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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172532
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】材料設計装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   H01F 1/057 20060101AFI20241205BHJP
   G06N 20/00 20190101ALI20241205BHJP
   G06F 18/27 20230101ALI20241205BHJP
   H01F 41/00 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
H01F1/057 170
G06N20/00 130
G06F18/27
H01F41/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023090314
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005083
【氏名又は名称】株式会社プロテリアル
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】弁理士法人平田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】重本 恭孝
(72)【発明者】
【氏名】西内 武司
【テーマコード(参考)】
5E040
【Fターム(参考)】
5E040AA04
5E040BD01
5E040CA01
(57)【要約】
【課題】優れた磁気特性を発揮しうる条件の推定が可能な材料設計装置及び方法を提供する。
【解決手段】材料設計装置1は、個々の試料を製造する際の製造条件の情報を含むプロセスデータ61、個々の試料の組成の情報を含む組成データ62、個々の試料の特性の情報を含む特性データ63、及び、個々の試料の組織の情報を含む組織データ64のうち、組織データ64を含む2つ以上のデータを用いて学習を行い、各データの相関性を表す回帰モデル33を作成する回帰モデル作成処理部25と、回帰モデル33を用いて、学習に用いたプロセスデータ61、組成データ62、特性データ63、または組織データ64のいずれかを推定する推定処理部26と、を備え、学習に用いる組織データ64は、主相粒の間に位置する粒界相の特徴量を示す粒界相特徴量データ642を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
個々の試料を製造する際の製造条件の情報を含むプロセスデータ、前記個々の試料の組成の情報を含む組成データ、前記個々の試料の特性の情報を含む特性データ、及び、前記個々の試料の組織の情報を含む組織データのうち、前記組織データを含む2つ以上のデータを用いて学習を行い、各データの相関性を表す回帰モデルを作成する回帰モデル作成処理部と、
前記回帰モデルを用いて、前記学習に用いた前記プロセスデータ、前記組成データ、前記特性データ、または前記組織データのいずれかを推定する推定処理部と、を備え、
前記学習に用いる前記組織データは、主相粒の間に位置する粒界相の特徴量を示す粒界相特徴量データを含む、
材料設計装置。
【請求項2】
前記粒界相の特徴量は、二粒子粒界の粒界幅の分布の情報を含む、
請求項1に記載の材料設計装置。
【請求項3】
前記粒界相の特徴量は、前記二粒子粒界の粒界幅の頻度ヒストグラムにおける、所定範囲の粒界幅に対応する頻度を含む、
請求項2に記載の材料設計装置。
【請求項4】
前記粒界相の特徴量は、前記二粒子粒界の粒界幅の頻度ヒストグラムを等間隔に分割して複数の階級を設定するにあたって、最も低い階級から6番目の階級が最頻値を示すように階級の幅を決定したときにおける、最も低い階級から1番目、2番目、および3番目の3つの階級の合計頻度を含む、
請求項3に記載の材料設計装置。
【請求項5】
個々の試料を製造する際の製造条件の情報を含むプロセスデータ、前記個々の試料の組成の情報を含む組成データ、前記個々の試料の特性の情報を含む特性データ、及び、前記個々の試料の組織の情報を含む組織データのうち、前記組織データを含む2つ以上のデータを用いて学習を行い、各データの相関性を表す回帰モデルを作成する回帰モデル作成工程と、
前記回帰モデルを用いて、前記学習に用いた前記プロセスデータ、前記組成データ、前記特性データ、または前記組織データのいずれかを推定する推定工程と、を備え、
前記学習に用いる前記組織データは、主相粒の間に位置する粒界相の特徴量を示す粒界相特徴量データを含む、
材料設計方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、材料設計装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
永久磁石においては、残留磁束密度Bや保磁力HcJが磁気特性の主な指標となっている。永久磁石である焼結磁石は、磁性結晶粒子である主相粒や、隣り合う主相粒の間に位置する粒界相である二粒子粒界等を有しており、これらの組織構造を調整することで良好な磁気特性を得ること等が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-183710号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、焼結磁石における二粒子粒界の厚さ等の粒界相の状態は均一ではなく、また、粒界相の状態は、プロセスや組成等により変化する。そのため、良好な磁気特性が得られるように、粒界相の状態を所望の状態にすることが可能な各種の条件を推定することが求められている。
【0005】
そこで、本発明は、優れた磁気特性を発揮しうる条件の推定が可能な材料設計装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決することを目的として、個々の試料を製造する際の製造条件の情報を含むプロセスデータ、前記個々の試料の組成の情報を含む組成データ、前記個々の試料の特性の情報を含む特性データ、及び、前記個々の試料の組織の情報を含む組織データのうち、前記組織データを含む2つ以上のデータを用いて学習を行い、各データの相関性を表す回帰モデルを作成する回帰モデル作成処理部と、前記回帰モデルを用いて、前記学習に用いた前記プロセスデータ、前記組成データ、前記特性データ、または前記組織データのいずれかを推定する推定処理部と、を備え、前記学習に用いる前記組織データは、主相粒の間に位置する粒界相の特徴量を示す粒界相特徴量データを含む、材料設計装置を提供する。
【0007】
また、本発明は、上記課題を解決することを目的として、個々の試料を製造する際の製造条件の情報を含むプロセスデータ、前記個々の試料の組成の情報を含む組成データ、前記個々の試料の特性の情報を含む特性データ、及び、前記個々の試料の組織の情報を含む組織データのうち、前記組織データを含む2つ以上のデータを用いて学習を行い、各データの相関性を表す回帰モデルを作成する回帰モデル作成工程と、前記回帰モデルを用いて、前記学習に用いた前記プロセスデータ、前記組成データ、前記特性データ、または前記組織データのいずれかを推定する推定工程と、を備え、前記学習に用いる前記組織データは、主相粒の間に位置する粒界相の特徴量を示す粒界相特徴量データを含む、材料設計方法を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、優れた磁気特性を発揮しうる条件の推定が可能な材料設計装置及び方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施の形態に係る材料設計装置の概略構成図である。
図2】磁化曲線の一例である。
図3】粒界相を説明する図である。
図4】(a)は粒界相の頻度ヒストグラムの一例を示す図であり、(b)は保磁力HcJとC1-3との関係を示す図である。
図5】全体データベースの一例を示す図である。
図6】(a)は、学習用データ抽出処理、(b)は回帰モデル作成処理、(c)は推定処理を説明する説明図である。
図7】本発明の一実施の形態に係る材料設計方法の制御フローを示すフロー図である。
図8】データ取得処理のフロー図である。
図9】特徴量抽出処理のフロー図である。
図10】(a)は回帰モデル作成処理、(b)は推定処理のフロー図である。
図11】(a)は変数設定画面の一例、(b)は評価値表示画面の一例を示す図である。
図12】特徴量抽出設定画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[実施の形態]
以下、本発明の実施の形態を添付図面にしたがって説明する。
【0011】
図1は、本実施の形態に係る材料設計装置1の概略構成図である。図1では、材料設計装置1に加えて、製造装置100、分析エリア110、及び製造装置用制御装置120もあわせて示している。
【0012】
(対象製品について)
本実施の形態では、製造する製品が永久磁石であり焼結磁石である場合について説明する。さらに詳細には、本実施の形態では、R-T-B系焼結磁石を製造対象とする場合について説明する。ただし、製造する製品はR-T-B系焼結磁石に限定されない。また、本実施の形態において、特性や組織を分析する試料は、最終的に製造される製品でなくともよく、半製品(中間製品)であってもよい。
【0013】
また、本実施の形態で特性(磁気特性)に用いるパラメータは、例えば、図2に示す磁化曲線において、永久磁石を着磁した後に外部磁界を減少させて0(ゼロ)にしたときに永久磁石に残留する磁束密度である残留磁束密度B、及び、さらに外部磁界を着磁時とは逆の方向に増加させて永久磁石の中に存在する磁束密度が0(ゼロ)となるときの外部磁界の強度である保磁力HcJである。なお、残留磁束密度Bや保磁力HcJに限らず、例えば、磁化曲線の角形性を示す指標として用いられる磁界Hなど他の磁気特性を特性のパラメータとして用いてもよい。
【0014】
(製造装置100及び製造装置用制御装置120)
製造装置100は、例えば永久磁石を製造する装置である。製造装置用制御装置120は、製造装置100への製造指示や各種設定を行うと共に、製造装置100での生産状況の監視や、生産時の各種データの収集等を行う装置であり、例えばパーソナルコンピュータにより構成されている。
【0015】
製造装置用制御装置120は、製造装置100からプロセスデータ61を受信すると共に、後述する分析エリア110から特性データ63、及び、SEM111により得た画像データ等の測定データ641を含む組織データ64を受信する。なお、製造装置100や分析エリア110と製造装置用制御装置120との間で、USBメモリ等の記憶媒体を用いてデータのやり取りを行ってもよい。また、製造装置用制御装置120が、設定情報や製造指示情報等としてプロセス情報等を自身で保有している場合には、当該保有している情報をプロセスデータ61として取得するよう構成してもよい。また、組成データ62については、製造装置100側で入力されたデータを製造装置用制御装置120で受信してもよいし、製造装置用制御装置120で組成データ62の情報を入力してもよく、さらには、材料設計装置1に直接組成データ62の情報を入力してもよい。製造装置用制御装置120は、受信した各データを材料設計装置1に送信する。各データの詳細については後述する。
【0016】
また、製造装置用制御装置120は、製造指示を製造装置100に出力可能に構成されており、材料設計装置1でプロセスを推定する場合において、推定したプロセスデータ61(後述する推定データ35)を製造装置100のプロセスに反映させることができるよう構成されている。なお、本実施の形態では、製造装置用制御装置120を介して各種データを材料設計装置1に送信するようにしたが、製造装置100や分析エリア110から直接材料設計装置1にデータを出力するよう構成してもよい。また、製造装置用制御装置120とは別に、機械学習に用いる各データを管理するための管理装置を設け、当該管理装置から材料設計装置1に各データを送信するように構成してもよい。
【0017】
(分析エリア110、及び組織データ64について)
分析エリア110は、製造装置100で製造した個々の試料の組織及び特性を分析するエリアである。分析エリア110では、個々の試料の組織及び特性を分析するための種々の装置を用いて、組織及び特性の分析が行われる。なお、分析エリア110の「エリア」は特定の場所を表すわけではなく、分析用の装置等をまとめた概念上の領域である。つまり、分析用の各装置は一か所にまとめて配置される必要はない。
【0018】
ここで、本実施の形態で組織データ64に用いるパラメータついて説明する。図3に示すように、R-T-B系焼結磁石では、磁性結晶粒子である主相粒と、主相粒の間に位置する粒界相とを有している。隣り合う主相粒の間に位置する粒界相は二粒子粒界相と呼称されており、3以上の主相粒に囲まれた粒界相は粒界三重点と呼称されている。R-T-B系焼結磁石では、主相粒は、主としてR14B化合物からなる。R14B化合物は高い飽和磁化と異方性磁界を持つ強磁性相であるから、主相粒の存在比率を高めること(すなわち粒界相の存在比率を低くすること)によって残留磁束密度Bを向上させることができる。
【0019】
ここで、二粒子粒界の粒界幅は、例えばSEM111(走査電子顕微鏡)による観察で得られた画像(以下、SEM画像)中で一様ではなく、場所によって異なっている。本発明者らの検討によれば、二粒子粒界の粒界幅の平均値が同じであっても、粒界幅の分布の仕方によって保磁力HcJが変化することがわかった。二粒子粒界相の粒界幅の分布(頻度ヒストグラム)の一例を図4(a)に示す。図4のように、頻度ヒストグラムの階級幅を0.01μmとした場合の各階級をC1~C20とする。この場合、最も低い階級から6番目の階級C6が最頻値を示すことになる。ここで、最も低い階級から1番目、2番目、および3番目の3つの階級C1,C2,C3の合計頻度C1-3を指標とすると、保磁力HcJとの関係は図4(b)のようになる。図4(b)より、保磁力HcJは、合計頻度C1-3の影響、すなわち二粒子粒界の粒界幅の分布の影響を受けているといえる。また、例えば二粒子粒界の粒界幅が全体的に大きい場合には相対的に主相粒の割合が少ないことになるため、二粒子粒界の粒界幅の分布は、残留磁束密度B等の他の特性にも影響を及ぼすと考えられる。
【0020】
そこで、本実施の形態では、組織データ64のパラメータとして、粒界相の特徴量を用いるようにした。粒界相の特徴量を示すデータを粒界相特徴量データ642と呼称する。そして、粒界相の特徴量としては、二粒子粒界の粒界幅の分布の情報を用いた。なお、これに限らず、例えば、粒界相の特徴量として、粒界相の各成分の構成割合等を用いてもよい。さらに、二粒子粒界の粒界幅の分布の情報としては、二粒子粒界の粒界幅の頻度ヒストグラム(図4(a)参照)における、所定範囲の粒界幅に対応する頻度(例えば、階級C1の頻度など)を用いるとよい。さらにまた、二粒子粒界の粒界幅の頻度ヒストグラムを等間隔に分割して複数の階級を設定するにあたって、最も低い階級から6番目の階級C6が最頻値を示すように階級の幅を決定したときにおける、最も低い階級から1番目、2番目、および3番目の3つの階級C1,C2,C3の合計頻度C1-3図4(b)の横軸)を、二粒子粒界の粒界幅の分布の情報を示すパラメータとして用いてもよい。
【0021】
(材料設計装置1)
図1に戻り、材料設計装置1は、少なくとも、制御部2と、記憶部3と、図示しない通信部とを有している。制御部2は、材料設計装置1の全体を統括的に制御しており、記憶部3は、制御部2による後述する各種処理に必要な情報等を記憶する。材料設計装置1は、例えば、サーバ装置等のコンピュータであり、CPU等の演算素子、RAMやROM等のメモリ、ハードディスク等の記憶装置、LANカード等の通信デバイスである通信インターフェースを備えている。
【0022】
制御部2は、設定処理部21、データ取得処理部22、特徴量抽出処理部23、学習用データ抽出処理部24、回帰モデル作成処理部25、推定処理部26、及び推定データ提示処理部27を有している。各部の詳細については後述する。
【0023】
記憶部3は、メモリや記憶装置の所定の記憶領域により実現されている。また、材料設計装置1は、表示器4と、入力装置5と、を有している。表示器4は、例えば液晶ディスプレイ等であり、入力装置5は、例えばキーボードやマウス等である。なお、表示器4をタッチパネルで構成し、表示器4が入力装置5を兼ねる構成としてもよい。また、表示器4や入力装置5は、材料設計装置1と別体に構成され、無線通信等により材料設計装置1と相互に通信可能に構成されていてもよい。この場合、表示器4または入力装置5は、タブレットやスマートフォン等の携帯端末で構成されていてもよい。
【0024】
(設定処理部21)
設定処理部21は、材料設計装置1の各種設定を行うための設定処理を行うものである。設定処理部21では、例えば、データ取得処理部22によるデータ取得の方法やデータ取得日時の設定等、各種制御に係る情報の設定を行うことができる。また、設定処理部21では、記憶部3に記憶する各種情報の登録・更新・削除等が可能である。各種情報の入力等には、入力装置5等を用いることができる。
【0025】
(データ取得処理部22)
データ取得処理部22は、製造装置用制御装置120から各データを取得するデータ取得処理(図8参照)を行うものである。データ取得処理部22は、製造装置用制御装置120からデータ更新信号を受信したとき、データ取得処理を行う。データ取得処理では、データ取得処理部22は、製造装置用制御装置120にデータ要求信号を送信し、これに応じて製造装置用制御装置120から送信された各データを受信して、全体データベース31として記憶部3に記憶する。また、データ取得処理部22は、入力装置5からの入力によって、データを取得してもよい。例えば、組成データ62を、入力装置5からの入力によって取得してもよい。
【0026】
(全体データベース31)
ここで、全体データベース31について説明しておく。図5は、全体データベース31の一例を示す図である。なお、図5は全体データベース31の概念を示すものであり、実際の実験データを記載したものではない。
【0027】
図5に示すように、全体データベース31は、収集したデータを一括して管理するデータベースであり、製造装置用制御装置120や入力装置5から取得した各データ、すなわち、プロセスデータ61、組成データ62、特性データ63、及び組織データ64を含んでいる。図示の例では、これらデータの他、実験番号や識別子の情報を含む識別データ60も全体データベース31に含まれている。また、全体データベース31には、組織データ64として、粒界相の特徴量のデータである粒界相特徴量データ642が含まれている。本実施の形態では、粒界相特徴量データ642として、二粒子粒界の粒界幅の頻度ヒストグラムにおける、所定範囲の粒界幅に対応する頻度(1つ以上の階級での頻度)が含まれている。図5では図示していないが、全体データベース31には、組織データ64の測定データ641としてSEM画像が含まれている。なお、全体データベース31自体にSEM画像の画像データが含まれている必要はなく、画像データのファイル名など紐づけのための情報のみが含まれてもよい。
【0028】
(特徴量抽出処理部23)
特徴量抽出処理部23は、個々の試料の測定データ641であるSEM画像を基に、粒界相の特徴量を抽出する特徴量抽出処理を行う(図9参照)。特徴量抽出処理では、SEM111により得たSEM画像を基に、二粒子粒界の粒界幅の分布を求める。なお、R-T-B系焼結磁石における「二粒子粒界の粒界幅」は、R-T-B系焼結磁石の配向方向を面内に含む断面において計測される値である。なお、R-T-B系焼結磁石の「配向方向」は、磁界中で配向した主相粒の磁化容易軸(磁化容易方向、「c軸」に略一致)に略平行であり、主相結晶粒のc軸の向きが最も揃った1つの方向として決定される。なお、SEM画像としては、反射電子(Backscattered Electron:BSE)像を用いる。
【0029】
特徴量抽出処理部23は、例えば、SEM画像のグレイスケール化、二値化等の適宜な画像処理を行い、粒界相に相当する領域を抽出する。その後、特徴量抽出処理部23は、例えば、粒界相の細線化像の生成や、生成した細線から粒界三重点を除く処理(例えば、特開2019-015573号公報参照)を行い、二粒子粒界の細線上に設定された複数(例えば1000以上)の点を基準点として、予め抽出した粒界相に相当する領域における細線に垂直な方向の幅、すなわち粒界幅の測定を行う。その後、得られた各基準点の粒界幅を基に粒界幅の頻度ヒストグラムを作成し、作成した粒界幅の頻度ヒストグラムを基に、予め設定した粒界相の特徴量の抽出を行う。抽出結果は、全体データベース31に登録される。なお、本実施の形態において、二粒子粒界の粒界幅の測定方法は特に限定されるものではなく、任意の方法を用いてよい。
【0030】
(学習用データ抽出処理部24)
学習用データ抽出処理部24は、全体データベース31から、機械学習に用いるデータのみを学習用データ32として抽出する学習用データ抽出処理を行う。図6(a)に示すように、学習用データ抽出処理では、全体データベース31に含まれるデータから説明変数となる説明変数データ71と目的変数となる目的変数データ72とを抽出する。抽出された学習用データ32は、記憶部3に記憶される。
【0031】
なお、本実施の形態では、組織データ64(粒界相特徴量データ642)を説明変数データ71あるいは目的変数データ72として用いることは必須である(図6(a)では、組織データ64を説明変数データ71として用いる場合を示している)。ただし、組織データ64以外のデータ、すなわちプロセスデータ61、組成データ62、及び特性データ63については、本実施の形態では必須のデータではなく、必要に応じて用いることができる。
【0032】
過学習による推定精度の低下等を避けるため、説明変数データ71や目的変数データ72として用いるパラメータの選択を変更して回帰モデル33の作成を繰り返したい場合がある。この場合、説明変数データ71や目的変数データ72として用いるパラメータの選択可能なパラメータ選択画面を表示器4に表示して、使用者が各パラメータの選択を行えるよう構成してもよい。パラメータ選択画面については後述する。
【0033】
(回帰モデル作成処理部25)
図6(b)に示すように、回帰モデル作成処理部25は、抽出された学習用データ32を用いて機械学習を行い、説明変数データ71の各パラメータと目的変数データ72の各パラメータとの相関を示す回帰モデル33を作成する回帰モデル作成処理を行う(図10(a)参照)。本実施の形態では、回帰モデル作成処理部25は、プロセスデータ61、組成データ62、特性データ63、及び組織データ64のうち、組織データ64(粒界相特徴量データ642)を含む2つ以上のデータを用いて機械学習を行い、各データの相関性を表す回帰モデル33を作成する。つまり、本実施の形態では、組織データ64(粒界相特徴量データ642)を機械学習に用いることは必須である。
【0034】
回帰モデル作成処理部25は、入力された説明変数データ71の各パラメータに対する目的変数データ72のパラメータの相関性を、機械学習により自ら学習するための学習アルゴリズム等のソフトウェアを含んでいる。学習アルゴリズムは特に限定されず、公知の学習アルゴリズムを用いることができ、例えば、3層以上の層をなすニューラルネットワークを用いた所謂ディープランニング等を用いることができる。回帰モデル作成処理部25が学習するものは、説明変数データ71と、目的変数データ72との相関性を表すモデル構造に相当する。
【0035】
より具体的には、回帰モデル作成処理部25は、入力された学習用データ32を基に、説明変数データ71と目的変数データ72とを含むデータ集合に基づく学習を反復実行し、両者の相関性を自動的に解釈する。なお、学習の開始時には相関性は未知の状態であるが、学習を進めるに従って説明変数データ71に対する目的変数データ72の相関性を徐々に解釈し、その結果として得られた学習済みモデルである回帰モデル33を用いることで、説明変数データ71に対する目的変数データ72の相関性を解釈可能になる。
【0036】
回帰モデル作成処理部25は、作成した回帰モデル33を記憶部3に記憶する。本実施の形態では、回帰モデル作成処理部25は、全体データベース31が更新される度に、回帰モデル33を更新する。ただし、これに限らず、例えば後述する推定処理を実行する際に、データ更新分をまとめて学習し、回帰モデル33を更新するようにしてもよい。また、説明変数データ71や目的変数データ72として用いるパラメータを変更した場合にも、改めて回帰モデル33を作成することになる。
【0037】
(推定処理部26)
推定処理部26は、回帰モデル作成処理部25が作成した回帰モデル33を用いて、機械学習に用いたデータのいずれか、すなわち、プロセスデータ61、組成データ62、特性データ63、または組織データ64のいずれかを推定する推定処理を行う(図10(b)参照)。図6(c)に示すように、推定処理部26は、回帰モデル作成処理部25が作成した回帰モデル33と、推定元のデータである推定元データ34とを基に、推定データ35を求める。求めた推定データ35は、記憶部3に記憶される。例えばプロセスデータ61を推定する場合、推定データ35はプロセスデータ61となり、推定元データ34は、機械学習に用いたプロセスデータ61以外のデータとなる。推定元データ34は、例えば、入力装置5により入力される。
【0038】
(推定データ提示処理部27)
推定データ提示処理部27は、推定データ35を提示する推定データ提示処理を行う。推定データ提示処理では、例えば、推定データ35を表示器4に表示する。なお、推定データ提示処理では、推定データ35以外のデータ、例えば、説明変数データ71や目的変数データ72として用いた項目等もあわせて提示するように構成されていてもよい。
【0039】
(材料設計方法)
(メインルーチン)
図7は、本実施の形態に係る材料設計方法のフロー図である。なお、図7において、実線で示す矢印は、制御の流れを表しており、破線で示す矢印は、信号やデータの入出力を表している。
【0040】
図7に示すように、製造装置用制御装置120は、製造装置100や分析エリア110からデータを受信したとき、材料設計装置1にデータ更新信号を送信する(ステップS10)。材料設計装置1の制御部2は、ステップS1にて、データ更新信号が入力されたかを判定する。ステップS1にてNO(N)と判定された場合、ステップS6に進む。ステップS1でYES(Y)と判定された場合、ステップS2に進み、データ取得処理を行う。
【0041】
ステップS2のデータ取得処理では、図8に示すように、ステップS21にて、データ取得処理部22が、製造装置用制御装置120にデータ要求信号を送信する。データ要求信号を受信した製造装置用制御装置120は、データ取得処理部22に、製造装置100や分析エリア110から受信した各種データを送信する(ステップS12)。その後、ステップS22にて、データ取得処理部22が、各種データを受信する。なお、図示を省略しているが、データ取得処理部22は、入力装置5から入力されたデータを受信してもよい。そして、ステップS23にて、データ取得処理部22が、受信した各種データを全体データベース31に登録する。その後、リターンし、図7のステップS3に進む。
【0042】
ステップS3の特徴量抽出処理では、図9に示すように、ステップS31にて、特徴量抽出処理部23が、粒界相特徴量データ642が抽出されていない測定データ641(SEM画像)を選択する。その後、ステップS32にて、選択したSEM画像を基に、二粒子粒界の粒界幅の測定を行う。この際、例えば、SEM画像を基に二粒子粒界を細線化し、得られた細線上の複数の点を基準点として、基準点ごとに粒界幅の測定を行うとよい。その後、ステップS33にて、特徴量抽出処理部23が、二粒子粒界の粒界幅の測定結果を基に、頻度ヒストグラムを作成する。なお、本実施の形態では、粒界幅を0.01μm毎に分割して階級を生成したが、階級の分割幅は適宜設定可能であり、階級の分割幅を設定可能としてもよい。その後、ステップS34にて、特徴量抽出処理部23が、作成した頻度ヒストグラムを基に、所定の粒界相の特徴量(例えば、階級C1,C2,C3の合計頻度C1-3など)を抽出し、抽出結果を粒界相特徴量データ642として、全体データベース31に登録する。その後、リターンして図7のステップS4に進む。
【0043】
ステップS4の学習用データ抽出処理では、学習用データ抽出処理部24が、予め設定された説明変数及び目的変数に対応するデータを全体データベース31から抽出して説明変数データ71及び目的変数データ72とし、これらを学習用データ32として記憶部3に記憶する。その後、ステップS5に進む。
【0044】
ステップS5の回帰モデル作成処理では、図10(a)に示すように、まず、ステップS51にて、回帰モデル作成処理部25が、未学習の学習用データ32(ステップS4で抽出された説明変数データ71及び目的変数データ72)を機械学習に用いて、回帰モデル33の更新を行う。なお、ステップS51は、回帰モデル33が未作成である場合には、回帰モデル33が新たに作成される。その後、ステップS52にて、更新(あるいは作成)した回帰モデル33を記憶部3に記憶した後、リターンする。
【0045】
所望のデータの推定を行う際には、入力装置5等により、推定元データ34を入力する(ステップS11)。なお、予め推定元データ34となるデータを材料設計装置1に入力しておき、入力装置5により推定元データ34として用いるデータを選択するよう構成してもよい。
【0046】
ステップS6では、制御部2が、推定元データ34が入力されたかを判定する。ステップS6でNO(N)と判定された場合、リターンする(ステップS1に戻る)。ステップS6でYES(Y)と判定された場合、ステップS7に進む。
【0047】
ステップS7では、推定処理を行う。推定処理では、図10(b)に示すように、まず、ステップS71にて、推定処理部26が、回帰モデル33を用いて、推定元データ34に対応する推定データ35を求める。その後、ステップS72にて、得られた推定データ35を記憶部3に記憶する。その後、リターンし、図7のステップS8に進む。
【0048】
ステップS8では、推定データ提示処理を行う。推定データ提示処理では、例えば、推定データ提示処理部27が、ステップS7で推定した推定データ35を表示器4に表示する等して、推定データ35を提示する。その後、リターンする(ステップS1に戻る)。
【0049】
(説明変数と目的変数の設定画面等について)
図11(a)は、回帰モデル33の作成に際して表示される変数設定画面43の一例を示す図である。図11(a)に示すように、変数設定画面43では、画面左側に目的変数を選択するための目的変数選択エリア43aを有すると共に、画面右側に説明変数を選択するための説明変数選択エリア43cを有している。使用者は、まず、目的変数選択エリア43aのデータ選択エリア43bにて、目的変数としてプロセスデータ61、組成データ62、特性データ63、組織データ64の何れを用いるかを選択する。すると、目的変数選択エリア43aに選択に応じた目的変数の項目が表示される。そして、使用者は、目的変数選択エリア43aでチェックボックス43dにチェックを入れることで、目的変数を選択し、選択完了ボタン43eを押す(クリックする、タッチする)。すると、説明変数選択エリア43cに、選択した目的変数に応じて適切な説明変数が既にチェックされた状態で表示される。使用者は、説明変数選択エリア43cにおいてチェックボックス43dにチェックを追加したりチェックを外したりして、使用する説明変数を決定し、OKボタン43fを押す。すると、変数設定画面43の選択結果に基づいて、上記の学習用データ抽出処理と、回帰モデル作成処理が行われ、回帰モデル33の作成が行われることになる。
【0050】
上では言及しなかったが、例えば使用する説明変数が多すぎたりすると、過学習により回帰モデル33の推定精度が低下するおそれがある。そこで、本実施の形態では、学習用データ32のうち一部(例えば7割)を使用して回帰モデル33を作成し、残りの学習用データ32(例えば3割)を用いてテストを行い、その評価値を表示器4に表示するように制御部2を構成した。図11(b)は、評価値を表示する評価値表示画面44の一例を示す図である。図11(b)に示すように、評価値表示画面44では、その画面中央部に評価値を表示する評価値表示エリア44aを有し、評価値が表示されている。なお、どの評価値を用いるかは適宜変更可能である。評価値表示画面44の下部には、「これでよろしいですか?」といった確認を促すメッセージが表示されており、はいボタン44bを押すと、例えば推定元データ34を入力する画面に移行する。いいえボタン44cを押すと、図11(a)の変数設定画面43に戻り、改めて、使用する目的変数や説明変数の設定を行うことになる。使用する目的変数や説明変数の選択、評価を繰り返すことで、適切な目的変数及び説明変数の選択が可能になり、推定精度の向上が図れる。
【0051】
また、特徴量抽出処理において、階級の分割幅を設定可能とする場合、図12に示すような特徴量抽出設定画面45を表示器4に表示してもよい。特徴量抽出設定画面45は、実験番号(実験No.)を選択する実験番号選択エリア45aと、階級の分割幅を選択する分割幅選択エリア45bと、粒界相の頻度ヒストグラムを表示する頻度ヒストグラム表示エリア45cと、を有している。特徴量抽出設定画面45では、実験番号選択エリア45aで実験番号を選択し、分割幅選択エリア45bで分割幅を選択した後にプレビューボタン45dをクリックすると、頻度ヒストグラム表示エリア45cに粒界相の頻度ヒストグラムのプレビューが表示される。プレビューを確認し、OKボタン45eをクリックすると、分割幅が決定される。図12では、実験番号選択エリア45aにて、複数の実験番号を選択可能に構成されており、選択された複数の実験番号に対応する頻度ヒストグラムを重ねて分割幅選択エリア45bに表示するようにしている。ただし、これに限らず、1つの実験番号のみを選択可能としてもよい。また、選択された複数の実験番号に対応する頻度ヒストグラムを別のグラフとして分けて表示してもよい。
【0052】
なお、図11(a),(b)や図12に示した各画面はあくまで一例であり、表示レイアウトや表示項目、表示形式等は適宜変更可能である。
【0053】
(本実施の形態に係る材料設計装置1の使用例)
本実施の形態によれば、粒界相の特徴量を介して、所望の特性を得るためのプロセスや組成を推定することも可能になる。この場合、例えば、所望の特性(例えば保磁力HcJ)と粒界相の特徴量(例えばC1-3)との相関性を表す第1の回帰モデル33と、粒界相の特徴量(例えばC1-3)とプロセスや組成の相関性を表す第2の回帰モデル33の2つの回帰モデル33を作成しておく。その後、第1の回帰モデル33を用いて、所望の特性が得られる粒界相の特徴量を推定し、続けて第2の回帰モデル33を用いて、推定した粒界相の特徴量を実現できるプロセスや組成を推定する、といった2段階の推定を行うとよい。
【0054】
(変形例)
本実施の形態では、1つの試料(実験番号)につき1つのSEM画像を用いて粒界相の特徴量の抽出を行ったが、これに限定されない。すなわち、1つの試料(実験番号)につき、取得場所の異なる複数のSEM画像を取得しておき、取得場所毎に(SEM画像毎に)、それぞれ粒界相の特徴量の抽出を行ってもよい。この場合、全体データベース31には、SEM画像の取得場所の情報を含めておくとよい。そして、説明変数や目的変数の選択の際に、取得場所を選択できるようにするとよい。取得場所は、例えば、試料の表面近く、中心部分等である。
【0055】
(実施の形態の作用及び効果)
以上説明したように、本実施の形態に係る材料設計装置1では、学習に用いる組織データ64が、主相粒の間に位置する粒界相の特徴量を示す粒界相特徴量データ642を含んでいる。これにより、二粒子粒界の厚さの分布などの粒界相の状態を考慮した推定が可能になり、優れた磁気特性を発揮しうるプロセスや組成等の条件を推定することが可能になる。
【0056】
(実施の形態のまとめ)
次に、以上説明した実施の形態から把握される技術思想について、実施の形態における符号等を援用して記載する。ただし、以下の記載における各符号等は、特許請求の範囲における構成要素を実施の形態に具体的に示した部材等に限定するものではない。
【0057】
[1]個々の試料を製造する際の製造条件の情報を含むプロセスデータ(61)、前記個々の試料の組成の情報を含む組成データ(62)、前記個々の試料の特性の情報を含む特性データ(63)、及び、前記個々の試料の組織の情報を含む組織データ(64)のうち、前記組織データ(64)を含む2つ以上のデータを用いて学習を行い、各データの相関性を表す回帰モデル(33)を作成する回帰モデル作成処理部(25)と、前記回帰モデル(33)を用いて、前記学習に用いた前記プロセスデータ(61)、前記組成データ(62)、前記特性データ(63)、または前記組織データ(64)のいずれかを推定する推定処理部(26)と、を備え、前記学習に用いる前記組織データ(64)は、主相粒の間に位置する粒界相の特徴量を示す粒界相特徴量データ(642)を含む、材料設計装置(1)。
【0058】
[2]前記粒界相の特徴量は、二粒子粒界の粒界幅の分布の情報を含む、[1]に記載の材料設計装置(1)。
【0059】
[3]前記粒界相の特徴量は、前記二粒子粒界の粒界幅の頻度ヒストグラムにおける、所定範囲の粒界幅に対応する頻度を含む、[2]に記載の材料設計装置(1)。
【0060】
[4]前記粒界相の特徴量は、前記二粒子粒界の粒界幅の頻度ヒストグラムを等間隔に分割して複数の階級を設定するにあたって、最も低い階級から6番目の階級が最頻値を示すように階級の幅を決定したときにおける、最も低い階級から1番目、2番目、および3番目の3つの階級の合計頻度を含む、[3]に記載の材料設計装置(1)。
【0061】
[5]個々の試料を製造する際の製造条件の情報を含むプロセスデータ(61)、前記個々の試料の組成の情報を含む組成データ(62)、前記個々の試料の特性の情報を含む特性データ(63)、及び、前記個々の試料の組織の情報を含む組織データ(64)のうち、前記組織データ(64)を含む2つ以上のデータを用いて学習を行い、各データの相関性を表す回帰モデル(33)を作成する回帰モデル作成工程と、前記回帰モデル(33)を用いて、前記学習に用いた前記プロセスデータ(61)、前記組成データ(62)、前記特性データ(63)、または前記組織データ(64)のいずれかを推定する推定工程と、を備え、前記学習に用いる前記組織データ(64)は、主相粒の間に位置する粒界相の特徴量を示す粒界相特徴量データ(642)を含む、材料設計方法。
【0062】
(付記)
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上記に記載した実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。また、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変形して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0063】
1…材料設計装置
25…回帰モデル作成処理部
26…推定処理部
31…全体データベース
32…学習用データ
33…回帰モデル
34…推定元データ
35…推定データ
60…識別データ
61…プロセスデータ
62…組成データ
63…特性データ
64…組織データ
642…粒界相特徴量データ
71…説明変数データ
72…目的変数データ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12