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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172565
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】画像読取装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/10 20060101AFI20241205BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
H04N1/10
H04N1/00 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023090357
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井上 恵太
(72)【発明者】
【氏名】江藤 航也
【テーマコード(参考)】
5C062
5C072
【Fターム(参考)】
5C062AA05
5C062AB02
5C062AB20
5C062AB22
5C062AB23
5C062AB32
5C062AB33
5C062AB46
5C062AC02
5C062AC04
5C062AD02
5C062AE01
5C062AF15
5C072AA01
5C072BA05
5C072CA02
5C072DA02
5C072DA04
5C072DA12
5C072DA25
5C072EA05
5C072EA07
5C072FB12
5C072FB23
5C072FB25
5C072LA02
5C072LA08
5C072LA18
5C072MA02
5C072MB01
5C072MB05
5C072MB06
5C072MB08
5C072UA02
5C072WA01
5C072XA01
5C072XA05
(57)【要約】      (修正有)
【課題】突発的なキャリッジの異常の際のダウンタイムを低減できる画像読取装置を提供する。
【解決手段】1次元方向に往復走査するキャリッジ2と、キャリッジ2の基準位置を検知するポジションセンサ8と、キャリッジ2を駆動させる駆動モータ6と、駆動モータ6のクロック信号を生成するモータ駆動デバイスと、モータ駆動デバイスにより生成されるクロック信号のパルス数をカウントするパルスカウンタと、パルスカウントによりカウントされるパルス数が任意に設定したパルス数で割込みを発生させる割込み検出器と、を備え、モータ駆動デバイスは、割込み検出部による割込みおよびポジションセンサ8によるキャリッジ2の基準位置の検知結果に基づいて、キャリッジ2の動作の異常検知を行い、キャリッジ2の動作の異常が検知された場合、キャリッジ2を駆動させて、再度、異常検知を行うリトライ処理を実施する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1次元方向に往復走査するキャリッジと、
前記キャリッジの基準位置を検知するポジションセンサと、
前記キャリッジを駆動させる駆動モータと、
前記駆動モータのクロック信号を生成するモータ駆動デバイスと、
前記モータ駆動デバイスから前記クロック信号が入力され、前記駆動モータのモータ駆動信号を出力するモータドライバと、
前記モータ駆動デバイスにより生成される前記クロック信号のパルス数をカウントするパルスカウンタと、
前記パルスカウンタによりカウントされる前記パルス数が任意に設定したパルス数で割込みを発生させる割込み検出器と、を備え、
前記モータ駆動デバイスは、前記割込み検出器による割込みおよび前記ポジションセンサによる前記キャリッジの基準位置の検知結果に基づいて、前記キャリッジの動作の異常検知を行い、前記キャリッジの動作の異常が検知された場合、前記キャリッジを駆動させて、再度、前記異常検知を行うリトライ処理を実施する、画像読取装置。
【請求項2】
前記モータ駆動デバイスは、前記リトライ処理を実施する場合は、前記ポジションセンサの論理が変化する方向へ、前記キャリッジを動作させる、請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記モータ駆動デバイスは、前記リトライ処理を実施した際に、前記キャリッジの動作が正常と判定された場合、前記キャリッジの往復動作を実施し、前記異常検知を行う、請求項1または2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記モータ駆動デバイスは、前記異常検知を行い、前記キャリッジの動作の異常が検知された場合、メモリに前記異常検知時のパルス数のカウント値を保存する、請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記モータ駆動デバイスは、前記リトライ処理を実施した際に、前記キャリッジの動作が正常と判断された場合、再び、読取動作を行った際に、前記キャリッジの動作の異常が検知された場合は、異常通知を行う、請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記異常検知時において、ユーザに通知する画面パターンを表示させる、操作部画面を有する、請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項7】
前記モータ駆動デバイスは、前記リトライ処理実施前の前記異常検知の場合は、エラーを操作部に表示せず、メモリに発生回数を保存する、請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項8】
コピー印刷、スキャナ送信、およびFAX送信の少なくとも1つ以上の機能を備える、請求項1に記載の画像読取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像読取装置(スキャナ)において、原稿の読取時に走査を行うキャリッジの基準位置を検知するポジションセンサと、走査を行うキャリッジのパルス数をカウントし、任意のパルス数移動した位置において、ポジションセンサのオンまたはオフを確認することで、キャリッジの駆動の異常の有無を確認する技術が開発されている(特許文献1参照)。また、キャリッジの異常検知時において、自動的に、システムの電源をオフからオンにさせ、再起動を図り、その後、再度異常が起こらなければ、そのまま使用可能とさせる、自動リブート機能が開発されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述のキャリッジの駆動の異常検知方法は、原稿の読取時に異常が起きた場合、ユーザに異常を即座に通知することが可能であるが、例えば、脱調等の突発的なキャリッジ異常で、復旧が可能な異常に関しても、異常を通知し、画像読取装置等の機器を強制的に止めて、復旧のため、システムの電源のオフからオンを行い、再起動を行うことになるため、ユーザが機器を使用できないダウンタイムが長くなってしまう。
【0004】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、突発的なキャリッジの異常の際のダウンタイムを低減できる画像読取装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、1次元方向に往復走査するキャリッジと、前記キャリッジの基準位置を検知するジションセンサと、前記キャリッジを駆動させる駆動モータと、前記駆動モータのクロック信号を生成するモータ駆動デバイスと、前記モータ駆動デバイスから前記クロック信号が入力され、前記駆動モータのモータ駆動信号を出力するモータドライバと、前記モータ駆動デバイスにより生成される前記クロック信号のパルス数をカウントするパルスカウンタと、前記パルスカウントによりカウントされる前記パルス数が任意に設定したパルス数で割込みを発生させる割込み検出器と、を備え、前記モータ駆動デバイスは、前記割込み検出部による割込みおよび前記ポジションセンサによる前記キャリッジの基準位置の検知結果に基づいて、前記キャリッジの動作の異常検知を行い、前記キャリッジの動作の異常が検知された場合、前記キャリッジを駆動させて、再度、前記異常検知を行うリトライ処理を実施する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、突発的なキャリッジの異常の際のダウンタイムを低減できる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、本実施の形態にかかる画像読取装置の一例を説明するための図である。
図2図2は、本実施の形態にかかる画像読取装置の機能ブロックの一例を説明するための図である。
図3図3は、本実施の形態にかかる画像読取装置のポジションセンサ近傍の拡大図と、ポジションセンサの出力による4通りの異常検知方法を説明するための図である。
図4図4は、従来の画像読取装置における読取動作の流れの一例を示すフローチャートである。
図5図5は、本実施の形態にかかる画像読取装置における読取動作の流れの一例を示すフローチャートである。
図6図6は、本実施の形態にかかる画像読取装置におけるリトライ処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図7図7は、本実施の形態にかかる画像読取装置によるキャリッジのプレスキャンの流れの一例を示すフローチャートである。
図8図8は、本実施の形態にかかる画像読取装置における読取動作の流れの他の例を示すフローチャートである。
図9図9は、本実施の形態にかかる画像読取装置において表示される画面の一例を説明するための図である。
図10図10は、本実施の形態にかかる画像読取装置におけるリトライ処理により得られる効果の一例を説明するための図である。
図11図11は、本実施の形態にかかる画像読取装置を備えた画像形成装置の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に添付図面を参照して、画像読取装置の実施の形態を詳細に説明する。
【0009】
図1は、本実施の形態にかかる画像読取装置の一例を説明するための図である。画像読取装置101は、デジタル複写機、デジタル複合機、ファクシミリ装置等の画像形成装置100(図11参照)に搭載されるスキャナ装置あるいは単体のスキャナ装置である。そして、画像読取装置101は、光源3からの照射光によって被写体である原稿を照明し、その原稿からの反射光をイメージセンサ基板4で受光した信号に処理を行い、原稿の画像データを読み取ることができる。
【0010】
キャリッジ2は、1次元方向に往復走査するキャリッジの一例である。本実施の形態では、図1に示すように、キャリッジ2は、原稿露光用の光源3と、光源3からの反射光を受光し、信号変換するイメージセンサ基板4と、光源3からの反射光をイメージセンサ基板4まで送る反射ミラー5と、を備えている。イメージセンサ基板4には、画像を結像するためのレンズ、イメージセンサ基板4で受光したアナログ信号をデジタル信号へ変換するAFE等の部品も搭載している。
【0011】
このキャリッジ2の構成は、CCDセンサを用いた縮小光学系と呼ばれるもの、CISを用いた密着型光学系と呼ばれるものがあるが、ここでは、特に限定しない。また、図1に示す画像読取装置101では、キャリッジ2内に光源3、イメージセンサ基板4、反射ミラー5等の部品が組付けられた、一体型となっているが、イメージセンサ基板4を固定し、光源3と反射ミラー5のみをキャリッジ2として走査させる方式もある。
【0012】
また、画像読取装置101は、原稿をコンタクトガラス11に載置し、キャリッジ2を副走査方向(1次元方向の一例)に往復動作させる。また、画像読取装置101は、画像を読取るフラットベッド読取時には、ポジションセンサ8によって、キャリッジ2の位置を確認し、駆動モータ6が回転することで駆動ベルト7に接続されているキャリッジ2が走査し、読取光学系等による各種のばらつきを補正するため等に用いる基準白板10と、コンタクトガラス11に載置された原稿と、を読取り、再び、初期位置までキャリッジ2が戻る仕組みである。ここで、ポジションセンサ8は、キャリッジ2の基準位置の一例である、ポジションセンサON判定位置a(図3参照)およびポジションセンサOFF判定位置b(図3参照)を検知するポジションセンサの一例である。
【0013】
画像読取装置101は、その上部には、自動原稿搬送装置であるADF(Auto Document Feeder)102が搭載されており、このADF102をコンタクトガラス11に対して開閉できるように、ヒンジ等を介して連結している。ADF102は、複数枚の原稿からなる原稿束を載置可能な原稿載置台としての原稿トレイを備えている。また、画像読取装置101は、原稿トレイに載置された原稿束から原稿を1枚ずつ分離して搬送原稿読取りガラス9へ向けて自動給搬送する原稿給搬送ローラを含む分離給搬送手段も備えている。また、画像読取装置101は、ADF102にセンサをもう1つ設置し、1回の原稿搬送で両面を読み取る構成も有していても良い。このようにして画像読取装置101では、原稿を読み取る動作を実現している。
【0014】
図2は、本実施の形態にかかる画像読取装置の機能ブロックの一例を説明するための図である。本実施の形態にかかる画像読取装置101は、図2に示すように、スキャナユニット201、および制御基板202を有する。スキャナユニット201内には、図1に図示された、駆動モータ6、ポジションセンサ8、光源3、イメージセンサ基板4が設けられている。そして、スキャナユニット201に対する各種信号の入出力インタフェースとして、別途、制御基板202が設けられている。制御基板202は、画像読取装置内部に位置されていても良いし、別途、デジタル複合機または複写機等の画像形成装置100(図11参照)の本体側に位置されていても良い。
【0015】
駆動モータ6は、キャリッジ2を駆動させる駆動モータの一例である。制御基板202内のモータ駆動デバイス202aは、クロック信号、イネーブル信号、ディレクション信号、電流調整信号等をモータドライバ202bへ入力する。すなわち、モータ駆動デバイス202aは、駆動モータ6のクロック信号を生成するモータ駆動デバイスの一例である。モータドライバ202bは、各入力信号に従い、駆動モータ6を動作させるための速度、回転方向、駆動電流が制御されたモータ駆動信号を出力する。すなわち、モータドライバ202bは、モータ駆動デバイス202aからクロック信号が入力され、駆動モータ6のモータ駆動信号を出力するモータドライバの一例である。このモータ駆動信号を受信し、駆動モータ6は、回転を行い、キャリッジ2を制御することになる。
【0016】
また、モータ駆動デバイス202aは、クロック信号が何回入ったかをカウントするパルスカウンタ203が搭載されており、任意の距離で割込みを発生させる割込み検出器204を搭載している。パルスカウンタ203は、モータ駆動デバイス202aにより生成されるクロック信号のパルス数をカウントするパルスカウンタの一例である。割込み検出器204は、パルスカウンタ203によりカウントされるパルス数が任意に設定したパルス数で割込みを発生させる割込み検出器の一例である。そして、モータ駆動デバイス202aは、この割込み検出器204により、キャリッジ2の動作の異常検知を実現させている。詳細な異常検知の方法に関しては、後述する。
【0017】
ポジションセンサ8は、一般的な透過型または反射型のフォトセンサが使用されることが多く、キャリッジ2の位置により、ポジションセンサ8の出力がLowないしHighに切り替わり、センサ検知部202cで論理を受信して、キャリッジ2の場所を判断する仕組みである。
【0018】
光源3は、LED(Light Emitting Diode)またはキセノンランプが使用されていることが多く、光源制御部205からの光源オンオフ信号を受信し、光源3を点消灯させて、イメージセンサ基板4へ反射光を入力させる。イメージセンサ基板4内の、イメージセンサが、上記反射光を受光し、イメージセンサ基板4内でアナログからデジタル変換し、読取レベルを後段の画像処理部206へ送信し、各種画像の補正を行い、読取画像として出力される仕組みである。
【0019】
本実施の形態では、上記の駆動モータ6によるキャリッジ2の動作が、ポジションセンサ8の検知対象であり、光源3、イメージセンサ基板4の画像生成方法の詳細に関しては、ここでは言及しない。また、制御基板202には、不揮発性のメモリ207を搭載し、各種設定値、機器の使用状況等が保存可能なようになっており、例えば、メモリ207に異常時の情報を保存しておくこともできる。
【0020】
図3は、本実施の形態にかかる画像読取装置のポジションセンサ近傍の拡大図と、ポジションセンサの出力による4通りの異常検知方法を説明するための図である。本実施の形態では、初期位置Aをキャリッジ2の初期位置としている。フラットベッド方式で原稿をスキャナで読み取る場合は、モータ駆動デバイス202aは、必ず、キャリッジ2を初期位置Aからのスタートとなるように、駆動モータ6を制御することになる。図3には、キャリッジ2が原稿を読取りに行く動作としてキャリッジ2を搬送する往路動作と、キャリッジ2が原稿を読取った後、帰ってくる動作としてキャリッジ2を搬送する復路動作と、記載している。
【0021】
往路動作および復路動作は、以下のような流れとなる。モータ駆動デバイス202aは、キャリッジ2を初期位置Aから、往路走査(往路動作)を開始し、ポジションセンサ8のON位置Bを抜けると、ポジションセンサ8がOFFになる。その後、モータ駆動デバイス202aは、読取の基準レベルとなる基準白板読取位置Cで基準白板10の読取を行い、読取位置Dにおいて原稿の読み取りを開始し、原稿読取終了位置Eにおいて原稿の読取りの終了を行う。モータ駆動デバイス202aは、原稿の読取り完了後は、原稿読取終了位置Eから初期位置Aへと復路走査(復路動作)を行い、キャリッジ2を初期位置Aに戻す。
【0022】
ここで、キャリッジ2のエラー検知方法の一例について説明する。モータ駆動デバイス202aは、ポジションセンサON判定位置aおよびポジションセンサOFF判定位置bで、割込み検出器204によって、判定割り込み判定(割り込み)が実施されるよう、予め、駆動モータ6のパルス数のカウント値を指定し、制御ソフト上、組み込んでおく。キャリッジ2は、往路走査(往路動作)時、走査開始直後、ポジションセンサON判定位置aに到達する。ここで、モータ駆動デバイス202aは、ポジションセンサ8がONになれば正常と判定し、ポジションセンサ8がOFFの場合は、異常とみなし、キャリッジ2の動作を止めて、エラー通知をユーザに行う(エラーパターン(1))。
【0023】
キャリッジ2は、ポジションセンサON判定位置aを正常に通過すると、ポジションセンサOFF判定位置bに到達する。ここで、モータ駆動デバイス202aは、ポジションセンサ8を通過してポジションセンサOFF判定位置bに到達した場合、ポジションセンサ8がOFFになれば正常だが、ポジションセンサ8がONの場合は、異常とみなし、キャリッジ2の動作を止めて、エラー通知をユーザに行う(エラーパターン(2))。
【0024】
同じく、復路走査(復路動作)時においても、モータ駆動デバイス202aは、ポジションセンサOFF判定位置bに戻ってきた際に、まだ、ポジションセンサ8まで到達していないので、ポジションセンサ8がOFFとなっているはずだが、ポジションセンサOFF判定位置bにおいてポジションセンサ8がONの場合は、異常とみなし、キャリッジ2の動作を止めて、エラー通知をユーザに行う(エラーパターン(3))。そして、モータ駆動デバイス202aは、キャリッジ2がポジションセンサOFF判定位置bを正常に通過し、ポジションセンサON判定位置aに戻ってきた際に、ポジションセンサ8がONとなるはずだが、ポジションセンサ8がOFFの場合は、異常とみなし、キャリッジ2の動作を止めて、エラー通知をユーザに行う(エラーパターン(4))。モータ駆動デバイス202aは、上記の確認(キャリッジ2の動作の異常検知)を行い、全て正常通過の場合、キャリッジ2を初期位置Aに戻して、動作完了する。
【0025】
ポジションセンサ8を用いたキャリッジ2の動作のエラー判定(異常検知)時に異常となる原因は、ポジションセンサ8自体の故障、駆動モータ6の故障、モータ動作信号を出力させるデバイスの故障、駆動モータ6を繋いでいるハーネスの抜けまたは断線、駆動モータ6を動作させるメカ部品(例えば、ギア、ベルトの破損)等、様々な要因が考えられるが、本実施の形態では、駆動モータ6の脱調等の一時的な異常(部品の交換なしで復旧が可能な異常)について着目する。
【0026】
上記の、エラーパターン(1)~(4)の中で、駆動モータ6の脱調等の一時的な異常は、エラーパターン(2),(3),(4)である。例えば、エラーパターン(1)は、ポジションセンサ8の故障の可能性が高い。エラーパターン(2)は、最初の動き出しにおいて、駆動モータ6が脱調した可能性が高い。また、エラーパターン(3)は、往路走査(往路動作)時の途中に駆動モータ6が脱調した可能性が高い。また、エラーパターン(4)は、復路走査(復路動作)時の途中でモータが脱調してしまった可能性が高い。それぞれのエラーパターンにおいて、モータ駆動デバイス202aは、エラー判定(異常検知)を行う。
【0027】
さらに、モータ駆動デバイス202aは、エラー判定時において、駆動モータ6のパルス数のカウント値をメモリ207に保存しておくことで、エラー解析においてエラーパターン(1)~(4)のどこで異常が検知されたかを確認することができる。例えば、図3に示すように、初期位置Aにおけるカウント値を0として、原稿読取終了位置Eにおけるカウント値を10000(すなわち、キャリッジ2は10000クロックで初期位置Aから原稿読取終了位置Eに到達する)と設定し、ポジションセンサON判定位置aにおけるカウント値を100と設定し、ポジションセンサOFF判定位置bにおけるカウント値を1000と設定したとする。
【0028】
この場合、モータ駆動デバイス202aは、エラーパターン(1)で異常検知した場合はカウント値=100、エラーパターン(2)で異常検知した場合はカウント値=1000、エラーパターン(3)で異常検知した場合はカウント値=19000、エラーパターン(4)で異常検知した場合はカウント値=19900、といったように、読取動作毎にスカウント値をメモリ207に保存し、更新することで、異常検知時にどこで異常が起こったかを把握(判別)できる。上記はエラー判定の一例であり、異常判定位置は任意で設定可能なため、上記の限りではなく、エラーパターンも任意に設定することも可能である。
【0029】
すなわち、モータ駆動デバイス202aは、割込み検出器204による割込みおよびポジションセンサ8によるキャリッジ2の基準位置の検知結果に基づいて、キャリッジ2の動作の異常検知を行う。そして、モータ駆動デバイス202aは、キャリッジ2の動作の異常が検知された場合、キャリッジ2を駆動させて、再度、異常検知を行うリトライ処理を実施する。これにより、画像読取装置101の電源(マシン電源)をOFFからONしなくても、画像読取装置101を復旧可能となるので、キャリッジ2の動作の異常検知によるユーザのダウンタイムを低減が可能となる。
【0030】
また、モータ駆動デバイス202aは、リトライ処理を実施する場合は、ポジションセンサ8の論理が変化する方向へ、キャリッジ2を動作させても良い。これにより、画像読取装置101の最短での復旧が可能となる。
【0031】
また、モータ駆動デバイス202aは、リトライ処理を実施した際に、キャリッジ2の動作が正常と判定された場合、キャリッジ2の往復動作を実施し、キャリッジ2の動作の異常検知(以下、プレスキャンという)を行っても良い。これにより、局所的な箇所で異常が発生する場合において、正常な異常検知が可能となる。
【0032】
また、モータ駆動デバイス202aは、キャリッジ2の動作の異常検知を行い、キャリッジ2の動作の異常が検知された場合、メモリ207に当該異常検知時のパルス数のカウント値を保存しても良い。これにより、キャリッジ2の動作の異常発生時の解析が容易となる。
【0033】
モータ駆動デバイス202aは、リトライ処理を実施した際に、キャリッジ2の動作が正常と判断された場合、再び、読取動作を行った際に、キャリッジ2の動作の異常が検知された場合は、キャリッジ2の動作の異常通知を行っても良い。これにより、原稿の読取り動作において、複数回連続で異常検知された場合はリトライ処理が実施されないので、エラー判定のループを防ぐことができる。
【0034】
画像読取装置101は、キャリッジ2の動作の異常検知時において、ユーザに通知する画面パターンを表示させる、操作部画面を有していても良い。これにより、ユーザに対して、キャリッジ2の動作の異常に対する適切な処置方法を提示することができる。
【0035】
モータ駆動デバイス202aは、リトライ処理実施前の異常検知の場合は、エラーを操作部に表示せず、メモリ207にキャリッジ2の異常の発生回数を保存しても良い。これにより、市場でリトライ処理を行った発生頻度を確認することが可能となる。
【0036】
図4は、従来の画像読取装置における読取動作の流れの一例を示すフローチャートである。図5は、本実施の形態にかかる画像読取装置における読取動作の流れの一例を示すフローチャートである。図5の説明では、図4に示す処理と同様の処理については、説明を省略する。画像読取装置は、原稿読取り開始前に、キャリッジ2を初期位置Aに戻す動作を実施する。その際も、画像読取装置は、初期位置Aでポジションセンサ8がONになったかを確認し、その後は、図3で説明した動作を実施して、原稿の読取を行う。
【0037】
従来フローでは、キャリッジ2の動作でエラー判定された場合、ユーザへエラー通知を行い、保守サービスへの連絡を促す。また、画像形成装置(例えば、複合機、複写機)によっては、1度の異常ではエラー通知をせず、一度、自動的にマシンの電源を切ってシャットダウンさせ、再び自動でマシン電源をONして、初期設定を行うことで、マシンの自動復旧を行う、リブート機能を搭載しているものもある。これにより、復旧可能な場合は、ユーザがわざわざ保守サービスに連絡せずとも、数分程度待てば自動的に復旧が見込める場合もある。しかし、リブート機能でも、ユーザは電源OFFからONの処理を待たなければならず、すぐにマシンを使うことはできないため、ダウンタイムは大きく、ユーザのストレスも高い。そこで、本実施の形態では、画像読取装置は、マシンの電源OFFからONを行わずに、キャリッジ2のリトライ処理を行うことで、復旧可能な異常の場合は、わずか数秒で復帰処理が可能とする。リトライ処理についての説明は、後述する。
【0038】
具体的には、従来の画像読取装置では、モータ駆動デバイス202aは、原稿の読み取り動作がスタートすると、まず、キャリッジ2をホーム位置(初期位置A)に移動させる(ステップS401)。次に、モータ駆動デバイス202aは、ON位置Bにおいてポジションセンサ8がONになったか否かを判断する(ステップS402)。ON位置Bにおいてポジションセンサ8がOFFの場合(ステップS402:No)、モータ駆動デバイス202aは、キャリッジ2の動作の異常を検知して駆動モータ6の駆動を停止させ(ステップS403)、エラー通知をユーザに対して行う(ステップS404)。
【0039】
ON位置Bにおいてポジションセンサ8がONになった場合(ステップS402:Yes)、モータ駆動デバイス202aは、駆動モータ6の駆動を開始し、キャリッジ2の往路動作を行う(ステップS405)。次に、モータ駆動デバイス202aは、ポジションセンサON判定位置aにおいてポジションセンサ8がONになったか否かを判定する(ステップS406)。ポジションセンサON判定位置aにおいてポジションセンサ8がOFFの場合(ステップS406:No)、キャリッジ2の動作の異常を検知して、ステップS403に進む。
【0040】
一方、ポジションセンサON判定位置aにおいてポジションセンサ8がONの場合(ステップS406:Yes)、モータ駆動デバイス202aは、ポジションセンサOFF判定位置bにおいてポジションセンサ8がOFFになったか否かを判定する(ステップS407)。ポジションセンサOFF判定位置bにおいてポジションセンサ8がONの場合(ステップS407:No)、モータ駆動デバイス202aは、キャリッジ2の動作の異常を検知して、ステップS403に進む。
【0041】
また、ポジションセンサOFF判定位置bにおいてポジションセンサ8がOFFの場合(ステップS407:Yes)、モータ駆動デバイス202aは、キャリッジ2が読取位置Dから原稿読取終了位置E間において読み取った原稿の画像データを取得する(ステップS408)。次いで、モータ駆動デバイス202aは、原稿読取終了位置Eにおいて駆動モータ6の駆動を停止し(ステップS409)、その後、駆動モータ6の駆動を開始して、キャリッジ2の復路動作を開始する(ステップS410)。
【0042】
次に、モータ駆動デバイス202aは、ポジションセンサOFF判定位置bにおいてポジションセンサ8がOFFになったか否かを判定する(ステップS411)。ポジションセンサOFF判定位置bにおいてポジションセンサ8がONの場合(ステップS411:No)、モータ駆動デバイス202aは、キャリッジ2の動作の異常を検知して、ステップS403に進む。一方、ポジションセンサOFF判定位置bにおいてポジションセンサ8がOFFの場合(ステップS411:Yes)、モータ駆動デバイス202aは、ポジションセンサON判定位置aにおいてポジションセンサ8がONになったか否かを判定する(ステップS412)。
【0043】
ポジションセンサON判定位置aにおいてポジションセンサ8がOFFの場合(ステップS412:No)、モータ駆動デバイス202aは、キャリッジ2の動作の異常を検知して、ステップS403に進む。一方、ポジションセンサON判定位置aにおいてポジションセンサ8がONの場合(ステップS412:Yes)、モータ駆動デバイス202aは、駆動モータ6の駆動を停止させて、キャリッジ2を初期位置Aに戻す(ステップS413)。
【0044】
一方、本実施の形態では、モータ駆動デバイス202aは、ステップS402において、ポジションセンサON判定位置aにおいてポジションセンサ8がOFFと判定された場合(ステップS402:No)、キャリッジ2の動作の異常を検知して、駆動モータ6の駆動を停止し(ステップS501)、かつ、キャリッジ2のリトライ処理を実行する(ステップS502)。また、ステップS407において、ポジションセンサOFF判定位置bにおいてポジションセンサ8がONのままと判定された場合(ステップS407:No)、モータ駆動デバイス202aは、ステップS501へ進む。また、ステップS411において、ポジションセンサOFF判定位置bにおいてポジションセンサ8がONの場合(ステップS411:No)、モータ駆動デバイス202aは、キャリッジ2の動作の異常を検知して、ステップS501へ進む。さらに、ステップS412において、ポジションセンサON判定位置aにおいてポジションセンサ8がOFFの場合(ステップS412:No)、モータ駆動デバイス202aは、キャリッジ2の動作の異常を検知して、ステップS501へ進む。
【0045】
図6は、本実施の形態にかかる画像読取装置におけるリトライ処理の流れの一例を示すフローチャートである。本実施の形態にかかる画像読取装置は、図5に示すフローチャートにおいて、一度、キャリッジ2のエラー判定が行われた場合でも、突発的な異常かどうか切り分けるため、リトライ処理を実施する。
【0046】
例えば、突発的な異常として駆動モータ6の脱調が挙げられる。駆動モータ6の脱調の原因としては、外部からの衝撃が加わったり、一時的な過負荷状態で使用したりするようなケースが考えられる。その際は、最初から駆動モータ6が動作しない、または、駆動モータ6が途中で動作停止してしまった場合でも、再び動作させようとすると、動作可能になるケースがある。この場合においては、マシン電源をOFFからONする処理も不要であり、一度、駆動モータ6の駆動を止めて、再び、駆動モータ6を動作させる制御が必要である。
【0047】
図4において、エラー判定時は、キャリッジ2がどこで停止しているかが不明なため、リトライ処理を行う際は、ポジションセンサ8の論理が変わるかどうかで判断する。例えば、キャリッジ2がポジションセンサOFF判定位置bで止まっている場合(エラーパターン(4))は、モータ駆動デバイス202aは、ポジションセンサ8がONになるように、復路走査(復路動作)を実施する。また、キャリッジ2がポジションセンサON判定位置aで止まっている場合(エラーパターン(2),(3))、モータ駆動デバイス202aは、ポジションセンサ8がOFFになるように、往路走査(往路動作)を実施し、ポジションセンサ8がOFFになったら、復路動作を実施し、再び、ポジションセンサ8がONとなるように復路走査を実施する。
【0048】
モータ駆動デバイス202aは、上記の動作フローにより、リトライ処理により、無事にキャリッジ2が動作しているかを確認できれば、前回のエラー判定は突発的なものと判断し、エラー通知は出さず、マシン電源のOFFからONも実施せず、復旧が可能となる。ただし、リトライ処理でも、キャリッジ2が動作せず、再び、エラー判定された場合は、エラー通知またはリブート処理を行うこととなる。
【0049】
具体的には、モータ駆動デバイス202aは、まず、ポジションセンサ8がONか否かを判定する(ステップS601)。ポジションセンサ8がONの場合(ステップS601:Yes)、モータ駆動デバイス202aは、駆動モータ6の駆動を開始し、キャリッジ2の往路動作を実行する(ステップS602)。次に、モータ駆動デバイス202aは、ポジションセンサOFF判定位置bにおいてポジションセンサ8がOFFになったか否かを判断する(ステップS603)。ポジションセンサOFF判定位置bにおいてポジションセンサ8がONのままの場合(ステップS603:No)、モータ駆動デバイス202aは、エラー判定を行い、ユーザにエラー通知を行う(ステップS604)。
【0050】
一方、ポジションセンサOFF判定位置bにおいてポジションセンサ8がOFFになった場合(ステップS603:Yes)、モータ駆動デバイス202aは、駆動モータ6の駆動を停止した後(ステップS605)、駆動モータ6の駆動を開始し、キャリッジ2の復路動作を行う(ステップS606)。次に、モータ駆動デバイス202aは、ポジションセンサON判定位置aにおいてポジションセンサ8がONになったか否かを判定する(ステップS607)。ここで、ポジションセンサON判定位置aにおいてポジションセンサ8がOFFのままの場合(ステップS607:No)、モータ駆動デバイス202aは、エラー判定を行い、ユーザにエラー通知を行う(ステップS604)。
【0051】
また、ポジションセンサON判定位置aにおいてポジションセンサ8がONになった場合(ステップS607:Yes)、モータ駆動デバイス202aは、キャリッジ2を初期位置Aに戻した後、駆動モータ6の駆動を停止させ(ステップS608)、かつユーザに対して原稿の再読取を要求する(ステップS609)。
【0052】
また、ステップS601において、ポジションセンサ8がOFFである場合(ステップS601:No)、モータ駆動デバイス202aは、駆動モータ6の駆動を開始し、キャリッジ2の復路動作を行う(ステップS610)。次に、モータ駆動デバイス202aは、ポジションセンサON判定位置aにおいてポジションセンサ8がONになったか否かを判定する(ステップS611)。ポジションセンサON判定位置aにおいてポジションセンサ8がOFFのままの場合(ステップS611:No)、モータ駆動デバイス202aは、エラー判定を行い、ユーザにエラー通知を行う(ステップS612)。一方、ポジションセンサON判定位置aにおいてポジションセンサ8がONになった場合(ステップS611:Yes)、モータ駆動デバイス202aは、キャリッジ2をポジションセンサON判定位置aに移動させた後、駆動モータ6の駆動を停止し(ステップS613)、かつユーザに対して原稿の再読取を要求する(ステップS614)。
【0053】
図7は、本実施の形態にかかる画像読取装置によるキャリッジのプレスキャンの流れの一例を示すフローチャートである。本実施の形態では、モータ駆動デバイス202aは、図5に示すリトライ処理後、プレスキャンとして、前回、異常が発生した際の動作をもう一度実施させ、キャリッジ2に異常がないことを確認する処理を実行する。プレスキャンを実施する理由としては、スキャン実行時(原稿の読取実行時)に、ある特定の箇所で駆動モータ6が停止してしまう場合(例えば、ギアまたは駆動ベルトの一部破損、メカ機構的にキャリッジ2が引っかかる場所がある場合等)、図6に示すリトライ処理は異常なしで通過するが、ユーザが再びスキャン動作を実施した際、再度、キャリッジ2の異常が発生してしまうことになる。
【0054】
よって、図6に示すリトライ処理だけでは、キャリッジ2の異常検知できない場合においても、図7に示すように、モータ駆動デバイス202aは、前回スキャン時の設定(例えば、線速、読取サイズ)を読出して、プレスキャン動作として、キャリッジ2を動作させておくことで、ユーザが、再び、スキャンして異常通知が発生することを防止しておくことで、ユーザのストレスを低減させることができる。
【0055】
具体的には、ステップS608またはステップS613において、駆動モータ6の駆動が停止した後、モータ駆動デバイス202aは、前回、キャリッジ2の異常が検知された際の読取動作の設定(例えば、線速、読取サイズ)を読み出す。次に、モータ駆動デバイス202aは、駆動モータ6の駆動を開始し、キャリッジ2の往路動作を行う(ステップS701)。次に、モータ駆動デバイス202aは、ポジションセンサON判定位置aにおいてポジションセンサ8がONになったか否かを判定する(ステップS702)。ポジションセンサON判定位置aにおいてポジションセンサ8がOFFである場合(ステップS702:No)、モータ駆動デバイス202aは、キャリッジ2の動作の異常を検知して、駆動モータ6の駆動を停止し(ステップS703)、かつユーザに対してエラー通知を行う(ステップS704)。
【0056】
ポジションセンサON判定位置aにおいてポジションセンサ8がONの場合(ステップS702:Yes)、モータ駆動デバイス202aは、ポジションセンサOFF判定位置bにおいてポジションセンサ8がOFFになったか否かを判定する(ステップS705)。ポジションセンサOFF判定位置bにおいてポジションセンサ8がONのままの場合(ステップS705:No)、モータ駆動デバイス202aは、キャリッジ2の動作の異常を検知して、ステップS703に進む。一方、ポジションセンサOFF判定位置bにおいてポジションセンサ8がOFFになった場合(ステップS705:Yes)、モータ駆動デバイス202aは、キャリッジ2を読取位置Dに移動させ、駆動モータ6の駆動を停止する(ステップS706)。次に、モータ駆動デバイス202aは、駆動モータ6の駆動を開始し、キャリッジ2の復路動作を行う(ステップS707)。
【0057】
次いで、モータ駆動デバイス202aは、キャリッジ2が読取位置DからポジションセンサOFF判定位置bまで移動する間、ポジションセンサ8がOFFとなっているか否かを判定する(ステップS708)。ポジションセンサ8がONの場合(ステップS708:No)、モータ駆動デバイス202aは、キャリッジ2の動作の異常を検知して、ステップS703へ進む。また、ポジションセンサ8がOFFのままの場合(ステップS708:Yes)、モータ駆動デバイス202aは、ポジションセンサON判定位置aにおいてポジションセンサ8がONになったか否かを判定する(ステップS709)。ポジションセンサ8がOFFのままの場合(ステップS709:No)、モータ駆動デバイス202aは、キャリッジ2の動作の異常を検知して、ステップS703へ進む。一方、ポジションセンサ8がONになった場合(ステップS709:Yes)、モータ駆動デバイス202aは、キャリッジ2を初期位置Aに移動させ、駆動モータ6の駆動を停止し(ステップS710)、かつ、ユーザに対して原稿の再読取を要求する(ステップS711)。
【0058】
図8は、本実施の形態にかかる画像読取装置における読取動作の流れの他の例を示すフローチャートである。本実施の形態では、モータ駆動デバイス202aは、図8に示すように、図4のリトライ処理に移行する条件として、エラー判定に回数を設けても良い。リトライ処理により、復旧可能と判断された場合でも、その次の原稿の読取り動作で再びエラー判定された場合は、モータ駆動デバイス202aは、リトライ処理で検知不可な何らかの不具合があると判断し、再度リトライ処理には入らず、エラー通知を出すようにしても良い。本実施の形態では、モータ駆動デバイス202aは、2回連続でエラー判定された場合に、再度リトライ処理に入らずに、エラー通知を出しているが、その回数は任意に設定しても良い。
【0059】
具体的には、ステップS402において、ON位置Bにおいてポジションセンサ8がOFFの場合(ステップS402:No)、モータ駆動デバイス202aは、エラーフラグをインクリメントし(ステップS801)、かつ駆動モータ6の駆動を停止する(ステップS802)。次に、モータ駆動デバイス202aは、エラーフラグが1か否かを判定する(ステップS803)。エラーフラグが2であり、エラー判定が2回連続して行われた場合(ステップS803:No)、モータ駆動デバイス202aは、ユーザに対してエラー通知を行う(ステップS804)。一方、エラーフラグが1であり、エラー判定が2回連続して行われていない場合(ステップS803:Yes)、モータ駆動デバイス202aは、リトライ処理を実行する(ステップS502)。また、ステップS413において、モータ駆動デバイス202aは、キャリッジ2が初期位置Aに移動すると、駆動モータ6の駆動を停止すると、エラーフラグを0に設定する(ステップS805)。
【0060】
図9は、本実施の形態にかかる画像読取装置において表示される画面の一例を説明するための図である。具体的には、図9は、本実施の形態にかかる画像読取装置を有する画像形成装置(例えば、複合機、複写機)の操作部における画面(操作部画面の一例)の表示例である。本実施の形態では、モータ駆動デバイス202aは、ステップS502に示すリトライ処理中、ユーザに数秒程度の待ち時間が生じるため、図9(a)に示すように、操作部に復旧中の通知をしておく。
【0061】
また、リトライ処理の結果、復旧できず、NGとなった場合は、モータ駆動デバイス202aは、図9(b)に示すように、操作部に対してエラー通知を行う。なお、操作部画面に対するエラー通知に含まれるエラー番号は、画像読取装置のキャリッジ2の動作エラーが該当するように、予め、設計段階で決定しても良い。また、モータ駆動デバイス202aは、復旧が成功してOKの場合には、図9(c)に示すように、ユーザに再度、操作を促す通知を行う。また、モータ駆動デバイス202a(例えば、複合機、複写機)には、エラーが発生した回数および日時をメモリ207に保存し、市場での動作解析のために役立てるような機構もあるが、リトライ処理を実施する場合、エラー番号は通知しないが、解析用として、エラー番号を割り当てて、前記同様に、メモリ207に保存しておいても良い。
【0062】
図10は、本実施の形態にかかる画像読取装置におけるリトライ処理により得られる効果の一例を説明するための図である。本実施の形態の効果として、従来の自動リブート(リトライ処理)なしの場合、図10(a)に示すように、ユーザがサービス(保守)へ連絡し、マシンの電源をOFFからONで復旧を試みるのに数分から数10分は時間を要してしまう。また、自動リブート機能(マシンが自動で電源をOFFからONする機能)を有していても、図10(b)に示すように、マシンの電源をOFFからONするのに約5分程度は時間がかかる。これに対して、本実施の形態にかかる画像読取装置によれば、図10(c)に示すように、断続的な異常ではなく、復旧が可能な突発的な異常に対しては、リトライ処理を行うことで、わずか数秒で復旧可否が判断でき、復旧可能な場合はユーザのダウンタイムを低減できる。
【0063】
図11は、本実施の形態にかかる画像読取装置を備えた画像形成装置の一例を示す図である。上記では、画像読取装置として説明したが、本実施の形態にかかる画像読取装置を用いて読み取り動作を使う機能であれば、特にスキャン動作のみに限らず、画像形成装置として、コピーおよびファックスの機能にも応用できる。図11に示す画像形成装置は、コピー、スキャナ、FAXを用いることができる画像形成装置である。
【0064】
画像形成装置100は、給紙部103、画像形成装置本体104、スキャナ(画像読取装置)101、および自動原稿搬送装置(ADF)102を基本的に有している。画像形成装置本体104内には、タンデム方式の作像部105と、この作像部105に給紙部103から搬送路107を介して記録紙を供給するレジストローラ108と、光書き込み装置109と、定着、搬送部110と、両面トレイ111と、を備えている。
【0065】
作像部105には、YMCK4色に対応して4本の感光体ドラム112が並設され、各感光体ドラム112の回りには帯電器、現像器106、転写器、クリーナ、および除電器を含む作像要素が配置されている。また、転写器と感光体ドラム112との間には両者のニップに挟持された状態で駆動ローラと従動ローラとの間に張架された中間転写ベルト113が配置されている。
【0066】
このように構成されたタンデム方式の画像形成装置100では、YMCKの色毎に各色に対応する感光体ドラム112に光書き込みを行い、現像器106で各色のトナー毎に現像し、中間転写ベルト113上に、例えば、Y,M,C,Kの順で1次転写する。そして、1次転写により4色重畳されたフルカラーの画像を記録紙に2次転写した後、定着して排紙することによりフルカラーの画像を記録紙上に形成する。本実施の形態にかかる画像読取装置を画像形成装置100に備えることで、従来のマシンより、ダウンタイム低減が可能な画像形成装置を提供することができる。
【0067】
このように、本実施の形態にかかる画像読取装置101によれば、画像読取装置101の電源(マシン電源)をOFFからONしなくても、画像読取装置101を復旧可能となるので、キャリッジ2の動作の異常検知によるユーザのダウンタイムを低減が可能となる。すなわち、本実施の形態にかかる画像読取装置101によれば、突発的なキャリッジ2の異常の際には、マシン電源のオフからオンを実施しなくても、ユーザに、再度、機器の使用可能な旨を通知することで、ダウンタイムを低減できる。
【0068】
なお、上記実施の形態では、本発明の画像形成装置100を、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能およびファクシミリ機能のうち少なくとも2つの機能を有する複合機に適用した例を挙げて説明するが、複写機、プリンタ、スキャナ装置、ファクシミリ装置等の画像形成装置であればいずれにも適用することができる。
【0069】
本発明の態様は、例えば、以下のとおりである。
<1> 1次元方向に往復走査するキャリッジと、
前記キャリッジの基準位置を検知するポジションセンサと、
前記キャリッジを駆動させる駆動モータと、
前記駆動モータのクロック信号を生成するモータ駆動デバイスと、
前記モータ駆動デバイスから前記クロック信号が入力され、前記駆動モータのモータ駆動信号を出力するモータドライバと、
前記モータ駆動デバイスにより生成される前記クロック信号のパルス数をカウントするパルスカウンタと、
前記パルスカウンタによりカウントされる前記パルス数が任意に設定したパルス数で割込みを発生させる割込み検出器と、を備え、
前記モータ駆動デバイスは、前記割込み検出器による割込みおよび前記ポジションセンサによる前記キャリッジの基準位置の検知結果に基づいて、前記キャリッジの動作の異常検知を行い、前記キャリッジの動作の異常が検知された場合、前記キャリッジを駆動させて、再度、前記異常検知を行うリトライ処理を実施する、画像読取装置。
<2> 前記モータ駆動デバイスは、前記リトライ処理を実施する場合は、前記ポジションセンサの論理が変化する方向へ、前記キャリッジを動作させる、<1>記載の画像読取装置。
<3> 前記モータ駆動デバイスは、前記リトライ処理を実施した際に、前記キャリッジの動作が正常と判定された場合、前記キャリッジの往復動作を実施し、前記異常検知を行う、<1>または<2>記載の画像読取装置。
<4> 前記モータ駆動デバイスは、前記異常検知を行い、前記キャリッジの動作の異常が検知された場合、メモリに前記異常検知時のパルス数のカウント値を保存する、<1>から<3>のいずれか一つに記載の画像読取装置。
<5> 前記モータ駆動デバイスは、前記リトライ処理を実施した際に、前記キャリッジの動作が正常と判断された場合、再び、読取動作を行った際に、前記キャリッジの動作の異常が検知された場合は、異常通知を行う、<1>から<4>のいずれか一つに記載の画像読取装置。
<6> 前記異常検知時において、ユーザに通知する画面パターンを表示させる、操作部画面を有する、<1>から<5>のいずれか一つに記載の画像読取装置。
<7> 前記モータ駆動デバイスは、前記リトライ処理実施前の前記異常検知の場合は、エラーを操作部に表示せず、メモリに発生回数を保存する、<1>から<6>のいずれか一つに記載の画像読取装置。
<8> コピー印刷、スキャナ送信、およびFAX送信の少なくとも1つ以上の機能を備える、<1>から<7>のいずれか一つに記載の画像読取装置。
【符号の説明】
【0070】
2 キャリッジ
3 光源
4 イメージセンサ基板
5 反射ミラー
6 駆動モータ
7 駆動ベルト
8 ポジションセンサ
9 搬送原稿読取りガラス
10 基準白板
11 コンタクトガラス
100 画像形成装置
101 画像読取装置
102 ADF
201 スキャナユニット
202 制御基板
202a モータ駆動デバイス
202b モータドライバ
202c センサ検知部
203 パルスカウンタ
204 割込み検出器
205 光源制御部
206 画像処理部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0071】
【特許文献1】特開2008-076540号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11