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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172425
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】表示パネルモジュールユニット
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/00 20060101AFI20241205BHJP
   G01D 11/24 20060101ALI20241205BHJP
   G02F 1/1333 20060101ALN20241205BHJP
【FI】
G09F9/00 350Z
G01D11/24 B
G02F1/1333
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023090134
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000137694
【氏名又は名称】株式会社ミツトヨ
(74)【代理人】
【識別番号】100143720
【弁理士】
【氏名又は名称】米田 耕一郎
(72)【発明者】
【氏名】嵐 悠也
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 修
【テーマコード(参考)】
2H189
5G435
【Fターム(参考)】
2H189AA53
2H189AA62
2H189AA65
2H189AA67
2H189AA68
2H189AA70
2H189AA79
2H189AA95
2H189HA08
5G435AA11
5G435BB12
5G435EE02
5G435EE06
5G435EE13
5G435KK02
(57)【要約】
【課題】異物の侵入を確実に防止し、かつ、表示品質の向上も図る表示パネルモジュールユニットを提供する。
【解決手段】表示パネルモジュールユニットは、正面パネルと、表示パネルと、回路基板と、を有する。弾性コネクタ部材によって表示パネルと回路基板とが導通するとともに、表示パネルが正面パネルに向けて付勢されている。さらに、表示パネルと回路基板との間に、表示パネル押さえ部が設けられている。表示パネル押さえ部は、裏押し方向と横押し方向との間の角度の方向に表示パネルを付勢している。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正面パネルと、表示パネルと、回路基板と、を正面側から背面側にこの順番で有する表示パネルモジュールユニットであって、
前記正面パネルは、前記表示パネルを正面側から視認可能とする窓部を有し、
前記正面パネルの背面側において前記窓部の周囲は、前記表示パネルの正面側の外縁が突き当てられる額縁になっており、
前記表示パネルと前記回路基板との間であって、かつ、前記表示パネルを挟んで前記額縁の一部と対向する位置に、弾性を有する弾性コネクタ部材が介装されていて、
前記弾性コネクタ部材によって前記表示パネルと前記回路基板とが導通するとともに、前記表示パネルが前記額縁の一部に向けて付勢されており、
さらに、
前記表示パネルと前記回路基板との間であって、かつ、前記表示パネルを挟んで前記額縁の他の一部に対向する位置に、表示パネル押さえ部が設けられ、
背面から正面に向かう方向を裏押し方向とし、
前記表示パネル押さえ部から前記弾性コネクタ部材に向かう方向を横押し方向とするとき、
前記表示パネル押さえ部は、前記裏押し方向と前記横押し方向との間の角度の方向に前記表示パネルを付勢している
ことを特徴とする表示パネルモジュールユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の表示パネルモジュールユニットにおいて、
前記表示パネル押さえ部は、前記裏押し方向と前記横押し方向との間で斜め45°の方向に向けて前記表示パネルを付勢している
ことを特徴とする表示パネルモジュールユニット。
【請求項3】
請求項1に記載の表示パネルモジュールユニットにおいて、
前記表示パネル押さえ部が前記表示パネルを付勢する方向を斜め押し方向とするとき、
前記表示パネル押さえ部は、前記表示パネルの背面と側面との間のコーナー部に当接することによって前記表示パネルを前記斜め押し方向に付勢している
ことを特徴とする表示パネルモジュールユニット。
【請求項4】
請求項1に記載の表示パネルモジュールユニットにおいて、
前記表示パネル押さえ部が前記表示パネルを付勢する方向を斜め押し方向とするとき、
前記表示パネル押さえ部は、前記斜め押し方向に垂直な平面である斜め押し面を有する弾性体であって、
前記表示パネル押さえ部は、前記表示パネルの背面と側面との間のコーナー部に前記斜め押し面を押し当てることによって前記表示パネルを前記斜め押し方向に付勢している
ことを特徴とする表示パネルモジュールユニット。
【請求項5】
請求項1に記載の表示パネルモジュールユニットにおいて、
前記表示パネル押さえ部が前記表示パネルを付勢する付勢力のうちの前記裏押し方向の成分は、前記弾性コネクタ部材が前記表示パネルを付勢する付勢力とほぼ等しい
ことを特徴とする表示パネルモジュールユニット。
【請求項6】
請求項1に記載の表示パネルモジュールユニットにおいて、
前記正面パネルの背面には、前記弾性コネクタ部材を間にして前記表示パネル押さえ部とは反対の位置に、前記横押し方向に対して直交する平面である位置決め台座部が設けられ、
前記表示パネル押さえ部が前記表示パネルを付勢する付勢力のうちの前記横押し方向の成分によって、前記表示パネルが前記位置決め台座部に突き当てられている
ことを特徴とする表示パネルモジュールユニット。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれかに記載の表示パネルモジュールユニットを表示部として備えた測定器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示パネルモジュールユニットに関する。例えば、測定器の表示部として好適な表示パネルモジュールユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
デジタル化された小型測定器が多く開発されている。デジタル式の小型測定器は、測定値等の情報をデジタル表示する液晶表示パネル等を有する(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-230026
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
小型の可搬式の測定器は、工場のような水、油、塵埃などがある苛酷な環境で使用されることが多い。このような環境下での使用に耐えるように、測定器本体部には防水や防塵が施されるが、表示器の内部に異物が混入してしまう故障を解消することがこれまで難しかった。
一般的には、液晶表示パネルはインターコネクタによる弾性力を利用して正面パネルの額縁に押し付けられているが、このような一箇所(あるいは一列)だけの付勢だけでは表示パネルが正面パネルから浮いてしまい、隙間から異物が侵入することがあった。追加の付勢手段によって液晶表示パネルを付勢して正面パネルに押し付けようとしても、液晶表示パネルを裏から強く押すと、押圧力が表示素子に影響し、表示のにじみが出たり、裏の押しピン(あるいは押しゴム柱)の形状が表示エリアにうっすら見えてしまったりといった表示品質の劣化とトレードオフの関係にあった。
【0005】
液晶表示パネルというのはガラス基板であるから、局所的に強く押しすぎると割れやすくなるので、表示パネルの裏を十分な力で押すことは難しいという問題もあった。
【0006】
また、液晶表示パネルというのは製品ごとの外形形状のバラツキが大きく、表示パネルモジュールユニットのなかで位置がばらつきやすく、このことからも押す位置が安定しにくいという問題があった。液晶表示パネルの位置が安定しないことは、表示エリアの位置が製品ごとにバラツキやすいという問題ともなっていた。
【0007】
本発明は、異物の侵入を確実に防止し、かつ、表示品質の向上も図る表示パネルモジュールユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の表示パネルモジュールユニットは、
正面パネルと、表示パネルと、回路基板と、を正面側から背面側にこの順番で有する表示パネルモジュールユニットであって、
前記正面パネルは、前記表示パネルを正面側から視認可能とする窓部を有し、
前記正面パネルの背面側において前記窓部の周囲は、前記表示パネルの正面側の外縁が突き当てられる額縁になっており、
前記表示パネルと前記回路基板との間であって、かつ、前記表示パネルを挟んで前記額縁の一部と対向する位置に、弾性を有する弾性コネクタ部材が介装されていて、
前記弾性コネクタ部材によって前記表示パネルと前記回路基板とが導通するとともに、前記表示パネルが前記額縁の一部に向けて付勢されており、
さらに、
前記表示パネルと前記回路基板との間であって、かつ、前記表示パネルを挟んで前記額縁の他の一部に対向する位置に、表示パネル押さえ部が設けられ、
背面から正面に向かう方向を裏押し方向とし、
前記表示パネル押さえ部から前記弾性コネクタ部材に向かう方向を横押し方向とするとき、
前記表示パネル押さえ部は、前記裏押し方向と前記横押し方向との間の角度の方向に前記表示パネルを付勢している
ことを特徴とする。
【0009】
本発明の一実施形態では、
前記表示パネル押さえ部は、前記裏押し方向と前記横押し方向との間で斜め45°の方向に向けて前記表示パネルを付勢している
ことが好ましい。
【0010】
本発明の一実施形態では、
前記表示パネル押さえ部が前記表示パネルを付勢する方向を斜め押し方向とするとき、
前記表示パネル押さえ部は、前記表示パネルの背面と側面との間のコーナー部に当接することによって前記表示パネルを前記斜め押し方向に付勢している
ことが好ましい。
【0011】
本発明の一実施形態では、
前記表示パネル押さえ部が前記表示パネルを付勢する方向を斜め押し方向とするとき、
前記表示パネル押さえ部は、前記斜め押し方向に垂直な平面である斜め押し面を有する弾性体であって、
前記表示パネル押さえ部は、前記表示パネルの背面と側面との間のコーナー部に前記斜め押し面を押し当てることによって前記表示パネルを前記斜め押し方向に付勢している
ことが好ましい。
【0012】
本発明の一実施形態では、
前記表示パネル押さえ部が前記表示パネルを付勢する付勢力のうちの前記裏押し方向の成分は、前記弾性コネクタ部材が前記表示パネルを付勢する付勢力とほぼ等しい
ことが好ましい。
【0013】
本発明の一実施形態では、
前記正面パネルの背面には、前記弾性コネクタ部材を間にして前記表示パネル押さえ部とは反対の位置に、前記横押し方向に対して直交する平面である位置決め台座部が設けられ、
前記表示パネル押さえ部が前記表示パネルを付勢する付勢力のうちの前記横押し方向の成分によって、前記表示パネルが前記位置決め台座部に突き当てられている
ことが好ましい。
【0014】
本発明の測定器は、前記表示パネルモジュールユニットを表示部として備えた測定器である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】デジタル表示式のマイクロメータの外観図である。
図2】表示パネルモジュールユニットの分解斜視図である。
図3】表示パネルモジュールユニットの分解斜視図を背面側から見た図である。
図4】表示パネルモジュールユニットの分解斜視図を斜め下から仰ぎ見た図である。
図5】表示パネルモジュールユニットの分解斜視図を斜め下から仰ぎ見た図であって、背面側から見た図である。
図6】表示パネルモジュールユニットの断面図である。
図7】表示パネルモジュールユニットの断面図の部分拡大図である。
図8】中間シートの拡大図である。
図9】中間シートの拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態を図示するとともに図中の各要素に付した符号を参照して説明する。
(第1実施形態)
本発明の表示パネルモジュールユニットに係る第1実施形態について説明する。
図1は、デジタル表示式のマイクロメータ10の外観図である。
本発明の表示パネルモジュールユニット100は、小型の可搬式の測定器であるマイクロメータ10やノギス、ダイヤルゲージ(インジケータ)などのデジタル表示部20として好適である。本発明の表示パネルモジュールユニット100を組み込む製品は上記に限らない。
【0017】
図2は、表示パネルモジュールユニット100の分解斜視図である。
図3は、表示パネルモジュールユニット100の分解斜視図を背面側から見た図である。
図4は、表示パネルモジュールユニット100の分解斜視図を斜め下から仰ぎ見た図である。
図5は、表示パネルモジュールユニット100の分解斜視図を斜め下から仰ぎ見た図であって、背面側から見た図である。
図6は、表示パネルモジュールユニット100の断面図である。
図7は、表示パネルモジュールユニット100の断面図の部分拡大図である。
【0018】
表示パネルモジュールユニット100は、図2図3に表れるように、ハウジング部200と、表示パネル300と、中間シート400と、回路基板500と、を備える。
【0019】
ハウジング部200は、正面パネル210と、正面パネル210の外縁部を取り囲んで背面側に立設するように形成された側壁部280と、を有する。
ハウジング部200の背面側から、表示パネル300、中間シート400および回路基板500が側壁部280の内側に入るように収容される。ハウジング部200は、例えば、合成樹脂で形成されている。ここでは、ハウジング部200を正面から見たときの輪郭は略平行四辺形であるが、外形のデザインは円形や長方形などでもよく任意である。
【0020】
正面パネル210は、略中央部分に、表示パネル300を視認可能とする窓部220を有する。
図2図4に表れるように、正面パネル210を正面から見たとき、窓部220を囲んでその周囲は、額縁となっている。正面からみた額縁を表額縁230とする。
また、図3図5に表れるように、正面パネル210を背面から見たとき、窓部220を囲んでその周囲は額縁となっている。背面からみた額縁を裏額縁240とする。裏額縁240は、窓部220を一周取り囲む平坦な面となっている。
表示パネル300の正面側の外縁が裏額縁240に密接するように突き当たることで窓部220に対して表示パネル300が密着でき、正面パネル210に対して表示パネル300が浮き上がったりすることなくしっかり取り付けられる。
【0021】
正面パネル210のなかで窓部220をできる限り大きくとり、また、表示パネル300の表示可能エリア(視認可能エリア)をできる限り大きくとりたいため、裏額縁240の幅は狭くなっていて、いわゆる狭額縁である。特に、図5に表れるように、窓部220の上辺側の裏額縁240は極めて狭い。
【0022】
図3図6に表れるように、正面パネル210の背面において、窓部220の下辺側で裏額縁240の直下には、裏額縁240の平坦面に直交するように背辺側に向けて突き出た位置決め台座部270が設けられている。位置決め台座部270の上面は、表示パネル300の上下方向の位置を決める基準面となっており、表示パネル300の下端面が位置決め台座部270の上面に突き当てられることによって、表示パネル300の上下方向の位置が位置決めされるようになっている。
【0023】
表示パネル300としては、例えば液晶表示パネルを採用できる。液晶表示パネルに代えて、有機ELパネルでもよい。この場合、必須ではないが、可撓性のフィルム等よりは、ガラスやプラスチック等の基板の上に表示素子を形成しておくことが好ましい。
表示パネル300の大きさや形状は窓部220の形状に適合したものである。ここでは、窓部220が横長の矩形(横長の長方形)であることに合わせて、表示パネル300も横長の矩形(横長の長方形)である。
【0024】
表示パネル300の正面において、外縁に沿って一周するように設けられた縁取り部310が設けられている。縁取り部310は、裏額縁240の平坦面に密接するように平坦面に仕上げられている。
【0025】
図5に表れるように、表示パネル300の背面において、下辺のラインに沿って、表示素子と導通をとるためのパネル端子列320が設けられている。
【0026】
次に、中間シート400を説明する。
中間シート400は、弾性を有する合成樹脂(ゴム)によって一体成形されている。中間シート400は、ハウジング部200の正面パネル210にほぼ相似し、側壁部280の内側に入るようにぴったり適合した形状である。中間シート400の正面側には、表示パネル300を受け入れる凹部が形成されている。この凹部を表示パネル受容凹部410とする。ここで、図4図6図7に表れるように、表示パネル受容凹部410の上辺側のコーナーには斜め押し面部440が設けられていて、斜め押し面部440の傾斜面の傾斜角度は斜め45°である。斜め押し面部440については後述する。
【0027】
表示パネル受容凹部410のすぐ下に直線状のスリットが設けられている。この直線状のスリットの位置は、表示パネル300のパネル端子列320の位置に対応している。この直線状のスリットを、コネクタ用スリット420と称することにする。
【0028】
また、図3図5図6に表れるように、中間シート400の背面には、回路基板500に実装されたICを受け容れる(逃げる)ように、凹部が形成されている。
【0029】
回路基板500は、電子プリント基板であり、表示制御回路(不図示)、ボタン接点(不図示)等が搭載されている。回路基板500には、ライン状の基板端子列530が設けられている。
【0030】
表示パネル300の背面のパネル端子列320と回路基板500の正面の基板端子列530との間に弾性コネクタ部材540が挟まれる。この弾性コネクタ部材540により回路基板500と表示パネル300とが電気的に接続される。弾性コネクタ部材540は、いわゆるゼブラタイプのインターコネクタである。弾性コネクタ部材540は、弾性を有する導電性合成樹脂と弾性を有する非導電性の合成樹脂とを交互に並べて積層されたものである。中間シート400のコネクタ用スリット420を通って弾性コネクタ部材540が表示パネル300のパネル端子列320と回路基板500の基板端子列530とに挟まれる。すると、弾性コネクタ部材540によって表示パネル300と回路基板500とが導通するとともに、表示パネル300の下辺が裏額縁240に押し付けられるように付勢される。
【0031】
表示パネルモジュールユニット100の組み立てにあたっては、表示パネル300、中間シート400、弾性コネクタ部材540、回路基板500を、この順にハウジング部200に収めていく。このとき、中間シート400のコネクタ用スリット420に弾性コネクタ部材540を差し込み、表示パネル300のパネル端子列320と回路基板500の基板端子列530とを接続するようにする。そして、回路基板500の背面から4つの貫通孔に止めねじ550を差し込んで、止めねじ550を正面パネル210の背面にあるネジボス291に螺入する。これによって、ハウジング部200内に、正面パネル210、表示パネル300、中間シート400、および、回路基板500が積層された状態で固定される。
【0032】
表示パネル300と中間シート400とについて説明を補足する。
図6は、ハウジング部200内に正面パネル210、表示パネル300、中間シート400、および、回路基板500が積層された状態の断面図である。図6に表れるように、中間シート400の背面が回路基板500の正面に当接していて、中間シート400は回路基板500から正面側に向けて押されている。次に、表示パネル300の背面側で上端面と背面とが交差するコーナー部330に注目する。このコーナー部330は、中間シート400に当接して、中間シート400からの付勢力を受けて押される箇所となるので、被押しコーナー部330と称することにする。パネル端子列320は表示パネル300の背面において下辺のラインにあるから、パネル端子列320と被押しコーナー部330とは、互いに反対側にある。
【0033】
前述した通り、中間シート400の正面側には、表示パネル300を受け入れる表示パネル受容凹部410があり、表示パネル受容凹部410の上辺側のコーナーは、斜め45°に形成された斜め押し面部440となっている(図4図6図7)。ここで、図8図9は、中間シート400の拡大図である。
斜め押し面部440は、詳細にいうと、傾斜面部450と、補強凸部460と、を有する。傾斜面部450は、断面形状が略直角三角形で、表示パネル受容凹部410の上辺に沿って線状に設けられている。
断面で見たとき、傾斜面部450の三角形の一辺は表示パネル受容凹部410の底面に連続して結合し、傾斜面部450の三角形の他の一辺は表示パネル受容凹部410の上辺側の内壁に連続して結合している。そして、傾斜面部450の三角形の斜辺は45°の傾斜面である。補強凸部460は、中間シート400の正面側の面において、表示パネル受容凹部410の上辺の直上に形成されている。断面でみたとき、補強凸部460の一部は中間シート400の正面側の面に連続して結合し、補強凸部460の他の一部は傾斜面部450に連続して結合している。ここでは、補強凸部460は、表示パネル受容凹部410の上辺において、左端と、中間領域と、右端と、の三箇所に形成されている。
このように、斜め押し面部440は、表示パネル受容凹部410の上辺の内壁が単に斜めになっているだけではなくて、表示パネル受容凹部410の上辺の内壁に傾斜面部450が付設され、さらに、補強凸部460によって堅固に中間シート400の表面側にも連続して結合しているものである。これにより、斜め押し面部440は、傾斜面の法線方向(すなわち、斜め45°の方向)にしっかりとした弾性力(付勢力)を発揮できるようになっている。
【0034】
この斜め押し面部440が表示パネル300の被押しコーナー部330に当接して、被押しコーナー部330を付勢している。すなわち、中間シート400は回路基板500によって正面側に向けて押され、さらに、中間シート400の斜め押し面部440が表示パネル300の被押しコーナー部330を付勢している。中間シート400の斜め押し面部440が表示パネル300の被押しコーナー部330を付勢する方向と強さについては後述する。
なお、中間シート400と表示パネル300との接触は、斜め押し面部440と被押しコーナー部330とが線状(図6の紙面垂直方向)に接触するのみで、表示パネル300の背面の全体が中間シート400に接するわけではない。言い換えると、表示パネル受容凹部410の底面が表示パネル300の背面に接しているわけではない。
【0035】
ここに、中間シート400の斜め押し面部440が表示パネル押さえ部として機能する。本実施形態では、中間シート400は、中間ボタン接点を有していたり、側壁部280の内側にぴったり入ることで表示パネルモジュールユニット100と測定器本体との間の防水機能も果たしていたりするなど、表示パネル押さえ部以外の機能も合わせて一体的に形成されているものである。もちろん、機能ごとに部材が分離していてもよい。表示パネル押さえ部を斜め押し面部440と称することにする。
【0036】
中間シート400の斜め押し面部440が表示パネル300の被押しコーナー部330を付勢する方向と強さについて補足する。
いま、中間シート400の斜め押し面部440が45°に傾斜した面であり、この傾斜した面が表示パネル300の被押しコーナー部330を押しているから、中間シート400は、表示パネル300を真っ直ぐに正面側に押しているのではなくて、斜め45°に押している。
図6図7中において、背面から正面に向かう方向を裏押し方向とする。
図6図7中において、中間シート400の斜め押し面部440から弾性コネクタ部材540に向かう方向を横押し方向とする。別の言葉で言い換えると、表示パネル300の背面において、被押しコーナー部330からパネル端子列320に向かう方向を横押し方向といってもよい。
裏押し方向と横押し方向とは直交する関係にある。
図6図7中において、裏押し方向と横押し方向との中間の角度を斜め押し方向とする。すなわち、裏押し方向と斜め押し方向とは45°の角度をなし、横押し方向と斜め押し方向とは45°の角度をなす。
中間シート400の斜め押し面部440の傾斜面は、斜め押し方向に対して垂直な面である。
【0037】
ここで、中間シート400の斜め押し面部440が表示パネル300の被押しコーナー部330を付勢する付勢力のうちで裏押し方向の成分は、弾性コネクタ部材540が表示パネル300の下辺を裏額縁240に押す付勢力とほぼ同じになるようにする。
表示パネル300は上辺と下辺とがほぼ同じ力で押されるから、どちらかが浮き上がったりすることなく、表示パネル300の上辺も下辺もバランスよく裏額縁240に密着し、したがって、表示パネル300の縁取り部310の全体が裏額縁240に密着するようになる。したがって、異物が窓部220から表示パネルモジュールユニット100のなかに侵入することがなくなる。
このことは、小型測定器のような可搬性のスモールツール(小型測定器)の表示器としてこの表示パネルモジュールユニット100を採用する場合には大きな利点である。
【0038】
また、表示パネル300は、被押しコーナー部330を押されている。
この被押しコーナー部330は額縁によって隠れる位置にあるから、被押しコーナー部330は、窓部220から表示パネル300の表示エリアを見る視線の延長線からは確実に外れている。したがって、表示パネル300の被押しコーナー部330をやや強めにしっかり押したとしても、その押圧力が表示パネル300の表示素子(例えば液晶)に影響するような心配はない。
【0039】
また、表示パネル300の裏の角(被押しコーナー部330)を中間シート400の斜めの面(斜め押し面部440)で押すようにするので、表示パネル300に外形公差が多少あったとしても、斜め押し面部440は表示パネル300の被押しコーナー部330に必ず当たるし、その付勢方向も付勢力も一定となる。また、表示パネル300の被押しコーナー部330のように角を押すので、表示パネル300の真裏のような平面を強く局所的に押すことに比べて、力を掛けても基板のガラスが割れやすくなるようなことはない。
【0040】
次に、中間シート400の斜め押し面部440が表示パネル300の被押しコーナー部330を付勢する付勢力のうちで横押し方向の成分は、表示パネル300を正面パネル210の位置決め台座部270に向けて押し付けている。したがって、表示パネル300は、弾性コネクタ部材540の側にある位置決め台座部270によって常に一定の位置に固定的に設置されることとなる。
これにより、製品ごとに表示パネル300の位置、すなわち、表示パネル300の表示エリアの位置が製品ごとにバラつかずに安定する。
このことは、人が表示を目視する場合に見やすくなるのはもちろん、機械(カメラなど)で自動読み取りする場合にも利点が大きい。
【0041】
上記説明のように、本実施形態によれば、異物の侵入を確実に防止し、かつ、表示品質の向上も図る表示パネルモジュールユニットを提供することができる。
【0042】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
斜め押し面部の傾斜面の角度は45°に限定されない。
斜め押し面部から表示パネルに掛ける力の裏押し方向の成分と横押し方向の成分とのバランスをみて、角度を適切に調整することとしてもよい。
また、表示パネルの外形形状のバラツキが上下方向で大きいなら、斜め押し面部の傾斜面の角度を浅くする(斜め押し面部の傾斜面と横押し方向とのなす角を45°より小さくする)としてもよい。
表示パネルの上下方向の形状のバラツキが大きくても、斜め押し面部は表示パネルの被押しコーナー部に確実にあたる。
逆に、表示パネルの外形形状のバラツキが厚み方向で大きいなら、斜め押し面部の傾斜面の角度を深くする(斜め押し面部の傾斜面と横押し方向とのなす角を45°より大きくする)としてもよい。
【0043】
本発明の表示パネルモジュールユニット100を組み込む製品は特段限定されない。小型可搬式で測定子をワークに接触させて測定する測定器は、固定要素と、固定要素に対して変位可能に設けられていてワークに接離するように進退する可動要素と、可動要素の変位または位置を検出する位置検出部と、を有し、検出した変位または位置を測定値として表示部に表示するものである。
また、接触式測定に限らず、光、レーザー等の光学式や静電容量式など、測定子が非接触でワークの表面を検知し、ワーク表面位置を測定値として表示部に表示するものでもよい。
【符号の説明】
【0044】
10 マイクロメータ
20 デジタル表示部
100 表示パネルモジュールユニット
200 ハウジング部
210 正面パネル
220 窓部
230 表額縁
240 裏額縁

270 位置決め台座部
280 側壁部
291 ネジボス
300 表示パネル
310 縁取り部
320 パネル端子列
330 被押しコーナー部
400 中間シート
410 表示パネル受容凹部
420 コネクタ用スリット

440 斜め押し面部(表示パネル押さえ部)
450 傾斜面部
460 補強凸部
500 回路基板

530 基板端子列
540 弾性コネクタ部材
550 止めねじ
図1
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図9