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特開2024-172523シャワーヘッド、基板処理装置および基板処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172523
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】シャワーヘッド、基板処理装置および基板処理方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/31 20060101AFI20241205BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20241205BHJP
   C23C 16/455 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
H01L21/31 F
H01L21/302 101H
C23C16/455
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023090300
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】長岡 秀樹
【テーマコード(参考)】
4K030
5F004
5F045
【Fターム(参考)】
4K030DA06
4K030EA05
4K030KA02
4K030KA12
4K030KA17
5F004AA15
5F004BA03
5F004BB13
5F004BD04
5F004DA27
5F004DB23
5F045AA06
5F045AA08
5F045AA15
5F045AB32
5F045AB33
5F045AB39
5F045AC00
5F045AC11
5F045BB14
5F045DP03
5F045DP28
5F045DQ10
5F045EB03
5F045EB06
5F045EE17
5F045EF05
5F045EH05
5F045EH11
5F045EH12
5F045EH13
5F045EK07
5F045EM10
(57)【要約】
【課題】ラジカル化されたガスの失活を抑制できる技術を提供する。
【解決手段】シャワーヘッドは、構造体と、第1拡散室と、第2拡散室と、複数の筒部と、を備える。またシャワーヘッドは、構造体の吐出面に設けられ、第1拡散室に連通して第1ガスを吐出する複数の第1吐出口と、吐出面において第1吐出口と異なる位置に設けられ、複数の筒部の連通孔部に連通して第2ガスを吐出する複数の第2吐出口と、を備える。さらにシャワーヘッドは、構造体の厚み方向と直交する方向の中央部において、第1拡散室および第2拡散室とは別に設けられ、ラジカル化した第3ガスを流通させる中央供給室と、吐出面の中央部に設けられ、中央供給室に連通して第3ガスを吐出する1以上の第3吐出口と、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造体と、
前記構造体の内部において当該構造体の厚み方向と直交する方向に広がり、第1ガスを拡散する第1拡散室と、
前記構造体の内部において前記厚み方向に前記第1拡散室と隣接しかつ当該第1拡散室から独立して設けられ、第2ガスを拡散する第2拡散室と、
前記第1拡散室に配置され、前記第2拡散室に連通する連通孔部を内側に有する複数の筒部と、
前記構造体の吐出面に設けられ、前記第1拡散室に連通して前記第1ガスを吐出する複数の第1吐出口と、
前記吐出面において前記第1吐出口と異なる位置に設けられ、前記複数の筒部の連通孔部に連通して前記第2ガスを吐出する複数の第2吐出口と、
前記構造体の前記厚み方向と直交する方向の中央部において、前記第1拡散室および前記第2拡散室とは別に設けられ、ラジカル化した第3ガスを流通させる中央供給室と、
前記吐出面の中央部に設けられ、前記中央供給室に連通して前記第3ガスを吐出する1以上の第3吐出口と、を含む、
シャワーヘッド。
【請求項2】
前記構造体は、前記第2拡散室に隣接する位置に前記中央供給室を配置しており、当該第2拡散室と当該中央供給室を隔てる隔壁を有する、
請求項1に記載のシャワーヘッド。
【請求項3】
前記隔壁は、前記第2拡散室と前記中央供給室を連通する1以上の横孔部を有する、
請求項2に記載のシャワーヘッド。
【請求項4】
前記中央供給室は、前記第1拡散室に配置される複数の中央筒部の中央孔部に連通し、
前記複数の中央筒部の中央孔部の直径は、前記複数の筒部の連通孔部の直径よりも大きい、
請求項2に記載のシャワーヘッド。
【請求項5】
前記構造体は、前記第1ガス、前記第2ガスおよび前記第3ガスが通過する部材に固定される拡散室用部材と、前記拡散室用部材に固定され、前記吐出面を有する吐出用部材と、を積層して構成される、
請求項1乃至4のいずれか1項に記載のシャワーヘッド。
【請求項6】
前記拡散室用部材は、前記第1拡散室を形成する第1拡散室用凹部を一方面に有すると共に、前記第2拡散室を形成する第2拡散室用凹部を他方面に有する、
請求項5に記載のシャワーヘッド。
【請求項7】
前記拡散室用部材は、前記吐出用部材に対向する面に前記第1拡散室用凹部を有し、前記第1ガス、前記第2ガスおよび前記第3ガスが通過する部材に対向する面に前記第2拡散室用凹部を有する、
請求項6に記載のシャワーヘッド。
【請求項8】
前記拡散室用部材は、前記複数の筒部を前記第1拡散室用凹部に有する一方で、前記第1拡散室に連通して前記第1ガスを当該第1拡散室に供給する供給孔部を有する複数の供給用筒部を前記第2拡散室用凹部に有する、
請求項6に記載のシャワーヘッド。
【請求項9】
前記構造体は、前記第1拡散室と当該第2拡散室とを隔てる底部に熱を伝達する複数の伝熱用突起を有する、
請求項1乃至4のいずれか1項に記載のシャワーヘッド。
【請求項10】
基板を処理する処理容器と、
前記処理容器に複数種類のガスを供給するガス供給部と、
前記ガス供給部に接続され、前記複数種類のガスの各々を前記処理容器の内部に吐出可能なシャワーヘッドと、を含む基板処理装置であって、
前記シャワーヘッドは、
構造体と、
前記構造体の内部において当該構造体の厚み方向と直交する方向に広がり、第1ガスを拡散する第1拡散室と、
前記構造体の内部において前記厚み方向に前記第1拡散室と隣接しかつ当該第1拡散室から独立して設けられ、第2ガスを拡散する第2拡散室と、
前記第1拡散室に配置され、前記第2拡散室に連通する連通孔部を内側に有する複数の筒部と、
前記構造体の吐出面に設けられ、前記第1拡散室に連通して前記第1ガスを吐出する複数の第1吐出口と、
前記吐出面において前記第1吐出口と異なる位置に設けられ、前記複数の筒部の連通孔部に連通して前記第2ガスを吐出する複数の第2吐出口と、
前記構造体の前記厚み方向と直交する方向の中央部において、前記第1拡散室および前記第2拡散室とは別に設けられ、ラジカル化した第3ガスを流通させる中央供給室と、
前記吐出面の中央部に設けられ、前記中央供給室に連通して前記第3ガスを吐出する1以上の第3吐出口と、を含む、
基板処理装置。
【請求項11】
基板を処理する処理容器と、
前記処理容器に複数種類のガスを供給するガス供給部と、
前記ガス供給部に接続され、前記複数種類のガスの各々を前記処理容器の内部に吐出可能なシャワーヘッドと、を含む基板処理装置の基板処理方法であって、
前記シャワーヘッドの構造体の内部において当該構造体の厚み方向と直交する方向に広がる第1拡散室において第1ガスを拡散し、前記構造体の吐出面に設けられ前記第1拡散室に連通する複数の第1吐出口から前記第1ガスを吐出する工程と、
前記構造体の内部において前記厚み方向に前記第1拡散室と隣接しかつ当該第1拡散室から独立して設けられた第2拡散室において第2ガスを拡散し、前記第1拡散室に配置された複数の筒部の連通孔部を介して、前記吐出面において前記第1吐出口と異なる位置に設けられ前記連通孔部に連通する複数の第2吐出口から前記第2ガスを吐出する工程と、
前記構造体の前記厚み方向と直交する方向の中央部において、前記第1拡散室および前記第2拡散室とは別に設けられた中央供給室において、ラジカル化した第3ガスを流通させ、前記吐出面の中央部に設けられ前記中央供給室に連通する1以上の第3吐出口から前記第3ガスを吐出する工程と、を有する、
基板処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、シャワーヘッド、基板処理装置および基板処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、基板を収容する容器(処理容器)と、処理容器に2種類のガスを供給するガス供給部と、を備える成膜装置(基板処理装置)が開示されている。この基板処理装置のガス供給部は、クリーニングガス供給源を別に備え、リモートプラズマによりラジカル化したクリーニングガスを処理容器に供給して、処理容器内のクリーニングを行うように構成されている。
【0003】
また、特許文献2にも、クリーニングガスを処理容器内に供給してクリーニングを行う成膜装置(基板処理装置)が開示されている。クリーニングガスは、シャワーヘッド内において拡散されて複数の吐出孔から処理空間に吐出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2023‐25578号公報
【特許文献2】国際公開第2008/7675号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、ラジカル化されたガスの失活を抑制できる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様によれば、構造体と、前記構造体の内部において当該構造体の厚み方向と直交する方向に広がり、第1ガスを拡散する第1拡散室と、前記構造体の内部において前記厚み方向に前記第1拡散室と隣接しかつ当該第1拡散室から独立して設けられ、第2ガスを拡散する第2拡散室と、前記第1拡散室に配置され、前記第2拡散室に連通する連通孔部を内側に有する複数の筒部と、前記構造体の吐出面に設けられ、前記第1拡散室に連通して前記第1ガスを吐出する複数の第1吐出口と、前記吐出面において前記第1吐出口と異なる位置に設けられ、前記複数の筒部の連通孔部に連通して前記第2ガスを吐出する複数の第2吐出口と、前記構造体の前記厚み方向と直交する方向の中央部において、前記第1拡散室および前記第2拡散室とは別に設けられ、ラジカル化した第3ガスを流通させる中央供給室と、前記吐出面の中央部に設けられ、前記中央供給室に連通して前記第3ガスを吐出する1以上の第3吐出口と、を含む、シャワーヘッドが提供される。
【発明の効果】
【0007】
一態様によれば、ラジカル化されたガスの失活を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係るシャワーヘッドを有する基板処理装置を模式的に示す断面図である。
図2】第2拡散室を形成する拡散室用部材の鉛直方向上側を示す斜視図である。
図3】第1拡散室を形成する拡散室用部材の鉛直方向下側を反転して示す斜視図である。
図4】蓋体および導入構造体を示す斜視図である。
図5】基板処理方法の処理フローを示すフローチャートである。
図6図6(A)は、原料ガス供給ステップにおけるシャワーヘッドのメイン構造体におけるガスの流れを示す拡大断面図である。図6(B)は、反応ガス供給ステップにおけるシャワーヘッドのメイン構造体におけるガスの流れを示す拡大断面図である。
図7】クリーニング処理におけるメイン構造体のガスの流れを示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本開示を実施するための形態について説明する。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0010】
図1は、実施形態に係るシャワーヘッド50を有する基板処理装置1を模式的に示す断面図である。図1に示すように、基板処理装置1は、化学的気相成長法(Chemical Vapor Deposition:CVD)、若しくは原子層堆積法(Atomic Layer Deposition:ALD)により基板Wの表面に膜を成膜する装置に構成されている。基板処理が施される基板Wとしては、シリコンウエハまたは化合物半導体ウエハ等の半導体基板があげられる。
【0011】
具体的には、基板処理装置1は、処理容器10と、基板支持部20と、ガス供給部30と、ガス排気部40と、シャワーヘッド50と、を備える。さらに、基板処理装置1は、各構成を制御して基板処理を行う制御装置90を有する。
【0012】
処理容器10は、基板Wを収容および処理する内部空間10sを有する。例えば、処理容器10は、円筒状の側壁11aおよび正円形状の底壁11bが連続するように形成された側面断面視で凹状の容器本体11と、容器本体11の上側開放部を覆う蓋体12と、を含む。側壁11aの上端と蓋体12の下面とは、図示しないシール部材を挟んで気密に固定される。
【0013】
処理容器10(容器本体11、蓋体12)は、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金等の金属材料により形成される。なお、処理容器10は、これに限定されず、ステンレス鋼、低熱膨張金属または低熱膨張合金(インバー、アンバー)、低熱膨張セラミックス(無機材料)等の耐熱性が高い材料を適用してよい。また、処理容器10は、容器本体11や蓋体12の内部または周囲に、処理容器10を加熱する図示しない加熱体を備えてもよい。
【0014】
さらに、基板処理装置1は、処理容器10の側壁11aの所定位置に、基板Wを搬入出するための搬入出口15と、搬入出口15を開閉するゲートバルブ16と、を備える。
【0015】
一方、基板支持部20は、基板Wを直接保持するサセプタ21と、このサセプタ21を支持する支柱部材22と、処理容器10の外部において支柱部材22を支持するサセプタ動作機構23と、を有する。サセプタ21は、アルミニウム、ニッケル等の金属により構成され、処理容器10内で支柱部材22により支持されている。サセプタ21は、基板Wよりも一回り大きな正円形状に形成されており、基板Wを水平に支持する載置面21sを上面に有する。また、サセプタ21は、載置面21sに載置した基板Wを温調するための温調部21aをサセプタ21内に有する。温調部21aは、温調媒体が流通する流路やヒータ等を組み合わせて構成され、制御装置90の制御下に基板Wの温度を調整する。
【0016】
支柱部材22は、サセプタ21の底面中央に連結されている。支柱部材22は、処理容器10の底壁11bに形成された孔部を貫通して処理容器10の下方に延び、その下端がサセプタ動作機構23に接続されている。
【0017】
サセプタ動作機構23は、支柱部材22を介してサセプタ21を昇降および回転させる機能を有する。具体的には、サセプタ動作機構23は、基板Wの基板処理を行う処理位置と、処理位置の下方において基板Wの受け取りおよび受け渡しを行う搬送位置との間でサセプタ21を変位させる。サセプタ21が処理位置に上昇した際に、処理容器10の内部空間10sにおいてシャワーヘッド50とサセプタ21との間には、基板処理のための処理空間PSが形成される。また、サセプタ動作機構23は、基板Wの基板処理時にサセプタ21を回転させる。
【0018】
さらに、基板支持部20は、図示しない複数の支持ピンを昇降させるピン昇降機構を有する。ピン昇降機構は、サセプタ動作機構23によりサセプタ21が搬送位置に配置された状態で、制御装置90により昇降が制御されることで、搬入出口15を介して進退する図示しない搬送装置との間で基板Wの受け取りおよび受け渡しを行う。
【0019】
ガス供給部30は、処理容器10の外部からシャワーヘッド50を介して処理容器10の内部空間10s(処理空間PS)に複数種類のガスを供給する。ガス供給部30が供給するガスの種類は、基板Wに成膜する膜の種類に応じて適切なものが選択される。実施形態では、基板処理装置1は、基板処理によってポリ尿素膜を基板Wの表面に成膜する。この場合、ガス供給部30は、基板Wに吸着させる処理ガスであるイソシアネート基の化合物のガス(第1ガス:以下、原料ガスという)と、この原料ガスに反応する処理ガスであるアミン基の化合物のガス(第2ガス:以下、反応ガスという)と、を供給する。さらに、ガス供給部30は、処理容器10の内部をクリーニングするための処理ガスとして酸素(O)やオゾン(O)等のガス(第3ガス:以下、クリーニングガスという)を供給する。なお、基板Wに形成する膜は、この他にも金属膜、酸化金属膜、窒化金属膜、シリコン膜、酸化シリコン膜、窒化シリコン膜等であってよい。
【0020】
ガス供給部30は、制御装置90の制御下に、3種類のガス(原料ガス、反応ガス、クリーニングガス)を適宜のタイミングで供給する。このため、ガス供給部30は、シャワーヘッド50に対して別々に接続される原料ガス供給部31、反応ガス供給部32およびクリーニングガス供給部33を備える。
【0021】
原料ガス供給部31は、シャワーヘッド50に接続される原料ガス供給経路311を有する。また、原料ガス供給部31は、原料ガス供給経路311の上流端に原料ガス源312を備えると共に、原料ガス供給経路311の途中位置にバルブ313および流量調整器314を備える。制御装置90は、原料ガスの供給において、バルブ313を開放して原料ガス源312の原料ガスを原料ガス供給経路311に流出させ、また流量調整器314により原料ガスの流量を調整してシャワーヘッド50に供給する。
【0022】
反応ガス供給部32は、シャワーヘッド50に接続される反応ガス供給経路321を有する。また、反応ガス供給部32は、反応ガス供給経路321の上流端に反応ガス源322を備えると共に、反応ガス供給経路321の途中位置にバルブ323および流量調整器324を備える。制御装置90は、反応ガスの供給において、バルブ323を開放して反応ガス源322の反応ガスを反応ガス供給経路321に流出させ、また流量調整器324により反応ガスの流量を調整してシャワーヘッド50に供給する。
【0023】
クリーニングガス供給部33は、シャワーヘッド50に接続されるクリーニングガス供給経路331を有する。そして、クリーニングガス供給部33は、クリーニングガス供給経路331の上流端にクリーニングガス源332を備えると共に、クリーニングガス供給経路331の途中位置にバルブ333、流量調整器334およびリモートプラズマ装置335を備える。制御装置90は、クリーニングガスの供給において、バルブ333を開放してクリーニングガス源332の反応ガスをクリーニングガス供給経路331に流出させ、また流量調整器334によりクリーニングガスの流量を調整する。
【0024】
リモートプラズマ装置335は、処理容器10の外部においてクリーニングガスをラジカル化する処理である。例えば、リモートプラズマ装置335は、図示しないマイクロ波発生装置で発生したマイクロ波を導波管によりクリーニングガス供給経路331に連通するプラズマ生成室(不図示)に導き、そこに供給されたクリーニングガスをマイクロ波によりラジカル化する。さらに、リモートプラズマ装置335は、プラズマ生成室でラジカル化されたクリーニングガスを、蓋体12の中央部に設けられた導入管336に流入させて、導入管336からシャワーヘッド50に供給する。
【0025】
なお、ガス供給部30は、以上の3種類のガスの他に、パージガス等の別種類のガスを供給する構成でもよい。例えば、パージガスの供給経路は、図示しないパージガス源から原料ガス供給経路311や反応ガス供給経路321、クリーニングガス供給経路331に接続される。ガス供給部30は、制御装置90の制御下に、これらの供給経路を介してシャワーヘッド50にパージガスを供給する。
【0026】
ガス排気部40は、処理容器10の内部空間10sに供給された未反応のガス、およびガスの反応により生成された反応生成物等を排気ガスとして排気する。特に、実施形態に係るガス排気部40は、基板Wの上方かつ周方向の全周から排気ガスを均等に排気可能な構成としている。
【0027】
具体的には、ガス排気部40は、処理容器10(容器本体11)の側壁11aの上側に、排気口41と、排気口41に連通する環状の排気溝42とを有する。また、ガス排気部40は、排気溝42の内側を囲うと共に、排気溝42に連通する複数の孔を有するバッフル構造体43を備える。排気溝42は、基板支持部20により処理位置に配置された基板Wよりも高い位置に設けられる。ガス排気部40は、バッフル構造体43を通して処理空間PSの排気ガスを上方に誘導する。
【0028】
また、ガス排気部40は、処理容器10の外部において、排気口41に接続される排気経路45を有すると共に、この排気経路45に排気ガスを吸引する吸引機構46を備える。吸引機構46は、例えば、処理容器10内の圧力を調整するための圧力制御(APC)バルブ、処理ガスを吸引するターボ分子ポンプ、真空ポンプ等を適宜組み合わせて構成される。吸引機構46は、制御装置90の制御下に動作して、処理容器10内の排気ガスを導くための陰圧を付与する。これにより、基板処理において処理空間PSに存在する排気ガスは、バッフル構造体43の各孔を通して排気溝42に流入し、排気溝42から排気口41に移動して排気経路45に流出する。この排気ガスは、排気経路45から吸引機構46を通って図示しない廃棄部に排出される。
【0029】
一方、基板処理装置1のシャワーヘッド50は、蓋体12に固定され、処理容器10の処理空間PS(内部空間10s)にガス供給部30から供給されたガスを供給する。シャワーヘッド50は、蓋体12の下面に固定されるメイン構造体51と、蓋体12の上面に固定される導入構造体52と、を含む。すなわち、メイン構造体51は、処理容器10の内部に配置される構造体であり、導入構造体52は、処理容器10の外部に配置される構造体である。
【0030】
メイン構造体51は、基板処理において、処理容器10の内部のサセプタ21に載置された基板Wに対して、原料ガスや反応ガスを拡散して供給する。また、メイン構造体51は、処理容器10の内部をクリーニングするクリーニング処理において、処理容器10(蓋体12)の中央部からラジカル化したクリーニングガスを供給することで、サセプタ21およびその周辺のクリーニングを行う。
【0031】
具体的には、メイン構造体51は、円盤状に形成された2つの部材(拡散室用部材60、吐出用部材70)を鉛直方向に組み付けた積層構造に構成されている。拡散室用部材60は、蓋体12および吐出用部材70の積層によって、原料ガスの拡散室と反応ガスの拡散室を分離して形成する部材である。吐出用部材70は、拡散室用部材60よりもサセプタ21に近接する位置に配置され、各種のガスを吐出するための部材である。なお、メイン構造体51は、2つの部材を組み付ける構成に限らず、例えば、図示しない造形装置等を用いて三次元造形(一例として積層造形)を行うことで、1つの部材に一体成形されてもよい。
【0032】
蓋体12、拡散室用部材60および吐出用部材70を組み付けた状態で、メイン構造体51は、原料ガスを拡散する第1拡散室53、および反応ガスを拡散する第2拡散室54を内部に形成する。第1拡散室53および第2拡散室54は、鉛直方向に隣接しながら、互いに独立して(非連通に)設けられる。具体的には、第1拡散室53は、第2拡散室54よりも鉛直方向下側に配置される。
【0033】
第1拡散室53は、拡散室用部材60の吐出用部材70と対向する側(鉛直方向下側)の面が当該吐出用部材70と密接することにより形成される。第1拡散室53は、メイン構造体51の内部において当該メイン構造体51の厚み方向(鉛直方向)と直交する水平方向に広がっている。第1拡散室53には、拡散室用部材60に形成された複数の供給用筒部64の供給孔部641を介して原料ガスが供給される。第1拡散室53は、供給された原料ガスを水平方向に向かって流動させることで、この原料ガスを拡散する。
【0034】
第2拡散室54は、拡散室用部材60の蓋体12と対向する側(鉛直方向上側)の面が当該蓋体12と密接することにより形成される。第2拡散室54は、メイン構造体51の内部において当該メイン構造体51の厚み方向(鉛直方向)と直交する水平方向に広がっている。第2拡散室54には、蓋体12に形成された複数の第2蓋体側流路12bを介して、反応ガスが供給される。第2拡散室54は、供給された反応ガスを水平方向に向かって流動させることで、この反応ガスを拡散する。
【0035】
ただし、メイン構造体51(拡散室用部材60)の水平方向中央部は、第2拡散室54とは別に、クリーニングガスを供給するための中央供給室55となっている。中央供給室55は、蓋体12の中央部に設けられた導入管336の流路に連通し、導入管336からクリーニングガスが供給される。
【0036】
以下、上記の第1拡散室53、第2拡散室54および中央供給室55を形成する拡散室用部材60の具体的な構成について、図2および図3を参照しながら説明する。図2は、第2拡散室54を形成する拡散室用部材60の鉛直方向上側を示す斜視図である。図3は、第1拡散室53を形成する拡散室用部材60の鉛直方向下側を反転して示す斜視図である。
【0037】
図2に示すように、拡散室用部材60は、鉛直方向上側の面に第2拡散室用凹部60bを有する。第2拡散室用凹部60bは、拡散室用部材60が蓋体12に固定(密閉)されることに伴って、第2拡散室54を形成する。第2拡散室用凹部60bは、環状に周回する拡散室用部材60の外縁部61と、拡散室用部材60の厚み方向中間を延在する底部62と、によって形成されている。外縁部61の上面(突出端面)は、蓋体12に面接触可能な平坦状に形成されている。なお、図示は省略するが、外縁部61には、周方向に沿って蓋体12に対して螺合するための複数のネジ孔が設けられている。また、蓋体12と外縁部61との間には、図示しないシール部材が配置され、シール部材を挟み込むことで気密性を高めてもよい。
【0038】
そして、拡散室用部材60は、第2拡散室用凹部60b内の底部62に、無端状に周回する隔壁63と、複数の供給用筒部64と、複数の伝熱用突起65と、複数の固定用筒部66と、を備える。隔壁63、各供給用筒部64、各伝熱用突起65、各固定用筒部66の各々は、底部62から外縁部61の上面と同じ高さ(相互に同じ高さ)に形成されている。したがって、蓋体12と外縁部61とが接触した状態で、隔壁63、各供給用筒部64、各伝熱用突起65、各固定用筒部66は蓋体12の下面にそれぞれ接触した状態となる。
【0039】
隔壁63は、第2拡散室用凹部60bの中央部に設けられ、第2拡散室54と中央供給室55とを区画する。隔壁63の内側には、供給室用凹部63aが形成されている。供給室用凹部63aは、拡散室用部材60が蓋体12に固定されることに伴って、中央供給室55を形成する。
【0040】
この隔壁63は、平面視で、曲率半径が大きい丸角を有する略方形状に形成されている。隔壁63の上面には、周方向に沿って蓋体12に対して螺合するための複数のネジ孔632が設けられている。供給室用凹部63aを構成する底部62には、中央供給室55のクリーニングガスを鉛直方向下側に流通させる複数の中央孔部621が設けられている。各中央孔部621は、例えば、マトリックス状に配列されている。
【0041】
さらに、隔壁63は、第2拡散室用凹部60bと供給室用凹部63aとを連通する複数の横孔部631を有する。各横孔部631は、水平方向に延在し、また各中央孔部621の流路断面積よりも小さな流路断面積に設定されている。各横孔部631は、第2拡散室用凹部60bから供給室用凹部63aに向かって反応ガスが移動することを許容する。
【0042】
各供給用筒部64は、蓋体12を通して供給される原料ガスを第1拡散室53に流通させる。各供給用筒部64は、その内側に軸方向(鉛直方向)に沿って延在する供給孔部641を有している。各供給孔部641は、拡散室用部材60の底部62を貫通して第1拡散室53に連通している。各供給孔部641は、例えば、上記の各中央孔部621よりも大きな直径(または同径)に形成されている。
【0043】
各伝熱用突起65は、蓋体12に接触することで、蓋体12の熱を底部62および吐出用部材70に伝達する。すなわち、蓋体12は、制御装置90の制御下に温度が調整される図示しない温調部を有しており、処理容器10に供給される原料ガス、反応ガス等の温度を調整可能に構成されている。各伝熱用突起65は、熱伝導率が高い材料により形成され、円柱形状を呈している。なお、各伝熱用突起65は、外縁部61や底部62と同じ材料により一体成形されたものでもよい。各伝熱用突起65は、温調された蓋体12に接触していることで、蓋体12の温度をスムーズに伝達できる。
【0044】
各固定用筒部66は、拡散室用部材60を蓋体12にネジ止めするための構造部であり、その内側にネジ穴661を有する。各固定用筒部66は、第2拡散室用凹部60b内の水平方向に分散して配置される。これにより、拡散室用部材60は、蓋体12に対して面方向(水平方向)に略均一な締結力で固定されるようになり、気密性や伝熱性を一層向上させることができる。
【0045】
そして、拡散室用部材60は、外縁部61と隔壁63との間の底部62に、第2拡散室54(第2拡散室用凹部60b)に供給された反応ガスを流出させる複数の連通孔部622を有する。各連通孔部622は、各供給用筒部64、各伝熱用突起65、各固定用筒部66の間に配置され、各供給用筒部64、各伝熱用突起65および各固定用筒部66の合計数よりも多く設けられている。また、各連通孔部622の直径は、中央孔部621の直径よりも小さく形成されている。このように、各連通孔部622が多数かつ小径に形成されていることで、第2拡散室54内において反応ガスを充分に拡散しながら各連通孔部622から反応ガスを流出できる。
【0046】
図3に示すように、拡散室用部材60は、鉛直方向下側の面に、第1拡散室用凹部60aを有する。第1拡散室用凹部60aは、拡散室用部材60が吐出用部材70に固定(密閉)されることに伴って、第1拡散室53を形成する。第1拡散室用凹部60aは、環状に周回する拡散室用部材60の外縁部67と、上記した底部62とによって構成される。外縁部67の下面(突出端面)は、吐出用部材70に面接触可能な平坦状に形成されている。なお、図示は省略するが、外縁部67にも、周方向に沿って吐出用部材70に対して螺合するための複数のネジ孔が設けられている。また、外縁部67と吐出用部材70との間には、図示しないシール部材が配置され、シール部材を挟み込むことで気密性を高めてもよい。あるいは、拡散室用部材60と吐出用部材70とは、溶着等の連結手段によって一体化されてもよい。
【0047】
そして、拡散室用部材60は、第1拡散室用凹部60a内の底部62に、複数の通過用筒部68を備える。各通過用筒部68は、底部62から外縁部67の下面と同じ高さで(相互に同じ高さで)起立している。したがって、吐出用部材70と外縁部67とが接触した状態で、各通過用筒部68は、吐出用部材70の上面にそれぞれ接触した状態となる。
【0048】
各通過用筒部68は、第1拡散室53に対して隔離されており、第2拡散室54の反応ガスを吐出用部材70に導く構造部である。各通過用筒部68は、第1拡散室用凹部60a内において、相互に一定の間隔を開けて配置されている。第1拡散室用凹部60aに流入した原料ガスは、各通過用筒部68の周囲に広がるように拡散する。各通過用筒部68は、例えば、第1方向に複数並ぶと共に、この第1方向と直交する第2方向に複数並ぶマトリックス状に配列されている。なお、各通過用筒部68の配置は、図示例に限定されず、任意に設計してよい。
【0049】
各通過用筒部68は、その内側に上記した中央孔部621を有する筒部(以下、中央筒部681という)と、その内側に上記した連通孔部622を有する筒部(以下、流出用筒部682)とがある。
【0050】
中央筒部681は、第1拡散室用凹部60aの中央部に複数設けられており、ちょうど反対面側(鉛直方向上側)の供給室用凹部63aに重なる位置に配置されている。各中央筒部681の中央孔部621は、鉛直方向に貫通していることで、反対面側の供給室用凹部63a(中央供給室55)に連通している。また上記したように、各中央筒部681の中央孔部621の直径は、連通孔部622の直径よりも大きく形成されていることで、クリーニングガスをスムーズに流通可能としている。
【0051】
流出用筒部682は、各中央筒部681の周囲に複数設けられており、ちょうど反対面側の第2拡散室用凹部60bに重なる位置に配置されている。各流出用筒部682の連通孔部622は、鉛直方向に貫通していることで、反対面側の第2拡散室用凹部60b(第2拡散室54)に連通している。
【0052】
第1拡散室用凹部60aの底部には、第2拡散室用凹部60bの各供給用筒部64の供給孔部641が連通している。各供給孔部641は、各供給用筒部64の配置に応じて、各中央筒部681の近くにそれぞれ設けられている。第1拡散室用凹部60aは、各供給孔部641から流入した原料ガスを水平方向に拡散することで、吐出用部材70を介して原料ガスを均等に流出させることができる。
【0053】
図1に戻り、シャワーヘッド50の吐出用部材70は、拡散室用部材60よりも薄い円盤状に形成されている。吐出用部材70は、拡散室用部材60に密接する接合面を上面に備えると共に、処理容器10内でサセプタ21の載置面21sに対向する下面を備える。この下面は、ガスを吐出する吐出面70sとなっている。
【0054】
吐出用部材70の吐出面70sは、原料ガスを吐出する複数の第1吐出口71と、反応ガスを吐出する複数の第2吐出口73と、クリーニングガスを吐出する複数の第3吐出口75と、を備える。
【0055】
各第1吐出口71は、吐出用部材70の内部を厚み方向に延在する各第1路72にそれぞれ連通している。各第1路72は、吐出用部材70の上面において、拡散室用部材60と吐出用部材70との間に形成された第1拡散室53に連通している。各第1路72は、第1拡散室53の各通過用筒部68同士の間(例えば、マトリックス状に配列され相互に隣接し合う各通過用筒部68の中間位置)に配置される。これにより、各第1路72もマトリックス状に配列される。各第1路72は、第1拡散室53に供給された原料ガスを通過させることで、各第1吐出口71から原料ガスを吐出する。
【0056】
各第2吐出口73は、吐出用部材70の内部を厚み方向に延在する各第2路74にそれぞれ連通している。各第2路74は、吐出用部材70の上面において、複数の流出用筒部682(通過用筒部68の一部)の連通孔部622に連通している。各第2路74は、各流出用筒部682の配列に応じてマトリックス状に配列される。各第2路74の直径は、各連通孔部622の直径よりも小さく設定されている。これにより、拡散室用部材60と吐出用部材70と組み付けにおいて、各連通孔部622と各第2路74とを安定して連通させることができる。連通孔部622および各第2路74は、第2拡散室54に供給された反応ガスを通過させることで、各第2吐出口73から反応ガスを吐出する。
【0057】
各第3吐出口75は、吐出用部材70の内部を厚み方向に延在する各第3路76にそれぞれ連通している。各第3路76は、吐出用部材70の上面において、複数の中央筒部681(通過用筒部68の一部)の中央孔部621に連通している。各第3路76は、各中央筒部681の配列に応じてマトリックス状に配列される。各第3路76の直径は、各中央孔部621直径以下に設定されている。これにより、拡散室用部材60と吐出用部材70と組み付けにおいて、各中央孔部621と各第3路76とを安定して連通させることができる。ただし、第3路76の直径は、第1路72の直径や第2路74の直径よりも大きくてよい。これにより、中央孔部621および各第3路76は、中央供給室55のラジカル化したクリーニングガスを失活させずに通過させることができる。
【0058】
また、シャワーヘッド50の導入構造体52は、蓋体12の上面において原料ガスおよび反応ガスを複数箇所に分配する機能を有している。蓋体12は、メイン構造体51の各供給用筒部64の供給孔部641に連通する複数の第1蓋体側流路12a、および第2拡散室54に連通する複数の第2蓋体側流路12bを備えている。各第1蓋体側流路12aは、蓋体12の中央部の導入管336の近傍位置に設けられ、各第2蓋体側流路12bは、各第1蓋体側流路12aよりも径方向外側の位置に設けられる。
【0059】
導入構造体52は、各第1蓋体側流路12aに原料ガスを供給し、各第2蓋体側流路12bに反応ガスを供給する。次に、導入構造体52の構成について図4を参照しながら説明する。図4は、蓋体12および導入構造体52を示す斜視図である。
【0060】
導入構造体52は、蓋体12の中央部に設けられたクリーニングガスの導入管336の周囲を囲うように固定される。導入構造体52は、蓋体12上において平面視で略方形状に形成された中央部位80と、この中央部位80に連なり径方向外側に向かって延在する接続部位81とを有している。
【0061】
導入構造体52は、接続部位81の延在端部に原料ガスの導入ポート82および反応ガスの導入ポート83を備えている。原料ガスの導入ポート82には、ガス供給部30の原料ガス供給経路311(図1参照)の配管が接続される。反応ガスの導入ポート83には、ガス供給部30の反応ガス供給経路321(図1参照)の配管が接続される。導入構造体52の中央部位80および接続部位81の内部には、導入ポート82に連通して原料ガスが流通する第1流路84と、導入ポート83に連通して反応ガスが流通する第2流路85とが設けられている。
【0062】
第1流路84は、接続部位81内を延在する第1統合流路841を有する。また、第1流路84は、中央部位80において第1統合流路841から2つに分岐する第1分岐流路842を有する。第1流路84は、各第1分岐流路842が導入管336を回り込むように延在させており、導入管336の近くにおいてさらに2つに分岐する第1詳細分岐流路843を有する。2つの第1分岐流路842は、互いに同じ流路形状(長さおよび流路断面積を含む)に形成され、また4つの第1詳細分岐流路843も、互いに同じ流路形状(長さおよび流路断面積を含む)に形成される。これにより、第1流路84は、導入管336の周囲において4つの導入ラインに均等に原料ガスを分散して、蓋体12内の4つの第1蓋体側流路12aに原料ガスを均等に導入できる。
【0063】
同様に、第2流路85は、接続部位81内を延在する第2統合流路851を有する。また、第2流路85は、中央部位80において第2統合流路851から2つに分岐する第2分岐流路852を有する。第2流路85は、各第2分岐流路852が導入管336を回り込むように延在させており、導入管336の近くかつ第1詳細分岐流路843よりも径方向外側において、さらに2つに分岐する第2詳細分岐流路853を有する。2つの第2分岐流路852は、互いに同じ流路形状(長さおよび流路断面積を含む)に形成され、また4つの第2詳細分岐流路853も、互いに同じ流路形状(長さおよび流路断面積を含む)に形成される。これにより、第2流路85も、導入管336の周囲において4つの導入ラインに均等に原料ガスを分散して、蓋体12内の4つの第2蓋体側流路12bに原料ガスを均等に導入できる。
【0064】
本実施形態に係る基板処理装置1は、基本的には以上のように構成され、以下その動作について、図5を参照しながら説明する。図5は、基板処理方法の処理フローを示すフローチャートである。
【0065】
基板処理装置1は、制御装置90の制御下に、処理容器10において搬送位置に配置したサセプタ21に基板Wを搬送する。その後、制御装置90は、サセプタ21を上昇させて処理位置に配置した後に、基板Wを成膜する成膜方法(基板処理方法)を実施する。
【0066】
基板処理方法において、制御装置90は、図5に示すステップS1~S5を実行する。まず、制御装置90は、ガス供給部30を制御して処理容器10内に原料ガスを供給する原料ガス供給ステップ(ステップS1)を行う。なお原料ガス供給ステップにおいて、制御装置90は、ガス排気部40により処理容器10内の排気ガスを排出することで、処理容器10内の圧力を調整する。また原料ガス供給ステップにおいて、制御装置90は、基板支持部20によりサセプタ21を回転させる、処理容器10の温度やサセプタ21の温度を目標温度に調整する等の処理を合わせて行う。これら排気制御や回転制御、温調制御は、ステップS2以降でも同様に行われる。
【0067】
制御装置90は、原料ガス供給部31のバルブ313を開放して原料ガス源312の原料ガスを原料ガス供給経路311に流出させ、流量調整器314で流量を調整しながらシャワーヘッド50の導入構造体52に原料ガスを流入させる。導入構造体52において、原料ガスは、第1流路84内を分岐しながら通過して、蓋体12の内部(各第1蓋体側流路12a)に流入する。
【0068】
図6(A)は、原料ガス供給ステップにおけるシャワーヘッド50のメイン構造体51におけるガスの流れを示す拡大断面図である。図6(A)に示すように、原料ガスは、蓋体12の各第1蓋体側流路12aからメイン構造体51の各供給用筒部64の供給孔部641に流入する。各供給用筒部64は、蓋体12に対して気密に接触していることで、第2拡散室54と隔離されており、原料ガスが第2拡散室54に漏出することを防止できる。そして、原料ガスは、各供給孔部641を通して、拡散室用部材60と吐出用部材70との間に形成されている第1拡散室53に流入する。
【0069】
第1拡散室53において、原料ガスは、複数の通過用筒部68の間を流れて水平方向に拡散する。原料ガスは、第1拡散室53に連通している吐出用部材70の各第1路72に流入すると、各第1路72を通して吐出面70sの各第1吐出口71から処理空間PS内に吐出される。シャワーヘッド50は、上記のように原料ガスを流通させることによって、吐出面70sの各第1吐出口71から均等に原料ガスを吐出できる。その結果、処理空間PSに吐出された原料ガスは、シャワーヘッド50の鉛直方向下側に配置されている基板Wの全面に対して均一に供給され、基板Wの表面に吸着されるようになる。制御装置90は、予め設定された期間にわたって原料ガス供給ステップを行うと、この原料ガス供給ステップを終了する。
【0070】
図5に戻り、制御装置90は、次にガス供給部30を制御して処理容器10内に反応ガスを供給する反応ガス供給ステップ(ステップS2)を行う。制御装置90は、反応ガス供給部32のバルブ323を開放して反応ガス源322の反応ガスを反応ガス供給経路321に流出させ、流量調整器324で流量を調整しながらシャワーヘッド50の導入構造体52に反応ガスを流入させる。導入構造体52において、反応ガスは、第2流路85内を分岐しながら通過して蓋体12の内部(各第2蓋体側流路12b)に流入する。
【0071】
図6(B)は、反応ガス供給ステップにおけるシャワーヘッド50のメイン構造体51におけるガスの流れを示す拡大断面図である。図6(B)に示すように、反応ガスは、蓋体12の各第2蓋体側流路12bから蓋体12と拡散室用部材60との間の第2拡散室54に流入する。第2拡散室54において、反応ガスは、各供給用筒部64、各伝熱用突起65、各固定用筒部66の間を流れて水平方向に拡散する。そして、反応ガスは、第2拡散室54に連通している各連通孔部622に流入する。
【0072】
各連通孔部622に流入した反応ガスは、第2拡散室54側において各通過用筒部68(各流出用筒部682)内を通過する。各流出用筒部682は、吐出用部材70に対して気密に接触していることで、第1拡散室53と隔離されており、反応ガスが第1拡散室53に漏出することを防止できる。反応ガスは、各第2路74を通して吐出面70sの各第2吐出口73から処理空間PS内に吐出される。
【0073】
また、第2拡散室54において拡散した反応ガスの一部は、隔壁63の各横孔部631を通過して中央供給室55にも移動する。中央供給室55に移動した反応ガスは、さらに各中央孔部621に流入し、第2拡散室54側において各通過用筒部68(各中央筒部681)内を通過する。各中央筒部681も、吐出用部材70に対して気密に接触していることで、第1拡散室53と隔離されており、反応ガスが第1拡散室53に漏出することを防止できる。そして、反応ガスは、各第3路76を通して吐出面70sの各第3吐出口75から処理空間PS内に吐出される。
【0074】
このようにシャワーヘッド50は、吐出面70sの各第2吐出口73および各第3吐出口75から反応ガスを吐出することで、鉛直方向下側に配置されている基板Wの全面に対して反応ガスを均一に供給できる。この反応ガスは、基板Wに吸着している原料ガスと反応することで、原料ガスを適切に改質することが可能となる。制御装置90は、予め設定された期間にわたって反応ガス供給ステップを行うと、この反応ガス供給ステップを終了する。
【0075】
図5に戻り、制御装置90は、反応ガス供給ステップの後、基板処理を終了するか否かを判定する(ステップS3)を行う。例えば、制御装置90は、基板処理(原料ガス供給ステップおよび反応ガス供給ステップ)の回数をカウントし、レシピに応じた回数だけ基板処理を実施したか否かを判定する。そして、基板処理を継続する場合(ステップS3:NO)には、ステップS1に戻り以下同様の処理を繰り返す。一方、基板処理を終了する場合(ステップS3:NO)には、ステップS4に進む。
【0076】
ステップS4において、制御装置90は、処理容器10内のクリーニング処理を実施するか否かを判定する。例えば、制御装置90は、クリーニング処理を行うための基板処理の期間閾値を予め保有しており、基板処理のトータルの実施期間が期間閾値に達した場合にクリーニング処理の実施を判定する。制御装置90は、クリーニング処理を実施する場合(ステップS4:YES)には、ステップS5に進む一方で、クリーニング処理を実施しない場合(ステップS4:NO)には、ステップS5を飛ばして処理を終了する。
【0077】
ステップS5のクリーニング処理において、制御装置90は、クリーニングガス供給部33のバルブ333を開放してクリーニングガス源332のクリーニングガスをクリーニングガス供給経路331に流出させ、流量調整器334で流量を調整しながらリモートプラズマ装置335に流入させる。リモートプラズマ装置335は、制御装置90の制御下にプラズマを発生させて、クリーニングガスをラジカル化させる。ラジカル化したクリーニングガスは、リモートプラズマ装置335の下流の導入管336を介して蓋体12内に流通し、シャワーヘッド50の中央供給室55に流入する。
【0078】
図7は、クリーニング処理におけるメイン構造体51のガスの流れを示す拡大断面図である。図7に示すように、中央供給室55に流入したクリーニングガスは、中央供給室55を鉛直方向下側に移動して各中央孔部621に流入し、各通過用筒部68(各中央筒部681)内を通過する。そして、クリーニングガスは、各第3路76を通して吐出面70sの各第3吐出口75から処理空間PS内に吐出される。
【0079】
ラジカル化したクリーニングガスは、シャワーヘッド50を直線状に流通して、吐出面70sの中央部から吐出される。この際、中央供給室55、中央孔部621および第3路76は、クリーニングガスのラジカルの失活を大幅に抑制して、ラジカル化したクリーニングガスを処理空間PSに導く。ラジカル化したクリーニングガスは、処理空間PSの中央部から径方向に拡散する。処理容器10では原料ガスや反応ガスの残渣が中央部に多く存在しており、ラジカル化したクリーニングガスを中央部に供給することで、この部分を効果的にクリーニングできる。特に、各中央孔部621は、各連通孔部622よりも大きな直径に形成されており、クリーニングガスがシャワーヘッド50に接触してラジカルが失活する機会を少なくすることができる。
【0080】
また、クリーニングガスが中央供給室55に供給される際に、反応ガス供給経路321のバルブ323の閉塞に伴い、第2拡散室54に反応ガスが停滞していることで、各横孔部631からのクリーニングガスの流入が抑制される。仮に、クリーニングガスが第2拡散室54に流入したとしても、その量は僅かになり、またラジカルは失活することになる。なお、クリーニング処理において、制御装置90は、第2拡散室54にパージガス等を供給することで、第2拡散室54の内圧を中央供給室55の内圧以上に調整してもよい。これにより、第2拡散室54に対するクリーニングガスの流入を阻止できる。
【0081】
以上のように、基板処理装置1は、原料ガスおよび反応ガスを均等に供給することにより、基板Wに成膜する膜の膜厚分布を改善することができる。また、基板処理装置1は、第1拡散室53および第2拡散室54を分離していることで、第1拡散室53からの原料ガスの吐出や第2拡散室54からの反応ガスの吐出に勢いをつけることができ、逆拡散を防いで、原料ガスや反応ガスの残渣をなくすことが可能となる。さらに、基板処理装置1は、ラジカル化したクリーニングガスを殆ど失活せずに処理空間PSに供給できるので、クリーニング時間を短くすることが可能となる。
【0082】
なお、基板処理装置1、シャワーヘッド50および基板処理方法は、以上の実施形態に限定されず、種々の変形例をとり得る。例えば、上記の実施形態では第1拡散室53に原料ガスを供給する一方で、第2拡散室54に反応ガスを供給する構成としたが、シャワーヘッド50は、ガスの供給先は逆であってもよい。つまり、基板処理装置1は、第1拡散室53に反応ガスを供給する一方、第2拡散室54に原料ガスを供給してもよい。
【0083】
また例えば、シャワーヘッド50は、吐出面70sの中央部に1つの大きな開口(第3吐出口75)を備え、中央供給室55からこの開口に直接(複数の孔部を介さずに)クリーニングガスを供給してもよい。
【0084】
以上の実施形態で説明した本開示の技術的思想および効果について以下に記載する。
【0085】
本開示の第1の態様に係るシャワーヘッド50は、構造体(メイン構造体51)と、構造体の内部において当該構造体の厚み方向と直交する方向に広がり、第1ガス(原料ガス)を拡散する第1拡散室53と、構造体の内部において厚み方向に第1拡散室53と隣接しかつ当該第1拡散室53から独立して設けられ、第2ガス(反応ガス)を拡散する第2拡散室54と、第1拡散室53に配置され、第2拡散室54に連通する連通孔部622を内側に有する複数の筒部(流出用筒部682)と、構造体の吐出面70sに設けられ、第1拡散室53に連通して第1ガスを吐出する複数の第1吐出口71と、吐出面70sにおいて第1吐出口71と異なる位置に設けられ、複数の筒部の連通孔部622に連通して第2ガスを吐出する複数の第2吐出口73と、構造体の厚み方向と直交する方向の中央部において、第1拡散室53および第2拡散室54とは別に設けられ、ラジカル化した第3ガス(クリーニングガス)を流通させる中央供給室55と、吐出面70sの中央部に設けられ、中央供給室55に連通して第3ガスを吐出する1以上の第3吐出口75と、を含む。
【0086】
上記によれば、シャワーヘッド50は、ラジカル化した第3ガス(クリーニングガス)を中央部からスムーズに吐出することができ、ラジカルの失活を抑制できる。これにより、シャワーヘッド50は、ラジカル化した第3ガスを対象に安定して供給できる。例えば、ラジカル化した第3ガスを用いて処理容器10内のクリーニング処理を行う場合に、ラジカル化した第3ガスが処理容器10内の残渣を良好に除去し、当該クリーニング処理を効率的に実施できる。
【0087】
また、構造体(メイン構造体51)は、第2拡散室54に隣接する位置に中央供給室55を配置しており、当該第2拡散室54と当該中央供給室55を隔てる隔壁63を有する。これにより、シャワーヘッド50は、第1拡散室53、第2拡散室54および中央供給室55を適切に区分けした構造となり、第2ガスおよび第3ガスを安定して供給できる。
【0088】
また、隔壁63は、第2拡散室54と中央供給室55を連通する1以上の横孔部631を有する。これにより、シャワーヘッド50は、第2拡散室54と中央供給室を連通することができ、第2拡散室54の第2ガスを中央供給室に流通させて、第3吐出口75から第2ガスを吐出できる。その結果、基板処理の面内均一性を高めることができる。
【0089】
また、中央供給室55は、第1拡散室53に配置される複数の中央筒部681の中央孔部621に連通し、複数の中央筒部681の中央孔部621の直径は、複数の筒部(流出用筒部682)の連通孔部622の直径よりも大きい。これにより、シャワーヘッド50は、ラジカル化した第3ガスが中央孔部621において失活することを抑制して、第3吐出口75から吐出することが可能となる。
【0090】
また、構造体(メイン構造体51)は、第1ガス、第2ガスおよび第3ガスが通過する部材(蓋体12)に固定される拡散室用部材60と、拡散室用部材60に固定され、吐出面70sを有する吐出用部材70と、を積層して構成される。これにより、シャワーヘッド50は、構造体の内部に、第1拡散室53、第2拡散室54および中央供給室55を簡単に形成できるようになる。
【0091】
また、拡散室用部材60は、第1拡散室53を形成する第1拡散室用凹部60aを一方面に有すると共に、第2拡散室54を形成する第2拡散室用凹部60bを他方面に有する。これにより、シャワーヘッド50は、蓋体12、拡散室用部材60および吐出用部材70を積層することで、各拡散室を簡単に形成できる。
【0092】
また、拡散室用部材60は、吐出用部材70に対向する面に第1拡散室用凹部60aを有し、第1ガス、第2ガスおよび第3ガスが通過する部材(蓋体12)に対向する面に第2拡散室用凹部60bを有する。これにより、シャワーヘッド50は、拡散室用部材60と吐出用部材70の組み付けに伴い、吐出用部材70寄りに第1拡散室53を有し離れた位置に第2拡散室54を有する構成を形成できる。
【0093】
また、拡散室用部材60は、複数の筒部(流出用筒部682)を第1拡散室用凹部60aに有する一方で、第1拡散室53に連通して第1ガスを当該第1拡散室53に供給する供給孔部641を有する複数の供給用筒部64を第2拡散室用凹部60bに有する。これにより、シャワーヘッド50は、第1拡散室53に第1ガスを円滑に供給できると共に、第2拡散室54に第2ガスを円滑に供給できる。
【0094】
また、構造体(メイン構造体51)は、第1拡散室53と当該第2拡散室54とを隔てる底部62に熱を伝達する複数の伝熱用突起65を有する。これにより、シャワーヘッド50は、吐出面70s側の温度を効果的に調整可能となり、例えば、基板処理やクリーニング処理における面内均一性を高めることができる。
【0095】
また、本開示の第2の態様は、基板Wを処理する処理容器10と、処理容器10に複数種類のガスを供給するガス供給部30と、ガス供給部30に接続され、複数種類のガスの各々を処理容器10の内部に吐出可能なシャワーヘッド50と、を含む基板処理装置1であって、シャワーヘッド50は、構造体(メイン構造体51)と、構造体の内部において当該構造体の厚み方向と直交する方向に広がり、第1ガス(原料ガス)を拡散する第1拡散室53と、構造体の内部において厚み方向に第1拡散室53と隣接しかつ当該第1拡散室53から独立して設けられ、第2ガス(反応ガス)を拡散する第2拡散室54と、第1拡散室53に配置され、第2拡散室54に連通する連通孔部622を内側に有する複数の筒部(流出用筒部682)と、構造体の吐出面70sに設けられ、第1拡散室53に連通して第1ガスを吐出する複数の第1吐出口71と、吐出面70sにおいて第1吐出口71と異なる位置に設けられ、複数の筒部の連通孔部622に連通して第2ガスを吐出する複数の第2吐出口73と、構造体の厚み方向と直交する方向の中央部において、第1拡散室53および第2拡散室54とは別に設けられ、ラジカル化した第3ガス(クリーニングガス)を流通させる中央供給室55と、吐出面70sの中央部に設けられ、中央供給室55に連通して第3ガスを吐出する1以上の第3吐出口75と、を含む。
【0096】
また、本開示の第3の態様は、基板Wを処理する処理容器10と、処理容器10に複数種類のガスを供給するガス供給部30と、ガス供給部30に接続され、複数種類のガスの各々を処理容器10の内部に吐出可能なシャワーヘッド50と、を含む基板処理装置1の基板処理方法であって、シャワーヘッド50の構造体(メイン)の内部において当該構造体の厚み方向と直交する方向に広がる第1拡散室53において第1ガスを拡散し、構造体の吐出面70sに設けられ第1拡散室53に連通する複数の第1吐出口71から第1ガスを吐出する工程と、構造体の内部において厚み方向に第1拡散室53と隣接しかつ当該第1拡散室53から独立して設けられた第2拡散室54において第2ガスを拡散し、第1拡散室53に配置された複数の筒部(流出用筒部682)の連通孔部622を介して、吐出面70sにおいて第1吐出口71と異なる位置に設けられ連通孔部622に連通する複数の第2吐出口73から第2ガスを吐出する工程と、構造体の厚み方向と直交する方向の中央部において、第1拡散室53および第2拡散室54とは別に設けられた中央供給室55において、ラジカル化した第3ガスを流通させ、吐出面70sの中央部に設けられ中央供給室55に連通する1以上の第3吐出口75から第3ガスを吐出する工程と、を有する。これら第2の態様および第3の態様でも、ラジカル化した第3ガスの失活を抑制することができる。
【0097】
今回開示された実施形態に係るシャワーヘッド50、基板処理装置1および基板処理方法は、すべての点において例示であって制限的なものではない。実施形態は、添付の請求の範囲およびその主旨を逸脱することなく、様々な形態で変形および改良が可能である。上記複数の実施形態に記載された事項は、矛盾しない範囲で他の構成も取り得ることができ、また、矛盾しない範囲で組み合わせることができる。
【0098】
本開示の基板処理装置1は、Chemical Vapor Deposition(CVD)装置、Atomic Layer Deposition(ALD)装置、Capacitively Coupled Plasma(CCP)、Inductively Coupled Plasma(ICP)、Radial Line Slot Antenna(RLSA)、Electron Cyclotron Resonance Plasma(ECR)、Helicon Wave Plasma(HWP)のいずれのタイプの装置でも適用可能である。
【符号の説明】
【0099】
1 基板処理装置
10 処理容器
30 ガス供給部
50 シャワーヘッド
51 メイン構造体
53 第1拡散室
54 第2拡散室
55 中央供給室
622 連通孔部
682 流出用筒部
70s 吐出面
71 第1吐出口
73 第2吐出口
75 第3吐出口
W 基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7