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特開2024-171766微細藻類の濃縮方法、膜ろ過装置、制御プログラム及び制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171766
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】微細藻類の濃縮方法、膜ろ過装置、制御プログラム及び制御方法
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/12 20060101AFI20241205BHJP
   B01D 61/14 20060101ALI20241205BHJP
   B01D 61/22 20060101ALI20241205BHJP
   C12M 1/00 20060101ALI20241205BHJP
   C12N 1/12 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
C12M1/12
B01D61/14 500
B01D61/22
C12M1/00 E
C12N1/12 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】23
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023088965
(22)【出願日】2023-05-30
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和4年度、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「バイオジェット燃料生産技術開発事業/微細藻類基盤技術開発/微細藻バイオマスのカスケード利用に基づくバイオジェット燃料次世代事業モデルの実証研究」に係る委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】000006035
【氏名又は名称】三菱ケミカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100142309
【弁理士】
【氏名又は名称】君塚 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(72)【発明者】
【氏名】日根野谷 充
(72)【発明者】
【氏名】竹内 雅人
【テーマコード(参考)】
4B029
4B065
4D006
【Fターム(参考)】
4B029AA02
4B029BB04
4B029CC11
4B029DA08
4B029DF10
4B029DG08
4B065AA83X
4B065AA86X
4B065BC48
4B065BD18
4B065CA41
4B065CA50
4B065CA54
4D006GA06
4D006GA07
4D006HA01
4D006HA48
4D006HA61
4D006HA77
4D006HA93
4D006JA25A
4D006JA31A
4D006JA53Z
4D006JA57Z
4D006KA01
4D006KA43
4D006KB30
4D006KC02
4D006KC03
4D006KC13
4D006KC14
4D006KC16
4D006KD11
4D006KD15
4D006KD17
4D006KD24
4D006KE03P
4D006KE03Q
4D006KE23Q
4D006KE24Q
4D006KE30P
4D006MA01
4D006MA02
4D006MA03
4D006MA21
4D006MA33
4D006MC03
4D006MC11
4D006MC18
4D006MC22
4D006MC24
4D006MC29
4D006MC30
4D006MC39
4D006MC62
4D006MC63
4D006PA02
4D006PB20
4D006PC80
(57)【要約】
【課題】微細藻類の代謝が変化しても膜閉塞を十分に抑制しつつ、微細藻類を濃縮できる微細藻類の濃縮方法、膜ろ過装置、制御プログラム及び制御方法の提供。
【解決手段】太陽光を用いて培養した微細藻類を含む培養液Sを、分離膜を備えた濃縮手段21により膜ろ過して濃縮する方法であって、太陽光の日照条件に基づき、濃縮手段21の運転条件を制御する微細藻類の濃縮方法。太陽光を用いて培養した微細藻類を含む培養液Sを、分離膜により膜ろ過して濃縮する濃縮手段21と、太陽光の日照条件を記録する記録部221と、濃縮手段21の目標値を設定して記憶する記憶部222と、記録部221で記録された日照条件、及び記憶部222で記憶された目標値に基づき、濃縮手段21の運転条件を演算する演算部223と、演算部223で演算した結果に基づき、濃縮手段21の運転条件を制御する制御部224とを備える、膜ろ過装置20。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽光を用いて培養した微細藻類を含む培養液を、分離膜を備えた濃縮手段により膜ろ過して濃縮する方法であって、
前記太陽光の日照条件に基づき、前記濃縮手段の運転条件を制御する、微細藻類の濃縮方法。
【請求項2】
前記太陽光の日照条件を記録し、
前記濃縮手段の目標値を設定して記憶し、
記録された前記日照条件、及び記憶された前記目標値に基づき、前記濃縮手段の運転条件を演算し、
前記濃縮手段の運転条件の演算結果に基づき、前記濃縮手段の運転条件を制御する、請求項1に記載の微細藻類の濃縮方法。
【請求項3】
前記日照条件が、光合成光量子束密度、又は、日の出時刻及び日の入時刻の少なくとも一方である、請求項1又は2に記載の微細藻類の濃縮方法。
【請求項4】
前記濃縮手段の運転条件が、高速で膜ろ過を行う高速モードにおける平均膜ろ過流束La、及び前記高速モードよりも低速で膜ろ過を行う低速モードにおける平均膜ろ過流束Laの少なくとも一方を含み、
下記式(1)より求められる前記平均膜ろ過流束Laと前記平均膜ろ過流束Laとの比率Rが1.1~1.5である、請求項2に記載の微細藻類の濃縮方法。
R=La/La ・・・(1)
【請求項5】
前記膜ろ過と前記膜ろ過の停止を繰り返しながら前記培養液を濃縮し、
前記濃縮手段の運転条件が、前記膜ろ過の開始から停止終了までを前記膜ろ過の1サイクルとしたときの、前記高速モードでの前記1サイクルにおける前記膜ろ過の停止時間Toff、及び前記低速モードでの前記1サイクルにおける前記膜ろ過の停止時間Toffを含む、請求項4に記載の微細藻類の濃縮方法。
【請求項6】
前記膜ろ過と前記膜ろ過の停止を繰り返しながら前記培養液を濃縮し、
前記目標値は、日計画処理水量V、前記比率R、前記膜ろ過の開始から停止終了までを前記膜ろ過の1サイクルとしたときの前記1サイクルにおける膜ろ過時間、及び前記1サイクルにおける前記膜ろ過の停止時間から選ばれる1つ以上の値を用いて設定される、請求項4に記載の微細藻類の濃縮方法。
【請求項7】
前記目標値は、前記微細藻類の種類、培養時の季節、及び生産量から選ばれる1つ以上の要素を用いて設定される、請求項2に記載の微細藻類の濃縮方法。
【請求項8】
記録された前記日照条件により前記高速モードの運転期間T及び前記低速モードの運転期間Tを決定し、
前記日計画処理水量V、前記比率R、前記高速モードでの前記1サイクルにおける膜ろ過時間Ton及び前記膜ろ過の停止時間Toff、並びに前記低速モードでの前記1サイクルにおける膜ろ過時間Ton及び前記膜ろ過の停止時間Toffを設定し、
前記式(1)及び下記式(2)~(4)に基づき(ただし、下記式(2)~(4)中のAは前記分離膜の膜面積である。)、前記平均膜ろ過流束La及び前記平均膜ろ過流束Laと、前記高速モードにおける瞬間膜ろ過流束Li及び前記低速モードにおける瞬間膜ろ過流束Liを演算する、請求項6に記載の微細藻類の濃縮方法。
V=(La×T+La×T)×A ・・・(2)
i=R×V/(R×T+T)/{Ton/(Ton+Toff)}/A ・・・(3)
i=V/(R×T+T)/{Ton/(Ton+Toff)}/A ・・・(4)
【請求項9】
記録された前記日照条件により前記高速モードの運転期間T及び前記低速モードの運転期間Tを決定し、
前記日計画処理水量V、前記比率R、前記高速モードでの前記1サイクルにおける膜ろ過時間Ton、前記低速モードでの前記1サイクルにおける膜ろ過時間Ton、並びに前記高速モードにおける瞬間膜ろ過流束Li及び前記低速モードにおける瞬間膜ろ過流束Liを設定し、
前記式(1)及び下記式(2)、(5)、(6)に基づき(ただし、下記式(2)、(5)、(6)中のAは前記分離膜の膜面積である。)、前記平均膜ろ過流束La及び前記平均膜ろ過流束Laと、前記高速モードでの前記1サイクルにおける前記膜ろ過の停止時間Toff及び前記低速モードでの前記1サイクルにおける前記膜ろ過の停止時間Toffを演算する、請求項6に記載の微細藻類の濃縮方法。
V=(La×T+La×T)×A ・・・(2)
off=Li×A×Ton/{R×V/(R×T+T)}-Ton ・・・(5)
off=Li×A×Ton/{V/(R×T+T)}-Ton ・・・(6)
【請求項10】
前記濃縮手段の運転条件の演算結果に基づき、前記分離膜を透過した透過水を吸引する吸引ポンプ、又は前記分離膜に前記培養液を圧送する加圧ポンプの周波数及び発停の少なくとも一方を制御することで、前記濃縮手段の運転条件を制御する、請求項2に記載の微細藻類の濃縮方法。
【請求項11】
前記微細藻類が混合栄養型の微細藻類を含む、請求項1又は2に記載の微細藻類の濃縮方法。
【請求項12】
太陽光を用いて培養した微細藻類を含む培養液を、分離膜により膜ろ過して濃縮する濃縮手段と、
前記太陽光の日照条件を記録する記録部と、
前記濃縮手段の目標値を設定して記憶する記憶部と、
前記記録部で記録された前記日照条件、及び前記記憶部で記憶された前記目標値に基づき、前記濃縮手段の運転条件を演算する演算部と、
前記演算部で演算した結果に基づき、前記濃縮手段の運転条件を制御する制御部と、
を備える、膜ろ過装置。
【請求項13】
前記日照条件が、光合成光量子束密度、又は、日の出時刻及び日の入時刻の少なくとも一方である、請求項12に記載の膜ろ過装置。
【請求項14】
前記濃縮手段の運転条件が、高速で膜ろ過を行う高速モードにおける平均膜ろ過流束La、及び前記高速モードよりも低速で膜ろ過を行う低速モードにおける平均膜ろ過流束Laの少なくとも一方を含み、
下記式(1)より求められる前記平均膜ろ過流束Laと前記平均膜ろ過流束Laとの比率Rが1.1~1.5である、請求項12又は13に記載の膜ろ過装置。
R=La/La ・・・(1)
【請求項15】
前記膜ろ過と前記膜ろ過の停止を繰り返しながら前記培養液を濃縮し、
前記濃縮手段の運転条件が、前記膜ろ過の開始から停止終了までを前記膜ろ過の1サイクルとしたときの、前記高速モードでの前記1サイクルにおける前記膜ろ過の停止時間Toff、及び前記低速モードでの前記1サイクルにおける前記膜ろ過の停止時間Toffを含む、請求項14に記載の膜ろ過装置。
【請求項16】
前記膜ろ過と前記膜ろ過の停止を繰り返しながら前記培養液を濃縮し、
前記目標値は、日計画処理水量V、前記比率R、前記膜ろ過の開始から停止終了までを前記膜ろ過の1サイクルとしたときの前記1サイクルにおける膜ろ過時間、及び前記1サイクルにおける前記膜ろ過の停止時間から選ばれる1つ以上の値を用いて設定される、請求項14に記載の膜ろ過装置。
【請求項17】
前記目標値は、前記微細藻類の種類、培養時の季節、及び生産量から選ばれる1つ以上の要素を用いて設定される、請求項12又は13に記載の膜ろ過装置。
【請求項18】
前記記録部で記録された前記日照条件により前記高速モードの運転期間T及び前記低速モードの運転期間Tを決定し、
前記記憶部は、前記日計画処理水量V、前記比率R、前記高速モードでの前記1サイクルにおける膜ろ過時間Ton及び前記膜ろ過の停止時間Toff、並びに前記低速モードでの前記1サイクルにおける膜ろ過時間Ton及び前記膜ろ過の停止時間Toffを設定し、
前記演算部は、前記式(1)及び下記式(2)~(4)に基づき(ただし、下記式(2)~(4)中のAは前記分離膜の膜面積である。)、前記平均膜ろ過流束La及び前記平均膜ろ過流束Laと、前記高速モードにおける瞬間膜ろ過流束Li及び前記低速モードにおける瞬間膜ろ過流束Liを演算する、請求項16に記載の膜ろ過装置。
V=(La×T+La×T)×A ・・・(2)
i=R×V/(R×T+T)/{Ton/(Ton+Toff)}/A ・・・(3)
i=V/(R×T+T)/{Ton/(Ton+Toff)}/A ・・・(4)
【請求項19】
前記記録部で記録された前記日照条件により前記高速モードの運転期間T及び前記低速モードの運転期間Tを決定し、
前記記憶部は、前記日計画処理水量V、前記比率R、前記高速モードでの前記1サイクルにおける膜ろ過時間Ton、前記低速モードでの前記1サイクルにおける膜ろ過時間Ton、並びに前記高速モードにおける瞬間膜ろ過流束Li及び前記低速モードにおける瞬間膜ろ過流束Liを設定し、
前記演算部は、前記式(1)及び下記式(2)、(5)、(6)に基づき(ただし、下記式(2)、(5)、(6)中のAは前記分離膜の膜面積である。)、前記平均膜ろ過流束La及び前記平均膜ろ過流束Laと、前記高速モードでの前記1サイクルにおける前記膜ろ過の停止時間Toff及び前記低速モードでの前記1サイクルにおける前記膜ろ過の停止時間Toffを演算する、請求項16に記載の膜ろ過装置。
V=(La×T+La×T)×A ・・・(2)
off=Li×A×Ton/{R×V/(R×T+T)}-Ton ・・・(5)
off=Li×A×Ton/{V/(R×T+T)}-Ton ・・・(6)
【請求項20】
前記制御部は、前記演算部で演算した結果に基づき、前記分離膜を透過した透過水を吸引する吸引ポンプ、又は前記分離膜に前記培養液を圧送する加圧ポンプの周波数及び発停の少なくとも一方を制御することで、前記濃縮手段の運転条件を制御する、請求項12又は13に記載の膜ろ過装置。
【請求項21】
前記微細藻類が混合栄養型の微細藻類を含む、請求項12又は13に記載の膜ろ過装置。
【請求項22】
太陽光を用いて培養した微細藻類を含む培養液を、分離膜により膜ろ過して濃縮する濃縮手段を備えた膜ろ過装置を制御するためのプログラムであって、
前記膜ろ過装置のコンピュータに、
前記太陽光の日照条件を記録する記録処理と、
前記濃縮手段の目標値を設定して記憶する記憶処理と、
記録された前記日照条件、及び記憶された前記目標値に基づき、前記濃縮手段の運転条件を演算する演算処理と、
前記濃縮手段の運転条件の演算結果に基づき、前記濃縮手段の運転条件を制御する制御処理と、
を実行させる、制御プログラム。
【請求項23】
太陽光を用いて培養した微細藻類を含む培養液を、分離膜により膜ろ過して濃縮する濃縮手段を備えた膜ろ過装置を制御するための制御方法であって、
前記太陽光の日照条件を記録する記録工程と、
前記濃縮手段の目標値を設定して記憶する記憶工程と、
記録された前記日照条件、及び記憶された前記目標値に基づき、前記濃縮手段の運転条件を演算する演算工程と、
前記濃縮手段の運転条件の演算結果に基づき、前記濃縮手段の運転条件を制御する制御工程と、
を有する、制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微細藻類の濃縮方法、膜ろ過装置、制御プログラム及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、バイオマス燃料や、食品、化粧品等の材料等として、微生物、特に微細藻類が注目され、大規模プラントでの微細藻類の培養が盛んに行われている。微細藻類を工業利用する際には、通常、培養液から微細藻類を分離、濃縮して回収する必要がある。
微細藻類を濃縮する方法として、例えば分離膜を用いた方法が知られている。
【0003】
しかし、分離膜を用いて微細藻類を濃縮する場合、運転時間の経過と共に分離膜に微細藻類が付着することにより膜が目詰まりし(膜閉塞)、透水性能が低下するという問題がある。
特に、好気呼吸を行う微細藻類を含む培養液を濃縮すると、低酸素状態となって微細藻類が膜を目詰まりさせる物質(膜閉塞物)を分泌する場合があり、膜閉塞が発生しやすくなる可能性がある。
【0004】
そこで、分離膜を洗浄する方法が提案されている。
例えば特許文献1には、二酸化炭素を含む気体の散気によって、分離膜を備えた膜ユニットを洗浄する微細藻類の培養装置及び培養方法が開示されている。
また、特許文献2には、洗浄液を分離膜に供給して洗浄する液体洗浄工程と、洗浄ガスを分離膜に供給して洗浄する気体洗浄工程とを繰り返して、分離膜を洗浄する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014-76016号公報
【特許文献2】国際公開第2016/117081号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
微細藻類の培養は、日照等の外部条件が変化すると、微細藻類の代謝物の発生量や代謝速度も変化する。例えば、日中など、日照時間が長い場合や日射が強い場合、微細藻類は二酸化炭素、窒素、リン、有機物等を吸収して酸素を排出するため、膜閉塞は少ない傾向にある。一方、夜間など、日射が弱い場合や日射がない場合、微細藻類は酸素を吸収して二酸化炭素及び有機物等を排出するため、膜閉塞が発生しやすい傾向にある。
特許文献1、2に記載の方法では、微細藻類の代謝変化による膜閉塞に十分に対応できていない。
【0007】
本発明は、微細藻類の代謝が変化しても膜閉塞を十分に抑制しつつ、微細藻類を濃縮できる微細藻類の濃縮方法、膜ろ過装置、制御プログラム及び制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、下記の態様を有する。
[1] 太陽光を用いて培養した微細藻類を含む培養液を、分離膜を備えた濃縮手段により膜ろ過して濃縮する方法であって、
前記太陽光の日照条件に基づき、前記濃縮手段の運転条件を制御する、微細藻類の濃縮方法。
[2] 前記日照条件が、光合成光量子束密度、又は、日の出時刻及び日の入時刻の少なくとも一方である、前記[1]の微細藻類の濃縮方法。
[3] 前記太陽光の日照条件を記録し、
前記濃縮手段の目標値を設定して記憶し、
記録された前記日照条件、及び記憶された前記目標値に基づき、前記濃縮手段の運転条件を演算し、
前記濃縮手段の運転条件の演算結果に基づき、前記濃縮手段の運転条件を制御する、前記[1]又は[2]の微細藻類の濃縮方法。
[4] 前記目標値は、前記微細藻類の種類、培養時の季節、及び生産量から選ばれる1つ以上の要素を用いて設定される、前記[3]の微細藻類の濃縮方法。
[5] 前記濃縮手段の運転条件の演算結果に基づき、前記分離膜を透過した透過水を吸引する吸引ポンプ、又は前記分離膜に前記培養液を圧送する加圧ポンプの周波数及び発停の少なくとも一方を制御することで、前記濃縮手段の運転条件を制御する、前記[3]又は[4]の微細藻類の濃縮方法。
[6] 前記濃縮手段の運転条件が、高速で膜ろ過を行う高速モードにおける平均膜ろ過流束La、及び前記高速モードよりも低速で膜ろ過を行う低速モードにおける平均膜ろ過流束Laの少なくとも一方を含み、
下記式(1)より求められる前記平均膜ろ過流束Laと前記平均膜ろ過流束Laとの比率Rが1.1~1.5である、前記[3]~[5]のいずれかの微細藻類の濃縮方法。
R=La/La ・・・(1)
[7] 前記膜ろ過と前記膜ろ過の停止を繰り返しながら前記培養液を濃縮し、
前記濃縮手段の運転条件が、前記膜ろ過の開始から停止終了までを前記膜ろ過の1サイクルとしたときの、前記高速モードでの前記1サイクルにおける前記膜ろ過の停止時間Toff、及び前記低速モードでの前記1サイクルにおける前記膜ろ過の停止時間Toffを含む、前記[6]の微細藻類の濃縮方法。
[8] 前記膜ろ過と前記膜ろ過の停止を繰り返しながら前記培養液を濃縮し、
前記目標値は、日計画処理水量V、前記比率R、前記膜ろ過の開始から停止終了までを前記膜ろ過の1サイクルとしたときの前記1サイクルにおける膜ろ過時間、及び前記1サイクルにおける前記膜ろ過の停止時間から選ばれる1つ以上の値を用いて設定される、前記[6]又は[7]の微細藻類の濃縮方法。
[9] 記録された前記日照条件により前記高速モードの運転期間T及び前記低速モードの運転期間Tを決定し、
前記日計画処理水量V、前記比率R、前記高速モードでの前記1サイクルにおける膜ろ過時間Ton及び前記膜ろ過の停止時間Toff、並びに前記低速モードでの前記1サイクルにおける膜ろ過時間Ton及び前記膜ろ過の停止時間Toffを設定し、
前記式(1)及び下記式(2)~(4)に基づき(ただし、下記式(2)~(4)中のAは前記分離膜の膜面積である。)、前記平均膜ろ過流束La及び前記平均膜ろ過流束Laと、前記高速モードにおける瞬間膜ろ過流束Li及び前記低速モードにおける瞬間膜ろ過流束Liを演算する、前記[8]の微細藻類の濃縮方法。
V=(La×T+La×T)×A ・・・(2)
i=R×V/(R×T+T)/{Ton/(Ton+Toff)}/A ・・・(3)
i=V/(R×T+T)/{Ton/(Ton+Toff)}/A ・・・(4)
[10] 記録された前記日照条件により前記高速モードの運転期間T及び前記低速モードの運転期間Tを決定し、
前記日計画処理水量V、前記比率R、前記高速モードでの前記1サイクルにおける膜ろ過時間Ton、前記低速モードでの前記1サイクルにおける膜ろ過時間Ton、並びに前記高速モードにおける瞬間膜ろ過流束Li及び前記低速モードにおける瞬間膜ろ過流束Liを設定し、
前記式(1)及び下記式(2)、(5)、(6)に基づき(ただし、下記式(2)、(5)、(6)中のAは前記分離膜の膜面積である。)、前記平均膜ろ過流束La及び前記平均膜ろ過流束Laと、前記高速モードでの前記1サイクルにおける前記膜ろ過の停止時間Toff及び前記低速モードでの前記1サイクルにおける前記膜ろ過の停止時間Toffを演算する、前記[8]の微細藻類の濃縮方法。
V=(La×T+La×T)×A ・・・(2)
off=Li×A×Ton/{R×V/(R×T+T)}-Ton ・・・(5)
off=Li×A×Ton/{V/(R×T+T)}-Ton ・・・(6)
[11] 前記微細藻類が混合栄養型の微細藻類を含む、前記[1]~[10]のいずれかの微細藻類の濃縮方法。
【0009】
[12] 太陽光を用いて培養した微細藻類を含む培養液を、分離膜により膜ろ過して濃縮する濃縮手段と、
前記太陽光の日照条件を記録する記録部と、
前記濃縮手段の目標値を設定して記憶する記憶部と、
前記記録部で記録された前記日照条件、及び前記記憶部で記憶された前記目標値に基づき、前記濃縮手段の運転条件を演算する演算部と、
前記演算部で演算した結果に基づき、前記濃縮手段の運転条件を制御する制御部と、
を備える、膜ろ過装置。
[13] 前記日照条件が、光合成光量子束密度、又は、日の出時刻及び日の入時刻の少なくとも一方である、前記[12]の膜ろ過装置。
[14] 前記濃縮手段の運転条件が、高速で膜ろ過を行う高速モードにおける平均膜ろ過流束La、及び前記高速モードよりも低速で膜ろ過を行う低速モードにおける平均膜ろ過流束Laの少なくとも一方を含み、
下記式(1)より求められる前記平均膜ろ過流束Laと前記平均膜ろ過流束Laとの比率Rが1.1~1.5である、前記[12]又は[13]の膜ろ過装置。
R=La/La ・・・(1)
[15] 前記膜ろ過と前記膜ろ過の停止を繰り返しながら前記培養液を濃縮し、
前記濃縮手段の運転条件が、前記膜ろ過の開始から停止終了までを前記膜ろ過の1サイクルとしたときの、前記高速モードでの前記1サイクルにおける前記膜ろ過の停止時間Toff、及び前記低速モードでの前記1サイクルにおける前記膜ろ過の停止時間Toffを含む、前記[14]の膜ろ過装置。
[16] 前記膜ろ過と前記膜ろ過の停止を繰り返しながら前記培養液を濃縮し、
前記目標値は、日計画処理水量V、前記比率R、前記膜ろ過の開始から停止終了までを前記膜ろ過の1サイクルとしたときの前記1サイクルにおける膜ろ過時間、及び前記1サイクルにおける前記膜ろ過の停止時間から選ばれる1つ以上の値を用いて設定される、前記[14]又は[15]の膜ろ過装置。
[17] 前記記録部で記録された前記日照条件により前記高速モードの運転期間T及び前記低速モードの運転期間Tを決定し、
前記記憶部は、前記日計画処理水量V、前記比率R、前記高速モードでの前記1サイクルにおける膜ろ過時間Ton及び前記膜ろ過の停止時間Toff、並びに前記低速モードでの前記1サイクルにおける膜ろ過時間Ton及び前記膜ろ過の停止時間Toffを設定し、
前記演算部は、前記式(1)及び下記式(2)~(4)に基づき(ただし、下記式(2)~(4)中のAは前記分離膜の膜面積である。)、前記平均膜ろ過流束La及び前記平均膜ろ過流束Laと、前記高速モードにおける瞬間膜ろ過流束Li及び前記低速モードにおける瞬間膜ろ過流束Liを演算する、前記[16]の膜ろ過装置。
V=(La×T+La×T)×A ・・・(2)
i=R×V/(R×T+T)/{Ton/(Ton+Toff)}/A ・・・(3)
i=V/(R×T+T)/{Ton/(Ton+Toff)}/A ・・・(4)
[18] 前記記録部で記録された前記日照条件により前記高速モードの運転期間T及び前記低速モードの運転期間Tを決定し、
前記記憶部は、前記日計画処理水量V、前記比率R、前記高速モードでの前記1サイクルにおける膜ろ過時間Ton、前記低速モードでの前記1サイクルにおける膜ろ過時間Ton、並びに前記高速モードにおける瞬間膜ろ過流束Li及び前記低速モードにおける瞬間膜ろ過流束Liを設定し、
前記演算部は、前記式(1)及び下記式(2)、(5)、(6)に基づき(ただし、下記式(2)、(5)、(6)中のAは前記分離膜の膜面積である。)、前記平均膜ろ過流束La及び前記平均膜ろ過流束Laと、前記高速モードでの前記1サイクルにおける前記膜ろ過の停止時間Toff及び前記低速モードでの前記1サイクルにおける前記膜ろ過の停止時間Toffを演算する、前記[16]の膜ろ過装置。
V=(La×T+La×T)×A ・・・(2)
off=Li×A×Ton/{R×V/(R×T+T)}-Ton ・・・(5)
off=Li×A×Ton/{V/(R×T+T)}-Ton ・・・(6)
[19] 前記目標値は、前記微細藻類の種類、培養時の季節、及び生産量から選ばれる1つ以上の要素を用いて設定される、前記[12]~[18]のいずれかの膜ろ過装置。
[20] 前記制御部は、前記演算部で演算した結果に基づき、前記分離膜を透過した透過水を吸引する吸引ポンプ、又は前記分離膜に前記培養液を圧送する加圧ポンプの周波数及び発停の少なくとも一方を制御することで、前記濃縮手段の運転条件を制御する、前記[12]~[19]のいずれかの膜ろ過装置。
[21] 前記微細藻類が混合栄養型の微細藻類を含む、前記[12]~[20]のいずれかの膜ろ過装置。
【0010】
[22] 太陽光を用いて培養した微細藻類を含む培養液を、分離膜により膜ろ過して濃縮する濃縮手段を備えた膜ろ過装置を制御するためのプログラムであって、
前記膜ろ過装置のコンピュータに、
前記太陽光の日照条件を記録する記録処理と、
前記濃縮手段の目標値を設定して記憶する記憶処理と、
記録された前記日照条件、及び記憶された前記目標値に基づき、前記濃縮手段の運転条件を演算する演算処理と、
前記濃縮手段の運転条件の演算結果に基づき、前記濃縮手段の運転条件を制御する制御処理と、
を実行させる、制御プログラム。
[23] 太陽光を用いて培養した微細藻類を含む培養液を、分離膜により膜ろ過して濃縮する濃縮手段を備えた膜ろ過装置を制御するための制御方法であって、
前記太陽光の日照条件を記録する記録工程と、
前記濃縮手段の目標値を設定して記憶する記憶工程と、
記録された前記日照条件、及び記憶された前記目標値に基づき、前記濃縮手段の運転条件を演算する演算工程と、
前記濃縮手段の運転条件の演算結果に基づき、前記濃縮手段の運転条件を制御する制御工程と、
を有する、制御方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、微細藻類の代謝が変化しても膜閉塞を十分に抑制しつつ、微細藻類を濃縮できる微細藻類の濃縮方法、膜ろ過装置、制御プログラム及び制御方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第一の態様の膜ろ過装置を備えた培養・濃縮システムの一例を模式的に示す構成図である。
図2】本発明の微細藻類の濃縮方法の流れの一例を示すフローチャートである。
図3】本発明の第二の態様の膜ろ過装置を備えた培養・濃縮システムの一例を模式的に示す構成図である。
図4】実施例1における膜差圧及び光合成光量子束密度の測定結果を示すグラフである。
図5】実施例2における膜差圧及び光合成光量子束密度の測定結果を示すグラフである。
図6】実施例3における膜差圧及び光合成光量子束密度の測定結果を示すグラフである。
図7】比較例1における膜差圧及び光合成光量子束密度の測定結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る微細藻類の濃縮方法、膜ろ過装置、制御プログラム及び制御方法の一実施形態を挙げ、図1~3を適宜参照しながら詳述する。
なお、以下の説明で用いる各図面は、その特徴をわかりやすくするために、便宜上、特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率等は実際とは異なる場合がある。また、以下の説明において例示される材料、寸法等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
また、図3おいて、図1と同じ構成要素には同じ符号を付して、その説明を省略する。
【0014】
「第一の態様」
[微細藻類の培養・濃縮システム]
図1は、本実施形態の膜ろ過装置を備えた培養・濃縮システム1の構成図である。
図1に示す培養・濃縮システム1は、太陽光を用いて微細藻類を培養する培養装置10と、培養した微細藻類を濃縮する膜ろ過装置20とを備える。
【0015】
<培養装置>
培養装置10は、太陽光を用いて微細藻類を培養する装置である。
図1に示す培養装置10は、微細藻類を含む培養液Sを貯留する培養槽11と、培養液Sを膜ろ過装置20に供給する培養液流路12とを備える。
【0016】
(培養槽)
培養槽11としては、微細藻類の培養を閉鎖系で行う場合は閉鎖系の培養槽を用い、微細藻類の培養を開放系で行う場合は開放系の培養槽を用いればよい。
閉鎖系の培養槽としては、例えばフォトバイオリアクター型水槽が挙げられる。フォトバイオリアクター型水槽には、半密閉水槽と、密閉水槽があり、具体的には平板型水槽、チューブ型水槽、太陽光集光型水槽、内部照射型水槽が挙げられる。
開放系の培養槽としては、例えばオープンポンド型水槽が挙げられる。オープンポンド型水槽としては、具体的にはレースウェイ型水槽が挙げられる。また、培養槽11に代えて、池等で微細藻類の培養を行ってもよい。
また、培養槽11として、微細藻類の培養を開放系と密閉系の両方で行うことができる、ハイブリッド水槽を用いてもよい。
培養槽11としては、オープンポンド型水槽が好ましい。
【0017】
培養液Sは微細藻類を含み、濃縮の対象となる原水である。
微細藻類とは、光合成機能を有する単細胞生物であり、体長(細胞の長径)が100μm以下のものをいう。
培養される微細藻類としては特に制限されないが、例えば藍藻類、原核緑藻類、紅藻類、灰色藻類、クリプト藻類、渦鞭毛藻類、黄金色藻類、珪藻類、褐藻類、黄緑藻類、ハプト藻類、ラフィド藻類(緑色鞭藻類)、クロララクニオン藻類、ミドリムシ藻類(ユーグレナ)、プラシノ藻類、緑藻類、車軸藻類等が挙げられる。これらの中でも、混合栄養型の微細藻類が好適である。
混合栄養型とは、炭素源として二酸化炭素を利用する独立栄養と、炭素源として有機物を利用する従属栄養の両方の栄養形式を行う微細藻類のことである。
混合栄養型の微細藻類としては、例えばユーグレナ;緑藻類の一種であるボトリオコッカス、ヘマトコッカス、ナノクロリス、ドナリエラ;藍藻類の一種であるスピルリナ等が挙げられる。その中でも特に、多くの栄養素を含み、食品、化粧品等に好適に利用できる観点から、ユーグレナ、スピルリナが好ましい。
【0018】
(培養液流路)
培養液流路12は、培養槽11から培養液Sの一部を抜き出し、抜き出した培養液Sを膜ろ過装置20に供給する配管である。培養液流路12の一端は培養槽11に接続され、他端は後述する膜ろ過装置20の濃縮槽211に接続されている。
培養液流路12の途中には、原水ポンプP1が設置されている。原水ポンプP1は、培養槽11に貯留された培養液Sを培養槽11から抜き出し、濃縮槽211に加圧供給する手段である。原水ポンプP1としては、培養液Sを濃縮槽211に加圧供給できるものであれば、特に制限されない。
【0019】
<膜ろ過装置>
膜ろ過装置20は、太陽光を用いて培養した微細藻類を含む培養液Sを分離膜により膜ろ過して濃縮する装置である。本実施形態の膜ろ過装置20は、微細藻類の濃縮装置とも言える。
図1に示す膜ろ過装置20は、培養液Sを膜ろ過して濃縮する濃縮手段21と、濃縮手段21の運転を制御する制御手段22とを備える。
【0020】
(濃縮手段)
濃縮手段21は、濃縮槽211と、分離膜を備える膜モジュール212と、散気手段213と、透過水流路214と、透過水槽215と、濃縮水流路216と、逆洗水流路217を備える。
濃縮槽211には培養液流路12が接続されており、培養装置10から濃縮槽211へ培養液Sが供給される。
【0021】
膜モジュール212は、濃縮槽211内に配置され、培養装置10から供給された培養液S中に浸漬している。
膜モジュール212は、分離膜に導入された培養液Sを膜ろ過することで、分離膜を透過した透過水と、分離膜を透過せず、微細藻類が濃縮された濃縮水とに分離する手段である。
膜モジュール212では、培養液Sが分離膜で膜ろ過され、濃縮される。膜ろ過は、連続して行ってもよいし、断続的に行ってもよいが、断続的に行うことが好ましい。
ここで、膜ろ過を断続的に行うとは、膜ろ過と膜ろ過の停止を繰り返しながら培養液Sを分離膜で膜ろ過して濃縮することである。本発明においては、膜ろ過を断続的に行う場合、膜ろ過を開始してから、その膜ろ過を一旦停止し、その膜ろ過の停止が終了までを膜ろ過の1サイクルとする。
【0022】
この例の膜モジュール212は、複数の分離膜をシート状にしたシート状物212aと、シート状物212aを保持する一対のハウジング212bとを備えている。
シート状物212aは、複数の分離膜同士が一定間隔離れて配置されている。なお、分離膜が複数束ねられて分離膜束を形成し、複数の分離膜束同士が一定間隔離れて配置されてシート状物212aを形成していてもよい。
シート状物212aの長手方向の両端は、一対のハウジング212b内に挿入されて保持されている。
【0023】
分離膜の種類としては、大孔径膜、精密ろ過膜、限外ろ過膜等が挙げられる。
分離膜の公称孔径は10μm以下が好ましい。特に、大孔径膜の公称孔径は1~10μmが好ましい。精密ろ過膜の公称孔径は0.1~1μmが好ましい。限外ろ過膜の公称孔径は0.001~0.1μmが好ましい。分離膜の公称孔径が上記下限値以上であれば、固液分離に要する圧力を十分小さく抑えられる。分離膜の公称孔径が上記上限値以下であれば、微細藻類が透過水中に漏出しにくくなる。
なお、公称孔径とは、精密ろ過膜の場合、各粒子径のラテックス粒子の阻止率を測定し、粒子径と阻止率の近似曲線から算出した阻止率90%の粒子径であり、限外ろ過膜の場合、各ストークス径のデキストランの阻止率を測定し、ストークス径と阻止率の近似曲線から算出した阻止率90%のストークス径である。分離膜として市販品を用いる場合、カタログ値を公称孔径として採用してもよい。
【0024】
分離膜の形態としては、中空糸膜、管状膜(チューブラー膜、シングルボア型、マルチボア型など)、スパイラル膜、平膜、モノリス型膜等が挙げられる。これらの中でも、容積充填率が高いことから、中空糸膜、管状膜が好ましい。分離膜としてモノリス型膜を用いる場合は、セラミック製の膜を用いることが好ましい。
【0025】
膜モジュール212の分離膜に中空糸膜を用いる場合、その材質としては、セルロース、ポリオレフィン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリ四フッ化エチレン(PTFE)等が挙げられる。これらの中でも、中空糸膜の材質としては、耐薬品性やpH変化に強い点から、PVDF、PTFE、PESが好ましい。
中空糸膜の外径は、0.01~3mmが好ましく、0.05~1mmがより好ましい。
中空糸膜の内径は、0.005mm以上、1mm未満が好ましい。
なお、中空糸膜の外径は、中空糸膜の長手方向に対して垂直な任意の面で切断したとき、その切断面の外縁に内接する最小の円の直径を意味し、任意の2箇所以上、10箇所以下で測定した平均値として求める。中空糸膜の内径は、中空糸膜の長手方向に対して垂直な任意の面で切断したとき、その切断面の内縁に内接する最小の円の直径を意味し、任意の2箇所以上、10箇所以下で測定した平均値として求める。
【0026】
膜モジュール212の分離膜に管状膜を用いる場合、その材質としては、ポリオレフィン、PVDF、PTFE、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、酢酸セルロース、ポリスルホン、PES、セラミック等が挙げられる。これらの中でも、管状膜の材質としては、耐薬品性や膜モジュールへの加工性に優れる点から、PVDF、PTFE、PESが好ましい。
管状膜の内径は、1mm以上が好ましい。また、管状膜の内径は、10mm以下が好ましく、5mm以下がより好ましく、3mm以下がより好ましく、3mm未満がさらに好ましく、2mm以下が特に好ましい。
なお、管状膜の内径は、管状膜の長手方向に対して垂直な任意の面で切断したとき、その切断面の内縁に内接する最小の円の直径を意味し、任意の2箇所以上、10箇所以下で測定した平均値として求める。マルチボア型の管状膜の場合、任意の1箇所、又は2箇所以上の内径の平均値を、管状膜の内径とする。
【0027】
ハウジング212bは、シート状物212aの両端部が挿入され、固定される略中空状の部材である。図示例では、第1のハウジング212b及び第2のハウジング212bから構成される。すなわち、シート状物212aは、第1のハウジング212bと第2のハウジング212bとの間で保持される。
また、図示例では、第1のハウジング212bには後述の透過水流路214が接続され、分離膜を透過した透過水が膜モジュール212から排出されるように構成されている。
【0028】
散気手段213は、空気を濃縮槽211内の培養液Sに散気する散気管213aと、散気管213aに空気を供給する導入管213bと、空気を送気するブロア213cとを備えている。
散気管213aは、濃縮槽211内の膜モジュール212の下方に設置されている。
散気管213aとしては、ブロア213cから供給される空気を上方へ吐出できるものであれば特に限定されないが、例えば、穴あきの単管、メンブレン式散気管、サイフォン式散気管等が挙げられる。
散気管213aには導入管213bが接続され、ブロア213cから送気された空気が散気管213aに供給される。
導入管213bには、ブロア213cが設置されている。
【0029】
透過水流路214は、膜モジュール212の分離膜を透過した透過水、すなわち培養液Sから微細藻類が除去された分離液を膜モジュール212から排出し、透過水槽215へ供給する配管である。
透過水流路214の途中には、吸引ポンプP2、吸引バルブV1、及び流量計F1が設置されている。
吸引ポンプP2は、膜モジュール212の分離膜を透過した透過水を吸引して膜モジュール212から排出する手段である。吸引ポンプP2としては、透過水を吸引できるものであれば、特に制限されない。
吸引バルブV1は、透過水槽215への透過水の供給及び停止を切り替える手段である。
流量計F1は、膜モジュール212の分離膜にて膜ろ過される培養液Sの単位時間当たりの流量を計測する計測器である。流量計F1としては、膜ろ過される培養液Sの流量を計測できるものであれば、特に制限されない。
【0030】
透過水槽215は、膜モジュール212から排出された透過水を貯留する槽である。
透過水槽215は、透過水を貯留できるものであれば特に制限されない。
透過水槽215に貯留された透過水は、廃棄されてもよいし、分離膜を逆洗するための逆洗水として使用してもよい。
【0031】
濃縮水流路216は、膜モジュール212の分離膜を透過せず、微細藻類が濃縮された濃縮水を濃縮槽211から排出する配管である。
濃縮水流路216は濃縮槽211に接続されている。
濃縮槽211から排出された濃縮水は回収され、乾燥・抽出等の工程を経た後、様々な用途、例えばバイオマス燃料や、食品、化粧品等の材料などに利用される。
【0032】
逆洗水流路217は、透過水の少なくとも一部を膜モジュール212の分離膜を逆洗するための逆洗水として膜モジュール212に供給する配管である。
逆洗水流路217の途中には、逆洗バルブV2が設置されている。
逆洗バルブV2は、膜モジュール212への逆洗水の供給及び停止を切り替える手段である。
【0033】
(制御手段)
制御手段22は、記録部221、記憶部222、演算部223及び制御部224の各機能を有する。
【0034】
記録部221は、微細藻類の培養に利用する太陽光の日照条件を記録する。
太陽光の日照条件としては、光合成光量子束密度(PPFD)、日の出時刻及び日の入時刻の少なくとも一方などが挙げられる。
図1に示す記録部221は、日の出時刻及び日の入時刻の少なくとも一方を記録する。記録部221は、日の出時刻及び日の入時刻を記録することが好ましい。
また、記録部221では、現在時刻を記録することが好ましい。
【0035】
記憶部222は、濃縮手段21の目標値を設定して記憶する。
濃縮手段21の目標値は、日計画処理水量V、後述する比率R、膜ろ過の1サイクルにおける膜ろ過時間、及び膜ろ過の1サイクルにおける膜ろ過の停止時間から選ばれる1つ以上の値を用いて設定されることが好ましい。
また、別の側面では、目標値は、微細藻類の種類、培養時の季節、及び生産量から選ばれる1つ以上の要素を用いて設定されることが好ましい。
なお、日計画処理水量Vとは、1日に膜ろ過する培養液Sの処理水量の目標量である。
【0036】
演算部223は、記録部221で記録された日照条件、及び記憶部222で記憶された目標値に基づき、濃縮手段21の運転条件を演算する。
濃縮手段21の運転条件としては、例えば、高速で膜ろ過を行う高速モードにおける平均膜ろ過流束La、高速モードよりも低速で膜ろ過を行う低速モードにおける平均膜ろ過流束Laが挙げられる。
また、別の側面では、濃縮手段21の運転条件は、高速モードで膜ろ過する際の1サイクルにおける膜ろ過の停止時間Toff、低速モードで膜ろ過する際の1サイクルにおける膜ろ過の停止時間Toffが挙げられる。
また、別の側面では、濃縮手段21の運転条件は、高速モードにおける瞬間膜ろ過流束Li、低速モードにおける瞬間膜ろ過流束Liが挙げられる。
具体的な演算方法は後述する。
【0037】
なお、高速モード又は低速モードにおける平均膜ろ過流束とは、膜ろ過を停止したり分離膜を洗浄したりする場合に生じる損失を考慮した分離膜の二次側(透過側)の膜ろ過流束を、膜ろ過の1サイクルあたりの平均値に換算した値である。
高速モード又は低速モードにおける瞬間膜ろ過流束とは、膜ろ過を停止したり分離膜を洗浄したりする場合に生じる損失を考慮していない、分離膜の二次側(透過側)の膜ろ過流束のことである。
低速モードは、高速モードよりも低速で膜ろ過を行う運転モードであり、具体的には、下記式(1)より求められる平均膜ろ過流束Laと平均膜ろ過流束Laとの比率Rが1.1~1.5であることが好ましい。
R=La/La ・・・(1)
【0038】
制御部224は、濃縮手段21の運転条件の演算結果に基づき、濃縮手段21の運転条件を制御する。具体的は、吸引ポンプP2の周波数及び発停の少なくとも一方を制御することで、濃縮手段21の運転条件を制御することが好ましい。
【0039】
制御手段22の上記各機能は、例えばコンピュータで実行される制御プログラムにおいて実現することができる。
本実施形態の制御プログラムは、膜ろ過装置20のコンピュータ(図示略)に、太陽光の日照条件を記録する記録処理と、濃縮手段21の目標値を設定して記憶する記憶処理と、記録された日照条件、及び記憶された目標値に基づき、濃縮手段21の運転条件を演算する演算処理と、濃縮手段21の運転条件の演算結果に基づき、濃縮手段21の運転条件を制御する制御処理とを実行させるプログラムである。本実施形態の制御プログラムにより、膜ろ過装置20のコンピュータに、上述した記録処理と、記憶処理と、演算処理と、制御処理とを実行させることで、制御手段22の上記各機能を実現することができる。
【0040】
[微細藻類の濃縮方法]
以下、本発明の第一の態様の微細藻類の濃縮方法の一例について説明する。なお、以下に説明する微生物培養液の濃縮方法は、図1に示す培養・濃縮システム1を用いた微細藻類の濃縮方法の一例である。
本実施形態の微細藻類の濃縮方法は、培養装置10において、太陽光を用いて培養した微細藻類を含む培養液Sを、膜ろ過装置20の濃縮手段21により膜ろ過して濃縮する方法である。
具体的には、以下の通りである。
【0041】
まず、培養液流路12の途中に設けられた原水ポンプP1を駆動させ、培養槽11から太陽光を用いて培養した微細藻類を含む培養液Sの一部を抜き出し、濃縮槽211へ供給する。
吸引ポンプP2を稼働させて膜モジュール212内を減圧にすることによって、培養液Sを膜ろ過して透過水と濃縮水とに分離する。このとき、吸引バルブV1は開けておき、逆洗バルブV2は閉じておく。
また、ブロア213cを稼働させて散気管213aから空気を散気することが好ましい。空気を散気することによって、膜モジュール212の分離膜(例えば中空糸膜など)の表面を洗浄しながら、効率よく膜ろ過を行うことができる。
【0042】
膜モジュール212の分離膜を透過せず、微細藻類が濃縮された濃縮水は、濃縮水流路216を介して濃縮槽211から定期的に排出され、回収される。
膜モジュール212の分離膜を透過した透過水は、透過水流路214を介して膜モジュール212から排出され、透過水槽215へ貯留される。
【0043】
本実施形態においては、太陽光の日照条件に基づき濃縮手段21の運転条件を制御しながら培養液Sを膜ろ過して濃縮する。すなわち、膜ろ過装置20を制御する制御方法に基づき、微細藻類を濃縮する。
本実施形態の制御方法は、以下に示す記録工程と、記憶工程と、演算工程と、制御工程とを有する。
記録工程は、太陽光の日照条件を記録する工程である。
記憶工程は、濃縮手段21の目標値を設定して記憶する工程である。
演算工程は、記録された日照条件、及び記憶された目標値に基づき、濃縮手段21の運転条件を演算する工程である。
制御工程は、濃縮手段21の運転条件の演算結果に基づき、濃縮手段21の運転条件を制御する工程である。
太陽光の日照条件、濃縮手段21の目標値、及び濃縮手段21の運転条件は、上述した通りである。
【0044】
制御方法の上記各工程は、上述した制御プログラムにより、膜ろ過装置20の制御手段22の上記各機能を実現することで実行される。
以下、図2も参照しつつ、膜ろ過装置20を制御しながら微細藻類を濃縮する方法、すなわち培養液Sを膜ろ過する方法の一例を説明する。
【0045】
まず、記録部221で、太陽光の日照条件を記録する。
具体的には、培養槽11の設置場所の緯度、経度、標高及び日付け等により、培養槽11の設置場所の日の出時刻及び日の入時刻を記録部221で記録する(ステップS1)。太陽光の日照条件が日の出時刻及び日の入時刻であれば、将来の情報も把握できる。
【0046】
記録部221で記録された日照条件(日の出時刻及び日の入時刻)により、高速モードの運転期間T及び低速モードの運転期間Tを決定する(ステップS2)。
具体的には、日の出から日の入までの時間を高速モードの運転期間Tとし、日の入から日の出までの時間を低速モードの運転期間Tとする。すなわち、太陽光の日照条件として日の出時刻及び日の入時刻を採用する場合、運転期間Tは日の出から日の入までの日中を意味し、運転期間Tは日の入から日の出までの夜間を意味する。
なお、高速モードから低速モードへの切り替えのタイミングにおいて、培養槽11から濃縮槽211までの滞留時間分を日の入時刻から遅らせることができる。これは日照条件の変化に伴い微細藻類の代謝変化が起こっても、直ちに膜閉塞性が変化するわけではなく、変化した代謝物が培養液中に置き換わった後、分離膜の表面に到達するまでに時間を要するためである。膜低速モードから高速モードへ切り替える際も同様である。
【0047】
別途、記憶部222で、濃縮手段21の目標値を設定して記憶する。
具体的には、日計画処理水量V、比率R、高速モードで膜ろ過する際の1サイクルにおける膜ろ過時間Ton及び膜ろ過の停止時間Toff、並びに低速モードで膜ろ過する際の1サイクルにおける膜ろ過時間Ton及び膜ろ過の停止時間Toffを設定する(設定1)。
また、日計画処理水量V、比率R、高速モードで膜ろ過する際の1サイクルにおける膜ろ過時間Ton、低速モードで膜ろ過する際の1サイクルにおける膜ろ過時間Ton、並びに高速モードにおける瞬間膜ろ過流束Li及び低速モードにおける瞬間膜ろ過流束Liを設定してもよい(設定2)。
なお、これらの目標値は、微細藻類の種類、培養時の季節、及び生産量の1つ以上に応じて設定される。
【0048】
次いで、記録部221で記録された日照条件、及び記憶部222で記憶された目標値に基づき、演算部223で濃縮手段21の運転条件を演算する。
設定1の場合は、下記式(1)~(4)に基づき、高速モードにおける平均膜ろ過流束La及び低速モードにおける平均膜ろ過流束Laと、高速モードにおける瞬間膜ろ過流束Li及び低速モードにおける瞬間膜ろ過流束Liを演算する。
設定2の場合は、下記式(1)、(2)、(5)、(6)に基づき、高速モードにおける平均膜ろ過流束La及び低速モードにおける平均膜ろ過流束Laと、高速モードで膜ろ過する際の1サイクルにおける膜ろ過の停止時間Toff及び低速モードで膜ろ過する際の1サイクルにおける膜ろ過の停止時間Toffを演算する。
なお、下記式(2)~(6)中のAは分離膜の膜面積である。
R=La/La ・・・(1)
V=(La×T+La×T)×A ・・・(2)
i=R×V/(R×T+T)/{Ton/(Ton+Toff)}/A ・・・(3)
i=V/(R×T+T)/{Ton/(Ton+Toff)}/A ・・・(4)
off=Li×A×Ton/{R×V/(R×T+T)}-Ton ・・・(5)
off=Li×A×Ton/{V/(R×T+T)}-Ton ・・・(6)
【0049】
次いで、濃縮手段21の運転条件の演算結果に基づき、制御部224で吸引ポンプP2の周波数及び発停の少なくとも一方を制御することで、濃縮手段21の運転条件を制御する。
具体的には、まず、膜ろ過する現在の時刻に基づき、膜ろ過を高速モードで行うべきか判定する(ステップS3)。
【0050】
膜ろ過を高速モードで行う時刻のときは、高速モードにおける平均膜ろ過流束La及び瞬間膜ろ過流束Liとなるように吸引ポンプP2の周波数及び発停の少なくとも一方を制御しながら、膜ろ過を行う(ステップS4-1)。
膜ろ過は、設定された膜ろ過時間Tonに到達まで行う(ステップS4-2)。
膜ろ過時間Tonに到達した後に、膜ろ過を停止する(ステップS4-3)。
設定又は演算された膜ろ過の停止時間Toffに到達するまで膜ろ過を停止した後(停止終了後)、ステップS3に戻り、現在の時刻に基づき、膜ろ過を高速モードで行うべきか判定する。
こうして、日中は高速モードでの膜ろ過と、膜ろ過の停止を繰り返す。
【0051】
膜ろ過を低速モードで行う時刻のときは、低速モードにおける平均膜ろ過流束La及び瞬間膜ろ過流束Liとなるように吸引ポンプP2の周波数及び発停の少なくとも一方を制御しながら、膜ろ過を行う(ステップS5-1)。
膜ろ過は、設定された膜ろ過時間Tonに到達まで行う(ステップS5-2)。
膜ろ過時間Tonに到達した後に、膜ろ過を停止する(ステップS5-3)。
設定又は演算された膜ろ過の停止時間Toffに到達するまで膜ろ過を停止した後(停止終了後)、ステップS3に戻り、現在の時刻に基づき、膜ろ過を高速モードで行うべきか判定する。
こうして、夜間は低速モードでの膜ろ過と、膜ろ過の停止を繰り返す。
【0052】
膜ろ過を停止している間は、分離膜を洗浄することが好ましい。
分離膜の洗浄方法としては、散気管213aから空気を散気することにより分離膜を振動させて、膜面の付着物質を除去する洗浄方法が挙げられる。すなわち、膜ろ過を停止している間、吸引ポンプP2は停止するが、ブロア213cは稼働し続けることが好ましい。
【0053】
また、分離膜に対して、膜ろ過方向(透過水の吸引方向)とは逆方向の水圧を与えて、膜面の付着物質を除去する逆圧洗浄(逆洗)を行ってもよい。分離膜の逆洗に用いる逆洗水として、透過水を使用してもよい。
透過水を逆洗水として用いる場合は、吸引バルブV1を閉じ、逆洗バルブV2を開けて、吸引ポンプP2により透過水槽215から透過水の一部を抜き出し、膜モジュール212へ供給すればよい。このとき、逆洗水に洗浄用の薬剤を添加してもよい。
【0054】
さらに、高速モードと低速モードとを切り替えるタイミングで、分離膜を薬洗してもよい。分離膜を薬洗する際には、逆洗水に洗浄用の薬剤を添加する。
薬洗の際に用いる薬剤としては、微細藻類に対して影響しにくい薬剤であれば特に制限されないが、例えば次亜塩素酸、次亜塩素酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、硫酸、クエン酸等が挙げられる。
【0055】
高速モードで膜ろ過する場合は、平均膜ろ過流束La及び瞬間膜ろ過流束Liを増加させることが好ましい。また、膜ろ過の停止時間Toffを短くすることが好ましい。膜ろ過の停止中に分離膜を洗浄する場合、散気量、逆洗水量、及び逆洗水への薬剤の添加量の1つ以上を減少させることが好ましい。
高速モードにおける平均膜ろ過流束La及び瞬間膜ろ過流束Li等は、微細藻類の種類、分離膜の形態や公称孔径、培養の季節等にもよるので一概にはいえないが、一例として、平均膜ろ過流束Laは0.4~2.0m/dが好ましく、0.6~1.0m/dがより好ましい。瞬間膜ろ過流束Liは0.45~2.2m/dが好ましく、0.65~1.1m/dがより好ましい。膜ろ過の停止時間Toffは0.1~1.0分が好ましく、0.2~0.5分がより好ましい。散気線速度は50~200m/時間が好ましい。逆洗水量は0~2.0L/mが好ましく、0.2~1.5L/mがより好ましい。
【0056】
一方、低速モードで膜ろ過する場合は、低速モードにおける平均膜ろ過流束La及び瞬間膜ろ過流束Liを減少させることが好ましい。また、膜ろ過の停止時間Toffを長くすることが好ましい。膜ろ過の停止中に分離膜を洗浄する場合、散気量、逆洗水量、及び逆洗水への薬剤の添加量の1つ以上を増加させることが好ましい。
低速モードにおける平均膜ろ過流束La及び瞬間膜ろ過流束Li等は、微細藻類の種類、分離膜の形態や公称孔径、培養の季節等にもよるので一概にはいえないが、一例として、平均膜ろ過流束Laは0.2~1.5m/dが好ましく、0.3~1.2m/dがより好ましい。瞬間膜ろ過流束Liは0.25~1.7m/dが好ましく、0.35~1.4m/dがより好ましい。膜ろ過の停止時間Toffは0.2~1.5分が好ましく、0.5~1.0分がより好ましい。散気線速度は50~150m/時間が好ましい。逆洗水量は0.1~2.5L/mが好ましく、0.5~2.0L/mがより好ましい。
ただし、上記式(1)より求められる平均膜ろ過流束Laと平均膜ろ過流束Laとの比率Rが1.1~1.5であることが好ましい。
【0057】
[作用効果]
以上説明した、本発明の第一の態様の微細藻類の濃縮方法及び膜ろ過装置では、培養に用いる太陽光の日照条件に応じて、膜ろ過装置の濃縮手段の運転条件を制御する。すなわち、本発明であれば、膜閉塞が比較的少ない日中は膜ろ過の処理量を増やし、膜閉塞が発生しやすい夜間は膜ろ過の処理量を減らすように、濃縮手段の運転条件を制御できる。よって、夜間における膜閉塞の発生を軽減できる。また、膜ろ過を停止している間は分離膜の洗浄を行うことができるので、膜閉塞をより抑制できる。
このように、本発明であれば、微細藻類の代謝が変化しても膜閉塞を十分に抑制しつつ、微細藻類を濃縮できる。
【0058】
なお、図1に示す培養・濃縮システム1では、1つの培養槽11を備えているが、複数の培養槽を設置して微細藻類を同時に培養してもよい。
また、図1に示す膜モジュール212は浸漬型であり、out-in方式で膜ろ過するものであるが、加圧型で膜ろ過するものであってもよい。加圧型で膜ろ過する場合、加圧方式は特に制限されず、内圧式(in-out方式)であってもよいし、外圧式(out-in方式)であってもよい。例えば分離膜がin-out方式の加圧型中空糸膜の場合、中空糸膜の内側に培養液Sを加圧ポンプ(図1の原水ポンプP1に相当)で圧送し、外側で透過水を得てもよい。この場合、濃縮した微細藻類は逆洗や中空部に空気を流すことで押し出して回収される。
加圧型で膜ろ過する場合、制御部では、濃縮手段の運転条件の演算結果に基づき、加圧ポンプ(図1の原水ポンプP1に相当)の周波数及び発停の少なくとも一方を制御することで、濃縮手段の運転条件を制御することが好ましい。具体的には、膜ろ過を高速モードで行う時刻のときは、高速モードにおける平均膜ろ過流束LHa及び瞬間膜ろ過流束LHiとなるように加圧ポンプの周波数及び発停の少なくとも一方を制御しながら、膜ろ過を行うことが好ましい。膜ろ過を低速モードで行う時刻のときは、低速モードにおける平均膜ろ過流束La及び瞬間膜ろ過流束Liとなるように加圧ポンプの周波数及び発停の少なくとも一方を制御しながら、膜ろ過を行うことが好ましい。
【0059】
「第二の態様」
[微細藻類の培養・濃縮システム]
図3は、本実施形態の膜ろ過装置を備えた培養・濃縮システム2の構成図である。
図3に示す培養・濃縮システム2は、太陽光を用いて微細藻類を培養する培養装置10と、培養した微細藻類を濃縮する膜ろ過装置20とを備える。
図3に示す培養・濃縮システム2では、膜ろ過装置20の制御手段22が測定部225の機能をさらに有すること以外は、第一の態様と同様である。
【0060】
本実施形態における膜ろ過装置20の制御手段22は、記録部221、記憶部222、演算部223、制御部224及び測定部225の各機能を有する。
測定部225は、培養槽11内の培養液Sの表面の光合成光量子束密度(PPFD)を測定する。
培養液Sの表面のPPFDは、例えばPPFD測定器を用いて測定できる。図3に示す膜ろ過装置20では、PPFD測定器の検出部は培養槽11内に設置されているが、PPFD測定器の検出部は必ずしも培養槽11内に設置する必要はない。例えば、培養液Sの表面のPPFDと概ね一致する場所、具体的には培養槽11から水平距離1000m以内、垂直距離10m以内であり、物陰等で太陽光を遮られない場所にPPFD測定器の検出部を設置してもよい。
なお、図3に示す記録部221では、太陽光の日照条件のうちPPFDを記録する。
【0061】
[微細藻類の培養方法]
以下、本発明の第二の態様の微細藻類の濃縮方法の一例について説明する。なお、以下に説明する微生物培養液の濃縮方法は、図3に示す培養・濃縮システム2を用いた微細藻類の濃縮方法の一例である。
上述した本発明の第一の態様の微細藻類の濃縮方法では、太陽光の日照条件として日の出時刻及び日の入時刻により高速モードの運転期間T及び低速モードの運転期間Tを決定しているが、本実施形態の微細藻類の濃縮方法では、太陽光の日照条件としてPPFDを記録部221で記録し、記録されたPPFDの測定値に基づいて、高速モードの運転期間T及び低速モードの運転期間Tを決定する。それ以外は、本発明の第一の態様の微細藻類の濃縮方法と同様にして濃縮手段21の運転条件を制御しながら培養液Sを膜ろ過して濃縮する。
高速モードの運転期間T及び低速モードの運転期間Tの決定方法を以下に説明する。それ以外の工程は本発明の第一の態様の微細藻類の濃縮方法と同様であるため、説明を省略する。
【0062】
まず、測定部225で、培養槽11内の培養液Sの表面のPPFDを測定する。
次いで、記録部221で、太陽光の日照条件を記録する。具体的には、PPFDの測定値を記録部221で記録する。
また、記録部221では、現在時刻を記録することが好ましい。
【0063】
記録部221で記録された日照条件(PPFDの測定値)により、高速モードの運転期間T及び低速モードの運転期間Tを決定する。太陽光の日照条件がPPFDであれば、リアルタイムでの測定値に基づいて運転期間T及び運転期間Tを決定できる。
運転期間T及び運転期間Tは、例えば直近過去の25時間のPPFDの測定値を元に、以下のようにして演算する。
運転期間Tは、直近過去の25時間のうちPPFDが60μmol/m/s以上であった積算時間であり、高速モードから低速モードへ切り替える際に薬洗を実施する場合は、先の積算時間から薬洗時間を減じて演算する。
運転期間Tは、直近過去の25時間のうちPPFDが60μmol/m/s未満であった積算時間であり、低速モードから高速モードへ切り替える際に薬洗を実施する場合は、先の積算時間から薬洗時間を減じて演算する。
直近過去の25時間のPPFDの閾値は、培養する微細藻類の代謝変化が起こる値に設定することができ、別の側面では35μmol/m/s、30μmol/m/sなどが選択可能である。
【0064】
PPFDの測定値により運転期間T及び運転期間Tを決定した後は、本発明の第一の態様の微細藻類の濃縮方法と同様にして濃縮手段21の運転条件を演算し、図2に示すステップS3以降を実行して培養液Sを膜ろ過して濃縮する。
【0065】
なお、PPFDの測定値を高速モードと低速モードの切り替えるタイミングの指標としてもよい。一例としては、培養槽11内の培養液Sの表面のPPFDが、60μmol/m/s未満となったら低速モードに切り替え、60μmol/m/s以上となったら高速モードに切り替える。また、別の側面では、培養槽11内の培養液Sの表面のPPFDが、35μmol/m/s未満となったら低速モードに切り替え、35μmol/m/s以上となったら高速モードに切り替えてもよい。また、別の側面では、培養槽11内の培養液Sの表面のPPFDが、30μmol/m/s未満となったら低速モードに切り替え、30μmol/m/s以上となったら高速モードに切り替えてもよい。切り替えのタイミングは、本発明の第一の態様の微細藻類の濃縮方法と同様に、培養槽11から濃縮槽211までの滞留時間分は遅らせることができる。
この場合、PPFDの測定値と、濃縮手段21の運転条件の演算結果に基づいて、制御部224にて濃縮手段21の運転条件を制御する。PPFDの測定値を高速モードと低速モードの切り替えるタイミングの指標とする場合でも、濃縮手段の運転条件の演算においては、演算時よりも将来の運転期間T及び運転期間Tが必要となるため、現在のPPFDの測定値によらず、直近過去の25時間のPPFDの測定値を元に演算した値を用いる。なお、濃縮手段21の運転条件は、本発明の第一の態様の微細藻類の濃縮方法と同様にして演算してもよい。すなわち、日の出時刻及び日の入時刻より運転期間T及び運転期間Tを決定し、記憶部222で記憶された目標値に基づき、具体的には上記式(1)~(4)、又は上記式(1)、(2)、(5)、(6)により、濃縮手段21の運転条件を演算してもよい。
【0066】
[作用効果]
以上説明した、本発明の第二の態様の微細藻類の濃縮方法及び膜ろ過装置では、培養に用いる太陽光の日照条件に応じて、膜ろ過装置の濃縮手段の運転条件を制御するので、微細藻類の代謝が変化しても膜閉塞を十分に抑制しつつ、微細藻類を濃縮できる。
【実施例0067】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。本発明の実施の形態は、本発明の要旨を変更しない限り、種々の変形が可能である。
【0068】
[実施例1]
図3に示す培養・濃縮システム2を用い、以下のようにして、太陽光を用いて培養した微細藻類を含む培養液を濃縮した。
膜モジュール212としては、浸漬型中空糸膜モジュール(三菱ケミカル株式会社製、商品名「50E0006SM」、公称孔径0.4μm、膜外径2.8mm、膜面積6m)を8枚用いた(使用した合計の膜面積48m)。
【0069】
まず、微細藻類(Euglena gracilis)をCM培地(Cramer andMyers培地)にて、pHを2.1~2.6に調整し、太陽光の当たる屋外の培養槽11で培養した。微細藻類の濃度は平均690mg/Lであった。
【0070】
原水ポンプP1を駆動させ、培養槽11から培養液Sの一部を抜き出し、濃縮槽211へ供給した。
吸引ポンプP2を稼働させて膜モジュール212内を減圧にし、以下に示す運転条件により培養液Sを膜ろ過して透過水と濃縮水とに分離した。このとき、吸引バルブV1は開けておき、逆洗バルブV2は閉じておいた。また、ブロア213cを稼働させて散気管213aから、散気線速度50m/時間で空気を散気した。
膜モジュール212の分離膜を透過せず、微細藻類が濃縮された濃縮水を、濃縮槽211内が10倍濃縮となるように、濃縮水流路216を介して濃縮槽211から定期的に排出し、回収した。このとき培養槽11から濃縮槽211までの滞留時間は60分であった。
膜モジュール212の分離膜を透過した透過水を、透過水流路214を介して膜モジュール212から排出し、透過水槽215へ貯留した。
【0071】
<濃縮手段の運転条件>
まず、測定部225で、培養槽11内の培養液Sの表面のPPFDを測定した。
次いで、記録部221で、PPFDの測定値を記録した。また、記録部221で、現在時刻を記録した。
記録部221で記録された日照条件(PPFDの測定値)により、高速モードの運転期間T及び低速モードの運転期間Tを以下のようにして決定した。
運転期間Tは、直近過去の25時間のうちPPFDが30μmol/m/s以上であった積算時間から薬洗時間60分を減じて演算した。
運転期間Tは、直近過去の25時間のうちPPFDが30μmol/m/s未満であった積算時間から薬洗時間60分を減じて演算した。
【0072】
別途、記憶部222で、濃縮手段21の目標値を設定して記憶した。
具体的には、日計画処理水量V、比率R、高速モードで膜ろ過する際の1サイクルにおける膜ろ過時間Ton及び膜ろ過の停止時間Toff、並びに低速モードで膜ろ過する際の1サイクルにおける膜ろ過時間Ton及び膜ろ過の停止時間Toffを、表1に示す値となるように設定した(設定1)。
【0073】
次いで、記録部221で記録された日照条件、及び記憶部222で記憶された目標値に基づき、演算部223で濃縮手段21の運転条件を演算した。具体的には、上記式(1)~(4)に基づき、高速モードにおける平均膜ろ過流束La及び低速モードにおける平均膜ろ過流束Laと、高速モードにおける瞬間膜ろ過流束Li及び低速モードにおける瞬間膜ろ過流束Liを演算した。結果を表1に示す。
【0074】
日中は、高速モードで膜ろ過を行った。具体的には、膜ろ過の開始を0分としたときに、0~650分間は、高速モードで膜ろ過を行った。
なお、膜ろ過の停止中、散気管213aからの散気を続けて分離膜の洗浄を行った。また、吸引ポンプP2を停止した(逆洗は行わなかった。)。
【0075】
高速モードと低速モードを切り替えるタイミングの指標はPPFDの測定値とし、PPFDが30μmol/m/s未満となった時間から60分後(滞留時間)に切り替えた。
【0076】
高速モードと低速モードを切り替えるタイミングで、分離膜を30分間、薬洗した。具体的には、吸引バルブV1を閉じ、逆洗バルブV2を開けて、吸引ポンプP2により透過水槽215から透過水の一部を抜き出し、膜モジュール212へ供給することで、分離膜を薬洗(インライン洗浄)した。このとき、薬剤として次亜塩素酸ナトリウムを濃度が200mg/Lとなるように、透過水槽215から抜き出した透過水(逆洗水)に添加した。薬洗水量は2L/mとした。洗浄時間30分に加え、薬洗の切り替え作業に30分間を要したため、薬洗時間は60分間(650~710分間)となった。
【0077】
夜間は、低速モードで膜ろ過を行った。具体的には、710~1380分間は、低速モードで膜ろ過を行った。
なお、膜ろ過の停止中、散気管213aからの散気を続けて分離膜の洗浄を行った。また、吸引ポンプP2を停止した(逆洗は行わなかった。)。
【0078】
<測定>
膜ろ過開始(0分)から1380分経過するまでの間の、膜差圧(分離膜の一次側及び二次側の圧力差)と、培養槽11内の培養液Sの表面のPPFDを測定した。結果を図4に示す。
【0079】
[実施例2]
高速モードの運転期間T及び低速モードの運転期間Tと、日中及び夜間における濃縮手段21の目標値及び運転条件を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして培養液Sを膜ろ過により濃縮し、分離膜の膜差圧と、培養槽11内の培養液Sの表面のPPFDを測定した。結果を図5に示す。
【0080】
[実施例3]
高速モードの運転期間T及び低速モードの運転期間Tと、日中及び夜間における濃縮手段21の目標値及び運転条件を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして培養液Sを膜ろ過により濃縮し、分離膜の膜差圧と、培養槽11内の培養液Sの表面のPPFDを測定した。結果を図6に示す。
【0081】
[比較例1]
高速モードの運転期間T及び低速モードの運転期間Tと、日中及び夜間における濃縮手段21の目標値及び運転条件を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして培養液Sを膜ろ過により濃縮し、分離膜の膜差圧と、培養槽11内の培養液Sの表面のPPFDを測定した。結果を図7に示す。なお、平均膜ろ過流束及び瞬間膜ろ過流束の計算においては、運転期間を1380分間としたが、実際には1300分の時点で膜差圧の上昇により運転継続が困難となった。
【0082】
【表1】
【0083】
図4~7の結果から明らかなように、日中と夜間とで濃縮手段の運転条件を制御した実施例1~3の場合は、夜間における分離膜の膜差圧の上昇を抑制できた。一方、一定モードで濃縮手段を運転した比較例1の場合は、夜間における分離膜の膜差圧が実施例1~3に比べて上昇した。膜差圧が小さいほど目詰まりが抑制されたことを意味することから、実施例1~3であれば、膜閉塞が発生しやすい夜間であっても膜閉塞を抑制しつつ膜ろ過できた。
これらの結果より、本発明であれば微細藻類の代謝が変化しても膜閉塞を十分に抑制しつつ、微細藻類を濃縮できることが示された。
【符号の説明】
【0084】
1 培養・濃縮システム
2 培養・濃縮システム
10 培養装置
11 培養槽
12 培養液流路
20 膜ろ過装置
21 濃縮手段
211 濃縮槽
212 膜モジュール
212a シート状物
212b ハウジング
212b 第1のハウジング
212b 第2のハウジング
213 散気手段
213a 散気管
213b 導入管
213c ブロア
214 透過水流路
215 透過水槽
216 濃縮水流路
217 逆洗水流路
22 制御手段
221 記録部
222 記憶部
223 演算部
224 制御部
225 測定部
S 培養液
P1 原水ポンプ
P2 吸引ポンプ
V1 吸引バルブ
V2 逆洗バルブ
F1 流量計
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7