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特開2024-172267作業管理装置、作業管理システム、推論装置、機械学習装置、作業管理方法、推論方法、及び、機械学習方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172267
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】作業管理装置、作業管理システム、推論装置、機械学習装置、作業管理方法、推論方法、及び、機械学習方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/063 20230101AFI20241205BHJP
【FI】
G06Q10/063
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023089862
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100214248
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 純
(74)【代理人】
【識別番号】100214260
【弁理士】
【氏名又は名称】相羽 昌孝
(72)【発明者】
【氏名】村田 誠治
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
5L010AA06
5L049AA06
(57)【要約】
【課題】作業者の作業状況を高精度で自動的に記憶し、作業状況を適切に確認することができる作業管理装置を提供する。
【解決手段】作業管理装置5は、所定の対象物に対して作業者Uが行う複数の作業を管理する作業管理装置5であって、作業者Uが画像撮影部63を備える作業者装置6を装着したときに作業者Uの前方に向けて配置される画像撮影部63により撮影された画像データ111を取得する画像データ取得部501と、画像データ取得部501により取得された画像データ111に基づいて、作業者Uが所定の作業対象2に対して行う作業を作業毎に作業情報112として生成する作業情報生成部502と、作業情報生成部502によって作業毎に生成された作業情報112を時系列で記憶する記憶部52と、を備える。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の対象物に対して作業者が行う複数の作業を管理する作業管理装置であって、
前記作業者が画像撮影部を備える作業者装置を装着したときに前記作業者の前方に向けて配置される前記画像撮影部により撮影された画像データを取得する画像データ取得部と、
前記画像データ取得部により取得された前記画像データに基づいて、前記作業者が所定の作業対象に対して行う前記作業を前記作業毎に作業情報として生成する作業情報生成部と、
前記作業情報生成部によって前記作業毎に生成された前記作業情報を時系列で記憶する記憶部と、
を備える、
作業管理装置。
【請求項2】
前記作業情報は、
前記作業の行われた日時を示す日時情報と、
前記作業者を示す作業者情報と、
前記作業対象を示す作業対象情報と、
前記作業に使用された道具を示す作業道具情報と、
前記作業の状況を示す作業状況情報と、
の少なくとも1つ
を含む
請求項1に記載の作業管理装置。
【請求項3】
前記作業情報は、前記道具の作業値を示す作業値情報を含み、
前記規定情報は、前記作業道具情報と前記対象情報に基づいて予め定めた前記作業での前記道具の規定値を示す規定値情報を含む
請求項2に記載の作業管理装置。
【請求項4】
前記作業情報は、前記作業の順序を示す作業順情報を含み、
前記規定情報は、予め定めた前記作業の順序を示す規定順情報を含む
請求項2に記載の作業管理装置。
【請求項5】
前記作業情報に基づいて、現実空間の前記作業対象にオブジェクト情報を重畳表示可能な出力部をさらに備える前記作業者装置が前記作業者に装着されたときに、前記作業者の周囲に存在する前記作業対象に前記作業情報を重畳表示させるための前記オブジェクト情報を生成するオブジェクト情報生成部をさらに備える、
請求項1に記載の作業管理装置。
【請求項6】
前記記憶部は、前記作業対象に対する設計上の規定を示す規定情報を予め記憶し、
前記オブジェクト情報生成部は、前記作業者の周囲に存在する前記作業対象に前記規定情報を重畳表示させるための前記オブジェクト情報を生成する
請求項3に記載の作業管理装置。
【請求項7】
前記記憶部は、前記対象物に対する設計上の形状を示す設計情報を予め記憶し、
前記作業情報生成部は、前記画像データ及び前記設計情報に基づいて前記作業情報を生成する
請求項1に記載の作業管理装置。
【請求項8】
前記作業情報生成部は、前記画像データと前記作業情報との相関関係を機械学習させた
学習モデルに、前記画像データ取得部により取得された前記画像データを入力することにより、当該画像データに対する前記作業情報を生成する、
請求項1に記載の作業管理装置。
【請求項9】
作業者の前方に向けて配置される画像撮影部を有し、所定の対象物に対して複数の作業を行う前記作業者が装着する作業者装置と、
前記画像撮影部により撮影された画像データと、前記作業者が所定の作業対象に対して行う前記作業を前記作業毎に作業情報として構成される学習用データを複数組記憶する学習用データ記憶部、複数組の前記学習用データを学習モデルに入力することで、前記画像データと前記作業情報との相関関係を前記学習モデルに学習させる機械学習部、及び、前記機械学習部により前記相関関係を学習させた前記学習モデルを記憶する学習済みモデル記憶部、を有する機械学習装置と、
前記画像データを取得する画像データ取得部、前記学習モデルに、前記画像データ取得部により取得された前記画像データを入力することにより、当該画像データに対する前記作業情報を生成する作業情報生成部、及び、前記作業情報生成部によって前記作業毎に生成された前記作業情報を時系列で記憶する記憶部を有する作業管理装置と、
を備える
作業管理システム。
【請求項10】
メモリと、プロセッサとを備える推論装置であって、
前記プロセッサは、
所定の対象物に対して所定の作業を行う作業者が画像撮影部を備える作業者装置を装着したときに前記作業者の前方に向けて配置される前記画像撮影部により撮影された画像データを取得する画像データ取得処理と、
前記画像データ取得処理により取得された当該画像データに基づいて、前記作業者が所定の作業対象に対して行う前記作業を前記作業毎に作業情報として推論する推論処理と、
を実行する、
推論装置。
【請求項11】
所定の対象物に対して複数の作業を行う作業者が画像撮影部を備える作業者装置を装着したときに前記作業者の前方に向けて配置される前記画像撮影部により撮影された画像データと、前記作業者が所定の作業対象に対して行う前記作業を前記作業毎に作業情報として構成される学習用データを複数組記憶する学習用データ記憶部と、
複数組の前記学習用データを学習モデルに入力することで、前記画像データと前記作業情報との相関関係を前記学習モデルに学習させる機械学習部と、
前記機械学習部により前記相関関係を学習させた前記学習モデルを記憶する学習済みモデル記憶部と、
を備える、
機械学習装置。
【請求項12】
所定の対象物に対して作業者が行う複数の作業を管理する作業管理方法であって、
前記作業者が画像撮影部を備える作業者装置を装着したときに前記作業者の前方に向けて配置される前記画像撮影部により撮影された画像データを取得する画像データ取得工程と、
前記画像データ取得工程により取得された前記画像データに基づいて、前記作業者が所定の作業対象に対して行う前記作業を前記作業毎に作業情報として生成する作業情報生成工程と、
前記作業毎に生成された前記作業情報を時系列で記憶する記憶工程と、
を備える、
作業管理方法。
【請求項13】
メモリと、プロセッサとを備える推論装置により実行される推論方法であって、
前記プロセッサは、
所定の対象物に対して所定の作業を行う作業者が画像撮影部を備える作業者装置を装着したときに前記作業者の前方に向けて配置される前記画像撮影部により撮影された画像データを取得する画像データ取得工程と、
前記画像データ取得工程にて前記画像データを取得すると、当該画像データに基づいて、前記作業者が所定の作業対象に対して行う前記作業を作業情報として推論する推論工程と、を実行する、
推論方法。
【請求項14】
所定の対象物に対して作業を行う作業者が画像撮影部を備える作業者装置を装着したときに前記作業者の前方に向けて配置される前記画像撮影部により撮影された画像データと、前記作業者が所定の作業対象に対して行う前記作業を前記作業毎に作業情報として構成される学習用データを学習用データ記憶部に複数組記憶する学習用データ記憶工程と、
複数組の前記学習用データを学習モデルに入力することで、前記画像データと前記作業情報との相関関係を前記学習モデルに学習させる機械学習工程と、
前記機械学習工程により前記相関関係を学習させた前記学習モデルを学習済みモデル記憶部に記憶する学習済みモデル記憶工程と、を備える、
機械学習方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業管理装置、作業管理システム、推論装置、機械学習装置、作業管理方法、推論方法、及び、機械学習方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、所定の対象物に対して作業者が行った作業の完了を確認するために、レポートを作成したり、写真等を撮影することで後々確認できるようにしていた。例えば、特許文献1には、赤外線カメラで撮影した画像データを熱画像解析処理し、道具を用いた作業者の作業内容を記録する作業記録装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第2575432号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された作業記録装置は、遠方から作業者を撮影するので、近傍から撮影した画像と比較して明らかに精度が落ちてしまう。また、赤外線カメラを用いて熱画像を画像処理するので、実際の画像を解析するよりも明らかに精度が落ちてしまう。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑み、作業者の作業状況を高精度で自動的に記憶し、作業状況を適切に確認することができる作業管理装置、作業管理システム、推論装置、機械学習装置、作業管理方法、推論方法、及び、機械学習方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る作業管理装置は、
所定の対象物に対して作業者が行う複数の作業を管理する作業管理装置であって、
前記作業者が画像撮影部を備える作業者装置を装着したときに前記作業者の前方に向けて配置される前記画像撮影部により撮影された画像データを取得する画像データ取得部と、
前記画像データ取得部により取得された前記画像データに基づいて、前記作業者が所定の作業対象に対して行う前記作業を前記作業毎に作業情報として生成する作業情報生成部と、
前記作業情報生成部によって前記作業毎に生成された前記作業情報を時系列で記憶する記憶部と、
を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様に係る作業管理装置によれば、作業者の前方に向けて配置される画像撮影部により撮影された画像データに基づいて、作業者が所定の作業位置の作業対象に対して道具を使用して行う作業を作業毎に作業情報として生成し、時系列に記録するので、作業者の作業を高精度で自動的に記憶し、作業状況を適切に確認することができる。また、標準化・マニュアル化できていない作業について、作業者の属人的な作業結果の質を、組織知化・形式知化することができる。さらに、質の高い作業を行う作業員の作業履歴を解析して、XRで作業情報を再現可能となるように指示することができる。
【0008】
上記以外の課題、構成及び効果は、後述する発明を実施するための形態にて明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態の作業管理システム1の一例を示す全体構成図である。
図2】作業対象物2の第1例としての減速機2aを示す斜視図である。
図3】道具22の一例としてのトルクドライバ22a及びグリスガン22bを示す。
図4】作業管理装置5の一例を示すブロック図である。
図5】作業管理装置5の一例を示す機能説明図である。
図6】作業情報生成部502により生成される作業情報112及び記憶部52に記憶された規定情報522の一例を示すデータ構成図である。
図7】ユーザ端末装置6の一例を示すブロック図である。
図8】コンピュータ900の一例を示すハードウエア構成図である。
図9】作業管理装置5及びユーザ端末装置6による作業管理方法の一例を示すフローチャートである。
図10】現実空間の作業対象物2に作業情報112を重畳表示した第1の例を示す図である。
図11】現実空間の作業対象物2に作業情報112を重畳表示した第2の例を示す図である。
図12】第2実施形態の作業管理システム1の一例を示す全体構成図である。
図13】機械学習装置4の一例を示すブロック図である。
図14】学習モデル10及び学習用データ11の一例を示す図である。
図15】機械学習装置4による機械学習方法の一例を示すフローチャートである。
図16】第2実施形態の作業管理装置5の一例を示すブロック図である。
図17】第2実施形態の作業管理装置5の一例を示す機能説明図である。
図18】ユーザ端末装置6の一例を示すブロック図である。
図19】作業管理装置5及びユーザ端末装置6による安全支援方法の一例を示すフローチャートである。
図20】作業対象物2の第2例としての駆動装置2bを示す。
図21】作業対象物2の第3例としてのロールクリーナ2cのストッパを示す。
図22】作業対象物2の第4例としてのフィルタファン2dを示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明を実施するための実施形態について説明する。以下では、本発明の目的を達成するための説明に必要な範囲を模式的に示し、本発明の該当部分の説明に必要な範囲を主に説明することとし、説明を省略する箇所については公知技術によるものとする。
(作業管理システム1)
【0011】
図1は、第1実施形態の作業管理システム1の一例を示す全体構成図である。本実施形態に係る作業管理システム1は、作業対象物2に対する作業を管理するシステムとして機能する。作業管理システム1は、その主要な構成として、データベース装置3と、作業管理装置5と、ユーザ端末装置6とを備える。データベース装置3、作業管理装置5及びユーザ端末装置6は、例えば、汎用又は専用のコンピュータ(後述の図8参照)で構成されるとともに、有線又は無線のネットワーク7に接続されて、各種のデータ(図1には一部のデータの送受信を破線の矢印にて図示)を相互に送受信可能に構成される。なお、データベース装置3、作業管理装置5及びユーザ端末装置6の数やネットワーク7の接続構成は、図1の例に限られず、適宜変更してもよい。
【0012】
(作業対象物2)
図2は、作業対象物2の第1例としての減速機2aを示す斜視図である。本実施形態で用いられる作業対象物2の一例は、サーキュラスプライン2a1とフレクスプライン2a2等を含む減速機2aである。また、作業対象部21は、例えば、サーキュラスプライン2a1に締結されるボルト21a、又は、サーキュラスプライン2a1とフレクスプライン2a2の間に塗布されるグリス21b等である。
【0013】
(道具22)
図3は、道具22の一例としてのトルクドライバ22a及びグリスガン22bを示す。道具22は、ボルト21aを締結するためのトルクドライバ22a、又は、サーキュラスプライン2a1とフレクスプライン2a2の間に塗布されるグリス21bを塗布するグリスガン22b等でよい。トルクドライバ22aは、締結時のトルクが表示されるトルク表示部22a1等を有すると好ましい。また、グリスガン22bは、塗布されたグリスの量がわかる目盛22b1等を有すると好ましい。なお、道具22は、作業対象部21に基づいてその作業にあうものを選択すればよい。例えば、トルクドライバ22aに代えてトルクレンチ等を用いてもよく、グリスガン22bに代えて刷毛等を用いてもよい。なお、作業対象部21、道具22を含む作業対象物2は、作業対象を構成する。
【0014】
データベース装置3は、作業が行われたときの履歴に関する作業履歴情報30を管理する装置である。データベース装置3は、作業対象物2に対して作業が行われたときに、作業管理装置5から作業情報112等の少なくとも一部を含む各種のレポートRを随時受信し、作業履歴情報30に登録することで、作業履歴情報30には、作業に関する作業情報112等の少なくとも一部を含むレポートRが蓄積される。なお、データベース装置3には、上記の他に、各種情報が記憶されていてもよく、その場合には、作業管理装置5がこれらの情報を参照するようにしてもよい。
【0015】
(作業管理装置5)
図4は、作業管理装置5の一例を示すブロック図である。図5は、作業管理装置5の一例を示す機能説明図である。作業管理装置5は、所定の作業対象物2に対して作業者Uが行う複数の作業を管理する。作業管理装置5は、作業のための各種情報を取得、生成又は処理する制御部50と、データベース装置3及びユーザ端末装置6等と接続され、各種のデータを送受信する通信インターフェースとして機能する通信部51と、作業管理装置5の動作で使用される各種のプログラム(オペレーティングシステムやユーザ端末プログラム等)やデータ(学習モデル10)等の各種情報を記憶する記憶部52と、を備える。
【0016】
制御部50は、画像データ取得部501、作業情報生成部502、オブジェクト情報生成部503及び出力処理部504として機能する。
【0017】
画像データ取得部501は、作業者Uがユーザ端末装置6を装着したときに作業者Uの前方に向けて配置される画像撮影部63により撮影された画像データ111を取得する。本実施形態では、画像データ取得部501は、ユーザ端末装置6から通信部51及びネットワーク7を介して画像データ111を取得(受信)する。
【0018】
作業情報生成部502は、画像データ取得部501により取得された画像データ111及び記憶部52に予め記憶した設計情報521に基づいて、作業者Uが所定の作業位置の作業対象物2の作業対象部21に対して道具22を使用して行う作業を、作業毎に時系列で作業情報112として生成する。生成された作業情報112は、記憶部52に記憶する。
【0019】
例えば、作業情報生成部502は、画像撮影部63で現実空間を撮影したときの画角内
に、設計情報521として記憶された作業対象部21の設計上の特徴点が含まれるか否かを判定し、設計上の特徴点が含まれていることを検知したとき、当該特徴点の位置に基づいて作業情報112を取得する。特徴点は、例えば、作業対象部21の外形形状や外形色に基づくものでもよいし、作業対象部21に貼付されたシール上の文字や二次元コード等に基づくものでもよい。
【0020】
なお、作業対象物2の各部の設計図データが設計情報521として記憶部52に記憶されている場合には、作業情報生成部502は、設計図データを参照し、画像撮影部63で現実空間を撮影したときの撮影範囲に、設計図データにおける作業対象部21の特徴点が含まれていることを検知したとき、当該特徴点に基づいて作業対象部21の空間位置情報を取得するようにしてもよい。
【0021】
オブジェクト情報生成部503は、作業情報生成部502により生成された作業情報112と、設計情報521とに基づいて、ユーザ端末装置6が作業者Uに装着されたときに作業者Uの周囲に存在する作業対象物2に作業情報112を重畳表示させるためのオブジェクト情報113を生成する。
【0022】
出力処理部504は、作業情報生成部502により生成された作業情報112やオブジェクト情報生成部503により生成されたオブジェクト情報113を出力するための出力処理を行う。例えば、出力処理部504は、作業情報112をユーザ端末装置6に送信することで、ユーザ端末装置6では、その作業情報112に基づく表示画面や音声が出力される。また、出力処理部504は、オブジェクト情報113をユーザ端末装置6に送信することで、ユーザ端末装置6では、そのオブジェクト情報113に基づく表示画面が出力される。
【0023】
記憶部52は、作業管理装置5の動作で使用される各種のプログラム(オペレーティングシステムやユーザ端末プログラム等)やデータ(学習モデル10)等の各種情報、設計情報521としての各部の設計図データ、規定情報522としての作業対象部21に対する設計上の規定等を予め記憶している。また、作業情報生成部502により生成された作業情報112を作業が完了した記録として記憶する。記憶部52は、外部コンピュータ(例えば、サーバ型コンピュータやクラウド型コンピュータ)の記憶部で代用されてもよく、その場合には、制御部50は、当該外部コンピュータにアクセスすればよい。
【0024】
(各種情報)
図6は、各種情報の一例を示すデータ構成図である。図6に示す各種情報は、作業情報112、設計情報521、規定情報522である。
【0025】
作業情報112は、作業対象物2に対して所定の作業が行われたときに取得される。作業情報112は、例えば、作業ナンバー、日時、作業者、作業対象物、作業対象部、道具、作業結果、規定等が登録される。作業情報112は、1つの作業工程を複数の作業で行う場合、複数の作業情報112を時系列で登録して作業テーブル112aを構成してもよい。また、作業情報112は、作業テーブル112aを複数有してもよい。
【0026】
作業ナンバー情報は、作業情報生成部502により生成された順番に番号を付与すればよい。日時情報は、作業管理装置5に内蔵された時計等により特定する。作業者情報は、作業者Uを特定する情報であり、予め作業者個人に番号等を付与しておき、作業時にその番号を作業管理装置5に入力したり、画像データ取得部501が画像データ111から取得すればよい。
【0027】
作業対象物情報は、作業対象物2を特定し、作業対象部情報は、作業対象物2の作業対
象部21を特定し、作業道具情報は、作業対象部21に作業する道具を特定する。作業対象物情報、作業対象部情報、及び、作業道具情報は、作業対象情報を構成し、画像データ取得部501が取得した画像データ111と予め記憶部52に記憶された設計情報521とに基づいて取得すればよい。作業状況情報は、画像データ取得部501が画像データ111から取得したり、センサ等から取得する作業値情報や作業順情報等である。なお、作業状況情報は、作業対象部21に対する作業の有無等を示すものでもよい。
【0028】
設計情報521は、予め記憶された作業対象物2及びその寸法、作業対象部21及びその位置、及び、作業対象部21に使用する道具22の情報等でよい。設計情報521は、3D-CAD等にすでに入力された情報を用いてもよい。
【0029】
規定情報522は、予め記憶された、例えば、作業対象物、作業対象部、道具、規定値、規定順等でよい。規定情報522は、作業対象部21に対して作業する道具22の規定値情報及び規定順情報(規定の作業順序)を規定テーブル522bとして構成してもよい。同じ作業対象部21に対して異なる道具22で作業する場合も規定テーブル522aに記憶しておく。
【0030】
規定値は、作業対象部21に対して作業する道具22毎に予め定めた規定の値である。例えば、規定値は、ボルト毎の締結トルクの値、グリスの塗布量等を示す。また、規定順は、例えば、ボルトの締結順序等、規定の作業順序を示す。
【0031】
規定情報522は、作業対象部21に対して道具22が行う作業の適正な値を予め記憶した記憶部52から取得すればよい。なお、作業状況情報が作業対象部21に対する作業の有無、作業の順序等を示す場合、規定情報522は、作業対象部21に対する作業の有無、適切な作業の順序等を示せばよい。
【0032】
(ユーザ端末装置6)
図7は、ユーザ端末装置6の一例を示すブロック図である。ユーザ端末装置6は、作業者Uが作業対象物2に対して作業を行う際に使用される作業者装置である。ユーザ端末装置6は、作業者Uが頭部等に装着可能な携帯型の装置であり、例えば、スマートグラス、透過型のヘッドマウントディスプレイ等のウェアラブル機器で構成される。ユーザ端末装置6は、制御部60と、通信部61と、記憶部62と、現実空間を撮影可能な画像撮影部63と、入力部64と、現実空間の作業対象物2にオブジェクト情報113を重畳表示可能な出力部65と、センサ群66と、を備える。
【0033】
画像撮影部63は、所定の解像度(画素数)を有するCMOSセンサやCCDセンサ等のカメラ(イメージセンサ)で構成され、作業者Uがユーザ端末装置6を装着したときに作業者Uの前方に向けて配置される。ユーザ端末装置6は、作業者Uが作業対象物2に対して作業を行う際に、作業者Uの前方に向けて配置された画像撮影部63により撮影された画像データ111を作業管理装置5に随時送信する。出力部65は、作業者Uがユーザ端末装置6を装着したときに、例えば、作業者Uの片目又は両目の前方に配置される。ユーザ端末装置6は、画像データ111及び作業情報112に対するオブジェクト情報113を作業管理装置5から随時受信し、例えば、作業者Uの視野内の現実空間に存在する作業対象物2に重畳するように、オブジェクト情報113を表示する。
【0034】
制御部60は、画像データ送信処理部600、作業情報処理部601及びオブジェクト情報処理部602として機能する。通信部61は、ネットワーク7を介して外部装置(例えば、データベース装置3及び作業管理装置5等)と接続され、各種のデータを送受信する通信インターフェースとして機能する。記憶部62は、ユーザ端末装置6の動作で使用される各種のプログラム(オペレーティングシステムやユーザ端末プログラム等)やデー
タ等を記憶する。画像撮影部63は、現実空間を撮影し、画像データ111を生成する。入力部64は、各種の入力操作を受け付けるとともに、出力部65は、表示画面や音声を介して各種の情報を出力することで、ユーザインターフェースとして機能する。センサ群66は、自装置の加速度、角速度、姿勢、トルク等を検出する。
【0035】
画像データ送信処理部600は、画像撮影部63により所定の撮影周期で撮影された画像データ111を作業管理装置5に通信部61及びネットワーク7を介して随時送信する。
【0036】
作業情報処理部601は、作業管理装置5に送信した画像データ111に対する応答として、作業管理装置5から作業情報112を受信し、その作業情報112を、例えば、出力部65による音声や表示画面を介して作業者Uに通知する。
【0037】
オブジェクト情報処理部602は、作業管理装置5に送信した画像データ111に対する応答として、作業管理装置5からオブジェクト情報113を受信し、そのオブジェクト情報113に基づいて、作業者Uの前方に存在する作業対象物2としての減速機2aに作業情報112を出力部65により重畳表示させることにより、作業情報112を作業者Uに通知する。なお、作業管理装置5の記憶部52に予め記憶した規定情報522を作業者Uにあわせて通知してもよい。
【0038】
(各装置のハードウエア構成)
図8は、コンピュータ900の一例を示すハードウエア構成図である。作業管理装置5の制御部50、及び、ユーザ端末装置6等は、汎用又は専用のコンピュータ900により構成される。
【0039】
コンピュータ900は、図8に示すように、その主要な構成要素として、バス910、プロセッサ912、メモリ914、入力デバイス916、出力デバイス917、表示デバイス918、ストレージ装置920、通信I/F(インターフェース)部922、外部機器I/F部924、I/O(入出力)デバイスI/F部926、及び、メディア入出力部928を備える。なお、上記の構成要素は、コンピュータ900が使用される用途に応じて適宜省略されてもよい。
【0040】
プロセッサ912は、1つ又は複数の演算処理装置(CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro-Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、GPU(Graphics Processing Unit)、NPU(Neural Processing Unit)等)で構成され、コンピュータ900全体を統括する制御部として動作する。メモリ914は、各種のデータ及びプログラム930を記憶し、例えば、メインメモリとして機能する揮発性メモリ(DRAM、SRAM等)と、不揮発性メモリ(ROM)、フラッシュメモリ等とで構成される。
【0041】
入力デバイス916は、例えば、キーボード、マウス、テンキー、電子ペン等で構成され、入力部として機能する。出力デバイス917は、例えば、音(音声)出力装置、バイブレーション装置等で構成され、出力部として機能する。表示デバイス918は、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、電子ペーパー、プロジェクタ等で構成され、出力部として機能する。入力デバイス916及び表示デバイス918は、タッチパネルディスプレイのように、一体的に構成されていてもよい。ストレージ装置920は、例えば、HDD、SSD等で構成され、記憶部として機能する。ストレージ装置920は、オペレーティングシステムやプログラム930の実行に必要な各種のデータを記憶する。
【0042】
通信I/F部922は、インターネットやイントラネット等のネットワーク940(図1のネットワーク7と同じであってもよい)に有線又は無線により接続され、所定の通信規格に従って他のコンピュータとの間でデータの送受信を行う通信部として機能する。外部機器I/F部924は、カメラ、プリンタ、スキャナ、リーダライタ等の外部機器950に有線又は無線により接続され、所定の通信規格に従って外部機器950との間でデータの送受信を行う通信部として機能する。I/OデバイスI/F部926は、各種のセンサ、アクチュエータ等のI/Oデバイス960に接続され、I/Oデバイス960との間で、例えば、センサによる検出信号やアクチュエータへの制御信号等の各種の信号やデータの送受信を行う通信部として機能する。メディア入出力部928は、例えば、DVDドライブ、CDドライブ等のドライブ装置、メモリカードスロット、USBコネクタで構成され、DVD、CD、メモリカード、USBメモリ等のメディア(非一時的な記憶媒体)970に対してデータの読み書きを行う。
【0043】
上記構成を有するコンピュータ900において、プロセッサ912は、ストレージ装置920に記憶されたプログラム930をメモリ914に呼び出して実行し、バス910を介してコンピュータ900の各部を制御する。なお、プログラム930は、ストレージ装置920に代えて、メモリ914に記憶されていてもよい。プログラム930は、インストール可能なファイル形式又は実行可能なファイル形式でメディア970に記録され、メディア入出力部928を介してコンピュータ900に提供されてもよい。プログラム930は、通信I/F部922を介してネットワーク940経由でダウンロードすることによりコンピュータ900に提供されてもよい。また、コンピュータ900は、プロセッサ912がプログラム930を実行することで実現する各種の機能を、例えば、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のハードウエアで実現するものでもよい。
【0044】
コンピュータ900は、例えば、据置型コンピュータや携帯型コンピュータで構成され、任意の形態の電子機器である。コンピュータ900は、クライアント型コンピュータでもよいし、サーバ型コンピュータやクラウド型コンピュータでもよいし、例えば、制御盤、コントローラ(マイコン、プログラマブルロジックコントローラ、シーケンサを含む)等と呼ばれる組込型コンピュータでもよい。コンピュータ900は、作業管理装置5の制御部50、及び、ユーザ端末装置6以外の装置にも適用されてもよい。
【0045】
(作業管理方法)
図9は、作業管理装置5及びユーザ端末装置6による作業管理方法の一例を示すフローチャートである。以下では、ユーザ端末装置6を装着した作業者Uが、作業対象物2の作業対象部21に対して、道具22を使用して作業する例として説明する。なお、図9に示すフローチャートは、ユーザ端末装置6が、例えば、作業者Uから調整作業の開始を指示する入力操作を受け付けることで画像撮影部63による撮影を開始し、画像撮影部63による撮影周期が経過する度に繰り返し実行される。
【0046】
まず、ステップS110において、ユーザ端末装置6の画像撮影部63は、調整作業を行う作業者Uの前方の現実空間を撮影し、画像データ111を生成する。そして、画像データ送信処理部600は、画像撮影部63により撮影された画像データ111を作業管理装置5に送信する。
【0047】
次に、ステップS120において、作業管理装置5の画像データ取得部501は、ステップS110で送信された画像データ111を受信する。
【0048】
次に、ステップS130において、作業情報生成部502は、ステップS120で取得
された画像データ111と、データベース装置3又は記憶部52に記憶された設計情報521及び規定情報522に基づいて、当該画像データ111に対する作業情報112を生成する。
【0049】
なお、ステップS130において、出力処理部504は、作業情報112をユーザ端末装置6にも送信してもよく、その場合には、ユーザ端末装置6の作業情報処理部601は、その作業情報112を音声や表示画面を介して作業者Uに通知するようにしてもよい。
【0050】
次に、ステップS140において、データベース装置3又は記憶部52は、作業情報112を記憶する。作業情報112を記憶することによって、適切に作業が完了したことを記録として残しておくことができる。
【0051】
次に、ステップS150において、オブジェクト情報生成部503は、ステップS130で生成された作業情報112、設計情報521及び規定情報522に基づいて、作業者Uの周囲に存在する作業対象物2に作業情報112を重畳表示させるためのオブジェクト情報113を生成する。そして、ステップS160において、出力処理部504は、ステップS150で生成されたオブジェクト情報113を出力するための出力処理として、そのオブジェクト情報113をユーザ端末装置6に送信する。
【0052】
次に、ステップS170において、ユーザ端末装置6のオブジェクト情報処理部602は、ステップS160で送信されたオブジェクト情報113を受信すると、そのオブジェクト情報113に基づいて、現実空間の作業対象物2に対して作業情報112を示す仮想オブジェクトをユーザ端末装置6の出力部65に表示する。
【0053】
図10は、現実空間の作業対象物2に作業情報112を重畳表示した第1の例を示す図である。図11は、現実空間の作業対象物2に作業情報502Bを重畳表示した第2の例を示す図である。以下では、説明の簡略化のため、画像データ111の画角と、作業者Uの視野とが一致するものとして説明するが、画像データ111の画角と、作業者Uの視野とは一致しなくてもよく、いずれか一方が広くてもよい。
【0054】
図10では、作業者Uが、作業対象物2の手前に立って、作業対象部21まで手が届くような状態であるときに、画像撮影部63により撮影された画像データ111に基づいて生成された作業情報112の一部が、仮想オブジェクト120A~120Bとして表示された場合を図示している。
【0055】
仮想オブジェクト120Aは、画像データ111に撮影されたボルト21aを締結するトルクドライバ22aに対する作業情報112として、トルクドライバ22aの作業値情報を示している。また、記憶部52に予め記憶されたボルト21a1のトルクの規定値情報を規定情報522として示している。具体的には、ボルト21a1の締結トルクの規定値は15Ncmで、現在のトルクの作業値は、15Ncmであることを示している。このように、作業者Uに対して規定値を示すことによって、複数の作業者Uの間で統一した作業を行うことができる。また、この映像を記憶しておけば、作業者Uがボルト21a1を規定値と同じ作業値のトルクで締結したことを確認することができる。
【0056】
また、仮想オブジェクト120Bは、画像データ111に撮影されたボルト21a1を締結した後、次に締結するボルト21a2を示している。次に締結するボルト21a2の位置は、規定情報522として記憶部52に予め記憶された規定順情報から示される。このように、作業者Uが次に作業する規定の順序を示すことによって、複数の作業者Uの間で統一した作業を行うことができる。また、この映像を記憶しておけば、作業者Uが締結したボルトの作業順情報を確認することができる。
【0057】
図11では、仮想オブジェクト120Cは、画像データ111に撮影された作業対象部21としてのグリス塗布部の作業有無情報を示している。具体的には、グリス塗布部にグリス21bが適切に塗布されているか否かを示す。仮想オブジェクト120Cは、少なくとも一部にグリス21bが塗布されていない場合を示している。このように、作業者Uに対して少なくとも一部にグリス21bが塗布されていないことを示すことができ、適切に作業を行うことができる。また、この映像を記憶しておけば、作業者Uがグリス21bを適切に塗布したことを確認することができる。
【0058】
以上のように、本実施形態に係る作業管理システム1、作業管理装置5及び作業管理方法によれば、作業者Uがユーザ端末装置6を装着したときに作業者Uの前方に向けて配置される画像撮影部63により撮影された画像データ111から、作業情報112を求め、作業者の作業を高精度で自動的に記憶し、作業状況を適切に確認することができる。また、作業情報112及び予め定めた規定情報522の少なくとも1つをオブジェクト情報113として表示し、作業者Uの作業を補助することができる。したがって、標準化・マニュアル化できていない作業について、作業者の属人的な作業結果の質を、組織知化・形式知化することができる。さらに、質の高い作業を行う作業員の作業履歴を解析して、XRで作業情報を再現可能となるように指示することができる。
【0059】
図12は、第2実施形態の作業管理システム1の一例を示す全体構成図である。
第2実施形態の作業管理システム1は、機械学習装置4を備える。その他の構成は、第1実施形態と同様なので、説明は省略する。
【0060】
機械学習装置4は、機械学習の学習フェーズの主体として動作する装置である。機械学習装置4は、例えば、複数の学習用データ11に基づいて、作業管理装置5にて用いられる学習モデル10を機械学習により生成する。学習済みの学習モデル10は、ネットワーク7や記録媒体等を介して作業管理装置5に提供される。
【0061】
作業管理装置5は、作業対象物2に対して作業を行う作業者Uに装着されたユーザ端末装置6から画像データ111を随時受信し、その画像データ111を機械学習装置4から提供された学習モデル10に入力することにより、作業者Uが作業対象物2に対して作業を行うときの作業情報112を生成し、ユーザ端末装置6等に随時送信する。
【0062】
(機械学習装置4)
図13は、機械学習装置4の一例を示すブロック図である。機械学習装置4は、制御部40、通信部41、学習用データ記憶部42、学習済みモデル記憶部43、入力部44、及び、出力部45を備える。
【0063】
制御部40は、学習用データ取得部400及び機械学習部401として機能する。通信部41は、ネットワーク7を介して外部装置(例えば、データベース装置3、作業管理装置5、ユーザ端末装置6、三次元モデル装置(不図示)等)と接続され、各種のデータを送受信する通信インターフェースとして機能する。入力部44は、各種の入力操作を受け付けるとともに、出力部45は、表示画面や音声を介して各種の情報を出力することで、ユーザインターフェースとして機能する。
【0064】
学習用データ取得部400は、入力データしての画像データ111と、出力データとしての作業情報112で構成される学習用データ11を取得する。学習用データ取得部400は、例えば、通信部41及びネットワーク7を介して接続される外部装置と連携して学習用データ11を取得してもよいし、入力部44及び出力部45を介して入力操作を受け付けることにより学習用データ11を取得してもよい。学習用データ11は、教師あり学
習における教師データ(トレーニングデータ)、検証データ及びテストデータとして用いられるデータである。また、作業情報112は、教師あり学習における正解ラベルとして用いられるデータである。
【0065】
学習用データ記憶部42は、学習用データ取得部400で取得した学習用データ11を複数組記憶するデータベースである。なお、学習用データ記憶部42を構成するデータベースの具体的な構成は適宜設計すればよい。
【0066】
機械学習部401は、学習用データ記憶部42に記憶された複数組の学習用データ11を用いて機械学習を実施する。すなわち、機械学習部401は、学習モデル10に学習用データ11を複数組入力し、学習用データ11に含まれる画像データ111と作業情報112との相関関係を学習モデル10に学習させることで、学習済みの学習モデル10を生成する。
【0067】
学習済みモデル記憶部43は、機械学習部401により生成された学習済みの学習モデル10(具体的には、調整済みの重みパラメータ群)を記憶するデータベースである。学習済みモデル記憶部43に記憶された学習済みの学習モデル10は、ネットワーク7や記録媒体等を介して実システム(例えば、作業管理装置5)に提供される。なお、図13では、学習用データ記憶部42と、学習済みモデル記憶部43とが別々の記憶部として示されているが、これらは単一の記憶部で構成されてもよい。
【0068】
図14は、学習モデル10及び学習用データ11の一例を示す図である。学習モデル10の機械学習に用いられる学習用データ11は、画像データ111と作業情報112とで構成される。
【0069】
学習用データ11を構成する画像データ111は、作業者Uがユーザ端末装置6を装着したときに作業者Uの前方に向けて配置される画像撮影部63により撮影されたものである。画像データ111には、例えば、作業者Uが、作業対象物2に対して作業を行うときに撮影されたものであり、作業対象物2の各部が、撮影位置、撮影角度、撮影範囲等が異なる様々な撮影条件で撮影されたものである。
【0070】
学習用データ11を構成する作業情報112は、少なくとも作業対象物譲歩、作業対象部情報、作業道具情報を含む。作業対象物情報は、作業対象物2を特定し、作業対象部情報は、作業対象物2の作業対象部21を特定し、作業道具情報は、作業対象部21に作業する道具を特定する。
【0071】
学習用データ取得部400は、例えば、作業対象物2を用いて、ユーザ端末装置6を装着した試験者が、実際の作業者Uが作業対象物2に対して作業を行うときと同じような位置や姿勢を取ることで、様々な撮影条件で画像撮影部63にて撮影した画像データ111を取得するとともに、その画像データ111を撮影したときの位置や姿勢に対して作業情報112の一部を取得する。作業情報112は、試験者が、ユーザ端末装置6を介して入力してもよいし、入力部44及び出力部45を介して入力してもよい。
【0072】
また、学習用データ取得部400は、例えば、三次元モデル装置により提供される三次元モデルを用いて、作業対象物2の各部の三次元形状が再現された仮想空間にて作業者Uが特定の位置に存在すると仮定したときに、画像撮影部63で撮影されると想定される仮想空間データを画像データ111として取得する。
【0073】
学習モデル10は、例えば、ニューラルネットワークの構造を採用したものであり、入力層100、中間層101、及び、出力層102を備える。各層の間には、各ニューロン
をそれぞれ接続するシナプス(不図示)が張られており、各シナプスには、重みがそれぞれ対応付けられている。各シナプスの重みからなる重みパラメータ群が、機械学習により調整される。
【0074】
入力層100は、入力データとしての画像データ111の各画素に対応する数のニューロンを有し、各画素の画素値が各ニューロンにそれぞれ入力される。出力層102は、出力データとしての作業情報112に対応する数のニューロンを有し、画像データ111に対する作業情報112の予測結果(推論結果)が、出力データとして出力される。
【0075】
なお、学習済みモデル記憶部43に記憶される学習モデル10の数は1つに限定されず、例えば、機械学習の手法、作業対象物2の機構の違い、画像撮影部63の仕様(解像度やイメージセンサの種類)の違い、作業情報112に含まれるデータの種類等のように、条件が異なる複数の学習モデルが記憶されてもよい。その場合には、学習用データ記憶部42には、条件が異なる複数の学習モデルにそれぞれ対応するデータ構成を有する複数種類の学習用データが記憶されるようにすればよい。
【0076】
(機械学習方法)
図15は、機械学習装置4による機械学習方法の一例を示すフローチャートである。
【0077】
まず、ステップS210において、学習用データ取得部400は、機械学習を開始するための事前準備として、所望の数の学習用データ11を取得し、その取得した学習用データ11を学習用データ記憶部42に記憶する。ここで準備する学習用データ11の数については、最終的に得られる学習モデル10に求められる推論精度を考慮して設定すればよい。
【0078】
次に、ステップS220において、機械学習部401は、機械学習を開始すべく、学習前の学習モデル10を準備する。ここで準備する学習前の学習モデル10は、ニューラルネットワークモデルで構成されており、各シナプスの重みが初期値に設定されている。
【0079】
次に、ステップS230において、機械学習部401は、学習用データ記憶部53に記憶された複数組の学習用データ11から、例えば、ランダムに1組の学習用データ11を取得する。
【0080】
次に、ステップS240において、機械学習部401は、1組の学習用データ11に含まれる入力データ(画像データ111)を、準備された学習前(又は学習中)の学習モデル10の入力層100に入力する。その結果、学習モデル10の出力層102から推論結果として出力データ(作業情報112)が出力されるが、当該出力データは、学習前(又は学習中)の学習モデル10によって生成されたものである。そのため、学習前(又は学習中)の状態では、推論結果として出力された出力データは、学習用データ11に含まれる正解ラベル(作業情報112)とは異なる情報を示す。
【0081】
次に、ステップS250において、機械学習部401は、ステップS230において取得された1組の学習用データ11に含まれる正解ラベルと、ステップS240において出力層102から推論結果として出力された出力データとを比較し、各シナプスの重みを調整する処理(バックプロパゲーション)を実施することで、機械学習を実施する。これにより、機械学習部401は、入力データと出力データとの相関関係を学習モデル10に学習させる。
【0082】
次に、ステップS260において、機械学習部401は、所定の学習終了条件が満たされたか否かを、例えば、学習用データ11に含まれる正解ラベルと、推論結果として出力
された出力データとに基づく誤差関数の評価値や、学習用データ記憶部42内に記憶された未学習の学習用データ11の残数に基づいて判定する。
【0083】
ステップS260において、機械学習部401が、学習終了条件が満たされておらず、機械学習を継続すると判定した場合(ステップS260でNo)、ステップS230に戻り、学習中の学習モデル10に対してステップS230~S250の工程を未学習の学習用データ11を用いて複数回実施する。一方、ステップS260において、機械学習部401が、学習終了条件が満たされて、機械学習を終了すると判定した場合(ステップS260でYes)、ステップS270に進む。
【0084】
そして、ステップS270において、機械学習部401は、各シナプスに対応付けられた重みを調整することで生成された学習済みの学習モデル10(調整済みの重みパラメータ群)を学習済みモデル記憶部43に記憶し、図15に示す一連の機械学習方法を終了する。機械学習方法において、ステップS210が学習用データ記憶工程、ステップS220~S260が機械学習工程、ステップS270が学習済みモデル記憶工程に相当する。
【0085】
以上のように、本実施形態に係る機械学習装置4及び機械学習方法によれば、作業者Uがユーザ端末装置6を装着したときに作業者Uの前方に向けて配置される画像撮影部63により撮影された画像データ111から、作業情報112を予測(推論)することが可能な学習モデル10を提供することができる。
【0086】
(作業管理装置5)
図16は、第2実施形態の作業管理装置5の一例を示すブロック図である。図17は、第2実施形態の作業管理装置5の一例を示す機能説明図である。作業管理装置5は、制御部50、通信部51、及び、記憶部52を備える。
【0087】
制御部50は、画像データ取得部501、作業情報生成部502、オブジェクト情報生成部503及び出力処理部504として機能する。通信部51は、ネットワーク7を介して外部装置(例えば、データベース装置3、機械学習装置4、及び、ユーザ端末装置6等)と接続され、各種のデータを送受信する通信インターフェースとして機能する。記憶部52は、作業管理装置5の動作で使用される各種のプログラム(オペレーティングシステムやユーザ端末プログラム等)やデータ(学習モデル10)等を記憶する。
【0088】
画像データ取得部501は、作業者Uがユーザ端末装置6を装着したときに作業者Uの前方に向けて配置される画像撮影部63により撮影された画像データ111を取得する。本実施形態では、画像データ取得部501は、ユーザ端末装置6から通信部51及びネットワーク7を介して画像データ111を取得(受信)する。
【0089】
作業情報生成部502は、画像データ取得部501により取得された画像データ111に基づいて、作業情報112を生成する。本実施形態では、作業情報生成部502は、画像データ111と作業情報112との相関関係を機械学習させた学習モデル10に、画像データ取得部501により取得された画像データ111を入力することにより、当該画像データ111に対する作業情報112を生成する。
【0090】
記憶部52には、作業情報生成部502にて用いられる学習済みの学習モデル10が記憶されている。なお、記憶部52に記憶される学習モデル10の数は1つに限定されず、例えば、機械学習の手法、作業対象物2の機構の違い、画像撮影部63の仕様(解像度やイメージセンサの種類)の違い、作業情報112に含まれるデータの種類等のように、条件が異なる複数の学習済みモデルが記憶され、選択的又は並列的に利用可能としてもよい。記憶部52は、外部コンピュータ(例えば、サーバ型コンピュータやクラウド型コンピ
ュータ)の記憶部で代用されてもよく、その場合には、作業情報生成部502は、当該外部コンピュータにアクセスすればよい。
【0091】
オブジェクト情報生成部503は、作業情報生成部502により生成された作業情報112に基づいて、ユーザ端末装置6が作業者Uに装着されたときに作業者Uの周囲に存在する作業対象物2に作業情報112を重畳表示させるためのオブジェクト情報113を生成する。
【0092】
出力処理部504は、作業情報生成部502により生成された作業情報112やオブジェクト情報生成部503により生成されたオブジェクト情報113を出力するための出力処理を行う。例えば、出力処理部504は、作業情報112をユーザ端末装置6に送信することで、ユーザ端末装置6では、その作業情報112に基づく表示画面や音声が出力される。また、出力処理部504は、オブジェクト情報113をユーザ端末装置6に送信することで、ユーザ端末装置6では、そのオブジェクト情報113に基づく表示画面が出力される。
【0093】
(ユーザ端末装置6)
図18は、ユーザ端末装置6の一例を示すブロック図である。ユーザ端末装置6は、制御部60、通信部61、記憶部62、画像撮影部63、入力部64、出力部65、及び、センサ群66を備える。
【0094】
制御部60は、画像データ送信処理部600、作業情報処理部601及びオブジェクト情報処理部602として機能する。通信部61は、ネットワーク7を介して外部装置(例えば、データベース装置3、機械学習装置4、及び、作業管理装置5等)と接続され、各種のデータを送受信する通信インターフェースとして機能する。記憶部62は、ユーザ端末装置6の動作で使用される各種のプログラム(オペレーティングシステムやユーザ端末プログラム等)やデータ等を記憶する。画像撮影部63は、現実空間を撮影し、画像データ111を生成する。入力部64は、各種の入力操作を受け付けるとともに、出力部65は、表示画面や音声を介して各種の情報を出力することで、ユーザインターフェースとして機能する。センサ群66は、自装置の加速度、角速度、姿勢等を検出する。
【0095】
画像データ送信処理部600は、画像撮影部63により所定の撮影周期で撮影された画像データ111を作業管理装置5に通信部61及びネットワーク7を介して随時送信する。
【0096】
作業情報処理部601は、作業管理装置5に送信した画像データ111に対する応答として、作業管理装置5から作業情報112を受信し、その作業情報112を、例えば、出力部65による音声や表示画面を介して作業者Uに通知する。
【0097】
オブジェクト情報処理部602は、作業管理装置5に送信した画像データ111に対する応答として、作業管理装置5からオブジェクト情報113を受信し、そのオブジェクト情報113に基づいて、作業者Uの周囲に存在する作業対象物2に作業情報112を出力部65により重畳表示させることにより、作業情報112を作業者Uに通知する。
【0098】
(作業管理方法)
図19は、作業管理システム1による作業管理方法の一例を示すフローチャートである。以下では、ユーザ端末装置6を装着した作業者Uが、作業対象物2の作業対象部21に対して、道具22を使用して作業する例として説明する。なお、図19に示すフローチャートは、ユーザ端末装置6が、例えば、作業者Uから調整作業の開始を指示する入力操作を受け付けることで画像撮影部63による撮影を開始し、画像撮影部63による撮影周期
が経過する度に繰り返し実行される。
【0099】
まず、ステップS310において、ユーザ端末装置6の画像撮影部63は、調整作業を行う作業者Uの前方の現実空間を撮影し、画像データ111を生成する。そして、画像データ送信処理部600は、画像撮影部63により撮影された画像データ111を作業管理装置5に送信する。
【0100】
次に、ステップS320において、作業管理装置5の画像データ取得部501は、ステップS310で送信された画像データ111を受信する。
【0101】
次に、ステップS330において、作業情報生成部502は、ステップS320で取得された画像データ111と、記憶部52に記憶された学習モデル10に基づいて、当該画像データ111に対する作業情報112を生成する。
【0102】
なお、ステップS330において、出力処理部504は、作業情報112や規定情報522をユーザ端末装置6にも送信してもよく、その場合には、ユーザ端末装置6の作業情報処理部601は、その作業情報112や規定情報522を音声や表示画面を介して作業者Uに通知するようにしてもよい。
【0103】
次に、ステップS340において、記憶部52は、作業情報112を記憶する。作業情報112を記憶することによって、適切に作業が完了したことを記録として残しておくことができる。なお、作業情報112は、データベース装置3に記憶してもよい。
【0104】
次に、ステップS350において、オブジェクト情報生成部503は、ステップS330で生成された作業情報112に基づいて、作業者Uの周囲に存在する作業対象物2に作業情報112を重畳表示させるためのオブジェクト情報113を生成する。そして、ステップS360において、出力処理部504は、ステップS350で生成されたオブジェクト情報113を出力するための出力処理として、そのオブジェクト情報113をユーザ端末装置6に送信する。
【0105】
次に、ステップS370において、ユーザ端末装置6のオブジェクト情報処理部602は、ステップS360で送信されたオブジェクト情報113を受信すると、そのオブジェクト情報113に基づいて、現実空間の作業対象物2に対して作業情報112を示す仮想オブジェクトをユーザ端末装置6の出力部65に表示する。出力部65には、図11又は図12に示したような画像が表示される。
【0106】
以上のように、本実施形態に係る作業管理システム1、作業管理装置5及び作業管理方法によれば、作業者Uがユーザ端末装置6を装着したときに作業者Uの前方に向けて配置される画像撮影部63により撮影された画像データ111から、作業情報112を求め、作業者の作業を高精度で自動的に記憶し、作業状況を適切に確認することができる。また、作業情報112及び予め定めた規定情報522の少なくとも1つをオブジェクト情報113として表示し、作業者Uの作業を補助することができる。したがって、標準化・マニュアル化できていない作業について、作業者の属人的な作業結果の質を、組織知化・形式知化することができる。さらに、質の高い作業を行う作業員の作業履歴を解析して、XRで作業情報を再現可能となるように指示することができる。
【0107】
(作業対象物2(第2例))
図20は、作業対象物2の第2例としての駆動装置2bを示す。本実施形態で用いられる作業情報112における作業対象物2の一例は、ACサーボモータ2b1と減速機2b2を締結した駆動装置2bである。また、作業対象部21の一例は、ボルト、軸、ゴムキ
ャップ等である。作業ナンバー1-1において、作業対象物2が減速機2b2であり、作業対象部21が図示しない入力軸継手ボルトとなる。しかしながら、ボルトを孔にあわせるだけの作業なので、道具22に関する作業情報112が無しとなり、作業情報112としての作業値情報は無く、作業順情報は1となる。図20に示すような作業情報112は、記憶部52又はデータベース装置3に記憶される。
【0108】
(作業対象物2(第3例))
図21は、作業対象物2の第3例としてのロールクリーナ2cのストッパを示す。本実施形態で用いられる作業情報112における作業対象物2の一例は、CMP装置においてウェハWを洗浄するロールクリーナ2cである。また、作業対象部21は高さ調節ストッパのストッパボルト21c1であり、道具22はジグ22c1、スパナ22c2又はレンチ等である。作業ナンバー1-1では、ロールと同じ径を有するジグ22c1をウェハWと接触させる。次に、作業ナンバー1-2で、スパナ22c2によってストッパボルト21c1を回転させて、ストッパを高さaで仮位置決めする。次に、作業ナンバー1-3で、スパナ22c2によってストッパボルト21c1を回転させて、ストッパを仮決めした位置aから規定量移動させる。図21に示すような作業情報112は、記憶部52又はデータベース装置3に記憶される。
【0109】
(作業対象物2(第4例))
図22は、作業対象物2の第4例としてのフィルタファン2dを示す。本実施形態で用いられる作業対象物2の一例は、フィルタファン2d1及びコントローラ2d2である。また、作業対象部21の一例は、フィルタファン2d1から所定距離下方の測定点21d1~21d9及びダイヤル21d10である。道具22は、風速計22d1である。作業ナンバー1-1から1-9では、第1測定点21d1から第9測定点21d9まで風速計22d1により作業値情報としての風速を計測する。なお、計測時に、作業管理装置5は、測定点を規定情報522として予め記憶部52に記憶しておき、画面上に表示してもよい。続いて、第1測定点21d1から第9測定点21d9までの測定値の平均値を求める。この平均値が予め定めた規定範囲内の場合、作業情報112を記憶部52又はデータベース装置3に記憶する。平均値が予め定めた規定範囲外の場合、ダイヤル21d10を変更して、平均値が予め定めた規定範囲内になるまで作業を行い、作業情報112を記憶部52又はデータベース装置3に記憶する。
【0110】
このように、本実施形態に係る作業管理システム1、作業管理装置5及び作業管理方法によれば、どのような作業対象物2であっても、作業者Uがユーザ端末装置6を装着したときに作業者Uの前方に向けて配置される画像撮影部63により撮影された画像データ111から、作業情報112を求め、作業者の作業を高精度で自動的に記憶し、作業状況を適切に確認することができる。また、作業情報112及び予め定めた規定情報522の少なくとも1つをオブジェクト情報113として表示し、作業者Uの作業を補助することができる。したがって、標準化・マニュアル化できていない作業について、作業者の属人的な作業結果の質を、組織知化・形式知化することができる。さらに、質の高い作業を行う作業員の作業履歴を解析して、XRで作業情報を再現可能となるように指示することができる。
【0111】
すなわち、作業管理装置5により作業情報112の記憶が行われるとともに、作業者Uは、出力部65に表示された仮想オブジェクト120A~120Cを視認することにより作業状況を把握することができる。そして、作業者Uの身体の位置や向きが変更されて、画像データ111の撮影条件が変更されることに応じて、作業情報112及びオブジェクト情報113を生成する処理が繰り返し行われる。これにより、作業者Uは、適切に作業を実施することができる。
【0112】
なお、上記の作業管理方法において、ステップS120、S220が画像データ取得工程、ステップS130、S230が作業情報生成工程、ステップS140、S240が作業情報記憶工程、ステップS150、S250がオブジェクト情報生成工程に相当する。
【0113】
(他の実施形態)
本発明は上述した実施形態に制約されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することが可能である。そして、それらはすべて、本発明の技術思想に含まれるものである。
【0114】
上記実施形態では、データベース装置3、機械学習装置4、作業管理装置5及びユーザ端末装置6は、別々の装置で構成されたものとして説明したが、それら4つの装置が、単一の装置で構成されていてもよいし、それら4つの装置のうち任意の2つ又は3つの装置が、単一の装置で構成されていてもよい。また、機械学習装置4及び作業管理装置5の少なくとも一方は、ユーザ端末装置6に組み込まれていてもよい。例えば、ユーザ端末装置6の記憶部62に学習モデル10を記憶し、ユーザ端末装置6の制御部60が、画像データ取得部501、作業情報生成部502及びオブジェクト情報生成部503として機能するようにしてもよい。また、作業情報、設計情報、規定情報、及び、作業履歴情報等は、データベース装置3、作業管理装置5の記憶部52及びユーザ端末装置6の記憶部62等の少なくとも1つに記憶されればよい。
【0115】
上記実施形態では、機械学習部401による機械学習を実現する学習モデルとして、ニューラルネットワークを採用した場合について説明したが、他の機械学習のモデルを採用してもよい。他の機械学習のモデルとしては、例えば、決定木、回帰木等のツリー型、バギング、ブースティング等のアンサンブル学習、再帰型ニューラルネットワーク、畳み込みニューラルネットワーク、LSTM等のニューラルネット型(ディープラーニングを含
む)、階層型クラスタリング、非階層型クラスタリング、k近傍法、k平均法等のクラス
タリング型、主成分分析、因子分析、ロジスティク回帰等の多変量解析、サポートベクターマシン等が挙げられる。
【0116】
(機械学習プログラム及び作業管理プログラム)
本発明は、機械学習装置4が備える各部としてコンピュータ900を機能させるプログラム(機械学習プログラム)や、機械学習方法が備える各工程をコンピュータ900に実行させるためのプログラム(機械学習プログラム)の態様で提供することもできる。また、本発明は、作業管理装置5やユーザ端末装置6が備える各部としてコンピュータ900を機能させるためのプログラム(作業管理プログラム)や、上記実施形態に係る作業管理方法が備える各工程をコンピュータ900に実行させるためのプログラム(作業管理プログラム)の態様で提供することもできる。
【0117】
(推論装置、推論方法及び推論プログラム)
本発明は、上記実施形態に係る作業管理装置5(作業管理方法又は作業管理プログラム)の態様によるもののみならず、作業情報を推論するために用いられる推論装置(推論方法又は推論プログラム)の態様で提供することもできる。その場合、推論装置(推論方法又は推論プログラム)としては、メモリと、プロセッサとを含み、このうちのプロセッサが、一連の処理を実行するものである。当該一連の処理とは、画像データ111を取得する画像データ処理(画像データ取得工程)と、画像データ取得処理にて画像データを取得すると、当該画像データに基づいて、作業情報112を推論する推論処理(推論工程)とを含む。
【0118】
推論装置(推論方法又は推論プログラム)の態様で提供することで、作業管理装置を実装する場合に比して簡単に種々の装置への適用が可能となる。推論装置(推論方法又は推
論プログラム)が作業情報を推論する際、上記実施形態に係る機械学習装置及び機械学習方法により生成された学習済みの学習モデルを用いて、作業情報生成部が実施する推論手法を適用してもよいことは、当業者にとって当然に理解され得るものである。
【符号の説明】
【0119】
1…作業管理システム、3…データベース装置、
4…機械学習装置、5…作業管理装置、6…ユーザ端末装置(作業者装置)、
7…ネットワーク、10…学習モデル、11…学習用データ
40…制御部、41…通信部、42…学習用データ記憶部、
43…学習済みモデル記憶部、44…入力部、45…出力部、
50…制御部、51…通信部、52…記憶部、
60…制御部、61…通信部、62…記憶部、63…画像撮影部、64…入力部、
65…出力部、66…センサ群、
111…画像データ、112…作業情報、113…オブジェクト情報、
120A~123A…仮想オブジェクト、
400…学習用データ取得部、401…機械学習部、
501…画像データ取得部、502…作業情報生成部、
503…オブジェクト情報生成部、504…出力処理部、
600…画像データ送信処理部、601…作業情報処理部、
602…オブジェクト情報処理部、
900…コンピュータ、U…作業者、W…ウェハ
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