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特開2024-171868発光素子の移載方法及び発光装置の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171868
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】発光素子の移載方法及び発光装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20241205BHJP
   H01L 33/48 20100101ALI20241205BHJP
   H01L 33/62 20100101ALI20241205BHJP
【FI】
H01L21/68 N
H01L33/48
H01L33/62
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023089137
(22)【出願日】2023-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】森野 尚
(72)【発明者】
【氏名】田渕 武尊
(72)【発明者】
【氏名】爲本 広昭
【テーマコード(参考)】
5F131
5F142
【Fターム(参考)】
5F131AA04
5F131BA53
5F131BA54
5F131CA01
5F131DA03
5F131DA14
5F131DA33
5F131DA42
5F131EA07
5F131EB46
5F131EB63
5F131EC43
5F131EC62
5F131EC63
5F131EC66
5F131EC72
5F131EC73
5F131EC77
5F142AA51
5F142AA81
5F142BA32
5F142CD13
5F142CD15
5F142CD17
5F142CD18
5F142CD25
5F142FA31
5F142FA32
5F142FA40
5F142FA50
(57)【要約】
【課題】信頼性が高い発光素子の移載方法及び発光装置の製造方法を提供する。
【解決手段】発光素子の移載方法は、第1面及び前記第1面の反対側の第2面を有する第1基板の前記第1面に剥離層を介して固定された発光素子を第2基板に移載する発光素子の移載方法である。前記発光素子の移載方法は、前記第2面側から前記第1基板を介して前記剥離層にレーザ光を照射することにより、前記剥離層を除去させる工程を備える。前記第1面における前記レーザ光の強度分布は、前記剥離層の全体において前記剥離層を除去可能な最小強度以上であり、且つ、最大強度が前記最小強度の150%以下である。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面及び前記第1面の反対側の第2面を有する第1基板の前記第1面に剥離層を介して固定された発光素子を第2基板に移載する発光素子の移載方法であって、
前記第2面側から前記第1基板を介して前記剥離層にレーザ光を照射することにより、前記剥離層を除去させる工程を備え、
前記第1面における前記レーザ光の強度分布は、前記剥離層の全体において前記剥離層を除去可能な最小強度以上であり、且つ、最大強度が前記最小強度の150%以下である発光素子の移載方法。
【請求項2】
前記剥離層における前記レーザ光の透過率は、40%以上60%以下である請求項1に記載の発光素子の移載方法。
【請求項3】
前記剥離層における前記レーザ光の透過率は、前記第1基板における前記レーザ光の透過率の70%以下である請求項1に記載の発光素子の移載方法。
【請求項4】
平面視で、前記剥離層の外縁は前記発光素子の外縁の内側に位置し、前記第1面における前記レーザ光の強度が前記最小強度以上となる第1領域は前記発光素子の内側に位置し、前記第1面における前記レーザ光の強度が前記最大強度の95%以上となる第2領域は、前記剥離層の内側に位置する請求項1に記載の発光素子の移載方法。
【請求項5】
前記第1面に平行な方向において、前記第2領域の長さは前記第1領域の長さの50%以上80%以下である請求項4に記載の発光素子の移載方法。
【請求項6】
前記剥離層における前記レーザ光の透過率が100%であると仮定したときに、前記剥離層の前記発光素子側の表面における前記レーザ光の強度分布は、前記剥離層の全体において前記最小強度以上であり、且つ、最大強度が前記最小強度の150%以下である請求項1に記載の発光素子の移載方法。
【請求項7】
前記剥離層における前記レーザ光の透過率が100%であると仮定したときに、前記第2面から前記第1面に向かう方向において、前記レーザ光の強度分布が、前記剥離層の全体において前記最小強度以上であり、且つ、最大強度が前記最小強度の150%以下となる平面を実現する焦点深度に対する前記剥離層の厚さが0.01%以上0.1%以下である請求項1に記載の発光素子の移載方法。
【請求項8】
前記剥離層を除去させる工程の前に、前記第2基板を前記第1基板に対して平行に配置する工程をさらに備え、
前記平行に配置する工程において、前記第1面に対して平行な第1方向、及び、前記第1面に対して平行で前記第1方向に対して傾斜する第2方向における前記第1基板に対する前記第2基板の位置、並びに、前記第2面から前記第1面に向かう第3方向に延びる直線を回転軸とした前記第1基板に対する前記第2基板の角度は、前記第1基板及び前記第2基板にそれぞれ設けられたアライメント部を参照して調整する請求項1に記載の発光素子の移載方法。
【請求項9】
前記平行に配置する工程において、前記第1基板に対する前記第2基板の前記第3方向における距離、前記第1方向に延びる直線を回転軸とした前記第1基板に対する前記第2基板の角度、及び、前記第2方向に延びる直線を回転軸とした前記第1基板に対する前記第2基板の角度は、2ヶ所以上において前記第1基板と前記第2基板の距離を測定することによって調整する請求項8に記載の発光素子の移載方法。
【請求項10】
前記レーザ光は、レーザ光源から出射し、回折格子により回折され、ビームエキスパンダ機構により拡径され、ガルバノミラーにより光路が選択され、テレセントリックレンズにより平行化されて、前記第1基板に入射する請求項1に記載の発光素子の移載方法。
【請求項11】
前記テレセントリックレンズから出射した前記レーザ光の進行方向が前記テレセントリックレンズの光軸に対してなす角度は1度以下である請求項10に記載の発光素子の移載方法。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか1つに記載の発光素子の移載方法により、前記第1基板から前記第2基板に前記発光素子を移載する工程を備える発光装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、発光素子の移載方法及び発光装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発光装置の製造プロセスにおいて、第1基板に配置された発光素子を第2基板に移載する工程が必要な場合がある。このような工程において、発光素子を確実に移載することが要求される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-251359号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の実施形態は、信頼性が高い発光素子の移載方法及び発光装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る発光素子の移載方法は、第1面及び前記第1面の反対側の第2面を有する第1基板の前記第1面に剥離層を介して固定された発光素子を第2基板に移載する発光素子の移載方法である。前記発光素子の移載方法は、前記第2面側から前記第1基板を介して前記剥離層にレーザ光を照射することにより、前記剥離層を除去させる工程を備える。前記第1面における前記レーザ光の強度分布は、前記剥離層の全体において前記剥離層を除去可能な最小強度以上であり、且つ、最大強度が前記最小強度の150%以下である。
【0006】
実施形態に係る発光装置の製造方法は、上記発光素子の移載方法により、前記第1基板から前記第2基板に前記発光素子を移載する工程を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示の実施形態によれば、信頼性が高い発光素子の移載方法及び発光装置の製造方法を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態における第1基板及び第2基板を示す平面図である。
図2図2は、図1に示すII-II線による断面図である。
図3図3は、図1に示すIII-III線による断面図である。
図4図4は、実施形態において使用するレーザ光学系を示す図である。
図5図5は、実施形態において剥離層を除去する工程を示す断面図である。
図6図6は、剥離層に照射されるレーザ光の形状及び強度分布を示す斜視図である。
図7図7は、剥離層に照射されるレーザ光の強度分布を示す平面図である。
図8図8は、レーザ光の強度分布と剥離層との関係を示す図である。
図9図9は、実施形態に係る発光装置の製造方法を示す端面図である。
図10図10は、実施形態に係る発光装置の製造方法を示す端面図である。
図11図11は、実施形態に係る発光装置の製造方法を示す端面図である。
図12図12は、実施形態に係る発光装置の製造方法を示す端面図である。
図13図13は、実施形態に係る発光装置の製造方法を示す端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本開示の実施形態に係る発光素子の移載方法について説明する。本実施形態に係る発光素子の移載方法は、例えば、発光装置の製造方法の一部である。
【0010】
以下の説明は、本実施形態の技術思想を具現化するための形態を例示するものであって、以下に限定するものではない。また、実施形態に記載されている構成部の寸法、材質、形状、又はその相対的配置等は、特定的な記載がない限り、本開示の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさ又は位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。また、以下の説明において、同一の名称又は符号については、同一もしくは同質の部材を示しており詳細説明を適宜省略する。また、断面図として、切断面のみを示す端面図を示す場合がある。
【0011】
(中間体50を準備する工程)
図1は、本実施形態における中間体を示す平面図である。
図2は、図1に示すII-II線による断面図である。
図3は、図1に示すIII-III線による断面図である。
【0012】
図1図3に示すように、中間体50を準備する。中間体50は、第1基板10、第2基板20、発光素子30及び剥離層40を含む。第1基板10は透光性材料からなり、例えば、サファイア、ガラス又は石英からなる。第1基板10におけるレーザ光(例えば、波長355nmの光)の透過率は、例えば、75%以上であり、80%以上であることが好ましい。第1基板10は、第1面10a及び第1面の反対側の第2面10bを有する。第1面10aには、剥離層40を介して発光素子30が固定されている。また、第1基板10の第1面10aには、アライメント部13が配置されている。
【0013】
なお、図1は第1基板10を第2面10b側から見た図であるが、第1基板10は透光性基板であるため、剥離層40及び発光素子30が第1基板10越しに見えている。また、図を見やすくするために、図1においては剥離層40を灰色で示している。後述する図7においても同様である。
【0014】
発光素子30は、例えば、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)である。発光素子30は、半導体積層体31および電極部32を含む。半導体積層体31は、InAlGa1-x-yN(0≦x、0≦y、x+y≦1)などの窒化物半導体を含む。半導体積層体31は、p型層と、n型層と、p型層とn型層との間に位置する発光層とを含む。発光層は、例えば、複数の障壁層と複数の井戸層とを含み、障壁層と井戸層とが交互に積層された多重量子井戸構造とすることができる。電極部32は、p型層に接続されたp側電極と、n型層に接続されたn側電極を含む。本実施形態における発光素子30は、例えば、電極部32としてp側電極およびn側電極を含み、p側電極およびn側電極は半導体積層体31の同一面に配置される。
【0015】
発光素子30においては、例えば、剥離層40側から、電極部32および半導体積層体31が順に配列されている。発光素子30の半導体積層体31は、剥離層40と対向する第1主面31a、第1主面31aの反対側に位置する第2主面31b、および第1主面31aと第2主面31bとを接続する側面31cを有する。発光素子30の電極部32は、半導体積層体31の第1主面31a側に配置されている。側面31cは、凹部または凸部を含んでいてよい。
【0016】
本実施形態では、半導体積層体31の第2主面31bは、第1主面31aよりも大きい。換言すると、平面視において、第2主面31bの外形は、第1主面31aの外形の外側に位置している。第1主面31aの平面積に対する第2主面31bの平面積は、例えば、1.1倍~2倍であり、1.1倍~1.5倍であることが好ましく、1.1倍~1.2倍であることがより好ましい。半導体積層体31の側面31cは、第1主面31aから第2主面31bに向かって広がるように傾斜している。この結果、移載後の発光素子30において、発光素子30の発光層からの光が、側面31cで効率的に反射されることになり、発光面である第2主面31bから取り出しやすくなる。これにより、発光素子30を備える発光装置の光取り出し効率が向上する。
【0017】
図2及び図3に示すように、発光素子30は、半導体積層体31の側面31cに光減衰層33を備えていてよい。光減衰層33は、後のレーザ光を照射する工程において、発光素子30の半導体積層体31がレーザ光により損傷することを低減させる。上述の如く、半導体積層体31の側面31cは、第1主面31aに対して垂直な面ではなく、第1主面31aから第2主面31bに向かう方向に広がるように傾斜している。このような傾斜面を有する発光素子30において、第1基板10の第2面10b側からレーザ光を照射すると、半導体積層体31の側面31cにレーザ光が照射されやすい。これにより、半導体積層体31が損傷する可能性がある。発光素子30が半導体積層体31の側面31cに光減衰層33を備えることで、レーザ光が半導体積層体31の側面31cに達し、半導体積層体31が損傷することを低減できる。光減衰層33は、発光素子30を移載した後に除去される。光減衰層33は、例えば、樹脂部材である。光減衰層33は、例えば、黒色の樹脂部材であってもよい。光減衰層33は、例えば、主成分として、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、又はポリイミド樹脂を含むことができる。
【0018】
平面視で、発光素子30の形状は例えば正方形であり、半導体積層体31の第1主面31aの一辺の長さは、例えば10μm以上100μm以下であり、15μm以上60μm以下であってもよい。図1図3に示す例では、第1基板10には複数の発光素子30が固定されており、行列状に配列されている。発光素子30同士は離隔しており、発光素子30間の距離は例えば3μm以上100μm以下であり、3μm以上20μm以下であることが好ましい。これにより、第1基板10上に配置できる発光素子30の個数を多くすることができる。但し、これには限定されず、第1基板10には1個の発光素子30が固定されていてもよい。
【0019】
剥離層40は発光素子30ごとに設けられている。剥離層40は、第1基板10と発光素子30との間に位置している。平面視で、剥離層40の外縁は発光素子30の半導体積層体31の第1主面31aの外縁の内側に位置しており、剥離層40同士は離隔している。平面視で、剥離層40の平面サイズを半導体積層体31の第1主面31aの平面サイズよりも小さくすることで、後述するレーザ光200の照射範囲を小さくすることができる。これにより、レーザ光200が照射対象の剥離層40以外の隣接する剥離層40に照射される可能性を低減できる。これにより、発光素子30の移載の信頼性が向上する。
【0020】
剥離層40は、レーザ光200により除去可能な部材であればよい。剥離層40は、例えば、後述するレーザ光200を吸収しレーザアブレーションにより除去可能な部材であればよく、例えば感光性樹脂である。剥離層40と発光素子30の間に接着層を設けてもよい。これにより、第1基板10に発光素子30を固定する固着力が向上するため、レーザ光を照射する工程において発光素子30に対して信頼性良くレーザ光を照射できる。
【0021】
第2基板20は、例えばシリコン、金属又はガラス等からなる基材21と、例えばシリコーン樹脂からなる樹脂層22を含む。樹脂層22は基材21の一方の面に配置されている。第2基板20は、第3面20aと、第3面20aの反対側の第4面20bとを有する。第2基板20の第3面20aには樹脂層22が位置しており、第4面20bは基材21によって構成されている。第2基板20の第3面20aには、アライメント部23が配置されている。
【0022】
(第1基板10および第2基板20の配置工程)
本実施形態においては、説明の便宜上、XYZ直交座標系を採用する。第1基板10の第1面10aに対して平行な一方向を「第1方向X」とする。また、第1基板10の第1面10aに対して平行で第1方向Xに対して直交する方向を「第2方向Y」とする。さらに、第1基板10の第2面10bから第1面10aに向かう方向を「第3方向Z」とする。第3方向Zは、例えば、鉛直方向下方、すなわち、重力の方向である。本実施形態においては、第3方向Zを「下」ともいい、その逆方向を「上」ともいう。この場合、XY平面は水平面である。但し、第3方向Zは鉛直方向下方には限定されず、XY平面は水平面には限定されない。また、本実施形態においては、第1方向X及び第2方向Yは、発光素子30の配列方向である。
【0023】
第1基板10を、第1面10aを下方に向けて水平に配置する。この段階では、発光素子30は剥離層40を介して第1基板10の第1面10aに固定されているため、発光素子30が第1基板10から脱落することはない。そして、第2基板20を第1基板10の下方に、第1基板10に対して平行に配置する。このとき、第2基板20の第3面20aを上方に向けて配置する。したがって、第2基板20の第3面20aは第1基板10の第1面10aに対向し、発光素子30は第1基板10と第2基板20の間に配置される。但し、発光素子30は第2基板20から離れている。
【0024】
このとき、第1方向Xにおける第1基板10に対する第2基板20の位置Px、第2方向Yにおける第1基板10に対する第2基板20の位置Py、及び、第3方向Zに延びる直線を回転軸Czとした第1基板10に対する第2基板20の角度θzは、第1基板10に設けられたアライメント部13及び第2基板20に設けられたアライメント部23を参照して調整する。角度θzは、例えば0度以上3度以下であり、0度以上2度以下であることが好ましい。
【0025】
また、第1基板10に対する第2基板20の第3方向Zにおける距離Dz、第1方向Xに延びる直線を回転軸Cxとした第1基板10に対する第2基板20の角度θx、及び、第2方向Yに延びる直線を回転軸Cyとした第1基板10に対する第2基板20の角度θyは、2ヶ所以上、好ましくは3ヶ所以上において第1基板10と第2基板20の距離Dzを測定することによって調整する。距離Dzは例えば20μm以上40μm以下とする。角度θx及び角度θyは、例えば0度以上3度以下であり、0度以上2度以下であることが好ましい。
【0026】
本実施形態においては、第1基板10を固定し、第2基板20を移動または第2基板20の配置角度を調整することにより、第1基板10と第2基板20の位置関係を調整している。なお、本開示の発光素子の移載方法は、これに限定されず、第2基板20を固定し、第1基板10を移動または第1基板10の配置角度を調整してもよい。また、第1基板10および第2基板20の双方を移動させたり、または配置角度を調整してもよい。
【0027】
(剥離層を除去する工程)
図4は、本実施形態において使用されるレーザ光学系を示す図である。
図4に示すように、本実施形態のレーザ光学系100においては、レーザ光源101、アッテネータ102、回折光学素子(DOE:Diffractive Optical Element)103、ビームエキスパンダ機構104、ガルバノミラー105及びテレセントリックレンズ106が設けられている。剥離層40は、レーザ光学系100によるレーザ光200により除去される。
【0028】
レーザ光源101は、レーザ光200を出射する。レーザ光源101は、例えば中長波レーザ光源である。レーザ光200の波長は特に限定されないが、例えば、250nm以上400nm以下である。一例としては、レーザ光200は、波長が約355nmである光である。レーザ光源101から出射した時点では、レーザ光200の形状は円形である。なお、「レーザ光の形状」とは、レーザ光の進行方向に対して垂直な平面においてレーザ光が照射される領域の形状を意味する。また、レーザ光源101から出射した時点では、レーザ光200の強度分布はガウシアン分布である。該ガウシアン分布のレーザ光の強度分布は、例えば、剥離層40が除去可能な強度を最小強度としたときに、最大強度は最小強度の200%以上である。上述のアッテネータ102、回折光学素子103、ビームエキスパンダ機構104、ガルバノミラー105及びテレセントリックレンズ106は、レーザ光200の経路に沿って配置されている。
【0029】
アッテネータ102は、レーザ光源101から出射したレーザ光200を減衰させる。なお、アッテネータ102は設けなくてもよい。回折光学素子103は、光強度変換機能を有する素子であり、レーザ光200の形状を円形から矩形、例えば、正方形に変換すると共に、強度分布をガウシアン分布からトップハット型分布に変換する。ビームエキスパンダ機構104は、剥離層40の平面サイズに応じてレーザ光200の照射範囲を調整する。回折光学素子103及びビームエキスパンダ機構104により、レーザ光200の形状及び照射範囲が剥離層40に対応した形状及び照射範囲となる。
【0030】
ガルバノミラー105は、レーザ光200の進行方向に対する角度が変化することにより、レーザ光200を反射させる方向を制御する。ガルバノミラー105の角度を変化させることで特定の発光素子に対してレーザ光を照射することができるため、例えばノズルを移動させながらレーザ光を照射するレーザ照射装置と比べてレーザ光の照射にかかる時間を短縮することができる。テレセントリックレンズ106は、例えば、テレセントリックfθレンズである。テレセントリックレンズ106は、ガルバノミラー105から入射したレーザ光200の進行方向を同一方向に近づけさせる役割を有する。ガルバノミラー105及びテレセントリックレンズ106により、レーザ光200の進行方向を大きく変化させずに、レーザ光200の照射位置のみを選択することができる。これにより、第1基板10に固定された特定の発光素子に対して、レーザ光200を選択的に照射することができる。
【0031】
テレセントリックレンズ106から出射したレーザ光200の進行方向がテレセントリックレンズ106の光軸に対してなす角度は、5度以下であることが好ましく、3度以下であることがより好ましく、1度以下であることがより好ましい。テレセントリックレンズ106の光軸は、例えば、第3方向Zに延びている。
【0032】
図5は、本実施形態において剥離層を除去する工程を示す断面図である。
図5に示すように、テレセントリックレンズ106から出射したレーザ光200は、第1基板10に入射する。このとき、第1基板10、第2基板20、発光素子30及び剥離層40は、上述の位置関係にある。レーザ光200は、第1基板10の第2面10bから入射し、第1基板10内を進行し、第1面10aから出射され、選択された1つの剥離層40に照射される。このようにして、第1基板10を介して剥離層40にレーザ光200が照射される。レーザ光200により照射された剥離層40は、例えば、レーザ光200を吸収し、レーザアブレーションにより除去される。一例として、剥離層40は、レーザ光200のエネルギーにより、剥離層40を形成する分子同士の結合が解除され、昇華する。この結果、固体であった剥離層40が気体となり、剥離層40が除去される。なお、剥離層40を除去するために利用する現象は昇華には限定されない。
【0033】
剥離層40が除去されることにより、発光素子30と第1基板10との固定が解除される。また、剥離層40を昇華させる場合は、固体であった剥離層40が気体になることにより、体積が膨張して圧力が発生する。この圧力により、発光素子30が第1基板10から離れる方向に付勢される。これにより、発光素子30が第1基板10から第2基板20に向けて空中を第3方向Zに移動し、樹脂層22に到達する。樹脂層22はタック性を有するため、発光素子30は樹脂層22により第2基板20の第3面20aに固定される。
【0034】
そして、レーザ光源101とガルバノミラー105を制御することにより、複数の剥離層40に対して順次レーザ光200を照射する。これにより、複数の発光素子30を第1基板10から第2基板20に移載する。
【0035】
(レーザ光200の形状及び強度分布)
図6は、剥離層に照射されるレーザ光の形状及び強度分布を示す斜視図である。
図7は、剥離層に照射されるレーザ光の強度分布を示す平面図である。
図8は、レーザ光の強度分布と剥離層との関係を示す図である。
図8の下部は、横軸に第1方向Xにおける位置をとり、縦軸にレーザ光の強度をとって、レーザ光の強度分布を示すグラフである。図8の上部には、下部のグラフと対応させて、発光素子及び剥離層の位置を表している。
【0036】
図6図8に示すように、第1基板10の第1面10aにおけるレーザ光200の形状は剥離層40よりも一回り大きい矩形であり、その強度分布はトップハット型である。第1面10aにおけるレーザ光200の強度分布は、剥離層40の全体において、剥離層40を除去可能な最小強度Imin以上である。剥離層40を除去可能な最小強度Iminとは、一例として、剥離層40を昇華可能な最小強度であり、剥離層40の材料及びレーザ光200の波長が決まると略一義的に決定される。以下、この剥離層40を除去可能な最小強度Iminを基準とし、この強度を「100%」とする。レーザ光200の最大強度Imaxは最小強度Iminの150%以下である。好ましくは、レーザ光200の最大強度Imaxは最小強度Iminの130%以下であり、さらに好ましくは、110%以下である。
【0037】
図7及び図8に示すように、平面視で、剥離層40の外縁は発光素子30の外縁の内側に位置する。具体的には、平面視で、剥離層40の外縁は発光素子30の半導体積層体31の第1主面31aの外縁の内側に位置する。また、第1基板10の第1面10aにおけるレーザ光200の強度が最小強度Imin以上となる第1領域R1は、発光素子30の内側に位置する。また、剥離層40は第1領域R1の内側に位置する。第1基板10上に剥離層40を介した発光素子30が複数あり、複数の発光素子30が近接して配置されている場合に、レーザ光200は、照射対象の剥離層40に加えて近接する剥離層40に対しても照射される場合がある。しかし、平面視で、剥離層40の平面サイズを発光素子30の平面サイズよりも小さくし、且つレーザ光200の強度が最小強度Imin以上となる第1領域R1を発光素子30の平面サイズよりも小さくすることで、レーザ光200が近接する剥離層40に照射されたとしても、近接する剥離層40が除去されることを低減できる。これにより、発光素子30の移載の信頼性を高くすることができる。
【0038】
また、第1面10aにおけるレーザ光200の強度が最大強度Imaxの95%以上となる第2領域R2は、剥離層40の内側に位置することが好ましい。これにより、レーザ光200による発光素子30の損傷を低減しやすくなる。また、第1面10aに平行な方向、すなわち、XY平面に平行な方向において、第2領域R2の長さは、例えば、第1領域R1の長さの50%以上であり、60%以上であることが好ましい。また、第1面10aにおけるレーザ光200の強度が最大強度Imaxの13.5%以上となる第3領域R3の長さは、例えば、第1領域R1の長さの250%以下であり、200%以下であることが好ましい。これにより、強度分布のムラが低減されたトップハット型の強度分布を有したレーザ光200を形成でき、発光素子40を位置精度よく移載することができる。
【0039】
第1基板10におけるレーザ光200の透過率は、剥離層40におけるレーザ光200の透過率よりも高いことが好ましい。換言すると、レーザ光200は、第1基板10では大部分が透過され、剥離層40では透過されにくく吸収されやすいことが好ましい。具体的には、剥離層40におけるレーザ光200の透過率は、例えば、第1基板10におけるレーザ光200の透過率の70%以下であり、60%以下であることが好ましい。また、剥離層40におけるレーザ光200の透過率は、40%以上60%以下であることが好ましい。第1基板10および剥離層40の透過率を上記のように設定することで、レーザ光200は、第1基板10の内部を透過しやすくなり、かつ剥離層40がレーザ光200のエネルギーを吸収しやすくなる。これにより、剥離層40の除去精度が向上し、発光素子30の移載の信頼性を向上させることができる。
【0040】
レーザ光200は、剥離層40の厚さ全体にわたって上述の強度分布を保持できることが好ましい。剥離層40におけるレーザ光200の透過率が100%であると仮定したときに、すなわち、剥離層40がレーザ光200を全く吸収しないと仮定したときに、剥離層40の発光素子30側の表面におけるレーザ光200の強度分布は、剥離層40の全体において最小強度Imin以上であり、且つ、最大強度Imaxが最小強度Iminの150%以下であることが好ましい。最大強度Imaxは、好ましくは最小強度Iminの130%以下であり、さらに好ましくは110%以下である。
【0041】
また、剥離層40におけるレーザ光200の透過率が100%であると仮定したときに、第3方向Zにおいて、レーザ光200の焦点深度に対する剥離層40の厚さは、0.01%以上0.1%以下であることが好ましい。本実施形態において、「レーザ光200の焦点深度」とは、レーザ光200が上述の強度分布、すなわち、剥離層40の全体において最小強度Imin以上であり、且つ、最大強度Imaxが最小強度Iminの150%以下である強度分布となるようなXY平面を実現する第3方向Zにおける範囲である。一例では、レーザ光200の焦点深度は400μm以上800μm以下である。この場合、剥離層40の厚さは40nm以上800nm以下であることが好ましい。
【0042】
(発光装置の製造方法)
本実施形態に係る発光素子の移載方法は、発光装置の製造方法に適用することができる。
図9図13は、本実施形態に係る発光装置の製造方法を示す端面図である。
【0043】
図9に示すように、レーザ光200を照射する工程において、一部の発光素子30に対してレーザ光を照射しなくてもよい。具体的には、発光装置を製造する工程は、図1図3に示す発光素子30を第1基板10から第2基板20に移載する工程の前に、各発光素子30の検査を行い、この検査で不良となった発光素子30Nを検出する工程を備え、上述の移載工程において、検査において特性が不良と判定された発光素子30Nに対応する剥離層40以外の剥離層40に対してレーザ光200を照射してもよい。
【0044】
検査は、発光素子30の外観を検査する外観検査であってもよく、発光素子30の電気的特性を評価する電気的特性評価であってもよい。これにより、不良の発光素子30Nの移載は行わず、それ以外の良品の発光素子30のみを移載することができる。このようにして、外観検査等において不良と判定された発光素子30Nを除去できるため、良品の発光素子30のみを後の工程で使用することができる。
【0045】
また、発光装置を製造する工程は、発光素子30を移載する工程の後に、リワーク工程をさらに含んでいてよい。リワーク工程は、移載後の第2基板20上の発光素子30の移載状態を検査し、移載状態が不良の発光素子30Rまたは発光素子30が配置されていない領域Rを検出する工程と、移載状態が不良の発光素子30Rがある場合はこの発光素子30Rを除去する工程と、除去された発光素子30Rが配置されていた領域または発光素子30が配置されていない領域Rに新たな発光素子30を配置する工程と、を含む。
【0046】
具体的には、図10に示すように、移載後の第2基板20上の発光素子30の移載状態を検査し、移載状態が不良の発光素子30Rまたは発光素子30が配置されていない領域Rを検出する。移載状態が不良の発光素子30Rは、移載後の位置が基準位置からいずれかの方向にずれている発光素子を含んでいる。また、領域Rは、本来、発光素子30が配置されているべき領域であるが、実際には発光素子30が配置されていない領域である。まずは、外観検査することにより、このような移載状態が不良の発光素子30Rおよび領域Rを検出する。
【0047】
次に、移載状態が不良の発光素子30Rを含む場合は、図11に示すように、移載状態が不良の発光素子30Rを除去する。発光素子30Rを除去する方法は、例えば、粘着シート185を介して押圧部186を発光素子30Rに押し付けることにより、発光素子30Rを粘着シート185に接着させる。次に、押圧部186及び粘着シート185を第2基板20から離す。これにより、発光素子30Rが粘着シート185と共に第2基板20から除去される。
【0048】
次に、図12に示すように、除去された発光素子30Rが配置されていた領域または領域Rに新たな発光素子30を配置する。新たな発光素子30を配置する方法は、例えば、第1基板10上に新たな発光素子30が配置された構造体を準備し、発光素子30Rが配置されていた領域または領域Rに対応する発光素子30に対してレーザ光200を照射して、再度移載工程を行う。これにより、図13に示すように、第2基板20上における発光素子30が配置されるべき全ての領域に、良品の発光素子30が配置される。
【0049】
(効果)
次に、本実施形態の効果について説明する。
本実施形態においては、レーザ光200を照射することにより剥離層40を除去している。これにより、第1基板10に固定された複数の発光素子30のうち、選択した発光素子30のみを第1基板10から第2基板20に移載することができる。また、本実施形態においては、剥離層40を昇華させて剥離層40を除去してもよい。剥離層40を昇華させて除去することにより、剥離層40が固体から気体になる体積膨張による圧力により、発光素子30が第1基板10から離れる方向に付勢される。これにより、発光素子30が第2基板20上に信頼性良く移載される。
【0050】
また、本実施形態においては、第1基板10の第1面10aにおけるレーザ光200の強度分布を、剥離層40の全体において最小強度Imin以上としている。これにより、剥離層40全体を昇華させることができる。一方、レーザ光200の最大強度Imaxを最小強度Iminの150%以下としている。これにより、剥離層40に照射されるレーザ光200の強度分布が均一に近づき、剥離層40の一部分が他の部分よりも先に昇華されることを低減できる。このため、本実施形態に係る発光素子の移載方法は、信頼性が高い。
【0051】
仮に、剥離層40に照射されるレーザ光200の強度分布が不均一であり、最大強度Imaxが最小強度Iminの150%よりも高い部分があると、剥離層40の他の部分が昇華されない状態のまま、一部分が先に昇華される場合がある。この場合は、剥離層40における未昇華の部分に発光素子30が結合された状態で、剥離層40における昇華した部分に由来する気体の圧力で発光素子30が付勢される。この結果、発光素子30が予期しない方向に移動してしまう可能性がある。これにより、第1基板10から第2基板20への発光素子30の移載の信頼性が低下する。
【0052】
また、本実施形態においては、剥離層40におけるレーザ光200の透過率を40%以上60%以下としている。剥離層40におけるレーザ光200の透過率を40%以上とすることにより、剥離層40における第1基板10側の部分だけでなく、剥離層40における発光素子30側の部分にもレーザ光200が到達し、剥離層40を厚さ方向において均一に昇華させやすくなる。また、透過率を60%以下とすることにより、剥離層40においてレーザ光200を十分に吸収させて、剥離層40を効率的に昇華させると共に、レーザ光200による発光素子30の損傷を低減できる。
【0053】
また、本実施形態においては、レーザ光200の強度が最大強度Imaxの95%以上となる第2領域R2が、剥離層40の内側に位置している。これにより、剥離層40の側方を通過したレーザ光200による発光素子30の損傷を低減できる。
【0054】
また、本実施形態においては、剥離層40におけるレーザ光200の透過率を、第1基板10におけるレーザ光200の透過率の70%以下としている。これにより、レーザ光200の大部分を第1基板10ではなく剥離層40に吸収させて、剥離層40を効率的に昇華させることができる。
【0055】
また、本実施形態においては、剥離層40におけるレーザ光200の透過率が100%であると仮定したときに、剥離層40の発光素子30側の表面におけるレーザ光200の強度分布も、剥離層40の全体において最小強度Imin以上とし、且つ、最大強度Imaxが最小強度Iminの150%以下としている。これにより、剥離層40の厚さ全体にわたってレーザ光200が上述の強度分布を保持でき、剥離層40全体をより確実に昇華させることができる。
【0056】
また、本実施形態においては、レーザ光200の焦点深度に対する剥離層40の厚さを0.01%以上0.1%以下としている。換言すれば、焦点深度が剥離層40の厚さの1000倍以上10000倍以下となるように、レーザ光学系100を設定している。これにより、十分な焦点深度が実現され、剥離層40を安定して昇華させることができる。この結果、発光素子30の移載の信頼性が向上する。
【0057】
また、本実施形態においては、テレセントリックレンズ106から出射したレーザ光200の進行方向を、テレセントリックレンズ106の光軸に対して5度以下としている。これにより、全ての剥離層40に対して略同一な方向からレーザ光200を照射できる。この結果、全ての剥離層40に対して、レーザ光200の形状及び強度分布を略同一にできる。これによっても、発光素子30の移載の信頼性が向上する。また、テレセントリックレンズ106の光軸に対するレーザ光200の進行方向を3度以下、より好ましくは1度以下とすることにより、レーザ光学系100の他の部材のパラメータの自由度が増加する。
【0058】
本実施形態に係る発光素子の移載方法は、発光装置の製造方法に適用することができる。つまり、発光装置の製造方法は、発光素子を移載する工程を含むことができる。発光装置の製造方法は、発光素子を移載する工程以外に、例えば、移載された発光素子上に蛍光体層を配置する工程や複数の発光素子を一括して光反射性または光吸収性を有する遮光部材で保持する工程と、を備えていてよい。発光装置の製造方法が発光素子を移載する工程を含むことで、発光装置の生産性が向上する。また、上述の如く、本実施形態に係る発光素子の移載方法は信頼性が高いため、発光装置の歩留まりが向上する。
【0059】
前述の実施形態は本開示を具現化した例であり、本開示はこの実施形態には限定されない。例えば、前述の実施形態において、いくつかの構成要素又は工程を追加、削除又は変更したものも本開示に含まれる。
【0060】
本開示は、以下の態様を含む。
【0061】
(付記1)
第1面及び前記第1面の反対側の第2面を有する第1基板の前記第1面に剥離層を介して固定された発光素子を第2基板に移載する発光素子の移載方法であって、
前記第2面側から前記第1基板を介して前記剥離層にレーザ光を照射することにより、前記剥離層を除去させる工程を備え、
前記第1面における前記レーザ光の強度分布は、前記剥離層の全体において前記剥離層を除去可能な最小強度以上であり、且つ、最大強度が前記最小強度の150%以下である発光素子の移載方法。
【0062】
(付記2)
前記剥離層における前記レーザ光の透過率は、40%以上60%以下である付記1に記載の発光素子の移載方法。
【0063】
(付記3)
前記剥離層における前記レーザ光の透過率は、前記第1基板における前記レーザ光の透過率の70%以下である付記1または2に記載の発光素子の移載方法。
【0064】
(付記4)
平面視で、前記剥離層の外縁は前記発光素子の外縁の内側に位置し、前記第1面における前記レーザ光の強度が前記最小強度以上となる第1領域は前記発光素子の内側に位置し、前記第1面における前記レーザ光の強度が前記最大強度の95%以上となる第2領域は、前記剥離層の内側に位置する付記1~3のいずれか1つに記載の発光素子の移載方法。
【0065】
(付記5)
前記第1面に平行な方向において、前記第2領域の長さは前記第1領域の長さの50%以上80%以下である付記4に記載の発光素子の移載方法。
【0066】
(付記6)
前記剥離層における前記レーザ光の透過率が100%であると仮定したときに、前記剥離層の前記発光素子側の表面における前記レーザ光の強度分布は、前記剥離層の全体において前記最小強度以上であり、且つ、最大強度が前記最小強度の150%以下である付記1~5のいずれか1つに記載の発光素子の移載方法。
【0067】
(付記7)
前記剥離層における前記レーザ光の透過率が100%であると仮定したときに、前記第2面から前記第1面に向かう方向において、前記レーザ光の強度分布が、前記剥離層の全体において前記最小強度以上であり、且つ、最大強度が前記最小強度の150%以下となる平面を実現する焦点深度に対する前記剥離層の厚さが0.01%以上0.1%以下である付記1~6のいずれか1つに記載の発光素子の移載方法。
【0068】
(付記8)
前記剥離層を除去させる工程の前に、前記第2基板を前記第1基板に対して平行に配置する工程をさらに備え、
前記平行に配置する工程において、前記第1面に対して平行な第1方向、及び、前記第1面に対して平行で前記第1方向に対して傾斜する第2方向における前記第1基板に対する前記第2基板の位置、並びに、前記第2面から前記第1面に向かう第3方向に延びる直線を回転軸とした前記第1基板に対する前記第2基板の角度は、前記第1基板及び前記第2基板にそれぞれ設けられたアライメント部を参照して調整する付記1~7のいずれか1つに記載の発光素子の移載方法。
【0069】
(付記9)
前記平行に配置する工程において、前記第1基板に対する前記第2基板の前記第3方向における距離、前記第1方向に延びる直線を回転軸とした前記第1基板に対する前記第2基板の角度、及び、前記第2方向に延びる直線を回転軸とした前記第1基板に対する前記第2基板の角度は、2ヶ所以上において前記第1基板と前記第2基板の距離を測定することによって調整する付記8に記載の発光素子の移載方法。
【0070】
(付記10)
前記レーザ光は、レーザ光源から出射し、回折格子により回折され、ビームエキスパンダ機構により拡径され、ガルバノミラーにより光路が選択され、テレセントリックレンズにより平行化されて、前記第1基板に入射する付記1~9のいずれか1つに記載の発光素子の移載方法。
【0071】
(付記11)
前記テレセントリックレンズから出射した前記レーザ光の進行方向が前記テレセントリックレンズの光軸に対してなす角度は1度以下である付記10に記載の発光素子の移載方法。
【0072】
(付記12)
付記1~11のいずれか1つに記載の発光素子の移載方法により、前記第1基板から前記第2基板に前記発光素子を移載する工程を備える発光装置の製造方法。
【符号の説明】
【0073】
10 第1基板
10a 第1面
10b 第2面
13 アライメント部
20 第2基板
20a 第3面
20b 第4面
21 基材
22 樹脂層
23 アライメント部
30 発光素子
30N 特性が不良の発光素子
30R 移載状態が不良の発光素子
31 半導体積層体
31a 第1主面
31b 第2主面
31c 側面
32 電極部
33 光減衰層
40 剥離層
50 中間体
100 レーザ光学系
101 レーザ光源
102 アッテネータ
103 回折光学素子
104 ビームエキスパンダ機構
105 ガルバノミラー
106 テレセントリックレンズ
185 粘着シート
186 押圧部
200 レーザ光
Cx、Cy、Cz 回転軸
Dz 距離
Imax 最大強度
Imin 最小強度
Px 第1方向Xにおける位置
Py 第2方向Yにおける位置
R 発光素子が配置されていない領域
R1 レーザ光の強度が最小強度Imin以上となる第1領域
R2 レーザ光の強度が最大強度Imaxの95%以上となる第2領域
R3 レーザ光の強度が最大強度Imaxの13.5%以上となる第3領域
θx、θy、θz 角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13