(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171778
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/00 20060101AFI20241205BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
G03G21/00 500
G03G21/00 370
H04N1/00 567M
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023088982
(22)【出願日】2023-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大橋 賢一
【テーマコード(参考)】
2H270
5C062
【Fターム(参考)】
2H270KA47
2H270LC22
2H270MG01
2H270MG12
2H270NE07
2H270ZC03
2H270ZC04
5C062AA02
5C062AA05
5C062AB20
5C062AB22
5C062AB23
5C062AB32
5C062AB49
5C062AC02
5C062AC04
5C062AC05
5C062AC11
5C062AC66
5C062AE07
5C062AE15
(57)【要約】
【課題】搬送経路の途中に挟まったジャム紙を搬送モータを回転させて取り除く。
【解決手段】高駆動電圧と低駆動電圧とを発生する電源ユニットと、第1状態においてオン状態となり、第2状態においてオフ状態となるインターロックスイッチと、用紙を搬送する複数のローラと、インターロックスイッチを介して供給される高駆動電圧を電力源として動作し、複数のローラを駆動する搬送モータと、低駆動電圧を電力源として動作し、搬送モータおよび複数のクラッチを制御する制御回路と、電源ユニットにより発生された低駆動電圧に基づき変換電圧を発生する電圧発生回路と、を備え、第2状態において、制御回路は、搬送モータおよび複数のクラッチの何れかを動作させる場合、電圧発生回路を動作させて、高駆動電圧に代えて変換電圧を搬送モータおよび複数のクラッチに供給させる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置であって、
高駆動電圧と、前記高駆動電圧より低い低駆動電圧とを発生する電源ユニットと、
第1状態において、前記電源ユニットから発生された前記高駆動電圧を供給させるオン状態となり、前記第1状態とは異なる第2状態において、前記電源ユニットから発生された前記高駆動電圧の供給を停止させるオフ状態となるインターロックスイッチと、
用紙を搬送する複数のローラと、
前記インターロックスイッチを介して供給される前記高駆動電圧を電力源として動作し、前記複数のローラを駆動する搬送モータと、
前記インターロックスイッチを介して供給される前記高駆動電圧を電力源として動作し、前記搬送モータの回転を前記複数のローラの何れかに連動させるための複数のクラッチと、
前記電源ユニットにより発生された前記低駆動電圧を電力源として動作し、前記搬送モータおよび前記複数のクラッチを制御する制御回路と、
前記電源ユニットにより発生された前記低駆動電圧または前記高駆動電圧に基づき、前記高駆動電圧と同一の電圧である変換電圧を発生する電圧発生回路と、
を備え、
前記第2状態において、前記制御回路は、前記搬送モータおよび前記複数のクラッチの何れかを動作させる場合、前記電圧発生回路を動作させて、前記高駆動電圧に代えて前記変換電圧を前記搬送モータおよび前記複数のクラッチに供給させる
画像形成装置。
【請求項2】
前記第2状態において、前記制御回路は、
前記変換電圧を、前記搬送モータおよび前記複数のクラッチを駆動するための電圧が供給される第1電力線に供給させ、
前記変換電圧を、前記搬送モータおよび前記複数のクラッチとは異なる第1装置を駆動するための電圧が供給される第2電力線に供給させない
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記用紙が搬送される搬送経路に設置され、前記用紙が前記搬送経路における何れの位置に存在しているかを検出する複数のセンサと、
前記複数のセンサに基づき検出された前記用紙の位置を表示する表示部と、
をさらに備える請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記複数のローラのうちの対象ローラの選択を受け付ける操作部をさらに備え、
前記第2状態において、前記制御回路は、前記複数のクラッチのうち前記対象ローラに対応するクラッチを動作させて、前記搬送モータの回転を前記対象ローラに連動させる
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記操作部は、前記対象ローラを正方向回転させるか逆方向回転させるかを受け付け、
前記第2状態において、前記制御回路は、前記対象ローラを前記操作部により受け付けた回転方向に回転させる
請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記複数のローラは、防護カバーにより覆われている
請求項1に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置は、印刷中において、用紙がローラ等に挟まり搬送ができなくなる場合があった。このような場合、従来、ユーザは、画像形成装置の筐体のカバーを開けて、搬送ができなくなった用紙(ジャム紙)を引っ張って、ジャム紙を取り除いていた。
【0003】
特許文献1には、ユーザがジャム紙を取り除く場合において、ジャム紙を引っ張ることでローラが回転したことを検知し、ローラの回転を検知するとモータを駆動させてジャム紙の除去のアシストをする画像形成装置が記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、画像形成装置は、ユーザが筐体のカバーを開けた場合、モータの駆動電源である+24Vの電圧の供給を、インターロックスイッチにより強制的に停止させていた。このため、従来の画像形成装置は、モータを駆動させてジャム紙の除去のアシストをすることは困難であった。また、ユーザが引っ張ることができない位置にジャム紙があったり、ローラのニップ圧が強いためジャム紙を引っ張ってもローラを回転させることができなかったりする場合、従来の画像形成装置は、ローラの回転を検知することができないため、モータによるジャム紙の除去のアシストをすることができなかった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、搬送経路の途中に挟まったジャム紙を、搬送モータを回転させて取り除くことができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、画像形成装置であって、高駆動電圧と、前記高駆動電圧より低い低駆動電圧とを発生する電源ユニットと、前記画像形成装置が第1状態において、前記電源ユニットから発生された前記高駆動電圧を供給させるオン状態となり、前記画像形成装置が前記第1状態とは異なる第2状態において、前記電源ユニットから発生された前記高駆動電圧の供給を停止させるオフ状態となるインターロックスイッチと、用紙を搬送する複数のローラと、前記インターロックスイッチを介して供給される前記高駆動電圧を電力源として動作し、前記複数のローラを駆動する搬送モータと、前記インターロックスイッチを介して供給される前記高駆動電圧を電力源として動作し、前記搬送モータの回転を前記複数のローラの何れかに連動させるための複数のクラッチと、前記電源ユニットにより発生された前記低駆動電圧を電力源として動作し、前記搬送モータおよび前記複数のクラッチを制御する制御回路と、前記電源ユニットにより発生された前記低駆動電圧または前記高駆動電圧に基づき、前記高駆動電圧と同一の電圧である変換電圧を発生する電圧発生回路と、を備え、前記第2状態において、前記制御回路は、前記搬送モータおよび前記複数のクラッチの何れかを動作させる場合、前記電圧発生回路を動作させて、前記高駆動電圧に代えて前記変換電圧を前記搬送モータおよび前記複数のクラッチに供給させる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、搬送経路の途中に挟まったジャム紙を、搬送モータを回転させて取り除くことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】
図2は、画像形成装置における電源電圧を供給する回路に関する構成を示す図である。
【
図3】
図3は、画像形成装置における処理の流れを示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、画像形成装置の表示画像の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、画像形成装置における電源電圧を供給する回路の、ジャム紙の排除時の電圧および信号を示す図である。
【
図6】
図6は、変形例に係る、画像形成装置における電源電圧を供給する回路に関する構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に添付図面を参照して、実施形態を詳細に説明する。
【0010】
図1は、実施形態にかかる画像形成装置100を示す図である。画像形成装置100は、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能およびファクシミリ機能のうち少なくとも2つの機能を有する一般に複合機(MFP:Multifunction Peripheral/Printer/Product)と称される装置である。
【0011】
画像形成装置100は、画像読取部101と、ADF(Automatic Document Feeder:自動原稿給送装置)102と、給紙部103と、画像形成部104と、操作部105とを備える。
【0012】
画像読取部101は、ADF102により搬送された原稿を所定の読取位置で読み取る。画像読取部101は、原稿が載置されるコンタクトガラスを上面に有し、コンタクトガラスに載置された原稿を読み取る。画像読取部101は、内部に光源、光学系およびCCD(Charge Coupled Device)等のイメージセンサを有するスキャナである。画像読取部101は、光源で照明した原稿の反射光を、光学系を通じてイメージセンサで読み取る。
【0013】
ADF102は、載置台に載置した原稿を、画像読取部101における画像の読取位置に自動搬送する。例えば、ADF102は、載置台に載置した原稿を、画像読取部101におけるコンタクトガラスを上面に自動搬送する。
【0014】
給紙部103は、1または複数の給紙カセット103aと、複数の給紙ローラ103bとを含む。1または複数の給紙カセット103aのそれぞれは、内部に複数の用紙を収納する。複数の給紙ローラ103bは、1または複数の給紙カセット103aの何れか1つから用紙を取り出し、取り出した用紙を画像形成部104へと送り出す。
【0015】
画像形成部104は、画像読取部101の下、および、給紙部103の上に設けられる。画像形成部104は、作像部106と、中間転写ベルト107と、レジストローラ108と、二次転写ベルト109と、定着装置110と、反転機構111と、を有する。
【0016】
作像部106は、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)およびK(ブラック)の色毎に、光書込部、感光体ドラム、一次転写ローラ、帯電器、現像器、転写器、クリーナおよび除電器等を含む。光書込部は、対応する感光体ドラムの表面にレーザを照射して、対応する感光体ドラムの表面に画像読取部101により読み取った画像に応じた静電潜像を形成する。各感光体ドラムは、回転されることにより、静電潜像が形成された部分に対応する色成分のトナーが付着され、表面にトナー像が形成される。そして、感光体ドラムに形成されたトナー像は、感光体ドラムがさらに回転することにより、対応する一次転写ローラを介して中間転写ベルト107上に転写される。
【0017】
中間転写ベルト107は、各感光体ドラムと各一次転写ローラとの間のニップに、駆動ローラと従動ローラとにより張架して配置されている。レジストローラ108は、給紙部103から用紙を受け取り、用紙を二次転写ベルト109へと送り出す。二次転写ベルト109は、レジストローラ108から受け取った用紙を搬送する。二次転写ベルト109により搬送される用紙は、中間転写ベルト107上のトナー画像が転写される。
【0018】
トナー画像が転写された用紙は、二次転写ベルト109の走行により、定着装置110に搬送される。定着装置110は、用紙上のトナー画像を定着させる。その後、用紙は、機外の排紙トレイへと排出される。なお、両面印刷の場合は、反転機構111により用紙の表裏が反転されて、反転された用紙が二次転写ベルト109上へと送られる。
【0019】
このような画像形成部104は、電子写真プロセス技術を利用した中間転写方式でカラー画像を形成する。すなわち、画像形成部104は、各感光体ドラム上に形成されたY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の各色トナー像を中間転写ベルト107に一次転写し、中間転写ベルト107上で4色のトナー像を重ね合わせた後、用紙に二次転写することにより、トナー像を用紙に形成する。また、画像形成部104は、YMCKの4色に対応する感光体ドラムを中間転写ベルト107の走行方向に直列配置し、中間転写ベルト107に一回の手順で各色トナー像を順次転写させるタンデム方式が採用される。このような画像形成部104は、画像読取部101で読み取った画像を用紙に形成することができる。
【0020】
なお、画像形成部104は、上述したような電子写真方式によって画像を形成するものに限るものではなく、インクジェット方式によって画像を形成するものであってもよい。
【0021】
操作部105は、各種の操作ボタンおよび表示部を含む。各種の操作ボタンのそれぞれは、ユーザにより操作がされる。表示部は、各種の情報をユーザに対して表示する。また、表示部は、タッチパネルであり、ユーザインターフェース等を表示し、ユーザによる操作を受け付けてもよい。画像形成装置100は、操作ボタンおよび表示部に表示されたユーザインターフェースに入力された情報に従って動作をする。
【0022】
このような画像形成装置100は、給紙部103における給紙カセット103aから排紙トレイまでの搬送経路に沿って、用紙を複数のローラにより搬送する。
【0023】
また、このような画像形成装置100は、筐体に、ユーザにより開閉可能な1または複数のカバーが設けられている。通常状態(第1状態)において、画像形成装置100は、1または複数のカバーの全てが閉じられている。また、1または複数のカバーは、ユーザにより例えば手動で開くことができる。1または複数の何れかのカバーを開いた状態(第2状態)において、画像形成装置100は、内部の機構が露出する。そして、搬送経路の途中における複数のローラの何れかのローラに用紙が挟まった場合、第2状態において、画像形成装置100は、用紙(ジャム紙)をユーザに取り除かせることができる。
【0024】
図2は、画像形成装置100における電源電圧を供給する回路に関する構成を示す図である。
【0025】
画像形成装置100は、さらに、電源ユニット20と、インターロックスイッチ22と、搬送モータ26と、電源制御基板24と、複数のクラッチ28と、複数のセンサ30と、を備える。
【0026】
電源ユニット20は、AC100V等の商用の交流電源に接続される。電源ユニット20は、商用の交流電源から交流電圧を受け取り、+24Vの安定化した直流の電圧を、高駆動電圧として発生する。さらに、電源ユニット20は、+5Vの安定化した直流の電圧を、低駆動電圧として発生する。
【0027】
インターロックスイッチ22は、電源ユニット20から高駆動電圧を受け取り、電源制御基板24に与える。インターロックスイッチ22は、画像形成装置100の筐体の状態に応じて、オン状態またはオフ状態に切り替わる。より具体的には、インターロックスイッチ22は、1または複数のカバーの全てが閉じられている第1状態において、オン状態となる。また、インターロックスイッチ22は、1または複数のカバーの少なくとも1つが開いている第2状態において、オフ状態となる。なお、図面中において、インターロックスイッチ22より前の高駆動電圧を+24Vと表し、インターロックスイッチ22より後の高駆動電圧を+24VSと表す。
【0028】
このようなインターロックスイッチ22は、オン状態において、高駆動電圧(+24VS)を電源制御基板24に供給し、オフ状態において、高駆動電圧(+24VS)の電源制御基板24への供給を停止する。従って、インターロックスイッチ22は、1または複数のカバーの全てが閉じられている第1状態において、電源制御基板24に、感光体ドラムまたはレーザを発光する光源等の第1装置34および用紙の搬送のための搬送モータ26および複数のクラッチ28等の機構へと、電源ユニット20から発生された高駆動電圧(+24VS)を供給させることができる。
【0029】
また、インターロックスイッチ22は、第1状態と異なる第2状態、すなわち、1または複数のカバーの少なくとも1つが開いている第2状態において、電源制御基板24に、感光体ドラムまたはレーザを発光する光源等の第1装置34および用紙の搬送のための搬送モータ26および複数のクラッチ28等の機構への、高駆動電圧(+24VS)の供給を停止させることができる。
【0030】
電源制御基板24は、電源ユニット20から低駆動電圧(+5V)を受け取る。電源制御基板24は、低駆動電圧(+5V)を、電源制御基板24に設けられた各回路の動作の電力源として用いる。また、電源制御基板24は、低駆動電圧(+5V)を他の回路に供給してもよい。
【0031】
また、1または複数のカバーの全てが閉じられている第1状態において、電源制御基板24は、インターロックスイッチ22を介して、高駆動電圧(+24VS)を受け取る。第1状態において、電源制御基板24は、インターロックスイッチ22を介して受け取った高駆動電圧(+24VS)を、搬送モータ26および複数のクラッチ28に、第1電力線42を介して供給する。
【0032】
また、第1状態において、電源制御基板24は、インターロックスイッチ22を介して受け取った高駆動電圧(+24VS)を、搬送モータ26および複数のクラッチ28等の用紙の搬送に関わらない第1装置34に、第2電力線44を介して供給する。第1装置34は、例えば、感光体ドラムまたはレーザを発光する光源等である。なお、第1電力線42と第2電力線44とは、電気的に分離されている。
【0033】
また、電源制御基板24は、電源ユニット20により発生された低駆動電圧(+5V)に基づき、高駆動電圧(+24V)と同一の電圧である変換電圧(+24VM)を発生することができる。そして、1または複数のカバーの少なくとも1つが開いている第2状態において、電源制御基板24は、発生した変換電圧(+24VM)を、第1電力線42を介して搬送モータ26および複数のクラッチ28に供給することができる。
【0034】
搬送モータ26は、用紙を搬送する複数のローラを駆動する。搬送モータ26は、高駆動電圧(+24VS)または変換電圧(+24VM)を電力源として動作する。搬送モータ26は、高駆動電圧(+24VS)および変換電圧(+24VM)を第1電力線42を介して受け取る。
【0035】
複数のクラッチ28のそれぞれは、搬送モータ26の回転を、用紙を搬送する複数のローラの何れかに連動させるための機構である。すなわち、複数のクラッチ28のそれぞれは、用紙を搬送する複数のローラのうちの対応するローラを、搬送モータ26に連結させて回転させるか、否かを切り替える機構である。例えば、複数のクラッチ28は、給紙クラッチ28A、排紙クラッチ28Bおよび両面クラッチ28Cを含む。給紙クラッチ28Aは、給紙部103に設けられるローラに対して、搬送モータ26の回転を連結させるか否かを切り替える。排紙クラッチ28Bは、定着装置110から用紙を排紙させるローラに対して、搬送モータ26の回転を連結させるか否かを切り替える。両面クラッチ28Cは、反転機構111に設けられるローラに対して、搬送モータ26の回転を連結させるか否かを切り替える。
【0036】
複数のクラッチ28のそれぞれは、高駆動電圧(+24VS)または変換電圧(+24VM)を電力源として動作する。複数のクラッチ28のそれぞれは、高駆動電圧(+24VS)および変換電圧(+24VM)を第1電力線42を介して受け取る。
【0037】
複数のセンサ30は、用紙が搬送される搬送経路に設置され、用紙が搬送経路における何れの位置に存在しているかを検出する。例えば、複数のセンサ30は、第1センサ30A、第2センサ30Bおよび第3センサ30Cを含む。第1センサ30Aは、用紙が給紙部103に位置しているか否かを検出する。第2センサ30Bは、用紙が定着装置110に位置しているか否かを検出する。第3センサ30Cは、用紙が反転機構111に位置しているか否かを検出する。
【0038】
電源制御基板24は、昇圧回路52と、第1ダイオード54と、第2ダイオード56と、ロジック電圧生成回路58と、制御回路60とを有する。
【0039】
昇圧回路52は、電源ユニット20により発生された低駆動電圧(+5V)に基づき変換電圧(+24VM)を発生する電圧発生回路である。例えば、昇圧回路52は、電源ユニット20により発生された低駆動電圧(+5V)を電力変換して変換電圧(+24VM)を発生する昇圧型のDC-DCコンバータである。昇圧回路52は、制御回路60からの制御に応じて、電圧を出力するか(ON)または電圧を出力しないか(OFF)が切り替えられる。昇圧回路52は、発生した変換電圧(+24VM)を第2ダイオード56を介して第1電力線42に供給する。
【0040】
第1ダイオード54は、アノードにインターロックスイッチ22から出力される高駆動電圧(+24VS)が印加され、カソードに第1電力線42が接続される。従って、第1ダイオード54は、第1電力線42の電圧が高駆動電圧(+24VS)より高くなったとしても、第1電力線42に流れる電流を、インターロックスイッチ22側へと逆流させない。従って、第1ダイオード54は、第1電力線42と第2電力線44とを電気的に分離することができる。
【0041】
第2ダイオード56は、アノードに昇圧回路52の出力端子が接続され、カソードに第1電力線42が接続される。従って、第2ダイオード56は、第1電力線42の電圧が昇圧回路52の出力端子の電圧より高い場合であっても、第1電力線42に流れる電流を昇圧回路52の側へと逆流させない。従って、第2ダイオード56は、インターロックスイッチ22を介して第1電力線42へと供給される電流を、昇圧回路52の側へと流さないようにすることができる。
【0042】
ロジック電圧生成回路58は、電源ユニット20により発生された低駆動電圧(+5V)を電力変換して、直流のロジック駆動電圧(+3.3V)を発生する。ロジック電圧生成回路58は、ロジック駆動電圧(+3.3V)を制御回路60に供給する。なお、ロジック電圧生成回路58は、ロジック駆動電圧(+3.3V)を制御回路60以外の回路に供給してもよい。
【0043】
制御回路60は、ロジック電圧生成回路58から出力されたロジック駆動電圧(+3.3V)を電力源として動作する。従って、制御回路60は、インターロックスイッチ22がオフ状態となっても動作することができる。
【0044】
制御回路60は、搬送モータ26に対してモータ制御信号を与えて、搬送モータ26の回転を制御する。また、制御回路60は、複数のクラッチ28のそれぞれに対して、クラッチ制御信号を与えて、搬送モータ26の回転を対応するローラに連結するか否かを制御する。また、制御回路60は、複数のセンサ30からの検出信号を取得し、搬送経路における用紙の位置を検出する。
【0045】
このような制御回路60は、1または複数のカバーの全てが閉じられている第1状態において、搬送経路に用紙を適切に搬送させて、用紙にトナー画像を形成させることができる。また、制御回路60は、操作部105における表示部に所定の情報を表示させる。また、制御回路60は、操作部105における操作ボタンまたはタッチパネル等にされた操作に応じて、搬送モータ26の駆動および複数のクラッチ28の動作を制御する。
【0046】
ここで、第2状態において、制御回路60は、搬送モータ26および複数のクラッチ28の何れかを動作させる場合、昇圧回路52を動作させ、昇圧回路52に高駆動電圧(+24VS)に代えて、変換電圧(+24VM)を搬送モータ26および複数のクラッチ28に供給させる。すなわち、第2状態において、制御回路60は、変換電圧(+24VM)を、搬送モータ26および複数のクラッチ28を駆動するための電圧が供給される第1電力線42に供給させる。
【0047】
これにより、第2状態において、画像形成装置100は、インターロックスイッチ22がオフ状態であるにも関わらず、搬送モータ26および複数のクラッチ28を動作させることができる。従って、画像形成装置100は、ローラに挟まった用紙(ジャム紙)を、搬送経路におけるユーザが取り出しやすい位置に移動させることができる。よって、ユーザは、ローラに挟まった用紙(ジャム紙)を容易に取り出すことができる。
【0048】
また、第2状態において、制御回路60は、変換電圧(+24VM)を、搬送モータ26および複数のクラッチ28とは異なる第1装置34を駆動するための電圧が供給される第2電力線44に供給させない。これにより、画像形成装置100は、第2状態において、用紙の搬送のための機構以外の、感光体ドラムまたはレーザを発光する光源等の第1装置34を動作させないようにすることができる。従って、画像形成装置100は、1または複数のカバーの何れかが開かれた場合におけるユーザの安全性を確保することができる。
【0049】
また、例えば、制御回路60は、用紙の搬送途中において、複数のローラのうちの何れかのローラに用紙が挟まった場合、複数のセンサ30による検出信号に応じて、ローラに挟まった用紙(ジャム紙)の位置を、操作部105における表示部に表示させる。これにより、画像形成装置100は、ローラに挟まった用紙(ジャム紙)の位置を、ユーザに認識させることができる。
【0050】
また、制御回路60は、ローラに挟まった用紙(ジャム紙)をユーザが取り出す場合、操作部105に対するユーザの操作に応じて、複数のクラッチ28のうちの何れのクラッチ28を回転させるかを制御したり、搬送モータ26を正方向回転(正回転)させるか、逆方向回転(逆回転)をさせるかを制御したりする。これにより、画像形成装置100は、ローラに挟まったジャム紙を、搬送経路における取り出しやすい位置に移動させるためのアシストをすることができる。
【0051】
なお、昇圧回路52は、過電流保護機能を有してもよい。これにより、昇圧回路52は、搬送モータ26の急な高速回転時において電力供給を強制的に遮断する。従って、搬送モータ26は、急な高速回転をした場合、電源の供給が遮断され、安全に停止することができる。
【0052】
図3は、画像形成装置100における処理の流れを示すフローチャートである。画像形成装置100は、例えば、
図3に示す流れで処理を実行する。
【0053】
まず、S101において、画像形成装置100は、印刷を実行する。なお、印刷実行開始時において、1または複数のカバーの何れも閉じており、且つ、インターロックスイッチ22はオン状態である。
【0054】
続いて、S102において、画像形成装置100は、搬送経路に用紙が挟まる状態(ジャム)が発生したか否かを判断する。画像形成装置100は、ジャムが発生していない場合(S102のNo)、処理をS101に戻す。すなわち、画像形成装置100は、ジャムが発生無い限り、印刷が通常終了するまで、S101とS102との処理を繰り返す。
【0055】
ジャムが発生した場合(S102のYes)、画像形成装置100は、処理をS103に進める。S103において、画像形成装置100は、印刷動作を停止する。続いて、S104において、画像形成装置100は、1または複数のカバーの何れかが開いたか否かを判断する。画像形成装置100は、何れのカバーも開かれていない場合(S104のNo)、処理をS103に戻す。すなわち、画像形成装置100は、何れかカバーが開かれるまで、S103とS104との処理を繰り返す。
【0056】
何れかのカバーが開かれた場合(S104のYes)、画像形成装置100は、処理をS105に進める。S105において、画像形成装置100は、インターロックスイッチ22をオフ状態とする。続いて、画像形成装置100は、変換電圧を生成する。これにより、画像形成装置100は、インターロックスイッチ22をオフ状態であっても、用紙を搬送させるための搬送モータ26および複数のクラッチ28に電力を供給することができる。そして、画像形成装置100は、1または複数のカバーの全てが閉じられた場合、インターロックスイッチ22をオン状態に戻し、変換電圧の生成も終了し、本フローを終了する。
【0057】
図4は、ジャムの発生時において操作部105の表示部に表示される画像の一例を示す図である。
【0058】
ジャムの発生時において、操作部105における表示部は、複数のセンサ30に基づき検出された用紙(ジャム紙)の位置を表示してもよい。例えば、制御回路60は、複数のセンサ30に基づき検出された情報に基づき、ジャム紙の位置を示す画像を操作部105に表示させる。これにより、ユーザは、ジャム紙が搬送経路の何れの位置に存在しているのかを視覚的に認識することができる。
【0059】
さらに、制御回路60は、搬送経路における複数のローラと、ジャム紙との位置関係を操作部105に表示させてもよい。これにより、ユーザは、複数のローラのうちの何れのローラを、ジャム紙を取り除くために回転させる対象ローラとすればよいのかを容易に選択することができる。さらに、ユーザは、取り除き可能な位置にジャム紙を移動させるために、対象ローラを正転させればよいのか、逆転させればよいのかを容易に選択することができる。
【0060】
また、ジャムの発生時において、操作部105は、複数のローラのうちの対象ローラの選択を受け付けてもよい。例えば、制御回路60は、例えば、対象ローラを選択させるためのボタン等のユーザインターフェースを操作部105のタッチパネルに表示させてもよい。そして、この場合、制御回路60は、複数のクラッチ28のうちの、選択された対象ローラに連結するクラッチ28を動作させ搬送モータ26の回転を連結させる。これにより、画像形成装置100は、複数のローラのうち、ジャム紙が挟まったローラのみを回転させ、他のローラを回転させないようにすることができる。
【0061】
なお、ジャムの発生時において、制御回路60は、搬送経路における複数のローラのうちの、ジャム紙の位置の搬送経路における前後の2個のローラのみを、操作部105に表示させてもよい。これにより、ユーザは、さらに容易に対象ローラを選択することができる。
【0062】
また、ジャムの発生時において、操作部105は、対象ローラを正方向回転(正転)させるか、逆方向回転(逆転)させるかを受け付けてもよい。制御回路60は、例えば、対象ローラを正方向回転(正転)させるか、逆方向回転(逆転)させるかを選択させるためのボタン等のユーザインターフェースを操作部105のタッチパネルに表示させてもよい。そして、この場合、制御回路60は、搬送モータ26の回転方向を、選択された方向に回転させるように、制御する。これにより、画像形成装置100は、ジャム紙を、取り除き可能な位置に容易に移動させることができる。
【0063】
なお、画像形成装置100は、例えば複数のローラのそれぞれにおける近傍の位置に、対応するローラを回転させるか否かを選択するための機械的なスイッチをさらに備えてもよい。また、画像形成装置100は、複数のローラのそれぞれにおける近傍の位置に、対応するローラを正転させるか逆転させるかを切り替える機械的なスイッチをさらに備えてもよい。そして、この場合、制御回路60は、機械的なスイッチから検出した信号に基づき選択された対象ローラおよび対象ローラの回転方向を制御する。これにより、ユーザは、画像形成装置100の内部のジャム紙の位置を視覚的に直接確認しながら、ジャム紙を移動させるための対象ローラおよび対象ローラの回転方向を選択することができる。
【0064】
図5は、画像形成装置100における電源電圧を供給する回路の、ジャム紙の排除時の電圧および信号を示す図である。
【0065】
制御回路60は、複数のローラのうちの何れのローラを対象ローラとするかを指示する信号、および、対象ローラを正転させるか逆転させるかを指示する信号を、操作部105から受け取る。制御回路60は、これらの信号を受け取った場合、昇圧回路52にON信号を与えて電力変換動作をさせる。これにより、昇圧回路52から24ボルトの変換電圧が発生され、搬送モータ26および複数のクラッチ28に供給される。
【0066】
なお、ジャム発生時において、搬送モータ26を回転させる場合、制御回路60は、予め設定された通常時より低い速度で搬送モータ26を回転させてもよい。これにより、例えば、画像形成装置100は、ジャム発生時において、ユーザがローラに指を挟まれたり、はじかれたりすることを無くし、安全にジャム紙を取り除かせることができる。また、制御回路60は、予め設定された通常時より低い速度で搬送モータ26を回転させることにより、搬送モータ26を駆動するための電力を抑制することもできる。変換電圧は、低駆動電圧に基づき生成されている。このため、画像形成装置100は、ジャム発生時において、搬送モータ26を駆動するための電力を抑制することにより、電源ユニット20が低駆動電圧により供給可能な電力の範囲で、搬送モータ26を駆動することができる。
【0067】
また、複数のローラのそれぞれは、外部からユーザが触れることができないように防護カバーにより覆われてもよい。画像形成装置100は、ジャム発生時においてユーザがローラを触れなくても、ジャム紙を取り除くことができる。従って、画像形成装置100は、複数のローラのそれぞれが防護カバーにより覆われていることにより、ユーザがローラに指を挟まれたり、はじかれたりすることを無くすことができる。
【0068】
図6は、変形例に係る画像形成装置100における電源電圧を供給する回路に関する構成を示す図である。
【0069】
電源制御基板24は、昇圧回路52に代えて、電圧発生回路70を備えてもよい。電圧発生回路70は、インターロックスイッチ22を介さずに、高駆動電圧(+24V)を受け取る。そして、電圧発生回路70は、インターロックスイッチ22を介さずに受け取った高駆動電圧(+24V)に基づき、変換電圧(+24VM)を発生する。そして、電圧発生回路70は、発生した変換電圧(+24VM)を、第2ダイオード56を介して第1電力線42に供給する。このような構成であっても、電源制御基板24は、感光体ドラムまたはレーザを発光する光源等である第1装置34に電圧を供給しない状態で、用紙に搬送に関わる搬送モータ26および複数のクラッチ28を駆動させることができる。
【0070】
なお、電圧発生回路70は、電流制限回路を有し、過電流に対する保護機能を有してもよい。これにより、例えば、電圧発生回路70は、プログラムの異常実行等により制御回路60が正常に動作しなくなった場合であっても、過電流が生じた場合に、変換電圧(+24VM)の発生を停止して、搬送モータ26および複数のクラッチ28の動作を停止することができる。
【0071】
以上のように本実施形態に係る画像形成装置100は、搬送経路の途中に挟まった用紙(ジャム紙)を、搬送モータ26を回転させて取り除くことができる。また、画像形成装置100は、用紙(ジャム紙)を取り除く場合において、用紙を搬送させる機構以外の装置への電力供給をしないので、ユーザに安全にジャム紙を取り除かせることができる。
【0072】
なお、上記実施形態では、本発明の画像形成装置100を、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能およびファクシミリ機能のうち少なくとも2つの機能を有する複合機に適用した例を挙げて説明するが、複写機、プリンタ、スキャナ装置、ファクシミリ装置等の画像形成装置であればいずれにも適用することができる。
【符号の説明】
【0073】
100 画像形成装置、20 電源ユニット、22 インターロックスイッチ、24 電源制御基板、26 搬送モータ、28 クラッチ、30 センサ、34 第1装置、42 第1電力線、44 第2電力線、52、昇圧回路、54 第1ダイオード、56 第2ダイオード、58 ロジック電圧生成回路、60 制御回路、70 電圧発生回路、105 操作部。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0074】