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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172600
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】検査装置、および検査方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/28 20060101AFI20241205BHJP
   G01R 31/26 20200101ALI20241205BHJP
   H01L 27/144 20060101ALI20241205BHJP
   H01L 21/66 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
G01R31/28 H
G01R31/26 E
H01L27/144 Z
H01L21/66 W
H01L21/66 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023090424
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】小林 将人
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼▲瀬▼ 文哉
【テーマコード(参考)】
2G003
2G132
4M106
4M118
【Fターム(参考)】
2G003AA06
2G003AB16
2G003AG04
2G003AG06
2G003AH05
2G132AB01
2G132AE04
2G132AF14
2G132AL11
4M106AA01
4M106BA01
4M106BA04
4M106CA17
4M106DD03
4M106DD18
4M106DD23
4M106DH31
4M106DJ02
4M106DJ03
4M118AA10
4M118AB01
4M118BA14
4M118CA02
4M118EA11
4M118FA06
4M118GA02
4M118GC08
4M118GD03
4M118GD04
4M118HA30
(57)【要約】
【課題】撮像デバイスの検査を精度よく実施できる技術を提供する。
【解決手段】検査装置は、配線層と反対側の面から光が入射される撮像デバイスを有する検査体を検査する。検査装置は、前記撮像デバイスの前記配線層の反対側の面と対向する形態で前記検査体を載置する載置面を有し、かつ光を透過可能な載置台と、前記載置台を鉛直方向および水平方向に移動可能な載置台動作部と、前記載置面を通して前記撮像デバイスに検査光を照射する照射装置と、を含む。前記載置台動作部は、前記載置台の移動によって、前記載置面に載置された前記検査体に対する前記照射装置の相対位置を変える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線層と反対側の面から光が入射される撮像デバイスを有する検査体の検査装置であって、
前記撮像デバイスの前記配線層の反対側の面と対向する形態で前記検査体を載置する載置面を有し、かつ光を透過可能な載置台と、
前記載置台を鉛直方向および水平方向に移動可能な載置台動作部と、
前記載置面を通して前記撮像デバイスに検査光を照射する照射装置と、を含み、
前記載置台動作部は、前記載置台の移動によって、前記載置面に載置された前記検査体に対する前記照射装置の相対位置を変える、
検査装置。
【請求項2】
前記載置台動作部は、内側において鉛直方向に連なり、前記照射装置を配置可能な照射装置用空間を有する、
請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
前記載置台動作部は、第1方向に延在する一対の第1レールを有すると共に、前記一対の第1レールに重なると共に前記第1方向と直交する第2方向に延在する一対の第2レールを有する水平移動機構を備え、
前記水平移動機構は、前記一対の第1レールの内側および前記一対の第2レールの内側に前記照射装置用空間を形成する空間を有する、
請求項2に記載の検査装置。
【請求項4】
前記載置台動作部は、前記載置台を軸回りに回転させるθ軸回転機構を有し、
前記θ軸回転機構は、筒状の固定部と、前記固定部に対して相対回転可能な筒状のθ可動部と、を含み、
前記固定部および前記可動部の内側に前記照射装置用空間を形成する空間を有する、
請求項2に記載の検査装置。
【請求項5】
前記載置台動作部は、前記載置台を昇降させるZ軸移動機構を有し、
前記Z軸移動機構は、駆動源と、前記駆動源の駆動によって昇降するZ軸可動台と、を含み、
前記Z軸可動台は、前記照射装置用空間を形成する空間を内側に有する、
請求項2に記載の検査装置。
【請求項6】
前記照射装置は、前記検査光を照射する光源モジュールと、前記光源モジュールと前記載置台の間に配置され複数のレンズを有するレンズモジュールと、を含む、
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の検査装置。
【請求項7】
前記光源モジュールと、前記レンズモジュールとは、相互に独立して移動可能である、
請求項6に記載の検査装置。
【請求項8】
前記載置台動作部および前記照射装置を制御するコントローラを有し、
前記コントローラは、前記載置台動作部の移動により前記載置台を位置決めする間または前記載置台を位置決めした後に、前記照射装置を動作させて前記載置台に近接させる、
請求項7に記載の検査装置。
【請求項9】
前記照射装置を前記載置台に近接させた状態で、前記レンズモジュールと前記載置台との間隔は、前記載置台の厚みよりも小さい、
請求項8に記載の検査装置。
【請求項10】
前記載置台は、前記検査光を透過可能かつ前記載置台を加熱可能なヒータ層、および前記検査光を透過可能かつ前記載置台の温度を検出可能なセンサ層を積層している、
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の検査装置。
【請求項11】
配線層と反対側の面から光が入射される撮像デバイスを有する検査体を検査装置により検査する検査方法であって、
前記検査装置は、
前記撮像デバイスの前記配線層の反対側の面と対向する形態で前記検査体を載置する載置面を有し、かつ光を透過可能な載置台と、
前記載置台を鉛直方向および水平方向に移動可能な載置台動作部と、
前記載置面を通して前記撮像デバイスに検査光を照射する照射装置と、を含み、
前記検査方法では、
前記載置台動作部による前記載置台の移動によって、前記載置面に載置された前記検査体に対する前記照射装置の相対位置を変える工程と、
前記検査体に対する前記照射装置の相対位置を変える工程の後、前記照射装置により前記検査光を照射して前記撮像デバイスの検査を行う工程と、を有する、
検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、検査装置、および検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
CMOSイメージセンサ等の撮像デバイスを有する基板(検査体)の検査では、複数のLEDにより形成された発光部から基板に向けて検査光を照射して、撮像デバイスの各画素の欠陥の有無を判定している。また近年はS/N比の向上や消費電力の削減等の理由から、配線層と反対側の面から光が入射される裏面照射型の撮像デバイスが開発され、検査装置もこの撮像デバイスに対応した検査を行う装置の開発が進められている。例えば、特許文献1には、複数の撮像デバイスを有する基板を載置台に載置し、同じ載置台側から検査用の光を照射する光出射部(照射装置)を備えた検査装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020‐68329号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、撮像デバイスの検査を精度よく実施できる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様によれば、配線層と反対側の面から光が入射される撮像デバイスを有する検査体の検査装置であって、前記撮像デバイスの前記配線層の反対側の面と対向する形態で前記検査体を載置する載置面を有し、かつ光を透過可能な載置台と、前記載置台を鉛直方向および水平方向に移動可能な載置台動作部と、前記載置面を通して前記撮像デバイスに検査光を照射する照射装置と、を含み、前記載置台動作部は、前記載置台の移動によって、前記載置面に載置された前記検査体に対する前記照射装置の相対位置を変える、検査装置が提供される。
【発明の効果】
【0006】
一態様によれば、撮像デバイスの検査を精度よく実施できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態に係る検査装置の構成を示す概略縦断面図である。
図2図2(A)は、実施形態に係る検査装置が検査する検査対象デバイスである撮像デバイスの一部を拡大して示す断面図である。図2(B)は、比較例に係る撮像デバイスの一部を拡大して示す断面図である。
図3】撮像デバイスの検査状態を例示する拡大断面図である。
図4】検査部の全体構成を示す部分側面断面図である。
図5図5(A)は、実施形態に係るステージを概略的に示す平面図である。図5(B)は、第1変形例に係るステージを概略的に示す平面図である。図5(C)は、第2変形例に係るステージを概略的に示す平面図である。
図6】ステージの水平移動機構を示す斜視図である。
図7図7(A)は、ステージの載置台を概略的に示す平面図である。図7(B)は、載置台を概略的に示す側面図である。図7(C)は、図7(B)のVIIB‐VIIB線の積層構造を概略的に示す側面断面図である。図7(D)は、変形例に係る積層構造を概略的に示す側面断面図である。
図8】検査装置の検査方法を示すフローチャートである。
図9】他の実施形態に係る検査部の全体構成を示す部分側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本開示を実施するための形態について説明する。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0009】
図1は、実施形態に係る検査装置1の構成を示す概略縦断面図である。図1に示すように、検査装置1は、検査対象デバイスを有する検査体である基板に対して検査を行う装置である。検査される基板は、例えば、平面視で正円形状に形成され、複数の検査対象デバイスをマトリックス状に配置している(以下、基板をウエハWともいう)。なお、検査体は、複数の検査対象デバイスを有するウエハWに限定されず、検査対象デバイスが配置されたキャリア、チップ単体、電子回路基板等でもよい。
【0010】
図2(A)は、実施形態に係る検査装置1が検査する検査対象デバイスである撮像デバイス100の一部を拡大して示す断面図である。図2(B)は、比較例に係る撮像デバイス200の一部を拡大して示す断面図である。検査装置1が検査する検査対象デバイスは、図2(A)に示すように、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)を用いた固体撮像素子である撮像デバイス100があげられる。CMOSの撮像デバイス100は、格子状に並んだ画素110毎に1つのフォトダイオード113と、CMOSトランジスタのスイッチ114sとを含んで構成され、画素110毎にスイッチ114sを切り替えて信号を増幅し、直接読み出しを行う。
【0011】
ただし、撮像デバイス100は、画素110を構成する積層構造の配置によってその性能が変化する。以下では、実施形態の撮像デバイス100の理解の容易化のため、まず図2(B)を参照して比較例(従来)の撮像デバイス200について説明する。
【0012】
比較例に係る撮像デバイス200の複数の画素210は、フォトダイオード214の上層に積層されるカラーフィルタ212においてレジストする色(例えば、RGBカラーのいずれか)を検出する。各画素210は、オンチップレンズ211、カラーフィルタ212、配線層213およびフォトダイオード214を、この順に積層した積層構造に形成されている。
【0013】
すなわち、撮像デバイス200は、カラーフィルタ212とフォトダイオード214との間に配線層213を配置している。オンチップレンズ211から入射した検査光は、カラーフィルタ212、配線層213を透過してフォトダイオード214に入光する。この場合、配線層213に接続される図示しないパッドをオンチップレンズ211側に配置できるため、検査装置は、撮像デバイス200に照射する検査光と、各プローブを同じ方向に配置して検査を行うことができる。以下、図2(B)の積層構造を有する撮像デバイス200を表面照射型という。
【0014】
ただし、検査光が配線層213を透過することで、撮像デバイス200のフォトダイオード214は、大きなロス(損失)が生じた検査光を受光することになる。また、表面照射型の撮像デバイス200は、オンチップレンズ211側にパッドを配置することで、ウエハWにおけるデットスペースが大きくなる。
【0015】
一方、図2(A)に示すように、撮像デバイス100の複数の画素110は、オンチップレンズ111、カラーフィルタ112、フォトダイオード113、配線層114を、この順に積層した積層構造に形成されている。すなわち、撮像デバイス100は、カラーフィルタ212の背面にフォトダイオード113を配置しており、オンチップレンズ111から入光した光が、カラーフィルタ112を透過した直後にフォトダイオード113に入光する。
【0016】
この場合、配線層114に接続されるパッド115(図3参照:電極パッドや半導体バンプ等)をオンチップレンズ111の反対側に配置できる。検査装置1は、パッド115に接触する各プローブ22に対して、撮像デバイス100に照射する検査光の照射装置50(図3参照)を反対側に配置して検査を行うことになる。以下、図2(A)の積層構造を有する撮像デバイス100を裏面照射型という。
【0017】
裏面照射型の撮像デバイス100は、検査光が配線層114に邪魔されずにフォトダイオード113に取り込めるようになり、検出の感度が大幅に向上する。また、裏面照射型の撮像デバイス100は、ウエハWにおけるデットスペースを可及的に低減できる。
【0018】
以下、裏面照射型の撮像デバイス100の検査の原理について、図3を参照しながら説明する。図3は、撮像デバイス100の検査状態を例示する拡大断面図である。
【0019】
検査装置1は、撮像デバイス100の検査において、オンチップレンズ111側の面を載置台31に向けた状態でウエハWを載置する一方で、各撮像デバイス100の配線層114のパッド115に対して検査装置1のプローブ22を接触させる。さらに、検査装置1は、ステージ30側に配置した照射装置50から色/光量(放射強度)/角度等を制御した検査光をウエハWに向けて照射する。検査装置1は、この照射時の各撮像デバイス100の電気信号をテスタ20において受信し、各撮像デバイス100の良または不良(欠陥)を判定する。以下、この検査装置1の構成について、具体的に説明していく。
【0020】
図1に戻り、検査装置1は、検査を実際に行う検査部10と、検査部10の隣接位置に設置されるローダ13と、検査部10の上方に設置されるテスタ20と、を備える。さらに、検査装置1は、検査部10、ローダ13およびテスタ20の動作を制御するコントローラ90を有する。
【0021】
検査部10は、直方体形状の筐体11を備え、この筐体11の内部に検査室12を有する。検査室12には、ウエハWを載置して、所望の3次元位置にウエハWを搬送するステージ30が収容されている。
【0022】
ローダ13には、複数のウエハWを待機させる図示しないFOUP(Front-Opening Unified Pod)がセットされる。ローダ13は、図示しない搬送装置を備え、搬送装置によりFOUPからウエハWを取り出して、検査室12のステージ30へウエハWを受け渡す。また、ローダ13は、搬送装置により検査済のウエハWをステージ30から取り出してFOUPへ収容する。
【0023】
検査部10は、インタフェース23を介してテスタ20に接続されるプローブカード21を検査室12の上方に備える。プローブカード21は、ウエハWに対向する位置に複数のプローブ22を有する。各プローブ22は、ステージ30によりウエハWを移動させた際に、ウエハWの各被検査デバイスの電極パッドや半田バンプ等に接触する。これにより、テスタ20は、プローブカード21およびインタフェース23を介して被検査デバイスへ電力および各種の信号を出力し、またプローブカード21およびインタフェース23を介して被検査デバイスから送信される信号を受信する。
【0024】
テスタ20は、インタフェース23に接続されるマザーボード(不図示)を内部に備える。マザーボードは、図示しない複数のテストボードが装着される複数のスロットを有すると共に、コントローラ90に接続されている。マザーボードは、ウエハWの被検査デバイスから送信される信号に基づき各被検査デバイスの良否を判断する。テストボードを適宜取り替えることにより、テスタ20は、複数種類の検査を実施することができる。
【0025】
さらに、検査装置1は、検査室12の適宜の位置に、ステージ30上のウエハWを撮像する検査側カメラ29を備えてもよい。検査側カメラ29は、例えば、ステージ30の傾斜やステージ30に載置されたウエハWの位置などを撮像する。またさらに、検査装置1は、プローブカード21、または各プローブ22とウエハWの接触状態等を撮像するステージ側カメラ19を備えてもよい。
【0026】
以下、検査部10の具体的な構成について、さらに図4図7を参照しながら詳述していく。図4は、検査部10の全体構成を示す部分側面断面図である。図5(A)は、実施形態に係るステージ30を概略的に示す平面図である。図5(B)は、第1変形例に係るステージ30Aを概略的に示す平面図である。図5(C)は、第2変形例に係るステージ30Bを概略的に示す平面図である。図6は、ステージ30の水平移動機構42を示す斜視図である。図7(A)は、ステージ30の載置台31を概略的に示す平面図である。図7(B)は、載置台31を概略的に示す側面図である。図7(C)は、図7(B)のVIIB‐VIIB線の積層構造を概略的に示す側面断面図である。図7(D)は、変形例に係る積層構造を概略的に示す側面断面図である。
【0027】
図4に示すように、検査部10の筐体11は、図示しないパネルの内側に鉛直方向に延在する複数の支柱11aを有すると共に、各支柱11aに連結されて水平方向に延在する複数の横フレームを有する。複数の横フレームは、例えば、テスタ20を支持する天井フレーム11bと、ステージ30を支持する中間フレーム11cと、照射装置50を支持する床フレーム11dと、を含む。検査部10の検査室12は、中間フレーム11cにより鉛直方向に2段の空間に分割されている。ただし、中間フレーム11cは、筐体11内を周回する方形環状の枠体に形成されており、2段の空間は相互に連通している。
【0028】
ステージ30は、検査室12内においてウエハWを移動させて、プローブカード21の各プローブ22に撮像デバイス100を接触させる。具体的には、ステージ30は、ウエハWを載置する載置台31と、中間フレーム11cに設置されて載置台31を移動させる載置台動作部40と、載置台31の隣接位置に設置されてプローブ22を研磨する研磨機構部60と、を含む。
【0029】
載置台動作部40は、コントローラ90(図1参照)の指令下に、載置台31に載置されたウエハWを検査室12の目標の3次元位置に移動させる。この載置台動作部40は、鉛直方向下側から鉛直方向上側に向かって、Z軸移動機構41と、水平移動機構42と、θ軸回転機構45と、を備える。
【0030】
Z軸移動機構41は、載置台31を鉛直方向(Z軸方向)に昇降させる。このZ軸移動機構41は、中間フレーム11cに設置される複数(実施形態では4つ:図5(A)参照)の駆動源411と、駆動源411の駆動力を伝達する駆動伝達部412と、駆動伝達部412に支持されるZ軸可動台413と、を有する。
【0031】
図5(A)に示すように、各駆動源411は、平面視で、中間フレーム11cの4つの角部付近にそれぞれ設けられる。各駆動源411は、モータ、シリンダ機構等を適用できる。本実施形態では、モータを採用している。例えば、各駆動源411は、中間フレーム11cの下面に固定され、駆動軸を鉛直方向上側に突出した姿勢となっている(図4参照)。各駆動源411は、図示しない駆動ドライバを介してコントローラ90(またはコントローラ90の指令下に移動制御を行う移動制御部)に接続され、当該コントローラ90により回転タイミングや回転量が調整される。
【0032】
駆動伝達部412は、駆動源411の種類に応じて適切な機構を採り得る。例えば駆動源411がモータである場合には、モータの回転運動を直線運動に変換するボールネジ機構を適用できる。
【0033】
Z軸可動台413は、中間フレーム11cよりも鉛直方向上側に設けられ、各駆動源411の駆動に伴ってZ軸方向(鉛直方向)に昇降する。Z軸可動台413は、平面視で、中央部に空間41sを有する方形環状に形成され、水平移動機構42を支持している。空間41sは、平面視で、方形状に形成され、また照射装置50よりも大きなサイズに設定されている。
【0034】
なお、Z軸移動機構41の構成は、上記に限らず種々の構成を採用してよい。例えば、Z軸移動機構41の駆動源411の数は、4つに限定されない。図5(B)に示す第1変形例のように、Z軸移動機構41Aは、2つの駆動源411を備えた構成でもよい。この場合、Z軸移動機構41Aは、各駆動源411の駆動軸に主動プーリ414を備えると共に、Z軸可動台413の各角部に従動プーリ415を備え、1つの主動プーリ414および2つ従動プーリ415を一対の無端状のベルト416で連動させる駆動伝達部412Aを適用すればよい。
【0035】
また例えば、図5(C)に示す第2変形例のように、Z軸移動機構41Bは、1つの駆動源411を備えた構成でもよい。この場合、Z軸移動機構41Bは、1つ駆動源411の駆動軸に主動プーリ414を備えると共に、Z軸可動台413の各角部に従動プーリ415を備え、主動プーリ414および従動プーリ415を、1つの無端状のベルト417で連動させる駆動伝達部412Bを適用すればよい。
【0036】
水平移動機構42は、載置台31を水平方向(X軸‐Y軸方向)に移動させる。実施形態に係る水平移動機構42は、図4および図6に示すように、Y軸移動機構43およびX軸移動機構44を一体化したフレーム構造体421を有している。
【0037】
具体的には、フレーム構造体421は、一対(2本)のY軸レール431を平行に配置すると共に、当該一対のY軸レール431に対して鉛直方向に重なりかつ直交する一対(2本)のX軸レール441を配置したクロス形状(井桁形状)を呈している。なお、実施形態に係る水平移動機構42は、Y軸移動機構43の上側にX軸移動機構44を配置しているが、この配置は逆であってもよい。
【0038】
Y軸移動機構43の一対のY軸レール431は、Z軸可動台413の上面に固定されて、Y軸方向に沿って延在している。Y軸移動機構43は、この一対のY軸レール431に複数(4つ)のY軸可動体432を配置している。各Y軸可動体432は、Y軸レール431に沿って移動自在に搭載される。
【0039】
4つのY軸可動体432は、1本のY軸レール431毎に2つずつ設けられる。一のY軸レール431に搭載した2つのY軸可動体432のうちの一方は、平行に隣接する他のY軸レール431に搭載した2つのY軸可動体432のうちの一方とX軸方向に並び、一対のX軸レール441のうち同じ一のX軸レール441を保持する。同様に、一のY軸レール431に搭載した2つのY軸可動体432のうちの他方は、平行に隣接する他のY軸レール431に搭載した2つのY軸可動体432のうちの他方とX軸方向に並び、一対のX軸レール441のうち同じ他のX軸レール441を保持する。
【0040】
一のY軸レール431に搭載した2つのY軸可動体432、および他のY軸レール431に搭載した2つのY軸可動体432は、Y軸方向に延びる連結体434によりそれぞれ連結されている。これにより、各Y軸レール431の2つのY軸可動体432は、相互の間隔を維持した状態でY軸方向に連動してスライドすることが可能となっている。
【0041】
さらに、Y軸移動機構43は、Z軸可動台413に駆動源433と、駆動源433の駆動力を伝達する図示しない駆動伝達部とを備える。駆動源433は、モータ、シリンダ機構等を適用でき、一対のX軸レール441のうち一方に接続している。Y軸移動機構43は、コントローラ90の指令下に駆動源433を動作させ、駆動源433の駆動力を一のX軸レール441に伝達することで、一のX軸レール441をY軸方向に進退させる。これにより、一のX軸レール441を支持している各Y軸可動体432が各Y軸レール431に沿って移動し、連結体434を介して他のX軸レール441を支持している各Y軸可動体432もY軸方向に移動させる。結果的に、Y軸移動機構43は、一対のX軸レール441の間隔を維持したまま当該一対のX軸レール441をY軸方向にスライドできる。
【0042】
一方、X軸移動機構44は、各Y軸可動体432において一対のX軸レール441が移動自在に保持されている。換言すれば、各Y軸可動体432は、鉛直方向に搭載されているY軸レール431およびX軸レール441に対して移動自在なスライド部432a、432bを上下方向(鉛直方向)に有している。スライド部432a、432bは、図示しない複数の転動体を内部に備え、転動体の回転に基づきレールを移動できる。
【0043】
また、X軸移動機構44は、一対のX軸レール441をまたがるように環状方形のX軸可動台442(図4参照)を搭載している。X軸移動機構44は、Z軸可動台413に駆動源443と、駆動源443の駆動力を伝達する図示しない駆動伝達部とを備える。駆動源443は、モータ、シリンダ機構等を適用でき、X軸可動台442に接続している。X軸移動機構44は、コントローラ90の指令下に駆動源443を動作させ、駆動源443の駆動力をX軸可動台442に伝達することで、一対のX軸レール441と共にX軸可動台442をX軸方向に進退させることができる。
【0044】
以上の水平移動機構42は、一対のY軸レール431と、一対のX軸レール441とで囲われた空間42sを有する。空間42sは、Z軸可動台413の空間41sと連通し、また照射装置50よりも大きなサイズに設定されている。
【0045】
θ軸回転機構45は、X軸移動機構44のX軸可動台442に設けられ、載置台31をθ軸(鉛直軸)回りに回転させる。例えば、θ軸回転機構45は、X軸可動台442に固定される固定部451と、固定部451の上側に回転可能に搭載されるθ可動部452と、を有する。また、θ軸回転機構45は、図示しない駆動源および駆動伝達部を有し、コントローラ90の指令下に駆動源を動作させることで、固定部451と相対的にθ可動部452を回転させる。なお、固定部451およびθ可動部452は、後記の照射装置50の上昇を許容するため、それぞれ筒状に形成されており、その内側に空間45sを有している(図7(B)も参照)。
【0046】
一方、ステージ30の載置台31は、θ軸回転機構45のθ可動部452の上面に固定されている。この載置台31は、ステージ30の鉛直方向下側に配置される照射装置50の検査光を透過するために、ガラス(石英)等の材料により透明に形成されている。載置台31の厚みは、ウエハWを支持可能な強度と、検査光のロスを低減可能な光路長とのバランスをとって設定される。例えば、載置台31の厚みは、3mm~30mm程度の範囲に設定するとよい。これにより、載置台31は、ウエハWを安定的に支持しながら、照射装置50の検査光の透過に伴うロス(損失)を低減できる。
【0047】
載置台31は、図7(A)に示すように、平面視で正方形状に形成され、ウエハWを載置するための載置面31sを上面に有する。載置面31sには、検査時にウエハWを吸着するための円環形状の吸引溝32が形成されている。吸引溝32は、載置台31の内部に設けられた図示しない吸引路に連通しており、この吸引路は、吸引ラインを介して検査部10の外側に設けられた吸引機構14に接続されている(図1参照)。ステージ30は、吸引機構14の吸引動作によって吸引溝32に吸着圧力を付与することで、ウエハWを載置面31sに吸着して保持する。
【0048】
吸引溝32は、ウエハWの外縁付近を吸着するように形成されている。例えば、検査するウエハWの直径が300mmである場合に、吸引溝32の直径は280mm~295mm程度の範囲に設定される。これにより、載置面31sにおいてウエハWの各撮像デバイス100の設置箇所に対向する面部は、凹部を備えない平坦状に延在した形状となり、検査光を乱反射させる等の不都合を抑制して、ウエハWに検査光を透過させることが可能となる。
【0049】
また図7(C)に示すように、載置台31は、載置台31を加熱するヒータ層33、および載置面31sの温度を検出するセンサ層34を有する。例えば、載置台31は、鉛直方向下側から鉛直方向上側に向かって、ガラス基材層35、ヒータ層33、ガラス基材層35、センサ層34、ガラス基材層35を、この順に積層して構成される。ヒータ層33は、周知の透明パターンを適用でき、図示しないドライバ部を介してコントローラ90に接続されている。センサ層34は、銀センサのRTDパターンを適用でき、温度の検出情報をコントローラ90に送信可能に構成される。このように構成された載置台31は、検査光のロスを低減しながら当該検査光を透過させ、かつセンサ層34の検出情報に基づきヒータ層33(すなわち載置面31sに載置されたウエハW)の温度を制御できる。
【0050】
なお、載置台31の構造は、上記に限らず、例えば図7(D)に示すように、ヒータ層33とセンサ層34とを直接積層し、その上下方向にガラス基材層35をそれぞれ積層した構成でもよい。
【0051】
図4に戻り、ステージ30の研磨機構部60は、X軸可動台442において、θ軸回転機構45の隣接位置に設置される。研磨機構部60の上部には、プローブカード21から下方に突出しているプローブ22を研磨する研磨体61が設けられる。研磨機構部60は、研磨体61をZ軸方向に変位させる研磨側Z軸移動機構62を有する。
【0052】
検査部10は、上記のように構成されるステージ30に載置されるウエハWに対して、同じステージ30側に照射装置50を配置することで、ステージ30側から各撮像デバイス100のオンチップレンズ111に向けて検査光を照射する。この照射装置50は、検査光の光源である光源モジュール51と、光源モジュール51の検査光の照射方向(光軸上)に配置されるレンズモジュール52と、を含んで構成される。また、照射装置50は、光源モジュール51およびレンズモジュール52を移動させる照射装置動作部53を有する。
【0053】
光源モジュール51は、遮光機能を有するケース511と、ケース511の内部に設けられる図示しない複数のLEDとを備え、コントローラ90に対して通信可能に接続されている。ケース511は、鉛直方向上側に突出する凸部512を備え、凸部512の上面に開口部512oを有する。各LEDは、例えば、水平方向に沿ってマトリックス状に配列され、鉛直方向上側に向かって同じ波長および光強度を有する検査光を出射する。これにより、光源モジュール51は、開口部512oから鉛直方向上側に安定した検査光を照射することができる。
【0054】
光源モジュール51は、撮像デバイス100において複数の色を検査する場合に、単色(例えば、白色)の検査光を照射する構成でもよく、複数種類の色(例えば、赤、緑、青)毎の検査光を照射する構成でもよい。
【0055】
レンズモジュール52は、撮像デバイス100が搭載されるカメラ等の撮像機器(不図示)のレンズ部分を再現したモジュールであり、瞳モジュール(登録商標)とも称される。検査装置1は、レンズモジュール52を検査に使用することで、撮像デバイス100が実際に使われる環境の再現をすることが可能となり、その環境下で決められたスペックを発揮できているかを検査することができる。例えば、スマートフォンに搭載されるカメラの多くは、そのスマートフォンのモデル毎にレンズの枚数や形状が異なるため、レンズモジュール52は、それぞれのカメラのレンズの仕様に合わせて設計され、検査内容に応じて交換される。
【0056】
レンズモジュール52は、検査光を透過可能な複数のレンズ521と、各レンズ521を支持する支持板522とを有する。例えば、各レンズ521は、凸面が鉛直方向上側を臨むように支持板522に支持される。また、各レンズ521は、支持板522上にマトリックス状に配列されており、当該各レンズ521を透過した検査光の光強度の均一性を保つことが可能となっている。
【0057】
支持板522は、例えば、円板状に形成されている。支持板522が照射装置動作部53の支持フレーム536に固定されることで、各レンズ521および支持板522は、光源モジュール51の開口部512oの対向位置(光源モジュール51と載置台31の間)に配置される。各レンズ521および支持板522は、検査されるウエハWの平面形状よりも小さく形成されている。すなわち、支持板522の直径および面積は、載置面31sまたはウエハWの直径および面積よりも小さく形成されている。これにより、レンズモジュール52は、光源モジュール51から照射される検査光を、各レンズ521によってウエハWの狭い範囲の面内に誘導し、かつ面内において平均的な光強度を持つようにすることができる。
【0058】
照射装置動作部53は、上記の照射装置50(光源モジュール51、レンズモジュール52)を昇降させる機能を有する。また、照射装置動作部53は、照射装置50の水平方向の位置を調整する照射装置水平移動機構54を備えてもよい。例えば、照射装置動作部53は、照射装置水平移動機構54に設けられ、水平方向に延在する基台531を有する。照射装置動作部53は、基台531に対し光源モジュール昇降機構532、およびレンズモジュール昇降機構535を有する。
【0059】
光源モジュール昇降機構532は、光源モジュール51を支持し、コントローラ90の指令下に光源モジュール51を昇降させる。例えば、光源モジュール昇降機構532は、モータ、シリンダ機構等の駆動源533と、駆動源533の駆動力を伝達する駆動伝達部534とを有する。
【0060】
レンズモジュール昇降機構535は、支持フレーム536を介してレンズモジュール52を支持し、コントローラ90の指令下にレンズモジュール52を昇降させる。例えば、レンズモジュール昇降機構535は、モータ、シリンダ機構等の駆動源537と、駆動源537の駆動力を伝達する駆動伝達部538とを有する。
【0061】
照射装置水平移動機構54は、例えば、プローブカード21のプローブ22の位置やステージ30の位置に対応して、照射装置50の水平方向の位置を微調整するために用いられる。図4中において、照射装置水平移動機構54は、Y軸方向に沿って基台531を移動させるように構成されている。この場合、照射装置水平移動機構54は、例えば、一対のレール541と、このレール541上をスライドし基台531を支持する複数の可動体542と、Y軸方向に駆動させる駆動源543および駆動伝達部544とを有する。なお、照射装置水平移動機構54は、X軸方向およびY軸方向の両方に移動可能に構成されてもよく、例えば、ステージ30の水平移動機構42と同様の構成を採ってもよい。
【0062】
以上のように構成される検査装置1は、ステージ30の移動によって、照射装置50と相対的に載置台31の位置を変位させることができる。さらに、検査装置1は、ステージ30の載置台31の裏面(下面)に対して、照射装置50を可及的に近づけることが可能となる。すなわち、ステージ30の載置台動作部40は、鉛直方向に連なり、照射装置50を移動および配置可能な照射装置用空間46を形成している。照射装置用空間46は、Z軸移動機構41の内側に形成された空間41sと、水平移動機構42の内側に形成された空間42sと、θ軸回転機構45の内側に形成された空間45sと、が相互に連通することで構成される。
【0063】
照射装置用空間46の鉛直方向上側には、載置台31の裏面が対向している。照射装置用空間46の鉛直方向下側は、中間フレーム11cの内側の空間(不図示)を介して、中間フレーム11cよりも鉛直方向下側の空間に連通している。このため、照射装置動作部53により照射装置50を上昇させると、照射装置50が他の構成に接触することなく照射装置用空間46に進入する。特に、照射装置50のレンズモジュール52は、照射装置用空間46を介して載置台31の裏面に近接する位置に配置できる。したがって、検査装置1は、レンズモジュール52と撮像デバイス100と間の距離を可及的に短くすることができ、検査光のロスを効果的に低減できる。
【0064】
本実施形態に係る検査装置1は、基本的には以上のように構成され、以下その動作(検査方法)について図8を参照しながら説明する。図8は、検査装置1の検査方法を示すフローチャートである。
【0065】
検査装置1は、撮像デバイス100を有するウエハWの検査において、ローダ13により載置台31の載置面31sにウエハWを載置した後、コントローラ90の指令に基づき、図8に示すステップS101~S112の処理フローを順に行う。
【0066】
コントローラ90は、まずローダ13から検査部10内にウエハWを搬入して、載置台31の載置面31sにウエハWを載置および保持する(ステップS101)。次に、コントローラ90は、θ軸回転機構45を動作させて載置台31をθ軸回りに回転させることにより、プローブカード21およびウエハWのアライメントを実施する(ステップS102)。
【0067】
その後、コントローラ90は、水平移動機構42により載置台31を水平方向に移動し、またZ軸移動機構41により載置台31を鉛直方向上側に上昇して、プローブカード21の直下の目標位置にウエハWを配置する(ステップS103)。この目標位置は、プローブカード21の各プローブ22に対して撮像デバイス100が僅かに離れた位置に設定される。また載置台31の移動時に、コントローラ90は、照射装置50の移動を停止した状態としており、ステージ30は、照射装置50と相対的に3次元位置を変えることになる。
【0068】
水平移動機構42による水平方向の移動では、載置台動作部40の照射装置用空間46も水平方向に移動することになる。ただし、各プローブ22にウエハWが対向および接触する範囲では、載置台31の水平方向の移動距離が短い。よって水平移動機構42の空間42sは、水平方向にずれるとしても、照射装置用空間46に対して鉛直方向に連なる状態を継続的に維持できる。換言すれば、ウエハWの検査範囲(対向範囲)において載置台31が水平方向に移動したとしても、照射装置用空間46は照射装置50の上昇を妨げる程に変形することがない。したがって、以降のステップS104において照射装置50を上昇しても、照射装置50(レンズモジュール52)を載置台31に確実に近接させることができる。
【0069】
次に、コントローラ90は、照射装置動作部53により照射装置50の光源モジュール51およびレンズモジュール52を鉛直方向上側に上昇させて、載置台31の裏面に近接させる(ステップS104)。この際、コントローラ90は、ステージ30の移動を停止した状態としており、照射装置50は、ステージ30と相対的に鉛直方向の位置を変えることになる。なお、コントローラ90は、ステージ30の上昇時(ステップS103の実施時)に照射装置50を合わせて上昇させ、ステージ30の位置決めに伴う上昇停止後も照射装置50の上昇を継続することで、照射装置50を載置台31の裏面に近接させてもよい。これにより、照射装置50の上昇を効率的に行うことができ、検査時間の短縮化を促すことができる。
【0070】
照射装置50のレンズモジュール52は、載置台31の裏面に充分に近接した位置に配置される。例えば、載置台31の裏面とレンズモジュール52との間隔は、載置台31の厚みよりも小さく設定されるとよい。これにより、レンズモジュール52から出力された検査光を、載置台31を介して撮像デバイス100に容易に導くことが可能となる。
【0071】
また、照射装置50の上昇では、レンズモジュール52を先に上昇させ、その後に光源モジュール51を上昇させる動作を行ってもよく、光源モジュール51およびレンズモジュール52を同時に上昇させる動作を行ってもよい。ただし、撮像デバイス100の検査において光源モジュール51とレンズモジュール52との間の距離は、常に一定に維持されることが好ましい。このため、照射装置動作部53は、光源モジュール51とレンズモジュール52とを別に上昇させた場合に、相互の距離を一定するようにそれぞれの上昇量を調整する制御を行う。
【0072】
その後、コントローラ90は、Z軸移動機構41により載置台31およびウエハWを短く上昇させて、プローブカード21とウエハWとをコンタクトさせる(ステップS105)。これにより、プローブカード21の各プローブ22が、ウエハWの各撮像デバイス100のパッド115に接触した状態となる。なお、検査装置1は、プローブ22が撮像デバイス100に接触した後も、載置台31を多少上昇させる動作(オーバドライブ動作)を行ってよい。これにより、検査範囲の各撮像デバイス100に対して各プローブ22をより確実に接触させることが可能となる。
【0073】
コントローラ90は、プローブカード21とウエハWのコンタクト後に、撮像デバイス100の検査を行う(ステップS106)。この検査において、コントローラ90は、照射装置50の光源モジュール51から検査光を照射する。この検査光は、レンズモジュール52の各レンズ521を通過し、さらに載置台31を透過して撮像デバイス100のオンチップレンズ111に入光する。撮像デバイス100は、検査光の入光によって適宜の信号をプローブ22に出力する。テスタ20は、このプローブ22を介して取得された信号に基づき、撮像デバイス100の良または不良を判定できる。
【0074】
その後、コントローラ90は、Z軸移動機構41によりウエハWを下降してステップS3の目標位置に戻すことで、プローブカード21からウエハWを離間(分離)させる(ステップS107)。
【0075】
そして、コントローラ90は、未検査の撮像デバイス100がない否かを判定する(ステップS108)。未検査の撮像デバイス100がある場合(ステップS108:NO)、検査装置1は、ウエハWの未検査の撮像デバイス100を検査するために、水平移動機構42によりウエハWを水平方向に移動(インデックス)させる(ステップS109)。これにより、未検査の撮像デバイス100がプローブカード21の各プローブ22に対向するようになる。そのため、コントローラ90は、上記したステップS105~S108を繰り返すことで、ウエハWの各撮像デバイス100を全数検査することができる。
【0076】
一方、未検査の撮像デバイス100がない場合(ステップS108:YES)、そのウエハWの各撮像デバイス100の検査が終了したことになる。このため、コントローラ90は、照射装置50の光源モジュール51およびレンズモジュール52を下降して、ステージ30から離脱させる(ステップS110)。
【0077】
さらに、コントローラ90は、Z軸移動機構41により載置台31を下降すると共に、水平移動機構42により載置台31を水平方向に移動してローダ13に近接させ、ローダ13の搬送装置によりウエハWを搬出する(ステップS111)。
【0078】
そして、コントローラ90は、ローダ13内に収容されている各ウエハWについて検査が完了した否かを判定する(ステップS112)。検査が完了していない場合(ステップS112:NO)には、ステップS101に戻り以下同様の処理フローを繰り返す。一方、検査が完了した場合(ステップS112:YES)には、この検査方法の処理フローを終了する。
【0079】
なお、検査装置1および検査方法は、上記の実施形態に限定されず、種々の変形例をとり得る。
【0080】
図9は、他の実施形態に係る検査部10Aの全体構成を示す部分側面断面図である。図9に示すように、検査部10Aは、照射装置50のレンズモジュール昇降機構535およびレンズモジュール52を中間フレーム11cに取り付けた構成としてもよい。これにより、レンズモジュール52を昇降させる距離を短くすることができ、検査を一層効率的に行うことが可能となる。
【0081】
以上の実施形態で説明した本開示の技術的思想および効果について以下に記載する。
【0082】
本開示の第1の態様は、配線層114と反対側の面から光が入射される撮像デバイス100を有する検査体(ウエハW)の検査装置1であって、撮像デバイス100の配線層114の反対側の面と対向する形態で検査体を載置する載置面31sを有し、かつ光を透過可能な載置台31と、載置台31鉛直方向および水平方向に移動可能な載置台動作部40と、載置面31sを通して撮像デバイス100に検査光を照射する照射装置50と、を含み、載置台動作部40は、載置台31の移動によって、載置面31sに載置された検査体に対する照射装置50の相対位置を変える。
【0083】
上記によれば、検査装置1は、載置台31に載置された検査体(ウエハW)と照射装置50の相対位置を変えることができ、検査体の撮像デバイス100に対して照射装置50の検査光を良好に入光させることができる。このため、検査装置1は、撮像デバイス100の検査を精度よく実施できる。
【0084】
また、載置台動作部40は、内側において鉛直方向に連なり、照射装置50を配置可能な照射装置用空間46を有する。これにより、検査装置1は、照射装置50を載置台31の裏面に近接する位置に配置でき、載置台31に載置された撮像デバイス100に充分な検査光を照射できる。
【0085】
また、載置台動作部40は、第1方向に延在する一対の第1レール(Y軸レール431)を有すると共に、一対の第1レールに重なると共に第1方向と直交する第2方向に延在する一対の第2レール(X軸レール441)を有する水平移動機構42を備え、水平移動機構42は、一対の第1レールの内側および一対の第2レールの内側に照射装置用空間46を形成する空間42sを有する。これにより、検査装置1は、水平移動機構42を有する構成でも、載置台31の近接する位置に照射装置50を配置できる。
【0086】
また、載置台動作部40は、載置台31を軸回りに回転させるθ軸回転機構45を有し、θ軸回転機構45は、筒状の固定部451と、固定部451に対して相対回転可能な筒状のθ可動部452と、を含み、固定部451および可動部452の内側に照射装置用空間46を形成する空間45sを有する。これにより、検査装置1は、軸回りに載置台31を回転させる構成でも、載置台31の近接する位置に照射装置50を配置できる。
【0087】
また、載置台動作部40は、載置台31を昇降させるZ軸移動機構41を有し、Z軸移動機構41は、駆動源411と、駆動源411の駆動によって昇降するZ軸可動台413と、を含み、Z軸可動台413は、照射装置用空間46を形成する空間41sを内側に有する。これにより、検査装置1は、鉛直方向に載置台31を昇降させる構成でも、載置台31の近接する位置に照射装置50を配置できる。
【0088】
また、照射装置50は、検査光を照射する光源モジュール51と、光源モジュール51と載置台31の間に配置され複数のレンズ521を有するレンズモジュール52と、を含む。光源モジュール51およびレンズモジュール52を備えることで、検査装置1は、撮像デバイス100に対して適切な検査光を照射できる。
【0089】
また、光源モジュール51と、レンズモジュール52とは、相互に独立して移動可能である。これにより、検査装置1は、検査において、光源モジュール51およびレンズモジュール52を適切な位置に配置できる。
【0090】
また、載置台動作部40および照射装置50を制御するコントローラ90を有し、コントローラ90は、載置台動作部40の移動により載置台31を位置決めする間または載置台31を位置決めした後に、照射装置50を動作させて載置台31に近接させる。これにより、検査装置1は、移動により位置決めした載置台31に対応する位置に照射装置50を精度よく配置できる。
【0091】
また、照射装置50を載置台31に近接させた状態で、レンズモジュール52と載置台31との間隔は、載置台31の厚みよりも小さい。これにより、検査装置1は、照射装置50を載置台31に充分に近づけることができ、検査光のロスをなくすことができる。
【0092】
また、載置台31は、検査光を透過可能かつ載置台31を加熱可能なヒータ層33、および検査光を透過可能かつ載置台31の温度を検出可能なセンサ層34を積層している。これにより、検査装置1は、載置台31の温度を調整して検査を行うことができ、しかも検査光のロスを抑制することが可能となる。
【0093】
また、本開示の第2の態様は、配線層114と反対側の面から光が入射される撮像デバイス100を有する検査体(ウエハW)を検査装置1により検査する検査方法であって、検査装置1は、撮像デバイス100の配線層114の反対側の面と対向する形態で検査体を載置する載置面31sを有し、かつ光を透過可能な載置台31と、載置台31を鉛直方向および水平方向に移動可能な載置台動作部40と、載置面31sを通して撮像デバイス100に検査光を照射する照射装置50と、を含み、検査方法では、載置台動作部40による載置台31の移動によって、載置面31sに載置された検査体に対する照射装置50の相対位置を変える工程と、検査体に対する照射装置50の相対位置を変える工程の後、照射装置50により検査光を照射して撮像デバイス100の検査を行う工程と、を有する。この場合でも、検査方法は、撮像デバイスの検査を精度よく実施できる。
【0094】
今回開示された実施形態に係る検査装置1および検査方法は、すべての点において例示であって制限的なものではない。実施形態は、添付の請求の範囲およびその主旨を逸脱することなく、様々な形態で変形および改良が可能である。上記複数の実施形態に記載された事項は、矛盾しない範囲で他の構成も取り得ることができ、また、矛盾しない範囲で組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0095】
1 検査装置
31 載置台
31s 載置面
40 載置台動作部
50 照射装置
100 撮像デバイス
114 配線層
W ウエハ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9