(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172145
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】基板保持装置、および基板保持装置における摩耗検出方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/683 20060101AFI20241205BHJP
B24B 41/06 20120101ALI20241205BHJP
B24B 49/12 20060101ALI20241205BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
H01L21/68 N
B24B41/06 L
B24B49/12
H01L21/304 644A
H01L21/304 648G
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023089683
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100188891
【弁理士】
【氏名又は名称】丹野 拓人
(72)【発明者】
【氏名】末政 秀一
【テーマコード(参考)】
3C034
5F131
5F157
【Fターム(参考)】
3C034AA07
3C034BB72
3C034BB93
3C034CA13
3C034CB13
3C034CB14
3C034DD18
5F131AA02
5F131BA37
5F131CA17
5F131CA70
5F131EB32
5F131EB55
5F131EB57
5F131KA03
5F131KA16
5F131KA42
5F131KA45
5F131KA48
5F131KB12
5F131KB60
5F157AB02
5F157AB14
5F157AB33
5F157AB90
5F157AC01
5F157AC13
5F157BA07
5F157BA13
5F157BA31
5F157CD07
5F157CD27
5F157CE28
5F157CE29
5F157CF40
5F157CF42
5F157CF44
5F157CF50
5F157DC21
(57)【要約】
【課題】基板を把持して回転させるための接触把持部の摩耗を検出可能な基板保持装置、および基板保持装置における摩耗検出方法を提供する。
【解決手段】基板保持装置は、基板の周縁部に接触して前記基板を回転させる接触把持部を各々有する、少なくとも三つの回転部と、前記少なくとも三つの回転部のうち少なくとも一つの回転部を前記基板に向けて移動させることで、複数の前記接触把持部に前記基板を把持させる移動機構と、前記移動機構によって移動させられる前記回転部である移動回転部の位置を直接的または間接的に検出する第1センサと、前記複数の接触把持部が摩耗していない状態で前記複数の接触把持部が前記基板を把持した場合における前記移動回転部の位置である第1初期位置を記憶し、前記移動回転部の現在位置と前記第1初期位置との差に基づいて前記接触把持部の摩耗の発生を検出する検出部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の周縁部に接触して前記基板を回転させる接触把持部を各々有する、少なくとも三つの回転部と、
前記少なくとも三つの回転部のうち少なくとも一つの回転部を前記基板に向けて移動させることで、複数の前記接触把持部に前記基板を把持させる移動機構と、
前記移動機構によって移動させられる前記回転部である移動回転部の位置を直接的または間接的に検出する第1センサと、
前記複数の接触把持部が摩耗していない状態で前記複数の接触把持部が前記基板を把持した場合における前記移動回転部の位置である第1初期位置を記憶し、前記移動回転部の現在位置と前記第1初期位置との差に基づいて前記接触把持部の摩耗の発生を検出する検出部と、を備える、
基板保持装置。
【請求項2】
基板の周縁部に接触して前記基板を回転させる接触把持部を各々有する、少なくとも三つの回転部と、
前記少なくとも三つの回転部のうち少なくとも一つの回転部を前記基板に向けて移動させることで、複数の前記接触把持部に前記基板を把持させる移動機構と、
前記基板の位置を検出する第2センサと、
前記複数の接触把持部が摩耗していない状態で前記複数の接触把持部が前記基板を把持した場合における前記基板の位置である第2初期位置を記憶し、前記基板の現在位置と前記第2初期位置との差に基づいて前記接触把持部の摩耗の発生を検出する検出部と、を備える、
基板保持装置。
【請求項3】
前記移動機構によって移動させられる前記回転部である移動回転部の位置を直接的または間接的に検出する第1センサをさらに備え、
前記検出部は、前記複数の接触把持部が摩耗していない状態で前記複数の接触把持部が前記基板を把持した場合における前記移動回転部の位置である第1初期位置を記憶し、
前記検出部は、前記基板の現在位置と前記第2初期位置との差と、前記移動回転部の現在位置と前記第1初期位置との差と、に基づいて前記接触把持部の摩耗の発生を検出する、
請求項2に記載の基板保持装置。
【請求項4】
前記検出部は、前記接触把持部の摩耗量を検出する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の基板保持装置。
【請求項5】
前記接触把持部の摩耗の発生が検出された場合に警報を発する警報部をさらに備える、
請求項1から3のいずれか一項に記載の基板保持装置。
【請求項6】
基板の周縁部に接触して前記基板を回転させる接触把持部を各々有する、少なくとも三つの回転部と、前記少なくとも三つの回転部のうち少なくとも一つの回転部を前記基板に向けて移動させることで、複数の前記接触把持部に前記基板を把持させる移動機構と、を備える基板保持装置において、前記接触把持部の摩耗を検出する摩耗検出方法であって、
前記移動機構によって移動させられる前記回転部である移動回転部の、前記複数の接触把持部が摩耗していない状態で前記複数の接触把持部が前記基板を把持した場合における位置である第1初期位置を取得する第1初期位置取得工程と、
前記第1初期位置取得工程よりも後において、前記移動回転部の現在位置を取得する現在位置取得工程と、
前記移動回転部の現在位置と前記第1初期位置との差に基づいて前記接触把持部の摩耗の発生を検出する検出工程と、を有する、
基板保持装置における摩耗検出方法。
【請求項7】
基板の周縁部に接触して前記基板を回転させる接触把持部を各々有する、少なくとも三つの回転部と、前記少なくとも三つの回転部のうち少なくとも一つの回転部を前記基板に向けて移動させることで、複数の前記接触把持部に前記基板を把持させる移動機構と、を備える基板保持装置において、前記接触把持部の摩耗を検出する摩耗検出方法であって、
前記複数の接触把持部が摩耗していない状態で前記複数の接触把持部が前記基板を把持した場合における前記基板の位置である第2初期位置を取得する第2初期位置取得工程と、
前記第2初期位置取得工程よりも後において、前記基板の現在位置を取得する現在位置取得工程と、
前記基板の現在位置と前記第2初期位置との差に基づいて前記接触把持部の摩耗の発生を検出する検出工程と、を有する、
基板保持装置における摩耗検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板保持装置、および基板保持装置における摩耗検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数のスピンドルを備えた基板保持装置が開示されている。各スピンドルは、回転可能な回転部を有する。回転部には、基板の周縁部に接触する接触把持部が設けられる。この基板保持装置においては、複数のスピンドルが有する複数の接触把持部によって基板を把持することで、基板が保持される。この状態でさらに各回転部が回転することで、基板も回転する。つまり、特許文献1の基板保持装置は、基板を回転させた状態で、基板を保持する。
【0003】
このような基板保持装置は、例えば、基板を洗浄するための洗浄部材(スポンジ等)を有する、基板洗浄装置に組み込まれる。洗浄部材は、基板保持装置によって保持および回転させられた基板に摺接することで、基板を洗浄する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、基板保持装置の使用を続けていくと、上述したような把持接触部は次第に摩耗していく。従来は、このような把持接触部の摩耗を検出する手段がなかった。このため、把持接触部に摩耗が生じる期間を事前に予測し、予測された期間だけ基板保持装置を使用した際に回転部の交換を行うという運用が一般的であった。
【0006】
しかしながら、このような運用によっては、回転部の交換を行うのが早すぎたり、遅すぎたりする可能性がある。例えば、基板保持装置の使用条件によって接触把持部の摩耗量はバラつく。このような摩耗量のバラつきは、回転部の交換時期の正確な予測を困難にする。もし把持接触部の摩耗を検出することができれば、適切なタイミングで回転部の交換を行うことができる。
【0007】
本発明は、このような事情を考慮してなされ、基板を把持して回転させるための接触把持部の摩耗を検出可能な基板保持装置、および基板保持装置における摩耗検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の態様1に係る基板保持装置は、(基板の周縁部に接触して前記基板を回転させる接触把持部を各々有する、少なくとも三つの回転部と、前記少なくとも三つの回転部のうち少なくとも一つの回転部を前記基板に向けて移動させることで、複数の前記接触把持部に前記基板を把持させる移動機構と、前記移動機構によって移動させられる前記回転部である移動回転部の位置を直接的または間接的に検出する第1センサと、前記複数の接触把持部が摩耗していない状態で前記複数の接触把持部が前記基板を把持した場合における前記移動回転部の位置である第1初期位置を記憶し、前記移動回転部の現在位置と前記第1初期位置との差に基づいて前記接触把持部の摩耗の発生を検出する検出部と、を備える。
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の態様2に係る基板保持装置は、基板の周縁部に接触して前記基板を回転させる接触把持部を各々有する、少なくとも三つの回転部と、前記少なくとも三つの回転部のうち少なくとも一つの回転部を前記基板に向けて移動させることで、複数の前記接触把持部に前記基板を把持させる移動機構と、前記基板の位置を検出する第2センサと、前記複数の接触把持部が摩耗していない状態で前記複数の接触把持部が前記基板を把持した場合における前記基板の位置である第2初期位置を記憶し、前記基板の現在位置と前記第2初期位置との差に基づいて前記接触把持部の摩耗の発生を検出する検出部と、を備える。
【0010】
また、本発明の態様3は、態様2の基板保持装置において、前記移動機構によって移動させられる前記回転部である移動回転部の位置を直接的または間接的に検出する第1センサをさらに備え、前記検出部は、前記複数の接触把持部が摩耗していない状態で前記複数の接触把持部が前記基板を把持した場合における前記移動回転部の位置である第1初期位置を記憶し、前記検出部は、前記基板の現在位置と前記第2初期位置との差と、前記移動回転部の現在位置と前記第1初期位置との差と、に基づいて前記接触把持部の摩耗の発生を検出する。
【0011】
また、本発明の態様4は、態様1から態様3のいずれか一つの基板保持装置において、前記検出部は、前記接触把持部の摩耗量を検出する。
【0012】
また、本発明の態様5は、態様1から態様4のいずれか一つの基板保持装置において、前記接触把持部の摩耗の発生が検出された場合に警報を発する警報部をさらに備える。
【0013】
上記課題を解決するために、本発明の態様6に係る基板保持装置における摩耗検出方法は、基板の周縁部に接触して前記基板を回転させる接触把持部を各々有する、少なくとも三つの回転部と、前記少なくとも三つの回転部のうち少なくとも一つの回転部を前記基板に向けて移動させることで、複数の前記接触把持部に前記基板を把持させる移動機構と、を備える基板保持装置において、前記接触把持部の摩耗を検出する摩耗検出方法であって、前記移動機構によって移動させられる前記回転部である移動回転部の、前記複数の接触把持部が摩耗していない状態で前記複数の接触把持部が前記基板を把持した場合における位置である第1初期位置を取得する第1初期位置取得工程と、前記第1初期位置取得工程よりも後において、前記移動回転部の現在位置を取得する現在位置取得工程と、前記移動回転部の現在位置と前記第1初期位置との差に基づいて前記接触把持部の摩耗の発生を検出する検出工程と、を有する。
【0014】
上記課題を解決するために、本発明の態様7に係る基板保持装置における摩耗検出方法は、基板の周縁部に接触して前記基板を回転させる接触把持部を各々有する、少なくとも三つの回転部と、前記少なくとも三つの回転部のうち少なくとも一つの回転部を前記基板に向けて移動させることで、複数の前記接触把持部に前記基板を把持させる移動機構と、を備える基板保持装置において、前記接触把持部の摩耗を検出する摩耗検出方法であって、前記複数の接触把持部が摩耗していない状態で前記複数の接触把持部が前記基板を把持した場合における前記基板の位置である第2初期位置を取得する第2初期位置取得工程と、前記第2初期位置取得工程よりも後において、前記基板の現在位置を取得する現在位置取得工程と、前記基板の現在位置と前記第2初期位置との差に基づいて前記接触把持部の摩耗の発生を検出する検出工程と、を有する。
【発明の効果】
【0015】
本発明の上記態様によれば、基板を把持して回転させるための接触把持部の摩耗を検出可能な基板保持装置、および基板保持装置における摩耗検出方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施形態に係る基板洗浄装置を示す斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る基板保持装置を示す模式図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る基板洗浄装置において行われる処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<基板保持装置>
以下、本発明の実施形態に係る基板保持装置について図面に基づいて説明する。
【0018】
図1に示すように、本実施形態に係る基板保持装置1は、少なくとも三つ(図示の例においては四つ)のスピンドル10と、第1移動機構(移動機構)21と、第2移動機構22と、を備える。
【0019】
各スピンドル10は、支柱部11と、支柱部11の先端(上端)に設けられた回転部(ローラ)12と、を有する。回転部12は、回転軸AXを有し、当該回転軸AXまわりの回転が可能に構成されている。複数(図示の例においては四つ)の回転部12は、円形の基板Wを、基板Wの径方向外側から取り囲むように配置される。
【0020】
図2に示すように、回転部12は、大径部12cと、大径部12cよりも小径な小径部12dと、を有する。小径部12dは、スピンドル10の先端(上端)に位置する。大径部12cは、スピンドル10の長手方向において、小径部12dと支柱部11との間に位置する。
【0021】
各回転部12は、接触把持部12aを有する。接触把持部12aは、基板Wの周縁部に接触して、基板Wを基板Wの中心Oまわりに回転させる。本実施形態における接触把持部12aは、小径部12dの側面(外周面)に開口した溝である。接触把持部12a(回転部12)は、ウレタンゴム等の弾性素材によって形成されていてもよい。接触把持部12aは、回転部12の全周にわたって形成されている。図示の例においては、四つの回転部12が有する四つの接触把持部12aに基板Wの周縁部が嵌合される(
図1も参照)。これにより、四つの接触把持部12aが基板を把持する。
【0022】
四つの回転部12のうち少なくとも一つは、モータ等の動力源によって回転が駆動される駆動回転部(駆動ローラ)である。駆動回転部が回転すると、駆動回転部と基板Wとの間に働く摩擦力により、基板Wが中心Oまわりに回転する。駆動回転部以外の回転部12は、従動回転部(従動ローラ)である。従動回転部は、駆動回転部とは異なり、モータ等の動力源によっては回転が駆動されない。駆動回転部によって基板Wが回転すると、基板Wと従動回転部との間に働く摩擦力により、従動回転部が回動する。つまり、基板保持装置1は、基板を回転させたまま基板を保持する装置である。なお、四つの回転部12の全てが駆動回転部であってもよい。
【0023】
基板保持装置1は、例えば、洗浄機構2を備える基板洗浄装置100に組み込まれて用いられる。詳細な図示は省略するが、基板洗浄装置100は、基板Wの受渡し口であるロードポートおよびEFEM、基板Wを搬送する搬送機、洗浄された基板Wを乾燥する乾燥部、および基板洗浄装置100の動作を統括して制御する制御部等を備えていてもよい。
【0024】
図示の例における洗浄機構2は、基板Wの表面を洗浄するための機構である。この洗浄機構2は、軸2aに支持されたアーム2bと、アーム2bの先端に設けられた装着部2cと、を有している。軸2aは昇降可能かつ回動可能に構成されており、軸2aの昇降および回動によってアーム2bも昇降および回動する。装着部2cにはスポンジ2dが装着される。装着部2cは自転可能に構成されており、装着部2cの時点によってスポンジ2dも自転する。基板Wの表面にスポンジ2dが摺接することで、基板Wの表面が洗浄される。ただし、洗浄機構2の構成は上記の構成に限定されず、適宜変更可能である。例えば、洗浄機構2は、基板Wの裏面や周縁部(ベベル部)を洗浄するための機構であってもよい。また、基板保持装置1は基板洗浄装置100に組み込まれていなくてもよい。例えば、基板保持装置1は基板Wを研磨するための基板研磨装置に組み込まれていてもよい。
【0025】
(方向定義)
本実施形態では、基板Wの回転軸(スピンドル10の回転軸AX)に平行な方向を軸方向Zまたは上下方向Zと称する。軸方向Zは、例えば、重力に平行な鉛直方向であってもよい。軸方向Zに沿って、支柱部11から回転部12に向かう向きを上方と称し、+Zの向きで表す。上方とは反対の向きを下方と称し、-Zの向きで表す。軸方向Zに交差する(例えば、直交する)一方向を、第1方向Xと称する。第1方向Xは、後述する移動スピンドル群GAと固定スピンドル群GBとが対向する方向でもある。軸方向Zおよび第1方向Xの双方に交差する(例えば、直交する)方向を、第2方向Yと称する。第1方向Xにおいて、基板Wの中心Oに近づく向きを内側と称し、中心Oから遠ざかる向きを外側と称する。
【0026】
図1に示すように、本実施形態に係る複数のスピンドル10は、2つのスピンドル群GA、GBを構成する。各スピンドル10は、2つのスピンドル群GA、GBのいずれかに属する。以下、これら2つのスピンドル群のうち一方を移動スピンドル群GAと称し、他方を固定スピンドル群GB(移動規制スピンドル群GB)と称する。移動スピンドル群GAおよび固定スピンドル群GBは、第1方向Xにおいて対向するように配置されている。
【0027】
各スピンドル群GA、GBには、2つのスピンドル10が含まれる。以下、移動スピンドル群GAに含まれるスピンドル10を移動スピンドル10Aと称し、固定スピンドル群GBに含まれるスピンドル10を固定スピンドル10B(移動規制スピンドル10B)と称する。同一のスピンドル群GA、GBに属するスピンドル10の下端同士は、ベース13によって連結されている。図示の例においては、2つの移動スピンドル10Aが一つのベース13によって連結され、2つの固定スピンドル10Bが他のベース13によって連結されている。以下、移動スピンドル10A同士を連結するベース13を第1ベース13Aと称し、固定スピンドル10B同士を連結するベース13を第2ベース13Bと称する。また、移動スピンドル10Aが有する回転部12を移動回転部12Aと称し、固定スピンドル10Bが有する回転部12を固定回転部12B(移動規制回転部12B)と称する。
【0028】
移動機構21、22は、スピンドル10を移動させるための機構である。
図1および
図2に示すように、本実施形態においては、2つのスピンドル群GA、GBに対し、1つずつ移動機構が設けられている。以下、移動スピンドル群GAに設けられた移動機構を第1移動機構21と称し、固定スピンドル群GBに設けられた移動機構を第2移動機構22と称する。
【0029】
図示の例における第1移動機構21は、第1ベース13Aを第1方向Xに移動させる。これにより、移動スピンドル群GAに属する2つの移動スピンドル10Aおよび第1ベース13Aが、一体となって第1方向Xに移動する。具体的に、第1移動機構21は、移動スピンドル10Aおよび第1ベース13Aを第1方向X内側に向けて押圧する。第1移動機構21は、例えば、第1ベース13Aを第1方向X内側に向けて押圧するエアシリンダを含んでいてもよい。
【0030】
図示の例における第2移動機構22は、第2ベース13Bを第1方向Xに移動させる。これにより、固定スピンドル群GBに属する2つの固定スピンドル10Bおよび第2ベース13Bが、一体となって第1方向Xに移動する。具体的に、第2移動機構22は、固定スピンドル10Bおよび第2ベース13Bを第1方向X内側に向けて押圧する。第2移動機構22は、例えば、第2ベース13Bを第1方向X内側に向けて押圧するエアシリンダを含んでいてもよい。
【0031】
図1および
図2に示すように、第2ベース13Bの第1方向Xにおける内側には、ストッパ23が設けられている。ストッパ23は、基板保持装置1が収容されるハウジング等に固定されている。このようなストッパ23を設けることで、第2移動機構22が第2ベース13Bを第1方向X内側に向けて押圧した際に、第2ベース13Bがストッパ23に当接する。これにより、第2ベース13Bの動きが規制され、第2ベース13Bと、第2ベース13Bに連結された固定スピンドル10B(固定回転部12B)とが、所定の位置に固定される。つまり、固定スピンドル10B(移動規制スピンドル10B)および固定回転部12B(移動規制回転部12B)は、ストッパ23によって、第1方向Xにおける内側に向けた移動が規制される。
【0032】
一方、第1ベース13Aの周辺には、このようなストッパ23が設けられていない。したがって、第1移動機構21は、第1ベース13Aと、第1ベース13Aに連結された移動スピンドル10A(移動回転部12A)を、第1方向X内側に向けて自在に押圧することができる。本実施形態においては、第2ベース13B(固定回転部12B)が第2移動機構22およびストッパ23によって固定された状態で、第1移動機構21が第1ベース13Aを第1方向X内側に押圧する。これにより、二つの固定回転部12Bが有する二つの接触把持部12aと、二つの移動回転部12Aが有する二つの接触把持部12aとが基板Wを把持する。
【0033】
図2に示すように、本実施形態においては、各回転部12が有する大径部12cの上面に、補助面12bが形成されている。軸方向Zから見て、補助面12bは、接触把持部12aを取り囲む環状の形状を有する。補助面12bは、接触把持部12aに基板Wを把持させる際や、接触把持部12aから基板Wを取り除く際に、基板Wが回転部12から脱落するのを防ぐ。具体的に、接触把持部12aに基板Wを把持させる際は、まず、各回転部12の補助面12bに基板Wが載置される。その後、移動機構21、22によって回転部12A、12Bの間の間隔を狭めることで、基板Wは補助面12b上を摺動し、やがて接触把持部12aに嵌合される。なお、図示の例における補助面12bは、回転部12の径方向外側に向かうにつれて下方に向かうように傾斜している。
【0034】
上述したような基板Wの回転および把持を続けていくと、接触把持部12aは次第に摩耗していく。
図1に示すように、本実施形態に係る基板保持装置1は、このような摩耗の発生を検出して作業者に知らせるために、第1センサ31と、第2センサ32と、検出部41と、警報部42と、をさらに備えている。
【0035】
第1センサ31は、移動回転部12Aの位置を検出する。より具体的に、本実施形態における第1センサ31は、移動回転部12Aの第1方向Xにおける位置を検出する。図示の例における第1センサ31は、移動回転部12Aに連結された第1ベース13Aの位置を検出することで、間接的に移動回転部12Aに位置を検出している。ただし、第1センサ31は移動回転部12Aの位置を直接検出してもよい。第1センサ31は、検出した移動回転部12Aの位置を、検出部41に出力する。
【0036】
第1センサ31としては、例えば反射型変位レーザセンサを用いてもよい。この場合、第1センサ31は、
図1に示すように、センサ本体31aと、第1ベース13Aに固定されたセンサドグ31bと、を有していてもよい。センサ本体31aとセンサドグ31bとは、第1方向Xにおいて対向するように配置される。センサ本体31aは、センサドグ31bに向けて光を照射する。センサドグ31bは、センサ本体31aから照射された光をセンサ本体31aに向けて反射する。センサ本体31aは、センサドグ31bからの反射光に基づいて、第1ベース13Aの第1方向Xにおける位置を検出する。
【0037】
第2センサ32は、基板Wの位置を検出する。なお、「基板Wの位置」とは、基板Wの中心Oの位置であってもよいし、基板Wの外周縁の位置であってもよい。第2センサ32は、検出した基板Wの位置を、検出部41に出力する。
【0038】
第2センサ32としては、例えば
図1に示すような投光部32aおよび受光部32bを有するセンサを用いてもよい。投光部32aおよび受光部32bは、軸方向Zにおいて対向して配置される。投光部32aは、受光部32bに向けて光を照射する。受光部32bは、投光部32aから照射された光の強度を検出する。
【0039】
投光部32aおよび受光部32bは、基板Wの周縁部を、軸方向Zにおいて挟み込むように配置される。これにより、投光部32aが照射する光の少なくとも一部は、基板Wによって遮られる。基板Wの位置(基板Wの外周縁の位置)が変化すると、基板Wによって遮られる光の量が変化し、受光部32bに照射される光の量が変化する。第2センサ32は、受光部32bに照射される光の量に基づいて、基板Wの位置を検出する。なお、投光部32aおよび受光部32bの組(センサユニット)が、基板Wの外周縁に沿って複数組(例えば、3組以上)配置されていてもよい。
【0040】
投光部32aは基板Wの下方(すなわち、基板Wの裏面側)に設けられ、受光部32bは基板Wの上方(すなわち、基板Wの表面側)に設けられることが好ましい。これにより、投光部32aが照射する光に起因した、基板Wの表面の劣化を抑制することができる。
【0041】
なお、センサ31、32は、基板Wを洗浄する際に邪魔にならない位置に配置されることが好ましい。例えば、センサ31、32は、基板Wを洗浄する際に洗浄液がかからないような位置に配置されていてもよい。
【0042】
検出部41は、第1センサ31から出力された移動回転部12Aの位置を取得する。検出部41は、第2センサ32から出力された基板Wの位置を取得する。また、検出部41は、第1初期位置および第2初期位置を記憶する。ここで、「第1初期位置」は、接触把持部12aが摩耗していない状態(すなわち、接触把持部12aが新品である状態)で接触把持部12aが基板Wを把持した場合における、移動回転部12Aの位置である。「第2初期位置」は、接触把持部12aが摩耗していない状態(すなわち、接触把持部12aが新品である状態)で接触把持部12aが基板Wを把持した場合における、基板Wの位置である。
【0043】
接触把持部12aに摩耗が発生すると、移動回転部12Aの位置および基板Wの位置は、第1初期位置および第2初期位置から各々ずれていく。例えば四つの接触把持部12aが均等に摩耗した場合には、第1移動機構21の押圧力に起因して、基板Wおよび移動回転部12Aの位置は、第1方向Xにおいて固定回転部12Bに近づくようにずれていく。
【0044】
本実施形態における検出部41は、移動回転部12Aおよび基板Wの現在位置と、予め記憶しておいた第1初期位置および第2初期位置と、に基づいて接触把持部12aの摩耗の発生を検出する。より具体的に、本実施形態に係る検出部41は、移動回転部12Aの現在位置と第1初期位置との差(以下、「第1の差」と称する)、および、基板Wの現在位置と第2初期位置との差(以下、「第2の差」と称する)に基づいて、接触把持部12aの摩耗の発生を検出する。検出部41は、摩耗の発生を検出した場合に、所定の検出信号を警報部42に出力する。
【0045】
検出部41は、第1の差および第2の差に基づき、接触把持部12aの摩耗量を検出してもよい。言い換えれば、検出部41は、接触把持部12aの摩耗量を定量的に評価してもよい。
【0046】
また、検出部41は、第1の差および第2の差に基づいて、移動回転部12Aの接触把持部12aと、固定回転部12Bの接触把持部12aとのいずれに摩耗が発生しているかを検出してもよい。
例えば、第1の差は発生しているものの第2の差は発生していない場合(すなわち、移動回転部12Aの位置は変化しているものの基板Wの位置は変化していない場合)、固定回転部12Bの接触把持部12aは摩耗しておらず、移動回転部12Aの接触把持部12aのみが摩耗している可能性が高い。また、第1の差および第2の差の双方が発生しておりかつ第1の差と第2の差とが同程度である場合、移動回転部12Aの接触把持部12aは摩耗しておらず、固定回転部12Bの接触把持部12aのみが摩耗している可能性が高い。このように、基板保持装置1に第1センサ31および第2センサ32の双方を設けることで、複数の接触把持部12aの間で不均一な摩耗が発生していることを、検出部41に検出させることも可能である。なお、第1の差及び第2の差の双方が発生しておりかつ第2の差が第1の差の1/2程度である場合、移動回転部12Aの接触把持部12aと固定回転部12Bの接触把持部12aとの双方が均等に摩耗している可能性が高い。接触把持部12aの不均一な摩耗を検出する必要がない場合等においては、基板保持装置1がセンサ31、32のうちいずれか一方のみを備えていてもよい。
【0047】
警報部42は、検出部41から出力された所定の検出信号に基づいて、警報を発する。なお、警報の種類は特に限定されない。警報部42が発する警報は、音声であってもよいし、光であってもよいし、モニタ等に表示されるポップアップ等であってもよい。
【0048】
なお、第2センサ32を用いて基板Wの位置を検出することで、基板保持装置1から基板Wを取り除く際、基板Wの除去が適正に行われているか否かを検知してもよい。具体的には、基板Wを取り除くために回転部12A、12Bの間の間隔を拡げた際に、基板Wの周縁部がいずれかの接触把持部12aに引っかかり、当該接触把持部12aによって基板Wが意図せず引っ張られてしまう場合があり得る。第2センサ32によって基板Wの位置を検出することで、このような意図せぬ基板Wの移動を検出することも可能である。
【0049】
<摩耗検出方法>
次に、以上のように構成された基板保持装置1において、接触把持部12aの摩耗を検出する方法(摩耗検出方法)について具体的に説明する。
図3は、本実施形態に係る基板保持装置1において行われる処理の一例を示すフローチャートである。
【0050】
(ステップS1)まず、基板保持装置1に基板Wを保持させる。具体的には、移動回転部12Aと固定回転部12Bとの間隔が十分開いた状態で、各回転部12の補助面12bに基板Wを載置する。その後、第2移動機構22を駆動させる。すると、ストッパ23によって固定スピンドル10B(固定回転部12B)の位置が固定される。言い換えれば、ストッパ23によって固定スピンドル10B(固定回転部12B)の移動が規制される。その後、第1移動機構21を駆動させる。第1移動機構21の作用によって、移動回転部12Aが基板Wに向けて(固定回転部12Bに向けて)移動する。これにより、基板Wが、回転部12A、12Bによって把持される。当該ステップS1においては、全ての接触把持部12aに関して摩耗していない(すなわち、新品の)接触把持部12aが用意される。なお、当該ステップS1においては、基板Wに代えて、基板Wと同一の形状を有する治具を用いてもよい。また、ステップS1においては、第1移動機構21と第2移動機構22とを同時に駆動してもよい。ただしこの場合、移動機構21、22の作用によって移動させられるスピンドル10A、10Bが、互いに基板Wを押し合って基板Wの位置が不安定になる可能性がある。そのため、上述の構成、すなわち、まず第2移動機構22を駆動して固定スピンドル10Bを固定した後に第1移動機構21を駆動する構成が、より好ましい。
【0051】
(ステップS2)接触把持部12aによって基板Wを把持させた後、第1初期位置取得工程が行われる。第1初期位置取得工程においては、第1センサ31が、移動回転部12Aの位置を取得する。第1センサ31は、取得した移動回転部12Aの位置を、検出部41に出力する。検出部41は、第1センサ31から出力された移動回転部12Aの位置を、第1初期位置として記憶する。つまり、第1初期位置取得工程においては、第1センサ31および検出部41によって、第1初期位置が取得される。
【0052】
(ステップS3)同様に、接触把持部12aによって基板Wを把持させた後、第2初期位置取得工程が行われる。第2初期位置取得工程においては、第2センサ32が、基板Wの位置を取得する。第2センサ32は、取得した基板Wの位置を、検出部41に出力する。検出部41は、第2センサ32から出力された基板Wの位置を、第2初期位置として記憶する。つまり、第2初期位置取得工程においては、第2センサ32および検出部41によって、第2初期位置が取得される。なお、ステップS1で基板Wの代わりに治具を用いた場合は、第2センサ32が取得した治具の位置が、第2初期位置として取得される。また、上述したステップS1よりも後であれば、第1初期位置取得工程と第2初期位置取得工程との順序は特に限定されない。
【0053】
(ステップS4)第1初期位置および第2初期位置が取得された後、基板保持装置1によって基板Wを回転させながら、洗浄機構2を用いた所定枚数の基板Wの洗浄が行われる。当該ステップS4においては、1枚のみの基板Wの洗浄が行われてもよいし、複数枚(例えば、数百枚や数千枚)の基板Wの洗浄が行われてもよい。ステップS4において洗浄する基板Wの枚数は適宜変更可能である。複数枚の基板Wの洗浄を行う場合には、基板Wの交換(すなわち、基板保持装置1からの基板Wの除去、および、基板保持装置1による新たな基板Wの保持)が適宜行われる。
【0054】
(ステップS5)所定枚数の基板Wの洗浄が行われた後、現在位置取得工程が行われる。現在位置取得工程においては、第1センサ31が、再度、移動回転部12Aの位置(現在位置)を取得する。第1センサ31は、取得した移動回転部12Aの現在位置を、検出部41に出力する。同様に、第2センサ32は、再度、基板Wの位置(現在位置)を取得する。第2センサ32は、取得した基板Wの現在位置を、検出部41に出力する。
【0055】
(ステップS6)現在位置取得工程が行われた後、検出工程が行われる。検出工程においては、検出部41が、前述した第1の差および第2の差に基づき、接触把持部12aの摩耗の発生を検出する。例えば、検出部41は、前述した第1の差あるいは第2の差が所定のしきい値を超えて大きくなった場合に、接触把持部12aの摩耗の発生を検出する。接触把持部12aの摩耗の発生が検出されなかった場合(ステップS6;NO)、ステップS4~S5の処理が繰り返される。ステップS4~S5の処理の繰返し回数は、作業者の随意によって決定されてもよい。
【0056】
(ステップS7)接触把持部12aの摩耗の発生が検出された場合(ステップS6;YES)、検出部41は、所定の検出信号を警報部42に出力する。警報部42は、検出部41から出力された検出信号に基づいて、警報を発する。警報を確認した作業者は、回転部12(接触把持部12a)の交換を行ってもよい。回転部12の交換を行ったあと、再度ステップS1~S7の処理が繰り返されてもよい。
【0057】
以上説明したように、本実施形態に係る基板保持装置1は、基板Wの周縁部に接触して基板Wを回転させる接触把持部12aを各々有する、少なくとも三つの回転部12と、少なくとも三つの回転部12のうち少なくとも一つの回転部12(移動回転部12A)を基板Wに向けて移動させることで、複数の接触把持部12aに基板Wを把持させる第1移動機構(移動機構)21と、第1移動機構21によって移動させられる回転部12である移動回転部12Aの位置を直接的または間接的に検出する第1センサ31と、複数の接触把持部12aが摩耗していない状態で複数の接触把持部12aが基板Wを把持した場合における移動回転部12Aの位置である第1初期位置を記憶し、移動回転部12Aの現在位置と当該第1初期位置との差に基づいて接触把持部12aの摩耗の発生を検出する検出部41と、を備える。
【0058】
また、本実施形態に係る摩耗検出方法は、上記の基板保持装置1において接触把持部12aの摩耗を検出する摩耗検出方法であって、第1初期位置を取得する第1初期位置取得工程と、当該第1初期位置取得工程よりも後において、移動回転部12Aの現在位置を取得する現在位置取得工程と、移動回転部12Aの現在位置と第1初期位置との差に基づいて接触把持部12aの摩耗の発生を検出する検出工程と、を有する。
【0059】
この構成により、移動回転部12Aの位置変化に基づいて、接触把持部12aの摩耗の発生を検出することができる。これにより、回転部12の交換時期の適正化を図ることができる。
【0060】
あるいは、本実施形態に係る基板保持装置1は、基板Wの周縁部に接触して基板Wを回転させる接触把持部12aを各々有する、少なくとも三つの回転部12と、少なくとも三つの回転部12のうち少なくとも一つの回転部12(移動回転部12A)を基板Wに向けて移動させることで、複数の接触把持部12aに基板Wを把持させる第1移動機構(移動機構)21と、基板Wの位置を検出する第2センサ32と、複数の接触把持部12aが摩耗していない状態で複数の接触把持部12aが基板Wを把持した場合における基板Wの位置である第2初期位置を記憶し、基板Wの現在位置と当該第2初期位置との差に基づいて接触把持部12aの摩耗の発生を検出する検出部41と、を備える。
【0061】
また、本実施形態に係る摩耗検出方法は、上記の基板保持装置1において接触把持部12aの摩耗を検出する摩耗検出方法であって、第2初期位置を取得する第2初期位置取得工程と、当該第2初期位置取得工程よりも後において、基板Wの現在位置を取得する現在位置取得工程と、基板Wの現在位置と第2初期位置との差に基づいて接触把持部12aの摩耗の発生を検出する検出工程と、を有する。
【0062】
この構成により、基板Wの位置変化に基づいて、接触把持部12aの摩耗の発生を検出することができる。これにより、回転部12の交換時期の適正化を図ることができる。
【0063】
また、本実施形態に係る基板保持装置1は、上記の第1センサ31および第2センサ32の双方を備え、検出部41は、基板Wの現在位置と第1初期位置との差(第1の差)と、移動回転部12Aの現在位置と第2初期位置との差(第2の差)と、に基づいて接触把持部12aの摩耗の発生を検出する。この構成により、複数の接触把持部12aの間で不均一な摩耗が発生していることを、検出部41に検出させることが可能となる。
【0064】
また、検出部41は、接触把持部12aの摩耗量を検出してもよい。この構成により、回転部12の交換時期の適正化をより促進することができる。
【0065】
また、本実施形態に係る基板保持装置1は、接触把持部12aの摩耗の発生が検出された場合に警報を発する警報部42をさらに備える。この構成により、作業者が摩耗の発生に気づきやすくなり、回転部12の交換時期の適正化をより促進することができる。
【0066】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0067】
例えば、上述したセンサ31、32の構成はあくまで一例であり、移動回転部12Aの位置および基板Wの位置を各々検出可能であれば適宜変更可能である。例えば、図示の例において第1センサ31は第1ベース13Aの第1方向X外側に設けられているが、第1センサ31の位置は適宜変更可能である。第1センサ31は、例えば第1ベース13Aの第1方向X内側に設けられていてもよい。また、第1センサ31は反射型変位レーザセンサ以外のセンサであってもよい。同様に、第2センサ32は画像センサ等であってもよい。例えば第2センサ32が画像センサである場合には、第2センサ32は基板Wの上方に配置され、基板Wの外周縁を検出することにより、基板Wの位置を測定するようにしてもよい。
【0068】
また、前記実施形態では、移動機構21、22の例としてエアシリンダを挙げたが、移動機構21、22の種類はこれに限られない。移動機構21、22は、例えばスピンドル群GA、GBに係合するサーボモータ等であってもよい。この場合、第1センサ31は、サーボモータの回転数等を検出するセンサであってもよい。
【0069】
また、基板保持装置1は警報部42を備えていなくてもよい。
【0070】
また、基板Wを保持可能であれば、回転部12(スピンドル10)の数は適宜変更可能である。
【0071】
また、基板保持装置1はストッパ23を有していなくてもよい。この場合、移動機構21、22によって、全ての回転部12が基板Wに向けて押圧される。ただし、前記実施形態のようにストッパ23によって固定回転部12Bを固定する構成(すなわち、移動スピンドル群GAと固定スピンドル群GBとを分ける構成)は、基板保持装置1がストッパ23を有さない構成(すなわち、全ての回転部12が移動回転部12Aである構成)と比較して基板Wの中心Oの位置が安定しやすく好適である。
【0072】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した実施形態や変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0073】
1…基板保持装置 12…回転部 12A…移動回転部 12a…接触把持部 21…第1移動機構(移動機構) 31…第1センサ 32…第2センサ 41…検出部 42…警報部 W…基板