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特開2024-172480基板処理方法、半導体装置の製造方法、基板処理装置及びプログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172480
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】基板処理方法、半導体装置の製造方法、基板処理装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/316 20060101AFI20241205BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20241205BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20241205BHJP
   C23C 16/44 20060101ALI20241205BHJP
   C23C 16/40 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
H01L21/316 X
H01L21/31 C
H01L21/68 N
C23C16/44 B
C23C16/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023090226
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】318009126
【氏名又は名称】株式会社KOKUSAI ELECTRIC
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森谷 敦
(72)【発明者】
【氏名】菊池 俊之
(72)【発明者】
【氏名】大橋 直史
【テーマコード(参考)】
4K030
5F045
5F058
5F131
【Fターム(参考)】
4K030AA06
4K030AA14
4K030AA18
4K030BA29
4K030BA42
4K030BA44
4K030GA02
4K030KA05
5F045AA03
5F045AA08
5F045AB31
5F045AC00
5F045AC01
5F045AC07
5F045AC11
5F045AC15
5F045AF02
5F045AF03
5F045BB08
5F045BB15
5F045DP03
5F045DQ10
5F045EB03
5F045EB09
5F045EE04
5F045EE14
5F045EF05
5F045EG02
5F045EH18
5F045EJ03
5F045EK07
5F045EK30
5F045EM02
5F045EM09
5F045EM10
5F045EN04
5F058BA20
5F058BB01
5F058BC02
5F058BC04
5F058BF02
5F058BF07
5F058BF23
5F058BF25
5F058BF29
5F058BF36
5F058BG01
5F058BG02
5F058BG03
5F058BG04
5F131AA02
5F131BA04
5F131CA09
5F131CA53
5F131DA33
5F131DA42
5F131EA04
5F131EA23
5F131EB72
5F131EB81
5F131EC01
5F131EC08
5F131EC12
5F131EC17
5F131EC18
(57)【要約】
【課題】基板の搬送不良や基板の破損を抑制することが可能な技術を提供する。
【解決手段】表面の少なくとも一部が第一部材で構成される載置部に、基板を載置する工程と、第一ガスの供給により、前記基板の表面に第一膜を、前記第一部材の表面に前記第一膜と連続する箇所を有する第二膜を、それぞれ形成する工程と、前記第一部材と前記基板との熱変形量の差による応力を前記第二膜の内部に発生させて、前記第二膜の少なくとも一部を不連続にする工程と、を有する。
【選択図】図4C
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面の少なくとも一部が第一部材で構成される載置部に、基板を載置する工程と、
第一ガスの供給により、前記基板の表面に第一膜を、前記第一部材の表面に前記第一膜と連続する箇所を有する第二膜を、それぞれ形成する膜形成工程と、
前記第一部材と前記基板との熱変形量の差による応力を前記第二膜の内部に発生させて、前記第二膜の少なくとも一部を不連続にする工程と、
を有する基板処理方法。
【請求項2】
前記第一部材は前記基板に接触する、請求項1に記載の基板処理方法。
【請求項3】
前記第一部材は前記基板の縁部に接触する、請求項2に記載の基板処理方法。
【請求項4】
前記不連続にする工程において、第二ガスの供給により、前記基板及び前記第一部材の少なくとも一方の温度を、前記膜形成工程における温度よりも低くする、請求項1に記載の基板処理方法。
【請求項5】
前記第二ガスは不活性ガスである、請求項4に記載の基板処理方法。
【請求項6】
前記第二ガスは前記第一ガスよりも熱伝導率が高い、請求項4に記載の基板処理方法。
【請求項7】
前記載置部は冷媒が流通可能に構成される流路を更に有し、
前記不連続にする工程において、前記冷媒を供給して前記基板及び前記第一部材の少なくとも一方の温度を、前記膜形成工程における温度よりも低くする、請求項1に記載の基板処理方法。
【請求項8】
前記載置部は前記基板を加熱する加熱部を更に有し、
前記流路は前記加熱部の側方に設けられる、請求項7に記載の基板処理方法。
【請求項9】
前記第一部材は前記流路の上方に配される、請求項8に記載の基板処理方法。
【請求項10】
前記基板と前記第一部材とが接触する箇所において、前記第一部材の熱変形の方向が、前記基板の熱変形の方向に対して逆向きの成分を有するように前記第一部材が配される、請求項1に記載の基板処理方法。
【請求項11】
前記不連続にする工程において、前記基板は該基板の中心に向けて熱変形し、前記第一部材は前記基板の中心に向かう方向と逆向きに熱変形する、請求項10に記載の基板処理方法。
【請求項12】
前記不連続にする工程において、前記基板は該基板の中心に向かう方向と逆向きに熱変形し、前記第一部材は基板の中心に向けて熱変形する、請求項10に記載の基板処理方法。
【請求項13】
前記載置部の表面は、複数の前記第一部材によって構成される、請求項1に記載の基板処理方法。
【請求項14】
複数の前記第一部材は各々独立して熱変形する、請求項13に記載の基板処理方法。
【請求項15】
複数の前記第一部材は、ある前記第一部材に対して、前記基板を挟んで対向する位置に別の前記第一部材が位置するような前記第一部材の組を有する、請求項13に記載の基板処理方法。
【請求項16】
前記載置部は複数の前記基板を載置可能に構成される、請求項1に記載の基板処理方法。
【請求項17】
表面の少なくとも一部が第一部材で構成される載置部に、基板を載置する工程と、
第一ガスの供給により、前記基板の表面に第一膜を、前記第一部材の表面に前記第一膜と連続する箇所を有する第二膜を、それぞれ形成する膜形成工程と、
前記第一部材と前記基板との熱変形量の差による応力を前記第二膜の内部に発生させて、前記第二膜の少なくとも一部を不連続にする工程と、
を有する半導体装置の製造方法。
【請求項18】
表面の少なくとも一部が第一部材で構成される載置部と、
前記載置部に載置された基板の表面に第一膜を、前記第一部材の表面に前記第一膜と連続する箇所を有する第二膜を、それぞれ形成する膜形成機構と、
前記基板及び前記載置部の少なくとも一方の温度を変化させる温調機構と、
前記載置部に前記基板を載置する処理と、前記基板の表面に第一膜を、前記第一部材の表面に前記第一膜と連続する箇所を有する第二膜を、それぞれ形成する膜形成処理と、前記第一部材と前記基板との熱変形量の差による応力を前記第二膜の内部に発生させて、前記第二膜の少なくとも一部を不連続にする処理と、を含む処理が行われるように、前記膜形成機構と前記温調機構とを制御することが可能に構成される制御部と、
を有する基板処理装置。
【請求項19】
表面の少なくとも一部が第一部材で構成される載置部に、基板を載置する手順と、
第一ガスの供給により、前記基板の表面に第一膜を、前記第一部材の表面に前記第一膜と連続する箇所を有する第二膜を、それぞれ形成する膜形成手順と、
前記第一部材と前記基板との熱変形量の差による応力を前記第二膜の内部に発生させて、前記第二膜の少なくとも一部を不連続にする手順と、
をコンピュータによって基板処理装置に実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の技術は、基板処理方法、半導体装置の製造方法、基板処理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
基板処理工程の一工程として、載置部に載置される基板の表面に膜を形成する処理が行われることがある(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2023-32647号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような基板処理において、基板の表面と載置部の表面との間を連続するように膜が形成されることで、基板の搬送不良や基板の破損が生じる場合がある。
【0005】
本開示は、基板の搬送不良や基板の破損を抑制することが可能な技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様によれば、
表面の少なくとも一部が第一部材で構成される載置部に、基板を載置する工程と、
第一ガスの供給により、前記基板の表面に第一膜を、前記第一部材の表面に前記第一膜と連続する箇所を有する第二膜を、それぞれ形成する工程と、
前記第一部材と前記基板との熱変形量の差による応力を前記第二膜の内部に発生させて、前記第二膜の少なくとも一部を不連続にする工程と、
を有する技術が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、基板の搬送不良や基板の破損を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は本開示の実施形態で用いられる基板処理装置の縦断面図である。
図2A図2A図1に示す基板処理装置の載置部を拡大した拡大断面図である。
図2B図2B図2Aに示す載置部の平面図である。
図3図3は本開示の実施形態に係る基板載置台とリフトピンとの状態を説明する図である。
図4A図4Aは基板上に膜を形成した状態を示す載置部の断面図(図2Aに対応する断面図)である。
図4B図4B図4Aにおいて矢印4Bで指し示す部分の拡大図である。
図4C図4C図4Bにおいて矢印4Cで指し示す部分の拡大図である。
図4D図4Dは第二膜が不連続になった状態を示す断面図(図4Cに対応する断面図)である。
図5A図5Aは第一膜の熱変形量と第二膜の熱変形量を説明するための載置部の断面図(図4Bに対応する断面図)である。
図5B図5Bは第二膜に不連続な部分が形成された状態を説明するための載置部の断面図(図5Aに対応する断面図)である。
図6A図6Aは第一膜の熱変形量と第二膜の熱変形量を説明するための載置部の断面図(図4Bに対応する断面図)である。
図6B図6Bは第二膜に不連続な部分が形成された状態を説明するための載置部の断面図(図6Aに対応する断面図)である。
図7A図7Aは第一膜の熱変形量と第二膜の熱変形量を説明するための載置部の断面図(図4Bに対応する断面図)である。
図7B図7Bは第二膜に不連続な部分が形成された状態を説明するための載置部の断面図(図7Aに対応する断面図)である。
図8A図8Aは第一膜の熱変形量と第二膜の熱変形量を説明するための載置部の断面図(図4Bに対応する断面図)である。
図8B図8Bは第二膜に不連続な部分が形成された状態を説明するための載置部の断面図(図8Aに対応する断面図)である。
図9】変形例の載置部の断面図(図2Aに対応する断面図)である。
図10】変形例の載置部の断面図(図4Aに対応する断面図)である。
図11】変形例の載置部の平面図(図2Bに対応する平面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本開示の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
なお、以下の説明において用いられる図面は、いずれも模式的なものであり、図面上の各要素の寸法の関係、各要素の比率等は、現実のものとは必ずしも一致していない。また、複数の図面の相互間においても、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は必ずしも一致していない。
【0010】
(1)基板処理装置の概要
本実施形態で説明する基板処理装置は、半導体装置の製造工程で用いられるもので、処理対象となる基板を処理室に収容した状態で当該基板をヒータなどにより加熱して処理を施すものである。基板処理装置が処理対象とする基板としては、例えば、半導体装置(半導体デバイス)が作り込まれる半導体ウエハ基板が挙げられる。半導体ウエハ基板としては、例えば、シリコン(Si)基板、炭化ケイ素(SiC)基板等が挙げられる。また、基板処理装置が行う処理としては、例えば、熱CVD(Chemical Vapor Deposition)反応による膜形成処理等が挙げられる。
【0011】
(2)基板処理装置の概略構成
次に、本開示の実施形態で好適に用いられる基板処理装置の概略構成例について、図1を用いて説明する。図1は、本開示の実施形態で好適に用いられる基板処理装置の斜透視図である。
【0012】
(装置全体)
基板処理装置200はチャンバ202を有する。チャンバ202は、例えば横断面が円形であり扁平な密閉容器として構成されている。また、チャンバ202は、例えばアルミニウム(Al)やステンレス(SUS)などの金属材料により構成されている。
【0013】
チャンバ202は、処理室205と搬送室206とを備えている。なお、処理室205は、基板としてのシリコン基板等の基板Sを処理する部屋である。また、搬送室206は、基板Sを処理室205に搬送する際に基板Sが通過する部屋である。
【0014】
またチャンバ202は、上部容器202aと下部容器202bとで構成されている。上部容器202aと下部容器202bとの間には、仕切板204が設けられている。なお、処理室205は、チャンバ202の上部、例えば、仕切板204の下面204aよりも上側に形成される。この処理室205は、主に上部容器202aと、仕切板204と、処理位置に移動している基板載置台210(詳細は後述する)とで構成される。また搬送室206は、チャンバ202の下部、例えば、仕切板204の下面204aよりも下側に形成される。この搬送室206は、主に下部容器202bと、仕切板204と、搬送位置に移動している基板載置台210とで構成される。
【0015】
下部容器202bの側面には、ゲートバルブ209に隣接した基板搬入出口208が設けられている。この基板搬入出口208を介して、基板Sが下部容器202bと真空搬送室(図示省略)との間を移動する。
【0016】
下部容器202bの底壁には、リフトピン207が複数設けられている。また、下部容器202bは接地されている。
【0017】
基板載置台210は、基板Sが載置され、載置された基板Sを加熱する部品である。なお、基板載置台210は、本開示における載置部の一例である。この基板載置台210は、主に基板載置面211とヒータ213とを有する。
【0018】
基板載置面211は、基板載置台210の表面(図1では上面)に設けられ、基板Sが載置される部分である。なお、本実施形態では、基板載置台210の表面全体が基板載置面211とされているが、本開示はこれに限定さない。
【0019】
また基板載置面211は、少なくとも一部が第一部材212によって構成されている。なお、本実施形態では、図2A及び図2Bに示されるように、基板載置面211の一部が第一部材212によって構成されているが、本開示はこれに限定されない。例えば、基板載置面211の全部が第一部材212によって構成されてもよい。
【0020】
また本実施形態では、基板載置面211に基板Sを載置すると、第一部材212が基板Sに接触する。具体的には、基板Sの外周縁部Se(図4C参照)に第一部材212が接触する。なお、図4Cで示す外周縁部Seは、基板Sの外周縁部Seのうち基板載置面211側の縁部を指している。換言すると、本実施形態では、基板載置面211に基板Sを載置すると、第一部材212が基板Sの外周縁部Seに接触するように、基板載置面211に対する第一部材212の位置が設定されている。さらに、本実施形態では、基板Sと第一部材212とが接触する箇所において、第一部材212の熱変形の方向が、基板Sの熱変形の方向に対して逆向きの成分を有するように、基板載置面211に対する第一部材212の位置が設定されている。具体的には、基板Sは基板Sの中心に向けて熱変形し、第一部材212は基板Sの中心に向かう方向と逆向きに熱変形するように第一部材212の位置が設定されている。一例として、本実施形態では、図4Bに示されるように、第一部材212の断面において、載置された基板Sの外周縁部Seが第一部材212の幅方向中心よりも内周側に位置するように第一部材212の位置が決定されている。このため、第一部材212の断面において幅方向中心よりも内周側が基板Sの中心に向かう方向と逆向きに熱変形(熱収縮)する。具体的には、第一部材212の断面において内周側の部分と外周側の部分が幅方向中心に向けて熱収縮する。
【0021】
図2Aに示されるように、基板載置台210の上部には、環状の凹部が設けられており、この凹部に環状で板状の第一部材212がはめ込まれている。この第一部材212は、基板載置台210と異なる材料で形成されている。具体的には、基板載置台210と第一部材212は、熱変形量に差が生じる材料(熱膨張係数が異なる材料)によってそれぞれ形成されている。なお、ここでいう熱変形量とは、熱膨張による変形量と熱収縮による変形量を含む表現である。
【0022】
図2Bに示されるように、本実施形態の第一部材212は、一体成形された部品であるが本開示はこれに限定されない。例えば、第一部材212は、同じ材料で形成された複数の部品で構成されてもよい。また第一部材212は、異なる材料で形成された複数の部品で構成されてもよいし、異なる材料を一体成形した部品であってもよい。
【0023】
ヒータ213は、基板載置台210に内包されている。このヒータ213は基板載置台210を通して基板Sを加熱する機能を有する。このヒータ213は、本開示の加熱部の一例である。また、ヒータ213には、ヒータ213の温度を制御する温度制御部220が接続されている。ヒータ213からの熱によって基板Sが加熱される。主にヒータ213と温度制御部220によって温調機構225が構成される。この温調機構225によって基板S及び基板載置台210の少なくとも一方の温度を変化させることができる。なお、本実施形態では、ヒータ213からの熱で基板載置台210が加熱される。そして、加熱された基板載置台210の基板載置面211に載置された基板Sが加熱される。
【0024】
なお、基板載置台210には、リフトピン207が貫通する貫通孔214が、リフトピン207と対応する位置にそれぞれ設けられている。
【0025】
基板載置台210は、シャフト217によって支持されている。シャフト217の下端部は、下部容器202bの底壁に設けられた貫通孔215を貫通している。またシャフト217の下端部には、支持板216が設けられている。このシャフト217は、支持板216を介してチャンバ202の外側(図1で下側)で昇降機構218に接続されている。このため、昇降機構218を作動させてシャフト217及び基板載置台210を昇降させることによって、基板載置面211上に載置される基板Sが昇降される。なお、シャフト217の下端部の周囲はベローズ219により覆われている。これによりチャンバ202内が気密に保持されている。
【0026】
基板載置台210は、基板Sの処理時には、図1に示されるように、基板Sが処理室205内に配置される処理位置まで上昇する。なお、基板載置台210が処理位置にある状態では、基板Sは仕切板204の下面204aよりも上側に位置する。また、基板載置台210は、基板Sの搬送時には、基板Sが搬送室206内に配置される位置であって、基板載置面211が基板搬入出口208に対向する搬送位置まで下降する。
【0027】
リフトピン207は、支持板316を介してチャンバ202の外部で昇降機構318に接続されている。昇降機構318を作動させさせることにより、リフトピン207は昇降する。昇降機構318を作動させて、リフトピン207の先端部を基板載置面211の上面から突出させることで、リフトピン207の先端部で基板Sを下方から支持することが可能となる。また、昇降機構318を作動させて、リフトピン207の先端部を貫通孔214の内部に埋没させることで、リフトピン207の先端部で貫通孔214を塞ぐことが可能となる。
【0028】
上部容器202aは、天井部にシャワーヘッド222を備えている。このシャワーヘッド222には、後述するガス供給部が接続されている。具体的には、シャワーヘッド222には、共通ガス供給管242が接続されており、シャワーヘッド222内に供給された各ガスが処理室205に供給される。
【0029】
(ガス供給部)
続いてガス供給部を説明する。共通ガス供給管242には、第一ガス供給管243a、第二ガス供給管247a及び第三ガス供給管249aが接続されている。
【0030】
(第一ガス供給系)
第一ガス供給管243aを含む第一ガス供給系243からは主に第一処理ガスが供給される。第一ガス供給管243aの上流には、上流方向から順に、第一ガス供給源243b、流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ(MFC)243c、及び開閉弁であるバルブ243dが設けられている。第一処理ガスをプラズマ状態とするには、バルブ243dの下流にプラズマ生成部としてのリモートプラズマユニット(RPU)243eを設ける。
【0031】
そして、第一ガス供給管243aからは、第一ガスが、MFC243c、バルブ243d、共通ガス供給管242を介して、シャワーヘッド222内に供給される。第一処理ガスはRPU243eによりプラズマ状態とされる。
【0032】
第一処理ガスは処理ガスの一つであり、酸素含有ガスである。酸素含有ガスとしては、例えば酸素(O)ガスが用いられる。
【0033】
主に、第一ガス供給管243a、MFC243c、バルブ243d、RPU243eにより、第一ガス供給系243が構成される。なお、第一ガス供給系243には、第二ガス供給源247b、後述する水素含有ガス供給系を含めてもよい。
【0034】
第一ガス供給管243aのバルブ243dよりも下流側には、水素含有ガス供給管245aの下流端が接続されている。水素含有ガス供給管245aには、上流方向から順に、水素含有ガス供給源245b、流量制御器(流量制御部)であるMFC245c、及び開閉弁であるバルブ245dが設けられている。そして、水素含有ガス供給管245aからは、水素含有ガスが、MFC245c、バルブ245d、第一ガス供給管243a、RPU243eを介して、シャワーヘッド222内に供給される。
【0035】
水素含有ガスは、例えば、水素(H)ガスや水(HO)ガスを用いることができる。主に、水素含有ガス供給管245a、MFC245c、及びバルブ245dにより、水素含有ガス供給系が構成される。なお、水素含有ガス供給系は、水素含有ガス供給源245b、第一ガス供給管243a、RPU243eを含めて考えてもよい。また、水素含有ガス供給系は、第一ガス供給系243に含めてもよい。
【0036】
(第二ガス供給系)
第二ガス供給管247aを含む第二ガス供給系247からは主に第二処理ガスが供給される。第二ガス供給管247aには、上流方向から順に、第二ガス供給源247b、流量制御器(流量制御部)であるMFC247c、及び開閉弁であるバルブ247dが設けられている。
【0037】
第二ガス供給管247aから、第二元素を含有するガス(以下、「第二処理ガス」)が、MFC247c、バルブ247d、共通ガス供給管242を介してシャワーヘッド222に供給される。
【0038】
第二処理ガスは、例えばシリコン(Si)を含む処理ガスである。すなわち、第二処理ガスは、例えばシリコン含有ガスである。シリコン含有ガスとして、例えばモノシラン(SiH)ガス、ジシラン(Si)ガス、トリシラン(Si)ガス等のシラン系ガスが用いられる。また、炭素成分やボロン成分等の不純物を含むシリコン含有ガスとして、例えばオルトケイ酸テトラエチル(Si(OC。TEOSとも呼ぶ。)ガス等が用いられる。なお、前記した第一処理ガス及び第二処理ガスは、本開示の第一ガスの一例である。
【0039】
主に、第二ガス供給管247a、MFC247c、バルブ247dにより、第二ガス供給系247(シリコン含有ガス供給系ともいう)が構成される。
【0040】
(第三ガス供給系)
第三ガス供給管249aを含む第三ガス供給系249からは主に不活性ガスが供給される。第三ガス供給管249aには、上流方向から順に、第三ガス源249b、流量制御器(流量制御部)であるMFC249c、及び開閉弁であるバルブ249dが設けられている。第三ガス源249bは不活性ガス源である。不活性ガスは、例えば窒素(N)ガスである。なお、不活性ガスは、本開示の第二ガスの一例である。この不活性ガスは、第一処理ガス及び第二処理ガスよりも熱伝導率が高い。
【0041】
主に、第三ガス供給管249a、MFC249c、バルブ249dにより、第三ガス供給系249が構成される。
【0042】
第三ガス源249bから供給される不活性ガスは、基板処理工程では、チャンバ202やシャワーヘッド222内に留まったガスをパージするパージガスとして用いられる。
【0043】
(排気部)
チャンバ202の雰囲気を排気する排気部は、処理室205の雰囲気を排気する排気部261で主に構成される。
【0044】
排気部261は、処理室205に接続される排気管261aを有する。排気管261aは、処理室205に連通するよう設けられる。排気管261aには、処理室205内を所定の圧力に制御する圧力制御器であるAPC(Auto Pressure Controller)261c、処理室205の圧力を計測する圧力検出部261dが設けられる。APC261cは開度調整可能な弁体(図示省略)を有し、後述するコントローラ280からの指示に応じて排気管261aのコンダクタンスを調整する。また、排気管261aにおいてAPC261cの上流側にはバルブ261bが設けられる。排気管261aとバルブ261b、APC261c、圧力検出部261dをまとめて排気部261と呼ぶ。
【0045】
排気管261aの下流側には、ドライポンプ263が設けられる。ドライポンプ263は、排気管261aを介して、処理室205の雰囲気を排気する。
【0046】
主に、第一ガス供給系243、第二ガス供給系247および第三ガス供給系249により膜形成機構265が構成される。なお、膜形成機構265に排気部261を含めてもよい。
【0047】
(コントローラ)
次に、図3を用いて、基板処理装置200の各部の動作を制御するコントローラ280について説明する。なお、コントローラ280は、本開示の制御部の一例である。図3は、基板処理装置200のコントローラ280を説明する図である。
【0048】
基板処理装置200は、基板処理装置200の各部の動作を制御するコントローラ280を有している。コントローラ280は、図3に示されるように、演算部(CPU)280a、一時記憶部280b、記憶部280c、送受信部280dを少なくとも有する。コントローラ280は、送受信部280dを介して基板処理装置200の各部に接続され、上位コントローラや使用者の指示に応じて記憶部280cからプログラムやレシピを呼び出し、その内容に応じて各部の動作を制御する。基板処理装置200の各部には、昇降機構218及び昇降機構318が含まれる。コントローラ280は、基板処理工程における各工程を実施するための手順が記載されたプログラムを実施することで、昇降機構218及び昇降機構318の動作を制御することが可能なように構成されている。
【0049】
なお、コントローラ280は、専用のコンピュータとして構成してもよいし、汎用のコンピュータとして構成してもよい。例えば、上述のプログラムを格納した外部記憶装置(例えば、磁気テープ、フレキシブルディスクやハードディスク等の磁気ディスク、CDやDVD等の光ディスク、MO等の光磁気ディスク、USBメモリ(USB Flash Drive)やメモリカード等の半導体メモリ)282を用意し、外部記憶装置282を用いて汎用のコンピュータにプログラムをインストールすることにより、本実施形態に係るコントローラ280を構成することができる。また、コンピュータにプログラムを供給するための手段は、外部記憶装置282を介して供給する場合に限らない。例えば、インターネットや専用回線等の通信手段を用いてもよいし、上位装置270から送受信部283を介して情報を受信し、外部記憶装置282を介さずにプログラムを供給するようにしてもよい。また、キーボードやタッチパネル等の入出力装置281を用いて、コントローラ280に指示をしてもよい。
【0050】
なお、記憶部280cや外部記憶装置282は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体として構成される。以下、これらを総称して、単に記録媒体ともいう。なお、本明細書において記録媒体という言葉を用いた場合は、記憶部280c単体のみを含む場合、外部記憶装置282単体のみを含む場合、または、その両方を含む場合がある。
【0051】
(基板処理工程)
次に、半導体製造工程の一工程を説明する。ここでは、Si基板S上に炭素含有SiO膜を形成する膜形成工程を説明する。
【0052】
(基板搬入工程)
図1の基板処理装置200において、ゲートバルブ209を開いて、基板搬入出口208からチャンバ202の下部容器202b内、すなわち、搬送室206内に基板Sを搬入する。基板Sは、基板載置面211から突き出した複数のリフトピン207の先端部上に載置される。ゲートバルブ209が閉じられる。その後、基板載置台210が上昇し、基板Sが基板載置面211上に載置される。そして、基板載置台210が処理位置で停止する。次に、複数のリフトピン207が貫通孔214内で基板Sに触れない位置に移動する。なお、基板載置面211に基板Sを載置すると、第一部材212が基板Sに接触する。具体的には、基板Sの外周縁部Se(図4C参照)に第一部材212が接触する。
【0053】
(膜形成工程)
基板Sが処理室205にある状態で基板Sを所定温度に加熱した後、処理室にシリコン含有ガスと酸素含有ガスを供給する。シリコン含有ガスは、炭素成分やボロン成分等の不純物を含む。シリコン含有ガスとして、例えばTEOSガスが用いられる。酸素含有ガスとして、例えば酸素(O)ガスが用いられる。
【0054】
処理室に供給されたTEOSガスとOガスは互いに反応し、基板Sの上に、膜Fが形成される。具体的には、膜Fは、図4Aに示されるように、基板Sの表面Sa及び表面Sa周りの基板載置面211に形成される。なお、膜Fのうち、基板Sの表面Saに形成される膜を第一膜F1と呼ぶ。また、膜Fのうち、基板Sの表面Sa周りの基板載置面211に形成される膜を第二膜F2と呼ぶ。なお、本実施形態では、基板載置面211の一部が第一部材212で形成されている。そのため、第一部材212の表面212aに第二膜F2が形成される。また、第二膜F2は、第一膜F1と連続する箇所を有している。この第二膜F2における第一膜F1と連続する箇所は、図4Bに示す例では、基板Sの外周面に沿って形成される部位である。
【0055】
基板Sの上に形成される膜Fは、炭素含有SiO膜、TEOSガスに含まれるシリコンおよび炭素成分と、Oガスの酸素成分とを含む、炭素含有SiO膜である。なお、シリコン含有ガスとして、シリコン成分およびボロン成分を含むガスを用いてもよい。この場合、炭素成分の替わりにボロン成分を含むボロン含有SiO膜が形成される。所定時間経過し、所望膜厚の炭素含有SiO膜が基板Sの上に形成されたら、各処理ガスの供給を停止する。
【0056】
(冷却工程)
各処理ガスの供給を停止した後、基板S及び/又は第一部材212の温度(処理室205内の温度)を、膜形成工程における温度よりも低くする。例えば、ヒータ213の出力を膜形成工程における出力よりも小さくする、もしくは出力を0にすることで処理室205内の温度を低下させる。また、第三ガス供給系249から処理室205へ不活性ガスを供給して、処理室205内の温度を下げるようにしてもよい。すなわち、不活性ガスの供給により、処理室205内の温度を下げて、基板S及び第一部材212の温度を低下させるようにしてもよい。
【0057】
基板S及び第一部材212の各々の温度が低下すると、図4Cに示されるように、第一部材212と基板Sとの熱変形量の差による応力(Stress)が第二膜F2の内部に発生する。例えば、第一部材212と基板Sとの熱変形量の差による応力は、主に第二膜F2の屈曲した部分に集中して生じる。なお、第二膜F2の屈曲した部分とは、図4Cにおいては、第一部材212の表面212aに沿って形成される部分と、基板Sの外周面に沿って形成される部分との境界部分である。図4Cでは、境界部分を点線で示している。
【0058】
第二膜F2の内部に発生した応力が所定値以上になると、第二膜F2の基板S周りの部分において、少なくとも一部が不連続になる。具体的には、図4Dに示すように、第二膜F2の応力が集中した部分が破れる。この破れた部分は、第二膜F2の基板S周りの部分に一箇所または複数個所形成される。すなわち、本実施形態の冷却工程は、第一部材212と基板Sとの熱変形量の差による応力を第二膜F2の内部に発生させて、第二膜F2の基板S周りの部分において少なくとも一部を不連続にする工程の一例である。
【0059】
ここで第二膜F2に不連続な部分が形成されるときのパターンを、図5A図5B図6A図6B図7A図7B図8A図8Bを用いて説明する。ここで、これらの図で示す矢印は、基板S又は第一部材212のそれぞれの熱変形量の向きと大きさを模式的に示している。また、これらの図で示す矢印では、基板Sの片側のみを示しているため、基板Sの熱変形量を示す矢印は片側のみ図示されている。
【0060】
図5Aに示す例は、第一部材212の熱膨張係数が基板Sの熱膨張係数よりも小さいパターンを示している。図5Aのパターンでは、第一部材212の熱変形量が基板Sの熱変形量よりも小さいため、第一部材212の熱変形量を示す矢印が基板Sの熱変形量を示す矢印よりも短くなっている第一部材212の熱変形量が基板Sの熱変形量よりも小さい図5Aのパターンの場合、図5Bに示されるように、第二膜F2の上記境界部分に引張応力が集中し、第二膜F2が破れて不連続となる。
【0061】
図6Aに示す例は、第一部材212の熱膨張係数が基板Sの熱膨張係数よりも大きいパターンを示している。図6Aのパターンでは、第一部材212の熱変形量が基板Sの熱変形量よりも大きいため、第一部材212の熱変形量を示す矢印が基板Sの熱変形量を示す矢印よりも長くなっている。第一部材212の熱変形量が基板Sの熱変形量よりも大きい図6Aのパターンの場合、図6Bに示されるように、第二膜F2の上記境界部分に引張応力が集中し、第二膜F2が破れて不連続となる。また第二膜F2の基板載置面211の外周縁部近傍においても、引張応力が集中し、第二膜F2が破れ不連続となる。
【0062】
図7Aに示す例は、基板載置面211の全体を第一部材212が形成している例であり、第一部材212の熱膨張係数が基板Sの熱膨張係数よりも小さいパターンを示している。図7Aのパターンでは、第一部材212の熱変形量が基板Sの熱変形量よりも小さいため、第一部材212の熱変形量を示す矢印が基板Sの熱変形量を示す矢印よりも短くなっている。第一部材212の熱変形量が基板Sの熱変形量よりも小さい図7Aのパターンの場合、図7Bに示されるように、第二膜F2の上記境界部分に引張応力が集中し、第二膜F2が破れて不連続となる。すなわち、図7Aの例では、図5Aの例と同じ部位が破れる。
【0063】
図8Aに示す例は、基板載置面211の全体を第一部材212が形成している例であり、第一部材212の熱膨張係数が基板Sの熱膨張係数よりも大きいパターンを示している。図8Aのパターンでは、第一部材212の熱変形量が基板Sの熱変形量よりも大きいため、第一部材212の熱変形量を示す矢印が基板Sの熱変形量を示す矢印よりも長くなっている。第一部材212の熱変形量が基板Sの熱変形量よりも大きい図8Aのパターンの場合、図8Bに示されるように、第二膜F2の上記境界部分で第二膜F2が破れて不連続となる。図5Aの例、図6Aの例、図7Aの例の場合は、第二膜F2の境界部分に生じる引張応力によって第二膜F2が破れるが、図8Aの例の場合、第二膜F2の境界部分に生じるせん断応力によって第二膜F2が破れる。
【0064】
第一部材212の熱膨張係数を基板Sの熱膨張係数よりも小さくする場合、第一部材212の材料として、例えば、共有結合を有する材料を用いることができる。共有結合を有する材料としては、例えば、酸化ケイ素、炭化ケイ素、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化イットリウム、窒化ケイ素等のセラミックス材料を用いることができる。
【0065】
第一部材212の熱膨張係数を基板Sの熱膨張係数よりも大きくする場合、第一部材212の材料として、例えば、金属材料や高分子材料を用いることができる。金属材料としては、例えば、アルミニウム、鉄、チタン、ニオブ、モリブデン、タンタル、タングステン、レニウム、及びこれらに他の元素が添加された合金等を用いることができる。また、高分子材料としては、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリイミドなどを用いることができる。
【0066】
上述の材料のうち、基板Sの熱膨張係数との差が大きくなるものを、第一部材212の材料として用いることが好ましい。また、上述の材料のうち、基板処理工程中において、熱的・化学的に安定なものを、第一部材212の材料として用いることが好ましい。
【0067】
(基板搬出工程)
基板Sの冷却が終了すると、基板載置台210は搬送位置まで下降する。このとき、基板Sは基板載置台210の表面から突き出した複数のリフトピン207の先端部上に載置される。次に、基板処理装置200のゲートバルブ209が開き、チャンバ202内の基板Sが基板搬入出口208を通してチャンバ202の外部へ搬出される。その後、ゲートバルブ209が閉じて、基板処理工程が終了する。搬出された基板Sは、次の処理工程へ搬送される。
【0068】
次に本実施形態の作用について説明する。
本実施形態では、冷却工程において、図4Cに示されるように、第一部材212と基板Sとの熱変形量の差による応力を第二膜F2の内部に発生させて、第二膜F2の基板S周りの部分において少なくとも一部を不連続にしている。すなわち、図4Dに示されるように、第二膜F2において応力が集中する部分が破れることで、第二膜F2に不連続な部分が形成される。これにより、第一膜F1と第二膜F2とが連続することによって発生する、基板Sを基板載置台210から搬送する際の位置ずれに伴なう搬送不良や、基板載置面211から基板Sを持ち上げる際の基板Sの破損を抑制することが可能となる。
【0069】
また本実施形態では基板Sを基板載置面211に載置した状態で、第一部材212が基板Sに接触する。これにより、第一部材212を基板Sに接触させない場合と比べて、第二膜F2が基板Sの外周縁部Seから離れた位置で不連続になることを抑制できる。従って、基板Sの外周縁部Seに付着した第二膜F2の一部が基板Sの搬送時などに剥がれ落ち、パーティクルとなることを抑制することができる。
【0070】
また本実施形態では基板Sを基板載置面211に載置した状態で、第一部材212が基板Sの外周縁部Seに接触する。これにより、図4Dに示されるような、第二膜F2において応力が集中する部分を形成しやすくなるため、基板Sの表面Saと第一部材212の表面212aとの間で連続している箇所を不連続な部分にしやすくなる。
【0071】
また本実施形態では冷却工程における処理室205内への第二ガスの供給により、基板S及び第一部材212の少なくとも一方の温度をより短時間で低下させて、第二膜F2に不連続な部分を形成している。これにより、第二ガスを供給して第一部材212と基板Sとの熱変形が促進されるため、第二膜F2に不連続な部分を形成する時間を短縮することができる。
【0072】
また本実施形態では、冷却工程において、第二ガスとして不活性ガスを用いている。このように第二膜F2に対して不活性ガスを供給することで、膜を変質させずに基板Sや第一部材212の温度を低下させることができる。
【0073】
また本実施形態では、冷却工程において、第二ガスとして第一ガスよりも熱伝導率が高いガスを用いている。このため、基板S及び第一部材212の少なくとも一方の温度をより短時間で低下させ、第二膜F2に不連続な部分を形成する時間を更に短縮することができる。ここで、第一ガスよりも熱伝導率が高いガスとしては、例えば、単位体積当たりにおけるガス分子の分子量が第一ガスよりも小さいガスを用いることができる。
【0074】
また本実施形態では、冷却工程において、基板Sと第一部材212とが接触する箇所において、第一部材212の熱変形の方向が、基板Sの熱変形の方向に対して逆向きの成分を有するように基板載置面211に対して第一部材212が配置されている。このように第一部材212を配置することで、第二膜F2の内部に発生する、第一部材212と基板Sとの熱変形量の差による応力を大きくすることができる。これにより、第二膜F2に不連続な部分を形成する時間を更に短縮することができる。
【0075】
前述の実施形態では、冷却工程において、不活性ガスで処理室205内の温度を下げて、第二膜F2に不連続な部分を形成しているが、本開示はこれに限定されない。例えば、図9に示される例のように、基板載置台410が、冷媒が流通可能に構成される流路412を有していてもよい。冷却工程において、これらの流路412に冷媒を供給することで、基板S及び第一部材212の少なくとも一方の温度を、膜形成工程における温度よりも低くすることができる。このように基板載置台410が流路412を有することにより、第一部材212と基板Sとの熱変形を促進することができる。これにより、第二膜F2に不連続な部分を形成する時間を更に短縮することができる。また基板載置台410では、ヒータ213の側方(すなわち外周)に流路412が設けられている。このようにヒータ213の側方に流路412を設けることで、流路412によって基板Sの加熱が妨げられないようにすることができる。また基板載置台410では、流路412の上方に第一部材212が配置されている。このように流路412の上方に第一部材212を配置することで、基板Sの加熱が妨げられないようにしつつ、第一部材212の熱変形を促進することができる。また流路412への冷媒の供給と共に不活性ガスの処理室205への供給を行ってもよい。冷媒と不活性ガスを用いて冷却することで効率よく第二膜F2に不連続な部分を形成することができる。
【0076】
前述の実施形態では、冷却工程において、基板S及び第一部材212の少なくとも一方を冷却することで第二膜F2に不連続な部分を形成しているが、本開示はこれに限定されない。例えば、図10に示される例のように、基板Sの表面Saに膜Fを形成したあと、ヒータ213によって基板載置台210と基板Sを加熱してもよい。この場合、基板Sは該基板Sの中心に向かう方向と逆向きに熱変形し、第一部材212は例えば基板Sの中心に向けて熱変形する。具体的には、第一部材212の断面において幅方向中心よりも内周側が基板Sの中心に向けて熱変形(熱膨張)する。この場合においても前述の形態と同様に第二膜F2に不連続な部分を形成することができる。
【0077】
前述の実施形態では、基板載置面211の一部を一つの第一部材212が構成しているが、本開示はこれに限定されない。例えば、図11に示される例のように、基板載置台510の基板載置面511の少なくとも一部が複数の第一部材によって構成されてもよい。具体的には、基板載置面511の一部が4つの第一部材512a、512b、512c、512dによって構成されてもよい。このように基板載置台510の基板載置面511の少なくとも一部を複数の第一部材512a、512b、512c、512dによって構成することで第二膜F2の内部に発生する、各第一部材と基板Sとの熱変形量の差による応力を大きくすることができる。また複数の第一部材が各々独立して熱変形してもよい。具体的には、複数の第一部材512a、512b、512c、512dの熱変形量を各々異ならせてもよい。このように複数の第一部材を各々独立して熱変形させることで、第二膜F2の内部に発生する、各第一部材と基板Sとの熱変形量の差による応力を更に大きくすることができる。また複数の第一部材は、ある第一部材に対して、基板Sを挟んで対向する位置に別の第一部材が位置するような第一部材の組を有してもよい。このように基板Sを挟んで対向する位置に一組の第一部材が配置されるようにすることで、第二膜F2の内部に発生する、各第一部材と基板Sとの熱変形量の差による応力を更に大きくすることができる。
【0078】
前述の実施形態では、基板上に炭素含有SiO膜を形成しているが、本開示はこれに限定されない。例えば、所定の第一元素によって主に構成される膜を基板上に形成するようにしてもよい。第一元素としては、例えば、第2族元素であるカルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、第3族元素であるスカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、ランタノイド、アクチノイド、第4族元素であるチタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、第5族元素であるバナジウム(V)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、第6族元素であるクロム(Cr)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、第7族元素であるマンガン(Mn)、テクネチウム(Tc)、レニウム(Re)、第8族元素である鉄(Fe)、ルテニウム(Ru)、オスニウム(Os)、第9族元素であるコバルト(Co)、ロジウム(Rh)イリジウム(Ir)、第10族元素であるニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、第11族元素である銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)、第12族元素である亜鉛(Zn)、第13族元素であるアルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、第14族元素である炭素(C)、Si、ゲルマニウム(Ge)等のうち、1つ又は複数を用いることができる。
【0079】
また、例えば、上述した第一元素と所定の第二元素とによって主に構成される膜を基板上に形成するようにしてもよい。第二元素としては、例えば、第13族元素であるボロン(B)、第15族元素である窒素(N)、リン(P)、ヒ素(As)、アンチモン(Sb)、第16族元素である酸素(O)、硫黄(S)、セレン(Se)等のうち、1つ又は複数を用いることができる。
【0080】
前述の実施形態では、第一処理ガス及び第二処理ガスを第一ガスの一例として用いたが、本開示はこれに限定されない。第一処理ガス又は第二処理ガスのうち一方のみを第一ガスとしてもよい。また、前述の実施形態では、酸素含有ガスを第一処理ガスの一例とし、シリコン含有ガスを第二処理ガスの一例として用いて、基板上に炭素含有SiO膜を形成しているが、本開示はこれに限定されない。第一ガスとして、例えば、上述した第一元素を含むガスである第一元素含有ガス、上述した第二元素を含むガスである第二元素含有ガス等のうち、1つ又は複数を用いることができる。
【0081】
前述の実施形態では、一度に1枚または数枚の基板を処理する枚葉式の基板処理装置を用いて膜を形成する例について説明した。しかし、本開示は前述の実施形態に限定されない。例えば、一度に複数枚の基板を処理するバッチ式の基板処理装置を用いて膜を形成する場合にも、好適に適用することができる。例えば、本開示における載置部は、複数の基板S、例えば、2枚以上300枚以下の基板Sを載置可能に構成されるボートであってもよく、ボートの表面の少なくとも一部が第一部材で構成されるようにしてもよい。また、前述の実施形態では、コールドウォール型の処理炉を有する基板処理装置を用いて膜を形成する例について説明した。本開示は前述の実施形態に限定されず、ホットウォール型の処理炉を有する基板処理装置を用いて膜を形成する場合にも、好適に適用することができる。これらの基板処理装置を用いる場合においても、前述の実施形態と同様な処理手順、処理条件にて各処理を行うことができ、上述の態様や変形例と同様の効果が得られる。
【0082】
以上、実施形態や変形例に基づき具体的に説明したが、本開示は、上記実施形態や変形例に限定されるものではなく、種々変更可能であることはいうまでもない。また、上述実施形態や変形例は、適宜組み合わせて用いることができる。このときの処理手順、処理条件は、例えば、上述実施形態や変形例の処理手順、処理条件と同様とすることができる。
【符号の説明】
【0083】
200 基板処理装置
210 基板載置台(載置部の一例)
211 基板載置面(載置部の表面の一例)
212 第一部材
212a 表面
213 ヒータ(加熱部の一例)
225 温調機構
265 膜形成機構
280 コントローラ(制御部の一例)
410 基板載置台(載置部の一例)
412 流路
510 基板載置台(載置部の一例)
511 基板載置面(載置部の表面の一例)
512a 第一部材
F1 第一膜
F2 第二膜
S 基板
Sa 表面
Se 外周縁部(縁部の一例)
図1
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9
図10
図11