ232とを有する。この予熱器23によって、液体材料は気化直前の温度(沸点未満)まで加熱される。
【0036】
以上のように構成した気化部2により、本体ブロック5の液体材料導入ポートP1から導入された液体材料は、予熱器23の予熱ブロック231の流路を流れて予熱される。予熱器23により予熱された液体材料は、電磁開閉弁22が制御されることにより、気化器21に導入される。そして、気化器21では液体材料が常時貯留された状態となり、液体材料が気化されてその材料ガスが連続的に生成されて、マスフローコントローラ3に連続的に導出される。
【0037】
次に、マスフローコントローラ3について説明する。
マスフローコントローラ3は、気化部2の下流側に設けられて、気化部2により生成された材料ガスの流量を制御するものである。具体的にマスフローコントローラ3は、流路を流れる材料ガスを検知する流体検知機器31と、流路を流れる材料ガスの流量を制御するピエゾバルブ32とを備えている。
【0038】
これらの流体検知機器31及びピエゾバルブ32は、本体ブロック5に取り付けられる。具体的に流体検知機器31及びピエゾバルブ32は、本体ブロック5において気化部2の下流側に取り付けられる。また、本体ブロック5は、液体材料導入ポートP1が下側に位置し、材料ガス導出ポートP2が上側に位置するように、その長手方向が上下方向(鉛直方向)を向くように半導体製造ライン等に設置される。
【0039】
流体検知機器31は、本体ブロック5の流路に設けられた流体抵抗(不図示)の上流側圧力を検出する例えば静電容量型の第1圧力センサ311及び流体抵抗の下流側圧力を検出する例えば静電容量型の第2圧力センサ312である。なお、本実施形態の流体検知機器31は、差圧式の流量センサを構成するものであるが、一対の発熱抵抗体を用いた熱式の流量センサを構成するものであっても良い。
【0040】
ピエゾバルブ32は、本体ブロック5の流路を流れる材料ガスの流量を制御するものである。このピエゾバルブ32は、ピエゾ素子321によって弁体が弁座に対して駆動されるものである。本実施形態のピエゾバルブ32は、所謂ノーマルオープンタイプ(常時開放型)のものであるが、ノーマルクローズタイプ(常時閉塞型)のものであっても良い。また、ピエゾバルブ32は、ピエゾバルブ32を駆動させるためにピエゾ素子321に駆動用電圧VOを印加する駆動用電源回路322を有している。
【0041】
次に、制御装置4について説明する。
制御装置4は、気化部2やマスフローコントローラ3等の動作を制御して、チャンバに所定流量のガスを供給するように構成されている。
【0042】
具体的に制御装置4は、CPU、メモリ、AD/DAコンバータ、入力手段等を有したコンピュータであり、メモリに格納されたプログラムに従ってCPUやその周辺機器が協働することにより、
図2に示すように、設定流量受付部4a、流量算出部4b及びバルブ制御部4c等としての機能を有するものである。その他、制御装置4は、液面センサ213の検出信号に基づいて、電磁開閉弁22を制御する。
【0043】
設定流量受付部4aは、例えばキーボード等の入力手段によるユーザの入力操作や他機器から送信された設定流量を示す設定流量信号を受け付けるものである。
【0044】
流量算出部4bは、流体検知機器31からの出力信号を取得して、気化部2から導出する材料ガスの流量を算出するものである。なお、流量算出部4bは、マスフローコントローラ3に設けて、流体検知機器31とともに流量センサを構成しても良い。
【0045】
バルブ制御部4cは、設定流量と流量算出部4bにより算出された測定流量とに基づいてピエゾバルブ32を制御するものであり、ここでは測定流量が設定流量となるようにピエゾバルブ32の駆動用電源回路322に駆動信号を出力して弁開度をフィードバック制御する。
【0046】
<2.ピエゾ素子診断機能>
しかして、本実施形態の気化システム100は、ピエゾバルブ32に組み込まれたピエゾ素子321を診断するピエゾ素子診断装置10を有している。
【0047】
このピエゾ素子診断装置10は、ピエゾ素子321の状態を判断することによって、ピエゾ素子321を診断するものである。本実施形態において「ピエゾ素子321の診断」とは、ピエゾ素子321の状態を判断することを含む。具体的にピエゾ素子診断装置10は、
図3に示すように、ピエゾ素子321に検査用電圧V
Cを印加する検出用電源回路11と、ピエゾ素子321の電圧が上昇又は下降するときの電圧変化情報を検出する電圧変化情報検出部12と、電圧変化情報検出部12により検出された電圧変化情報に基づいて、ピエゾ素子321の状態を判断する状態判断部13とを備えている。
【0048】
検出用電源回路11は、ピエゾ素子321を診断するためにピエゾ素子321に検査用電圧VCを印加するものである。具体的に検出用電源回路11は、検査用電圧VCを印加するための直流電源11aと、ピエゾ素子321に対して検査用電圧VCの通電及び遮断を切り替えるスイッチS1とを有している。なお、直流電源11aがスイッチS1としての機能を有するものであっても良い。
【0049】
ここで、検出用電源回路11の検査用電圧VCは、ピエゾバルブ32を駆動させるための駆動用電圧VOよりも小さい電圧であり、ピエゾ素子321に印加してもピエゾバルブ32が駆動されない電圧である。なお、ピエゾバルブ32がノーマルオープンタイプの場合には、全閉状態にするための駆動用電圧VOは、例えば120Vである。
【0050】
検出用電源回路11のスイッチS1を閉じると、ピエゾ素子321に検査用電圧VCが印加されて、ピエゾ素子321の容量成分に電荷が溜まりながら電圧が上昇する。一方、検出用電源回路11のスイッチS1を開けると、ピエゾ素子321の容量成分に溜まった電荷が放電されながら電圧が低下する。
【0051】
電圧変化情報検出部12は、ピエゾ素子321の電圧が上昇するときの上昇時間又は下降するときの下降時間を検出するものである。
【0052】
具体的に電圧変化情報検出部12は、ピエゾ素子321に印加する電圧を増加させた場合に上昇閾値電圧VU_THに到達するまでの上昇時間TUを検出し、又は、ピエゾ素子321に印加する電圧を減少させた場合に下降閾値電圧VD_THに到達するまでの下降時間TDを検出する。
【0053】
本実施形態の電圧変化情報検出部12は、ピエゾ素子321の電圧変化を直接的又は間接的に検出するものであり、ピエゾ素子321の入力端子(+電極及び-電極)間の電圧を測定する電圧測定部12aと、当該電圧測定部12aにより測定された電圧を用いて、上昇時間TU又は下降時間TDを算出する時間算出部12bとを有している。
【0054】
・時間算出部12bが下降時間T
Dを算出する場合
時間算出部12bは、
図4に示すように、検査用電圧V
Cの印加を停止した直後の過渡状態において、検査用電圧V
Cから下降閾値電圧V
D_THに到達するまでの時間を下降時間T
Dとして検出する。具体的に時間算出部12bは、検査用電圧V
Cが印加されている所定時刻から、検査用電圧V
Cの印加を止めて下降閾値電圧V
D_THに到達するまでの時間を下降時間T
Dとして検出する。
【0055】
なお、時間算出部12bは、検査用電圧VCの印加を止めた時刻から下降閾値電圧VD_THに到達するまでの時間を下降時間TDとして検出しても良い。その他、時間算出部12bは、検査用電圧VCから所定電圧低下した時刻から下降閾値電圧VD_THに到達するまでの時間を下降時間TDとして検出しても良い。
【0056】
・時間算出部12bが上昇時間T
Uを算出する場合
時間算出部12bは、
図5に示すように、検査用電圧V
Cの印加を開始した直後の過渡状態において、検査用電圧V
Cが印加される前の電圧(例えば0V)から上昇閾値電圧V
U_TH(ここでは検査用電圧V
C)に到達するまでの時間を上昇時間T
Uとして検出する。具体的に時間算出部12bは、検査用電圧V
Cが印加されていない所定時刻から、検査用電圧V
Cの印加を開始して上昇閾値電圧V
U_THに到達するまでの時間を上昇時間T
Uとして検出する。
【0057】
なお、時間算出部12bは、検査用電圧VCの印加を開始した時刻から上昇閾値電圧VU_THに到達するまでの時間を上昇時間TUとして検出しても良い。その他、時間算出部12bは、検査用電圧VCが印加される前の電圧(例えば0V)から所定電圧上昇した時刻から上昇閾値電圧VU_THに到達するまでの時間を上昇時間TUとして検出しても良い。
【0058】
状態判断部13は、電圧変化情報検出部12により検出された電圧変化情報と閾値とを比較することにより、ピエゾ素子321の状態を判断するものである。ここで、閾値は、劣化したピエゾ素子321の放電時間/充電時間を実験又はシミュレーション等で予め算出することにより設定することが考えられる。なお、複数の閾値を用いる場合には、劣化状態の異なる複数のピエゾ素子321の放電時間/充電時間を実験又はシミュレーション等で予め算出することにより設定することが考えられる。
【0059】
具体的に状態判断部13は、時間算出部12bにより測定された上昇時間TU又は下降時間TDと予め設定された閾値時間TU_TH、TD_THとを比較して、上昇時間TU又は下降時間TDと閾値時間TU_TH、TD_THとの比較結果に基づいて、ピエゾ素子321の状態を判断する。ここで、閾値時間TU_TH、TD_THの設定の仕方により、(1)早急に交換をする状態である、(2)故障まで半分程度劣化が進んでいる等の故障までの劣化具合、(3)所定期間に亘って正常に使用できる状態である、等の判断を行うことができる。
【0060】
例えば、下降時間TDを用いる場合には、状態判断部13は、時間算出部12bにより測定された下降時間TDと予め設定された閾値時間TD_THとを比較して、下降時間TDが閾値時間TD_THを下回った場合に、ピエゾ素子321が劣化している状態であると判断する。
【0061】
また、上昇時間TUを用いる場合には、状態判断部13は、時間算出部12bにより測定された上昇時間TUと予め設定された閾値時間TU_THとを比較して、上昇時間TUが閾値時間TU_THを下回った場合に、ピエゾ素子321が劣化している状態であると判断する。
【0062】
さらに、状態判断部13は、判断結果に基づいて、アラーム又はエラーを出力することもできる。ここで、状態判断部13は、音又は光を発する報知機器を制御する信号を出力する構成であっても良いし、ユーザ端末等のディスプレイにアラーム表示又はエラー表示するものであっても良い。その他、ユーザ側の装置(例えばユーザ端末又はプロセス制御装置等)に電圧信号を出力して、ユーザ側で判断できるように構成しても良い。また、状態検出部13は、電圧測定部12aで取得した電圧(秒数に対応する電圧値)を変換しアナログ信号として出力する構成であっても良い。このような構成でも、ユーザ側で劣化を判断することができる。
【0063】
<3.ピエゾ素子診断方法>
次に、本実施形態のピエゾ素子診断装置10によるピエゾ素子診断方法について説明する。
【0064】
本実施形態のピエゾ診断方法は、ピエゾバルブ32を駆動しない期間に実行される。ピエゾバルブ32を駆動しない期間とは、例えば、気化システム100の停止期間やピエゾバルブ32に駆動用電圧VOを印加しない期間等である。
【0065】
・下降時間TDを用いて診断する場合
ピエゾバルブ32を駆動しない期間に、検出用電源回路11のスイッチS1を閉じて、ピエゾ素子321に所定の検査用電圧VCを印加する。なお、検査用電圧VCの印加時間は予め設定された固定値である。また、本実施形態の検査用電圧は5Vである。
【0066】
その後、検出用電源回路11のスイッチS1を開けて、ピエゾ素子321への検査用電圧V
Cの印加を止める。そして、電圧変化情報検出部12は、電圧測定部12aにより測定されたピエゾ素子321の電圧(測定電圧)が下降閾値電圧V
D_THに到達するまでの下降時間T
Dを検出する(
図4参照)。
【0067】
そして、状態判断部13は、電圧変化情報検出部12により検出された下降時間TDと予め設定された閾値時間TD_THとを比較して、下降時間TDが下降閾値時間TD_THを下回っている場合には、ピエゾ素子321が劣化している状態であると判断する。
【0068】
・上昇時間TUを用いて診断する場合
ピエゾバルブ32を駆動しない期間に、検出用電源回路11のスイッチS1を閉じて、ピエゾ素子321に所定の検査用電圧VCを印加する。なお、検査用電圧VCの印加時間は予め設定された固定値である。また、本実施形態の検査用電圧は5Vである。
【0069】
このとき、電圧変化情報検出部12は、電圧測定部12aにより測定されたピエゾ素子321の電圧(測定電圧)が上昇閾値電圧V
U_THに到達するまでの上昇時間T
Uを検出する(
図5参照)。
【0070】
そして、状態判断部13は、電圧変化情報検出部12により検出された上昇時間TUと予め設定された閾値時間TU_THとを比較して、上昇時間TUが上昇閾値時間TU_THを下回っている場合には、ピエゾ素子321が劣化している状態であると判断する。
【0071】
<4.本実施形態の効果>
このように本実施形態における気化システム100によれば、ピエゾ素子321の電圧が上昇又は下降するときの電圧変化情報に基づいて、ピエゾ素子321の状態を判断するので、スパイクノイズ等の影響を受けることなく、ピエゾ素子321の状態を診断することができる。その結果、ピエゾバルブ32が不意に故障して、半導体プロセスに対して流量異常等が発生することを防止し、成膜異常やウェハロットアウト等の損害を防止することができる。
【0072】
<5.その他の実施形態>
例えば、
図6に示すように、検出用電源回路11が突入電流低減部14を有するものであっても良い。この突入電流低減部14は、ピエゾ素子321及びスイッチS1に並列に接続された固定抵抗141及びスイッチS2を有している。この構成において、検出用電源回路11による電圧印加開始時には、スイッチS1を閉じる前にスイッチS2を閉じて突入電流を固定抵抗141側に流す。その後、スイッチS2を開けるとともにスイッチS1を閉じる。これにより、突入電流低減部14の固定抵抗141に突入電流が流れて、ピエゾ素子321に突入電流が流れない。
【0073】
状態判断部13は、電圧変化情報と比較する閾値として、互いに異なる2つ以上の閾値を用いても良い。この構成であれば、複数の閾値を用いることによって、ピエゾ素子の劣化等の状態を複数の分類に分けることができ、ピエゾ素子の状態をより正確に診断することができる。例えば、ユーザに警報するための閾値と、ユーザにピエゾ素子(ピエゾバルブ)の交換を促すための閾値とを用いても良い。
【0074】
また、ピエゾ素子診断装置10は、
図7に示すように、ピエゾ素子321と直列に接続されたコンデンサ15を備えていても良い。このコンデンサ15は、検出用電源回路11においてピエゾ素子321と直列に接続されている。この構成であれば、ピエゾ素子321の電圧が上昇するときの電圧変化情報の変化スピードを調整する(例えば遅くする)ことができ、状態変化情報を正確且つ簡単に検出できる。なお、コンデンサ15をピエゾ素子321と並列に接続する構成も考えられる。
【0075】
さらに、ピエゾ素子診断装置10は、
図7に示すように、ピエゾ素子321と並列に接続された抵抗16を備えていても良い。この抵抗16は、固定抵抗又は可変抵抗であり、検出用電源回路11においてピエゾ素子321と並列に接続されている。この構成であれば、ピエゾ素子321の電圧が下降するときの電圧変化情報の変化スピードを調整する(例えば早くする)ことができ、状態変化情報を正確且つ簡単に検出できる。ピエゾ素子321の電圧が下降するときの電圧変化情報の変化スピード早くすることで、診断時間を短縮することができる。また、抵抗16を可変抵抗とすれば、状況に合わせて電圧変化情報の変化スピード(時間)を変更することができる。なお、
図7では、コンデンサ15及び抵抗16の両方を備えた回路構成であるが、コンデンサ15及び抵抗16の何れか一方を備えた回路構成であっても良い。なお、抵抗16をピエゾ素子321と並列に接続する構成も考えられる。また、
図8に示すように、抵抗16をピエゾ素子321及びコンデンサ15と並列に接続しても良い。
【0076】
電圧測定部12aの電圧測定箇所は、前記実施形態のように、ピエゾ素子321の入力端子(+電極及び-電極)間に限られない。前記実施形態のようにピエゾ素子321のみの電圧を測定した方が、充放電時のノイズが小さく、診断の精度は高いが、電圧測定部12aの電圧測定箇所は、
図9に示すように、種々の箇所とすることができる。
図9の(a)~(e)に示すように、電圧測定部12aは、ピエゾ素子321だけでなく、ピエゾ素子321に直列又は並列に接続されたコンデンサ15又は抵抗16を含むように、それらの電圧を測定しても良い。
【0077】
また、
図9の(f)に示すように、電圧測定部12aは、ピエゾ素子321に直列に接続された抵抗16の両端の電圧を測定する構成としても良い。この場合、測定された抵抗16の両端の電圧を用いて、ピエゾ素子321の充電時間又は放電時間に対応する抵抗16の電圧の時間変化を検出して、ピエゾ素子321の状態を判断することができる。また、測定された抵抗16の両端の電圧を用いて、ピエゾ素子321の充電時間又は放電時間を検出して、ピエゾ素子321の状態を判断することができる。
【0078】
さらに、
図9の(g)に示すように、電圧測定部12aは、ピエゾ素子321に直列に接続された抵抗16の両端の電圧と、ピエゾ素子321の両端の電圧とをそれぞれ測定する構成としても良い。この場合、測定された抵抗16の両端の電圧を用いて、ピエゾ素子321の抵抗値を検出することができる。また、測定されたピエゾ素子321の両端の電圧の時間変化(上昇時間又は下降時間)を検出する。そして、検出されたピエゾ素子321の抵抗値と、検出されたピエゾ素子321の電圧の時間変化(上昇時間又は下降時間)とから、ピエゾ素子の状態を判断する。このように、2つの判断指標を用いることによって、ピエゾ素子の状態をより正確に判断することができる。
【0079】
その上、
図10(a)に示すように、検出用電源回路11は、駆動用電源回路322と共通の筐体B1(制御ボックスB1)に収容した構成としても良い。この構成の場合は、切り替え機構17を共通の筐体B1(制御ボックスB1)に収容することが考えられる。ここで、駆動用電源回路322は制御装置4に含まれていても良く、この場合は、制御ボックスB1が制御装置4に対応する。つまり、制御装置4に検出用電源回路11が含まれることになる。また、
図10(b)に示すように、検出用電源回路11は、駆動用電源回路322を収容する第1筐体B11(駆動用制御ボックスB11)とは別の第2筐体B12(検査用制御ボックスB12)に収容した構成としても良い。この構成の場合、切り替え機構17を第2筐体B12に収容することが考えられる。ここで、駆動用電源回路322は制御装置4に含まれていても良く、この場合は、駆動用制御ボックスB11が制御装置4に対応する。なお、
図10(b)の検出用電源回路11は、直流電源11aを有する構成であっても良いし、駆動用電源回路322から供給される電圧を降圧して検査用電圧V
Cとする降圧回路する構成であっても良い。
【0080】
この切り替え機構17は、開閉スイッチ17a、17bを用いて構成されている。開閉スイッチ17aを閉じることにより、駆動用電源回路322がピエゾ素子321に接続され、開閉スイッチ17bを閉じることにより、検出用電源回路11がピエゾ素子321に接続される。そして、気化システム100の停止時などのようにピエゾバルブ32を駆動しない期間に、ピエゾ素子321に接続されている電源回路を切り替え機構17により切り替える。具体的にはピエゾ素子321に接続されている電源回路を駆動用電源回路322から検出用電源回路11に切り替える。
【0081】
前記実施形態では、検出用電源回路11により検査用電圧VCを印加して診断する構成であったが、駆動用電源回路322による駆動用電圧VOの印加開始時又は印加停止時におけるピエゾ素子321の電圧変化情報を検出してピエゾ素子321を診断する構成であっても良い。
【0082】
電圧変化情報検出部は、電圧変化情報として、ピエゾ素子の電圧の上昇時間又は下降時間を検出するものであったが、ピエゾ素子の電圧の変化率(電圧の微分値)や累積電圧(電圧の積分値)を検出するものであっても良い。なお、電圧の変化率や累積積分にはノイズが含まれるので、前記実施形態のように上昇時間又は下降時間を検出した方が、ピエゾ素子を正確に診断することができる。
【0083】
さらに、ピエゾ素子診断装置は、前回検出した上昇時間又は下降時間と、今回検出した上昇時間又は下降時間とを比較して、上昇時間又は下降時間の変化の傾きを算出して、ピエゾ素子321の寿命を予測する寿命予測部を有していても良い。
【0084】
また、気化方式はバブリングの他に、加熱方式等のその他の気化方式であっても良い。
【0085】
加えて、前記実施形態の気化部2及びマスフローコントローラ3は、本体ブロック5に取り付けられる構成であったが、本体ブロック5をそれぞれに対応して分離した構成としても良い。また、気化部2及びマスフローコントローラ3を配管で接続する構成としても良い。
【0086】
さらに加えて、前記実施形態の気化システムは、半導体製造装置のチャンバに材料ガスを供給するものであったが、その他のチャンバに材料ガスを供給するものであっても良い。
【0087】
また、前記実施形態のピエゾ素子診断装置は、気化システムに組み込まれたものであったが、気化システムとは別の装置(モジュール)としたものであっても良い。また、ピエゾ素子診断装置は、流体制御装置とは別の装置(モジュール)としたものであっても良い。
【0088】
また、ピエゾ素子診断装置は、電圧が印加されて駆動する用途で用いられるピエゾ素子の診断の他に、圧力が加えられて電圧を出力する用途で用いられるピエゾ素子を診断するものであっても良い。
【0089】
その他、本発明の趣旨に反しない限りにおいて様々な実施形態の変形や組み合わせを行っても構わない。
【符号の説明】
【0090】
100・・・気化システム
2 ・・・気化部
3 ・・・流体制御装置(マスフローコントローラ)
32 ・・・ピエゾバルブ
321・・・ピエゾ素子
322・・・駆動用電源回路
10 ・・・ピエゾ素子診断装置
11 ・・・検出用電源回路
12 ・・・電圧変化情報検出部
12a・・・電圧測定部
12b・・・時間算出部
13 ・・・状態判断部
14 ・・・突入電流低減部
141・・・固定抵抗
15 ・・・コンデンサ
16 ・・・抵抗
17 ・・・切り替え機構
B1 ・・・共通の筐体
B11・・・第1筐体
B12・・・第2筐体