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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172502
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】ペット用パンツ型使い捨ておむつ
(51)【国際特許分類】
   A01K 23/00 20060101AFI20241205BHJP
【FI】
A01K23/00 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023090264
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000115108
【氏名又は名称】ユニ・チャーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小松原 大介
(57)【要約】
【課題】装着時の引き上げ性を向上させたペット用パンツ型使い捨ておむつを提供すること。
【解決手段】吸収性コア(12)を備える吸収性本体(10)と、腹側胴回り部(20)と、背側胴回り部(30)とを備え、腹側胴回り部(20)と背側胴回り部(30)とが、左右方向の両側部において一対のサイド接合部(40)によって接合されているペット用パンツ型使い捨ておむつ(1)であって、尻尾を挿通可能な尻尾挿通部(50)が、一対のサイド接合部(40)よりも上下方向の下側に設けられており、腹側胴回り部(20)及び背側胴回り部(20)のうちの少なくとも一方には、一対のサイド接合部(40)よりも上下方向の下側且つ左右方向の両側部において、上下方向の下側且つ左右方向の内側に向かって斜め下方に延在する傾斜部(801a、801b)を有する一対の傾斜弾性部材(8a、8b)が配置されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに交差する上下方向と左右方向とを有し、
吸収性コアを備える吸収性本体と、腹側胴回り部と、背側胴回り部とを備え、
前記腹側胴回り部と前記背側胴回り部とが、前記左右方向の両側部において一対のサイド接合部によって接合されているペット用パンツ型使い捨ておむつであって、
尻尾を挿通可能な尻尾挿通部が、前記一対のサイド接合部よりも前記上下方向の下側に設けられており、
前記腹側胴回り部及び前記背側胴回り部のうちの少なくとも一方には、前記一対のサイド接合部よりも前記上下方向の下側且つ前記左右方向の両側部において、前記上下方向の下側且つ前記左右方向の内側に向かって斜め下方に延在する傾斜部を有する一対の傾斜弾性部材が配置されている
ことを特徴とするペット用パンツ型使い捨ておむつ。
【請求項2】
請求項1に記載のペット用パンツ型使い捨ておむつであって、
展開且つ伸長状態の前記ペット用パンツ型使い捨ておむつの長手方向における中央位置から前記腹側胴回り部の前記サイド接合部の前記長手方向の内側端までの前記ペット用パンツ型使い捨ておむつの面積は、前記中央位置から前記背側胴回り部の前記サイド接合部の前記長手方向の内側端までの前記ペット用パンツ型使い捨ておむつの面積よりも小さい
ことを特徴とするペット用パンツ型使い捨ておむつ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のペット用パンツ型使い捨ておむつであって、
前記一対の傾斜弾性部材が、前記腹側胴回り部及び前記背側胴回り部のそれぞれに配置されており、前記腹側胴回り部における前記傾斜弾性部材を腹側傾斜弾性部材、前記背側胴回り部における前記傾斜弾性部材を背側傾斜弾性部材としたとき、
前記上下方向において、前記背側傾斜弾性部材の前記傾斜部の長さは、前記腹側傾斜弾性部材の前記傾斜部の長さよりも長い
ことを特徴とするペット用パンツ型使い捨ておむつ。
【請求項4】
請求項1又は2に記載のペット用パンツ型使い捨ておむつであって、
前記一対の傾斜弾性部材が、
前記背側胴回り部に配置されており、且つ、
前記ペット用パンツ型使い捨ておむつを展開且つ伸長させた状態の長手方向において、中央位置を跨いで配置されている
ことを特徴とするペット用パンツ型使い捨ておむつ。
【請求項5】
請求項1又は2に記載のペット用パンツ型使い捨ておむつであって、
前記一対の傾斜弾性部材が、前記背側胴回り部に配置されており、
前記上下方向において、前記傾斜弾性部材の下端が、前記尻尾挿通部の上端よりも下側に位置している
ことを特徴とするペット用パンツ型使い捨ておむつ。
【請求項6】
請求項1又は2に記載のペット用パンツ型使い捨ておむつであって、
前記一対の傾斜弾性部材が、前記背側胴回り部に配置されており、
前記上下方向において、前記傾斜弾性部材の下端が、前記尻尾挿通部の下端よりも下側に位置している
ことを特徴とするペット用パンツ型使い捨ておむつ。
【請求項7】
請求項1又は2に記載のペット用パンツ型使い捨ておむつであって、
前記一対の傾斜弾性部材は、前記背側胴回り部に配置されており、
前記背側胴回り部は、前記一対の傾斜弾性部材のうちの一対の前記傾斜部の間において、前記傾斜弾性部材が前記左右方向に伸縮不能な非伸縮領域を有し、
前記尻尾挿通部と前記非伸縮領域とは、前記左右方向に重なる部分を有する
ことを特徴とするペット用パンツ型使い捨ておむつ。
【請求項8】
請求項1又は2に記載のペット用パンツ型使い捨ておむつであって、
前記一対の傾斜弾性部材は、
前記背側胴回り部に配置されており、
一対の前記傾斜部の間において前記左右方向に沿って配置された直線部とを有し、
前記直線部は、前記傾斜弾性部材が非肌側面から切断されて非連続となっている非連続部を有し、
前記ペット用パンツ型使い捨ておむつの厚さ方向において前記尻尾挿通部と重なる領域には、前記吸収性コアが存在せず、
前記尻尾挿通部と前記非連続部とは、前記厚さ方向に見て重ならない
ことを特徴とするペット用パンツ型使い捨ておむつ。
【請求項9】
請求項8に記載のペット用パンツ型使い捨ておむつであって、
前記一対の傾斜弾性部材は、前記ペット用パンツ型使い捨ておむつを展開且つ伸長させた状態の長手方向において、中央位置を跨いで配置されている
ことを特徴とするペット用パンツ型使い捨ておむつ。
【請求項10】
請求項1又は2に記載のペット用パンツ型使い捨ておむつであって、
前記一対の傾斜弾性部材が、前記背側胴回り部に配置されており、
前記上下方向において、前記尻尾挿通部の中央位置は、前記傾斜部の中央位置よりも下側である
ことを特徴とするペット用パンツ型使い捨ておむつ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペット用パンツ型使い捨ておむつに関する。
【背景技術】
【0002】
犬や猫などのペットに装着されるペット用おむつが知られている。例えば、特許文献1には、胴周り領域と、股下領域と、胴周り開口と、一対の脚周り開口と、吸収性コアと、尻尾挿通開口とを有し、胴周り領域に胴周り用伸縮性弾性部材が複数配置されているペット用使い捨てパンツ型おむつが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-226110号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のペット用使い捨てパンツ型おむつは、胴回り領域に伸縮応力が低い領域を設けることで、ペットの胴を締め付け過ぎないようにし、胴回りのフィット性を向上させているが、そもそも、パンツ型のおむつを犬や猫などのペットに装着する際には、動くペットを支えながら正しい位置に装着させること自体が困難である場合も多い。具体的には、パンツ型おむつの場合、ペットの後ろ足を脚回り開口に先に通した後に尻尾を尻尾挿通部に通しておむつを引き上げるが、当該引き上げ時に、尻尾の根元までおむつを引き上げる必要があるものの、根元までうまく引き上げられずに、尻尾が尻尾挿通部にフィットしにくい場合があった。
【0005】
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、装着時の引き上げ性を向上させたペット用パンツ型使い捨ておむつを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための主たる発明は、互いに交差する上下方向と左右方向とを有し、吸収性コアを備える吸収性本体と、腹側胴回り部と、背側胴回り部とを備え、前記腹側胴回り部と前記背側胴回り部とが、前記左右方向の両側部において一対のサイド接合部によって接合されているペット用パンツ型使い捨ておむつであって、尻尾を挿通可能な尻尾挿通部が、前記一対のサイド接合部よりも前記上下方向の下側に設けられており、前記腹側胴回り部及び前記背側胴回り部のうちの少なくとも一方には、前記一対のサイド接合部よりも前記上下方向の下側且つ前記左右方向の両側部において、前記上下方向の下側且つ前記左右方向の内側に向かって斜め下方に延在する傾斜部を有する一対の傾斜弾性部材が配置されていることを特徴とするペット用パンツ型使い捨ておむつである。
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、装着時の引き上げ性を向上させたペット用パンツ型使い捨ておむつを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態に係るペット用パンツ型使い捨ておむつ1を背側から見た概略斜視図である。
図2】展開状態かつ伸張状態の、第1実施形態に係るおむつ1を肌側から見た概略平面図である。
図3図2中の線A-Aでの概略断面図である。
図4】展開状態かつ伸張状態の、第1実施形態に係るおむつ1を非肌側から見た概略平面図である。
図5図5A図5Cは、それぞれ、おむつ1の装着動作を説明する図である。
図6】おむつ1における面積AR1と面積AR2を示す平面図である。
図7】第1実施形態に係る変形例を説明する図である。
図8】尻尾挿通部50の配置の変形例を示す図である。
図9】展開状態かつ伸張状態の、第2実施形態に係るおむつ1を肌側から見た概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
態様1は、互いに交差する上下方向と左右方向とを有し、吸収性コアを備える吸収性本体と、腹側胴回り部と、背側胴回り部とを備え、前記腹側胴回り部と前記背側胴回り部とが、前記左右方向の両側部において一対のサイド接合部によって接合されているペット用パンツ型使い捨ておむつであって、尻尾を挿通可能な尻尾挿通部が、前記一対のサイド接合部よりも前記上下方向の下側に設けられており、前記腹側胴回り部及び前記背側胴回り部のうちの少なくとも一方には、前記一対のサイド接合部よりも前記上下方向の下側且つ前記左右方向の両側部において、前記上下方向の下側且つ前記左右方向の内側に向かって斜め下方に延在する傾斜部を有する一対の傾斜弾性部材が配置されていることを特徴とするペット用パンツ型使い捨ておむつである。
【0010】
態様1によれば、腹側胴回り部に傾斜弾性部材が配置された場合、尻尾挿通部に尻尾を通して最後におむつを引き上げるときに、腹側の吸収性本体にまで引き上げる力が連動し易く、腹側のフィット性を向上させることができる。背側胴回り部に傾斜弾性部材が配置された場合、尻尾挿通部に尻尾を通して最後におむつを引き上げるときに、尻尾挿通部の左右方向両側にも引き上げる力がかかり易くなり、傾斜弾性部材が連動して尻尾挿通部を引き上げてくれるので、より尻尾の根元までおむつを引き上げ易くなる。
【0011】
態様2は、展開且つ伸長状態の前記ペット用パンツ型使い捨ておむつの長手方向における中央位置から前記腹側胴回り部の前記サイド接合部の前記長手方向の内側端までの前記ペット用パンツ型使い捨ておむつの面積は、前記中央位置から前記背側胴回り部の前記サイド接合部の前記長手方向の内側端までの前記ペット用パンツ型使い捨ておむつの面積よりも小さい態様1に記載のペット用パンツ型使い捨ておむつである。
【0012】
態様2によれば、おむつの長手方向の中央位置から腹側胴回り部のサイド接合部の内側端(下端)までの面積の方が小さいことで、おむつの装着時に、後ろ足をおむつに通す際にペットの足が引っ掛かりにくくなり、また、装着後も足の動きを阻害しにくくなる。
【0013】
態様3は、前記一対の傾斜弾性部材が、前記腹側胴回り部及び前記背側胴回り部のそれぞれに配置されており、前記腹側胴回り部における前記傾斜弾性部材を腹側傾斜弾性部材、前記背側胴回り部における前記傾斜弾性部材を背側傾斜弾性部材としたとき、前記上下方向において、前記背側傾斜弾性部材の前記傾斜部の長さは、前記腹側傾斜弾性部材の前記傾斜部の長さよりも長い態様1又は2に記載のペット用パンツ型使い捨ておむつである。
【0014】
態様3によれば、おむつの装着時に尻尾挿通部に尻尾を通して背側胴回り部を引き上げるときに、背側傾斜弾性部材の傾斜部の長さが長いため、背側傾斜弾性部材が延在する方向に沿ってより遠くまで(すなわち、より股下側まで)引き上げる力を伝えることができる。
【0015】
態様4は、前記一対の傾斜弾性部材が、前記背側胴回り部に配置されており、且つ、前記ペット用パンツ型使い捨ておむつを展開且つ伸長させた状態の長手方向において、中央位置を跨いで配置されている態様1から態様3の何れかに記載のペット用パンツ型使い捨ておむつである。
【0016】
態様4によれば、背側の傾斜弾性部材が長手方向の中央位置を跨いで、すなわち、腹側にまで延在していることで、尻尾挿通部に尻尾を通しておむつを引き上げるときに、その引き上げる力を腹側にまで伝える易くなる。それにより腹側のフィット性を向上させることができる。
【0017】
態様5は、前記一対の傾斜弾性部材が、前記背側胴回り部に配置されており、前記上下方向において、前記傾斜弾性部材の下端が、前記尻尾挿通部の上端よりも下側に位置している態様1から態様4の何れかに記載のペット用パンツ型使い捨ておむつである。
【0018】
態様5によれば、そのような位置に傾斜弾性部材が配置されることで、尻尾挿通部に尻尾を通しておむつを引き上げる際に、傾斜弾性部材が連動して尻尾挿通部を引き上げ、尻尾がフィットし易くなる。
【0019】
態様6は、前記一対の傾斜弾性部材が、前記背側胴回り部に配置されており、前記上下方向において、前記傾斜弾性部材の下端が、前記尻尾挿通部の下端よりも下側に位置している態様1から態様5の何れかに記載のペット用パンツ型使い捨ておむつである。
【0020】
態様6によれば、そのような位置に傾斜弾性部材が配置されることで、尻尾挿通部に尻尾を通しておむつを引き上げる際に、傾斜弾性部材が連動して尻尾挿通部をより引き上げ易くなり、尻尾のフィット性が向上する。
【0021】
態様7は、前記一対の傾斜弾性部材は、前記背側胴回り部に配置されており、前記背側胴回り部は、前記一対の傾斜弾性部材のうちの一対の前記傾斜部の間において、前記傾斜弾性部材が前記左右方向に伸縮不能な非伸縮領域を有し、前記尻尾挿通部と前記非伸縮領域とは、前記左右方向に重なる部分を有するに配置されている態様1から態様1から態様6の何れかに記載のペット用パンツ型使い捨ておむつである。
【0022】
態様7によれば、非伸縮領域は、左右方向の伸縮性が発現しないため、そのような非伸縮領域と尻尾挿通部とが左右方向に重なる部分を有することで、左右方向の収縮による尻尾挿通部の変形を防止することができる。
【0023】
態様8は、前記一対の傾斜弾性部材は、前記背側胴回り部に配置されており、一対の前記傾斜部の間において前記左右方向に沿って配置された直線部とを有し、前記直線部は、前記傾斜弾性部材が非肌側面から切断されて非連続となっている非連続部を有し、前記ペット用パンツ型使い捨ておむつの厚さ方向において前記尻尾挿通部と重なる領域には、前記吸収性コアが存在せず、前記尻尾挿通部と前記非連続部とは、前記厚さ方向に見て重ならない態様1から態様6の何れかに記載のペット用パンツ型使い捨ておむつである。
【0024】
態様8によれば、傾斜弾性部材の非連続部は、傾斜弾性部材がおむつの非肌側面から切断された部分であり、そのような非連続部と尻尾挿通部とが重なると、切断時に、尻尾挿通部を構成するシート部材も一緒に切断されて尻尾挿通部から漏れが発生するおそれがある。尻尾挿通部と当該非連続部とが厚さ方向に見て重ならない構成にすることで、そのような漏れの発生を回避する。
【0025】
態様9は、前記一対の傾斜弾性部材は、前記ペット用パンツ型使い捨ておむつを展開且つ伸長させた状態の長手方向において、中央位置を跨いで配置されている態様8に記載のペット用パンツ型使い捨ておむつである。
【0026】
態様9によれば、背側の傾斜弾性部材が長手方向の中央位置を跨いで、すなわち、腹側にまで延在していることで、尻尾挿通部に尻尾を通して引き上げるときに、その引き上げる力を腹側にまで伝え易くなり、腹側のフィット性を向上させる。また、尻尾挿通部は、背側胴回り部に配置されていることから、尻尾挿通部を越えてさらに腹側まで配置されている傾斜弾性部材の収縮力により、おむつを引き上げる際に傾斜弾性部材の全体が連動して尻尾挿通部をより引き上げ易くする。
【0027】
態様10は、前記一対の傾斜弾性部材が、前記背側胴回り部に配置されており、前記上下方向において、前記尻尾挿通部の中央位置は、前記傾斜部の中央位置よりも下側である態様1から態様4、7~9の何れかに記載のペット用パンツ型使い捨ておむつである。
【0028】
態様10によれば、尻尾挿通部の上下方向の中央位置が、傾斜部の上下方向の中央位置よりも下側にあることで、おむつの装着時に傾斜弾性部材が収縮することで、より下側にある尻尾挿通部を引き上げる力がかかり易くなる。それにより、尻尾を尻尾挿通部の奥にまでフィットさせ易くなる。
【0029】
===第1実施形態===
以下、図面を参照して、本発明の第1実施形態に係るペット用パンツ型使い捨ておむつについて説明する。
【0030】
図1は、第1実施形態に係るペット用パンツ型使い捨ておむつ1(以下「おむつ1」とも称す)を背側から見た概略斜視図である。図2は、展開状態かつ伸張状態の、第1実施形態に係るおむつ1を肌側から見た概略平面図である。図3は、図2中の線A-Aでの概略断面図である。図4は、展開状態かつ伸張状態の、第1実施形態に係るおむつ1を非肌側から見た概略平面図である。
【0031】
ペット用パンツ型使い捨ておむつ1は、ペットに使用されるおむつである。本明細書において、「ペット」は、脊椎動物や無脊椎動物を広く包含し、典型的には、犬、猫、ウサギ、ハムスターなどの愛玩動物を含む。
【0032】
おむつ1の展開状態とは、おむつ1の両側部に設けられている一対のサイド接合部40をそれぞれ分離し、おむつ1を開いて平面的に展開した状態である。おむつ1の伸張状態とは、おむつ1の皺が視認できなくなる程度まで、おむつ1が備える弾性部材を伸張させた状態を示す。具体的には、おむつ1を構成する各部材の寸法が、その部材単体の寸法(すなわち弾性部材の伸縮性が発現しない状態での寸法)と一致又はそれに近い寸法になるまで伸張させた状態を示す。
【0033】
おむつ1は、図1に示すパンツ型状態において、上下方向、左右方向、及び、前後方向を有し、おむつ1には胴回り開口BH及び一対の脚回り開口LHが形成されている。上下方向において、胴回り側を上側とし、股下側を下側とする。前後方向において、ペットの腹側となる側を前側とし、ペットの背側となる側を後側とする。左右方向は、ペットの胴回り方向に沿った方向である。また、おむつ1は、図3に示すように、おむつ1を構成する資材が積層された方向を厚さ方向といい、厚さ方向において、着用状態のときにペットの肌面に向けられる側を肌側とし、その逆側を非肌側とする。また、図2の展開状態において、おむつ1は、互いに交差する長手方向、左右方向、及び、厚さ方向(図2では紙面を貫通する方向)を有している。長手方向は、上下方向に沿った方向であり、且つ、ペットの腹側から背側を繋ぐ方向でもある。すなわち、長手方向の一方側が前後方向の前側に対応し、長手方向の他方側が前後方向の後側に対応している。左右方向は、図1のパンツ型状態における左右方向と同じ方向である。
【0034】
おむつ1は、外装体5と、液吸収性の吸収性本体10とを備えており、外装体5は、吸収性本体10の非肌側に接合されている。そして、おむつ1の外装体5は、図2及び図3に示されるように、吸収性本体10の長手方向に連続するように一体的に構成されている。すなわち、おむつ1は、吸収性本体10と、外装体5との2つの部品によって構成される、所謂2ピースタイプの使い捨ておむつである。外装体5は、長手方向における中央位置CLよりも前側の部分である腹側胴回り部20と、中央位置CLよりも後側の部分である背側胴回り部30とを有する。
【0035】
図2及び図3に示すように、腹側胴回り部20は、吸収性本体10の長手方向の一端側(端部10ef)が接合され、ペットがおむつ1を着用する際にペットの腹側に位置する部分である。背側胴回り部30は、吸収性本体10の長手方向の他端側(端部10eb)が接合され、ペットがおむつ1を着用する際にペットの背側に位置する部分である。
【0036】
図2の展開状態のおむつ1をパンツ型に形成する際には、腹側胴回り部20と背側胴回り部30とが対向するように吸収性本体10及び外装体5を、長手方向における中央位置CLを折り位置として二つ折りにする。この二つ折りの状態において、腹側胴回り部20の左右方向の両側部と背側胴回り部30の左右方向の両側部とを溶着(例えば熱溶着や超音波溶着)等により接合して一対のサイド接合部40を形成することにより、おむつ1はパンツ型となる。
【0037】
吸収性本体10は、排泄物を吸収する吸収性コア12と、吸収性コア12よりも肌側に配置された液透過性のトップシート11と、吸収性コア12よりも非肌側に配置された液不透過性のバックシート13とを備え、それぞれ接着剤等によって接着されている。但し、吸収性本体10が、これ以外のシート部材を備えていても良い。例えば、トップシート11と吸収性コア12との厚さ方向の間に、セカンドシート(不図示)を備えていてもよい。
【0038】
吸収性コア12としては、パルプ繊維等の液体吸収性繊維に高吸収性ポリマーを含有させたものを所定の形状に成形したものを例示できる。吸収性コア12は、液透過性のティッシュペーパーや不織布等のコアラップシート17で被覆されていてもよい。その他、吸収性コア12として、親水性のシートにSAP層を付着させたSAPシートや、液体吸収性繊維をエアレイド法によってシート状に成形したエアレイドシート等を例示できる。
【0039】
また、吸収性本体10の左右方向両側に不図示の防漏壁部が設けられていても良い。防漏壁部は、所謂立体ギャザーに相当する部位であり、おむつ1の着用時には、該防漏壁部が、吸収性本体10の左右方向の両側からペットの肌側に起立することにより、尿等の排泄液が吸収性本体10の外側に漏出することを抑制する。
【0040】
外装体5は、図3に示すように、肌側シート6と、肌側シート6の非肌側に隣接して積層された非肌側シート7とを有する。本実施形態において、肌側シート6及び非肌側シート7は、例えば、スパンボンド不織布、SMS不織布(スパンボンド・メルトブローン・スパンボンド不織布)などによって形成できる。また、長手方向における非肌側シート7の外側端は、肌側に折り返される。非肌側シート7の当該折り返し部分は、長手方向における肌側シート6の一端(外側端)を包み込んでいる。なお、長手方向における非肌側シート7の外側端は、折り返さない構成であってもよい。
【0041】
外装体5の腹側胴回り部20には、左右方向に伸縮可能な糸ゴム等の複数の腹側弾性部材23が、上下方向に並んで設けられている。同様に、外装体5の背側胴回り部30には、左右方向に伸縮可能な糸ゴム等の複数の背側弾性部材33が、左右方向に伸長した状態で上下方向に並んで設けられている。腹側及び背側弾性部材23、33は、それぞれ左右方向に伸長した状態で肌側シート6と非肌側シート7との間に挟まれて設けられており、当該腹側及び背側弾性部材23、33により、腹側胴回り部20及び背側胴回り部30には、左右方向の伸縮性が付与される。
【0042】
また、本実施形態の腹側胴回り部20及び背側胴回り部30には、少なくとも一部が一対の脚回り開口LHに沿って配置された腹側傾斜弾性部材8a及び背側傾斜弾性部材8bが、肌側シート6と非肌側シート7との間にそれぞれ設けられている。腹側及び背側傾斜弾性部材8a、8bは、例として、複数の糸ゴムや、伸縮性を有する帯状の弾性シート等であってもよい。腹側及び背側傾斜弾性部材8a、8bは、伸長された状態で、ホットメルト接着剤等の接着剤によって接合固定されている。
【0043】
なお、本実施形態では、腹側及び背側傾斜弾性部材8a、8bとして、それぞれ3本ずつの傾斜弾性部材8a、8bがその伸長方向と直交する方向に間隔を空けて並んで設けられているが、腹側及び背側傾斜弾性部材8a、8bの数は、1本でも3本以外の複数本であってもよく、また、左右方向の両側において、少なくとも一対設けられていればよい。
【0044】
そして、本実施形態の腹側傾斜弾性部材8a及び背側傾斜弾性部材8bは、一対のサイド接合部40よりも上下方向の下側且つ左右方向の両側部において、上下方向の下側且つ左右方向の内側に向かって斜め下方に延在する傾斜部801a、801bをそれぞれ有している。具体的には、図2に示すように、腹側傾斜弾性部材8aは、腹側胴回り部20における左右方向左側のサイド接合部40の下端40ebと右側のサイド接合部40の下端40ebとを結んだ線EL2よりも下側であって、且つ、左右方向の両側に、上下方向の下側且つ左右方向の内側に向かって斜め下方に延在する傾斜部801a、801aを有している。同様に、背側傾斜弾性部材8bは、背側胴回り部30における左右方向左側のサイド接合部40の下端40ebと右側のサイド接合部40の下端40ebとを結んだ線EL1よりも下側であって、且つ、左右方向の両側に、上下方向の下側且つ左右方向の内側に向かって斜め下方に延在する傾斜部801b、801bを有している。
【0045】
また、図4に示すように、本実施形態の腹側傾斜弾性部材8aは、少なくとも一対の傾斜部801a、801aの間において、左右方向に沿って配置された直線部802aを有している。同様に、背側傾斜弾性部材8bは、少なくとも一対の傾斜部801b、801bの間において、左右方向に沿って配置された直線部802bを有している。直線部802a、802bでは、腹側傾斜弾性部材8a及び背側傾斜弾性部材8bがそれぞれ左右方向に伸張した状態で、肌側シート6と非肌側シート7の間に接合固定されている。なお、腹側傾斜弾性部材8a及び背側傾斜弾性部材8bは、それぞれ、直線部802a、802bを有さなくてもよい。また、直線部802a及び802bは、左右方向の伸縮を促すものであれば、例えば、左右方向の内側に向かって湾曲した湾曲部等であってもよい。
【0046】
そして、腹側胴回り部20、左右方向の両側部の傾斜弾性部材8a、8aのうちの一対の傾斜部801a、801aの間において、腹側傾斜弾性部材8aが左右方向に伸縮不能な非伸縮領域8aXを有している。また、同様に、背側胴回り部30は、左右方向の両側部の傾斜弾性部材8b、8bのうちの一対の傾斜部801b、801bの間において、背側傾斜弾性部材8bが左右方向に伸縮不能な非伸縮領域8bXを有している。尚、非伸縮領域8aX及び8bXの配置は、図4に示す位置に限らず、吸収性コア12の左右方向の収縮を抑制するものとして、おむつ1の左右方向の少なくとも中央部において設けられていればよい。
【0047】
非伸縮領域8aX及び8bXでは、それぞれ、肌側シート6と非肌側シート7との間に腹側傾斜弾性部材8a、背側傾斜弾性部材8bを配置する際に、腹側傾斜弾性部材8a、背側傾斜弾性部材8bを接着剤で固定せず、非伸縮領域8aX及び8bXとなる部分において、腹側傾斜弾性部材8a、背側傾斜弾性部材8bを切断している。それにより、直線部802aと802bの伸縮性を残しつつ、非伸縮領域8aX及び8bXでは、左右方向に伸縮しないように構成することができる。また、非伸縮領域8aX及び8bXの形成は、これに限らず、例えば、後述する図7に示すように、非伸縮領域8aX及び8bXとなる部分においても腹側及び背側傾斜弾性部材8a、8bを接着剤で固定しつつ、非伸縮領域8aX及び8bXとなる部分において、複数箇所で該腹側及び背側傾斜弾性部材8a、8bを押圧等により切断して(すなわち、細かく切断して)伸縮性を殺すことにより形成することもできる。
【0048】
また、吸収性本体10には、ペットの尻尾を挿通可能な尻尾挿通部50が設けられている。尻尾挿通部50は、例えば略U字状の切り込みであってもよい。なお、尻尾挿通部50の形状は、略U字形状に限定されず、半円形状、矩形状、台形状、多角形状又は楕円形状を有していてもよい。また、切り込みによって尻尾挿通部50を形成する場合、上述の各形状に限らず、例えば、十字状に切り込みを形成してもよい。また、尻尾挿通部50の切り込みは、連続した切り込みであってもよいし、ミシン目等、切り込みを形成する部分を構成している各シート部材(ここでは、トップシート11、コアラップシート17、バックシート13、肌側シート6,及び非肌側シート7)を引き裂き可能な構成であってもよい。また、尻尾挿通部50の寸法を拡大するためのさらなる切り込みを有していてもよい。なお、尻尾挿通部50は切り込みに限らず、尻尾を挿通可能な開口部であってもよい。
【0049】
また、本実施形態では、尻尾挿通部50から長手方向及び左右方向の外側に所定間隔だけ離間した位置まで吸収性コア12が存在していない領域12NXが設けられている(図3参照)。つまり、そのような領域12NXに切り込みを設けることで尻尾挿通部50を形成し、尻尾挿通部50から吸収性コア12を構成する素材が露出することを回避している。
【0050】
以上、おむつ1の基本構成を説明したが、おむつ1の構成は上記に限定されるものではない。例えば、腹側胴回り部20と背側胴回り部30が連続した1つの部材(外装体5)で形成されていなくてもよく、腹側胴回り部20と背側胴回り部30とが、それぞれ別部材として構成された、所謂3ピースタイプのおむつ1でもよい。また、胴回り弾性部材23,33は、糸ゴムではなく、シート状の弾性部材(伸縮性フィルムや伸縮性不織布)であってもよい。
【0051】
<ペット用パンツ型使い捨ておむつ1の履かせ方>
次に、ペットにおむつ1を実際に履かせる際の装着動作について説明する。図5A図5Cは、それぞれ、おむつ1の装着動作を説明する図である。図5A図5Cでは、おむつ1を着用するペットが犬であった場合を示している。まず、交換者がペットの後ろ足を支えつつ、図5Aに示すように、脚回り開口LHに後ろ足を片足ずつ入れていく。次に、おむつ1をペットの尻尾の位置付近まで引き上げ、図5Bに示すように、尻尾を尻尾挿通部50に通す。最後に、図5Cに示すように、おむつ1をペットの身体の前方且つ斜め上に向かって引き上げる。当該引き上げ時には、交換者が腹側胴回り部20及び背側胴回り部30の部分を手でしっかりと持って引き上げることで、おむつ1をペットの胴回りにフィットさせつつ、同時に、尻尾の奥(根元)まで尻尾挿通部50を引き上げて尻尾もフィットさせる。
【0052】
このように、ペット用のパンツ型おむつ1をペットに履かせる場合、ペットの後足を通してから、尻尾を尻尾挿通部50に通しておむつ1を引き上げるが、その引き上げの際に、尻尾挿通部50を尻尾の根元まで引き上げる必要があるものの、根元までうまく引き上げられずに、尻尾が尻尾挿通部50にフィットしにくい場合があった。
【0053】
この点、本実施形態のおむつ1の背側胴回り部30には、上述したように、一対のサイド接合部40よりも上下方向の下側且つ左右方向の両側部に傾斜部801bを有する背側傾斜弾性部材8b(傾斜弾性部材)が配置されている。また、腹側胴回り部20においても、一対のサイド接合部40よりも上下方向の下側且つ左右方向の両側部に傾斜部801aを有する腹側傾斜弾性部材8a(傾斜弾性部材)が配置されている。背側胴回り部30に配置された背側傾斜弾性部材8bの傾斜部801bにより、おむつ1の装着時に尻尾挿通部50に尻尾を通して最後におむつ1を引き上げるとき(図5Cの状態のとき)に、尻尾挿通部50の左右方向両側にも引き上げる力がかかり易くなり、背側傾斜弾性部材8bが連動して尻尾挿通部50を引き上げてくれるので、より尻尾の奥(根元)まで尻尾挿通部50を引き上げ易くなる。また、腹側胴回り部20に配置された腹側傾斜弾性部材8aの傾斜部801aにより、装着時の最後におむつ1を引き上げるとき(図5Cの状態のとき)に、腹側の吸収性本体10にまで引き上げる力が連動し易く、腹側のフィット性を向上させることができる。
【0054】
なお、本実施形態では、腹側傾斜弾性部材8a及び背側傾斜弾性部材8b共に、左右方向両側に3本ずつ弾性部材が配置されているが、少なくとも一対(1本ずつ)の傾斜弾性部材(8a、8b)が配置されていれば、上述と同様の効果を奏することができる。また、本実施形態では、腹側胴回り部20及び背側胴回り部30の両方に傾斜弾性部材(8a、8b)が設けられているが、これに限定されず、腹側胴回り部20及び背側胴回り部30のうちの少なくとも一方に一対の傾斜弾性部材(8a又は8b)が設けられていればよい。腹側胴回り部20及び背側胴回り部30のうちのいずれか一方に傾斜弾性部材(8a又は8b)が設けられている場合であっても、上述の通り、装着時のおむつ1の引き上げ性を向上させることができる。
【0055】
また、本実施形態では、図2に示すように、上下方向(長手方向)における背側傾斜弾性部材8bの傾斜部801bの長さL1は、腹側傾斜弾性部材8aの傾斜部801aの長さL2よりも長くなっている(L1>L2)。背側傾斜弾性部材8bの傾斜部801bの長さ(L1)が長いことで、尻尾挿通部50にペットの尻尾を通して背側胴回り部30を引き上げるときに、背側傾斜弾性部材8bが延在する方向に沿ってより遠くまで、すなわち、より股下側まで、当該引き上げる力を伝えることができる。よって、装着時に、背側胴回り部30側をより引き上げ易くなる。なお、本実施形態では、背側傾斜弾性部材8bが左右方向両側において3本ずつ配置されているが、3本のうち、少なくとも1本の背側傾斜弾性部材8bが(すなわち、左右方向の両側に少なくとも一対(1本ずつ)の背側傾斜弾性部材8aが)上述の構成であればよい。
【0056】
また、図2に示すように、本実施形態では、背側傾斜弾性部材8bが長手方向の中央位置CLを跨いで配置されている。背側傾斜弾性部材8bが長手方向の中央位置CLを跨いで、すなわち、腹側胴回り部20にまで延在していることで、尻尾挿通部50に尻尾を通しておむつ1を引き上げるときに、当該引き上げる力が背側傾斜弾性部材8bに連動し、引き上げる力を腹側にまで伝える易くなる。それにより、腹側胴回り部20側のフィット性を向上させることができる。
【0057】
また、本実施形態では、図2に示すように、長手方向(上下方向)において、背側傾斜弾性部材8bの前端(下端)8beが、尻尾挿通部50の後端(上端)50upよりも前側(下側)に位置している。そのような位置に背側傾斜弾性部材8bの前端(下端)8beが配置されることで、尻尾挿通部50に尻尾を通して引き上げる際に、背側傾斜弾性部材8bが連動して尻尾挿通部50を引き上げ、尻尾がフィットし易くなる。
【0058】
さらに、本実施形態では、図2に示すように、長手方向(上下方向)において、背側傾斜弾性部材8bの前端(下端)8beは、尻尾挿通部50の前端(下端)50dwよりも前側(下側)に位置している。つまり、背側傾斜弾性部材8bは、長手方向(上下方向)において尻尾挿通部50を完全に越える位置にまで延在している。そのような位置に背側傾斜弾性部材8bが配置されることで、尻尾挿通部50に尻尾を通して引き上げる際に、背側傾斜弾性部材8bが連動して尻尾挿通部50をより引き上げ易くなり、尻尾のフィット性が向上する。
【0059】
なお、本実施形態の背側傾斜弾性部材8bは、長手方向の中央位置CLを跨いで配置されているため、図1のパンツ型状態のおむつ1では、上下方向における背側傾斜弾性部材8bの下端はおむつ1の下端(つまり、図2における長手方向の中央位置CLに相当)に位置している。そして、上述の通り、背側傾斜弾性部材8bの下端が尻尾挿通部50の下端50dwよりも下側にあることから、左右方向両側に配置された当該背側傾斜弾性部材8bが連動して尻尾挿通部50を引き上げ易くする。
【0060】
図6は、おむつ1における面積AR1と面積AR2を示す平面図である。本実施形態において、図6に示すように、展開且つ伸長状態のおむつ1の長手方向における中央位置CLから腹側胴回り部20のサイド接合部40の長手方向の内側端40ebまでのおむつ1の面積を面積AR1(図6中、右下がり斜線で示す部分)とし、長手方向における中央位置CLから背側胴回り部30のサイド接合部40の長手方向の内側端40ebまでのおむつ1の面積を面積AR2(図6中、左下がり斜線で示す部分)としたとき、面積AR1は、面積AR2よりも小さい(AR1<AR2)。つまり、本実施形態のおむつ1は、腹側胴回り部20側の面積の方が小さくなるように構成されている。おむつ1の長手方向の中央位置CLから腹側胴回り部20のサイド接合部40の内側端(下端)40ebまでの面積の方が小さいことで、ペットにおむつ1を履かせるときに(具体的には、図5Aに示すように、脚回り開口LHに後ろ足を入れていくときに)、ペットの足が引っ掛かりにくくなる。また、装着時だけでなく、そのような構成を有することで、装着後も足の動きを阻害しにくくすることができる。
【0061】
図4に戻り、本実施形態の背側胴回り部30は、左右方向両側にある傾斜部801bの間において、背側傾斜弾性部材8bが左右方向に伸縮不能な非伸縮領域8bXを有しており、尻尾挿通部50と非伸縮領域8bXとは、左右方向に重なる部分を有している。非伸縮領域8bXは、左右方向の伸縮性が発現しない領域であるため、そのような非伸縮領域8bXと尻尾挿通部50とが左右方向に重なる部分を有することで、左右方向の収縮による尻尾挿通部50の変形を防止することができる。
【0062】
図7は、第1実施形態に係る変形例を説明する図である。図7は、展開且つ伸長状態のおむつ1を非肌側から見た図であり、前述の第1実施形態との相違点は、腹側及び背側傾斜弾性部材8a、8bを接着剤で固定しつつ、腹側及び背側傾斜弾性部材8a、8bの一部を非肌側面から切断することで、非伸縮領域8aX、8bXを設けている点である。具体的に説明すると、本変形例では、上述の実施形態と同様に、腹側傾斜弾性部材8aが、左右方向両側にある傾斜部801a、801aの間において左右方向に沿って配置された直線部802a、802aを有し、背側傾斜弾性部材8bも、左右方向両側にある傾斜部801b、801bの間において左右方向に沿って配置された直線部802b、802bを有している。そして、背側の直線部802b、802bは、背側傾斜弾性部材8bが非肌側面から切断されて非連続となっている非連続部802bNを有しており、同様に、腹側の直線部802a、802aは、腹側傾斜弾性部材8aが非肌側面から切断されて非連続となっている非連続部802aNを有している。非連続部802aN及び非連続部802bNは、第1実施形態における、腹側及び背側傾斜弾性部材8a、8bが左右方向に伸縮性を発現しない非伸縮領域8aX、8bXに相当する。
【0063】
そして、図7の変形例においても、おむつ1の厚さ方向において尻尾挿通部50と重なる領域には、吸収性コア12が存在しておらず(図3参照)、すなわち、吸収性コア12が存在していない領域12NXに尻尾挿通部50が形成されている。領域12NXでは、吸収性コア12よりも肌側に位置する肌側コアラップシート17aの非肌側面と、非肌側に位置する非肌側コアラップシート17bの肌側面とをホットメルト接着剤等で接合しており、尻尾挿通部50から吸収性コア12が露出しないようにしている。
【0064】
そして、本変形例では、尻尾挿通部50と非連続部802bNとが、厚さ方向に見て重ならない構成になっている。背側傾斜弾性部材8bの非連続部802bNは、背側傾斜弾性部材8bがおむつ1の非肌側面から、すなわち、最も非肌側に配置された非肌側シート7の非肌側から切断された部分である。そのような非連続部802bNと尻尾挿通部50とが重なると、背側傾斜弾性部材8bを切断する時に、尻尾挿通部50の部分を構成するシート部材(非肌側シート7、肌側シート6、バックシート13,コアラップシート17なと)の一部も一緒に切断されて、尻尾挿通部50から漏れが発生するおそれがある。尻尾挿通部50と非連続部802bNとが厚さ方向に見て重ならない構成にすることで、そのような漏れの発生を回避することができる。
【0065】
また、図7に示す変形例においても、背側傾斜弾性部材8bは、長手方向における中央位置CLを跨いで配置されており、すなわち、背側傾斜弾性部材8bは、腹側胴回り部20にまで延在している。よって、本変形例においても、尻尾挿通部50からの漏れを回避しつつ、装着時に引き上げる力を腹側にまで伝え易くすることで腹側のフィット性を向上させる。また、尻尾挿通部50を越えてさらに腹側にまで配置されている背側傾斜弾性部材8bの収縮力により、おむつ1を引き上げる際に背側傾斜弾性部材8bの全体が連動して尻尾挿通部50をより引き上げ易くする。
【0066】
図8は、尻尾挿通部50の配置の変形例を示す図である。図8に示す変形例では、尻尾挿通部50が、上述の実施形態における尻尾挿通部50よりも下側に配置されている。具体的には、上下方向において、尻尾挿通部50の中央位置50cLが背側傾斜弾性部材8bの傾斜部801bの中央位置801bcLよりも下側に位置している。本変形例のように、尻尾挿通部50の上下方向の中央位置50cLが、傾斜部801bの中央位置801bcLよりも下側にあることで、おむつ1の装着時に背側傾斜弾性部材8bが上下方向に収縮する際に、背側傾斜弾性部材8bによる上側への引き上げ力が、下側に配置されている尻尾挿通部50にもかかり易くなり、尻尾挿通部50を引き上げ易くなる。それにより、装着時の最後におむつ1を引き上げる際に(図5C参照)、尻尾の奥にまで尻尾挿通部50を引き上げ易くなり、尻尾のフィット性を向上させることができる。
【0067】
なお、図8の変形例において、尻尾挿通部50は上述の実施形態における尻尾挿通部50よりも下側に配置されているものの、背側傾斜弾性部材8bの長手方向の前端(下端)8beは、上述の実施形態と同様に、尻尾挿通部50の前端(下端)50dwよりも前側(下側)に位置している。つまり、本変形例においても、背側傾斜弾性部材8bが上下方向において尻尾挿通部50を完全に越える位置にまで延在している。したがって、装着時に、背側胴回り部30の左右方向の両側に配置された背側傾斜弾性部材8bによって背側胴回り部30全体を上側に引き上げようとする力が働く際に、その全体を引き上げる力によって尻尾挿通部50の部分も引き上げられることから、尻尾のフィット性も高め易くなる。
【0068】
===第2実施形態===
次に図9に基づいて、第2実施形態に係るパンツ型使い捨ておむつ1について説明する。尚、以下の第2実施形態の説明において、第1実施形態と同様の構成については、同符号を用いて説明を省略する。第2実施形態に係るおむつ1は、上下方向(長手方向)における腹側傾斜弾性部材8aの傾斜部801aの長さが、背側傾斜弾性部材8bの傾斜部801bの長さよりも長くなっている点で異なる。また、第2実施形態では、腹側傾斜弾性部材8aが長手方向の中央位置CLを跨いで配置されており、一方で、背側傾斜弾性部材8bは中央位置CLを跨いでいない。
【0069】
図9は、展開状態かつ伸張状態の、第2実施形態に係るおむつ1を肌側から見た概略平面図である。図9に示すように、第2実施形態のおむつ1は、第1実施形態における尻尾挿通部50よりも下側に配置されている。具体的には、上下方向において、尻尾挿通部50の中央位置50cLが、背側傾斜弾性部材8bの傾斜部801bの中央位置801bcLよりも下側に位置している。尻尾挿通部50の上下方向の中央位置50cLが、傾斜部801bの中央位置801bcLよりも下側にあることで、おむつ1の装着時に背側傾斜弾性部材8bが上下方向に収縮する際、背側傾斜弾性部材8bによる上側への引き上げ力が、より下側に配置されている尻尾挿通部50にもかかり易くなり、尻尾挿通部50を引き上げ易くなる。その結果、装着時の最後におむつ1を引き上げる際(図5C)に、尻尾の奥にまで尻尾挿通部50を引き上げ易くなり、尻尾のフィット性を向上させることができる。
【0070】
また、上述したように、上下方向(長手方向)における腹側傾斜弾性部材8aの傾斜部801aの長さが長く設けられているため、装着する際に、腹側傾斜弾性部材8aが延在する方向に沿ってより遠くまで、すなわち、より股下側まで、引き上げる力を伝えることができる。よって、装着時の腹側胴回り部20側の引き上げ性を向上でき、腹側のフィット性を高めることができる。
【0071】
また、第2実施形態では、第1実施形態における背側傾斜弾性部材8bよりも、背側傾斜弾性部材8bの傾斜部801bの長さが短く構成されているものの、上下方向において、背側傾斜弾性部材8bの下端8beは、尻尾挿通部50の上端50upよりも下側に位置している。したがって、尻尾挿通部50に尻尾を通して引き上げる際に、背側傾斜弾性部材8bが連動して尻尾挿通部50を引き上げることから、尻尾をフィットし易くすることができる。
【0072】
===その他===
上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは言うまでもない。
【0073】
上述の第1及び第2実施形態では、背側傾斜弾性部材8b又は腹側傾斜弾性部材8aが展開及び伸長状態のおむつ1の長手方向の中央位置CLを跨ぐように配置されていたが、これに限定されず、背側傾斜弾性部材8b及び腹側傾斜弾性部材8aが両方ともおむつ1の長手方向の中央位置CLを跨がない構成であってもよい。特に第1実施形態では、背側傾斜弾性部材8bの下端8beが尻尾挿通部50の下端50dwよりも下側に配置される構成であれば、装着時に最後におむつ1を引き上げた際に(図5C参照)、背側傾斜弾性部材8bが連動して尻尾挿通部50を引き上げて、尻尾の根元までおむつ1をフィットさせ易くなる。
【0074】
また、第2実施形態のおむつ1における尻尾挿通部50の位置は一例であり、これに限定されるものではない。例えば、図9に示す尻尾挿通部50の位置よりも上下方方向の上側に配置されてもよく、具体的には、尻尾挿通部50の下端50dwが背側傾斜弾性部材8bの下端よりも上側になるように配置されてもよい。
【符号の説明】
【0075】
1 ペット用パンツ型使い捨ておむつ(おむつ)
5 外装体
6 肌側シート
7 非肌側シート
8a 腹側傾斜弾性部材(傾斜弾性部材)
8aX 非伸縮領域
8b 背側傾斜弾性部材(傾斜弾性部材)
8be 前端(下端)
8bX 非伸縮領域
10 吸収性本体
10eb 端部
10ef 端部
11 トップシート
12 吸収性コア
12NX コアが存在していない領域
13 バックシート
17 コアラップシート
17a 肌側コアラップシート
17b 背側コアラップシート
20 腹側胴回り部
23 腹側弾性部材
30 背側胴回り部
33 背側弾性部材
40 サイド接合部
40eb 内側端(下端)
50 尻尾挿通部
50cL 中央位置
50dw 前端(下端)
50up 後端(上端)
801a 傾斜部
801b 傾斜部
801bcL 中央位置
802a 直線部
802aN 非連続部
802b 直線部
802bN 非連続部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9