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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171969
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】加工装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/301 20060101AFI20241205BHJP
   B23K 26/53 20140101ALI20241205BHJP
   B23K 26/364 20140101ALI20241205BHJP
【FI】
H01L21/78 A
H01L21/78 Q
B23K26/53
B23K26/364
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023089355
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100075384
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 昂
(74)【代理人】
【識別番号】100172281
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100206553
【弁理士】
【氏名又は名称】笠原 崇廣
(74)【代理人】
【識別番号】100189773
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 英哲
(74)【代理人】
【識別番号】100184055
【弁理士】
【氏名又は名称】岡野 貴之
(74)【代理人】
【識別番号】100185959
【弁理士】
【氏名又は名称】今藤 敏和
(72)【発明者】
【氏名】高木 宏
(72)【発明者】
【氏名】小松 淳
【テーマコード(参考)】
4E168
5F063
【Fターム(参考)】
4E168AD02
4E168AD18
4E168AE01
4E168CB03
4E168CB07
4E168DA04
4E168DA06
4E168DA24
4E168DA43
5F063AA48
5F063CB02
5F063CB05
5F063CB06
5F063CB07
5F063CB24
5F063DD25
5F063DD64
5F063DE11
5F063DE16
5F063DE23
5F063DE33
5F063DE35
(57)【要約】
【課題】複数のデバイスのうち任意の数のデバイスの各々においてデバイス内の同じ位置を正確に特定した上で、その位置において被加工物までの距離又は被加工物の高さの測定を実行する。
【解決手段】保持テーブルと、加工ユニットと、撮像ユニットと、保持テーブルで保持された被加工物までの距離又は保持テーブルで保持された被加工物の高さを測定する測定器と、コントローラと、を備え、コントローラは、測定器で測定を行うための暫定的な位置が1つのチップ相当領域内において指定された場合に、被加工物の表面において複数のチップ相当領域の各々に設けられたターゲットパターンのうち暫定的な位置に近接する1つのターゲットパターンを基準として、コントローラに予め記憶されたオフセットベクトルで被測定位置を特定し、被測定位置において被加工物までの距離又は被加工物の高さを測定器で測定する加工装置を提供する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに交差する複数の分割予定ラインが表面に設定され該複数の分割予定ラインによって区画された複数のチップ相当領域の各々にデバイスが設けられている被加工物を各分割予定ラインに沿って加工する加工装置であって、
該被加工物を保持する保持面を有する保持テーブルと、
該保持テーブルで保持された該被加工物を各分割予定ラインに沿って加工する加工ユニットと、
撮像素子を有し、該保持テーブルで保持された該被加工物を撮像する撮像ユニットと、
該保持テーブルで保持された該被加工物までの距離、又は、該保持テーブルで保持された該被加工物の高さを測定する測定器と、
メモリ及びプロセッサを有し、該保持テーブル、該加工ユニット、該撮像ユニット、及び、該測定器を制御するコントローラと、
を備え、
該コントローラは、該測定器で測定を行うための暫定的な位置が1つのチップ相当領域内において指定された場合に、該被加工物の該表面において該複数のチップ相当領域の各々に設けられたターゲットパターンのうち該暫定的な位置に近接する1つのターゲットパターンを基準として、該コントローラに予め記憶されたオフセットベクトルで被測定位置を特定し、該被測定位置において該被加工物までの距離又は該被加工物の高さを該測定器で測定することを特徴とする加工装置。
【請求項2】
該コントローラは、
該暫定的な位置が1つのチップ相当領域内において指定された場合に、該コントローラに予め記憶されている第1のターゲットパターンの座標と、該暫定的な座標と、の差分を算出し、
該被加工物までの距離又は該被加工物の高さに沿う方向と直交する所定平面内で規定される第1方向での該差分を、該コントローラに予め記憶されている該第1方向での第1インデックス長さで除することで、該第1のターゲットパターンから該第1インデックス長さの整数倍だけ離れており、且つ、該第1のターゲットパターンよりも該暫定的な位置の近くに位置する第2のターゲットパターンの該第1方向での位置を特定し、
該所定平面内で規定される第2方向での該差分を、該コントローラに予め記憶されている該第2方向での第2インデックス長さで除することで、該第1のターゲットパターンから該第2インデックス長さの整数倍だけ離れており、且つ、該第1のターゲットパターンよりも該暫定的な位置の近くに位置する該第2のターゲットパターンの該第2方向での位置を特定し、
該第2のターゲットパターンを基準として該オフセットベクトルで特定される該被測定位置において、該被加工物までの距離又は該被加工物の高さを該測定器で測定することを特徴とする請求項1に記載の加工装置。
【請求項3】
該測定器は、レーザー変位計を有し、
該コントローラは、該被測定位置において該被加工物を構成する複数層のうちターゲットとなるターゲット層までの距離を該測定器で測定することを特徴とする請求項1に記載の加工装置。
【請求項4】
該ターゲット層が、該被加工物の内部に位置する金属層、又は、該被加工物の最表面に露出する絶縁層である場合に、該コントローラは、該金属層又は該絶縁層までの距離を該測定器で測定し、
該ターゲット層が、該金属層及び該絶縁層の両方である場合に、該コントローラは、該絶縁層の最表面までの距離と、該金属層までの距離と、の両方を該測定器で測定することを特徴とする請求項3に記載の加工装置。
【請求項5】
該コントローラは、該測定器で測定された該被加工物までの距離に関する被加工物距離情報、又は、該測定器で測定された該被加工物の高さに関する被加工物高さ情報に基づいて、該加工ユニットで該被加工物を加工する際の加工深さ位置を制御することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の加工装置。
【請求項6】
該加工ユニットは、先端部に切削ブレードが装着されるスピンドルを有する切削ユニットであることを特徴とする請求項5に記載の加工装置。
【請求項7】
該加工ユニットは、レーザー発振器と、集光レンズと、を有するレーザービーム照射ユニットであり、
該レーザービーム照射ユニットは、該レーザー発振器から出射され且つ該被加工物に吸収される波長を有するレーザービームを、該集光レンズで集光した状態で該被加工物に照射することで、該被加工物に対してアブレーション加工を施すことを特徴とする請求項5に記載の加工装置。
【請求項8】
該加工ユニットは、レーザー発振器と、集光レンズと、を有するレーザービーム照射ユニットであり、
該レーザービーム照射ユニットは、該レーザー発振器から出射され且つ該被加工物を透過する波長を有するレーザービームを、該レーザービームの集光点が該被加工物の内部に位置する様に該集光レンズで集光した状態で該被加工物に照射することで、該被加工物の内部に改質層を形成することを特徴とする請求項5に記載の加工装置。
【請求項9】
該メモリは、該所定平面内の複数点において該測定器で測定した該保持面の高さに関する保持面高さ情報を記憶することを特徴とする請求項1に記載の加工装置。
【請求項10】
該コントローラは、該メモリに記憶された該保持面高さ情報と、該測定器で測定された該被加工物までの距離に関する被加工物距離情報、又は、該測定器で測定された該被加工物の高さに関する被加工物高さ情報と、に基づいて、該被加工物の加工中に該加工ユニットの該被加工物に対する高さ方向の位置を調整することを特徴とする請求項9に記載の加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被加工物を各分割予定ラインに沿って加工する加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、半導体デバイスチップを製造する際には、表面に複数の分割予定ラインが格子状に設定され且つ複数の分割予定ラインで区画された各領域にデバイスが形成されている被加工物を、複数の半導体デバイスチップに分割する。
【0003】
特に、厚さが50μm以下の比較的薄い半導体デバイスチップを製造する際には、DBG(Dicing Before Grinding)と呼ばれるプロセスを採用して、被加工物を分割することがある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
DBGプロセスでは、被加工物の表面からデバイスチップの仕上がり厚さに相当する深さ以上の深さを有する分割溝を各分割予定ラインに沿って被加工物の表面側に形成した後、被加工物の裏面側を研削して分割溝が露出するまで被加工物を薄化することにより、被加工物を複数の半導体デバイスチップに分割する。
【0005】
DBGプロセスでは、分割溝の深さを略同じとすることが望ましい。しかし、被加工物の面内厚さにはばらつきがあるので、分割溝を形成する前に、背圧センサを用いて、被加工物の表面の高さを測定することが行われている(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
背圧センサは、ダイヤフラムを有する圧力センサである。背圧センサを用いて被加工物の表面の高さを測定する際には、圧縮された気体をノズルから被加工物の表面に噴射する。ノズルの先端と被加工物の表面との距離は、ダイヤフラムの変位量に基づいて測定される。
【0007】
しかし、被加工物の表面にはバンプ等の突起物、デバイスの回路構造に起因する凹凸等が存在するので、被加工物の表面内には高低差がある。それゆえ、被加工物の表面において気体が噴射される位置が少しでもずれると、測定される距離に数μmから数十μmの測定誤差が生じてしまうという問題がある。
【0008】
一般的に、加工開始前には、被加工物の表面の複数の測定位置で高さを測定するが、上述の測定誤差を防ぐためには、表面に行列状に配置された複数のデバイスのうち任意の数のデバイスの各々において、各デバイス内で略同じ位置にあり且つ高さの測定に適した所定の測定位置で測定を行う必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2012-160515号公報
【特許文献2】特開2001-298003号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は係る問題点に鑑みてなされたものであり、複数のデバイスのうち任意の数のデバイスの各々においてデバイス内の略同じ位置を正確に特定した上で、その位置において被加工物までの距離又は被加工物の高さの測定を実行することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様によれば、互いに交差する複数の分割予定ラインが表面に設定され該複数の分割予定ラインによって区画された複数のチップ相当領域の各々にデバイスが設けられている被加工物を各分割予定ラインに沿って加工する加工装置であって、該被加工物を保持する保持面を有する保持テーブルと、該保持テーブルで保持された該被加工物を各分割予定ラインに沿って加工する加工ユニットと、撮像素子を有し、該保持テーブルで保持された該被加工物を撮像する撮像ユニットと、該保持テーブルで保持された該被加工物までの距離、又は、該保持テーブルで保持された該被加工物の高さを測定する測定器と、メモリ及びプロセッサを有し、該保持テーブル、該加工ユニット、該撮像ユニット、及び、該測定器を制御するコントローラと、を備え、該コントローラは、該測定器で測定を行うための暫定的な位置が1つのチップ相当領域内において指定された場合に、該被加工物の該表面において該複数のチップ相当領域の各々に設けられたターゲットパターンのうち該暫定的な位置に近接する1つのターゲットパターンを基準として、該コントローラに予め記憶されたオフセットベクトルで被測定位置を特定し、該被測定位置において該被加工物までの距離又は該被加工物の高さを該測定器で測定する加工装置が提供される。
【0012】
好ましくは、該コントローラは、該暫定的な位置が1つのチップ相当領域内において指定された場合に、該コントローラに予め記憶されている第1のターゲットパターンの座標と、該暫定的な座標と、の差分を算出し、該被加工物までの距離又は該被加工物の高さに沿う方向と直交する所定平面内で規定される第1方向での該差分を、該コントローラに予め記憶されている該第1方向での第1インデックス長さで除することで、該第1のターゲットパターンから該第1インデックス長さの整数倍だけ離れており、且つ、該第1のターゲットパターンよりも該暫定的な位置の近くに位置する第2のターゲットパターンの該第1方向での位置を特定し、該所定平面内で規定される第2方向での該差分を、該コントローラに予め記憶されている該第2方向での第2インデックス長さで除することで、該第1のターゲットパターンから該第2インデックス長さの整数倍だけ離れており、且つ、該第1のターゲットパターンよりも該暫定的な位置の近くに位置する該第2のターゲットパターンの該第2方向での位置を特定し、該第2のターゲットパターンを基準として該オフセットベクトルで特定される該被測定位置において、該被加工物までの距離又は該被加工物の高さを該測定器で測定する。
【0013】
また、好ましくは、該測定器は、レーザー変位計を有し、該コントローラは、該被測定位置において該被加工物を構成する複数層のうちターゲットとなるターゲット層までの距離を該測定器で測定する。
【0014】
また、好ましくは、該ターゲット層が、該被加工物の内部に位置する金属層、又は、該被加工物の最表面に露出する絶縁層である場合に、該コントローラは、該金属層又は該絶縁層までの距離を該測定器で測定し、該ターゲット層が、該金属層及び該絶縁層の両方である場合に、該コントローラは、該絶縁層の最表面までの距離と、該金属層までの距離と、の両方を該測定器で測定する。
【0015】
また、好ましくは、該コントローラは、該測定器で測定された該被加工物までの距離に関する被加工物距離情報、又は、該測定器で測定された該被加工物の高さに関する被加工物高さ情報に基づいて、該加工ユニットで該被加工物を加工する際の加工深さ位置を制御する。
【0016】
また、好ましくは、該加工ユニットは、先端部に切削ブレードが装着されるスピンドルを有する切削ユニットである。
【0017】
また、好ましくは、該加工ユニットは、レーザー発振器と、集光レンズと、を有するレーザービーム照射ユニットであり、該レーザービーム照射ユニットは、該レーザー発振器から出射され且つ該被加工物に吸収される波長を有するレーザービームを、該集光レンズで集光した状態で該被加工物に照射することで、該被加工物に対してアブレーション加工を施す。
【0018】
また、好ましくは、該加工ユニットは、レーザー発振器と、集光レンズと、を有するレーザービーム照射ユニットであり、該レーザービーム照射ユニットは、該レーザー発振器から出射され且つ該被加工物を透過する波長を有するレーザービームを、該レーザービームの集光点が該被加工物の内部に位置する様に該集光レンズで集光した状態で該被加工物に照射することで、該被加工物の内部に改質層を形成する。
【0019】
また、好ましくは、該メモリは、該所定平面内の複数点において該測定器で測定した該保持面の高さに関する保持面高さ情報を記憶する。
【0020】
また、好ましくは、該コントローラは、該メモリに記憶された該保持面高さ情報と、該測定器で測定された該被加工物までの距離に関する被加工物距離情報、又は、該測定器で測定された該被加工物の高さに関する被加工物高さ情報と、に基づいて、該被加工物の加工中に該加工ユニットの該被加工物に対する高さ方向の位置を調整する。
【発明の効果】
【0021】
本発明の一態様に係る加工装置のコントローラは、測定器で測定を行うための暫定的な位置が1つのチップ相当領域内において指定された場合に、この暫定的な位置に近接する1つのターゲットパターンを基準として、コントローラに予め記憶されたオフセットベクトルで被測定位置を特定し、被測定位置において被加工物までの距離又は被加工物の高さを測定器で測定する。
【0022】
それゆえ、複数のチップ相当領域(即ち、複数のデバイス)のうち任意の数の各々においてチップ相当領域(即ち、デバイス)内の同じ位置を正確に特定した上で、その位置において距離又は高さの測定を実行できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】切削装置の斜視図である。
図2】所定の測定位置を説明するための表面の拡大画像等を示す図である。
図3図3(A)はレーザー変位計から被加工物の反射面までの距離を測定する様子を示す図であり、図3(B)はレーザー変位計を用いて被加工物の反射面の高さを測定する様子を示す図である。
図4】切削装置にオフセットベクトルを記憶させる手順の一例を示すフロー図である。
図5】測定を行うための暫定的な位置を指定する様子を示す図である。
図6】オフセットベクトルで所定の測定位置を特定する様子を示す図である。
図7】被加工物の表面側の断面図である。
図8】金属層を基準とした切削ブレードの切り込み深さを示す図である。
図9】基準面となる理想的な平坦面に対する保持面の凹凸を示す模式図である。
図10】被加工物にアブレーション加工を施す様子を示す図である。
図11】被加工物の内部に改質層を形成する様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(第1の実施形態)添付図面を参照して、本発明の一態様に係る実施形態について説明する。図1は、切削装置(加工装置)2の斜視図である。図1にそれぞれ示す、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向は互いに直交する。
【0025】
X軸方向(第1方向)は、加工送り方向と略平行である。また、Y軸方向(第2方向)は、割り出し送り方向と略平行であり、Z軸方向(高さ方向)は、重力方向と略平行である。切削装置2は、各構成要素を支持する基台4を備える。
【0026】
基台4の前方(Y軸方向の一方側)の角部には、矩形の開口4aが設けられている。開口4a内には、Z軸方向に沿って昇降可能なエレベータ6が設けられている。エレベータ6の上面には、複数の被加工物11が収容されたカセット8が載置される。
【0027】
本実施形態の被加工物11は、シリコン等の半導体材料で形成されており円盤形状を有する半導体ウェーハを有する。ここで、図2を参照して被加工物11について説明する。
【0028】
被加工物11の表面11aには、互いに直交(交差)する態様で複数の分割予定ライン(ストリート)13が設定されている。複数の分割予定ライン13によって区画された各矩形領域は、切削装置2等での加工を経て最終的にデバイスチップ(不図示)となる。
【0029】
つまり、複数の分割予定ライン13で区画される1つの矩形領域が、チップ相当領域15である。複数のチップ相当領域15の各々には、IC(Integrated Circuit)等のデバイスが設けられている。なお、被加工物11の材質、形状、構造、大きさ等に制限はない。
【0030】
例えば、シリコン以外の他の半導体、セラミックス、樹脂、金属等の材料で形成された基板等を被加工物11に用いることもできる。同様に、デバイスの種類、数量、形状、構造、大きさ、配置等にも制限はない。被加工物11には、デバイスが形成されていなくてもよい。
【0031】
被加工物11の裏面11b側には、被加工物11よりも面積の大きい略円形のダイシングテープ17が貼り付けられている。ダイシングテープ17の外周部分は、環状フレーム19の一面に固定されており、ダイシングテープ17は、環状フレーム19の開口を塞いでいる。
【0032】
この様に、ダイシングテープ17を介して環状フレーム19で被加工物11が支持されることで、被加工物ユニット21が形成されている。被加工物11は、この被加工物ユニット21の状態でカセット8に収容されている。
【0033】
ここで、図1に戻る。エレベータ6の後方(Y軸方向の他方側)には、長手部がX軸方向に沿って配置された開口4bが形成されている。開口4b内には、矩形板状のテーブルカバー10と、X軸方向においてテーブルカバー10の両側に配置された2つの蛇腹状のカバー部材12と、が設けられている。各カバー部材12は、X軸方向で伸縮可能である。
【0034】
テーブルカバー10及びカバー部材12の下方には、ボールねじ式のX軸方向移動機構(不図示)が配置されている。X軸方向移動機構は、X軸方向に沿って移動可能なX軸方向移動板(不図示)を有する。
【0035】
X軸方向移動板上には、回転駆動機構(不図示)が設けられている。回転駆動機構は、テーブルカバー10上に設けられている円盤形状のチャックテーブル(保持テーブル)14を、Z軸方向と略平行な所定の回転軸の周りに回転させる機能を有する。
【0036】
X軸方向移動板をX軸方向に沿って移動させると、チャックテーブル14、テーブルカバー10、回転駆動機構等は、一体的にX軸方向に沿って移動する。チャックテーブル14は、金属で形成され円盤形状を有する枠体を含む。
【0037】
枠体の上面側において、枠体の径方向の中央部には、枠体よりも小径の凹部が形成されており、この凹部には、多孔質セラミックスで形成され円盤形状を有するポーラス板が固定されている。
【0038】
ポーラス板には真空ポンプ等の吸引源(不図示)から負圧が伝達される様に、チャックテーブル14は構成されている。枠体及び多孔質板の上面は、略平坦な保持面14aを構成する。保持面14aは、XY平面に対して略平行に配置されている。
【0039】
チャックテーブル14の外側には、チャックテーブル14の周方向に沿って略等間隔に複数のクランプユニット16が設けられている。各クランプユニット16は、台座と、エアアクチュエータによって回動するクランプと、を有する。
【0040】
クランプを開状態とした上で、保持面14aとダイシングテープ17とが接する様に被加工物ユニット21を保持面14aに載置すると、環状フレーム19は台座上に配置される。この状態でクランプを閉状態とすれば、環状フレーム19が、複数組の台座及びクランプで挟持される。
【0041】
次いで、多孔質板に負圧を作用させることで、被加工物11は、ダイシングテープ17を介して保持面14aで吸引保持される。被加工物11が保持面14aで吸引保持された状態で、被加工物11に対する測定、撮像、切削等が行われる。
【0042】
開口4bに隣接する位置には、片持ち梁状の支持構造18が配置されている。支持構造18の表面側には、Y軸Z軸方向移動機構20が設けられている。Y軸Z軸方向移動機構20は、Y軸方向に略平行に配置された一対のY軸ガイドレール22を備える。
【0043】
Y軸ガイドレール22には、Y軸移動板24がY軸方向に沿ってスライド可能に取り付けられている。Y軸移動板24の裏面側(即ち、支持構造18側)には、ナット部(不図示)が設けられている。
【0044】
このナット部には、Y軸方向と略平行に配置されたねじ軸26が回転可能に連結されている。ねじ軸26の一端部には、ステッピングモータ(不図示)が連結されている。ステッピングモータでねじ軸26を回転させれば、Y軸移動板24は、Y軸方向に移動する。
【0045】
Y軸移動板24の表面側には、Z軸方向に略平行に配置された一対のZ軸ガイドレール28が設けられている。一対のZ軸ガイドレール28には、Z軸移動板30がZ軸方向に沿ってスライド可能に取り付けられている。
【0046】
Z軸移動板30の裏面側には、ナット部(不図示)が設けられており、このナット部には、Z軸方向と略平行に配置されたねじ軸32が回転可能に連結されている。ねじ軸32の上端部には、ステッピングモータ34が連結されている。
【0047】
ステッピングモータ34でねじ軸32を回転させれば、Z軸移動板30は、Z軸方向に沿って移動する。Z軸移動板30の下端部には、被加工物11を切削する切削ユニット(加工ユニット)36が設けられている。
【0048】
切削ユニット36は、長手部がY軸方向に沿って配置された角筒状のスピンドルハウジング38を有する。スピンドルハウジング38には、エアベアリングにより、円柱状のスピンドル40(図9参照)の一部が回転可能に収容されている。
【0049】
スピンドル40は、その長手方向がY軸方向に沿って配置されており、スピンドル40の基端部には、サーボモータ(不図示)が設けられている。また、スピンドル40の先端部には、円環状の切り刃42aを外周部に有する切削ブレード42が装着されている。スピンドル40が回転すれば、スピンドル40と共に切削ブレード42も回転する。
【0050】
図1に示す様に、スピンドルハウジング38に隣接する位置には、顕微鏡カメラユニット(撮像ユニット)44が設けられている。図2に示す様に、顕微鏡カメラユニット44は、マクロカメラ46と、ミクロカメラ48と、を含む。
【0051】
マクロカメラ46及びミクロカメラ48の各々は、チャックテーブル14で吸引保持された被加工物11を撮像する。マクロカメラ46は、レンズ(不図示)、撮像素子46a等を有する。ミクロカメラ48も同様に、レンズ(不図示)、撮像素子48a等を有する。
【0052】
撮像素子46a,48aは、CMOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor)イメージセンサ、CCD(Charge-Coupled Device)イメージセンサ等の固体撮像素子である。
【0053】
マクロカメラ46は、比較的低倍率で被加工物11を撮像する際に使用され、ミクロカメラ48は、比較的高倍率で被加工物11を撮像する際に使用される。得られた画像は、アライメント、ターゲットパターン(詳しくは後述する)の登録、カーフチェック等に利用される。
【0054】
顕微鏡カメラユニット44に隣接する位置には、レーザー変位計(測定器)50が設けられている。本実施形態のレーザー変位計50は、分光干渉方式の変位計である。レーザー変位計50は、近赤外帯域においてコヒーレント光を発するSLD(Super Luminescent Diode)光源を有する。
【0055】
SLD光源から照射された光は、投光用の偏波保持ファイバ(不図示)を通りセンサヘッドから被加工物11へ照射される。センサヘッドは、投光用の光の一部が透過し、他の一部が反射する参照反射面(不図示)を有する。
【0056】
参照反射面を透過した投光用の光の一部は、被加工物11で反射される。そして、被加工物11で反射された第1の反射光と、参照反射面で反射された第2の反射光と、の干渉光が、偏波保持ファイバへ取り込まれる。
【0057】
なお、センサヘッドから被加工物11へ照射された光は、必ずしもセンサヘッドに最も近い被加工物11の最外面(本実施形態では、被加工物11の表面11a)で反射されるとは限らない。例えば、被加工物11の内部に設けられている層(本実施形態では、ターゲット層と称することがある)により反射されることもある。
【0058】
本実施形態において、レーザー変位計50で被加工物11までの距離又は被加工物11の高さを測定するという場合、被加工物11の最外面(即ち、表面11a)若しくは内部に位置する反射面11c(即ち、ターゲット層)までの距離を測定すること、又は、当該反射面11cの高さを測定することを意味する(図3(A)及び図3(B)参照)。
【0059】
偏波保持ファイバへ取り込まれた干渉光は、回折格子(不図示)で分光された後、CCDイメージセンサ(不図示)へ取り込まれる。干渉光の強度は、センサヘッドの参照反射面と被加工物11の反射面11cとの距離に応じて定まる。
【0060】
回折格子で分光された波長毎に干渉光の強度を取得することにより、波長の光強度分布が得られる。この光強度分布を解析することにより、センサヘッドの参照反射面から被加工物11の反射面11cまでの距離が算出される。
【0061】
この様にして、レーザー変位計50からチャックテーブル14で吸引保持された被加工物11の反射面11cまでの距離を測定できる。図3(A)は、レーザー変位計50から被加工物11の反射面11cまでの距離を測定する様子を示す図である。
【0062】
また、図3(B)に示す様に、Z軸方向において所定の高さ位置を原点に設定すれば、レーザー変位計50で測定された距離を高さに換算できるので、被加工物11の高さを測定することもできる。図3(B)は、レーザー変位計50を用いて被加工物11の反射面11cの高さを測定する様子を示す図である。
【0063】
レーザー変位計50を用いれば、被加工物11に接触することなく、被加工物11までの距離又は被加工物11の高さを測定できる。なお、レーザー変位計50に代えて、上述の背圧センサ(測定器)を用いてもよい。
【0064】
また、レーザー変位計50に代えて、接触式変位センサ(測定器)を採用してもよい。接触式変位センサは、接触子を有し、被加工物11に物理的に接触することにより被加工物11の高さを測定する。
【0065】
接触式変位センサとしては、線形可変差動変圧器(LVDT:Linear Variable Differential Transformer)を有し接触子の変位量に応じて出力信号のレベルが変化する差動トランス方式、所定方向に沿ったスケールを有し接触子の変位量に応じたパルス数をカウントするスケール方式等が知られている。
【0066】
ここで、再度図1に戻る。開口4bの後方には、スピンナ洗浄ユニット52が設けられている。切削後の被加工物11は、スピンナ洗浄ユニット52で洗浄及び乾燥された後、カセット8へ戻される。
【0067】
基台4の上方は、不図示の外装パネルが設けられており、前面に位置する外装パネルには、タッチパネル54が設けられている。タッチパネル54は、顕微鏡カメラユニット44で取得した画像、GUI(graphical user interface)等を表示する表示装置、及び、作業者が切削装置2への指示を入力する入力装置、として機能する。
【0068】
エレベータ6、X軸方向移動機構、回転駆動機構、吸引源、クランプユニット16、Y軸Z軸方向移動機構20、切削ユニット36、顕微鏡カメラユニット44、レーザー変位計50、スピンナ洗浄ユニット52、タッチパネル54等の動作は、コントローラ56により制御される。
【0069】
なお、コントローラ56は、X軸方向移動機構、回転駆動機構、吸引源、クランプユニット16等を制御することにより、チャックテーブル14の動作を制御する。コントローラ56は、例えば、CPU(Central Processing Unit)に代表されるプロセッサ58と、メモリ60と、を含むコンピュータによって構成されている。
【0070】
メモリ60は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の主記憶装置と、フラッシュメモリ、ハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブ等の補助記憶装置と、を含む。
【0071】
補助記憶装置には、所定のプログラムを含むソフトウェアが記憶されている。このソフトウェアに従い処理装置等を動作させることによって、コントローラ56の機能が実現される。
【0072】
切削装置2での切削開始前には、被加工物11の表面11aの複数の測定位置で高さを測定するが、上述の様に、測定誤差を防ぐためには、複数のチップ相当領域15のうち任意の数のチップ相当領域15の各々において、各チップ相当領域15で同じ位置にあり且つ高さの測定に適した所定の測定位置23(図2参照)で測定を行う必要がある。
【0073】
図2は、所定の測定位置(被測定位置)23を説明するための表面11aの拡大画像等を示す図である。所定の測定位置23は、表面11aにおいて各チップ相当領域15に設けられたターゲットパターン25を基準として、XY平面において予め定められたオフセットベクトル27により特定される。
【0074】
なお、図2に示す例では、チップ相当領域15の1つの角部近傍に設けられている凸形状のアライメントマーク(キーパターンとも称される)を、ターゲットパターン25として用いるが、横バー、縦バー等の他の形状のアライメントマークをターゲットパターン25として用いてもよい。
【0075】
また、本実施形態では、オフセットベクトル27の登録時に使用されるターゲットパターン25を、特別に、ターゲットパターン(第1のターゲットパターン)25aと表記するが、ターゲットパターン25,25aの形状は同一であり、各チップ相当領域15内におけるターゲットパターン25,25aの相対的な位置関係も同じである。
【0076】
図4は、切削装置2にオフセットベクトル27を記憶させる手順の一例を示すフロー図である。まず、保持面14aで被加工物11を吸引保持した後、顕微鏡カメラユニット44の直下にチャックテーブル14を移動させる。
【0077】
そして、マクロカメラ46を用いてθ方向の位置合わせを行う(S10)。なお、θ方向とは、チャックテーブル14における所定の回転軸であって、Z軸方向と略平行に配置された当該所定の回転軸の周りにおける回転方向を意味する。
【0078】
S10では、まず、X軸方向において互いに離れている2つのチップ相当領域15の各々において略同じ位置にあり且つ同一形状のアライメントマークをマクロカメラ46で撮像し、X軸方向に略沿って配置された第1の分割予定ライン13a(図2参照)のX軸方向との角度ずれをコントローラ56が算出する。
【0079】
次いで、この角度ずれを相殺する様に、回転駆動機構でチャックテーブル14を回転させる。これにより、第1の分割予定ライン13aが、X軸方向と略平行となる。次に、ミクロカメラ48を用いてより高精度にθ方向の位置合わせを行う(S20)。
【0080】
S20でも、まず、X軸方向において互いに離れている2つのチップ相当領域15の各々において略同じ位置にあり且つ同一形状のアライメントマークをミクロカメラ48で撮像し、第1の分割予定ライン13aのX軸方向との角度ずれをコントローラ56が算出する。
【0081】
次いで、この角度ずれを相殺する様に、回転駆動機構でチャックテーブル14を回転させる。これにより、第1の分割予定ライン13aが、より高い精度でX軸方向と略平行となる。なお、S20で撮像するアライメントマークは、S10で撮像するアライメントマークと同じであってもよいし、異なってもよい。
【0082】
S20の後、ミクロカメラ48を用いて任意の1つのチップ相当領域15におけるターゲットパターン25aを特定して、ターゲットパターン25aを含む所定範囲をメモリ60に登録する(S30)。
【0083】
具体的には、まず、図2に示す様に、作業者がタッチパネル54で表面11aを観察しながらミクロカメラ48に対する被加工物11の位置を相対的に移動させて、ターゲットパターン25aを見つける。次に、タッチパネル54のメイン表示領域に表示される破線四角枠54aにターゲットパターン25aが収まる様に、破線四角枠54aの範囲を設定する。
【0084】
破線四角枠54aは、ターゲットパターン25aの撮像時にタッチパネル54のメイン表示領域に表示され、被登録領域を示す仮想的な枠である。なお、破線四角枠54aには、ターゲットパターン25aの全てが収められなくてもよく、ターゲットパターン25aの一部が収められてもよい。
【0085】
破線四角枠54aの範囲が設定されると、破線四角枠54aの四隅の座標で指定される範囲がメモリ60に記憶されると共に、破線四角枠54aの中心位置54bの座標が、上述のオフセットベクトル27の始点としてメモリ60に記憶される。なお、本実施形態の中心位置54bは、破線四角枠54aの対角線の交点の位置である。
【0086】
本実施形態において使用される座標は、保持面14aの径方向の中心ではなく、被加工物11の径方向の中心を原点として定められる。ところで、図2では、説明の便宜上、破線四角枠54aの中心位置54bを丸で示すが、実際のタッチパネル54のメイン表示領域には、中心位置54bを示す丸が表示されなくてもよい。
【0087】
また、図2では、説明の便宜上、ターゲットパターン25a、破線四角枠54a及び中心位置54bの拡大図を吹き出しで示すが、実際のタッチパネル54には、この吹き出しは表示されない。
【0088】
次に、ミクロカメラ48を用いて第1の分割予定ライン13aの幅方向の中心位置を特定してメモリ60に登録する(S40)。具体的には、ミクロカメラ48で取得される画像において、この画像を横方向に横断する様に表示される中心線(不図示)を、X軸方向に沿う分割予定ライン13におけるY軸方向の幅の中心に配置する。
【0089】
このとき、先に登録されている破線四角枠54aから分割予定ライン13のY軸方向の幅の中心までの距離が自動的にコントローラ56により算出される。この様にして、破線四角枠54aを始点とする1つの第1の分割予定ライン13aの幅方向の中心位置が特定され、メモリ60に登録される。
【0090】
なお、他の第1の分割予定ライン13aの幅方向の各中心位置については、登録された第1の分割予定ライン13aを基準に、所定のインデックス長さを整数倍することで特定される。
【0091】
次に、ミクロカメラ48を用いてオフセットベクトル27を特定してメモリ60に登録する(S50)。具体的には、まず、作業者がタッチパネル54を観察しながらミクロカメラ48に対する被加工物11の位置を相対的に移動させて、高さの測定に適した所定の測定位置(被測定位置)23を特定し、所定の測定位置23の座標をメモリ60に登録する。
【0092】
所定の測定位置23としては、例えば、バンプ11i(図7参照)等を避けた比較的平坦な位置が選択される。特に、本実施形態では、被加工物11の内部に位置する金属層11f(即ち、ターゲット層)(図7参照)が存在するXY平面の位置を、所定の測定位置23に選択する。
【0093】
金属層11fは、アルミニウム等で形成され且つ平面視において略正方形のパッドであり、レーザー変位計50の集光点の径(例えば、40μm)よりも大きいサイズ(例えば、50μm四方)を有する。
【0094】
ターゲットパターン25aの座標と、所定の測定位置23の座標と、の差分は、XY平面におけるオフセットベクトル27(即ち、(Δ,Δ))としてコントローラ56により自動的に算出され、メモリ60に記憶される。この様に、オフセットベクトル27の登録は、加工位置を設定するティーチ作業の一部として行われる。
【0095】
なお、第1の分割予定ライン13aと直交する第2の分割予定ライン13b(図2参照)についても、同様にS20からS50のティーチ作業を行うが、オフセットベクトル27は既に登録されているので、第2の分割予定ライン13bのティーチ作業ではS50を省略してもよい。
【0096】
オフセットベクトル27の登録後、且つ、被加工物11の切削開始前に、レーザー変位計50で被加工物11の複数の位置において距離又は高さの測定を行う。そのために、レーザー変位計50で測定を行うための暫定的な位置29(図5参照)を1つのチップ相当領域15内において指定する。
【0097】
図5は、レーザー変位計50で測定を行うための暫定的な位置29を指定する様子を示す図である。図5では、暫定的な位置29を星印で示す。但し、暫定的な位置29は、作業者がタッチパネル54を利用して、(X,Y)座標を入力することで指定される。
【0098】
暫定的な位置29が指定された場合に、コントローラ56は、暫定的な位置29に近接する1つのターゲットパターン(第2のターゲットパターン)25を基準として、予め記憶されたオフセットベクトル27で所定の測定位置23を特定し、この所定の測定位置23においてレーザー変位計50に測定を実行させる。
【0099】
暫定的な位置29に近接する所定の測定位置23での測定を実行するために、コントローラ56は、先にS50で登録されたターゲットパターン25aの座標を利用して、暫定的な位置29に近接するターゲットパターン25の座標を即座に特定する。
【0100】
より具体的には、コントローラ56は、まず、S30で登録されたターゲットパターン25aの座標(X,Y)と、暫定的な位置29(X,Y)と、の差分(X-X,Y-Y)を算出する。
【0101】
コントローラ56は、次に、当該差分のX軸方向の成分(X-X)を、チップ相当領域15のX軸方向の長さ(第1インデックス長さ)31Xで除する。長さ31Xは、レーザー変位計50での測定開始前に、メモリ60に予め記憶されている。なお、成分(X-X)は、レーザー変位計50で測定される距離又は高さに沿う方向と直交する所定平面内で規定される第1方向(X軸方向)での当該差分に対応する。
【0102】
{(X-X)/長さ31X}の余りを四捨五入することにより、ターゲットパターン25aから長さ31Xの整数倍だけ離れており、且つ、ターゲットパターン25aよりも暫定的な位置29の近くに位置するターゲットパターン25のX軸方向の位置Xを特定できる。
【0103】
図5は、{(X-X)/長さ31X}の余りが切り捨てられた結果、暫定的な位置29が属するチップ相当領域15内にあるターゲットパターン25のX軸方向の位置が特定される場合を示す。
【0104】
しかし、{(X-X)/長さ31X}の余りは、切り上げられてもよい。余りが切り上げられる場合、暫定的な位置29が属するチップ相当領域15に、X軸方向で隣接する他のチップ相当領域15でのターゲットパターン25のX軸方向の位置が特定される。
【0105】
コントローラ56は、同様に、Y軸方向の成分(Y-Y)を、チップ相当領域15のY軸方向の長さ(第2インデックス長さ)31Yで除する。長さ31Yは、レーザー変位計50での測定開始前に、メモリ60に予め記憶されている。なお、成分(Y-Y)は、レーザー変位計50で測定される距離又は高さに沿う方向と直交する所定平面内で規定される第2方向(Y軸方向)での当該差分に対応する。
【0106】
{(Y-Y)/長さ31Y}の余りを四捨五入することにより、ターゲットパターン25aから長さ31Yの整数倍だけ離れており、且つ、ターゲットパターン25aよりも暫定的な位置29の近くに位置するターゲットパターン25のY軸方向の位置Yを特定できる。
【0107】
図5は、{(Y-Y)/長さ31Y}の余りが切り捨てられた結果、暫定的な位置29が属するチップ相当領域15内にあるターゲットパターン25のY軸方向の位置が特定される場合を示す。
【0108】
しかし、{(Y-Y)/長さ31Y}の余りは、切り上げられてもよい。余りが切り上げられる場合、暫定的な位置29が属するチップ相当領域15に、Y軸方向で隣接する他のチップ相当領域15でのターゲットパターン25のY軸方向の位置が特定される。
【0109】
この様に、作業者が暫定的な位置29を指定すれば、コントローラ56は、計算により即座に暫定的な位置29近傍のターゲットパターン25の座標(X,Y)を特定できる。それゆえ、暫定的な位置29の周りにミクロカメラ48を螺旋状に移動させながらターゲットパターン25を探索する所謂スパイラルサーチが不要になる。
【0110】
本実施形態では、スパイラルサーチを行う場合に比べて、ターゲットパターン25の座標を特定するまでの時間を短縮できる利点がある。暫定的な位置29近傍のターゲットパターン25の座標(X,Y)を特定できれば、このターゲットパターン25を基準としてオフセットベクトル27を利用して所定の測定位置23を特定できる。
【0111】
図6は、オフセットベクトル27で所定の測定位置23を特定する様子を示す図である。コントローラ56は、所定の測定位置23の特定後、所定の測定位置23において被加工物11までの距離又は被加工物11の高さをレーザー変位計50で測定する。
【0112】
なお、所定の測定位置23としては、表面11a内の1箇所のみだけではなく、例えば、5箇所から13箇所程度の複数箇所が設定され、各箇所において距離又は高さが測定される。
【0113】
そして、複数の測定値(例えば、複数の距離又は高さ)の平均値が、被加工物11を切削する際に利用される。なお、複数の測定値における最大値、最小値、最大値と最小値との差、標準偏差等が、被加工物11における厚さの異常の有無をチェックするために利用されてもよい。
【0114】
本実施形態では、コントローラ56に予め記憶されたオフセットベクトル27で所定の測定位置23を特定し、所定の測定位置23において被加工物11までの距離又は被加工物11の高さをレーザー変位計50で測定する。
【0115】
それゆえ、複数のチップ相当領域15(即ち、複数のデバイス)のうち任意の数の各々においてチップ相当領域15(即ち、デバイス)内の同じ位置を正確に特定した上で、その位置において距離又は高さを測定できる。
【0116】
次に、図7を参照して、被加工物11の構造について説明する。図7は、被加工物11の表面11a側の断面図である。図7に示す様に、被加工物11は、半導体ウェーハ11d、回路層11e、金属層11f、第1絶縁層11g、第2絶縁層11h等の複数層で構成されている。また、表面11a上には、バンプ11iが固定されている。
【0117】
複数層のうち金属層11fの面内厚さばらつきは、第1絶縁層11g及び第2絶縁層11hの面内厚さばらつきに比べて小さい。そこで、本実施形態では、レーザー変位計50を用いた所定の測定位置23での被加工物11の距離又は高さの測定に際して、上述の様に金属層11fをターゲットとしている。
【0118】
つまり、コントローラ56は、表面11aのうち所定の測定位置23において、センサヘッドから金属層11fまでの距離33を、レーザー変位計50で測定する。なお、ターゲット層は、金属層11fに限定されない。
【0119】
第1絶縁層11g及び第2絶縁層11hは、半導体ウェーハ11d、回路層11e等に比べて表面11a内での高さのばらつきが大きいものの、各チップ相当領域15において、金属層11f上での第1絶縁層11g及び第2絶縁層11hの厚さは、略同じであると推測される。
【0120】
そこで、ターゲット層を被加工物11の最表面に露出する第2絶縁層11hに設定した上で、コントローラ56が、センサヘッドから第2絶縁層11hまでの距離35をレーザー変位計50で測定してもよい。
【0121】
また、ターゲット層を金属層11f及び第2絶縁層11hの両方に設定した上で、コントローラ56が、センサヘッドから第2絶縁層11hの最表面までの距離35と、センサヘッドから金属層11fまでの距離33と、の両方をレーザー変位計50で測定してもよい。
【0122】
本実施形態では、上述の様に、複数の所定の測定位置23において、センサヘッドから金属層11fまでの距離33を測定することで被加工物距離情報を取得する。そして、距離33の平均値から更に所定の深さ37(図8参照)だけ下方に切り刃42aの下端を位置付けて、被加工物11を切削する。
【0123】
所定の深さ37は、図8に示す様に、切り刃42aの下端がデバイスチップの仕上げ厚さ39よりも深くに位置する様に定められる。図8は、金属層11fを基準とした切削ブレード42の切り込み深さを示す図である。
【0124】
被加工物11を切削する際には、回転する切削ブレード42を被加工物11外における分割予定ライン13の延長線上に配置した上で、距離33の平均値と所定の深さ37との和で特定される深さ位置に、切り刃42aの下端を位置付ける。
【0125】
この様に、コントローラ56は、レーザー変位計50で測定された被加工物11までの距離に関する被加工物距離情報に基づいて、切削ユニット36で被加工物11を加工する際の切削深さ位置(即ち、加工深さ位置)を制御する。
【0126】
なお、被加工物距離情報に代えて、複数の所定の測定位置23においてレーザー変位計50で測定された被加工物11の高さに関する被加工物高さ情報を取得し、被加工物高さ情報に基づいて、切削ユニット36で被加工物11を加工する際の切削深さ位置(即ち、加工深さ位置)を制御してもよい。
【0127】
切り刃42aの下端の位置を固定した状態で、チャックテーブル14を加工送りすることで、チャックテーブル14で吸引保持された被加工物11の表面11a側を分割予定ライン13に沿って切削(加工)する。これにより、裏面11bには達しない所定深さの分割溝11jを表面11a側に形成する。
【0128】
一の第1の分割予定ライン13aの端から端まで分割溝11jを形成した後、チャックテーブル14をインデックス送りし、一の第1の分割予定ライン13aにY軸方向で隣接する他の第1の分割予定ライン13aにおいても同様に分割溝11jを形成する。
【0129】
全ての第1の分割予定ライン13aについて分割溝11jを形成した後、チャックテーブル14を90°回転させて、全ての第2の分割予定ライン13bについても同様に、分割溝11jを形成する。
【0130】
本実施形態では、面内厚さばらつきが比較的小さい金属層11fを基準にして切削ブレード42の切り込み量を設定するので、半導体ウェーハ11dに形成される分割溝11jの深さを高い精度で揃えることができる。
【0131】
DBGプロセスでは、分割溝11jの形成後、被加工物11の表裏を反転し、裏面11b側を研削する。上述の様に、半導体ウェーハ11dに形成される分割溝11jの深さを高い精度で揃えることができるので、研削前における被加工物11の切断、研削後における未切断部分の残留等の発生頻度を低減できる。
【0132】
(変形例)ところで、チャックテーブル14の保持面14aは、通常、略平坦と見なすことができるが、実際には、数μmオーダーの凹凸(例えば、最大高低差8μm)が存在する。保持面14aの凹凸を考慮して被加工物11に加工を施せば、より高い精度で分割溝11jの深さ位置を揃えることができる。
【0133】
そこで、切削ブレード42で被加工物11を切削するときには、保持面14aの高さに関する保持面高さ情報41(図9参照)を予め取得し、保持面高さ情報41に応じて、切削ブレード42の切り込み深さを調節してもよい。
【0134】
保持面高さ情報41は、保持面14aで被加工物ユニット21を保持せず、且つ、保持面14aを露出させた状態で、レーザー変位計50、背圧センサ、接触式変位センサ(いずれも不図示)等の測定器を用いて保持面14aを測定することで得られる。
【0135】
コントローラ56は、例えば、XY平面(所定平面)の複数点において、レーザー変位計50で保持面14aの高さを測定し、得られた保持面高さ情報41をメモリ60に記憶する。
【0136】
例えば、レーザー変位計50のサンプリング周波数が1kHzである場合、レーザー変位計50の位置を固定した状態で、500mm/sの速度でチャックテーブル14をX軸方向に沿って移動させれば、X軸方向に沿って0.5mmの間隔で保持面14aの高さを測定できる。
【0137】
この様に、レーザー変位計50から照射される光をX軸方向に沿って走査した後、切削ユニット36をY軸方向に沿って所定距離(例えば、10mm)だけ割り出し送りする。そして、同様に、レーザー変位計50の位置を固定して、保持面14aをX軸方向に沿って移動させる。
【0138】
この様にすれば、メッシュモデルにより保持面14aの凹凸を評価できる。なお、レーザー変位計50を用いた保持面14aの高さの測定精度は、例えば、0.25μmである。
【0139】
図9は、基準面となる理想的な平坦面14b(破線のグリッドで示されている)に対する保持面14aの凹凸を示す模式図である。図9にそれぞれ示すZ軸方向に沿う複数の矢印41aから矢印41hは、保持面高さ情報41を構成する。
【0140】
被加工物11の加工中には、コントローラ56が、保持面高さ情報41と、上述の被加工物距離情報と、に基づいて、切削ユニット36の被加工物11に対するZ軸方向の位置を調整する。
【0141】
図9において分割予定ライン13に沿う太矢印は、保持面14aの凹凸に応じて、切削ブレード42の切り込み深さ位置を制御することを示す。なお、図9では説明の便宜上、被加工物11を省略し、分割予定ライン13に対応する直線を理想的な平坦面14b上に破線で示すが、切削対象は、保持面14aではなく、あくまでも被加工物11である。
【0142】
保持面14aの凹凸に応じて切削ブレード42の切り込み深さ位置を制御することにより、この様な制御を行わない場合に比べて、分割溝11jの深さ位置をより高い精度で略均一に揃えることができる。
【0143】
なお、コントローラ56は、上述の被加工物距離情報に代えて、被加工物高さ情報と、保持面高さ情報41と、に基づいて、被加工物11の加工中に切削ユニット36の被加工物11に対するZ軸方向の位置を調整してもよい。
【0144】
(第2の実施形態)次に、図10を参照して、第2の実施形態について説明する。第2の実施形態では、切削装置2に代えて、レーザー加工装置62を使用して、被加工物11に対してアブレーション加工を施す。係る点が、第1の実施形態と異なる。
【0145】
図10は、レーザー加工装置62で被加工物11にアブレーション加工を施す様子を示す図である。レーザー加工装置62は、切削装置2と同じ構成要素を有する。それゆえ、切削装置2と同じ構成要素については、同じ符号を付す。
【0146】
レーザー加工装置62は、上述のチャックテーブル14を有する。但し、レーザー加工装置62において、チャックテーブル14は、ボールねじ式のX軸Y軸方向移動機構(不図示)により、X軸方向及びY軸方向に沿って移動可能に構成されている。
【0147】
レーザー加工装置62は、被加工物11に対してレーザービームを照射可能なレーザービーム照射ユニット(加工ユニット)64を有する。レーザービーム照射ユニット64は、長手部がY軸方向に沿って配置された円筒状の筐体(不図示)を有する。
【0148】
筐体は、ボールねじ式のZ軸方向移動機構(不図示)によりZ軸方向に沿って移動可能に構成されている。レーザービーム照射ユニット64は、筐体外に配置されたレーザー発振器64aを有する。
【0149】
レーザー発振器64aは、Nd:YAG結晶等のレーザー媒質、レーザー媒質に励起光を照射するランプ等の励起光源、レーザービームが出射されるタイミングを制御するQスイッチ等を有する。
【0150】
レーザー発振器64aからは、所定の波長(例えば、1064nm)を有するパルス状のレーザービームが出射される。本実施形態では、レーザー発振器64aから出射されたレーザービームは、非線形光学結晶(不図示)により、被加工物11を加工可能な所定の波長に変換される。
【0151】
例えば、レーザービームの波長は、非線形光学結晶により1064nmから355nm(即ち、被加工物11に吸収される波長)に変換される。波長変換後のレーザービームは、筐体の先端部に設けられた円筒状のヘッド部64bに入る。
【0152】
ヘッド部64bは、集光レンズ64cを含む。ヘッド部64bに入ったレーザービームは、被加工物11の上方からZ軸方向に沿って保持面14aへ照射される。図10では、ヘッド部64bから照射されるレーザービームに符号Lを付す。ヘッド部64bから照射されたレーザービームLは、集光レンズ64cで集光した状態で、保持面14aで保持された被加工物11に照射される。
【0153】
レーザービームLの集光点PをZ軸方向において表面11a近傍に位置付けた状態で、チャックテーブル14と集光点Pとを相対的にX軸方向に沿って移動させることで、集光点Pを分割予定ライン13に沿って移動させる。これにより、表面11a側には、分割予定ライン13に沿って所定深さのアブレーション加工溝11kが形成される。
【0154】
第2の実施形態においても、コントローラ56は、被加工物距離情報又は被加工物高さ情報に基づいて、レーザービームLの集光点Pの深さ位置を制御できる。このとき、保持面高さ情報41を更に利用して集光点Pの深さ位置を制御してもよい。即ち、第2の実施形態においても、レーザービーム照射ユニット64で被加工物11を加工する際の加工深さ位置を制御できる。
【0155】
被加工物距離情報又は被加工物高さ情報を得る際には、第1の実施形態と同様に、作業者が暫定的な位置29を指定すれば、コントローラ56は、即座に暫定的な位置29近傍のターゲットパターン25の座標を特定できる。
【0156】
そして、複数のチップ相当領域15のうち任意の数の各々においてチップ相当領域15内の同じ位置を正確に特定した上で、その位置において被加工物11までの距離又は被加工物11の高さを測定できる。
【0157】
(第3の実施形態)次に、図11を参照して、第3の実施形態について説明する。第3の実施形態では、レーザー加工装置62を使用して、アブレーション加工に代えて、被加工物11の内部に改質層11kを形成する。
【0158】
係る点が、第2の実施形態と異なる。なお、レーザー加工装置62は、図10と略同じ構成要素を有するので、同じ構成要素については、同じ符号を付す。
【0159】
本実施形態では、被加工物11を透過する波長を有するレーザービームLを被加工物11に照射する。例えば、被加工物11を構成する半導体ウェーハ11dがシリコンウェーハである場合、レーザー発振器64aから出射されたレーザービームLは、非線形光学結晶(不図示)を介さずに、ヘッド部64bを介して被加工物11へ照射される。
【0160】
図11では、ヘッド部64bから照射されるレーザービームに符号Lを付している。レーザービームLは、その集光点Pが被加工物11の内部(特に、半導体ウェーハ11dの内部)に位置する様に集光レンズ64cで集光した状態で、被加工物11の上方から被加工物11に照射される。
【0161】
レーザービームLの集光点PをZ軸方向において半導体ウェーハ11dの内部に位置付けた状態で、チャックテーブル14と集光点Pとを相対的にX軸方向に沿って移動させることで、集光点Pを分割予定ライン13に沿って移動させる。これにより、半導体ウェーハ11dの内部の所定深さ位置には、分割予定ライン13に沿って改質層11kが形成される。
【0162】
図11は、被加工物11の内部に改質層11kを形成する様子を示す図である。改質層11kとは、レーザービームの照射に起因する多光子吸収により半導体ウェーハ11dの結晶性が変化し、非照射領域に比べて機械的強度が低下した(即ち、脆弱になった)領域である。
【0163】
第3の実施形態においても、コントローラ56は、被加工物距離情報又は被加工物高さ情報に基づいて、レーザービームLの集光点Pの深さ位置を制御できる。このとき、保持面高さ情報41を更に利用して集光点Pの深さ位置を制御してもよい。即ち、第3の実施形態においても、レーザービーム照射ユニット64で被加工物11を加工する際の加工深さ位置を制御できる。
【0164】
被加工物距離情報又は被加工物高さ情報を得る際には、第1の実施形態と同様に、作業者が暫定的な位置29を指定すれば、コントローラ56は、即座に暫定的な位置29近傍のターゲットパターン25の座標を特定できる。
【0165】
そして、複数のチップ相当領域15のうち任意の数の各々においてチップ相当領域15内の同じ位置を正確に特定した上で、その位置において被加工物11までの距離又は被加工物11の高さを測定できる。
【0166】
その他、上述の実施形態に係る構造、方法等は、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施できる。
【符号の説明】
【0167】
2:切削装置(加工装置)、4:基台、4a,4b:開口
6:エレベータ、8:カセット
10:テーブルカバー、12:カバー部材
11:被加工物、11a:表面、11b:裏面、11c:反射面
11d:半導体ウェーハ、11e:回路層、11f:金属層
11g:第1絶縁層、11h:第2絶縁層、11i:バンプ
11j:分割溝、11k:アブレーション加工溝、11k:改質層
13:分割予定ライン、13a:第1の分割予定ライン、13b:第2の分割予定ライン
14:チャックテーブル(保持テーブル)、14a:保持面、14b:平坦面
15:チップ相当領域
17:ダイシングテープ、19:環状フレーム、21:被加工物ユニット
16:クランプユニット、18:支持構造、20:Y軸Z軸方向移動機構
23:測定位置(被測定位置)
22:Y軸ガイドレール、24:Y軸移動板、26:ねじ軸、28:Z軸ガイドレール
25,25a:ターゲットパターン
27:オフセットベクトル、29:暫定的な位置
30:Z軸移動板、32:ねじ軸、34:ステッピングモータ
31X:(X軸方向のインデックス)長さ、31Y:(Y軸方向のインデックス)長さ
33,35:距離、37:深さ、39:仕上げ厚さ
36:切削ユニット(加工ユニット)
38:スピンドルハウジング、40:スピンドル
41:保持面高さ情報
41a,41b,41c,41d,41e,41f,41g,41h:矢印
42:切削ブレード、42a:切り刃
44:顕微鏡カメラユニット(撮像ユニット)
46:マクロカメラ、46a:撮像素子
48:ミクロカメラ、48a:撮像素子
50:レーザー変位計(測定器)
52:スピンナ洗浄ユニット、54:タッチパネル
54a:破線四角枠、54b:中心位置
56:コントローラ、58:プロセッサ、60:メモリ
62:レーザー加工装置、64:レーザービーム照射ユニット(加工ユニット)
64a:レーザー発振器、64b:ヘッド部、64c:集光レンズ
,L:レーザービーム、P,P:集光点
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11